JP2005004429A - 非接触icカード及びicモジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁性のインレットシート1に実装されたICチップ3を保護する金属性の補強板5をICチップ3の上方に第1の封止樹脂4を介して設けつつ、該設けた金属性の補強板5と第1の封止樹脂4とを覆うように、金属性の補強板5の応力を緩和する第2の封止樹脂6を設けてなるインレットシート1を、ICカードの本体基板となる樹脂シート7、8にて挟持して積層される。これにより、第2の封止樹脂6が、金属性の補強板5のエッジ部分がカード表面部分に与える応力を緩和する緩和材として機能し、ICチップ3を保護しつつ、且つ、ICカード表面への亀裂の発生を防止することが可能となる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSIを搭載し、外部機器とのデータ通信処理が可能なICカードおよびそのICカード等に適用可能なICモジュールに関し、特に、接触状態や非接触状態でのデータ通信処理が可能なICカードおよびICモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるカード技術の発達により、各種のシステムに用いられる情報記録媒体として、広範囲な用途に利用されているICカードがあり、特に、非接触型のICカードは、情報の書き込み処理、あるいは、読み出し処理を行う際に、専用の装置に挿入する必要がないため、カード自体の取り扱いが便利なこともあり、産業上に急速に普及しつつある。このような、非接触型のICカードは、通信処理を制御する制御部やメモリ等の機能を有するICチップと、電磁波の送受信のためのアンテナと、が実装されたインレットシートがカード本体となるカード基板に埋設されて構成されており、電磁波等を用いて外部装置とのデータ通信処理が行われることとなる。
【0003】
このため、非接触型のICカードは、折り曲げや、点衝撃などにより、ICチップが機械的に破壊されると、ICチップに記録されたデータ自体が失われることから、図12に示すように、ICチップ自体を封止する封止樹脂上に金属性の補強板を配備するICカードを構築することで、ICチップの破壊を防止し、ICチップの動作の信頼性を確保するようにしていた。以下に、図12に示すICカードの構成について説明する。
【0004】
図12は、従来の非接触型のICカードの断面構造を示しており、インレットシート1には、螺旋状のアンテナやコンデンサ等のアンテナパターン2が形成されている。なお、アンテナパターン2は、スクリーン印刷や、エッチング等により形成される。そして、このアンテナパターン2とICチップ3とが導電性接着剤を介して接続するように、演算処理やデータの保存を行うICチップ3がインレットシート1に実装されている。
【0005】
そして、このICチップ3を覆うように封止樹脂4が設けられている。なお、封止樹脂4は、汚れ、水分等からICチップ3を保護するために配置される樹脂であり、一般的には、エポキシ系やシリコン系の樹脂が用いられる。
【0006】
また、ICチップ3の上面には、ICチップ3よりも幅広い補強板5が設けられている。なお、補強板5は、ICチップ3を外力から保護するために封止樹脂4を介して接着された基板であり、一般的には、ステンレス等の金属性の素材が用いられる。
【0007】
中間シート7は、ICチップ3を実装したインレットシート1を封止する樹脂性のシートであり、例えば、非結晶性ポリエステル(PET−G)や塩化ビニル等の熱融着性の樹脂が適用される。カバーシート8は、カード基板の最外層となる樹脂シートであり、例えば、非結晶性ポリエステル(PET−G)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル等の樹脂が適用される。
【0008】
なお、図12に示す補強板を設けた構成のICカードの一般的な製造方法は、以下のような手順で行われている。
まず、アンテナコイルやコンデンサ等のアンテナパターン2が形成されたインレットシート1を用意して、インレットシート1に形成したアンテナパターン2と導電性接着剤を介して接着するようにICチップ3をインレットシート1に実装する。
【0009】
次に、インレットシート1に実装したICチップ3を封止するための封止樹脂4により、ICチップ3を封止すると共に、封止樹脂4の上面に封止樹脂4を介して金属性の補強板5を装着する。また、インレットシート1にICチップ3を実装した面とは反対の面に対して、ICチップ3が実装された位置に封止樹脂4(または、接着剤)を介して金属性の補強板5を装着する。
【0010】
そして、補強板5を装着したインレットシート1の上下方向から中間シート7と、カバーシート8と、の樹脂シートでインレットシート1を挟持して、加熱プレス機にて熱融着を行い、樹脂シートを自己融着させつつ、インレットシート1と樹脂シート7、8とを一体化させ、その一体化させたカード基板を所定サイズのカード形状に金型にて打ち抜き、ICカードを形成する。
【0011】
また、本発明より先に出願された技術文献として、回路パターンの形成された基板上に、半導体積回路チップ(以下、ICチップ)を接着すると共に、そのICチップの電極を回路パターンに接続し、且つ、ICチップを補強するための第1の補強用金属板上に、封止用樹脂を所定量塗布し、ICチップが接着された上記基板を、所定量塗布した封止用樹脂を介して第1の補強用金属板上に載置する。また、ICチップの上に封止用樹脂を所定量塗布し、該塗布された封止用樹脂上に、ICチップを補強するための第2の補強金属板を配設する。そして、第1および第2の補強金属板を介して封止用樹脂を加圧して、封止用樹脂をICチップ周面に流れ込ませ、該流れ込ませた封止用樹脂を硬化させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−222549号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図12に示す金属性の補強板を設けたICカードは、ICカードに外力が加わっても、補強板を設けたことで、ICチップを保護することは可能となったが、補強板のエッジ部分に応力が集中することとなり、その補強板の応力によりエッジ部分と対応するカード表面部分に亀裂を生じさせる虞がある。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、カード自体に外力が加わってもICチップを保護しつつも、応力によるカード表面への亀裂の発生を防止するICカードおよびICモジュールを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明は以下のような特徴を有する。
請求項1記載の発明は、絶縁性の基板上に実装されたICチップの上面に、ICチップを封止する封止樹脂を介して、ICチップを保護するための金属性の補強板を装着しつつ、該装着した補強板と封止樹脂とを覆うように、補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂が設けてなるインレットシートを、ICカードの本体基板となる樹脂シートにて挟持してなることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の非接触ICカードにおいて、ICチップが実装されていない絶縁性の基板上に、ICチップが実装される位置と同じ位置に、ICチップを保護するための補強板を装着しつつ、該装着した補強板を覆うように、補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂が設けてなることを特徴とする。
【0017】
請求項3記載の発明は、絶縁性の基板上に実装されたICチップの上面に、ICチップを封止する封止樹脂を介して、ICチップを保護するための金属性の補強板を装着しつつ、該装着した補強板と封止樹脂とを覆うように、補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂が設けてなることを特徴とする。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のICモジュールにおいて、ICチップが実装されていない絶縁性の基板上に、ICチップが実装される位置と同じ位置に、ICチップを保護するための補強板を装着しつつ、該装着した補強板を覆うように、補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂が設けてなることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
(発明の特徴)
まず、図1を参照しながら、本発明にかかる非接触ICカードの特徴について説明する。
本発明にかかる非接触ICカードは、ICチップ3を保護する金属性の補強板5をICチップ3の上方に第1の封止樹脂4を介して設けつつ、該設けた金属性の補強板5と第1の封止樹脂4とを覆うように、金属性の補強板5の応力を緩和する第2の封止樹脂6を設けたことを特徴とする。これにより、第2の封止樹脂6が、金属性の補強板5のエッジ部分がカード表面部分に与える応力を緩和する緩和材として機能し、ICチップ3を保護しつつ、且つ、ICカード表面への亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明にかかる実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
まず、図2を参照しながら本発明にかかる第1の実施の形態における非接触ICカードの構成について説明する。
本発明にかかる非接触ICカードは、インレットシート1上に、螺旋状のアンテナやコンデンサ等のアンテナパターン2が形成され、このアンテナパターン2と導電性接着剤を介してICチップ3と接続するように、ICチップ3がインレットシート1に実装されている。また、アンテナパターン2と接続されたICチップ3を覆うように第1の封止樹脂4が設けられている。
【0022】
また、ICチップ3の上方には、ICチップ3よりも幅広い金属性の補強板5が第1の封止樹脂4を介して設けられている。更に、金属性の補強板5と第1の封止樹脂4とを覆うように、補強板5のエッジ部分のカード表面への応力を緩和する第2の封止樹脂6が設けられている。
【0023】
また、ICチップ3が実装されたインレットシート1の面とは反対側の面に、第1の封止樹脂4を介して金属性の補強板5が設けられている。なお、接着剤を介して金属性の補強板5を設けることも可能である。
【0024】
そして、中間シート7とカバーシート8とが、ICチップ3を実装したインレットシート1を挟持するように積層されている。
【0025】
次に、図2に示す非接触ICカードを構成する各々の構成部分について説明する。
【0026】
(インレットシート)
インレットシート1は、アンテナパターン2が形成される絶縁性のシートであり、インレットシートに適用可能な樹脂としては、一般用ポリスチレン樹脂、耐衝撃用ポリスチレン樹脂、ポリエステル,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、セルローストリアセテート,セルロールジアセテート等のセルロース系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリル酸エチル樹脂、ポリエチルメタクリレート樹脂、酢酸ビニル樹脂等、従来からインレットシートに使用される公知の樹脂が挙げられる。
【0027】
(アンテナパターン)
アンテナパターン2を形成する材質としては、銅、アルミニウム、金、銀、鉄、錫、ニッケル、亜鉛、チタン、タングステン、ハンダ、合金等が適用可能である。
なお、インレットシート上にアンテナパターンを形成する手法としては、エッチング法や、印刷法(スクリーン印刷法、オフセット印刷法)が用いられる。
【0028】
(第1の封止樹脂)
ICチップを封止するための第1の封止樹脂4としては、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂が適用可能である。また、第1の封止樹脂4としては、紫外線硬化型の樹脂も適用可能である。なお、熱硬化性の樹脂を用いる場合には、熱硬化反応により体積収縮が生じてICチップに応力が加わるのを抑えるために、フィラー、中空粒子、箔片を単体あるいは複合させたものを分散することが好ましい。
【0029】
(補強板)
ICチップを保護するための補強板5としては、金属性の材質を用いて構成されており、補強板に用いられる金属性の材質としては、ステンレス系、チタン系の金属が適用可能である。
【0030】
(第2の封止樹脂)
補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂6としては、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂等が適用可能である。また、ポリカーボネート樹脂、ポリクロロ・トリフルオロ・エチレン樹脂、ポリエーテル・イミド樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン・コポリマー)樹脂、ポリテトラフルオロ・エチレン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、芳香族ポリイミド樹脂等が挙げられる。なお、第2の封止樹脂は、ゴム等の弾性体も適用も可能であり、補強板の応力を緩和する架橋度の高い樹脂であれば特に限定するものではなく、あらゆる樹脂が適用可能である。好ましくは、カード表面への意匠性も考慮して白色や透明色の樹脂を用いることが良い。
【0031】
(中間シート)
インレットシートを挟持する中間シート7としては、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、非結晶ポリエステル樹脂(PET−G)等の非結晶性樹脂が適用可能である。
【0032】
(カバーシート)
ICカードの最外層となるカバーシート8としては、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、セルローストリアセテート、セルロールジアセテートなどのセルロース系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリル酸エチル樹脂、ポリエチルメタクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂、非結晶ポリエステル樹脂(PET−G)等の樹脂が適用可能である。
【0033】
(ICカードの第1の製造方法)
次に、図3から図5を参照しながら、上記構成からなるICカードの第1の製造方法について説明する。なお、図3は、第1の製造工程のフローチャートが示されており、図4、図5には、その製造工程における積層図が示されている。
【0034】
まず、アンテナコイルやコンデンサ等のアンテナパターン2が形成されたインレットシート1を用意して、インレットシート1に形成したアンテナパターン2と導電性接着を介して接着するようにICチップ3を実装する(ステップS1)。
【0035】
次に、インレットシート1に実装したICチップ3を封止するための第1の封止樹脂4により、ICチップ3を封止すると共に、第1の封止樹脂4の上面に金属性の補強板5を装着する(ステップS2)。なお、第1の封止樹脂4は、スクリーン印刷手法を用いてICチップ3の上面および周辺に第1の封止樹脂4となる樹脂を塗布するか、または、ディスペンサーによりポッティングすることで第1の封止樹脂4となる樹脂を塗布することとする。なお、ポッティングとは、シリンジまたはボトル内の封止樹脂の滴下時を調整し、封止樹脂を塗布する方法である。
【0036】
次に、金属性の補強板5と、第1の封止樹脂4と、を覆うように、金属性の補強板5の応力を緩和する第2の封止樹脂6を設ける(ステップS3)。なお、第2の封止樹脂6は、第1の封止樹脂4と同様に、スクリーン印刷手法、または、ポッティングにより第2の封止樹脂となる封止樹脂を塗布する。
【0037】
また、インレットシート1にICチップ3を実装した面とは反対側の面に対して、ICチップが実装された同じ位置に金属性の補強板5を、第1の封止樹脂4(または接着剤)を介して装着する(ステップS4)。なお、第1の封止樹脂4は、スクリーン印刷手法またはポッティング手法を用いて封止樹脂を塗布する。
【0038】
次に、上記工程により補強板5と第1の封止樹脂4と第2の封止樹脂6とを具備したインレットシート1の上下方向から中間シート7とカバーシート8との樹脂シートでインレットシート1を挟持して、加熱プレス機にて熱融着を行い、樹脂シート7、8を自己融着させつつ、インレットシート1と樹脂シート7、8とを一体化させる(ステップS5)。
【0039】
このように、本発明にかかるICカードは、ICチップを保護する金属性の補強板を第1の封止樹脂を介してICチップの上方に設け、更に、金属性の補強板の上面に、金属性の補強板と第1の封止樹脂とを覆うように、金属性の補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂を設けることで、第2の封止樹脂が、金属性の補強板のエッジ部分がカード表面に与える応力を緩和する緩和材として機能し、補強板にてICチップを保護しつつも、補強板の応力によるICカード表面への亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0040】
なお、上記ICカードの製造方法において、インレットシート1の両面に補強板を装着する工程(ステップS1〜ステップS4)は、ICチップを実装する側の面から先に行っても、ICチップを実装する側とは反対側の面から先に行っても良く、特に限定しないが、図6に示すように、ICチップを実装する側とは反対側の面から先に補強板を装着するほうが、特に好ましい。これは、ICチップをインレットシートに実装する際に、インレットシートが熱により、歪んでしまう虞があるため、予め、ICチップを実装する前に、ICチップを実装する側とは反対側の面から先に補強板を装着する方が、歪みを生じていないインレットシートに対して封止樹脂を均一に塗布することが可能となるためである。
【0041】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態は、図7に示すように、ICチップを実装する面とは反対側となる面に装着した金属性の補強板5にも、金属性の補強板5の応力を緩和する第2の封止樹脂6を設けることとする。
これにより、ICチップ3を実装する面とは反対側となる面に装着した金属性の補強板のエッジ部分がカード表面部分に与える応力を、第2の封止樹脂により緩和することが可能となり、ICチップを保護しつつ、且つ、ICカード両面への亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0042】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の非接触ICカードは、図8に示すように、第1の実施の形態における第2の封止樹脂6の形状を短形状としたこととする。以下、図9、図10を参照しながら、第3の実施の形態におけるICカードの製造方法について説明する。なお、図9は、第3の実施の形態におけるICカードの製造工程が示されており、図10は、製造工程時における積層図が示されている。
【0043】
まず、アンテナコイルやコンデンサ等のアンテナパターン2が形成されたインレットシート1を用意して、インレットシート1に形成したアンテナパターン2とICチップ3とが導電性接着を介して接着するようにICチップ3をインレットシート1に実装する(ステップS20)。
【0044】
次に、インレットシート1に実装したICチップ3を封止するための第1の封止樹脂4により、ICチップ3を封止すると共に、第1の封止樹脂4の上面に金属性の補強板5を装着する(ステップS21)。なお、第1の封止樹脂は、第1の製造方法と同様のスクリーン印刷手法やポッティング手法を用いて塗布することが可能である。
【0045】
また、インレットシート1にICチップ3を実装した面とは反対側の面に対して、ICチップ3が実装された同じ位置に、金属性の補強板5を、第1の封止樹脂4(または接着剤)を介して装着する(ステップS22)。なお、第1の封止樹脂は、スクリーン印刷手法やポッティング手法を用いて塗布することが可能である。
【0046】
次に、ICカードの最外層となるカバーシート8に、インレットシート1を挟持するための中間シート7を積層接着する(ステップS23)。なお、この中間シート7には、インレットシート1に実装されたICチップ3(詳細には、第1の封止樹脂を介して補強板が設けられたICチップ)を挿入するための枠部が形成されている。
【0047】
次に、中間シート7に形成された枠部に対して、金属性の補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂6を注入する(ステップS24)。なお、枠部に注入する第2の封止樹脂6は、枠部にICチップを挿入した際に、そのICチップが実装されたインレットシート1と中間シート7とが均一に密着するための量が予め設定されており、その設定された量の封止樹脂が注入される。
【0048】
次に、中間シート7の上方から、上記工程によりICチップ3を実装したインレットシート1を積層し、そのインレットシート1の上方から中間シート7とカバーシート8とを積層する。そして、積層したカバーシート8の上下方向から熱圧着処理を行い、各シートを貼り合わせ、一体化したICカードを形成する(ステップS25)。
【0049】
このように、本発明にかかるICカードは、カバーシートと中間シートとを積層接着した中間シートの枠部に対して、金属性の補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂を注入し、第2の封止樹脂を注入した中間シートの上方に、第1の封止樹脂を介してICチップを保護する金属性の補強板を設けたインレットシートを積層し、さらに、そのインレットシートの上方に、中間シートとカバーシートとを積層し、この積層したICカードの最外層となるカバーシートの上下方向から熱圧着処理を施すことで一体化したICカードが形成される。このICカードは、ICチップを保護する金属性の補強板とICチップを封止する第1の封止樹脂とが、金属性の補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂で覆われて形成されるため、この第2の封止樹脂が、金属性の補強板のエッジ部分がカード表面部分に与える応力を緩和する緩和材として機能し、ICチップを保護しつつ、且つ、ICカード表面への亀裂の発生を防止することが可能となるICカードが形成されることとなる。
【0050】
なお、上記第3の実施の形態におけるICカードの製造方法において、インレットシート1の両面に補強板を装着する工程(ステップS20〜ステップS22)は、ICチップを実装する側の面から先に行っても、ICチップを実装する側とは反対側の面から先に行っても良く、特に限定しないが、図11に示すように、ICチップを実装する側とは反対側の面から先に補強板を装着するほうが、特に好ましい。これは、ICチップをインレットシートに実装する際に、インレットシートが熱により、歪んでしまう虞があるため、予め、ICチップを実装する前に、ICチップを実装する側とは反対側の面から先に補強板を装着する方が、歪みを生じていないインレットシートに対して封止樹脂を均一に塗布することが可能となるためである。
【0051】
なお、上述する実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、補強板と第1の封止樹脂と第2の封止樹脂とを装着したインレットシートの上下方向から中間シートと、カバーシートと、の樹脂シートでインレットシートを挟持して、加熱プレス機にて熱融着を行い、樹脂シートを自己融着させつつインレットシートと樹脂シートとを一体化させたが、インレットシートの中心軸がICカードの中心軸となるように、インレットシートの上下方向に構成する中間シートと、カバーシートと、の厚さを同一として積層することで、ICカードの反りを防止することも可能となり、カード表面の平滑を図ることが可能となる。また、本発明にかかる非接触ICカードは、インレットシートを挟持して積層する際の層構成は、上記実施の形態に限定するものではなく、ICチップを保護する金属性の補強板の上面に、その金属性の補強板5の応力を緩和する第2の封止樹脂6を設けた構成のICモジュールを積層したものであれば特に限定しない。例えば、タグ等に使用することも可能である。また、第2の封止樹脂の形状は、金属性の補強板と、第1の封止樹脂を覆うように設け、金属性の補強板の応力を緩和できれば、特に限定せず、あらゆる形状が適用可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように本発明は以下のような効果を奏する。
本発明にかかる非接触ICカードは、絶縁性の基板上に実装されたICチップの上面に、前記ICチップを封止する封止樹脂を介して、前記ICチップを保護するための金属性の補強板を装着しつつ、該装着した補強板と前記封止樹脂とを覆うように、前記補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂が設けてなるインレットシートを、ICカードの本体基板となる樹脂シートにて挟持した構成とすることで、第2の封止樹脂が、金属性の補強板のエッジ部分がカード表面に与える応力を緩和する緩和材として機能し、ICチップを保護しつつ、且つ、カード表面への亀裂の発生を防止することが可能となる。
【0053】
また、本発明にかかるICモジュールは、絶縁性の基板上に実装されたICチップの上面に、前記ICチップを封止する封止樹脂を介して、前記ICチップを保護するための金属性の補強板を装着しつつ、該装着した補強板と前記封止樹脂とを覆うように、前記補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂が設けてなることで、金属性の補強板のエッジ部分がカード表面に与える応力を緩和する緩和材として機能する第2の封止樹脂を具備するICモジュールをカード化しても、ICチップを保護しつつ、且つ、カード化したカード表面への応力を緩和することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる非接触ICカードの具備するICモジュールを示す図である。
【図2】第1の実施の形態における非接触ICカードの構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における非接触ICカードの第1の製造工程を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態における非接触ICカードの第1の製造工程時における積層図を示す第1の図である。
【図5】第1の実施の形態における非接触ICカードの第1の製造工程時における積層図を示す第2の図である。
【図6】第1の実施の形態における非接触ICカードの第2の製造工程を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態における非接触ICカードの構成を示す図である。
【図8】第3の実施の形態における非接触ICカードの構成を示す図である。
【図9】第3の実施の形態における非接触ICカードの第1の製造工程を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態における非接触ICカードの第1の製造工程時における積層図を示す図である。
【図11】第3の実施の形態における非接触ICカードの第2の製造工程を示すフローチャートである。
【図12】従来における非接触ICカードの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 インレットシート
2 アンテナパターン
3 ICチップ
4 第1の封止樹脂
5 補強板
6 第2の封止樹脂
7 中間シート
8 カバーシート
Claims (4)
- 絶縁性の基板上に実装されたICチップの上面に、前記ICチップを封止する封止樹脂を介して、前記ICチップを保護するための金属性の補強板を装着しつつ、該装着した補強板と前記封止樹脂とを覆うように、前記補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂が設けてなるインレットシートを、ICカードの本体基板となる樹脂シートにて挟持してなることを特徴とする非接触ICカード。
- 前記ICチップが実装されていない前記絶縁性の基板上に、前記ICチップが実装される位置と同じ位置に、前記ICチップを保護するための補強板を装着しつつ、該装着した補強板を覆うように、前記補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂が設けてなることを特徴とする請求項1記載の非接触ICカード。
- 絶縁性の基板上に実装されたICチップの上面に、前記ICチップを封止する封止樹脂を介して、前記ICチップを保護するための金属性の補強板を装着しつつ、該装着した補強板と前記封止樹脂とを覆うように、前記補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂が設けてなることを特徴とするICモジュール。
- 前記ICチップが実装されていない前記絶縁性の基板上に、前記ICチップが実装される位置と同じ位置に、前記ICチップを保護するための補強板を装着しつつ、該装着した補強板を覆うように、前記補強板の応力を緩和する第2の封止樹脂が設けてなることを特徴とする請求項3記載のICモジュール。
Priority Applications (1)
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