JP2005010818A - 電子写真感光体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】繰り返し使用による帯電電位及び残留電位の上昇がなく、安定した電気特性を得られる電子写真感光体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、感光層形成用塗料を用いた感光層が形成されてなる電子写真感光体であって、この感光層形成用塗料は、少なくともオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂が、分子内に水酸基若しくはカルボニル基を有し温度25℃における誘電率が20以上である極性溶媒に分散され、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7°、23.2°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、26.2°の回折ピークが最も強い結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電子写真感光体に関し、特に有機光導電材料を用いた電子写真感光体に係るものである。
従来より、この種の有機光導電材料を用いた電子写真感光体として、電荷発生剤に金属フタロシアニンを用いたものが知られている。金属フタロシアニンは、780nm前後の波長を有するレーザ光或いはLED光に対して強く安定した感度を示すことから電子写真感光体の感光性材料として広く使用されており、中でもチタンを中心金属とするオキシチタニウムフタロシアニンについては、その結晶系を変化させたものが数多く特許出願されている。
その中で、例えば、特開昭62−27094号公報には、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(±0.2°)9.3°、10.6°、13.2°、15.1°、15.7°、16.1°、20.8°、23.3°、26.3°、27.1°に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンが記載されている。
また、特開昭63−218768号公報には、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(±0.2°)9.2°、13.1°、20.7°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンが記載されている。
このオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す同公報の第1図によると、このオキシチタニウムフタロシアニンは、前記回折ピークの他に7.6°、10.4°、15.1°、15.7°、16.1°、18.6°、22.5°、23.3°、24.2°、25.3°、28.6°付近に回折ピークを有している。
さらに、特開昭62−272272号公報には、α形及びβ形のチタニルフタロシアニンの混合物について記載されている。当該α形として、7.6°、10.2°、12.6°、13.2°、15.1°、16.2°、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.3°、28.6°、29.3°、31.5°に回折ピークを示すものが記載され、当該β形として、7.4°、9.2°、10.3°、13.0°、14.9°、15.3°、15.9°、18.6°、20.6°、23.2°、25.5°、26.2°、27.0°、32.7°に回折ピークを示すものが記載されている。
他方、特開平2−8256号公報には、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(±0.2°)7.4°、9.7°、24.2°、27.3°に回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンが記載され、また、特開昭61−239248号公報には、X線回折スペクトルにおいてブラッグ角2θ(±0.2°)7.6°、10.2°、12.6°、13.2°、15.1°、16.2°、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.3°、28.6°に回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニンが記載されている。
特開昭62−27094号公報 特開昭63−218768号公報 特開昭62−272272号公報 特開平2−8256号公報 特開昭61−239248号公報
ところで、前記従来技術に記載されるオキシチタニウムフタロシアニンを含む感光層形成用塗液は、特定の結晶構造を持たない無定型粒子が多数存在していると思われる。これは、感光層形成用塗液の調製において、オキシチタニウムフタロシアニン、ガラスビーズ、分散溶媒、樹脂等をサンドミルやボールミル等で分散する際に、相互の物理的衝突によりオキシチタニウムフタロシアニンの一部が無定型化すると考えられる。
そして、そのような無定型粒子が残留したまま感光層を形成すると、無定型粒子が感光層中において空位、転位といった不純物準位を形成し、キャリアをトラップするため、繰り返し使用による帯電電位の低下と残留電位の上昇が大きく、その結果、特にローラ帯電、ブラシ帯電のような定電圧源を用いた電子写真装置において白地画像上の黒点が増加するという欠陥が発生していた。
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、繰り返し使用による帯電電位及び残留電位の上昇がなく、安定した電気特性を得られる電子写真感光体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の極性溶媒に分散させて結晶化させたオキシチタニウムフタロシアニンを含む塗料を用いて感光層を形成すると、電子写真感光体の繰り返し使用による帯電電位及び残留電位の上昇を抑えることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明はかかる知見に基づいてなされたもので、請求項1記載の発明は、感光層形成用塗料を用いた感光層が形成されてなる電子写真感光体であって、該感光層形成用塗料は、少なくともオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂が、分子内に水酸基若しくはカルボニル基を有し温度25℃における誘電率が20以上である極性溶媒に分散され、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2゜)7.3゜に回折ピークを示す結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものであることを特徴とする電子写真感光体である。
この場合、請求項2記載の発明のように、請求項1記載の発明において、感光層形成用塗料が、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7°、23.2°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、26.2°の回折ピークが最も強い結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものである場合にも効果的である。
また、請求項3記載の発明のように、請求項1記載の発明において、感光層形成用塗料が、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、27.1°の回折ピークが最も強い結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものである場合にも効果的である。
さらに、請求項4記載の発明のように、請求項1記載の発明において、感光層形成用塗料が、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、7.5゜、10.2°、12.6°、13.1°、15.0°、16.2゜、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.4°、28.6°に強い回折ピークを示す結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものである場合にも効果的である。
さらにまた、請求項5記載の発明のように、請求項1乃至4のいずれか1項記載の発明において、感光層がフッ素系界面活性剤を含有する場合にも効果的である。
特に、請求項6記載の発明のように、請求項5記載の発明において、感光層が電荷発生層と電荷移動層とからなり、該電荷発生層にオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂及びフッ素系界面活性剤を含有してなる場合にも効果的である。
一方、請求項7記載の発明は、少なくとも結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂とを分散させてなる感光層形成用塗料を用いて感光層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、該感光層形成用塗料の分散工程において分子内に水酸基若しくはカルボニル基を有し温度25℃における誘電率が20以上である極性溶媒を用いることにより、該オキシチタニウムフタロシアニンに対し、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°の回折ピークを結晶成長させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
この場合、請求項8記載の発明のように、請求項7記載の発明において、オキシチタニウムフタロシアニンとして、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7°、23.2°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、26.2°の回折ピークが最も強い結晶性のものを用いる場合にも効果的である。
また、請求項9記載の発明のように、請求項7記載の発明において、オキシチタニウムフタロシアニンとして、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、27.1°の回折ピークが最も強い結晶性のものを用いる場合にも効果的である。
さらに、請求項10記載の発明のように、請求項7記載の発明において、オキシチタニウムフタロシアニンとして、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、7.5゜、10.2°、12.6°、13.1°、15.0°、16.2゜、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.4°、28.6°に強い回折ピークを示す結晶性のものを用いる場合にも効果的である。
さらにまた、請求項11記載の発明のように、請求項7乃至10のいずれか1項記載の発明において、感光層形成用塗料の分散工程において、フッ素系界面活性剤を含有させる場合にも効果的である。
請求項12記載の発明は、感光層形成用塗料を用いた感光層が形成されてなる電子写真感光体であって、該感光層形成用塗料は、少なくともオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂が、分子内に水酸基若しくはカルボニル基を有し温度25℃における誘電率が20以上である極性溶媒に分散され、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7°、23.2°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、26.2°の回折ピークが最も強い結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものである。
請求項13記載の発明は、感光層形成用塗料を用いた感光層が形成されてなる電子写真感光体であって、該感光層形成用塗料は、少なくともオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂が、分子内に水酸基若しくはカルボニル基を有し温度25℃における誘電率が20以上である極性溶媒に分散され、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、10.2°、12.6°、13.1°、15.0°、16.2゜、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.4°、28.6°に強い回折ピークを示す結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものであることを特徴とする。
本発明においては、請求項14記載の発明のように、請求項12又は13のいずれか1項記載の発明において、感光層がフッ素系界面活性剤を含有する場合にも効果的である。
特に、請求項15記載の発明のように、請求項14記載の発明において、感光層が電荷発生層と電荷移動層とからなり、該電荷発生層にオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂及びフッ素系界面活性剤を含有してなる場合にも効果的である。
請求項16記載の発明は、少なくとも結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂とを分散させてなる感光層形成用塗料を用いて感光層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、該感光層形成用塗料の分散工程において、前記オキシチタニウムフタロシアニンとして、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7°、23.2°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、26.2°の回折ピークが最も強い結晶性のものを用いるものである。
請求項17記載の発明は、少なくとも結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂とを分散させてなる感光層形成用塗料を用いて感光層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、該感光層形成用塗料の分散工程において、前記オキシチタニウムフタロシアニンとして、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、10.2°、12.6°、13.1°、15.0°、16.2゜、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.4°、28.6°に強い回折ピークを示す結晶性のものを用いるものである。
さらにまた、請求項18記載の発明のように、請求項16又は17のいずれか1項記載の発明において、感光層形成用塗料の分散工程において、フッ素系界面活性剤を含有させる場合にも効果的である。
本発明者等は、オキシチタニウムフタロシアニンを含む感光層形成用塗料を特定の極性溶媒を用いて分散させると、例えば、図2、3、5に示すように、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおけるブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°の回折ピークが成長することを見出した。
ここで、本発明でいう極性溶媒とは、水酸基若しくはカルボニル基を分子内に有し、かつ、25℃における誘電率が20以上であるような極性の強い溶媒を指すものである。
かかる極性溶媒を分散溶媒に用いることで、7.3゜の回折ピークが成長する理由は、極性溶媒の誘電率の高さに起因して、結晶成長が促進されていると考えられる。
また、結晶は面間隔の大きいところから結晶成長しやすいという特性がある。ここで、7.3°の回折ピークは、ブラッグの式(2dsinθ=nλ d:結晶格子の面間隔、θ:X線の格子面に対する入射の余角、λ:波長、n:正の正数)によれば、結晶格子の面間隔が12.1オングストロームであることを意味する。この値は、オキシチタニウムフタロシアニン骨格の横幅に相当する。即ち、感光層形成用塗料の分散工程において無定型粒子化したオキシチタニウムフタロシアニンが、分子レベルで横幅方向に結晶化していくことにより、無定型粒子が減ると共に7.3°の回折ピークが成長すると考えられる。
そして、このような無定型成分を含まない感光層形成用塗液を用いて電子写真感光体の感光層を形成すれば、感光層中において空位、転位等の不純物準位に起因するキャリアのトラップが生ずることがない。
したがって、本発明のように、特定の結晶構造を持ったオキシチタニウムフタロシアニンを含む感光層形成用塗液を用いて電子写真感光体の感光層を形成するようにすれば、繰り返し使用しても帯電電位、残留電位の上昇がなく、安定した電気特性を保つことができる。その結果、ローラ帯電、ブラシ帯電のような定電圧源を用いた電子写真装置に用いた場合であっても、白地画像上において黒点が発生することがない。
一方、前記極性溶媒を用いた場合には、分散液中において粒子が沈降するという弊害がある。これは上述した極性溶媒の結晶成長させやすいという特性から起こる問題である。このような粒子の沈降を防ぐためには、液表面を低エネルギーにさせるべく、界面活性剤を添加することが好ましい。
すなわち、本発明のように、前記特定の結晶構造を持ったオキシチタニウムフタロシアニンを含む感光層形成用塗液にフッ素系界面活性剤を加えれば、これら両者の効果を兼ねそなえることができ、その結果、従来技術において成し得なかった繰り返し疲労による電位安定性と分散液の長期安定性を達成することができる。
また、感光層形成用塗液に界面活性剤を添加することによって、塗液の表面張力が下がり、基材に対するぬれ性が向上することも本発明者等によって確認されている。
本発明によれば、繰り返し使用による帯電電位、残留電位の上昇がなく、安定した電気特性を有する電子写真感光体を提供することができる。
したがって、本発明に係る電子写真感光体によれば、ローラ帯電、ブラシ帯電のような定電圧源を用いた電子写真装置において、白地画像上の黒点の発生を確実に防止することができる。
以下、本発明に係る電子写真感光体の好ましい実施の形態を詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体に用いられる導電性支持体としては、公知のものなど各種のものを使用することができ、具体的には、例えば、アルミニウム、陽極酸化処理されたアルミニウム、ニッケル、銅、ステンレス、真ちゅう等、あるいは、プラスチック、プラスチック表面にアルミニウム、銅、ニッケル等の金属を蒸着又はめっきしたもの等を使用することができる。
また、電子写真感光体の形状については、ドラム状、板状、シート状、ベルト状の種々のものを使用することができる。
感光層としては、電荷発生層及び電荷移動層を順次積層する積層型、電荷移動層及び電荷発生層を順次積層する逆積層型、電荷発生剤と電荷移動剤を単一層に含有する単層型等を用いることができる。
各層の形成方法としては、公知の方法等各種の方法を使用することができるが、感光材料を結着樹脂とともに適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、所定の下地上に塗布し乾燥させる方法を用いることができる。
塗工液に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メトキシエタノール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等がある。これらは単独で用いても、2種類以上の溶剤を混合して用いてもよい。
前記オキシチタニウムフタロシアニンを分散する工程における極性溶媒としては、分子内に水酸基若しくはカルボニル基を有するものとして、メタノール(温度25℃における誘電率:32.6)、エタノール(同24.6)、アセトン(同20.7)、水(同78.3)等があげられる。
これらは単独で用いても、2種類以上を混合してもよい。また、それ以外の溶媒と混合してもよい。その場合、極性溶媒は分散液に対して1〜30重量%程度が好ましい。1重量%に満たない場合には、帯電電位の低下や残留電位の上昇という不都合があり、30重量%を超える場合には、粒子の沈降が顕著になるという不都合がある。
電荷発生剤は、前記オキシチタニウムフタロシアニン単独若しくは2種類以上混合して用いることができる。また、他の電荷発生剤と混合させることもできる。その場合、混合できる電荷発生剤としては、前記以外のオキシチタニウムフタロシアニン、セレン、セレン−テルル、セレン−砒素、アモルファスシリコン、他のフタロシアニン顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ポリアゾ顔料、インジゴ顔料、スレン顔料、トルイジン顔料、ピラゾリン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩等がある。
本発明においては、界面活性剤を感光層中に含有させることが好ましいが、界面活性剤としては、公知のものを利用することができる。その中でもフッ素系の界面活性剤、特に、側鎖にパーフルオロアルキル基をもつものが好ましい。
フッ素系界面活性剤の含有量としては、オキシチタニウムフタロシアニンに対して0.001〜1重量%程度が好ましい。0.001重量%に満たない場合には、分散液中における粒子の沈降を防止する効果が十分でなく、1重量%を超える場合には、剥離強度の低下や残留電位の上昇という不都合がある。
電荷移動剤としては、公知のものなど各種の電子供与性物質又は電子受容性物質を単独若しくは2種類以上加えることができる。
電子供与性物質としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルインドロキノキサリン、ポリビニルベンゾチオフェン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリビニルピラゾリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリジアセチレン、ポリヘプタジイエン、ポリピリジンジイル、ポリキノリン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェロセニレン、ポリペリナフチレン、ポリフタロシアニン等の導電性高分子化合物、低分子化合物として、アントラセン、ピレン、フェナントレン等の多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、イミダゾール、等の含窒素複素環化合物、フルオレノン、フルオレン、オキサジアゾール、オキサゾール、ピラゾリン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、トリフェニルアミン、エナミン、スチルベン化合物などを使用することができる。
電子受容性物資としては、例えば、トリニトロフルオレノン、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、キノン、ジフェノキノン、ナフトキノン、アントラキノン及びこれらの誘導体、並びに特願平7−185583号公報に記載の特定のキノン誘導体、特願平7−234732号公報及び特願平7−319718号公報に記載の特定のジフェノキノン誘導体などを使用することができる。
感光層を形成するために用いることができる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエーテル、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ニトリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、EVA(エチレン・酢酸ビニル・共重合体)樹脂、ACS(アクリロニトリル・塩素化ポリエチレン・スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂及びエポキシアリレート等の光硬化樹脂等がある。
これらは単体で用いても、共重合体を用いてもよく、また、それらを2種以上混合して使用することも可能である。また、分子量の異なった樹脂を混合して用いれば、硬度や耐摩耗性を改善できて好ましい。
本発明の電子写真感光体は、その感光層中にフェノール系酸化防止剤を含有することができる。
本発明に用いることができるフェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-4-メトキシフェノール、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、プロピオン酸ステアリル-β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)、α-トコフェロール、β-トコフェロール、n-オクタデシル-3-(3′-5′-ジ-tert-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系、2,2′-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、4,4′-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4′-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のポリフェノール系等が好ましく、これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層中に含有することができる。
これらフェノール系酸化防止剤のうち、モノフェノール系酸化防止剤が感光特性及び樹脂との相溶性に優れている。
本発明の電子写真感光体は、その感光層中に紫外線吸収剤を含有することができる。
本発明に用いることができる紫外線吸収剤としては、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2′-ヒドロキシ-5′-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル、サリチル酸-p-tert-ブチルフェニル、サリチル酸-p-オクチルフェニル等のサリチル酸系が好ましく、これらを1種若しくは2種以上を同時に感光層に含有することができる。
本発明の電子写真感光体に添加されるフェノール系酸化防止剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜20重量%の範囲であることが好ましい。一方、紫外線吸収剤の添加量は、結着樹脂に対して3〜30重量%とすることが好ましい。
フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤との両者を添加すると一層効果的であるが、その場合の両成分の添加量は、結着樹脂に対して5〜40重量%とすることが好ましい。
フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤の添加量が5〜40重量%に満たない場合には、酸化劣化防止及び耐刺激性が弱くなる傾向がある。一方、フェノール系酸化防止剤と紫外線吸収剤の添加量が5〜40重量%を超える場合には、電子写真特性、特に高温高湿環境下における残留電位の上昇が見られることがある。
なお、前記電荷移動剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤以外で、各種増感剤、潤滑剤等を添加することもできる。
また、本発明に係る電子写真感光体の場合、感光層の帯電時において、導電性支持体から感光層への自由電子の注入を阻止するとともに、感光層を導電性支持体に対して一体的に接着保持せしめる接着層としての作用を得るため、更に、導電性支持体の凹凸による入射光の反射や画像の黒点、白点などを防止する目的で導電性支持体と感光層との間に中間層を設けてもよい。
本発明に係る電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間に、接着機能、バリヤー機能、支持体表面の欠陥被覆機能などを持つ下引層を設けてもよい。この下引層としては、酸化アルミニウム、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂等を用いることができる。それらの下引層は、単独の樹脂で構成しても良く、2種類以上の樹脂を混合して構成しても良い。また、樹脂中に金属酸化物やカーボンを分散させた下引層を用いることもできる。
さらに、感光層の上に、ポリビニルホルマール樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の有機薄膜や、シランカップリング剤の加水分解物で形態されるシロキサン構造体からなる薄膜を成膜して表面保護層を設けても良く、その場合には、感光体の耐久性が向上するので好ましい。この表面保護層は、耐久性向上以外の他の機能を向上させるために設けても良い。
以下、本発明に係る電子写真感光体の実施例を示すが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれらに限定されるものではない。
なお、図1〜図6におけるブラッグ角(2θ)の単位は、度(°)によって示すものである。
〔実施例1〕
バインダーポリマーとしてポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM−1)1重量部、図1に示されるCuKαX線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン1重量部、水1重量部、シクロヘキサノン50重量部、フッ素系界面活性剤(旭硝子社製 S−383)0.001重量部、直径0.5mmのガラスビーズ15重量部をボールミルにより20時間分散させ、電荷発生層形成用塗液を得る。これを塗液aとする。本液をペレット状に加工してCuKαX線回折スペクトルを測定したところ、図2に示すように、7.3°、9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7°、23.2°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、26.2°の回折ピークが最も強い回折スペクトルを示した。
そして、アルミニウム支持体上に前記塗液aを浸漬塗工し、乾燥して0.3μmの厚みの電荷発生層を形成した。その上にバインダーポリマーとしてポリカーボネート100重量部、電荷移動材料としてブタジエン化合物[1,1-ビス(P-ジフェニルアミノフェニル)-4,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン]10重量部、電荷移動材料としてヒドラゾン化合物[o-メチル-p-ジベンジルアミノベンズアルデヒド-(ジフェニルヒドラゾン)]90重量部及び溶媒としてクロロホルム1000重量部からなる電荷移動層形成用塗液を調製する。この電荷移動層形成用塗液を用い、前記アルミニウム支持体の電荷発生層上に、浸漬塗工によって厚み20μmの電荷移動層を形成し、さらに温度90℃で1時間乾燥させて電子写真感光体を作製した。これを試料Aとする。
〔実施例2〕
バインダーポリマーとしてポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM−1)1重量部、図1に示されるCuKαX線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン1重量部、メタノール10重量部、シクロヘキサノン40重量部、フッ素系界面活性剤(旭硝子社製 S−383)0.001重量部、直径0.5mmのガラスビーズ15重量部をボールミルにより20時間分散させ、電荷発生層形成用塗液を調製する。これを塗液bとする。本液をペレット状に加工してCuKαX線回折スペクトルを測定したところ、実施例1の塗液aと同様の回折スペクトルを示した。
そして、アルミニウム支持体上に前記塗液bを浸漬塗工し、乾燥して0.3μmの厚みの電荷発生層を形成した。その上に実施例1と同様の電荷移動層を形成して電子写真感光体を作製した。これを試料Bとする。
〔実施例3〕
バインダーポリマーとしてポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBL−1)1重量部、図1に示されるCuKαX線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン1重量部、アセトン5重量部、シクロヘキサノン40重量部、フッ素系界面活性剤(旭硝子社製 S−383)0.001重量部、直径0.5mmのガラスビーズ15重量部をボールミルにより20時間分散させ、電荷発生層形成用塗液を調製する。これを塗液cとする。本液をペレット状に加工してCuKαX線回折スペクトルを測定したところ、実施例1の塗液aと同様の回折スペクトルを示した。
そして、アルミニウム支持体上に前記塗液cを浸漬塗工し、乾燥して0.3μmの厚みの電荷発生層を形成した。その上に実施例1と同様の電荷移動層を形成して電子写真感光体を作製した。これを試料Cとする。
〔実施例4〕
バインダーポリマーとしてポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM−1)1重量部、図1に示されるCuKαX線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン1重量部、水1重量部、1−ペンタノール50重量部、フッ素系界面活性剤(旭硝子社製 S−383)0.001重量部、直径0.5mmのガラスビーズ15重量部をボールミルにより20時間分散させ、電荷発生層形成用塗液を調製する。これを塗液dとする。本液をペレット状に加工してCuKαX線回折スペクトルを測定したところ、実施例1と塗液aと同様の回折スペクトルを示した。
そして、アルミニウム支持体上に前記塗液dを浸漬塗工し、乾燥して0.3μmの厚みの電荷発生層を形成した。その上に実施例1と同様の電荷移動層を形成して電子写真感光体を作製した。これを試料Dとする。
〔実施例5〕
図1に示されるCuKαX線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニンを1重量部、直径0.6mmのガラスビーズ15重量部をペイントシェイカーにて40時間乾式粉砕する。
次に、バインダーポリマーとしてポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM−1)1重量部、水1重量部及びメタノール10重量部、フッ素系界面活性剤(旭硝子S−383)0.001重量部を加え、2時間分散する。
さらに、ポリビニルブチラール2重量部、シクロヘキサノン40重量部を加え、28時間分散させ、電荷発生層形成用塗液を調製する。これを塗液eとする。本液をペレット状に加工してCuKαX線回折スペクトルを測定したところ、図3に示すように、7.3°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、27.1°の回折ピークが最も強い回折スペクトルを示した。
そして、アルミニウム支持体上に前記塗液eを浸漬塗工し、乾燥して0.3μmの厚みの電荷発生層を形成した。その上に実施例1と同様の電荷移動層を形成して電子写真感光体を作製した。これを試料Eとする。
〔実施例6〕
バインダーポリマーとしてポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM−1)1重量部、図4に示されるCuKαX線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン1重量部、水1重量部、シクロヘキサノン50重量部、フッ素系界面活性剤(旭硝子社製 S−383)0.001重量部、直径0.5mmのガラスビーズ15重量部をボールミルにより20時間分散させ、電荷発生層形成用塗液を調製する。これを塗液fとする。本液をペレット状に加工してCuKαX線回折スペクトルを測定したところ、図5に示すように、7.3°、7.5゜、10.2°、12.6°、13.1°、15.0°、16.2゜、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.4°、28.6°に強い回折ピークを示す回折スペクトルが得られた。
そして、アルミニウム支持体上に前記塗液fを浸漬塗工し、乾燥して0.3μmの厚みの電荷発生層を形成した。その上に実施例1と同様の電荷移動層を形成して電子写真感光体を作製した。これを試料Fとする。
〔比較例1〕
バインダーポリマーとしてポリビニルブチラール(積水化学社製 エスレックBM−1)1重量部、図1に示されるCuKαX線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニンを1重量部、シクロヘキサノン50重量部、直径0.5mmのガラスビーズ15重量部をボールミルにより20時間分散させ、電荷発生層形成用塗液を調製する。これを塗液gとする。本液をペレット状に加工してCuKαX線回折スペクトルを測定したところ、図6のような回折スペクトルを示した。
そして、アルミニウム支持体上に前記塗液gを浸漬塗工し、乾燥して0.3μmの厚みの電荷発生層を形成した。その上に実施例1と同様の電荷移動層を形成して電子写真感光体を作製した。これを試料Gとする。
以上の実施例1〜6及び比較例1に係る電子写真感光体の試料A〜Gの電気特性の測定結果を表1に示す。
表中、電気特性は、以下の方法にて測定された。
すなわち、電子写真感光体評価装置(山梨電子工業社製)に試料を装着し、コロナ放電器に−5kVの電圧を印可して、試料を負の電位に帯電させた。この時、試料の表面電位(初期帯電電位)V01が−800Vになるように試料とコロナ放電器のギャップを調整した。その後、露光エネルギー20erg/cm2の露光光を試料に照射し、照射後の試料の表面電位(初期残留電位)VR1を測定した。この帯電−露光工程(ギャップの調整を除く)を1サイクルとし、20,000サイクル繰り返した後の帯電電位V02及び残留電位VR2を測定した。帯電電位の低下量は初期帯電電位からの20,000サイクル後の帯電電位の低下量(|V01|−|V02|)であり、残留電位の上昇量は初期残留電位から20,000サイクル後の残留電位の上昇量(|VR2|−|VR1|)である。
Figure 2005010818
表1から明らかなように、実施例1〜6(試料A〜F)の電子写真感光体は、20,000回繰り返し使用後の帯電電位の低下量及び残留電位の上昇量が小さく、実用に十分耐えうるものであった。
これに対し、比較例1(試料G)の電子写真感光体は、帯電電位の低下量及び残留電位の上昇量が大きく実用的でない。すなわち、このような電子写真感光体を用いて画像形成を行うと、繰り返して使用するうちに白地画像上に黒点が発生してしまい実用的でない。
また、前記電荷発生層用塗液a〜fにおいて、フッ素系界面活性剤を含有させない電荷発生層用塗液a’〜f’を調製し、それぞれの分散初期と25℃環境下1ヶ月放置後の粒子径を光散乱光動計(大塚電子社製 ELS800)を用いて測定した。その結果を表2にまとめる。
Figure 2005010818
表2から明らかなように、フッ素系界面活性剤を含有している塗液a〜fについては、1カ月放置しても粒子の凝集が起こらないため、放置前後の粒子径に殆ど差がなく、大量生産に適した塗液であることが理解される。
これに対し、フッ素系界面活性剤を含有しない塗液a’〜f’については、1カ月放置後において粒子の凝集が起こり、粒子が沈降してしまった。
実施例1〜5及び比較例1に用いた分散前のオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す図 実施例1〜4における分散後の電荷発生層形成用塗液のX線回折スペクトルを示す図 実施例5における分散後の電荷発生層形成用塗液のX線回折スペクトルを示す図 実施例6に用いた分散前のオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す図 実施例6における分散後の電荷発生層形成用塗液のX線回折スペクトルを示す図 比較例1における分散後の電荷発生層形成用塗液のX線回折スペクトルを示す図

Claims (18)

  1. 感光層形成用塗料を用いた感光層が形成されてなる電子写真感光体であって、該感光層形成用塗料は、少なくともオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂が、分子内に水酸基若しくはカルボニル基を有し温度25℃における誘電率が20以上である極性溶媒に分散され、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2゜)7.3゜に回折ピークを示す結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものであることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 感光層形成用塗料が、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7°、23.2°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、26.2°の回折ピークが最も強い結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものであることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 感光層形成用塗料が、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、27.1°の回折ピークが最も強い結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものであることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 感光層形成用塗料が、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、7.5゜、10.2°、12.6°、13.1°、15.0°、16.2゜、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.4°、28.6°に強い回折ピークを示す結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものであることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 感光層がフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の電子写真感光体。
  6. 感光層が電荷発生層と電荷移動層とからなり、該電荷発生層にオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂及びフッ素系界面活性剤を含有してなることを特徴とする請求項5記載の電子写真感光体。
  7. 少なくとも結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂とを分散させてなる感光層形成用塗料を用いて感光層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、該感光層形成用塗料の分散工程において、分子内に水酸基若しくはカルボニル基を有し温度25℃における誘電率が20以上である極性溶媒を用いることにより、該オキシチタニウムフタロシアニンに対し、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°の回折ピークを結晶成長させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  8. オキシチタニウムフタロシアニンとして、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7°、23.2°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、26.2°の回折ピークが最も強い結晶性のものを用いることを特徴とする請求項7記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. オキシチタニウムフタロシアニンとして、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、27.1°の回折ピークが最も強い結晶性のものを用いることを特徴とする請求項7記載の電子写真感光体の製造方法。
  10. オキシチタニウムフタロシアニンとして、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、7.5゜、10.2°、12.6°、13.1°、15.0°、16.2゜、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.4°、28.6°に強い回折ピークを示す結晶性のものを用いることを特徴とする請求項7記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 感光層形成用塗料の分散工程において、フッ素系界面活性剤を含有させることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項記載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 感光層形成用塗料を用いた感光層が形成されてなる電子写真感光体であって、該感光層形成用塗料は、少なくともオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂が、分子内に水酸基若しくはカルボニル基を有し温度25℃における誘電率が20以上である極性溶媒に分散され、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7°、23.2°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、26.2°の回折ピークが最も強い結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものであることを特徴とする電子写真感光体。
  13. 感光層形成用塗料を用いた感光層が形成されてなる電子写真感光体であって、該感光層形成用塗料は、少なくともオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂が、分子内に水酸基若しくはカルボニル基を有し温度25℃における誘電率が20以上である極性溶媒に分散され、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、10.2°、12.6°、13.1°、15.0°、16.2゜、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.4°、28.6°に強い回折ピークを示す結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンを含むものであることを特徴とする電子写真感光体。
  14. 感光層がフッ素系界面活性剤を含有することを特徴とする請求項12又は13のいずれか1項記載の電子写真感光体。
  15. 感光層が電荷発生層と電荷移動層とからなり、該電荷発生層にオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂及びフッ素系界面活性剤を含有してなることを特徴とする請求項14記載の電子写真感光体。
  16. 少なくとも結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂とを分散させてなる感光層形成用塗料を用いて感光層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、該感光層形成用塗料の分散工程において、前記オキシチタニウムフタロシアニンとして、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7°、23.2°、26.2°、27.1°に強い回折ピークを示し、かつ、26.2°の回折ピークが最も強い結晶性のものを用いることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  17. 少なくとも結晶性のオキシチタニウムフタロシアニンと結着樹脂とを分散させてなる感光層形成用塗料を用いて感光層を形成する工程を有する電子写真感光体の製造方法であって、該感光層形成用塗料の分散工程において、前記オキシチタニウムフタロシアニンとして、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ(±0.2°)7.3°、10.2°、12.6°、13.1°、15.0°、16.2゜、17.2°、18.3°、22.5°、24.2°、25.4°、28.6°に強い回折ピークを示す結晶性のものを用いることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  18. 感光層形成用塗料の分散工程において、フッ素系界面活性剤を含有させることを特徴とする請求項16又は17のいずれか1項記載の電子写真感光体の製造方法。
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