JP2005009592A - 車両用動力分配装置 - Google Patents

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JP2005009592A JP2003174594A JP2003174594A JP2005009592A JP 2005009592 A JP2005009592 A JP 2005009592A JP 2003174594 A JP2003174594 A JP 2003174594A JP 2003174594 A JP2003174594 A JP 2003174594A JP 2005009592 A JP2005009592 A JP 2005009592A
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Yukiaki Sawara
幸明 佐原
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Fuji Heavy Industries Ltd
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Abstract

【課題】差動機構の負荷を軽減し、車両用動力分配装置の小型化を達成する。
【解決手段】ディファレンシャルキャリア20には、ドライブピニオンギヤ25を備えるドライブピニオン軸23と、ドライブピニオンギヤ25に噛み合って一次減速歯車列34を形成するリングギヤ33を備えるディファレンシャルケース27とが回転自在に収容されている。ディファレンシャルケース27には、左輪中間軸35に連結されるサイドギヤ28と、右輪中間軸37に連結されるサイドギヤ29とが回転自在に収容されている。左輪中間軸35と右輪中間軸37とのそれぞれには駆動ギヤ39,40が設けられており、左輪中間軸35および右輪中間軸37に平行となる左輪出力軸41と右輪出力軸42とのそれぞれには駆動ギヤ39,40に噛み合って二次減速歯車列43,45を形成する従動ギヤ44,46が設けられている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、駆動輪に動力を分配する車両用動力分配装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用動力分配装置は変速機を介して変速されたエンジン動力を左右の駆動輪に分配する。このような車両用動力分配装置は差動機構を備えており、車両が旋回走行を行う際には、差動機構が左右駆動輪の回転差を吸収することにより車両の円滑な走行を可能とする。
【0003】
このような車両用動力分配装置は、駆動輪の回転抵抗の大きさに応じて動力を左右輪に分配する構造であるため、積極的に左右の駆動輪に駆動トルクを分配して車両の旋回性や操縦安定性を向上させることはできなかった。そこで、左右の駆動輪に所定の分配比で動力を分配するため、ダブルピニオンプラネタリ式の差動機構を備え、この差動機構の各要素を遊星歯車列やクラッチによって制御するようにした車両用動力分配装置が開発されている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−105573号公報(第3−4頁、図1)
【0005】
【特許文献2】
特許第3104157号公報(第2−3頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ダブルピニオンプラネタリ式の差動機構と、遊星歯車列やクラッチを備える動力分配機構とを同軸上に配置する必要があるため、車両用動力分配装置の小型化を達成することが困難であり、特に車両用動力分配装置が車幅方向に大型化するおそれがあった。
【0007】
また、車両用動力分配装置に入力されるエンジン動力は、ドライブピニオンギヤとリングギヤとにより形成される減速歯車列によってのみ減速されるため、高負荷が加えられる減速歯車列や差動機構には高粘度の潤滑油が必要であり、動力分配機構のクラッチに使用される潤滑油や作動油との共用化を図ることが困難であった。このため、車両用動力分配装置内に貯留される複数の油を区分けする必要があり、車両用動力分配装置の大型化や複雑化を招くことになっていた。
【0008】
さらに、高負荷が加えられる差動機構の耐荷重性能を満足させるため、車両用動力分配装置の大型化や高重量化を招くおそれがあった。
【0009】
本発明の目的は、差動機構に掛かる負荷を軽減することにより、車両用動力分配装置の小型化を達成することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、車両用動力分配装置を車幅方向に大型化することなく、左右の駆動輪に所定の分配比で動力を分配することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両用動力分配装置は、入力軸からの動力を左右の駆動輪に分配する車両用動力分配装置であって、差動小歯車を介して相互に噛み合う一対の差動大歯車を回転自在に収容するディファレンシャルケースに、前記入力軸からの動力を伝達する一次減速歯車列と、一方の前記差動大歯車に連結される第1中間軸から、これに平行に設けられ一方の駆動輪に連結される第1出力軸に動力を伝達する第1の二次減速歯車列と、他方の前記差動大歯車に連結される第2中間軸から、これに平行に設けられ他方の駆動輪に連結される第2出力軸に動力を伝達する第2の二次減速歯車列とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の車両用動力分配装置は、前記一次減速歯車列のギヤ比は前記二次減速歯車列のギヤ比よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
本発明の車両用動力分配装置は、前記一次減速歯車列は直交歯車列であることを特徴とする。
【0014】
本発明の車両用動力分配装置は、前記第1および第2出力軸のいずれか一方と前記ディファレンシャルケースとの間に設けられる第1の分配歯車列と、前記第1および第2出力軸の一方と前記ディファレンシャルケースとの間に設けられる第2の分配歯車列と、前記第1の分配歯車列を動力伝達状態と動力切断状態とに切り換える第1クラッチと、前記第2の分配歯車列を動力伝達状態と動力切断状態とに切り換える第2クラッチとを有し、前記第1または第2の分配歯車列を動力伝達状態に切り換えることにより、前記第1出力軸と前記第2出力軸とに伝達される動力の分配比を設定することを特徴とする。
【0015】
本発明の車両用動力分配装置は、前記第1クラッチと前記第2クラッチとを隣接させることを特徴とする。
【0016】
本発明の車両用動力分配装置は、前記第2の分配歯車列を、前記第1および第2出力軸の他方と前記ディファレンシャルケースとの間に設けることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、一次減速歯車列と二次減速歯車列とを設けるようにしたので、動力を2段階に分けて減速させることができ、差動機構に加えられる負荷を軽減することができる。これにより、差動機構に要求される強度が抑えられるため、差動機構の大型化を回避することができ、車両用動力分配装置の小型化や軽量化を達成することができる。
【0018】
また、ディファレンシャルケースと出力軸とに跨って分配歯車列を設けるようにしたので、車両用動力分配装置を車幅方向に大型化することなく、駆動輪のそれぞれに伝達される動力の分配比を設定することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は車両の動力伝達系10を示す概略図であり、この動力伝達系10には本発明の一実施の形態である車両用動力分配装置11(以下、動力分配装置という)が組み込まれている。
【0020】
図1に示すように、車両前方に配置されるエンジン12には変速機13が取り付けられ、車両後方に配置される動力分配装置11には駆動輪である左右の後輪14,15が連結されている。変速機13と動力分配装置11との間には推進軸16が取り付けられており、エンジン12からの動力は変速機13を介して変速された後に推進軸16を経て動力分配装置11に入力される。そして、動力分配装置11に入力された動力は走行状況に応じて左右の後輪14,15に分配されることになる。なお、図示する動力分配装置11は後輪駆動車に適用されているが、変速機13内に動力分配装置11を組み込むことにより、動力分配装置11を前輪駆動車や四輪駆動車に適用しても良い。
【0021】
図2は図1の動力分配装置11を示す断面図であり、図3は図1の動力分配装置11を示すスケルトン図である。図2に示すように、動力分配装置11のディファレンシャルキャリア20(以下、デフキャリアという)は、中空の本体部20aとこれより車両前方に延びる中空の軸収容部20bとを備えており、軸収容部20bには軸受21,22を介して入力軸としてのドライブピニオン軸23が回転自在に収容されている。ドライブピニオン軸23の一端にはスプライン結合されたフランジ24を介して推進軸16が連結され、ドライブピニオン軸23の他端にはドライブピニオンギヤ25が形成されている。
【0022】
図2および図3に示すように、デフキャリア20の本体部20aには差動機構26を形成するディファレンシャルケース27(以下、デフケースという)が回転自在に収容されており、このデフケース27内には差動大歯車としてのサイドギヤ28,29と差動小歯車としてのピニオンギヤ30,31とが回転自在に収容されている。また、デフケース27内にはピニオン軸32が嵌合されており、このピニオン軸32によりピニオンギヤ30,31は回転自在に支持されている。ピニオンギヤ30,31は対面するサイドギヤ28,29の双方に噛み合っており、一方のサイドギヤ28を回転させるとピニオンギヤ30,31を介して他方のサイドギヤ29が逆回転することになる。
【0023】
このようなデフケース27の外周部にはドライブピニオンギヤ25に噛み合うリングギヤ33が固定されており、ドライブピニオンギヤ25とリングギヤ33とにより一次減速歯車列34が形成されている。また、ドライブピニオンギヤ25とリングギヤ33とはそれぞれハイポイドギヤとなっており、ハイポイドギヤにより形成される一次減速歯車列34は直交歯車列となっている。なお、一次減速歯車列34を、すぐば傘歯車、はすば傘歯車、曲がりば傘歯車などにより形成しても良い。
【0024】
デフケース27に収容される一方のサイドギヤ28には第1中間軸である左輪中間軸35の一端がスプライン結合されており、この左輪中間軸35の他端は軸受36を介してデフキャリア20に回転自在に支持されている。同様に、他方のサイドギヤ29には第2中間軸である右輪中間軸37の一端がスプライン結合されており、この右輪中間軸37の他端は軸受38を介してデフキャリア20に回転自在に支持されている。このようにデフキャリア20内に収容される左輪中間軸35と右輪中間軸37との他端側には、それぞれ駆動ギヤ39,40が形成されている。
【0025】
また、左輪中間軸35に平行となる第1出力軸としての左輪出力軸41と、右輪中間軸37に平行となる第2出力軸としての右輪出力軸42とが、デフキャリア20内に回転自在に収容されており、左輪出力軸41には駆動ギヤ39に噛み合って第1の二次減速歯車列43を形成する従動ギヤ44が固定される一方、右輪出力軸42には駆動ギヤ40に噛み合って第2の二次減速歯車列45を形成する従動ギヤ46が固定されている。左輪出力軸41と右輪出力軸42との端部は、それぞれデフキャリア20の外部に突出するようになっている。左輪出力軸41の端部には図1に示すリヤドライブ軸47を介して左側の後輪14が連結されており、右輪出力軸42にはリヤドライブ軸48を介して右側の後輪15が連結されている。
【0026】
なお、第1の二次減速歯車列43と第2の二次減速歯車列45とはそれぞれ同一のギヤ比に形成されており、一次減速歯車列34のギヤ比(ドライブピニオンギヤ25の歯数/リングギヤ33の歯数)は、二次減速歯車列43,45のギヤ比(駆動ギヤ39,40の歯数/従動ギヤ44,46の歯数)よりも小さく設定されている。つまり、一次減速歯車列34よりも二次減速歯車列43,45の減速比が大きく設定されている。
【0027】
続いて、一次減速歯車列34と二次減速歯車列43,45とを備える動力分配装置11の動力伝達経路について説明する。図4は動力分配装置11の動力伝達経路を示す概略図であり、動力が均等に分配される際の動力伝達経路を示している。
【0028】
図4に示すように、動力分配装置11のドライブピニオン軸23に入力されるエンジン動力は、一次減速歯車列34を介して減速されるとともにデフケース27を回転駆動する。ピニオン軸32に支持されるピニオンギヤ30,31はデフケース27とともに公転するため、このピニオンギヤ30,31に噛み合う一対のサイドギヤ28,29はデフケース27と一体になって回転する。サイドギヤ28,29より左輪中間軸35と右輪中間軸37とに伝達される動力は、二次減速歯車列43,45を介して更に減速された後に左輪出力軸41と右輪出力軸42とに伝達され、左輪出力軸41と右輪出力軸42とから左右の後輪14,15に伝達されることになる。
【0029】
なお、図4に示す場合は、車両の直進時など左右の後輪14,15つまりサイドギヤ28,29の回転抵抗が同一の場合であるため、ピニオンギヤ30,31は差動回転することなく双方のサイドギヤ28,29に同一の駆動トルクで動力を分配する。一方、車両が旋回走行を行う場合つまり左右の後輪14,15の回転抵抗が異なる場合には、回転抵抗に応じてピニオンギヤ30,31が差動回転することにより、回転抵抗の大きな後輪の回転数を低下させるとともに、回転抵抗の小さな後輪の回転数を上昇させることになる。つまり、車両が旋回走行を行う場合には、内側よりも外側の後輪に多くの駆動トルクで動力を分配するため滑らかな旋回走行が可能となる。
【0030】
このように、動力分配装置11に一次減速歯車列34と二次減速歯車列43,45とを設けるようにしたので、エンジン動力を2段階に分けて減速させることができ、一次減速歯車列34や差動機構26に加えられる負荷を軽減することができる。これにより、一次減速歯車列34や差動機構26に要求される強度が抑えられるため、一次減速歯車列34や差動機構26の大型化を回避することができ、動力分配装置11の小型化や軽量化を達成することができる。
【0031】
また、一次減速歯車列34や差動機構26に加えられる負荷を軽減することにより、差動機構26用の潤滑油として高粘度の潤滑油を用いる必要がなく、低粘度の潤滑油を用いることができる。これにより、デフキャリア20内の抵抗を軽減することができ、動力分配装置11の高効率化を達成することができる。
【0032】
さらに、一次減速歯車列34は直交歯車列であるため、ドライブピニオン軸23やデフケース27に対してスラスト方向の噛み合い反力が加えられるが、一次減速歯車列34に加えられる負荷を軽減することにより、この噛み合い反力を軽減することができる。これにより、ドライブピニオン軸23やデフケース27を支持する軸受21,22,49,50を、スラスト荷重容量の小さい軸受にすることができるため、軸受の転がり抵抗を低減して動力分配装置11の高効率化を達成することができる。
【0033】
以下、動力分配装置11に設けられる分配比設定機構60について説明する。図2および図3に示すように、左輪中間軸35の径方向外方にはデフケース27から延びる中空軸61が回転自在に設けられており、この中空軸61の外周面には減速駆動ギヤ62と増速駆動ギヤ63とが隣接して固定されている。また、中空軸61に平行となる左輪出力軸41には増速駆動ギヤ63に噛み合う増速従動ギヤ64が回転自在に装着されており、この増速従動ギヤ64の中空軸部64aには減速駆動ギヤ62に噛み合う減速従動ギヤ65が回転自在に装着されている。
【0034】
このような減速駆動ギヤ62と減速従動ギヤ65とにより第1の分配歯車列66が形成され、増速駆動ギヤ63と増速従動ギヤ64とにより第2の分配歯車列67が形成されている。なお、第1の分配歯車列66のギヤ比は二次減速歯車列43,45よりも大きく設定されており、第2の分配歯車列67のギヤ比は二次減速歯車列43,45よりも小さく設定されている。
【0035】
さらに、減速従動ギヤ65と左輪出力軸41との間には第1クラッチである左輪減速クラッチ68が設けられており、左輪減速クラッチ68は油圧回路や制御弁を備える油圧制御ユニット69からの油圧によって、減速従動ギヤ65と左輪出力軸41とを締結する動力伝達状態と解放する動力切断状態とに切り換えられる。左輪減速クラッチ68は減速従動ギヤ65に固定されるクラッチハブ68aと左輪出力軸41に固定されるクラッチドラム68bとを備えており、クラッチハブ68aとクラッチドラム68bとの間には複数のクラッチディスク68cが設けられている。油圧制御される油圧ピストン68dによって、クラッチディスク68cを押圧することにより左輪減速クラッチ68は動力伝達状態つまり締結状態に切り換えられる一方、押圧を解除することにより左輪減速クラッチ68は動力切断状態つまり解放状態に切り換えられる。
【0036】
同様に、増速従動ギヤ64の中空軸部64aと左輪出力軸41との間には第2クラッチである左輪増速クラッチ70が設けられており、左輪増速クラッチ70は油圧制御ユニット69からの油圧によって、増速従動ギヤ64と左輪出力軸41とを締結する動力伝達状態と解放する動力切断状態とに切り換えられる。左輪増速クラッチ70は中空軸部64aに固定されるクラッチハブ70aと左輪出力軸41に固定されるクラッチドラム70bとを備えており、クラッチハブ70aとクラッチドラム70bとの間には複数のクラッチディスク70cが設けられている。油圧制御される油圧ピストン70dによって、クラッチディスク70cを押圧することにより左輪増速クラッチ70は動力伝達状態つまり締結状態に切り換えられる一方、押圧を解除することにより左輪増速クラッチ70は動力切断状態つまり解放状態に切り換えられる。なお、左輪減速クラッチ68と左輪増速クラッチ70とは隣接して設けられるため、クラッチドラム68b,70bを一体に形成することができ、クラッチの小型化を達成することができる。
【0037】
続いて、左輪減速クラッチ68や左輪増速クラッチ70を締結した場合の動力伝達経路について説明する。図5(A)は左輪減速クラッチ68を締結した際の動力伝達経路を示す概略図であり、図5(B)は左輪増速クラッチ70を締結した際の動力伝達経路を示す概略図である。なお、図5(A)および図5(B)は、図4に示す状態から左輪減速クラッチ68や左輪増速クラッチ70を締結した場合の動力分配経路を示している。
【0038】
まず、図5(A)に示すように、差動機構26を介して等しい動力が分配された状態のもとで左輪減速クラッチ68を締結した場合には、分配歯車列66が動力伝達状態となるため左輪出力軸41の回転数が低下することになる。このとき、従動ギヤ44から回転数を低下させようとする減速従動ギヤ65に駆動トルクが流れようとするため、一旦従動ギヤ44に分配された駆動トルクは左輪出力軸41から分配歯車列66を介してデフケース27に伝達された後に、デフケース27から右輪中間軸37を介して右輪出力軸42に伝達されることになる。
【0039】
つまり、左輪減速クラッチ68を締結することで左輪出力軸41の回転数を低下させると、二次減速歯車列43を介してサイドギヤ28の回転数も低下するため、ピニオンギヤ30,31の差動回転により対面するサイドギヤ29の回転数が上昇することになる。このように、左輪減速クラッチ68を締結することによって、差動機構26を所定の作動状態に切り換えることができ、左側よりも右側の後輪15に多くの駆動トルクを分配することができる。
【0040】
一方、図5(B)に示すように、差動機構26を介して等しい動力が分配された状態のもとで左輪増速クラッチ70を締結した場合には、分配歯車列67が動力伝達状態となるため左輪出力軸41の回転数が上昇することになる。このとき、回転数を上昇させようとする増速従動ギヤ64から左輪出力軸41に駆動トルクが流れようとするため、一旦サイドギヤ29に分配された駆動トルクはデフケース27から分配歯車列67を介して左輪出力軸41に伝達されることになる。
【0041】
つまり、左輪増速クラッチ70を締結することで左輪出力軸41の回転数を上昇させると、二次減速歯車列43を介してサイドギヤ28の回転数も上昇するため、ピニオンギヤ30,31の差動回転により対面するサイドギヤ29の回転数が低下することになる。このように、左輪増速クラッチ70を締結することによって、差動機構26を所定の作動状態に切り換えることができ、右側よりも左側の後輪14に多くの駆動トルクを分配することができる。
【0042】
なお、左輪減速クラッチ68や左輪増速クラッチ70を完全に締結した場合には、図5(A)や図5(B)に示す駆動トルクの分配比で左右の後輪14,15が駆動されることになるが、左輪減速クラッチ68や左輪増速クラッチ70を半クラッチ状態つまり滑り状態に制御することによって、所定の範囲内で分配比を制御できることは言うまでもない。
【0043】
このように、左輪減速クラッチ68や左輪増速クラッチ70を締結制御することにより、走行状況によることなく、所定の駆動トルク分配比で後輪14,15を駆動することができる。これにより、旋回走行時に外側の後輪に積極的に駆動トルクを分配して車両の旋回性能を高めることができ、高速での旋回走行時に内側の後輪に積極的に駆動トルクを分配することにより、過度なオーバーステア特性を回避して車両の安全性能を高めることができる。
【0044】
また、デフケース27の中空軸61とこれに平行な左輪出力軸41との2軸に跨って分配比設定機構60を設けるようにしたので、動力分配装置11を車幅方向に短縮することができるとともに、遊星歯車などを設けることなく分配比設定機構60の構成を簡素化することができる。
【0045】
さらに、二次減速歯車列43,45を設けることにより一次減速歯車列34や差動機構26の負荷を軽減するようにしたので、差動機構26に用いる潤滑油と、左輪増速クラッチ70および左輪減速クラッチ68に用いる潤滑油や作動油を共用することができる。これにより、デフキャリア20内に貯留される油を仕切る必要がなく、動力分配装置11の小型化や低コスト化を達成することができる。
【0046】
図6は本発明の他の実施の形態である動力分配装置71を示すスケルトン図である。なお、図3に示す部材と同様の部材については同一の符号を付してその説明を省略する。図6に示すように、この動力分配装置71は、図3に示す動力分配装置11の第2の分配歯車列67を削除するとともに、第1の分配歯車列66と同じギヤ比を備える第2の分配歯車列を右輪出力軸42側に設けたものである。
【0047】
図6に示すように、右輪中間軸37の径方向外方にはデフケース27から延びる中空軸72が設けられており、この中空軸72の外周面には減速駆動ギヤ73が固定されている。中空軸72に平行となる右輪出力軸42には減速駆動ギヤ73に噛み合う減速従動ギヤ74が回転自在に装着されており、減速駆動ギヤ73と減速従動ギヤ74とにより第2の分配歯車列75が形成されている。なお、この分配歯車列75は第1の分配歯車列66と同じギヤ比に形成されており、このギヤ比は二次減速歯車列43,45よりも大きく設定されている。
【0048】
さらに、減速従動ギヤ74と右輪出力軸42との間には第2クラッチである右輪減速クラッチ76が設けられている。この右輪減速クラッチ76は左輪減速クラッチ68と同様の構造を備えており、右輪減速クラッチ76は油圧制御ユニットからの油圧によって減速従動ギヤ74と右輪出力軸42とを締結する動力伝達状態と解放する動力切断状態とに切り換えられる。
【0049】
この右輪減速クラッチ76を締結した場合には、分配歯車列75が動力伝達状態となるため右輪出力軸42の回転数が低下することになる。このとき、従動ギヤ46から回転数を低下させようとする減速従動ギヤ74に駆動トルクが流れようとするため、一旦従動ギヤ46に分配された駆動トルクは右輪出力軸42から分配歯車列75を介してデフケース27に伝達された後に、デフケース27から左輪中間軸35を介して左輪出力軸41に伝達されることになる。なお、左輪減速クラッチ68を締結した場合には、前述の説明と同様に、図5(A)に示す動力伝達経路で左輪出力軸41から右輪出力軸42に駆動トルクが分配されることになる。
【0050】
つまり、左輪減速クラッチ68を締結することにより、左側よりも右側の後輪15に大きな駆動トルクで動力を分配することができる一方、右輪減速クラッチ76を締結することにより、右側よりも左側の後輪14に大きな駆動トルクで動力を分配することができる。このように、図6に示す動力分配装置71であっても、図3に示す動力分配装置11と同様に作動させることができる。
【0051】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、図示する一次減速歯車列34は直交歯車列であるが、ドライブピニオンギヤ25とリングギヤ33とを平歯車やはすば歯車によって形成しても良い。
【0052】
また、図2および図3に示す動力分配装置11は、左輪中間軸35と左輪出力軸41との間に分配比設定機構60を備えているが、この分配比設定機構60を右輪中間軸37と右輪出力軸42との間に設けるようにしても良い。
【0053】
さらに、図6に示す動力分配装置71は、減速駆動ギヤ62,73と減速従動ギヤ65,74とにより形成される分配歯車列66,75を備えているが、クラッチ68,76の切換制御を逆に設定することにより、増速駆動ギヤ63と増速従動ギヤ64とにより形成される分配歯車列を設けるようにしても良い。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、一次減速歯車列と二次減速歯車列とを設けるようにしたので、動力を2段階に分けて減速させることができ、差動機構に加えられる負荷を軽減することができる。これにより、差動機構に要求される強度が抑えられるため、差動機構の大型化を回避することができ、車両用動力分配装置の小型化や軽量化を達成することができる。
【0055】
また、ディファレンシャルケースと出力軸とに跨って分配歯車列を設けるようにしたので、車両用動力分配装置を車幅方向に大型化することなく、駆動輪のそれぞれに伝達される動力の分配比を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である車両用動力分配装置を備えた車両の動力伝達系を示す概略図である。
【図2】図1の車両用動力分配装置を示す断面図である。
【図3】図1の車両用動力分配装置を示すスケルトン図である。
【図4】車両用動力分配装置の動力伝達経路を示す概略図である。
【図5】(A)は左輪減速クラッチを締結した際の車両用動力分配装置の動力伝達経路を示す概略図であり、(B)は左輪増速クラッチを締結した際の車両用動力分配装置の動力伝達経路を示す概略図である。
【図6】本発明の他の実施の形態である車両用動力分配装置を示すスケルトン図である。
【符号の説明】
11 車両用動力分配装置
14,15 後輪(駆動輪)
23 ドライブピニオン軸(入力軸)
25 ドライブピニオンギヤ
26 差動機構
27 ディファレンシャルケース
28,29 サイドギヤ(差動大歯車)
30,31 ピニオンギヤ(差動小歯車)
34 一次減速歯車列
35 左輪中間軸(第1中間軸)
37 右輪中間軸(第2中間軸)
41 左輪出力軸(第1出力軸)
42 右輪出力軸(第2出力軸)
43 第1の二次減速歯車列
45 第2の二次減速歯車列
66 第1の分配歯車列
67 第2の分配歯車列
68 左輪減速クラッチ(第1クラッチ)
70 左輪増速クラッチ(第2クラッチ)
75 第2の分配歯車列
76 右輪減速クラッチ(第2クラッチ)

Claims (6)

  1. 入力軸からの動力を左右の駆動輪に分配する車両用動力分配装置であって、
    差動小歯車を介して相互に噛み合う一対の差動大歯車を回転自在に収容するディファレンシャルケースに、前記入力軸からの動力を伝達する一次減速歯車列と、
    一方の前記差動大歯車に連結される第1中間軸から、これに平行に設けられ一方の駆動輪に連結される第1出力軸に動力を伝達する第1の二次減速歯車列と、
    他方の前記差動大歯車に連結される第2中間軸から、これに平行に設けられ他方の駆動輪に連結される第2出力軸に動力を伝達する第2の二次減速歯車列とを有することを特徴とする車両用動力分配装置。
  2. 請求項1記載の車両用動力分配装置において、前記一次減速歯車列のギヤ比は前記二次減速歯車列のギヤ比よりも小さいことを特徴とする車両用動力分配装置。
  3. 請求項1または2記載の車両用動力分配装置において、前記一次減速歯車列は直交歯車列であることを特徴とする車両用動力分配装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用動力分配装置において、
    前記第1および第2出力軸のいずれか一方と前記ディファレンシャルケースとの間に設けられる第1の分配歯車列と、
    前記第1および第2出力軸の一方と前記ディファレンシャルケースとの間に設けられる第2の分配歯車列と、
    前記第1の分配歯車列を動力伝達状態と動力切断状態とに切り換える第1クラッチと、
    前記第2の分配歯車列を動力伝達状態と動力切断状態とに切り換える第2クラッチとを有し、
    前記第1または第2の分配歯車列を動力伝達状態に切り換えることにより、前記第1出力軸と前記第2出力軸とに伝達される動力の分配比を設定することを特徴とする車両用動力分配装置。
  5. 請求項4記載の車両用動力分配装置において、前記第1クラッチと前記第2クラッチとを隣接させることを特徴とする車両用動力分配装置。
  6. 請求項4記載の車両用動力分配装置において、前記第2の分配歯車列を、前記第1および第2出力軸の他方と前記ディファレンシャルケースとの間に設けることを特徴とする車両用動力分配装置。
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WO2017086384A1 (ja) * 2015-11-20 2017-05-26 Ntn株式会社 電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置

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