JP6031367B2 - 空気調和装置の運転制御装置および方法 - Google Patents

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Description

この発明は、室外熱交換器と圧縮機とを有する室外機と、室内熱交換器と室内膨張弁とを有し並列に接続された複数の室内機とを備え、室外機より複数の室内機に冷媒を供給する空気調和装置の運転制御装置および方法に関するものである。
従来より、室外機と複数の室内機とを備えた空気調和装置の運転制御装置として、例えば特許文献1に示されているような空気調和装置の運転制御装置がある。
この特許文献1に示された空気調和装置の運転制御装置では、室外機の吸入ライン又は吐出ラインにおいて、冷房運転時には蒸発温度(圧力)、暖房運転時には凝縮温度(圧力)を検出し、その値が所定の一定値となるように圧縮機の運転容量を制御することにより、各室内の要求負荷に応じた冷媒流量を確保して、適切な空調運転を行うようにしている。
すなわち、特許文献1に示された空気調和装置の運転制御装置では、冷房運転時には定蒸発温度(圧力)制御技術を行い、暖房運転時には定凝縮温度(圧力)制御を行うようにしている。以下、この定蒸発温度(圧力)制御および定凝縮温度(圧力)制御の技術を総称して、定蒸発・定凝縮温度(圧力)制御技術と呼ぶ。
しかしながら、この定蒸発・定凝縮温度(圧力)制御技術において、蒸発温度(圧力)、凝縮温度(圧力)などの物理状態量の目標値(制御目標値)は、複数の室内機に対して適切な空調運転を確保するであろうと考えられる平均的な値とされる。
この平均的な値を制御目標値として、蒸発温度(圧力)や凝縮温度(圧力)を一定に制御すると、各室内機側の要求能力がすべて小さい場合には、室内膨張弁の開度をすべて小さめに絞らなければならない。そのため、圧縮機の圧力の大部分が室内膨張弁に掛かり、圧縮機において必要以上に電力が消費され、空気調和装置の成績係数(COP)が低下する。
そこで、空気調和装置の成績係数を上げるために、例えば特許文献2に示された空気調和装置の運転制御装置では、冷房運転時には変蒸発温度(圧力)制御を行い、暖房運転時には変凝縮温度(圧力)制御を行うようにしている。以下、この変蒸発温度(圧力)制御および変凝縮温度(圧力)制御の技術を総称して、変蒸発・変凝縮温度(圧力)制御技術と呼ぶ。
図8に特許文献2に示された空気調和装置の運転制御装置の基本構成を示す。同図において、100は室外機、20は室内機であり、室外機100は室外熱交換器101と圧縮機102と室外膨張弁103とサイクル切換機構104とを有し、室内機200は室内熱交換器201と室内膨張弁202とを有している。そして、室外機100に対して室外側制御装置300が設けられ、室内機200に対して室内側制御装置400が設けられている。この例では、室内機200として室内機200A,200B,200Cが並列に接続されており、室内機200Aに対して室内側制御装置400Aが、室内機200Bに対して室内側制御装置400Bが、室内機200Cに対して室内側制御装置400Cが設けられている。
室内側制御装置400は、室内熱交換器201における冷媒の気液温度差を検出する気液温度差検出手段401と、室内熱交換器201によって熱交換される室内の要求能力を検出する要求能力検出手段402と、要求能力検出手段402が検出する室内の要求入力および気液温度差検出手段401が検出する冷媒の気液温度差を入力とし室内膨張弁202の開度を制御する開度制御手段403と、要求能力検出手段402が検出する室内の要求能力に相当する要求物理状態量(蒸発温度(圧力)、凝縮温度(圧力))を演算する演算手段404とを備えている。
室外側制御装置300は、冷媒の物理状態量(蒸発温度(圧力)、凝縮温度(圧力))を検出する物理状態量検出手段301と、室内側制御装置400A,400B,400Cの演算手段404で演算された要求物理状態量のうち最大要求能力に相当する最適物理状態量を選択する選択手段302と、選択手段302で選択された最適物理状態量に基づいて圧縮機102の運転容量を制御する容量制御手段303とを備えている。
この空気調和装置の運転制御装置において、室内側制御装置400(400A,400B,400C)の開度制御手段403は、要求能力検出手段402の出力を受け、気液温度差検出手段401で検出される冷媒の気液温度差が要求能力に相当する値に収束するように、室内膨張弁202の開度を制御する。これにより、要求能力に相当する冷媒の気液温度差に応じて、すなわち冷房運転時には過熱度(SH)に応じて、暖房運転時には過冷却度(SC)に応じて、室内膨張弁202の開度が制御される。
一方、室内側制御装置400(400A,400B,400C)の演算手段404は、要求能力検出手段402で検出される室内の要求能力に相当する要求物理状態量(蒸発温度(圧力)、凝縮温度(圧力))を演算し、室外側制御装置300へ送る。室外側制御装置300の選択手段302は、室内側制御装置400A,400B,400Cの演算手段404で演算された要求物理状態量のうち最大要求能力に相当する最適物理状態量を選択し、容量制御手段303に送る。容量制御手段303は、選択手段302で選択された最適物理状態量に基づいて圧縮機102の運転容量を制御する。
これにより、室外機100から室内機200A,200B,200Cへの冷媒の循環量として、室内機200A,200B,200Cが要求する冷媒循環量のうち最大値が確保され、よって、系全体として余裕があれば、特に要求能力の高い室内機200で定格容量以上の空調能力が発揮され、室内の要求に応じた快適な空調感が維持されることになる。また、圧縮機102の容量制御の制御目標値そのものが室内機200A,200B,200Cの要求能力の最大値に応じて変更されるので、圧縮機102の成績係数の低下を招くことなく、要求能力に応じた冷媒循環量が確保されることになり、運転効率の低下が防止される。
図9に図8における室内機の膨張弁の開度制御のブロック線図を示す。なお、図9には、一例として、変蒸発温度制御技術を使用した場合のブロック線図、すなわち物理状態量を蒸発温度とした場合の冷房モード時のブロック線図を示している。このブロック線図で示された制御動作が室内側制御装置400A,400B,400Cで同様にして行われる。
このブロック線図において、機能ブロック405では、現在の室内温度Taとその時の室温設定値Taspとを入力とし、室温制御の偏差ΔTを算出する。この算出された室温制御の偏差ΔTは機能ブロック406に送られる。
機能ブロック406では、機能ブロック405で算出された室温制御の偏差ΔTとその時の室内機200の風量Lとによって室内機200の空調負荷Qを算出する。この算出された室内負荷Qは機能ブロック407に送られる。
機能ブロック407では、機能ブロック406で算出された空調負荷Qと室内機200の設計容量Qmaxとから室内機200の空調負荷率Q/Qmaxを求め、この求めた空調負荷率Q/Qmaxによって室内機200における冷媒の気液温度差の設定値(過熱度設定値)SHspを決定する。この決定された過熱度設定値SHspは機能ブロック408へ送られる。
機能ブロック408では、機能ブロック407で決定された過熱度設定値SHspと室内機200における現在の冷媒の気液温度差(過熱度)SHとを入力とし、過熱度偏差ΔSHを算出する。この過熱度偏差ΔSHは機能ブロック409へ送られる。機能ブロック409では、機能ブロック408で算出された過熱度偏差ΔSHに基づいて、室内膨張弁202の開度φを決定する。これにより、過熱度偏差ΔSHが零となるように、室内膨張弁202の開度が制御される。
一方、機能ブロック407で求められた空調負荷率Q/Qmaxは機能ブロック410へ送られる。機能ブロック410では、機能ブロック407で求められた空調負荷率Q/Qmaxに対応する要求蒸発温度Terを求め、この求めた要求蒸発温度Terを室外制御倒置300へ送る。
図10に図8における室外機の圧縮機の運転容量制御のブロック線図を示す。なお、図10には、一例として、変蒸発温度制御技術を使用した場合のブロック線図、すなわち物理状態量を蒸発温度とした場合の冷房モード時のブロック線図を示している。
このブロック線図において、機能ブロック304には、室内側制御装置400A,400B,400Cから送られてくる要求蒸発温度Ter1,Ter2,Ter3が入力される。機能ブロック304では、入力された要求蒸発温度Ter1,Ter2,Ter3の中から最低蒸発温度を最適蒸発温度として選出し、この選出した最適蒸発温度を蒸発温度設定値Tespとする。この蒸発温度設定値Tespは機能ブロック305に送られる。
機能ブロック305では、機能ブロック304からの蒸発温度設定値Tespと現在の冷媒の蒸発温度Teとを入力とし、蒸発温度の偏差ΔTeを算出する。この蒸発温度の偏差ΔTeは機能ブロック306へ送られる。
機能ブロック306では、機能ブロック305で算出された蒸発温度の偏差ΔTeに基づいて、圧縮機102の運転容量R(この例では、圧縮機102の回転数)を決定する。これにより、蒸発温度の偏差ΔTeが零となるように、すなわち冷媒の蒸発温度Teが蒸発温度設定値Tespとなるように、圧縮機102の運転容量が制御される。
なお、図9,図10は物理状態量を蒸発温度とした場合のブロック線図を示しているが、物理状態量を蒸発発力とする場合には、図9,図10中に括弧書きで示したように、蒸発温度Teを蒸発圧力Peに置き換えればよい。
図11に特許文献2に記載された制御例を示す。A,B,Cの室内ユニット(室内機)に対して、室温偏差ΔTはそれぞれ3℃、4℃、1℃、過熱度設定値SHspはそれぞれ8℃、5℃、12℃、要求蒸発温度Terはそれぞれ5℃、0℃、10℃として求められている。この場合、室外側制御装置300では、5℃、0℃、10℃の要求蒸発温度Terのうち最低の値である0℃が最適蒸発温度として選出され、この選出された最適蒸発温度0℃が蒸発温度設定値Tespとして用いられる。
特開昭61−110833号公報 特開平2−57875号公報
圧縮機の成績係数を上げるためには、図12に示す冷凍サイクルのモリエ線図からも分かるように、膨張弁の抵抗を減らすことが有効である。このことは、室外機と複数の室内機とを備えた空気調和装置において、室内膨張弁の抵抗を減らすことが有効であることを意味している。すなわち、圧縮機の運転容量の制御中、少なくとも1つの室内膨張弁の開度が全開となれば、圧縮機の成績係数をさらに上げることができることを示唆している。しかしながら、従来の変蒸発・変凝縮温度(圧力)制御技術では、室内膨張弁の開度を全開とさせるロジックが欠けており、圧縮機の成績係数を十分な値まで上げているとは言えなかった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、圧縮機の成績係数をさらに上げることができる空気調和装置の運転制御装置および方法を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明は、室外熱交換器と圧縮機とを有する室外機と、室内熱交換器と室内膨張弁とを有し並列に接続された複数の室内機とを備え、室外機より複数の室内機に冷媒を供給する空気調整装置の運転制御装置において、室外機からの複数の室内機への現在の冷媒の供給量と複数の室内機で必要としている現在の冷媒の供給量の合計値との差を各室内機の冷媒流量の変化分の合計値として算出する冷媒流量変化分合計値手段と、冷媒流量変化分合計値手段によって算出された各室内機の冷媒流量の変化分の合計値より圧縮機の運転容量制御の変化分を算出する圧縮機運転容量制御変化分算出手段と、複数の室内機の現在の室内膨張弁の開度を集計し、少なくとも1つの室内膨張弁の開度が全開となるように、圧縮機の運転容量制御の変化分に対する修正量を算出する圧縮機運転容量制御修正量算出手段と、算出された圧縮機の運転容量制御の変化分を算出された圧縮機の運転容量制御の変化分に対する修正量で修正し、この修正した運転容量制御の変化分から圧縮機の運転容量を定めることによって、圧縮機の運転容量の制御中、複数の室内機の室内膨張弁の少なくとも1つの開度を全開とする圧縮機運転容量決定手段とを備えることを特徴とする。
この発明によれば、室外機からの複数の室内機への現在の冷媒の供給量(Gm)と複数の室内機で必要としている現在の冷媒の供給量の合計値(Gr)との差が各室内機の冷媒流量の変化分の合計値(Gv=Gr−Gm)として算出され、この算出された各室内機の冷媒流量の変化分の合計値(Gv)より圧縮機の運転容量制御の変化分(Rv)が算出される。また、複数の室内機の現在の室内膨張弁の開度(φ)が集計され、少なくとも1つの室内膨張弁の開度が全開となるように、圧縮機の運転容量制御の変化分に対する修正量(ΔR)が算出される。そして、算出された圧縮機の運転容量制御の変化分(Rv)が算出された圧縮機の運転容量制御の変化分に対する修正量(ΔR)で修正され、この修正された運転容量制御の変化分から圧縮機の運転容量(R)が定められることによって、圧縮機の運転容量の制御中、複数の室内機の室内膨張弁の少なくとも1つの開度が全開とされる
本発明によれば、室外機からの複数の室内機への現在の冷媒の供給量(Gm)と複数の室内機で必要としている現在の冷媒の供給量の合計値(Gr)との差を各室内機の冷媒流量の変化分の合計値(Gv)として算出し、この算出された各室内機の冷媒流量の変化分の合計値(Gv)より圧縮機の運転容量制御の変化分(Rv)を算出する一方、複数の室内機の現在の室内膨張弁の開度(φ)を集計し、少なくとも1つの室内膨張弁の開度が全開となるように、圧縮機の運転容量制御の変化分(Rv)に対する修正量(ΔR)を算出し、圧縮機の運転容量制御の変化分(Rv)を修正量(ΔR)によって修正し、圧縮機の運転容量の制御中、少なくとも1つの室内膨張弁の開度を全開とするようにしたので、圧縮機の成績係数をさらに上げることができるようになる。
本発明に係る運転制御装置の一実施の形態が用いられた空気調和装置の概略構成図である。 本実施の形態の運転制御装置における室内機の膨張弁の開度制御のブロック線図(冷房モード時のブロック線図)である。 リニア膨張弁の流量特性(液体)を例示する図である。 リニア膨張弁の流量特性(ガス)を例示する図である。 本実施の形態の運転制御装置における室外機の圧縮機の運転容量制御のブロック線図(冷房モード時のブロック線図)である。 圧縮機の運転容量制御の変化分に対する修正量の求め方の具体例を示すフローチャートである。 室内機の風量が自動モードの場合の室内機の膨張弁の開度制御の具体例を示すフローチャートである。 特許文献2に示された空気調和装置の運転制御装置の基本構成を示す図である。 従来の変蒸発温度(圧力)制御技術を使用した場合の室内機の膨張弁の開度制御のブロック線図(冷房モード時のブロック線図)である。 従来の変蒸発温度(圧力)制御技術を使用した場合の室外機の圧縮機の運転容量制御のブロック線図(冷房モード時のブロック線図)である。 特許文献2に記載された制御例を示す図である。 冷凍サイクルのモリエ線図である。
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係る運転制御装置の一実施の形態が用いられた空気調和装置の概略構成図である。
〔空気調和装置の構成〕
図1において、1は空気調和装置であり、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。空気調和装置1は、主として、1台の室外機2と、室外機2に並列に接続された複数台(この実施の形態では、3台)の室内機4(4A,4B,4C)と、室外機2と室内機4A,4B,4Cとを接続する冷媒連絡管としての液冷媒連絡管5およびガス冷媒連絡管6とを備えている。この空気調和装置1では、室外機2と、室内機4A,4B,4Cと、液冷媒連絡管5およびガス冷媒連絡管6とが接続されることによって、蒸気圧縮式の冷媒回路が構成されている。
〔室内機〕
室内機4A,4B,4Cは、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等により、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。また、室内機4A,4B,4Cは、液冷媒連絡管5およびガス冷媒連絡管6を介して室外機2に並列に接続されており、冷媒回路の一部を構成している。
次に、室内機4A,4B,4Cの構成について説明する。なお、室内機4A,4B,4Cは同構成とされているので、1つの室内機4について説明する。室内機4は、冷媒回路の一部を構成する室内側冷媒回路を有している。この室内側冷媒回路は、主として、室内膨張弁41と、室内熱交換器42とを有している。
本実施の形態において、室内膨張弁41は、室内側冷媒回路内を流れる冷媒の流量の調節等を行うために、室内熱交換器42の液側に接続された電動膨張弁であり、冷媒の通過を遮断することも可能である。
本実施の形態において、室内熱交換器42は、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、冷房運転時には冷媒の蒸発器として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の凝縮器として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。なお、本実施の形態において、室内熱交換器42は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であるが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であってもよい。
本実施の形態において、室内機4は、ユニット内に室内空気を吸入して、室内熱交換器42において冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給するための送風機としての室内ファン43を有している。室内ファン43は、室内熱交換器42に供給する空気の風量を所定風量範囲において可変することが可能なファンであり、本実施の形態において、DCファンモータ等からなるモータ43mによって駆動される遠心ファンや多翼ファン等である。
本実施の形態において、室内ファン43では、風量が最も小さい弱風、風量が最も大きい強風、および弱風と強風との中間程度の中風の3種類の固定風量に設定する風量固定モードと、過熱度SHや過冷却度SCなどに応じて弱風から強風までの間において自動的に変更する風量自動モードとをリモコン等の入力装置によって風量設定モードを設定可能である。
また、室内機4には、各種のセンサが設けられている。室内熱交換器42の液側には、冷媒の液体温度を検出する液側温度センサ44が設けられている。室内熱交換器42のガス側には、冷媒のガス温度を検出するガス側温度センサ45が設けられている。室内機4の室内空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室内空気の温度(室内温度)を検出する室内温度センサ46が設けられている。
〔室内側制御装置〕
また、室内機4には、室内機4を構成する各部の動作を制御する室内側制御装置7が付設されている。すなわち、室内機4Aに対しては室内機4Aの各部の動作を制御する室内側制御装置7Aが付設され、室内機4Bに対しては室内機4Bの各部の動作を制御する室内側制御装置7Bが付設され、室内機4Cに対しては室内機4Cの各部の動作を制御する室内側制御装置7Cが付設されている。室内側制御装置7A,7B,7Cは同構成とされている。
室内側制御装置7は、室内機4の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等(図示せず)を有しており、室内機4を個別に操作するためのリモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行ったり、室外機2との間で制御信号等のやりとりを行ったりすることができるようになっている。
また、室内側制御装置7には、液側温度センサ44の検出出力が冷媒の液体温度Tlとして、ガス側温度センサ45の検出出力が冷媒のガス温度Tgとして、室内温度センサ46の検出出力が室内温度Taとして、リモコンなどで設定される室内温度の設定値が室温設定値Taspとして、室外機2に設けられている後述する低圧圧力センサ29の検出圧力がPeとして、室外機2に設けられている後述する高圧圧力センサ30の検出圧力がPcとして入力されるようになっている。室内側制御装置7は、これらの入力情報に基づいて、室内膨張弁41の開度制御や室内ファン43の風量の制御などを行う。
〔室外機〕
室外機2は、ビル等の室外に設置されており、液冷媒連絡管5およびガス冷媒連絡管6を介して室内機4A,4B,4Cに接続されており、室内機4A,4B,4Cとともに冷媒回路を構成している。
次に、室外機2の構成について説明する。室外機2は、冷媒回路の一部を構成する室外側冷媒回路を有している。この室外側冷媒回路は、主として、圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、アキュムレータ25と、液側閉鎖弁26と、ガス側閉鎖弁27とを有している。
圧縮機21は、運転容量を可変することが可能な圧縮機であり、本実施の形態において、インバータにより回転数が制御されるモータ21mによって駆動される容積式圧縮機である。
なお、本実施の形態において、圧縮機21は、1台のみであるが、これに限定されず、室内機の接続台数等に応じて、2台以上の圧縮機が並列に接続されていてもよい。2台以上の圧縮機が並列に接続されている場合、その圧縮機の運転台数と回転数とによって圧縮機の運転容量が定められる。
四路切換弁22は、冷媒の流れの方向を切り換えるための弁であり、冷房運転時には、室外熱交換器23を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室内機4A,4B,4Cの室内熱交換器42を室外熱交換器23において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側と室外熱交換器23のガス側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側(具体的には、アキュムレータ25)とガス冷媒連絡管6側とを接続し(冷房運転状態:図1の四路切換弁22の実線を参照)、暖房運転時には、室内機4A,4B,4Cの室内熱交換器42を圧縮機21によって圧縮される冷媒の凝縮器として、かつ、室外熱交換器23を室内機4A,4B,4Cの室内熱交換器42において凝縮される冷媒の蒸発器として機能させるために、圧縮機21の吐出側とガス冷媒連絡管6側とを接続するとともに圧縮機21の吸入側と室外熱交換器23のガス側とを接続することが可能である(暖房運転状態:図1の四路切換弁22の破線を参照)。
本実施の形態において、室外熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、空気を熱源として冷媒と熱交換するための機器である。室外熱交換器23は、冷房運転時には冷媒の凝縮器として機能し、暖房運転時には冷媒の蒸発器として機能する熱交換器である。室外熱交換器23は、そのガス側が四路切換弁22に接続され、その液側が室外膨張弁24に接続されている。なお、本実施の形態において、室外熱交換器23は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であるが、これに限定されず、他の型式の熱交換器であってもよい。
本実施の形態において、室外膨張弁24は、室外側冷媒回路内を流れる冷媒の圧力や流量等の調節を行うために、冷房運転を行う際の冷媒回路における冷媒の流れ方向において室外熱交換器23の下流側に配置されている(本実施の形態においては、室外熱交換器23の液側に接続されている)電動膨張弁である。
本実施の形態において、室外機2は、ユニット内に室外空気を吸入して、室外熱交換器23において冷媒と熱交換させた後に、室外に排出するための送風機としての室外ファン28を有している。この室外ファン28は、室外熱交換器23に供給する空気の風量を可変することが可能なファンであり、本実施の形態において、DCファンモータ等からなるモータ28mによって駆動されるプロペラファン等である。
液側閉鎖弁26およびガス側閉鎖弁27は、外部の機器・配管(具体的には、液冷媒連絡管5およびガス冷媒連絡管6)との接続口に設けられた弁である。液側閉鎖弁26は、冷房運転を行う際の冷媒回路における冷媒の流れ方向において室外膨張弁24の下流側であって液冷媒連絡管5の上流側に配置されており、冷媒の通過を遮断することが可能である。ガス側閉鎖弁27は、四路切換弁22に接続されている。
また、室外機2には、各種のセンサが設けられている。具体的には、室外機2には、圧縮機21の吸入圧力を検出する吸入圧力センサ(低圧圧力センサ)29と、圧縮機21の吐出圧力を検出する吐出圧力センサ(高圧圧力センサ)30と、圧縮機21の吸入温度を検出する吸入温度センサ31と、圧縮機21の吐出温度を検出する吐出温度センサ32とが設けられている。室外機2の室外空気の吸入口側には、ユニット内に流入する室外空気の温度(すなわち、室外温度)を検出する室外温度センサ33が設けられている。
また、室外機2に対しては、室外機2を構成する各部の動作を制御する室外側制御装置8が設けられている。室外側制御装置8は、室外機2の制御を行うために設けられたマイクロコンピュータやメモリ等(図示せず)を有しており、室内側制御装置7A,7B,7Cとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
また、室外側制御装置8には、低圧圧力センサ29の検出圧力がPeとして、高圧圧力センサ30の検出圧力がPcとして、吸入温度センサ31の検出出力がT1として、吐出温度センサ32の検出出力がT2として、室外温度センサ33の検出出力がToutとして入力されるようになっている。室外側制御装置8は、これらの入力情報に基づいて、圧縮機21の運転容量制御や室外膨張弁24の開度制御や室外ファン28の風量制御などを行う。
以上のように、室外機1と、室内機4A,4B,4Cと、液冷媒連絡管5と、ガス冷媒連絡管6とが接続されて、空気調和装置1の冷媒回路が構成されている。そして、室内側制御装置7A,7B,7Cと室外側制御装置8とによって空気調和装置1全体の運転制御を行う運転制御装置が構成され、この運転制御装置によって、四路切換弁22により冷房運転および暖房運転を切り換えて運転を行うとともに、各室内機4A,4B,4Cの運転負荷に応じて、室外機2および室内機4A,4B,4Cの各機器の制御が行われるようになっている。また、この空気調和装置1全体の運転制御を行う運転制御装置では、変蒸発・変凝縮温度(圧力)制御技術が使用されている。この空気調和装置1全体の運転制御を行う運転制御装置が本発明に係る空気調和装置の運転制御装置に相当する。
〔室内機の膨張弁の開度制御〕
図2に本実施の形態の運転制御装置における室内機の膨張弁の開度制御のブロック線図を示す。なお、図2には、一例として、変蒸発温度制御技術を使用した場合のブロック線図、すなわち物理状態量を蒸発温度とした場合の冷房モード時のブロック線図を示している。このブロック線図で示された制御動作が室内側制御装置7A,7B,7Cで同様にして行われる。
このブロック線図において、機能ブロック71では、現在の室内温度Ta(室内温度センサ46の検出出力)とその時の室温設定値Taspとから、室温制御の偏差ΔTを算出する。この算出された室温制御の偏差ΔTは機能ブロック72に送られる。
機能ブロック72では、機能ブロック71で算出された室温制御の偏差ΔTを入力とし、C#1の制御演算(例えば、PI動作制御)によって、室内膨張弁41の要求開度(膨張弁要求開度)φpを決定する。この決定された膨張弁要求開度φpは機能ブロック73へ送られる。
一方、機能ブロック74では、冷媒の液体温度Tl(液側温度センサ44の検出出力)と冷媒の飽和温度T(室外機2における低圧圧力センサ29の検出出力Peから算出された冷媒の飽和温度)とを入力とし、その何れか大きい方を冷媒の蒸発温度Teとする。この蒸発温度Teは機能ブロック75へ送られる。
機能ブロック75では、機能ブロック74からの蒸発温度Teと冷媒のガス温度Tg(ガス側温度センサ45の検出出力)とから、室内機4における冷媒の過熱度(気液温度差)SHを算出する。この算出された過熱度SHは機能ブロック76へ送られる。
機能ブロック76では、機能ブロック75からの過熱度SHと過熱度設定値SHspとから、過熱度偏差ΔSHを算出する。この算出された過熱度偏差ΔSHは機能ブロック77へ送られる。なお、過熱度設定値SHspは、室内機4の現在の空調負荷Qと室内機4の設計容量Qmaxとから求められる空調負荷率Q/Qmaxから決定される。
機能ブロック77では、機能ブロック76からの過熱度偏差ΔSHを入力とし、C#2の制御演算(例えば、PI動作制御)によって、室内膨張弁41の要求開度の修正値(膨張弁要求開度の修正値)Δφpを決定する。この決定された膨張弁要求開度の修正値Δφpは機能ブロック73へ送られる。
機能ブロック73では、機能ブロック72からの膨張弁要求開度φpと機能ブロック77からの膨張弁要求開度の修正値Δφpとを入力とし、膨張弁要求開度φpを膨張弁要求開度の修正値Δφpで修正し、φp’(φp’=φp+Δφp)とする。これにより、修正された膨張弁要求開度φp’となるように、室内膨張弁41の開度が制御される。
従来においては、図9に示されるように、過熱度SHで室内膨張弁の開度制御が行われていた。空調機では要求される過熱度の範囲はそれほど広くなく、過熱度SHで室内膨張弁の開度制御を行うと、ON/OFF動作に陥り易い。これに対して、本実施の形態では、過熱度偏差ΔSHから膨張弁要求開度の修正値Δφpを求め、この修正値Δφpで膨張弁要求開度φpを修正しているので、ON/OFF動作に陥り難くなる。
一方、機能ブロック73で修正された膨張弁要求開度φp’は機能ブロック78へ送られる。機能ブロック78では、修正された膨張弁要求開φp’から室内機4における要求冷媒流量grを求め、機能ブロック80へ送る。
また、機能ブロック79では、室内膨張弁41の現在の開度φと室外機2における低圧圧力センサ29の検出出力Peとから、室内機4における現在の冷媒流量gmを算出する。この算出された室内機4における現在の流量gmは機能ブロック80へ送られる。
機能ブロック80では、機能ブロック78からの室内機4における要求冷媒流量grと機能ブロック79からの室内機4における現在の冷媒流量gmとから、gv=gr−gmとして室内機4における冷媒流量の変化分を求める。機能ブロック80で求められた室内機4における冷媒流量の変化分gvおよび室内膨張弁41の現在の開度φは室外側制御装置8へ送られる。
図3および図4に「Green Ind.Co.,Ltd.(Chagwon-si,Gyeongsangnam-do,South Korea)」の製品カタログに示されたリニア膨張弁の流量特性を示す。このリニア膨張弁は、液体/気体に拘わらず、共に制御弁開度と流量が相関度の高いリニアな特性を有している。よって、膨張弁の開度を用いて、冷媒の流量を測定することができる。
また、冷媒の流量が分かれば、冷媒の潜熱と過熱度で、室内機の空調負荷は算出できる。このようにして、膨張弁の開度から冷媒の流量を求め、冷媒の潜熱と過熱度で室内機の空調負荷を算出することにより、空調負荷を正しく求めることが可能となる。機能ブロック76への過熱度偏差ΔSHは、このようにして求められる空調負荷Qから求める。従来の室内機の空調負荷の算出では、顕熱だけを計算していたため、室内機の除湿量が大きい場合、算出される空調負荷は実際の空調負荷と大きく乖離する。
q=g・(r+Cp・Δt) ・・・・(1)
但し、q:室内機の空調負荷〔W〕、g:冷媒流量〔kg/s〕、r:冷媒の蒸発潜熱〔J/kg〕、Cp:冷媒の定圧比熱〔J/(kg・K)〕、Δt:冷媒の過熱度〔K〕。
〔室外機の圧縮機の運転容量制御〕
図5に本実施の形態の運転制御装置における室外機の圧縮機の運転容量制御のブロック線図を示す。なお、図5には、一例として、変蒸発温度制御技術を使用した場合のブロック線図、すなわち物理状態量を蒸発温度とした場合の冷房モード時のブロック線図を示している。
このブロック線図において、機能ブロック81には、室内制御装置7からの室内機4における冷媒流量の変化分gvが入力される。すなわち、室内制御装置7Aからの室内機4Aにおける冷媒流量の変化分gv1と、室内制御装置7Bからの室内機4Bにおける冷媒流量の変化分gv2と、室内制御装置7Cからの室内機4Cにおける冷媒流量の変化分gv3とが入力される。
機能ブロック81では、室内機4A,4B,4Cにおける冷媒流量の変化分gv1,gv2,gv3の合計値Gv(Gv=Σgv)を演算する。この演算された各室内機4の冷媒流量の変化分の合計値Gvは機能ブロック82へ送られる。
機能ブロック82では、機能ブロック81からの各室内機4の冷媒流量の変化分の合計値Gvより圧縮機21の運転容量制御の変化分Rvを算出する。この算出された圧縮機21の運転容量制御の変化分Rvは機能ブロック83へ送られる。
一方、機能ブロック84には、室内制御装置7からの室内機4における室内膨張弁41の現在の開度φが入力される。すなわち、室内制御装置7Aからの室内機4Aにおける室内膨張弁41の開度φ1と、室内制御装置7Bからの室内機4Bにおける室内膨張弁41の開度φ2と、室内制御装置7Cからの室内機4Cにおける室内膨張弁41の開度φ3とが入力される。
機能ブロック84では、室内機4A,4B,4Cにおける室内膨張弁41の開度φ1,φ2,φ3を集計し、少なくとも1つの室内膨張弁41の開度が全開となるように、圧縮機21の運転容量制御の変化分に対する修正量ΔRを算出する。この算出された圧縮機21の運転容量制御の変化分に対する修正量ΔRは機能ブロック83へ送られる。
機能ブロック83では、機能ブロック82からの圧縮機21の運転容量制御の変化分Rvと機能ブロック84からの圧縮機21の運転容量制御の変化分に対する修正量ΔRとを入力とし、圧縮機21の運転容量制御の変化分Rvを圧縮機21の運転容量制御の変化分に対する修正量ΔRで修正し、この修正した運転容量制御の変化分から圧縮機21の運転容量R(この例では、圧縮機21の回転数)を定める。
このようにして、本実施の形態では、圧縮機21の運転容量Rが運転容量制御の変化分Rvと修正量ΔRとを用いて定められ、圧縮機21の運転容量の制御中、室内機4A,4B,4Cにおける室内膨張弁41の内、少なくとも1つの室内膨張弁41の開度が全開となり、圧縮機21の成績係数がさらに上げられるものとなる。
なお、機能ブロック84では、例えば図6に示すようなフローチャートに従って、圧縮機21の運転容量制御の変化分に対する修正量ΔRを求めるようにする。この例では、室内機4A,4B,4Cにおける室内膨張弁41の開度φ1,φ2,φ3のうち最大開度のものをφmaxとし(ステップS101)、この最大開度と最大設計開度φFullとを比較する(ステップS102)。
ここで、φFull=φmaxであれば(ステップS102のYES)、圧縮機21の運転容量制御の変化分に対する修正量ΔRは零とする(ステップS103)。これに対し、φFull=φmaxでなければ(ステップS102のNO)、下記(2)式によって、圧縮機21の運転容量制御の変化分に対する修正量ΔRを求める。
ΔR=Kp(φmax−φFull) ・・・・(2)
但し、Kpは予め定められた定数。
また、室内機の膨張弁の開度制御において、室内機4の風量が自動モードの場合には、先ず室内ファン43の回転数制御を行う。そして、室内ファン43の回転数制御が最大値Lmaxで(図7:ステップS201のYES)、過熱度偏差ΔSHがなお規定値ΔSHmaxを超える場合(ΔSH>ΔSHmax、ステップS202のYES)、過熱度偏差ΔSHによって膨張弁要求開度の修正値Δφpを決定する(ステップS203)。
同様に、室内ファン43の回転数制御が最小値Lmin(ステップS201のYES)、過熱度偏差ΔSHがなお規定値ΔSHminを超える場合(ΔSH<ΔSHmin、ステップS202のYES)、過熱度偏差ΔSHによって膨張弁要求開度の修正値Δφpを決定する(ステップS203)。
室内ファン43の回転数制御が最大値Lmaxでもなく最小値Lminでもない場合(ステップS201のNO)、また過熱度偏差ΔSHがΔSHmin≦ΔSH≦ΔSHmaxの間にある場合(ステップS202のNO)、室内ファン43の回転数制御で過熱度SHの制御を行い(ステップS204)、そのときの膨張弁開度修正は行わず、膨張弁要求開度の修正値Δφpは零とする(ステップS205)。
また、室内機の膨張弁の開度制御において、暖房モードの場合には、過熱度を過冷却度に入れ替え、低圧圧力センサ29の検出圧力Peによって算出された冷媒の飽和温度T(Pe)は高圧圧力センサ30の検出出力Pcによって算出された冷媒の凝縮温度T(Pc)に入れ替える。また、冷媒の液体温度Tlと冷媒の飽和温度T(Pe)の大きい方の選択は冷媒のガス温度Tgと冷媒の凝縮温度T(Pc)の小さい方に入れ替える。
また、上述した実施の形態では、室内側制御装置7A,7B,7Cにおいて室内機4A,4B,4Cにおける冷媒流量の変化分gv1,gv2,gv3を算出し、この算出した室内機4A,4B,4Cにおける冷媒流量の変化分gv1,gv2,gv3を室外側制御装置8へ送るようにしたが、室内側制御装置7A,7B,7Cから室内機4A,4B,4Cにおける要求冷媒流量gr1,gr2,gr3を室外側制御装置8へ送るようにし、室外側制御装置8側で室内機4A,4B,4Cにおける冷媒流量の変化分gv1,gv2,gv3を求めて、室内機4A,4B,4Cにおける冷媒流量の変化分gv1,gv2,gv3の合計値Gv(Gv=Σgv)を演算するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態では、説明しなかったが、冷房モードの場合、室外機2の室外膨張弁24は全開とする。また、暖房モードでは、室外機2の室外膨張弁24が1つである場合、最大弁開度の選択プロセスを省く。
また、室外機2の低圧圧力センサ29の検出出力Peと室外膨張弁24の開度によって室外機2から室内機4A,4B,4Cへの現在の冷媒流量Gmを算出し、下記(3)式を用いて室内機4A,4B,4Cで必要としている現在の冷媒の供給量の合計値(圧縮機運転容量制御の要求流量)Grを求め、室内機4A,4B,4Cの冷媒流量の変化分の合計値GvをCv=Gr−Gmとして求めるようにしてもよい。
Gr=Gm・〔Σa・(φp+Δφp)〕/Σa・φ ・・・・(3)
但し、a:各室内機の重み係数、室内機の重み係数aは各室内機設計容量Qi,maxの総和ΣQi,maxに対する室内機容量の割合(a=Qi,max/ΣQi,max)である。
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
1…空気調和装置、2…室外機、4(4A,4B,4C)…室内機、5…液冷媒連絡管、6…ガス冷媒連絡管、7(7A,7B,7C)…室内側制御装置、8…室外側制御装置、21…圧縮機、22…四路切換弁、23…室外熱交換器、24…室外膨張弁、29…吸入圧力センサ(低圧圧力センサ)、30…吐出圧力センサ(高圧圧力センサ)、41…室内膨張弁、42…室内熱交換器、43…室内ファン、44…液側温度センサ、45…ガス側温度センサ、46…室内温度センサ。

Claims (8)

  1. 室外熱交換器と圧縮機とを有する室外機と、室内熱交換器と室内膨張弁とを有し並列に接続された複数の室内機とを備え、前記室外機より前記複数の室内機に冷媒を供給する空気調整装置の運転制御装置において、
    前記室外機からの前記複数の室内機への現在の冷媒の供給量と前記複数の室内機で必要としている現在の冷媒の供給量の合計値との差を各室内機の冷媒流量の変化分の合計値として算出する冷媒流量変化分合計値手段と、
    前記冷媒流量変化分合計値手段によって算出された各室内機の冷媒流量の変化分の合計値より前記圧縮機の運転容量制御の変化分を算出する圧縮機運転容量制御変化分算出手段と、
    前記複数の室内機の現在の室内膨張弁の開度を集計し、少なくとも1つの室内膨張弁の開度が全開となるように、前記圧縮機の運転容量制御の変化分に対する修正量を算出する圧縮機運転容量制御修正量算出手段と
    前記算出された圧縮機の運転容量制御の変化分を前記算出された圧縮機の運転容量制御の変化分に対する修正量で修正し、この修正した運転容量制御の変化分から前記圧縮機の運転容量を定めることによって、前記圧縮機の運転容量の制御中、前記複数の室内機の室内膨張弁の少なくとも1つの開度を全開とする圧縮機運転容量決定手段と
    を備えることを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。
  2. 請求項1に記載された空気調和装置の運転制御装置において、
    前記冷媒流量変化分合計値手段は、
    前記室内機毎に、その室内機に供給されている現在の冷媒の供給量とその室内機で必要としている現在の冷媒の供給量との差を冷媒流量の変化分として求め、この室内機毎に求めた冷媒流量の変化分の和を前記各室内機の冷媒流量の変化分の合計値とする
    ことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。
  3. 請求項2に記載された空気調和装置の運転制御装置において、
    前記冷媒流量変化分合計値手段は、
    前記室内機に供給されている現在の冷媒の供給量を、前記室内機の現在の室内膨張弁の開度と前記圧縮機への冷媒の吸入ラインに設けられた低圧圧力センサの検出圧力とによって算出する手段
    を備えることを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。
  4. 請求項1に記載された空気調和装置の運転制御装置において、
    前記室内機毎に室内側制御装置を備え、
    前記室内側制御装置は、
    前記室内熱交換器によって熱交換される室内の温度の検出値と室内の温度の設定値との偏差から前記室内膨張弁の要求開度を決定する要求開度決定手段と、
    前記室内熱交換器における冷媒の現在の気液温度差と気液温度差の設定値との偏差から前記室内膨張弁の要求開度に対する修正値を決定する要求開度修正値決定手段と、
    前記要求開度決定手段によって決定された要求開度を前記要求開度修正値決定手段によって決定された修正値によって修正し、修正された開度に基づいて前記室内膨張弁の開度制御を行う室内膨張弁開度制御手段と
    を備えることを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。
  5. 室外熱交換器と圧縮機とを有する室外機と、室内熱交換器と室内膨張弁とを有し並列に接続された複数の室内機とを備え、前記室外機より前記複数の室内機に冷媒を供給する空気調整装置の運転制御方法において、
    前記室外機からの前記複数の室内機への現在の冷媒の供給量と前記複数の室内機で必要としている現在の冷媒の供給量の合計値との差を各室内機の冷媒流量の変化分の合計値として算出する冷媒流量変化分合計値ステップと、
    前記冷媒流量変化分合計値ステップによって算出された各室内機の冷媒流量の変化分の合計値より前記圧縮機の運転容量制御の変化分を算出する圧縮機運転容量制御変化分算出ステップと、
    前記複数の室内機の現在の室内膨張弁の開度を集計し、少なくとも1つの室内膨張弁の開度が全開となるように、前記圧縮機の運転容量制御の変化分に対する修正量を算出する圧縮機運転容量制御修正量算出ステップと
    前記算出された圧縮機の運転容量制御の変化分を前記算出された圧縮機の運転容量制御の変化分に対する修正量で修正し、この修正した運転容量制御の変化分から前記圧縮機の運転容量を定めることによって、前記圧縮機の運転容量の制御中、前記複数の室内機の室内膨張弁の少なくとも1つの開度を全開とする圧縮機運転容量決定ステップと
    を備えることを特徴とする空気調和装置の運転制御方法。
  6. 請求項5に記載された空気調和装置の運転制御方法において、
    前記冷媒流量変化分合計値ステップは、
    前記室内機毎に、その室内機に供給されている現在の冷媒の供給量とその室内機で必要としている現在の冷媒の供給量との差を冷媒流量の変化分として求め、この室内機毎に求めた冷媒流量の変化分の和を前記各室内機の冷媒流量の変化分の合計値とする
    ことを特徴とする空気調和装置の運転制御方法。
  7. 請求項6に記載された空気調和装置の運転制御方法において、
    前記冷媒流量変化分合計値ステップは、
    前記室内機に供給されている現在の冷媒の供給量を、前記室内機の現在の室内膨張弁の開度と前記圧縮機への冷媒の吸入ラインに設けられた低圧圧力センサの検出圧力とによって算出するステップ
    を備えることを特徴とする空気調和装置の運転制御方法。
  8. 請求項5に記載された空気調和装置の運転制御方法において、
    前記室内機毎に前記室内膨張弁の開度制御を行う室内側制御ステップを備え、
    前記室内側制御ステップは、
    前記室内熱交換器によって熱交換される室内の温度の検出値と室内の温度の設定値との偏差から前記室内膨張弁の要求開度を決定する要求開度決定ステップと、
    前記室内熱交換器における冷媒の現在の気液温度差と気液温度差の設定値との偏差から前記室内膨張弁の要求開度に対する修正値を決定する要求開度修正値決定ステップと、
    前記要求開度決定ステップによって決定された要求開度を前記要求開度修正値決定ステップによって決定された修正値によって修正し、修正された開度に基づいて前記室内膨張弁の開度制御を行う室内膨張弁開度制御ステップと
    を備えることを特徴とする空気調和装置の運転制御方法。
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