JP2005007039A - シートカバーの取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、シートカバーの端部をシートクッション体とシート側部材との間に差込み固定する構造を採用することにより、見栄えを確保し、装着作業性を向上することも可能としつつ、さらに、シートクッション体の弾性力が変化した場合であっても、容易にシートカバーの端部が離脱しないシートカバーの取付構造を提供することを目的とする。
【解決手段】係止片2が固定されたシートクッションカバーの端部13cを、シートクッションS3の弾性変形を利用して、シートクッションS3と目隠し部材端部S4aの当接位置3から、シートクッションS3と目隠し部材S4との間の隙間(差込空間)Hに差込み、その差込み後は、係止片2が目隠し部材S4の内側に位置し固定保持されることにより、シートクッションカバー13の側面部の取付構造が構成される。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用シートに装着されるシートカバーの取付構造に関する。具体的には、装着作業性の向上、見栄えの確保を図りつつ、容易にシートカバーの端部が車両用シートから離脱しないシートカバーの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車室内の見栄え向上、乗員の着座感向上のため、革製等のシートカバーを一旦完成した車両のシートに後から装着することが知られている。
こうしたシートカバーの取付構造として、従来より、シートカバーの端部に紐を挿通する挿通部を設け、シートカバーを装着した後に紐を絞ることでシートカバーの端部をシートに固定するもの。また、先行技術1(特許文献1参照)に開示されているように、シートカバーの端部に複数の孔を設けると共にシート側部材に複数の突出部を設け、その突出部に孔を係合することでシートカバーの端部をシートに固定するものが知られている。
【0003】
しかし、これら従来のシートカバーの取付構造については、以下に示すような問題がある。
まず、紐を絞ることでシートカバーの端部をシートに固定するものについては、紐を絞るだけでシートカバーを固定するため、装着作業性は良いものの、シートカバーの端部を絞るため、必然的にシートカバーの端部に皺が寄り見栄えが悪化するという問題がある。
【0004】
また、シート側部材の突出部に孔を係合して固定するものについては、複数の孔を突出部に係合させる必要があるため、見栄えは確保できるものの、装着作業が容易に行えないという問題がある。
【0005】
そこで、これら問題に対応するものとして、シートカバーの端部に所定の肉厚を有する差込部を設け、この肉厚を有する差込部をシートクッション体とシート側部材との間に差込み、シートクッション体の弾性力で差込部を固定保持する構造が考えられる。
【0006】
確かに、この構造によると、シートカバーの端部には皺が寄ることはなく、また、単に差込部をシートクッション体とシート側部材との間に差込むだけでシートカバーの端部がシートに固定されるため、見栄えを確保しつつ、シートカバーの装着作業性も向上することができる。
【0007】
しかしながら、この構造では、単にシートクッション体の弾性力で差込部を固定保持しているだけなので、乗員がシートに着座して車両の旋回Gを受けた場合等、シートクッション体が変形し、シートクッション体の弾性力が変化した場合には、差込部が容易に車両用シートから離脱してしまうという問題が新たに生じる。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−131671号公報。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、シートカバーの端部をシートクッション体とシート側部材との間に差込み固定する構造を採用することにより、見栄えを確保し、装着作業性を向上することも可能としつつ、さらに、シートクッション体の弾性力が変化した場合であっても、容易にシートカバーの端部が離脱しないシートカバーの取付構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、車両用シートに対して装着されるシートカバーの取付構造であって、前記車両用シートは、弾性力を有するシートクッション体と、端部がシートクッション体に当接し内部がシートクッション体との間で隙間を有するシート側部材とを備え、前記シートカバーの端部には、前記シート側部材の端部からシートクッション体との間の隙間に差込み固定される、かえし機能を有する係止手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
すなわち、シートカバーの端部をシートクッション体とシート側部材との間に差込み固定する構造を採用するにあたり、シートカバーの端部にかえし機能を有する係止手段を設けたものである。
【0012】
このようにシートカバーの端部にかえし機能を有する係止手段を設けたことにより、シートクッション体の弾性力が変化した場合であっても、かえし機能により係止手段がシート側部材に係合するため、シートカバーの端部は容易に離脱することはない。
【0013】
また、別の発明は、前記係止手段をシートカバー本体の材質よりも剛性の高い別部材で構成したことを特徴とする。
【0014】
このように係止手段をシートカバー本体の材質よりも剛性の高い別部材で構成したことにより、シートカバーがシートクッション体とともに変位するような場合であっても、係止手段は変形することなく、確実にかえし機能を果たし、シートカバー端部が離脱するのを防止する。
【0015】
また、別の発明では、前記係止手段を平板部材で構成し、平板部材の反差込側端部をシートカバーに固定せず、かえし機能を持たせたことを特徴とする。
【0016】
このように係止手段を平板部材で構成し、平板部材の反差込側端部をシートカバーに固定せず、かえし機能を持たせたことにより、係止手段を平板部材という簡略な形状のもので構成でき、また差込み固定作業も容易に行える。
【0017】
【発明の効果】
この発明によれば、シートカバーの端部にかえし機能を有する係止手段を設けたことにより、シートクッション体の弾性力が変化した場合であっても、係止手段がシート側部材に係合するため、シートカバーの端部は容易に離脱することはない。
【0018】
よって、シートカバーの端部をシートクッション体とシート側部材との間に差込み固定する構造を採用することで、見栄えを確保し、装着作業性を向上することを可能としつつ、さらに、シートクッション体の弾性力が変化した場合であっても、容易にシートカバーの端部が離脱しないようにすることができる。
【0019】
また、別の発明では、係止手段をシートカバー本体の材質よりも剛性の高い別部材で構成したことにより、シートカバーがシートクッション体とともに変位するような場合であっても、係止手段は変形することなく、確実にかえし機能を果たすため、シートカバーの端部をより離脱しないようにすることができる。
【0020】
さらに、別の発明では、係止手段を平板部材で構成し、平板部材の反差込側端部をシートカバーに固定せず、かえし機能を持たせたことにより、シートカバーの端部の離脱防止を平板部材という簡略な形状のもので構成でき、また差込み固定作業も容易に行えるという効果を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、本発明に係るシートカバーの取付構造を採用したシートカバー1とシートカバー装着前の車両用シート(前席シート)Sを含めた全体斜視図である。図2はシートカバー1を装着した状態の車両用シートの正面図、図3はシートカバー1を装着した状態での車両用シートの側面図である。
【0022】
本発明のシートカバーの取付構造を採用したシートカバー1は、装着する車両用シートSに合わせて、ヘッドレストカバー11、シートバックカバー12、及びシートクッションカバー13とから構成される。
【0023】
そして各カバー11、12、13は、それぞれ表皮が革材又は革調素材とされ、車両用シートSに装着することにより、その車両用シートを革張りシート風にして、車室内の見栄えを向上し、乗員の着座感を向上させる。なお内側には表皮の剛性を確保するためスポンジ材が貼り付けられている。
【0024】
また、各カバー11、12、13には、車両用シート装着時に外部に露出する部分とは別に、取付代11a、12a、13aや取付テープ12b、13b等が設けられ、シートカバー1を車両用シートSに装着する際には、これら取付代11a、12a、13aや取付テープ12b、13b等を利用して、シートカバー1が車両用シートSに固定される。
【0025】
シートカバーが装着される車両用シートSは、それぞれ内部にクッション体を備えたヘッドレストS1、シートバックS2、シートクッションS3とを備え、シートクッションの下部には、車体に車両用シートを固定するシートベースSBが設けられている。また、シートクッションS3の側方には、シートベースSBやシートバックの回動軸(図示せず)等の目隠しとなる目隠し部材S4が設けられている。この目隠し部材S4は硬質の樹脂素材で構成され、容易に弾性変形しない剛性を有している。
【0026】
具体的なシートカバーの装着作業については記載しないが、図2、図3に示すように、このシートカバー1の寸法は車両用シートSに対して完全にフィットするように設定され、遊びが設けられていないため、各カバー11、12、13を車両用シートSに沿って綺麗に皺なく装着する装着作業には熟練性を要する。
【0027】
次に、シートクッションS3の側面のシートカバー取付構造について説明する。
【0028】
図4はシートクッション側面のシートカバー取付構造の断面構造を示したもので、図3のA−A断面の断面図、図5はシートクッションカバー13の側面部の下端(端部)13cに設けられた係止片2を示す平面図、図6はその係止片2の変動を示す状態図である。
【0029】
図4に示すように、シートクッションS3に装着されるシートクッションカバー13の側面部に設けられるシートカバー取付構造は、シートクッションカバーの側面部の下端(端部)13cと、その下端に固定された係止片2を、シートクッション13と目隠し部材S4との間の隙間(差込空間)Hに差込むことにより構成される。すなわち、係止片2が固定されたシートクッションカバーの端部13cを、シートクッションS3の弾性変形を利用して、シートクッションS3と目隠し部材端部S4aの当接位置3から、シートクッションS3と目隠し部材S4との間の隙間(差込空間)Hに差込み、その差込み後は、係止片2が目隠し部材S4の内側に位置し固定保持されることにより、シートクッションカバー13の側面部の取付構造が構成される。
【0030】
このように差込み固定によりシートクッションカバー13の取付構造が構成されることにより、見栄えを確保しつつ、誰もが容易に装着作業を行うことができ、シートクッションカバー13の装着作業性を向上することができる。
【0031】
シートクッションカバーの側面部の下端13cに固定される係止片2は、図5にも示すように、シートクッションカバーの側面部の取付代13aに沿って固定される平板長方形型の部材であり、PVC(塩化ビニル)等の軟質の樹脂素材で構成される。
【0032】
そして、この係止片2は、短手方向の中央より下方位置でシートクッションカバー13に縫合糸5により縫合され、上端2aがシートクッションカバー13に固定されていない。このように係止片2を縫合したことにより、係止片2がかえり機能を有する。
【0033】
なお、この係止片の固定方法は縫合に限定されるものではなく、接着、溶着、嵌合等の方法によっても良い。
【0034】
図6により、この係止片2のかえり機能を説明する。(a)は平常時の係止片の差込み状態を示す図で、(b)はシートクッション変形時の係止片の差込み状態を示す図である。なお同じ部材については同一番号を付す。
【0035】
まず、平常時(a)においては、シートクッションカバーの端部13aや係止片2はシートクッションS3の弾性力により目隠し部材S4の側に押圧されるため、係止片2は目隠し部材の端部S4aから離脱することなく差込み固定される。すなわち平常時には、係止片2のかえり機能は直接作用せず、シートクッションカバーの端部13cは車両用シートに固定される。
【0036】
一方、シートクッション変形時(b)、例えば乗員Pが車両用シートに着座して車両の旋回Gを受けた場合などには、シートクッションSの弾性力がなくなり、シートクッションカバーの端部13cや係止片2は目隠し部材S4の側に押圧されず、また、シートクッションカバー13自体も上方に引き上げられるため、シートクッションカバーの端部13cは目隠し部材の端部S4aから離脱しやすくなる。このとき、図示するように係止片の上端2aが目隠し部材の端部S4aに係合し、かえり機能を発揮し、シートクッションカバーの端部13cや係止片2
の目隠し部材の端部S4aからの離脱を防止する。すなわち、シートクッション変形時等、シートクッションS3の弾性力がなくなった時に係止片2のかえり機能は作用して、シートクッションカバーの端部13cは車両用シートに固定される。
【0037】
このように、係止片2がかえり機能を有することで、シートクッションS3が変形した場合においても、シートクッションカバーの端部13cの離脱が防止され、シートクッションカバーの端部13cは確実に車両用シートSに固定されることになる。すなわち、シートクッションカバーの端部13cにかえし機能を有する係止片2を設けたことにより、シートクッションS3の弾性力が変化した場合であっても、係止片2が目隠し部材S4に係合するため、シートクッションカバーの端部13cは容易に離脱することはない。
【0038】
したがって、本実施形態においては、シートクッションカバーの端部13cをシートクッションS3と目隠し部材S4との間に差込み固定する構造を採用することで、見栄えを確保し、装着作業性を向上することを可能としつつ、さらに、シートクッションS3の弾性力が変化した場合であっても、容易にシートクッションカバーの端部13cが離脱しないようにすることができる。
【0039】
また、係止片2をシートクッションカバー13の材質よりも剛性の高いPVC等の樹脂素材という別部材で構成したことにより、シートクッションカバー13がシートクッションS3とともに変位するような場合であっても、係止片2は変形することなく、確実にかえし機能を果たすため、シートクッションカバーの端部13cを確実に離脱しないようにできる。
【0040】
さらに、係止片2を平板部材で構成し、平板部材の上端をシートクッションカバー13に固定せず、かえし機能を持たせたことにより、シートクッションカバーの端部13aの離脱防止を平板部材という簡略な形状のもので構成でき、また差込み固定作業も特に困難とすることなく容易に行える。
【0041】
次に図7に示す第2の実施形態について説明する。
この実施形態も前述の実施形態と同様にシートクッションS3のシートクッションカバー13の側面部の取付構造であり、前述の実施形態と同様の部材については、番号を付して説明を省略する。
【0042】
この第2の実施形態においては、係止片6が前述の実施形態と異なり、断面が楔状の板部材で構成される。すなわち係止片6で確実にかえり機能を得られるように、係止片を楔断面の板部材としている。
【0043】
このように係止片6を楔断面の板部材としたことにより、係止片の上端6aの係合面を広くできるため、シートクッションS3変形時には、係止片の上端6aが目隠し部材の端部S4aに確実に係合し、シートクッションカバーの端部13cや係止片6の離脱を確実に防ぐことができる。
【0044】
また、係止片6を楔断面としても、係止片6とシートクッションカバー端部13cの差込みを容易に行えるため、シートクッションカバー13の装着作業も悪化させることなく、シートクッションカバー13の取付構造を構成できる。
【0045】
なお、係止片6の断面はこの楔形に限定されるものではなく、シートクッション変形時に係止片の上端が目隠し部材の端部に確実に係合する形状であれば、L字状、T字状に構成してもよい。
【0046】
この実施形態においても、その他の作用効果については、前述の実施形態と同様の作用効果を有する。
【0047】
次に、図8に示す第3の実施形態について説明する。
この実施形態も前述の実施形態と同様にシートクッションS3のシートクッションカバー13の側面部の取付構造であり、前述の実施形態と同様の部材については、番号を付して説明を省略する。
【0048】
この第3の実施形態においては、係止片を設けず、シートクッションカバーの端部13cを長めに設定しておき、その長めの端部13cを外側で巻き込むことにより重合して、シートクッションカバー本体よりも剛性の高い係止部13dを構成している。
【0049】
この係止部13dの縫合も、縫合糸7で下側部分のみ行われ、上側部分については縫合されていない。よって、この係止部13dによっても、前述の実施形態と同様にシートクッション変形時には、係止部の上端部13eが目隠し部材の端部S4aに係合し、かえり機能を得ることができる。
【0050】
このようにシートクッションカバー13自体に係合部13dを設けたことにより、前述の実施形態と異なり、別部材によって係止手段を設ける必要がないため、費用の点で安価にシートカバーの取付構造を構成することができる。
【0051】
また、この実施形態も別体に係止片を設けた作用効果を除き、前述の実施形態と同様の作用効果を有する。
【0052】
なお、以上の実施形態については、シートクッションS3の側面部のシートクッションカバー13の取付構造について説明したが、この発明は、シートバックS2やヘッドレストS1等、内部にクッション体を備える部位のシートカバー1の取付構造も当然含まれる。また、シートカバー1が装着される車両用シートSも前席に限定されるものではない。
【0053】
さらに、係止片2、6、係止部13dについても、カバー端部の一部に設けても良いし、複数設けても良い。また材質もPVC樹脂に限定されるものではない。
【0054】
上述の実施形態と、この発明の構成との対応において、
この実施形態のシートクッションカバー13は、この発明のシートカバーに対応し、
以下同様に、
シートクッションS3は、シートクッション体に対応し、
目隠し部材S4は、シート側部材に対応し、
係止片2、6、係止部13dは、係止手段に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシートカバー取付構造を採用したシートカバーと車両用シートの全体斜視図。
【図2】シートカバーを装着した状態の車両用シートの正面図。
【図3】シートカバーを装着した状態の車両用シートの側面図。
【図4】図3のA−A断面の断面図。
【図5】シートクッションカバーに設けられた係止片を示す平面図。
【図6】(a)平常時の係止片の差込み状態を示す図、(b)シートクッション変形時の係止片の差込み状態を示す図。
【図7】第2の実施形態を示す断面図。
【図8】第3の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
S…車両用シート
S3…シートクッション
S4…目隠し部材
H…隙間
1…シートカバー
2…係止片
6…係止片
13…シートクッションカバー
13d…係止部

Claims (3)

  1. 車両用シートに対して装着されるシートカバーの取付構造であって、
    前記車両用シートは、弾性力を有するシートクッション体と、端部がシートクッション体に当接し内部がシートクッション体との間で隙間を有するシート側部材とを備え、
    前記シートカバーの端部には、前記シート側部材の端部からシートクッション体との間の隙間に差込み固定される、かえし機能を有する係止手段を設けた
    シートカバーの取付構造。
  2. 前記係止手段をシートカバー本体の材質よりも剛性の高い別部材で構成した
    請求項1記載のシートカバーの取付構造。
  3. 前記係止手段を平板部材で構成し、平板部材の反差込側端部をシートカバーに固定せず、かえし機能を持たせた
    請求項2記載のシートカバーの取付構造。
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