JP2005015816A - 耐食性に優れた温水器缶体 - Google Patents
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Abstract
【目的】溶接部を含むかしめ接合構造により組立て、溶接隙間部のみならず金属隙間部の耐食性を高めたステンレス鋼製温水器缶体を提供する。
【構成】温水器缶体を構成する鋼板として、C:0.003質量%以下,Si:0.1〜0.4質量%,Mn:0.4質量%以下,P:0.04質量%以下,S:0.01質量%以下,Cr16.0〜25.0質量%,Mo:0.8〜2.5質量%,N:0.03質量%以下,Nb:0.1〜0.6質量%,Ti:0.05〜0.3質量%およびAl:0.01〜0.5質量%を含み、さらに必要に応じてNi:0.6質量%以下,Cu:0.3〜1.5質量%のいずれか,もしくは双方を含み、かつNb,Ti,CおよびNの間にNb+Ti≧7(C+N)+0.15の関係が成立し、残部が実質的にFeからなるフェライト系ステンレス鋼板を用い、湾曲させた鋼板を溶接して円筒状の胴体を製造した後、上下に鏡板となる蓋を被せ、円周部をかしめ接合して温水器缶体を組立てる。
【選択図】 なし
【構成】温水器缶体を構成する鋼板として、C:0.003質量%以下,Si:0.1〜0.4質量%,Mn:0.4質量%以下,P:0.04質量%以下,S:0.01質量%以下,Cr16.0〜25.0質量%,Mo:0.8〜2.5質量%,N:0.03質量%以下,Nb:0.1〜0.6質量%,Ti:0.05〜0.3質量%およびAl:0.01〜0.5質量%を含み、さらに必要に応じてNi:0.6質量%以下,Cu:0.3〜1.5質量%のいずれか,もしくは双方を含み、かつNb,Ti,CおよびNの間にNb+Ti≧7(C+N)+0.15の関係が成立し、残部が実質的にFeからなるフェライト系ステンレス鋼板を用い、湾曲させた鋼板を溶接して円筒状の胴体を製造した後、上下に鏡板となる蓋を被せ、円周部をかしめ接合して温水器缶体を組立てる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、接合部をかしめ接合して耐食性を高めた温水器缶体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス鋼は、温水器環境で優れた耐食性を呈し、且つ必要な強度ももっていることから、電気温水器や貯湯槽等の温水機器用材料として広く使用されている。しかし、使用条件によっては腐食を起こし、漏水の原因となることがある。温水器の耐食性において最も問題となる腐食は、溶接隙間部の腐食である。温水器の溶接隙間部の腐食を防止するため、Al等の犠牲陽極を設置する犠牲防食法,外部電源から防食電流を供給する陰極防食法等が採用されている。しかし、Alを犠牲陽極として使用すると、Alの腐食生成物によって水が白濁したり、フィルターに目詰りが生じる等のトラブルが発生し易い。そのため、より耐食性に優れた鋼材を無防食で使用することが最近の傾向である。なかでも、電気温水器缶体のように比較的構造が単純なものでは、塩化物溶液中での応力腐食割れの危険がほとんどなく、比較的安価なフェライト系ステンレス鋼の使用が主流となってきている。本発明者等も、特許文献1で、溶接隙間部の耐食性に優れた温水器用フェライト系ステンレス鋼を提案した。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−279951号公報
【0004】
ところで、ステンレス鋼製温水器は、溶接により組立てられる一体型として製造されている。しかし、溶接時の溶込み不足は継ぎ手強度を低下させるため、溶込み性が悪いと溶接速度が遅くなり、コスト的に不利になる。また、十分な溶込みを得るため大きな溶接電流が必要とされ、生産性を阻害したり、多量の溶接スケールの発生によって耐食性が低下することがある。
溶接により組立てる場合、溶接による酸化スケールを除去する必要がある。温水器缶体では、溶接後内部の酸化スケールを除去することは構造上困難である。除去しようとすると、コスト上昇を招くという問題もある。
【0005】
このようなことから、溶接法による組立てに代わって簡便な組立て方法が強く望まれている。簡便な方法として、図1に示すように、湾曲させた鋼板を溶接して円筒状の胴体を製造した後、上下に鏡板となる蓋を被せ、円周部をかしめ接合して温水器缶体を組立てる方法が提案されている。このような組立て方法を採用しようとすると、金属隙間部の耐食性の他に、溶接隙間部の耐食性も新たな問題として浮上してくる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かしめ接合により組立てられたステンレス鋼製温水器缶体は、一部に溶接を施した鋼板をかしめ接合する構造となっているため、金属隙間部および溶接隙間部の双方における耐食性が要求される。酸素の供給が少ない隙間内では、再不動態化しにくくなる。そして、一旦腐食が発生すると、腐食の成長を停止させることができない。耐孔食性や耐隙間腐食性に優れるとされている低炭素・低窒素の19Cr−2.0Mo−Nb/Ti/Zr鋼(SUS444)といえども、使用する水質によっては隙間腐食を起こす可能性がある。
本発明は、このような要求に応えるべく案出されたものであり、温水器缶体を、溶接部を含むかしめ接合構造により組立て、溶接隙間部のみならず金属隙間部の耐食性を高めたステンレス鋼製の温水器缶体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の耐食性に優れた温水器缶体は、その目的を達成するため、C:0.003質量%以下,Si:0.1〜0.4質量%,Mn:0.4質量%以下,P:0.04質量%以下,S:0.01質量%以下,Ni:0.6質量%以下,Cr16.0〜25.0質量%,Mo:0.8〜2.5質量%,N:0.03質量%以下,Nb:0.1〜0.6質量%,Ti:0.05〜0.3質量%およびAl:0.01〜0.5質量%を含み、さらに必要に応じてNi:0.6質量%以下,Cu:0.3〜1.5質量%のいずれか,もしくは双方を含み、かつNb,Ti,CおよびNの間にNb+Ti≧7(C+N)+0.15の関係が成立し、残部が実質的にFeからなるフェライト系ステンレス鋼板から構成され、胴体と上下の鏡板がかしめ接合されていることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明者等は、溶接部を含むかしめ接合構造を採用したときの、溶接隙間部および金属隙間部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼について詳細に検討を行ってきた。
その結果、Cr含有量を高め、適量のNb,Tiを添加した含Moフェライト系ステンレス鋼を用いて温水器缶体をかしめ接合構造で製造すると、金属隙間部および溶接隙間部がともに温水器の使用環境に対して優れた耐食性を有することを見出した。
【0009】
かしめ接合構造が有利であることを、SUS444を用い、溶接接合した場合の溶接隙間部の耐食性と、かしめ接合した場合の金属隙間部の耐食性を比較して確認した。
耐食性の評価は、電気化学試験により腐食発生電位を求めることにより行なった。腐食発生電位は、試験片を予め一定の電位に48時間保持し、アノード電流の経時変化ならびに試験終了後の腐食の有無にて判定した。なお、測定は80℃に保持した10〜1000ppmの濃度のCl−水溶液中で行なった。
【0010】
腐食発生電位の測定結果を図2に示す。図中に破線で示した0.1V,SCEの電位は、別途測定した温水器環境下でステンレス鋼が示す自然電位である。腐食発生電位がこの自然電位よりも高い場合、この環境で腐食は生じない。上水上限値である200ppmのCl−で金属隙間部と溶接隙間部の腐食発生電位を比較すると、金属隙間部の隙間腐食発生電位は自然電位よりも高いことから、この環境条件では隙間腐食は発生しない。一方、溶接部の腐食発生電位は自然電位よりも低いことから、この環境条件では腐食が生じる。
このように、ステンレス鋼製温水器缶体の接合部の耐食性は、従来の溶接接合による組立てよりもかしめ接合による組立ての方が有利であることがわかる。
【0011】
【実施の形態】
本発明の温水器缶体を構成するフェライト系ステンレス鋼としては、優れた耐食性のみならず、加工性及び溶接性をも備えさせるために、各合金元素の含有量及び合金元素間の成分関係は、次のように定められる。
C,N:
鋼中に含まれる不可避的成分であり、C含有量及びN含有量の低減によって材料が軟質になり、加工性が向上する。また、本発明で用いたステンレス鋼には、溶接による鋭敏化を回避するためにNbとTiを添加しているが、C,N含有量が多いとNb,Tiの添加量も多くなり、加工性や溶接性が損なわれることになる。したがって、C含有量及びN含有量は低い方が好ましく、C≦0.03質量%,N≦0.03質量%、好ましくはC≦0.02質量%,N≦0.02質量%とし、C+N≦0.035質量%以下にする。
【0012】
Si:
脱酸剤としての他、溶接時の溶込み性を向上させる上で、有効な合金成分である。その効果を発揮させるためには0.1質量%以上の添加が必要である。しかし、0.4質量%を超えると材料が硬質になり、加工性の低下や溶接部の靭性低下の原因となる。したがって、Si含有量は0.1〜0.4質量%の範囲とした。
【0013】
Mn:
鋼中に不可避的に存在するSと結合し、化学的に不安定な硫化物であるMnSを形成して耐食性を低下させる。しかも、MnSは、再不動態化を弱める作用を呈する。このことから、Mn含有量は低い方が好ましく、上限を0.6質量%に規定した。
【0014】
P:
不純物として通常のステンレス鋼に含まれる量であれば、特に特性上問題になることはない。したがって、通常のステンレス鋼に許容される量として、上限を0.04質量%に規定した。
S:
Mnと結合し、MnSを生成する。MnSは、腐食発生の起点となるとともに、再不動態化を抑制する悪影響を及ぼす。しかも、Sによって溶接部の高温割れが助長される。したがって、S含有量は低い方が好ましく、上限を0.01質量%に規定した。
【0015】
Cr:
フェライト系ステンレス鋼の再不動態化能を高める上で重要な合金成分であり、溶接部の耐孔食性,耐隙間腐食性および一般耐食性を著しく向上させる。これら耐食性の向上は、Cr含有量16質量%以上で顕著になる。しかし、25質量%を超える多量のCrが含有されると、材料が硬質化し、温水器缶体の施工が困難になる。そのため、Cr含有量は16〜25重量%の範囲に規定した。
【0016】
Mo:
Crとともに鋼の耐食性向上に対して不可欠な合金成分であり、溶接部の耐孔食性,耐隙間腐食性および一般耐食性を著しく向上させる。その効果は、Cr含有量の増加に応じて大きく現れる。本発明フェライト系ステンレス鋼におけるCr量レベルにおいては、Mo含有量0.8質量%以上でその効果が認められる。しかし、2.5質量%を超える多量のMoが含有されると、材料が硬質化し、溶接時の溶込み性も低下する。そのため、温水器缶体の生産性も低下する。したがって、Mo含有量は0.8〜2.5質量%の範囲に規定した。
【0017】
Nb:
鋼中のC,Nを固定し、耐衝撃特性や二次加工性を向上させる作用を呈する。さらに、Tiとともに本発明鋼のC含有量レベルのフェライト系ステンレス鋼で問題となる粒界腐食を防止するのに有効な合金成分である。CおよびNを固定するに必要な量は後述の限定式から計算されるが、0.1質量%未満では効果がなく、0.6質量%を超えるNb含有量では、溶接部の耐高温割れ性や靭性を阻害するので、Nb含有量は0.1〜0.6質量%の範囲に定めた。
【0018】
Ti:
鋼中のC,Nを固定し、加工性および耐粒界腐食性を向上させる作用を呈し、溶接時の溶け込み性を改善することにも有効な合金成分である。CおよびNを固定するに必要な量は後述の限定式から計算される。
さらにTiはAlとの複合添加によって、溶接時に鋼材の表層部にAlの酸化皮膜を容易に形成させる。Alの酸化皮膜はTi含有量0.05質量%以上で促進される。Alの酸化皮膜の形成により、Crの酸化ロスが防止され、再不動態化能の低下が抑制される。しかし、Tiの含有量が多すぎると、クラスター状の介在物が生成されて鋼の表面疵の原因となる。耐食性の面からはTiの下限は0.05質量%とし、表面性状の面から上限を0.3質量%とした。
【0019】
Al:
脱酸剤として効果的な添加成分であるが、本発明フェライト系ステンレス鋼における重要な合金成分である。Tiとの複合添加によって、溶接時に優先的に酸化皮膜を生成し、Crの酸化を防止する。その結果、再不動態化能の低下が抑制される。しかし、0.01質量%未満のAl含有量では、Alの酸化皮膜が形成されにくい。逆に、0.5質量%を超えるAl含有量では、鋼材の表面品質が劣化し、溶接性も悪くなる。したがっては、Al含有量は0.01〜0.5質量%の範囲に規定した。
【0020】
以上の各成分含有量の限定に加え、本発明においては、C,N,NbおよびTiの各成分間で次の限定式を設定している。
Nb+Ti≧7(C+N)+0.15
本発明におけるようなフェライト系ステンレス鋼おいては、Nb,TiはC及びNを固定する作用を有し、マトリックス中に残存・固溶しているNb及びTiが、粒界腐食の防止作用やAlの酸化皮膜形成作用を発揮している。そこで、C及びNの固定に消費される量を除いて、十分な固溶量を確保するため、Nb+Ti≧7(C+N)+0.15としている。これにより、Tiの酸化に起因した鋼材表面における酸素ポテンシャルの上昇によって優先的なAlの酸化皮膜形成が確実になり。しかも優れた耐粒界腐食性が得られる。
【0021】
本発明で用いるフェライト系ステンレス鋼としては、さらにNi,Cuを含有させたものでも良い。
Niは、フェライト系ステンレス鋼の靭性を改善する上で、有効な合金成分である。しかし、多量にNiを添加することは、鋼材コストを上昇させるばかりでなく、応力腐食割れの原因にもなる。したがって、Niを含有させる場合、その量は、通常のフェライト系ステンレス鋼で規定されている0.6重量%以下にするべきである。
Cuは、溶接部の耐食性低下を抑制し、溶接時の溶込み性を改善する作用を有している。この効果を得るためには、0.3質量%以上のCuを含有させる必要がある。しかし、Cuを多量に添加すると、加工性や溶接部の靭性が阻害される。したがって、Cuを含有させる場合は、0.3〜1.5質量%の範囲にすべきである。
【0022】
【実施例】
表1に示した成分組成を有する各種ステンレス鋼を実験用真空溶解炉にて溶製し、熱間圧延により板厚3.5mmの熱延板を製造した。熱延板を板厚1.0mmまで冷間圧延し、1000〜1050℃で仕上げ焼鈍を施した。
表1のAグループは、本発明で規定する要件を満足したフェライト系ステンレス鋼であり、何れも固定化元素としてNbおよびTiを複合添加しており、微量元素としてAlを含有している。Bグループの比較鋼も、同様な熱履歴を受けたフェライト系ステンレス鋼である。B1はTi無添加、B2はTi,Al無添加、B3はNb無添加、B4はAl無添加のステンレス鋼である。
【0023】
【0024】
各焼鈍材から切り出した鋼片を用いて、図3に示す試験片を作製した。
金属隙間試験片(a)は、各焼鈍材から切り出した鋼片1を、20Cr−25Ni−5Mo鋼のワッシャー2を介し、Ti製の20mmφガスケット3およびTi製のナットを用いて60kgf・cmで締め付けた。なお、4はインコネル製のリード線である。溶接隙間試験片(b)は、各焼鈍材から切り出した鋼片1をArガスバックシールドを施してTIG溶接し、溶接部5を有する板材を、上記と同様に、20Cr−25Ni−5Mo鋼のワッシャー2を介し、Ti製の20mmφガスケット3およびTi製のナットを用いて60kgf・cmで締め付けた。
各試験片の金属隙間部および溶接隙間部に耐食性を調査するため浸漬試験に供した。浸漬試験には、塩素イオンを200ppmの濃度で加えた上水を80℃に保持した腐食試験液を使用した。腐食試験液に、各試験片を30日間浸漬した。また、腐食性を強めるため、図4に示すように試験片11にPt板12を補助カソードとして組合わせ、送気管13から腐食試験液14中に空気を吹き込んだ。
【0025】
なお、耐食性の評価は、再不動態皮膜が形成されるまでの時間と、腐食試験液から引き上げたときの侵食の深さで判定した。
再不動態皮膜は、寒天質の塩橋15を介して照合電極16を試験片11に接続し、試験片11に流れる腐食電流が1μA未満になったときに形成されたものとした。そして、再不動態皮膜の形成が1週間以内に行なわれているものを耐食性が良いとした。
侵食の深さは、30日間の浸漬後に、各試験片を腐食試験液から引き上げて調査した。そして、最大侵食深さが1mm未満のものを耐食性が良いとした。
それらの評価結果を表2に併せて示す。侵食深さについては具体的深さを図5に示す。
なお、表2中、○は7日以内に腐食電流が1μA未満になって消滅したものを、●は30日以上にわたって1μA以上の腐食電流が流れ続けたものを示す。
また、△は腐食試験液から引き上げた試験片に1mm以上の侵食がなかったもの、▲は1mm以上の侵食があり腐食していたものを示している。
【0026】
【0027】
表2に示した結果からもわかるように、Aグループの試験片ではいずれも1週間以内に再不動態化している。一方、Bグループの試験片ではいずれも30日間にわたって腐食が進行している。
また、図5に示した結果から明らかなように、Aグループの試験片では、30日間の腐食環境下にあっても最大侵食深さはいずれも0.1mm未満であり、耐食性に優れていることがわかる。これに対して、Bグループの試験片では1mmを超える深さで侵食されている。耐食性はよくない。特に溶接隙間部では2mm前後の侵食が起こっており、耐食性が低くなっている。
【0028】
【発明の効果】
以上に説明したように、成分組成、特にNb,Ti,Alの含有量を規定した低Cフェライト系ステンレス鋼を用い、かしめ接合法を採用して製造した温水器缶体は、温水環境で主な腐食要因となる塩化物溶液中でも、素材ステンレス鋼の優れた再不動態化能を活用でき、溶接を含むかしめ接合部で懸念される耐隙間腐食性の低下に対して極めて有効な耐食性改善効果を発揮できる。
また、使用するフェライト系ステンレス鋼自身は、Tiを多量に添加した鋼に比較して表面傷が発生しにくいため、冷延工程での歩留りが高く、比較的安価に製造することが可能である。
このため、耐久性に優れる温水器缶体が低コストで製造できるため、ステンレス鋼製温水器の需要の大幅な拡大に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】かしめ接合缶体の構造を説明する断面図
【図2】腐食発生電位の測定結果を整理した図
【図3】隙間腐食試験片の形状を示した図
【図4】試験片を試験液に浸漬し、腐食試験を行なう態様を説明する図
【図5】浸漬試験後に各試験片に発生した侵食の最大深さを示した図
【符号の説明】
1:ステンレス鋼片 2:20Cr−25Ni−5Mo鋼製ワッシャー
3:Ti製20mmφガスケット 4:リード線 5:溶接部
11:試験片 12:Pt製補助カソード 13:送気管
14:腐食試験液 15:寒天質塩橋 16:照合電極
【産業上の利用分野】
本発明は、接合部をかしめ接合して耐食性を高めた温水器缶体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステンレス鋼は、温水器環境で優れた耐食性を呈し、且つ必要な強度ももっていることから、電気温水器や貯湯槽等の温水機器用材料として広く使用されている。しかし、使用条件によっては腐食を起こし、漏水の原因となることがある。温水器の耐食性において最も問題となる腐食は、溶接隙間部の腐食である。温水器の溶接隙間部の腐食を防止するため、Al等の犠牲陽極を設置する犠牲防食法,外部電源から防食電流を供給する陰極防食法等が採用されている。しかし、Alを犠牲陽極として使用すると、Alの腐食生成物によって水が白濁したり、フィルターに目詰りが生じる等のトラブルが発生し易い。そのため、より耐食性に優れた鋼材を無防食で使用することが最近の傾向である。なかでも、電気温水器缶体のように比較的構造が単純なものでは、塩化物溶液中での応力腐食割れの危険がほとんどなく、比較的安価なフェライト系ステンレス鋼の使用が主流となってきている。本発明者等も、特許文献1で、溶接隙間部の耐食性に優れた温水器用フェライト系ステンレス鋼を提案した。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−279951号公報
【0004】
ところで、ステンレス鋼製温水器は、溶接により組立てられる一体型として製造されている。しかし、溶接時の溶込み不足は継ぎ手強度を低下させるため、溶込み性が悪いと溶接速度が遅くなり、コスト的に不利になる。また、十分な溶込みを得るため大きな溶接電流が必要とされ、生産性を阻害したり、多量の溶接スケールの発生によって耐食性が低下することがある。
溶接により組立てる場合、溶接による酸化スケールを除去する必要がある。温水器缶体では、溶接後内部の酸化スケールを除去することは構造上困難である。除去しようとすると、コスト上昇を招くという問題もある。
【0005】
このようなことから、溶接法による組立てに代わって簡便な組立て方法が強く望まれている。簡便な方法として、図1に示すように、湾曲させた鋼板を溶接して円筒状の胴体を製造した後、上下に鏡板となる蓋を被せ、円周部をかしめ接合して温水器缶体を組立てる方法が提案されている。このような組立て方法を採用しようとすると、金属隙間部の耐食性の他に、溶接隙間部の耐食性も新たな問題として浮上してくる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
かしめ接合により組立てられたステンレス鋼製温水器缶体は、一部に溶接を施した鋼板をかしめ接合する構造となっているため、金属隙間部および溶接隙間部の双方における耐食性が要求される。酸素の供給が少ない隙間内では、再不動態化しにくくなる。そして、一旦腐食が発生すると、腐食の成長を停止させることができない。耐孔食性や耐隙間腐食性に優れるとされている低炭素・低窒素の19Cr−2.0Mo−Nb/Ti/Zr鋼(SUS444)といえども、使用する水質によっては隙間腐食を起こす可能性がある。
本発明は、このような要求に応えるべく案出されたものであり、温水器缶体を、溶接部を含むかしめ接合構造により組立て、溶接隙間部のみならず金属隙間部の耐食性を高めたステンレス鋼製の温水器缶体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の耐食性に優れた温水器缶体は、その目的を達成するため、C:0.003質量%以下,Si:0.1〜0.4質量%,Mn:0.4質量%以下,P:0.04質量%以下,S:0.01質量%以下,Ni:0.6質量%以下,Cr16.0〜25.0質量%,Mo:0.8〜2.5質量%,N:0.03質量%以下,Nb:0.1〜0.6質量%,Ti:0.05〜0.3質量%およびAl:0.01〜0.5質量%を含み、さらに必要に応じてNi:0.6質量%以下,Cu:0.3〜1.5質量%のいずれか,もしくは双方を含み、かつNb,Ti,CおよびNの間にNb+Ti≧7(C+N)+0.15の関係が成立し、残部が実質的にFeからなるフェライト系ステンレス鋼板から構成され、胴体と上下の鏡板がかしめ接合されていることを特徴とする。
【0008】
【作用】
本発明者等は、溶接部を含むかしめ接合構造を採用したときの、溶接隙間部および金属隙間部の耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼について詳細に検討を行ってきた。
その結果、Cr含有量を高め、適量のNb,Tiを添加した含Moフェライト系ステンレス鋼を用いて温水器缶体をかしめ接合構造で製造すると、金属隙間部および溶接隙間部がともに温水器の使用環境に対して優れた耐食性を有することを見出した。
【0009】
かしめ接合構造が有利であることを、SUS444を用い、溶接接合した場合の溶接隙間部の耐食性と、かしめ接合した場合の金属隙間部の耐食性を比較して確認した。
耐食性の評価は、電気化学試験により腐食発生電位を求めることにより行なった。腐食発生電位は、試験片を予め一定の電位に48時間保持し、アノード電流の経時変化ならびに試験終了後の腐食の有無にて判定した。なお、測定は80℃に保持した10〜1000ppmの濃度のCl−水溶液中で行なった。
【0010】
腐食発生電位の測定結果を図2に示す。図中に破線で示した0.1V,SCEの電位は、別途測定した温水器環境下でステンレス鋼が示す自然電位である。腐食発生電位がこの自然電位よりも高い場合、この環境で腐食は生じない。上水上限値である200ppmのCl−で金属隙間部と溶接隙間部の腐食発生電位を比較すると、金属隙間部の隙間腐食発生電位は自然電位よりも高いことから、この環境条件では隙間腐食は発生しない。一方、溶接部の腐食発生電位は自然電位よりも低いことから、この環境条件では腐食が生じる。
このように、ステンレス鋼製温水器缶体の接合部の耐食性は、従来の溶接接合による組立てよりもかしめ接合による組立ての方が有利であることがわかる。
【0011】
【実施の形態】
本発明の温水器缶体を構成するフェライト系ステンレス鋼としては、優れた耐食性のみならず、加工性及び溶接性をも備えさせるために、各合金元素の含有量及び合金元素間の成分関係は、次のように定められる。
C,N:
鋼中に含まれる不可避的成分であり、C含有量及びN含有量の低減によって材料が軟質になり、加工性が向上する。また、本発明で用いたステンレス鋼には、溶接による鋭敏化を回避するためにNbとTiを添加しているが、C,N含有量が多いとNb,Tiの添加量も多くなり、加工性や溶接性が損なわれることになる。したがって、C含有量及びN含有量は低い方が好ましく、C≦0.03質量%,N≦0.03質量%、好ましくはC≦0.02質量%,N≦0.02質量%とし、C+N≦0.035質量%以下にする。
【0012】
Si:
脱酸剤としての他、溶接時の溶込み性を向上させる上で、有効な合金成分である。その効果を発揮させるためには0.1質量%以上の添加が必要である。しかし、0.4質量%を超えると材料が硬質になり、加工性の低下や溶接部の靭性低下の原因となる。したがって、Si含有量は0.1〜0.4質量%の範囲とした。
【0013】
Mn:
鋼中に不可避的に存在するSと結合し、化学的に不安定な硫化物であるMnSを形成して耐食性を低下させる。しかも、MnSは、再不動態化を弱める作用を呈する。このことから、Mn含有量は低い方が好ましく、上限を0.6質量%に規定した。
【0014】
P:
不純物として通常のステンレス鋼に含まれる量であれば、特に特性上問題になることはない。したがって、通常のステンレス鋼に許容される量として、上限を0.04質量%に規定した。
S:
Mnと結合し、MnSを生成する。MnSは、腐食発生の起点となるとともに、再不動態化を抑制する悪影響を及ぼす。しかも、Sによって溶接部の高温割れが助長される。したがって、S含有量は低い方が好ましく、上限を0.01質量%に規定した。
【0015】
Cr:
フェライト系ステンレス鋼の再不動態化能を高める上で重要な合金成分であり、溶接部の耐孔食性,耐隙間腐食性および一般耐食性を著しく向上させる。これら耐食性の向上は、Cr含有量16質量%以上で顕著になる。しかし、25質量%を超える多量のCrが含有されると、材料が硬質化し、温水器缶体の施工が困難になる。そのため、Cr含有量は16〜25重量%の範囲に規定した。
【0016】
Mo:
Crとともに鋼の耐食性向上に対して不可欠な合金成分であり、溶接部の耐孔食性,耐隙間腐食性および一般耐食性を著しく向上させる。その効果は、Cr含有量の増加に応じて大きく現れる。本発明フェライト系ステンレス鋼におけるCr量レベルにおいては、Mo含有量0.8質量%以上でその効果が認められる。しかし、2.5質量%を超える多量のMoが含有されると、材料が硬質化し、溶接時の溶込み性も低下する。そのため、温水器缶体の生産性も低下する。したがって、Mo含有量は0.8〜2.5質量%の範囲に規定した。
【0017】
Nb:
鋼中のC,Nを固定し、耐衝撃特性や二次加工性を向上させる作用を呈する。さらに、Tiとともに本発明鋼のC含有量レベルのフェライト系ステンレス鋼で問題となる粒界腐食を防止するのに有効な合金成分である。CおよびNを固定するに必要な量は後述の限定式から計算されるが、0.1質量%未満では効果がなく、0.6質量%を超えるNb含有量では、溶接部の耐高温割れ性や靭性を阻害するので、Nb含有量は0.1〜0.6質量%の範囲に定めた。
【0018】
Ti:
鋼中のC,Nを固定し、加工性および耐粒界腐食性を向上させる作用を呈し、溶接時の溶け込み性を改善することにも有効な合金成分である。CおよびNを固定するに必要な量は後述の限定式から計算される。
さらにTiはAlとの複合添加によって、溶接時に鋼材の表層部にAlの酸化皮膜を容易に形成させる。Alの酸化皮膜はTi含有量0.05質量%以上で促進される。Alの酸化皮膜の形成により、Crの酸化ロスが防止され、再不動態化能の低下が抑制される。しかし、Tiの含有量が多すぎると、クラスター状の介在物が生成されて鋼の表面疵の原因となる。耐食性の面からはTiの下限は0.05質量%とし、表面性状の面から上限を0.3質量%とした。
【0019】
Al:
脱酸剤として効果的な添加成分であるが、本発明フェライト系ステンレス鋼における重要な合金成分である。Tiとの複合添加によって、溶接時に優先的に酸化皮膜を生成し、Crの酸化を防止する。その結果、再不動態化能の低下が抑制される。しかし、0.01質量%未満のAl含有量では、Alの酸化皮膜が形成されにくい。逆に、0.5質量%を超えるAl含有量では、鋼材の表面品質が劣化し、溶接性も悪くなる。したがっては、Al含有量は0.01〜0.5質量%の範囲に規定した。
【0020】
以上の各成分含有量の限定に加え、本発明においては、C,N,NbおよびTiの各成分間で次の限定式を設定している。
Nb+Ti≧7(C+N)+0.15
本発明におけるようなフェライト系ステンレス鋼おいては、Nb,TiはC及びNを固定する作用を有し、マトリックス中に残存・固溶しているNb及びTiが、粒界腐食の防止作用やAlの酸化皮膜形成作用を発揮している。そこで、C及びNの固定に消費される量を除いて、十分な固溶量を確保するため、Nb+Ti≧7(C+N)+0.15としている。これにより、Tiの酸化に起因した鋼材表面における酸素ポテンシャルの上昇によって優先的なAlの酸化皮膜形成が確実になり。しかも優れた耐粒界腐食性が得られる。
【0021】
本発明で用いるフェライト系ステンレス鋼としては、さらにNi,Cuを含有させたものでも良い。
Niは、フェライト系ステンレス鋼の靭性を改善する上で、有効な合金成分である。しかし、多量にNiを添加することは、鋼材コストを上昇させるばかりでなく、応力腐食割れの原因にもなる。したがって、Niを含有させる場合、その量は、通常のフェライト系ステンレス鋼で規定されている0.6重量%以下にするべきである。
Cuは、溶接部の耐食性低下を抑制し、溶接時の溶込み性を改善する作用を有している。この効果を得るためには、0.3質量%以上のCuを含有させる必要がある。しかし、Cuを多量に添加すると、加工性や溶接部の靭性が阻害される。したがって、Cuを含有させる場合は、0.3〜1.5質量%の範囲にすべきである。
【0022】
【実施例】
表1に示した成分組成を有する各種ステンレス鋼を実験用真空溶解炉にて溶製し、熱間圧延により板厚3.5mmの熱延板を製造した。熱延板を板厚1.0mmまで冷間圧延し、1000〜1050℃で仕上げ焼鈍を施した。
表1のAグループは、本発明で規定する要件を満足したフェライト系ステンレス鋼であり、何れも固定化元素としてNbおよびTiを複合添加しており、微量元素としてAlを含有している。Bグループの比較鋼も、同様な熱履歴を受けたフェライト系ステンレス鋼である。B1はTi無添加、B2はTi,Al無添加、B3はNb無添加、B4はAl無添加のステンレス鋼である。
【0023】
【0024】
各焼鈍材から切り出した鋼片を用いて、図3に示す試験片を作製した。
金属隙間試験片(a)は、各焼鈍材から切り出した鋼片1を、20Cr−25Ni−5Mo鋼のワッシャー2を介し、Ti製の20mmφガスケット3およびTi製のナットを用いて60kgf・cmで締め付けた。なお、4はインコネル製のリード線である。溶接隙間試験片(b)は、各焼鈍材から切り出した鋼片1をArガスバックシールドを施してTIG溶接し、溶接部5を有する板材を、上記と同様に、20Cr−25Ni−5Mo鋼のワッシャー2を介し、Ti製の20mmφガスケット3およびTi製のナットを用いて60kgf・cmで締め付けた。
各試験片の金属隙間部および溶接隙間部に耐食性を調査するため浸漬試験に供した。浸漬試験には、塩素イオンを200ppmの濃度で加えた上水を80℃に保持した腐食試験液を使用した。腐食試験液に、各試験片を30日間浸漬した。また、腐食性を強めるため、図4に示すように試験片11にPt板12を補助カソードとして組合わせ、送気管13から腐食試験液14中に空気を吹き込んだ。
【0025】
なお、耐食性の評価は、再不動態皮膜が形成されるまでの時間と、腐食試験液から引き上げたときの侵食の深さで判定した。
再不動態皮膜は、寒天質の塩橋15を介して照合電極16を試験片11に接続し、試験片11に流れる腐食電流が1μA未満になったときに形成されたものとした。そして、再不動態皮膜の形成が1週間以内に行なわれているものを耐食性が良いとした。
侵食の深さは、30日間の浸漬後に、各試験片を腐食試験液から引き上げて調査した。そして、最大侵食深さが1mm未満のものを耐食性が良いとした。
それらの評価結果を表2に併せて示す。侵食深さについては具体的深さを図5に示す。
なお、表2中、○は7日以内に腐食電流が1μA未満になって消滅したものを、●は30日以上にわたって1μA以上の腐食電流が流れ続けたものを示す。
また、△は腐食試験液から引き上げた試験片に1mm以上の侵食がなかったもの、▲は1mm以上の侵食があり腐食していたものを示している。
【0026】
【0027】
表2に示した結果からもわかるように、Aグループの試験片ではいずれも1週間以内に再不動態化している。一方、Bグループの試験片ではいずれも30日間にわたって腐食が進行している。
また、図5に示した結果から明らかなように、Aグループの試験片では、30日間の腐食環境下にあっても最大侵食深さはいずれも0.1mm未満であり、耐食性に優れていることがわかる。これに対して、Bグループの試験片では1mmを超える深さで侵食されている。耐食性はよくない。特に溶接隙間部では2mm前後の侵食が起こっており、耐食性が低くなっている。
【0028】
【発明の効果】
以上に説明したように、成分組成、特にNb,Ti,Alの含有量を規定した低Cフェライト系ステンレス鋼を用い、かしめ接合法を採用して製造した温水器缶体は、温水環境で主な腐食要因となる塩化物溶液中でも、素材ステンレス鋼の優れた再不動態化能を活用でき、溶接を含むかしめ接合部で懸念される耐隙間腐食性の低下に対して極めて有効な耐食性改善効果を発揮できる。
また、使用するフェライト系ステンレス鋼自身は、Tiを多量に添加した鋼に比較して表面傷が発生しにくいため、冷延工程での歩留りが高く、比較的安価に製造することが可能である。
このため、耐久性に優れる温水器缶体が低コストで製造できるため、ステンレス鋼製温水器の需要の大幅な拡大に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】かしめ接合缶体の構造を説明する断面図
【図2】腐食発生電位の測定結果を整理した図
【図3】隙間腐食試験片の形状を示した図
【図4】試験片を試験液に浸漬し、腐食試験を行なう態様を説明する図
【図5】浸漬試験後に各試験片に発生した侵食の最大深さを示した図
【符号の説明】
1:ステンレス鋼片 2:20Cr−25Ni−5Mo鋼製ワッシャー
3:Ti製20mmφガスケット 4:リード線 5:溶接部
11:試験片 12:Pt製補助カソード 13:送気管
14:腐食試験液 15:寒天質塩橋 16:照合電極
Claims (2)
- C:0.003質量%以下,Si:0.1〜0.4質量%,Mn:0.4質量%以下,P:0.04質量%以下,S:0.01質量%以下,Cr16.0〜25.0質量%,Mo:0.8〜2.5質量%,N:0.03質量%以下,Nb:0.1〜0.6質量%,Ti:0.05〜0.3質量%およびAl:0.01〜0.5質量%を含み、かつNb,Ti,CおよびNの間にNb+Ti≧7(C+N)+0.15の関係が成立し、残部が実質的にFeからなるフェライト系ステンレス鋼板から構成され、胴体と上下の鏡板がかしめ接合されていることを特徴とする耐食性に優れた温水器缶体。
- フェライト系ステンレス鋼板が、さらにNi:0.6質量%以下,Cu:0.3〜1.5質量%の1種または2種を含むものである請求項1に記載の耐食性に優れた温水器缶体。
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