JP2005000498A - 棺桶用防腐装置及び棺桶 - Google Patents
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Abstract
【課題】遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を徐散する薬剤を用いて遺体の保存を行う棺桶用防腐装置を提供することを課題とする。
【解決手段】棺桶用防腐装置Sは、ケース1と、ケース1の内部に収容され、空気より比重の重い防腐成分を徐散するタブレット9、及び防腐成分の徐散を活性化させるための水W又は液状薬剤Lを含浸した脱脂綿10を有して主に構成されている。また、ケース1は、通気孔4b,4b’を有し上面が開口している円柱形状のケース本体3と、通気孔4a,4a’を有しケース本体3の開口端を閉塞する円盤状のカバー2と、カバー2から突出して設けられた四角柱状の突部7とを有して主に構成されている。さらに、突部7の突端面14には両面粘着テープ8が設けられており、これにより棺桶用防腐装置Sを棺桶の蓋体の裏面等に取着することが可能となっている。
【選択図】 図2
【解決手段】棺桶用防腐装置Sは、ケース1と、ケース1の内部に収容され、空気より比重の重い防腐成分を徐散するタブレット9、及び防腐成分の徐散を活性化させるための水W又は液状薬剤Lを含浸した脱脂綿10を有して主に構成されている。また、ケース1は、通気孔4b,4b’を有し上面が開口している円柱形状のケース本体3と、通気孔4a,4a’を有しケース本体3の開口端を閉塞する円盤状のカバー2と、カバー2から突出して設けられた四角柱状の突部7とを有して主に構成されている。さらに、突部7の突端面14には両面粘着テープ8が設けられており、これにより棺桶用防腐装置Sを棺桶の蓋体の裏面等に取着することが可能となっている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、棺桶用防腐装置及び棺桶に関するものであり、特に、棺桶に遺体を安置する際に、薬剤を用いて遺体の保存が可能な棺桶用防腐装置及び棺桶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、棺桶に遺体を安置して保存するために、冷却剤であるドライアイスが広く用いられている。一般的に、通夜から遺体の火葬又は埋葬までには数日間を要する。その間、遺体の腐敗を抑えることが望まれる。そこで、ドライアイスを、棺桶の内部に安置されている遺体の近傍に多数載置すると、ドライアイスが昇華し、ガス成分が拡散して遺体の周りを覆うことにより、遺体が低温状態に維持される。その結果、遺体の腐敗の進行が防止され、遺体の腐敗に伴う異臭の発生が抑えられる。
【0003】
一方、遺体の火葬又は埋葬までの間、棺桶に安置された遺体を、ドライアイスを用いることなく常温で保存するものとして、袋体に収容された殺菌剤や、通気性素材に個別包装された防腐剤のペレット体等が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらによると、所定量の殺菌剤或いは防腐剤(以下、殺菌剤)により、例えば数日間という期間、継続して遺体の保存が可能であるとされている。したがって、ドライアイスを使用する場合のように、遺体を保存する数日間、何度も殺菌剤を補充する必要がないため、より簡易な作業で遺体の保存が可能であるとされている。さらに、上述の殺菌剤を使用して常温で保存した遺体を火葬する場合は、ドライアイスで冷却して保存した遺体を低温から高温にして火葬する場合に比べて、焼却に必要なエネルギーを低減することが可能である。したがって、遺体の焼却がより効率的となり、焼却炉を傷めることもないとされている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−72501号公報
【特許文献2】
登録実用新案第3061911号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の殺菌剤は、遺体の近傍に載置するものであったため、特に空気より重い殺菌剤の成分は、棺桶の内部空間の主に下方に滞留し易かった。すなわち、係る殺菌剤の成分が、棺桶の内部空間にわたって遺体を十分に覆うように拡散することは期待できなかった。したがって、遺体の腐敗の防止を十分に行うことは困難であった。また、殺菌剤が収容された袋体を遺体の近傍に載置すると見映えが悪くなり、葬儀の厳かな雰囲気が損なわれるという問題があった。
【0006】
そのため、殺菌剤の成分が棺桶の内部空間にわたって十分に拡散されて遺体の保存が可能な器具が、葬儀業者等の関係者から望まれていた。また、係る器具を用いることによって、葬儀の厳かな雰囲気が損なわれないことが同時に期待されていた。
【0007】
そこで、本発明は上述の実情に鑑み、遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を、棺桶の内部空間にわたって十分に拡散させることにより遺体の保存が可能となり、しかも葬儀の厳かな雰囲気を損なうことのない棺桶用防腐装置及び棺桶を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明に係る棺桶用防腐装置は、「空気より比重の重い性状を有し、閉塞された棺桶の内部空間に拡散し、遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を徐散する薬剤と、前記薬剤を収容可能な空間が設けられ、前記防腐成分が通気可能な通気孔を有する筐体と、前記薬剤が収容された前記筐体を、前記棺桶の蓋体の裏面、及び前記棺桶の内側面の上方近傍の少なくともいずれか一方に取着可能な取着手段と」を具備して主に構成されている。
【0009】
ここで薬剤とは、細菌、バクテリア等の細胞を分解して死滅させる、所謂「殺菌剤」、「抗菌剤」の化合物又はそれらの混合物であり、係る薬剤の形状としては、タブレット、ペレット、粉末のような固形物状やゲル状を挙げることができる。また、防腐成分とは、上述の薬剤に含まれる成分が、昇華、蒸散、蒸発したガス状の物質である。また、薬剤から徐散される防腐成分が通気可能な通気孔の大きさは、特に限定されないが、薬剤を筐体の内部に収容するためには、当然ながら薬剤の大きさ以下のものであることが望ましく、通気孔の数は、防腐成分の拡散が行われ易いように多数設けられていることが望ましい。また、薬剤が収容された筐体を取着する取着手段としては、例えば筐体と棺桶の間に両面粘着テープを介してテープの粘着力により取着するものや、くぎを筐体と棺桶に直接打付けて取着するもの等を挙げることができる。
【0010】
したがって、本発明に係る棺桶用防腐装置によれば、使用者は、棺桶用防腐装置を、取着手段により例えば棺桶の蓋体の裏面に取着し、棺桶の本体の開口部を蓋体により閉塞する。この状態において、棺桶用防腐装置は遺体の上方に位置する。ここで、薬剤から徐散される防腐成分は、筐体に設けられた通気孔を通過して、閉塞された棺桶の内部空間に拡散される。係る防腐成分は空気より比重が重いため、次第に棺桶の内部空間の下方に滞留される。一方、筐体に収容されている薬剤からは防腐成分が随時徐散される。その結果、棺桶の内部空間に防腐成分が充満し、遺体の周りが防腐成分で覆われる。このため、遺体の腐敗の進行が防止され、遺体の保存が可能となる。なお、棺桶用防腐装置を取着する位置は、棺桶の内側面の上方近傍であっても構わない。この場合も、遺体の上方から薬剤の防腐成分が徐散されるため、棺桶用防腐装置を棺桶の蓋体の裏面に取着した場合と同様の作用を奏することが可能となる。
【0011】
また、棺桶用防腐装置は、棺桶の蓋体の裏面、又は棺桶の内側面の上方近傍に取着されるため、従来の、遺体の近傍に載置された殺菌剤に比べて目立ち難くなる。その結果、遺族や葬儀の参列者は、違和感を覚えることが少なくなる。したがって、葬儀の厳かな雰囲気が損なわれ難くなる。
【0012】
また、本発明に係る棺桶用防腐装置は、上記構成に加え、「前記薬剤は、水、又は前記防腐成分を含有する液状薬剤と接することにより、前記防腐成分の徐散を活性化する性質を呈し、前記筐体の前記空間に収容され、前記水又は前記液状薬剤の少なくともいずれか一方を含浸可能な含浸手段」をさらに具備するものであっても構わない。
【0013】
ここで、液状薬剤とは、上述の薬剤と同一の防腐成分を含有し、係る防腐成分を徐散させるように調製された液体状の物質である。また、水又は液状薬剤を含浸可能な含浸手段としては、例えば、脱脂綿やガーゼのようなコットン素材や、樹脂製の袋体等を挙げることができる。
【0014】
したがって、本発明に係る棺桶用防腐装置によれば、使用者は、水又は液状薬剤を含浸手段に含浸させ、薬剤とともに筐体の内部に収容する。薬剤が、含浸手段に含浸されている水又は液状薬剤と接触することにより、防腐成分の徐散が活性化される。その結果、防腐成分が棺桶の内部空間に拡散される量が増加する。したがって、より多量の防腐成分により遺体の腐敗が防止されて、遺体の保存が可能となる。なお、含浸手段が収容されている筐体には通気孔が設けられている。そのため、棺桶用防腐装置が取着された状態で、筐体の外部から例えばスプレーや注射器を用い、通気孔を通して、含浸手段に水又は液状薬剤を追加して含浸させることが可能である。これにより、防腐成分の徐散量をさらに増加させ、短時間で遺体の腐敗を防止する効果を得ることができる。
【0015】
また、本発明に係る棺桶用防腐装置は、上記構成に加え、「前記筐体は、断面略凹状を呈し、少なくとも一部が開口した開口端を有し、前記取着手段は、前記筐体の開口端面に設けられていること」を特徴とするものであっても構わない。
【0016】
したがって、本発明に係る棺桶用防腐装置によれば、使用者は、凹状の筐体の窪みに、薬剤や含浸手段を容易に収容することができる。また、簡易な構成で、棺桶の蓋体の裏面、及び棺桶の内側面の上方近傍に筐体を取着可能となっている。これにより、容易に、開口端が閉塞され、薬剤や含浸手段を収容する空間が形成可能となっている。
【0017】
また、本発明に係る棺桶用防腐装置は、上記構成に加え、「前記筐体は、断面略凹状を呈し、少なくとも一部が開口した開口端を有する収容本体と、略平板状を呈し、前記収容本体の前記開口端を略閉塞することにより、前記薬剤が収容される前記空間を形成可能で、前記通気孔が設けられた通気閉塞板と、前記開口端を閉塞した前記通気閉塞板の、前記空間から離間する側の板面に、突出して設けられた突部とを具備し、前記取着手段は、前記突部の突端面に設けられていること」を特徴とするものであっても構わない。
【0018】
したがって、本発明に係る棺桶用防腐装置によれば、棺桶用防腐装置が、棺桶の蓋体の裏面、及び棺桶の内側面の上方近傍に取着された状態において、係る通気閉塞板は、突部の高さに相当する距離の分、棺桶から離れて位置する。そのため、通気閉塞板は棺桶と非接触の状態となり、通気閉塞板に設けられている通気孔は、棺桶によって塞がれない。これにより、防腐成分が通気可能な面積を増加させることができ、薬剤の防腐成分を効率よく拡散させることが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る棺桶用防腐装置は、上記構成に加え、「前記筐体は、木製で形成されていること」を特徴とするものであっても構わない。
【0020】
したがって、本発明に係る棺桶用防腐装置によれば、一般に多く用いられている木製の棺桶に対して木製の筐体を用いるため、遺族や葬儀の参列者は、係る筐体が視界に入っても違和感を覚えることがより少なくなる。そのため、葬儀の厳かな雰囲気がより損なわれ難くなる。また、当然のことながら木製の筐体は天然の素材から形成されていることから、焼却しても有毒ガスが発生する可能性は低く、また埋葬されても土壌が汚染される原因となる物質が発生することもほとんどない。
【0021】
また、本発明に係る棺桶は、「上面に開口した開口部を有し、内部に遺体を収容可能な本体と、前記本体の前記開口部を閉塞可能な蓋体とを具備する棺桶であって、空気より比重の重い性状を有し、閉塞された前記棺桶の内部空間に拡散し、遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を徐散する薬剤を取付る薬剤取付手段が、前記本体の内側面の上方近傍、及び前記蓋体の裏面の少なくともいずれか一方に設けられていること」を特徴として主に構成されている。
【0022】
ここで、薬剤取付手段としては、棺桶の蓋体の裏面、及び棺桶の内側面の上方近傍の少なくともいずれか一方に穿設された凹状部に薬剤を収容し、係る凹状部をシートによって閉塞することにより薬剤を取付可能に構成されるものや、薬剤を直接取付可能な粘着テープ等を挙げることができる。
【0023】
したがって、本発明に係る棺桶によれば、薬剤取付手段により、例えば棺桶の蓋体の裏面に取付られた薬剤から徐散された防腐成分が、閉塞した棺桶の内部空間に拡散される。その結果、棺桶の内部空間に防腐成分が充満し、遺体の周りが防腐成分で覆われる。このため、遺体の腐敗の進行が防止され、遺体の保存が可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一実施形態である棺桶用防腐装置Sについて、図1乃至図4に基づいて説明する。ここで、図1は第一実施形態である棺桶用防腐装置Sの構成を示す斜視図であり、図2は棺桶用防腐装置Sの構成を示す分解斜視図であり、図3は棺桶用防腐装置Sの使用状態を示す斜視図であり、図4は棺桶用防腐装置Sの使用状態を示す断面図である。
【0025】
第一実施形態の棺桶用防腐装置Sは、図1乃至図3に示すように、木製で形成されているケース1と、ケース1の内部に収容される四個のタブレット9、及び水W又は液状薬剤Lを含浸可能な脱脂綿10とを有して主に構成されている。ここで、タブレット9は、遺体の防腐が可能で空気より比重が重い塩素系ガスを徐散する成分から主に構成されており、水W又は液状薬剤Lと接触することにより係る塩素系ガスの徐散を活性化する性質を有している。なお、上述の塩素系ガスが図4における防腐成分15に相当する。また、タブレット9は、常温で放置した状態で、防腐成分15を徐散するため、使用前は樹脂製の袋体(図示しない)に密封されて保管されている。
【0026】
さらに、第一実施形態におけるケース1について詳細に説明すると、ケース1は、円盤状の底面部3b、及び底面部3bの周縁から略垂設された側面部3aにより円柱形状に形成されて、上面が開口し凹状を呈しているケース本体3と、ケース本体3の開口端を閉塞する円盤状のカバー2と、カバー2の板面に垂設される四角柱状の突部7とを有して主に構成されている。また、ケース本体3の底面部3bには、同心円を描く円周上に複数の通気孔4bが、側面部3aには、互いに並行に複数の通気孔4b’がそれぞれ設けられている。また、カバー2の、突部7の周囲には複数の通気孔4aが、周縁近傍には複数の通気孔4a’がそれぞれ設けられている。係る通気孔4b,4b’,4a,4a’により、タブレット9から徐散される防腐成分15が、ケース1から棺桶Kの内部空間に徐散可能となっている。
【0027】
さらに、突部7の突端面14には両面粘着テープ8が取付られており、これにより、棺桶用防腐装置Sを棺桶Kの蓋体12の裏面12a、及び内側面19の上方近傍に取着可能となっている。また、ケース本体3の開口端には、一対の掛止鉤5が、一方、カバー2の周縁の近傍には、掛止鉤5に対応する位置に掛合可能に形成された一対の掛止孔6がそれぞれ設けられている。係る掛止鉤5と掛止孔6が掛合されて、カバー2とケース本体3によって開口端が閉塞されることにより、タブレット9及び脱脂綿10を収容する収容空間Pが形成可能となっている。なお、上述のカバー2が本発明における通気閉塞板に相当し、ケース本体3が本発明における収容本体に相当し、カバー2とケース本体3により主に構成されるケース1が本発明における筐体に相当し、収容空間Pが本発明における空間に相当し、タブレット9が本発明における薬剤に相当し、脱脂綿10が本発明における含浸手段に相当し、両面粘着テープ8が本発明における取着手段に相当する。
【0028】
次に、第一実施形態における棺桶用防腐装置Sの使用方法について、図3及び図4に基づいて説明する。使用者は、ケース1のケース本体3に、四個のタブレット9と、水W又は液状薬剤Lを含浸させた脱脂綿10を入れ、掛止鉤5と掛止孔6を掛合して、ケース本体3の開口端をカバー2により閉塞する。これにより、タブレット9と脱脂綿10が収容された収容空間Pが形成される。ここで、タブレット9と脱脂綿10は互いに接触した状態で収容空間Pに収容されている。つづいて、突部7の突端面14に設けられた両面粘着テープ8の保護シート(図示しない)を剥がして接着面を露出させ、係る棺桶用防腐装置Sを棺桶Kの蓋体12の裏面12aに取着する。本実施形態では、図3に示すように、三個の棺桶用防腐装置Sを、棺桶Kの蓋体12の裏面12aに取着している。つづいて、遺体13が安置された本体11の開口部を蓋体12により閉塞する。この状態で、棺桶用防腐装置Sは遺体13の上方に位置している。
【0029】
ここで、遺体13の上方に位置する棺桶用防腐装置Sのタブレット9からは防腐成分15が徐散され、ケース1の内部空間Pから通気孔4a,4a’,4b,4b’を通過して、棺桶Kの内部空間を下降しながら拡散される。さらに、タブレット9が、水W又は液状薬剤Lを含浸した脱脂綿10と接触しているため、防腐成分15の徐散が活性化される。拡散された防腐成分15は、遺体13の周りを覆い、これにより遺体13の腐敗の進行が阻害され、遺体13の保存が可能となる。なお、棺桶用防腐装置Sを取着する位置は、本体11の内側面19の上方近傍(図3のS’参照)であってもよい。この場合も、防腐成分15は遺体13の上方から徐散される。したがって、棺桶用防腐装置Sを、棺桶Kの蓋体12の裏面12aに取着した場合と同様の効果を得ることが可能となる。
【0030】
以上、第一実施形態の棺桶用防腐装置Sによれば、遺体13が安置された棺桶Kの内部空間にタブレット9の防腐成分15を遺体13の上方から十分に拡散させることにより、遺体13の保存が可能となる。また、棺桶用防腐装置Sを、蓋体12の裏面12a等に取着するため、従来の、殺菌剤を遺体の近傍に載置する場合に比べて目立ち難く、したがって、遺族や葬儀の参列者は、違和感を覚えることが少なくなる。その結果、葬儀の厳かな雰囲気が損なわれ難くなる。
【0031】
次に、本発明の第二実施形態である棺桶K’について、図5乃至図7に基づいて説明する。ここで、図5は第二実施形態である棺桶K’の構成を示す斜視図であり、図6は棺桶K’の蓋体22の構成を示す模式図であり、図7は棺桶K’の蓋体22の一部を示す断面図である。なお、説明を簡略化するため、第一実施形態の棺桶用防腐装置Sにおいて示した棺桶Kと略同一の機能及び構成を有するものは、同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0032】
第二実施形態の棺桶K’は、図5に示すように、遺体13が安置される本体21と、本体21の開口部を閉塞可能な蓋体22とによって主に構成されている。また、蓋体22の裏面12aに、タブレット9を収容可能に直方体状に穿設された凹部16と、多数の通気孔20を有して、凹部16を閉塞可能な通気シート18と、通気シート18を蓋体22の裏面12aに取着可能な両面粘着テープ17とにより、タブレット9を棺桶K’に取付ることが可能となっている。ここで、通気シート18は、本体21の開口部が蓋体22によって閉塞された際、タブレット9が遺体13の上方から遺体13に向かって落下しないように凹部16を閉塞するものである。また、通気シート18に多数の通気孔20が設けられており、タブレット9より徐散される防腐成分15が、通気孔20を通過して凹部16の内部から棺桶K’の内部空間に拡散可能となっている。なお、本実施形態における凹部16と、通気シート18と、両面粘着テープ17とが本発明における薬剤取付手段に相当する。
【0033】
次に、第二実施形態における棺桶K’の使用方法について説明する。図5乃至図7に示すように、使用者は、棺桶K’の蓋体22の裏面12aに穿設された凹部16に四個のタブレット9を入れ、両面粘着テープ17を介して通気シート18を裏面12aに貼設することにより、係る凹部16を閉塞する。つづいて、遺体13が安置された本体21の開口部を蓋体22によって閉塞する。ここで、タブレット9から徐散される防腐成分15は、通気シート18に設けられた通気孔20を通過して、閉塞された棺桶K’の内部空間に拡散され、遺体13の周りを覆うことにより、遺体13の保存が可能となる。なお、図5に示すように、薬剤取付手段(凹部16、両面粘着テープ17、通気シート18)は、本体21の内側面19の上方近傍に設けられていてもよい。この場合でも、遺体13の上方から防腐成分15がタブレット9により徐散されるため、薬剤取付手段(凹部16、両面粘着テープ17、通気シート18)を蓋体22の裏面12aに設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0034】
したがって、第二実施形態の棺桶K’によると、上述の第一実施形態の棺桶用防腐装置Sを用いる場合と同様の作用を奏することにより、遺体13の保存が可能となる。また、タブレット9を収容するためのケース1が不要であるため、タブレット9が収容されている状態をより目立たないようにすることができる。その結果、葬儀の雰囲気をより損なわせないことが可能となる。
【0035】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0036】
すなわち、第一及び第二実施形態の薬剤として、防腐成分15を徐散するタブレット9を示したが、これに限定されるものではなく、さらに加えて、例えば、異臭の有機成分を分解して無臭化する消臭成分を徐散する性質を有していても構わない。これによって、遺体13の腐敗を防止するのみならず、遺体13から発生した異臭を分解し無臭化することが可能となる。また、使用するタブレット9の個数は、第一及び第二実施形態に限定されるものではなく、遺体13の状況等の使用環境によって適宜変更しても構わない。例えば、タブレット9と、上述の、消臭成分をさらに徐散する薬剤とを併せて用いても構わない。さらには、夏場など、遺体13の腐敗が進行し易い時期においては、棺桶用防腐装置S或いは棺桶K’を、従来用いられているドライアイスと併せて使用してもよい。これにより、短時間で遺体13の腐敗防止の効果を得ることが可能となる。
【0037】
また、第一実施形態の棺桶用防腐装置Sのケース1は、木製により形成されているものを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、紙製或いはプラスチック製のケースであっても構わない。
【0038】
さらに、第一実施形態の棺桶用防腐装置Sを、例えばバスやタクシーの車内ので使用することも可能である。係る車内は、不特定多数の人が利用する閉塞された空間であるため、運転手及び乗客の間で病原菌の感染が起こり易い状況にある。そこで、棺桶用防腐装置Sを使用すると、タブレット9から徐散される防腐成分15により、係る病原菌を死滅させることができる。したがって、バスやタクシーの運転手及び乗客は、病原菌に感染することを免れ、安心して乗車することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る棺桶用防腐装置及び棺桶によると、薬剤を用いて、遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を棺桶の内部空間にわたって十分に拡散させ、遺体を保存することが可能である。また、その際、葬儀の厳かな雰囲気を損わせないようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態である棺桶用防腐装置の構成を示す斜視図である。
【図2】棺桶用防腐装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】棺桶用防腐装置の使用状態を示す斜視図である。
【図4】棺桶用防腐装置の使用状態を示す断面図である。
【図5】第二実施形態である棺桶の構成を示す斜視図である。
【図6】棺桶の蓋体の構成を示す模式図である。
【図7】棺桶の蓋体の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ケース(筐体)
2 カバー(通気閉塞板)
3 ケース本体(収容本体)
3a 側面部
3b 底面部
4a,4a’,4b,4b’,20 通気孔
7 突部
8,17 両面粘着テープ(取着手段、薬剤取付手段)
9 タブレット(薬剤)
10 脱脂綿(含浸手段)
11,21 本体
12,22 蓋体
12a 裏面
13 遺体
14 突端面
15 防腐成分
16 凹部(薬剤取付手段)
18 通気シート(薬剤取付手段)
19 内側面
K,K’ 棺桶
L 液状薬剤
P 収容空間(空間)
S 棺桶用防腐装置
W 水
【発明の属する技術分野】
本発明は、棺桶用防腐装置及び棺桶に関するものであり、特に、棺桶に遺体を安置する際に、薬剤を用いて遺体の保存が可能な棺桶用防腐装置及び棺桶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、棺桶に遺体を安置して保存するために、冷却剤であるドライアイスが広く用いられている。一般的に、通夜から遺体の火葬又は埋葬までには数日間を要する。その間、遺体の腐敗を抑えることが望まれる。そこで、ドライアイスを、棺桶の内部に安置されている遺体の近傍に多数載置すると、ドライアイスが昇華し、ガス成分が拡散して遺体の周りを覆うことにより、遺体が低温状態に維持される。その結果、遺体の腐敗の進行が防止され、遺体の腐敗に伴う異臭の発生が抑えられる。
【0003】
一方、遺体の火葬又は埋葬までの間、棺桶に安置された遺体を、ドライアイスを用いることなく常温で保存するものとして、袋体に収容された殺菌剤や、通気性素材に個別包装された防腐剤のペレット体等が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。これらによると、所定量の殺菌剤或いは防腐剤(以下、殺菌剤)により、例えば数日間という期間、継続して遺体の保存が可能であるとされている。したがって、ドライアイスを使用する場合のように、遺体を保存する数日間、何度も殺菌剤を補充する必要がないため、より簡易な作業で遺体の保存が可能であるとされている。さらに、上述の殺菌剤を使用して常温で保存した遺体を火葬する場合は、ドライアイスで冷却して保存した遺体を低温から高温にして火葬する場合に比べて、焼却に必要なエネルギーを低減することが可能である。したがって、遺体の焼却がより効率的となり、焼却炉を傷めることもないとされている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−72501号公報
【特許文献2】
登録実用新案第3061911号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の殺菌剤は、遺体の近傍に載置するものであったため、特に空気より重い殺菌剤の成分は、棺桶の内部空間の主に下方に滞留し易かった。すなわち、係る殺菌剤の成分が、棺桶の内部空間にわたって遺体を十分に覆うように拡散することは期待できなかった。したがって、遺体の腐敗の防止を十分に行うことは困難であった。また、殺菌剤が収容された袋体を遺体の近傍に載置すると見映えが悪くなり、葬儀の厳かな雰囲気が損なわれるという問題があった。
【0006】
そのため、殺菌剤の成分が棺桶の内部空間にわたって十分に拡散されて遺体の保存が可能な器具が、葬儀業者等の関係者から望まれていた。また、係る器具を用いることによって、葬儀の厳かな雰囲気が損なわれないことが同時に期待されていた。
【0007】
そこで、本発明は上述の実情に鑑み、遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を、棺桶の内部空間にわたって十分に拡散させることにより遺体の保存が可能となり、しかも葬儀の厳かな雰囲気を損なうことのない棺桶用防腐装置及び棺桶を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明に係る棺桶用防腐装置は、「空気より比重の重い性状を有し、閉塞された棺桶の内部空間に拡散し、遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を徐散する薬剤と、前記薬剤を収容可能な空間が設けられ、前記防腐成分が通気可能な通気孔を有する筐体と、前記薬剤が収容された前記筐体を、前記棺桶の蓋体の裏面、及び前記棺桶の内側面の上方近傍の少なくともいずれか一方に取着可能な取着手段と」を具備して主に構成されている。
【0009】
ここで薬剤とは、細菌、バクテリア等の細胞を分解して死滅させる、所謂「殺菌剤」、「抗菌剤」の化合物又はそれらの混合物であり、係る薬剤の形状としては、タブレット、ペレット、粉末のような固形物状やゲル状を挙げることができる。また、防腐成分とは、上述の薬剤に含まれる成分が、昇華、蒸散、蒸発したガス状の物質である。また、薬剤から徐散される防腐成分が通気可能な通気孔の大きさは、特に限定されないが、薬剤を筐体の内部に収容するためには、当然ながら薬剤の大きさ以下のものであることが望ましく、通気孔の数は、防腐成分の拡散が行われ易いように多数設けられていることが望ましい。また、薬剤が収容された筐体を取着する取着手段としては、例えば筐体と棺桶の間に両面粘着テープを介してテープの粘着力により取着するものや、くぎを筐体と棺桶に直接打付けて取着するもの等を挙げることができる。
【0010】
したがって、本発明に係る棺桶用防腐装置によれば、使用者は、棺桶用防腐装置を、取着手段により例えば棺桶の蓋体の裏面に取着し、棺桶の本体の開口部を蓋体により閉塞する。この状態において、棺桶用防腐装置は遺体の上方に位置する。ここで、薬剤から徐散される防腐成分は、筐体に設けられた通気孔を通過して、閉塞された棺桶の内部空間に拡散される。係る防腐成分は空気より比重が重いため、次第に棺桶の内部空間の下方に滞留される。一方、筐体に収容されている薬剤からは防腐成分が随時徐散される。その結果、棺桶の内部空間に防腐成分が充満し、遺体の周りが防腐成分で覆われる。このため、遺体の腐敗の進行が防止され、遺体の保存が可能となる。なお、棺桶用防腐装置を取着する位置は、棺桶の内側面の上方近傍であっても構わない。この場合も、遺体の上方から薬剤の防腐成分が徐散されるため、棺桶用防腐装置を棺桶の蓋体の裏面に取着した場合と同様の作用を奏することが可能となる。
【0011】
また、棺桶用防腐装置は、棺桶の蓋体の裏面、又は棺桶の内側面の上方近傍に取着されるため、従来の、遺体の近傍に載置された殺菌剤に比べて目立ち難くなる。その結果、遺族や葬儀の参列者は、違和感を覚えることが少なくなる。したがって、葬儀の厳かな雰囲気が損なわれ難くなる。
【0012】
また、本発明に係る棺桶用防腐装置は、上記構成に加え、「前記薬剤は、水、又は前記防腐成分を含有する液状薬剤と接することにより、前記防腐成分の徐散を活性化する性質を呈し、前記筐体の前記空間に収容され、前記水又は前記液状薬剤の少なくともいずれか一方を含浸可能な含浸手段」をさらに具備するものであっても構わない。
【0013】
ここで、液状薬剤とは、上述の薬剤と同一の防腐成分を含有し、係る防腐成分を徐散させるように調製された液体状の物質である。また、水又は液状薬剤を含浸可能な含浸手段としては、例えば、脱脂綿やガーゼのようなコットン素材や、樹脂製の袋体等を挙げることができる。
【0014】
したがって、本発明に係る棺桶用防腐装置によれば、使用者は、水又は液状薬剤を含浸手段に含浸させ、薬剤とともに筐体の内部に収容する。薬剤が、含浸手段に含浸されている水又は液状薬剤と接触することにより、防腐成分の徐散が活性化される。その結果、防腐成分が棺桶の内部空間に拡散される量が増加する。したがって、より多量の防腐成分により遺体の腐敗が防止されて、遺体の保存が可能となる。なお、含浸手段が収容されている筐体には通気孔が設けられている。そのため、棺桶用防腐装置が取着された状態で、筐体の外部から例えばスプレーや注射器を用い、通気孔を通して、含浸手段に水又は液状薬剤を追加して含浸させることが可能である。これにより、防腐成分の徐散量をさらに増加させ、短時間で遺体の腐敗を防止する効果を得ることができる。
【0015】
また、本発明に係る棺桶用防腐装置は、上記構成に加え、「前記筐体は、断面略凹状を呈し、少なくとも一部が開口した開口端を有し、前記取着手段は、前記筐体の開口端面に設けられていること」を特徴とするものであっても構わない。
【0016】
したがって、本発明に係る棺桶用防腐装置によれば、使用者は、凹状の筐体の窪みに、薬剤や含浸手段を容易に収容することができる。また、簡易な構成で、棺桶の蓋体の裏面、及び棺桶の内側面の上方近傍に筐体を取着可能となっている。これにより、容易に、開口端が閉塞され、薬剤や含浸手段を収容する空間が形成可能となっている。
【0017】
また、本発明に係る棺桶用防腐装置は、上記構成に加え、「前記筐体は、断面略凹状を呈し、少なくとも一部が開口した開口端を有する収容本体と、略平板状を呈し、前記収容本体の前記開口端を略閉塞することにより、前記薬剤が収容される前記空間を形成可能で、前記通気孔が設けられた通気閉塞板と、前記開口端を閉塞した前記通気閉塞板の、前記空間から離間する側の板面に、突出して設けられた突部とを具備し、前記取着手段は、前記突部の突端面に設けられていること」を特徴とするものであっても構わない。
【0018】
したがって、本発明に係る棺桶用防腐装置によれば、棺桶用防腐装置が、棺桶の蓋体の裏面、及び棺桶の内側面の上方近傍に取着された状態において、係る通気閉塞板は、突部の高さに相当する距離の分、棺桶から離れて位置する。そのため、通気閉塞板は棺桶と非接触の状態となり、通気閉塞板に設けられている通気孔は、棺桶によって塞がれない。これにより、防腐成分が通気可能な面積を増加させることができ、薬剤の防腐成分を効率よく拡散させることが可能となる。
【0019】
また、本発明に係る棺桶用防腐装置は、上記構成に加え、「前記筐体は、木製で形成されていること」を特徴とするものであっても構わない。
【0020】
したがって、本発明に係る棺桶用防腐装置によれば、一般に多く用いられている木製の棺桶に対して木製の筐体を用いるため、遺族や葬儀の参列者は、係る筐体が視界に入っても違和感を覚えることがより少なくなる。そのため、葬儀の厳かな雰囲気がより損なわれ難くなる。また、当然のことながら木製の筐体は天然の素材から形成されていることから、焼却しても有毒ガスが発生する可能性は低く、また埋葬されても土壌が汚染される原因となる物質が発生することもほとんどない。
【0021】
また、本発明に係る棺桶は、「上面に開口した開口部を有し、内部に遺体を収容可能な本体と、前記本体の前記開口部を閉塞可能な蓋体とを具備する棺桶であって、空気より比重の重い性状を有し、閉塞された前記棺桶の内部空間に拡散し、遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を徐散する薬剤を取付る薬剤取付手段が、前記本体の内側面の上方近傍、及び前記蓋体の裏面の少なくともいずれか一方に設けられていること」を特徴として主に構成されている。
【0022】
ここで、薬剤取付手段としては、棺桶の蓋体の裏面、及び棺桶の内側面の上方近傍の少なくともいずれか一方に穿設された凹状部に薬剤を収容し、係る凹状部をシートによって閉塞することにより薬剤を取付可能に構成されるものや、薬剤を直接取付可能な粘着テープ等を挙げることができる。
【0023】
したがって、本発明に係る棺桶によれば、薬剤取付手段により、例えば棺桶の蓋体の裏面に取付られた薬剤から徐散された防腐成分が、閉塞した棺桶の内部空間に拡散される。その結果、棺桶の内部空間に防腐成分が充満し、遺体の周りが防腐成分で覆われる。このため、遺体の腐敗の進行が防止され、遺体の保存が可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一実施形態である棺桶用防腐装置Sについて、図1乃至図4に基づいて説明する。ここで、図1は第一実施形態である棺桶用防腐装置Sの構成を示す斜視図であり、図2は棺桶用防腐装置Sの構成を示す分解斜視図であり、図3は棺桶用防腐装置Sの使用状態を示す斜視図であり、図4は棺桶用防腐装置Sの使用状態を示す断面図である。
【0025】
第一実施形態の棺桶用防腐装置Sは、図1乃至図3に示すように、木製で形成されているケース1と、ケース1の内部に収容される四個のタブレット9、及び水W又は液状薬剤Lを含浸可能な脱脂綿10とを有して主に構成されている。ここで、タブレット9は、遺体の防腐が可能で空気より比重が重い塩素系ガスを徐散する成分から主に構成されており、水W又は液状薬剤Lと接触することにより係る塩素系ガスの徐散を活性化する性質を有している。なお、上述の塩素系ガスが図4における防腐成分15に相当する。また、タブレット9は、常温で放置した状態で、防腐成分15を徐散するため、使用前は樹脂製の袋体(図示しない)に密封されて保管されている。
【0026】
さらに、第一実施形態におけるケース1について詳細に説明すると、ケース1は、円盤状の底面部3b、及び底面部3bの周縁から略垂設された側面部3aにより円柱形状に形成されて、上面が開口し凹状を呈しているケース本体3と、ケース本体3の開口端を閉塞する円盤状のカバー2と、カバー2の板面に垂設される四角柱状の突部7とを有して主に構成されている。また、ケース本体3の底面部3bには、同心円を描く円周上に複数の通気孔4bが、側面部3aには、互いに並行に複数の通気孔4b’がそれぞれ設けられている。また、カバー2の、突部7の周囲には複数の通気孔4aが、周縁近傍には複数の通気孔4a’がそれぞれ設けられている。係る通気孔4b,4b’,4a,4a’により、タブレット9から徐散される防腐成分15が、ケース1から棺桶Kの内部空間に徐散可能となっている。
【0027】
さらに、突部7の突端面14には両面粘着テープ8が取付られており、これにより、棺桶用防腐装置Sを棺桶Kの蓋体12の裏面12a、及び内側面19の上方近傍に取着可能となっている。また、ケース本体3の開口端には、一対の掛止鉤5が、一方、カバー2の周縁の近傍には、掛止鉤5に対応する位置に掛合可能に形成された一対の掛止孔6がそれぞれ設けられている。係る掛止鉤5と掛止孔6が掛合されて、カバー2とケース本体3によって開口端が閉塞されることにより、タブレット9及び脱脂綿10を収容する収容空間Pが形成可能となっている。なお、上述のカバー2が本発明における通気閉塞板に相当し、ケース本体3が本発明における収容本体に相当し、カバー2とケース本体3により主に構成されるケース1が本発明における筐体に相当し、収容空間Pが本発明における空間に相当し、タブレット9が本発明における薬剤に相当し、脱脂綿10が本発明における含浸手段に相当し、両面粘着テープ8が本発明における取着手段に相当する。
【0028】
次に、第一実施形態における棺桶用防腐装置Sの使用方法について、図3及び図4に基づいて説明する。使用者は、ケース1のケース本体3に、四個のタブレット9と、水W又は液状薬剤Lを含浸させた脱脂綿10を入れ、掛止鉤5と掛止孔6を掛合して、ケース本体3の開口端をカバー2により閉塞する。これにより、タブレット9と脱脂綿10が収容された収容空間Pが形成される。ここで、タブレット9と脱脂綿10は互いに接触した状態で収容空間Pに収容されている。つづいて、突部7の突端面14に設けられた両面粘着テープ8の保護シート(図示しない)を剥がして接着面を露出させ、係る棺桶用防腐装置Sを棺桶Kの蓋体12の裏面12aに取着する。本実施形態では、図3に示すように、三個の棺桶用防腐装置Sを、棺桶Kの蓋体12の裏面12aに取着している。つづいて、遺体13が安置された本体11の開口部を蓋体12により閉塞する。この状態で、棺桶用防腐装置Sは遺体13の上方に位置している。
【0029】
ここで、遺体13の上方に位置する棺桶用防腐装置Sのタブレット9からは防腐成分15が徐散され、ケース1の内部空間Pから通気孔4a,4a’,4b,4b’を通過して、棺桶Kの内部空間を下降しながら拡散される。さらに、タブレット9が、水W又は液状薬剤Lを含浸した脱脂綿10と接触しているため、防腐成分15の徐散が活性化される。拡散された防腐成分15は、遺体13の周りを覆い、これにより遺体13の腐敗の進行が阻害され、遺体13の保存が可能となる。なお、棺桶用防腐装置Sを取着する位置は、本体11の内側面19の上方近傍(図3のS’参照)であってもよい。この場合も、防腐成分15は遺体13の上方から徐散される。したがって、棺桶用防腐装置Sを、棺桶Kの蓋体12の裏面12aに取着した場合と同様の効果を得ることが可能となる。
【0030】
以上、第一実施形態の棺桶用防腐装置Sによれば、遺体13が安置された棺桶Kの内部空間にタブレット9の防腐成分15を遺体13の上方から十分に拡散させることにより、遺体13の保存が可能となる。また、棺桶用防腐装置Sを、蓋体12の裏面12a等に取着するため、従来の、殺菌剤を遺体の近傍に載置する場合に比べて目立ち難く、したがって、遺族や葬儀の参列者は、違和感を覚えることが少なくなる。その結果、葬儀の厳かな雰囲気が損なわれ難くなる。
【0031】
次に、本発明の第二実施形態である棺桶K’について、図5乃至図7に基づいて説明する。ここで、図5は第二実施形態である棺桶K’の構成を示す斜視図であり、図6は棺桶K’の蓋体22の構成を示す模式図であり、図7は棺桶K’の蓋体22の一部を示す断面図である。なお、説明を簡略化するため、第一実施形態の棺桶用防腐装置Sにおいて示した棺桶Kと略同一の機能及び構成を有するものは、同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0032】
第二実施形態の棺桶K’は、図5に示すように、遺体13が安置される本体21と、本体21の開口部を閉塞可能な蓋体22とによって主に構成されている。また、蓋体22の裏面12aに、タブレット9を収容可能に直方体状に穿設された凹部16と、多数の通気孔20を有して、凹部16を閉塞可能な通気シート18と、通気シート18を蓋体22の裏面12aに取着可能な両面粘着テープ17とにより、タブレット9を棺桶K’に取付ることが可能となっている。ここで、通気シート18は、本体21の開口部が蓋体22によって閉塞された際、タブレット9が遺体13の上方から遺体13に向かって落下しないように凹部16を閉塞するものである。また、通気シート18に多数の通気孔20が設けられており、タブレット9より徐散される防腐成分15が、通気孔20を通過して凹部16の内部から棺桶K’の内部空間に拡散可能となっている。なお、本実施形態における凹部16と、通気シート18と、両面粘着テープ17とが本発明における薬剤取付手段に相当する。
【0033】
次に、第二実施形態における棺桶K’の使用方法について説明する。図5乃至図7に示すように、使用者は、棺桶K’の蓋体22の裏面12aに穿設された凹部16に四個のタブレット9を入れ、両面粘着テープ17を介して通気シート18を裏面12aに貼設することにより、係る凹部16を閉塞する。つづいて、遺体13が安置された本体21の開口部を蓋体22によって閉塞する。ここで、タブレット9から徐散される防腐成分15は、通気シート18に設けられた通気孔20を通過して、閉塞された棺桶K’の内部空間に拡散され、遺体13の周りを覆うことにより、遺体13の保存が可能となる。なお、図5に示すように、薬剤取付手段(凹部16、両面粘着テープ17、通気シート18)は、本体21の内側面19の上方近傍に設けられていてもよい。この場合でも、遺体13の上方から防腐成分15がタブレット9により徐散されるため、薬剤取付手段(凹部16、両面粘着テープ17、通気シート18)を蓋体22の裏面12aに設けた場合と同様の効果を得ることができる。
【0034】
したがって、第二実施形態の棺桶K’によると、上述の第一実施形態の棺桶用防腐装置Sを用いる場合と同様の作用を奏することにより、遺体13の保存が可能となる。また、タブレット9を収容するためのケース1が不要であるため、タブレット9が収容されている状態をより目立たないようにすることができる。その結果、葬儀の雰囲気をより損なわせないことが可能となる。
【0035】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0036】
すなわち、第一及び第二実施形態の薬剤として、防腐成分15を徐散するタブレット9を示したが、これに限定されるものではなく、さらに加えて、例えば、異臭の有機成分を分解して無臭化する消臭成分を徐散する性質を有していても構わない。これによって、遺体13の腐敗を防止するのみならず、遺体13から発生した異臭を分解し無臭化することが可能となる。また、使用するタブレット9の個数は、第一及び第二実施形態に限定されるものではなく、遺体13の状況等の使用環境によって適宜変更しても構わない。例えば、タブレット9と、上述の、消臭成分をさらに徐散する薬剤とを併せて用いても構わない。さらには、夏場など、遺体13の腐敗が進行し易い時期においては、棺桶用防腐装置S或いは棺桶K’を、従来用いられているドライアイスと併せて使用してもよい。これにより、短時間で遺体13の腐敗防止の効果を得ることが可能となる。
【0037】
また、第一実施形態の棺桶用防腐装置Sのケース1は、木製により形成されているものを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、紙製或いはプラスチック製のケースであっても構わない。
【0038】
さらに、第一実施形態の棺桶用防腐装置Sを、例えばバスやタクシーの車内ので使用することも可能である。係る車内は、不特定多数の人が利用する閉塞された空間であるため、運転手及び乗客の間で病原菌の感染が起こり易い状況にある。そこで、棺桶用防腐装置Sを使用すると、タブレット9から徐散される防腐成分15により、係る病原菌を死滅させることができる。したがって、バスやタクシーの運転手及び乗客は、病原菌に感染することを免れ、安心して乗車することができる。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る棺桶用防腐装置及び棺桶によると、薬剤を用いて、遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を棺桶の内部空間にわたって十分に拡散させ、遺体を保存することが可能である。また、その際、葬儀の厳かな雰囲気を損わせないようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一実施形態である棺桶用防腐装置の構成を示す斜視図である。
【図2】棺桶用防腐装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】棺桶用防腐装置の使用状態を示す斜視図である。
【図4】棺桶用防腐装置の使用状態を示す断面図である。
【図5】第二実施形態である棺桶の構成を示す斜視図である。
【図6】棺桶の蓋体の構成を示す模式図である。
【図7】棺桶の蓋体の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ケース(筐体)
2 カバー(通気閉塞板)
3 ケース本体(収容本体)
3a 側面部
3b 底面部
4a,4a’,4b,4b’,20 通気孔
7 突部
8,17 両面粘着テープ(取着手段、薬剤取付手段)
9 タブレット(薬剤)
10 脱脂綿(含浸手段)
11,21 本体
12,22 蓋体
12a 裏面
13 遺体
14 突端面
15 防腐成分
16 凹部(薬剤取付手段)
18 通気シート(薬剤取付手段)
19 内側面
K,K’ 棺桶
L 液状薬剤
P 収容空間(空間)
S 棺桶用防腐装置
W 水
Claims (6)
- 空気より比重の重い性状を有し、閉塞された棺桶の内部空間に拡散し、遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を徐散する薬剤と、
前記薬剤を収容可能な空間が設けられ、前記防腐成分が通気可能な通気孔を有する筐体と、
前記薬剤が収容された前記筐体を、前記棺桶の蓋体の裏面、及び前記棺桶の内側面の上方近傍の少なくともいずれか一方に取着可能な取着手段と
を具備することを特徴とする棺桶用防腐装置。 - 前記薬剤は、
水、又は前記防腐成分を含有する液状薬剤と接することにより、前記防腐成分の徐散を活性化する性質を呈し、
前記筐体の前記空間に収容され、前記水又は前記液状薬剤の少なくともいずれか一方を含浸可能な含浸手段をさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の棺桶用防腐装置。 - 前記筐体は、
断面略凹状を呈し、少なくとも一部が開口した開口端を有し、
前記取着手段は、
前記筐体の開口端面に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の棺桶用防腐装置。 - 前記筐体は、
断面略凹状を呈し、少なくとも一部が開口した開口端を有する収容本体と、
略平板状を呈し、前記収容本体の前記開口端を略閉塞することにより、前記薬剤が収容される前記空間を形成可能で、前記通気孔が設けられた通気閉塞板と、
前記開口端を閉塞した前記通気閉塞板の、前記空間から離間する側の板面に突出して設けられた突部と
を具備し、
前記取着手段は、
前記突部の突端面に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の棺桶用防腐装置。 - 前記筐体は、
木製で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の棺桶用防腐装置。 - 上面に開口した開口部を有し、内部に遺体を収容可能な本体と、
前記本体の前記開口部を閉塞可能な蓋体と
を具備する棺桶であって、
空気より比重の重い性状を有し、閉塞された前記棺桶の内部空間に拡散し、遺体の腐敗を防止可能な防腐成分を徐散する薬剤を取付る薬剤取付手段が、前記本体の内側面の上方近傍、及び前記蓋体の裏面の少なくともいずれか一方に設けられていることを特徴とする棺桶。
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CN102905583A (zh) * | 2010-05-28 | 2013-01-30 | 夏普株式会社 | 电饭锅 |
-
2003
- 2003-06-13 JP JP2003169114A patent/JP2005000498A/ja active Pending
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