JP2005008488A - ガラス繊維及びガラス繊維強化樹脂 - Google Patents

ガラス繊維及びガラス繊維強化樹脂 Download PDF

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Abstract

【目的】耐アルカリ性及び耐酸性に優れ、紡糸時の失透を抑制でき、アルカリ金属イオンが溶出しにくく、樹脂との接着性が良好でガラス繊維強化樹脂の補強材として好適なガラス繊維、ガラス繊維強化樹脂及びFRPロッドを提供することにある。
【構成】本発明のガラス繊維は、モル%で、SiO 50〜60%、Al 0.1〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 20〜45%、TiO0.5〜20%、ZrO 0.1〜10%、LiO+NaO+KO 0〜2%、BaO/CaOがモル比で0.3〜1.6の組成を有するガラスからなり、表面にシランカップリング剤と、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂とを含有する集束剤が塗布されてなることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はガラス繊維、ガラス繊維強化樹脂及びFRPロッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ZrO又はTiOは、ガラス繊維に使用されるガラスの耐アルカリ性、耐酸性又はガラスの機械的強度を向上させる成分であることが知られている。しかしながら、ZrO又はTiOを多量に含むと、ガラスの失透温度が高くなり、200〜800個の小孔を底に開けたブッシングと呼ばれる白金製のポットを用いて紡糸する際に、ブッシングの底に失透物が析出し、ブッシングからのガラスフィラメントの引き出しが妨げられ、糸切れが発生しやすくなる。
【0003】
また、一般にガラス繊維を工業的に大量生産するには、繊維化に適正な温度、いわゆる紡糸温度(融液粘度が10ポイズとなる温度)で紡糸する必要がある。すなわち、融液粘度で102.5ポイズとなる温度、いわゆるガラス繊維化可能温度を超える温度ではガラスフィラメントが切れて紡糸することはできない。また、紡糸温度よりも低い温度では、ガラスの粘度が高くなりすぎてブッシングからガラスフィラメントを引き出しにくくなる。
【0004】
しかし、たとえ紡糸温度であっても、ブッシングの底に失透物が析出すると、ブッシングからのガラスフィラメントの引き出しが妨げられ、糸切れが発生しやすくなる。
【0005】
したがって、ZrO又はTiOを多量に含むガラス繊維を、失透物が析出することなく、工業的に大量生産するためには、ガラスの失透温度(T)が紡糸温度(T)を越えず、かつ、その差(T−T)が少なくとも70℃以上となる特性を有するようにガラスの失透温度を下げることが必要となる。
【0006】
ZrO又はTiOを多く含有しながら、ガラスの失透温度を低下させ、紡糸温度と失透温度との差が70℃以上となるガラス組成物として、ガラスの失透性を抑制する成分であるアルカリ金属酸化物を含有させたガラス組成物(例えば、特許文献1参照)や、Nb、La等を含有させたガラス組成物が開示されている(例えば、特許文献2〜4参照。)。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−85767号公報
【特許文献2】
特開平10−120438号公報
【特許文献3】
特公平8−25771号公報
【特許文献4】
特許第2617632号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年北米の寒冷地方を中心に橋などの大型コンクリート構造物の老朽化が進んでおり、問題となっている。すなわち、寒冷地方では、橋に雪、雨等が降って、橋が凍結すると、融雪剤を多量に使用して、雪や氷を溶かすため、橋のコンクリート補強材として使用されている鉄筋が、融雪剤中の塩化物イオンによりさびつき、補強材としての強度が低下し、コンクリートが急激に老朽化している。
【0009】
また、日本においてもトンネル等のコンクリート壁に亀裂が入り、鉄筋がさびて、コンクリートの破片がはがれ落ちるなど、大事故の原因となる虞があることが指摘されている。
【0010】
このため、土木建築業界では、さびつきによるコンクリートの急激な老朽化を促進させる鉄筋の代替材が注目されており、例えば、ガラス繊維や、ガラス繊維を樹脂で固めたFRPロッド等がその代替材として検討されている。これらの用途に用いられるガラス繊維は、強いアルカリ性を示すコンクリートに埋没されるため、耐アルカリ性を有し、大型のコンクリート構造物を支えるための機械的強度が必要となる。
【0011】
特許文献1に開示されたガラス組成物は、耐アルカリ性及びガラスの機械的強度を維持するために、ZrOとTiOを多量に含有し、また紡糸時の失透を抑制するために、アルカリ金属酸化物を多量に含有している。しかし、このガラス組成物は、アルカリ金属酸化物を多量に含有するため、ガラスからアルカリ金属イオンが溶出しやすく、ガラスの構造が徐々に破壊され、ガラス繊維が強度劣化を起こすことが指摘されている。また、FRPロッドの補強材として用いる場合には、ガラスから溶出したアルカリ金属イオンによりガラス繊維とマトリックス樹脂との接着が阻害され、FRPロッドの機械的強度が低下するという問題も有している。
【0012】
また、特許文献2〜4に開示されたガラス組成物は、耐アルカリ性を向上させるために、ZrO及びTiOを多量に含有し、また紡糸時の失透を抑制するために、NbやLaを含有する。しかし、NbやLaは、非常に高価な成分であり、また、SiO等からなるガラス骨格構造を大きく歪ませるため、ガラスの弾性率は向上するものの、ガラスが脆くなり引張強度が著しく低下する。そのため、NbやLaを含有するガラス組成物からなるガラス繊維は、材料単価が高くなり、また、大きい応力の加わる大型コンクリート構造物の補強材としては、好適でない。
【0013】
本発明の目的は、耐アルカリ性及び耐酸性に優れ、紡糸時の失透を抑制でき、アルカリ金属イオンが溶出しにくく、樹脂との接着性が良好でガラス繊維強化樹脂の補強材として好適なガラス繊維、ガラス繊維強化樹脂及びFRPロッドを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、TiO、ZrO、CaO、BaO、Al、SiOを必須成分とし、BaO/CaOの比率を適正にし、アルカリ金属酸化物を2モル%以下に抑え、マトリックス樹脂との接着性が向上する集束剤を表面に塗布することによって、耐アルカリ性及び耐酸性に優れ、紡糸時の失透を抑制でき、アルカリ金属イオンが溶出しにくく、樹脂との接着性が良好でガラス繊維強化樹脂の補強材として好適なガラス繊維が得られることを見出し、本発明として提案するものである。
【0015】
すなわち本発明のガラス繊維は、モル%で、SiO 50〜60%、Al 0.1〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 20〜45%、TiO0.5〜20%、ZrO 0.1〜10%、LiO+NaO+KO 0〜2%、BaO/CaOがモル比で0.3〜1.6の組成を有するガラスからなり、表面にシランカップリング剤と、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂とを含有する集束剤が塗布されてなることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のガラス繊維強化樹脂は、モル%で、SiO 50〜60%、Al 0.1〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 20〜45%、TiO 0.5〜20%、ZrO 0.1〜10%、LiO+NaO+KO 0〜2%、BaO/CaOがモル比で0.3〜1.6の組成を有するガラスからなり、表面にシランカップリング剤と、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂とを含有する集束剤が塗布されてなるガラス繊維を補強材として用いてなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明のFRPロッドは、モル%で、SiO 50〜60%、Al 0.1〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 20〜45%、TiO0.5〜20%、ZrO 0.1〜10%、LiO+NaO+KO 0〜2%、BaO/CaOがモル比で0.3〜1.6の組成を有するガラスからなり、表面にシランカップリング剤と、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂とを含有する集束剤が塗布されてなるガラス繊維を補強材として用いてなることを特徴とする。
【0018】
【作用】
本発明のガラス繊維は、モル%で、SiO 50〜60%、Al 0.1〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 20〜45%、TiO 0.5〜20%、ZrO 0.1〜10%、LiO+NaO+KO 0〜2%、BaO/CaOがモル比で0.3〜1.6の組成を有するガラスからなり、表面にシランカップリング剤と、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂とを含有する集束剤が塗布されてなるため、耐アルカリ性及び耐酸性に優れ、紡糸時の失透を抑制でき、アルカリ金属イオンが溶出しにくい。すなわち、TiOとZrOを含有するため、耐アルカリ性及び耐酸性に優れるとともに、CaOに対するBaOのモル比が適切であるため、アルカリ金属酸化物やNbやLaを含有させなくても、紡糸時の失透を抑制でき、失透温度が紡糸温度を超えず、その差が70℃以上となって、ガラスの繊維化が容易となり、工業的に大量生産が可能となる。また、アルカリ金属酸化物を実質的に含有しないあるいは含有しても2モル%以下であるため、アルカリ金属イオンがほとんど溶出しない。さらに、シランカップリング剤がガラス繊維の表面と接着しやすく、末端に樹脂と親和性の高い官能基が導入されてなるめ、ガラス繊維の表面や集束剤中に含有するポリエステル樹脂やエポキシ樹脂、又はマトリックス樹脂とも強固に結合する。また、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂はガラス繊維強化樹脂のマトリックス樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂等との接着性が良好である。これらの理由により、ガラス繊維とマトリックス樹脂との接着性が優れるため、本発明のガラス繊維はガラス繊維強化樹脂の補強材として好適である。
【0019】
次に本発明のガラス繊維の各成分について、上記のように限定した理由を説明する。
【0020】
SiOはガラスの骨格構造を形成する成分であり、その含有量は50〜60モル%である。50モル%よりも少ないと、ガラスの機械的強度が著しく低下し、60モル%よりも多いと、失透しやすくなりガラス繊維化が困難となるため好ましくない。
【0021】
Alはガラスを安定化させて失透を抑制する成分であり、その含有量は、0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜7.5モル%である。0.1モル%よりも少ないと、失透しやすくなり、10モル%よりも多いと、耐アルカリ性が悪化するため好ましくない。
【0022】
MgO、CaO、SrO又はBaOのアルカリ土類酸化物は、溶融性を向上させ、また、ガラスの粘度を下げ、ガラスの繊維化を容易にする成分である。MgO、CaO、SrO及びBaOの合量は、20〜45%、好ましくは23〜40%である。これらの合量が20%よりも少ないと、溶融性が悪くなり、またガラスの粘度が高くなって、ガラスの溶融が困難になる。45%よりも多いと、失透温度が高くなり、ガラスの繊維化が困難になるため好ましくない。
【0023】
また、MgOの含有量は、0〜15%、好ましくは0〜11%、CaOが1〜15%、好ましくは4〜12.5%、SrOが0〜15%、好ましくは5.5〜11.5%、BaOが1〜15%、好ましくは5.5〜12%である。MgO、CaO、SrO又はBaOの各含有量が15%よりも多いと、失透温度が高くなり、ガラスの繊維化が困難になるため好ましくない。また、CaO、BaOの各含有量が1%よりも少ないと、溶融性が悪くなり、またガラスの粘度が高くなり、ガラスの繊維化が困難になるため好ましくない。
【0024】
TiOは、耐アルカリ性及びガラスの機械的強度を向上させる成分である。この含有量は、0.5〜20%、好ましくは6.5〜13%である。TiOの含有量が、0.5%よりも少ないと、ガラスの耐アルカリ性や機械的強度が得られず、20%よりも多いと、失透温度が高くなり、ガラスの繊維化が困難になるため好ましくない。
【0025】
ZrOは、耐アルカリ性、耐酸性及びガラスの機械的強度を向上させる成分である。この含有量は0.1〜10%、好ましくは0.5〜6.5%である。ZrOの含有量が、0.1%よりも少ないと、ガラスの耐アルカリ性、耐酸性及び機械的強度が得られず、10%よりも多いと、失透温度が高くなり、ガラスの繊維化が困難になるため好ましくない。
【0026】
LiO、NaO又はKOのアルカリ金属酸化物は、ガラスの溶融性を向上する成分であるとともに、ガラスの粘度を調整する成分であるが、これらの合量は0〜2%、好ましくは0〜1%である。これらの合量が2%を超えると、ガラスからのアルカリ金属イオンの溶出が多くなるため好ましくない。
【0027】
また、本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、Nb及びLaの合量が0〜1%であり、好ましくはNb及びLaを実質的に含有しない方が良い。これらの合量が1%を超えると、ガラスの製造コストが高くなり、またガラスが脆くなって、引張強度が低下するため好ましくない。
【0028】
CaOに対するBaOの割合、BaO/CaOは、モル比で0.3〜1.6、好ましくは0.75〜1.45である。BaO/CaOがモル比で0.3よりも小さくても、もしくは1.6よりも大きくても、ガラスの失透温度が高くなり、ガラスの繊維化が困難になるため好ましくない。
【0029】
CaOに対するSrOの割合、SrO/CaOは、モル比で0.3〜2.0、好ましくは0.55〜2.0である。SrO/CaOがモル比で0.3よりも小さくても、もしくは2.0よりも大きくても、ガラスの失透温度が高くなり、ガラスの繊維化が困難になるため好ましくない。
【0030】
CaOに対するMgOの割合、MgO/CaOは、モル比で0〜2.0、好ましくは0.3〜1.6である。SrO/CaOがモル比で2.0よりも大きいと、ガラスの失透温度が高くなり、ガラスの繊維化が困難になるため好ましくない。
【0031】
は、SiOと同様に、ガラスの骨格構造を形成する成分であり、ガラスの粘度を低くしてガラスの溶融温度を下げ溶融性を向上させる。その含有量は、0〜10%であり、10%よりも多いと、失透しやすくなり、ガラスの繊維化が困難となるため好ましくない。
【0032】
本発明のガラス組成物は、上記した以外の成分に加え、As、SnO、ZnO、Sb、F、P等を適宜添加できる。
【0033】
また、Feは、0.5%までであれば含有していても構わない。
【0034】
また本発明のガラス繊維は、表面にメタクリルシラン及びウレイドシランを含む集束剤が塗布されてなると、マトリックス樹脂として不飽和ポリエステル又はビニルエステル樹脂を用いたガラス繊維強化樹脂の補強材として好適である。すなわち、メタクリルシランは、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂とガラス繊維表面との接着性を向上させ、ウレイドシランは、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂とガラス繊維表面との濡れ性を良くし、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂とガラス繊維表面との接着性の向上を助けるため、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂の機械的強度が向上し、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂がアルカリ性溶液や酸性溶液に曝されても、アルカリ性溶液や酸性溶液が浸透しにくくなるからである。
【0035】
メタクリルシランは、固形分換算で集束剤中に0.2〜1.0質量%含有させることが好ましく、0.2%よりも少ないと上記した効果を得にくく、1.0%よりも多くても上記した効果が向上せず経済的でない。またウレイドシランは、固形分換算で集束剤中に0.05〜0.6質量%含有させることが好ましく、0.05%よりも少ないと上記した効果を得にくく、1.0%よりも多くても上記した効果が向上せず経済的でない。
【0036】
また本発明のガラス繊維は、表面にエポキシシラン及びウレイドシランを含む集束剤が塗布されてなると、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を用いたガラス繊維強化樹脂の補強材として好適である。すなわち、エポキシシランは、エポキシ樹脂とガラス繊維表面との接着性を向上させ、ウレイドシランは、エポキシ樹脂とガラス繊維表面との濡れ性を良くし、エポキシ樹脂とガラス繊維表面との接着性の向上を助けるため、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂の機械的強度が向上し、ガラス繊維強化熱硬化性樹脂がアルカリ性溶液や酸性溶液に曝されても、アルカリ性溶液や酸性溶液が浸透しにくくなるからである。
【0037】
エポキシシランは、固形分換算で集束剤中に0.2〜1.0質量%含有させることが好ましく、0.2%よりも少ないと上記した効果を得にくく、1.0%よりも多くても上記した効果が向上せず経済的でない。またウレイドシランは、固形分換算で集束剤中に0.05〜0.6質量%含有させることが好ましく、0.05%よりも少ないと上記した効果を得にくく、1.0%よりも多くても上記した効果が向上せず経済的でない。
【0038】
メタクリルシランとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが、エポキシシランとしては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが、ウレイドシランとしては、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランが好適である。
【0039】
ポリエステル樹脂としては、ビスフェノールA系不飽和ポリエステル樹脂、脂肪族酸とグリコールから誘導される飽和ポリエステル樹脂、マレイン酸系不飽和ポリエステル樹脂等が好適である。また、エポキシ樹脂としては、分子量の小さい液状エポキシ樹脂が好適である。
【0040】
ガラス繊維に対する集束剤の付着量は、0.2〜1.0質量%であると好ましく、0.2質量%よりも少ないとガラス繊維とマトリックス樹脂との接着性が乏しくなり、機械的強度が向上する効果が小さく、またガラス繊維強化熱硬化性樹脂がアルカリ性溶液や酸性溶液に曝された場合に、アルカリ性溶液や酸性溶液が浸透するのを抑制する効果が小さくなる。また、1.0質量%よりも多くても、上記した効果が向上せず、経済的でないからである。
【0041】
本発明のガラス繊維強化樹脂は、上記したガラス繊維を補強材として用いてなるため、初期の機械的強度が低下しにくく、酸性又はアルカリ性の環境下に長時間曝されても、機械的強度が劣化しにくくなる。
【0042】
本発明のFRPロッドは、上記したガラス繊維を補強材として用いてなるため、初期の機械的強度が低下しにくく、酸性又はアルカリ性の環境下に長時間曝されても、機械的強度が劣化しにくくなる。そのため、コンクリートの補強材として使用される鉄筋の代替材料として好適である。
【0043】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0044】
表1は、本発明の実施例1〜4を、表2は、比較例1〜3を示す。
【0045】
【表1】
Figure 2005008488
【0046】
【表2】
Figure 2005008488
【0047】
表1、2の実施例及び比較例は、以下のようにして作製した。
【0048】
まず表中のガラス組成となるように秤量し調合したガラス原料バッチを白金製坩堝に入れ、電気炉を用いて1500℃で約4時間溶融した。尚、均質なガラスを得るために、ガラス溶融の途中で攪拌棒を用いてガラス融液を攪拌した。
【0049】
その後、ガラス融液をカーボン治具に流し込むことによってガラス成形体を得た。
【0050】
次いで、上記のガラス成形体をガラス繊維製造炉に投入後、紡糸温度で紡糸した繊維径13μmのガラスフィラメントの表面に、表1、2に示す集束剤を、アプリケーターを用いてその付着量が0.5質量%となるように塗布し、ガラスフィラメントを800本集束したガラスストランドを、紙管に巻き取ってケーキを作製した。ケーキの外層から解舒した8本のガラスストランドを束ねてガラスロービングを作製した。さらにこのガラスロービングを23本束ねて、ビニルエステル樹脂(昭和高分子製RIPOXY R802)又はエポキシ樹脂(大日本インキ化学工業製EPICLON850)を用いて引抜成形法により、ガラス繊維の含有量が66体積%で、直径6mm、長さ40cmの丸棒状の一方向に強化した実施例1〜4及び比較例1〜3のFRPロッドを得た。
【0051】
表1から明らかなように、実施例1〜4は、多量のZrOやTiOを含有するにもかかわらず、CaOに対するBaOのモル比、BaO/CaOが適切であるため、アルカリ金属酸化物やNbやLaをほとんど含有させなくても、紡糸時の失透を抑制でき、失透温度(T)が紡糸温度(T)を超えず、その差(T−T)が70℃以上となった。また、ZrOやTiOを多く含有しているため耐アルカリ性や耐酸性に優れ、NbやLaを含有しないため、引張強度が高かった。また、アルカリ金属酸化物が2%以下であるため、アルカリ溶出が少なかった。そのため、FRPロッドは、初期の機械的強度が高く、耐アルカリ性溶液及び耐酸性溶液に30日間又は60日間浸漬した後の機械的強度の低下が抑制されていた。
【0052】
それに対し、比較例1のガラス繊維は、ZrOを含有していないため、耐アルカリ性及び耐酸性が悪かった。そのため、比較例1のFRPロッドは、耐アルカリ性溶液及び耐酸性溶液に30日間又は60日間浸漬した後の機械的強度が著しく低下していた。比較例2のガラス繊維は、アルカリ金属酸化物を18.4%も含有しているため、ガラスからのアルカリ溶出量が多かった。そのため、比較例2のFRPロッドは、初期の機械的強度が低く、耐アルカリ性溶液及び耐酸性溶液に30日間、又は60日間浸漬した後の機械的強度も著しく低下していた。
【0053】
比較例3のガラス繊維は、実施例2と同じガラス繊維であり、耐アルカリ性や耐酸性に優れ、アルカリ溶出量が少なかったものの、集束剤中に、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂を含まず、ウレタン樹脂を含んでいたため、比較例3のFRPロッドは、初期の機械的強度が低く、耐アルカリ性溶液及び耐酸性溶液に30日間、又は60日間浸漬した後の機械的強度も著しく低下していた。
【0054】
尚、表中の各特性は、次のようにして求めた。
【0055】
紡糸温度(融液粘度が10ポイズとなる温度)は、各ガラス成形体の一部を切り出して再度白金坩堝内で加熱溶融し、白金球引き上げ法により測定した。
【0056】
失透温度は、各ガラス成形体の一部を切り出して粉砕し、297〜500μmの粒度にしたガラス粉末を充填した白金製の容器を温度勾配炉に入れ、16時間保持する。その後、これを取り出し、顕微鏡により析出結晶を観察し、結晶が析出した最高温度である失透温度を測定した。
【0057】
耐アルカリ性及び耐酸性は、各ガラス成形体の一部を切り出して粉砕し、297〜500μmの粒度にしたガラス粉末を、耐アルカリ性の場合は10質量%のNaOH水溶液100ml中に浸漬し、耐酸性の場合は10質量%のHCl水溶液100ml中に浸漬し、80℃で16時間振とうした際の質量減少率(質量%)によって評価した。
【0058】
アルカリ溶出量は、JIS R 3502に基づいて測定した。
【0059】
ガラス繊維の引張強度は、上記したガラスストランドを用い、JIS R 3420に基づいて測定した。
【0060】
また、FRPロッドの常態での引張強度、1Nの水酸化ナトリウム水溶液に40℃で30日間及び60日間浸漬した後の引張強度及び、5質量%の硫酸水溶液に40℃で30日間及び60日間浸漬した後の引張強度は、インストロン万能試験機4204を用い、室温を20±5℃にし、載荷速度5mm/分で測定した。尚FRPロッドは、その両端に変位制御型試験機に固定するための長さ10cmのつかみ部分を有し、そのつかみ部分の表面には、固定時の保護のため不飽和ポリエステル樹脂を被覆し、その不飽和ポリエステル樹脂の表面に滑り止めのための鉄粉を付着させてある。引張強度試験は、1条件あたり10本のFRPロッドを用い、引張強度はその平均値とした。またFRPロッドは、つかみ部分以外の中央部(20cm)のみアルカリ性溶液又は酸性溶液に浸漬した後、これらの溶液から取り出し蒸留水で洗浄後、1日間デシケータ中で乾燥させた後に強度試験に供した。
【0061】
【発明の効果】
本発明のガラス繊維は、耐アルカリ性及び耐酸性に優れ、紡糸時の失透を抑制でき、アルカリ金属イオンが溶出しにくい。また、ガラス繊維とマトリックス樹脂との接着性に優れるため、ガラス繊維強化樹脂の補強材として好適である。
【0062】
また本発明のガラス繊維強化樹脂は、初期の機械的強度が低下しにくく、酸性又はアルカリ性の環境下に長時間曝されても、機械的強度が劣化しにくくなる。
【0063】
また本発明のFRPロッドは、初期の機械的強度が低下しにくく、酸性又はアルカリ性の環境下に長時間曝されても、機械的強度が劣化しにくくなる。そのため、コンクリートの補強材として使用される鉄筋の代替材料として好適である。

Claims (7)

  1. モル%で、SiO 50〜60%、Al 0.1〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 20〜45%、TiO 0.5〜20%、ZrO 0.1〜10%、LiO+NaO+KO 0〜2%、BaO/CaOがモル比で0.3〜1.6の組成を有するガラスからなり、表面にシランカップリング剤と、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂とを含有する集束剤が塗布されてなるガラス繊維。
  2. シランカップリング剤が、メタクリルシラン及びウレイドシランを含む請求項1に記載のガラス繊維。
  3. 集束剤中に、固形分換算でメタクリルシランを0.2〜1.0質量%含有し、ウレイドシランを0.05〜0.6質量%含有する請求項2に記載のガラス繊維。
  4. シランカップリング剤が、エポキシシラン及びウレイドシランを含む請求項1に記載のガラス繊維。
  5. 集束剤中に、固形分換算でエポキシシランを0.2〜1.0質量%含有し、ウレイドシランを0.05〜0.6質量%含有する請求項4に記載のガラス繊維。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のガラス繊維を補強材として用いてなるガラス繊維強化樹脂。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載のガラス繊維を補強材として用いてなるFRPロッド。
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