JP2005008660A - 半導体装置用プラスチックフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】薄膜半導体装置を転写・接着して形成することに適するプラスチックフィルムと、これを用いて製造される薄型の半導体装置を提供する。
【解決手段】少なくとも基材と接着層から成り、接着層が珪素および/または無機珪素化合物層との接着強度が50gf/cm以上であり、硬化後の線膨張係数が50ppm/℃以下である半導体装置用プラスチックフィルム。接着層が無機フィラーを含んで成ることが好ましく、基材であるプラスチックフィルムの線膨張係数も50ppm/℃以下であることが好ましい。
【解決手段】少なくとも基材と接着層から成り、接着層が珪素および/または無機珪素化合物層との接着強度が50gf/cm以上であり、硬化後の線膨張係数が50ppm/℃以下である半導体装置用プラスチックフィルム。接着層が無機フィラーを含んで成ることが好ましく、基材であるプラスチックフィルムの線膨張係数も50ppm/℃以下であることが好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置用の高分子フィルムに関するものであり、更に詳しくは、半導体装置を接着することにより表示装置の駆動用基板として用いることに適する高分子フィルムを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高表示品位なフレキシブルディスプレイや超薄型IC等を実現するための製造技術としてプラスチックフィルム上への半導体装置の形成方法が種々検討されている。
フィルム上に直接半導体を形成するためには、熱分解温度が高く、かつ線膨張係数も半導体並みに低い特別なプラスチックフィルムを開発するか、又はプラスチックフィルムが使用可能な100℃〜150程度の温度での特殊な半導体製造工程が必要となり、特に移動度の高いシリコンを形成するためには現在量産化されている方法では400〜600℃程度の熱工程があることから難しく、研究が進められているが量産可能な段階には至っていない。
【0003】
一方、ガラス上に薄膜により半導体装置を形成し、半導体装置上面に仮固定フィルムを貼った後にガラスを除去し、最終固定用プラスチックフィルム上に転写・接着する方法が提案されている。(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)
この際、仮固定フィルムを剥離する際や、プラスチックフィルム上へ半導体装置を形成した後の工程で、転写された半導体装置とプラスチックフィルムの間が剥がれてしまうことがあり問題となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−74533号公報(第2−3頁、第10頁)
【非特許文献1】
A.Asano and T.Kinoshita,Low−Temperature Polycrystalline−silicon TFT Color LCD Panel Made of Plastic Substrate,SID 02 DIGEST(2002)P.1196−1199
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、上記の課題を解決し、薄膜半導体装置を転写・接着して形成することに適するプラスチックフィルムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
1.少なくとも基材と接着層から成り、接着層が珪素および/または無機珪素化合物層との接着強度が50gf/cm以上であり、硬化後の線膨張係数が50ppm/℃以下である半導体装置用プラスチックフィルム、
2.接着層が無機フィラーを含んで成る前記1の半導体装置用プラスチックフィルム、
3.基材の線膨張係数が50ppm/℃以下である前記2の半導体装置用プラスチックフィルム、
4.波長550nmにおける光線透過率が80%以上である前記1〜3の半導体装置用プラスチックフィルム、
5.フィルムの法線方向での位相差が10nm以下である前記4の半導体装置用プラスチックフィルム、
6.接着層が架橋性樹脂を含んで成る前記1〜5の半導体装置用プラスチックフィルム、
7.架橋性樹脂がアクリル樹脂である前記6の半導体装置用プラスチックフィルム、
8.アクリル樹脂がイソシアヌル酸トリアクリレートを含んで成る前記7の半導体装置用プラスチックフィルム、
9.架橋性樹脂がエポキシ樹脂である前記6の半導体装置用プラスチックフィルム、
10.エポキシ樹脂がトリグリシジルイソシアヌレートを含んで成る前記9の半導体装置用プラスチックフィルム、
11.前記1〜10の半導体装置用プラスチックフィルム上に半導体が接着された半導体装置、
12.前記11の半導体装置を用いたアクティブマトリクス式表示装置、である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体装置用プラスチックフィルムは、珪素および/または無機珪素化合物層との接着強度が50gf/cm以上である接着層を有するものである。薄膜半導体装置を転写して形成する場合、その接着面は、珪素,酸化珪素,窒化珪素,窒酸化珪素,無アルカリガラスである場合がほとんどであり、珪素および/または無機珪素化合物層との接着強度が50gf/cm以上であることで、工程中での剥離を防ぐことが可能である。接着強度の測定は、珪素および/または無機珪素化合物層をスパッタリング等で成膜したガラス上(ガラスの場合はガラスに直接)にプラスチックフィルムを接着してピール試験を行うことにより行うことができる。
【0008】
本発明の半導体装置用プラスチックフィルムの基材となるプラスチックフィルムの例を挙げると、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリカーボネート,芳香族ポリエステル,芳香族ポリアミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,ポリシクロオレフィン,トリアセチルセルロース,ポリエチレン,ポリ塩化ビニル,ポリプロピレン,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリベンゾオキサゾール,ポリベンゾチアゾール,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,マレイミド樹脂、前記各種ポリマーと無機物の複合材料フィルム等であるがこれらに限定されるものではない。さらに、本発明では、線膨張係数が50ppm/℃以下であることが好ましい。接着する半導体装置は無機物であり線膨張係数が小さいので、基材となるプラスチックフィルムの線膨張係数が小さいほうが、温度変化に対する線膨張量の差による応力が発生しにくくなり、剥離を起こしにくくなるためである。線膨張係数が50ppm/℃以下であるものの例を挙げると、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート,2軸延伸ポリエチレンナフタレート,ポリイミド,ポリベンゾオキサゾール,ポリベンゾチアゾール,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,マレイミド樹脂,前記各種ポリマーと無機物の複合材料フィルム等である。
更に、光線透過率が80%以上と高い場合には、アクティブマトリクス式の液晶表示装置や有機EL表示装置の駆動用薄膜トランジスタ基板として好適に用いることができる。さらに、偏光を利用した液晶表示装置の場合には、フィルムの位相差が大きい場合にはコントラストの低下や好ましくない着色などが発生するので、フィルムの法線方向での位相差が10nm以下であることが好ましい。例を挙げるとエポキシ樹脂,アクリル樹脂,マレイミド樹脂,前記各種ポリマーと無機物の複合材料フィルム等である。
【0009】
本発明の半導体装置用プラスチックフィルムの接着層としては、基材となるプラスチックフィルムの耐熱温度より低い軟化温度を持つ熱可塑性樹脂や、架橋性樹脂を用いることができる。接着性に優れることから、架橋性樹脂を用いることが好ましい。このような接着層に用いられる樹脂の例としては、アクリル樹脂,エポキシ樹脂,ビニル樹脂,不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。基材となるプラスチック基板が透明である場合は、光硬化性アクリル樹脂や光硬化性エポキシ樹脂等の光硬化性樹脂を用いることができる。これらの光硬化性樹脂としては反応性の高いアクリル樹脂を用いることが好ましく、更にイソシアヌル酸トリアクリレートを含んで成るアクリル樹脂が、耐熱性が高く特に好ましい。また、熱硬化性樹脂を用いることにより基材が不透明な場合でも接着強度が50gf/cm以上である接着層を得ることができる。熱硬化性樹脂としては接着力が高いエポキシ樹脂を用いることが好ましく、更にトリグリシジルイソシアヌレートを含んで成るエポキシ樹脂が、耐熱性が高く特に好ましい。接着層の線膨張係数は、硬化後の50ppm/℃以下であることが必要である。線膨張係数が50ppm/℃を超えると、半導体素子層との線膨張量の差による応力が大きくなり、剥離を起こしやすくなる。50ppm/℃以下であるものの例としてはポリイミド,ポリベンゾオキサゾール,ポリベンゾチアゾール,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,マレイミド樹脂,前記各種ポリマーと無機フィラーの複合材料等が挙げられるが、接着強度と両立する樹脂を選択しやすいことから接着層は、無機フィラーを含んでなるものが好ましい。この場合、無機フィラーの粒径を可視光の波長より十分に小さくすること等で高い光線透過率とすることができる。
【0010】
本発明の半導体装置用プラスチックフィルムを用いて、接着層上に膜状の半導体回路や半導体層を貼り、加工することにより半導体装置を製造することができる。半導体装置の例としては、超薄型IC,TFT液晶表示装置やTFT有機EL表示装置等のアクティブマトリクス表示装置用のTFT基板等が挙げられる。
【0011】
以下本発明を実施例、比較例によって説明する。
《実施例1》
減圧蒸留機構を有する10L攪拌槽中に、平均粒径30nmのシリカ30重量%を分散したメタノール5000g,ジプロピレングリコールモノメチルエーテル1000g,トリグリシジルイソシアヌレート1500gを入れ、均一になるまで攪拌した。その後、温度50℃でエバポレートしてメタノールを取り除いた。続いて、アジピン酸ジヒドラジド150gを加えて攪拌し、接着剤とした。この接着剤を乾燥炉とラミネーターを備える連続式塗工機によりポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に制御した乾燥炉中で乾燥し、保護フィルムをラミネートして巻き取り、接着層を有する半導体装置用プラスチックフィルムを得た。
前記の接着剤を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、90℃のオーブン中で30分間プリベークした後、150℃のオーブン中で90分間硬化を行った。硬化した接着剤をポリエチレンテレフタレートフィルムから離型して25℃から100℃の範囲で線膨張係数を測定したところ、45ppm/℃であった。
次に、この半導体装置用プラスチックフィルムを150mm×200mmに切り、保護フィルムを剥離し、シリコンウエハを80℃で熱圧着した後、150℃のオーブン中で90分間硬化を行った。ポリイミドフィルムに幅1cmづつカッターで切れ目を入れ、幅1cmでのピール強度を測定した。ピール強度は105gf/cmであった。
保護フィルムを剥離したこの半導体装置用プラスチックフィルムの線膨張係数は7ppm/℃であり、550nmにおける光線透過率は17%であった。また、法線方向での位相差は10〜20nmであった。本フィルムは透過型表示装置の基板には適さないがIC製造には適するものであることから、次のように半導体装置を作成した。
ICを形成した厚さ0.5mmのシリコンウエハの素子面に、シリコンウエハの切断時に用いるUV照射により剥離可能な粘着フィルム(ダイシングフィルム)を貼り合わせ、裏面から研磨を行い、厚さを10μmとした。この面に前記半導体装置用プラスチックフィルムを80℃で熱圧着し、ダイシングフィルムにUVを露光した。続いて150℃のオーブン中で90分間硬化を行った後、ダイシングフィルムを剥離し、フィルム上にICが接着された半導体装置を得た。シリコン層の剥離や割れは無く、良好に作製が可能であった。
【0012】
《実施例2》
1Lセパラブルフラスコ中に、平均粒径30nmのシリカ30重量%を分散したメタノール500g,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100g,イソシアヌル酸トリアクリレート120gとペンタエリスリトールトリアクリレート10gを入れ、均一になるまで攪拌した。その後、温度50℃でエバポレートしてメタノールを取り除いた。続いて、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン1.5gを加えて攪拌し、接着剤とした。この接着剤をポリカーボネートフィルム上にアプリケーターを用いて塗布した。続いて90℃のオーブン中で10分間乾燥し、接着層を有する半導体装置用プラスチックフィルムを得た。
前記の接着剤を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて塗布した。続いて90℃のオーブン中で10分間乾燥し、高圧水銀灯を用いてUV光を照射し硬化を行った。照射量は2000mJ/cm2とした。硬化した接着剤をポリエチレンテレフタレートフィルムから離型して25℃から100℃の範囲で線膨張係数を測定したところ、43ppm/℃であった。
次に、この半導体装置用プラスチックフィルムに二酸化珪素を主成分とする無アルカリガラス基板を90℃で熱圧着した後、ポリカーボネートフィルム側より、高圧水銀灯を用いてUV光を照射し硬化を行った。照射量は2000mJ/cm2とした。ポリカーボネートフィルムに幅1cmづつカッターで切れ目を入れ、幅1cmでのピール強度を測定した。ピール強度は85gf/cmであった。
この半導体装置用プラスチックフィルムの線膨張係数は75ppm/℃であり、550nmにおける光線透過率は88%であった。また、法線方向での位相差は1〜3nmであった。本フィルムは透過型表示装置の基板に適するものであることから、次のように半導体装置を作成した。
液晶表示装置用TFT素子を形成した厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板の素子面に、実施例1と同様のダイシングフィルムを貼り合わせ、裏面から研磨を行い、厚さを20μmとした。この面に前記半導体装置用プラスチックフィルムを90℃で熱圧着し、ダイシングフィルム側およびポリカーボネートフィルム側からUVを露光した。照射量は各面とも2000mJ/cm2とした。ダイシングフィルムを剥離し、フィルム上にTFT素子が接着された半導体装置を得た。TFT素子層の剥離や割れは無く、良好に作製が可能であった。
【0013】
《実施例3》
平均投影円相当直径約5μm,平均厚さ約0.1μmであるEガラス(屈折率1.560)の平板状フィラー90重量部を、ジシクロペンタジエニルジアクリレート(架橋後の屈折率1.527)58重量部,ビス[4−(アクリロイロキシエトキシ)フェニル]スルフィド(架橋後の屈折率1.606)42重量部,光重合開始剤である1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.5重量部とから成る樹脂(架橋後の屈折率1.560)に分散し、脱泡した。これを、厚さ100μmのポリエステルフィルムをスペーサーとしてガラス板に挟み込んで両面から約500mJ/cm2のUV光を照射して硬化させた。さらに、ガラス板から取り出し、真空オーブン中100℃で3時間加熱後、さらに250℃で3時間加熱し、厚さ95μmの透明複合体のフィルムを得た。このフィルム上に、実施例2で得た接着剤を、アプリケーターを用いて塗布し、90℃のオーブン中で10分間乾燥し、接着層を有する半導体装置用プラスチックフィルムを得た。
この半導体装置用プラスチックフィルムの線膨張係数は28ppm/℃であり、550nmにおける光線透過率は88%であった。また、法線方向での位相差は0.1〜0.5nmであった。
ポリカーボネートの変わりにこのフィルムを用いた以外は実施例2と同様にしてフィルム上にTFT素子が接着された半導体装置を得た。TFT素子層の剥離や割れは無く、良好に作製が可能であった。
【0014】
《実施例4》
5Lセパラブルフラスコ中に、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン4000gを入れ、2,5−ジアミノ−p−キシレン122.57g(0.9モル)と1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン29.23g(0.1モル)を分散させた。このセパラブルフラスコを20℃に設定したウォーターバスにより冷却を行いながらビフェニルテトラカルボン酸330.25gを投入して、6時間攪拌を行い、ポリアミド酸溶液を得た。この溶液3000gを10L攪拌槽中に入れ、N−メチル−2−ピロリドン2500gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート500gを加えて接均一になるまで攪拌し、接着剤とした。この接着剤を、実施例3で得た透明複合体のフィルム上に、アプリケーターを用いて塗布し、120℃のオーブン中で30分間乾燥し、接着層を有する半導体装置用プラスチックフィルムを得た。
前記の接着剤を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて塗布した。続いて120℃のオーブン中で30分間乾燥し、さらに250℃の窒素オーブン中で1時間硬化した。硬化した接着剤をポリエチレンテレフタレートフィルムから離型して25℃から100℃の範囲で線膨張係数を測定したところ、28ppm/℃であった。
この半導体装置用プラスチックフィルムの線膨張係数は28ppm/℃であり、550nmにおける光線透過率は81%であった。また、法線方向での位相差は2〜10nmであった。
次に、この半導体装置用プラスチックフィルムに二酸化珪素を主成分とする無アルカリガラス基板を130℃で熱圧着した後、250℃の窒素オーブン中で1時間硬化した。フィルムに幅1cmづつカッターで切れ目を入れ、幅1cmでのピール強度を測定した。ピール強度は65gf/cmであった。
ポリカーボネートの変わりにこのフィルムを用いた以外は実施例2と同様にしてフィルム上にTFT素子が接着された半導体装置を得た。TFT素子層の剥離や割れは無く、良好に作製が可能であった。
【0015】
《比較例》
減圧蒸留機構を有する10L攪拌槽中に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3000g,ペンタエリスリトールテトラアクリレート2000gを入れ、均一になるまで攪拌した。続いて、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン15gを加えて攪拌し、接着剤とした。この接着剤を乾燥炉とラミネーターを備える連続式塗工機によりポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、120℃に制御した乾燥炉中で乾燥し、保護フィルムをラミネートして巻き取り、接着層を有する半導体装置用プラスチックフィルムを得た。
前記の接着剤を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて塗布した。続いて90℃のオーブン中で10分間プリベークし、高圧水銀灯を用いてUV光を照射し硬化を行った。照射量は2000mJ/cm2とした。硬化した接着剤をポリエチレンテレフタレートフィルムから離型して25℃から100℃の範囲で線膨張係数を測定したところ、63ppm/℃であった。
次に、この半導体装置用プラスチックフィルムに二酸化珪素を主成分とする無アルカリガラス基板を90℃で熱圧着した後、ポリエチレンテレフタレートフィルム側より、高圧水銀灯を用いてUV光を照射し硬化を行った。照射量は2000mJ/cm2とした。ポリエチレンテレフタレートフィルムに幅1cmづつカッターで切れ目を入れ、幅1cmでのピール強度を測定した。ピール強度は19gf/cmであった。
液晶表示装置用TFT素子を形成した無アルカリガラス基板の素子面に、実施例1と同様のダイシングフィルムを貼り合わせ、裏面から研磨を行い、厚さを20μmとした。この面に前記半導体装置用プラスチックフィルムを90℃で熱圧着し、ダイシングフィルム側およびポリエチレンテレフタレートフィルム側からUVを露光した。照射量は各面とも2000mJ/cm2とした。ダイシングフィルムを剥離し、ポリエチレンテレフタレート上にTFT素子が接着された半導体装置を得たが、TFT素子層に剥離している部分が見られた。
【0016】
【発明の効果】
本発明の半導体装置用プラスチックフィルムは、接着層の接着力が優れるとともに硬化後の低線膨張係数が低く、薄層の半導体の接着に優れるため、例えば、転写法を用いて製造される超薄型ICや、液晶表示装置や有機EL表示装置(特にアクティブマトリックスタイプ)の製造に好適に用いることができるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置用の高分子フィルムに関するものであり、更に詳しくは、半導体装置を接着することにより表示装置の駆動用基板として用いることに適する高分子フィルムを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高表示品位なフレキシブルディスプレイや超薄型IC等を実現するための製造技術としてプラスチックフィルム上への半導体装置の形成方法が種々検討されている。
フィルム上に直接半導体を形成するためには、熱分解温度が高く、かつ線膨張係数も半導体並みに低い特別なプラスチックフィルムを開発するか、又はプラスチックフィルムが使用可能な100℃〜150程度の温度での特殊な半導体製造工程が必要となり、特に移動度の高いシリコンを形成するためには現在量産化されている方法では400〜600℃程度の熱工程があることから難しく、研究が進められているが量産可能な段階には至っていない。
【0003】
一方、ガラス上に薄膜により半導体装置を形成し、半導体装置上面に仮固定フィルムを貼った後にガラスを除去し、最終固定用プラスチックフィルム上に転写・接着する方法が提案されている。(例えば、特許文献1、非特許文献1参照。)
この際、仮固定フィルムを剥離する際や、プラスチックフィルム上へ半導体装置を形成した後の工程で、転写された半導体装置とプラスチックフィルムの間が剥がれてしまうことがあり問題となっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−74533号公報(第2−3頁、第10頁)
【非特許文献1】
A.Asano and T.Kinoshita,Low−Temperature Polycrystalline−silicon TFT Color LCD Panel Made of Plastic Substrate,SID 02 DIGEST(2002)P.1196−1199
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、上記の課題を解決し、薄膜半導体装置を転写・接着して形成することに適するプラスチックフィルムを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
1.少なくとも基材と接着層から成り、接着層が珪素および/または無機珪素化合物層との接着強度が50gf/cm以上であり、硬化後の線膨張係数が50ppm/℃以下である半導体装置用プラスチックフィルム、
2.接着層が無機フィラーを含んで成る前記1の半導体装置用プラスチックフィルム、
3.基材の線膨張係数が50ppm/℃以下である前記2の半導体装置用プラスチックフィルム、
4.波長550nmにおける光線透過率が80%以上である前記1〜3の半導体装置用プラスチックフィルム、
5.フィルムの法線方向での位相差が10nm以下である前記4の半導体装置用プラスチックフィルム、
6.接着層が架橋性樹脂を含んで成る前記1〜5の半導体装置用プラスチックフィルム、
7.架橋性樹脂がアクリル樹脂である前記6の半導体装置用プラスチックフィルム、
8.アクリル樹脂がイソシアヌル酸トリアクリレートを含んで成る前記7の半導体装置用プラスチックフィルム、
9.架橋性樹脂がエポキシ樹脂である前記6の半導体装置用プラスチックフィルム、
10.エポキシ樹脂がトリグリシジルイソシアヌレートを含んで成る前記9の半導体装置用プラスチックフィルム、
11.前記1〜10の半導体装置用プラスチックフィルム上に半導体が接着された半導体装置、
12.前記11の半導体装置を用いたアクティブマトリクス式表示装置、である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体装置用プラスチックフィルムは、珪素および/または無機珪素化合物層との接着強度が50gf/cm以上である接着層を有するものである。薄膜半導体装置を転写して形成する場合、その接着面は、珪素,酸化珪素,窒化珪素,窒酸化珪素,無アルカリガラスである場合がほとんどであり、珪素および/または無機珪素化合物層との接着強度が50gf/cm以上であることで、工程中での剥離を防ぐことが可能である。接着強度の測定は、珪素および/または無機珪素化合物層をスパッタリング等で成膜したガラス上(ガラスの場合はガラスに直接)にプラスチックフィルムを接着してピール試験を行うことにより行うことができる。
【0008】
本発明の半導体装置用プラスチックフィルムの基材となるプラスチックフィルムの例を挙げると、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリカーボネート,芳香族ポリエステル,芳香族ポリアミド,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン,ポリシクロオレフィン,トリアセチルセルロース,ポリエチレン,ポリ塩化ビニル,ポリプロピレン,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリベンゾオキサゾール,ポリベンゾチアゾール,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,マレイミド樹脂、前記各種ポリマーと無機物の複合材料フィルム等であるがこれらに限定されるものではない。さらに、本発明では、線膨張係数が50ppm/℃以下であることが好ましい。接着する半導体装置は無機物であり線膨張係数が小さいので、基材となるプラスチックフィルムの線膨張係数が小さいほうが、温度変化に対する線膨張量の差による応力が発生しにくくなり、剥離を起こしにくくなるためである。線膨張係数が50ppm/℃以下であるものの例を挙げると、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート,2軸延伸ポリエチレンナフタレート,ポリイミド,ポリベンゾオキサゾール,ポリベンゾチアゾール,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,マレイミド樹脂,前記各種ポリマーと無機物の複合材料フィルム等である。
更に、光線透過率が80%以上と高い場合には、アクティブマトリクス式の液晶表示装置や有機EL表示装置の駆動用薄膜トランジスタ基板として好適に用いることができる。さらに、偏光を利用した液晶表示装置の場合には、フィルムの位相差が大きい場合にはコントラストの低下や好ましくない着色などが発生するので、フィルムの法線方向での位相差が10nm以下であることが好ましい。例を挙げるとエポキシ樹脂,アクリル樹脂,マレイミド樹脂,前記各種ポリマーと無機物の複合材料フィルム等である。
【0009】
本発明の半導体装置用プラスチックフィルムの接着層としては、基材となるプラスチックフィルムの耐熱温度より低い軟化温度を持つ熱可塑性樹脂や、架橋性樹脂を用いることができる。接着性に優れることから、架橋性樹脂を用いることが好ましい。このような接着層に用いられる樹脂の例としては、アクリル樹脂,エポキシ樹脂,ビニル樹脂,不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。基材となるプラスチック基板が透明である場合は、光硬化性アクリル樹脂や光硬化性エポキシ樹脂等の光硬化性樹脂を用いることができる。これらの光硬化性樹脂としては反応性の高いアクリル樹脂を用いることが好ましく、更にイソシアヌル酸トリアクリレートを含んで成るアクリル樹脂が、耐熱性が高く特に好ましい。また、熱硬化性樹脂を用いることにより基材が不透明な場合でも接着強度が50gf/cm以上である接着層を得ることができる。熱硬化性樹脂としては接着力が高いエポキシ樹脂を用いることが好ましく、更にトリグリシジルイソシアヌレートを含んで成るエポキシ樹脂が、耐熱性が高く特に好ましい。接着層の線膨張係数は、硬化後の50ppm/℃以下であることが必要である。線膨張係数が50ppm/℃を超えると、半導体素子層との線膨張量の差による応力が大きくなり、剥離を起こしやすくなる。50ppm/℃以下であるものの例としてはポリイミド,ポリベンゾオキサゾール,ポリベンゾチアゾール,エポキシ樹脂,アクリル樹脂,マレイミド樹脂,前記各種ポリマーと無機フィラーの複合材料等が挙げられるが、接着強度と両立する樹脂を選択しやすいことから接着層は、無機フィラーを含んでなるものが好ましい。この場合、無機フィラーの粒径を可視光の波長より十分に小さくすること等で高い光線透過率とすることができる。
【0010】
本発明の半導体装置用プラスチックフィルムを用いて、接着層上に膜状の半導体回路や半導体層を貼り、加工することにより半導体装置を製造することができる。半導体装置の例としては、超薄型IC,TFT液晶表示装置やTFT有機EL表示装置等のアクティブマトリクス表示装置用のTFT基板等が挙げられる。
【0011】
以下本発明を実施例、比較例によって説明する。
《実施例1》
減圧蒸留機構を有する10L攪拌槽中に、平均粒径30nmのシリカ30重量%を分散したメタノール5000g,ジプロピレングリコールモノメチルエーテル1000g,トリグリシジルイソシアヌレート1500gを入れ、均一になるまで攪拌した。その後、温度50℃でエバポレートしてメタノールを取り除いた。続いて、アジピン酸ジヒドラジド150gを加えて攪拌し、接着剤とした。この接着剤を乾燥炉とラミネーターを備える連続式塗工機によりポリイミドフィルム上に塗布し、120℃に制御した乾燥炉中で乾燥し、保護フィルムをラミネートして巻き取り、接着層を有する半導体装置用プラスチックフィルムを得た。
前記の接着剤を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて塗布し、90℃のオーブン中で30分間プリベークした後、150℃のオーブン中で90分間硬化を行った。硬化した接着剤をポリエチレンテレフタレートフィルムから離型して25℃から100℃の範囲で線膨張係数を測定したところ、45ppm/℃であった。
次に、この半導体装置用プラスチックフィルムを150mm×200mmに切り、保護フィルムを剥離し、シリコンウエハを80℃で熱圧着した後、150℃のオーブン中で90分間硬化を行った。ポリイミドフィルムに幅1cmづつカッターで切れ目を入れ、幅1cmでのピール強度を測定した。ピール強度は105gf/cmであった。
保護フィルムを剥離したこの半導体装置用プラスチックフィルムの線膨張係数は7ppm/℃であり、550nmにおける光線透過率は17%であった。また、法線方向での位相差は10〜20nmであった。本フィルムは透過型表示装置の基板には適さないがIC製造には適するものであることから、次のように半導体装置を作成した。
ICを形成した厚さ0.5mmのシリコンウエハの素子面に、シリコンウエハの切断時に用いるUV照射により剥離可能な粘着フィルム(ダイシングフィルム)を貼り合わせ、裏面から研磨を行い、厚さを10μmとした。この面に前記半導体装置用プラスチックフィルムを80℃で熱圧着し、ダイシングフィルムにUVを露光した。続いて150℃のオーブン中で90分間硬化を行った後、ダイシングフィルムを剥離し、フィルム上にICが接着された半導体装置を得た。シリコン層の剥離や割れは無く、良好に作製が可能であった。
【0012】
《実施例2》
1Lセパラブルフラスコ中に、平均粒径30nmのシリカ30重量%を分散したメタノール500g,プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100g,イソシアヌル酸トリアクリレート120gとペンタエリスリトールトリアクリレート10gを入れ、均一になるまで攪拌した。その後、温度50℃でエバポレートしてメタノールを取り除いた。続いて、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン1.5gを加えて攪拌し、接着剤とした。この接着剤をポリカーボネートフィルム上にアプリケーターを用いて塗布した。続いて90℃のオーブン中で10分間乾燥し、接着層を有する半導体装置用プラスチックフィルムを得た。
前記の接着剤を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて塗布した。続いて90℃のオーブン中で10分間乾燥し、高圧水銀灯を用いてUV光を照射し硬化を行った。照射量は2000mJ/cm2とした。硬化した接着剤をポリエチレンテレフタレートフィルムから離型して25℃から100℃の範囲で線膨張係数を測定したところ、43ppm/℃であった。
次に、この半導体装置用プラスチックフィルムに二酸化珪素を主成分とする無アルカリガラス基板を90℃で熱圧着した後、ポリカーボネートフィルム側より、高圧水銀灯を用いてUV光を照射し硬化を行った。照射量は2000mJ/cm2とした。ポリカーボネートフィルムに幅1cmづつカッターで切れ目を入れ、幅1cmでのピール強度を測定した。ピール強度は85gf/cmであった。
この半導体装置用プラスチックフィルムの線膨張係数は75ppm/℃であり、550nmにおける光線透過率は88%であった。また、法線方向での位相差は1〜3nmであった。本フィルムは透過型表示装置の基板に適するものであることから、次のように半導体装置を作成した。
液晶表示装置用TFT素子を形成した厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板の素子面に、実施例1と同様のダイシングフィルムを貼り合わせ、裏面から研磨を行い、厚さを20μmとした。この面に前記半導体装置用プラスチックフィルムを90℃で熱圧着し、ダイシングフィルム側およびポリカーボネートフィルム側からUVを露光した。照射量は各面とも2000mJ/cm2とした。ダイシングフィルムを剥離し、フィルム上にTFT素子が接着された半導体装置を得た。TFT素子層の剥離や割れは無く、良好に作製が可能であった。
【0013】
《実施例3》
平均投影円相当直径約5μm,平均厚さ約0.1μmであるEガラス(屈折率1.560)の平板状フィラー90重量部を、ジシクロペンタジエニルジアクリレート(架橋後の屈折率1.527)58重量部,ビス[4−(アクリロイロキシエトキシ)フェニル]スルフィド(架橋後の屈折率1.606)42重量部,光重合開始剤である1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.5重量部とから成る樹脂(架橋後の屈折率1.560)に分散し、脱泡した。これを、厚さ100μmのポリエステルフィルムをスペーサーとしてガラス板に挟み込んで両面から約500mJ/cm2のUV光を照射して硬化させた。さらに、ガラス板から取り出し、真空オーブン中100℃で3時間加熱後、さらに250℃で3時間加熱し、厚さ95μmの透明複合体のフィルムを得た。このフィルム上に、実施例2で得た接着剤を、アプリケーターを用いて塗布し、90℃のオーブン中で10分間乾燥し、接着層を有する半導体装置用プラスチックフィルムを得た。
この半導体装置用プラスチックフィルムの線膨張係数は28ppm/℃であり、550nmにおける光線透過率は88%であった。また、法線方向での位相差は0.1〜0.5nmであった。
ポリカーボネートの変わりにこのフィルムを用いた以外は実施例2と同様にしてフィルム上にTFT素子が接着された半導体装置を得た。TFT素子層の剥離や割れは無く、良好に作製が可能であった。
【0014】
《実施例4》
5Lセパラブルフラスコ中に、乾燥したN−メチル−2−ピロリドン4000gを入れ、2,5−ジアミノ−p−キシレン122.57g(0.9モル)と1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン29.23g(0.1モル)を分散させた。このセパラブルフラスコを20℃に設定したウォーターバスにより冷却を行いながらビフェニルテトラカルボン酸330.25gを投入して、6時間攪拌を行い、ポリアミド酸溶液を得た。この溶液3000gを10L攪拌槽中に入れ、N−メチル−2−ピロリドン2500gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート500gを加えて接均一になるまで攪拌し、接着剤とした。この接着剤を、実施例3で得た透明複合体のフィルム上に、アプリケーターを用いて塗布し、120℃のオーブン中で30分間乾燥し、接着層を有する半導体装置用プラスチックフィルムを得た。
前記の接着剤を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて塗布した。続いて120℃のオーブン中で30分間乾燥し、さらに250℃の窒素オーブン中で1時間硬化した。硬化した接着剤をポリエチレンテレフタレートフィルムから離型して25℃から100℃の範囲で線膨張係数を測定したところ、28ppm/℃であった。
この半導体装置用プラスチックフィルムの線膨張係数は28ppm/℃であり、550nmにおける光線透過率は81%であった。また、法線方向での位相差は2〜10nmであった。
次に、この半導体装置用プラスチックフィルムに二酸化珪素を主成分とする無アルカリガラス基板を130℃で熱圧着した後、250℃の窒素オーブン中で1時間硬化した。フィルムに幅1cmづつカッターで切れ目を入れ、幅1cmでのピール強度を測定した。ピール強度は65gf/cmであった。
ポリカーボネートの変わりにこのフィルムを用いた以外は実施例2と同様にしてフィルム上にTFT素子が接着された半導体装置を得た。TFT素子層の剥離や割れは無く、良好に作製が可能であった。
【0015】
《比較例》
減圧蒸留機構を有する10L攪拌槽中に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3000g,ペンタエリスリトールテトラアクリレート2000gを入れ、均一になるまで攪拌した。続いて、光開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン15gを加えて攪拌し、接着剤とした。この接着剤を乾燥炉とラミネーターを備える連続式塗工機によりポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、120℃に制御した乾燥炉中で乾燥し、保護フィルムをラミネートして巻き取り、接着層を有する半導体装置用プラスチックフィルムを得た。
前記の接着剤を、離型処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて塗布した。続いて90℃のオーブン中で10分間プリベークし、高圧水銀灯を用いてUV光を照射し硬化を行った。照射量は2000mJ/cm2とした。硬化した接着剤をポリエチレンテレフタレートフィルムから離型して25℃から100℃の範囲で線膨張係数を測定したところ、63ppm/℃であった。
次に、この半導体装置用プラスチックフィルムに二酸化珪素を主成分とする無アルカリガラス基板を90℃で熱圧着した後、ポリエチレンテレフタレートフィルム側より、高圧水銀灯を用いてUV光を照射し硬化を行った。照射量は2000mJ/cm2とした。ポリエチレンテレフタレートフィルムに幅1cmづつカッターで切れ目を入れ、幅1cmでのピール強度を測定した。ピール強度は19gf/cmであった。
液晶表示装置用TFT素子を形成した無アルカリガラス基板の素子面に、実施例1と同様のダイシングフィルムを貼り合わせ、裏面から研磨を行い、厚さを20μmとした。この面に前記半導体装置用プラスチックフィルムを90℃で熱圧着し、ダイシングフィルム側およびポリエチレンテレフタレートフィルム側からUVを露光した。照射量は各面とも2000mJ/cm2とした。ダイシングフィルムを剥離し、ポリエチレンテレフタレート上にTFT素子が接着された半導体装置を得たが、TFT素子層に剥離している部分が見られた。
【0016】
【発明の効果】
本発明の半導体装置用プラスチックフィルムは、接着層の接着力が優れるとともに硬化後の低線膨張係数が低く、薄層の半導体の接着に優れるため、例えば、転写法を用いて製造される超薄型ICや、液晶表示装置や有機EL表示装置(特にアクティブマトリックスタイプ)の製造に好適に用いることができるものである。
Claims (12)
- 少なくとも基材と接着層から成り、接着層が珪素および/または無機珪素化合物層との接着強度が50gf/cm以上であり、硬化後の線膨張係数が50ppm/℃以下である半導体装置用プラスチックフィルム。
- 接着層が無機フィラーを含んで成る請求項1記載の半導体装置用プラスチックフィルム。
- 基材の線膨張係数が50ppm/℃以下である請求項2記載の半導体装置用プラスチックフィルム。
- 波長550nmにおける光線透過率が80%以上である請求項1〜3何れか一項記載の半導体装置用プラスチックフィルム。
- フィルムの法線方向での位相差が10nm以下である請求項4記載の半導体装置用プラスチックフィルム。
- 接着層が架橋性樹脂を含んで成る請求項1〜5記載の半導体装置用プラスチックフィルム。
- 架橋性樹脂がアクリル樹脂である請求項6記載の半導体装置用プラスチックフィルム。
- アクリル樹脂がイソシアヌル酸トリアクリレートを含んで成る請求項7記載の半導体装置用プラスチックフィルム。
- 架橋性樹脂がエポキシ樹脂である請求項6記載の半導体装置用プラスチックフィルム。
- エポキシ樹脂がトリグリシジルイソシアヌレートを含んで成る請求項9記載の半導体装置用プラスチックフィルム。
- 請求項1〜10記載の半導体装置用プラスチックフィルム上に半導体が接着された半導体装置。
- 請求項11記載の半導体装置を用いたアクティブマトリクス式表示装置。
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JP2003171109A JP2005008660A (ja) | 2003-06-16 | 2003-06-16 | 半導体装置用プラスチックフィルム |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2012004234A (ja) * | 2010-06-15 | 2012-01-05 | Kaneka Corp | 薄膜トランジスタ |
JP2018059011A (ja) * | 2016-10-07 | 2018-04-12 | 日本合成化学工業株式会社 | 活性エネルギー線硬化性接着剤組成物、偏光板用接着剤組成物、偏光板用接着剤、およびそれを用いた偏光板 |
-
2003
- 2003-06-16 JP JP2003171109A patent/JP2005008660A/ja active Pending
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JP2018059011A (ja) * | 2016-10-07 | 2018-04-12 | 日本合成化学工業株式会社 | 活性エネルギー線硬化性接着剤組成物、偏光板用接着剤組成物、偏光板用接着剤、およびそれを用いた偏光板 |
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