JP6998586B2 - プロトン伝導体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池の電解質などに利用可能なプロトン伝導体に関し、特に240~350℃の中温度領域において、高いプロトン伝導度を示すリン酸塩系のプロトン伝導体に関する。
次世代エネルギー貯蔵システムとしての燃料電池の開発において、安定で高性能な電解質材料の開発が非常に大きな比重を占めている。既にこれまでに500℃以上の高温や、100℃以下の低温で高いプロトン伝導度を有する電解質材料が開発されている。100℃以下の温度で使用される電解質材料としては、固体高分子形燃料電池に使用されるフッ素樹脂系イオン交換膜がよく知られている。500℃以上の高温で使用される固体電解質としては、BaCe0.80.23-aのようなプロベスカイト型金属酸化物が500℃よりも高い温度で高いイオン伝導度を示す。
しかしながら、最もエネルギー効率が高く、想定される使用環境に近い240~350℃の中温度領域で高いプロトン伝導度を示す固体電解質材料は、まだ殆どなく、現在、高性能な固体電解質材料の開発が精力的に続けられている。
例えば、100℃以上の乾燥雰囲気中においても高いプロトン伝導性を示すプロトン伝導性材料として、ホスホシリケートゲル又はシリカゲルにリン酸金属塩を添加したプロトン伝導性組成物(例えば、特許文献1参照)、結晶性リン酸金属塩をメカニカルミリングにより処理して結晶性の一部を乱すとともにフリーのリン酸を生成させることによってプロトン伝導度を向上させたリン酸金属塩を主成分とするプロトン伝導性材料(例えば、特許文献2参照)などのリン酸塩系の材料が開発されている。
特開2004-55181号公報 特許3916139号公報
ここで、上記従来の固体電解質においては、構造中にトンネルや層間といったナノ空間を構築し、そこを伝導パスにするという思想で設計された結晶質化合物が主であるが、このような固体電解質は、大きな空間を創生することが困難であるとともに、高温下で合成する必要があるため、多くのエネルギーを必要とし、製造コストが高くなるという問題があった。
また、従来のリン酸塩系の固体電解質材料においては、リン酸分が溶出しフレームを腐食させる場合もある。このような状況下において、簡便な製造方法で安価に製造することが可能であり、240~350℃の中温度領域において高いプロトン伝導度を有するプロトン伝導体の開発が待たれている。
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、安価に製造可能であるとともに、240~350℃の中温度領域で高いプロトン伝導度を有するプロトン伝導体を提供することを目的とする。また、簡易な方法により、240~350℃の中温度領域で高いプロトン伝導度を有するプロトン伝導体を製造することができるプロトン伝導体の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のプロトン伝導体は、下記一般式(1)で示される非晶質又は非晶質を主体とする遷移金属リン酸水素塩を主成分とすることを特徴とする。
[化1]
MP (1)
(ここで、Aはアルカリ金属、Mは遷移金属、a,b,cは自然数であって、dはa+b+3+5c=2dの電荷中性条件を満たすように規定される値である)
本発明によれば、安価に製造可能であるとともに、240~350℃の中温度領域で高いプロトン伝導度を有するプロトン伝導体を得ることができる。また、粒界のないガラス状のプロトン伝導体を、低コストで得ることができる。
本発明のプロトン伝導体は、下記一般式(1)で示される非晶質又は非晶質を主体とする遷移金属リン酸水素塩を主成分とするプロトン伝導体である。
[化2]
MP (1)
(ここで、Aはアルカリ金属、Mは遷移金属、a,b,cは自然数であって、dはa+b+3+5c=2dの電荷中性条件を満たすように規定される値である)
例えば、アルカリ金属Aがリチウム、遷移金属Mがルテニウム(Ru)であって、a=1、b=5、c=15の場合、a+b+3+5c=1+5+3+75=84=2dとなるため、d=42となり、本発明のプロトン伝導体は、HLiRuP1542(後述の実施例5)となる。
本発明のプロトン伝導体は、非晶質又は非晶質を主体とする遷移金属リン酸水素塩であるため、全てが非晶質からなる遷移金属リン酸水素塩のみならず、大部分が非晶質の遷移金属リン酸水素塩であってもよい。一方、一部のみが非晶質の遷移金属リン酸水素塩は含まれない。
非晶質のリン酸水素塩は特定のリン酸水素塩に限定されるものではなく、トリポリリン酸水素塩、ピロリン酸水素塩、及びオルトリン酸水素塩が例示される。例えば、オルトリン酸イオン、ピロリン酸イオン、トリポリリン酸イオン、およびそれ以上の縮合度のリン酸イオンを含むリン酸水素塩を本発明のプロトン伝導体として好適に使用することができる。
また、本発明のプロトン伝導体は、リン酸水素塩とあるように、水素を全く含まないリン酸塩は本発明に含まれない。
非晶質のリン酸水素塩が高いプロトン伝導度を示す理由は、次のように推察される。なお、非晶質とは隣接原子との短距離秩序は保ちつつ、長距離秩序の無い状態を言う。
非晶質の縮合リン酸水素塩は、複数のPO四面体の中距離秩序を持った物質であり、この中距離秩序内ではプロトンは自由に移動することができ、さらに非晶質となることで縮合リン酸イオン間のパスが形成され、プロトンの拡散が容易に起こると考えられる。プロトンの場合、他のイオンに比べて大きさが極端に小さいため、他のイオン伝導体とは異なり大きなトンネルや層間は必要なく、プロトンが移動するためのパスが繋がっていればよいと考えられる。トンネル構造や層状構造をもつ結晶質の物質では、このパスが特定の方向にのみ繋がっていて、プロトンはそこしか通ることができない。しかしながら、非晶質の固体中では、構造中の隙間が多く、プロトンが通るためのパスが無数に存在すると考えられ、これにより高いプロトン伝導度を示すものと推察される。
なお、このような縮合リン酸イオンのネットワークに、オルトリン酸イオンを組み合わせた場合であっても、同様のプロセスにより、プロトン伝導が可能になるものと考えられる。
本発明の遷移金属リン酸水素塩における遷移金属は、3価の酸化状態をとる遷移金属(3価の酸化状態をとる遷移金属を主体としたものを含む)であって、240~350℃の温度において、そのリン酸水素塩が非晶質又は大部分が非晶質状態で安定的に存在し得る金属であることが好ましい。
本発明においては、遷移金属としては、例えば、ルテニウム、鉄、アルミニウム、クロム、インジウム、及びイリジウムが使用できる。
本発明のプロトン伝導体は、240~350℃の中温度領域で使用することを予定しているため、この温度領域において、非晶質又は大部分が非晶質状態で安定的に存在し得る遷移金属を使用することで、安定した性能を得ることができる。
また、特に、ルテニウムのリン酸水素塩は、非晶質度が高く、プロトン伝導性に優れるため、遷移金属として、ルテニウムを使用することが好ましい。
なお、上記鉄、アルミニウム、クロム、及びインジウムは、リン酸塩中で3価の価数を取りやすく、結晶化する場合もルテニウムのリン酸塩と同形構造のリン酸塩を生成するといった類似性から、非晶質材料についても、その周囲の化学的環境がルテニウムの場合と極めて類似していると考えられる。
遷移金属リン酸水素塩の遷移金属は、必ずしも一種類の遷移金属のみからなる必要はなく、2種類以上の遷移金属を含有する遷移金属リン酸水素塩であってもよい。例えば、ルテニムとクロム、ルテニウムと鉄、ルテニウムとアルミニウム、ルテニウムとインジウム、ルテニムとクロムと鉄とを含む遷移金属リン酸水素塩等が例示される。クロム、鉄、及びアルミニウムは、ルテニウムに比較して価格も安いため、ルテニウムのほかにクロム、鉄、及びアルミニウムを添加することにより、安価に製造することができる。
また本発明のプロトン伝導体は、遷移金属リン酸水素塩のみからなるものに限定されず、遷移金属リン酸水素塩を主成分とすればよく、これらに悪影響を及ぼさないケイ酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩、硝酸塩などが含まれていてもよい。
また、本発明のプロトン伝導体は、粒界のないガラス状の形態とすることで、さらにプロトン伝導度が高まる。粒界のないガラス状の形態のプロトン伝導体は、後述の方法で簡単に製造することができる。一般的に本発明のような固体電解質は、合成時、粉体状の形態となることが多い。粉体状のプロトン伝導体を加圧成形しただけでは、粒子間の抵抗が大きく、プロトン伝導度が低下する。また、取扱いも不便である。このため一般的にバインダー等を用いて成形するか、高温で焼成して成形する方法が採られるが、バインダーを使用する方法では、別途、使用する温度に適したバインダーが必要となりコスト高となる。更に、バインダーと固体電解質との間に結合不良が発生すると、プロトン伝導度を十分に高くすることができない。また、高温で焼成して成形する方法では、割れ等の対策が必要であり、温度が高いため多くの時間、エネルギーを要する。
これに対して、本発明のプロトン伝導体は、バインダーを使用することなく、比較的低温で粒界のないガラス状の形態とすることができるため、安価に、かつ短時間で製造することができる。
また、本発明においては、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセリウムが使用できるが、製造コストの観点から、リチウム及びナトリウムを使用することが好ましい。
なお、カリウム、ルビジウム、及びセリウムのリン酸塩は、そのアルカリイオン周りの化学的環境が、ナトリウムのリン酸塩中のナトリウムイオンの化学的環境と類似しており、結晶になった場合も同形構造を取ることが多いため、ナトリウムのリン酸塩と同様の性質を示す。
また、本発明のプロトン伝導体は、必ずしも一種類のアルカリ金属のみを含有する必要はなく、2種類以上のアルカリ金属を含有してもよい。
次に、本発明のプロトン伝導体の製造方法の一例を説明する。なお、本発明のプロトン伝導体の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
水とアルカリ金属原料と遷移金属原料とリン酸と混合し、所定の温度、所定の時間加熱し反応させる。これにより非晶質又は非晶質を主体とする遷移金属リン酸水素塩を主成分とするプロトン伝導体を得ることができる。
アルカリ金属原料としては、アルカリ金属の炭酸塩、酸化物、水酸化物、酢酸塩、及びハロゲン化物を使用することができるが、簡便性の観点から、炭酸塩を使用することが好ましい。
遷移金属原料としては、遷移金属の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、ハロゲン化塩、及びリン酸塩を使用することができる。2種以上の遷移金属を含むリン酸水素塩を製造する場合には、該当する2種以上の遷移金属を含む原料を使用すればよい。無水物は反応性が悪いので、水和物が好ましい。粉末状の遷移金属原料を使用する場合は、粒子径が小さいほど好ましい。遷移金属原料は、予め水に溶解させた状態で使用してもよい。
リン酸としては、オルトリン酸、ピロリン酸を好適に使用可能であり、縮合リン酸を使用することも可能である。これらリン酸は水に溶解させた水溶液として使用してもよい。
水は、イオン交換水、純水を使用することができる。なお、水は必須ではなく、必要に応じて、適宜、混合すればよい。
水とアルカリ金属原料と遷移金属原料とリン酸とは均一状態にすることが好ましく、粉末状の遷移金属原料にリン酸水溶液を加えることで、簡単に水とアルカリ金属原料と遷移金属原料とリン酸とを均一状態とすることができる。
アルカリ金属原料とリン酸との混合割合は、プロトン伝導体におけるアルカリ金属とリンとの割合が、モル比で1:3~1:5であることが好ましい。
また、遷移金属原料とリン酸との混合割合は、プロトン伝導体における遷移金属とリンとの割合が、モル比で1:13~1:19であることが好ましい。また、水の添加量は、リンに対して0.5~10当量が好ましい。
水とアルカリ金属原料と遷移金属原料とリン酸との混合物の加熱は、電気炉等を用いて所定の温度で所定の時間行う。
水とアルカリ金属原料と遷移金属原料とリン酸との混合、加熱に伴い脱水、縮合反応が起こり、ガス及び水蒸気が発生する。例えば、遷移金属原料に金属塩化物を使用すると塩化水素ガスが発生する。この塩化水素ガスは反応初期段階に多く、反応後半では水蒸気が主となる。
遷移金属がルテニウムの場合、加熱温度は、240~350℃の温度が好ましい。ルテニウムは、反応速度が遅く、温度を高くしても結晶化しにくいので、上記中温度領域で加熱することが好ましい。
なお、遷移金属がルテニウムの場合、塩化ルテニウム水和物を、直接、使用する(即ち、まず、塩化ルテニウム水和物とリン酸とを反応させて、遷移金属の非晶質リン酸塩である非晶質リン酸ルテニウムを合成するのではなく、直接、塩化ルテニウム水和物とアルカリ金属原料とリン酸とを混合する)ことも可能であるが、この方法では、合成に時間がかかるとともに、突沸が発生する場合がある。従って、まず、非晶質リン酸ルテニウムを合成し、次いで、合成した非晶質リン酸ルテニウムに、アルカリ金属原料とリン酸とを混ぜて合成することが好ましい。
また、潮解を防止するとの観点から、合成後は、湿気を遮断した環境下でプロトン伝導体を保管する必要がある。
加熱時間は、適宜、遷移金属リン酸水素塩を形成するために必要な時間に設定すればよい。例えば、遷移金属がルテニウムの場合、所定の温度(例えば、350℃)に到達した時点から4日~10日、加熱することにより、非晶質のルテニウムリン酸水素塩を得ることができる。これは、加熱時間が3日未満の場合、リン酸イオンの縮合反応が遅いため、縮合が完結せず、良好な非晶質のルテニウムリン酸水素塩が得られないという不都合が生じる場合があり、また10日よりも長い場合、酸化ルテニウムの生成に伴う試料の不純化や、製造コストが増大するという不都合が生じる場合があるためである。
以上に説明したように、本発明のプロトン伝導体は、水とアルカリ金属原料と遷移金属原料とリン酸とを混合、加熱し反応させることで得ることができるため、製造方法が非常に簡単であり、合成温度(反応温度)も低くエネルギー消費量が少ない。また、粒界のないガラス状のプロトン伝導体も、別途バインダーを必要とせず、簡単な操作で得ることができる。
なお、特定の形状を有さず、板状で粒界のないガラス状のプロトン伝導体を製造する場合には、非晶質又は非晶質を主体とする遷移金属リン酸水素塩を主成分とする材料を粉砕した後に水分を加え、これをガラスやセラミックス製の基板の上に塗布するか、二枚の基板で挟込み、加熱すればよい。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
(実施例1~21)
(プロト伝導体の作製)
まず、粉末状の塩化ルテニウム水和物であるRuCl・nHO(Ru:39.010質量%、田中貴金属工業(株)製)と85質量%のリン酸水溶液(ナカライテスク(株)製)とを、ルテニウムとリンのモル比率が1:3となるようにセラミックス製蒸発皿中で混合し、空気中において、ガスバーナーで30分間、加熱反応させ、粘張性の高い黒褐色試料を作製した。
次に、この試料を金あるいはセラミックス製のボートに取り、電気炉を用いて不可性ガス流通下で350℃まで徐々に昇温し、その後、350℃で1週間以上アニール処理し、非晶質のリン酸ルテニウムを得た。
次に、この非晶質リン酸ルテニウム0.4002gと、リチウムの無水炭酸塩(LiCO、片山化学(株)製、0.1569g)、またはナトリウムの無水炭酸塩(NaCO、ナカライテスク(株)製、0.2287g)と、85質量%のリン酸水溶液(ナカライテスク(株)製)1.467gとを、内径が8~10mmのセラミックス製円筒容器に入れ、電気炉で空気中において、350℃まで徐々に昇温し、その後、その温度を表1に示す時間、保持してアニール処理し、室温に冷却することにより、最終試料を得た。
なお、各実施例の最終試料は粒界がなく、ガラス状であった。即ち、本実施例においては、セラミック製の容器に各原料を入れて、加熱するという簡易な方法により、粒界のないガラス状の試料を、低コストで作製することができた。
また、生成物の同定は、粉末X線回折測定(XRD)により行った。より具体的には、粉末X線回折測定装置(ブルカー・エイエックスエス製、商品名:D8-Advance、Cu Kα線)を用い、測定角(2θ)5°から70°の範囲におけるX線回折測定を行い、試料の非晶質性の確認を行った。各実施例の最終試料の主成分の組成を表1、表2に示す。各試料とも顕著な回折ピークを示さなかったことから、非晶質または非晶質を主体とする遷移金属リン酸水素塩であることを確認した。
また、生成物の縮合度を見積もるために、赤外吸収分光分析(FT/IR)を行った。より具体的には、試料をKBr製単結晶板に挟んで加圧成型し、赤外吸光光度計(JASCO製、商品名:FT/IR-4100)を用い、透過法によって赤外吸収スペクトルを測定した。そして、得られたスペクトルについて、P-O-P、P-O…M、P-O-H、O-Hの各吸収バンドの位置と形状を調べることにより、いずれの試料も縮合リン酸イオンを含んでいることを確認した。
(プロトン伝導度の測定)
次に、Cole-Coleプロットにより、各実施例の試料における抵抗値を得る複素インピーダンス法を用いて、生成物のプロトン伝導度を測定した。より具体的には、インピーダンスアナライザー(HIOKI社製、商品名:3532-50LCRハイテスタ)を用いて、42ヘルツ~5メガヘルツまでインピーダンスを測定し、室温から350℃までのCole-Coleプロットを得た。
なお、測定プログラムとして、HIOKILCRサンプルプログラムversion4.03を使用し、42ヘルツ~5メガヘルツの測定周波数(交流)において、室温(25℃)~350℃で測定した。
また、測定用の試料は、セラミックス製の円筒容器ごと電気ソーで切断し、薄い円盤状の評価試料を作製した。これらの試料は、直接、銀ペーストを試料両面に塗るか、あるいは二枚の銅板で挟み込むことによって電極を取り、一端が密封されたガラス管に入れ、更に、このガラス管を電気炉内にセットした。そして、セット後、ガラス管内を不活性ガス(アルゴンガス)で置換し、室温から昇温しながらプロトン伝導度を測定した。なお、最高温度(即ち、表1に示す、プロトン伝導度の測定温度である240~350℃)に到達後、室温に冷却し、室温に到達後、再び昇温過程におけるプロトン伝導度を測定し、測定値の再現性を確かめた。以上の結果を、表1、表2に示す。
Figure 0006998586000001
Figure 0006998586000002
表1、表2に示すように、上述の一般式(1)で示される本発明のプロトン伝導体は、粒界のないガラス状の材料であり、安価に製造可能であるとともに、240~350℃の中温度領域で高いプロトン伝導度(即ち、燃料電池の電解質として使用した場合に、電流を流すことが可能な1.0×10-2以上のプロトン伝導性)を有することが分かる。
本発明の活用例としては、燃料電池の電解質などに利用可能なプロトン伝導体及びその製造方法が挙げられる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で示される非晶質又は非晶質を主体とする遷移金属リン酸水素塩を主成分とすることを特徴とするプロトン伝導体。
    [化1]
    MP (1)
    (ここで、Aはリチウムまたはナトリウム、Mはルテニウム、a,b,cは自然数であって、dはa+b+3+5c=2dの電荷中性条件を満たすように規定される値である)
  2. 粒界のないガラス状の材料からなることを特徴とする請求項1に記載のプロトン伝導体。
  3. 請求項に記載のプロトン伝導体の製造方法であって、
    リチウムまたはナトリウムの原料とルテニウムの原料とリン酸とを混合して混合物を作製する混合工程と、
    前記混合物を加熱する加熱工程と
    を少なくとも備えることを特徴とするプロトン伝導体の製造方法。
  4. 前記混合工程は、前記ルテニウムの原料と前記リン酸とを混合して、ルテニウムの非晶質リン酸塩を作製する第1混合工程と、
    前記ルテニウムの非晶質リン酸塩と前記リチウムまたはナトリウムの原料と前記リン酸とを混合して前記混合物を作製する第2混合工程と
    を備えることを特徴とする請求項に記載のプロトン伝導体の製造方法。
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