JP2005000930A - スピニング加工装置、スピニング加工方法、およびこれを用いて製造された触媒コンバータ - Google Patents
スピニング加工装置、スピニング加工方法、およびこれを用いて製造された触媒コンバータ Download PDFInfo
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Abstract
【課題】簡単な構成で、素管を任意の形状に容易に精度良くスピニング加工することができる装置と方法、および、これにより製造された触媒コンバータを提供する。
【解決手段】素管Wを保持するクランプ装置1と、素管に対して相対的に公転する成形ローラ(成形工具)2と、X方向に相対的に移動させるX方向移動機構(公転軸方向移動手段)と、Y方向に相対的に移動させる水平方向移動機構と、Z方向に相対的に移動させる垂直方向移動機構と、素管の周方向(RX方向)の位相を変化させる位相変化手段と、Y方向の軸線周り(RY方向)に素管の姿勢を俯仰変化させる俯仰駆動機構と、Z方向の軸線周り(RZ方向)に素管を反転させると共にその姿勢を所定の角度に変化させる揺動駆動機構と、を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】素管Wを保持するクランプ装置1と、素管に対して相対的に公転する成形ローラ(成形工具)2と、X方向に相対的に移動させるX方向移動機構(公転軸方向移動手段)と、Y方向に相対的に移動させる水平方向移動機構と、Z方向に相対的に移動させる垂直方向移動機構と、素管の周方向(RX方向)の位相を変化させる位相変化手段と、Y方向の軸線周り(RY方向)に素管の姿勢を俯仰変化させる俯仰駆動機構と、Z方向の軸線周り(RZ方向)に素管を反転させると共にその姿勢を所定の角度に変化させる揺動駆動機構と、を備えている。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピニング加工装置、スピニング加工方法、およびこれを用いて製造された触媒コンバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スピニング加工装置は、一般に、素管に対して公転する成形工具と、この成形工具が素管を押圧するよう径方向に成形工具を移動させる成形工具移動手段と、成形工具をその公転軸線方向に相対的に移動させる公転軸方向移動手段とを備えている。
【0003】
そして、このようなスピニング加工装置を用いて素管をスピニング加工し、触媒コンバータの触媒容器を成形する場合には、素管の端部に対して成形工具を相対的に公転させながら径方向に移動させて素管を径方向に押圧しつつ公転軸方向に移動させて、触媒担体の収容部から端部に向かって漸次縮径されたコーン部と、このコーン部の最小径を維持するように端部に筒状に形成された接続部と、を連続して成形する。
【0004】
ところで、触媒コンバータなど、素管をスピニング加工してなる製品では、触媒担体の収容部の中心軸線に対してコーン部と接続部の中心軸線がオフセット(偏心)し、あるいは、所定の角度を形成する(偏角)するよう成形する必要がある場合がある。
【0005】
このように素管を偏心・偏角などさせてスピニング加工するための従来の技術としては、特許文献1が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−25826号公報
【0007】
特許文献1におけるスピニング加工装置は、管素材(素管)の端部の加工目標中心軸(Xe)が管素材の中心軸(Xt)と同一面上にあり、また、管素材の中心軸(Xt)が主軸の中心軸(Xr)に対し、ベースと平行な同一平面上(ベースから同一の高さ)に位置するように構成されていることが記載されている(段落番号0019および0022を参照)。
【0008】
さらに、特許文献1には、管素材の両端部にスピニング加工を行う場合に、その両端部相互の関係が三次元的な製品を製造することについて開示されている(段落番号0054〜0059および図15〜図21を参照)。そして、特許文献1では、かかる場合にクランプ装置の駆動機構に若干変更を加えると共に、チャック装置を付設することが記載されている。
すなわち、特許文献1のクランプ装置は、台に平行な面上で360度回転駆動可能に構成されている。また、チャック装置は、主軸の中心軸と同軸の中心に向かって径方向に移動可能な一対のチャックを備え、このチャックによって管素材を保持した状態で中心軸周りに回転させて割り出し(インデックス)を行い得るように構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の技術にあっては、管素材の端部の加工目標中心軸(Xe)および中心軸(Xt)と主軸の中心軸(Xr)とがベースと平行な同一平面上にあるため、図8に示すように、テーパ部(コーン部)Wb’と首部(接続部)Wc’を偏心・偏角成形したときに、各部の中心軸線Ca、Cb、Ccが同一平面F上にあるために成形できる形状が二次元的であり、自由度が低いという問題があった。このようなスピニング加工により触媒コンバータの触媒容器として管素材を成形した場合には、その触媒容器内に排気ガスを理想的に流動させることができず、排気ガスの処理性能を向上させることができないという問題や、触媒コンバータの設置条件に応じて触媒容器を成形することができず小型化を図ることができないなどの問題があった。
【0010】
また、上記特許文献1に記載された従来の技術にあっては、管素材の両端部相互の関係が三次元的な製品を製造するべく両端部にスピニング加工を行う場合に、クランプ装置からチャック装置に管素材を受け渡して中心軸周りに回転させて割り出しをおこない、再度チャック装置からクランプ装置に素材管を受け渡すため、装置の構成が複雑となると共に工程が煩雑となり、また、素材管の軸方向の位置や回転位相に誤差が生じることから成形精度が低下するなどの問題があった。そして、特に、素材管のテーパ部と首部を異なる方向、角度で成形する場合には、テーパ部と首部を成形する毎にクランプ装置とチャック装置の間で素材管を受け渡して割り出しを行う必要があるために、かかる問題が大きくなっていた。
【0011】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、素管にコーン部と接続部をそれぞれ任意の方向へ精度良く偏心・偏角成形することができるスピニング加工装置とスピニング加工方法を提供すると共に、これを用いて触媒容器がその設置場所などに応じて任意の形状に精度よく成形されて排気ガスの処理性能が向上するように製造された触媒コンバータを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1のスピニング加工装置に係る発明は、上記目的を達成するため、素管に対して公転しつつ押圧して素管をスピニング加工するための成形工具を有するスピニング加工装置であって、成形工具をその公転軸方向に素管と相対的に移動させる公転軸方向移動手段と、成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動手段と、成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記第一径方向移動手段による一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動手段と、素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化手段と、前記第一径方向移動手段による移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化手段と、前記第二径方向移動手段による移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化手段と、を備えたことを特徴とするものである。
請求項2のスピニング加工方法に係る発明は、上記目的を達成するため、素管に対して成形工具を相対的に公転させつつ、成形工具の公転径を変化させて素管を押圧すると共に、公転軸と平行に素管を相対的に移動させることにより、素管をスピニング加工する方法であって、成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動工程と、成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動工程と、素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化工程と、前記第一径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、前記第二径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を選択的に行うことを特徴とするものである。
請求項3の触媒コンバータに係る発明は、上記目的を達成するため、素管の内部に触媒担体を収容配置して、該素管の端部をスピニング加工することにより、触媒担体の収容部から端部に向かって漸次縮径されたコーン部と、該コーン部の最小径を維持するように端部に形成された接続部と、が連続して成形されてなる触媒容器を有する触媒コンバータであって、触媒容器が、素管をスピニング加工するにあたり、成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動工程と、成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動工程と、素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化工程と、前記第一径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、前記第二径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を選択的に行うことにより、収容部とコーン部と接続部の中心軸線が任意の方向に変化するよう成形されてなることを特徴とするものである。
【0013】
請求項1の発明では、素管を保持して成形工具を相対的に公転させつつ、成形工具の公転径を変化させて素管を押圧して所望の形状にスピニング加工を行う。
このとき、成形しようとする形状に応じて、公転軸方向移動手段により成形工具をその公転軸方向に素管と相対的に移動させると共に、第一径方向移動手段により成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させることと、第二径方向移動手段により成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記第一径方向移動手段による一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させることと、位相変化手段により素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させることと、第一姿勢変化手段により前記第一径方向移動手段による移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させることと、第二姿勢変化手段により前記第二径方向移動手段による移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させることとを、選択的に単独または複数で同期して行う。また、このようにして素管の一方端をスピニング加工した後に、他方端をスピニング加工する場合には、他方端が成形工具によりスピニング加工され得るように、第一姿勢変化手段または第二姿勢変化手段により素管を反転させる。この場合において、さらに、素管のスピニング加工された一方端の中心軸線と相対的に異なるように他方端をスピニング加工する場合には、位相変化手段により素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる。
請求項2の発明では、素管を保持して成形工具を相対的に公転させつつ、成形工具の公転径を変化させて素管を押圧すると共に、公転軸と平行に素管を相対的に移動させてスピニング加工する。このとき、成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動工程と、成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動工程と、素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化工程と、前記第一径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、前記第二径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を必要に応じて選択的に単独または複数で同期して行うことにより、素管を所望の形状に成形する。そして、このようにして素管の一方端をスピニング加工した後に他方端をスピニング加工する場合においては、他方端を成形工具によりスピニング加工し得るように、第一姿勢変化工程または第二姿勢変化工程を行って素管を反転させる。この場合において、さらに、素管のスピニング加工された一方端の中心軸線と相対的に異なるように他方端をスピニング加工する場合には、位相変化工程を行って、成形工具の公転軸の軸線周りに関する素管の周方向の位相を変化させる。
請求項3の発明では、触媒容器は、素管の両端部をスピニング加工することにより、触媒担体の収容部から端部に向かって漸次縮径されたコーン部と、該コーン部の最小径を維持するように端部に形成された接続部と、を連続して成形されてなる。触媒担体は、素管の両端をスピニング加工する前に素管の略中央に収容・配置されている。そして、触媒容器は、素管をスピニング加工するにあたり、成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動工程と、成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動工程と、素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化工程と、前記第一径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、前記第二径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を必要に応じて選択的に単独または複数で同期して行われており、その結果として、触媒コンバータを設置する場所などの条件に応じて収容部とコーン部と接続部の中心軸線が任意の方向に変化するよう成形されてなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明のスピニング加工装置の実施の一形態を図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
本発明のスピニング加工装置は、概略、素管Wを保持するクランプ装置1と、素管Wに対して相対的に公転する成形工具としての成形ローラ2と、成形ローラ2をその公転径を変化可能に支持して素管Wに対して公転駆動させるスピンドル3と、素管Wに対して成形ローラ2をその公転軸方向(図におけるX方向)に相対的に移動させる公転軸方向移動手段としてのX方向移動機構4と、成形ローラ2の公転軸と直交する水平方向(図におけるY方向)に素管Wを相対的に移動させる第一径方向移動手段としての水平方向移動機構5と、成形ローラ2の公転軸と直交する垂直方向(図におけるZ方向)に素管Wを相対的に移動させる第二径方向移動手段としての垂直方向移動機構6と、成形ローラ2の公転軸(X方向)の軸線周りに関する素管Wの周方向(図におけるRX方向)の位相を変化させる位相変化手段7と、水平方向移動手段5による移動方向(Y方向)の軸線周り(図におけるRY方向)に素管Wの姿勢を俯仰変化させる第一姿勢変化手段としての俯仰駆動機構8と、垂直方向移動機構6による移動方向(Z方向)の軸線周り(図におけるRZ方向)に素管Wを反転させると共にその姿勢を所定の角度に変化させる第二姿勢変化手段としての揺動駆動機構9と、を備えている。
なお、ここでいうX、Y、Z方向とは、図1〜図3に示すように、成形ローラ2の公転軸線上に素管Wを配置したときにおける素間Wの中心軸線方向(X方向)、このX方向と直交する水平軸線方向(Y方向)、X方向と直交する垂直軸線方向(Z方向)をそれぞれ意味する。
【0015】
成形ローラ2は、この実施の形態の場合、スピンドル3に一対で設けられ、素管Wの外周面に対して転動するよう支持軸11に従動回転可能に支持されている。支持軸11は、その公転径を変化させる(図1の矢印Pを参照)ことができるよう公転径の変動機構によってスピンドル3の径方向に移動可能に設けられている。スピンドル3は、クランプ装置1を支持するクランプ支持台12と対向するよう配置されるスピンドル台13に回転可能に支持されており、任意の速度で任意の方向に成形ローラ2を回転駆動するようモータなどの駆動手段が接続されている。
【0016】
素管Wを保持するクランプ装置1は、この実施の形態の場合、一対のクランプ部材15、15を備えてなるもので、スピンドル台13と対峙するよう配置されたクランプ支持台12に支持されている。クランプ部材15は、素管Wの外径に応じて半割り状に成形されてなるもので、リング部材16に担持され(図2を参照)、シリンダなどのアクチュエータによって開閉駆動される。また、クランプ部材15を担持するリング部材16は、保持した素管Wの位相をその軸方向周り(RX方向)に変化させることができるよう、クランプ装置本体17に対して回動可能に保持されている。
【0017】
クランプ支持台12は、この実施の形態の場合、基台20上にY方向に延在するように一対のガイドレール21が設けられ、このガイドレール21にY方向移動支持台22が支持され、Y方向移動支持台22上にX方向に延在するように一対のガイドレール23が設けられ、このガイドレール23にX方向移動支持台24が支持され、X方向移動支持台24にZ方向移動支持台25がZ方向に昇降可能に支持され、Z方向移動支持台25のアーム25aにはクランプベース26がY方向の軸線周りに回動する、すなわちX方向に対して俯仰可能に支持されており(図1の矢印RYを参照)、クランプベース26にクランプ装置1がZ方向の軸線周りに回動可能に支持されている(図1の矢印RZを参照)。
【0018】
図2に示すように、第一径方向移動手段としての水平方向移動機構5は、Y方向に延在するガイドレール21と平行に基台20に設けられたボールネジ軸30と、Y方向移動支持台22に設けられてボールネジ軸30に螺合されたボールネジナット31と、ボールネジ軸30に接続されてその軸周りに制御可能に回転駆動するサーボモータ32と、を備えてなる。サーボモータ32によりボールネジ軸30を任意の方向および回転量だけ回転駆動させると、ボールネジナット31が設けられたY方向移動支持台22は、図2の左右方向、すなわちY方向に水平移動される。
【0019】
公転軸方向移動手段としてのX方向移動機構4は、水平方向移動機構5と同様に、X方向に延在するガイドレール23と平行にY方向移動支持台22に設けられたボールネジ軸33と、X方向移動支持台24に設けられてボールネジ軸33に螺合されたボールネジナット34と、ボールネジ軸33に接続されてその軸周りに制御可能に回転駆動するサーボモータ35と、を備えてなる。サーボモータ35によりボールネジ軸33を任意の方向および回転量だけ回転駆動させると、ボールネジナット34が設けられたX方向移動支持台24は、図2の紙面に垂直な方向、すなわちX方向に水平移動される。
【0020】
X方向移動支持台24の内側面には横断平面視でT字形の溝36が形成されており、Z方向移動支持台25にはこの溝36と対応するスライド部材37が設けられている。また、この実施の形態における第二径方向移動手段としての垂直方向移動機構6は、Z方向移動支持台25に設けられたラック38と、X方向移動支持台24に設けられてラック38と噛合するピニオン39が接続されたサーボモータ40とを備えてなる。サーボモータ40を回転駆動させることにより、ピニオン39と噛合するラック38が設けられ、溝36に係合されたスライド部材37が設けられたZ方向移動支持台25は昇降移動される。
【0021】
Z方向移動支持台25のアーム25a、25aは、Y方向に対峙するように一対で形成され、両アーム25a、25aの間にクランプベース26が配置され枢着されている。第一姿勢変化手段としての俯仰駆動機構8は、Z方向移動支持台25のアーム25aに設けられてクランプベース26の枢軸に接続されたサーボモータ41を備えてなる。サーボモータ41を回転駆動することにより、Z方向移動支持台25に回動可能に支持されたクランプベース26がY方向の軸線周り(図におけるRY方向)に俯仰される。
【0022】
クランプベース26の上面には環状ガイド42を介してクランプ装置本体17が支持されている。第二姿勢変化手段としての揺動駆動機構9は、クランプベース26に設けられてクランプ装置本体17の下面に接続されたサーボモータ43を備えてなる。サーボモータ43を回転駆動することにより、環状ガイド42を介してクランプベース26に支持されたクランプ装置1は、Z方向の軸線周りに揺動される。
【0023】
クランプ装置1のクランプ部材15を担持するリング部材16は、ベアリングなどによってX方向の軸線周りに回動可能に支持されている。位相変化手段7は、リング部材16の外周に設けられたウォームホイール45と、このウォームホイール45に噛合されたウォーム46と、ウォーム46を軸周りに回転駆動するサーボモータ47とを備えてなる。サーボモータ47を回転駆動することにより、ウォーム46とウォームホイール45からなるウォームギヤを介して、リング部材16に担持されたクランプ部材15が、すなわちクランプ部材15に保持された素管WがX方向の軸線周りに回動され、その周方向の位相が変化する。
【0024】
そして、本発明のスピニング加工装置は、スピンドル3に設けられた成形ローラ2の公転径の変動機構と、水平方向移動機構5と、X方向移動機構4と、垂直方向移動機構6と、俯仰駆動機構8と、揺動駆動機構9と、位相変化手段7との各々のサーボモータ32、35、40、43、47とは、素管Wから成形する製品の形状に応じて、単独でまたは複数を同期させた状態で回転駆動するよう制御される。
【0025】
なお、本発明のスピニング加工装置は、上述した実施の形態に限定されることはなく、例えば、基台20上にX方向移動支持台24を支持し、X方向移動支持台24上にY方向移動支持台22を支持するよう構成することもできる。また、例えば、X方向移動機構4は、素管Wを成形ローラ2の公転軸方向に相対的に移動させることができるよう構成されていればよく、スピンドル台13をX方向に移動させるよう構成することができ、さらには、素管Wを回転させると共に各方向に移動させるよう構成することもできる。
【0026】
次に、本発明のスピニング加工方法を、上述したように構成されたスピニング加工装置を使用して、素管Wから触媒コンバータの触媒容器を成形する場合によって、詳細に説明する。
本発明のスピニング加工方法は、概略、素管Wに対して成形工具である成形ローラ2を相対的に公転させつつ、成形ローラ2の公転径を変化させて素管Wを押圧すると共に、公転軸と平行に素管Wを相対的にX方向に移動させることにより、素管Wを縮管成形するもので、成形する触媒容器の形状に応じて、成形ローラ2の公転軸と直交する一方向(Y方向)に素管Wを相対的に移動させる第一径方向移動工程と、成形ローラ2の公転軸と直交し、且つ、前記一方向(Y方向)と異なる方向(Z方向)に素管Wを相対的に移動させる第二径方向移動工程と、素管Wの、成形ローラ2の公転軸の軸線X方向周りに関する周方向(RX方向)の位相を変化させる位相変化工程と、前記第一径方向移動工程における移動方向(Y方向)の軸線周り(RY方向)に素管Wの姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、前記第二径方向移動工程における移動方向(Z方向)の軸線周り(RZ方向)に素管Wの姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を選択して行うものである。
【0027】
素管Wの両端部を縮径成形して触媒容器とした触媒コンバータを製造するに際しては、最初に、クランプ装置1のクランプ部材15を開かせて、非スピニング加工部位である触媒担体の収容部Waとなる素管Wの略中央がクランプ部材15に保持されるように素管Wを所定の位置に位置決めし、クランプ部材15を閉じて素管Wの中央部を保持する。このときの素管Wは、触媒担体Cに巻回されたマットM(図5を参照)の外径と同じか、またはこれよりもよりもわずかに大きい内径に成形されている。また、スピニング成形を開始するにあたっては、クランプ装置1は、保持された素管Wの中心軸線が成形ローラの公転径の中心軸線であるX方向上に位置するように設定・制御されている。この状態で、スピンドル3を回転駆動して成形ローラ2を公転させると共に、成形ローラ2が素管Wの縮径を開始する位置にくるように、X方向移動機構4のサーボモータ35を回転駆動させ、成形ローラ2を素管Wの保持されていない部位である一方端の縮径を開始する位置に当接させる(図4の(a)を参照)。そして、成形ローラ2の公転径を小さくして素管Wを径方向に押圧しながら、X方向移動機構4によって成形ローラ2を素管Wの端部に向かって相対的に移動させることを繰り返し行って、素管Wの一方端を徐々に縮径し、コーン部Wbと接続部Wcを触媒担体の収容部Waから連続して成形する。
【0028】
このとき、触媒容器の所望される形状が、図4の(b)の右側に示したように、接続部Wcの中心軸線Ccがスピニング加工されない触媒担体の収容部Waの中心軸線Caから水平方向(Y方向)だけでなく垂直方向(Z方向)にオフセットとなる偏心しているものである場合には、成形ローラ2の公転径の縮径およびX方向移動機構による成形ローラ2に対する素管WのX方向への移動とに加えて、水平方向移動機構5による成形ローラ2の公転軸に対して素管Wを水平方向(Y方向)に移動させる第一径方向移動工程と、垂直方向移動機構6による成形ローラ2の公転軸に対して素管Wを垂直方向平方向(Z方向)に移動させる第二径方向移動工程とを同期させて、繰り返しスピニング加工を行う。
【0029】
さらに、触媒容器の所望される形状が、図4の(c)の右側に示したように、接続部の中心軸線Ccがスピニング形成されない触媒担体の収容部の中心軸線Caに対して水平方向(Y方向)と垂直方向(Z方向)の複合した方向に所定の角度を有する状態となる偏角しているものである場合には、クランプ装置1によって把持した素管Wの姿勢を、俯仰駆動機構8により水平なY方向の軸線周りに俯仰させる第一姿勢変化工程と、揺動駆動機構9により垂直なZ方向の軸線周りに揺動させるさせる第二姿勢変化工程とを同期させて繰り返しスピニング加工を行う。そして、必要ある場合には、位相変化手段7により保持した素管Wを周方向に回転させてその位相を変化させる位相変化工程を、上記工程と同期して、または上記工程を行うのと前後して行う。なお、上述した一連の作動は、所定のプログラムに従って制御手段が自動的に行わせる。
【0030】
素管Wの一方端が所望する形状にスピニング加工されると、制御手段は、成形ローラ2を素管Wから退避させ、その後、素管Wの他方端をスピンドル3に向かせるべく、クランプ装置1に素管Wの略中央を保持させたままの状態で、揺動駆動機構9を駆動してクランプ装置1を反転させる。次いで、スピンドル3を回転駆動して成形ローラ2を公転させると共に、成形ローラ2が素管Wの他方端の縮径を開始する位置にくるように、X方向移動機構の4サーボモータ35を回転駆動させ、成形ローラ2を素管Wの保持されていない他方端の縮径を開始する位置に当接させる(図5の(a)を参照)。そして、成形ローラ2の公転径を小さくして素管Wを径方向に押圧しながら、X方向移動機構4によって成形ローラ2を素管Wの端部に向かって相対的に移動させることを繰り返し行って、素管Wの他方端を徐々に縮径し、コーン部Wbと接続部Wcを触媒担体の収容部Waから連続して成形する。なお、触媒コンバータを製造するにあたっては、素管Wの他方端を縮径する前までにはその内部の軸方向略中央に、マットが巻回された触媒担体を挿入する。
【0031】
ここで、触媒容器の他端側の所望される形状が、図5の(b)の左側に示したように、接続部Wcの中心軸線Ccがスピニング加工されない触媒担体の収容部Waの中心軸線Caから水平方向(Y方向)だけでなく垂直方向(Z方向)にオフセットとなる偏心しているものである場合には、成形ローラ2の公転径の縮径とX方向移動機構4による成形ローラ2に対する素管WのX方向への移動とに加えて、水平方向移動機構5による成形ローラ2の公転軸に対して素管Wを水平方向(Y方向)に移動させる第一径方向移動工程と、垂直方向移動機構6による成形ローラ2の公転軸に対して素管Wを垂直方向(Z方向)に移動させる第二径方向移動工程とを同期させて、繰り返しスピニング加工を行う。なお、素管Wの他方端の偏心が一方端と同様で且つ触媒担体の収容部(素管Wの非スピニング加工部)Waの中心軸線Ca周りに関して位相が異なるだけの場合には、他方端のスピニング加工に先だって、位相変化手段7により保持した素管Wを周方向に回転させてその位相を変化させる位相変化工程を行うことにより、その後に一方端と同じプログラムで他方端をスピニング加工することができる。
【0032】
さらに、触媒容器の所望される形状が、図5の(c)の左側に示したように、接続部Wcの中心軸線Ccがスピニング形成されない触媒担体の収容部Waの中心軸線Caに対して水平方向(Y方向)と垂直方向(Z方向)の複合した方向に所定の角度を有する状態となる偏角しているものである場合には、クランプ装置1によって把持した素管Wの姿勢を、俯仰駆動機構8により水平なY方向の軸線周りに俯仰させる第一姿勢変化工程と、揺動駆動機構9により垂直なZ方向の軸線周りに揺動させるさせる第二姿勢変化工程とを同期させて繰り返しスピニング加工を行う。そして、必要ある場合には、位相変化手段7により保持した素管Wを周方向に回転させてその位相を変化させる位相変化工程を、上記工程と同期して、または上記工程を行うのと前後して行う。なお、上述した一連の作動は、所定のプログラムに従って制御手段が自動的に行わせる。
【0033】
図6の(a)と(b)は、本発明より成形された触媒コンバータの触媒容器の異なる方向から見た外観形状の一実施の形態を示すものであり、図6の(c)(d)はその側方から見た外観形状をそれぞれ示したものである。この実施の形態においては、触媒容器の非スピニング加工部位である触媒担体の収容部Waの中心軸線Caに対して両端部のコーン部Wbの中心軸線Cbがそれぞれ所定の角度を有しており、さらに、接続部Wcは、その中心軸線Ccがコーン部Wbの中心軸線Cbと異なる方向および角度となるように偏角成形されている。そして、両コーン部Wbおよび接続部Wcの中心軸線Cb、Ccは、図8に示した従来の技術のように同一平面F上に位置することはなく、三次元的な関係となるように成形されている。
【0034】
図7の(a)と(b)は、本発明より成形された触媒コンバータの触媒容器の異なる方向から見た外観形状の別の実施の形態を示すものである。この実施の形態においても、触媒容器の非スピニング加工部位である触媒担体の収容部Waの中心軸線Caに対して両端部のコーン部Wbの中心軸線Cbがそれぞれ所定の角度を有しており、さらに、接続部Wcは、その中心軸線Ccがコーン部Wbの中心軸線Cbと異なる方向および角度となるように偏角成形されている。そして、両コーン部Wbおよび接続部Wcの中心軸線Cb、Ccは、図8に示した従来の技術のように同一平面F上に位置することはなく、三次元的な関係となるように成形されている。
【0035】
したがって、本発明によりスピニング加工された触媒容器では、両端に夫々形成されるコーン部Wbと接続部Wcの形状の設計自由度が向上し、排気ガスを理想的に触媒容器内の触媒担体に流動させることができるために浄化処理性能が向上し、しかも、触媒コンバータの設置条件に応じて触媒容器を成形することができるために小型化を図ることができる。そして、素管Wの両端を異なる形状にスピニング加工する場合であっても、クランプ装置1から素管Wを外す必要がないため、容易に精度良く素管Wをスピニング加工することができる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、簡単な構成で、素管にコーン部と接続部をそれぞれ任意の方向へ精度良く偏心・偏角成形することができるスピニング加工装置を提供することができる。
請求項2の発明によれば、簡単な構成で、素管にコーン部と接続部をそれぞれ任意の方向へ精度良く偏心・偏角成形することができるスピニング加工方法を提供することができる。
請求項3の発明によれば、設置場所などに応じて任意の形状に精度よく成形されて排気ガスの処理性能が向上した触媒コンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスピニング加工装置の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示したクランプ装置とクランプ支持台の一部縦断正面図である。
【図3】本発明により成形ローラの公転軸に対して素管を相対的に移動させる方向を説明するための斜視図である。
【図4】素管の一方端をスピニング加工して偏心・偏角成形する状態を示した説明図である。
【図5】素管の他方端をスピニング加工して偏心・偏角成形する状態を示した説明図である。
【図6】本発明の触媒コンバータの触媒容器の形状の実施の一形態を示した図である。
【図7】本発明の触媒コンバータの触媒容器の形状の別の実施の形態を示した図である。
【図8】従来の技術により成形された触媒コンバータの触媒容器の形状を示した図である。
【符号の説明】
1 クランプ装置
2 成形ローラ(成形工具)
4 X方向移動機構(公転軸方向移動手段)
5 水平方向移動機構(第一径方向移動手段)
6 垂直方向移動機構(第二径方向移動手段)
7 位相変化手段
8 俯仰駆動機構(第一姿勢変化手段)
9 揺動駆動機構(第二姿勢変化手段)
W 素管
Wa 触媒担体の収容部
Wb コーン部
Wc 接続部
Ca 収容部の中心軸線
Cb コーン部の中心軸線
Cc 接続部の中心軸線
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピニング加工装置、スピニング加工方法、およびこれを用いて製造された触媒コンバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スピニング加工装置は、一般に、素管に対して公転する成形工具と、この成形工具が素管を押圧するよう径方向に成形工具を移動させる成形工具移動手段と、成形工具をその公転軸線方向に相対的に移動させる公転軸方向移動手段とを備えている。
【0003】
そして、このようなスピニング加工装置を用いて素管をスピニング加工し、触媒コンバータの触媒容器を成形する場合には、素管の端部に対して成形工具を相対的に公転させながら径方向に移動させて素管を径方向に押圧しつつ公転軸方向に移動させて、触媒担体の収容部から端部に向かって漸次縮径されたコーン部と、このコーン部の最小径を維持するように端部に筒状に形成された接続部と、を連続して成形する。
【0004】
ところで、触媒コンバータなど、素管をスピニング加工してなる製品では、触媒担体の収容部の中心軸線に対してコーン部と接続部の中心軸線がオフセット(偏心)し、あるいは、所定の角度を形成する(偏角)するよう成形する必要がある場合がある。
【0005】
このように素管を偏心・偏角などさせてスピニング加工するための従来の技術としては、特許文献1が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−25826号公報
【0007】
特許文献1におけるスピニング加工装置は、管素材(素管)の端部の加工目標中心軸(Xe)が管素材の中心軸(Xt)と同一面上にあり、また、管素材の中心軸(Xt)が主軸の中心軸(Xr)に対し、ベースと平行な同一平面上(ベースから同一の高さ)に位置するように構成されていることが記載されている(段落番号0019および0022を参照)。
【0008】
さらに、特許文献1には、管素材の両端部にスピニング加工を行う場合に、その両端部相互の関係が三次元的な製品を製造することについて開示されている(段落番号0054〜0059および図15〜図21を参照)。そして、特許文献1では、かかる場合にクランプ装置の駆動機構に若干変更を加えると共に、チャック装置を付設することが記載されている。
すなわち、特許文献1のクランプ装置は、台に平行な面上で360度回転駆動可能に構成されている。また、チャック装置は、主軸の中心軸と同軸の中心に向かって径方向に移動可能な一対のチャックを備え、このチャックによって管素材を保持した状態で中心軸周りに回転させて割り出し(インデックス)を行い得るように構成されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の技術にあっては、管素材の端部の加工目標中心軸(Xe)および中心軸(Xt)と主軸の中心軸(Xr)とがベースと平行な同一平面上にあるため、図8に示すように、テーパ部(コーン部)Wb’と首部(接続部)Wc’を偏心・偏角成形したときに、各部の中心軸線Ca、Cb、Ccが同一平面F上にあるために成形できる形状が二次元的であり、自由度が低いという問題があった。このようなスピニング加工により触媒コンバータの触媒容器として管素材を成形した場合には、その触媒容器内に排気ガスを理想的に流動させることができず、排気ガスの処理性能を向上させることができないという問題や、触媒コンバータの設置条件に応じて触媒容器を成形することができず小型化を図ることができないなどの問題があった。
【0010】
また、上記特許文献1に記載された従来の技術にあっては、管素材の両端部相互の関係が三次元的な製品を製造するべく両端部にスピニング加工を行う場合に、クランプ装置からチャック装置に管素材を受け渡して中心軸周りに回転させて割り出しをおこない、再度チャック装置からクランプ装置に素材管を受け渡すため、装置の構成が複雑となると共に工程が煩雑となり、また、素材管の軸方向の位置や回転位相に誤差が生じることから成形精度が低下するなどの問題があった。そして、特に、素材管のテーパ部と首部を異なる方向、角度で成形する場合には、テーパ部と首部を成形する毎にクランプ装置とチャック装置の間で素材管を受け渡して割り出しを行う必要があるために、かかる問題が大きくなっていた。
【0011】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、素管にコーン部と接続部をそれぞれ任意の方向へ精度良く偏心・偏角成形することができるスピニング加工装置とスピニング加工方法を提供すると共に、これを用いて触媒容器がその設置場所などに応じて任意の形状に精度よく成形されて排気ガスの処理性能が向上するように製造された触媒コンバータを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1のスピニング加工装置に係る発明は、上記目的を達成するため、素管に対して公転しつつ押圧して素管をスピニング加工するための成形工具を有するスピニング加工装置であって、成形工具をその公転軸方向に素管と相対的に移動させる公転軸方向移動手段と、成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動手段と、成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記第一径方向移動手段による一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動手段と、素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化手段と、前記第一径方向移動手段による移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化手段と、前記第二径方向移動手段による移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化手段と、を備えたことを特徴とするものである。
請求項2のスピニング加工方法に係る発明は、上記目的を達成するため、素管に対して成形工具を相対的に公転させつつ、成形工具の公転径を変化させて素管を押圧すると共に、公転軸と平行に素管を相対的に移動させることにより、素管をスピニング加工する方法であって、成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動工程と、成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動工程と、素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化工程と、前記第一径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、前記第二径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を選択的に行うことを特徴とするものである。
請求項3の触媒コンバータに係る発明は、上記目的を達成するため、素管の内部に触媒担体を収容配置して、該素管の端部をスピニング加工することにより、触媒担体の収容部から端部に向かって漸次縮径されたコーン部と、該コーン部の最小径を維持するように端部に形成された接続部と、が連続して成形されてなる触媒容器を有する触媒コンバータであって、触媒容器が、素管をスピニング加工するにあたり、成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動工程と、成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動工程と、素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化工程と、前記第一径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、前記第二径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を選択的に行うことにより、収容部とコーン部と接続部の中心軸線が任意の方向に変化するよう成形されてなることを特徴とするものである。
【0013】
請求項1の発明では、素管を保持して成形工具を相対的に公転させつつ、成形工具の公転径を変化させて素管を押圧して所望の形状にスピニング加工を行う。
このとき、成形しようとする形状に応じて、公転軸方向移動手段により成形工具をその公転軸方向に素管と相対的に移動させると共に、第一径方向移動手段により成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させることと、第二径方向移動手段により成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記第一径方向移動手段による一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させることと、位相変化手段により素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させることと、第一姿勢変化手段により前記第一径方向移動手段による移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させることと、第二姿勢変化手段により前記第二径方向移動手段による移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させることとを、選択的に単独または複数で同期して行う。また、このようにして素管の一方端をスピニング加工した後に、他方端をスピニング加工する場合には、他方端が成形工具によりスピニング加工され得るように、第一姿勢変化手段または第二姿勢変化手段により素管を反転させる。この場合において、さらに、素管のスピニング加工された一方端の中心軸線と相対的に異なるように他方端をスピニング加工する場合には、位相変化手段により素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる。
請求項2の発明では、素管を保持して成形工具を相対的に公転させつつ、成形工具の公転径を変化させて素管を押圧すると共に、公転軸と平行に素管を相対的に移動させてスピニング加工する。このとき、成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動工程と、成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動工程と、素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化工程と、前記第一径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、前記第二径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を必要に応じて選択的に単独または複数で同期して行うことにより、素管を所望の形状に成形する。そして、このようにして素管の一方端をスピニング加工した後に他方端をスピニング加工する場合においては、他方端を成形工具によりスピニング加工し得るように、第一姿勢変化工程または第二姿勢変化工程を行って素管を反転させる。この場合において、さらに、素管のスピニング加工された一方端の中心軸線と相対的に異なるように他方端をスピニング加工する場合には、位相変化工程を行って、成形工具の公転軸の軸線周りに関する素管の周方向の位相を変化させる。
請求項3の発明では、触媒容器は、素管の両端部をスピニング加工することにより、触媒担体の収容部から端部に向かって漸次縮径されたコーン部と、該コーン部の最小径を維持するように端部に形成された接続部と、を連続して成形されてなる。触媒担体は、素管の両端をスピニング加工する前に素管の略中央に収容・配置されている。そして、触媒容器は、素管をスピニング加工するにあたり、成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動工程と、成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動工程と、素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化工程と、前記第一径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、前記第二径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を必要に応じて選択的に単独または複数で同期して行われており、その結果として、触媒コンバータを設置する場所などの条件に応じて収容部とコーン部と接続部の中心軸線が任意の方向に変化するよう成形されてなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明のスピニング加工装置の実施の一形態を図1〜図3に基づいて詳細に説明する。
本発明のスピニング加工装置は、概略、素管Wを保持するクランプ装置1と、素管Wに対して相対的に公転する成形工具としての成形ローラ2と、成形ローラ2をその公転径を変化可能に支持して素管Wに対して公転駆動させるスピンドル3と、素管Wに対して成形ローラ2をその公転軸方向(図におけるX方向)に相対的に移動させる公転軸方向移動手段としてのX方向移動機構4と、成形ローラ2の公転軸と直交する水平方向(図におけるY方向)に素管Wを相対的に移動させる第一径方向移動手段としての水平方向移動機構5と、成形ローラ2の公転軸と直交する垂直方向(図におけるZ方向)に素管Wを相対的に移動させる第二径方向移動手段としての垂直方向移動機構6と、成形ローラ2の公転軸(X方向)の軸線周りに関する素管Wの周方向(図におけるRX方向)の位相を変化させる位相変化手段7と、水平方向移動手段5による移動方向(Y方向)の軸線周り(図におけるRY方向)に素管Wの姿勢を俯仰変化させる第一姿勢変化手段としての俯仰駆動機構8と、垂直方向移動機構6による移動方向(Z方向)の軸線周り(図におけるRZ方向)に素管Wを反転させると共にその姿勢を所定の角度に変化させる第二姿勢変化手段としての揺動駆動機構9と、を備えている。
なお、ここでいうX、Y、Z方向とは、図1〜図3に示すように、成形ローラ2の公転軸線上に素管Wを配置したときにおける素間Wの中心軸線方向(X方向)、このX方向と直交する水平軸線方向(Y方向)、X方向と直交する垂直軸線方向(Z方向)をそれぞれ意味する。
【0015】
成形ローラ2は、この実施の形態の場合、スピンドル3に一対で設けられ、素管Wの外周面に対して転動するよう支持軸11に従動回転可能に支持されている。支持軸11は、その公転径を変化させる(図1の矢印Pを参照)ことができるよう公転径の変動機構によってスピンドル3の径方向に移動可能に設けられている。スピンドル3は、クランプ装置1を支持するクランプ支持台12と対向するよう配置されるスピンドル台13に回転可能に支持されており、任意の速度で任意の方向に成形ローラ2を回転駆動するようモータなどの駆動手段が接続されている。
【0016】
素管Wを保持するクランプ装置1は、この実施の形態の場合、一対のクランプ部材15、15を備えてなるもので、スピンドル台13と対峙するよう配置されたクランプ支持台12に支持されている。クランプ部材15は、素管Wの外径に応じて半割り状に成形されてなるもので、リング部材16に担持され(図2を参照)、シリンダなどのアクチュエータによって開閉駆動される。また、クランプ部材15を担持するリング部材16は、保持した素管Wの位相をその軸方向周り(RX方向)に変化させることができるよう、クランプ装置本体17に対して回動可能に保持されている。
【0017】
クランプ支持台12は、この実施の形態の場合、基台20上にY方向に延在するように一対のガイドレール21が設けられ、このガイドレール21にY方向移動支持台22が支持され、Y方向移動支持台22上にX方向に延在するように一対のガイドレール23が設けられ、このガイドレール23にX方向移動支持台24が支持され、X方向移動支持台24にZ方向移動支持台25がZ方向に昇降可能に支持され、Z方向移動支持台25のアーム25aにはクランプベース26がY方向の軸線周りに回動する、すなわちX方向に対して俯仰可能に支持されており(図1の矢印RYを参照)、クランプベース26にクランプ装置1がZ方向の軸線周りに回動可能に支持されている(図1の矢印RZを参照)。
【0018】
図2に示すように、第一径方向移動手段としての水平方向移動機構5は、Y方向に延在するガイドレール21と平行に基台20に設けられたボールネジ軸30と、Y方向移動支持台22に設けられてボールネジ軸30に螺合されたボールネジナット31と、ボールネジ軸30に接続されてその軸周りに制御可能に回転駆動するサーボモータ32と、を備えてなる。サーボモータ32によりボールネジ軸30を任意の方向および回転量だけ回転駆動させると、ボールネジナット31が設けられたY方向移動支持台22は、図2の左右方向、すなわちY方向に水平移動される。
【0019】
公転軸方向移動手段としてのX方向移動機構4は、水平方向移動機構5と同様に、X方向に延在するガイドレール23と平行にY方向移動支持台22に設けられたボールネジ軸33と、X方向移動支持台24に設けられてボールネジ軸33に螺合されたボールネジナット34と、ボールネジ軸33に接続されてその軸周りに制御可能に回転駆動するサーボモータ35と、を備えてなる。サーボモータ35によりボールネジ軸33を任意の方向および回転量だけ回転駆動させると、ボールネジナット34が設けられたX方向移動支持台24は、図2の紙面に垂直な方向、すなわちX方向に水平移動される。
【0020】
X方向移動支持台24の内側面には横断平面視でT字形の溝36が形成されており、Z方向移動支持台25にはこの溝36と対応するスライド部材37が設けられている。また、この実施の形態における第二径方向移動手段としての垂直方向移動機構6は、Z方向移動支持台25に設けられたラック38と、X方向移動支持台24に設けられてラック38と噛合するピニオン39が接続されたサーボモータ40とを備えてなる。サーボモータ40を回転駆動させることにより、ピニオン39と噛合するラック38が設けられ、溝36に係合されたスライド部材37が設けられたZ方向移動支持台25は昇降移動される。
【0021】
Z方向移動支持台25のアーム25a、25aは、Y方向に対峙するように一対で形成され、両アーム25a、25aの間にクランプベース26が配置され枢着されている。第一姿勢変化手段としての俯仰駆動機構8は、Z方向移動支持台25のアーム25aに設けられてクランプベース26の枢軸に接続されたサーボモータ41を備えてなる。サーボモータ41を回転駆動することにより、Z方向移動支持台25に回動可能に支持されたクランプベース26がY方向の軸線周り(図におけるRY方向)に俯仰される。
【0022】
クランプベース26の上面には環状ガイド42を介してクランプ装置本体17が支持されている。第二姿勢変化手段としての揺動駆動機構9は、クランプベース26に設けられてクランプ装置本体17の下面に接続されたサーボモータ43を備えてなる。サーボモータ43を回転駆動することにより、環状ガイド42を介してクランプベース26に支持されたクランプ装置1は、Z方向の軸線周りに揺動される。
【0023】
クランプ装置1のクランプ部材15を担持するリング部材16は、ベアリングなどによってX方向の軸線周りに回動可能に支持されている。位相変化手段7は、リング部材16の外周に設けられたウォームホイール45と、このウォームホイール45に噛合されたウォーム46と、ウォーム46を軸周りに回転駆動するサーボモータ47とを備えてなる。サーボモータ47を回転駆動することにより、ウォーム46とウォームホイール45からなるウォームギヤを介して、リング部材16に担持されたクランプ部材15が、すなわちクランプ部材15に保持された素管WがX方向の軸線周りに回動され、その周方向の位相が変化する。
【0024】
そして、本発明のスピニング加工装置は、スピンドル3に設けられた成形ローラ2の公転径の変動機構と、水平方向移動機構5と、X方向移動機構4と、垂直方向移動機構6と、俯仰駆動機構8と、揺動駆動機構9と、位相変化手段7との各々のサーボモータ32、35、40、43、47とは、素管Wから成形する製品の形状に応じて、単独でまたは複数を同期させた状態で回転駆動するよう制御される。
【0025】
なお、本発明のスピニング加工装置は、上述した実施の形態に限定されることはなく、例えば、基台20上にX方向移動支持台24を支持し、X方向移動支持台24上にY方向移動支持台22を支持するよう構成することもできる。また、例えば、X方向移動機構4は、素管Wを成形ローラ2の公転軸方向に相対的に移動させることができるよう構成されていればよく、スピンドル台13をX方向に移動させるよう構成することができ、さらには、素管Wを回転させると共に各方向に移動させるよう構成することもできる。
【0026】
次に、本発明のスピニング加工方法を、上述したように構成されたスピニング加工装置を使用して、素管Wから触媒コンバータの触媒容器を成形する場合によって、詳細に説明する。
本発明のスピニング加工方法は、概略、素管Wに対して成形工具である成形ローラ2を相対的に公転させつつ、成形ローラ2の公転径を変化させて素管Wを押圧すると共に、公転軸と平行に素管Wを相対的にX方向に移動させることにより、素管Wを縮管成形するもので、成形する触媒容器の形状に応じて、成形ローラ2の公転軸と直交する一方向(Y方向)に素管Wを相対的に移動させる第一径方向移動工程と、成形ローラ2の公転軸と直交し、且つ、前記一方向(Y方向)と異なる方向(Z方向)に素管Wを相対的に移動させる第二径方向移動工程と、素管Wの、成形ローラ2の公転軸の軸線X方向周りに関する周方向(RX方向)の位相を変化させる位相変化工程と、前記第一径方向移動工程における移動方向(Y方向)の軸線周り(RY方向)に素管Wの姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、前記第二径方向移動工程における移動方向(Z方向)の軸線周り(RZ方向)に素管Wの姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を選択して行うものである。
【0027】
素管Wの両端部を縮径成形して触媒容器とした触媒コンバータを製造するに際しては、最初に、クランプ装置1のクランプ部材15を開かせて、非スピニング加工部位である触媒担体の収容部Waとなる素管Wの略中央がクランプ部材15に保持されるように素管Wを所定の位置に位置決めし、クランプ部材15を閉じて素管Wの中央部を保持する。このときの素管Wは、触媒担体Cに巻回されたマットM(図5を参照)の外径と同じか、またはこれよりもよりもわずかに大きい内径に成形されている。また、スピニング成形を開始するにあたっては、クランプ装置1は、保持された素管Wの中心軸線が成形ローラの公転径の中心軸線であるX方向上に位置するように設定・制御されている。この状態で、スピンドル3を回転駆動して成形ローラ2を公転させると共に、成形ローラ2が素管Wの縮径を開始する位置にくるように、X方向移動機構4のサーボモータ35を回転駆動させ、成形ローラ2を素管Wの保持されていない部位である一方端の縮径を開始する位置に当接させる(図4の(a)を参照)。そして、成形ローラ2の公転径を小さくして素管Wを径方向に押圧しながら、X方向移動機構4によって成形ローラ2を素管Wの端部に向かって相対的に移動させることを繰り返し行って、素管Wの一方端を徐々に縮径し、コーン部Wbと接続部Wcを触媒担体の収容部Waから連続して成形する。
【0028】
このとき、触媒容器の所望される形状が、図4の(b)の右側に示したように、接続部Wcの中心軸線Ccがスピニング加工されない触媒担体の収容部Waの中心軸線Caから水平方向(Y方向)だけでなく垂直方向(Z方向)にオフセットとなる偏心しているものである場合には、成形ローラ2の公転径の縮径およびX方向移動機構による成形ローラ2に対する素管WのX方向への移動とに加えて、水平方向移動機構5による成形ローラ2の公転軸に対して素管Wを水平方向(Y方向)に移動させる第一径方向移動工程と、垂直方向移動機構6による成形ローラ2の公転軸に対して素管Wを垂直方向平方向(Z方向)に移動させる第二径方向移動工程とを同期させて、繰り返しスピニング加工を行う。
【0029】
さらに、触媒容器の所望される形状が、図4の(c)の右側に示したように、接続部の中心軸線Ccがスピニング形成されない触媒担体の収容部の中心軸線Caに対して水平方向(Y方向)と垂直方向(Z方向)の複合した方向に所定の角度を有する状態となる偏角しているものである場合には、クランプ装置1によって把持した素管Wの姿勢を、俯仰駆動機構8により水平なY方向の軸線周りに俯仰させる第一姿勢変化工程と、揺動駆動機構9により垂直なZ方向の軸線周りに揺動させるさせる第二姿勢変化工程とを同期させて繰り返しスピニング加工を行う。そして、必要ある場合には、位相変化手段7により保持した素管Wを周方向に回転させてその位相を変化させる位相変化工程を、上記工程と同期して、または上記工程を行うのと前後して行う。なお、上述した一連の作動は、所定のプログラムに従って制御手段が自動的に行わせる。
【0030】
素管Wの一方端が所望する形状にスピニング加工されると、制御手段は、成形ローラ2を素管Wから退避させ、その後、素管Wの他方端をスピンドル3に向かせるべく、クランプ装置1に素管Wの略中央を保持させたままの状態で、揺動駆動機構9を駆動してクランプ装置1を反転させる。次いで、スピンドル3を回転駆動して成形ローラ2を公転させると共に、成形ローラ2が素管Wの他方端の縮径を開始する位置にくるように、X方向移動機構の4サーボモータ35を回転駆動させ、成形ローラ2を素管Wの保持されていない他方端の縮径を開始する位置に当接させる(図5の(a)を参照)。そして、成形ローラ2の公転径を小さくして素管Wを径方向に押圧しながら、X方向移動機構4によって成形ローラ2を素管Wの端部に向かって相対的に移動させることを繰り返し行って、素管Wの他方端を徐々に縮径し、コーン部Wbと接続部Wcを触媒担体の収容部Waから連続して成形する。なお、触媒コンバータを製造するにあたっては、素管Wの他方端を縮径する前までにはその内部の軸方向略中央に、マットが巻回された触媒担体を挿入する。
【0031】
ここで、触媒容器の他端側の所望される形状が、図5の(b)の左側に示したように、接続部Wcの中心軸線Ccがスピニング加工されない触媒担体の収容部Waの中心軸線Caから水平方向(Y方向)だけでなく垂直方向(Z方向)にオフセットとなる偏心しているものである場合には、成形ローラ2の公転径の縮径とX方向移動機構4による成形ローラ2に対する素管WのX方向への移動とに加えて、水平方向移動機構5による成形ローラ2の公転軸に対して素管Wを水平方向(Y方向)に移動させる第一径方向移動工程と、垂直方向移動機構6による成形ローラ2の公転軸に対して素管Wを垂直方向(Z方向)に移動させる第二径方向移動工程とを同期させて、繰り返しスピニング加工を行う。なお、素管Wの他方端の偏心が一方端と同様で且つ触媒担体の収容部(素管Wの非スピニング加工部)Waの中心軸線Ca周りに関して位相が異なるだけの場合には、他方端のスピニング加工に先だって、位相変化手段7により保持した素管Wを周方向に回転させてその位相を変化させる位相変化工程を行うことにより、その後に一方端と同じプログラムで他方端をスピニング加工することができる。
【0032】
さらに、触媒容器の所望される形状が、図5の(c)の左側に示したように、接続部Wcの中心軸線Ccがスピニング形成されない触媒担体の収容部Waの中心軸線Caに対して水平方向(Y方向)と垂直方向(Z方向)の複合した方向に所定の角度を有する状態となる偏角しているものである場合には、クランプ装置1によって把持した素管Wの姿勢を、俯仰駆動機構8により水平なY方向の軸線周りに俯仰させる第一姿勢変化工程と、揺動駆動機構9により垂直なZ方向の軸線周りに揺動させるさせる第二姿勢変化工程とを同期させて繰り返しスピニング加工を行う。そして、必要ある場合には、位相変化手段7により保持した素管Wを周方向に回転させてその位相を変化させる位相変化工程を、上記工程と同期して、または上記工程を行うのと前後して行う。なお、上述した一連の作動は、所定のプログラムに従って制御手段が自動的に行わせる。
【0033】
図6の(a)と(b)は、本発明より成形された触媒コンバータの触媒容器の異なる方向から見た外観形状の一実施の形態を示すものであり、図6の(c)(d)はその側方から見た外観形状をそれぞれ示したものである。この実施の形態においては、触媒容器の非スピニング加工部位である触媒担体の収容部Waの中心軸線Caに対して両端部のコーン部Wbの中心軸線Cbがそれぞれ所定の角度を有しており、さらに、接続部Wcは、その中心軸線Ccがコーン部Wbの中心軸線Cbと異なる方向および角度となるように偏角成形されている。そして、両コーン部Wbおよび接続部Wcの中心軸線Cb、Ccは、図8に示した従来の技術のように同一平面F上に位置することはなく、三次元的な関係となるように成形されている。
【0034】
図7の(a)と(b)は、本発明より成形された触媒コンバータの触媒容器の異なる方向から見た外観形状の別の実施の形態を示すものである。この実施の形態においても、触媒容器の非スピニング加工部位である触媒担体の収容部Waの中心軸線Caに対して両端部のコーン部Wbの中心軸線Cbがそれぞれ所定の角度を有しており、さらに、接続部Wcは、その中心軸線Ccがコーン部Wbの中心軸線Cbと異なる方向および角度となるように偏角成形されている。そして、両コーン部Wbおよび接続部Wcの中心軸線Cb、Ccは、図8に示した従来の技術のように同一平面F上に位置することはなく、三次元的な関係となるように成形されている。
【0035】
したがって、本発明によりスピニング加工された触媒容器では、両端に夫々形成されるコーン部Wbと接続部Wcの形状の設計自由度が向上し、排気ガスを理想的に触媒容器内の触媒担体に流動させることができるために浄化処理性能が向上し、しかも、触媒コンバータの設置条件に応じて触媒容器を成形することができるために小型化を図ることができる。そして、素管Wの両端を異なる形状にスピニング加工する場合であっても、クランプ装置1から素管Wを外す必要がないため、容易に精度良く素管Wをスピニング加工することができる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、簡単な構成で、素管にコーン部と接続部をそれぞれ任意の方向へ精度良く偏心・偏角成形することができるスピニング加工装置を提供することができる。
請求項2の発明によれば、簡単な構成で、素管にコーン部と接続部をそれぞれ任意の方向へ精度良く偏心・偏角成形することができるスピニング加工方法を提供することができる。
請求項3の発明によれば、設置場所などに応じて任意の形状に精度よく成形されて排気ガスの処理性能が向上した触媒コンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスピニング加工装置の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示したクランプ装置とクランプ支持台の一部縦断正面図である。
【図3】本発明により成形ローラの公転軸に対して素管を相対的に移動させる方向を説明するための斜視図である。
【図4】素管の一方端をスピニング加工して偏心・偏角成形する状態を示した説明図である。
【図5】素管の他方端をスピニング加工して偏心・偏角成形する状態を示した説明図である。
【図6】本発明の触媒コンバータの触媒容器の形状の実施の一形態を示した図である。
【図7】本発明の触媒コンバータの触媒容器の形状の別の実施の形態を示した図である。
【図8】従来の技術により成形された触媒コンバータの触媒容器の形状を示した図である。
【符号の説明】
1 クランプ装置
2 成形ローラ(成形工具)
4 X方向移動機構(公転軸方向移動手段)
5 水平方向移動機構(第一径方向移動手段)
6 垂直方向移動機構(第二径方向移動手段)
7 位相変化手段
8 俯仰駆動機構(第一姿勢変化手段)
9 揺動駆動機構(第二姿勢変化手段)
W 素管
Wa 触媒担体の収容部
Wb コーン部
Wc 接続部
Ca 収容部の中心軸線
Cb コーン部の中心軸線
Cc 接続部の中心軸線
Claims (3)
- 素管に対して公転しつつ押圧して素管をスピニング加工するための成形工具を有するスピニング加工装置であって、
成形工具をその公転軸方向に素管と相対的に移動させる公転軸方向移動手段と、
成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動手段と、
成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記第一径方向移動手段による一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動手段と、
素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化手段と、
前記第一径方向移動手段による移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化手段と、
前記第二径方向移動手段による移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化手段と、を備えたことを特徴とするスピニング加工装置。 - 素管に対して成形工具を相対的に公転させつつ、成形工具の公転径を変化させて素管を押圧すると共に、公転軸と平行に素管を相対的に移動させることにより、素管をスピニング加工する方法であって、
成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動工程と、
成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動工程と、
素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化工程と、
前記第一径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、
前記第二径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を選択的に行うことを特徴とするスピニング加工方法。 - 素管の内部に触媒担体を収容配置して、該素管の端部をスピニング加工することにより、触媒担体の収容部から端部に向かって漸次縮径されたコーン部と、該コーン部の最小径を維持するように端部に形成された接続部と、が連続して成形されてなる触媒容器を有する触媒コンバータであって、
触媒容器が、素管をスピニング加工するにあたり、
成形工具の公転軸と直交する一方向に素管を相対的に移動させる第一径方向移動工程と、
成形工具の公転軸と直交し、且つ、前記一方向と異なる方向に素管を相対的に移動させる第二径方向移動工程と、
素管の、成形工具の公転軸の軸線周りに関する周方向の位相を変化させる位相変化工程と、
前記第一径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第一姿勢変化工程と、
前記第二径方向移動工程における移動方向の軸線周りに素管の姿勢を変化させる第二姿勢変化工程と、を選択的に行うことにより、収容部とコーン部と接続部の中心軸線が任意の方向に変化するよう成形されてなることを特徴とする触媒コンバータ。
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JP2003165065A JP2005000930A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | スピニング加工装置、スピニング加工方法、およびこれを用いて製造された触媒コンバータ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2003
- 2003-06-10 JP JP2003165065A patent/JP2005000930A/ja active Pending
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