JP2005015870A - カーボンナノチューブ膜作製装置及びカーボンナノチューブ膜作製方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ膜作製装置及びカーボンナノチューブ膜作製方法 Download PDF

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Hitoshi Sakamoto
仁志 坂本
Chikako Kobayashi
千香子 小林
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Abstract

【課題】方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜を短時間で作製することができ量産性に優れたカーボンナノチューブ膜作製装置とする。
【解決手段】基板3が収容されるチャンバ1内をプラズマ化して塩素ガスのガスプラズマ19を発生させ、塩素ラジカルによりグラファイト製の被エッチング部材11をエッチングすることにより気相中に塩化炭素の前駆体を生成し、基板3側の温度を被エッチング部材11側の温度よりも低くすることで前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板3に成膜させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相成長法により基板の表面にカーボンナノチューブ膜を作製するカーボンナノチューブ膜作製装置及びカーボンナノチューブ膜作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブは、グラファイト(黒鉛)シートが筒状に閉じた構造を有するチューブ状の炭素多面体であり、導電性に優れ次世代の電子材料として配線材料や電子源等の用途として期待されている(例えば、特許文献1他多数の特許文献が公知となっている)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−25425号公報
【0004】
カーボンナノチューブは、グラファイトシートが閉じた単層構造を有するシングルウォールカーボンナノチューブ(以下SNTと記す)と、グラファイトシートが閉じた多層構造を有するマルチウォールカーボンナノチューブ(以下MNTと記す)とが存在している。SNTとMNTはそれぞれ特性があり、カーボンナノチューブを膜状に作製した場合には両者が混在しないことが望ましい。また、カーボンナノチューブの成長の方向も同一方向に揃っていることが望ましい。
【0005】
カーボンナノチューブの膜は、鉄、コバルト、ニッケル、ランタン等の金属を陽極の炭素棒に混入し、アーク放電を行うことにより作製されていた。また、この他にも、グラファイトの円盤にレーザーを照射して、表面に触媒作用を有する金属を備えた基板上に炭素成分を成長させてカーボンナノチューブの膜を成長させることが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来用いられてきたカーボンナノチューブの膜の作製では、SNTとMNTを制御することができず、膜中にSNTとMNTが混在している状態となっていた。また、基板上の所定位置にカーボンナノチューブを配置することや、方向、径を揃えるように制御することが困難であった。
【0007】
カーボンナノチューブの方向を揃える技術として、メタンと水素の混合ガスによるプラズマ化学気相成長法において、カーボンナノチューブの成長中に基板に垂直な電界を印加することにより、電界と同じ方向にカーボンナノチューブを成長させる技術も開発されている。しかし、この場合は極端に成長速度が遅いといった問題があった。
【0008】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、SNTとMNTが混在しない状態でSNTもしくはMNT(例えば、MNT)の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜を短時間で作製することができるカーボンナノチューブ膜作製装置及びカーボンナノチューブ膜作製方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するための請求項1に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
基板が収容されるチャンバと、
チャンバ内において基板に対向する位置に設けられる炭素材製の被エッチング部材と、
基板と被エッチング部材との間にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとからなる前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
基板の温度を被エッチング部材の温度よりも低くすることにより前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記目的を解決するための請求項2に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
基板が収容され上部が開口されたチャンバと、
チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
チャンバの上部の開口を密閉する絶縁材製の天井部材と、
天井部材の外方に設けられチャンバの内部を給電によりプラズマ化するためのアンテナ部材と、
アンテナ部材の電気の流れに対して基板と天井部材との間に不連続状態で配置される炭素材製の被エッチング部材と、
アンテナ部材に給電を行うことでチャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するための請求項3に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
基板が収容される円筒状のチャンバと、
基板に対向する位置におけるチャンバの上方部に設けられる炭素材製の被エッチング部材と、
チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
チャンバの筒部の外方に設けられチャンバの内部を給電によりプラズマ化するためのコイル状のアンテナ部材と、
アンテナ部材に給電を行うことでチャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するための請求項4に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
基板が収容され上方が開口するチャンバと、
基板に対向する位置におけるチャンバの上方開口部に設けられる炭素材製の被エッチング部材と、
チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
被エッチング部材に給電を行うことでチャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するための請求項5に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
基板が収容されるチャンバと、
チャンバとは隔絶した部位でハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化し励起された原料ガス成分により炭素材製の被エッチング部材をエッチングすることにより気相中に被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成する生成手段と、
基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0014】
そして、請求項6に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
被エッチング部材はカーボングラファイトであることを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
ハロゲンを含有する原料ガスは塩素を含有する原料ガスであることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
被エッチング部材はカーボングラファイトであり、
ハロゲンを含有する原料ガスは塩素を含有する原料ガスであり、
前駆体としてCClを生成すると共に基板に少なくともCClを吸着させ、Clラジカルにより還元することによりカーボンナノチューブ膜として基板に炭素成分を成膜させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
請求項5に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
生成手段は、チャンバにスリット状開口を介して連通した部位で原料ガスをプラズマ化し、チャンバの内部との差圧によりチャンバ内に前駆体をチャンバ内に送ること
を特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するための請求項10に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製方法は、
基板が収容されるチャンバ内をプラズマ化してハロゲンガスプラズマを発生させ、ハロゲンラジカルにより炭素材製の被エッチング部材をエッチングすることにより気相中にハロゲン化炭素の前駆体を生成し、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くすることで前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させることを特徴とする。
【0019】
そして、請求項11に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製方法は、
請求項10に記載のカーボンナノチューブ膜作製方法において、
被エッチング部材をカーボングラファイトとすると共に、塩素ガスプラズマを発生させ、前駆体としてCClを生成すると共に基板に少なくともCClを吸着させ、Clラジカルにより還元することによりカーボンナノチューブ膜として基板に炭素成分を成膜させることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板が収容されるチャンバ内をプラズマ化して塩素ガス(Clガス)を発生させ、Clラジカルにより炭素材製の被エッチング部材(グラファイト)をエッチングすることにより気相中に前駆体としてCClを生成し、基板側の温度をグラファイトの温度よりも低くすることで前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させるようにしたものである。
【0021】
即ち、基板に少なくともCClを吸着させ、Clラジカルにより還元することによりカーボンナノチューブ膜として基板に炭素成分を成膜させるようにしたものである。
【0022】
このため、成長速度が速く単一の材料(マルチウォールカーボンナノチューブ、以下MNTと記す)のみが一様な方向性及び径で成長する。従って、シングルウォールカーボンナノチューブ(以下SNTと記す)とMNTが混在しない状態でSNTもしくはMNT(例えば、MNT)の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜を短時間で作製することができる。
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態に係るカーボンナノチューブ膜作製装置及びカーボンナノチューブ膜作製方法を説明する。
【0024】
<第1の実施形態>
図1には本発明の第1実施形態例に係るカーボンナノチューブ膜作製装置の概略側面、図2には炭素成分の成膜状況を表す概念、図3にはカーボンナノチューブの成膜状況を表す概念を示してある。
【0025】
図1に示すように、筒形状に形成された、例えば、セラミックス製(絶縁材料製)のチャンバ1の底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置される。支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃〜300℃に維持される温度)に制御される。
【0026】
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は絶縁材製(例えば、セラミックス製)の板状の天井板7によって塞がれている。天井板7の上方にはチャンバ1の内部をプラズマ化するためのプラズマアンテナ8が設けられ、プラズマアンテナ8は天井板7の面と平行な平面リング状に形成されている。プラズマアンテナ8には整合器9及び電源10が接続されて高周波電流が供給される。プラズマアンテナ8、整合器9及び電源10によりプラズマ発生手段が構成されている。
【0027】
チャンバ1の上側には炭素材製(グラファイト製)の被エッチング部材11が保持され、被エッチング部材11はプラズマアンテナ8の電気の流れに対して不連続状態で基板3と天井板7の間に配置されている。
【0028】
尚、被エッチング部材11としては、グラファイト以外の炭素棒や黒鉛等を適用することも可能である。
【0029】
例えば、被エッチング部材11は、棒状の突起部12とリング部13とからなり、突起部12がチャンバ1の中心側に延びるようにリング部13に設けられている。これにより、被エッチング部材11はプラズマアンテナ8の電気の流れ方向である周方向に対して不連続な状態とされている。
【0030】
尚、プラズマアンテナ8の電気の流れに対して不連続状態にする構成としては、被エッチング部材を格子状に形成したり網目状に構成する等とすることも可能である。
【0031】
チャンバ1の筒部にはチャンバ1の内部にハロゲンガスとしての塩素ガスを含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50%、好ましくは10%程度に希釈された塩素ガス)を供給するノズル14が接続されている。ノズル14には流量制御器15を介して原料ガスが送られる。成膜に関与しないガス等は排気口16から排気される。
【0032】
尚、原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)などを適用することが可能である。
【0033】
天井板7によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置17より所定の圧力に維持される。
【0034】
上述したカーボンナノチューブ膜作製装置では、チャンバ1の内部にノズル14から原料ガス18を供給すると共に、プラズマアンテナ8から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、原料ガス18中の塩素ガスをイオン化して塩素ガスプラズマを発生させる。プラズマは、ガスプラズマ19で図示する領域に発生する。このときの反応は、次式で表すことができる。
Cl → 2Cl ・・・・・・(1)
ここで、Cl は塩素ガスラジカルを表す。
【0035】
このガスプラズマ19がグラファイト製の被エッチング部材11に作用することにより、被エッチング部材11が加熱されると共に、グラファイトにエッチング反応が生じる。このときの反応は、例えば、次式で表される。
C(s)+Cl → CCl (g) ・・・・(2)
ここで、sは固体状態、gはガス状態を表す。式(2)は、グラファイトがガスプラズマ19によりエッチングされ、ガス化した状態を表す。前駆体20は、ガス化したCCl(CCl)である。
【0036】
ガスプラズマ19を発生させることにより被エッチング部材11が加熱され(例えば300℃〜700℃)、更に温度制御手段6により基板3の温度を被エッチング部材11の温度よりも低い温度(例えば100℃〜300℃)に設定する。この結果、前駆体20は基板3に吸着される。このときの反応は、例えば、次式で表される。基板3の温度を被エッチング部材11の温度よりも低くすることで以下の前駆体20が基板3に吸着される熱関係の状態になる。
CCl(g) → CCl(ad) ・・・・(3)
ここで、adは吸着状態を表す。
【0037】
図2(a)に示すように、基板3に吸着した塩化炭素CClは、塩素ガスラジカルClにより還元されてC成分となることで、カーボンナノチューブの一部を形成する。このときの反応は、例えば、次式で表される。
CCl (ad)+Cl →C(s)+Cl ↑ ・・(4)
【0038】
更に、図2(b)に示すように、上式(2)において発生したガス化したCClの一部は、基板3に吸着する(上式(3)参照)前に、塩素ガスラジカルClにより還元されてガス状態の炭素となる。このときの反応は、例えば、次式で表される。
CCl (g)+Cl →C(g)+Cl ↑ ・・(5)
この後、ガス状態の炭素成分は、基板3に成膜され、カーボンナノチューブの一部となる。
【0039】
図3に示すように、基板3の表面に同一の層構造で同一径、同一方向のMNT21が多数成長し、カーボンナノチューブ膜22が成膜される。MNT21はSP2混成軌道の結合構造となっている。カーボンナノチューブ膜作製装置における熱エネルギーを高温に制御したり、原料ガスの塩素濃度等を制御することにより、混成軌道の結合構造を選択して、例えば、被エッチング部材の温度を高温にし、プラズマの密度を高め、基板に負のバイアスを印加することにより、ダイヤモンドライクカーボンの膜を作製することも可能である。
【0040】
このため、成長速度が速く単一のMNT21のみが一様な方向性及び径で成長し、SNTが混在しない状態でMNT21の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜22を短時間で作製することができる。しかも、触媒作用の金属を介在させることなく基板3の表面に直接カーボンナノチューブ膜22を作製することができる。
【0041】
<第2の実施形態>
図4には本発明の第2実施形態例に係るカーボンナノチューブ膜作製装置の概略側面を示してある。尚、図1に示した部材と同一部材には同一符号を付してある。
【0042】
図4に示すように、筒形状に形成された、例えば、セラミックス製(絶縁材料製)のチャンバ1の底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置される。支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃〜300℃に維持される温度)に制御される。
【0043】
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は炭素材製(グラファイト製)の被エッチング部材25によって塞がれている。チャンバ1の筒部の周囲にはチャンバ1の内部をプラズマ化するためのコイル状のプラズマアンテナ26が設けられ、プラズマアンテナ26には整合器9及び電源10が接続されて高周波電流が供給される。プラズマアンテナ26、整合器9及び電源10によりプラズマ発生手段が構成されている。
【0044】
チャンバ1の筒部にはチャンバ1の内部にハロゲンガスとしての塩素ガスを含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50%、好ましくは10%程度に希釈された塩素ガス)を供給するノズル14が接続されている。ノズル14には流量制御器15を介して原料ガスが送られる。成膜に関与しないガス等は排気口16から排気される。
【0045】
尚、原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)などを適用することが可能である。
【0046】
被エッチング部材25によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置17より所定の圧力に維持される。
【0047】
上述したカーボンナノチューブ膜作製装置では、チャンバ1の内部にノズル14から原料ガス18を供給すると共に、プラズマアンテナ26から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、原料ガス18中の塩素ガスをイオン化して塩素ガスプラズマを発生させる。プラズマは、ガスプラズマ19で図示する領域に発生する。このときの反応は、第1実施形態例と同様に、次式で表すことができる。
Cl → 2Cl ・・・・・・(1)
ここで、Cl は塩素ガスラジカルを表す。
【0048】
このガスプラズマ19がグラファイト製の被エッチング部材25に作用することにより、被エッチング部材25が加熱されると共に、グラファイトにエッチング反応が生じる。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
C(s)+Cl → CCl (g) ・・・・(2)
ここで、sは固体状態、gはガス状態を表す。式(2)は、グラファイトがガスプラズマ19によりエッチングされ、ガス化した状態を表す。前駆体20は、ガス化したCCl(CCl)である。
【0049】
ガスプラズマ19を発生させることにより被エッチング部材25が加熱され(例えば300℃〜700℃)、更に温度制御手段6により基板3の温度を被エッチング部材25の温度よりも低い温度(例えば100℃〜300℃)に設定する。この結果、前駆体20は基板3に吸着される。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
CCl(g) → CCl(ad) ・・・・(3)
ここで、adは吸着状態を表す。
【0050】
図2(a)に示すように、基板3に吸着した塩化炭素CClは、塩素ガスラジカルClにより還元されてC成分となることで、カーボンナノチューブの一部を形成する。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
CCl (ad)+Cl →C(s)+Cl ↑ ・・(4)
【0051】
更に、図2(b)に示すように、上式(2)において発生したガス化したCClの一部は、基板3に吸着する(上式(3)参照)前に、塩素ガスラジカルClにより還元されてガス状態の炭素となる。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
CCl (g)+Cl →C(g)+Cl ↑ ・・(5)
この後、ガス状態の炭素成分は、基板3に成膜され、カーボンナノチューブの一部となる。
【0052】
このため、成長速度が速く単一のMNT21(図3参照)のみが一様な方向性及び径で成長し、SNTが混在しない状態でMNT21(図3参照)の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜22を短時間で作製することができる。しかも、触媒作用の金属を介在させることなく基板3の表面に直接カーボンナノチューブ膜22を作製することができる。
【0053】
<第3の実施形態>
図5には本発明の第3実施形態例に係るカーボンナノチューブ膜作製装置の概略側面を示してある。尚、図1、図4に示した部材と同一部材には同一符号を付してある。
【0054】
図5に示すように、筒形状に形成された、例えば、セラミックス製(絶縁材料製)のチャンバ1の底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置される。支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃〜300℃に維持される温度)に制御される。
【0055】
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は炭素材製(グラファイト製)の被エッチング部材25によって塞がれている。チャンバ1の筒部の周囲や天井部の上面側にはプラズマアンテナが設けられておらず、被エッチング部材25に整合器9及び電源10が接続されて被エッチング部材25高周波電流が供給される。また、支持台2(基板3)はアースされている。被エッチング部材25、整合器9及び電源10によりプラズマ発生手段が構成されている。
【0056】
チャンバ1の筒部にはチャンバ1の内部にハロゲンガスとしての塩素ガスを含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50%、好ましくは10%程度に希釈された塩素ガス)を供給するノズル14が接続されている。ノズル14には流量制御器15を介して原料ガスが送られる。成膜に関与しないガス等は排気口16から排気される。
【0057】
尚、原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)などを適用することが可能である。
【0058】
被エッチング部材25によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置17より所定の圧力に維持される。
【0059】
上述したカーボンナノチューブ膜作製装置では、チャンバ1の内部にノズル14から原料ガス18を供給すると共に、被エッチング部材25から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、原料ガス18中の塩素ガスをイオン化して塩素ガスプラズマを発生させる。プラズマは、ガスプラズマ19で図示する領域に発生する。このときの反応は、第1実施形態例と同様に、次式で表すことができる。
Cl → 2Cl ・・・・・・(1)
ここで、Cl は塩素ガスラジカルを表す。
【0060】
このガスプラズマ19がグラファイト製の被エッチング部材25に作用することにより、被エッチング部材25が加熱されると共に、グラファイトにエッチング反応が生じる。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
C(s)+Cl → CCl (g) ・・・・(2)
ここで、sは固体状態、gはガス状態を表す。式(2)は、グラファイトがガスプラズマ19によりエッチングされ、ガス化した状態を表す。前駆体20は、ガス化したCCl(CCl)である。
【0061】
ガスプラズマ19を発生させることにより被エッチング部材25を加熱し(例えば300℃〜700℃)、更に温度制御手段6により基板3の温度を被エッチング部材25の温度よりも低い温度(例えば100℃〜300℃)に設定する。この結果、前駆体20は基板3に吸着される。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
CCl(g) → CCl(ad) ・・・・(3)
ここで、adは吸着状態を表す。
【0062】
図2(a)に示すように、基板3に吸着した塩化炭素CClは、塩素ガスラジカルClにより還元されてC成分となることで、カーボンナノチューブの一部を形成する。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
CCl (ad)+Cl →C(s)+Cl ↑ ・・(4)
【0063】
更に、図2(b)に示すように、上式(2)において発生したガス化したCClの一部は、基板3に吸着する(上式(3)参照)前に、塩素ガスラジカルClにより還元されてガス状態の炭素となる。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
CCl (g)+Cl →C(g)+Cl ↑ ・・(5)
この後、ガス状態の炭素成分は、基板3に成膜され、カーボンナノチューブの一部となる。
【0064】
このため、成長速度が速く単一のMNT21(図3参照)のみが一様な方向性及び径で成長し、SNTが混在しない状態でMNT21(図3参照)の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜22を短時間で作製することができる。しかも、触媒作用の金属を介在させることなく基板3の表面に直接カーボンナノチューブ膜22を作製することができる。
【0065】
また、被エッチング部材25自身をプラズマ発生用の電極として適用しているので、チャンバ1の周囲にプラズマアンテナが不要となり、周囲の構成の自由度を増すことができる。
【0066】
<第4の実施形態>
図6には本発明の第4実施形態例に係るカーボンナノチューブ膜作製装置の概略側面を示してある。尚、図1、図4、図5に示した部材と同一部材には同一符号を付してある。
【0067】
図5に示すように、筒状のチャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は、例えば、セラミックス製(絶縁材料製)の天井板31によって塞がれている。天井板31の下面には炭素材製(グラファイト製)の被エッチング部材32が設けられ、被エッチング部材32は円錐形状(基板3側に凸形状)となっている。
【0068】
被エッチング部材32とほぼ同じ高さにおけるチャンバ1の筒部の周囲には、スリット状の開口部33が複数箇所に形成され、開口部33には筒状の通路34の一端がそれぞれ固定されている。通路34の途中部には絶縁体製の筒状の励起室35が設けられ、励起室35の周囲にはコイル状のプラズマアンテナ36が設けられている。プラズマアンテナ36は整合器9及び電源10に接続されて高周波電流が供給される。
【0069】
また、天井板31には温度制御手段としてのヒータ37が設けられ、ヒータ37により被エッチング部材32が所定の温度(例えば300℃〜700℃)に加熱されるようになっている。
【0070】
通路34の他端側には流量制御器15が接続され、流量制御器15を介して通路34内にハロゲンガスとしての塩素ガスを含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50%、好ましくは10%程度に希釈された塩素ガス)18が供給される。
【0071】
尚、原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)などを適用することが可能である。
【0072】
天井板31によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置17より所定の圧力に維持される。
【0073】
本実施形態例では、生成手段は、通路34と励起室35とプラズマアンテナ356と整合器9と電源10とから構成されている。
【0074】
上述したカーボンナノチューブ膜作製装置では、流量制御器15を介して通路34内に原料ガス18が供給され、通路34内に供給された原料ガス18は、励起室35に送り込まれる。次に、プラズマアンテナ36から電磁波を励起室35の内部に入射することで、塩素ガスをイオン化してガスプラズマ38を発生させる。
このときの反応は、第1実施形態例と同様に、次式で表すことができる。
Cl → 2Cl ・・・・・・(1)
ここで、Cl は塩素ガスラジカルを表す。
【0075】
真空装置17によりチャンバ1内の圧力と励起室35の圧力とに所定の差圧が設定されているため、励起室35内のガスプラズマ38の塩素ラジカルは開口部33からチャンバ1内の被エッチング部材32に送られる。
【0076】
ヒータ37により被エッチング部材32が所定の温度(例えば300℃〜700℃)に加熱され、この塩素ラジカルがグラファイト製の被エッチング部材32に作用することにより、グラファイトにエッチング反応が生じる。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
C(s)+Cl → CCl (g) ・・・・(2)
ここで、sは固体状態、gはガス状態を表す。式(2)は、グラファイトが塩素ラジカルによりエッチングされ、ガス化した状態を表す。前駆体20は、ガス化したCCl(CCl)である。
【0077】
ヒータ37により被エッチング部材32が所定の温度(例えば300℃〜700℃)に加熱されており、更に温度制御手段6により基板3の温度を被エッチング部材25の温度よりも低い温度(例えば100℃〜300℃)に設定する。この結果、前駆体20は基板3に吸着される。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
CCl(g) → CCl(ad) ・・・・(3)
ここで、adは吸着状態を表す。
【0078】
図2(a)に示すように、基板3に吸着した塩化炭素CClは、塩素ガスラジカルClにより還元されてC成分となることで、カーボンナノチューブの一部を形成する。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
CCl (ad)+Cl →C(s)+Cl ↑ ・・(4)
【0079】
更に、図2(b)に示すように、上式(2)において発生したガス化したCClの一部は、基板3に吸着する(上式(3)参照)前に、塩素ガスラジカルClにより還元されてガス状態の炭素となる。このときの反応は、例えば、第1実施形態例と同様に、次式で表される。
CCl (g)+Cl →C(g)+Cl ↑ ・・(5)
この後、ガス状態の炭素成分は、基板3に成膜され、カーボンナノチューブの一部となる。
【0080】
このため、成長速度が速く単一のMNT21(図3参照)のみが一様な方向性及び径で成長し、SNTが混在しない状態でMNT21(図3参照)の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜22を短時間で作製することができる。しかも、触媒作用の金属を介在させることなく基板3の表面に直接カーボンナノチューブ膜22を作製することができる。
【0081】
また、チャンバ1にスリット状の開口部33を介して連通した励起室35でガスプラズマ38を発生させるようにしているので、基板3がプラズマに晒されることがなくなり、基板3にプラズマによる損傷が生じることがない。
【0082】
尚、チャンバ1と隔絶した部位は、開口部33を介して連通した励起室35を設ける構成に限定されず、絶縁材で仕切られた励起室を別途設ける等、他の構成とすることも可能である。
【0083】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
基板が収容されるチャンバと、
チャンバ内において基板に対向する位置に設けられる炭素材製の被エッチング部材と、
基板と被エッチング部材との間にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとからなる前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
基板の温度を被エッチング部材の温度よりも低くすることにより前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0084】
このため、シングルウォールカーボンナノチューブとマルチウォールカーボンナノチューブが混在しない状態のいずれか一方の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜を短時間で作製することができ量産性に優れたカーボンナノチューブ膜作製装置とすることが可能となる。
【0085】
請求項2に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
基板が収容され上部が開口されたチャンバと、
チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
チャンバの上部の開口を密閉する絶縁材製の天井部材と、
天井部材の外方に設けられチャンバの内部を給電によりプラズマ化するためのアンテナ部材と、
アンテナ部材の電気の流れに対して基板と天井部材との間に不連続状態で配置される炭素材製の被エッチング部材と、
アンテナ部材に給電を行うことでチャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0086】
このため、シングルウォールカーボンナノチューブとマルチウォールカーボンナノチューブが混在しない状態のいずれか一方の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜を短時間で作製することができ量産性に優れたカーボンナノチューブ膜作製装置とすることが可能となる。
【0087】
請求項3に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
基板が収容される円筒状のチャンバと、
基板に対向する位置におけるチャンバの上方部に設けられる炭素材製の被エッチング部材と、
チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
チャンバの筒部の外方に設けられチャンバの内部を給電によりプラズマ化するためのコイル状のアンテナ部材と、
アンテナ部材に給電を行うことでチャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0088】
このため、シングルウォールカーボンナノチューブとマルチウォールカーボンナノチューブが混在しない状態のいずれか一方の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜を短時間で作製することができ量産性に優れたカーボンナノチューブ膜作製装置とすることが可能となる。
【0089】
請求項4に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
基板が収容され上方が開口するチャンバと、
基板に対向する位置におけるチャンバの上方開口部に設けられる炭素材製の被エッチング部材と、
チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
被エッチング部材に給電を行うことでチャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0090】
このため、シングルウォールカーボンナノチューブとマルチウォールカーボンナノチューブが混在しない状態のいずれか一方の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜を短時間で作製することができ量産性に優れたカーボンナノチューブ膜作製装置とすることが可能となる。
【0091】
請求項5に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
基板が収容されるチャンバと、
チャンバとは隔絶した部位でハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化し励起された原料ガス成分により炭素材製の被エッチング部材をエッチングすることにより気相中に被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成する生成手段と、
基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0092】
このため、シングルウォールカーボンナノチューブとマルチウォールカーボンナノチューブが混在しない状態のいずれか一方の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜を短時間で作製することができ量産性に優れたカーボンナノチューブ膜作製装置とすることが可能となる。
【0093】
請求項6に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
被エッチング部材はカーボングラファイトであるので、
カーボングラファイトを用いてカーボンナノチューブ膜を作製することができる。
【0094】
請求項7に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
ハロゲンを含有する原料ガスは塩素を含有する原料ガスであるので、
安価な塩素ガスを用いてカーボンナノチューブ膜を作製することができる。
【0095】
請求項8に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
被エッチング部材はカーボングラファイトであり、
ハロゲンを含有する原料ガスは塩素を含有する原料ガスであり、
前駆体としてCClを生成すると共に基板に少なくともCClを吸着させ、Clラジカルにより還元することによりカーボンナノチューブ膜として基板に炭素成分を成膜させることを特徴とする。
【0096】
このため、カーボングラファイト及び安価な塩素ガスを用いてカーボンナノチューブ膜を作製することができる。
【0097】
請求項9に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製装置は、
請求項5に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
生成手段は、チャンバにスリット状開口を介して連通した部位で原料ガスをプラズマ化し、チャンバの内部との差圧によりチャンバ内に前駆体をチャンバ内に送ること
を特徴とする。
【0098】
このため、基板がプラズマに晒されることがなくなり、基板にプラズマによる損傷が生じることがない状態でカーボンナノチューブ膜を作製することができる。
【0099】
請求項10に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製方法は、
基板が収容されるチャンバ内をプラズマ化してハロゲンガスプラズマを発生させ、ハロゲンラジカルにより炭素材製の被エッチング部材をエッチングすることにより気相中にハロゲン化炭素の前駆体を生成し、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くすることで前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させることを特徴とする。
【0100】
このため、シングルウォールカーボンナノチューブとマルチウォールカーボンナノチューブが混在しない状態のいずれか一方の方向や径が揃ったカーボンナノチューブ膜を短時間で作製することができ量産性に優れたカーボンナノチューブ膜作製方法とすることが可能となる。
【0101】
請求項11に係る本発明のカーボンナノチューブ膜作製方法は、
請求項10に記載のカーボンナノチューブ膜作製方法において、
被エッチング部材をカーボングラファイトとすると共に、塩素ガスプラズマを発生させ、前駆体としてCClを生成すると共に基板に少なくともCClを吸着させ、Clラジカルにより還元することによりカーボンナノチューブ膜として基板に炭素成分を成膜させることを特徴とする。
【0102】
このため、カーボングラファイト及び安価な塩素ガスを用いてカーボンナノチューブ膜を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るカーボンナノチューブ膜作製装置の概略側面図。
【図2】炭素成分の成膜状況を表す概念図。
【図3】カーボンナノチューブの成膜状況を表す概念図。
【図4】本発明の第2実施形態例に係るカーボンナノチューブ膜作製装置の概略側面図。
【図5】本発明の第3実施形態例に係るカーボンナノチューブ膜作製装置の概略側面図。
【図6】本発明の第4実施形態例に係るカーボンナノチューブ膜作製装置の概略側面図。
【符号の説明】
1 チャンバ
2 支持台
3 基板
4、37 ヒータ
5 冷媒流通手段
6 温度制御手段
7、31 天井板
8、26,36 プラズマアンテナ
9 整合器
10 電源
11、25、31 被エッチング部材
12 突起部
13 リング部
14 ノズル
15 流量制御器
16 排気口
17 真空装置
18 原料ガス
19、38 ガスプラズマ
20 前駆体
21 マルチウォールカーボンナノチューブ(MNT)
22 カーボンナノチューブ膜
33 開口部
34 通路
35 励起室

Claims (11)

  1. 基板が収容されるチャンバと、
    チャンバ内において基板に対向する位置に設けられる炭素材製の被エッチング部材と、
    基板と被エッチング部材との間にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
    チャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとからなる前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
    基板の温度を被エッチング部材の温度よりも低くすることにより前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
    を備えたことを特徴とするカーボンナノチューブ膜作製装置。
  2. 基板が収容され上部が開口されたチャンバと、
    チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
    チャンバの上部の開口を密閉する絶縁材製の天井部材と、
    天井部材の外方に設けられチャンバの内部を給電によりプラズマ化するためのアンテナ部材と、
    アンテナ部材の電気の流れに対して基板と天井部材との間に不連続状態で配置される炭素材製の被エッチング部材と、
    アンテナ部材に給電を行うことでチャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
    基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
    を備えたことを特徴とするカーボンナノチューブ膜作製装置。
  3. 基板が収容される円筒状のチャンバと、
    基板に対向する位置におけるチャンバの上方部に設けられる炭素材製の被エッチング部材と、
    チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
    チャンバの筒部の外方に設けられチャンバの内部を給電によりプラズマ化するためのコイル状のアンテナ部材と、
    アンテナ部材に給電を行うことでチャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
    基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
    を備えたことを特徴とするカーボンナノチューブ膜作製装置。
  4. 基板が収容され上方が開口するチャンバと、
    基板に対向する位置におけるチャンバの上方開口部に設けられる炭素材製の被エッチング部材と、
    チャンバ内にハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
    被エッチング部材に給電を行うことでチャンバの内部をプラズマ化して原料ガスプラズマを発生させ、原料ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
    基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
    を備えたことを特徴とするカーボンナノチューブ膜作製装置。
  5. 基板が収容されるチャンバと、
    チャンバとは隔絶した部位でハロゲンを含有する原料ガスをプラズマ化し励起された原料ガス成分により炭素材製の被エッチング部材をエッチングすることにより気相中に被エッチング部材の炭素成分と原料ガスとの前駆体を生成する生成手段と、
    基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させる温度制御手段と
    を備えたことを特徴とするカーボンナノチューブ膜作製装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
    被エッチング部材はカーボングラファイトであることを特徴とするカーボンナノチューブ膜作製装置。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
    ハロゲンを含有する原料ガスは塩素を含有する原料ガスであることを特徴とするカーボンナノチューブ膜作製装置。
  8. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
    被エッチング部材はカーボングラファイトであり、
    ハロゲンを含有する原料ガスは塩素を含有する原料ガスであり、
    前駆体としてCClを生成すると共に基板に少なくともCClを吸着させ、Clラジカルにより還元することによりカーボンナノチューブ膜として基板に炭素成分を成膜させることを特徴とするカーボンナノチューブ膜作製装置。
  9. 請求項5に記載のカーボンナノチューブ膜作製装置において、
    生成手段は、チャンバにスリット状開口を介して連通した部位で原料ガスをプラズマ化し、チャンバの内部との差圧によりチャンバ内に前駆体をチャンバ内に送ること
    を特徴とするカーボンナノチューブ膜作製装置。
  10. 基板が収容されるチャンバ内をプラズマ化してハロゲンガスプラズマを発生させ、ハロゲンラジカルにより炭素材製の被エッチング部材をエッチングすることにより気相中にハロゲン化炭素の前駆体を生成し、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くすることで前駆体の炭素成分をカーボンナノチューブ膜として基板に成膜させることを特徴とするカーボンナノチューブ膜作製方法。
  11. 請求項10に記載のカーボンナノチューブ膜作製方法において、
    被エッチング部材をカーボングラファイトとすると共に、塩素ガスプラズマを発生させ、前駆体としてCClを生成すると共に基板に少なくともCClを吸着させ、Clラジカルにより還元することによりカーボンナノチューブ膜として基板に炭素成分を成膜させることを特徴とするカーボンナノチューブ膜作製方法。
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