JP2005011403A - ビデオヘッド装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビデオヘッド装置において、簡素な構成で、チップコアの高さ位置の調整機構を不要として、装置の製造コストを低減する。
【解決手段】チップコア6に形成されたギャップ14の下端と一致する高さ位置にベース部材との接着面19を形成する。接着面19をベース部材の上面に接着し、ベース部材を回転シリンダの底面に接着することにより、各チップコア6の高さ位置を相互に一致させることができ、高さ調整機構が不要になる。
【選択図】 図5
【解決手段】チップコア6に形成されたギャップ14の下端と一致する高さ位置にベース部材との接着面19を形成する。接着面19をベース部材の上面に接着し、ベース部材を回転シリンダの底面に接着することにより、各チップコア6の高さ位置を相互に一致させることができ、高さ調整機構が不要になる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ等の記録媒体に対して映像等の情報を記録するビデオヘッド装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープに対して情報を磁気記録/再生するVCR(ビデオカセットレコーダ)のビデオヘッド装置の一般的な構成を図7に示す。ビデオヘッド装置100は、固定シリンダ102と、シャフト103及びベアリング104を介して回転自在に支持される回転シリンダ105と、回転シリンダ105に取付けられた2つのチップコア106,107等によって構成されている。2つのチップコア106,107は、金属製のベース部材108,109に貼り付けられている。ベース部材108,109は、回転シリンダ105の底面にシャフト103を挟んで対向する位置に取付用ねじ120により装着されており、高さ調整ねじ121によってベース部材108,109の回転シリンダ105に対する姿勢角が調整される。高さ調整ねじ121を締めつけることにより、回転シリンダ105に対するチップコア106,107の取り付け高さを調整することができる。また、固定シリンダ102の上端には、ベース部材108,109との干渉を回避するためにテーパ状の逃げ部110が形成されている。
【0003】
図8及び図9は、チップコア106,107がそれぞれ貼り付けられたベース部材108,109を、また、図10はチップコア106,107を示している。チップコア106,107は、ベース部材108,109の上面の先端に、所定の接着剤によって貼り付けられている。チップコア106,107は、C型コア111と、I型コア112と、両者をボンディングによって接着するためのガラス113によって構成されており、C型コア111とI型コア112との間には所定の間隔のギャップ114が形成されている。
【0004】
ところで、2つのチップコア106,107によって磁気記録/再生を適正に行うためは、各チップコア106,107のギャップ114の高さ方向への位置決めに高い精度が要求される。ビデオヘッド装置の製造工程においては、各チップコア106,107のギャップ114の位置決め精度は、回転シリンダ105へのベース部材108,109の装着面(ベース部材108,109の上面)からギャップ114の下端に至るトラック高さHによって管理されている。例えば、2ヘッドタイプのビデオヘッド装置においては、相対向する各トラック高さHの差が2μm以下に納まるように、規格によって定められている。
【0005】
次に、チップコア107の製造工程について、図11を参照して説明する。チップコア107は、C型コアバー131とI型コアバー132とをボンディングして作成したチップコア作成用のコアバー130を、ワイヤソーによって切り出すことにより作成される。一本のコアバー130からは、約150個のチップコア107が切り出される。このコアバー130の切り出し工程では、複数本(例えば、7本)のコアバー130が、所定の治具に所定の角度だけ傾けて固定され、複数個のチップコア107が同時に切り出される。図11中ハッチングで示される領域141は、ワイヤソーによって切除される領域を示している。
【0006】
図12は、一般的に、直径80μmのワイヤソーを用いて切り出される被加工物を示している。このワイヤソーを用いた切り出し工程においては、ワイヤRを被加工物150に押し当てて、砥粒が混入された液体をかけながらワイヤRを摺動させて、被加工物150を切断する。図12中のハッチング領域151は、ワイヤソーによって切徐される領域(切り代)を示している。このワイヤソーを用いた切断方法によれば、複数のワイヤRを並列に配置することによって一度に多量のチップを切り出すことができるというメリットがある。その反面、ワイヤRにはその摺動に伴って振れが生じるので、切り代の幅が、図12に示されるように、最大で100μm程度にまで大きくなると共に、精度良く切断できないというデメリットがある。
【0007】
図13は、チップコア106,107の各製造工程におけるギャップ14の高さ位置(トラック高さH)を測定し、その目標値からのずれの分布をグラフ化したものである。すなわち、分布曲線Yはチップコア106,107を切り出した後のチップコア106,107の下面からギャップ114の下端までの距離を、分布曲線Xはベース部材108,109に貼付けた後のトラック高さHを、分布曲線Zは後述する所定の調整方法で調整した後のトラック高さHをそれぞれ示している。分布曲線Yによれば、チップコア106,107を切り出した後のトラック高さHの変動は±10μm程度である。このチップコア106,107をベース部材108,109に貼付けると、分布曲線Xに示されるように、トラック高さHの変動は±12μm程度にまで拡大する。この後、図14に示される要領でベース部材108,109を変形させることにより、分布曲線Zに示されるように、トラック高さHの変動を±7μm程度となるように調整する。
【0008】
図14は、チップコア106をベース部材108に貼付けた後のトラック高さHの調整要領を示している。同図に示されるように、ベース部材108は、チップコア106を上方に向けて治具J1に載置され、治具J2を矢印A方向に移動させることによって、固定される。この状態をカメラCで撮影し、カメラCに接続されたモニタを視認しながら、ベース部材108の先端部108aに矢印B方向に力を加えてベース部材108の先端部108aを変形させることにより、トラック高さHの変動が±7μmの範囲内に納まるように調整される。
【0009】
トラック高さHが±7μmの範囲内に納まるように調整されたベース部材108,109は、その後、取付用ねじ120によって回転シリンダ105に装着され、高さ調整ねじ121を締めつけることにより、チップコア106,107の相互のトラック高さHの差が2μm以内となるように調整される。
【0010】
また、上記図7乃至図14に示した装置とは別のビデオヘッド装置であって、チップコアごとにトラック高さを測定し、その測定結果に基づいて、各チップコアを接着するベース部材の先端部の上面を段状に切削することにより、各チップコア高さ位置を一致させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、コアバーを切断精度の高いダイサを用いて切断することによりチップコアを切り出し、この切り出したチップコアをベース部材に貼り付けて構成したビデオヘッドが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、ベース部材の回転シリンダへの取付基準面に第1のホルダ層、コア層、及び第2のホルダ層を積層して成るビデオヘッドが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平3−116511号公報
【特許文献2】
特開昭63−55716号公報
【特許文献3】
特開昭61−265721号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7乃至図14に示した従来のビデオヘッド装置100によれば、2個の高さ調整ねじ121を締めつけることによりチップコア106,107のトラック高さを調整しなければならないので、その調整に手間がかかる。また、回転シリンダ105に高さ調整ねじ121に対応するタップ加工が必要となるので、回転シリンダ105の製造コストの高騰を招来する。また、上述した高さ調整ねじ121によって、各チップコア106,107のトラック高さHを円滑に調整するためには、ベース部材108,109に貼り付けた後のトラック高さHの変動を±7μm以下に納める必要があるので、図14に示したようなトラック高さHの調整工程が必要となる。さらに、トラック高さHの調整をベース部材108,109を変形させて行うことから、ベース部材108,109の厚みをある程度以上に確保しなければならないので、固定シリンダ5の上端に逃げ部110を形成しなければならず、その加工に手間がかかる。
【0013】
また、上記特許文献1に示されたビデオヘッド装置においては、個々のチップコアのトラック高さに合わせて、ベース部材の上面を切削しなければならないので、その作業に手間かがかかる。また、上記特許文献2に示されたビデオヘッド装置においては、ダイサを用いてチップコアを切り出すので、その切り出しに時間がかかる。さらに、特許文献3に示されたビデオヘッド装置においては、ベース部材に第1のホルダ層、コア層、及び第2のホルダ層を積層してチップコアを形成するので、コアの構成が複雑となり、ビデオヘッド装置の製造コストの高騰を招来する。
【0014】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡素な構成で、チップコアの高さ位置の調整機構を不要とし、製造コストの低減を図ることができるビデオヘッド装置及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための1対のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、該チップコアを支持する1対のベース部材と、各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、各チップコアの上面及び下面には凹部が形成され、上面側の凹部から下面側の凹部に亘って所定のギャップが形成されており、各チップコアには、各ベース部材との接着面が該各チップコアの下面に対して段差を設けて上面側に後退して形成され、該段差の高さは、該各チップコアの下面からのギャップの下端の高さと一致し、該各チップコアの接着面は、ベース部材の上面に接着されており、各ベース部材の上面は、基端部において回転シリンダの底面に接着されており、チップコアの回転シリンダに対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコアの高さ位置を相互に一致させることを可能にしたものである。
【0016】
この構成によれば、1対のチップコアを備えた、いわゆる2ヘッドタイプのビデオヘッド装置において、ギャップの下端の高さと一致する高さ位置にベース部材との接着面が形成される。この接着面はベース部材の上面に接着され、ベース部材はその上面が回転シリンダの底面に接着される。従って、各チップコアのギャップの下端は、回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置することとなる。これにより特別な高さ調整機構を必要とすることなく、各チップコアの高さ位置を相互に一致させることができる。
【0017】
請求項2の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための複数対のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、該各チップコアを支持する複数対のベース部材と、この各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、各チップコアの上面及び下面には凹部が形成され、上面側の凹部から下面側の凹部に亘って所定のギャップが形成されており、各チップコアには、各ベース部材との接着面が該各チップコアの下面に対して段差を設けて上面側に後退して形成され、該段差の高さは、該各チップコアの下面からのギャップの基準位置の高さに対応するように形成されており、該各チップコアの接着面は、各ベース部材の上面に接着され、各チップコアの回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要としたものである。
【0018】
この構成においては、複数対のチップコアを備えたビデオヘッド装置において、ギャップの基準位置の高さに対応する高さ位置にベース部材との接着面が形成され、この接着面はベース部材の上面に接着される。従って、各ベース部材をその上面の高さ位置が一致するように回転シリンダに固定することにより、各チップの高さ位置の調整が不要となる。
【0019】
請求項3の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための1対又は複数対のチップコアを1対又は複数対のベース部材の先端部に接着し、各ベース部材の基端部を回転シリンダの底面に固定して成るビデオヘッド装置の製造方法において、所定のギャップが形成され、所定の方向に平行に切断されることによって1対又は複数対のチップコアが切り出されるコアバーの該ギャップと対応する高さ位置に、ダイサを用いて、磁気テープの摺動面とは反対側の面からチップコアの切り出し方向に、所定の幅及び深さの溝を形成するステップと、溝を形成したコアバーを、ワイヤソーを用いて所定の厚みで切断して複数のチップコアを作成するステップと、各チップコアのダイサを用いて形成した溝の側面を、各ベース部材の先端部の上面に接着するステップと、各チップコアが接着された各ベース部材の基端部の上面を回転シリンダの底面に接着するステップとを有し、各チップコアの回転シリンダに対する高さ位置を調整するステップを不要としたものである。
【0020】
この構成においては、コアバーの磁気テープとの摺動面とは反対側の面から形成した溝の側面を接着面として、各チップコアを各ベース部材の上面に接着する。コアバーの溝、すなわちベース部材との接着面は、ダイサによって砥石加工されるので、ギャップと対応する高さ位置に精度良く形成することができる。従って、各ギャップの高さ位置は、各ベース部材の上面と一致することとなり、各ベース部材の上面を回転シリンダの底面に接着することにより、各ギャップの高さ位置を相互に一致させることができる。これにより、各チップコアの回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要にすることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態によるビデオヘッド装置について図面を参照して説明する。図1は、ビデオカセットレコーダに用いられる映像信号を記録/再生するための2ヘッドタイプのビデオヘッド装置を示している。ビデオヘッド装置1は、ビデオカセットレコーダのデッキシャーシに固定される固定シリンダ2と、固定シリンダ2の上方にシャフト3及びベアリング4を介して回転自在に支持される回転シリンダ5等によって構成されている。回転シリンダ5には、磁気テープに情報を記録/再生するための1対のチップコア6,7がベース部材8,9を介して搭載されている。固定シリンダ2の上端には、ベース部材8,9の下面との干渉を防止するための逃げ部10が形成されている。
【0022】
図2及び図3はチップコア6,7がそれぞれ貼り付けられたベース部材8,9を、また、図4及び図5はチップコア6,7を示している。チップコア6,7は、ベース部材8,9の先端部8a,9aの上面に接着されている。ベース部材8,9は、図1に示すように、その基端部8b,9bの上面が回転シリンダ5の底面5aに接着されている。ベース部材8,9の上面は、研磨加工等によって必要とされる平坦度が十分に確保されている。チップコア6,7とベース部材8,9との接着及びベース部材8,9と回転シリンダ5との接着には、例えば、紫外線硬化性樹脂から成る接着剤が用いられる。この紫外線硬化性樹脂は、紫外線を照射することにより硬化する性質を有するが、その他にも、空気との接触が断たれることで硬化する嫌気硬化性をも有している。この嫌気硬化性により、硬化時においては、空気中の湿度の影響を受けることがなくなり、チップコア6,7を所定の圧力でベース部材8,9に押しつけることにより、各チップコア6,7の高さ位置の精度が十分に確保されることになる。
【0023】
チップコア6,7は、C型コア11とI型コア12とによって構成されている。C型コア11とI型コア12は、ガラス13によってボンディングされ、両者の間には所定の間隔のギャップ14が形成されている。ギャップ14の幅(トラック幅)Wは規格によって定めれており、必要なトラック幅Wを得るために、チップコア6,7の上面及び下面には、ダイサによって切除された凹部15,16が形成されている。従って、ギャップ14は、上面側の凹部15から下面側の凹部16に亘って形成されていることになる。また、凹部15,16にはガラス17が充填されている。
【0024】
チップコア6,7のベース部材8,9との接着面18,19は、チップコア6,7の下面に対して段差を設けて上面側に後退して形成されている。この段差の高さは、チップコア6,7の下面からのギャップ14の下端の高さ(トラック高さ)Hと一致するように、加工されている。
【0025】
上記構成を有するビデオヘッド装置1によれば、ギャップ14の下端の高さHと一致する高さ位置にベース部材8,9との接着面18,19が形成される。この接着面18,19はベース部材8,9の上面に接着され、ベース部材8,9はその上面が回転シリンダ5の底面に接着されている。従って、各チップコア6,7のギャップ14の下端は、回転シリンダ5の底面5aと略同一の平面上に位置することとなる。これにより、図7に示した従来のビデオヘッド装置100における高さ調整ねじ121によって構成される特別な高さ調整機構を必要とすることなく、各チップコア6,7の高さ位置を相互に一致させることができる。これにより高さ調整ねじ121及び取付用ねじ120が不要であり、高さ調整ねじ121及び取付用ねじ120に対応するタップ加工を省くことができる。
【0026】
また、高さ調整ねじ121によって各チップコア6,7の高さ位置を調整する必要がないので、ベース部材8,9と回転シリンダ5との接合面には、ベース部材8,9を回転シリンダ5から解離させる方向に大きな力が加わらない。これによって、従来のビデオヘッド装置100において必要とされていた取付用ねじ120に替えて、接着剤によってベース部材8,9を回転シリンダ5に固定することができる。その結果、取付用ねじ120に対応するタップ加工が不要になることと相まって、ビデオヘッド装置1の構成を簡素化することができる。また、ベース部材8,9を変形させながらチップコア6,7の高さ位置を調整する必要がないので、ベース部材8,9を薄肉化することができる。これにより、ベース部材8,9との干渉を避けるための固定シリンダ2の上端縁に形成する逃げ部10を小さくすることができ、加工の手間を省くことができる。
【0027】
次に、チップコアの製造方法について、図6を参照して説明する。以下は、チップコア7についての説明であるが、チップコア6についても同等の要領にて製造することができる。チップコア7は、棒状のコアバー30を切り出すことによって形成される。図6において(a)は、ワイヤソーを用いて切り出す前のコアバー30の正面図及び側面図を、(b)は、ワイヤソーによって切り出されるコアバー30の正面図及び側面図をそれぞれ示している。コアバー30はC型コアバー31と、I型コアバー32とによって構成されている。C型コアバー31と、I型コアバー32とは、所定のギャップ14を隔ててガラスボンディングされている。C型コアバー31及びI型コアバー32には、ギャップ14の幅寸法を適正化するための溝35,36が、それぞれ対向する位置にダイサによって形成されている。本実施形態においては、チップコア7を切り出す前に、コアバー30にチップコア7のベース部材9との接着面19を形成する。接着面19は、コアバー30の磁気テープとの摺動面37とは反対側の面38から、図中ハッチングで示した所定の幅及び深さの溝領域39を切除することにより形成される。溝側面の高さ位置は、破線40によって示されるように、ギャップ14の高さ位置と(トラック高さH)一致するように加工される。ここで、溝領域39の切除はダイサを用いてなされるので、その加工精度は極めて高く、かつ、溝側面の平滑度も極めて高い。このようにして形成された溝領域39の側面が接着面19となる。
【0028】
接着面19が形成されたコアバー30は、図6(b)に示されるように、ワイヤソーを用いて切り出される。図中ハッチングで示した領域41は、ワイヤソーによる切り代である。既に述べたように、ワイヤソーによる切断は、加工精度が良好とはいえず切断面の高さ位置は誤差を伴うが、ギャップ14の下端と、ダイサによって形成された接着面19との高さ方向の位置関係は不変である。従って、このように切り出されたチップコア7の接着面19を、紫外線硬化性接着剤を用いてベース部材9の先端部9aの上面に接着すれば、図14で示した類の高さ調整工程を経ることなく、ギャップ14の下端がベース部材9の上面と一致する。また、ベース部材9の基端部9bの上面を、紫外線硬化性接着剤を用いて回転シリンダ5の底面5aに接着すれば、従来の高さ調整ねじ121の締めつけによる調整工程を経ることなく、各チップコア6,7のギャップ14の高さ位置を相互に一致させることができるようになる。従って、従来のビデオヘッド装置100において、2回必要としていたギャップの高さ位置の調整が不要となり、装置の製造工程を簡素化し、その製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく種々の変形が可能であり、例えば、ビデオヘッド装置は、1対の映像ヘッドを備えた2ヘッドタイプに限られることなく、2対の映像ヘッドを備えた4ヘッドタイプ、さらには、これに1対の音声ヘッドを備えた4ヘッドHi−Fiタイプにも適用することができる。この場合においては、各チップコア下面に対する接着面の高さを、各ヘッドごとに定められているギャップの基準位置の高さに対応するように形成し、該接着面を同一平面に接着することにより、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に適正化することができる。従って、チップコアの高さ調整機構を備える必要がなくなり、装置の製造コストの低減を図ることが可能になる。また、単一のベース部材に各チップコアを接着するように構成しても構わない。
【0030】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、1対のチップコアを備えた、いわゆる2ヘッドタイプのビデオヘッド装置において、ギャップの下端の高さと一致する高さ位置にベース部材との接着面が形成され、この接着面はベース部材を介して回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置するので、特別な高さ調整機構を必要とすることなく、各チップコアの高さ位置を相互に一致させることができる。これにより、ビデオヘッド装置の構造が簡素化され、その製造コストの低減を図ることができるようになる。
【0031】
請求項2の発明によれば、複数対のチップコアを備えたビデオヘッド装置において、ギャップの基準位置の高さに対応する高さ位置にベース部材との接着面が形成されるので、この接着面の高さ位置を揃えて回転シリンダに固定することにより、各チップコアの高さ位置の調整が不要となる。これにより、各チップコアの高さ位置を調整するための機構が不要となり、ビデオヘッド装置の構造が簡素化され、その製造コストの低減を図ることができるようになる。
【0032】
請求項3の発明によれば、ギャップの基準位置の高さに対応する高さ位置にベース部材との接着面を形成し、この接着面をベース部材を介して回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置させて接着するので、各チップコアの高さ位置を調整するステップが不要となり、ビデオヘッド装置の製造工程の簡素化と製造コストの低減を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるビデオヘッド装置の断面図。
【図2】同装置の回転シリンダに取り付けられるベース部材及びチップコアの側面図。
【図3】同ベース部材及びチップコアの正面図。
【図4】(a)は同チップコアの正面図、(b)は同チップコアの側面図。
【図5】(a)は同チップコアの正面図、(b)は同チップコアの側面図、(c)は同チップコアの下面図。
【図6】コアバーを切断してチップコアを作成する要領を示した図。
【図7】従来のビデオヘッド装置の断面図。
【図8】同装置の回転シリンダに取り付けられるベース部材及びチップコアの側面図。
【図9】同ベース部材及びチップコアの正面図。
【図10】(a)は同チップコアの正面図、(b)は同チップコアの側面図、(c)は同チップコアの下面図。
【図11】コアバーを切断する要領を示した図。
【図12】被切断物がワイヤソーによって切断される様子を示した図。
【図13】同チップコアの各製造工程におけるギャップの高さ位置の分布を示した図。
【図14】ベース部材を変形させてチップコアの高さ位置を調整する要領を示した図。
【符号の説明】
1 ビデオヘッド装置
5 回転シリンダ
6,7 チップコア
8,9 ベース部材
19 接着面
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気テープ等の記録媒体に対して映像等の情報を記録するビデオヘッド装置及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープに対して情報を磁気記録/再生するVCR(ビデオカセットレコーダ)のビデオヘッド装置の一般的な構成を図7に示す。ビデオヘッド装置100は、固定シリンダ102と、シャフト103及びベアリング104を介して回転自在に支持される回転シリンダ105と、回転シリンダ105に取付けられた2つのチップコア106,107等によって構成されている。2つのチップコア106,107は、金属製のベース部材108,109に貼り付けられている。ベース部材108,109は、回転シリンダ105の底面にシャフト103を挟んで対向する位置に取付用ねじ120により装着されており、高さ調整ねじ121によってベース部材108,109の回転シリンダ105に対する姿勢角が調整される。高さ調整ねじ121を締めつけることにより、回転シリンダ105に対するチップコア106,107の取り付け高さを調整することができる。また、固定シリンダ102の上端には、ベース部材108,109との干渉を回避するためにテーパ状の逃げ部110が形成されている。
【0003】
図8及び図9は、チップコア106,107がそれぞれ貼り付けられたベース部材108,109を、また、図10はチップコア106,107を示している。チップコア106,107は、ベース部材108,109の上面の先端に、所定の接着剤によって貼り付けられている。チップコア106,107は、C型コア111と、I型コア112と、両者をボンディングによって接着するためのガラス113によって構成されており、C型コア111とI型コア112との間には所定の間隔のギャップ114が形成されている。
【0004】
ところで、2つのチップコア106,107によって磁気記録/再生を適正に行うためは、各チップコア106,107のギャップ114の高さ方向への位置決めに高い精度が要求される。ビデオヘッド装置の製造工程においては、各チップコア106,107のギャップ114の位置決め精度は、回転シリンダ105へのベース部材108,109の装着面(ベース部材108,109の上面)からギャップ114の下端に至るトラック高さHによって管理されている。例えば、2ヘッドタイプのビデオヘッド装置においては、相対向する各トラック高さHの差が2μm以下に納まるように、規格によって定められている。
【0005】
次に、チップコア107の製造工程について、図11を参照して説明する。チップコア107は、C型コアバー131とI型コアバー132とをボンディングして作成したチップコア作成用のコアバー130を、ワイヤソーによって切り出すことにより作成される。一本のコアバー130からは、約150個のチップコア107が切り出される。このコアバー130の切り出し工程では、複数本(例えば、7本)のコアバー130が、所定の治具に所定の角度だけ傾けて固定され、複数個のチップコア107が同時に切り出される。図11中ハッチングで示される領域141は、ワイヤソーによって切除される領域を示している。
【0006】
図12は、一般的に、直径80μmのワイヤソーを用いて切り出される被加工物を示している。このワイヤソーを用いた切り出し工程においては、ワイヤRを被加工物150に押し当てて、砥粒が混入された液体をかけながらワイヤRを摺動させて、被加工物150を切断する。図12中のハッチング領域151は、ワイヤソーによって切徐される領域(切り代)を示している。このワイヤソーを用いた切断方法によれば、複数のワイヤRを並列に配置することによって一度に多量のチップを切り出すことができるというメリットがある。その反面、ワイヤRにはその摺動に伴って振れが生じるので、切り代の幅が、図12に示されるように、最大で100μm程度にまで大きくなると共に、精度良く切断できないというデメリットがある。
【0007】
図13は、チップコア106,107の各製造工程におけるギャップ14の高さ位置(トラック高さH)を測定し、その目標値からのずれの分布をグラフ化したものである。すなわち、分布曲線Yはチップコア106,107を切り出した後のチップコア106,107の下面からギャップ114の下端までの距離を、分布曲線Xはベース部材108,109に貼付けた後のトラック高さHを、分布曲線Zは後述する所定の調整方法で調整した後のトラック高さHをそれぞれ示している。分布曲線Yによれば、チップコア106,107を切り出した後のトラック高さHの変動は±10μm程度である。このチップコア106,107をベース部材108,109に貼付けると、分布曲線Xに示されるように、トラック高さHの変動は±12μm程度にまで拡大する。この後、図14に示される要領でベース部材108,109を変形させることにより、分布曲線Zに示されるように、トラック高さHの変動を±7μm程度となるように調整する。
【0008】
図14は、チップコア106をベース部材108に貼付けた後のトラック高さHの調整要領を示している。同図に示されるように、ベース部材108は、チップコア106を上方に向けて治具J1に載置され、治具J2を矢印A方向に移動させることによって、固定される。この状態をカメラCで撮影し、カメラCに接続されたモニタを視認しながら、ベース部材108の先端部108aに矢印B方向に力を加えてベース部材108の先端部108aを変形させることにより、トラック高さHの変動が±7μmの範囲内に納まるように調整される。
【0009】
トラック高さHが±7μmの範囲内に納まるように調整されたベース部材108,109は、その後、取付用ねじ120によって回転シリンダ105に装着され、高さ調整ねじ121を締めつけることにより、チップコア106,107の相互のトラック高さHの差が2μm以内となるように調整される。
【0010】
また、上記図7乃至図14に示した装置とは別のビデオヘッド装置であって、チップコアごとにトラック高さを測定し、その測定結果に基づいて、各チップコアを接着するベース部材の先端部の上面を段状に切削することにより、各チップコア高さ位置を一致させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、コアバーを切断精度の高いダイサを用いて切断することによりチップコアを切り出し、この切り出したチップコアをベース部材に貼り付けて構成したビデオヘッドが知られている(例えば、特許文献2参照)。また、ベース部材の回転シリンダへの取付基準面に第1のホルダ層、コア層、及び第2のホルダ層を積層して成るビデオヘッドが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平3−116511号公報
【特許文献2】
特開昭63−55716号公報
【特許文献3】
特開昭61−265721号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7乃至図14に示した従来のビデオヘッド装置100によれば、2個の高さ調整ねじ121を締めつけることによりチップコア106,107のトラック高さを調整しなければならないので、その調整に手間がかかる。また、回転シリンダ105に高さ調整ねじ121に対応するタップ加工が必要となるので、回転シリンダ105の製造コストの高騰を招来する。また、上述した高さ調整ねじ121によって、各チップコア106,107のトラック高さHを円滑に調整するためには、ベース部材108,109に貼り付けた後のトラック高さHの変動を±7μm以下に納める必要があるので、図14に示したようなトラック高さHの調整工程が必要となる。さらに、トラック高さHの調整をベース部材108,109を変形させて行うことから、ベース部材108,109の厚みをある程度以上に確保しなければならないので、固定シリンダ5の上端に逃げ部110を形成しなければならず、その加工に手間がかかる。
【0013】
また、上記特許文献1に示されたビデオヘッド装置においては、個々のチップコアのトラック高さに合わせて、ベース部材の上面を切削しなければならないので、その作業に手間かがかかる。また、上記特許文献2に示されたビデオヘッド装置においては、ダイサを用いてチップコアを切り出すので、その切り出しに時間がかかる。さらに、特許文献3に示されたビデオヘッド装置においては、ベース部材に第1のホルダ層、コア層、及び第2のホルダ層を積層してチップコアを形成するので、コアの構成が複雑となり、ビデオヘッド装置の製造コストの高騰を招来する。
【0014】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡素な構成で、チップコアの高さ位置の調整機構を不要とし、製造コストの低減を図ることができるビデオヘッド装置及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための1対のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、該チップコアを支持する1対のベース部材と、各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、各チップコアの上面及び下面には凹部が形成され、上面側の凹部から下面側の凹部に亘って所定のギャップが形成されており、各チップコアには、各ベース部材との接着面が該各チップコアの下面に対して段差を設けて上面側に後退して形成され、該段差の高さは、該各チップコアの下面からのギャップの下端の高さと一致し、該各チップコアの接着面は、ベース部材の上面に接着されており、各ベース部材の上面は、基端部において回転シリンダの底面に接着されており、チップコアの回転シリンダに対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコアの高さ位置を相互に一致させることを可能にしたものである。
【0016】
この構成によれば、1対のチップコアを備えた、いわゆる2ヘッドタイプのビデオヘッド装置において、ギャップの下端の高さと一致する高さ位置にベース部材との接着面が形成される。この接着面はベース部材の上面に接着され、ベース部材はその上面が回転シリンダの底面に接着される。従って、各チップコアのギャップの下端は、回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置することとなる。これにより特別な高さ調整機構を必要とすることなく、各チップコアの高さ位置を相互に一致させることができる。
【0017】
請求項2の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための複数対のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、該各チップコアを支持する複数対のベース部材と、この各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、各チップコアの上面及び下面には凹部が形成され、上面側の凹部から下面側の凹部に亘って所定のギャップが形成されており、各チップコアには、各ベース部材との接着面が該各チップコアの下面に対して段差を設けて上面側に後退して形成され、該段差の高さは、該各チップコアの下面からのギャップの基準位置の高さに対応するように形成されており、該各チップコアの接着面は、各ベース部材の上面に接着され、各チップコアの回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要としたものである。
【0018】
この構成においては、複数対のチップコアを備えたビデオヘッド装置において、ギャップの基準位置の高さに対応する高さ位置にベース部材との接着面が形成され、この接着面はベース部材の上面に接着される。従って、各ベース部材をその上面の高さ位置が一致するように回転シリンダに固定することにより、各チップの高さ位置の調整が不要となる。
【0019】
請求項3の発明は、磁気テープに情報を記録/再生するための1対又は複数対のチップコアを1対又は複数対のベース部材の先端部に接着し、各ベース部材の基端部を回転シリンダの底面に固定して成るビデオヘッド装置の製造方法において、所定のギャップが形成され、所定の方向に平行に切断されることによって1対又は複数対のチップコアが切り出されるコアバーの該ギャップと対応する高さ位置に、ダイサを用いて、磁気テープの摺動面とは反対側の面からチップコアの切り出し方向に、所定の幅及び深さの溝を形成するステップと、溝を形成したコアバーを、ワイヤソーを用いて所定の厚みで切断して複数のチップコアを作成するステップと、各チップコアのダイサを用いて形成した溝の側面を、各ベース部材の先端部の上面に接着するステップと、各チップコアが接着された各ベース部材の基端部の上面を回転シリンダの底面に接着するステップとを有し、各チップコアの回転シリンダに対する高さ位置を調整するステップを不要としたものである。
【0020】
この構成においては、コアバーの磁気テープとの摺動面とは反対側の面から形成した溝の側面を接着面として、各チップコアを各ベース部材の上面に接着する。コアバーの溝、すなわちベース部材との接着面は、ダイサによって砥石加工されるので、ギャップと対応する高さ位置に精度良く形成することができる。従って、各ギャップの高さ位置は、各ベース部材の上面と一致することとなり、各ベース部材の上面を回転シリンダの底面に接着することにより、各ギャップの高さ位置を相互に一致させることができる。これにより、各チップコアの回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要にすることが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態によるビデオヘッド装置について図面を参照して説明する。図1は、ビデオカセットレコーダに用いられる映像信号を記録/再生するための2ヘッドタイプのビデオヘッド装置を示している。ビデオヘッド装置1は、ビデオカセットレコーダのデッキシャーシに固定される固定シリンダ2と、固定シリンダ2の上方にシャフト3及びベアリング4を介して回転自在に支持される回転シリンダ5等によって構成されている。回転シリンダ5には、磁気テープに情報を記録/再生するための1対のチップコア6,7がベース部材8,9を介して搭載されている。固定シリンダ2の上端には、ベース部材8,9の下面との干渉を防止するための逃げ部10が形成されている。
【0022】
図2及び図3はチップコア6,7がそれぞれ貼り付けられたベース部材8,9を、また、図4及び図5はチップコア6,7を示している。チップコア6,7は、ベース部材8,9の先端部8a,9aの上面に接着されている。ベース部材8,9は、図1に示すように、その基端部8b,9bの上面が回転シリンダ5の底面5aに接着されている。ベース部材8,9の上面は、研磨加工等によって必要とされる平坦度が十分に確保されている。チップコア6,7とベース部材8,9との接着及びベース部材8,9と回転シリンダ5との接着には、例えば、紫外線硬化性樹脂から成る接着剤が用いられる。この紫外線硬化性樹脂は、紫外線を照射することにより硬化する性質を有するが、その他にも、空気との接触が断たれることで硬化する嫌気硬化性をも有している。この嫌気硬化性により、硬化時においては、空気中の湿度の影響を受けることがなくなり、チップコア6,7を所定の圧力でベース部材8,9に押しつけることにより、各チップコア6,7の高さ位置の精度が十分に確保されることになる。
【0023】
チップコア6,7は、C型コア11とI型コア12とによって構成されている。C型コア11とI型コア12は、ガラス13によってボンディングされ、両者の間には所定の間隔のギャップ14が形成されている。ギャップ14の幅(トラック幅)Wは規格によって定めれており、必要なトラック幅Wを得るために、チップコア6,7の上面及び下面には、ダイサによって切除された凹部15,16が形成されている。従って、ギャップ14は、上面側の凹部15から下面側の凹部16に亘って形成されていることになる。また、凹部15,16にはガラス17が充填されている。
【0024】
チップコア6,7のベース部材8,9との接着面18,19は、チップコア6,7の下面に対して段差を設けて上面側に後退して形成されている。この段差の高さは、チップコア6,7の下面からのギャップ14の下端の高さ(トラック高さ)Hと一致するように、加工されている。
【0025】
上記構成を有するビデオヘッド装置1によれば、ギャップ14の下端の高さHと一致する高さ位置にベース部材8,9との接着面18,19が形成される。この接着面18,19はベース部材8,9の上面に接着され、ベース部材8,9はその上面が回転シリンダ5の底面に接着されている。従って、各チップコア6,7のギャップ14の下端は、回転シリンダ5の底面5aと略同一の平面上に位置することとなる。これにより、図7に示した従来のビデオヘッド装置100における高さ調整ねじ121によって構成される特別な高さ調整機構を必要とすることなく、各チップコア6,7の高さ位置を相互に一致させることができる。これにより高さ調整ねじ121及び取付用ねじ120が不要であり、高さ調整ねじ121及び取付用ねじ120に対応するタップ加工を省くことができる。
【0026】
また、高さ調整ねじ121によって各チップコア6,7の高さ位置を調整する必要がないので、ベース部材8,9と回転シリンダ5との接合面には、ベース部材8,9を回転シリンダ5から解離させる方向に大きな力が加わらない。これによって、従来のビデオヘッド装置100において必要とされていた取付用ねじ120に替えて、接着剤によってベース部材8,9を回転シリンダ5に固定することができる。その結果、取付用ねじ120に対応するタップ加工が不要になることと相まって、ビデオヘッド装置1の構成を簡素化することができる。また、ベース部材8,9を変形させながらチップコア6,7の高さ位置を調整する必要がないので、ベース部材8,9を薄肉化することができる。これにより、ベース部材8,9との干渉を避けるための固定シリンダ2の上端縁に形成する逃げ部10を小さくすることができ、加工の手間を省くことができる。
【0027】
次に、チップコアの製造方法について、図6を参照して説明する。以下は、チップコア7についての説明であるが、チップコア6についても同等の要領にて製造することができる。チップコア7は、棒状のコアバー30を切り出すことによって形成される。図6において(a)は、ワイヤソーを用いて切り出す前のコアバー30の正面図及び側面図を、(b)は、ワイヤソーによって切り出されるコアバー30の正面図及び側面図をそれぞれ示している。コアバー30はC型コアバー31と、I型コアバー32とによって構成されている。C型コアバー31と、I型コアバー32とは、所定のギャップ14を隔ててガラスボンディングされている。C型コアバー31及びI型コアバー32には、ギャップ14の幅寸法を適正化するための溝35,36が、それぞれ対向する位置にダイサによって形成されている。本実施形態においては、チップコア7を切り出す前に、コアバー30にチップコア7のベース部材9との接着面19を形成する。接着面19は、コアバー30の磁気テープとの摺動面37とは反対側の面38から、図中ハッチングで示した所定の幅及び深さの溝領域39を切除することにより形成される。溝側面の高さ位置は、破線40によって示されるように、ギャップ14の高さ位置と(トラック高さH)一致するように加工される。ここで、溝領域39の切除はダイサを用いてなされるので、その加工精度は極めて高く、かつ、溝側面の平滑度も極めて高い。このようにして形成された溝領域39の側面が接着面19となる。
【0028】
接着面19が形成されたコアバー30は、図6(b)に示されるように、ワイヤソーを用いて切り出される。図中ハッチングで示した領域41は、ワイヤソーによる切り代である。既に述べたように、ワイヤソーによる切断は、加工精度が良好とはいえず切断面の高さ位置は誤差を伴うが、ギャップ14の下端と、ダイサによって形成された接着面19との高さ方向の位置関係は不変である。従って、このように切り出されたチップコア7の接着面19を、紫外線硬化性接着剤を用いてベース部材9の先端部9aの上面に接着すれば、図14で示した類の高さ調整工程を経ることなく、ギャップ14の下端がベース部材9の上面と一致する。また、ベース部材9の基端部9bの上面を、紫外線硬化性接着剤を用いて回転シリンダ5の底面5aに接着すれば、従来の高さ調整ねじ121の締めつけによる調整工程を経ることなく、各チップコア6,7のギャップ14の高さ位置を相互に一致させることができるようになる。従って、従来のビデオヘッド装置100において、2回必要としていたギャップの高さ位置の調整が不要となり、装置の製造工程を簡素化し、その製造コストの低減を図ることが可能になる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られることなく種々の変形が可能であり、例えば、ビデオヘッド装置は、1対の映像ヘッドを備えた2ヘッドタイプに限られることなく、2対の映像ヘッドを備えた4ヘッドタイプ、さらには、これに1対の音声ヘッドを備えた4ヘッドHi−Fiタイプにも適用することができる。この場合においては、各チップコア下面に対する接着面の高さを、各ヘッドごとに定められているギャップの基準位置の高さに対応するように形成し、該接着面を同一平面に接着することにより、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に適正化することができる。従って、チップコアの高さ調整機構を備える必要がなくなり、装置の製造コストの低減を図ることが可能になる。また、単一のベース部材に各チップコアを接着するように構成しても構わない。
【0030】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、1対のチップコアを備えた、いわゆる2ヘッドタイプのビデオヘッド装置において、ギャップの下端の高さと一致する高さ位置にベース部材との接着面が形成され、この接着面はベース部材を介して回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置するので、特別な高さ調整機構を必要とすることなく、各チップコアの高さ位置を相互に一致させることができる。これにより、ビデオヘッド装置の構造が簡素化され、その製造コストの低減を図ることができるようになる。
【0031】
請求項2の発明によれば、複数対のチップコアを備えたビデオヘッド装置において、ギャップの基準位置の高さに対応する高さ位置にベース部材との接着面が形成されるので、この接着面の高さ位置を揃えて回転シリンダに固定することにより、各チップコアの高さ位置の調整が不要となる。これにより、各チップコアの高さ位置を調整するための機構が不要となり、ビデオヘッド装置の構造が簡素化され、その製造コストの低減を図ることができるようになる。
【0032】
請求項3の発明によれば、ギャップの基準位置の高さに対応する高さ位置にベース部材との接着面を形成し、この接着面をベース部材を介して回転シリンダの底面と略同一の平面上に位置させて接着するので、各チップコアの高さ位置を調整するステップが不要となり、ビデオヘッド装置の製造工程の簡素化と製造コストの低減を図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるビデオヘッド装置の断面図。
【図2】同装置の回転シリンダに取り付けられるベース部材及びチップコアの側面図。
【図3】同ベース部材及びチップコアの正面図。
【図4】(a)は同チップコアの正面図、(b)は同チップコアの側面図。
【図5】(a)は同チップコアの正面図、(b)は同チップコアの側面図、(c)は同チップコアの下面図。
【図6】コアバーを切断してチップコアを作成する要領を示した図。
【図7】従来のビデオヘッド装置の断面図。
【図8】同装置の回転シリンダに取り付けられるベース部材及びチップコアの側面図。
【図9】同ベース部材及びチップコアの正面図。
【図10】(a)は同チップコアの正面図、(b)は同チップコアの側面図、(c)は同チップコアの下面図。
【図11】コアバーを切断する要領を示した図。
【図12】被切断物がワイヤソーによって切断される様子を示した図。
【図13】同チップコアの各製造工程におけるギャップの高さ位置の分布を示した図。
【図14】ベース部材を変形させてチップコアの高さ位置を調整する要領を示した図。
【符号の説明】
1 ビデオヘッド装置
5 回転シリンダ
6,7 チップコア
8,9 ベース部材
19 接着面
Claims (3)
- 磁気テープに情報を記録/再生するための1対のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、該チップコアを支持する1対のベース部材と、各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、
前記各チップコアの上面及び下面には凹部が形成され、上面側の凹部から下面側の凹部に亘って所定のギャップが形成されており、
前記各チップコアには、各ベース部材との接着面が該各チップコアの下面に対して段差を設けて上面側に後退して形成され、該段差の高さは、該各チップコアの下面からの前記ギャップの下端の高さと一致し、該各チップコアの接着面は、前記ベース部材の上面に接着されており、
前記各ベース部材の上面は、前記基端部において前記回転シリンダの底面に接着されており、
前記チップコアの前記回転シリンダに対する高さ調整機構を備えることなく、各チップコアのギャップの高さ位置を相互に一致させることを可能にしたことを特徴とするビデオヘッド装置。 - 磁気テープに情報を記録/再生するための複数対のチップコアと、各チップコアが先端部に接着され、該各チップコアを支持する複数対のベース部材と、この各ベース部材の基端部が固定される回転シリンダとを備えたビデオヘッド装置において、
前記各チップコアの上面及び下面には凹部が形成され、上面側の凹部から下面側の凹部に亘って所定のギャップが形成されており、
前記各チップコアには、各ベース部材との接着面が該各チップコアの下面に対して段差を設けて上面側に後退して形成され、該段差の高さは、該各チップコアの下面からの前記ギャップの基準位置の高さに対応するように形成されており、該各チップコアの接着面は、前記各ベース部材の上面に接着され、
前記各チップコアのギャップの前記回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要としたことを特徴とするビデオヘッド装置。 - 磁気テープに情報を記録/再生するための1対又は複数対のチップコアを1対又は複数対のベース部材の先端部に接着し、各ベース部材の基端部を回転シリンダの底面に固定して成るビデオヘッド装置の製造方法において、
所定のギャップが形成され、所定の方向に平行に切断されることによって1対又は複数対のチップコアが切り出されるコアバーの該ギャップと対応する高さ位置に、ダイサを用いて、磁気テープの摺動面とは反対側の面から前記チップコアの切り出し方向に、所定の幅及び深さの溝を形成するステップと、
前記溝を形成したコアバーを、ワイヤソーを用いて所定の厚みで切断して複数のチップコアを作成するステップと、
前記各チップコアのダイサを用いて形成した前記溝の側面を、前記各ベース部材の先端部の上面に接着するステップと、
前記各チップコアが接着された各ベース部材の基端部の上面を回転シリンダの底面に接着するステップとを有し、
前記各チップコアのギャップの前記回転シリンダに対する高さ位置の調整を不要としたことを特徴とするビデオヘッド装置の製造方法。
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