本発明は、ワークの切断時間を短くして生産性を向上させたワークの切断方法及びその方法を実施する切断装置に関する。
半導体装置の組立工程(後工程)には、半導体ウエハや樹脂封止基板等のワークを一括処理により切断して、多数の半導体装置(個片化ワーク)を得る切断工程(ダイシング加工工程)がある。続いて、切断工程の後には、洗浄工程や検査工程等が実行される。このようなワークの切断工程では、高精度な切断を可能にするため、ワークと切断刃との間の位置合わせ(アライメント)を行う必要がある。
例えば、特許文献1には、セラミックス基板に形成された複数の圧電素子等を個々のチップに分割する切削方法が開示されている。この方法によれば、予めアライメント情報として記憶させたパターン座標値を切削ライン毎にCPUから呼び出し、精密位置合わせを行いながら切削する。このため、切削ラインの基準パターンに位置ずれが生じても、圧電素子等のチップの切断を防止できる。
また、特許文献2には、半導体ウエハ等の被加工物を精密に切削するため、アライメントパターンのずれを補正してアライメントを行う方法が開示されている。
特開平09−52227号公報
特開2002−33295号公報
しかしながら、従来の切断装置では、ワーク一つの位置情報を取得してからその一つのワークを切断していた。特に、複数のワークを一度に切断ステージの上に載置して切断する場合でも、一つのワークの位置情報を取得してからその一つのワークを切断するという工程を複数のワークに対して繰り返し行っていた。
このように、一つのワークについての位置情報を取得してから切断するという工程を、複数のワークのそれぞれについて繰り返す場合、多大な時間がかかり切断装置のスループットが低下するという問題があった。
また、ワークの位置情報は撮像装置による画像情報に基づくが、ワーク切断中の切削液が撮像装置にかかることによって良好な画像情報を得ることができなくなるおそれがあった。
そこで本発明は、生産性を向上させた切断方法及び切断装置を提供する。また、ワーク切断時における撮像装置に対する切削液の影響を低減した切断方法及び切断装置を提供する。
本発明の一側面としての切断方法は、複数のワークを切断する切断方法であって、前記複数のワークを切断ステージの上に載置するステップと、撮像装置を用いて前記複数のワークを撮像することにより、前記複数のワークのうちの2以上のワークの位置情報を該複数のワークの切断前に取得するステップと、前記複数のワークの前記位置情報に基づいて、前記複数のワークの位置を調整しながら該複数のワークの全てを切断刃で切断するステップと、を有し、前記複数のワークの切断は、前記切断ステージに対する前記切断刃の移動距離が最短となる順序で行われ、前記複数のワークの位置を調整しながら前記複数のワークの1列に並べられた切断線を続けて切断する処理を行う。
本発明の他の側面としての切断装置は、複数のワークを切断する切断装置であって、前記複数のワークを搬送するローダと、複数の切断刃を備え、前記ローダにより搬送された前記複数のワークのうちの複数の第1のワークを第1の切断ステージの上で切断する第1の切断部と、複数の切断刃を備え、前記ローダにより搬送された前記複数のワークのうちの複数の第2のワークを第2の切断ステージの上で切断する第2の切断部と、前記第1の切断部および前記第2の切断部の動作を制御する制御部と、前記第1の切断部で切断された前記複数の第1のワーク及び前記第2の切断部で切断された前記複数の第2のワークを搬送するアンローダと、を有し、前記第1の切断部は、第1の撮像装置を備え、前記制御部は、前記第1の撮像装置を用いて前記複数の第1のワークを撮像することにより、前記複数の第1のワークのうちの2以上のワークの位置情報を該複数の第1のワークの切断前に取得するとともに、前記複数の第1のワークの前記位置情報に基づいて、前記複数の第1のワークの切断を、前記第1の切断ステージに対する前記切断刃の移動距離が最短となる順序で行い、前記複数の第1のワークの位置を調整しながら前記複数の第1のワークの1列に並べられた切断線を続けて切断する処理を行うことにより前記複数の第1のワークの全てを前記切断刃で切断ように制御し、前記第2の切断部は、第2の撮像装置を備え、前記制御部は、前記第2の撮像装置を用いて前記複数の第2のワークを撮像することにより、前記複数の第2のワークのうちの2以上のワークの位置情報を該複数の第2のワークの切断前に取得するとともに、前記複数の第2のワークの前記位置情報に基づいて、前記複数の第2のワークの切断を、前記第2の切断ステージに対する前記切断刃の移動距離が最短となる順序で行い、前記複数の第2のワークの位置を調整しながら前記複数の第2のワークの1列に並べられた切断線を続けて切断する処理を行うことにより前記複数の第2のワークの全てを前記切断刃で切断するように制御する。
本発明のその他の目的及び効果は、以下の実施例において説明される。
本発明によれば、ワークの生産性を向上させた切断方法及び切断装置を提供することができる。また、本発明によれば、ワーク切断時において撮像装置に対する切削液の影響を低減した切断方法及び切断装置を提供することができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
まず、本発明の実施例1における切断装置の構成及び動作について概略的に説明する。図1は、本実施例における切断装置1の平面配置を示す概略構成図である。
切断装置1は、半導体ウエハや樹脂封止基板等のワーク10a、10bを切断することにより、個片化ワーク11a、11b(個片化された半導体装置)を製造する装置である。図1に示されるように、切断装置1は、供給部100、加工部200、及び、収納部300から構成されている。
供給部100の前方には搬入部120が一体的に設けられている。搬入部120に配列された複数のワーク10のうち、加工部200へ供給するための複数のワーク10a、10bは、不図示の搬送手段により供給部100へ搬入される。供給部100内において、複数のワーク10a、10bはトレイ20の上に配列されている。供給部100内のワーク10a、10bは、X軸方向に移動可能な不図示の搬送手段により加工部200へ搬送され、切断ステージ30の上に載置される。ワーク10a、10bが加工部200へ搬送された後、加工対象である新たなワークが搬入部120から供給部100へ搬入される。
なお、本実施例では、トレイ20の上には2個のワーク10a、10bが配列されているが、これに限定されるものではない。例えば、トレイ20の上に3個以上のワークを配列させ、3個以上のワークを同時に加工部200へ供給するように構成することもできる。
なお、トレイ20には、ワーク10を1個ずつ収納するための収納穴が複数個(本実施例では2個)形成されている。この収納穴は、ワーク10を容易に収受できるようにワーク10の外形寸法よりも若干大きく形成されており、ワーク10に対して小さな隙間ができるようになっている。このため、トレイ20に収納されたワーク10は、互いに若干ずれたり傾いたりした状態となる。
加工部200は、切断ステージ30、撮像装置50、スピンドル60、切断刃70、及び、制御部80から構成されている。
切断ステージ30は、Y軸方向(同図の上下方向)に移動可能である。また、切断ステージ30は、複数のワークをエア吸引などによって所定位置に固定可能に構成されている。なお、同図では2個のワークが載置された切断ステージ30が図示されているが、複数行複数列の行列状(マトリックス状)に配列されたワークを固定可能な切断ステージを採用することも可能である。
切断ステージ30は、不図示の搬送手段から複数のワーク10a、10bを受け取った後、スピンドル60の先端部に取り付けられた切断刃70でワーク10a、10bを切断(加工)するため、Y軸方向(同図の上方向)に移動する。なお、ワーク10は、切断ステージ51上に載置される際の受け渡しによって、若干ずれたり傾くことがある。また、切断ステージ30は、ワーク10a、10bの切断により形成された個片化ワーク11a、11bを収納部300へ搬送するため、Y軸方向(同図の下方向)に移動する。
また、切断ステージ30は、XY平面内でX軸およびY軸と直交するZ軸を中心として回転可能に構成されている。このため、切断刃70に対するワーク10a、10bの傾きが任意に設定可能となっている。換言すれば、切断ステージ30に載置されたワーク10a、10bの切断方向を任意に設定することができる。切断ステージ30における回転位置は、制御部のメモリに記憶された切断プログラムに基づいて制御される。また、切断ステージ30における回転位置は、後述のとおり、撮像装置50から得られた位置情報に基づいて微調整される。
撮像装置50は、スピンドル60に取り付けられており、ワーク10a、10bを切断する前にワーク10a、10bと切断刃70との間の位置合わせ及び角度調整を正確に行うために設けられている。撮像装置50により取得されたワーク10a、10bの位置情報に基づいて、ワーク10a、10bと切断刃70との間の位置合わせ及び角度調整が行われるため、ワーク10a、10bを高精度に切断することが可能となる。
スピンドル60は、不図示の駆動手段(モータ)により回転可能に構成されている。スピンドル60が回転することにより、その先端部に取り付けられた切断刃70が回転し、ワーク10a、10bを切断することが可能となる。また、スピンドル60は、X軸方向(同図の左右方向)及びZ軸方向(紙面奥行き方向)に移動可能に構成されている。これにより、スピンドル60のX軸方向及びZ軸方向の位置を制御することで、ワーク10a、10bの切断位置をX軸方向において変えると共に、切込み深さを変えることができる。上述のとおり、ワーク10a、10bの切断位置は、撮像装置50により得られる位置情報に基づいて決定される。また、スピンドル60には、切断刃70に向けて切削液を吐出可能なノズルが設けられている。ワーク切断時、ノズルは図外の切削液供給装置から供給された切削液を切断刃70に向けて吐出することで、切断に伴って生じる切り屑を除去する。
制御部80は、加工部200における切断ステージ30、撮像装置50、スピンドル60、及び、切断刃70の各動作を制御する。また、制御部80は、後述のアライメントマークの本来位置すべき座標情報と実際に位置する座標情報とを記憶可能に構成されたメモリを備えている。なお、このメモリには、切断するワークに応じて、アライメントマークの本来位置すべき座標が切断加工の前に予め記憶される。
なお、本実施例の加工部200には、スピンドル60及び切断刃70がそれぞれ1つ設けられているが、これに限定されるものではない。スピンドル及び切断刃の組を2つ以上設けることもできる。複数の切断刃を設けることにより、ワーク10a、10bの切断時間をさらに短縮し、生産性を向上させることが可能となる。
切断ステージ30の上に載置されたワーク10a、10bは、切断刃70により切断され、個片化ワーク11a、11bに加工される。なお、ワーク11a、11bは、例えば複数の半導体チップが1個の基板上にマップ状に一括封止された樹脂封止基板を半導体チップごとに分けるように個片化されたものであり、例えばCPUなどのようにそこで加工が完了しているものであってもよいし、後の工程でさらに加工される半製品であってもよい。個片化ワーク11a、11bを載置した切断ステージ30は、Y軸方向(同図の下方向)へ移動する。不図示の搬送手段は、切断ステージ30の上に載置された個片化ワーク11a、11bを吸着してX軸方向へ移動し、個片化ワーク11a、11bを収納部300へ搬送する。
収納部300には、洗浄・検査部90が設けられている。洗浄・検査部90は、洗浄部と検査部とを備える。洗浄部は、加工部200から搬送された個片化ワーク11a、11bの切断面等を洗浄する。また検査部は、洗浄された個片化ワーク11a、11bの一つ一つについて、外観検査や導通検査等の検査を実施し、それぞれの個片化ワーク11a、11bが良品か否かを判定する。検査に合格した個片化ワーク11a、11bは、トレイ92の中に収納される。なお、収納部300内では洗浄のみを行って外部装置で検査する構成を採用することもできる。
次に、本実施例の切断装置において、切断ステージの上に載置された複数のワークの切断方法について詳細に説明する。図2は、切断ステージ30の上に載置されたワーク10a、10bの配置を示す平面図である。
図2に示されるように、切断ステージ30の上には、切断対象となるワーク10a、10bが載置されている。ただし、上述のような理由により、図2において、ワーク10bが載置されている実際の位置702(実線で示される長方形)は、本来載置されるべき理想的な位置701(破線で示される長方形)から僅かな角度だけずれてしまうことがある。なお、実際には、ワークの傾きは製品寸法精度上無視できない大きさであるが、後述のアライメントマークのずれが撮像装置50の視野内に収まる程度に小さい。同図においては発明理解の容易化のため、ワーク10bの傾きが誇張されて図示されている。
このように、切断ステージ30の上に載置されるワーク10a、10bの実際の位置(角度)は、試行毎に異なる。このため、切断ステージ30の上に載置されたワーク10a、10bを精度よく切断するには、実際のワーク10a、10bの位置(角度)を正確に把握し、切断刃とワークの切断箇所との位置合わせを行う必要がある。
本実施例において、切断刃とワークの切断部との位置合わせ及び角度調整は、撮像装置50を用いて行われる。撮像装置50は、それが取り付けられたスピンドル60の移動に伴って、X軸方向(左右方向)に移動可能に構成されている。一方、切断ステージ30は、Y軸方向(同図の上下方向)に移動可能であり、また、回転軸601を中心としてXY平面内で回転可能に構成されている。
このように、撮像装置50と切断ステージ30との間のXY平面に関する相対的位置は、撮像装置50及び切断ステージ30を移動させることにより変化させることができる。このため、撮像装置50による画像撮像時には、撮像装置50及び切断ステージ30を移動させることにより、撮像装置50は、切断ステージ30上に載置されたワークの任意の位置を撮像することが可能である。
なお、本実施例では、撮像装置50と切断ステージ30との間の相対的位置を変えることができれば、その方法は限定されない。例えば、撮像装置50の位置を固定し、切断ステージ30がXY平面内を任意に移動できるように構成してもよい。
撮像装置50は、スピンドル60と共に切断ステージ30の上方(Z軸方向)に配置されており、下方に位置する切断ステージ30の画像を撮像する。制御部80は、撮像装置50により撮像された画像に基づいて、ワーク10a、10bの位置情報を取得する。
具体的には、ワーク10aには、切断箇所を示す10個のアライメントマーク401a〜401j(これらを特に区別しないときには「アライメントマーク401」という)が設けられている。同様に、ワーク10bには、切断箇所を示す10個のアライメントマーク402a〜402j(これらを特に区別しないときには「アライメントマーク402」という)が設けられている。アライメントマーク401、402は、ワーク10a、10bの端部近傍に設けられており、これらのアライメントマークの2点を結ぶ線(同図の破線)がワーク10a、10bの切断線501(切断箇所)となる。
撮像装置50は、制御部80のメモリに記憶されたアライメントマーク401、402が本来位置すべき配置予定位置を用いた制御に従って、これらのアライメントマーク401、402の位置を撮像し、制御部80がこれらの位置情報を取得することにより、ワーク10a、10bを高精度に切断することが可能となる。
本実施例では、図2中の右下に位置している撮像装置50は、切断ステージ30に対して、後述する特定方法によって特定される図2の二点鎖線351の軌跡のように移動しながらワーク10a、10bの位置情報を取得していく。すなわち、撮像装置50は、図2中の右下の初期位置から左方向にまず移動する。この際に、撮像装置50は、同図に示されるように、ワーク10bの4つのアライメントマーク402を撮像した後に、ワーク10aの4つのアライメントマーク401を撮像する。その後、撮像装置50は、アライメントマーク401、402の撮像を行いながら、同図中の上方向、右方向、上方向、及び、左方向と移動する。このようにして、撮像装置50は、複数のワーク10a、10bの取得を並行して行って、ワーク10a、10bの全てのアライメントマーク401、402の位置情報を取得する。この場合、位置情報の取得を2個のワーク10a、10b毎に行う場合と比較して、位置情報の取得を並行して行うことで撮像装置50の移動量を減らすことが可能となっている。本実施例では、撮像装置50を用いて複数のワーク10a、10bを撮像することにより、複数のワーク10a、10bの全ての位置情報を複数のワーク10a、10bの切断前に取得する。
次に、本実施例における位置情報取得順序の特定方法について詳細に説明する。図3は、本実施例における位置情報の取得順序を特定するフローである。
制御部80は、位置情報の取得を行う前に、ワーク10a、10bの位置情報を取得する際の位置情報取得順序設定処理を実行する。この処理において、制御部80はまずステップS101においてメモリに記憶された複数の位置情報取得点(アライメントマーク)の間の距離を全て算出する。この場合、ワーク10aにおける10個のアライメントマーク401a〜401j間の距離及びワーク10bのアライメントマーク402a〜402j間の距離のように同一のワークにおけるアライメントマークの距離のみならず、2個のワーク10a、10bにおけるアライメントマーク401、402間の距離のように異なるワークのアライメントマーク間の距離も算出する。
次いで、制御部80は、ステップS102において、ワーク10a、10bの全てのアライメントマーク401、402を重複させずに並べた順列の各々についてのアライメントマーク間の距離の総和(総距離)を算出していき、全順列の各々についての総距離を算出する。そして制御部80は、ステップS103において、全順列のうち総距離が最小値となる順列を特定する。撮像装置50は、以上のステップにより特定された総距離が最小値となる順列(軌跡)に従って、ワーク10a、10bの位置情報を取得していく。
なお、上述したような配置の場合には、撮像装置50がワーク10a、10bをまたいで切断ステージ30上を蛇行するように移動する軌跡が最も移動距離(総距離)を小さくできるが、この軌跡は切断するワークの切断位置や配置によって異なる。
このように、図3に示されるフローによれば、複数のワークの位置情報は、切断ステージに対する撮像装置の移動距離(相対移動距離)が最短となるように取得される。このため、短時間で位置情報を取得することが可能となる。
撮像装置50は、切断ステージ30に対して、図2の二点鎖線で示される軌跡でワーク10a、10bの位置情報を取得することにより、ワーク10a、10bの位置情報の取得を短時間で行うことができる。このため、切断装置1のスループットを向上させることが可能となる。また、本実施例のように、必要に応じて複数のワーク10の位置情報を並行して取得することもできるため、ワークが増加したときにも位置情報の取得を効率的に行うことができる。
なお、図3のフローは最小移動距離を算出するフローであるが、これに限定されるものではない。例えば、ワークの位置情報を最小時間で取得可能な取得順序を算出するように構成してもよい。
次に、本実施例におけるアライメントマーク(位置情報)の取得順序について説明する。図4Aは、本実施例における位置情報の取得順序を示す平面図である。
図3に示されるフローにより特定された順列(軌跡352)に従い、撮像装置50は、ワーク10a、10bのアライメントマーク401、402の位置を撮像する。制御部80は、撮像装置50により取得された位置情報および撮像情報に基づいて、各アライメントマークの位置を算出する。
本実施例では、図4Aに示されるように、撮像装置50は、まずワーク10bのアライメントマーク402dの上方位置(Z軸方向)に移動してアライメントマーク402dの周辺画像を撮像する。撮像装置50は、その後、アライメントマーク402e、402f、402gの順に移動して撮像する。
次に、撮像装置50は図4A中の左方向に移動して、ワーク10aのアライメントマーク401d、401e、401f、401g、401h、401cの順に移動して撮像する。その後、撮像装置50は図4A中の右方向に移動して、ワーク10bのアライメントマーク402h、402c、402b、402a、402j、402iの順に移動して撮像する。
そして、撮像装置50は図4A中の左方向に移動して、ワーク10aのアライメントマーク401b、401a、401j、401iの順に移動して撮像し、全ての画像の取得を完了する。
撮像装置50は、上記特定方法で特定された以上のような順序で全てのアライメントマーク401、402の画像を取得することにより、短時間で全てのアライメントマークの画像情報を取得することができる。
なお、本実施例では、X軸方向における移動は撮像装置50で行われ、Y軸方向における移動及びXY平面内での回転は切断ステージ30で行われる。ただし、これに限定されるものではなく、撮像装置50と切断ステージ30との間の相対的位置を変化させることができれば、例えば全ての移動を切断ステージ30又は撮像装置50のいずれか一方で行う等、異なる方法を採用してもよい。
次に、本実施例におけるワーク10a、10bの切断順序について詳細に説明する。図4Bは、本実施例における切断順序を示す平面図である。
本実施例においては、スループットを向上させるため、短時間で切断が完了する順序で切断が行われる。複数のワークの切断順序は、既に取得されている複数のワークの位置情報に基づいて決定される。例えば、本実施例において、複数のワーク10a、10bの切断は、切断ステージ30に対する切断刃70の移動距離(相対移動距離)が最短となる順序で行われる。
この切断工程では、制御部80が切断ステージ30及びスピンドル60を制御し、切断刃70で2個のワーク10a、10bを適宜の順序で切断することで、4個の個片化ワーク11a、11bとする(図4E参照)。この工程では、まず、制御部80は、切断ステージ30及びスピンドル60を制御し、一例として、一方のワーク10aのアライメントマーク401j、401fを結ぶ切断線501aと切断刃70とを一直線上に位置させるように位置合わせを行う。
具体的には、制御部80は、切断ステージ30を回転させて切断線501aと切断刃70とを平行にすると共に、スピンドル60をX軸方向に移動させて切断線501aと切断刃70とを一直線上に配置させる。また、スピンドル60をZ軸方向に下動させ、所定の切込み量となるように切断刃70をZ軸方向(Z軸座標)の所定位置に配置させる。例えば、切断刃70の下端がワークよりも下に位置するようにして、ワークの全厚において切断するように位置させる。次いで、切断刃70は、ノズルから切削液が吐出された状態で、位置合わせされた切断線501aに沿って、ワーク10aを図4B中の上から下(矢印方向)へ切断する。その後、制御部80は、切断刃70を一旦上動させて、切断刃70をZ軸方向においてワーク10aから離間させる。
続いて、制御部80は、同じワーク10aのアライメントマーク401a、401eを結ぶ切断線501bと切断刃70とが一直線上に位置するように、スピンドル60のX軸方向及びZ軸方向の位置を制御する。また、制御部80は、切断刃70が切断線501bの手前(同図矢印の上端)に位置するように、切断ステージ30をY軸方向に移動させる。この場合、ワーク10aにおける2本の切断線501a、501bは平行であるため、切断ステージ30を回転させる必要はない。なお、必要に応じて、ワーク10aにおける2本目の切断線501bの切断前に、切断ステージ30を回転させてもよい。
続いて、切断刃70は、その切断線501bに沿って、ワーク10aを上から下(矢印方向)へ切断する。これにより、ワーク10aの長手方向における切断は完了する。
次に、制御部80は、切断ステージ30及びスピンドル60をワーク10aの切断と同様に制御して、他方のワーク10bにおける長手方向の切断を行う。この際に、切断刃70は、ワーク10bのアライメントマーク402j、402fを結ぶ切断線501cに沿って、ワーク10bを上から下(矢印方向)へ切断する。その後、切断刃70は、アライメントマーク402a、402eを結ぶ切断線501dに沿って、ワーク10bを上から下(矢印方向)へ切断する。これにより、ワーク10bの長手方向における切断は完了する。
図4Bに示されるように、例えばトレイ20の隙間などに起因してワーク10bは所定の角度θだけ傾いて配置されることがある。このため、ワーク10bの切断前に、切断ステージ30を回転軸601を中心としてXY平面内で回転させ、ワーク10bの長手方向がY軸方向と平行になるようにワーク10bの角度を補正する必要がある。
ワーク10a、10bの長手方向における切断が完了した後、切断ステージ30を約90度回転させて次の切断線に切断刃70が沿うような角度に調整すると共に、上述したような位置合わせを行う。
図4C及び図4Dは、切断ステージ30を約90度回転した後において、ワーク10a、10bの切断順序を示す平面図である。図4Cに示されるように、ワーク10aは、切断線501a、501bに沿って切断されたことにより、切断境界502a、502bで3つに分割されている。同様に、ワーク10bは、切断線501c、501dに沿って切断されたことにより、切断境界502c、502dで3つに分割されている。
この状態で、ワーク10a、10bの短手方向における切断を行う。まず、切断刃70は、ワーク10aのアライメントマーク401g、401dを結ぶ切断線501eを上から下へ(矢印方向に)切断する。切断線501eに沿ってワーク10aが切断されると、図4Dに示されるように、切断境界502eが形成される。
ここで、ワーク10bは所定の角度θだけ傾いて配置されている。このため、ワーク10bの切断前に、切断ステージ30を回転軸601を中心として角度θだけ回転させ、ワーク10bの短手方向がY軸方向と平行になるように傾きを補正する。また、ワーク10bのアライメントマーク402g、402dを結ぶ次の切断線501fと切断刃70とが一直線上に位置するように、位置を補正する。この場合、ワーク10a、10bにおける2本の切断線501e、501fがほぼ一直線上に配置されているため、スピンドル60をZ軸方向において上下動させる必要がない。
なお、同図に示されるように、隣接するワーク10a、10b同士が十分に離されて配列されているような場合には、スピンドル60をZ軸方向において上下動させる必要がない。ただし、ワーク10a、10b同士が十分に離されて配列されていない場合には、一旦スピンドル60をZ軸方向において上下動させてワークから切断刃70を離間させた状態で、位置合わせ及び角度調整を行うこともできる。
ワーク10bの位置を補正した後、切断刃70は、位置合わせされた切断線501fに沿って、上から下へ(矢印方向に)ワーク10bを切断する。この際に、切断線501fと切断刃70とが一直線上に位置するようにワーク10bの位置が補正されているため、切断刃70はワーク10bを高精度に切断することができる。
次に、切断刃70は、切断ステージ30に対して、右上に移動し、ワーク10aのアライメントマーク401h、401cの間を結ぶ切断線501gに沿ってワーク10aを切断する。このとき、切断ステージ30を角度θだけ逆に回転させて、ワーク10aの短手方向がY軸方向と平行になるように、ワーク10aの位置を補正する。
その後、上述と同様に、2個のワーク10a、10bの切断を並行して行っていき、切断線501h、501i、501jの順にワーク10a、10bを切断する。図4Eは、ワーク10a、10bの切断線501a〜501jの全ての切断が完了した状態を示しており、本実施例における切断後(個片化後)のワークを示す平面図である。
このように、本実施例では、取得した位置情報に基づき位置合わせを行いながら、2個のワーク10a、10bの切断を並行して行っている。このため、2個のワーク10a、10bを個別に切断する場合と比較して、切断刃70のXY平面上における移動量を減らすことができる。さらに、スピンドル60の上下動の回数も減らすことが可能である。これにより、例えば、複数行及び複数列のマトリックス状にワークが並べられるような場合でも、ワークの切断を効率的に行うことができる。
図4Eに示されるように、切断後のワーク10aは、2つの個片化ワーク11aに分割される。個片化ワーク11aは、切断境界502a、502b、502e、502gで区分された個片化ワーク11aa、及び、切断境界502a、502b、502g、502iで区分された個片化ワーク11abを有する。
同様に、切断後のワーク10bは、2つの個片化ワーク11bに分割される。個片化ワーク11bは、切断境界502c、502d、502f、502hで区分された個片化ワーク11ba、及び、切断境界502c、502d、502h、502jで区分された個片化ワーク11bbを有する。
上述のとおり、本実施例の切断装置1は、ワーク10aを切断して2つの個片化ワーク11aa、11abに分割し、また、ワーク10bを切断して2つの個片化ワーク11ba、11bbに分割する。ただし、本実施例はこれに限定されるものではない。例えば、各々のワークを3つ以上の個片化ワークに分割するように構成することもできる。
本実施例の切断装置は、複数のワークの位置情報に基づいて、複数のワークの位置を調整しながら複数のワークの全てを切断刃で切断する。このとき、複数のワークの位置情報を短時間で取得し、また、複数のワークを短時間で切断する。このため、本実施例によれば、ワークの生産性を向上させた切断方法及び切断装置を提供することができる。
また、本実施例では、複数のワークを切断する前に、複数のワークの全ての位置情報を取得する。通常、ワークの切断は、切断により生じる切り屑を除去するため、ワークの切断部に切削液を供給しながら行われる。位置情報の取得及び切断をワーク毎に行うと、撮像装置に対する切削液による影響で、高精度な位置情報を短時間で得ることができなくなるおそれがある。
この点、本実施例における撮像装置は、複数のワークの切断前に、全てのワークに関する位置情報の取得を完了する。このため、本実施例によれば、ワーク切断時において、撮像装置に対する切削液による影響をなくした切断方法及び切断装置を提供することができる。
次に、本発明の実施例2における切断装置の構成について説明する。
図5A、5Bは、本実施例における切断装置2の概略構成図である。図5Aは、一点鎖線で示したローダ40が切断対象となる複数のワーク12を搬送する状態を示している。図5Bは、切断ステージ31、32に載置されたワーク12が切断部210、220で切断され、ローダ40が供給部101へ戻る状態を示している。
切断装置2は、半導体ウエハや樹脂封止基板等のワーク12を切断して、ワーク13(切断された半導体装置)を製造する。図5Aに示されるように、切断装置2は、供給部101、加工部201、及び、収納部301から構成されている。
供給部101は、加工部201へ供給するための複数のワーク12を有する。供給部101において、不図示の外部装置からスタック状態で搬入されたトレイ21の上には、複数のワーク12が配列されている。なお、図5Aにおいて、トレイ21の上には平面視が略正方形の10個のワーク12が5行2列のマトリックス状(行列状)に等間隔で配列されているが、複数のワーク12の個数や配置の形態は、これに限定されるものではなく、所定の行数及び列数として10個以外の数のワーク12を異なる形態で配列させてもよく、ワーク12を異なる間隔で配列させてもよい。
トレイ21は、供給部101の内部において、不図示の移動部材により、Y軸方向に搬送される。トレイ21は、複数のワーク12を配列した状態でY軸方向に移動し、供給部101の引渡し位置(ローダ40の軌道上の位置)において、複数のワーク12をローダ40(ワーク搬送装置)に引き渡す。具体的には、トレイ21の中のワーク12は、ローダ40により吸着され、ローダ40の吸着部に保持される。
トレイ21は、複数のワーク12をローダ40に引き渡した後、ワーク12が搭載されていない空のトレイ21aとなって供給部101のトレイ12の搬入位置とは反対側の所定位置(同図の上部)に移動する。このような処理は、切断装置2の加工部201による一度の切断処理が完了するごとに、繰り返される。このため、ワーク12がローダ40に引き渡された空のトレイ21aは、供給部101の所定位置において積み上げられていく。
ローダ40は、トレイ21から複数のワーク12を吸着して引き受けた後、X軸方向(図5A中の右方向)において供給部101から収納部301まで延在する軌道上を移動してワーク12を搬送する。このため、ローダ40は、複数のワーク12を吸着し、供給部101と加工部201との間を移動可能に構成されている。
ローダ40に吸着された複数のワーク12は、X軸方向に搬送される。ローダ40は、切断ステージ31(第1の切断ステージ)の上に到達すると、複数のワーク12の一部であるワーク12a(第1のワーク)の吸引を止め、ワーク12aを切断ステージ31の上に載置する。
なお、図5Aにおいて、切断ステージ31の上に載置されるワーク12aとして、マトリックス状に配列されたワーク12のうち、行列方向において一個おきのワーク12aで構成された千鳥配置の5個のワーク12aが示されているが、これに限定されるものではない。ローダ40(ワーク搬送装置)は、単数又は複数個のワーク12aを吸着して搬送し、切断ステージ31の上に載置するように構成されていてもよい。また、ワーク12aの配置形態も千鳥配置に限定されるものではなく、他の配置でもよい。
ローダ40は、切断ステージ31の上にワーク12aを載置した後、さらにX軸方向に移動して、残りのワーク12b(第2のワーク)を搬送する。この間、ワーク12bは、ローダ40に吸着された状態を維持する。ワーク12bは、ローダ40に吸着された複数のワーク12のうち、ワーク12aを除いた複数(5個)のワークであり、千鳥配置に吸着された状態となっている。
ローダ40は、ワーク12bを吸着したままX軸方向に移動し、切断ステージ32(第2の切断ステージ)の上に到達すると、ローダ40に吸着されたワーク12bの吸引を止め、ワーク12bを切断ステージ32の上に載置する。
なお、図5Aにおいて、切断ステージ32の上に載置されるワーク12bとして、千鳥配置の5個のワーク12bが示されているが、これに限定されるものではない。ローダ40は、単数又は複数のワーク12bを吸着して、切断ステージ32の上に載置するように構成されていてもよい。また、ワーク12bの配置形態も千鳥配置に限定されるものではなく、他の配置でもよい。これらの点は、ワーク12aと同様である。
このように、ローダ40に吸着された複数のワーク12のうち、ワーク12aは切断ステージ31の上に載置され、ワーク12bは切断ステージ32の上に載置される。このため、本実施例において、ローダ40は供給部101と加工部201の切断ステージ32との間をX軸方向(左右方向)に移動可能に構成されている。
加工部201は、ワーク12aを切断するための切断部210(第1の切断部)、及び、ワーク12bを切断するための切断部220(第2の切断部)を備える。
切断部210は、切断ステージ31、撮像装置51(第1の撮像装置)、スピンドル61、及び、切断刃71を有する。切断部210の動作を制御する不図示の制御部は、切断ステージ31の上に載置された複数のワーク12aを切断するため、切断ステージ31をY軸方向(矢印方向)に移動させる。
切断刃71は、スピンドル61の先端部に取り付けられている。スピンドル61は、不図示の駆動手段(モータ)により回転可能に構成されている。スピンドル61が回転することにより、その先端部に取り付けられた切断刃71が回転し、ワーク12aを切断することが可能となる。また、スピンドル61はX軸方向に移動可能に構成されており、ワーク12aの切断位置をX軸方向において変えることができる。ワーク12aの切断位置は、撮像装置51により取得される位置情報に基づいて決定される。これらの点は、実施例1と同様である。
また、切断部210には、切断刃71と対向して回転軸が同軸線上(又は平行)となるように切断刃72が設けられている。切断刃72は、スピンドル62の先端部に取り付けられている。スピンドル62は、スピンドル61と同様に、不図示の駆動手段(モータ)により回転可能に構成されている。スピンドル62が回転することにより、その先端部に取り付けられた切断刃72が回転し、ワーク12aを切断することが可能となる。
切断部220は、切断部210と同様に、切断ステージ32、撮像装置52(第2の撮像装置)、2本のスピンドル63、64、及び、2個の切断刃73、74を有する。切断部220は、切断部210と同等の構成を有し、切断ステージ32上のワーク12bを切断刃73、74によって切断可能に構成されている。
図5Bに示されるように、切断ステージ31、32は、複数のワークをエア吸引などによって所定位置に固定可能に構成されている。なお、同図では5個のワークが載置された切断ステージ31、32が図示されているが、複数行複数列の千鳥配置や複数行複数列の行列配置(マトリックス状)に固定可能な切断ステージを採用することも可能である。また、切断ステージ31、32は、X軸及びY軸と直交するZ軸を中心としてそれぞれ回転可能に構成されている。このため、切断ステージ31、32に載置されたワーク12a、12bの切断方向を任意に設定することができる。切断ステージ31、32における回転位置は、不図示の制御手段のメモリに記憶された切断プログラムに基づいて制御される。また、切断ステージ31、32の回転位置は、撮像装置51、52から得られた位置情報(画像情報)に基づいて微調整される。例えば、切断ステージ31、32は、切断刃71〜74によりワーク12a、12bの向かい合う二辺が切断された後に90度回転し、ワーク12a、12bの他の二辺を切断するように構成される。
ローダ40は、ワーク12a、12bを切断ステージ31、32にそれぞれ載置した後、図5B中の左側方向(矢印方向)に進み、次の複数のワーク12を加工部201へ搬送するため、供給部101へ戻る。供給部101には、次のワーク12を配列したトレイ21が準備されており、供給部101の所定位置に戻ったローダ40は、このトレイ21から次のワーク12を吸着する。
次に、本実施例の切断装置2におけるワーク12a、12bの位置情報の取得方法について説明する。なお、ワーク12a、12bの位置情報の取得方法は、ワークの配置が互いに左右逆となる以外、それぞれ同一である。このため、以下の説明では、ワーク12aについてのみ説明する。また、各ワーク12a、12bの切断方向を同じにするため、切断の前後に切断ステージ32を180度ずつ回転させてもよい。
図6は、本実施例におけるワーク12aの位置情報の取得順序を示す平面図である。なお、位置情報取得順序の特定方法については、上述した実施例と同様の方法について行うものとする。図6(a)は上述の方法により特定された第1の取得順序であり、図6(b)はその特定方法において重み付けを更に付加して特定された第2の取得順序の例を示している。図6(a)、(b)に示されるように、切断ステージ31の上には、5個のワーク12a(12aa〜12ae)が千鳥配置で載置されている。
各々のワーク12aには、位置合わせのため、切断の際の基準位置となる3つのアライメントマーク412が角部近傍に1つずつ配置されるように設けられている。なお、本実施例において、各々のワーク12aには3つのアライメントマーク412が設けられているが、これに限定されるものではなく、要求される精度によっては2つでもよく4つ以上のアライメントマークを設けてもよい。
本実施例において、撮像装置51はスピンドル61に取り付けられている。スピンドル61はX軸方向(矢印方向)に移動可能であるため、撮像装置51もX軸方向に移動することができる。一方、切断ステージ31はY軸方向(矢印方向)に移動可能である。このため、撮像装置51又は切断ステージ31を移動させることにより、撮像装置51は、切断ステージ31の上方から任意の位置の画像を撮像することができる。
図6(a)に示される第1の取得順序において、撮像装置51はまずワーク12aaの位置まで移動し、ワーク12aaの3つのアライメントマーク412(位置情報)を取得する。その後、撮像装置51は、ワーク12aaの右下近傍に配置されているワーク12abの位置に移動し、ワーク12aaの場合と同様に、ワーク12abの位置情報(アライメントマーク)を取得する。続けて、切断ステージ31をY軸方向に移動させながらスピンドル61をX軸方向に往復させることにより、撮像装置51は、ワーク12ac、12ad、12aeの順に、各ワークの位置情報を取得する。
図6(a)に示される第1の取得順序によれば、切断ステージ31はY軸方向に一度移動させるだけでよく、撮像装置51が取り付けられたスピンドル61の移動量も最小限に抑えることができる。これにより、全てのワーク12a(12aa〜12ae)の位置情報は、切断ステージ31に対する撮像装置51の移動距離(相対移動距離)が最短となるように取得される。このため、切断装置2のスループットを向上させることが可能になる。
なお、上述したように撮像装置51を移動させる総距離が最小となるように特定された第1の取得順序を用いる方法に替えて、撮像装置51を移動させる時間の総和が最小となるように特定してもよい。すなわち、上述した特定方法のアライメントマーク間の距離を算出するステップにおいて、算出した距離に移動速度を積算する重み付けを行うことで、アライメントマーク間の移動に要する時間が算出される。この場合、このX方向の移動速度はスピンドル61の送り速度に相当し、Y方向の移動速度は切断ステージ31の送り速度に相当する。次ステップでは、総距離に替えて位置情報の取得に要する総時間が算出され、最終ステップでは、位置情報の取得に要する時間を最小にすることができる順列が特定される。このようにして、図6(b)に示されるような取得順序が特定される。
図6(b)は、ワーク12aの第2の取得順序を示している。第2の取得順序は、ワーク12aaの位置情報(3つのアライメントマーク412の位置情報)を取得した後、Y軸方向(同図の下方向)においてワーク12aaに最も近い位置に配置されたワーク12acの位置情報を取得する。次にワーク12aeの位置情報を取得し、その後、ワーク12aeの右上近傍に配置されたワーク12adの位置情報を取得する。最後にワーク12abの位置情報を取得することにより、ワーク12aa〜12aeの位置情報が全て取得される。
図6(b)に示される第2の取得順序において、切断ステージ31に対する撮像装置51の移動距離は、図6(a)に示される第1の取得順序より大きい。しかし、第2の取得順序によれば、スピンドル61によるX軸方向の移動量を小さくすることが可能となる。このため、スピンドル61によるX軸方向の移動速度が遅い場合、第2の取得順序のほうが、第1の取得順序よりも短時間でワーク12aa〜12aeの位置情報を取得することができる。
このように、本実施例では、撮像装置51を用いて複数のワーク12aを撮像することにより、複数のワーク12aの全ての位置情報を複数のワーク12aの切断前に取得する。
次に、本実施例の切断装置2におけるワーク12a、12bの切断方法について説明する。なお、ワーク12a、12bの切断方法は、ワークの配置が互いに左右逆となる以外、それぞれ同一である。このため、以下の説明では、ワーク12aの切断方法についてのみ説明する。
図7(a)は、本実施例におけるワーク12aの切断順序を示す平面図である。本実施例の切断部210は、互いに向かい合う2つの切断刃71、72を有する。このため、ワーク12aa〜12aeのそれぞれは、2つの切断刃71、72により切断線511aに沿って同時に(一括して)切断される。
この場合、各ワーク12aにおける切断線511aは、それぞれのアライメントマーク412によって特定される。例えば、ワーク12aaにおける切断線511aは、ワーク12aaについて取得されたアライメントマーク412の座標に基づき特定される。具体的には、一方(同図の左側)の切断線511は、Y軸方向に連続するように並んだ2つのアライメントマーク412によって規定される直線と平行であると共に、その直線から直近の端面側に所定距離だけ離間した直線として特定される。他方(同図の右側)の切断線511は、一方の切断線511と平行であると共に、残り1つのアライメントマーク412から直近の端面側に所定距離だけ離間した直線として特定される。
本実施例において、複数のワーク12aa〜12aeの切断順序は、既に取得された複数のワーク12aa〜12aeの位置情報に基づいて決定される。例えば、複数のワーク12aの切断は、切断ステージ31に対する切断刃71の移動距離(相対移動距離)が最短となる順序で行われることが望ましい。
本実施例の切断刃71、72は、一例として、最初にワーク12aaをY軸方向と平行に上から下へ切断する。その後、切断刃71、72はY軸方向に平行に移動して、ワーク12ac、12aeの順に切断する。次に、切断刃71、72はワーク12abの位置に移動し、ワーク12ab、12adの順に切断する。
このとき、ワーク12aa〜12aeのそれぞれを切断する前に、取得済みの位置情報に基づいて、切断ステージ31を回転させる等してワークの位置を調整する。例えば、ワーク12aaの切断が完了すると、ワーク12acの位置を調整してからワーク12acの切断を開始する。その後に切断されることになるワークについても同様である。
図7(a)に示される状態においてワーク12aa〜12aeの切断が完了すると、切断ステージ31を90度回転させる。図7(b)は、図7(a)に示される切断ステージ31を90度回転させた場合の平面図である。
切断ステージ31を90度回転させた後、図7(b)の状態において切断された2辺に隣り合う2辺が切断される。このとき、図7(a)の場合と同様に、ワーク12aa〜12aeのそれぞれは、2つの切断刃71、72により同時に切断される。
本実施例では、初めにワーク12aaを切断線511bに沿ってY軸方向と平行に上から下へ切断する。その後、ワーク12ab、12ac、12ad、12aeの順に切断していく。このとき、各ワークの切断が完了した後、スピンドル61、62がX軸方向に移動する。また、上述のように、各ワークの切断前には切断ステージ31を回転させる等してワークの位置が調整される。
以上の工程を経ることにより、ワーク12a(ワーク12aa〜12ae)の切断が完了する。同様の工程を経て、ワーク12bも切断刃73、74により切断される。
以上のとおり、本実施例の切断装置によれば、複数のワークの位置情報に基づいて、複数のワークの位置を調整しながら複数のワークの全てを切断刃で切断する。このとき、短時間で複数のワークの位置情報を取得し、また、短時間で複数のワークを切断することができる。このため、生産性を向上させた切断方法及び切断装置を提供することが可能である。
また、本実施例では、全てのワークの位置情報を取得した後に、ワークの切断を行う。このため、本実施例によれば、ワーク切断時において、撮像装置に対する切削液による影響をなくした切断方法及び切断装置を提供することができる。
次に、ワーク12a、12bの切断後における切断装置2の動作について説明する。
図8A、8Bは、本実施例における切断装置2の概略構成図である。図8Aは、アンローダ41がワーク13a、13bを搬送する状態を示している。図8Bは、ローダ40が次のワーク12を搬送する状態を示している。
図8Aに示されるように、ワーク12a、12bは切断部210、220において切断されたワーク12a、12bは、それぞれ、ワーク13a、13bとなる。
ワーク13aが載置された切断ステージ31は、図8A中の下方向すなわちローダ40及びアンローダ41の搬送位置に移動する。同様に、ワーク13bが載置された切断ステージ32もまた、図8A中の下方向すなわちローダ40及びアンローダ41の搬送位置に移動する。
アンローダ41(ワーク搬送装置)は、切断部210及び切断部220のそれぞれにおいて切断されたワーク13a、13bを吸着して、収納部301(ハンドラ)に搬送する。このため、本実施例において、アンローダ41は、加工部201の切断ステージ31と収納部301との間をX軸方向(左右方向)に延在する軌道上、換言すれば、ローダ40の移動する軸線と同じ軸線上において移動可能に構成されている。
アンローダ41は、ワーク13a、13bを搬送する際には、例えば図5Bに図示した待機位置から切断ステージ31の上に移動し、切断ステージ31の上に載置された5個のワーク13aを吸着部に吸着する。アンローダ41は、ワーク13aを吸着した状態でX軸方向において収納部301側に向かって移動する。この際に、アンローダ41は、切断ステージ32の上に到達すると、切断ステージ32の上に載置された5個のワーク13bを吸着部に吸着する。
このとき、アンローダ41の吸着部には、ローダ40によって載置された10個の全てのワーク13(13a、13b)が吸着されていることになる。このように、ワーク13a、13bが各切断ステージ31、32に千鳥配置に配置されているため、これらを互いに組み合わせることで、ワーク13はマトリックス状に再配列されることとなる。このように、1台のアンローダ41が加工部201と収納部301との間を一往復するだけで、2個の切断ステージ31、32からワーク13a、13bを搬送することが可能である。
アンローダ41は10個のワーク13を吸着した状態で、さらに同方向に移動し、ワーク13を収納部301へ搬送する。このように、アンローダ41は切断ステージ31、32で吸着したワーク13a、13bを収納部301に搬送するため、加工部201の切断ステージ31と収納部301との間を移動することができるように構成されている。
収納部301に搬入されたワーク13(13a、13b)は、収納部301の内部に設けられた洗浄部95において洗浄される。洗浄部95により、ワーク13の切断面等が洗浄される。
洗浄部95により洗浄されたワーク13は、収納部301の内部に設けられた検査部96において検査される。検査部96は、ワーク13の一つ一つについて、例えば外観検査や導通検査等の検査を実施し、それぞれのワーク13が良品か否かを判定する。
図8Aに示されるように、ローダ40は、供給部101において、トレイ21の上に配列された次の複数のワーク12を吸着し、次の複数のワーク12を加工部201(切断ステージ31、32)へ搬送する。このように、本実施例では、切断前のワーク12を搬送するローダ40と、切断後のワーク13を搬送するアンローダ41とが別に設けられており、それぞれ独立して動作可能に構成されている。このため、本実施例の切断装置によれば、スループットをより向上させることができ、半導体装置の生産性を改善することができる。
図8Bに示されるように、ワーク13(13a、13b)は、収納部301内の洗浄部95による洗浄が完了した後、不図示の搬送部材により収納部301内の検査部96へ搬送される。ワーク13は、検査部96において検査され、検査に合格したワーク13は、トレイ98の中に収納される。
一方、このとき、ローダ40により搬送された次の複数のワーク12a、12bは、それぞれ切断ステージ31、32の上に載置される。ワーク12a、12bが載置された切断ステージ31、32は、切断刃71〜74の位置(切断位置)までY軸方向に移動する。この後、上述と同様の方法により、次のワーク12a、12bに関する位置情報の取得及び切断が実行される。
本実施例では、複数のワーク12a、12bはそれぞれ千鳥配置で切断ステージ31、32の上に載置される。このため、切断刃71〜74のそれぞれで所望の一つのワークを切断する際に、近接して載置されている他のワークに切断刃71〜74が触れることなく、所望の一つのワークだけを切断することが可能になる。
トレイ21には収納数を多くするためにマトリックス状に詰めて複数のワーク12が配列されており、それぞれのワークの間隔が狭い。このため、ワークをトレイ21に配列されたマトリックス状の配列のまま切断ステージ31、32に載置すると、切断刃71〜74は、所定の一のワークを切断する場合に、切断刃71〜74の切断方向において、隣接する他のワークに触れて切断してしまう。そこで、本実施例では、切断刃71〜74による一のワーク切断時に、切断刃71〜74が隣接する他のワークが切断されるのを防止するため、ワーク12を千鳥配置に載置することで、近接するワークの間隔を切断刃71〜74の大きさに依存した所定の間隔以上に広げている。
したがって、マトリックス状に収納することで搬送や収納時の面積を小さく抑えながら、切断時の千鳥配列とすることで配列間隔を広げることができる。このため、複数のワークを所望の外形寸法に加工可能な切断装置を小型化することが可能となる。また、2つの切断部210、220において切断される各ワーク12a、12bを一度に搬送することができるため、ワークの搬送を高速かつ効率的に行うことが可能となる。
ただし、切断ステージ31、32における複数のワーク12a、12bの載置方法は、千鳥配置に限定されるものではない。所望の一つのワークを切断する際に、近接する他のワークに触れないように、すなわち影響を与えないように配置されていれば、他の配置でもよい。例えば、切断ステージ31、32の上に複数のワーク12a、12bを所定の間隔をもって載置するようにしてもよい。また、切断刃71〜74による切断線が他のワークの外側を通過するように、複数のワーク12a、12bをジグザグ配置にしてもよい。
このとき、所定の間隔として満たされるべき条件は、切断刃71〜74の大きさ(直径、幅)に依存する。隣り合うワークは、少なくとも切断開始時および切断完了時におけるワーク端面からの切断刃71〜74の突出幅より離して配置することが望ましい。
本実施例の切断装置2は、2つの切断刃71、72(切断刃73、74)を備えた2つの切断部210、220を用いて、複数のワーク12a、12bを切断することができる。そして、複数のワーク12a、12bを切断ステージ31、32に載置する際には、これらを千鳥配置等の所定配置とする。
このような配置により、複数のワークを同一の切断ステージ上で切断する場合に、近接した他のワークに影響を与えることなく所望の一つのワークを切断することができる。このため、本実施例の切断方法及び切断装置によれば、スループットの向上すなわち生産性の向上を図ることが可能となる。
なお本実施例では、各切断部に2つの切断刃が設けられているが、これに限定されるものではなく、各切断部に3つ以上の複数の切断刃が設けられていてもよい。また、本実施例の切断装置は、2つの切断部が設けられているが、これに限定されるものではなく、3つ以上の切断部を設けてもよい。このような構成により、さらに生産性を向上させることが可能となる。
上記各実施例では、スピンドルに撮像装置が取り付けられた構成について説明したが、撮像装置を別の駆動装置で駆動することもできる。
また、上記各実施例では、位置情報を切断前に全て取得する方法について説明したが、これに限定されるものではなく、2以上のワークの位置情報を切断前に取得するように構成することもできる。例えば、マトリックス配列されたワークのうちの1ライン(または数ライン)や、配列されたワークの全数のうちの数分の1程度のような一部のワークの位置情報を取得してから、位置情報を取得したワークのみを切断する工程を繰り返すこともできる。この場合にも、位置情報の取得回数を低減することができるため、切削液の影響を低減することができる。
上記各実施例によれば、ワークの生産性を向上させた切断方法及び切断装置を提供することができる。また、上記各実施例によれば、ワーク切断時における撮像装置に対する切削液の影響をなくした切断方法及び切断装置を提供することができる。
以上、本発明の実施例を具体的に説明した。ただし、本発明は、上記各実施例にて説明した事項に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。
実施例1における切断装置の概略構成図である。
実施例1における切断ステージに載置されたワークの配置を示す平面図である。
実施例1における位置情報の取得順序を特定するフローである。
実施例1における位置情報の取得順序を示す平面図である。
実施例1における切断順序を示す平面図である。
実施例1における切断順序を示す平面図である。
実施例1における切断順序を示す平面図である。
実施例1における切断後(個片化後)のワークを示す平面図である。
実施例2における切断装置の概略構成図である。
実施例2における切断装置の概略構成図である。
実施例2における位置情報の取得順序を示す平面図である。
実施例2における切断順序を示す平面図である。
実施例2における切断装置の概略構成図である。
実施例2における切断装置の概略構成図である。
符号の説明
1、2:切断装置
10、12、13:ワーク
11:個片化ワーク
20、21:トレイ
30、31、32:切断ステージ
40:ローダ
41:アンローダ
50、51、52:撮像装置
60、61、62、63、64:スピンドル
70、71、72、73、74:切断刃
80:制御部
90:洗浄・検査部
100、101:供給部
120:搬入部
200、201:加工部
210、220:切断部
300、301:収納部
601:回転軸