JP2005016067A - 腰壁材 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚みによるボリューム感を持ちながら、施工時に出入り隅での曲げしわ、角の発生が無く、充分な表面耐久性を備え、水性アクリル系エマルジョン接着剤でも接着することができる非ハロゲン系腰壁材を提供することである。
【解決手段】表面層、発泡層を積層した非ハロゲン系腰壁材であって、表面層の初期引張強度を15〜100Nとし、発泡層がEVAを含有したオレフィン系樹脂発泡体であり、発泡倍率を10〜15倍としたことである。
【選択図】図1
【解決手段】表面層、発泡層を積層した非ハロゲン系腰壁材であって、表面層の初期引張強度を15〜100Nとし、発泡層がEVAを含有したオレフィン系樹脂発泡体であり、発泡倍率を10〜15倍としたことである。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボリューム感を持ちながら、施工性がよく充分な表面耐久性を備えた非ハロゲン系腰壁材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、腰壁材としては硬質のパネル状の物や、軟質の長尺状のものが開発されている(例えば、特開2001−342726、特開2001−140436参照)。パネル状の腰壁材は、施工現場において複数枚のパネルを接合していく必要があるため施工が煩雑であり、またパネル一枚がある程度の大きさ、重量をもつため保管場所、運搬に不便であった。一方長尺状のものはこれらの問題点が解決され、従来塩化ビニル樹脂を用いたものが多く使用されてきたが、塩化ビニル樹脂等のハロゲンを含む樹脂組成物は火災時や焼却時に有害な塩化水素ガスを含む煙が発生し環境上の問題が指摘されている。さらに塩化ビニル樹脂製の腰壁材は可塑剤や安定剤を多く含むため、アウトガスや臭気に関わる問題点も有している。
【0003】
このため腰壁材の主原料を非ハロゲン系材料に置き換えたものが開発されているが(例えば、特開2001−260287参照)、この腰壁材は塩化ビニル樹脂のような柔軟性はないため、厚み方向にボリューム感のある構造のものは、出入隅への施工時に曲げしわや角が発生するという問題点があった。
【0004】
【先行技術文献の開示】
【特許文献1】
特開2001−342726号公報
【特許文献2】
特開2001−140436号公報
【特許文献3】
特開2001−260287号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な現状に鑑みてなされたものであり、厚みによるボリューム感を持ちながら、施工時に出入り隅での曲げしわ、角の発生が無く、充分な表面耐久性を備え、水性アクリル系エマルジョン接着剤でも接着することができる非ハロゲン系腰壁材に関するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため本発明の腰壁材は、表面層、発泡層を積層した非ハロゲン系腰壁材であって、表面層の初期引張強度が15〜100Nであり、発泡層がEVAを含有したオレフィン系樹脂発泡体であり、該発泡体の発泡倍率が10〜15倍であることを特徴とする非ハロゲン系腰壁材である。このような構成にすることにより厚みにボリューム感のあるものを得ることができる。また、表面層の初期引張強度と、発泡層の発泡倍率を上記範囲に限定することにより、表面耐久性を備えつつ、施工時の出入り隅で曲げしわ、角の発生が無く、納まりが良好な腰壁材を得ることができる。また発泡層にEVAを含有するので、水性アクリル系エマルジョン接着剤でも接着強度が充分な非ハロゲン系腰壁材を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る非ハロゲン系腰壁材は図1に示す通り、表面層と発泡層を積層して構成される。
【0008】
本発明の表面層は、腰壁材としての意匠を凝らしたり表面耐久性等を付与させるためのものであり、合成樹脂シートまたは合成樹脂の積層シートが好適に用いられる。表面層として用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン(以下、PEという),ポリプロピレン(以下、PPという),ポリブテン−1,エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合樹脂,エチレンとカルボキシル基含有モノマーとの共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリアクリレート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、オレフィン系エラストマー,スチレン−オレフィンブロック共重合体,スチレン系エラストマー,ポリエステル系エラストマー,ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、またはブチルゴム,アクリルゴム,イソプレンゴム,スチレン−ブタジエンゴム,アクリロニトリル−ブタジエンゴム,アクリル−スチレンゴム等の合成ゴムや天然ゴム及びその水素添加物等の1種類または2種類以上の合成樹脂混合物などを挙げることができる。これらの中でも、オレフィン系樹脂、特にPPやPEを表面層として用いることが、耐摩耗性、耐汚れ性、柔軟性、コストのバランスが良く好ましい。
【0009】
さらに、表面層の初期引張強度を15〜100Nの範囲にすることが必須である。このような表面層を使用することにより、表面耐久性と施工時の柔軟性を両立させることができる。すなわち初期引張強度が15N未満であると施工時の柔軟性は充分であるが、表面強度が低下し、充分な表面耐久性を得ることができない。初期引張強度が100Nを超えると表面層の柔軟性が損なわれ、施工時の出入隅への追従性が悪化して曲げしわや角が発生してしまう。
【0010】
また、表面層はその用途、意匠、設計から種々の厚さや材質のものが使用でき、柔軟性や表面耐久性は厚さや材質により大きく影響を受けるため、初期引張強度はこれを考慮したものである。初期引張強度は表面層の引張弾性を示すものであり、測定方法はJIS K 7113に記載の方法に準拠し、ダンベル1号(巾10mm)により打ち抜いたサンプルを毎分200mmの速度で引っ張り、初期3%ひずみでの引張強度を初期引張強度と称する。初期引張強度は初期3%伸び時の引張弾性率から算出することもできる。すなわち初期引張強度=初期3%伸び時の引張弾性率(N/mm2)×(3/100)×サンプル厚さ(mm)×サンプル巾(10mm)で表される。
【0011】
この際、表面層の厚みとしては、0.01mm〜2.0mm程度が好ましく、腰壁材としての物性と柔軟性のバランスから更に好ましくは0.05mm〜0.5mm程度の厚みである。表面層は単層でも多層であっても良く、化粧を施したものでも良い。例えば着色したものや、バックプリントを施したものでも良く、透明層と印刷を施した印刷フィルムとを積層したいわゆるダブリングフィルムの形態でも良い。つや調整や意匠の深みから表面層にはエンボス加工を施しても良い。
【0012】
表面層に更に処理剤による表面処理を施すことによって表面耐久性、意匠性を向上させても良い。その処理剤としては、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系及びこれらの共重合や混合物等が挙げられ、公知のものが使用可能である。このなかでも、表面耐久性を考慮すると紫外線硬化型、電子線硬化型などの硬化型の処理剤が好ましい。硬化型の処理剤はウレタン系、アクリル系のものが一般的である。これらの処理剤の中には、耐摩耗性向上や意匠の付与を目的として、ガラスビーズやガラス粉末、シリカ、ケイ砂等の無機充填剤や、合成繊維、天然繊維、各種樹脂粉末や粉砕物を添加することも可能である。これらの処理剤は、公知の各種塗工機を用いて床材表面に塗布することができる。ちなみに、処理剤の厚みには特に制限はないが、1〜200μm程度とすることが好ましい。
【0013】
本発明の発泡層は腰壁材のボリューム感を向上させ、衝突の際、衝撃を和らげたり下地を保護するためのものであり、EVAを含有したオレフィン系樹脂からなる。オレフィン系樹脂として例えば、PE、PP、ポリブテン−1、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂等のエチレンとビニルモノマーの共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、非結晶のα−オレフィン樹脂等の1種類または2種類以上の混合物が挙げられる。
【0014】
発泡層と下地との接着性及び発泡セル強度のバランスを考慮すると、発泡層に含まれるEVA中の酢酸ビニルの含有量は、発泡層オレフィン系樹脂全体の中で0.5〜5%の範囲がよく、好ましくは1〜3%の範囲である。酢酸ビニルの含有量が0.5%より少なくなると下地との接着性が悪くなる場合があり、3%を超えると発泡セルの強度が小さくなる場合がある。
【0015】
通常の市販されているオレフィン系発泡体を水性アクリル系エマルジョン接着剤で接着して、JIS A 5536記載の「90度剥離接着強さ」に準拠して、接着強度を測定すると2〜5N/25mmと小さいため、下地と接着することはできないが、本発明の発泡層は上記と同様にして接着強度を測定すると7〜15N/25mmと大きいため、下地と接着することが可能となる。
【0016】
発泡層の発泡倍率としては、柔軟性と強度のバランスから10〜15倍が好適である。ここでいう柔軟性とは、腰壁材を壁面へ施工する際、出入り隅への形状追従性を意味する。本発明における腰壁材は厚み方向にボリュームを持つため、出入隅への施工において、折り曲げ変形時に表層側と発泡層側に長さ差異が発生する。この際、発泡層の発泡倍率が10倍未満であると発泡層の柔軟性が損なわれ、長さ差異によるひずみを吸収、緩和することができなくなり折り曲げ部分に曲げしわ、角が発生する。発泡倍率が15倍を超えると発泡層の強度が不足し、耐衝撃性に劣るものとなる。
【0017】
下地との接着強度を増すために、発泡層裏側に基布または接着性樹脂層を積層すると、長さ差異によるひずみを吸収、緩和することができなくなり折り曲げ部分に曲げしわ、角が発生する原因となるため好ましくない。
【0018】
発泡の形態としては、連続気泡、独立気泡のどちらでも良いが、ひずみの回復性を考慮すると独立気泡のものが好ましい。発泡層は架橋されていても無架橋のものでも良いが、発泡セルの強度およびスキン層強度の点から架橋されているものが好ましい。架橋の方法としては放射線や過酸化物による公知の方法が用いられる。また、発泡層の厚さは、0.5〜2.0mm程度が適当であり、曲げしわと、ボリューム感のバランスから好ましくは0.5〜1.5mmである。
【0019】
表面層と発泡層を積層する方法としては、通常の熱融着による積層、プライマーやホットメルト接着剤、エマルジョン系接着剤を利用したラミネート等が利用できる。
【0020】
本発明に係る非ハロゲン系腰壁材は、コンクリート,スレート,モルタル等のコンクリート下地、木質下地、鉄板,アルミ板等の金属下地などの壁面に通常の接着剤、粘着剤、粘着テープ等で施工することが可能である。しかも本発明の腰壁材とすることにより水性アクリル系エマルジョン接着剤で施工することも可能である。
【0021】
本発明の非ハロゲン系腰壁材は、全体として0.55mm〜3.0mm程度の厚み、好ましくは0.55mm〜2.0mmの範囲である。
【0022】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明を詳しく説明する。
【0023】
[評価方法および評価基準]
以下の評価方法、評価基準により実施例および比較例を評価した。
<出入隅への追従性>
施工体に腰壁材を施工した後、出入り隅での曲げしわ、角を目視にて評価した。
◎:良好
○:実用範囲
×:不良(曲げしわや角が発生する)
<耐衝撃性>
腰壁材を石膏ボードに施工したものに対し、落球試験機を用いて1kgの球を1mの高さから落下させ、石膏ボードと腰壁材の外観を目視にて評価した。
◎:良好
○:実用範囲
×:不良(石膏ボードのへこみが大きく、腰壁材の変形、破損が見られる)
<接着性>
アクリル系エマルジョン接着剤(ロンシール工業(株) ロンセメントエコ)を使用して、JIS A 5536記載の「90度剥離接着強さ」に準拠して評価した。
◎:良好
○:実用範囲
×:不良(5N/25mm以下で剥離する)
【0024】
[実施例1]
組成がLDPE(低密度PE)/EVA系の電子線架橋発泡体(10倍発泡品、厚さ1mm)に表面層として初期引張強度が30NのPPダブリングフィルム(PP着色フィルムに印刷を行いPP透明層を積層しエンボスを施したもの、厚さ0.18mm)をラミパッカー(FUJIPLA INC製、型式LPP650)で熱ラミネートし腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0025】
[実施例2]
表面層として初期引張強度が50NのPPダブリングフィルム(PP着色シートに印刷を行い、印刷面にPP透明層を積層したもの、厚さ0.2mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0026】
[実施例3]
オレフィン用接着剤を用いて、表面層として初期引張強度が70NのPPダブリングフィルム(PP着色シートに印刷を行い、印刷面にPP透明層を積層したもの、厚さ0.3mm)と発泡体とをドライラミネートすること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0027】
[比較例1]
組成がLDPE/EVA系の電子線架橋発泡体(7倍発泡品、厚さ1mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0028】
[比較例2]
組成がLDPE/LLDPE(直鎖状低密度PE)系の電子線架橋発泡体(10倍発泡品、厚さ1mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0029】
[比較例3]
組成がLDPE/EVA系の電子線架橋発泡体(30倍発泡品、厚さ1mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0030】
[比較例4]
表面層として初期引張強度が10NのPPダブリングフィルム(PP着色フィルムに印刷を行い、印刷面にPP透明層を積層しエンボス加工を施したもの、厚さ0.1mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0031】
[比較例5]
表面層として初期引張強度が110NのPPダブリングフィルム(PP着色シートに印刷を行い、印刷面にPP透明層を積層したもの、厚さ0.45mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0032】
【表1】
発泡体組成 ※1:LDPE/EVA系
※2:LDPE/LLDPE系
上記の評価結果から判るように、本発明に係る腰壁材は、出入隅への追従性、耐衝撃性、接着性のバランスが良いことが理解される。
【0033】
【発明の効果】
本発明の腰壁材は、表面層、発泡層を積層した非ハロゲン系腰壁材であって、表面層の初期引張強度を15〜100Nの範囲とし、発泡層にEVAを含有したオレフィン系樹脂発泡体とし、該発泡体の発泡倍率を10〜15倍とすることにより、厚みにボリューム感のあるものを得ることができまた、表面層の初期引張強度と、発泡層の発泡倍率を上記範囲に限定することにより、表面耐久性を備えつつ、施工時の出入り隅で曲げしわ、角の発生が無く、納まりが良好な腰壁材を得ることができる。さらに、発泡層にEVAを含有させることで、水性アクリル系エマルジョン接着剤で施工しても接着強度が充分に発現する。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の腰壁材の断面を示す
【符号の説明】
A:腰壁材
1:表面層
2:発泡層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボリューム感を持ちながら、施工性がよく充分な表面耐久性を備えた非ハロゲン系腰壁材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、腰壁材としては硬質のパネル状の物や、軟質の長尺状のものが開発されている(例えば、特開2001−342726、特開2001−140436参照)。パネル状の腰壁材は、施工現場において複数枚のパネルを接合していく必要があるため施工が煩雑であり、またパネル一枚がある程度の大きさ、重量をもつため保管場所、運搬に不便であった。一方長尺状のものはこれらの問題点が解決され、従来塩化ビニル樹脂を用いたものが多く使用されてきたが、塩化ビニル樹脂等のハロゲンを含む樹脂組成物は火災時や焼却時に有害な塩化水素ガスを含む煙が発生し環境上の問題が指摘されている。さらに塩化ビニル樹脂製の腰壁材は可塑剤や安定剤を多く含むため、アウトガスや臭気に関わる問題点も有している。
【0003】
このため腰壁材の主原料を非ハロゲン系材料に置き換えたものが開発されているが(例えば、特開2001−260287参照)、この腰壁材は塩化ビニル樹脂のような柔軟性はないため、厚み方向にボリューム感のある構造のものは、出入隅への施工時に曲げしわや角が発生するという問題点があった。
【0004】
【先行技術文献の開示】
【特許文献1】
特開2001−342726号公報
【特許文献2】
特開2001−140436号公報
【特許文献3】
特開2001−260287号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な現状に鑑みてなされたものであり、厚みによるボリューム感を持ちながら、施工時に出入り隅での曲げしわ、角の発生が無く、充分な表面耐久性を備え、水性アクリル系エマルジョン接着剤でも接着することができる非ハロゲン系腰壁材に関するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため本発明の腰壁材は、表面層、発泡層を積層した非ハロゲン系腰壁材であって、表面層の初期引張強度が15〜100Nであり、発泡層がEVAを含有したオレフィン系樹脂発泡体であり、該発泡体の発泡倍率が10〜15倍であることを特徴とする非ハロゲン系腰壁材である。このような構成にすることにより厚みにボリューム感のあるものを得ることができる。また、表面層の初期引張強度と、発泡層の発泡倍率を上記範囲に限定することにより、表面耐久性を備えつつ、施工時の出入り隅で曲げしわ、角の発生が無く、納まりが良好な腰壁材を得ることができる。また発泡層にEVAを含有するので、水性アクリル系エマルジョン接着剤でも接着強度が充分な非ハロゲン系腰壁材を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る非ハロゲン系腰壁材は図1に示す通り、表面層と発泡層を積層して構成される。
【0008】
本発明の表面層は、腰壁材としての意匠を凝らしたり表面耐久性等を付与させるためのものであり、合成樹脂シートまたは合成樹脂の積層シートが好適に用いられる。表面層として用いられる合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン(以下、PEという),ポリプロピレン(以下、PPという),ポリブテン−1,エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合樹脂,エチレンとカルボキシル基含有モノマーとの共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンオキサイド、ポリスルホン、ポリアクリレート、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、オレフィン系エラストマー,スチレン−オレフィンブロック共重合体,スチレン系エラストマー,ポリエステル系エラストマー,ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、またはブチルゴム,アクリルゴム,イソプレンゴム,スチレン−ブタジエンゴム,アクリロニトリル−ブタジエンゴム,アクリル−スチレンゴム等の合成ゴムや天然ゴム及びその水素添加物等の1種類または2種類以上の合成樹脂混合物などを挙げることができる。これらの中でも、オレフィン系樹脂、特にPPやPEを表面層として用いることが、耐摩耗性、耐汚れ性、柔軟性、コストのバランスが良く好ましい。
【0009】
さらに、表面層の初期引張強度を15〜100Nの範囲にすることが必須である。このような表面層を使用することにより、表面耐久性と施工時の柔軟性を両立させることができる。すなわち初期引張強度が15N未満であると施工時の柔軟性は充分であるが、表面強度が低下し、充分な表面耐久性を得ることができない。初期引張強度が100Nを超えると表面層の柔軟性が損なわれ、施工時の出入隅への追従性が悪化して曲げしわや角が発生してしまう。
【0010】
また、表面層はその用途、意匠、設計から種々の厚さや材質のものが使用でき、柔軟性や表面耐久性は厚さや材質により大きく影響を受けるため、初期引張強度はこれを考慮したものである。初期引張強度は表面層の引張弾性を示すものであり、測定方法はJIS K 7113に記載の方法に準拠し、ダンベル1号(巾10mm)により打ち抜いたサンプルを毎分200mmの速度で引っ張り、初期3%ひずみでの引張強度を初期引張強度と称する。初期引張強度は初期3%伸び時の引張弾性率から算出することもできる。すなわち初期引張強度=初期3%伸び時の引張弾性率(N/mm2)×(3/100)×サンプル厚さ(mm)×サンプル巾(10mm)で表される。
【0011】
この際、表面層の厚みとしては、0.01mm〜2.0mm程度が好ましく、腰壁材としての物性と柔軟性のバランスから更に好ましくは0.05mm〜0.5mm程度の厚みである。表面層は単層でも多層であっても良く、化粧を施したものでも良い。例えば着色したものや、バックプリントを施したものでも良く、透明層と印刷を施した印刷フィルムとを積層したいわゆるダブリングフィルムの形態でも良い。つや調整や意匠の深みから表面層にはエンボス加工を施しても良い。
【0012】
表面層に更に処理剤による表面処理を施すことによって表面耐久性、意匠性を向上させても良い。その処理剤としては、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系及びこれらの共重合や混合物等が挙げられ、公知のものが使用可能である。このなかでも、表面耐久性を考慮すると紫外線硬化型、電子線硬化型などの硬化型の処理剤が好ましい。硬化型の処理剤はウレタン系、アクリル系のものが一般的である。これらの処理剤の中には、耐摩耗性向上や意匠の付与を目的として、ガラスビーズやガラス粉末、シリカ、ケイ砂等の無機充填剤や、合成繊維、天然繊維、各種樹脂粉末や粉砕物を添加することも可能である。これらの処理剤は、公知の各種塗工機を用いて床材表面に塗布することができる。ちなみに、処理剤の厚みには特に制限はないが、1〜200μm程度とすることが好ましい。
【0013】
本発明の発泡層は腰壁材のボリューム感を向上させ、衝突の際、衝撃を和らげたり下地を保護するためのものであり、EVAを含有したオレフィン系樹脂からなる。オレフィン系樹脂として例えば、PE、PP、ポリブテン−1、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂等のエチレンとビニルモノマーの共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、非結晶のα−オレフィン樹脂等の1種類または2種類以上の混合物が挙げられる。
【0014】
発泡層と下地との接着性及び発泡セル強度のバランスを考慮すると、発泡層に含まれるEVA中の酢酸ビニルの含有量は、発泡層オレフィン系樹脂全体の中で0.5〜5%の範囲がよく、好ましくは1〜3%の範囲である。酢酸ビニルの含有量が0.5%より少なくなると下地との接着性が悪くなる場合があり、3%を超えると発泡セルの強度が小さくなる場合がある。
【0015】
通常の市販されているオレフィン系発泡体を水性アクリル系エマルジョン接着剤で接着して、JIS A 5536記載の「90度剥離接着強さ」に準拠して、接着強度を測定すると2〜5N/25mmと小さいため、下地と接着することはできないが、本発明の発泡層は上記と同様にして接着強度を測定すると7〜15N/25mmと大きいため、下地と接着することが可能となる。
【0016】
発泡層の発泡倍率としては、柔軟性と強度のバランスから10〜15倍が好適である。ここでいう柔軟性とは、腰壁材を壁面へ施工する際、出入り隅への形状追従性を意味する。本発明における腰壁材は厚み方向にボリュームを持つため、出入隅への施工において、折り曲げ変形時に表層側と発泡層側に長さ差異が発生する。この際、発泡層の発泡倍率が10倍未満であると発泡層の柔軟性が損なわれ、長さ差異によるひずみを吸収、緩和することができなくなり折り曲げ部分に曲げしわ、角が発生する。発泡倍率が15倍を超えると発泡層の強度が不足し、耐衝撃性に劣るものとなる。
【0017】
下地との接着強度を増すために、発泡層裏側に基布または接着性樹脂層を積層すると、長さ差異によるひずみを吸収、緩和することができなくなり折り曲げ部分に曲げしわ、角が発生する原因となるため好ましくない。
【0018】
発泡の形態としては、連続気泡、独立気泡のどちらでも良いが、ひずみの回復性を考慮すると独立気泡のものが好ましい。発泡層は架橋されていても無架橋のものでも良いが、発泡セルの強度およびスキン層強度の点から架橋されているものが好ましい。架橋の方法としては放射線や過酸化物による公知の方法が用いられる。また、発泡層の厚さは、0.5〜2.0mm程度が適当であり、曲げしわと、ボリューム感のバランスから好ましくは0.5〜1.5mmである。
【0019】
表面層と発泡層を積層する方法としては、通常の熱融着による積層、プライマーやホットメルト接着剤、エマルジョン系接着剤を利用したラミネート等が利用できる。
【0020】
本発明に係る非ハロゲン系腰壁材は、コンクリート,スレート,モルタル等のコンクリート下地、木質下地、鉄板,アルミ板等の金属下地などの壁面に通常の接着剤、粘着剤、粘着テープ等で施工することが可能である。しかも本発明の腰壁材とすることにより水性アクリル系エマルジョン接着剤で施工することも可能である。
【0021】
本発明の非ハロゲン系腰壁材は、全体として0.55mm〜3.0mm程度の厚み、好ましくは0.55mm〜2.0mmの範囲である。
【0022】
【実施例】
次に、具体的な実施例を挙げて、本発明を詳しく説明する。
【0023】
[評価方法および評価基準]
以下の評価方法、評価基準により実施例および比較例を評価した。
<出入隅への追従性>
施工体に腰壁材を施工した後、出入り隅での曲げしわ、角を目視にて評価した。
◎:良好
○:実用範囲
×:不良(曲げしわや角が発生する)
<耐衝撃性>
腰壁材を石膏ボードに施工したものに対し、落球試験機を用いて1kgの球を1mの高さから落下させ、石膏ボードと腰壁材の外観を目視にて評価した。
◎:良好
○:実用範囲
×:不良(石膏ボードのへこみが大きく、腰壁材の変形、破損が見られる)
<接着性>
アクリル系エマルジョン接着剤(ロンシール工業(株) ロンセメントエコ)を使用して、JIS A 5536記載の「90度剥離接着強さ」に準拠して評価した。
◎:良好
○:実用範囲
×:不良(5N/25mm以下で剥離する)
【0024】
[実施例1]
組成がLDPE(低密度PE)/EVA系の電子線架橋発泡体(10倍発泡品、厚さ1mm)に表面層として初期引張強度が30NのPPダブリングフィルム(PP着色フィルムに印刷を行いPP透明層を積層しエンボスを施したもの、厚さ0.18mm)をラミパッカー(FUJIPLA INC製、型式LPP650)で熱ラミネートし腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0025】
[実施例2]
表面層として初期引張強度が50NのPPダブリングフィルム(PP着色シートに印刷を行い、印刷面にPP透明層を積層したもの、厚さ0.2mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0026】
[実施例3]
オレフィン用接着剤を用いて、表面層として初期引張強度が70NのPPダブリングフィルム(PP着色シートに印刷を行い、印刷面にPP透明層を積層したもの、厚さ0.3mm)と発泡体とをドライラミネートすること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0027】
[比較例1]
組成がLDPE/EVA系の電子線架橋発泡体(7倍発泡品、厚さ1mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0028】
[比較例2]
組成がLDPE/LLDPE(直鎖状低密度PE)系の電子線架橋発泡体(10倍発泡品、厚さ1mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0029】
[比較例3]
組成がLDPE/EVA系の電子線架橋発泡体(30倍発泡品、厚さ1mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0030】
[比較例4]
表面層として初期引張強度が10NのPPダブリングフィルム(PP着色フィルムに印刷を行い、印刷面にPP透明層を積層しエンボス加工を施したもの、厚さ0.1mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0031】
[比較例5]
表面層として初期引張強度が110NのPPダブリングフィルム(PP着色シートに印刷を行い、印刷面にPP透明層を積層したもの、厚さ0.45mm)を使用すること以外は実施例1と同様にして腰壁材を得た。その評価結果を表1へ示す。
【0032】
【表1】
発泡体組成 ※1:LDPE/EVA系
※2:LDPE/LLDPE系
上記の評価結果から判るように、本発明に係る腰壁材は、出入隅への追従性、耐衝撃性、接着性のバランスが良いことが理解される。
【0033】
【発明の効果】
本発明の腰壁材は、表面層、発泡層を積層した非ハロゲン系腰壁材であって、表面層の初期引張強度を15〜100Nの範囲とし、発泡層にEVAを含有したオレフィン系樹脂発泡体とし、該発泡体の発泡倍率を10〜15倍とすることにより、厚みにボリューム感のあるものを得ることができまた、表面層の初期引張強度と、発泡層の発泡倍率を上記範囲に限定することにより、表面耐久性を備えつつ、施工時の出入り隅で曲げしわ、角の発生が無く、納まりが良好な腰壁材を得ることができる。さらに、発泡層にEVAを含有させることで、水性アクリル系エマルジョン接着剤で施工しても接着強度が充分に発現する。
【0034】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の腰壁材の断面を示す
【符号の説明】
A:腰壁材
1:表面層
2:発泡層
Claims (1)
- 表面層、発泡層を積層した非ハロゲン系腰壁材であって、表面層の初期引張強度が15〜100Nであり、発泡層がエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという)を含有するオレフィン系樹脂発泡体であり、該発泡体の発泡倍率が10〜15倍であることを特徴とする非ハロゲン系腰壁材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003179556A JP2005016067A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 腰壁材 |
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Publications (1)
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JP2003179556A Pending JP2005016067A (ja) | 2003-06-24 | 2003-06-24 | 腰壁材 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005016067A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011093303A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-05-12 | Dainippon Printing Co Ltd | 発泡化粧シート |
JP2015113684A (ja) * | 2013-12-13 | 2015-06-22 | ロンシール工業株式会社 | 内装シートとその施工方法および施工構造 |
-
2003
- 2003-06-24 JP JP2003179556A patent/JP2005016067A/ja active Pending
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