JP3675199B2 - セラミックグリーンブロックのカット方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、セラミックグリーンブロックのカット方法に関するもので、特に、セラミックグリーンブロックをカットするにあたりカット刃による押し切りを適用するカット方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品を工場規模で製造するとき、カットされることによって複数の積層セラミック電子部品のための生の部品本体を与えるマザーブロックが用意される。このマザーブロックは、積層された複数のセラミックグリーンシートと、特定のセラミックグリーンシート上の複数箇所に分布して形成された内部導体とを備えるもので、互いに平行な複数の第1のカット線およびこれら第1のカット線に直交する複数の第2のカット線にそれぞれ沿ってカットされたとき、複数の生の部品本体を与えるものである。
【0003】
上述したマザーブロックのカットには、通常、カット刃による押し切り(ギロチンカット)が適用されている。
【0004】
より詳細には、図3に示すように、移動可能な移動テーブル1が与えるテーブル面2上に、マザーブロックのようなセラミックグリーンブロック3を置いた状態で、一定位置においてカット刃4をテーブル面2に対して垂直方向5に動作させてセラミックグリーンブロック3を押し切りによりカットする工程と移動テーブル1をたとえば矢印6方向へ所定距離移動させる移動工程とを交互に繰り返すことによって、セラミックグリーンブロック3をその一方端側から順次カットしていくようにされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した押し切りによるカットを実施するとき、図3において破線で示すように、カット刃4が斜め方向7へカット動作することがある。このように、カット刃4が斜めカットを行なった場合には、セラミックグリーンブロック3においてカット面が斜め方向7に現れることになる。
【0006】
セラミックグリーンブロック3が、前述したように、カットされることによって複数の積層セラミック電子部品のための生の部品本体を与えるマザーブロックである場合には、上述したような斜めカットの結果、生の部品本体内の内部導体が不所望に変形したり、生の部品本体の特定の端面と内部導体との間の必要距離が維持できなくなったり、あるいは、生の部品本体の特定の端面上に、露出されるべき、あるいは露出されるべきでない内部導体が、不所望にも、露出しなかったり、あるいは露出したりすることがある。これらの不都合は、得られた積層セラミック電子部品の品質劣化につながるため、できるだけ生じないようにすることが望まれる。
【0007】
前述したように、移動テーブル1を矢印6方向へ所定距離移動させながら、セラミックグリーンブロック3をその一方端側(矢印6の向く側)から順次カットしていくとき、セラミックグリーンブロック3の、この一方端側とは逆の他方端側は、移動テーブル1に実質的に固定された状態とされることがある。そのため、カットされるべきセラミックグリーンブロック3の面積が大きくなればなるほど、上述したような斜めカットが生じやすい傾向がある。
【0008】
しかしながら、斜めカットは、セラミックグリーンブロック3の厚さおよび硬さ、カット刃4の取り付け精度、刃先角度および切れ味など、さまざまな原因に基づいて発生していて、原因を特定することが困難であり、そのため、このような斜めカットに対して適切な対応をとることが困難である。
【0009】
そこで、この発明の目的は、上述したような斜めカットに対して適切に対応できる、セラミックグリーンブロックのカット方法を提供しようとすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、移動可能な移動テーブルが与えるテーブル面上にセラミックグリーンブロックを置いた状態で、一定位置においてカット刃をテーブル面に対して垂直方向に動作させてセラミックグリーンブロックを押し切りによりカットするカット工程と移動テーブルを所定距離移動させる移動工程とを交互に繰り返すことによって、セラミックグリーンブロックをその一方端側から順次カットしていく、セラミックグリーンブロックのカット方法に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、カット工程において、カット刃に傾きの方向および度合いを画像処理によって認識し、この画像処理データに基づいて、カット刃の傾きを修正すべくカット刃の傾きの方向および度合いにそれぞれ応じた方向および距離をもって移動テーブルを調整移動させることを特徴としている。
【0011】
この発明において、好ましくは、移動テーブルの調整移動は、カット刃のカット動作と同期して生じるようにされる。
【0012】
また、この発明は、カット工程が、セラミックグリーンブロックの、順次カットしていく一方端側とは逆の他方端側を移動テーブルに実質的に固定した状態で実施されるとき、有利に適用される。
【0013】
また、この発明は、セラミックグリーンブロックが、カットされることによって複数の積層セラミック電子部品のための生の部品本体を与えるマザーブロックであるとき、特に有利に適用される。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1には、この発明の一実施形態によるカット方法を実施できるように構成されたカット装置11が斜視図で示されている。
【0015】
図1を参照して、まず、カット装置11を用いて実施されるカット方法の概要について説明すると、移動可能な移動テーブル12が与えるテーブル面13上にセラミックグリーンブロック14を置いた状態で、一定位置においてカット刃15をテーブル面13に対して垂直方向に動作させてセラミックグリーンブロック14を押し切りによりカットする工程と移動テーブル12を所定距離移動させる移動工程とを交互に繰り返すことによって、セラミックグリーンブロック14をその一方端側から順次カットしていくことが行なわれる。このようなカット方法を実施するため、カット装置11は、次のように構成されている。
【0016】
カット装置11は、ベース16を備え、ベース16上には、2つの支柱17および18が互いに所定の間隔を隔てて設けられ、2つの支柱17および18の各上半部を互いに連結するように、垂直壁19が設けられる。
【0017】
ベース16上であって、2つの支柱17および18間には、互いに平行な2つのガイドレール20および21が固定される。これらガイドレール20および21に沿って移動可能なように、移動台22が取付けられる。
【0018】
また、ベース16上であって、ガイドレール20および21の間には、ブラケット23を介して移動用モータ24が取付けられる。移動用モータ24のボールねじ25は、図示しない位置において移動台22に連結される。したがって、移動台22は、移動用モータ24が駆動されることによって、ガイドレール20および21に沿って移動するように構成される。
【0019】
移動台22上には、たとえばダイレクトドライブモータ(図示せず。)によって駆動されるターンテーブル26が取付けられる。ターンテーブル26上には、前述した移動テーブル12が固定される。
【0020】
垂直壁19上には、互いに平行な2つのガイドレール27および28が設けられる。これらガイドレール27および28に沿って移動可能なように、刃保持台29が取付けられる。刃保持台29の下端部には、前述したカット刃15が取付けられている。
【0021】
垂直壁19上であって、ガイドレール27および28の間には、ブラケット30を介してカット用モータ31が取付けられる。カット用モータ31のボールねじ32は、図示しない位置において刃保持台29に連結される。したがって、カット用モータ31を駆動することによって、刃保持台29は、ガイドレール27および28に沿って移動するように構成される。
【0022】
このような構成を備えるカット装置11を用いてセラミックグリーンブロック14をカットする場合、まず、移動テーブル12が与えるテーブル面13上にセラミックグリーンブロック14を置いた状態とされ、このような移動テーブル12がターンテーブル26上に置かれる。
【0023】
次いで、カット用モータ31が、ボールねじ32を往復動作させるように駆動される。その結果、刃保持台29によって保持されたカット刃15は、前述したように、一定位置においてテーブル面13に対して垂直方向に動作し、セラミックグリーンブロック14を押し切りによりカットする。
【0024】
次いで、移動用モータ24が駆動され、そのボールねじ25の動作に従って、移動台22およびターンテーブル26を介して、移動テーブル12が所定距離移動される。
【0025】
上述のようなカット刃15によるカット工程と移動テーブル12の移動工程とは、交互に繰り返され、それによって、セラミックグリーンブロック14は、その一方端側から順次カットされる。このとき、セラミックグリーンブロック14の、順次カットしていく上述の一方端側とは逆の他方端側は、移動テーブル12に実質的に固定した状態とされている。
【0026】
このように、セラミックグリーンブロック14をその一方端側から順次カットしていき、他方端側にまで達したとき、ターンテーブル26が90度回転され、その状態で、再び、上述したようなカット工程と移動工程とが繰り返される。
【0027】
このような工程を終えたとき、セラミックグリーンブロック14は、複数のチップに分割される。このセラミックグリーンブロック14が、カットされることによって複数の積層セラミック電子部品のための生の部品本体を与えるマザーブロックである場合には、上述の各チップは、積層セラミック電子部品のための生の部品本体となるべきものである。
【0028】
以上のようなカット装置11において、この実施形態では、カット刃15の傾きの方向および度合いを監視するためのカメラ33および34が設けられていることを特徴としている。
【0029】
カメラ33および34は、たとえばCCDカメラによって構成される。カメラ33および34は、それぞれ、ブラケット35および36を介して垂直壁19上に取付けられ、セラミックグリーンブロック14をカットしている状態にあるカット刃15を両側から撮像するように位置されている。
【0030】
カメラ33および34は、カット工程において、カット刃15の傾きの方向および度合いを画像処理によって認識し、これらの画像処理データ37および38がコントローラ39に入力される。コントローラ39においては、カット刃15の傾きを修正すべく、カット刃15の傾きの方向および度合いにそれぞれ応じた方向および距離をもって移動テーブル12を調整移動させるための制御データ40が求められ、この制御データ40が、移動用モータ24を制御するように与えられる。移動用モータ24は、この制御データ40に基づく方向および回転数または回転角度をもってボールねじ25を動作させるように駆動される。
【0031】
図2を参照してより具体的に説明すると、カット刃15がカット動作を開始し、セラミックグリーンブロック14内に進入した直後において、矢印aで示すように傾いたとする。このカット刃15の傾きの方向および度合いは、カメラ33および34の画像処理によって認識される。そして、これら傾きの方向および度合いを示す画像処理データ37および38は、コントローラ39によって処理され、制御データ40が、移動用モータ24を制御するように与えられる。これによって、移動用モータ24は、カット刃15の傾きを修正すべくカット刃15の傾きの方向および度合いにそれぞれ応じた方向および回転数または回転角度をもってボールねじ25を動作させ、その結果、移動テーブル12を、矢印Aで示すように調整移動させる。このようにして、カット刃15は、矢印bで示すように、テーブル面13に対して垂直方向に動作するように傾きが修正される。この場合、好ましくは、フィードバック制御が適用される。
【0032】
なお、上述のようなカット刃15の傾きの修正後に、たとえば矢印cで示すように、再びカット刃15に傾きが生じた場合には、上述したコントローラ39を介しての制御によって、移動テーブル12が、矢印Cで示すように調整移動され、カット刃15がテーブル面13に対して垂直方向に動作するように再び修正される。その後においても、カット刃15の傾きが生じたとき、同様の態様で、この傾きが修正される。
【0033】
上述した移動テーブル12を調整移動させるための制御は、通常、カット刃15の傾きが生じたカット工程の次のカット工程において実施される。すなわち、前のカット工程においてカット刃15に許容範囲以上の傾きが生じた場合、この傾きの方向および度合いがカメラ33および34の画像処理によって認識され、これら画像処理データ37および38に基づいて、カット刃15の傾きを修正すべく、次のカット工程において、移動テーブル12を調整移動させることが行なわれる。これは、カット刃15の傾きが生じた場合、以後のカット工程においても、同様の態様の傾きが引き続き生じる傾向があるという経験に基づくものである。
【0034】
また、移動テーブル12の調整移動は、たとえばカット刃15をカット動作の途中で停止させて行なうのではなく、カット刃15のカット動作と同期して生じるようにされるのが好ましい。これに関連して、たとえば移動用モータ24の能力等が原因となって、移動テーブル12の調整移動がカット刃15のカット動作に追従し得ない場合には、カット刃15のカット動作と同期させて移動テーブル12を調整移動しようとするとき、カット刃15のカット動作をより遅くする速度制御を行なうようにしてもよい。
【0035】
また、上述した実施形態では、2つのカメラ33および34を用いたが、いずれか一方のカメラ33または34を省略してもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、移動可能な移動テーブルが与えるテーブル面上にセラミックグリーンブロックを置いた状態で、一定位置においてカット刃をテーブル面に対して垂直方向に動作させてセラミックグリーンブロックを押し切りによりカットするカット工程と移動テーブルを所定距離移動させる移動工程とを交互に繰り返すことによって、セラミックグリーンブロックをその一方端側から順次カットしていく、セラミックグリーンブロックのカット方法を実施するとき、カット工程において、カット刃の傾きの方向および度合いを画像処理によって認識し、当該画像処理データに基づいて、カット刃の傾きを修正すべくカット刃の傾きの方向および度合いにそれぞれ応じた方向および距離をもって移動テーブルを調整移動させることを行なうので、セラミックグリーンブロックの斜めカットを効果的に低減することができる。
【0037】
また、上述のように、カット刃の傾きを修正するための調整移動は、移動テーブル側で行なわれるので、セラミックグリーンブロックをその一方端側から順次カットしていくための移動テーブルの移動のための駆動手段を、調整移動のためにも用いることができ、この発明に係るカット方法を実施するためのカット装置の構成が複雑化することがない。
【0038】
この発明において、移動テーブルの調整移動がカット刃のカット動作と同期して生じるようにされていると、カット刃の傾きを修正するための移動テーブルの調整移動を円滑に行なうことができるとともに、カット動作の能率化を図ることができる。
【0039】
また、前述したカット工程が、セラミックグリーンブロックの、順次カットしていく一方端側とは逆の他方端側を移動テーブルに実質的に固定した状態で実施されると、カット刃の傾きがより生じやすいため、このような場合において、特にこの発明による効果が顕著なものとなる。
【0040】
また、セラミックグリーンブロックが、カットされることによって複数の積層セラミック電子部品のための生の部品本体を与えるマザーブロックである場合、内部導体がマザーブロック内に存在するため、斜めカットをより厳格に防止しなければならない。したがって、カットされるべきセラミックグリーンブロックがこのようなマザーブロックであるとき、この発明による効果が特に顕著なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態によるセラミックグリーンブロックのカット方法を実施するためのカット装置11を示す斜視図である。
【図2】図1に示した移動テーブル12、セラミックグリーンブロック14およびカット刃15を拡大して図解的に示す断面図であり、この発明によるカット刃15の傾きの修正原理を説明するためのものである。
【図3】この発明が解決しようとする課題を説明するためのものであって、移動テーブル1、セラミックグリーンブロック3およびカット刃4を拡大して図解的に示す断面図である。
【符号の説明】
11 カット装置
12 移動テーブル
13 テーブル面
14 セラミックグリーンブロック
15 カット刃
22 移動台
24 移動用モータ
29 刃保持台
31 カット用モータ
33,34 カメラ
37,38 画像処理データ
39 コントローラ
40 制御データ
Claims (4)
- 移動可能な移動テーブルが与えるテーブル面上にセラミックグリーンブロックを置いた状態で、一定位置においてカット刃を前記テーブル面に対して垂直方向に動作させて前記セラミックグリーンブロックを押し切りによりカットするカット工程と前記移動テーブルを所定距離移動させる移動工程とを交互に繰り返すことによって、前記セラミックグリーンブロックをその一方端側から順次カットしていく、セラミックグリーンブロックのカット方法であって、
前記カット工程において、前記カット刃の傾きの方向および度合いを画像処理によって認識し、当該画像処理データに基づいて、前記カット刃の傾きを修正すべく前記傾きの方向および度合いにそれぞれ応じた方向および距離をもって前記移動テーブルを調整移動させることを特徴とする、セラミックグリーンブロックのカット方法。 - 前記移動テーブルの調整移動は、前記カット刃のカット動作と同期して生じるようにされる、請求項1に記載のセラミックグリーンブロックのカット方法。
- 前記カット工程は、前記セラミックグリーンブロックの、順次カットしていく前記一方端側とは逆の他方端側を前記移動テーブルに実質的に固定した状態で実施される、請求項1または2に記載のセラミックグリーンブロックのカット方法。
- 前記セラミックグリーンブロックは、カットされることによって複数の積層セラミック電子部品のための生の部品本体を与えるマザーブロックである、請求項1ないし3のいずれかに記載のセラミックグリーンブロックのカット方法。
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