JP2005011477A - ビデオヘッド装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビデオヘッド装置において、簡素な構成で、チップコアの高さ位置の調整機構を不要として、装置の製造コストを低減する。
【解決手段】磁気テープに情報を記録/再生するためのチップコア6は、その上面15に形成された凹部15aと、この凹部15aから下面16に亘って形成されたギャップ14とを有し、下面16が平坦であってベース部材8の上面に接着されている。これにより、チップコア6の回転シリンダ5に対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコア6のギャップ14の高さ位置を相互に一致させることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】磁気テープに情報を記録/再生するためのチップコア6は、その上面15に形成された凹部15aと、この凹部15aから下面16に亘って形成されたギャップ14とを有し、下面16が平坦であってベース部材8の上面に接着されている。これにより、チップコア6の回転シリンダ5に対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコア6のギャップ14の高さ位置を相互に一致させることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ等の記録媒体に対して映像等の情報を記録するビデオヘッド装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープに対して情報を磁気記録/再生するためVCR(ビデオカセットレコーダ)のビデオヘッド装置の一般的な構成を図8に示す。ビデオヘッド装置100は、固定シリンダ102と、シャフト103及びベアリング104を介して回転自在に支持される回転シリンダ105と、回転シリンダ105に取付けられた2つのチップコア106,107等によって構成されている。2つのチップコア106,107は、金属製のベース部材108,109に貼り付けられている。ベース部材108,109は、回転シリンダ105の底面にシャフト103を挟んで対向する位置に取付用ねじ120により装着されており、高さ調整ねじ121によってベース部材108,109の回転シリンダ105に対する姿勢角が調整される。高さ調整ねじ121を締めつけることにより、回転シリンダ105に対するチップコア106,107の取り付け高さを調整することができる。また、固定シリンダ102の上端は、ベース部材108,109との干渉を回避するためにテーパ状の逃げ部110が形成されている。
【0003】
図9及び図10は、チップコア106,107がそれぞれ貼り付けられたベース部材108,109を、また、図11はチップコア106,107を示している。チップコア106,107は、ベース部材108,109の上面の先端に、所定の接着剤によって貼り付けられている。チップコア106,107は、C型コア111と、I型コア112と、両者をボンディングによって接着するためのガラス113によって構成されており、C型コア111とI型コア112との間には所定の間隔のギャップ114が形成されている。
【0004】
ところで、2つのチップコア106,107によって磁気記録/再生を適正に行うためは、各チップコア106,107のギャップ114の高さ方向の位置決めに高い精度が要求される。ビデオヘッド装置の製造工程においては、各チップコア106,107のギャップ114の位置決め精度は、回転シリンダ105へのベース部材108,109の装着面(ベース部材108,109の上面)からギャップ114の下端に至るトラック高さによって管理されている。例えば、2ヘッドタイプのビデオヘッド装置においては、相対向する各トラック高さの変動は、2μm以下に納まるように規格によって定められている。
【0005】
次に、チップコア107の製造工程について、図12を参照して説明する。チップコア107は、C型コアバー131とI型コアバー132とをボンディングして作成したチップコア作成用のコアバー130を、ワイヤソーによって切り出すことにより作成される。1本のコアバー130からは、約150個のチップコア107が切り出される。このコアバー130の切り出し工程では、複数本(例えば、7本)のコアバー130が、所定の治具に所定の角度だけ傾けて固定され、複数個のチップコア107が同時に切り出される。図12中ハッチングで示される領域141は、ワイヤソーによって切除される領域を示している。
【0006】
図13は、チップコア106をベース部材108に貼り付けた後のトラック高さHの調整要領を示している。同図に示されるように、ベース部材108は、チップコア106を上方に向けて治具J1に載置され、治具J2を矢印A方向に移動させることによって、固定される。この状態をカメラCで撮影し、カメラCに接続されたモニタを視認しながら、ベース部材108の先端部108aに矢印B方向に力を加えてベース部材108の先端部108aを変形させることにより、トラック高さHが±7μmの範囲内に納まるように調整される。
【0007】
トラック高さHが±7μmの範囲内に納まるように調整されたベース部材108,109は、その後、取付用ねじ120によって回転シリンダ105に装着され、高さ調整ねじ121を締めつけることにより、チップコア106,107相互のトラック高さHの差が2μmとなるように調整される。
【0008】
また、チップコアを突き出した状態で把持する回転部材(スピンドル)と、チップコアのテープ摺動面に対接するように配設したラッピングテープとを用いることにより、チップコアの先端に所定の曲率のテープ摺動面を得るようにしたビデオヘッドの摺動面形成方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−180124号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8乃至図13に示した従来のビデオヘッド装置100によれば、2個の高さ調整ねじ121を締めつけることによりチップコア106,107のトラック高さを調整しなければならないので、その調整に手間がかかる。また、取付用ねじ及び高さ調整ねじが必要であり、回転シリンダ105に高さ調整ねじ121及び取付用ねじ120に対応するタップ加工が必要となるので、回転シリンダ105の製造コストの高騰を招来する。また、上述した高さ調整ねじ121によって、各チップコア106,107のトラック高さHを円滑に調整するためには、ベース部材108,109に貼り付けた後のトラック高さHの変動を±7μm以下に納める必要があるので、図13に示したようなトラック高さHの調整工程が必要となる。さらに、トラック高さHの調整をベース部材108,109を変形させて行うことから、ベース部材108,109の厚みをある程度以上に確保しなければならないので、固定シリンダ5の上端に大きな逃げ部110を形成しなければならず、その加工に手間がかかる。
【0011】
また、上記特許文献1に示されたビデオヘッドの摺動面形成方法を用いても上記の問題点を解決することができない。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡素な構成で、チップコアの高さ位置の調整機構を不要とし、製造コストの低減を図ることができるビデオヘッド装置及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための1対のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、チップコアを支持する1対のベース部材と、各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、各チップコアは、その上面に形成された凹部と、この凹部からチップコア下面に亘って形成された所定のギャップとを有し、その下面が平坦であってベース部材の上面に接着されており、ベース部材とチップコアとが同等程度の硬度を有し、チップコアの先端と該ベース部材の先端とが、回転シリンダの回転軸方向に対称で、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工されており、各ベース部材は、基端部の上面が回転シリンダの底面に接着されており、チップコアの回転シリンダに対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に一致させることを可能にしたものである。
【0014】
この構成によれば、1対のチップコアを備えた、いわゆる2ヘッドタイプのビデオヘッド装置において、ギャップの下端がチップコアの下面に位置し、該チップコアの下面がベース部材の上面に接着され、該ベース部材の上面は回転シリンダの底面に接着されている。従って、各チップコアのギャップの下端は、回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置することとなる。これにより特別な高さ調整機構を必要とすることなく、各チップコアの高さ位置を相互に一致させることができる。また、チップコアの先端とベース部材の先端とが、回転シリンダの回転軸方向に対称で、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工されているので、チップコアの先端と磁気テープとのタッチが良好なものとされる。
【0015】
請求項2の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための複数のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、チップコアを支持する複数のベース部材と、各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、各チップコアは、その上面から下面に亘って形成された所定のギャップを有し、その下面が前記ベース部材の上面に接着されており、各ベース部材は、基端部の上面が回転シリンダの底面に接着されており、チップコアの回転シリンダに対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に一致させることを可能にしたものである。
【0016】
この構成によれば、複数のチップコアを備えたビデオヘッド装置において、ギャップの下端がチップコアの下面に位置し、該チップコアの下面がベース部材の上面に接着され、該ベース部材の上面は回転シリンダの底面に接着されている。従って、所定の厚みのスペーサ等を用いてベース部材の高さ位置を相互に適正化しながら、ベース部材を回転シリンダの底面に接着することにより、各チップの高さ位置の調整が不要となる。
【0017】
請求項3の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための複数のチップコアを複数のベース部材の先端部に接着し、各ベース部材の基端部を回転シリンダの底面に固定して成るビデオヘッド装置の製造方法において、所定のギャップが形成されたコアバーを、下面が平坦となるように所定の厚みで切断して複数のチップコアを作成するステップと、各チップコアの下面を前記各ベース部材の先端部の上面に接着するステップと、各チップコアの先端及びベース部材の先端を、回転シリンダの回転軸方向に対称に、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工するステップと、各ベース部材の基端部の上面を回転シリンダの底面に接着するステップとを有し、各チップコアのギャップの回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要としたものである。
【0018】
この構成によれば、各チップコアのギャップの下端は、平坦に切り出されたチップコアの下面に位置することになる。従って、各チップコアの下面をベース部材の上面に接着し、ベース部材の上面を回転シリンダの底面に接着することにより、各チップコアのギャップの下端を、回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置させることができる。これにより、各チップコアの回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要にすることが可能となる。また、各チップコアの先端及びベース部材の先端を、回転シリンダの回転軸方向に対称に、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工するので、チップコアの先端と磁気テープとの間の良好なタッチを確保することが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態によるビデオヘッド装置について図面を参照して説明する。図1は、ビデオカセットレコーダに用いられる映像信号を記録/再生するための2ヘッドタイプのビデオヘッド装置を示している。ビデオヘッド装置1は、ビデオカセットレコーダのデッキシャーシに固定される固定シリンダ2と、固定シリンダ2の上方にシャフト3及びベアリング4を介して回転自在に支持される回転シリンダ5等によって構成されている。回転シリンダ5には、磁気テープに情報を記録/再生するための1対のチップコア6,7がベース部材8,9を介して搭載されている。また、固定シリンダ2の上端には、ベース部材8,9の下面との干渉を防止するための逃げ部10が形成されている。以下、チップコア6及びベース部材8について説明するが、チップコア7及びベース部材9についても同様であるので、その説明を省略する。
【0020】
図2はチップコア6が貼り付けられたベース部材8を、また、図3はチップコア6を示している。チップコア6は、単結晶フェライトによって形成され、ベース部材8の先端部8aの上面に接着されている。ベース部材8は、図1に示すように、その基端部8bの上面が回転シリンダ5の底面5aに接着されている。ベース部材8の上面は、必要とされる平坦度が研磨加工等によって確保されている。ベース部材8の材質としては、例えば、ステンレスや黄銅が挙げられるが、チップコア6と同等程度の硬度を有するセラミックであっても構わない。チップコア6とベース部材8との接着及びベース部材8と回転シリンダ5との接着には、例えば、紫外線硬化性樹脂から成る接着剤が用いられる。この紫外線硬化性樹脂は、紫外線を照射することにより硬化する性質を有するが、その他にも、空気との接触が断たれることで硬化する嫌気硬化性をも有している。この嫌気硬化性により、硬化時においては、空気中の湿度の影響を受けることがなくなり、ベース部材8の上面に貼り付けられたチップコア6の高さ位置の精度が十分に確保されることになる。
【0021】
チップコア6は、C型コア11とI型コア12とによって構成されている。C型コア11とI型コア12とは、ガラス13によってボンディングされ、両者の間には所定の間隔のギャップ14が形成されている。ギャップ14の幅(トラック幅)Wは規格によって定めれており、必要なトラック幅Wを得るために、チップコア6の上面15には、ダイサによって切除された凹部15aが形成されている。一方、チップコア6の下面16は凹部のない平坦な形状とされている。従って、ギャップ14は、凹部15aから下面16に亘って形成されていることになり、ギャップ14の下端14aは、下面16上に位置することになる。なお、凹部15aにはガラス17が充填されている。
【0022】
図4はチップコア6及びベース部材8の先端部を示している。ベース部材8にチップコア6を接着した後、図中ハッチングで示した領域20が削除され、チップコア6の先端18とベース部材8の先端19とは、シャフト3(図1参照)の軸方向に所定の曲率半径rを有する同一の曲面に加工されている。この曲面の中心は、ギャップ14の高さ方向の中心線14b上に位置しており、チップコア6の先端18とベース部材8の先端19によって構成される曲面はギャップ14の中心線14bに対して上下対称に形成されている。ベース部材8は、ステンレス、黄銅等の他、チップコア6と同等程度の硬度を有するセラミックにて形成されているので、例えば、従来のラッピングテープを用いてチップコアの先端を加工する場合と同等の要領で、チップコア6の先端18及びベース部材8の先端19を上述した形状に加工することができる。
【0023】
上記構成を有するビデオヘッド装置1によれば、ギャップ14の下端14aがチップコア6の下面16に位置し、チップコア6の下面16はベース部材8の上面に接着され、ベース部材8の上面は回転シリンダ5の底面に接着される。従って、各チップコア6,7のギャップ14の下端14aは、回転シリンダ5の底面5aと略同一の平面上に位置することとなる。これにより、図8に示した従来のビデオヘッド装置100における高さ調整ねじ121によって構成される特別な高さ調整機構を必要とすることなく、チップコア6とチップコア7との高さ方向の位置を相互に一致させることができる。また、取付用ねじ120及び高さ調整ねじ121及び取付用ねじ120、高さ調整ねじ121に対応するタップ加工を省くことができる。
【0024】
また、高さ調整ねじ121によって各チップコア6,7の高さ位置を調整する必要がないので、ベース部材8と回転シリンダ5との接合面には、ベース部材8を回転シリンダ5から解離させる方向に大きな力が加わらない。これによって、従来のビデオヘッド装置100において必要とされていた取付用ねじ120に替えて、接着剤によってベース部材8を回転シリンダ5に固定することができるようになり、取付用ねじ120に対応するタップ加工が不要になることと相まって、装置の構成を簡素化することができる。
【0025】
また、ベース部材8を変形させながらチップコア6の高さ位置を調整する必要がないので、ベース部材8をチップコア6と同等の硬度を有するセラミックで形成することも可能となる。また、図5に示すようにベース部材8を薄肉化すると共に、その形状も簡素化することができ、装置のコストダウンを図ることができる。また、ベース部材8を薄肉化することにより、固定シリンダ2の上端縁に形成する逃げ部10を小さくすることができ、加工の手間を省くことができる。
【0026】
また、チップコア6の先端18とベース部材8の先端19とが、シャフト3の軸方向に対称で曲率半径rを有する同一の曲面に加工され、この曲面の中心はギャップ14の中心線14b上に位置しているので、図6に示されるように、該曲面に対してギャップ14が偏ることがない。その結果、ギャップ14の上端から下端14a、すなわちトラック幅Wの全域に亘ってチップコア6の先端18と磁気テープTとの良好なタッチを確保することができる。
【0027】
次に、チップコア6の製造方法について、図7を参照して説明する。チップコア6は、棒状のコアバー30を切り出すことによって形成される。コアバー30はC型コアバー31と、I型コアバー32とによって構成されている。C型コアバー31と、I型コアバー32とは、所定のギャップ14を隔ててガラスボンディングされている。C型コアバー31及びI型コアバー32には、ギャップ14の幅寸法を適正化するための溝35及び溝36が、それぞれ対向する位置にダイサによって形成されている。本実施形態においては、ギャップ14の下端14aの位置に合わせて、コアバー30を切り出し、切り出されたチップコア6の下面16をベース部材との接着面とする。ここで、コアバーの切り出しはワイヤーソーを用いてなされる。なお、図中ハッチングにて示した領域41は、ワイヤーソーによって切除される切り代である。
【0028】
このように切り出されたチップコアの接着面19を、紫外線硬化性接着剤を用いてベース部材9の先端部9aの上面に接着すれば、図13で示した類の高さ調整工程を経ることなく、ギャップ14の下端がベース部材9の上面と一致する。また、ベース部材9の基端部9bの上面を、紫外線硬化性接着剤を用いて回転シリンダ5の底面5aに接着すれば、従来の高さ調整ねじ121の締めつけることによる調整工程を経ることなく、チップコア6とチップコア7のギャップ14の高さ方向の位置を相互に一致させることができるようになる。従って、従来のビデオヘッド装置100において、2回必要としていたギャップの高さ位置の調整が不要となり、装置の製造工程を簡素化し、その製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく種々の変形が可能であり、例えば、ビデオヘッド装置は、1対の映像ヘッドを備えた2ヘッドタイプに限られることなく、2対の映像ヘッドを備えた4ヘッドタイプ、さらには、これに1対の音声ヘッドを備えた4ヘッドHi−Fiタイプにも適用することができる。この場合においては、チップコアとベース部材との間、又はベース部材と回転シリンダとの間に所定の厚みのスペーサを介在させることにより、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に適正化することができる。従って、チップコアの高さ調整機構を備える必要がなくなり、装置の製造コストの低減を図ることが可能になる。また、単一のベース部材に各チップコアを接着するように構成しても構わない。
【0030】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、1対のチップコアを備えた、いわゆる2ヘッドタイプのビデオヘッド装置において、ギャップの下端がチップコアの下面に位置し、該チップコアの下面はベース部材の上面に接着され、該ベース部材の上面は回転シリンダの底面に接着される。従って、各チップコアのギャップの下端は、回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置することとなり、特別な高さ調整機構を必要とすることなく、各チップコアの高さ位置を相互に一致させることができる。また、チップコアの先端とベース部材の先端とが、回転シリンダの回転軸方向に対称で、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工されているので、チップコアの先端と磁気テープとの良好なタッチを確保することができる。
【0031】
請求項2の発明によれば、複数対のチップコアを備えたビデオヘッド装置において、ギャップの下端がチップコアの下面に位置し、該チップコアの下面はベース部材の上面に接着される。従って、所定の厚みのスペーサ等を用いてベース部材の高さ位置を相互に適正化しながら、ベース部材を回転シリンダの底面に接着することにより、各チップコアの高さ位置の調整が不要となる。これにより、各チップコアの高さ位置を調整するための機構が不要となり、ビデオヘッド装置の構造が簡素化され、その製造コストの低減を図ることができるようになる。
【0032】
請求項3の発明によれば、ギャップの下端を平坦に切り出されたチップコアの下面にギャップの下端を位置させるようにチップコアを切り出すので、各チップコアのギャップの下端を、ベース部材の上面を介して、回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置させることができる。これにより、各チップコアの回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要にすることが可能となる。また、各チップコアの先端及びベース部材の先端を、回転シリンダの回転軸方向に対称に、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工するので、チップコアの先端と磁気テープとの間の良好なタッチを確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるビデオヘッド装置の断面図。
【図2】(a)は同装置の回転シリンダに取り付けられるベース部材及びチップコアの側面図、(b)は同ベース部材及びチップコアの正面図。
【図3】(a)は同チップコアの正面図、(b)は同チップコアの側面図、(c)は同チップコアの下面図。
【図4】チップコア及びベース部材の先端の形状を示した側面図。
【図5】同装置の回転シリンダに取り付けられる別のベース部材及びチップコアの側面図。
【図6】チップコア及びベース部材の先端が磁気テープと接触している状態を示した図。
【図7】コアバーを切断してチップコアを作成する要領を示した平面図。
【図8】従来のビデオヘッド装置の断面図。
【図9】同装置の回転シリンダに取り付けられるベース部材及びチップコアの側面図。
【図10】同ベース部材及びチップコアの正面図。
【図11】(a)は同チップコアの正面図、(b)は同チップコアの側面図、(c)は同チップコアの下面図。
【図12】コアバーを切断して同チップコアを作成する要領を示した図。
【図13】ベース部材を変形させてチップコアの高さ位置を調整する要領を示した図。
【符号の説明】
1 ビデオヘッド装置
3 シャフト(回転軸)
5 回転シリンダ
6,7 チップコア
8,9 ベース部材
14 ギャップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ等の記録媒体に対して映像等の情報を記録するビデオヘッド装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープに対して情報を磁気記録/再生するためVCR(ビデオカセットレコーダ)のビデオヘッド装置の一般的な構成を図8に示す。ビデオヘッド装置100は、固定シリンダ102と、シャフト103及びベアリング104を介して回転自在に支持される回転シリンダ105と、回転シリンダ105に取付けられた2つのチップコア106,107等によって構成されている。2つのチップコア106,107は、金属製のベース部材108,109に貼り付けられている。ベース部材108,109は、回転シリンダ105の底面にシャフト103を挟んで対向する位置に取付用ねじ120により装着されており、高さ調整ねじ121によってベース部材108,109の回転シリンダ105に対する姿勢角が調整される。高さ調整ねじ121を締めつけることにより、回転シリンダ105に対するチップコア106,107の取り付け高さを調整することができる。また、固定シリンダ102の上端は、ベース部材108,109との干渉を回避するためにテーパ状の逃げ部110が形成されている。
【0003】
図9及び図10は、チップコア106,107がそれぞれ貼り付けられたベース部材108,109を、また、図11はチップコア106,107を示している。チップコア106,107は、ベース部材108,109の上面の先端に、所定の接着剤によって貼り付けられている。チップコア106,107は、C型コア111と、I型コア112と、両者をボンディングによって接着するためのガラス113によって構成されており、C型コア111とI型コア112との間には所定の間隔のギャップ114が形成されている。
【0004】
ところで、2つのチップコア106,107によって磁気記録/再生を適正に行うためは、各チップコア106,107のギャップ114の高さ方向の位置決めに高い精度が要求される。ビデオヘッド装置の製造工程においては、各チップコア106,107のギャップ114の位置決め精度は、回転シリンダ105へのベース部材108,109の装着面(ベース部材108,109の上面)からギャップ114の下端に至るトラック高さによって管理されている。例えば、2ヘッドタイプのビデオヘッド装置においては、相対向する各トラック高さの変動は、2μm以下に納まるように規格によって定められている。
【0005】
次に、チップコア107の製造工程について、図12を参照して説明する。チップコア107は、C型コアバー131とI型コアバー132とをボンディングして作成したチップコア作成用のコアバー130を、ワイヤソーによって切り出すことにより作成される。1本のコアバー130からは、約150個のチップコア107が切り出される。このコアバー130の切り出し工程では、複数本(例えば、7本)のコアバー130が、所定の治具に所定の角度だけ傾けて固定され、複数個のチップコア107が同時に切り出される。図12中ハッチングで示される領域141は、ワイヤソーによって切除される領域を示している。
【0006】
図13は、チップコア106をベース部材108に貼り付けた後のトラック高さHの調整要領を示している。同図に示されるように、ベース部材108は、チップコア106を上方に向けて治具J1に載置され、治具J2を矢印A方向に移動させることによって、固定される。この状態をカメラCで撮影し、カメラCに接続されたモニタを視認しながら、ベース部材108の先端部108aに矢印B方向に力を加えてベース部材108の先端部108aを変形させることにより、トラック高さHが±7μmの範囲内に納まるように調整される。
【0007】
トラック高さHが±7μmの範囲内に納まるように調整されたベース部材108,109は、その後、取付用ねじ120によって回転シリンダ105に装着され、高さ調整ねじ121を締めつけることにより、チップコア106,107相互のトラック高さHの差が2μmとなるように調整される。
【0008】
また、チップコアを突き出した状態で把持する回転部材(スピンドル)と、チップコアのテープ摺動面に対接するように配設したラッピングテープとを用いることにより、チップコアの先端に所定の曲率のテープ摺動面を得るようにしたビデオヘッドの摺動面形成方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−180124号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8乃至図13に示した従来のビデオヘッド装置100によれば、2個の高さ調整ねじ121を締めつけることによりチップコア106,107のトラック高さを調整しなければならないので、その調整に手間がかかる。また、取付用ねじ及び高さ調整ねじが必要であり、回転シリンダ105に高さ調整ねじ121及び取付用ねじ120に対応するタップ加工が必要となるので、回転シリンダ105の製造コストの高騰を招来する。また、上述した高さ調整ねじ121によって、各チップコア106,107のトラック高さHを円滑に調整するためには、ベース部材108,109に貼り付けた後のトラック高さHの変動を±7μm以下に納める必要があるので、図13に示したようなトラック高さHの調整工程が必要となる。さらに、トラック高さHの調整をベース部材108,109を変形させて行うことから、ベース部材108,109の厚みをある程度以上に確保しなければならないので、固定シリンダ5の上端に大きな逃げ部110を形成しなければならず、その加工に手間がかかる。
【0011】
また、上記特許文献1に示されたビデオヘッドの摺動面形成方法を用いても上記の問題点を解決することができない。
【0012】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡素な構成で、チップコアの高さ位置の調整機構を不要とし、製造コストの低減を図ることができるビデオヘッド装置及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための1対のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、チップコアを支持する1対のベース部材と、各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、各チップコアは、その上面に形成された凹部と、この凹部からチップコア下面に亘って形成された所定のギャップとを有し、その下面が平坦であってベース部材の上面に接着されており、ベース部材とチップコアとが同等程度の硬度を有し、チップコアの先端と該ベース部材の先端とが、回転シリンダの回転軸方向に対称で、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工されており、各ベース部材は、基端部の上面が回転シリンダの底面に接着されており、チップコアの回転シリンダに対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に一致させることを可能にしたものである。
【0014】
この構成によれば、1対のチップコアを備えた、いわゆる2ヘッドタイプのビデオヘッド装置において、ギャップの下端がチップコアの下面に位置し、該チップコアの下面がベース部材の上面に接着され、該ベース部材の上面は回転シリンダの底面に接着されている。従って、各チップコアのギャップの下端は、回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置することとなる。これにより特別な高さ調整機構を必要とすることなく、各チップコアの高さ位置を相互に一致させることができる。また、チップコアの先端とベース部材の先端とが、回転シリンダの回転軸方向に対称で、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工されているので、チップコアの先端と磁気テープとのタッチが良好なものとされる。
【0015】
請求項2の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための複数のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、チップコアを支持する複数のベース部材と、各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、各チップコアは、その上面から下面に亘って形成された所定のギャップを有し、その下面が前記ベース部材の上面に接着されており、各ベース部材は、基端部の上面が回転シリンダの底面に接着されており、チップコアの回転シリンダに対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に一致させることを可能にしたものである。
【0016】
この構成によれば、複数のチップコアを備えたビデオヘッド装置において、ギャップの下端がチップコアの下面に位置し、該チップコアの下面がベース部材の上面に接着され、該ベース部材の上面は回転シリンダの底面に接着されている。従って、所定の厚みのスペーサ等を用いてベース部材の高さ位置を相互に適正化しながら、ベース部材を回転シリンダの底面に接着することにより、各チップの高さ位置の調整が不要となる。
【0017】
請求項3の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための複数のチップコアを複数のベース部材の先端部に接着し、各ベース部材の基端部を回転シリンダの底面に固定して成るビデオヘッド装置の製造方法において、所定のギャップが形成されたコアバーを、下面が平坦となるように所定の厚みで切断して複数のチップコアを作成するステップと、各チップコアの下面を前記各ベース部材の先端部の上面に接着するステップと、各チップコアの先端及びベース部材の先端を、回転シリンダの回転軸方向に対称に、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工するステップと、各ベース部材の基端部の上面を回転シリンダの底面に接着するステップとを有し、各チップコアのギャップの回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要としたものである。
【0018】
この構成によれば、各チップコアのギャップの下端は、平坦に切り出されたチップコアの下面に位置することになる。従って、各チップコアの下面をベース部材の上面に接着し、ベース部材の上面を回転シリンダの底面に接着することにより、各チップコアのギャップの下端を、回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置させることができる。これにより、各チップコアの回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要にすることが可能となる。また、各チップコアの先端及びベース部材の先端を、回転シリンダの回転軸方向に対称に、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工するので、チップコアの先端と磁気テープとの間の良好なタッチを確保することが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態によるビデオヘッド装置について図面を参照して説明する。図1は、ビデオカセットレコーダに用いられる映像信号を記録/再生するための2ヘッドタイプのビデオヘッド装置を示している。ビデオヘッド装置1は、ビデオカセットレコーダのデッキシャーシに固定される固定シリンダ2と、固定シリンダ2の上方にシャフト3及びベアリング4を介して回転自在に支持される回転シリンダ5等によって構成されている。回転シリンダ5には、磁気テープに情報を記録/再生するための1対のチップコア6,7がベース部材8,9を介して搭載されている。また、固定シリンダ2の上端には、ベース部材8,9の下面との干渉を防止するための逃げ部10が形成されている。以下、チップコア6及びベース部材8について説明するが、チップコア7及びベース部材9についても同様であるので、その説明を省略する。
【0020】
図2はチップコア6が貼り付けられたベース部材8を、また、図3はチップコア6を示している。チップコア6は、単結晶フェライトによって形成され、ベース部材8の先端部8aの上面に接着されている。ベース部材8は、図1に示すように、その基端部8bの上面が回転シリンダ5の底面5aに接着されている。ベース部材8の上面は、必要とされる平坦度が研磨加工等によって確保されている。ベース部材8の材質としては、例えば、ステンレスや黄銅が挙げられるが、チップコア6と同等程度の硬度を有するセラミックであっても構わない。チップコア6とベース部材8との接着及びベース部材8と回転シリンダ5との接着には、例えば、紫外線硬化性樹脂から成る接着剤が用いられる。この紫外線硬化性樹脂は、紫外線を照射することにより硬化する性質を有するが、その他にも、空気との接触が断たれることで硬化する嫌気硬化性をも有している。この嫌気硬化性により、硬化時においては、空気中の湿度の影響を受けることがなくなり、ベース部材8の上面に貼り付けられたチップコア6の高さ位置の精度が十分に確保されることになる。
【0021】
チップコア6は、C型コア11とI型コア12とによって構成されている。C型コア11とI型コア12とは、ガラス13によってボンディングされ、両者の間には所定の間隔のギャップ14が形成されている。ギャップ14の幅(トラック幅)Wは規格によって定めれており、必要なトラック幅Wを得るために、チップコア6の上面15には、ダイサによって切除された凹部15aが形成されている。一方、チップコア6の下面16は凹部のない平坦な形状とされている。従って、ギャップ14は、凹部15aから下面16に亘って形成されていることになり、ギャップ14の下端14aは、下面16上に位置することになる。なお、凹部15aにはガラス17が充填されている。
【0022】
図4はチップコア6及びベース部材8の先端部を示している。ベース部材8にチップコア6を接着した後、図中ハッチングで示した領域20が削除され、チップコア6の先端18とベース部材8の先端19とは、シャフト3(図1参照)の軸方向に所定の曲率半径rを有する同一の曲面に加工されている。この曲面の中心は、ギャップ14の高さ方向の中心線14b上に位置しており、チップコア6の先端18とベース部材8の先端19によって構成される曲面はギャップ14の中心線14bに対して上下対称に形成されている。ベース部材8は、ステンレス、黄銅等の他、チップコア6と同等程度の硬度を有するセラミックにて形成されているので、例えば、従来のラッピングテープを用いてチップコアの先端を加工する場合と同等の要領で、チップコア6の先端18及びベース部材8の先端19を上述した形状に加工することができる。
【0023】
上記構成を有するビデオヘッド装置1によれば、ギャップ14の下端14aがチップコア6の下面16に位置し、チップコア6の下面16はベース部材8の上面に接着され、ベース部材8の上面は回転シリンダ5の底面に接着される。従って、各チップコア6,7のギャップ14の下端14aは、回転シリンダ5の底面5aと略同一の平面上に位置することとなる。これにより、図8に示した従来のビデオヘッド装置100における高さ調整ねじ121によって構成される特別な高さ調整機構を必要とすることなく、チップコア6とチップコア7との高さ方向の位置を相互に一致させることができる。また、取付用ねじ120及び高さ調整ねじ121及び取付用ねじ120、高さ調整ねじ121に対応するタップ加工を省くことができる。
【0024】
また、高さ調整ねじ121によって各チップコア6,7の高さ位置を調整する必要がないので、ベース部材8と回転シリンダ5との接合面には、ベース部材8を回転シリンダ5から解離させる方向に大きな力が加わらない。これによって、従来のビデオヘッド装置100において必要とされていた取付用ねじ120に替えて、接着剤によってベース部材8を回転シリンダ5に固定することができるようになり、取付用ねじ120に対応するタップ加工が不要になることと相まって、装置の構成を簡素化することができる。
【0025】
また、ベース部材8を変形させながらチップコア6の高さ位置を調整する必要がないので、ベース部材8をチップコア6と同等の硬度を有するセラミックで形成することも可能となる。また、図5に示すようにベース部材8を薄肉化すると共に、その形状も簡素化することができ、装置のコストダウンを図ることができる。また、ベース部材8を薄肉化することにより、固定シリンダ2の上端縁に形成する逃げ部10を小さくすることができ、加工の手間を省くことができる。
【0026】
また、チップコア6の先端18とベース部材8の先端19とが、シャフト3の軸方向に対称で曲率半径rを有する同一の曲面に加工され、この曲面の中心はギャップ14の中心線14b上に位置しているので、図6に示されるように、該曲面に対してギャップ14が偏ることがない。その結果、ギャップ14の上端から下端14a、すなわちトラック幅Wの全域に亘ってチップコア6の先端18と磁気テープTとの良好なタッチを確保することができる。
【0027】
次に、チップコア6の製造方法について、図7を参照して説明する。チップコア6は、棒状のコアバー30を切り出すことによって形成される。コアバー30はC型コアバー31と、I型コアバー32とによって構成されている。C型コアバー31と、I型コアバー32とは、所定のギャップ14を隔ててガラスボンディングされている。C型コアバー31及びI型コアバー32には、ギャップ14の幅寸法を適正化するための溝35及び溝36が、それぞれ対向する位置にダイサによって形成されている。本実施形態においては、ギャップ14の下端14aの位置に合わせて、コアバー30を切り出し、切り出されたチップコア6の下面16をベース部材との接着面とする。ここで、コアバーの切り出しはワイヤーソーを用いてなされる。なお、図中ハッチングにて示した領域41は、ワイヤーソーによって切除される切り代である。
【0028】
このように切り出されたチップコアの接着面19を、紫外線硬化性接着剤を用いてベース部材9の先端部9aの上面に接着すれば、図13で示した類の高さ調整工程を経ることなく、ギャップ14の下端がベース部材9の上面と一致する。また、ベース部材9の基端部9bの上面を、紫外線硬化性接着剤を用いて回転シリンダ5の底面5aに接着すれば、従来の高さ調整ねじ121の締めつけることによる調整工程を経ることなく、チップコア6とチップコア7のギャップ14の高さ方向の位置を相互に一致させることができるようになる。従って、従来のビデオヘッド装置100において、2回必要としていたギャップの高さ位置の調整が不要となり、装置の製造工程を簡素化し、その製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく種々の変形が可能であり、例えば、ビデオヘッド装置は、1対の映像ヘッドを備えた2ヘッドタイプに限られることなく、2対の映像ヘッドを備えた4ヘッドタイプ、さらには、これに1対の音声ヘッドを備えた4ヘッドHi−Fiタイプにも適用することができる。この場合においては、チップコアとベース部材との間、又はベース部材と回転シリンダとの間に所定の厚みのスペーサを介在させることにより、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に適正化することができる。従って、チップコアの高さ調整機構を備える必要がなくなり、装置の製造コストの低減を図ることが可能になる。また、単一のベース部材に各チップコアを接着するように構成しても構わない。
【0030】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、1対のチップコアを備えた、いわゆる2ヘッドタイプのビデオヘッド装置において、ギャップの下端がチップコアの下面に位置し、該チップコアの下面はベース部材の上面に接着され、該ベース部材の上面は回転シリンダの底面に接着される。従って、各チップコアのギャップの下端は、回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置することとなり、特別な高さ調整機構を必要とすることなく、各チップコアの高さ位置を相互に一致させることができる。また、チップコアの先端とベース部材の先端とが、回転シリンダの回転軸方向に対称で、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工されているので、チップコアの先端と磁気テープとの良好なタッチを確保することができる。
【0031】
請求項2の発明によれば、複数対のチップコアを備えたビデオヘッド装置において、ギャップの下端がチップコアの下面に位置し、該チップコアの下面はベース部材の上面に接着される。従って、所定の厚みのスペーサ等を用いてベース部材の高さ位置を相互に適正化しながら、ベース部材を回転シリンダの底面に接着することにより、各チップコアの高さ位置の調整が不要となる。これにより、各チップコアの高さ位置を調整するための機構が不要となり、ビデオヘッド装置の構造が簡素化され、その製造コストの低減を図ることができるようになる。
【0032】
請求項3の発明によれば、ギャップの下端を平坦に切り出されたチップコアの下面にギャップの下端を位置させるようにチップコアを切り出すので、各チップコアのギャップの下端を、ベース部材の上面を介して、回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置させることができる。これにより、各チップコアの回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要にすることが可能となる。また、各チップコアの先端及びベース部材の先端を、回転シリンダの回転軸方向に対称に、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工するので、チップコアの先端と磁気テープとの間の良好なタッチを確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるビデオヘッド装置の断面図。
【図2】(a)は同装置の回転シリンダに取り付けられるベース部材及びチップコアの側面図、(b)は同ベース部材及びチップコアの正面図。
【図3】(a)は同チップコアの正面図、(b)は同チップコアの側面図、(c)は同チップコアの下面図。
【図4】チップコア及びベース部材の先端の形状を示した側面図。
【図5】同装置の回転シリンダに取り付けられる別のベース部材及びチップコアの側面図。
【図6】チップコア及びベース部材の先端が磁気テープと接触している状態を示した図。
【図7】コアバーを切断してチップコアを作成する要領を示した平面図。
【図8】従来のビデオヘッド装置の断面図。
【図9】同装置の回転シリンダに取り付けられるベース部材及びチップコアの側面図。
【図10】同ベース部材及びチップコアの正面図。
【図11】(a)は同チップコアの正面図、(b)は同チップコアの側面図、(c)は同チップコアの下面図。
【図12】コアバーを切断して同チップコアを作成する要領を示した図。
【図13】ベース部材を変形させてチップコアの高さ位置を調整する要領を示した図。
【符号の説明】
1 ビデオヘッド装置
3 シャフト(回転軸)
5 回転シリンダ
6,7 チップコア
8,9 ベース部材
14 ギャップ
Claims (3)
- 磁気テープに情報を記録/再生するための1対のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、該チップコアを支持する1対のベース部材と、各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、
前記各チップコアは、その上面に形成された凹部と、この凹部から該チップコア下面に亘って形成された所定のギャップとを有し、その下面が平坦であって前記ベース部材の上面に接着されており、
前記ベース部材と前記チップコアとが同等程度の硬度を有し、該チップコアの先端と該ベース部材の先端とが、前記回転シリンダの回転軸方向に対称で、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工されており、
前記各ベース部材は、前記基端部の上面が前記回転シリンダの底面に接着されており、
前記チップコアの前記回転シリンダに対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に一致させることを可能にしたことを特徴とするビデオヘッド装置。 - 磁気テープに情報を記録/再生するための複数のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、該チップコアを支持する複数のベース部材と、各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、
前記各チップコアは、その上面から下面に亘って形成された所定のギャップを有し、その下面が前記ベース部材の上面に接着されており、
前記各ベース部材は、前記基端部の上面が前記回転シリンダの底面に接着されており、
前記チップコアの前記回転シリンダに対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に一致させることを可能にしたことを特徴とするビデオヘッド装置。 - 磁気テープに情報を記録/再生するための複数のチップコアを複数のベース部材の先端部に接着し、各ベース部材の基端部を回転シリンダの底面に固定して成るビデオヘッド装置の製造方法において、
所定のギャップが形成されたコアバーを、下面が平坦となるように、かつ該ギャップとは所定の角度を成すように、所定の厚みで切断して前記複数のチップコアを作成するステップと、
前記各チップコアの下面を前記各ベース部材の先端部の上面に接着するステップと、
前記各チップコアの先端及びベース部材の先端を、前記回転シリンダの回転軸方向に対称に、所定の曲率半径を有する同一の曲面に加工するステップと、
前記各ベース部材の基端部の上面を回転シリンダの底面に接着するステップとを有し、
前記各チップコアのギャップの前記回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要としたことを特徴とするビデオヘッド装置の製造方法。
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JP2003177577A JP2005011477A (ja) | 2003-06-23 | 2003-06-23 | ビデオヘッド装置及びその製造方法 |
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Cited By (1)
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WO2010016557A1 (ja) | 2008-08-07 | 2010-02-11 | 東洋紡績株式会社 | 異方性光拡散フィルム、異方性光拡散積層体、異方性光反射積層体及びその用途 |
-
2003
- 2003-06-23 JP JP2003177577A patent/JP2005011477A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010016557A1 (ja) | 2008-08-07 | 2010-02-11 | 東洋紡績株式会社 | 異方性光拡散フィルム、異方性光拡散積層体、異方性光反射積層体及びその用途 |
US8979330B2 (en) | 2008-08-07 | 2015-03-17 | Toyo Boseki Kabushiki Kaisha | Anisotropic light-diffusing film, anisotropic light-diffusing laminate, anisotropic light-reflecting laminate, and use thereof |
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