JP2004537834A - 電気化学デバイスのための固体酸電解質 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、電気化学デバイスのための電解質、このような材料の合成法、及びこのような材料を内蔵した電気化学デバイスに関し、より具体的には、新規固体酸材料からできた電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学デバイスは、プロトン伝導材料、例えば膜を通るプロトンの流れ、又は、プロトン及び電子双方の流れに依存する。従って、プロトン、又は、プロトン及び電子双方を伝導する材料は、燃料電池、電気化学スーパーキャパシター、センサー、水素分離膜及び膜反応器を含む多数の電気化学デバイスにおいて、電解質又は電極として使用される。
【0003】
これらの材料のための特に重要な1用途は、燃料電池にある。燃料電池は、種々多様な用途の燃焼機関の魅力的な代替手段である。なぜならば、燃料電池は効率がより高く、これらの動作から生成される汚染物質レベルがより低いからである。本発明に該当する燃料電池には3つの共通のタイプがある。すなわち:1)水素を蓄え、次いで必要に応じてこれを燃料電池に供給する直接型水素/空気燃料電池システム、2)炭化水素燃料から現場で水素が発生させられ、これから一酸化炭素が除去され、続いて燃料電池に供給される間接型水素/空気燃料電池;そして3)メタノール/水溶液を燃料電池に直接的に供給する直接型メタノール燃料電池(DMFC)、である。この後者の燃料電池の例が例えば米国特許第5,559,638号明細書に記載された。その開示内容を参考のため本明細書中に引用する。
【0004】
選択された燃料電池の構成にかかわらず、デバイスの動作効率は、プロトン輸送時の電解質の効率によって制限される。典型的には、燃料電池のための電解質膜材料として、ペルフルオル化スルホン酸ポリマー、ポリ炭化水素スルホン酸ポリマー、及びこれらの複合材料が使用される。しかし、このような従来の材料は、プロトン伝導を容易にするためにヒドロニウム・イオン(H3O+)を利用する。従って、これらの材料は水和されなければならず、水の損失は直ちに電解質の導電率の劣化、ひいては燃料電池の効率の劣化を招く。さらにこのような劣化は不可逆的である。すなわち、システムに水をただ再導入するだけでは、電解質の導電率は回復されない。
【0005】
その結果、これらの材料を利用する燃料電池は、水を蒸発させないように水再循環及び温度制御を保証するための周辺システムを必要とする。このようなシステムはこれらの燃料電池の複雑さを増し、コストを高めるだけでなく、このシステムは100℃の温度を超えることもできないので、燃料電池触媒及び他のシステムは最大効率で動作することができない。また、温度が高くなれば、燃料電池触媒の一酸化炭素被毒が低減される。
【0006】
温度140〜160℃で動作される燃料電池内の電解質として、CsHSO4のような固体酸を使用できることが最近判った。この材料を使用すると、ポリマー電解質燃料電池と比べて燃料電池の構成が大幅に単純化される。なぜならば電解質の水和が必要でないからである。また、動作温度が上昇するので、燃料流中の残留COをより良好に許容することができる。CsHSO4及び類似材料の高い導電率は、秩序化構造から無秩序化構造への、141℃で発生する構造相転移から生じる。秩序化構造は、明確な水素結合によって結合されたSO4基の鎖に基づいており、無秩序化構造においては、SO4基が自由に再配向し、相互間でプロトンを容易に手渡す。従って結晶構造における無秩序は、高プロトン伝導性の重要な必須条件である。
【0007】
最終的には、固体酸電解質は、従来技術のポリマーに基づく燃料電池が直面する問題の多くを解決することができる。これらの問題は、100℃を超える温度で動作することができないこと(100℃を超える温度で動作できるならば、Pt触媒のCO許容度が増大することになる)、給湿が必要なこと、及びメタノールが電解質を横切って透過することを含む。従って、この研究の技術的な目的は、代わりの電解質を使用することによって、燃料電池動作を単純化することである。しかし、これらの硫酸塩及びセレンに基づく固体酸の寿命は、商業的な用途には不十分である。燃料電池動作条件下でCsHSO4及びCsHSeO4双方の寿命が短いことは、典型的な燃料電池触媒の存在において水素によって硫黄及びセレンが還元されることから生じる。この還元は:
に従って行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、燃料電池条件下で安定であるプロトン伝導性の高い固体酸化合物、並びに、このような固体酸化合物に基づく高性能の膜-電極集成体(MEA)をもたらす加工方法が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、本発明は、水素結合を形成して回転無秩序化(rotational disorder)されることにより高温での長期動作が可能となる固体酸、例えば、四面体又は八面体の水素結合性アニオン基;超プロトン性三方晶系無秩序化相を有し;及び/又は、約100℃の温度で動作可能な固体酸、を含んでなる安定な電解質材料に関する。具体的には本発明は、いくつかのクラスの改善された固体酸電解質材料、このような材料の合成方法、及びこのような材料を内蔵する電気化学デバイスに関する。
【0010】
1実施態様の場合、本発明は、超プロトン三方晶系相を有する固体酸を含む電解質に関する。1つのこのような実施態様の場合、固体酸は、一般式:(M x M'1-x)3H3x(PO4)2(前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属又は遷移金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4+であり;M'は、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属、例えばMg2+...Ba2+, Pb2+である)のリン酸塩種から選択することができる。或いは、固体酸は、M3H2x[(P1-x, Six)O4]2又はM3H2x[(P1-x, Gex)O4]2 (この式中、Mは、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属、例えばMg2+...Ba2+, Pb2+である)を有する混合型リン酸塩化合物に関する。
【0011】
別の実施態様の場合、本発明は、PO4、PO3F及びPO3Hの群から選択された四面体アニオンを有する固体酸を含む電解質に関する。このような実施態様の場合、固体酸は、一般式:MH1+x(PO3A)1-x(PO4)x及びM3Hx[(PO3A)x(PO4)1-x]2 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4+であり、AはF又はHである)から成っていてよい。従って、固体酸種は、モノフルオロリン酸塩種及び亜リン酸塩種から、又は混合型モノフルオロリン酸塩種/リン酸塩種、及び混合型亜リン酸塩/リン酸塩種から選択されてよい。最後に、固体酸種は、混合型クロム酸塩/リン酸塩四面体アニオン種を有する分子から選ぶこともできる。このような分子は、一般式: MH1+x(CrO4)1-x(PO4)x及びM3Hx[(CrO4)x(PO4)1-x]2 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4+である)を有している。
【0012】
さらに別の実施態様の場合、本発明は八面体アニオンを有する固体酸を含む電解質に関する。このような実施態様の場合、固体酸は、一般式:MHSiF6, MHGeF6(Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4+である)のフルオロケイ酸塩及びゲルマニウム酸塩から選択することができる。固体酸は、一般式: MHx(P1-xSix)F6及びMHx(P1-xGex)F6 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4+である)の混合型ホスホケイ酸塩及びホスホゲルマニウム酸塩から選択することもできる。固体酸は、フッ化アルミニウム八面体アニオン基AlF6を有する化合物から選択することもできる。
【0013】
更に別の実施態様の場合、本発明は、固体酸電解質を含む膜に関する。このような実施態様の場合、本発明はさらに、構造バインダー又はマトリックス材料を含むことにより、機械的な完全性又は膜の化学的安定性を向上させる。これらの実施態様の場合、バインダーは任意の好適な安定化材料、例えばポリマー、セラミック又は酸化物ガラスを含むことができる。
【0014】
さらに別の実施態様の場合、本発明は電子伝導性マトリックス材料、例えば金属又は炭素系材料に関する。
【0015】
さらに別の実施態様の場合、本発明は、本発明による固体酸を合成する方法に関する。
【0016】
さらに別の実施態様の場合、本発明は、固体酸電解質を内蔵する電気化学デバイスに関する。このような実施態様の場合、電解質は、プロトン、又はプロトン及び電子の流れが膜を横切って機能することを必要とする任意の電気化学デバイス、例えば、燃料電池、水素分離膜又は電解槽に内蔵することができる。
【0017】
本発明の上記及びその他の特徴及び利点は、添付の図面と併せて考察すれば、下記の詳細な説明を参照することにより、より良く理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、安定的な電解質材料であって、水素結合を形成し、回転無秩序化されることができ、且つ高温で長期動作することができる固体酸、例えば四面体又は八面体水素結合アニオン基;超プロトン三方晶系、正方晶系又は立方晶系無秩序化相を有する固体酸;及び/又は、100℃以上の温度で動作することができる固体酸を含む、電解質材料に関する。このような材料を本明細書では、「固体酸電解質」又は「電解質」と呼ぶ。
【0019】
本明細書に使用される「固体酸」という用語は、正酸、例えばH2SO4の特性と、正塩、例えばCs2SO4の特性との間の中間の特性を有する化合物を意味する。一般に、本発明により使用されるタイプの固体酸の化学式は、塩と酸との組み合わせ、例えばCsHSO4(0.5 Cs2SO4 * 0.5 H2SO4)として示すことができる。これは、米国特許出願第09/439,377号明細書(1999年11月15日付け出願)に既に記載されている。上記明細書の開示内容を参考のため本明細書に引用する。固体酸は一般にオキシアニオン、例えばSO4、SO3、SeO4、SeO3、PO4、PO3F、PO3H、AsO4、SiF6又はAlF6などを含む。これらのオキシアニオンはO-H...O水素結合を介して一緒に結合される。さらに、固体酸は、全電荷バランスのためにカチオンを含有する。この構造は、2以上のタイプのオキシアニオンXO4、XO3、XO3A又はXF6基を含有することができ、また、2以上のタイプのカチオンM種を含有することもできる。温度及び圧力の或る特定の条件下で、一般に約50〜100℃で、これらの固体酸の結晶構造は無秩序化状態になる。超プロトン相として知られるこのような無秩序化状態に付随して、固体酸の導電率がしばしば数桁だけ増大して、約10-3〜10-2Ω-1cm-1になる。これらの固体酸の構造により、プロトン輸送メカニズムは、ヒドロニウム・イオンの移動には依存しない。その結果、固体酸は機能するために水和される必要がなく、高温で動作することにより効率を高め、電気化学デバイス内の触媒媒質の被毒汚染の可能性を低減することができる。
【0020】
従来の幾つかの超プロトン固体酸種について上述したが、これらの材料は一般に、典型的な燃料電池触媒の存在において水素によって、例えば:
に基づくCsHSO4からH2Sへの還元を被る。同様の還元反応がCsHSeO4に対しても生じる。
【0021】
加えて、多くの固体酸、例えばCsHSO4及びCsHSeO4は水溶性であり、ひいては、液状の水の存在においては長い寿命を有さない。
【0022】
従って、本発明は改善された固体酸構造であって、触媒材料、例えばPt及びその他の遷移金属元素の存在において還元を被らない構造に関する。実際には、四面体又は八面体水素結合アニオン基;超プロトン三方晶系無秩序相を有する任意の固体酸;及び/又は典型的な燃料電池触媒の存在において約100℃の温度で動作することができる任意の固体酸を、本発明における電解質材料として利用することができる。
【0023】
例えば出願人は、超プロトン固体酸の硫黄(又はSe)を、Si及びGeのような元素と置換することにより、還元反応を回避できることを発見した。還元反応を回避できるのは、類似の還元化合物、例えばH4Si及びH4Geが極端に不安定であるからである。従って、本発明のデバイス及び材料において、LaHSiO4, BaH2SiO4及びSrH2GeO4などの超プロトン酸が使用されるのが好ましい。
【0024】
1実施態様において、本発明は、無秩序化された三方晶系相及び四面体アニオンを有する固体酸に関する。例えば、化合物Pb3(PO4)2及びRb3H(SeO4)2は、セレン酸塩化合物中にプロトンが内蔵されることを除けば、室温で本質的に等構造であることが良く知られている。両者は加熱されると、無秩序化された三方晶系相に転移させられる。セレン酸塩中にはプロトンが内蔵されるので、この無秩序には、プロトン伝導性の数桁の増大が伴う。
【0025】
従って、三方晶系無秩序化相及び四面体アニオンを有する本発明による固体酸電解質の1実施態様の場合、固体酸電解質は、一般式:(M1-xM'x)3H3(PO4)2(この式中、Mは、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属、例えばMg2+...Ba2+, Pb2+であり;またM'は、+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4+である) のリン酸塩種から選択される。アルカリ土類部位上にアルカリ金属又はアンモニウムイオンを置換することにより、リン酸塩化合物中にプロトンが内蔵されると、超プロトン高伝導性の三方晶系無秩序化相が生じる。ここで配合されたような中間アルカリ-アルカリ土類酸性リン酸塩は、Na2CaH2(PO4)2である。
【0026】
本発明による四面体アニオンを有する三方晶系固体酸の第2の実施態様の場合、Si4+及びGe4+のような種でP5+を置換することにより、三方晶系化合物、例えばPb3(PO4)2中にプロトンが導入される。次いで、内蔵されたプロトンによって、正電荷の減少をバランスすることができる。例えばこのような実施態様の場合、形態:M3H2x[(P1-x, Six)O4]2及びM3H2x[(P1-x, Gex)O4] (この式中、Mは、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属、例えばMg2+...Ba2+, Pb2+である)によって記載された群から、好適な固体酸を選択することができる。
【0027】
四面体アニオンを有する固体酸電解質材料に関する別の実施態様の場合、四面体アニオン基、PO3Fが利用される。PO3FがSO4と等電子であり、また化学特性を共有することが良く知られている。例えば化合物CsHPO3Fは文献において知られており、CsHSO4の超プロトン四面体構造と幾つかの類似性を共有する。モノフルオロリン酸塩中のプロトン含有率は、一般化学式MH1+x(PO3F)1-x(PO4)xに基づくリン酸塩アニオンを導入することにより増大させることができる。これらのリン酸塩アニオンは、既知のMH1+x(SO4)1-x(PO4)x化合物と同様に、単純化合物MHPO3Fを含む。PO3Fアニオンは、一般化学量論的MHSO4の化合物においてだけでなく、化学量論的M3H(SO4)2を有する化合物においてもSO4を置換するために、PO3Fアニオンを利用することができる。従って、四面体アニオンを有する固体酸のさらに別の実施態様の場合、固体酸は、一般式:M3H(PO3F)2及びM3H1+2x[(PO3F)1-x(PO4)x]2(この式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4 +である)のモノフルオロリン酸塩種及び混合型モノフルオロリン酸塩/リン酸塩種から選択することができる。
【0028】
SO4(又はSeO4)に対する存在可能な置換基と考えることができるさらに別のタイプの四面体基はPO3Hである。SO4とPO3Hとの間の化学的類似性は、SO4とPO3Fとの間の化学的類似性よりも若干低い。なぜならばP-H結合が極めて明確だからである。にもかかわらず、室温構造が、類似の水素結合四面体ユニット上に形成される。CsH2PO3, KH2PO3, LiH2PO3及びNH4H2PO3を含む、MH(PO3H)群における幾つかの化合物が知られている。CsH2PO4のような化合物と比較して注目に値するのは、酸化状態が+5ではなく+3であり、ひいては亜リン酸塩は燃料電池動作中に還元を被るおそれが少ない点である。従って、さらに別の実施態様の場合、四面体固体酸種は、一般式:MH(PO3H)、M3H(PO3H)2、MH1+x(PO3H)1-x(PO4)x及びM3H1+2x[(PO3H)1-x(PO4)x]2(この式中、Mは+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4 +である)の混合型亜リン酸塩及び亜リン酸塩/リン酸塩種から選択することができる。
【0029】
さらに、出願人は、亜リン酸塩と置換された硫酸塩基を有する固体酸が、CsHSO4と同様の構造、相転移及びプロトン輸送特性を有することになるが、しかし、有利には、H2Sの生成からの劣化を示すことはないことを発見した。化合物CsH(PO3H)(又はCsH2PO3, 亜リン酸水素セシウム)の高温試験により、この材料は高プロトン伝導性の相に、137℃で転移開始させられることが明らかになった。これらの結果を図1a〜1eで要約し、下記に論じる。転移には多量の変態熱、ΔH = 58 ± 2 J/g(12.4 ± 0.4 kJ/モル)が伴い、そして図1a〜1cに示すように、冷却時に96℃で発生する測定可能なヒステリシスを示す。高温X線粉末回折は、高温相が立方体(ao=4.896(1)Å)であり、おそらくはCsCl構造を呈し、単純立方単位格子のコーナーにCs原子があり、中心にPO3H基があることを示した。図1d及び1eにおける比較によって示すように、160℃の高温相における導電率は5.5 x 10-3 Ω-1cm-1であり、プロトン輸送のための活性化エネルギーは、0.40 ± 0.01 eVである。これらの値は、高温の正方晶CsHSO4相において起こることが知られているように、CsH(PO3H)の立方晶相においてPO3H基が急速に再配向することによってプロトン輸送が促進されることを示唆している。
【0030】
四面体アニオンを有する固体酸電解質材料のさらに別のタイプは、K2CrO4によって形成される。K2CrO4は、硫酸塩及びクロム酸塩の交換可能な性質を明示する。クロム酸塩は、硫酸塩が示すのと同じ四面体無秩序を高温で示すことも判っている。従って、四面体固体酸種は、一般式:MH1+x(CrO4)1-x(PO4)x (この式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4+である)の混合型クロム酸塩種から選択することもできる。化合物末端員よりも低い超プロトン相転移温度で、混合型硫酸塩/リン酸塩化合物が合成されている。例えば、Cs2HSO4H2PO4の場合、超プロトン相転移温度は、CsHSO4の場合141℃であり、CsH2PO4の場合230℃であるのと比較して、90℃である。類似のクロム酸塩/リン酸塩化合物における相転移温度がより低くされると、このことは、超プロトン相転移温度を上回る温度でリン酸塩の厄介な脱水が生じることを阻止する助けとなり、硫酸塩をクロム酸塩と置換することにより、燃料電池環境における硫酸塩のH2Sへの還元が回避される。
【0031】
別の実施態様の場合、本発明は、八面体ポリアニオンを含有する固体酸電解質化合物に関する。このクラスの場合、KPF6のような材料は、僅かに上昇した温度で無秩序状態が維持される構造を形成する。しかしこのような材料はプロトンを含有しない。PF6ポリアニオンをSiF6又はGeF6と置換することにより、電荷バランスの理由からプロトンを導入することができる。この場合にも注目に値するのは、これらの硫酸塩及びリン酸塩の等価物とは異なり、これらの塩及び酸は水不溶性である点である。従って、固体酸は一般式:MHSiF6及びMHGeF6(この式中、Mは+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4 +である)のフルオロケイ酸塩及びゲルマニウム酸塩から選択することができる。
【0032】
或いは、PF6アニオンをSiF6又はGeF6と部分的に(完全にではなく)化学置換することによって、KPF6のような化合物における無秩序化状態への周知の構造転移をプロトン輸送のために利用することもできる。プロトン内蔵は置換を伴うので、高温無秩序化相における高導電率を得られる。従って、固体酸のこの別の実施態様の場合、固体酸電解質材料は、一般式:MHx(P1-xSix)F6及びMHx(P1-xGex)F6(この式中、Mは+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4 +である)の混合型のホスホケイ酸塩及びホスホゲルマン酸塩から選択することができる。
【0033】
さらに別に実施態様の場合、固体酸はAlF6に基づく八面体アニオン基を有していてよい。このような化合物の実施態様は、MH2AlF6及びM2HAlF6(この式中、Mは+1電荷を有する任意のアルカリ金属又はその他の官能基、例えばLi+...Cs+, NH4 +である);又はM'HAlF6(この式中、M'は、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属、例えばMg2+...Ba2+, Pb2+である)であってよい。他の実施態様は、MHSiF6, MHGeF6及びMPF6との上記種の混合物をも含む。
【0034】
任意の具体的な電気化学デバイスのための好ましい材料は、その用途に依存する。例えば、好ましい種は、デバイスの要件、例えば高導電率、低コスト、熱安定性又は化学安定性などに依存することができる。
【0035】
上記固体酸の導電率は純粋にプロトンに関して記載されているが、これらの固体酸電解質は、上記化学式のアニオンXO4、XO3又はXF6部分におけるMカチオン及びX元素の選択に応じて、電子及びプロトンの両方を伝導するために、これらの固体酸電解質を形成することができる。例えば、所与の量の可変原子価元素、例えばMに関してはPb又はIn、又はXに関してはCr又はMnを使用することにより、電子並びにプロトンを伝導するために、固体酸を形成することができる。
【0036】
本発明はまた、上記超プロトン固体酸電解質材料を形成するための方法に関する。安定的な高導電性固体酸化合物の合成は、水素下での硫黄の還元によりH2Sが産出されることを介して、従来の固体酸材料、例えばCsHSO4の劣化が発生するという、出願人の認識から導出される。この還元反応は、通常、燃料電池動作温度の約100℃においても緩慢であるが、しかし、典型的な燃料電池触媒の存在において著しく加速される。
【0037】
しかし出願人は、従来の超プロトン固体酸のS(又はSe)をSi及びGeのような元素と置換することにより、このような還元反応を排除できることを発見した。このように還元反応の排除が可能なのは、H4Si及びH4Geが極端に不安定であり、これらの形成の可能性が低いからである。従って、CsHSO4及びCsH2PO4の標的類似体は例えば、LaHSiO4及びBaH2SiO4などである。
【0038】
アルカリ金属ではなく、アルカリ土類金属又は希土類金属が内蔵される場合、このような化合物の付加的な利点は、その結果として生じる化合物が水不溶性であることである。アルカリ金属が利用される場合、新しい化学量論、例えばCs2H2SiO4を調べることができる。
【0039】
しかし、一般に、酸性ケイ酸塩及び酸性ゲルマニウム酸塩は、類似の硫酸塩及びリン酸塩よりも合成するのが難しい。なぜならば、前者の化合物群が水不溶性であり、また、これらの化合物群は、分離されたXO4基で結晶化するのではなく、(Si-O-Si又はGe-O-Ge結合を有する)重合構造を形成する傾向があるからである。
【0040】
従って、第1実施態様の場合、このような固体酸電解質材料を合成する1つの方法は、既知の酸性ケイ酸塩及び酸性ゲルマニウム酸塩の合成で始まる。ほとんどのこのような化合物は、小型のアルカリ又はアルカリ土類イオンを含有する。大型カチオン(高プロトン伝導率のために必要である)を内蔵する結晶質化合物を調製するために、同じ合成手順が続けられる。但しこの場合には、反応材料のうちの1又は2種以上を変化させて、例えばNaOHをCsOHと置換することにより酸性ケイ酸セシウム又は酸性ゲルマニウム酸セシウムを産出する。
【0041】
大型カチオン・ケイ酸塩及びゲルマニウム酸塩への第2アプローチ例の場合、既知の化合物上でイオン交換反応が実施される。すなわち、融解されたCsOH中に元の材料を浸漬することにより、既知の酸性ケイ酸塩においてNaをCsと置換することができる。
【0042】
第3のアプローチ例において、HではなくLiを含有する化合物が形成され、次いで、酸性媒質中でイオン交換反応が実施される。例えば化合物LaLiSiO4が知られており、リチウムは、塩基材料を溶解しない酸を用いて、プロトンと置換することができる。
【実施例】
【0043】
上記方法に従って、NaCaHSiO4, BaH2SiO4, SrH2GeO4及びNa2H2SiO4・xH2Oを含む、化学的に安定な幾つかの超プロトン固体酸例を合成した。それぞれに対して採用された合成法は下記の通りである:
【0044】
実施例1
CsH(PO3H):炭酸セシウム及びリン酸の水溶液から、化合物CsH(PO3H)を合成した。Cs:PO3Hモル比を1:1で固定した。過不足のない水を添加することにより完全な溶解を保証し、次いで溶液を穏やかに加熱してH2O蒸発を誘発し、そして生成物を析出させる。結果として生じた材料を濾過することにより母液から分離し、そしてアセトンで濯いだ。
【0045】
実施例2
NaCaHSiO4:NaOH, Ca(OH)2及びSiO2(モル比3:2:2)を数滴の水と共に化合し、そして280℃で48時間にわたってサーマル・ボンベ内に入れた。(B.G. Cooksley及びH.F.W. Tayer, Acta. Cryst. B30(1974) 864-867)
【0046】
実施例3
BaH2SiO4:高温の脱イオン水中にNaOH及びNa2SiO3を溶解し、次いで、水性BaCl2(モル比Ba:Si=1.2:1)を添加し、これにより所期生成物の析出を誘発した。(G. Kruger 及びW. Wieker, Z. Anorg. Allg. Chem. 340 (1965) 227-293)
【0047】
実施例4
SrH2GeO4:Sr(OH)2及びGeO2を化合し(モル比1:1)、そして280℃で数日間にわたってサーマル・ボンベ内に入れ;又は、Sr(OH)2及びGeO2を熱水中で混合し(モル比1:1)、これにより所期生成物の形成を誘発した。(H. Nowotny及びG. Szekely, Monat. Chem. Ver. Teile Wissenshaft. 161(1952) 568-582)
【0048】
実施例5
Na2H2SiO4・5H2O:高温の脱イオン水中にNaOH及びNa2SiO3を溶解し(モル比Na:Si=4.65:1)、そしてゆっくりと過剰の水を蒸発させることにより、所期生成物の結晶成長を誘発した。(P.B. Jamieson及びL.S. Dent Glasser, Acta Cryst. 20(1966)373-376)
【0049】
次いで、結果として生じた材料の回折パターンを使用することにより、所期の生成物が得られたことを確認した。しかし、幾つかの事例において、少量の不純物相が存在することになることを理解すべきである。本発明による二水素ケイ酸塩の2つの例、BaH2SiO4及びNa2H2SiO4・5H2Oの熱挙動を検査した。そしてこれらの化合物は、それぞれ〜320℃(分解)及び70℃(融解)まで安定であることが判っている。(G. Kruger及びW. Wieker, Z. Anorg. Allg. Chem. 340(1965) 227-293; J. Flesche, B. Ketterer及びR.L. Schmid, Thermochim. Acta 77 (1984) 109〜121)。残りの2つの化合物、NaCaHSiO4及びSrH2GeO4を、出願人によってサーマル法(熱重量分析及び熱量測定)により特徴付けし、そして4種のすべての化合物をインピーダンス分光法によって試験し、これにより燃料電池電解質としての好適性を評価した。酸性ケイ酸ナトリウムカルシウムの場合には、H/Dイオン交換と、これに続く導電率測定とを付加的に実施することにより、荷電種の性質を確立した。
【0050】
図2の結果は、NaCaHSiO4及びSrH2GeO4の熱重量分析曲線を示し、そして、ケイ酸塩化合物が、室温から460℃までに重量を〜1%だけ徐々に損失し、次いで急速に分解して、560℃付近で重量をさらに3.5%だけ損失し、重量損失速度最大値が505℃にあることを示している。重量変化全体は、(NaCaHSiO 1モル当たり)0.42モルH2Oに相当する。この値は期待値0.5モルに近い。これとは異なり、SrH2GeO4は、315℃を中心として急速に重量を損失する。この重量損失は295℃で始まり、335℃付近で本質的に終わる。9.6%の総重量変化は(SrH2GeO4 1モル当たり)1.2モルのH2Oに相当する。この価は期待値8.0%(1モル H2O/ SrH2GeO4)よりも大きい。このことは、温度範囲70〜295℃にわたって生じる1.6重量%の初期重量損失が、表面水の損失に相当することを示唆している。これらの結果は、NaCaHSiO4化合物が〜400℃まで、SrH2GeO4化合物が280℃まで、比較的良好な熱安定性を呈することを示している。
【0051】
熱量測定(結果は示さない)は、これらの化合物のうち構造相転移させられるものはないことを示した。すなわち、超プロトン相へのシャープな転移は観察されなかった。それどころか、重量分析から確立されたような脱水に相応する広範囲な熱事象が得られた。
【0052】
実施例1〜3における化合物の導電率を図3に示す。図示のように、ケイ酸ナトリウムは、制限された温度範囲にわたってしか測定することができなかったが、しかし、周囲温度近くで4つの最高導電率を、つまり50℃で1.3 x 10-6Ω-1cm-1を示した。
【0053】
NaCaHSiO4化合物の場合、電荷輸送が少なくともナトリウム・イオンの移動によって発生する可能性を事前に除外することはできない。合成時のままの材料の導電率と、(数時間にわたって高温D2Oに暴露された)ジューテロ化(deuterated)類似物の導電率とを比較すると、図4に示したように、ジューテロ化材料が著しく不良の導体であることが判る。このことは、プロトン/ジューテロンが実際に移動性の種であることを意味する。実際に、ジャンプ周波数又はゼロ点エネルギーの変化として容易に説明できるものよりも大きい1桁の差が2つの導電率間に生じることにより、導電率に対する測定可能なアルカリイオンの関与の可能性が除外される。さらに、ジューテロ化処理後の材料をX線粉末回折により試験することによって、構造変化が行われていないことが確認された。
【0054】
導電率よりも顕著なのは、これらのケイ酸塩及びゲルマニウム酸塩の安定性である。図5に示されているように、流動水素ガス下における、そしてPt触媒材料の存在におけるNaCaHSiO4、SrH2GeO4及びCsHSO4の熱重量分析挙動を比較する。硫酸塩はこれらの条件下では劇的に重量を損失させられるが、これに対してケイ酸塩及びゲルマニウム酸塩は極めて安定的であることが即座に明らかになる。図6に示されたように、(Pt-Ru触媒の存在において)メタノール蒸気下で同様の結果が得られ、NaCaHSiO4は良好な安定性を示し、CsHSO4は即座に重量損失を示した。
【0055】
直接合成ルートの最大の成功は、新しい単一アルカリケイ酸塩、具体的にはセシウムを含有するケイ酸塩の調製にあった。900℃でCsOHとSiO2(モル比4:1)とを反応させることより、高結晶性生成物を産出した。しかしこの生成物が酸性プロトンを含有している可能性は少なかった。280℃のサーマル・ボンベ内でこれらの2種の出発材料(モル比2:1)を反応させることにより、やはり高結晶性生成物を産出した。しかし、この第2生成物は、第1生成物とは明らかに異なる回折パターンを有し、合成条件は、材料が酸性プロトンを含有することを示唆している。これらの2種の材料、ケイ酸セシウム#1及びケイ酸セシウム#2の熱重量分析曲線を図7に示す。
【0056】
第1の材料は800℃まで熱安定的であり(合成後に吸着された表面水の脱着に起因する少量の重量損失を除く)、このことは酸性プロトンの不存在と一致する。第2の材料は〜400℃までしか熱安定的でなく、このことは酸性プロトンの存在と一致する。
【0057】
図8に示されているように、これらの材料の導電率は酸性硫酸塩ほどは高くはないものの、材料の増大した安定性及び比較的高い導電率は、電解質材料としての大きな潜在力を示す。
【0058】
同様に、NaCaHSiO4中でのアルカリ種のイオン交換による新しい酸性ケイ酸塩の合成は、適切な反応条件と共に下記表1に要約した結果をもたらす。
【0059】
【表1】
【0060】
図9に示されているように、幾つかの事例においてはイオン交換プロセスはNaCaHSiO4に対して効果をほとんどもたらさないが、これに対して他の事例においては、このイオン交換の結果、完全に新しい相が結晶化される。一般に、イオン交換によって誘発された導電率の変化は1桁未満であった。但し、NaCaHSiO4を融解酢酸カリウムに暴露すると(IonEx-5)、2桁の導電率増大が生じ、しかもこの場合、結晶構造に有意な変化は引き起こされない。
【0061】
Li含有化合物からのプロトン交換を伴う、新しいアルカリ酸性ケイ酸塩及びゲルマニウム酸塩を調製するための最終的なルートを、化合物Li4SiO4及びLaLiSiO4に関して説明する。これらの化合物は両方とも、それぞれPfeiffer(J. Nucl. Mat. 257(1998) 309-317)及びSato他(Solid State Ionics 83(1996)249-256)によって概要がまとめられた手順に従って、ソリッドステート反応によってうまく合成されている。これら及びその他の化合物の合成は、酸性ケイ酸塩の直接合成には、より極端な熱水条件、すなわちより高い圧力及び温度が必要となることを示す。しかし、(NaCaHSiO4の導電率の2桁の増大を導いた)イオン交換法は優れた結果を示す。
【0062】
上記論議は未加工状態の固体酸電解質材料に焦点を置いているが、電気化学デバイス内に一体化するために、本発明の固体酸電解質材料が膜(MEA)中に形成されるのが好ましいことを理解すべきである。従って本発明はまた、本明細書中に記載された固体酸電解質材料から膜を加工する方法に関する。
【0063】
薄い高密度の固体酸膜の加工は一般に、高い温度及び圧力(一軸)を同時に加えることを伴う。出願人は、図10a及び図10bに示されているように、圧力〜700psi及び温度〜190℃がCsHSO4の透明膜を産出することを見出した。具体的には、図10aは、ホットプレスされたCsHSO4の画像を、反射光下で銅板に試料厚320μmで取り付けられた状態で示している。図10bは、半透明性を強調する背後からの照明を用いてこの材料を示している。
【0064】
上記論議は純粋な固体酸電解質材料を加工することに焦点を置いているが、上述した機械的困難性のため、本発明の1実施態様では、固体酸電解質材料を、固体酸が支持マトリックス内に埋め込まれている複合材料として加工する。このような複合材料の場合、固体酸はその超プロトン状態にあり、高導電率を示し、そして所望の電気化学特性を提供し、これに対して、支持体マトリックスは機械的な支持体を提供する。そしてこの支持体マトリックスは、環境内で水から固体酸を保護するために役立つこともできる。このような実施態様の場合、十分な機械的及び/又は化学的支持体を提供することになる任意の好適なマトリックス材料、例えばポリマー、セラミック又は酸化物ガラスを利用することができる。
【0065】
従って、1実施態様の場合、本発明による固体酸とシンプルな構造ポリマー、例えばポリフッ化ビニリデンとから成る複合材料膜は、シンプルな溶融加工によって調製することができる。この溶融加工において、2成分が一緒に軽く粉砕され、次いで180℃及び10kpsiで15分間にわたってホットプレスされる。この方法がしばしば直面するもっとも大きな困難は、亀裂を導入することなしに、ホットプレスから電解質を取り出すことにあり、この方法は、ホットプレス法によって加工可能な最も薄い膜が〜200μmであるという制限を有している。非高分子マトリックス材料の場合、2成分の混合物を、好ましくは固体酸を溶融させて流動させる温度でホットプレスすることにより、高密度複合材料膜が産出される。
【0066】
別の例の場合、本発明は、安定化マトリックスにおいてより薄い電解質を形成する方法に関する。このような1実施態様の場合、この膜は、熱硬化性ポリマーをモノマー又はプレポリマーの形で提供し、次いでこのポリマーを固体酸とin situで重合することにより形成することができる。この方法の場合、2種の材料はここでも一緒に粉砕され、重合/架橋触媒剤が添加される。任意の好適なプレポリマー、例えばポリエステル樹脂が使用されてよい。1実施態様の場合、固体酸が粉砕され、プレポリマーと混合された。重合触媒が導入され、次いで混合物がプレート上に注がれ、プレスされて薄膜にされた。こうして生成された膜は次いで100℃でほぼ2時間にわたって硬化された。
【0067】
さらに別の実施態様の場合、膜は懸濁液キャスティングにより形成することができる。この実施態様の場合、固体酸及びマトリックス材料は、適切な溶剤系、例えば水/エタノール溶液中に溶解及び/又は分散される。次いでこの膜は、懸濁液をキャスティングし、そして溶剤を蒸発させておくことにより形成される。ポリマーに加えて、非高分子マトリックス材料、例えばセラミック又は酸化物ガラスを含有する膜を、この方法によって形成することができる。
【0068】
上記論議によると、固体酸を、電気化学的には反応しない支持構造と混合することにより、複合材料が形成される。M種及びX種を慎重に選択することのない本発明の固体酸は、内在的に不良の電子導体であるので、これらの材料だけでは、プロトン輸送を可能にするためにしか利用することができない。しかし、本発明の1実施態様の場合、マトリックス材料は、複合材料膜が電子輸送及びプロトン輸送の両方を可能にするような伝導特性を有している。
【0069】
第1実施態様の場合、固体酸と、高電子伝導率を有する第2の物質とから成る複合材料を、上記方法のうちのいずれかを介して調製することにより、固体酸内に電子伝導性が導入される。この第2の物質は、任意の好適な電子伝導性材料、例えば導電性ポリマー、例えばポリアニリン、又は典型的な金属、例えば銅又はグラファイトであってよい。電子伝導性材料が金属の場合には、フレキシブルで不活性の材料、例えばポリマーを複合材料中に提供することにより、バインダーとして使用することがさらに有利であることがある。
【0070】
第2実施態様の場合、前述したような可変原子価イオンとの直接的な化学置換により、固体酸中に電子伝導性が導入される。例えば、リン、ケイ素又はゲルマニウムの一部を、可変原子価状態を示すイオン、例えばマンガンと置換することができる。同様に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の一部を、大型可変原子価イオン、例えばタリウム、インジウム、鉛及び錫と置換することもできる。こうして変性された固体酸は、電気化学デバイスにおいて直接的に使用することができ、或いは、上述のような複合材料として支持マトリックス材料と組み合わせることもできる。
【0071】
上記論議は本発明の固体酸電解質材料、及びこのような材料の形成方法に焦点を当てているが、本発明はまた、このような材料及び膜を内蔵する電気化学デバイスに関する。幾つかのデバイス例の実施態様を図11〜15に示す。
【0072】
図11及び図12は、水素/空気燃料電池及びメタノール燃料電池10の実施態様を示す。これらの実施態様において、プロトン伝導膜12は、2つのグラファイト層14間にサンドイッチされた、本明細書中に記載されたタイプの単独又は複合形の固体酸電解質である。膜12は動作のために給湿する必要がないので、この燃料電池システムは極めてシンプルであることが可能である。例えば、図示のように、従来の電解質材料、例えばNafionを利用する従来型燃料電池に通常必要とされる給湿システムは必要とならない。さらに、燃料電池において用いられる温度モニター及び温度制御はさほど厳格でなくてよい。固体酸に基づく膜は給湿の必要がないので、燃料電池は高温で動作することができ、このような高い温度は、電気化学反応の動力学的特性を向上させることができ、燃料電池が燃料中の高濃度のCOに耐えることを可能にする。これとは対照的に、従来の給湿型燃料電池は、水の沸点(100℃)を上回る温度で動作することはできない。
【0073】
固体酸電解質材料を燃料電池において使用することは、重要な適用例であるが、このような材料は種々の膜反応器中に内蔵することもできる。例えば、図11に示された水素/空気燃料電池内のPt系触媒16は、具体的には周囲温度に近い温度で、CO被毒に対して感受性が極めて高い。従って、間接的な水素/空気燃料電池の場合、改質器によって生成された水素から、これが燃料電池に入る前に、CO不純物がしばしば除去される。従って図13に概略的に示された1実施態様の場合、材料は、水素からCO及びその他のガスを除去するための水素分離膜内に内蔵された状態で示されている。
【0074】
この実施態様の場合、水素分離膜20は、本明細書中に記載されたタイプのプロトン伝導電解質22から形成され、電流源24に接続されている。他の不所望なガス27と混合された水素ガス26が、膜の一方の側(入口)28に導入され、きれいな水素ガス26aが膜の他方の側から抽出される。この実施態様の場合、電流が印加されると、水素ガスは分離されてH+及びe-になる。膜はプロトンだけを伝導するので、これらのプロトンは、膜を通過する移動することができる種だけである。電子は電流源を通して膜の出口側29に移動し、ここでH+は電流源から来た電子と合体し、これにより水素ガスを形成する。このような膜は他のガス及び流体を実質的に通さない。この水素分離プロセス全体は、電流源24から印加された電流によって駆動される。
【0075】
別のタイプの水素分離膜が図14に示されている。この実施態様の場合、水素分離膜30は、混合型プロトン・電子伝導膜36から形成されている。上述のように、例えば所与の量の可変原子価元素、例えばXに関してはCr又はMnを含むことにより、このような膜を固体酸にすることもできる。或いは、膜は複合材料として形成することができる。この複合材料において、マトリックス物質は電子伝導材料、例えば導電性ポリマー、例えばポリアニリン、又は典型的な金属、例えばアルミニウム又は銅、又はグラファイトであってよい。
【0076】
この場合もまた、他の不所望なガス34と混合された水素ガス32が、膜36の一方の側(入口)に導入され、きれいな水素ガス37が膜の他方の側から抽出される。動作中、膜36の入口38側には水素ガスが分離されてH+及びe-になる。膜36はプロトン伝導性であり、かつ電子伝導性であるので、これらの種の両方は膜を通して移動する。しかしこの場合にも、膜はその他のガス及び流体34を実質的に通さない。従ってCO及びその他の不所望のガス又は流体はこのように移動することができない。その一方で、H+とe-とが再結合して水素ガスを形成する。プロセス全体は、水素化学ポテンシャル勾配によって駆動される。このポテンシャル勾配は、膜の入口側では高く、膜の出口側39では低い。
【0077】
最後に、図15には、本発明の電解質材料を内蔵した膜反応器が概略的に示されている。図15に示した膜反応器においては、上述のタイプの混合型プロトン・電子伝導膜が利用される。この反応器内で実施される一般的な反応は、下記の形:
に従う。
【0078】
この反応器内で混合型プロトン・電子伝導膜を使用することにより、反応を強化させることができ、熱力学的平衡値を超える収量を提供する。膜反応器40の入口側では、反応体41は生成物C42及びH244とを形成する。平衡条件下では、水素濃度が増加し、正反応が遅くなる。混合型プロトン・電子伝導膜46を使用することにより、水素44は、膜を通した輸送を介して、反応領域48から迅速に抽出される。
【0079】
このような膜反応器を使用することにより、収量を増大することができるこのような反応の例は下記1)〜5)を含む:
に従った、メタンの水蒸気改質による合成ガスの生成
2) COの水蒸気改質によるCO2及びH2の生成:
3) 硫化水素の分解:
4) プロパンの脱水素化によるポリプロピレンの生成、及び5) アルカン及び芳香族化合物の脱水素化による種々の生成物の生成。
【0080】
膜反応器の1実施態様を図15との関連において上述したが、本発明の膜は、プロトン伝導膜又は混合型プロトン・電子伝導膜を利用するその他の反応、例えば選択的水素化反応に使用することもできる。
【0081】
具体的な実施態様を本明細書中に開示したが、文字通り又は等価物の原理の下で別記の範囲内にあるこのような材料を活用して、固体酸電解質及び電気化学デバイスを当業者によって構成し得ることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1a】本発明による一例としてのCsH(PO3H)固体酸の特性を示すグラフである。
【図1b】本発明による一例としてのCsH(PO3H)固体酸の特性を示すグラフである。
【図1c】本発明による一例としてのCsH(PO3H)固体酸の特性を示すグラフである。
【図1d】本発明による一例としてのCsH(PO3H)固体酸の特性を示すグラフである。
【図1e】本発明による一例としてのCsH(PO3H)固体酸の特性を示すグラフである。
【図2】本発明による一例としての固体酸電解質の窒素下での温度分解特性を示すグラフである。
【図3】本発明による一例としての固体酸電解質の空気中での導電特性を示すグラフである。
【図4】本発明による一例としての固体酸電解質の導電特性を示すグラフである。
【図5】従来の(CsHSO4)、及び、本発明による一例としての固体酸電解質の水素下での分解特性を比較して示すグラフである。
【図6】従来の(CsHSO4)、及び、本発明による一例としての固体酸電解質の気相メタノール下での分解特性を比較して示すグラフである。
【図7】本発明に基づいて合成された一例としての固体酸電解質の、窒素化での温度分解特性を示すグラフである。
【図8】本発明に基づいて合成された一例としての固体酸電解質の導電特性を示すグラフである。
【図9】本発明に基づいて合成された一例としての固体酸電解質の導電特性を示すグラフである。
【図10a】本発明による一例としての固体酸電解質から形成された一例としての膜を再現した写真である。
【図10b】本発明による一例としての固体酸電解質から形成された一例としての膜を再現した写真である。
【図11】本発明による一例としての固体酸電解質膜を使用した一例としての水素/空気燃料電池を示す概略図である。
【図12】本発明による、バインダーによって支持された一例としての固体酸を使用した、一例としての直接型メタノール燃料電池を示す概略図である。
【図13】本発明による一例としてのプロトン伝導固体酸を使用した別の例としての水素分離膜を示す概略図である。
【図14】本発明による一例としての混合型電子・プロトン伝導固体酸を使用した一例としての水素分離膜を示す概略図である。
【図15】本発明による一例としての固体酸を使用した膜反応器の実施例を示す概略図である。
Claims (33)
- 一般式:(M x M'1-x)3H3x(PO4)2(前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、M'は、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属であり、そしてXは1以下である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式: M'3H2x[(P1-x, Ax)O4]2 (前記式中、M'は、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属であり、AはSi又はGeの一方であり、そしてXは1以下である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式: MH1+x(PO3A)1-x(PO4)x (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、AはF又はHの一方であり、そしてXは1以下である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式: M3Hx[(PO3A)x(PO4)x]2 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、AはF又はHの一方である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式: MH1+x(CrO4)1-x(PO4)x及びM3Hx[(CrO4)x(PO4)1-x]2 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、そしてXは1以下である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式: MHx(P1-xAx)F6 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、AはSi又はGeの一方であり、そしてXは1以下である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式: MxM'yHzAlF6 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、M'は、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属であり、そしてX,Y及びZはそれぞれ独立して、関係:
X + 2Y + Z = 3
に従う3未満の数である)の固体酸を含んでなる電解質膜。 - 一般式: (M1-xHx)3AlF6, MH2AlF6, M'HAlF6及びM2HAlF6 (前記式中、Mは+1電荷を有する種であり、M'は+2電荷を有する種であり、そしてXは1以下である)から成る群から選択された固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式:(M1-yHy)2+x(A1-xAlx)F6 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、AはSi又はGeの一方であり、そしてX及びYはそれぞれ別個に1以下である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式:(M1-yHy)1+2x(P1-xAlx)F6 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、そしてX及びYはそれぞれ別個に1以下である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式:(M1-xM'x)(A1-xAlx)F6 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、M'は、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属であり、AはSi又はGeの一方であり、そしてXは1以下である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式:(M1-x)HxAO4 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、AはSi又はGeの一方であり、そしてXは1以下である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式:M'H2AO4 (前記式中、M'は、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属であり、そして、AはSi又はGeの一方である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式:M''HAO4 (前記式中、M''は、+3電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属であり、そして、AはSi又はGeの一方である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- 一般式:MM'HAO4 (前記式中、Mは、+1電荷を有する任意のアルカリ金属、遷移金属その他の官能基であり、M'は、+2電荷を有する任意のアルカリ土類金属又は遷移金属であり、そして、AはSi又はGeの一方である)の固体酸を含んでなる電解質膜。
- MがLi, Na, K, Rb, Cs, Fr及びNH4から成る群から選択されている、請求項1及び請求項3〜12及び請求項15のいずれか1項に記載の電解質膜。
- M'がBe, Mg, Ca, Sr, Ba, Ra及びPbから成る群から選択されている、請求項1、2、7、8、11、13及び15のいずれか1項に記載の電解質膜。
- M''が:Sc, Y, La, Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb及びLuから成る群から選択されている、請求項14に記載の電解質膜。
- さらに構造バインダー材料を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電解質膜。
- 前記構造バインダー材料が、グラファイト、ポリマー、セラミック、ガラス及び金属から成る群から選択された種である、請求項19に記載の電解質膜。
- さらに別個の導電性材料を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電解質膜。
- 前記導電性材料が、導電性ポリマー、金属及びグラファイトから成る群から選択されている、請求項21に記載の電解質材料。
- 前記固体酸が1以上の可変原子価元素を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電解質材料。
- 前記電解質が水不溶性である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電解質材料。
- 前記電解質が100℃を上回る温度で熱安定的である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電解質材料。
- 前記電解質がプロトンを伝導する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電解質材料。
- 前記電解質が使用温度で約10-5Ω-1cm-1以上のプロトン伝導率を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電解質材料。
- 前記電解質がプロトン及び電子の双方を伝導する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電解質材料。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載の固体酸電解質材料を内蔵した電気化学デバイス。
- 該デバイスが、燃料電池、バッテリー、水素分離膜及び膜反応器から成る群から選ばれる、請求項29に記載の電気化学デバイス。
- 従来のアルカリ含有ケイ酸塩又はゲルマニウム塩の合成反応を行うに際し、アルカリイオン又はアルカリ土類イオンを含有する反応体の一方を、1以上の大型カチオンを含有する反応体に置き換えることを特徴とする、固体酸電解質材料の製造方法。
- 従来のアルカリ含有ケイ酸塩又はゲルマニウム酸塩を準備し;そして、
イオン交換を行いアルカリイオン又はアルカリ土類イオンの一方を1以上の大型カチオンに置き換える
工程を含むことを特徴とする、固体酸電解質材料の製造方法。 - 従来のLi含有ケイ酸塩又はゲルマニウム酸塩を準備し;そして、
酸性媒体中でイオン交換を行い該Liを1以上のプロトンに置き換える
工程を含むことを特徴とする、固体酸電解質材料の製造方法。
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