JP2005000821A - 航空機の機体表面の白色を除く着色塗装塗膜に遮熱性を付与する方法 - Google Patents

航空機の機体表面の白色を除く着色塗装塗膜に遮熱性を付与する方法 Download PDF

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Abstract

【構成】航空機の機体外表面に白色を除く着色塗装塗膜を施す際に、塗膜が含有する着色顔料をJIS A5759−1998に規定される日射反射率が13%以上の着色顔料のみで構成すると共に、塗膜の乾燥膜厚が20〜75μmとなるように形成し、且つ、当該塗膜の太陽光吸収率αと垂直放射率εの比α/εの遮熱性付与前後における低減率%が同色よりも向上し白色に近づくように施す航空機の機体表面の白色を除く着色塗装塗膜に遮熱性を付与する方法。
【効果】従来の航空機用塗装と同様の塗装技術、塗装工程を使用して航空機に遮熱性を付与することが可能で、航空機の機体表面の温度上昇を効果的に抑えることができ、航空機の機体構造材料、シール材料などの表面温度を緩和することによる構造材料の好ましくない温度への接近を回避し、機内の電子機器などに対する温度的影響を緩和し、機体が地上にある時に空調機の省エネにも貢献できる等の利点がある。
【選択図】 無し

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機用塗装の熱設計に関し、特に、航空機の機体表面の着色塗装塗膜に遮熱性を付与する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高温地域において、航空機が地上にある時は、太陽光の熱放射により機体外表面は80℃を超える温度に達することがある。この機体表面温度は、航空機の構造材料の材質、サイズ、表面処理方法、塗装の材質、塗膜が同じであれば、同程度の温度である。しかし、塗装される色調が異なれば表面温度が変わる。
【0003】
航空機の構造材料として、軽量化などの観点から、近年アルミニウム合金のような金属材料に限らず、複合材料などが多く使用されるようになった。それらの中でも一般的な樹脂系複合材料は、熱に対して金属材料より敏感であることが多いため、機体の表面温度の上昇は好ましくなく、また、過度の表面温度上昇は、樹脂材料、シール材料などの有機材料の劣化を早めることに繋がる場合がある。
【0004】
上記観点から、機体表面の温度上昇の抑制は重要で、当該機体表面の温度上昇の抑制は、機内の温度上昇の抑制にも繋がり、又、電子機器などへの温度による影響を緩和したり、更には、機体が地上にある時に空調機の省エネにも貢献できる。
機体表面の温度上昇の抑制等の為に、航空機の機体表面には塗装が施される。
当該塗装が、白色に代えて、例えば、灰色とする場合、従来の当該灰色では、カーボンブラックが含有されているからか、時間の経過による到達温度を見てみると、当該温度が短時間に到達する即ち温度上昇が白色に比べて著しいことが判る。同様に、緑色の場合にも、温度上昇が白色に比べて著しいことが判るのである。
又、灰色や緑色の場合、その分光特性を見てみると、白色に比べて太陽熱に対する反射の割合が特に可視光域の波長を超えた範囲の波長領域で低下してくることが判る。
しかし、このように、機体表面の温度上昇を抑制し、分光特性における反射割合の低下を抑さえ航空機用塗装塗膜に、遮熱性を付与できたとしても、本来要求される航空機用塗装における諸物性を変えてしまうことは、本来備わった航空機の性能を低下させてしまうことになり、又、従来の航空機用塗装と同じような塗装工程等を使用して遮熱性を付与できるのでなければ、塗装工程等の大幅な変更を余儀なくされ煩雑となるので、従来の航空機用塗装と同じような塗装工程等を使用して、航空機塗装塗膜に遮熱性を付与することが必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に見られない優れた特長を付加するにもかかわらず、本来の航空機用塗装に要求される諸物性や従来の塗装工程などを変えることなく、航空機用塗装塗膜に遮熱性を付与できる技術を提供することを目的とする。
本発明の他の目的および新規な特徴は以下の明細書及び図面の記載からも明らかになるであろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、航空機の機体外表面に白色を除く着色塗装塗膜を施す際に、当該塗膜が含有する着色顔料をJIS A5759−1998に規定される日射反射率が13%以上の着色顔料のみで構成すると共に、当該塗膜の乾燥膜厚が20〜75μmとなるように形成し、且つ、当該塗膜の太陽光吸収率αと垂直放射率εの比の太陽光吸収率/垂直放射率=α/εの遮熱性付与前後における低減率%が同色よりも向上し白色に近づくように施すことを特徴とする航空機の機体表面の白色を除く着色塗装塗膜に遮熱性を付与する方法に係るものである。
又、本発明の好ましい実施態様は、上記着色塗装塗膜が、遮熱に効果を有する体質顔料を含有してなることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
【0008】
本発明による塗装においては、特定の顔料のみを使用することにより、形成される塗膜に遮熱性を付与する。そのためには、JIS A5759−1998に規定される日射反射率が13%以上の着色顔料のみを選択して使用することが必要である。
【0009】
JIS A5759−1998に規定される日射反射率が13%以上の着色顔料としては、白系顔料としてチタンホワイト、酸化亜鉛系顔料、赤系顔料として酸化鉄系顔料、キナクリドン系顔料、黄色系顔料として水酸化鉄系顔料、クロム酸鉛系顔料、モノアゾ系顔料、青系顔料としてフタロシアニンブルー、複合酸化物系顔料、緑系顔料としてクロムグリーン、フタロシアニングリーン系顔料を例示することができる。必要とする色が、上記着色顔料単独の使用によっては発色できない場合には、上記着色顔料を混色することにより発色させる必要がある。
【0010】
更に、本発明による塗装においては、着色顔料の他に、いわゆる体質顔料と言われる、塗膜物性に寄与する顔料を使用することがあるが、これらの体質顔料も、遮熱性を考慮して選択される。すなわち、シリカ、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウムから選ばれるとよい。
【0011】
本発明による塗装は、従来の航空機用塗装と同様の塗装技術、塗装工程を使用して、航空機に遮熱性を付与することが可能である。
航空機用塗料を構成するに、上記着色顔料や体質顔料に加えて、樹脂、溶剤、添加剤などが使用される。
本発明に使用することができる航空機用塗料の樹脂系としては、2液硬化型ポリウレタン樹脂塗料、湿気硬化型ポリウレタン樹脂塗料、アクリル−ウレタン樹脂塗料、アルキッド樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料等が例示できる。本発明に使用する航空機用遮熱性塗装の塗膜を形成する樹脂は、水系であっても、溶剤系であっても、エマルジョン樹脂であってもよい。水性であるか、ハイソリッド、または他の樹脂系であっても良いが、航空機用として十分な使用実績を有するもの、あるいは、航空機用塗料として必要充分な塗料、塗膜の性能試験を満足する航空機用塗装材料規格の塗装であることが望ましい。
本発明に使用する航空機用遮熱性塗装には、航空機用規格の諸性能及び遮熱効果を低減あるいは無効にしない限りにおいて、従来公知の塗膜を形成するための各種添加剤を使用することができる。分散剤、消泡剤、沈降防止剤、レオロジーコントロール剤等が例示できる。
【0012】
本発明に使用する航空機用遮熱性塗装の塗膜を形成するための塗料は、航空機用一般塗料に使用する従来公知の方法、分散機により製造することができ、特に制限はない。すなわち、ロールミル、ボールミル、高速攪拌機、オープンニーダー、加圧ニーダー、プラネタリーミキサー、アトライター、グレンミル等である。また、バッチ式製造設備であっても、連続式製造設備であっても問題無く製造できる。
【0013】
本発明による航空機用遮熱性塗装を機体に施すには、従来航空機用一般塗料に使用されていた、公知の各種塗装方法が使用できる。すなわち、刷毛塗り、ローラー塗装、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装等が例示できる。航空機に使用されてきた塗装方法、または公知の塗装方法により本発明は実施可能である。
【0014】
本発明に使用する航空機用遮熱性塗料は、航空機の機体胴体部分のみならず、、機首部分及び尾部を含めて、機体外表面全域に塗布することができる。しかし例えば太陽光を直接受ける部位の上半分のみに遮熱性塗装を施すことにより、遮熱性塗膜の重量あるいは遮熱性塗膜の材料、及び施工のコストを軽減することができる。
そこで、本発明による、航空機用遮熱性塗装においては、機体表面に乾燥膜厚にして20μm〜75μm塗装することを必須とする。20μm未満の塗膜であると、航空機用塗料としての諸性能、及び遮熱効果が得られないことがある。75μmを超えて塗膜を形成しても、却って塗膜厚さの増大による重量やコストの増加の点で発明の実施に不利である。なお、20μm〜75μmの最適塗膜厚さにおいては膜厚の設定は任意であり、この範囲において膜厚が遮熱効果に比例することはなく、即ち遮熱効果は膜厚には依存しない。言い換えれば従来の航空機用塗料に求められる塗膜性能に必要な膜厚であれば、遮熱性能も同時に顕現するものである。
【0015】
本発明においては、航空機用塗装に要求される諸物性を変えることなく、遮熱性を付与するものである。
ここに、遮熱性の基準には、太陽光吸収率αと垂直放射率εとの比即ち太陽光吸収率/垂直放射率=α/εの概念が用いられ、この値が最小となるように、同じ材料で色で言えば白に近づくように設計される。
本発明における航空機用塗装においては、当該太陽光吸収率/垂直放射率=α/εの遮熱性付与前後における低減率%が、同色よりも向上し白色に近づくように施すことが必要である。好ましくは、当該低減率%が同色で例えば灰色なら灰色で比較したときに20%以上となるようにする必要がある。
【0016】
本発明に使用する航空機用遮熱性塗装は、遮熱性以外の性能は基礎とする航空機用塗装と同等以上であり、すなわち、スプレー塗装、剥離性など、取扱い及び適用方法については特に変更する必要はなく、また従来法に制限するものでもない。従って、下塗りプライマーも同じプライマーを使用することが可能である。ただし、プライマーの使用は必須ではなく、塗料本体に必要な耐蝕性、密着性を含む諸性能を満足する場合、プライマーは省略できる。
本発明においては、防食性の観点からは、室温硬化型樹脂を主成分とする耐食性プライマーを下塗りに塗装することが好ましい。遮熱性の付与の観点からは、プライマー有無は、影響しない。
機体外表面の、どの箇所に、いかなる色の塗装をほどこすか、といった塗装デザインに関して、従来と同じデザインを実施することも可能であるが、航空機用塗装の熱設計に合致する範囲で、デザインの変更を行うことも無論可能である。
【0017】
以下に、本発明の理解を助けるために具体的な実施例を説明する。言うまでもないが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0018】
【実施例1】
航空機用塗料として、約30年の使用実績を有する酸化チタンとカーボンブラックを含有した艶有り淡灰色ポリウレタン塗料(表1、比較品1)におけるその使用顔料を、JIS A5759−1998に規定される日射反射率が30〜88%の範囲に含まれるフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、黄色酸化鉄、弁柄、酸化チタンによる構成に調製した航空機用遮熱性塗料を、乾燥膜厚50μmにスプレー塗装し、比較品1と同色の艶有り淡灰色の航空機用遮熱性塗装1(表1、本発明品1)を得た。
上記塗膜の太陽光吸収率(α)は、250〜2500nmの波長範囲における分光反射率{R(λ)}を測定し、次の式1により算出した。
【0019】
【式1】
Figure 2005000821
【0020】
又、垂直放射率εは、垂直放射率測定装置により、金属面と黒色塗料の2つの基準面を用い、全赤外反射の垂直成分を測定し、次の式2により算出した。
【0021】
【式2】
Figure 2005000821
表1に示すように、約30年の使用実績を有する淡灰色ポリウレタン塗料(比較品1)におけるその太陽光吸収率と垂直放射率との比即ち太陽光吸収率/垂直放射率=α/ε に対する前記淡灰色の航空機用遮熱性塗料(表1、本発明品1)の太陽光吸収率/垂直放射率=α/εの低減率%は、27%であった。
図1に、上記で得られた分光特性チャートを示した。当該分光特性チャートは、横軸に波長(nm)を、縦軸に分光反射率(%)をプロットし、グラフにて両者の関係を示してある。
上記航空機用遮熱性塗装1について、航空機用塗装規格のMILーPRF−85285に準拠して諸物性を測定し、表2にその結果を示した。
又、図2に示すレフランプ照射試験方法に準拠して、レフランプ照射試験を行った。当該レフランプ照射試験方法は、図2に示すように、試験板1を載置台2に載せ、直上18cmよりレフランプ(300w)3を当該試験板1に光を照射し、当該試験板1の裏面の温度上昇を温度センサー4で測定し、温度上昇が飽和状態に到達した時点を到達温度とした。
図3に、横軸に時間(分)を、縦軸に上記到達温度をプロットし、グラフ化した図を示した。
又、表2に、レフランプ照射試験の結果を示した。
尚、図1及び図3には、後述の参考基準例の白色塗装を基準として、上記比較品1と本発明品1とを対比して示してある。
【0022】
【実施例2】
航空機用塗料としての一般的性能を有する艶消し緑色ポリウレタン塗料(表1、比較品2)における使用顔料を、JIS A5759−1998に規定される日射反射率が30〜88%の範囲に含まれるフタロシアニングリーン、黄色酸化鉄、酸化チタンによる構成に調製した航空機用遮熱性塗料を、乾燥膜厚50μmにスプレー塗装し、前記比較品2と同色の艶有り緑色の航空機用遮熱性塗装2(表1、本発明品2)を得た。
上記航空機用遮熱性塗装2について、実施例1と同様にして、αS、ε を測定し、α/ε を算出し、表1にその結果を示した。比較品2に対する本発明品2の太陽光吸収率/垂直放射率=α/εの低減率%は、20%であった。
実施例1と同様にして、諸物性を測定し、表2にその結果を示した。又、実施例1と同様にして、レフランプ照射試験を行った。その結果を、表2に示した。
【0023】
【実施例3】
航空機用塗料としての一般的性能を有するカーボンブラックを含有した艶有り黒色のポリウレタン塗料(表1、比較品3)における使用顔料を、JIS A5759−1998に規定される日射反射率が30〜88%の範囲に含まれるフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、モノアゾイエローによる構成に調製した航空機用遮熱性塗料を、乾燥膜厚50μmにスプレー塗装し、黒色相当色{マンセル値N−1.3〜N−2.0:測定法はJIS Z8761 6.(1)に準拠}の航空機用遮熱性塗装3(表1、本発明品3)を得た。
上記航空機用遮熱性塗装3について、実施例1と同様にして、αS、εを測定し、α/εを算出し、表1にその結果を示した。比較品3に対する本発明品3の太陽光吸収率/垂直放射率=α/εの低減率%は、14%であった。
実施例1と同様にして、諸物性を測定し、表2にその結果を示した。又、実施例1と同様にして、レフランプ照射試験を行った。その結果を、表2に示した。
【0024】
【参考基準例】
航空機用塗料として、一般的性能を有するポリウレタン塗料をオリジナルのまま使用して、艶有り白色の航空機用塗料を使用し、航空機用塗装4を得た。
当該艶有り白色の航空機用塗料は、その着色顔料が、JIS A5759−1998に規定される日射反射率が13%以上の顔料で構成されており遮熱性が既に付与されているので、当該白色の航空機用塗装4を、前記比較品や本発明品の参考基準とした。
【0025】
【表1】
Figure 2005000821
【0026】
【表2】
Figure 2005000821
表2において、諸物性の試験項目における要求基準は、次の通りである。
耐候性:キセノンアーク500時間促進暴露後、艶有光沢80以上のこと。
耐食性:5%塩水噴霧1000時間後の腐食は3.2mm以内のこと。
耐熱性:121℃、1時間加熱後、変色のないこと。
耐低温性:49℃、100%RH30日暴露後ブリスターのないこと。
耐衝撃性:IG−1100ガードナー衝撃試験で40%以上のこと。
柔軟性:−51℃で艶有り色は、25.4mm径の曲げでクラックを生じないこと。
耐油性:航空機用潤滑油、作動油、燃料に耐えること。
耐薬品性:MEKで50回擦ったとき基材が露出しないこと。
密着性:水に24時間浸漬後のウエットテープテストで剥がれのないこと。
剥離性:規定のリムーバーで規定時間以内に剥離できること。
【0027】
図1に示す分光特性チャートからも判るように、本発明品1は、可視光域では、比較品1と殆んど差異はないが、当該可視光域を超えた光域では、比較品1は反射率が低下してくるのに対して、本発明品1は、その低下が緩く、参考基準の白色の航空機用塗装4に近いことが判る。
又、図3に示すように、比較品1の灰色は、10分で58℃に到達してそのまま58℃の高い温度となっているのに対して、本発明品1は、10分で41℃にしか到達せず、時間が経過しても略当該41℃を保持し、参考基準の白色の航空機用塗装4に近いことが判る。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、航空機の機体表面における太陽光からの入熱を低減し、航空機の機体表面の温度上昇を効果的に抑えることができ、また、近年その適用が進む複合材料においてはより好ましい熱設計が可能となる。あるいは、有機材料の表面温度の上昇を抑制することによりシール材料など有機材料の劣化の促進を緩和することができる。また、機体内部の温度上昇を抑制することに繋がるため、機内の電子機器などに対する温度的影響を緩和することができる。
しかも、従来公知の塗装材料製造設備、塗装設備、塗装技術をそのまま使用可能であり、その上で従来は不可能であった、極端に表現すれば黒色調を白色調に変更するのと同様の、効果的な航空機の外表面における熱制御を実現したものである。これは、例えば従来塗料により濃色に塗装された外表面板が、機体が地上にいるとき太陽熱の温度上昇の影響により、過度に反ってしまったとすると、本発明による同じ色調の航空機用遮熱性塗装に変更した時は、あたかも従来の淡色に塗装したのと同様に、機体外表面板のしわ、反りが減少するという効果が期待できるものである。
本発明になる航空機用遮熱性塗装は、航空機に更なる重量の増加を強いることなく、効果的に航空機の外表面の構造材料に遮熱効果を付与できるものである。機体表面への熱エネルギー自体を反射するため、塗膜表面の温度上昇を抑制することが可能である。このため、航空機の機体構造材料、シール材料などの表面温度を緩和することによる構造材料の好ましくない温度への接近の回避、有機材料の過度な温度による劣化促進の緩和、薄板材料の反りの減少に役立つのみならず、機内の温度上昇を抑制することができるため、電子機器などの温度による影響を緩和、あるいは機体が地上にいるときの空調機運転の省エネルギー貢献に繋がるものである。この発明には従来の塗装設備、塗装作業者により対応が可能なため、本発明の実施に必要な新規コストは非常に低い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の作用効果を示す分光特性チャート図である。
【図2】図2は、レフランプ照射試験方法の説明図である。
【図3】図3は、本発明の作用効果を示すレフランプ照射試験結果のグラフ図である。
【符号の説明】
1…試験板
2…載置台
3…レフランプ
4…温度センサー

Claims (2)

  1. 航空機の機体外表面に白色を除く着色塗装塗膜を施す際に、当該塗膜が含有する着色顔料をJIS A5759−1998に規定される日射反射率が13%以上の着色顔料のみで構成すると共に、当該塗膜の乾燥膜厚が20〜75μmとなるように形成し、且つ、当該塗膜の太陽光吸収率αと垂直放射率εの比の太陽光吸収率/垂直放射率=α/εの遮熱性付与前後における低減率%が同色よりも向上し白色に近づくように施すことを特徴とする航空機の機体表面の白色を除く着色塗装塗膜に遮熱性を付与する方法。
  2. 着色塗装塗膜が、遮熱に効果を有する体質顔料を含有してなることを特徴とする、請求項1に記載の航空機の機体表面の白色を除く着色塗装塗膜に遮熱性を付与する方法。
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