JP2005008672A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Kunitoshi Mimura
邦年 三村
Katsuhiro Iura
克弘 井浦
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Abstract

【課題】流動性、成形性に優れ、射出成型品、押し出し成型品、真空圧空成型品、ブロー成型品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、各種部品、接着剤、エマルジョン用途、その他の成型品を得るのに好適であり、得られる成形品は十分な機械的強度と耐熱性を有すると共に、海水中、土中、活性汚泥中、コンポスト中で容易に微生物により分解される樹脂組成物を提供する。
【解決手段】1,4−ブタンジオールとコハク酸からなる脂肪族エステル構造を持つ重合体と、ポリフェニレンエーテルとからなる樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に1,4−ブタンジオールとコハク酸からなる脂肪族エステル構造を持つ重合体とポリフェニレンエーテルからなる樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、成形材料としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等プラスチックス材料が大量に使用され消費されてきた。これらのプラスチックス材料の一部はリサイクルされる物もあるが、一般に回収された後、消却処理や土中埋設処理等の処理を受ける。しかし回収に多大な労力及び費用を要するため、あるいは回収が困難なため回収されずに放置される場合がある。近年、これらの環境問題に対して、自然環境の中で分解する高分子素材の開発が要望されるようになり、その中でも特に微生物によって分解されるプラスチックは、環境適合性材料や新しいタイプの機能性材料として大きな期待が寄せられている。
【0003】
微生物によって分解されるプラスチックとしては、微生物によって生産されるポリ−3−ヒドロキシ酪酸エステル(PHB)、合成高分子であるポリカプロラクトン(PCL)、コハク酸および1,4−ブタンジオールを主成分とするポリブチレンサクシネート(PBS)、脂肪族ポリエステルカーボネート(PEC)および発酵により生産されるL乳酸を原料としたポリ乳酸(PLLA)等が代表的なものである。
【0004】
特に、主に1,4−ブタンジオールとコハク酸から成る脂肪族エステル構造を持つ重合体は、一般にポリエチレン類似の物性、成形加工性を有し、今後さらに市場の拡大が期待できるが、耐熱性が低くその改良が切望されていた。
【0005】
一方、ポリフェニレンエーテルは、耐熱性、耐衝撃性、剛性、電気特性等にすぐれたエンジニアリングプラスチックとして有用な高分子材料である。しかし、ポリフェニレンエーテルは成形加工性が悪く、生分解性も低いという欠点を有しており、これらの改善が期待されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、流動性、成形性、生分解性に優れ、射出成型品、フィルム、シート、ラミネート用途等に加工された場合に、耐熱性を有する樹脂組成物を提供する事にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、耐熱性の低い脂肪族エステル構造を持つ重合体に、ポリフェニレンエーテルを所定量配合した樹脂組成物が、脂肪族エステル構造を持つ重合体の耐熱性を向上しうる事を見いだし、本発明に到達した。さらに、ポリフェニレンエーテルの生分解性及び流動性改良に脂肪族ポリエステル構造を持つ重合体が有効である事を見いだした。
【0008】
すなわち、本発明は、1,4−ブタンジオールとコハク酸からなる脂肪族エステル構造を持つ重合体と、ポリフェニレンエーテルとからなる樹脂組成物に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における脂肪族エステル構造を持つ重合体としては、コハク酸および1,4−ブタンジオールを主成分とするポリブチレンサクシネートまたはポリブチレンサクシネート・アジペート、及び脂肪族ポリエステルカーボネート等が例示される。中でも、脂肪族ポリエステルカーボネートが特に好ましい。上記脂肪族エステル構造を持つ重合体は、単独でも、ブレンドの形態でも使用可能である。以下、脂肪族エステル構造を持つ重合体として、主に脂肪族ポリエステルカーボネートを使用した場合について述べる。
【0010】
本発明における脂肪族ポリエステルカーボネートとは、脂肪族2塩基酸および/またはその誘導体、脂肪族ジヒドロキシ化合物及び/またはヒドロキシカルボン酸化合物を反応させて得られる数平均分子量10,000以下の脂肪族ポリエステルオリゴマーと、カーボネート化合物とを反応させて得られるカーボネート単位含有量が少なくとも3モル%以上であり、重量平均分子量が少なくとも100,000で、温度190℃、荷重60kgにおける溶融粘度が2,000〜50,000ポイズで、融点が70〜180℃であることを特徴とする。
【0011】
本発明による脂肪族ポリエステルカーボネートの製造法は、脂肪族2塩基酸および/またはその誘導体と脂肪族ジヒドロキシ化合物及び/またはヒドロキシカルボン酸化合物とから脂肪族ポリエステルオリゴマーを得る第1工程、および脂肪族ポリエステルオリゴマーとカーボネート化合物を反応させ脂肪族ポリエステルカーボネートを得る第2工程より構成される。
【0012】
第1工程は、触媒の存在下、温度100〜250℃で、反応に伴って副生する水及び過剰のジヒドロキシ化合物を除去しながら、数平均分子量10,000以下のポリエステルオリゴマーを製造する工程である。反応を促進する目的で300mmHg以下の減圧とすることが好ましい。
【0013】
第2工程は、第1工程で得られたポリエステルオリゴマーとカーボネート化合物を反応させて高分子量体とする工程であり、触媒の存在下、通常150〜250℃で行われ、反応に伴って副成するヒドロキシ化合物が除去される。カーボネート化合物の沸点によっては反応初期には加圧とする。減圧度を調節して最終的には3mmHg以下の減圧とすることが好ましい。
【0014】
脂肪族ポリエステルカーボネート中のカーボネート単位含有量は、脂肪族ポリエステルオリゴマーの末端水酸基量を制御することにより所望の割合とすることができる。カーボネート単位含有量が多すぎると、得られる脂肪族ポリエステルカーボネートの融点が低くなり、実用的耐熱性を有するポリマーが得られない。一方、カーボネート単位含有量が多くなると微生物による分解性が高くなる。従って、カーボネート単位含有量は、適度の生分解性を有し、かつ実用的な耐熱性を実現し得る量とすることが好ましく、本発明においては脂肪族ポリエステルカーボネート中のカーボネート単位含有量を、少なくとも3モル%以上、通常5〜30モル%とすることが好ましい。
【0015】
本発明の脂肪族ポリエステルカーボネートの製造に用いられる脂肪族2塩基酸としては、コハク酸が必須成分として使用され、それ以外に例えば、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、アゼライン酸等を適宜併用することができる。またテレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸も、生分解性を損なわない範囲で使用可能である。なお上記の2塩基酸はそれらのエステルあるいは酸無水物であってもよい。
【0016】
本発明の脂肪族ポリエステルカーボネートの製造に用いられる脂肪族ジヒドロキシ化合物は、1,4−ブタンジオールが必須成分として使用され、それ以外に例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等を適宜併用することができる。
【0017】
本発明で使用されるヒドロキシカルボン酸化合物としては、乳酸、グリコール酸、β−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシ吉草酸等が例示され、これらはエステル、環状エステル等の誘導体でも使用できる。
【0018】
これらの脂肪族2塩基酸、脂肪族ジヒドロキシ化合物およびヒドロキシカルボン酸化合物は、それぞれ単独であるいは混合物として用いることができ所望の組合せが可能であるが、本発明においては適度の生分解性を有し、かつ実用的な耐熱性を実現し得る程度の高い融点のものが好ましい。従って、本発明においては、脂肪族ジヒドロキシ化合物として1,4−ブタンジオール、脂肪族2塩基酸としてコハク酸を、それぞれ50モル%以上含むことが必要である。
【0019】
本発明の脂肪族ポリエステルカーボネートの製造に用いられるカーボネート化合物の具体的な例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネートなどのジアリールカーボネートを、また、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジアミルカーボネート、ジオクチルカーボネート等の脂肪族カーボネート化合物を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。また、フェノール、アルコール類の様なヒドロキシ化合物から誘導される、同種、又は異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物や環状カーボネート化合物も使用できる。
【0020】
第2工程において、カーボネート化合物を添加する際、グリコール成分を添加することにより、ブロック共重合化が可能である。添加するグリコールは第1工程で使用したグリコールと同一でも異なっても良い。
【0021】
脂肪族ポリエステルカーボネート樹脂の分子量はスチレン換算のGPCによる重量平均分子量で10万以上が望ましい。10万以下では所望の強度が達成されない。
【0022】
上記の脂肪族ポリエステルカーボネートの他に、脂肪族エステル構造を持つ重合体としては、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)等が挙げられ、脂肪族2塩基酸としてコハク酸、及び脂肪族ジヒドロキシ化合物として1,4ブタンジオールが必須成分であり、公知の方法で製造が可能である。さらに、多価イソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物などを添加、反応させ連鎖延長を行い、分子量をさらに高める事もできる。多価イソシアネート化合物としては、例えばイソシアネート基を2個以上有する化合物で、具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。多価イソシアネート化合物などの添加量としては、好ましくは0.1〜5重量部である。
【0023】
本発明で使用されるポリフェニレンエーテルは、一般式(1)で示される単環式フェノールの一種以上を重縮合して得られるポリフェニレンエーテルである。
【0024】
【化1】
Figure 2005008672
(R1は、炭素数1〜3の低級アルキル基、R2およびR3は水素原子または炭素数1〜3の低級アルキル基である。)
【0025】
このポリフェニレンエーテルは、単独重合体であっても共重合体であってもよい。前記一般式(1)で示される単環式フェノールとしては、例えば、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジプロピルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2−メチル−6−プロピルフェノール、2−エチル−6−プロピルフェノール、o−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,3−ジエチルフェノール、2,3−ジプロピルフェノール、2−メチル−3−エチルフェノール、2−メチル−3−プロピルフェノール、2−エチルー3−メチルフェノール、2−エチル−3−プロピルフェノール、2−プロピルー3−メチルフェノール、2−プロピル−3−エチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,6−トリエチルフェノール、2,3,6−トリプロピルフェノール、2,6−ジメチル−3−エチルフェノール、2,6−ジメチル−3−プロピルフェノール等が挙げられる。
【0026】
上記フェノールの一種以上の重縮合により得られるポリフェニレンエーテルとしては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1、4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1、4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルにスチレンをグラフト重合したグラフト共重合体、2,6−トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合したグラフト共重合体が挙げられる。特に、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体が本発明に用いるポリフェニレンエーテルとして好ましいものである。
【0027】
上記のポリフェニレンエーテルとしては、25℃のクロロホルム中での極限粘度が0.1〜0.7dl/gのものが一般に用いられ、0.3〜0.6dl/gのものが好ましい。ポリフェニレンエーテルの極限粘度が0.1dl/g未満であると、得られる樹脂組成物が脆くなり、また0.7dl/gを越えると、得られる樹脂組成物の流動性が悪くなる。
【0028】
本発明の樹脂組成物は、脂肪族エステル構造を持つ重合体とポリフェニレンエーテルを任意の比率で混合できるが、好ましくは脂肪族エステル構造を持つ重合体10〜95重量%に対しポリフェニレンエーテル90〜5重量%、より好ましくは脂肪族エステル構造を持つ重合体20〜90重量%に対しポリフェニレンエーテル80〜10重量%である。脂肪族エステル構造を持つ重合体の添加量が10重量%未満だとポリフェニレンエーテルの生分解性及び流動性への改善効果は小さく、ポリフェニレンエーテルの添加量が5重量%未満では、脂肪族エステル構造を持つ重合体の耐熱性の改善効果が小さい。
【0029】
本発明の樹脂組成物は、主として上記の脂肪族エステル構造を持つ重合体とポリフェニレンエーテルからなるが、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、着色剤、各種フィラー、静電気防止剤、離型剤、可塑剤、香料、抗菌剤、等の各種添加剤、及び生分解性樹脂を含む熱可塑性樹脂、エラストマー、木粉、でんぷん等も同様に加えることができる。これらの添加剤等は、脂肪族エステル構造を持つ重合体とポリフェニレンエーテルとの混合物が有する物性を大きく損なわれない範囲で、単独又は二種以上を任意の割合で混合できる。
【0030】
本発明の生分解性樹脂の製造に際しては、少なくとも一方の樹脂の溶融する温度以上で機械的に混合することにより得ることができる。混合装置に関しては特に制限はなく、単軸、二軸押出機等の常法を用いて混合する方法が短時間で連続的に処理できる点で工業的に推奨される。また脂肪族エステル構造を持つ重合体とポリフェニレンエーテル以外の成分を配合する際にも、同様の混合方法にて製造できる。
【0031】
混合時の温度は、100℃以下では樹脂の溶融粘度が高いかまたは溶融しないため、具体的には100℃から300℃の範囲が好適である。300℃以上では樹脂の熱分解が起こるため好ましくない。300℃以下であっても高温下での着色や劣化、熱分解等を防止するために窒素雰囲気下で短時間に混合することが好ましい。具体的な混合時間としては、20分以内が推奨される。また、樹脂中のオリゴマー、残存モノマー、発生ガス等の除去のためにベント口を設置し減圧下に混合することもできる。
【0032】
本発明の成型品は、本発明の樹脂組成物を用いて成型された物品であり、具体的な成型形態、成型方法としては、射出成型品、押し出し成型品、インフレーション成型法、真空圧空成型品、ブロー成型品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、各種部品その他の成型品が例示されるがそれらに限定されるものではない。また接着剤、エマルジョン等の使用法も可能である。特に、本発明の樹脂組成物はフィルム成型性が良く、場合によっては脂肪族エステル構造を持つ重合体とポリフェニレンエーテル及び各種添加剤等も同時に混合し直接成型機に投入し成型品を得ることもできる。
【0033】
得られる樹脂組成物および成形品は、高い機械的強度と実用上充分な軟化温度を有すると共に、土中、活性汚泥中、コンポスト中で容易に微生物により分解される。以上のごとく、本発明によれば、実用上充分な耐熱性、強度および生分解性を有する樹脂組成物および成型品を得ることができる。
【0034】
【実施例】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
本実施例において、融点は、DSC(パーキンエルマー社製DSC Pyris−1)を用いて測定した。また、分子量はクロロホルムを溶媒としてGPC(昭和電工(株)製GPC System−21H使用)によりスチレン換算のMw、Mnとして測定した。また、カーボネート単位含有量はNMR(日本電子(株)製NMR EX−270)を使用し、13CNMRによりジカルボン酸エステル単位およびカーボネート単位の合計に対するカーボネート単位の割合(モル%)として測定した。溶融粘度はフローテスター(島津製作所製CFT−500C)を用いて温度190℃、荷重60kgにて測定した。脂肪族ポリエステルカーボネートのオリゴマーの水酸基価、酸価はJIS K−1557に準じて測定した。
【0035】
生分解性試験については、30℃、90%RHの条件で、厚さ100ミクロンのプレスフィルムを20×50mmに切り出し土壌埋設試験を行い、3ヶ月後の重量減少率(%)を測定した。耐熱性は射出成形により試験片を作製し、荷重撓み温度をISO 75−2に準じて測定した。また流動性は、メルトフローレイト(MFR)をISO 1133に準じて、温度300℃、荷重1.2kgにて測定した。
【0036】
脂肪族ポリエステルカーボネートの製造例
攪拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの反応容器に、コハク酸18,740g(158.7モル)、1,4−ブタンジオール21,430g(237.8モル)、ジルコニウムアセチルアセトネート745mgおよび酢酸亜鉛1.40gを仕込み、窒素雰囲気下で温度150〜220℃、2時間反応し水を留出させた。つづいて、減圧度150〜80mmHgの減圧度で3時間脱水反応を進行させ、更に最終的に減圧度2mmHg以下となるよう徐々に減圧度を増してさらに水と1、4−ブタンジオールを留出させ、総留出量が10,460gになったところで反応を停止した。得られた脂肪族ポリエステルオリゴマーの数平均分子量は1,780、末端水酸基価は102KOHmg/gであり、酸価は0.51KOHmg/gであった。
【0037】
次に得られたオリゴマー 24,000gを攪拌機、分溜コンデンサー、温度計、ガス導入管を付けた50リットルの反応容器に仕込み、ジフェニルカーボネート4,680gを添加した。温度210〜220℃で最終的に1mmHgの減圧とし5時間反応した。得られた高分子量体は、融点が104℃で、GPCの測定による重量平均分子量(Mw)が245,000であり、13CNMR測定により、ポリカーボネート成分として14.3%のカーボネート単位を有していた。溶融粘度は11,000ポイズであり、クロロホルムには完全に溶解し、ゲル分はなかった。
【0038】
実施例1
ポリフェニレンエーテルは、25℃のクロロホルム中での極限粘度が0.45dl/gの2,6−ジメチルフェノール重合体(以下PPEと略す)を使用した。予備乾燥により絶乾状態にした製造例1の脂肪族ポリエステルカーボネート(PEC)とPPEの混合比が重量比で95/5となるようにV型ブレンダーにて混合し、2軸押出機(スクリュー径35mmφ、L/D=30)に供給し連続的にストランド化、ペレタイズし樹脂混合物を得た。この樹脂混合物を射出成形し、荷重撓み温度測定用の試験サンプルを作製した。また100μm厚のプレスフィルムを作製し、生分解性を測定した。結果を表−1に示す。なおMFRは、流動性が大きいため本条件下では測定不可であった。
【0039】
実施例2
実施例1におけるPECとPPEの混合比が、重量比で70/30に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表−1に示す。
【0040】
実施例3
実施例1におけるPECとPPEの混合比が、重量比で50/50に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表−1に示す。
【0041】
実施例4
実施例1におけるPECとPPEの混合比が、重量比で20/80に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表−1に示す。
【0042】
実施例5
実施例1におけるPECとPPEの混合比が、重量比で10/90に変更する以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表−1に示す。
【0043】
実施例6
実施例1において脂肪族ポリエステルカーボネートに代わり、1,4−ブタンジオールとコハク酸からなる脂肪族ポリエステル(PBS:昭和高分子(株)、ビオノーレ1001,重量平均分子量222,000)を使用し、PBSとPPEの混合比が重量比で70/30に変更する以外は、実施例1と同様の条件にて混合、物性評価を行った。結果を表−1に示す。
【0044】
実施例7
実施例6におけるPBSとPPEの混合比が、重量比で20/80に変更する以外は、実施例6と同様の操作を行った。結果を表−1に示す。
【0045】
比較例1
製造例1で得られた脂肪族ポリエステルカーボネートについて、物性測定した結果を表−1に示す。
【0046】
比較例2
実施例6で使用した脂肪族ポリエステル(PBSA)ついて、物性測定した結果を表−1に示す。
【0047】
比較例3
実施例1で使用したポリフェニレンエーテルについて、物性測定した結果を表−1に示す。なお荷重撓み温度については、成形性が悪く試験片の作製ができず、測定不可であった。
【0048】
【表1】
Figure 2005008672
添加量単位:重量部
―印:測定不可
【0049】
【発明の効果】
本発明に係るからなる樹脂組成物は、流動性、成形性に優れ、射出成型品、押し出し成型品、真空圧空成型品、ブロー成型品、繊維、マルチフィラメント、モノフィラメント、ロープ、網、織物、編み物、不織布、フィルム、シート、ラミネート、容器、発泡体、各種部品、接着剤、エマルジョン用途、その他の成型品を得るのに好適であり、得られる成形品は十分な機械的強度と耐熱性を有すると共に、海水中、土中、活性汚泥中、コンポスト中で容易に微生物により分解される。このため、包装材料、漁業、農業、食品分野その他のリサイクルが困難な用途に広く利用できる。

Claims (3)

  1. 1,4−ブタンジオールとコハク酸からなる脂肪族エステル構造を持つ重合体と、ポリフェニレンエーテルとからなる樹脂組成物。
  2. 脂肪族エステル構造を持つ重合体が脂肪族ポリエステルカーボネート樹脂または脂肪族ポリエステルである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 脂肪族エステル構造を持つ重合体10〜95重量%、ポリフェニレンエーテル90〜5重量%からなる請求項1〜2記載の樹脂組成物。
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