JP2005014126A - マルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法及びマルチ式ワイヤーソー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の溝を所定ピッチ間隔で有する対向するローラー61,62間にワイヤーWを巻き掛けしてワイヤー列を形成し、該ワイヤー列にて被加工物を加工する場合において、前記対向するローラー61,62を、平行に保ったまま前記ワイヤー列の走行方向又は被加工物に対して傾斜させて、前記ワイヤー列よる前記被加工物の加工ピッチを可変する構成である。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種被加工物を加工(切断、切り込み等)するためのマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法及びマルチ式ワイヤーソーに係り、とくに加工ピッチを微細に変えることが可能なピッチ可変式加工方法及びマルチ式ワイヤーソーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、積層チップ部品等を作製するためのセラミックグリーンシートの切断方法として、主なもので、▲1▼押切り切断、▲2▼ブレード切断等が挙げられる。
【0003】
▲1▼押切り切断はシャー角を持たない切断刃を、積層されたセラミックグリーンシートに押し付けて切り込みを入れる方法である。
【0004】
▲2▼ブレード切断は回転刃によって、積層されたセラミックグリーンシートに切り込みを入れる方法である。
【0005】
両者共、セラミックグリーンシートを載置したテーブルが、チップサイズ(セラミックグリーンシートを切断するサイズ)に合わせた所定ピッチで移動することにより切断位置を規定する。これらの方法は、切り込みを一箇所づつ順番に入れるため、工程のリードタイムという点で不利である。
【0006】
セラミックグリーンシート切断における問題点、その1として、セラミックグリーンシートは
▲1▼電極パターンの寸法誤差、
▲2▼積層時の積層誤差、
▲3▼圧着時の歪み誤差が含まれていることが挙げられる。
【0007】
それらの誤差が存在するため、定寸切断(例えば、ワークテーブルの移動距離を定寸とする)では切出されたチップ部品から、内部電極パターンがはみ出るなどの不良発生につながる。従って、これらの寸法誤差を見込んだ上で切断位置を補正しながら切断を行う作業が必要となり、このことから固定ピッチとなるマルチスライサ(所定ピッチの複数枚の回転刃を具備)等の使用は困難であり、逐次加工による方法に頼らざる得ず、上記工程のリードタイムの短縮を図る上で障害となっている。
【0008】
セラミックグリーンシート切断における問題点、その2として、製品の小型化が挙げられる。つまり、近年の電子機器の軽薄短小化に伴い、機器に使用されるチップ部品の寸法は、1005(1.0×0.5×0.5mm)を下回り、0402(0.4×0.2×0.2mm)と小型化してきている。従って、上述の押切り切断では狭ピッチ切断及び加工負荷による切断面の歪みやゆがみが生じ、また、ブレード切断ではチッピングによる欠けや破損等の問題が生じる等、加工歩留りの低下が目立ってきている。
【0009】
一方、ワイヤーソーは、ワイヤーに砥粒を付着させ(砥粒と切削油の混合物である遊離砥粒を走行ワイヤーにかけ)、その砥粒によって半導体インゴット等の被加工物を切断する方式のため、押し切り切断の加工負荷やブレード切断の高速回転刃による問題点の発生を解決できると期待されている。
【0010】
また、加工ピッチに合わせた溝加工が施された複数本のワークローラー間に1本のワイヤーを螺旋状に巻き付けてワイヤー列を形成し、ワイヤーを走行させることによって被加工物を加工するマルチ式ワイヤーソーも知られている。マルチ式ワイヤーソーの利点は狭ピッチの切断や加工を一度に多数箇所(ワイヤー列のワイヤー本数分)行える点にあり、電子部品の切断や溝加工にも広く用いられている。このマルチ式ワイヤーソーは、セラミックグリーンシート切断工程のリードタイム削減の可能性を持っている。
【0011】
しかし、マルチ式ワイヤーソーは、決められたピッチでの切断や加工に適しているが、寸法誤差を持った被加工物に合わせて加工ピッチを変化させることは難しい。独立した複数のワークローラーを設けピッチを変化させる事は可能だが、加工ピッチが小さい場合は困難である。つまり、現状のマルチ式ワイヤーソーでは、上記セラミックグリーンシートの持つ寸法誤差(シート毎に寸法誤差がある)を補正する方法は提示されておらず、現状のままのマルチ式ワイヤーソーではセラミックグリーンシートの切断の実用化は困難である。
【0012】
なお、マルチ式ワイヤーソーの公知例としては、下記特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4がある。
【0013】
【特許文献1】特開平5−185419号公報
【特許文献2】特開平8−323741号公報
【特許文献3】特開平9−155717号公報
【特許文献4】特開2003−19711号公報
【0014】
特許文献1では、うねりが小さく厚さの均一なウエハを安定して得る為のワイヤーソーによる被加工物の切断方法及び切断装置を示す。
【0015】
特許文献2では、シリコン半導体単結晶インゴット等をウエハ状に切断する際、ワイヤーソーのローラーを軸方向に変位させ、該ウエハの反りの大きさを自在に制御し得るワイヤーソー装置及び被加工物の切断方法を示す。
【0016】
特許文献3では、ワイヤー列に対し上下方向及び交差方向に移動自在なワークテーブルを備えたマルチ式ワイヤーソーにおいて、寸法精度が高く、生産性の優れたワイヤーソー装置及び被加工物の切断方法を示す。
【0017】
特許文献4では、内部密度が均一なセラミックス焼結体を複数個接着して、接着個所を避けてマルチ式ワイヤーソーで切断してセラミックス基板を製造する方法を示す。
【0018】
概説したように、いずれの特許文献においても、上記セラミックグリーンシート等のようにシート毎に寸法誤差を有する被加工物に対して、加工位置を補正する方法は提示されていない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ワイヤーを巻き掛けした複数のローラーを、相互の平行を保ったまま傾斜させることで、前記ローラー間に張られたワイヤー列による加工ピッチを可変調整可能とし、ひいてはセラミックグリーンシート等の寸法誤差を持つ被加工物に対して複数箇所の切断又は溝加工を同時に可能としたマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法及びマルチ式ワイヤーソーを提供することを目的とする。
【0020】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1の発明に係るマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法は、複数の溝を所定ピッチ間隔で有する対向するローラー間にワイヤーを巻き掛けしてワイヤー列を形成し、該ワイヤー列にて被加工物を加工する場合において、
前記対向するローラーを、平行に保ったまま前記ワイヤー列の走行方向又は被加工物に対して傾斜させて、前記ワイヤー列よる前記被加工物の加工ピッチを可変することを特徴としている。
【0022】
本願請求項2の発明に係るマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法は、請求項1において、前記対向するローラーを、平行に保ったまま水平面内で左方向又は右方向に傾斜させて前記ワイヤー列のピッチを可変することを特徴としている。
【0023】
本願請求項3の発明に係るマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法は、請求項1において、前記対向するローラーを、平行に保ったまま垂直面内で上方向又は下方向に傾斜させて前記ワイヤー列のピッチを可変することを特徴としている。
【0024】
本願請求項4の発明に係るマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法は、請求項1,2又は3において、前記被加工物と前記ワイヤー列のワイヤーとを撮像手段で撮像し、該ワイヤー列の加工位置及び加工ピッチを補正することを特徴としている。
【0025】
本願請求項5の発明に係るマルチ式ワイヤーソーは、複数の溝を所定ピッチ間隔で有する対向するローラー間にワイヤーを巻き掛けしてワイヤー列を形成し、該ワイヤー列にて被加工物を加工する構成において、
前記ワイヤー列による前記被加工物の加工ピッチを可変とする為に、前記対向するローラーを、平行に保ったまま前記ワイヤー列の走行方向又は被加工物に対して傾斜させるローラー揺動機構を備えたことを特徴としている。
【0026】
本願請求項6の発明に係るマルチ式ワイヤーソーは、請求項5において、前記被加工物と前記ワイヤー列のワイヤーとを撮像する撮像手段を有し、該撮像手段の撮像結果に基づき当該ワイヤー列の加工位置及び加工ピッチを補正することを特徴としている。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法及びマルチ式ワイヤーソーの実施の形態を図面に従って説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるマルチ式ワイヤーソーの概略図であり、マルチ式ワイヤーソーは、ワイヤーソー本体と、加工対象物であるセラミックグリーンシート等の被加工物1を水平に載置位置決めするワークテーブル2とを具備し、ワークテーブル2は昇降機能を有するZテーブルである。ワイヤーソー本体にはワイヤー供給リール3及びワイヤー巻取リール4が回転自在に設けられており、供給リール3から繰り出される鋼線から成る一本のワイヤーWは、該ワイヤーWの緩みを吸収するための張力制御機構51を経由して互いに平行に対向する1対のワークローラー(メインローラー)61,62間に複数回を巻掛けられた後、再び張力制御機構52を経由して巻取リール4に巻き取られる。ここで、1対のワークローラー61,62はローラー揺動機構6で回転自在に支持されかつ水平面内で左右方向に当該ローラー61,62の中心軸が傾斜可能となっている。
【0029】
図2(A)の平面図、(B)の斜視図のように、前記1対のワークローラー61,62は、水平面内で相互に平行配置されていて回転自在であり、各ワークローラー61,62は各々複数のワイヤー溝(外周を1周するように形成された溝)を一定のピッチ間隔で有しており、ワイヤーWは,各ワークローラー61,62を順次経由して一方のワイヤー溝から他方のワイヤー溝まで順次螺旋状に巻き掛けられ、ワイヤーWの各巻回の間隔が均一にとられている。これによって水平位置にある2本のワークローラー61,62の間にワイヤーの配列間隔(ピッチ)が均一なワイヤー列WLが形成される。
【0030】
そして、対をなすワークローラー61,62のうち1本のワークローラー、例えばワークローラー61を駆動モータにより正逆回転させることによりワイヤー列WLが往復直進運動を行う。
【0031】
この状態において、ワークテーブル2を上昇させて(又はワイヤー列WLを下降させて)被加工物1を下方から所定の力で往復直進運動するワイヤー列WLに押し当て、加工部に砥粒を含むスラリを供給しつつ所望のピッチ間隔で複数個に層状に切断する。
【0032】
上述のような、2本のワークローラー61,62を水平面内において平行配置状態に保ち、ワイヤー列WLの走行方向に対して直角(ワークローラーの傾斜角度θ=0°)になるよう設定したときワイヤーピッチは最大であり、この条件下で切断される被加工物1の加工ピッチの寸法も最大となる(図2中、2点鎖線位置)。また、図1のローラー揺動機構6で、ローラー61,62の中心軸を水平面内で左右方向に傾斜角度θ(θ>0)だけ傾斜させたとき(ワークローラーの中心軸がワイヤー列WLの走行方向に対して非直角となるとき)、平面視ワイヤー列は図2において示した如く、傾斜角度θを0°とした2点鎖線から実線のように変化する(ワイヤ間隔が狭まる、つまりワイヤーピッチが減少する)。このような傾斜角度θの条件下でワイヤー列で切断された被加工物1の加工ピッチ寸法は、傾斜角ゼロの時のcosθ倍となる。
【0033】
この第1の実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0034】
(1) 複数の溝を所定ピッチ間隔で有していて互いに平行を保って対向する1対のワークローラー61,62間にワイヤーWを巻き掛けしてワイヤー列WLを形成し、該ワイヤー列WLにて被加工物を加工(切断又は溝形成)する場合において、1対のワークローラー61,62を、平行に保ったままワイヤー列WLの走行方向に対して水平面内で左右に傾斜させることによって、前記ワイヤー列WLのピッチを可変調整できる。このため、微小ピッチで多数本の加工が必要な場合、例えば、コンデンサやコイル等のチップ部品を作製する際のセラミックグリーンシートの切断に適用可能である。
【0035】
従来、その切断には回転ブレード式のスライサや、刃物による押し切り切断が使われており、素材の伸び縮みがあるセラミックグリーンシート等の被加工物に対して、切断ピッチが固定のワイヤーソーによる同時切断は難しいとされてきた。本実施の形態の構成によれば、1つのワークローラー61,62の傾斜角θを変えることで、被加工物の伸縮等に起因する寸法誤差に対応させてワイヤー列WLのピッチを変えて切断等の加工が可能となる。
【0036】
(2) 従来ピッチが固定であるがゆえに使用できなかった被加工物の加工に対し、マルチ式ワイヤーソーが適応出来る様になり、1箇所づつ(ワイヤー1本づつ)加工する場合と比較して数十倍〜数百倍と大幅な生産性の向上が図れる。
【0037】
なお、上記第1の実施の形態では、対象となる被加工物がワークテーブル2で水平に支えられたセラミックグリーンシート(例えば、電極パターニングした厚膜セラミックグリーンシートを積層、圧着したもの)等であり、ワイヤー列WLの高さが揃っている必要があるため、ワークローラー61,62の揺動傾斜は水平面内における左右方向であるが、条件が許せば(例えば被加工物下面をテーブルで支持する必要が無い場合等)、上下方向(鉛直方向)への揺動傾斜であってもその効果は同じである。
【0038】
上下方向(鉛直方向)への揺動傾斜の例を図3(A),(B)に本発明の第2の実施の形態として示す。図3(A)は平面図、(B)は斜視図であり、互いに平行な1対のワークローラー61,62は図1のローラー揺動機構6で回転自在に支持されかつ上下方向に当該ローラー61,62の中心軸が傾斜可能となっている。なお、その他の機構は図1と同様である。
【0039】
この場合、ワークローラー61、62が水平位置(傾斜角度θ=0°)としたときを2点鎖線で示し、上方向又は下方向に所定の角度θ(θ>0)になるように傾けると、平面視ワイヤー列は図3において示した如く、2本のワークローラー61、62が水平となる位置(傾斜角度θを0°)とした一点鎖線から実線のように変化する(ワイヤーピッチ自体は不変だが水平配置の被加工物から見るとワークローラー61,62が傾斜した分、加工ピッチが狭まる)。このような傾斜角度θの条件下でワイヤー列で切断された被加工物1の加工ピッチ寸法は、傾斜角ゼロの時の加工ピッチのcosθ倍となる。
【0040】
図4及び図5を用いて画像処理を併用する本発明の第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態では、電極パターニングした厚膜セラミックグリーンシートを積層、圧着したものを所定のチップ部品のサイズ(例:3216、1608、1005、0402等、各々長辺と短辺を10−1mmで併記したもの)に切り出す工程を例にとって説明する。この場合、図4のように被加工物としての方形セラミックグリーンシート11に画像処理のための加工マーク(位置基準マーク)13を付しておき、これを撮像手段としてのカメラで撮像する構成とする。マルチ式ワイヤーソーは図1及び図2の構成と同様である。
【0041】
セラミックグリーンシート11に形成されたチップ部品群12は、該グリーンシート11の4隅に付した加工マーク13を基準点とした加工ピッチに補正したワイヤー列ピッチとしたマルチ式ワイヤーソーより、始めに横方向切断ラインHCLに沿って切り出される。この場合、切断位置及び加工ピッチの補正は加工マーク13の位置と加工マーク間の距離により行い、また、被加工物の寸法誤差分を按分して加工ピッチを算出し、等ピッチで切断する方法により行う。
【0042】
図5は、その場合のフローチャートであり、ピッチ可変機能を備えたマルチ式ワイヤーソーに併設した画像処理用カメラにより、先ず、被加工物としてのセラミックグリーンシートに付した加工マーク13を撮像して、その位置を検出することにより被加工物上の加工すべき位置(被加工物上の加工の始点)を決定する。次に、複数の加工マーク13間の距離を検出して、加工ピッチの補正を行い、予定加工寸法を決定する。引き続き、ワイヤー列を撮像して、その位置を検出することによりワイヤーで始めに加工すべき位置を決定する(被加工物上の加工の始点に一致させる)。更に、ワイヤー列ピッチを検出して、上記予定加工寸法とワイヤー列ピッチの差分(ワイヤー列のピッチの補正量)を演算し、図1の2本のワークローラー61,62をローラー揺動機構6で水平面内において右方向又は左方向に所定の角度θになるように傾斜駆動させ、平面視ワイヤー列のピッチを上記予定加工寸法に合致させる。再度、画像処理用カメラよりワイヤー列を撮像して、予定加工寸法に合致したワイヤー列のピッチの補正量の適正化を検証した後、ワイヤー列をワークテーブル上の被加工物へ下降させるか、或いはワークテーブルを上昇させるかして、被加工物をワイヤー列に接触させ、所望の寸法に切断することができる。
【0043】
セラミックグリーンシートをチップ部品に切り出す場合は、チップ部品の縦横寸法が前述の通り異なる(1.0×0.5mm等)。この場合の対応策は装置を2台用意し、図4の横方向切断ラインHCLに沿った切断は1台目の装置で行い、縦方向切断ラインVCLに沿った切断は2台目の装置でそれぞれ図5の工程フローに従って行えばよい。
【0044】
また、2台の装置を使用する他に、下記の方策がある。
【0045】
▲1▼ワークローラの2箇所の所定領域に所望の2つの寸法(ピッチ)でワイヤーを巻き付け、さらに被加工物(セラミックグリーンシート)をワークローラの軸方向に移動させて、各寸法領域で切断を行う。すなわち、図4の横方向切断ラインHCLはこれに対応する第1のピッチのワイヤー列の領域で切断処理を実行し、縦方向切断ラインVCLはこれに対応する第2のピッチのワイヤー列の領域で切断処理を実行する。この場合、ワークテーブル(図1のZテーブル)には、90°回転機能(θテーブル)が付加される。
【0046】
▲2▼ワイヤー列のピッチの異なるワークローラユニットを2箇所配置し、被加工物をユニット間で搬送して、所望の切断寸法を得る。
【0047】
上記のように、画像処理用カメラを併設したピッチ可変機能をもつマルチ式ワイヤーソーを用いることにより、被加工物毎の寸法のバラツキ、加工マークの位置のズレ等を補正するように、ワイヤー列による加工ピッチを微小変化させることが可能になり、高精度の加工が可能である。
【0048】
また、切断加工のように切り残った製品寸法が重要な場合の条件出しの際にも、画像処理用カメラを併設したピッチ可変機能をもつマルチ式ワイヤーソーは利用できる。
【0049】
加えて、加工条件等の変化により被加工物が目的の寸法にならない場合でも、ワークローラーを作り直すことなく加工ピッチを微小に調整することが可能になる。
【0050】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、従来のマルチ式ワイヤーソーは一度に多数の加工が可能であるが、ピッチを変化させ対象物に合わせて加工したり、加工寸法を微調整することが出来ないのが欠点であった。本発明によれば、ワイヤー列で被加工物を加工する際の加工ピッチを可変できるため、従来ピッチが固定であるがゆえに使用できなかった部材の加工(切断や溝加工)に対し、ワイヤーソーが適応出来る様になり、1箇所づつ加工する場合と比較して数十倍〜数百倍と大幅な生産性の向上が図れる。
【0052】
さらに、ワイヤー列のピッチを可変する機能と画像処理による位置補正機能を組み合わせることにより、被加工物の位置、寸法を微小に変化させた同時切断あるいは同時溝加工が可能となる。
【0053】
また、切断加工のように切り残った製品寸法が重要な場合の条件出しの際にも、ワイヤー列のピッチを可変調整することで対応でき、さらに、加工条件等の変化により被加工物が目的の寸法にならない場合でも、ローラーを作り直すことなく加工ピッチを微小に調整することで対応可能な利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法及びマルチ式ワイヤーソーの第1の実施の形態であって、概略装置構成を示す正面図である。
【図2】第1の実施の形態において、ワークローラの中心軸を水平面内で左右方向に傾斜させた状態であって、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態であって、ワークローラの中心軸を上下方向に傾斜させた状態であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
【図4】本発明の画像処理を併用する第3の実施の形態における被加工物としてのセラミックグリーンシートであって、加工マーク(位置基準マーク)を付した例を示す平面図である。
【図5】第3の実施の形態の場合の工程フローを説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 被加工物
2 ワークテーブル
3 ワイヤー供給リール
4 ワイヤー巻取リール
6 ローラー揺動機構
11 セラミックグリーンシート
12 チップ部品
13 加工マーク
51,52張力制御機構
61,62 ワークローラー
W ワイヤー
WL ワイヤー列
HCL 横方向加工ライン
VCL 縦方向加工ライン
θ 傾斜角度
Claims (6)
- 複数の溝を所定ピッチ間隔で有する対向するローラー間にワイヤーを巻き掛けしてワイヤー列を形成し、該ワイヤー列にて被加工物を加工するマルチ式ワイヤーソーを用いた加工方法において、
前記対向するローラーを、平行に保ったまま前記ワイヤー列の走行方向又は被加工物に対して傾斜させて、前記ワイヤー列よる前記被加工物の加工ピッチを可変することを特徴とするマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法。 - 前記対向するローラーを、平行に保ったまま水平面内で左方向又は右方向に傾斜させて前記ワイヤー列のピッチを可変する請求項1記載のマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法。
- 前記対向するローラーを、平行に保ったまま垂直面内で上方向又は下方向に傾斜させて前記ワイヤー列のピッチを可変する請求項1記載のマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法。
- 前記被加工物と前記ワイヤー列のワイヤーとを撮像手段で撮像し、該ワイヤー列の加工位置及び加工ピッチを補正する請求項1,2又は3記載のマルチ式ワイヤーソーを用いたピッチ可変式加工方法。
- 複数の溝を所定ピッチ間隔で有する対向するローラー間にワイヤーを巻き掛けしてワイヤー列を形成し、該ワイヤー列にて被加工物を加工するマルチ式ワイヤーソーにおいて、
前記ワイヤー列による前記被加工物の加工ピッチを可変とする為に、前記対向するローラーを、平行に保ったまま前記ワイヤー列の走行方向又は被加工物に対して傾斜させるローラー揺動機構を備えたことを特徴とするマルチ式ワイヤーソー。 - 前記被加工物と前記ワイヤー列のワイヤーとを撮像する撮像手段を有し、該撮像手段の撮像結果に基づき当該ワイヤー列の加工位置及び加工ピッチを補正する請求項5記載のマルチ式ワイヤーソー。
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