JP2004534528A - 新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体ならびに該新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体を含有する洗浄剤および清浄剤 - Google Patents

新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体ならびに該新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体を含有する洗浄剤および清浄剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、天然または改変されたスブチリシンプロテアーゼに由来する新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体に関する。Bacillus lentus由来のスブチリシンの一覧によれば、この変異体は、以前から公知のスブチリシンに対して、2つのアミノ酸位置199Iおよび211G、ならびに、好ましくは点突然変異の後に、分子の安定化に寄与する少なくとも1つの改変を有する(3位にアミノ酸トレオニンおよび/または4位にイソロイシンを有する)。変異体B.lentus;アルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gを、例として試験した。他のプロテアーゼ変異体と比べて、この変異体は、洗浄剤および清浄剤の清浄化効率に対する寄与の改善によって特徴付けられる。これらの酵素に加えて、本発明は、多様な技術的プロセスにおける該酵素の使用、ならびに特に、該新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体を含む洗浄剤および清浄剤に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、天然または改変スブチリシンプロテアーゼに由来する新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体に関する。Bacillus lentus由来のスブチリシンの番号付与によれば、この変異体は、以前から公知のスブチリシンと比較して、2つのアミノ酸位置199Iおよび211G、ならびに、好ましくは、点突然変異の後に少なくとも1つの改変、即ち、3位にアミノ酸トレオニンおよび/または4位にイソロイシンを有する(この改変は、この分子の安定化に寄与する)。特に好ましいのは、変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gである。これらの変異体は、洗浄剤および清浄剤の洗浄性能に対する寄与の改善によって、他のプロテアーゼ変異体とは区別される。従って、この酵素に加えて、本発明は、種々の技術プロセスにおける該酵素の使用、特に、該新規なアルカリ性プロテアーゼ変異体を含む洗浄剤および清浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
スブチリシン型のプロテアーゼ(スブチラーゼ、スブチロペプチダーゼ、EC3.4.21.62)は、触媒活性なアミノ酸であるゆえに、セリンプロテアーゼに属すると分類されている。これらプロテアーゼは、微生物(特に、Bacillus種)によって天然に産生され、かつ分泌される。これらプロテアーゼは、非特異的なエンドペプチダーゼとして作用する。即ち、これらプロテアーゼは、ペプチドまたはタンパク質内に位置する任意の酸アミド結合を加水分解する。これらプロテアーゼのpH最適条件は、通常は明らかにアルカリ性の範囲内である。このファミリーの概説は、例えば、R.BottおよびC.Betzel編の「Subtilisin enzymes」(New York, 1996)の第75-95頁のR.Siezenによる「Subtilases:Subtilisin-like Proteases」という論文中に提供されている。スブチリシンは、多様な可能性ある技術的用途に対して、特に、洗浄剤または清浄剤の活性成分として適している。
【0003】
例えば、アミラーゼ、リパーゼまたはセルラーゼのような酵素とは異なり、プロテアーゼは既に、洗浄剤および清浄剤中の活性成分として数10年間にわたり用いられている。これらは、清浄化されるべき材料(例えば、織物または皿など)の上のタンパク質性の汚れを分解する能力を有する。これらの比較的高い溶解性のゆえに、加水分解産物は、洗浄液と共に洗い流されるか、または、洗浄剤もしくは清浄剤の他の成分によって攻撃、溶解、乳化、もしくは懸濁される。従って、この酵素と洗浄剤および清浄剤の他の成分との間に相乗効果が生じ得る。
【0004】
好ましい酵素特性(例えば、安定性または最適pH)のゆえに、スブチリシンは、この洗浄剤および清浄剤のプロテアーゼのなかでも突出している。洗浄剤中で現在用いられている最も重要なスブチリシンプロテアーゼは、その一部が天然分子であり、その一部が突然変異誘発によってこれら野生型酵素から誘導された変異体であり、これらを以下に列挙する。
【0005】
Bacillus amyloliquefaciensおよびB.subtilisに由来するスブチリシンBPN'が、それぞれ、Vasanthaら(1984)[J.Bacteriol., 第159巻, 第811-819頁]およびJ.A.Wellsら(1983)[Nucleic Acids Research, 第11巻, 第7911-7925頁]による研究で開示されている。国際特許出願WO95/07991およびWO95/30010は、例えば、この酵素のループ領域における点突然変異の結果として得られた、基質に対する結合が低下し、それと同時に加水分解速度が増大した変異体を開示している。国際特許出願WO95/29979は、例えば、このようなBPN'変異体を含む洗浄剤を開示する。
【0006】
本特許出願において考慮される2つのアミノ酸位置(即ち、3位および4位)は、ループ領域には位置しておらず、残基199および211は、BPN'のそれぞれ205位および217位に相同である(これらは、例えば、上記出願に記載されているように、この分子のループ6に位置している)。このループは基質結合に関与している。BPN'の205位は、天然ではイソロイシン(I)を含む。国際特許出願WO95/07991は、217位に天然に存在するチロシン(Y)と置換しうる多くの可能性あるアミノ酸を提案しているが、分子の安定化突然変異と関連したものではない。217G変異体が特許請求されているとしても、それはこの基質結合ループにおける他の触媒的に補償する点突然変異に関連するものにすぎない。205位および/または217位に置換を有する実際に開示された唯一の変異体(14頁)は、両方の残基が空間充填(通常は脂肪族)アミノ酸によって置換された変異体である。同じことが、国際特許出願WO95/29979に当てはまる。ループ6において突然変異を有する場合、国際特許出願WO95/30010のスブチリシンは、異なるループにおいて少なくとも1つのさらなる突然変異を有する。開示された217G変異体の例は、Y217G/S188Dであるか、またはループ6以外の他のループにおいてさらに多くの置換を有する変異体である(その相同なアミノ酸は、本発明の変異体において未変化である)。
【0007】
スブチリシンBPN'は、特に位置の番号付与の点で、スブチリシンの基準酵素として役立つ。即ち、例えば、全てのスブチリシンに言及している欧州特許EP130756の点突然変異も、BPN'の番号付与によって示されている。これらは、本発明の酵素における211位に対応する217位をも包含している。さらなる関連の位置は、この文献には先に記載されていなかった。
【0008】
E.L.Smithら(1968)[J.Biol.Chem., 第243巻, 第2184-2191頁]およびJacobsら(1985)[Nucl.Acids Res., 第13巻, 第8913-8926頁]による刊行物は、プロテアーゼスブチリシンカールスバーグ(Carlsberg)を紹介している。これは、Bacillus licheniformisによって天然に産生され、Novozymes A/S(Bagsvaerd, デンマーク)から、Alcalase(登録商標)の商品名で入手可能である。その変異体(点突然変異によって得られ、加水分解速度の増大と同時に基質への結合が低下している)が、例えば、国際特許出願WO96/28566に開示されている。上記したBPN'の出願におけると同様、これらは、分子のループ領域において単一または複数の交換が行われている変異体であり、変異体204I/216G(Carlsbergの番号付与)は、これには先に記載されていなかった。
【0009】
PB92プロテアーゼは、好アルカリ性細菌であるBacillus nov.spec.92によって天然に産生され、Gist-Brocades(Delft, オランダ)から、Maxacal(登録商標)の商品名で入手可能である。その元の配列は、欧州特許EP283075に記載されている。この酵素の変異体(点突然変異によって得られ、洗浄剤および清浄剤中での使用に適する)は、国際特許出願WO94/02618および欧州特許EP328229に開示されている。これらの第1から、変異体L211G/N212Dのみが、本願において特許請求された変異体の置換と同一の置換を有しており、第2の出願からは、関連する変異体は見えない。
【0010】
スブチリシン147および309が、それぞれ、Esperase(登録商標)およびSavinase(登録商標)の商品名のもとで、Novozymeから販売されている。これらは、英国特許出願GB1243784に開示されているBacillus clausii株由来である。この酵素の変異体(洗浄剤および清浄剤における使用に関連して、点突然変異誘発によって開発された)は、例えば、国際特許出願WO89/06279、WO95/30011、WO99/27082およびWO00/37599に開示されている。
【0011】
国際特許出願WO89/06279は、高い酸化安定性、タンパク質分解速度の増大、およびプロテアーゼの洗浄性能の増強を達成することを目標とする。この出願は、特定の位置における置換のみが、スブチリシン147または309分子の物理的特性または化学的特性を変えることを明らかにする(14頁)。3位、4位および211位は、ここには含まれない。国際特許出願WO95/30011は、分子のループ領域に点突然変異を有し、従って、基質に対する吸着の低下を、加水分解速度の増大と共に示すスブチリシン309の変異体を開示する。これら変異体は、3位および4位にどのような突然変異をも含まない。本願の変異体に実際に対応する唯一の点突然変異は、L211G置換であるが、これはいかなる場合でもV199I置換とは関連しない。国際特許出願WO99/27082は、例示の目的で、スブチリシン309の変異体であって、その洗浄性能が、2またはそれ以上のアミノ酸の挿入により活性ループを拡大することによって増強されている変異体を開発している。即ち、これらは本願におけると同様の置換ではない。
【0012】
洗浄剤および清浄剤における使用のために確立されたプロテアーゼのさらなる例は以下の通りである:
・Chemgen Corp.(Gaithersburg, MD, 米国)およびVista Chemical Company(Austin, TX, 米国)(WO93/07276)からのプロテアーゼ164-A1(Bacillus種から入手可能);
・Novozymes(WO93/18140)からのBacillus種 PD138 NCIMB 40338アルカリ性プロテアーゼ;
・Kao Corp.(東京、日本)(US5344770)からのプロテアーゼK-16(Bacillus種. ferm. BP-3376由来);
・Nedkovら(1985)[Biol.Chem Hoppe-Seyler, 第366巻、第421-430頁]により記載されているスブチリシンDY[これは、国際特許出願WO96/28557により、活性ループにおける特異的な点突然変異を介して特に洗浄剤および清浄剤での使用のために最適化されているが、単独または他の置換との組み合わせのいずれでも、V204I変異体(本発明の酵素における199位に対応する)を含まない];および
・Thermoactinomyces vulgaris[Melounら, FEBS Lett. 1983, 第195-200頁]によって産生され、例えば、国際特許出願WO96/28558に従って最適化されたサーミターゼ。
【0013】
サーミターゼの多くの可能性のある変異体のなかで、最後に挙げた文献は、L221G置換(本発明の酵素における211位に対応する)を有する変異体をも記載している。天然の酵素は、209位(本発明の酵素における199位に対応する)にイソロイシンを有するので、対応する位置における本発明にとって重要なアミノ酸残基の2つ(199I/L211Gに対応する)が、この文献によって先に記載されているが、該位置における該2つのアミノ酸の存在下においてこの分子をさらに安定化するさらなる特徴は記載されていない。特に、3位のトレオニンおよび/または4位のイソロイシンによる安定化(B.lentusのアルカリ性プロテアーゼによる)は、これまで記載されていない。しかし、サーミターゼは、10位および11位にアミノ酸残基セリンおよびアルギニンを有しており、これはB.lentusのアルカリ性プロテアーゼの該2つの位置に相同である(WO91/00345における整列を比較)。
【0014】
さらに、サーミターゼは、配列全体が他のスブチリシンの配列とは相当に異なっている分子である[Melounら、198頁]。即ち、成熟タンパク質サーミターゼとB.lentusアルカリ性プロテアーゼとの間の相同性は、45%同一である(アミノ酸配列で62%類似)。ある程度同様のことが、プロテイナーゼK(WO96/28556)にも当てはまる。プロテイナーゼKのB.lentusアルカリ性プロテアーゼに対する相同性は、成熟タンパク質レベルで33%同一でしかない(アミノ酸配列で46%類似)。
【0015】
欧州特許EP199404、EP251446、国際特許出願WO91/06637およびWO95/10591は、例えば、Procter & Gamble Comp.(Cincinnati, OH, 米国)によって、それぞれ「プロテアーゼA」、「プロテアーゼB」、「プロテアーゼC」および「プロテアーゼD」と呼ばれ、かつ洗浄剤および清浄剤において使用しうるさらなるプロテアーゼを記載する(WO00/47707、73頁を参照)。欧州特許EP199404のプロテアーゼは、欧州特許EP130756に基づくが、本願に関係する位置において変異を有さない変異体である(欧州特許EP199404 A2、第20欄を参照)。欧州特許EP251446 B1の実施例10(49頁)は、Y217G変異体が、野生型酵素よりも安定性が低いことを示しており、従って、この置換はさらに探究されることはない。国際特許出願WO91/06637によれば、「プロテアーゼC」は、123位および274位での点突然変異によって区別される。国際特許出願WO95/10591によれば、全ての「プロテアーゼD」変異体は、76位に突然変異を有しており、これは、本プロテアーゼにおいて不変であり、かつBPN'の変異と同一である。同じことが、本願ならびに国際特許出願WO95/10615、米国特許US6017871およびUS6066611に当てはまる。
【0016】
他の公知のプロテアーゼは、Durazym(登録商標)、Relase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Nafizym(登録商標)、Natalase(登録商標)、およびKannase(登録商標)の商品名でNovozymesから、Purafect(登録商標)、Purafect OxP(登録商標)、およびProperase(登録商標)の商品名でGenencorから、Protosol(登録商標)の商品名でAdvanced Biochemicals Ltd.(Thane, インド)から、そしてWuxi(登録商標)の商品名でWuxi Snyder Bioproducts Ltd.(中国)から入手可能な酵素である。
【0017】
スブチリシンの洗浄性能を増強するため、多数の出願が、活性ループへのさらなるアミノ酸の挿入の戦略を探究している。即ち、例えば、既に言及した出願以外にも、以下の多数の出願が公開されている:国際特許出願WO00/37599、WO00/37621〜WO00/37627、およびWO00/71683〜WO00/71691。
【0018】
別の戦略は、分子の表面電荷を変えることである。即ち、例えば、国際特許出願WO91/00334、WO91/00335、WO91/00345、欧州特許EP479870、EP945502、およびEP563103は、この分子の等電点を上げるかまたは下げるために使用しうる多くのアミノ酸置換を記載している。これから、国際特許出願WO00/24924は、適切な変異体を同定するための方法を導き出す。同じことが、WO96/34935に当てはまる。これによれば、同じ原理によってこの分子の疎水性を変化させることが可能である。
【0019】
スブチリシンの洗浄性能を改善するための別の戦略は、公知の分子に点突然変異をランダムに導入し、得られた変異体を、洗浄性能へのそれらの寄与について試験することである。この戦略は、例えば、米国特許US5700676によって行われているが、本発明に関連する記載された唯一の位置は、複数の他の置換に加えてそれぞれの場合に、217位(BPN'の番号付与)での置換である。同じことが、米国特許US5310675、US5801038、US5955340、ならびに、国際特許出願WO99/20723およびWO99/20727にも当てはまる。本発明に関連する米国特許US4760025において提案された唯一の変異は、217位での変異である。この理由は、この突然変異が活性部位に影響を与えるためである。これらの文献の全ては、本発明の他の置換が、洗浄性能に対してある役割を果たし得ることを示唆していない。
【0020】
酵素開発における現在の方向は、これまで達成されていなかった特性を有する新規な酵素に互いに関連する公知タンパク質由来のエレメントを、統計的な方法によって、組み合わせることである。この種の方法は、定向進化法という総称でまとめられており、これには、例えば、以下の方法が含まれる:StEP法[Zhaoら(1998), Nat. Biotechnol., 第16巻,258-261頁]、ランダムプライミング組換え[Shaoら(1998), Nucleic Acids Res., 第26巻、681-683頁]、DNAシャッフリング[Stemmer, W.P.C.(1994), Nature, 第370巻,389-391頁]、またはRACHITT[Coco, W.M.ら(2001), Nat. Biotechnol., 第19巻,354-359頁]。
【0021】
別の戦略(特に、好ましい戦略)は、関連するプロテアーゼの安定性を増大させること、これによって、その効力を増大させることである。例えば、米国特許US5230891は、化粧品において使用されるプロテアーゼに対するこの種の安定化を記載している。他方において、洗浄剤および清浄剤のための点突然変異による安定化は、より一般的である。即ち、米国特許US6087315およびUS6110884によれば、特定のチロシン残基を他の残基で置換することによって、プロテアーゼを安定化することができる。他の可能性は、例えば、以下の通りである:
・欧州特許EP583339に従って、特定のアミノ酸残基をプロリンで置換する;
・欧州特許EP995801に従って、分子表面に、より極性の高い基または荷電した基を導入する;
・例えば国際特許出願WO88/08028およびWO88/08033の教示に従って、金属イオンの結合、特にカルシウム結合部位を変える;
スブチリシン(特に、Bacillus lentusスブチリシンに由来するもの)を安定化するさらなる可能性が、米国特許US5340735、US5500364、US5985639およびUS6136553に報告されている。
【0022】
B.lentusアルカリ性プロテアーゼは、Bacillus種の高アルカリ性プロテアーゼである。これらの株のうちの1つは、DSM5483の番号で寄託されている(WO91/02792およびそれぞれEP493398およびUS5352604)。国際特許出願WO92/21760、WO95/23221およびWO98/30669は、点突然変異によって得られ、洗浄剤および清浄剤において使用しうるこの酵素の変異体を開示している。
【0023】
野生型酵素は、好アルカリ性Bacillus株についてスクリーニングすることによって元々得られた生産株から得られ、それ自体が酸化および洗浄剤の作用に対して比較的高い安定性を示す。国際特許出願WO91/02792およびそれぞれ欧州特許EP493398および米国特許US5352604は、宿主Bacillus licheniformis(ATCC 53926)におけるその異種発現を記載する。この米国特許の請求項は、208位、210位、212位、213位および268位について言及しているが、B.lentusアルカリ性プロテアーゼの特徴である61位および211位に置換を有する変異体には言及していない。
【0024】
また、国際特許出願WO92/21760は、B.lentusアルカリ性プロテアーゼ野生型酵素のアミノ酸配列(配列番号52)およびヌクレオチド配列(配列番号106)を開示している。さらに、この出願は、多くの位置において野生型とは異なる51の異なる変異体(特に、S3T、V4IおよびV199I)を開示している。
【0025】
また、国際特許出願WO95/23221およびWO98/30669は、3つの位置(S3T、V4IおよびV199I)において本発明の酵素に対応する、洗浄剤および清浄剤中での使用に適するB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体を明らかにしている。さらに、これらの全ては、B.lentus DSM 5483由来の野生型酵素と比較して、2または3のさらなる点突然変異を有する。これらのうちいくつかが211位にさらなる突然変異、即ち211Dを有する(変異体F49、F54およびF55)。結果として、この出願は、置換211Dおよび211Eを特許請求している。
【0026】
長期間にわたって行われたこれら研究の全てが示しているように、洗浄剤および清浄剤において使用するための別の(代替的な)プロテアーゼが強く要求されている。例えば、国際特許出願WO00/71683〜WO00/71691のような最近の公報は、スブチリシンプロテアーゼの長い歴史あるファミリーであっても、洗浄剤および清浄剤におけるその有用性の点でなお最適化が必要であることが示されている。このような最適化の必要性には、関連する酵素のアミノ酸配列における変異に関する多くの研究が付随する。しかし、洗浄剤または清浄剤の配合に関連した該酵素の挙動は、恐らくは計算可能な酵素特性からは容易に推測することができない(米国特許US5801039、US5985639およびUS6136553を参照)。他の要因(例えば、酸化剤に対する安定性、界面活性物質による変性、折り畳み効果、または他の成分との所望の相乗作用)が、ここである役割を果たす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、工業的適用において改善された性能を示すスブチリシンを見い出すことであった。特に、洗浄剤および/または清浄剤の洗浄または清浄化性能を改善するスブチリシンを見い出すことを意図した。
目的の一部は、プロテアーゼをその加水分解活性の点で改善するだけでなく、適当な洗浄剤および清浄剤の配合物においてその安定性を維持することであった。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この課題に関して、本特許出願は、洗浄剤および清浄剤において使用するために、国際特許出願WO91/02792、WO92/21760およびWO95/23221に開示された分子と比較して、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンをさらに改善する戦略を探究した。
【0029】
驚くべきことに、199位および211位のアミノ酸イソロイシンおよびグリシンは、洗浄性能寄与の増大を与え、それが、それぞれ3位および4位のアミノ酸トレオニンおよびイソロイシンによって、恐らくは安定化効果により増強されることを見い出した。
【0030】
即ち、本発明によれば、この目的は、スブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼであって、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンの番号付与に従って、199位にイソロイシンおよび211位にグリシンならびに少なくとも1つの安定化(好ましくは、3位のアミノ酸トレオニンおよび/または4位のアミノ酸イソロイシンによる)を有することを特徴とするアルカリ性プロテアーゼによって達成される。
【0031】
同様に、この目的は、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンの番号付与に従って、199位にイソロイシンおよび211位にグリシンを有し、より好ましくはさらに、3位にアミノ酸トレオニンおよび4位にアミノ酸イソロイシンの一方または両方を有することを特徴とするスブチリシン変異体によって達成される。
【0032】
同様に、この目的は、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンの番号付与に従って、3位にトレオニン、4位にイソロイシン、199位にイソロイシン、および211位にグリシンを有することを特徴とするスブチリシン変異体によって達成される。
【0033】
特に、この目的は、桿菌(bacillus)によって天然に産生されるか、またはこのようなスブチリシン(特に、Bacillus lentusのスブチリシン)から誘導しうることを特徴とするスブチリシン型の適当なアルカリ性プロテアーゼによって達成される。
【0034】
非常に具体的には、この目的は、Bacillus lentus DSM 5483によって天然に産生されるか、またはこのようなアルカリ性プロテアーゼから誘導しうるアルカリ性プロテアーゼ、特に、配列番号4に示されるアミノ酸配列に従うB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gによって達成される。
【0035】
特徴的な置換であるS3T/V4I/A188P/V193M/V199Iを有するB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体M131は、国際特許出願WO92/21760由来の変異体とみなさなければならない(これは、本発明のB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体であるS3T/V4I/V199I/L211Gに対して最高の相同性を有する)。これは、本発明の変異体の位置に対して3つの位置で対応する。相違は、2つの置換A188PおよびV193Mである(本発明の変異体は、その位置において野生型と同一である)。例えば、国際特許出願WO95/30011が示すように、B.lentusスブチリシンのアミノ酸193は、ループ6の始まりに位置するが、アミノ酸188は、いずれのループにも割り当てられず、中間に位置する小型のタンパク質領域に割り当てられる。これに関して、両方の突然変異は、分子の構造的に異なる領域に位置する。驚くべきことに、2つの位置188および193を野生型アミノ酸とは逆にすること、および211位(即ち、ループ6の後側の領域)におけるさらなる突然変異によって、これまで公知の酵素(特に、これまで公知のB.lentusアルカリ性プロテアーゼの変異体)よりも、洗浄および清浄化性能の点で優れた酵素が得られることが本発明において見い出された。
【0036】
本発明の特に好ましい酵素は、複数の位置が復帰している(即ち、野生型に対して同一である)という点で、また、211位が野生型のロイシンまたはWO95/23221およびWO98/30669の変異体のアスパラギン酸の代わりにコンパクトでなくかつ荷電もされていないアミノ酸グリシンを含むという点で、これら出願の変異体とは異なっている。
【0037】
酵素学的な観点から、改善された洗浄および清浄化性能の効果が、基質結合および/または反応の触媒に恐らくは関与しているアミノ酸の置換によって、即ち、ロイシンのコンパクトな疎水性の側鎖をグリシンの側鎖(水素原子に還元される)で置換することによって達成されるということは驚くべきことである。同時に、野生型と比較して突然変異されているループ6の第2位置(即ち、199位)は、イソロイシンから野生型のバリンに復帰させる必要はない。国際特許出願WO95/23221およびWO98/30669と比較すると、酸性の基を与えるための点突然変異誘発(即ち、L211DまたはL211E)は、他の突然変異した位置における野生型配列への復帰よりも自明であった。種々スブチリシンの活性ループの変異に関する冒頭に引用された文献(特に、国際特許出願WO95/30011)は、変化を触媒的に補償するために、211位の変異と共に、別の活性ループにおけるさらなる変化または同じループ内のさらに劇的な変化(例えば、V199S/L211D、P204E/L211G、またはG196S/L211Gなど)を示唆しているが、V199I置換には固執していない。
【0038】
適用の観点から、特に、洗浄剤および清浄剤における適用の観点から、上記により、性能の改善、特に、多種多様の汚染に対する洗浄および清浄化性能に対するこのような酵素の寄与の改善が得られることは驚くべきことである。適当な洗浄剤および清浄剤の配合物における本発明のスブチリシンの成功裏の使用(実施例2〜5を参照)は、関係する変異体の安定性が、十分に長い期間にわたって酵素を活性に保つのに十分に高いものであり、従って性能改善に寄与するものであることを示唆する。
【0039】
本発明は、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンの番号付与に従って、199位にイソロイシン、211位にグリシン、および少なくとも1つの安定化を有することを特徴とするスブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼに関する。好ましくは、この安定化は、さらに3位のアミノ酸トレオニンまたは4位のアミノ酸イソロイシンのうちの1つである。
【0040】
本発明のこの対象のさらなる態様は、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンの番号付与に従って、3位にトレオニン、4位にイソロイシン、199位にイソロイシン、および211位にグリシンを有すること;Bacillus(特に、Bacillus lentus)によって天然に産生されるか、またはこのようなBacillusに由来するスブチリシンであること;Bacillus lentus DSM 5483によって天然に産生されるか、またはBacillus lentus DSM 5483に由来するスブチリシンであって、特に、配列番号4に示されるアミノ酸配列に従ってB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gであることを特徴とするスブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼである。
【0041】
本発明の対象のさらなる態様は、対応するスブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼから誘導されたタンパク質であって、特に、断片化または欠失突然変異誘発によって、挿入突然変異誘発によって、置換突然変異誘発によって、または少なくとも1部と少なくとも1つの他のタンパク質との融合によって誘導されたタンパク質である。これらは、さらに誘導体化されるという点;タンパク質分解活性、好ましくは出発分子およびそれぞれ誘導体化されていない分子と比較して増大したタンパク質分解活性、さらに具体的には増強された性能を有するという点;および/またはさらに安定化されているという点をさらに特徴とする。
【0042】
さらに本発明は、本発明の第1の対象において言及したタンパク質をコードする核酸、特に、スブチリシンプロテアーゼをコードする核酸であって、そのヌクレオチド配列が、配列番号3に示したヌクレオチド配列に、特に、199位のイソロイシンおよび211位のグリシンをコードする領域において、より具体的には、3位のトレオニン、4位のイソロイシン、199位のイソロイシン、および211位のグリシンをコードする領域において対応する核酸に関する。
【0043】
さらに本発明は、上に規定した核酸領域を含む、特に、本発明の第1の対象において規定したタンパク質または誘導体のいずれかをコードする核酸領域を含むベクターに関する。好ましい態様において、これらのベクターは、上に規定した核酸領域を含む、特に、本発明の第1の対象において規定したタンパク質または誘導体のいずれかをコードする核酸領域を含むクローニングベクター;あるいは、上に規定した核酸領域を含む、特に、本発明の第1の対象において規定したタンパク質または誘導体のいずれかをコードする核酸領域を含み、かつその生合成を可能にする発現ベクターである。
【0044】
さらに本発明は、上記した本発明の対象であるベクターを含む細胞に関する。この細胞は、特に、上に規定した発現ベクターを用いることによって、本発明の第1の対象において規定したタンパク質もしくは誘導体のいずれかを、好ましくは発現するかまたは発現するように誘導することができる。この細胞は、好ましくは、それが細菌、特に産生されたタンパク質を周囲培地中に分泌する細菌であることを特徴とする。この細胞は、好ましくは、Bacillus属の細菌、特に以下の種:Bacillus lentus、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus subtilis、またはBacillus alcalophilusの細菌であることを特徴とする。また、この細胞は、それが真核細胞、特に産生されたタンパク質を翻訳後改変する真核細胞であることを特徴とする。
【0045】
さらに本発明は、上に規定した宿主細胞を用いることによって、および/または上に規定したベクターを用いることによって、および/または上に規定した核酸を用いることによって、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素または誘導体を調製するための方法に関する。
【0046】
さらに本発明は、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素を含むことを特徴とする製剤(特に、洗浄剤または清浄剤)であって、さらに具体的には、該酵素を製剤1gあたり2μg〜20mgの量で含むことを特徴とする製剤に関する。好ましくは、これら製剤は、さらなる酵素、特に他のプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、および/またはリパーゼをさらに含むことを特徴とする。
【0047】
さらに本発明は、織物原料の処理のためまたは織物ケアのための製剤に関する。この製剤は、特に天然成分を含む繊維または織物のために、さらに具体的には羊毛もしくは絹を含む繊維または織物のために、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素を、単独でまたは他の活性成分に加えて含むことを特徴とする。
【0048】
さらに本発明は、織物または硬表面を機械清浄化するための方法に関する。この方法は、この方法の少なくとも1つの工程において、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素が、1回の適用あたり、好ましくは40μg〜4g、特に好ましくは400μg〜400mgの量で活性になることを特徴とする。
【0049】
さらに本発明は、織物原料の処理のためまたは織物ケアのための方法に関する。この方法は、この方法の少なくとも1つの工程において、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素が、特に天然成分を含む織物原料または織物に対して、特に羊毛もしくは絹を含む織物原料または織物に対して活性になることを特徴とする。
【0050】
さらに本発明は、織物または硬表面を清浄化するための、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素の使用であって、該酵素を1回の適用あたり、好ましくは40μg〜4g、特に好ましくは400μg〜400mgの量で使用することに関する。
【0051】
さらに本発明は、洗浄剤または清浄剤の成分を活性化または不活性化するための、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素の使用に関する。
【0052】
さらに本発明は、低分子量の化合物またはタンパク質を、生化学的に分析または合成するための、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素の使用に関する。
【0053】
さらに本発明は、天然物質または生物学的有用物質を、調製、精製、または合成するための、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素の使用に関する。
【0054】
さらに本発明は、天然原料の処理のため、特に表面の処理のため、より具体的には皮革の処理のための方法における、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素の使用に関する。
【0055】
さらに本発明は、織物製造における原料もしくは中間体を得るためまたは処理するための、特に、織布上の保護層を除去するための、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素の使用に関する。
【0056】
さらに本発明は、織物原料の処理のためまたは織物ケアのため、特に羊毛もしくは絹の処理のため、または羊毛混合織物もしくは絹混合織物の処理のための、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素の使用に関する。
【0057】
さらに本発明は、写真フィルムの処理のため、特に、ゼラチン含有層または同様の保護層を除去するための、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素の使用に関する。
【0058】
さらに本発明は、食品または動物飼料を調製するための、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素の使用に関する。
【0059】
さらに本発明は、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素を含有する化粧品、または本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素を包含する化粧方法、または化粧目的のための、特に、対応する方法の枠内もしくは対応する製剤における、本発明の第1の対象であるタンパク質分解酵素の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
タンパク質とは、本願によれば、天然のアミノ酸からなり、実質的に直線構造を有し、かつ、通常は3次元構造をとってその機能を発揮するポリマーを意味する。表1は、タンパク質を構成する19個の天然のLアミノ酸を、1文字コードおよび3文字コードと共に列挙するものであり、このコードを本願においてもアミノ酸の短縮のために使用する。
【表1】
Figure 2004534528
【0061】
これらの名称/コードと数との任意の組み合わせによって、特定のタンパク質がそれぞれの位置において保持するアミノ酸残基が示される。従って、例えば、S3は、該タンパク質のN末端で番号付与を開始して、3位のセリン残基を示す。この命名法に従って、例えば、アミノ酸トレオニンをもたらすこの部位での点突然変異は、S3Tと略される。複数の点突然変異を有する変異体を示すためには、これらの置換を、先行するスラッシュによって互いに分離する。従って、変異体S3T/V4Iは、この変異体の3位に以前に存在したセリンがトレオニンで置換されており、4位に以前に存在したバリンがイソロイシンで置換されていることを特徴とする。
【0062】
他に言及がなければ、本発明において示される位置は、いずれの場合にも、該当タンパク質の成熟型(即ち、シグナルペプチドを含まない)を指す(以下を参照)。
【0063】
本願による酵素とは、特定の生化学的機能を発揮するタンパク質を意味する。タンパク質分解酵素またはタンパク質分解機能を有する酵素とは、例えば、タンパク質の酸アミド結合(特に、タンパク質の内側に位置する結合)を加水分解する酵素、従って、エンドペプチダーゼとも呼ばれる酵素を一般に意味する。スブチリシンプロテアーゼとは、グラム陽性細菌によって天然に産生され、通常は分泌されるエンドペプチダーゼ、または、例えば、分子生物学的方法により後者から誘導され、構造形成領域または機能担持領域のような部分的領域により天然のスブチリシンプロテアーゼと相同化しうるエンドペプチダーゼである。それらは、例えば、「Subtilisin enzymes」[R.BottおよびC.Bentzel編, New York, 1996]中の論文「Subtilases: Subtilisin-like Proteases」[R.Siezen、第75-95頁]に記載されている。
【0064】
多くのタンパク質が、「プレタンパク質」として、即ち、シグナルペプチドと一緒に形成される。即ち、これは、このタンパク質のN末端部分を意味し、その機能は、通常、産生されたタンパク質の産生細胞から周辺質への輸送もしくは周囲媒体への輸送、および/またはその正しい折り畳みを確実にすることである。引き続いて、シグナルペプチドは、シグナルペプチダーゼによって天然条件下に残りのタンパク質から除去され、その結果、このタンパク質は、最初に存在したN末端アミノ酸を含まずにその実際の触媒活性を発揮する。国際特許出願WO91/02792の図1によれば、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンのプレタンパク質は380個のアミノ酸を含むが、その成熟タンパク質は269個のアミノ酸しか含まない。その番号付与は、成熟タンパク質の最初のアミノ酸から、即ち、この場合には、プレタンパク質配列の112番のアラニンから始まる。配列番号1および2によれば、B.licheniformis ATCC 68614スブチリシンのシグナルペプチドは、111個のアミノ酸であり、成熟ペプチドは269アミノ酸長である。この区分がなければ、完全なタンパク質は、配列番号2から明らかなように、380アミノ酸長である。配列番号3および4によれば、同じことが、特定の好ましい態様に当てはまる。
【0065】
酵素活性のゆえに、工業的適用のためには、プレタンパク質よりも成熟ペプチド(即ち、その調製後にプロセシングを受けた酵素)が好ましい。
プロタンパク質とは、タンパク質の不活性な前駆体である。シグナル配列を有するそれらの前駆体は、プレプロタンパク質と呼ばれる。
【0066】
核酸とは、本願によれば、天然にはヌクレオチドから構成され、情報の担持体として働き、タンパク質または酵素の直線アミノ酸配列をコードする分子を意味する。これらは、一本鎖として、この一本鎖に相補的な一本鎖として、または二本鎖として存在することができる。分子生物学の研究のためには、天然のより耐久性の高い情報担持体として核酸DNAが好ましい。対照的に、RNAが、天然環境において、例えば発現細胞において本発明を実行するために産生されるので、本発明に重要なRNA分子も同様に本発明の態様である。
【0067】
本願によれば、あるタンパク質に対応する核酸の情報単位は、遺伝子とも呼ばれる。DNAの場合、両方の相補鎖の配列は、いずれの場合にも、3つの全ての可能性のあるリーディングフレームが考慮されなければならない。異なるコドンのトリプレット(三つ組み)が同じアミノ酸をコードすることができるので、特定のアミノ酸配列を、複数の異なるヌクレオチド配列(恐らくはわずかな同一性しか有さない)から誘導しうるということも考慮されなければならない(遺伝子コードの縮重)。さらに、種々の生物は、これらコドンの用法が異なる。これらの理由のために、アミノ酸配列およびヌクレオチド配列の両方が、保護の範囲内に組み込まれなければならない。また、示されたヌクレオチド配列は、いずれの場合にも、例として特定のアミノ酸配列をコードするにすぎない。
【0068】
現在広く知られている方法、例えば、化学的合成またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、分子生物学的および/またはタンパク質化学の標準的方法と組み合わせることにより、当業者なら、公知のDNA配列および/またはアミノ酸配列に基づいて完全な遺伝子を調製することができる。これについての理想的な出発点は、寄託された微生物および/または市販の微生物のDNA調製物である。このような方法は、例えば、「Lexikon der Biochemie(生化学の辞典)」[Spektrum Akademischer Verlag, Berlin, 1999,第1巻、267-271頁、および第2巻、227-229頁]から公知である。
【0069】
例えば、自体公知の分子生物学的方法によって製造されるようなヌクレオチド配列の変化は、突然変異と呼ばれる。変化のタイプに依存して、例えば、欠失、挿入もしくは置換突然変異、または、種々の遺伝子もしくは遺伝子の一部が、互いに融合された突然変異(シャッフリング)が公知である(これらは遺伝子突然変異である)。対応する生物は、突然変異体と呼ばれる。突然変異した核酸由来のタンパク質は、変異体と呼ばれる。従って、例えば、欠失、挿入、置換突然変異または融合は、欠失突然変異した遺伝子、挿入突然変異した遺伝子、置換突然変異した遺伝子または融合遺伝子を生じ、そしてタンパク質レベルでは、対応する欠失変異体、挿入変異体もしくは置換変異体、または融合タンパク質を生じる。
【0070】
ベクターとは、本発明によれば、核酸からなるエレメントであって、特徴的な核酸領域として目的の遺伝子を含むエレメントを意味する。これらは、いくつかの世代または細胞分裂にわたって種または細胞株において残りのゲノムとは独立して複製する安定な遺伝的エレメントとして、目的の遺伝子を確立することができる。ベクターとは、特に細菌において用いられる場合、特別のプラスミド、即ち環状の遺伝的エレメントである。遺伝子操作では、一方における、貯蔵のために用いられ、ある程度までは遺伝子操作の研究のために用いられるベクターである「クローニングベクター」と、他方における、宿主細胞において目的の遺伝子を確立する機能、即ち、該当のタンパク質の発現を確立する機能を発揮するベクターとの間を区別する。これらのベクターは、発現ベクターと呼ばれる。
【0071】
相同化(ホモロジゼーション)[即ち、整列(アラインメント)により行われる公知の酵素との比較]によって、例えば、アミノ酸またはヌクレオチド配列から研究された酵素の酵素活性を推定することが可能になる。この活性は、実際の反応には関与しないタンパク質の他の領域によって、質的にまたは量的に改変することができる。これは、例えば、酵素の安定性、活性、反応条件、または基質特異性に関係することができる。
【0072】
従って、タンパク質分解酵素またはプロテアーゼという用語は、触媒活性部位の数個のアミノ酸残基の機能に加えて、実際の触媒活性領域上の残りのタンパク質全体または残りのタンパク質の1またはそれ以上の部分の作用から生じる任意の機能を意味する。本発明によれば、このような改変機能または部分活性も、それらがタンパク質分解性反応を支持する限り、単独でタンパク質分解性活性とみなされる。このような補助的機能または部分活性としては、例えば、基質、中間体または最終産物の結合、加水分解活性に対する調節的影響の活性化または阻害または媒介が挙げられる。別の可能性のある例は、活性部位から遠く離れて位置する構造的エレメントの形成である。しかし、本発明のタンパク質であるための第2の前提条件は、実際に活性な残基単独での化学的挙動または改変部分の作用を加えた化学的挙動が、ペプチド結合の加水分解を生じることである。例えば、本発明のタンパク質の1またはそれ以上の部分が、他のプロテアーゼの活性を質的にまたは量的に改変することもさらに可能である。他の要因のこの影響化は、タンパク質分解性活性とみなされる。また、タンパク質分解活性な酵素とは、その活性が所定の時点で、例えばインヒビターによってブロックされる酵素である。対応するタンパク質分解反応に対する主適合性は重要である。
【0073】
フラグメントとは、天然のタンパク質または完全に翻訳された遺伝子に対応するタンパク質よりも小さい、任意のタンパク質またはペプチドを意味しており、そして例えば、合成的に得られてもよい。そのアミノ酸配列のゆえに、これらは、対応する完全なタンパク質に関連付けることができる。それらは、例えば、同一の構造をとってもよいし、タンパク質分解性活性または部分的活性(例えば、基質の複合化など)を発揮し得る。出発タンパク質のフラグメントおよび欠失変異体は、原則的に極めて類似している。フラグメントは、相対的にかなり小さいピース(小片)であるが、欠失突然変異体は、短い領域を欠いているだけであり、そのため個々の部分的な機能を欠いているにすぎない。
【0074】
キメラタンパク質またはハイブリッドタンパク質とは、本願によれば、同じ生物体または異なる生物体由来の異なるポリペプチド鎖に天然に由来するエレメントから構成されるタンパク質を意味する。この操作は、シャッフリングまたは融合突然変異誘発とも呼ばれる。このような融合の目的は、例えば、本発明の融合されたタンパク質部分と協力して酵素機能を生じるか、または改変することであってよい。本発明によれば、このようなキメラタンパク質が、単一のポリペプチド鎖からなるか、複数のサブユニット(この間に異なる機能が分配されてもよい)からなるかは重要ではない。後者の態様を行うためには、例えば、翻訳後または単に精製工程の後のいずれかに、特異的なタンパク質分解切断によって、単一のキメラポリペプチド鎖を、複数のポリペプチド鎖に切断することができる。
【0075】
挿入突然変異によって得られたタンパク質とは、核酸フラグメントまたはタンパク質フラグメントを出発配列に挿入することによって、自体公知の方法により得られたタンパク質変異体を意味する。これらは、原則的にその類似性のゆえに、キメラタンパク質と分類されるべきである。これらは、単に、タンパク質全体のサイズに対する、変更されていないタンパク質部分のサイズ比において、後者とは異なる。このような挿入突然変異されたタンパク質において、外来タンパク質の割合は、キメラタンパク質における割合よりも低い。
【0076】
反転変異誘発(即ち、部分的配列転換)は、欠失および挿入の両方の特別な形態とみなすことができる。同じことが、元のアミノ酸配列から逸脱する種々の分子部分の再編成に当てはまる。このような再編成は、元のタンパク質の欠失変異体、挿入変異体およびシャッフリング変異体とみなすことができる。
【0077】
誘導体とは、本願によれば、純粋なアミノ酸鎖が、化学的に改変されているタンパク質を意味する。これらの誘導体は、例えば、宿主生物によるタンパク質生合成と関連して生物学的に行うことができる。ここで、分子生物学の方法が使用されてもよい。しかし、この誘導体化は、化学的に、例えば、アミノ酸鎖の化学的転化によって、あるいはこのタンパク質への別の化合物の共有結合によって行うこともできる。このような化合物は、例えば、本発明のタンパク質に二官能性化合物を介して結合される他のタンパク質であってもよい。このような改変は、例えば、基質特異性もしくは基質に対する結合強度に影響するか、または酵素活性の一過性のブロックを引き起こすことができる(物質に結合されるのがインヒビターである場合)。これは、例えば、貯蔵期間に有用であることができる。同様に、誘導体化とは、高分子支持体に対する共有結合を意味する。
【0078】
本発明によれば、全ての酵素、タンパク質、フラグメント、および誘導体は、それらがそうであると明白に言及される必要がない限りは、一般的な用語であるタンパク質に含まれる。
【0079】
酵素の性能とは、それぞれの場合に考慮される技術領域におけるその効力を意味する。このような性能は、実際の酵素活性に基づくが、さらに、特定のプロセスに関与するさらなる要因に依存する。これらには、例えば、安定性、基質結合、このような基質を担持する物質との相互作用、または他の成分との相互作用(特に、相乗作用)が含まれる。
【0080】
製剤の洗浄性能または清浄化性能とは、本願によれば、汚れた物品(例えば、織物または硬表面を有する物体)において調べた、製剤によって発揮される効果を意味する。このような製剤の個々の成分、例えば、個々の酵素は、洗剤全体の洗浄性能または清浄化性能に対する寄与の点で評価される。その理由は、酵素の酵素特性から、製剤の洗浄性能に対する酵素の寄与を推定することは、容易にはできないためである。ここで、ある役割を果たす他の要因の例は、安定性、基質結合、清浄化されるべき物質への結合、および製剤の他の成分との相互作用(特に、汚染を除去する際の相乗作用)である。
【0081】
1977年4月28日発効の微生物の寄託の国際的承認に関するブタペスト条約によって、以下の微生物:Bacillus lentus DSM 5483が、1989年8月10日に、国際特許出願WO91/02792と関連して、Deutsch Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH in Brunswick、独国に寄託されている。そこで、この微生物は、登録番号DSM5483(PA5-A0155、Strin 2-1)を有する。この生物学的物質の特徴についての本質的な情報は、WO91/02792の表1(5〜7頁)にまとめられている。この生物由来のアルカリプロテアーゼのDNA配列およびアミノ酸配列(本願に特に関連する)は、それぞれ、配列番号106および配列番号52として見い出すことができる。
【0082】
本発明に特に重要なのは、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンの番号付与(WO92/21760)による、成熟タンパク質の3位、4位、199位、および211位である。これらは、表2に従って、最も重要なスブチリシンの位置と相同化(ホモロジゼーション)することができる。この相同化は、全ての他のスブチリシンに移すことができる。即ち、例えば、「Subtilisin enzymes」[R.BottおよびC.Betzel編, New York, 1996]中の論文「Subtilases: Subtilisin-like Proteases」[R.Siezen, 75-95頁]は、スブチリシンBPN'の公知配列に関する20を越えるスブチリシンの整列(アラインメント)を示す。
【表2】
Figure 2004534528
【0083】
また、本特許出願の図1は、本発明のB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体のアミノ酸配列と、先頭に記載された最も重要なスブチリシン、即ち、スブチリシン309[Savinase(登録商標)]、スブチリシンPB92、スブチリシンカールスバーグ、およびスブチリシンBPN'との整列を示す。
【0084】
種々の公知スブチリシンの間の高い構造的相同性のゆえに、また、これらスブチリシンによって発揮される内因性酸アミド結合を加水分解する同じ反応機構のゆえに、点突然変異は、上記の分子において、それぞれの場合に同等に作用すると期待することができる。特に、本特許出願の教示のゆえに、このようなスブチリシン(洗浄剤および清浄剤における利用に関連して、先行技術において既に開発されている)が、これら点突然変異の導入によって、洗浄性能および清浄化性能への寄与の点でさらに改善されると期待することができる。
【0085】
特に、アミノ酸イソロイシン199およびアミノ酸グリシン211を相同位置において採用すると、適当な製剤の洗浄性能および清浄化性能に対する先行技術から公知の酵素の寄与の改善に寄与するはずである。しかし、B.lentusアルカリ性プロテアーゼを用いた経験によれば、これらの置換は、該当の分子の少なくとも1つのさらなる安定化から利益を得る。
【0086】
アミノ酸位置199Iおよび211Gを有する本発明のプロテアーゼの安定性は、例えば、ポリマーに結合することによって、増大させることができる。このような方法は、例えば、US5230891に記載されている。この方法は、適当な製剤においてタンパク質を使用する前に、タンパク質を化学的結合工程によってポリマーに連結することを必要とする。
【0087】
分子自体の点突然変異によって可能な安定化が好ましい。その理由は、タンパク質を得た後に、いかなる追加の作業工程も必要としないためである。これに適するいくつかの点突然変異が、先行技術から自体公知である。即ち、US6087315およびUS6110884によれば、特定のチロシン残基を他の残基で置換することによって、プロテアーゼを安定化することができる。本発明のBacillus lentus由来のタンパク質に当てはめると、このことは、配列番号2に従う、89位、161位、165位、208位、および257位でのチロシン残基の置換を意味する。示される他の2つの位置は、B.lentusアルカリ性プロテアーゼにおいては、既にチロシンにより占有されている。
【0088】
他の可能性は、例えば、以下の通りである:
・EP583339によれば、特定のアミノ酸残基をプロリンで置換する;これは、B.lentus由来の酵素については、S55P、A96P、A166P、A188P、および/またはS253Pという置換を意味する;
・EP995801によれば、分子の表面に、より極性の高い基または荷電された基を導入する;
・例えば、国際特許出願WO88/08028およびWO88/08033の教示によれば、金属イオンの結合、特にカルシウム結合部位を変える;これら文献の第1によれば、カルシウム結合に関与する1またはそれ以上のアミノ酸残基を、負に荷電したアミノ酸で置換すべきである;第2の文献の教示によれば、点突然変異を、2つの残基アルギニン/グリシンの配列の少なくとも1つにおいて同時に導入すべきである;これは、例えば、Bacillus lentusスブチリシンにおいて、60/61位、115/116位、および212/213位におけるNG配列に関係する;
・US5453372によれば、タンパク質を、界面活性物質(サーファクタント)のような変性剤の影響に対して、表面の特定の突然変異によって保護することができる;この文献に示された位置は、B.lentusアルカリ性プロテアーゼにおける134位、155位、158位、164位、188位、および/または189位に対応する。さらなる同等の可能性が、US5340735、US5500364、US5985639、およびUS6136553に示されている。
【0089】
好ましい態様において、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシン番号付与に従う、3位のトレオニンおよび/または4位のイソロイシンというアミノ酸残基により、安定化が得られる。
【0090】
本発明の実施例において研究された変異体によって、それらの安定性の増大は、改善された洗浄性能をそれらに付与するための決定要因であり、アミノ酸199Iおよび211Gと共に作用することが示唆される。
【0091】
この理論とは独立して、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンの番号付与に従って、199位にイソロイシンおよび211位にグリシンを有し、そしてさらに3位にトレオニンおよび4位にイソロイシンという2つのアミノ酸のいずれかを有することを特徴とするスブチリシン型の全てのアルカリ性プロテアーゼが、本発明の目的に対する解決方法である。
【0092】
さらに、199のイソロイシンおよび211のグリシンに加えて、3位にトレオニンおよび4位にイソロイシンの両方を有する変異体が好ましい。
【0093】
Bacillusによって天然に産生されるか、またはBacillusに由来するアルカリ性プロテアーゼの対応する変異体が好ましい。その理由は、Bacillusプロテアーゼは、種々の潜在的な工業的用途のために有利な特性(温度、酸化剤、または変性剤に対する一定の安定性を含む)を初めから持っているためである。さらに、それらの生物工学的産生に関して、例えば、適切なクローニングベクターの構築、宿主細胞および発酵条件の選択、またはリスク(例えば、アレルゲン性など)の評価に関して、ほとんどの経験は、微生物のプロテアーゼを用いて得られている。
【0094】
先行技術において極めて詳細に確立されたのは、例えば、洗浄剤および清浄剤における使用のための、Bacillus lentusのスブチリシン、およびその天然に産生されたプロテアーゼから誘導されたスブチリシンである。これらには、冒頭に言及したプロテアーゼ、スブチリシン147、スブチリシン309、およびB.lentusアルカリ性プロテアーゼが含まれる。このようなプロテアーゼの調製および使用のために獲得された大量の経験[例えば、他の化合物(例えば、洗浄剤または清浄剤の成分など)との適合性を含む]は、本発明の酵素のさらなる開発を利する。
【0095】
特に好ましい態様は、Bacillus lentus DSM 5483によって産生されるプロテアーゼから誘導しうる本発明のプロテアーゼに関する。ここで含まれるのは、例えば、国際特許出願WO92/21760、WO95/23221、およびWO98/30669に記載される変異体のプロテアーゼである。これら酵素の開発(199位、211位、3位、および/または4位に本発明の置換を有する)は、本発明の特に好ましい態様である。
【0096】
本願において研究されたB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gは、B.lentus DSM 5483スブチリシンの発展である。このB.lentus DSM 5483スブチリシンのアミノ酸配列は、配列番号52として、そのヌクレオチド配列は、配列番号106として、国際特許出願WO92/21760の配列表に開示されている。
【0097】
洗浄性能および清浄化性能に対応する製剤に対するこの新規な変異体の寄与は、これらの目的のために先行技術において確立された同等の酵素であるB.lentusアルカリ性プロテアーゼF49およびSavinase(登録商標)の寄与よりも高いことが見い出された(実施例2〜5)。配列表は、この変異体のアミノ酸配列を配列番号2として挙げている。アミノ酸配列をコードする遺伝子は、配列番号1として配列表に挙げられている。遺伝子コードの縮重のゆえに、多くの他の核酸も考慮されるが、これらの核酸も同様に、この変異体をコードしており、本発明のこの対象において等しく好ましい代替物である。
【0098】
配列表に示されるDNA配列およびアミノ酸配列を有するB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211G変異体を産生する細菌株(特に、Bacillus株)は、例えば、本願の実施例1に例示した方法に従って調製することができる。
【0099】
以前に言及されたアルカリ性プロテアーゼから、先行技術において確立された分子生物学的方法によって、さらなるタンパク質を誘導することができる。また、このような方法は、例えば、教科書「Molecular cloning:a laboratory manual」[Fritsch, SambrookおよびManiatis, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989]に詳細に記載されている。
【0100】
このようなさらなるタンパク質としては、例えば、置換変異誘発によって、またはさらなる点突然変異によってさらなる特性が付与されている変異体、ならびに、特定の可能性ある用途に対して動機付けされたさらなる特性に起因して、例えば、WO00/36069に開示されるように表面荷電の変化によるか、または例えば、WO99/27082に開示されるように触媒もしくは基質結合に関与するループにおける変更による変異体が挙げられる。このような変異体のより大きい部分領域を突然変異誘発に供することも可能である。即ち、例えば、プロテアーゼの特定の部分的機能を選択するか、または他方において、それらの機能、例えば、基質結合および他の化合物との相互作用(分子の特定の領域を介して発揮される)を排除することが、フラグメント生成または欠失突然変異誘発の目的であってよい。
【0101】
挿入、置換または融合によって、さらなる機能を有する本発明のプロテアーゼを提供することができる。これには、可能性としては、例えば、特定のドメインに対する結合(例えば、公開WO99/57154〜WO99/57159に記載されるようなセルロース結合ドメインに対する結合など)が含まれる。ここで示されるアミノ酸リンカーは、プロテアーゼ、リンカー領域、および結合ドメインの組み込まれた融合タンパク質を形成することによって構築することができる。このような結合ドメインは、例えば、プロテアーゼ基質に対する本発明のタンパク質の結合を増強するために、同じプロテアーゼに由来してもよく、また、異なるプロテアーゼに由来してもよい。このことによって、局所のプロテアーゼ濃度が増大し、この増大が、個々の適用において、例えば原料の処理において、有利であることができる。
【0102】
また、このようなプロテアーゼは、特に、その特定の目的とする適用に対してそれらを最適化するために誘導することもできる。これは、例えば、独国特許出願DE4013142に記載されるような化学的修飾を含む。これらのプロテアーゼは、例えば、種々の生物によるタンパク質生合成に関連して天然に行われているように、低分子量もしくは高分子量の化合物の結合によって改変されていてもよい(例えば、N末端に近位の脂肪酸基の結合、または真核生物宿主細胞による合成におけるグリコシル化など)。従って、さらに誘導されるタンパク質分解酵素またはフラグメントは、本発明の態様である。
【0103】
洗浄剤または清浄剤における本発明のタンパク質の使用に関連して、例えば、他の洗浄物質または酵素に対する結合は、特に有用である。例えば、国際特許出願WO00/18865およびWO00/57155は、セルロース結合ドメインのための結合アプローチを記載する。同じように、高分子化合物(例えば、ポリエチレングリコールなど)に対する結合が、さらなる特性(例えば、安定性または皮膚適合性)に関して、この分子を改変するために行うこともできる。例えば、米国特許US5230891は、プロテアーゼを化粧品における使用にさらに適するものにするための、この種の改変を記載している。
【0104】
本発明のタンパク質の誘導体は、広義では、これら酵素の調製物をも意味する。その入手、後処理、または調製に依存して、タンパク質は、例えば、産生微生物の培養物由来の種々の他の物質と関連することができる。その理由は、プロテアーゼ産生微生物の培養上清は既にタンパク質分解活性を示し、粗抽出物であっても、例えば、他のタンパク質様活性を不活化するために適切に使用しうることを示すためである。
【0105】
また、タンパク質を、特定の他の物質と特異的に混合して、例えば、その貯蔵安定性を増大させることができる。即ち、本発明の実際のタンパク質の任意の調製物も本発明に従う。これは、特定の調製物においてこの酵素活性を実際に産生するか否かにも依存する。その理由は、タンパク質は、貯蔵中は活性であるとしても低い活性しか有さず、そして用いられたときだけ、タンパク質分解機能を生じることが所望されることがあるためである。この機能は、例えば、このタンパク質の折り畳み状態に依存してもよいし、また、本発明のタンパク質に対するこの調製物の1またはそれ以上の付随する物質の可逆的な結合から生じてもよい。プロテアーゼとプロテアーゼインヒビターとの連結調製が、特に、先行技術(WO00/01826)から公知である。また、インヒビターが、リンカー(特に、アミノ酸リンカー)を介して、特定のプロテアーゼに結合された融合タンパク質もこれに含まれる(WO00/01831)。
【0106】
本発明のタンパク質の開発、誘導体化および調製は、このタンパク質がタンパク質分解活性であり続ける場合に特に望ましい。その理由は、これが、本発明の潜在的な用途のための前提条件であるためである。好ましくは、任意の種類の突然変異誘発および/または誘導体化によって得られるプロテアーゼは、それぞれ出発分子および非誘導体化分子と比較して、増大したタンパク質分解活性、さらに具体的には、使用が意図される技術分野のそれぞれの場合に改善された性能を有する。これには、特に、洗浄剤または清浄剤における使用のための洗浄性能および/または清浄化性能の改善が含まれる。
【0107】
これは、例えば、本発明の点突然変異と、例えば、活性部位での触媒反応に関連するさらなる点突然変異とを組み合わせることによって可能になる。即ち、国際特許出願WO95/30011の教示に従って、例えば、Bacillus lentusスブチリシンに由来する本発明のプロテアーゼを、ループ領域で突然変異させること、またはさらなるアミノ酸を導入することが可能である。このような研究は、以下の番号で公開された出願に記載されている:WO00/37599、WO00/37621〜WO00/37627、およびWO00/71683〜WO00/71691。
【0108】
反応培地中で他の活性化合物と相互作用し、これによって、例えば、折り畳み効果により全体的反応を損なう、この酵素の領域の欠失は、このような所望の発展であり得る。同じように、他の活性酵素への融合(例えば、他のプロテアーゼへの融合)を、加水分解速度の増大を達成するために考慮することができる。
【0109】
インヒビターの結合による貯蔵中のタンパク質分解活性の可逆的ブロックは、例えば、自己タンパク質分解を停止させることができ、こうして、希釈時の反応培地中における早いタンパク質分解速度を達成することができる。特別な結合ドメインに対する結合は、例えば、精製プロセスにおいて、プロテアーゼの濃度を、液体中の濃度に比べて、基質の濃度付近まで増大させることができ、こうして、この性能に対する酵素の寄与を増大させることができる。
【0110】
酵素、特に洗浄剤および清浄剤において使用される酵素の安定性を増大させる多くの可能性が、先行技術から公知である(上記を参照)。特に本発明に関連するのは、実行可能性の理由から、点突然変異に基づく方法である。上記で既に例示した可能性の全てを、本発明の変異体と組み合わせて適用することができる。その理由は、WO89/09819によれば、複数の安定化突然変異体が、相加作用を有することを想定しうるためである。従って、2つのアミノ酸3Tおよび4Iの一方または両方によって既に安定化されている本発明の変異体を、ポリマーへの結合によってさらに安定化することができる。しかし、それらは、例えば、上に規定されたチロシン残基の1またはそれ以上の置換、特定のプロリン残基の導入、表面荷電の変更、またはカルシウム結合部位の変更により、この分子の異なる部位で安定化突然変異を有していてもよい。
【0111】
核酸は、特に、遺伝子の配列決定、および対応するアミノ酸配列の誘導、タンパク質の任意のタイプの突然変異誘発および発現を含む、実質的に全ての共通の分子生物学的研究ならびにタンパク質の開発およびその産生のための出発点である。上で既に言及したように、このような方法は、例えば、マニュアル「Molecular Cloning: a laboratory manual」[Fritsch, SambrookおよびManiatis, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989]に記載されている。即ち、本発明の第2の対象は、本発明の第1の対象のタンパク質またはその誘導体をコードする核酸である。
【0112】
DNAレベルでは、本発明に重要な酵素は、「タンパク質工学」という用語として一般に挙げられている任意の方法により、種々の適用に対して最適化することができる。これによって、特に、タンパク質レベルで生じる以下の特性を獲得することが可能になる:酸化に対する誘導されたタンパク質の耐性の改善;変性剤またはプロテアーゼ、高温、酸性または強アルカリ性の条件に対する安定性の改善、カルシウムまたは他の補助因子に対する感受性の変更、免疫原性またはアレルギー性作用の軽減。
【0113】
本発明の突然変異した遺伝子の例には、個々の特異的な塩基置換もしくはランダム化点突然変異を担う遺伝子、個々の塩基もしくは部分的配列の欠失を担う遺伝子、他の遺伝子もしくは遺伝子フラグメントに対する融合、または逆位が含まれる。この種の突然変異または改変によって、各々の核酸に由来する酵素を、特定の適用に向けることができる。このような突然変異誘発は、標的特異的に、またはランダム法によって、例えば、クローニングされた遺伝子における後の認識および/または選択法(スクリーニングおよび選択)を用いて、活性を標的として行うことができる。
【0114】
特に、タンパク質フラグメントをコードする核酸については、3つのリーディングフレーム全てを、センス配向およびアンチセンス配向の両方で考慮しなければならない。その理由は、このようなオリゴヌクレオチドは、関連の核酸の合成のための出発点としてポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって用いることができるためである。このようなオリゴヌクレオチドは、特に、4つのアミノ酸位置3、4、199、および/または211に対応する任意の領域を包含する場合、明白に本発明の保護の範囲内に含まれる。また、このことは、可変配列を正確にこれらの位置に有しており、その結果、多くのプライマーの集団内で、このような位置について配列番号3に対応する部分配列をコードする少なくとも1つのプライマーが存在し得るオリゴヌクレオチドに当てはまる。同じことが、例えば、発現を調節するために使用しうるアンチセンスオリゴヌクレオチドに当てはまる。
【0115】
本発明のプロテアーゼの開発は、特に、刊行物「Protein engineering」[P.N.Bryan (2000), Biochim.Biophys.Acta, 第1543巻, 203-222頁]に示されたアイデアに向いているであろう。
【0116】
スブチリシンプロテアーゼをコードする核酸であって、そのヌクレオチド配列が、配列番号3に示されるヌクレオチド配列に対応する核酸が好ましい。これは、199位のイソロイシンおよび211位のグリシンをコードする領域、特に、3位のトレオニン、4位のイソロイシン、199位のイソロイシン、および211位のグリシンをコードする領域に当てはまる。
【0117】
これは、好ましくはBacillus lentusプロテアーゼの配列から誘導しうる領域に、特に、それらがBacillus lentus DSM 5483プロテアーゼの配列から誘導しうる場合に当てはまる。極めて好ましい場合には、この核酸は、本発明のB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gをコードし、そして/または配列番号3に示されるヌクレオチド配列に対応する。
【0118】
保護の範囲には、例えば、タンパク質分解性に活性な挿入または融合突然変異をコードする核酸が含まれる。即ち、この活性を担う領域は、この誘導されたタンパク質がポリマーに結合されるか、またはそのアレルゲン性を減弱することを可能にするために、例えば、セルロース結合ドメインに融合されていてもよいし、または触媒的に不活性な領域において点突然変異を担持していてもよい。
【0119】
本発明に関連する核酸を取り扱うために、核酸をベクターに都合よく連結する。このベクターには、例えば、細菌プラスミド由来のベクター、ウイルスもしくは細菌ファージ由来のベクター、または大部分合成のベクターが含まれる。これらベクターは、該当の遺伝子、その発現、または対応するタンパク質の分子生物学的研究および生化学的研究のための適当な出発点である。従って、上で規定した核酸分子、特に上で規定したタンパク質分解酵素をコードする核酸を含むベクターは、本発明の対象である。
【0120】
クローニングベクターは、本発明のこの対象の好ましい態様であり、目的遺伝子の貯蔵、生物学的増幅、または選択に加えて、この遺伝子の分子生物学的特性化に適する。同時に、これらは、特許請求された核酸の輸送可能かつ貯蔵可能な形態であり、また細胞に関連しない分子生物学的技術(例えば、PCR、またはインビトロ突然変異誘発法など)の出発点である。上で規定したタンパク質分解酵素をコードする核酸領域を含むクローニングベクターが好ましい。
【0121】
本発明の発現ベクターは、生物学的産生系において、本発明の第2の対象である核酸を使用して、それによって本発明の第1の対象であるタンパク質を産生するための基礎である。本発明のこの対象の好ましい態様は、発現に必須の遺伝子エレメント(例えば、この遺伝子の上流に元から位置する天然のプロモーター、または別の生物由来のプロモーター)を全て担持する発現ベクターである。このエレメントは、例えば、「発現カセット」の形態で編成されてもよい。上で規定したタンパク質分解酵素をコードする核酸領域を含む発現ベクターが好ましい。
【0122】
本発明を実施する別の可能性は、本発明の第3の対象に従うベクターを含む細胞である。即ち、これら細胞は、本発明の微生物学的側面であって、これは例えば、適切な遺伝子の増幅だけでなく、それらの突然変異誘発、または転写および翻訳、ならびに最終的には生物工学的な産生を可能する。
【0123】
本発明の任意のタンパク質を発現するかまたは発現するように誘導することができ、それによってそのタンパク質の生物工学的な産生を可能にする宿主細胞は、本発明のこの対象の態様である。この目的のために、これら宿主細胞は、ベクターにより都合よく適切な遺伝子を受容していなければならない(即ち、適切な遺伝子で形質転換されていなければならない)。このようなベクターは、別の遺伝子エレメントとして、宿主細胞中に染色体外に存在してもよいし、または染色体に組み込まれていてもよく、そして好ましくは、上で規定した任意の発現ベクターである。
【0124】
適切な宿主細胞は、原則的には全ての生物、即ち、原核生物、真核生物、またはCyanophyta(藍色植物門)である。例えば、発現ベクターを用いた形質転換、およびその適切な樹立に関して、遺伝的に容易に操作できる宿主細胞(例えば、単細胞の菌類または細菌)が好ましい。さらに、好ましい宿主細胞は、良好な微生物学的操作性および生物工学的操作性によって区別される。これは、例えば、容易な培養性、高い増殖速度、発酵培地の低い要件、ならびに外来タンパク質の産生および分泌の良好な速度に関係する。先行技術によって利用可能な多くの種々の系によって、個々の場合について最適の発現系を経験的に決定することが必要になることが多い。このようにして、本発明の任意のタンパク質を、多様な宿主生物から得ることができる。
【0125】
好ましい態様は、適当な遺伝子エレメントのゆえに、例えば、化合物の制御された添加によって、培養条件の変化によって、または特定の細胞密度の関数として、活性を調節することができる宿主細胞である。この制御可能な発現によって、目的のタンパク質の非常に経済的な産生が可能になる。
【0126】
好ましい態様では、宿主細胞は細菌であり、特に、産生されたタンパク質を周囲培地中に分泌する細菌である。その理由は、細菌は、短い世代寿命および培養条件に対する低い要求によって、自体区別されるためである。これによってコスト効果の高い(費用の安い)方法を確立することが可能になる。グラム陰性の細菌(例えば、大腸菌など)は、細胞膜周辺腔に多様なタンパク質を分泌する。これは、特別な適用には有利になりうる。対照的に、グラム陽性の細菌[例えば、bacillus(桿菌)など]は、分泌されたタンパク質を、細胞周囲の栄養培地中に直ちに放出し、この栄養培地から、別の好ましい態様に従って、本発明の発現されたタンパク質を直接精製することができる。国際特許出願WO01/81597は、グラム陰性の細菌が、発現されたタンパク質を輸送することをも達成する方法を開示している。
【0127】
本発明の1つの態様は、本発明のタンパク質を(相同的に)発現させるために、Bacillus lentus DSM 5483自体を利用する。しかし、一方では、異種発現が好ましい。異種発現に好ましい細菌には、Bacillus属の細菌、特に、以下の種:Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus subtilis、または他の種、またはBacillus alcalophilusの株が含まれる。その理由は、これらが、同等のスブチリシン自体を産生し、その結果、この方法によって、本発明のタンパク質と宿主株によって内因的に産生されたスブチリシンとの混合物を得ることが可能になるためである。国際特許出願WO91/02792(EP493398B1)は、例えば、Bacillus licheniformis ATCC 53926におけるこの種のB.lentusアルカリ性プロテアーゼの同時発現を記載している(多くの可能な発現ベクターをその中に見い出すことができる)。本発明の新たに見い出された変異体、特にBacillus lentusの変異体、さらに具体的にはB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gを、これらベクターの助けを借りて、そして/またはこの宿主系において調製しうることを予測することができる。
【0128】
本発明のこの対象の別の好ましい態様において、宿主細胞は、真核生物、特に産生されたタンパク質を翻訳後に改変する真核生物である。適当な真核生物の例は、放線菌類または酵母類(例えば、SaccharomycesまたはKluyveromyces)のような菌類である。このような系が、特にタンパク質合成と関連して行う改変には、例えば、膜アンカーまたはオリゴ糖のような低分子量化合物の結合が含まれる。この種のオリゴ糖改変は、例えば、調製されたタンパク質のアレルゲン性を低減するために望ましいこともある。
【0129】
本発明のタンパク質分解酵素または誘導体を調製するための方法は、本発明の別の対象である。即ち、例えば、上記のDNA配列およびアミノ酸配列(例えば、配列表から誘導することもできる)に基づいて、自体公知の分子生物学的方法に従って、対応するオリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチドを、完全な遺伝子およびタンパク質にまで合成することができる。本発明において考案されたガイドラインに従って、公知のスブチリシン産生微生物から開始して、さらなる天然のスブチリシン産生体を単離し、そのスブチリシン配列を決定し、それをさらに開発することもできる。この種の細菌種を培養し、適当な産生方法に用いてもよい。同様に、新規な発現ベクターを、例えば、国際特許出願WO91/02792に開示されたベクターモデルに従って開発することができる。タンパク質の生合成をインビトロで行う細胞不含の発現系も、対応する核酸配列に基づいて、本発明の態様になりうる。本発明のタンパク質を調製するために、上記した任意の要素を組み合わせて、新規な方法を得ることもできる。この点について、本発明の各タンパク質に対して方法工程の多様な可能性のある組み合わせが考えられるので、各々の特定の個々の場合について、最適方法が経験的に決定されるべきである。
【0130】
本発明のタンパク質分解酵素を含むことを特徴とする製剤は、本発明の別の独立した対象である。
本発明の酵素の実質的に全ての可能性ある技術的用途が、適当な媒体中で機能的な酵素を使用することに依存する。即ち、例えば、可能性ある微生物学的な用途には、酵素が、通常は高純度の調製物の形態で、必要な反応パートナーまたは補助因子と組み合わせられている製剤が必要である。同様に、原料または化粧品の処理のための製剤は、特定の配合物によって特徴付けられる。本発明によれば、これらの配合物の全てが、本発明の酵素を含む製剤であると理解すべきである。
【0131】
本発明のこの対象に含まれる好ましい態様は、洗浄剤または清浄剤である。その理由は、本願の実施例が示すように、驚くべきことに、スブチリシン変異体199I/211G(B.lentusアルカリ性プロテアーゼによる番号付与)、またはスブチリシンS3T/V4I/V199I/L211Gを有するBacillus lentus変異体、特に、Bacillus lentus DSM 5483由来のB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211G変異体が、種々の汚れに対して、同じ活性量を用いたときに確立された洗浄剤プロテアーゼのレベルを越える、明白な性能の向上を与えることが見い出されたためである(実施例2および3を参照)。同じことが、対応する機械食器洗剤に当てはまる(実施例4および5を参照)。この効果は、種々の温度および種々の濃度の両方において、再現可能である。
【0132】
本発明のこの対象には、任意の考え得るタイプの清浄剤(濃縮液および希釈されずに適用される製剤の両方)が含まれ、工業的規模で、洗浄機において、または手による洗濯もしくはクリーニングのために使用されるものが含まれる。これらには、例えば、織物、カーペット、または天然繊維のための洗浄剤が含まれる(本発明においては、これらのために洗浄剤という用語を用いる)。また、これらには、例えば、食器洗浄器用の食器洗剤、または硬表面(例えば、金属、ガラス、磁器、セラミック、タイル、石、被覆された表面、プラスチック、木材もしくは皮革)用の手による食器洗剤もしくはクリーナーが含まれる(本発明においては、これらのために清浄剤という用語を用いる)。任意のタイプの清浄剤が、本発明のタンパク質がそれに添加されている限り、本発明の態様である。
【0133】
本発明の態様は、先行技術において確立され、そして/または適当である本発明の製剤の任意の状態を含む。これらには、例えば、固体、粉体、液体、ゲル様製剤またはペースト様製剤(適切であれば、複数の相からなるか、圧縮されているか、または圧縮されていない)が含まれる。さらなる例には、押出成形物、顆粒、タブレット、またはパウチ、大きい容器に充填されたか小分けされたものが含まれる。
【0134】
本発明の製剤は、本発明の酵素を、製剤1gあたり、2μg〜20mg、さらに好ましくは、5μg〜17.5mg、20μg〜15mg、50μg〜10mg、100μg〜7.5mg、200μg〜5mg、および500μg〜1mgの量で含有する。これによって、1回の適用あたり、40μg〜4g、さらに好ましくは、50μg〜3g、100μg〜2g、200μg〜1g、特に好ましくは、400μg〜400mgの量になる。
【0135】
この種の製剤におけるプロテアーゼ活性は、Tenside、第7巻 (1970)、125-132頁に記載の方法に従って決定することができ、こうしてプロテアーゼ単位(PE=Protease-Einheiten)で示される。製剤のプロテアーゼ活性は、調製物1gあたり1,500,000プロテアーゼ単位までであってよい。
【0136】
本発明に重要な酵素とは別に、本発明の製剤は、適切であれば、さらなる成分、例えば界面活性物質(例えば、非イオン性、陰イオン性および/または両性界面活性物質)、および/または漂白剤、および/またはビルダー、ならびに、適切であれば、さらなる従来の成分を含有する。
【0137】
用いられる非イオン性界面活性物質は、好ましくは、アルコキシル化され、有利にはエトキシル化されており、特に、好ましくは8〜18個の炭素原子、および、平均して、1モルのアルコールあたり1〜12モルのエチレンオキシド(EO)を有する第一級アルコールである。ここで、このアルコール基は、オキソアルコール基において普通に存在するように、直鎖もしくは好ましくは2位でメチル分岐していてもよく、また、直鎖基およびメチル分岐基を混合して含んでいてもよい。しかし、特に好ましいのは、12〜18個の炭素原子を有する天然起源(例えば、ココナツ、パーム、獣脂、またはオレイルアルコール由来)のアルコールの直鎖基および平均してアルコール1モルあたり2〜8個のEOを含む、アルコールエトキシレートである。好ましいエトキシル化アルコールとしては、例えば、3個のEOまたは4個のEOを有するC12 - 14アルコール、7個のEOを有するC - 11アルコール、3個のEO、5個のEO、7個のEO、または8個のEOを有するC13 - 15アルコール、3個のEO、5個のEO、または7個のEOを有するC12 - 18アルコール、およびこれらの混合物(例えば、3個のEOを有するC12 - 14アルコールと、5個のEOを有するC12 - 18アルコールとの混合物)が挙げられる。与えられるエトキシル化の程度は、特定の産物についての統計的な平均(これは、整数であっても、分数であってもよい)である。好ましいアルコールエトキシレートが有する同族体分布は狭い(狭範囲エトキシレート、NRE)。これらの非イオン性界面活性物質に加えて、12個より多いEOを有する脂肪アルコールも用いられ得る。それらの例は、14個のEO、25個のEO、30個のEO、または40個のEOを有する獣脂脂肪アルコールである。
【0138】
唯一の非イオン性界面活性物質として、または他の非イオン性界面活性物質との組み合わせのいずれかで用いられる、好適に用いられる非イオン性界面活性物質のさらなるクラスは、アルコキシ化、好ましくはエトキシル化またはエトキシル化され、かつプロポキシル化され、好ましくはこのアルキル鎖中に1〜4個の炭素原子を有する脂肪酸アルキルエステル、特に脂肪酸メチルエステルである。
【0139】
有利に用いることができる非イオン性界面活性物質のさらなるクラスは、アルキルポリグリコシド(APG)である。使用しうるアルキルポリグリコシドは、一般式RO(G)を満たし、ここでRは、直鎖または分岐鎖の、特に2位でメチル分岐した、飽和または不飽和の、8〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する脂肪族基であり、そしてGは、5〜6個の炭素原子を有するグリコシル単位、好ましくはグルコースを意味する。グリコシル化の程度であるzは、ここでは、1.0〜4.0、好ましくは1.0〜2.0、特に1.1〜1.4である。直鎖アルキルポリグリコシド、即ち、ポリグリコシル基がグルコース基であり、アルキル基がn-アルキル基であるアルキルポリグリコシドを用いるのが好ましい。
【0140】
アミノオキシド型の非イオン性界面活性物質、例えば、N-ココアルキル-N,N-ジメチルアミンオキシド、およびN-獣脂アルキル-N,N-ジヒドロキシエチルアミンオキシド、および脂肪酸アルカノールアミドの界面活性物質も適当である。これらの非イオン性界面活性物質の割合は、好ましくはエトキシル化脂肪アルコールより少なく、特にその半分以下である。
【0141】
さらなる適当な界面活性物質は、以下の式(II):
【化1】
Figure 2004534528
[式中、RCOは、6〜22個の炭素原子を有する脂肪族アシル基であり、Rは、水素、アルキル、またはヒドロキシアルキル基(1〜4個の炭素原子を有する)であり、そして[Z]は、3〜10個の炭素原子および3〜10個のヒドロキシル基を有する直鎖または分岐鎖のポリヒドロキシアルキル基である]
で示されるポリヒドロキシ脂肪酸アミドである。
このポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、アンモニア、アルキルアミン、またはアルカノールアミンを用いた還元糖の還元的アミノ化、および引き続く、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、または脂肪酸塩化物を用いたアシル化によって通常得られる公知の物質である。
【0142】
また、ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの群は、以下の式(III):
【化2】
Figure 2004534528
[式中、Rは、7〜12個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖のアルキルまたはアルケニル基であり、Rは、直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基またはアリール基(2〜8個の炭素原子を有する)であり、Rは、直鎖、分岐鎖もしくは環状のアルキル基またはアリール基、またはオキシ-アルキル基(1〜8個の炭素原子を有する)であり、ここでC - アルキルまたはフェニル基が好ましく、そして[Z]は、直鎖ポリヒドロキシアルキル基(そのアルキル鎖は、少なくとも2つのヒドロキシル基によって置換されている)であるか、またはアルコキシル化、好ましくはエトキシル化もしくはプロポキシル化されたこの基の誘導体である]
で示される化合物を包含する。
【0143】
[Z]は、好ましくは、還元糖、例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノース、またはキシロースの還元的アミノ化によって得られる。N-アルコキシ置換化合物またはN-アリールオキシ置換化合物は、触媒としてアルコキシドの存在下で、例えば脂肪酸メチルエステルとの反応によって、所望のポリヒドロキシ脂肪酸アミドに転化することができる。
【0144】
用いられる陰イオン性界面活性物質は、例えば、スルホネート型およびスルフェート型のものである。このスルホネート型の適当な界面活性物質は、好ましくは、C - 13アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート(即ち、アルケンとヒドロキシアルカンスルホネートの混合物)、およびジスルホネート(これは、例えば、末端または内部の二重結合を有するC12 - 18モノオレフィンから、ガス状三酸化イオウを用いたスルホン化、および引き続くスルホン化産物のアルカリ性もしくは酸性の加水分解によって得られる)である。また適するのは、例えば、C12 - 18アルカンから、スルホクロロ化またはスルホオキシド化とその後の加水分解または中和によって得られるアルカンスルホネートである。同様に適するのは、αスルホ脂肪酸のエステル(エステルスルホネート)、例えば、水素化されたココナツ、パーム核または獣脂脂肪酸のαスルホン化メチルエステルである。
【0145】
さらなる適当な陰イオン性界面活性物質は、スルフェート化脂肪酸グリセロールエステルである。脂肪酸グリセロールエステルとは、1〜3モルの脂肪酸を用いたモノグリセロールのエステル化による調製中に、または0.3〜2モルのグリセロールを用いたトリグリセリドのエステル交換中に得られるモノエステル、ジエステル、およびトリエステル、ならびにそれらの混合物を意味する。ここで好ましいスルフェート化脂肪酸グリセロールエステルは、6〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、またはベヘン酸)のスルフェート化生成物である。
【0146】
好ましいアルキル(アルケニル)スルフェートは、C12-C18脂肪アルコール(例えば、ココナツ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリルアルコール、ミリストイルアルコール、セチルアルコール、またはステアリルアルコール)の、またはC10-C20-オキソアルコールの硫酸半エステル、およびこれら鎖長の第二級アルコールの半エステルの、アルカリ金属(特に、ナトリウム)塩である。さらに好ましいのは、この鎖長のアルキル(アルケニル)スルフェートであって、油脂化学原料に基づく等価な化合物に対して類似の分解挙動を有する合成の石油化学に基づく直鎖アルキル基を含むスルフェートである。洗浄性能の観点から、C12-C16-アルキルスルフェート、およびC12-C15-アルキルスルフェート、およびC14-C15-アルキルスルフェートが好ましい。2,3-アルキルスルフェートも適当な陰イオン性界面活性物質である。
【0147】
また、1〜6モルのエチレンオキシド(EO)でエトキシル化された直鎖または分岐鎖のC - 12アルコールの硫酸モノエステル、例えば、平均して3.5モルのEOを有する2-メチル-分岐したC - 11-アルコールまたは1〜4個のEOを有するC12 - 18脂肪アルコールも適する。それらの高い発泡挙動のゆえに、これらは、比較的少量でのみ、例えば、5wt%まで、通常は1〜5wt%の量で清浄剤に用いられる。
【0148】
さらに適当な陰イオン性界面活性物質は、アルキルスルホコハク酸の塩であり、これはスルホスクシネートまたはスルホコハク酸エステルと呼ばれ、スルホコハク酸とアルコール(好ましくは脂肪アルコール、特にエトキシル化脂肪アルコール)とのモノエステルおよび/またはジエステルである。好ましいスルホコハク酸は、C - 18脂肪アルコール基またはその混合物を含む。特に好ましいスルホコハク酸は、それ自体が陰イオン性界面活性物質である、エトキシル化脂肪アルコール由来の脂肪アルコール基を含む(説明については上記を参照)。ここで、脂肪アルコール基が、狭い同族体分布を有するエトキシル化脂肪アルコール由来であるスルホスクシネートが特に好ましい。同様に、アルキニル(アルケニル)鎖中に好ましくは8〜18個の炭素原子を有するアルキニル(アルケニル)コハク酸またはその塩を使用することも可能である。
【0149】
さらに適する陰イオン性界面活性物質は、特に石鹸である。飽和脂肪酸石鹸(例えば、ラルリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、水素化エルカ酸、およびベヘン酸の塩)、特に、天然の脂肪酸(例えば、ココナツ、パーム核、または獣脂脂肪酸)由来の石鹸混合物が適当である。
【0150】
石鹸を含む陰イオン性界面活性物質は、そのナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩の形態で、また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミンのような有機塩基の可溶性塩として存在することができる。陰イオン性界面活性物質は、好ましくは、そのナトリウム塩、またはカリウム塩の形態、特に、ナトリウム塩の形態にある。
【0151】
界面活性物質は、最終の製剤に対して、好ましくは5wt%〜50wt%、特に8wt%〜30wt%の全体的量で、本発明の清浄剤または洗浄剤中に存在することができる。
【0152】
本発明の製剤は漂白剤を含むことができる。漂白剤として働き、かつ水中でHを生成する化合物の中で、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム四水和物、および過ホウ酸ナトリウム一水和物が特に重要である。用いられ得る他の漂白剤は、例えば、ペルオキソピロリン酸、クエン酸過水和物およびH生成過酸塩または過酸(例えば、過硫酸塩またはペルオキソ硫酸)である。また有用なのは、一般式:HN-CO-NH・Hで示すことができる尿素ペルオキソヒドレートペルカルバミドである。特に、硬表面を清浄化するために、例えば、食器洗浄器のために用いる場合、この製剤は、所望により、有機漂白剤の群からの漂白剤を含むことができるが、これらの使用は、織物を洗浄するための製剤においても原理的に可能である。代表的な有機漂白剤は、過酸化ジアシル(例えば過酸化ジベンゾイルなど)である。さらなる代表的な有機漂白剤は、ペルオキシ酸であり、特定の例は、ペルオキシ酸アルキルおよびペルオキシ酸アリールである。好ましい代表例は、ペルオキシ安息香酸およびその環置換誘導体(例えば、ペルオキシ安息香酸アルキル)であるが、以下のものを用いることもできる:ペルオキシ-α-ナフトエ酸およびモノペルオキシフタル酸マグネシウム、脂肪族または置換脂肪族ペルオキシ酸、例えば、ペルオキシラウリル酸、ペルオキシステアリン酸、ε-フタルイミドペルオキシカプロン酸(フタルイミドペルオキシヘキサン酸、PAP)、O-カルボキシ-ベンザミドペルオキシカプロン酸、N-ノネニルアミドペルアジピン酸、およびN-ノネニルアミドペルコハク酸、ならびに脂肪族およびアラル脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば、1,12-ジペルオキシカルボン酸、1,9-ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2-デシルジペルオキシブタン-1,4-二酸、N,N-テレフタロイル-ジ(6-アミノペルカプロン酸)。
【0153】
製剤の漂白剤含量は、有利には過ホウ酸塩一水和物または過炭酸塩を用いて、1〜40wt%、特に10〜20wt%であることができる。
【0154】
60℃以下の温度での洗浄の場合に、特に洗濯の前処理の場合に、改善された漂白作用を達成するために、本製剤は、漂白活性化物質を含んでいてもよい。使用しうる漂白活性化物質は、過加水分解条件下において、好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキソカルボン酸および/または置換もしくは未置換の過安息香酸を与える化合物である。このような数の炭素原子のO-アシル基および/またはN-アシル基および/または置換もしくは未置換のベンゾイル基を保持する物質が適当である。以下のものが好ましい:複数でアシル化されたアルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化されたトリアジン誘導体、特に1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT)、アシル化されたグリコールウリル類、特に1,3,4,6-テトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N-アシルイミド類、特にN-ノナノイルスクシニミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn-ノナノイルオキシベンゼンスルホナートもしくはイソノナノイルオキシベンゼンスルホナート(n-NOBSもしくはiso-NOBS)、アシル化ヒドロキシカルボン酸、例えばトリエチル-O-アセチルクエン酸(TEOC)、カルボン酸無水物、特に無水フタル酸、イサトイン酸無水物および/またはコハク酸無水物、カルボキサミド、例えばN-メチルジアセトアミド、グリコリド、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、エチレングリコールジアセテート、イソプロピルアセテート、2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン、およびエノールエステル(独国特許出願DE19616693およびDE19616767に開示される)、ならびにアセチル化ソルビトール、およびマンニトール、またはそれらの混合物(欧州特許出願EP0525239(SORMAN)に開示される)、アシル化糖誘導体、特にペンタアセチルグルコース(PAG)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロースおよびオクタアセチルラクトース、ならびにアセチル化され所望によりN-アルキル化されたグルカミンまたはグルコノラクトン、トリアゾールもしくはトリアゾール誘導体、および/または特にカプロラクタムおよび/またはカプロラクタム誘導体、好ましくはN-アセチル化ラクタム、例えばN-ベンゾイルカプロラクタムおよびN-アセチルカプロラクタム(国際特許出願WO94/27970、WO94/28102、WO94/28103、WO95/00626、WO95/14759、およびWO95/17498に開示される)。独国特許出願DE19616769に開示される親水性に置換されたアシルアセタール、ならびに、独国特許出願DE19616770および国際特許出願WO95/14075に記載されたアシルラクタムも、同様に好ましく用いられる。独国特許出願DE4443177に開示される従来の漂白活性化物質の組み合わせを用いることもできる。ニトリル誘導体、例えば、シアノピリジン、ニトロルクワット、例えば、N-アルキルアンモニウムアセトニトリル、および/またはシアノアミド誘導体を用いることもできる。好ましい漂白活性化物質は、4-(オクタノイルオキシ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、n-ノナノイル-オキシベンゼンスルホネートまたはイソナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-NOBSまたはイソ-NOBS)、ウンデセノイルオキシベンゼンスルホネート(UDOBS)、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(DOBS)、デカノイルオキシ安息香酸(DOBA、OBC10)、および/またはドデカノイルオキシベンゼンスルホナート(OBS12)、ならびに、N-メチルモルホリニウムアセトニトリル(MMA)である。このような漂白活性化物質は、総組成物に対して、0.01〜20wt%、好ましくは0.1〜15wt%の量、特に1wt%〜10wt%の範囲の通常の量で存在することができる。
【0155】
従来の漂白活性化物質に加えて、またはそれらの代わりに、「漂白触媒」が存在することもできる。これらの物質は、漂白増強遷移金属塩または遷移金属錯体(例えば、Mn、Fe、Co、Ru、またはMoなど)、サレン錯体、またはカルボニル錯体である。Mn、Fe、Co、Ru、Mo、Ti、V、およびCu錯体(N含有三脚リガンドを含む)、ならびにCo、Fe、Cu、およびRuのアミン錯体も、漂白触媒として適しており、DE19709284A1に記載される化合物を用いるのが好ましい。WO99/63038のアセトニトリル誘導体およびWO99/63041の漂白活性化遷移金属錯体化合物が、アミラーゼとの組み合わせで、漂白活性化作用を現すことができる。
【0156】
本発明の製剤は、通常は1またはそれ以上のビルダー、特に、ゼオライト(沸石)、ケイ酸塩、炭酸塩、有機の補助ビルダー、そして使用に反対する環境的な理由がなければ、リン酸塩をも含有する。後者は、特に、機械食器洗浄用の清浄剤における使用のために好ましいビルダーである。
【0157】
ここで挙げることができる化合物は、一般式:NaMSi2x+1・yHO[式中、Mは、ナトリウムまたは水素であり、xは、1.6〜4、好ましくは1.9〜4の数であり、そしてyは、0〜20の数であり、そしてxの好ましい値は、2、3または4である]で示される結晶性の層状ケイ酸ナトリウムである。この種の結晶性フィロケイ酸塩は、例えば、欧州特許出願EP0164514に記載されている。示した式の好ましい結晶性フィロケイ酸塩は、Mがナトリウムであり、xが2または3の値をとるケイ酸塩である。特に、βナトリウムおよびδナトリウムの両方の二ケイ酸塩NaSi・yHOが好ましい。この種の化合物は、例えば、SKS(登録商標)(Clariant)の商品名で販売されている。即ち、SKS-6(登録商標)は、主に式:NaSi・yHOを有する二ケイ酸δナトリウムであり、SKS-7(登録商標)は、主に二ケイ酸βナトリウムである。二ケイ酸δナトリウムと、酸(例えば、クエン酸またはカルボン酸)との反応によって、カネマイトNaHSi・yHO[それぞれ、SKS-9(登録商標)およびSKS-10(登録商標)の商品名で販売される(Clariant)]が得られる。このようなフィロケイ酸塩の化学的改変体を使用することが有利であることもある。即ち、例えば、フィロケイ酸塩のアルカリ度に、適切に影響を与えることができる。リン酸塩または炭酸塩を用いてドープされたフィロケイ酸塩は、変化した結晶形態(二ケイ酸δナトリウムに比べて)を有し、さらに迅速に溶解し、増大したカルシウム結合能(二ケイ酸δナトリウムに比べて)を示す。即ち、一般実験式:xNaO・ySiOO・zPであるフィロケイ酸塩(ここで、x対yの比は、0.35〜0.6の数であり、x対zの比は、1.75〜1200の数であり、そしてy対zの比は、4〜2800の数である)が、独国特許出願DE19601063に記載されている。フィロリン酸塩の溶解性を、特に微細に顆粒化されたフィロケイ酸塩を用いることによって増大させることができる。結晶性フィロケイ酸塩の化合物を、他の成分と共に使用することもできる。ここで挙げることができる化合物は、特に、セルロース誘導体との化合物[有利な分解作用を有し、特に洗浄剤タブレットにおいて用いられる]、ならびに、ポリカルボキシレート[例えばクエン酸、またはポリマー性ポリカルボキシレート、例えばアクリル酸のコポリマー]との化合物である。
【0158】
1:2〜1:3.3、好ましくは1:2〜1:2.8、特に1:2〜1:2.6のNaO:SiOのモジュラスを有する無定形ケイ酸ナトリウム(これは、遅延した分解および二次洗浄特性を有する)を用いることもできる。従来の無定形ケイ酸ナトリウムに対する分解の遅延は、種々の手段によって、例えば、表面処理、コンパウンド化、圧密/圧縮によって、または過剰乾燥によって、誘導することができる。本発明の範囲内で、「無定形」という用語は、「X線無定形」をも意味する。このことは、X線回折実験において、ケイ酸塩は、結晶性物質に特徴的な鋭いX線屈折を生じないが、代わりに、せいぜいこれら散乱X線の1またはそれ以上の最大値(数度単位の回折角度の幅を有する)を与えることを意味する。しかし、特に良好なビルダー特性は、電子回折実験において、ケイ酸塩粒子が、十分規定されないかまたは鋭い回折最大値を与える場合に、得られるであろう。これは、この生成物が、10〜数百nm(せいぜい50nmまで、特にせいぜい20nmまでの値が好ましい)のサイズを有する微結晶性領域を有する効果であると解釈されるべきである。圧縮/圧密された無定形ケイ酸塩、コンパウンド化された無定形ケイ酸塩、および過剰乾燥されたX線無定形ケイ酸塩が特に好ましい。
【0159】
微細結晶性の結合水含有の合成ゼオライト(適切な場合に使用することができる)は、好ましくはゼオライトAおよび/またはPである。ゼオライトPとしては、ゼオライトMAP(登録商標)(Crosfieldからの製品)が特に好ましい。しかし、ゼオライトXならびにA、Xおよび/またはPの混合物も適している。市販されており、かつ本発明の範囲内で好ましく使用しうる製品は、例えば、ゼオライトXおよびゼオライトAの共結晶化物(ゼオライトX、約80wt%)であり、これは、商品名VEGOBOND AX(登録商標)としてCONDEA Augusta S.p.A.から販売されており、かつ式:nNaO・(1-n)KO・Al・(2-2.5)SiO・(3.5-5.5)HOで示すことができる。
【0160】
適当なゼオライトは、10μm未満の平均粒子サイズ(容積分布;測定方法:Coulterカウンター)を有しており、好ましくは18〜22wt%、特に20〜22wt%の結合水を含有する。
【0161】
ビルダー物質として一般に公知のリン酸塩の使用は、このような使用が環境的な理由のために回避されるべきでなければ、当然ながら可能である。多様な市販のリン酸塩の中で、洗浄剤および清浄剤の産業においては、アルカリ金属リン酸塩が最も重要であり、三リン酸五ナトリウムまたは三リン酸五カリウム(トリポリリン酸ナトリウムまたはカリウム)が特に好ましい。
【0162】
この点に関して、アルカリ金属リン酸塩は、種々のリン酸のアルカリ金属塩(特に、ナトリウム塩およびカリウム塩)の総称的な用語であり、メタリン酸(HPO)と、オルトリン酸HPOと、さらに高分子量の代表物との間を区別することが可能である。このリン酸塩は、いくつかの利点を兼ね備える。即ち、これらは、アルカリの担体として働き、機械部分に対する石灰分の沈着および織布における石灰分の付着を妨げ、そしてさらに清浄化性能に寄与する。
【0163】
リン酸二水素ナトリウム、NaHPOは、二水和物(密度1.91g/cm、融点60℃)および一水和物(密度2.04g/cm)として存在する。両方の塩とも白色粉末であり、水に極めて容易に溶解し、加熱によってその結晶水を失い、200℃で弱い酸性の二リン酸(二リン酸水素二ナトリウム、Na)に転化し、高温で、三メタリン酸ナトリウム(Na)、およびMaddrellの塩(以下を参照)に転化する。NaHPOは酸性である(リン酸を水酸化ナトリウム溶液を用いてpH4.5に調整し、懸濁液を噴霧したときに生成する)。リン酸二水素ナトリウム(一級または一塩基性のリン酸カリウム、二リン酸カリウム、KDP)、KHPO、は、密度2.33g/cmの白色塩であり、253°の融点を有し[ポリリン酸カリウム(KPO)の生成を伴う分解]、そして水中で容易に溶解する。
【0164】
リン酸水素二ナトリウム(二級リン酸ナトリウム)NaHPOは、無色結晶性の塩であり、水に極めて容易に溶解する。これは、無水型で、ならびに、2モルの水(密度2.066g/cm、95℃で水の損失)、7モルの水(密度1.68g/cm、融点48℃、5HOの損失を伴う)、および12モルの水(密度1.52g/cm、融点35℃、5HOの損失を伴う)と共に存在し、100℃で無水になり、さらに強制的な加熱によって二リン酸塩Naに転化する。リン酸水素二ナトリウムは、指示薬としてフェノールフタレインを用いて、ソーダ溶液によってリン酸を中和することによって調製される。リン酸水素二カリウム(二級または二塩基性のリン酸カリウム)KHPOは、無定形の白色塩であり、水に容易に溶解する。
【0165】
リン酸三ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、NaPOは、無色の結晶であり、これは、12水和物型では、1.62g/cmの密度、および73〜76℃の融点(分解)を有し、10水和物型(19〜20%Pに対応する)では、100℃の融点を有し、無水型(39〜40%Pに対応する)では、2.536g/cmの密度を有する。リン酸三ナトリウムは、アルカリ性反応を伴って水中で容易に溶解し、正確に1モルのリン酸二ナトリウムおよび1モルのNaOH溶液を蒸発させることによって調製される。リン酸三ナトリウム(第三または三塩基性のリン酸カリウム)KPOは、白色であり、密度2.56g/cmの潮解性の顆粒粉末であり、1340℃の融点を有し、アルカリ性反応を伴って水中で容易に溶解する。これは、例えば、トーマススラグを炭素および硫酸カリウムと加熱したときに生成する。価格が高いにもかかわらず、より容易な溶解性であり、従って非常に効果的であるリン酸カリウムは、清浄剤産業においては、対応するナトリウム化合物よりも好ましいことが多い。
【0166】
二リン酸四ナトリウム(ピロリン酸ナトリウム)Naは、無水型(密度2.534g/cm、融点988℃、また880℃も知られている)で、および10水和物(密度1.815〜1.836g/cm、融点94℃で水を損失)として存在する。両物質とも無色の結晶であり、アルカリ性反応を伴って水中で溶解する。Naは、200℃を上回るリン酸二ナトリウムの加熱中に生成するか、または化学量論的比のリン酸とソーダとの反応および噴霧によるこの溶液の脱水によって生成する。この10水和物複合体重金属塩および硬度成分は、これにより水の硬度を下げる。二リン酸カリウム(ピロリン酸カリウム)Kは、三水和物型で存在しており、無色であり、密度2.33g/cmの吸湿性粉末であり、水中で可溶性であり、25℃で1%濃度の溶液のpHが10.4である。
【0167】
NaHPOおよびKHPOの縮合によって、それぞれ、高分子量のリン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムが生成する。環状代表物の中で、それぞれメタリン酸ナトリウムおよびメタリン酸カリウム、ならびに鎖形成型、それぞれポリリン酸ナトリウムおよびポリリン酸カリウムは、区別することができる。特に後者については、多様な名称が用いられている(即ち、メルトリン酸塩またはサーマルリン酸塩、グラハムの塩、クロールの塩、およびマドレールの塩)。全ての高級リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムは、縮合リン酸塩と総称される。
【0168】
工業的に重要な三リン酸五ナトリウムNa10(トリポリリン酸ナトリウム)は、非吸湿性の白色の水溶性塩であり、これは、無水物または6HOを有する結晶であり、一般式:NaO-[P(O)(ONa)-O]-Na(ここでn=3)の塩である。100gの水中で、約17gの塩(結晶水を含まない)が室温で溶解し、60℃で約20gが溶解し、100℃で約32gが溶解する。この溶液を100℃で2時間加熱すると、約8%のオルトリン酸塩および15%の二リン酸型(加水分解による)が生成する。三リン酸五ナトリウムの調製において、リン酸を、化学量論的比でソーダ溶液または水酸化ナトリウム溶液と反応させ、この溶液を噴霧によって脱水する。グラハムの塩および二リン酸ナトリウムと同様に、三リン酸五ナトリウムは、多くの不溶性の金属化合物(石灰石鹸などを含む)を溶解する。三リン酸五カリウムK10(トリポリリン酸カリウム)は、例えば、50重量%濃度溶液(>23%P、25%KO)の形態で市販されている。ポリリン酸カリウムは、洗浄剤および清浄剤の産業において広範に用いられている。さらに、本発明の範囲内で同様に使用しうるトリポリリン酸ナトリウムカリウムも存在する。これらは、例えば、トリメタリン酸ナトリウムをKOHで加水分解するときに、以下のように生成する:
【化3】
Figure 2004534528
【0169】
本発明によれば、これらを正確に、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、またはこれら2つの混合物として用いることができる。また、トリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物、またはトリポリリン酸カリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物、またはトリポリリン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸カリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物を、本発明に従って用いることもできる。
【0170】
本発明の洗浄剤および清浄剤において使用しうる有機補助ビルダーは、特に、ポリカルボキシレート、またはポリカルボン酸、ポリマー性ポリカルボキシレート、ポリアスパラギン酸、ポリアセタール、所望により酸化されたデキストリン、さらなる有機補助ビルダー(以下を参照)、およびホスホン酸塩である。これらの群の物質を以下に説明する。
【0171】
使用しうる有機ビルダー物質は、例えば、ナトリウム塩の形態で使用しうるポリカルボン酸である。このポリカルボン酸という用語は、1を越える酸官能基を保持するカルボン酸を意味する。これらの例は、その使用が環境上の理由によって回避されない限り、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、糖酸、アミノカルボン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、およびこれらの混合物である。好ましい塩は、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、糖酸、およびこれらの混合物のようなポリカルボン酸の塩である。
【0172】
酸自体を使用することも可能である。そのビルダー作用に加えて、酸は、通常は酸性化成分の特性をも有し、これによって、残りの成分の混合物に起因するpHが望ましくない限り、洗浄剤または清浄剤の低いpHおよび中程度のpHを確立することを助ける。環境的に安全な酸を、ここで具体的に挙げると、例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、グルコン酸、およびこれらの任意の混合物である。しかし、無機酸、特に硫酸、または塩基、特にアンモニウム、またはアルカリ金属の水酸化物も、pH調整剤として働くことができる。本発明の製剤は、このような調節剤を、好ましくは20wt%以下、特に1.2wt%〜17wt%の量で含有する。
【0173】
また、適当なビルダーはポリマー性ポリカルボキシレートである。これらは、例えば、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のアルカリ金属塩であり、例えば、500〜70000g/モルの相対分子量を有するものである。
【0174】
本明細書の目的のために、ポリマー性ポリカルボキシレートに対して与えられた分子量は、原則的に、UV検出器を用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された、それぞれの酸型の重量平均分子量Mwである。測定は、外部のポリアクリル酸標準物(調べたポリマーに対する構造的類似性のゆえに、現実的な分子量の値を与える)に対して行った。これらの数値は、標準としてポリスチレンスルホン酸を用いて得られた分子量とはかなり異なる。ポリスチレンスルホン酸に対して測定された分子量は、本明細書に示した分子量よりも、通常はかなり高い。
【0175】
適当なポリマーは、特にポリアクリレートであり、これは、好ましくは2000〜20000g/モルの分子量を有する。優れた溶解性に起因して、この群において好ましいのは、短鎖ポリアクリレートであり、これは、2000〜10000g/モル、特に好ましくは3000〜5000g/モルの分子量を有している。
【0176】
また、コポリマー性のポリカルボキシレート、特に、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、およびアクリル酸またはメタクリル酸とマレイン酸とのコポリマーが適当である。特に適当であることがわかったコポリマーは、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーであって、50〜90wt%のアクリル酸および50〜10wt%のマレイン酸を含むコポリマーである。これらの相対分子量は、遊離酸に基づいて、一般に2000〜70000g/モル、好ましくは20000〜50000g/モル、特に30000〜40000g/モルである。(コ)ポリマー性ポリカルボキシレートは、粉末としてまたは水溶液として用いることができる。(コ)ポリマー性ポリカルボキシレートは、製剤含量の0.5〜20wt%、特に1〜10wt%であってよい。
【0177】
水中での溶解性を改善するため、このポリマーは、モノマーとしてアリルスルホン酸、例えばアリルオキシベンゼンスルホン酸およびメタアリルスルホン酸などを含有することもできる。
【0178】
2を越える異なるモノマー単位の生分解性ポリマー、例えば、モノマーとしてアクリル酸の塩およびマレイン酸の塩ならびにビニルアルコールもしくはビニルアルコール誘導体を含むポリマー、あるいは、モノマーとしてアクリル酸の塩および2-アルキルアリルスルホン酸の塩および糖誘導体を含むポリマーが特に好ましい。
【0179】
さらなる好ましいコポリマーは、好ましくは、モノマーとしてアクロレインおよびアクリル酸/アクリル酸塩またはアクロレインおよび酢酸ビニルを有するコポリマーである。
【0180】
また、挙げることができるさらなる好ましいビルダー物質は、ポリマー性アミノジカルボン酸、それらの塩、またはそれらの前駆体物質である。ポリアスパラギン酸またはその塩および誘導体が特に好ましい。
【0181】
さらなる適当なビルダー物質は、ポリアセタールであり、これは、ジアルデヒドとポリカルボン酸(5〜7個の炭素原子および少なくとも3個のヒドロキシル基を有する)との反応によって得ることができる。好ましいポリアセタールは、ジアルデヒド(例えば、グリオキサール、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、およびそれらの混合物)から、およびポリオールカルボン酸(例えば、グルコン酸、および/またはグルコヘプトン酸)から得られる。
【0182】
さらなる適当な有機ビルダー物質は、デキストリン、例えば、デンプンの部分的加水分解によって得られる炭水化物のオリゴマーまたはポリマーである。この加水分解は、通常のプロセス、例えば、酸-触媒プロセスまたは酵素-触媒プロセスによって行うことができる。この加水分解生成物は、好ましくは、400〜500000g/モルの範囲の平均分子量を有する。この場合、0.5〜40、特に2〜30の範囲内のデキストロース当量(DE)を有するポリサッカリドが好ましい。ここでDEとは、100のDEを有するデキストロースと比較したときの、ポリサッカリドの還元作用の通常の指標である。3〜20のDEを有するマルトデキストリンおよび20〜37のDEを有する乾燥グルコースシロップ、ならびに、2000〜30000g/モルの範囲内の高い分子量を有する「黄色デキストリン」および「白色デキストリン」を用いることできる。
【0183】
このようなデキストリンの酸化された誘導体は、サッカリド環の少なくとも1つのアルコール官能基をカルボン酸官能基に酸化しうる酸化剤とデキストリンとの反応生成物である。本発明の製剤に特に好ましい有機ビルダーは、それぞれ、EP472042、WO97/25399、およびEP755944の酸化されたデンプンおよびそれらの誘導体である。
【0184】
オキシジスクシネートおよびジスクシネートの他の誘導体、好ましくはエチレンジアミンジスクシネートも、さらなる適当な補助ビルダーである。ここで、エチレンジアミンN,N'-ジスクシネート(EDDS)は、好ましくは、そのナトリウム塩またはマグネシウム塩の形態で用いられる。これに関連して、グリセロールジスクシネートおよびグリセロールトリスクシネートがさらに好ましい。ゼオライト含有、炭酸塩含有、および/またはケイ酸塩含有の配合物における適当な使用量は、3〜15wt%である。
【0185】
使用しうるさらなる有機補助ビルダーは、例えば、アセチル化ヒドロキシカルボン酸またはその塩であり、これらは、適切であればラクトン形態で存在していてもよく、また、少なくとも4個の炭素原子および少なくとも1つの水酸基および多くとも2つの酸基を含んでいる。
【0186】
補助ビルダーの特性を有する物質の別の群は、ホスホン酸塩である。これらは、特に、ホスホン酸ヒドロキシアルカンおよびホスホン酸アミノアルカンである。ホスホン酸ヒドロキシアルカンの中で、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホネート(HEDP)は、補助ビルダーとして特に重要である。これは、好ましくはナトリウム塩、二ナトリウム塩(中性である)、および四ナトリウム塩(アルカリ性である)(pH9)として用いられる。適当なホスホン酸アミノアルカンは、好ましくは、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)、およびこれらの高級同族体である。これらは、好ましくは、中性のナトリウム塩の形態で、例えば、EDTMPの6ナトリウム塩として、またはDTPMPの7ナトリウム塩および8ナトリウム塩として用いられる。ここで、ホスホン酸塩の群からのビルダーとして、HEDPを用いるのが好ましい。さらに、ホスホン酸アミノアルカンは、顕著な重金属結合能力を有する。従って、特に製剤が漂白剤をも含む場合には、ホスホン酸アミノアルカン、特にDTPMPまたはこのホスホン酸塩の混合物を使用するのが好ましいこともある。
【0187】
さらに、アルカリ土類金属イオンと錯体を形成しうる全ての化合物を、補助ビルダーとして用いることができる。
【0188】
本発明の製剤は、ビルダー物質を、適切であれば、90wt%までの量で含有していてよく、好ましくは75wt%までの量で含有する。本発明の洗浄剤は、特に、5wt%〜50wt%のビルダー含量を有する。硬表面を清浄化するため、特に、食器洗浄器のための本発明の製剤において、ビルダー物質の含量は、特に5wt%〜88wt%であり、好ましくは、この製剤においては水不溶性のビルダー材料を用いない。特に、食器洗浄器のための本発明の製剤の好ましい態様は、20wt%〜40wt%の水溶性有機ビルダー、特にアルカリ金属クエン酸塩、5wt%〜15wt%のアルカリ金属炭酸塩、および20wt%〜40wt%のアルカリ金属二ケイ酸塩を含有する。
【0189】
洗浄剤および清浄剤の液体〜ゼラチン様の組成物において使用しうる溶媒は、例えば、一価もしくは多価アルコール、アルカノールアミンまたはグリコールエーテルの群からのものである(これらが、所定の濃度範囲内で水と混和性であるとき)。好ましくは、これら溶媒は、エタノール、n-またはi-プロパノール、ブタノール、エチレングリコールメチルエステル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチル、エチルまたはプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、ジイソプロピレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、メトキシ、エトキシ、またはブトキシトリグリコール、1-ブトキシエトキシ-2-プロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、プロピレングリコールt-ブチルエーテル、およびこれら溶媒の混合物から選択される。
【0190】
溶媒は、本発明の液体〜ゼラチン様の洗浄剤および清浄剤において、0.1〜20wt%、好ましくは15wt%以下、特に10wt%以下の量で用いることができる。
【0191】
粘度を調節するために、1またはそれ以上の増粘剤または増粘剤系を、本発明の組成物に添加することができる。これらの高分子量物質(膨潤剤とも呼ばれる)は、通常、液体を吸収し、その過程で膨潤し、最終的には粘稠な真のまたはコロイド性の溶液に転換する。
【0192】
適当な増粘剤は、無機またはポリマー性の有機化合物である。無機の増粘剤には、例えば、ポリケイ酸、粘土鉱物(例えば、モンモリロナイト、ゼオライト、シリカ、およびベントナイト)が含まれる。有機の増粘剤は、天然ポリマー、改変された天然ポリマー、および全合成ポリマーの群からのものである。このような天然ポリマーは、例えば、寒天、カラゲーン、トラガカント、アラビアゴム、アルギン酸塩、ペクチン、ポリオース、グアール粉末、イナゴマメ種子粉末、デンプン、デキストリン、ゼラチン、およびカゼインである。増粘剤として用いられる改変された天然物質は、主に、改変されたデンプンおよびセルロースの群からのものである。ここで挙げることができる例は、カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース、ならびにイナゴマメ粉末エーテルである。全合成の増粘剤は、ポリマー、例えば、ポリアクリル化合物およびポリメタクリル化合物、ビニルポリマー、ポリカルボン酸、ポリエーテル、ポリイミン、ポリアミド、ならびにポリウレタンである。
【0193】
増粘剤は、最終の組成物に対して、5wt%まで、好ましくは0.05〜2wt%、特に好ましくは0.1〜1.5wt%の量で存在することができる。
【0194】
本発明の洗浄剤および清浄剤は、適切であれば、さらなる通常の成分として、金属イオン封鎖剤、電解質、およびさらなる助剤(例えば、蛍光増白剤、灰化抑制剤、銀腐食抑制剤、色移り抑制剤、発泡抑制剤、研磨剤、色素、および/または芳香剤、および微生物作用物質および/またはUV吸収剤)を含有することができる。
【0195】
本発明の織物洗浄剤は、蛍光増白剤として、ジアミノスチルベンジスルホン酸の誘導体またはそのアルカリ金属塩を含んでいてもよい。適するのは、例えば、4,4'-ビス(2-アニリノ-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-6-アミノ)スチルベン-2,2'-ジスルホン酸または同様に構築された化合物(モルホリノ基の代わりに、ジエタノールアミノ基、メチルアミノ基、アニリノ基、または2-メトキシエチルアミノ基を保持する)である。さらに、置換されたジフェニルスチリル型の増白剤、例えば、4,4'-ビス(2-スルホスチリル)ジフェニル、4,4'-ビス(4-クロロ-3-スルホスチリル)ジフェニル、または4-(4-クロロスチリル)-4'-(2-スルホスチリル)ジフェニルのアルカリ金属塩が存在することもできる。上記の蛍光増白剤の混合物を使用することもできる。
【0196】
灰化抑制剤は、織物繊維から剥落した汚れを、液中に懸濁したまま維持する機能を有する。この目的に適するのは、通常は有機性の水溶性コロイド、例えばデンプン、にかわ、ゼラチン、デンプンもしくはセルロースのエーテルカルボン酸またはエーテルスルホン酸の塩、あるいは、セルロースもしくはデンプンの酸性硫酸エステルの塩である。酸性の基を含む水溶性ポリアミドもこの目的に適する。さらに、上記したもの以外のデンプン誘導体、例えば、アルデヒドデンプンを用いることもできる。セルロースエーテル、例えば、カルボキシメチルセルロース(Na塩)、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、および混合エーテル、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、およびこれらの混合物が好ましい。これらは、例えば、製剤に基づいて、0.1〜5wt%の量にある。
【0197】
銀腐食から保護するために、銀腐食抑制剤を、本発明の食器清浄剤において用いることができる。このような抑制剤は、先行技術において公知である[例えば、ベンゾトリアゾール、塩化鉄(III)、またはCoSO]。例えば、欧州特許EP0736084B1に開示されているように、酵素と一緒に用いるのに特に適する銀腐食抑制剤は、マンガン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、コバルトまたはセリウムの塩、および/または、これらの特定した金属が、酸化段階II、III、IV、VまたはVIのいずれかで存在する錯体である。このような化合物の例は、MnSO、V、V、VO、TiOSO、KTiF、KZrF、Co(NO)、Co(NO)、およびこれらの混合物である。
【0198】
汚れ遊離作用成分または汚れ忌避剤は、通常はポリマーであり、これは、洗浄剤において使用したときに、洗濯物の繊維に対して汚れ忌避特性を付与し、そして/または他の洗浄成分が汚れを剥落する能力を助ける。また、硬表面用の清浄剤においてこれらを使用したときに、同等の効果を観察することができる。
【0199】
特に効果的であり、かつ以前から公知である汚れ遊離作用成分は、ジカルボン酸、アルキレングリコールおよびポリアルキレングリコール単位を有するコポリエステルである。これらの例は、ポリエチレンテレフタレートおよびポリオキシエチレングリコールのコポリマーまたは混合ポリマーである(それぞれ、DT1617141およびDT2200911)。独国特許出願公開DT2253063は、特に、二塩基性カルボン酸とアルキレンまたはシクロアルキレンポリグリコールのコポリマーを含有する酸性の製剤を開示する。独国特許出願DE2857292およびDE3324258ならびに欧州特許EP0253567は、エチレンテレフタレートおよびポリエチレンオキシドテレフタレートのポリマー、ならびに、洗浄剤におけるそれらの使用を記載する。欧州特許EP066944は、特定のモル比で、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、芳香族ジカルボン酸、およびスルホン化芳香族ジカルボン酸のコポリエステルを含有する製剤に関する。欧州特許EP0185427は、メチル基またはエチル基で末端基キャップしたポリエステルであって、エチレンおよび/またはプロピレンテレフタレートおよびポリエチレンオキシドテレフタレート単位を有するポリエステル、ならびに、このような汚れ遊離ポリマーを含有する洗浄剤を開示する。欧州特許EP0241984は、オキシエチレン基およびテレフタル酸単位に加えて、置換されたエチレン単位およびグリセロール単位を含むポリエステルを開示する。欧州特許EP0241985は、オキシエチレン基およびテレフタル酸単位に加えて、1,2-プロピレン、1,2-ブチレンおよび/または3-メトキシ-1,2-プロピレン基ならびにグリセロール単位を含み、かつC〜C-アルキル基で末端基キャップされたポリエステルを開示する。欧州特許出願EP0272033は、ポリプロピレンテレフタレートおよびポリエチエンテレフタレート単位を有するポリエステルであって、C - アルキルまたはアシル基によって少なくとも部分的に末端基キャップされたポリエステルを開示する。欧州特許EP0274907は、スルホエチルで末端基キャップされたテレフタレート含有の汚れ遊離ポリエステルを記載する。欧州特許出願EP0357280によれば、不飽和末端基のスルホン化によって、テレフタレート、アルキレングリコールおよびポリ-C - -グリコール単位を有する汚れ遊離ポリエステルが得られる。国際特許出願WO95/32232は、汚れを剥落しうる酸性の芳香族ポリエステルに関する。国際特許出願WO97/31085は、綿からなる材料のための非ポリマー性の汚れ忌避活性成分であって、複数の機能性単位を有するものを開示する(第1の単位は、陽イオン性であってよく、例えば、静電的な相互作用によって綿の表面に吸着させることができ、そして第2の単位は、疎水性であり、水/綿の界面に残存する活性成分の原因となるものである)。
【0200】
本発明の洗濯洗浄剤における使用のために適する色移り抑制剤には、特に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリマー性Nオキシド、例えば、ポリ(ビニルピロリジンN-オキシド)、およびビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマーが含まれる。
【0201】
機械清浄化プロセスにおける使用のためには、製剤に発泡抑制剤を添加するのが有利であろう。適当な発泡抑制剤の例は、高い割合のC18-C24脂肪酸を有する天然または合成起源の石鹸である。適当な非界面活性物質型の発泡抑制剤の例は、有機ポリシロキサンおよびこれと微細な所望によりシラン処理されたシリカとの混合物、ならびに、パラフィン、ワックス、微結晶性ワックスおよびこれらとシラン処理されたシリカまたはビス-ステアリル-エチレンジアミドとの混合物である。異なる発泡抑制剤の混合物、例えば、シリコーン、パラフィンまたはワックスの混合物を使用するのが有利である。これらの発泡抑制剤、特に、シリコーンおよび/またはパラフィンを含有する発泡抑制剤を、好ましくは、顆粒性、水溶性または分散性の支持物質に結合させる。ここで、パラフィンおよびビス-ステアリルエチレンジアミドの混合物が特に好ましい。
【0202】
硬表面のための本発明の清浄剤は、さらに、研磨作用を有する成分(特に、石英粉末、木材粉末、ポリマー粉末、チョークおよびガラスミクロビーズならびにこれらの混合物からなる群からのもの)を含有する。研磨剤は、本発明の清浄剤中に、好ましくは20wt%以下、特に、5wt%〜15wt%で存在する。
【0203】
製品の審美的な外観を改善し、洗浄性能および清浄化性能に加えて、視覚的かつ感覚的に「典型的かつ錯誤のない」製品を消費者に提供するために、色素および芳香剤を、洗浄剤および清浄剤に添加する。芳香油および/または芳香剤として、個々の臭気化合物、例えば、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコールおよび炭化水素型の合成生成物を使用することができる。エステル型の臭気化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルボニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジルである。エーテルには、例えば、ベンジルエチルエーテルが含まれ;アルデヒドには、例えば、8〜18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール、およびボージュナールが含まれ;ケトンには、例えば、イオノン、α-イソメチルイオノン、およびメチルセドリルケトンが含まれ;アルコールには、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、およびテルピネオールが含まれ;炭化水素には、主にテルペン(例えば、リモネンおよびピネン)が含まれる。しかし、好ましいのは、一緒になって魅力的な香気を生じる種々の臭気剤の混合物の使用である。このような芳香油は、植物供給源から得られる天然の臭気剤混合物、例えば、松根油、柑橘油、ジャスミン油、パチョリ油、バラ油またはイランイラン油を含んでいてもよい。同様に、適切なのは、マスカテル、セージ油、カモミール油、チョウジ油、バルサム油、ミント油、シナモン葉油、ライム花油、ネズ実油、ベチベル油、オリバナム油、ガルバヌム油およびラブダナム油、さらに、オレンジ花油、ネロリ油、オレンジ果皮油およびビャクダン油である。洗浄剤および清浄剤の色素含量は、配合物全体の通常は0.01wt%未満であり、芳香剤は配合物全体の2wt%までであってよい。
【0204】
芳香剤は、洗浄剤および清浄剤中に直接導入してもよい。しかし、清浄化すべき材料への芳香剤の吸着を増強する担体に芳香剤を適用し、より遅い芳香剤の放出によって、特に処理された織物の長く持続する芳香を確実にすることも有利であろう。このような担体として確立された材料は、例えばシクロデキストリンであり、さらに、シクロデキストリン-芳香剤の複合体を、さらなる補助剤でさらに被覆することもできる。芳香剤のための別の好ましい担体は、界面活性物質の代わりにまたは界面活性物質と混合して、芳香剤を吸収することができる上記のゼオライトXである。即ち、上記のゼオライトXおよび芳香剤(これは、好ましくは、少なくとも部分的にゼオライト上に吸着されている)を含む洗浄剤および清浄剤が好ましい。
【0205】
好ましい色素(その選択は、当業者にとって何の困難もない)は、高い貯蔵安定性および製剤の他の成分および光に対する非感受性を有しており、また、織物繊維を染色することがないように顕著な親和性を有さない。
【0206】
微生物を制御するため、洗浄剤および清浄剤は、抗微生物活性成分を含有することができる。ここで、抗微生物スペクトルおよび作用機序に依存して、静菌剤と殺菌剤、静真菌剤と殺真菌剤の間などで区別が為される。これらの群の重要な物質の例は、塩化ベンズアルコニウム、スルホン酸アルキルアリール、ハロゲンフェノール、および酢酸フェノール水銀である。抗微生物作用および抗微生物活性成分という用語は、本発明の教示の範囲内では、当分野で普通の意味を有し、これは、例えば、K.H.Wallhaeusserの「Praxis der Sterilisation, Desinfektion-Konservierung: Keimidentifizierung-Betriebshygiene」(第5版, -Stuttgart; New York: Thieme, 1995)に記載されており、そこに記載された抗微生物作用を有する全ての物質を使用することができる。適当な抗微生物活性成分は、好ましくは、以下の群から選択される。即ち、アルコール、アミン、アルデヒド、抗微生物性の酸またはそれらの塩、カルボン酸エステル、酸アミド、フェノール、フェノール誘導体、ジフェニル、ジフェニルアルカン、尿素誘導体、酸素アセタール、窒素アセタール、ならびに、酸素および窒素のホルマール、ベンズアミジン、イソチオアゾリン、フタルイミド誘導体、ピリジン誘導体、抗微生物性の界面活性化合物、グアニジン、抗微生物性の両性化合物、キノリン、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン、ヨード-2-プロピルブチルカルバメート、ヨウ素、ヨードフォア、ペルオキソ化合物、ハロゲン化合物、ならびに上記の任意の混合物から選択される。
【0207】
抗微生物活性成分は、以下から選択することができる。即ち、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、1,3-ブタンジオール、フェノキシエタノール、1,2-プロピレングリコール、グリセロール、ウンデシレン酸、安息香酸、サリチル酸、ジヒドロ酢酸、o-フェニルフェノール、N-メチルモルホリノアセトニトリル(MMA)、2-ベンジル-4-クロロフェノール、2,2'-メチレンビス(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、4,4'-ジクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(ジクロサン)、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、クロロヘキシジン、N-(4-クロロフェニル)-N-(3,4-ジクロロフェニル)尿素、N,N'-(1,10-デカンジイルジ-1-ピリジニル-4-イリデン)-ビス(1-オクタンアミン)ジヒドロクロリド、N,N'-ビス(4-クロロフェニル)-3,12-ジイミノ-2,4,11,13-テトラアザテトラデカンジイミドアミド、グルコプロタミン、抗微生物性の界面活性四級化合物、グアニジン(ビグアニジンおよびポリグアニジンを含む)、例えば、1,6-ビス(2-エチルヘキシルビグアニドヘキサン)ジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-フェニル-N,N-メチルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-o-クロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-2,6-ジクロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-[N,N'-β-(p-メトキシフェニル)ジグアニド-N,N']ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-α-メチル-β-フェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-p-ニトロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、ω:ω-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')-ジ-n-プロピルエーテルジヒドロクロリド、ω:ω'-ジ-(N,N'-p-クロロフェニルジグアニド-N,N')-ジ-n-プロピルエーテルテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-2,4-ジクロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-p-メチルフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-2,4,5-トリクロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-[N,N'-α-(p-クロロフェニル)エチルジグアニド-N,N']-ヘキサンジヒドロクロリド、ω:ω-ジ-(N,N'-p-クロロフェニルジグアニド-N,N')m-キシレンジヒドロクロリド、1,12-ジ-(N,N'-p-クロロフェニルジグアニド-N,N')ドデカンジヒドロクロリド、1,10-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')デカンテトラヒドロクロリド、1,12-ジ-(N,N'-フェニルジグアニド-N,N')ドデカンテトラヒドロクロリド、1,6-ジ-(N,N'-o-クロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンジヒドロクロリド、1,6-ジ-[N,N'-o-クロロフェニルジグアニド-N,N')ヘキサンテトラヒドロクロリド、エチレン-ビス(1-トリルビグアニド)、エチレン-ビス(p-トリルビグアニド)、エチレン-ビス(3,5-ジメチルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(p-tert-アミルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(ノニルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(フェニルビグアニド)、エチレン-ビス(N-ブチルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(2,5-ジエトキシフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(2,4-ジメチルフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(o-ジフェニルビグアニド)、エチレン-ビス(混合アミルナフチルビグアニド)、N-ブチルエチレン-ビス(フェニル-ビグアニド)、トリメチレンビス(o-トリルビグアニド)、N-ブチル-トリメチル-ビス(フェニルビグアニド)、ならびに、対応する塩、例えば、酢酸塩、グルコン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、クエン酸塩、亜硫酸水素塩、フッ化物、ポリマレイン酸塩、N-ココアルキルサルコシン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、パーフルオロオクタン酸塩、ケイ酸塩、ソルビン酸塩、サリチル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩、イミノ二酢酸塩、桂皮酸塩、チオシアン酸塩、アルギン酸塩、ピロメリト酸塩、テトラカルボキシ酪酸塩、安息香酸塩、グルタル酸塩、モノフルオロリン酸、パーフルオロプロピオン酸塩、ならびに、これらの任意の混合物から選択することができる。また、適するのは、ハロゲン化キシレンおよびクレゾール誘導体(例えば、p-クロロメタクレゾールまたはp-クロロメタキシレン)、ならびに植物起源(例えば、スパイスまたはハーブ由来)、動物起源および微生物起源の天然の抗微生物活性成分である。好ましくは、抗微生物性の界面活性四級化合物、植物起源の天然の抗微生物活性成分および/または動物起源の天然の抗微生物活性成分、最も好ましくは、カフェイン、テオブロミンおよびテオフィリンを含む群からの植物起源の少なくとも1つの天然の抗微生物活性成分、ならびに、精油(例えば、オイゲノール、チモールおよびゲラニオール)、および/または、酵素(例えば、乳タンパク質、リゾチームおよびラクトペルオキシダーゼ)を含む群からの動物起源の少なくとも1つの天然の抗微生物活性成分、および/または、少なくとも1つの抗微生物性の界面活性四級化合物(アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ヨードニウムまたはアルソニウム基を有する)、ペルオキソ化合物、ならびに塩素化合物を使用することができる。微生物起源の物質「バクテリオシン」を使用することもできる。
【0208】
抗微生物活性成分として適する四級アンモニウム化合物(QAC)は、一般式:(R)(R)(R)(R)Nを有する[ここで、R〜Rは、同一または異なって、C-C22-アルキル基、C-C28-アラルキル基または複素環式基であり、ここで、2つの基またはピリジンのように芳香族導入されている場合には3つの基は、窒素原子と一緒になって、複素環、例えばピリジニウムまたはイミダゾリニウム化合物を形成し、そしてXは、ハロゲンイオン、硫酸イオン、水酸化物イオンまたは同様の陰イオンである]。最適の抗微生物作用のためには、これらの基の少なくとも1つは、好ましくは8〜18個、特に12〜16個の炭素原子の鎖長を有する。
【0209】
QACは、三級アミンとアルキル化剤(例えば、塩化メチル、塩化ベンジル、硫酸ジメチル、臭化ドデシル、それ以外ではエチレンオキシド)との反応によって調製することができる。1つの長いアルキル基および2つのメチル基を有する三級アミンのアルキル化は特に容易に進行し、2つの長い基および1つのメチル基を有する三級アミンの四級化も、温和な条件下で塩化メチルの補助によって行うことができる。3つの長いアルキル基またはヒドロキシ置換アルキル基を有するアミンは、反応性が低く、硫酸ジメチルを用いて四級化するのが好ましい。
【0210】
適当なQACの例は、塩化ベンズアルコニウム(N-アルキル-N,N-ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、CAS番号8001-54-5)、ベンズアルコンB(m,p-ジクロロベンジルジメチル-C12-アルキルアンモニウムクロリド、CAS番号58390-78-6)、塩化ベンズオキソニウム(ベンジルドデシル-ビス(2-ヒドロキシ-エチル)アンモニウムクロリド)、臭化セトリモニウム(N-ヘキサデシル-N,N-トリメチルアンモニウムブロミド、CAS番号57-09-0)、塩化ベンズエトニウム(N,N-ジメチル-N-[2-[2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシ]エトキシ]エチル]-ベンジルアンモニウムクロリド、CAS番号121-54-0)、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、例えば、ジ-n-デシルジメチルアンモニウムクロリド(CAS番号7173-51-5-5)、臭化ジデシルジメチルアンモニウム(CAS番号2390-68-3)、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、1-セチルピリジニウムクロリド(CAS番号123-03-5)、およびヨウ化チアゾリン(CAS番号15764-48-1)、ならびにこれらの混合物である。特に好ましいQACは、C-C18-アルキル基を有する塩化ベンズアルコニウム、特に、C12-C14-アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリドである。
【0211】
ハロゲン化ベンズアルコニウムおよび/または置換ハロゲン化ベンズアルコニウムは、例えば、Barquat(登録商標)(Lonzaより)、Marquat(登録商標)(Masonより)、Variquat(登録商標)(Witco/Sherexより)、およびHyamine(登録商標)(Lonzaより)、およびBardac(登録商標)(Lonzaより)として市販されている。さらなる市販の抗微生物活性成分は、N-(3-クロロアリル)ヘキサミニウムクロリド、例えばDowicide(登録商標)およびDowicil(登録商標)(Dowより)、塩化ベンズエトニウム、例えばHyamine(登録商標)1622(Rohm & Haasより)、塩化メチレンベンズエトニウム、例えばHyamine(登録商標)10X(Rohm & Haasより)、塩化セチルピリジニウム、例えば塩化セパコール(Merrell Labsより)である。
【0212】
抗微生物活性成分は、0.0001wt%〜1wt%、好ましくは0.001wt%〜0.8wt%、特に好ましくは0.005wt%〜0.3wt%、そして特に0.01wt%〜0.2wt%の量で用いられる。
【0213】
本製剤は、処理された織物に付着し、この繊維の光安定性および/または他の配合物成分の光安定性を改善するUV吸収剤を含有することができる。UV吸収剤とは、紫外線放射を吸収し、吸収したエネルギーを再び長波長放射の形態(例えば、熱)として放射しうる有機物質(光保護フィルター)を意味する。
【0214】
これらの所望の特性を有する化合物は、例えば、無放射の不活性化により活性である化合物、ならびに、2位および/または4位に置換基を有するベンゾフェノンの誘導体である。さらに、また、置換されたベンゾトリアゾール、3位でフェニル置換されたアクリレート(2位にシアノ基を有するかまたは有さない桂皮酸誘導体)、サリチル酸塩、有機Ni錯体、および天然物質(例えば、ウンベリフェロンおよび内因性のウロカニン酸)も適している。特に重要な物質は、ビフェニルおよび特にスチルベン誘導体[例えば、EP0728749Aに記載され、CibaよりTinsorb(登録商標)FDまたはTinosorb(登録商標)FRとして市販されている]である。挙げることができるUV-B吸収剤は、以下のものである:3-ベンジリデンカンファーまたは3-ベンジリデンノルカンファーおよびこれらの誘導体、例えば3-(4-メチルベンジリデン)カンファー(EP0693471B1に記載);4-アミノ安息香酸誘導体、好ましくは、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-エチルヘキシル、4-(ジメチルアミノ)安息香酸2-オクチルおよび4-(ジメチルアミノ)安息香酸アミル;桂皮酸のエステル、好ましくは4-メトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、4-メトキシ桂皮酸プロピル、4-メトキシ桂皮酸イソアミル、2-シアノ-3,3-フェニル桂皮酸2-エチルヘキシル(オクトクリレン);サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2-エチルヘキシル、サリチル酸4-イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチル;ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは4-メトキシベンズマロン酸ジ-2-エチルヘキシル;トリアジン誘導体、例えばEP0818450A1に記載される2,4,6-トリアニリノ-(p-カルボ-2'-エチル-1'-ヘキシルオキシ)-1,3,5-トリアジンおよびオクチルトリアゾン、またはジオクチルブタアミドトリアゾン[Uvasorb(登録商標)HEB];プロパン-1,3-ジオン、例えば、1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン;ケトトリシクロ(5.2.1.0)デカン誘導体(EP0694521B1に記載)。さらに適するのは、以下のものである:2-フェニルベンズイミダゾール-5-スルホン酸およびそのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカノールアンモニウムおよびグルクアンモニウムの塩;ベンゾフェノンのスルホン酸誘導体、好ましくは、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸およびその塩;3-ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4-(2-オキソ-3-ボルニリデンメチル)ベンゼンスルホン酸および2-メチル-5-(2-オキソ-3-ボルニリデン)スルホン酸ならびにこれらの塩。
【0215】
適当な代表的UV-Aフィルターは、特にベンゾイルメタンの誘導体、例えばDE19712033A1(BASF)に記載されているような1-(4'-tert-ブチルフェニル)-3-(4'-メトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオン、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(Parsol 1789)、1-フェニル-3-(4'-イソプロピルフェニル)プロパン-1,3-ジオン、およびエナミン化合物である。また、UV-AおよびUV-Bフィルターは、当然ながら混合物で用いることもできる。このような可溶性物質に加えて、不溶性の光保護顔料、即ち、微細に分散された好ましくはナノ化された金属の酸化物または塩も、この目的に適する。適当な金属酸化物の例は、特に酸化亜鉛および二酸化チタンであり、さらに、鉄、ジルコニウム、ケイ素、マンガン、アルミニウムおよびセリウムの酸化物ならびにこれらの混合物である。使用しうる塩は、ケイ酸塩(タルク)、硫酸バリウムまたはステアリン酸亜鉛である。酸化物および塩は、皮膚ケアおよび皮膚保護エマルジョンおよび美容化粧品の形態で既に用いられている。ここで、粒子は、100nm未満、好ましくは5〜50nm、特に15〜30nmの平均直径を有すべきである。これらは、球の形状を有することができるが、楕円形状または球形態からいくらか逸脱した形状を有する粒子を使用することもできる。また、顔料を表面処理することもできる(即ち、親水性または疎水性にすることができる)。代表的な例は、被覆された二酸化チタン[例えば、二酸化チタンT805(Degussa)またはEusolex(登録商標)T2000(Merck)など]である。ここで、適当な疎水性の被覆剤は、好ましくはシリコーンであり、特に好ましくはトリアルコキシオクチルシランまたはシメチコーンである。ミクロ化した酸化亜鉛を用いるのが好ましい。さらに適するUV光保護フィルターは、P.Finkelによる概説[SOEFW-Journal 122 (1996), 543頁]に見い出すことができる。
【0216】
UV吸収剤は、通常は0.01wt%〜5wt%、好ましくは0.03wt%〜1wt%の量で用いられる。
【0217】
また、洗浄剤および清浄剤に有用な成分は、通常、それぞれ洗浄剤活性酵素および清浄剤活性酵素をも含有する。同時に、本発明のタンパク質に加えて、さらなる酵素によってさらに特徴付けられる洗浄剤または清浄剤は、本発明の好ましい態様である。これらの例には、他のプロテアーゼだけでなく、オキシドレダクターゼ(酸化還元酵素)、クチナーゼ、エステラーゼおよび/またはヘミセルラーゼ、ならびに特に好ましくは、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼおよび/またはβ-グルカナーゼが含まれる。
【0218】
プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼまたはセルラーゼなどの酵素が、洗浄剤および清浄剤の活性成分として数十年にわたって用いられている。このような製剤のそれぞれ洗浄性能および清浄化性能に対するそれらの具体的な寄与は、プロテアーゼの場合はタンパク質性の汚れを分解する能力であり、アミラーゼの場合はデンプン含有汚れの破壊であり、そしてリパーゼの場合は脂肪切断活性である。セルラーゼは、それらの汚れ除去(即ち、一次洗浄および清浄化性能)に加えて、特に、洗浄剤の二次洗浄性能に対する寄与のゆえに、そして織物上でのそれらの繊維作用のゆえに、洗浄剤において好ましく用いられる。特定の加水分解性生成物は、他の洗浄剤または清浄剤の成分によって、攻撃、溶解、乳化または懸濁されるか、あるいは、それらの大きい溶解性のゆえに、洗浄液により洗い流され、これによって、酵素と他の成分との間の相乗作用を生じる。
【0219】
プロテアーゼは、天然の繊維に対して、特に羊毛または絹に対して、効果を発揮しうるが、この効果は、製剤の二次洗浄性能に対するセルラーゼによる寄与と同等である。このような織布の表面構造に対するプロテアーゼの作用のゆえに、これらは、この材料に対して円滑化の影響を発揮することができ、それによってフェルト化に対抗する。
【0220】
他の酵素は、各々の場合のそれらの特異的な酵素能力によって、適当な製剤の清浄化性能を拡大する。この例には、β-グルカナーゼ(WO99/06515およびWO99/06516)、ラッカーゼ(WO00/39306)、またはペクチン-溶解酵素(WO00/42145)が含まれる、特に、これらは、特別の洗浄剤において用いられる。
【0221】
本発明の製剤における使用に適する酵素は、主に、細菌または真菌などの微生物由来の酵素である。それらの酵素は、発酵過程によって自体公知の方法で適当な微生物から得られる。これは、例えば、独国公開明細書DE1940488およびDE2121397、米国特許US3623957、US4264738、欧州特許出願EP006638および国際特許出願WO91/02792に記載されている。
【0222】
特に貯蔵中に、存在する本発明のタンパク質および/または他のタンパク質を、安定剤によって、例えば、変性、崩壊または不活化(例えば、物理的影響、酸化またはタンパク質分解切断による)から保護することができる。
【0223】
安定剤の1つの群は、可逆的プロテアーゼインヒビターであり、これは、洗浄液中に製剤を希釈するときに解離する。ベンズアミジン塩酸塩およびロイペプチンが、この目的に確立されている。ホウ砂、ホウ酸、ボロン酸またはこれらの塩もしくはエステルが使用されることが多い。これらには、特に、以下のものが含まれる:芳香族基を有する誘導体(例えば、WO95/12655による)、オルト置換された誘導体(WO92/19707による)、メタ置換された誘導体(US5972873による)、およびパラ置換されたフェニルボロン酸、またはこれらの塩もしくはエステル。国際特許出願WO98/13460および欧州特許EP583534は、洗浄剤および清浄剤のプロテアーゼの可逆的な阻害のためのペプチドアルデヒド、即ち、還元C末端を有するオリゴペプチド(2〜50モノマーのオリゴペプチド)を開示する。ペプチド性の可逆的プロテアーゼインヒビターには、特に、オボムコイド(WO93/00418)が含まれる。例えば、国際特許出願WO00/01826は、プロテアーゼ含有洗剤における使用のためのプロテアーゼスブチリシンの特異的な可逆的ペプチドインヒビターを開示しており、WO00/01831は、プロテアーゼおよびインヒビターの対応する融合タンパク質を開示している。
【0224】
さらなる酵素安定剤は、アミノアルコール(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびプロパノールアミンならびにこれらの混合物)、C12までの脂肪族カルボン酸、例えばコハク酸、他のジカルボン酸またはこのような酸の塩(例えば、欧州特許出願EP0378261および国際特許出願WO97/05227に開示)である。独国特許出願DE19650537は、この目的のための末端基キャップした脂肪アミドアルコキシレートを開示する。国際特許出願WO97/18287に開示されるように、ビルダーとして用いられる特定の有機酸は、含まれる酵素をさらに安定化することができる。
【0225】
低級脂肪族アルコール、特にポリオール(例えば、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはソルビトールなど)は、他の用いられることが多い酵素安定剤である。また、カルシウム塩(欧州特許出願EP0028865において、この目的のために開示されている酢酸カルシウムまたはギ酸カルシウムなど)、およびマグネシウム塩(例えば、欧州特許出願EP0378262による)も用いられる。
【0226】
ポリアミドオリゴマー(WO99/43780)またはポリマー性化合物、例えばリグニン(WO97/00932)、水溶性ビニルコポリマー(EP828762)、またはEP702712に開示されるようなセルロースエーテル、アクリルポリマーおよび/またはポリアミドは、特に物理的影響またはpH変動に対して酵素調製物を安定化する。ポリアミンN-オキシド-含有ポリマー(EP587550およびEP581751)は、酵素安定剤として、および色移り抑制剤として同時に作用する。他のポリマー性安定剤は、WO97/05227において、他の成分に加えて開示された直鎖C-C18ポリオキシアルキレンである。国際特許出願WO97/43377およびWO98/45396におけるように、アルキルポリグリコシドは、本発明の製剤の酵素成分を安定化することができ、さらにそれらの性能を増大させることもできる。WO98/17764に開示された架橋したN含有化合物は、汚れ遊離剤として、および酵素安定剤として二重の機能を充足する。疎水性の非イオン性ポリマーは、国際特許出願WO97/32958によれば、セルロースにおいて安定化するように、他の安定剤と一緒に混合物中で作用するので、これらの成分または類似の成分は、本発明に必須の酵素に適するものとなりうる。
【0227】
特に、EP780466に開示されているように、還元剤および抗酸化剤は、酸化崩壊に対する酵素の安定性を増大させる。イオウ含有還元剤は、例えば、EP0080748およびEP0080223に開示されている。他の例は、亜硫酸ナトリウム(EP533239)および還元糖(EP656058)である。
【0228】
また、使用されることが多いのは、安定剤の組み合わせ、例えば、ポリオール、ホウ酸および/またはホウ砂の組み合わせ(国際特許出願WO9631589)、ホウ酸またはホウ酸塩、還元性の塩およびコハク酸または他のジカルボン酸の組み合わせ(欧州特許出願EP126505)、あるいは、ホウ酸またはホウ酸塩と、ポリオールまたはポリアミノ化合物との、および還元性の塩との組み合わせ(欧州特許出願EP080223に開示)である。WO98/13462によれば、ペプチド-アルデヒド安定剤の作用は、ホウ酸および/またはホウ酸誘導体とポリオールとの組み合わせによって増大し、WO98/13459によれば、カルシウムイオンのさらなる使用によって、なおさらに増大する。
【0229】
安定化された酵素活性を含む製剤は、本発明の好ましい態様である。複数の示した方法で安定化された酵素を含む製剤が特に好ましい。
【0230】
本発明の製剤は、任意の考えられる形態で提供することができるので、特定の製剤に添加するための任意の配合物にある本発明の酵素またはタンパク質は、本発明の各々の態様である。その例には、液体配合物、固体顆粒またはカプセルが含まれる。
【0231】
カプセル化された形態は、他の成分(例えば、漂白剤など)に対して酵素もしくは他の成分を保護する方法または制御された放出を可能にする方法である。カプセルのサイズに依存して、このカプセルは、ミリカプセル、マイクロカプセルおよびナノカプセルに分類されるが、マイクロカプセルが酵素には特に好ましい。このようなカプセルは、例えば、国際特許出願WO97/24177および独国特許出願DE19918267に開示されている。可能性あるカプセル化方法は、タンパク質溶液とデンプンまたはデンプン誘導体の溶液または懸濁液との混合物から開始して、この物質中にタンパク質を封入することである。Verfahren zur Herstellung von mikroverkapselten Enzyme (マイクロカプセル化された酵素の製造方法)と題する独国特許出願DE19956382は、このようなカプセル化方法を記載する。
【0232】
固形製剤の場合、タンパク質を、例えば、乾燥した、顆粒化した、および/またはカプセル化した形態で用いることができる。これらは、別々に、即ち別々の相として添加するか、または、同じ相中で他の成分と一緒に添加することができる(圧密するかまたはしない)。マイクロカプセル化された酵素を固体形態で処理しなければならない場合には、先行技術で公知の方法(例えば、噴霧乾燥、遠心分離または再溶解)を用いることによって、後処理から得られる水溶液から水を除去することができる。このように得られた粒子は、通常は50〜200μmのサイズである。
【0233】
先行技術に従って行うタンパク質回収、ならびに、濃縮された水性もしくは非水性溶液、懸濁液またはエマルジョン(乳濁液)での調製だけでなく、ゲル形態での、またはカプセル化されたかまたは乾燥粉末としての調製から開始して、本発明にとって重要な酵素およびタンパク質を、本発明の液体製剤、ゲル様製剤またはペースト様製剤に添加することができる。本発明のこのような洗浄剤または清浄化剤は、通常、自動ミキサー中に溶液または固体として導入しうる各成分を単に混合することによって製造される。
【0234】
一次洗浄性能とは別に、洗浄剤中に存在するプロテアーゼは、さらに、例えば国際特許出願WO94/29426および欧州特許出願EP747471に開示されているように、タンパク質分解切断によって他の酵素成分を活性化するか、または適当な作用期間の後に該酵素成分を不活性化する機能をも満たすことができる。また、同等の調節機能が本発明の酵素により可能である。本発明の別の態様は、プロテアーゼ感受性材料のカプセルを含有する製剤であって、このカプセルが、例えば、意図した時間において本発明のタンパク質によって加水分解され、その内容物を放出する製剤に関する。同等の効果を、他の多相製剤において達成することができる。
【0235】
織物原料の処理のためまたは織物ケアのための製剤(本発明のタンパク質分解酵素を、単独でまたは他の成分に加えて含有することを特徴とする)は、天然繊維(特に、例えば羊毛または絹など)が、特徴的な顕微鏡的な表面構造によって区別されるがゆえに、本発明の別の対象である。このような表面構造は、長期間で望ましくない効果(例えば、フェルト化)を生じることができる[例えば、Melliand Textilberichte (4.1.2000)中のR.Breierによる論文(263頁)において、羊毛について議論されているように]。このような効果を回避するために、天然原料を本発明の製剤で処理すると、本発明の製剤は、例えば、タンパク質構造に基づいて剥離した表面構造を滑らかにすることに寄与し、これによってフェルト化に対抗する。天然成分(特に、羊毛または絹)を含有する繊維または織物のためのこの種の製剤は、特に好ましい態様である。
【0236】
本発明の1つの態様において、本発明のプロテアーゼを含有する製剤は、この製剤を、例えば、洗浄プロセスに添加することによって、洗浄後にまたは洗浄とは独立して適用することによって、ケア製剤として規則的に使用しうるように設計する。所望の効果は、織物の滑らかな表面構造を得ること、および/または織布に対する損傷を防止および/または軽減することである。
【0237】
織物または硬表面の機械清浄化のための方法(この方法は、本発明のタンパク質分解酵素が、その方法の少なくとも1つの工程において活性になることを特徴とする)は、本発明の別の対象である。
【0238】
一般に、織物の機械清浄化のための方法は、いくつかの方法工程(清浄化すべき材料に対して種々の清浄化活性物質を適用する工程および作用時間後にそれを洗い落とす工程を包含する)によって、または、清浄化すべき物質が、清浄剤もしくは該製剤の溶液を用いて任意の他の方法で処理されることによって区別される。同じことが、硬表面という用語で分類される織物のような任意の他の材料の機械清浄化のための方法に当てはまる。本発明のタンパク質を、このような方法の工程のうちの少なくとも1つに対して添加することができる。即ち、この方法は本発明の態様である。
【0239】
本発明の酵素を、1回の適用あたり、40μg〜4g、好ましくは50μg〜3g、100μg〜2g、200μg〜1g、特に好ましくは400μg〜400mgの量で用いる方法が好ましい。
【0240】
本発明の酵素は、その性質として既にタンパク質溶解活性を保持しており、また、このような活性を媒体(それを含まなければ清浄化能を持たない媒体、例えば単なる緩衝液)中で示すので、織物の機械清浄化のための方法の個々の部分工程は、所望により安定化化合物、塩または緩衝物質に加えて、本発明の酵素を単一の清浄化活性成分として適用することからなっていてもよい。これは、本発明の特に好ましい態様である。
【0241】
織物原料の処理または織物ケアのための方法(この方法は、本発明のタンパク質分解酵素が、その方法の少なくとも1つの工程において活性になることを特徴とする)は、本発明の別の対象である。このような方法は、例えば材料を織物における使用のために、例えば抗フェルト仕上げのために調製する方法、あるいは、例えば擦り切れた織物の清浄化にケア成分を添加する方法であってよい。特定の織布に対するプロテアーゼの上記作用のゆえに、特定の態様は、天然成分(特に、羊毛または絹)を含む織物原料または織物を包含する。
【0242】
織物または硬表面を清浄化するための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の別の対象である。その理由は、本発明の酵素を、織物または硬表面からタンパク質性の汚れを除去するために、特に上記した方法に従って用いることができるためである。機械による方法以外の使用、例えば、織物または硬表面からのしみの手による洗濯または手による除去における使用は、好ましい態様である。
【0243】
本発明の酵素を、1回の適用あたり、40μg〜4g、好ましくは50μg〜3g、100μg〜2g、200μg〜1g、特に好ましくは400μg〜400mgの量で使用するのが好ましい。
【0244】
洗浄剤または清浄剤の成分を活性化または不活性化するための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の別の対象である。その理由は、洗浄剤または清浄剤のタンパク質成分を、公知のとおり、プロテアーゼの作用によって不活性化することができるためである。本発明は、他ではむしろ望ましくないこの効果を、特別に使用することに関する。同様に、例えば、この成分が、例えば国際特許出願WO00/01831に開示されているように、実際の酵素と対応するインヒビターとのハイブリッドタンパク質である場合、タンパク質分解が別の成分のみを活性化することもできる。この種の調節の別の例は、活性成分が、その活性を保護または制御するために、タンパク質分解性の攻撃に対して感受性である材料中に封入されているものである。このように、本発明のタンパク質を、不活性化反応、活性化反応または放出反応のために用いることができる。
【0245】
生化学分析または分子生物学的分析のため、特に酵素分析方法の枠組み内における本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の別の対象である。本発明によれば、また、Roemppの「Lexikon Chemie」[バージョン2.0, Stuttgart/New York: Georg Thieme Verlag, 1999]によれば、酵素分析とは、一方において基質の同一性または濃度を決定し、また、他方において酵素の同一性または活性を決定するために、特定の酵素もしくは基質を使用する任意の生化学的分析を意味する。適用の領域は、生化学に関する研究の任意の領域である。本発明のこの対象の好ましい態様は、配列分析において末端基を決定するための使用である。
【0246】
天然物質または生物学的有用物質の調製、精製または合成のための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の別の対象である。即ち、例えば天然物質または生物学的有用物質を精製する過程において、このような物質からタンパク質混入物(この例は、低分子量化合物、任意の細胞構成成分、または貯蔵物質、もしくはタンパク質である)を除去することが必要になることがある。これを、例えば、有用物質の生物工学的な製造後に、実験室規模および工業的規模の両方で行うことができる。
【0247】
例えば、タンパク質フラグメントを互いに連結するか、または主にはタンパク質から構成されていない化合物にアミノ酸を結合させることを意図する場合に、天然に触媒する反応を逆転させることによってタンパク質または他の低分子量化合物を合成するために、本発明のタンパク質分解酵素を用いる。この種の可能性ある用途は、例えば、欧州特許出願EP380362に記載されている。
【0248】
天然原料(主として非微生物学的に得られる原料、例えば農業由来の原料を意味する)からタンパク質混入物を除去することを意図する場合、この天然原料の処理のための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の別の対象である。
【0249】
好ましい態様は、表面の処置のための使用、特に、経済的に重要な原料である皮革の処理のための方法における使用である。即ち、なめし過程中に、特にアルカリ浸漬の工程中に、タンパク質分解酵素の助けを借りて、皮革材料から水溶性タンパク質を除去する[Roempp, 「Lexikon Chemie」, バージョン2.0, Stuttgart/New York: Georg Thieme Verlag, 1999]。本発明のプロテアーゼは、特にアルカリ条件下および洗浄剤の存在下において、これに適する。
【0250】
織物製造における原料または中間体を得るかまたは処理するための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の別の対象である。その例は、綿の後処理(サイジングと呼ばれるプロセスにおいて、朔果成分の除去が必要とされる)であり、別の例は羊毛の処理であり、原料絹の処理も同様である。酵素を用いる方法は、比較すべき化学的方法よりも、特にその環境適合性の点で優れている。
【0251】
好ましい態様において、本発明のタンパク質は、織物から、特に中間産物もしくは有用物質から保護層を除去するために、またはその表面を滑らかにするために使用される(引き続く処理工程におけるさらなる処理の前に)。
【0252】
本発明の別の対象において、本発明のタンパク質は、織物原料の処理または織物ケアのために、特に、羊毛もしくは絹または羊毛含有もしくは絹含有の混織物の表面の処理のために使用される。このことは、このような織物のための調製および使用中のケア(例えば、織物の清浄化に関連する)の両方に当てはまる(上記を参照)。
【0253】
写真フィルムの処理のため、特にゼラチン含有層または同様の保護層を除去するための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の別の対象である。その理由は、フィルム(例えば、X線フィルムなど)は、このような保護層で、特に銀塩含有ゼラチンエマルジョンからなる層で被覆されており、このフィルムは露光後に支持材料から除去される必要があるためである。このために、本発明のプロテアーゼを、特に、アルカリ下またはわずかに変性反応の条件下で使用することができる。
【0254】
食品または動物飼料を調製するための本発明のタンパク質分解酵素の使用は、本発明の別の対象である。即ち、有史以来、プロテアーゼは食品の調製に使用されている。この例は、チーズまたは他の乳製品の成熟過程のためのレンネットの使用である。本発明のタンパク質を、このような過程を完全に行うために添加または使用することができる。非栄養目的のための炭水化物富化食品または食品原料(例えば、小麦粉またはデキストリンなど)を、それらに伴うタンパク質を除去するために、適当なプロテアーゼで処理することもできる。本発明のプロテアーゼは、特に、アルカリ条件下またはわずかに変性する条件下で処理を行うことが意図される場合、このような適用にも適している。
【0255】
従って、このことは、動物飼料の調製に対しても当てはまる。タンパク質の完全な除去に加えて、ここで、タンパク質性の出発物質または物質混合物を家畜がより容易に消化できるようにするために、ごく短時間でプロテアーゼにより処理することが重要になることもある。
【0256】
本発明のタンパク質分解酵素を含有する化粧品製剤、または本発明のタンパク質分解酵素を組み込む化粧方法、または化粧目的のための本発明のタンパク質分解酵素の使用(特に対応する方法または対応する製剤の枠組み内での使用)は、本発明の別の対象である。
【0257】
また、プロテアーゼは、ヒト皮膚の剥落において重要な役割を果たしており[T.Egelrudら, Acta Derm.Venerol., 第71巻 (1991), 471-747頁]、従ってプロテアーゼは、乾燥皮膚において漸増するデスモソーム構造の分解を助けるために、スキンケア製品における生物活性成分として用いられる(例えば、国際特許出願WO95/07688およびWO99/18219による)。例えば、WO97/07770は、化粧目的でのスブチリシンプロテアーゼの使用、特に、上記したB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体の使用を記載する。本発明のプロテアーゼ、特に、その活性が、例えば突然変異誘発後に、または該プロテアーゼと相互作用する適当な物質の添加によって制御されているプロテアーゼは、皮膚清浄化もしくは毛髪清浄化組成物またはケア組成物中の活性成分として適している。上記のように例えば高分子支持体への結合によって安定化されている酵素(US5230891を参照)、および/または、アレルゲン性の高い位置での点突然変異によって誘導されているのでそのヒト皮膚との適合性が増大している酵素の調製物が特に好ましい。
【0258】
従って、化粧目的のための、特に適当な製剤(例えば、シャンプー、石鹸もしくは洗浄ローションなど)またはケア組成物(例えば、クリームの形態で提供される)における、この種のタンパク質分解酵素の使用も、本発明のこの対象に含まれる。また、剥離薬剤における使用も、本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0259】
本発明のプロテアーゼの生成
全ての分子生物学的作業工程は、例えば、Fritsch、SambrookおよびManiatisによるマニュアル「Molecular cloning: a laboratory manual」[Cold Spring Harbour Laboratory Press, New York, 1989]、または国際特許出願WO92/21760に示される標準的な方法に従う。
【0260】
突然変異誘発ベクターの構築
プロテアーゼ変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼM131から開始して、突然変異誘発を行った。この変異体はWO92/21760に記載されており、また、この変異体を生成する本願に係る菌株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection, Rockville, MD, 米国)に、Bacillus licheniformis ATCC 68614の名称で寄託されている。この菌株は、Bacillus lentus DSM 5483アルカリ性プロテアーゼの突然変異配列およびプレプロタンパク質に融合されたBacillus licheniformis ATCC 53926由来のアルカリ性プロテアーゼの22個のアミノ末端アミノ酸、ならびに、プロモーター、リボソーム結合部位およびATG開始コドンを含んでなる発現カセットにおいて、Bacillus中で複製するプラスミドpCB56M131上に遺伝子を含有する。変異体B.lentusアルカリ性プロテアーゼM131は、天然配列と比較して、以下の突然変異を有する:S3T、V4I、A188P、V193M、V199I。
【0261】
突然変異誘発のために、発現カセット全体を、制限酵素BamHIおよびSacIによって切り出し、同様にBamHIおよびSacIで切断しておいたpUC18ベクター(Amersham Pharmacia Biotech, Freiburg, 独国)中にクローニングした。次いで、このようにして得られたpUC18M131ベクターを用いて、以下の突然変異誘発工程を行った。図2は、pUC18M131ベクターを示す。B.lentusアルカリ性プロテアーゼM131のための発現カセットを含むDNAフラグメントを、配列番号1に記載する。配列番号2は、それから誘導されるアミノ酸配列を示す。配列番号1に示されるBamHI-SacIフラグメントは、図2に示されるpUC18M131ベクター中で1位〜1771位にわたって伸びる。残りのベクター領域は、出発プラスミドpUC18の領域に同一である。
【0262】
突然変異誘発
初めに、製造業者の指示に従って、Stratagene(La Jolla, CA, 米国)のQuikChange(登録商標)法を用いて、Bacillus lentus DSM 5483アルカリ性プロテアーゼの元の配列の188位および193位を回復させた。この系によって、突然変異したプラスミドを、それぞれの場合に突然変異を含む2つの相補的プライマーを用いて、ポリメラーゼ反応において生成させた。DpnIによって出発プラスミドを消化した後、反応混合物を大腸菌XL-1ブルー中に導入した。得られたクローンは、適当なところで、突然変異により導入した制限切断部位によって容易に同定することができる(通常のキットの助けを借りて、連鎖停止法によるDNA配列決定によってチェックすることが、それぞれの場合に可能である)。
【0263】
2つのプライマー:
5'-TCA CAG TAT GGC GCC GGG CTT GAC ATT-3'、および
5'-AAT GTC AAG CCC GGC GCC ATA CTG TGA-3'、
を用いることによって、188位のアミノ酸をコードするトリプレットコードCCA(プロリン)を、GCC(アラニン)に変換した。このプライマーは、この突然変異に直接隣接してNarI制限切断部位を含むが、これはアミノ酸配列を変更しない。
【0264】
2つのプライマー:
5'-GGG CTT GAC ATT GTG GCA CCC GGG GTA AAC-3'、および
5'-GTT TAC CCC GGG TGC CAC AAT GTC AAG CCC-3'、
を用いることによって、193位のアミノ酸をコードするトリプレットコードATG(メチオニン)を、ATT(イソロイシン)に変換した。このプライマーは、この突然変異に直接隣接してXmaCI制限切断部位を含むが、これはアミノ酸配列を変更しない。
【0265】
次いで、二重に突然変異したプラスミドを含有するクローンが、TTA(ロイシン)からGGA(グリシン)への211位におけるトリプレットのその後の突然変異のためのテンプレートを提供した。このために、以下の配列:
5'-ACG TAT GCT AGC GGA AAC GGT ACA TCG-3'、および
5'-CGA TGT ACC GTT TCC GCT AGC ATA CGT-3'、
を有する2つの相補的なプライマーを用いた。この配列は、突然変異の部位に直接隣接してNheI制限部位を含むが、これはアミノ酸配列を変更しない。次いで、得られたクローン(NheIを用いて予測フラグメントを生成する)をDNA配列決定によってチェックした。
【0266】
完全なプロテアーゼをコードするBLAP-S3T、V4I、V199I、L211G突然変異体遺伝子のDNAN配列を、配列番号3として配列表に示す。配列番号4として配列表に示すアミノ酸配列は、それから誘導することができる。B.lentus DSM 5483の野生型酵素から逸脱する位置に起因して、このB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体は、B.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gと呼ばれる。
【0267】
突然変異体の発現およびプロテアーゼの調製
突然変異した配列を含有する発現カセットを、BamHI-SacIフラグメントとして、pCB56M131ベクター中に逆クローニングして配列番号1に示されるフラグメントを置換し、Bacillus subtilis DB104中に導入した。Bacillus subtilis DB104株は、遺伝子型his、nprR2、nprE18、aprA3を有する[Kawamura,F.およびDoi,R.H. (1984), J.Bacteriol., 第160巻、442-444頁]。このDNAを、ChangおよびCohen(1979)[Molec.Gen.Genet., 第168巻, 111-115頁)]によって初めて開発されたプロトプラスト法のWO91/02792に記載の変法に従って、Bacillus中に導入した。
【0268】
それによって得られたプロテアーゼ陽性クローンを、チェック後に、2000mlの振盪フラスコ中、500mlのMLBSP培地[10g/Lカシトーン(casitone);20g/Lトリプトン、10g/L酵母抽出物(全て、Becton Dickinson, Cockeysvilleより);5g/L NaCl;27g/Lコハク酸ナトリウム;100mg/L MgSO・7HO;75mg/L CaCl・2HO;0.5μM MnCl;0.5μM FeSO;2%(w/v)グルコース;50mM PIPES緩衝液(1Mストック溶液、pH7.2から);75mM KPO(1.5Mストック溶液、pH7.0から);pH=7.0(KOHで調節)および10μg/mlテトラサイクリン]において、37℃、200回転/分で72時間インキュベートした。遠心分離によって細胞を除去した後、得られた上清を、プロテアーゼ活性の測定[Tenside, 第7巻 (1970), 125-132頁に記載の方法に従う]の後に、以下の実験のために用いた。
【実施例2】
【0269】
Eidgenoessische Material-Pruefungs-und-Versuchsanstalt, St.Gallen, スイス(EMPA)またはWaeschereiforschungsanstalt, Krefeld, 独国から入手し、標準化した方法で汚した織物を、以下の2つの実験に用いた。以下のしみ(染色)/織物を、実施例2に用いた:A(綿上の血液/乳/すす)、B(綿上の血液/乳/インク)、C(ポリエステル-綿混紡上の血液/乳/インク)、およびD(綿上の卵/すす)。
【0270】
この試験材料を用い、ラウンデロメーター(launderometer)を用いて、種々の洗浄剤配合物の洗浄性能を試験した。この目的のために、液体比を、それぞれの場合に1:12に設定し、洗浄を40℃の温度で30分間行った。用量は、洗浄液1Lに対して特定の洗浄剤5.88gであった。水の硬度は、ドイツ硬度で16°であった。
【0271】
用いたコントロール洗浄剤は、以下の組成の基本的な洗浄剤配合物であった(全ての値は、重量パーセントである):4%直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(ナトリウム塩)、4%C12-C18脂肪アルコール硫酸塩(ナトリウム塩)、5.5%C12-C18脂肪アルコール(7EOを含む)、1%ナトリウム石鹸、11%炭酸ナトリウム、2.5%無定形二ケイ酸ナトリウム、20%過ホウ酸ナトリウム四水和物、5.5%TAED、25%ゼオライトA、4.5%ポリカルボキシレート、0.5%リン酸塩、2.5%発泡抑制剤顆粒、5%硫酸ナトリウム、残り部分:水、蛍光増白剤、塩。この配合物を、種々の一連の実験のために、それぞれの場合に、洗浄液1Lあたりタンパク質分解活性2.250PEの最終濃度が得られるように、以下のプロテアーゼと混合した:B.lentusアルカリ性プロテアーゼF49(WO95/23221;製造業者:Biozym, Kundl, オーストリア)、Savinase(登録商標)(Novozymes A/S、Bagsvaerd, デンマーク)、および本発明のプロテアーゼであるB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211G。
【0272】
洗浄後、洗浄した織物の白さの程度を、硫酸バリウムの白さ(これを100%に正規化した)と比較して測定した。この測定を、Datacolor SF500-2分光計において、460nm(UVブロックフィルター3)、30mmダイアフラム、光沢なし、D65発光性、10°、d/8°で行った。以下の表3は、反射率として、即ち硫酸バリウムと比較した反射率として得た結果を、それぞれの出発値と合わせてまとめるものである。いずれの場合にも4回の測定の平均を挙げる。これらは、使用した製剤の洗浄性能に対する、存在する酵素の寄与について、直ちに結論を引き出すことを可能にする。
【0273】
【表3】
Figure 2004534528
これらのデータは、本発明のプロテアーゼが、従来のプロテアーゼであるB.lentusアルカリ性プロテアーゼF49およびSavinase(登録商標)よりも、全てのしみ(染色)に対する特定の製剤の洗浄性能に対して、明白に高い寄与を示すことを示す。
【実施例3】
【0274】
実施例2に示したしみ(染色)/織物に加えて、サンプルE(綿上の血液)を、ここで用いた。この試験織物を、実施例2と同様にして、かつ適当な洗浄溶液を用いてラウンドロメーターで調べた。実施例2と比較したときの唯一の相違は、ここでは洗浄を60℃の温度で行ったことであった。同様に、一連の実験を、前の実施例に記載したように評価した。以下の表4に、これらの結果を示す。
【0275】
【表4】
Figure 2004534528
この結果が示すように、本発明のアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gは、60℃を越える洗浄温度で優れているか、またはその許容誤差内で、洗浄剤に対して確立された他のプロテアーゼであるB.lentusアルカリ性プロテアーゼF49およびSavinase(登録商標)と少なくとも同等である。
【実施例4】
【0276】
硬く滑らかな表面を有する容器を、標準化した方法において、(A)半熟卵、(B)卵/乳、(C)デンプン混合物、および(D)ひき肉と接触させ、Miele(登録商標) G 676型の家庭用食器洗浄器の標準プログラムを用いて45℃で洗浄した。1回の食器洗浄の試行あたりに、20gの食器洗浄剤を用いた。水の硬度は、ドイツ硬度で16°であった。
【0277】
用いた食器洗浄剤は、以下の基本配合を有していた(それぞれの場合に、全ての値は重量%である):55%トリポリリン酸ナトリウム(無水物として算出)、4%無定形二ケイ酸ナトリウム(無水物として算出)、22%炭酸ナトリウム、9%過ホウ酸ナトリウム、2%TAED、2%非イオン性界面活性物質、残り部分:水、色素、香料。この基本的な配合物を、それぞれの場合に、1回の食器洗浄の試行あたり10000PEの活性が得られるように、種々の実験のために、同一の活性で、種々のプロテアーゼ、即ちB.lentusアルカリ性プロテアーゼF49、Savinase(登録商標)、および本発明のプロテアーゼ変異体であるB.lentus-アルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gと混合した。これは、それぞれの場合に、清浄剤濃厚物1gあたり約0.1mgのプロテアーゼタンパク質に相当した。
【0278】
洗浄後、しみ(染色)A〜Cの除去を重量パーセントで測定した。この目的のために、汚した後に濯いだ容器の重量とこの容器の出発重量との間の差異を、出発重量に対する未洗浄容器の重量の相違に関連付けた。この関連は、除去率(%)とみなすことができる。洗浄後に、しみ(染色)Dを、スケール0(=未変化、即ち、極めて重度に汚染されている)〜スケール10(=検出可能な汚染が全くない)によって視覚的に評価した。得られた結果を以下の表5にまとめる。この表には、それぞれの場合に、9回の測定の平均を挙げている。これらは、用いた製剤の洗浄性能に対する、存在する酵素の寄与について、直ちに結論を引き出すことを可能にする。
【0279】
【表5】
Figure 2004534528
これらの結果は、食器洗浄器製剤の清浄化性能に対する、本発明のB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gの寄与が、試験した他のプロテアーゼの寄与に比べて優れており、少なくとも同等であることを示す(これは、用いた比較的低い活性のときでもそうである)。
【実施例5】
【0280】
前の実施例と同様に、容器を、標準に従って同じしみ(染色)と接触させ、それぞれの場合に、同じ清浄剤配合物を用いて同様に洗浄した。ここで唯一の相違は、それぞれの場合に、20000PEの特定のプロテアーゼを用いたことであった。これは、それぞれの場合に、清浄剤濃厚物中の約0.2mgのプロテアーゼに相当した。実施例4と同様にして得られた測定結果を、以下の表6にまとめる。
【0281】
【表6】
Figure 2004534528
【0282】
また、より高いプロテアーゼ活性を使用したときにも、特定の製剤の全体の清浄化性能に対する本発明のプロテアーゼのより高い寄与が、食器洗浄器製剤用に確立されたプロテアーゼであるB.lentusアルカリ性プロテアーゼF49およびSavinase(登録商標)と比較して明らかである。
【0283】
【表7】
Figure 2004534528

【図面の簡単な説明】
【0284】
【図1】本発明のB.lentusアルカリ性プロテアーゼ変異体と、最も重要な公知のスブチリシンとのアミノ酸配列の整列図である。
【図2】突然変異誘発ベクターpUC18M131の模式図である。

Claims (35)

  1. スブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼであって、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンの番号付与に従って、199位にイソロイシンおよび211位にグリシンならびに少なくとも1つの安定化を有することを特徴とするアルカリ性プロテアーゼ。
  2. スブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼであって、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンの番号付与に従って、199位にイソロイシンおよび211位にグリシンを有し、さらに、3位にアミノ酸トレオニンまたは4位にアミノ酸イソロイシンのいずれかを有することを特徴とするアルカリ性プロテアーゼ。
  3. スブチリシン型のアルカリ性プロテアーゼであって、Bacillus lentus DSM 5483スブチリシンの番号付与に従って、3位にトレオニン、4位にイソロイシン、199位にイソロイシン、および211位にグリシンを有することを特徴とするアルカリ性プロテアーゼ。
  4. Bacillus、特にBacillus lentusによって天然に産生されるか、またはこのようなBacillusに由来するスブチリシンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  5. Bacillus lentus DSM 5483によって天然に産生されるか、またはBacillus lentus DSM 5483に由来するスブチリシン、特に、配列番号4に示されるアミノ酸配列に従うB.lentusアルカリ性プロテアーゼS3T/V4I/V199I/L211Gであることを特徴とする請求項4に記載のアルカリ性プロテアーゼ。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のプロテアーゼに由来するタンパク質であって、特に、断片化または欠失突然変異誘発によるか、挿入突然変異誘発によるか、置換突然変異誘発によるか、または少なくとも1つの部分と少なくとも1つの他のタンパク質との融合によるタンパク質。
  7. さらに誘導体化されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のタンパク質。
  8. タンパク質分解活性、好ましくは出発分子および誘導体化されていない分子に比べて増大したタンパク質分解活性、特に増強された性能を有することを特徴とする請求項6または7に記載のタンパク質。
  9. さらに安定化されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のタンパク質。
  10. 請求項1〜9に規定されるタンパク質のいずれかをコードする核酸。
  11. スブチリシンプロテアーゼをコードする核酸であって、そのヌクレオチド配列が、配列番号3において、特に、199位のイソロイシンおよび211位のグリシンをコードする領域において、さらに特に、3位のトレオニン、4位のイソロイシン、199位のイソロイシンおよび211位のグリシンをコードする領域において示されるヌクレオチド配列に対応する核酸。
  12. 請求項10または11に規定される核酸領域、特に、請求項1〜9に規定されるタンパク質または誘導体のいずれかをコードする核酸領域を含むベクター。
  13. 請求項10または11に規定される核酸領域、特に、請求項1〜9に規定されるタンパク質または誘導体のいずれかをコードする核酸領域を含むクローニングベクター。
  14. 請求項10または11に規定される核酸領域、特に、請求項1〜9に規定されるタンパク質または誘導体のいずれかをコードする核酸領域を含み、かつその生合成を可能にする発現ベクター。
  15. 請求項12〜14のいずれかに記載のベクターを含む細胞。
  16. 請求項1〜9に規定されるタンパク質または誘導体のいずれかを、特に請求項14に記載の発現ベクターを用いることによって、発現するかまたは発現するように誘導しうる宿主細胞。
  17. 細菌、特に、産生されたタンパク質を周囲培地中に分泌する細菌であることを特徴とする請求項16に記載の宿主細胞。
  18. Bacillus属の細菌、特に、Bacillus lentus種、Bacillus licheniformis種、Bacillus amyloliquefaciens種、Bacillus subtilis種、またはBacillus alcalophilus種の細菌であることを特徴とする請求項17に記載の宿主細胞。
  19. 真核細胞、特に、産生されたタンパク質を翻訳後改変する真核細胞であることを特徴とする請求項15または16に記載の宿主細胞。
  20. 請求項15〜19のいずれかに記載の宿主細胞を用いて、および/または請求項12〜14のいずれかに記載のベクターを用いて、および/または請求項10または11のいずれかに記載の核酸を用いて、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素または誘導体を製造する方法。
  21. 請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素を、特に製剤1gあたり2μg〜20mgの量で含むことを特徴とする製剤、特に洗浄剤または清浄剤。
  22. さらなる酵素、特に、他のプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼおよび/またはリパーゼをさらに含むことを特徴とする請求項21に記載の製剤。
  23. 織物原料の処理のためまたは織物ケアのための製剤であって、特に天然成分を含む繊維または織物のために、さらに特に羊毛もしくは絹を含む繊維または織物のために、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素を、単独で、または他の活性成分に加えて含むことを特徴とする製剤。
  24. 織物または硬表面を機械清浄化するための方法であって、該方法の少なくとも1つの工程において、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素が、1回の適用あたり、好ましくは40μg〜4g、特に好ましくは400μg〜400mgの量で活性になることを特徴とする方法。
  25. 織物原料の処理のためまたは織物ケアのための方法であって、該方法の少なくとも1つの工程において、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素が、特に天然成分を含む織物原料または織物に対して、特に羊毛もしくは絹を含む織物原料または織物に対して活性になることを特徴とする方法。
  26. 織物または硬表面を清浄化するための請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用であって、1回の適用あたり、好ましくは40μg〜4g、特に好ましくは400μg〜400mgの量での使用。
  27. 洗浄剤または清浄剤の成分を活性化または不活性化するための、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  28. 低分子量の化合物またはタンパク質を生化学的に分析または合成するための、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  29. 天然物質または生物学的有用物質を調製、精製または合成するための、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  30. 天然原料の処理のための、特に表面の処理のための、さらに特に皮革の処理のための方法における、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  31. 織物製造における原料もしくは中間体を得るかまたは処理するための、特に、織布上の保護層を除去するための、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  32. 織物原料の処理のためまたは織物ケアのため、特に、羊毛もしくは絹または羊毛混合織物もしくは絹混合織物の処理のための、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  33. 写真フィルムの処理のため、特に、ゼラチン含有層または同様の保護層を除去するための、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  34. 食品または動物飼料を調製するための、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
  35. 請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素を含有する化粧品、または、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素を包含する化粧方法、または、化粧目的のための、特に、対応する方法の枠内もしくは対応する製剤における、請求項1〜9のいずれかに記載のタンパク質分解酵素の使用。
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