JP2005015587A - 可塑剤、それを含む(メタ)アクリル系樹脂ペースト、及び成形物 - Google Patents

可塑剤、それを含む(メタ)アクリル系樹脂ペースト、及び成形物 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱溶融後におけるブリードが改善され、特に(メタ)アクリル系樹脂との相溶性に優れる可塑剤、及び、粘度安定性に優れ、成形加工が容易にできる該可塑剤を配合した(メタ)アクリル系樹脂ペースト、更に引張物性に優れる前記(メタ)アクリル系樹脂ペーストを用いてなる成形物を提供する。
【解決手段】可塑剤が、分岐構造を有するグリコール(X)と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸(Y)、及び、脂肪族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノカルボン酸(Z)より合成される一般式[1]で表されるオリゴエステルであり、分岐構造を有するグリコール(X)の分岐度aを、分岐度a=グリコール(X)の全炭素数 ÷ グリコール(X)のOH間炭素数b、と定義する場合に、分岐度aが1.5以上であり、且つ、分岐構造を有するグリコール(X)のOH間炭素数bが3以上であるグリコールを用いて合成される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可塑剤、それを含む(メタ)アクリル系樹脂ペースト、及びそれを用いてなる成形物に関する。更に詳しくは、相溶性、耐ブリード性などの特性に優れる可塑剤であり、該可塑剤を含む粘度安定性などの特性に優れる(メタ)アクリル系樹脂ペースト、及び該(メタ)アクリル系樹脂ペーストを用いてなる引張物性などの特性に優れる成形物に関する。
尚、本発明でいう(メタ)アクリル系樹脂ペーストとは、当業者間では一般に「ペーストゾル」とも呼ばれているものであり、本発明では同様に扱う。
また、本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、可塑剤中に塩化ビニル系樹脂を微粉末状態で分散させてなるペースト樹脂組成物(ペーストゾル組成物ともいう)が知られており、例えば、シート、フィルム、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング、自動車内装材等に広範囲で利用されてきた。
しかしながら、近年では環境汚染の問題から非ハロゲン系樹脂への転換が求められてきており、このため、(メタ)アクリル系樹脂の粉末に可塑剤を配合し、更に必要に応じて充填剤やその他添加剤を配合した(メタ)アクリル系樹脂ペーストとして成形し加工する方法が提案されてきた。
【0003】
従来から(メタ)アクリル系樹脂に配合する可塑剤として、例えば、フタル酸エステル系可塑剤、燐酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、フタル酸混基可塑剤、エステル系可塑剤など、種々の可塑剤が提案されてきた。
この内、フタル酸エステル系可塑剤として、高極性タイプのもの〔例えば、オクチルベンジルフタレート(OBzP)、特許文献1など。〕が提案されているが、かかる可塑剤を用いた場合は、初期粘度が低く、(メタ)アクリル系樹脂との相溶性は良いが、粘度安定性が極めて悪く、ペーストゾル調整後1〜2日後には固化してしまい、ペーストゾルとして成形加工できなくなるという問題があった。
また、フタル酸ジオクチル(DOP)などの低極性及び中極性の可塑剤では、粘度安定性は比較的良いが、(メタ)アクリル系樹脂との相溶性が悪く、満足できる性能が得られず、実用上問題があった。
更に、これらのフタル酸エステル系可塑剤の中には、野生動物や人の生殖や発育に悪影響を与える内分泌攪乱物質(所謂、環境ホルモン)の可能性が懸念される物質もあり、産業界の動向としてフタル酸エステル系可塑剤に代わる優れた性能を有する可塑剤の開発が切望されていた。
【0004】
【特許文献1】
特開昭58−74741号公報(第1頁〜第5頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、加熱溶融後におけるブリード等の問題が改善され、(メタ)アクリル系樹脂との相溶性に優れる可塑剤、及び、粘度安定性に優れ、成形加工が容易にできる前記可塑剤を配合した(メタ)アクリル系樹脂ペースト、更に引張物性に優れる前記(メタ)アクリル系樹脂ペーストを用いてなる成形物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、分岐構造を有するグリコールと、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸、及び、脂肪族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノカルボン酸より合成される特定の構造を有するオリゴエステルが、特に(メタ)アクリル系樹脂との相溶性に優れ、加熱溶融後におけるブリード等の特性が改善された可塑剤であり、前記可塑剤を配合した粘度安定性に優れる(メタ)アクリル系樹脂ペースト、及び前記(メタ)アクリル系樹脂ペーストを用いてなる引張特性に優れる成形物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、オリゴエステルが、分岐構造を有するグリコール(X)と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸(Y)、及び、脂肪族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノカルボン酸(Z)より合成される一般式[1]で表されるオリゴエステルであり、分岐構造を有するグリコール(X)の分岐度aを、分岐度a=グリコール(X)の全炭素数 ÷ グリコール(X)のOH間炭素数b、と定義する場合に、分岐度aが1.5以上であり、且つ、分岐構造を有するグリコール(X)のOH間炭素数bが3以上であるグリコールを用いて合成されることを特徴とする可塑剤を提供するものである。
P−(G−A)−G−P ・・・一般式[1]
(式中、Gはグリコール残基を表し、Aは脂肪族ジカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸残基を表し、Pは脂肪族モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸残基を表す。また、nは平均重合度で0.7≦nを表す。)
【0008】
また、本発明は、前記可塑剤と(メタ)アクリル系樹脂を含有してなることを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂ペーストを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、前記(メタ)アクリル系樹脂ペーストを用いてなることを特徴とする成形物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を実施するにあたり、必要な事項を以下に詳しく述べる。
【0011】
先ず、本発明の可塑剤について説明する。
本発明の可塑剤とは、分岐構造を有するグリコール(X)と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸(Y)と、脂肪族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノカルボン酸(Z)より合成される下記一般式[1]で表されるオリゴエステルである。
【0012】
本発明の可塑剤は、本発明の可塑剤の合成原料である分岐構造を有するグリコール(X)の分岐度aを、分岐度a=グリコール(X)の全炭素数 ÷ グリコール(X)のOH間炭素数b、と定義する場合に、分岐度aは1.5以上であり、且つ、分岐構造を有するグリコール(X)のOH間炭素数bが3以上であるグリコールを用いて合成されることを特徴とする可塑剤である。
P−(G−A)−G−P ・・・一般式[1]
(式中、Gはグリコール残基を表し、Aは脂肪族ジカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸残基を表し、Pは脂肪族モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸残基を表す。また、nは平均重合度で0.7≦nを表す。)
【0013】
上記一般式[1]で表されるオリゴエステルは、分岐構造を有するグリコール(X)と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸(Y)と、脂肪族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノカルボン酸(Z)とエステル化触媒を用いて、公知慣用のエステル化反応によって容易に合成できる。
前記オリゴエステルの平均重合度nは、合成原料である前記化合物(X)と(Y)と(Z)の3成分の配合割合に依存するため、オリゴエステルの平均重合度nが好ましくは0.7以上になるように前記3成分の配合割合を調整する。
尚、本発明でいう前記オリゴエステルの平均重合度nとは、GPC〔機種;東ソー製 HLC−8220、カラム;TSKgel−G2000HXL、TSKgel−G3000HXL、TSKgel−G4000HXL、TSKgel−G5000HXL、溶離液;テトラヒドロフラン(THF)〕及びLC−MS〔機種;日本ウォーターズ 、液体クロマトグラフ;2695、MS;ZQ4000、カラム;Shodex MSpak GF−310 4D、溶離液;水(0.05mM NaI)/メタノール〕の分析結果から求めた値である。
【0014】
本発明で使用する分岐構造を有するグリコール(X)としては、グリコール(X)の分岐度aを、分岐度a=グリコール(X)の全炭素数 ÷ グリコール(X)のOH間炭素数b、と定義する場合に、分岐度aは1.5以上であり、且つ、分岐構造を有するグリコール(X)のOH間炭素数bが3以上であるグリコールが好ましい。
上記の分岐構造を有するグリコール(X)としては、例えば、ネオペンチルグリコール(分岐度a=1.7、OH間炭素数b=3)、2,5−ヘキサンジオール(分岐度a=1.5、OH間炭素数b=4)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(分岐度a=2.0、OH間炭素数b=3)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(分岐度a=2.7、OH間炭素数b=3)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(分岐度a=2.7、OH間炭素数b=3)、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール(分岐度a=1.8、OH間炭素数b=5)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(分岐度a=2.3、OH間炭素数b=3)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(分岐度a=3.0、OH間炭素数b=3)等が挙げられる。これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
【0015】
本発明の可塑剤において、特定の分岐構造を有するグリコールを用いた場合、直鎖状のグリコールを用いた場合と比較して、分岐構造を有するグリコールの方が立体的に嵩高いために(メタ)アクリル樹脂への滲入が妨げられ、ペーストゾルの粘度安定性の向上効果に優れるものと推測している。
【0016】
本発明の可塑剤を構成するオリゴエステルの合成原料である脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸(Y)とは、脂肪族ジカルボン酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバチン酸等が挙げられ、また、芳香族ジカルボン酸としては、例えばオルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸等が挙げられる。これらは単独使用でもよく2種以上を併用してもよい。
また、本発明では上記の脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸(Y)のメチルエステル体等の低級エステル体、あるいは酸塩化物などのエステル形成性化合物も使用することができる。
【0017】
また、本発明の可塑剤を構成するオリゴエステルの合成原料である脂肪族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノカルボン酸(Z)とは、脂肪族モノカルボン酸としては、特に分岐構造を有するものが好ましく、例えばイソ酪酸、2−エチルヘキサン酸、バーサチック酸等が挙げられ、また、芳香族モノカルボン酸としては、例えば安息香酸、トルイル酸、t−ブチル安息香酸、ジメチル芳香族モノカルボン酸、エチル芳香族モノカルボン酸、クミン酸、テトラメチル芳香族モノカルボン酸、ナフトエ酸、ビフェニルカルボン酸、フロ酸等が挙げられる。これらのモノカルボン酸は単独使用でも2種以上を併用してもよい。
また、本発明では上記の脂肪族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノカルボン酸(Z)のメチルエステル体等の低級エステル体、あるいは酸塩化物などのエステル形成性化合物も使用することができる。
【0018】
本発明において、グリコール(X)の分岐度aが1.5以上であり、且つグリコール(X)のOH間炭素数bが3以上のグリコールを用いて合成された可塑剤を使用すると、粘度安定性に優れる(メタ)アクリル系樹脂ペーストが得られる。
また、本発明の可塑剤の平均重合度nが0.7以上であり、本発明の可塑剤と(メタ)アクリル系樹脂を含有してなる(メタ)アクリル系樹脂ペーストは粘度安定性に優れる。
【0019】
本発明で使用する(メタ)アクリル系樹脂とは、例えば、メタクリル酸メチル単量体の単独重合体、又はメタクリル酸メチル単量体に酢酸ビニル等のビニルエステル、スチレン等の芳香族ビニル、アクリロニトリル等のシアン化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリル等のアクリル酸やメタクリル酸及びそのアルキルエステル、ジアクリル酸エタン、ジメタクリル酸ブタン、ジメタクリル酸ヘキサン等のジアクリル酸エステル又はジメタクリル酸エステル、等の不飽和化合物を共重合成分としたものである。
【0020】
本発明の一般式[1]で表される可塑剤は、(メタ)アクリル系樹脂以外の他の極性ポリマーに対しても用いることが可能である。
本発明の可塑剤を使用できる(メタ)アクリル系樹脂以外の他の極性ポリマーとは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のエステル系ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ABS樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアセテート、セルロース系プラスチック等が挙げられる。
【0021】
本発明で使用する(メタ)アクリル系樹脂の重合方法は、特に限定せず、乳化重合法でもよく、懸濁重合法でもよく、また、ホモジナイザーの如き強力な分散力を併用して合成してもよい。
【0022】
本発明で使用する(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(以下Mwともいう)は、好ましくは30万以上であり、より好ましくは50万〜300万の範囲である。(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量がかかる範囲であれば、前記可塑剤との相溶性に優れ、且つ加工性に優れ、高温での可塑剤との融解速度が低下せず、生産性が低下することもなく、好ましい。
【0023】
本発明で使用する(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは平均粒子径が1mm以下の微粒子であり、より好ましくは0.1〜5μmの範囲の一次粒子が凝集してできた10〜100μmのものである。(メタ)アクリル系樹脂の平均粒子径がかかる範囲であれば、可塑剤を均一に分散し易く、高温にしても可塑剤の溶融速度が低下せず生産性が低下することもなく、好ましい。
【0024】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂ペーストは、(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対して、前記一般式[1]で表される可塑剤を好ましくは30〜200重量部の範囲で、より好ましくは50〜150重量部の範囲で配合してなる。
【0025】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂ペーストには、耐ブリード性などの本発明の目的を損なわない範囲で、前記一般式[1]で表されるオリゴエステル以外の可塑剤を併用してもよい。そのような併用可能な可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル系、燐酸エステル系、アジピン酸エステル系、セバチン酸エステル系、トリメリット酸エステル系、ピロメリット酸エステル系、エポキシ化エステル系、ポリエステル系などの可塑剤が挙げられる。また、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、希釈剤、発泡剤等の公知慣用の添加剤を配合することができる。
【0026】
上記酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールなどのフェノール系酸化防止剤、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのヒンダードフェノール系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネートなどのチオエーテル系酸化防止剤、トリスノニルフェノールフォスファイトなどの燐系酸化防止剤などが挙げられる。かかる酸化防止剤の配合量は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部の範囲である。
【0027】
上記紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサリシレートなどのサリシレート系化合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系化合物、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートなどのシアノアクリレート系化合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン化合物などが挙げられる。かかる紫外線吸収剤の配合量は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し、好ましくは0.1〜10重量部の範囲である。
【0028】
上記充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、クレー、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウムなどが挙げられる。かかる充填剤の配合量は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し、好ましくは1〜120重量部の範囲である。
【0029】
上記希釈剤としては、例えば2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレートや、n−パラフィンなどが挙げられる。かかる希釈剤の配合量は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し、好ましくは1〜50重量部の範囲である。
【0030】
上記発泡剤としては、例えばアゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドに代表される有機発泡剤、重曹に代表される無機発泡剤などが挙げられる。かかる発泡剤の配合量は、(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対し、好ましくは0.1〜30重量部の範囲である。
【0031】
かくして(メタ)アクリル系樹脂と可塑剤と各種添加剤等を混合・撹拌して、前記(メタ)アクリル系樹脂と必要により使用する各種添加剤等とを前記可塑剤中に分散させることにより、可塑剤と可塑剤中に分散した前記(メタ)アクリル系樹脂ペーストを製造することができる。
【0032】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂ペーストを構成する各成分を、混合・撹拌・分散の際に使用することができる装置としては、特に限定はしないが、例えばニーダー、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー、擂潰機等が挙げられる。
【0033】
本発明の(メタ)アクリル系樹脂ペーストは、粘度安定性に優れ、成形加工が容易にでき、可塑剤と(メタ)アクリル系樹脂との相溶性に優れ、成形加工に用いた場合に加熱成形後におけるブリード等が改善され、且つ成形物に対して優れた引張物性を与えることができる。
【0034】
本発明の成形物は、前記の本発明の(メタ)アクリル系樹脂ペーストを用いてなり、加熱成形後におけるブリード等が改善され、且つ引張物性に優れ、例えば、シート、フィルム、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング、自動車内装材等、多岐にわたる。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、以下において、「部」、及び「%」は特に断わりのない限り全て重量基準であるものとする。また、各種物性値は以下の方法に従い測定した。
【0036】
《実施例1〜5》
表1に示すように、グリコール成分、ジカルボン酸成分、モノカルボン酸成分、及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネートを、温度計、攪拌機、還流冷却器及びデカンターを付した内容積5リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら加熱し、反応液温度を240℃まで昇温し、酸価が2.0mgKOH/g以下となるまで反応後、過剰のグリコール成分を減圧留去し、本発明の可塑剤1〜5を得た。
尚、実施例1〜5では何れもグリコール成分10.5モル、ジカルボン酸成分5モル、モノカルボン酸成分8.8モルを使用した。
上記のようにして得られた本発明の可塑剤1〜5について、性能評価を行うために、重量平均分子量(Mw)が100万であって平均粒子径が1μmであるメタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル=4/6重量比の共重合体樹脂100重量部に対して、前記可塑剤100重量部を配合し、室温で10分間攪拌混練した後、減圧下で混入している空気を脱泡除去して(メタ)アクリル系樹脂ペーストを調整した。
得られた各(メタ)アクリル系樹脂ペーストについて、初期粘度測定、粘度安定性試験、相溶性試験、及び引張物性試験を行い、その結果を表1に示した。
尚、表1において、TMPDは、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオールの略称であり、DMHは2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールの略称である。
【0037】
《比較例1〜3》
表2に示すように、グリコール成分、ジカルボン酸成分、モノカルボン酸成分、及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネートを、温度計、攪拌機、還流冷却器及びデカンターを付した内容積5リットルの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流下で攪拌しながら加熱し、反応液温度を240℃まで昇温し、酸価が2.0mgKOH/g以下となるまで反応後、過剰のグリコール成分を減圧留去し、比較例である可塑剤6〜8を得た。可塑剤6〜8の評価結果を表2に示した。
尚、比較例1ではグリコール成分としてPG10.5モル、比較例2では1,3−PG10.5モル、比較例3ではTMPD12.5モルを使用し、比較例1及び比較例2ではジカルボン酸成分としてアジピン酸成分5モル、比較例3では2.5モルを使用し、また、比較例1及び比較例2ではモノカルボン酸成分としてイソ酪酸8.8モル、比較例3ではイソ酪酸17.5モルを使用した。
【0038】
《比較例4》及び《比較例5》
比較例4として市販のオクチルベンジルフタレート(OBzP)、比較例5としてフタル酸ジオクチル(DOP)を使用して、以下の評価を行った。評価結果を表2に示した。
【0039】
実施例、及び比較例で行った試験方法は、以下の通りである。
[初期粘度の測定方法]
ペーストゾル調整後、液温25℃の恒温水槽中に2時間放置後、BM型粘度計で初期粘度を測定した。
【0040】
[粘度安定性の試験方法]
初期粘度を測定した(メタ)アクリル系樹脂ペーストを30℃の恒温室に放置し、7日間放置後の粘度を上記の初期粘度測定と同様にBM型粘度計にて測定し、下式にて初期粘度に対する7日間放置後の粘度の粘度上昇倍率を求めた。尚、数値が1に近い程、(メタ)アクリル系樹脂ペーストは粘度安定性に優れていることを意味する。
7日間放置後の粘度上昇倍率= 7日間放置後の粘度 ÷ 初期粘度
【0041】
[相溶性の試験方法]
(メタ)アクリル系樹脂ペーストをガラス板上に1mmの厚さに流延し、130℃で30分間の条件でゲル化溶融させてシートを形成させ、冷却後、得られたシートをガラス板より取り外し、シートの一部を50℃で相対湿度95%の恒温恒湿室内に放置し、14日後にシート表面へのブリードの程度を目視観察により、以下の基準に従い評価した。
○:ブリードしていなかった。
△:僅かにブリードしていた。
×:著しくブリードしていた。
【0042】
[引張試験方法]
前述の相溶性試験で作成したシートを、ダンベル2号(JIS−K7113)の形状に切り出し、室温で引張試験を実施し、抗張力、伸び率を測定した。
【0043】
【表1】
Figure 2005015587
【0044】
【表2】
Figure 2005015587
【0045】
【発明の効果】
本発明の可塑剤は、特に(メタ)アクリル系樹脂との相溶性に優れ、従来の可塑剤と較べて加熱溶融後におけるブリード等が改善された可塑剤であり、本発明の可塑剤を配合した(メタ)アクリル系樹脂ペーストは粘度安定性に優れ、成形加工が容易である。更に、本発明の(メタ)アクリル系樹脂ペーストを用いてなる成形物は、優れた引張物性を有する。本発明の成形物としては、例えば、シート、フィルム、壁装材、床材、人形、玩具、自動車アンダーコーティング、自動車内装材等、多岐にわたり、これらは塩化ビニル樹脂やフタル酸エステル系可塑剤を使用しないので、環境対応型でもある。

Claims (4)

  1. オリゴエステルが、分岐構造を有するグリコール(X)と、脂肪族ジカルボン酸及び/又は芳香族ジカルボン酸(Y)、及び、脂肪族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノカルボン酸(Z)より合成される一般式[1]で表されるオリゴエステルであり、分岐構造を有するグリコール(X)の分岐度aを、分岐度a=グリコール(X)の全炭素数 ÷ グリコール(X)のOH間炭素数b、と定義する場合に、分岐度aが1.5以上であり、且つ、分岐構造を有するグリコール(X)のOH間炭素数bが3以上であるグリコールを用いて合成されることを特徴とする可塑剤。
    P−(G−A)−G−P ・・・一般式[1]
    (式中、Gはグリコール残基を表し、Aは脂肪族ジカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸残基を表し、Pは脂肪族モノカルボン酸又は芳香族モノカルボン酸残基を表す。また、nは平均重合度で0.7≦nを表す。)
  2. 前記一般式[1]で表されるオリゴエステルの合成原料である脂肪族モノカルボン酸及び/又は芳香族モノカルボン酸(Z)が、分岐構造を有するモノカルボン酸である請求項1記載の可塑剤。
  3. 請求項1又は2記載の可塑剤と(メタ)アクリル系樹脂を含有してなることを特徴とする(メタ)アクリル系樹脂ペースト。
  4. 請求項3記載の(メタ)アクリル系樹脂ペーストを用いてなることを特徴とする成形物。
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