JP2004533471A - ブロックドイソシアネート、特にブロックドポリイソシアネートの製造法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、C=N結合を示しそしてそのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある原子上に移動性水素を有するブロック剤を使用してブロックド(ポリ)イソシアネートを製造する方法において、次の工程:
(a)アルデヒド又はケトンよりなる前駆物質をアルデヒド又はケトンのカルボニル官能基に対して反応性の官能基を含む窒素含有前駆物質と水性、有機又は水性−有機媒体中において縮合水の離脱を伴って縮合させることによって得ることができる、C=N結合を示しそしてそのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある原子上に移動性水素を有するブロック剤を製造し、
(b)そのブロック剤とブロックしようとする(ポリ)イソシアネート組成物とを現場で反応させて完全又は部分ブロックド(ポリ)イソシアネートを得ること
を含むことを特徴とするブロックド(ポリ)イソシアネートの製造法に関する。
(a)アルデヒド又はケトンよりなる前駆物質をアルデヒド又はケトンのカルボニル官能基に対して反応性の官能基を含む窒素含有前駆物質と水性、有機又は水性−有機媒体中において縮合水の離脱を伴って縮合させることによって得ることができる、C=N結合を示しそしてそのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある原子上に移動性水素を有するブロック剤を製造し、
(b)そのブロック剤とブロックしようとする(ポリ)イソシアネート組成物とを現場で反応させて完全又は部分ブロックド(ポリ)イソシアネートを得ること
を含むことを特徴とするブロックド(ポリ)イソシアネートの製造法に関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックドイソシアネート、特にブロックドポリイソシアネートの製造法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、ブロック剤の製造と(ポリ)イソシアネートのブロッキングを、厳密に言えばその中間反応生成物を分離することなく互いに直接組み合わせる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
オキシム型のブロック剤の手段によってブロックされたポリイソシアネートは、SU727637号、SU78−2665978号、US4868298号及びDE2342775号に記載されている。
【0004】
さらに、SU414259号及びEP159117号は、イソシアネート官能基がピラゾールでブロックされたポリイソシアネートを記載している。
【0005】
イソシアネートをブロックするための多くの他の方法がこの文献に記載されている。これらの方法の全ては、次の2工程:ブロック剤の製造と分離の第1工程及びブロック剤とブロックしようとするイソシアネート組成物中に存在するイソシアネート官能基とを反応させる第2工程からなる。
【特許文献1】
ソビエト連邦特許第727637号明細書
【特許文献2】
ソビエト連邦特許出願公開第78−2665978号明細書
【特許文献3】
米国特許第4868298号明細書
【特許文献4】
独国特許発明第2342775号明細書
【特許文献5】
ソビエト連邦特許第414259号明細書
【特許文献6】
欧州特許第159117号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ブロックド(ポリ)イソシアネート組成物を制御された態様で製造することである。
【0007】
また、本発明の目的は、ブロック性基の量が予め決定でき、ブロック剤の前駆物質である化合物を直接使用して中間化合物を損失させることなく且つ該ブロック剤を中間分離することなく得られる、部分又は完全ブロックド(ポリ)イソシアネート組成物の有機、水性−有機又は水性媒体溶液、懸濁液又はエマルジョンを提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者による研究の結果、特定のブロック剤のタイプのために、ブロック反応を妨害するブロック剤の分離の欠如なしにブロック剤の前駆物質を使用して1工程方法によりブロックドポリイソシアネートを製造することが可能であることが分かった。
【0009】
本発明の主題は、C=N結合を示しそしてそのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある原子上に移動性水素を有するブロック剤を使用してブロックド(ポリ)イソシアネートを製造する方法において、次の工程:
(a)アルデヒド又はケトンよりなる前駆物質をアルデヒド又はケトンのカルボニル官能基に対して反応性の官能基を含む窒素含有前駆物質と水性、有機又は水性−有機媒体中において縮合水の離脱を伴って縮合させることによって得ることができる、C=N結合を示しそしてそのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある原子上に移動性水素を有するブロック剤を製造し、
(b)そのブロック剤とブロックしようとする(ポリ)イソシアネート組成物とを現場で反応させて完全又は部分ブロックド(ポリ)イソシアネートを得ること
を含むことを特徴とするブロックド(ポリ)イソシアネートの製造法である。
【0010】
有利には、そのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある移動性水素は、酸素又は窒素原子によって保持されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
語句「アルデヒド又はケトンよりなる前駆物質をアルデヒド又はケトンのカルボニル官能基に対して反応性の官能基を含む窒素含有前駆物質と縮合させることによって得ることができる」とは、ブロック剤が本発明の方法の文脈ではこの経路によって得られうるが、必ずしもこれに限られないことを意味するものとする。
【0012】
上記のタイプの前駆物質間の縮合反応は平衡反応であり、そのカルボニル前駆物質の縮合はブロック剤加水分解反応と平衡状態にある(「Textbook of Practical Organic Chemistry,フォーゲル,第5版,ジョン・ウィリーアンドソンズ,p1228)。
【0013】
さらに、ケトン誘導体は、多くの場合窒素含有誘導体との縮合中に寄生反応を誘導しうる移動性水素原子を有する。
【0014】
従って、本発明の方法は、当業者が、反応しなかった出発物質及びまた工程(a)の終了時に反応媒体中に存在する厄介な副産物がまず第一にブロック反応を妨害し、そして第二に本発明のブロックド(ポリ)イソシアネート組成物の適用中に得られる塗料の品質に悪影響を及ぼすことを予期し、そして結果としてブロック剤の製造用の反応媒体からブロック剤を注意深く分離することが実際のブロッキングを実施する前の必須工程であると考えている限りにおいて驚くべき特徴を示す。工程(a)の終了時に反応媒体中に存在する副産物(これは従来技術からみれば厄介なものとみなされるかもしれない)としては、例えば、ブロック剤を製造するための反応中に形成される水が挙げられる。
【0015】
本発明の方法にとって好適なブロック剤は、好ましくは、オキシム、ピラゾール及びヒドラゾンであり、後者のものはセミカルバゾンを包含する。
【0016】
一般に、本発明のブロック剤は、次の一般式I〜III:
【化1】
[式中、
・R1及びR2は、S、O及びNから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子、好ましくはOで随意に置換されうる、及び/又は中断されうるアルキル基、ペルハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基から選択され、
・R3、R4及びR5は、水素原子、並びにS、O及びNから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子、好ましくはOで随意に置換されうる、及び/又は中断されうるアルキル基、ペルハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基から選択され、
・R6は、水素原子、上に定義されるようなアルキル基、シクロアルキル基若しくはアリール基又は式CONR7R8(ここで、R7及びR8は、互いに独立して、随意に置換されうるアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択されうる)を表す]
に相当する。
【0017】
上記の式I、II及びIIIにおいて、C=N基の窒素のα−位置にある移動性水素原子は太線で下線を施されている。
【0018】
好ましくは、R1及びR2又はR3、R4及びR5の1種は、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル又はアリールオキシカルボニル基を表す。式I、II及びIIIにおいて、R1、R2、R3、R4及びR5基がヘテロ原子で中断される炭化水素鎖を表すときに、好ましくは、2個以下の単一炭素原子上の単結合C−O、C−S及び/又はC−Nが存在する。
【0019】
R1〜R6基は、有利には、せいぜい15個の炭素原子、好ましくはせいぜい10個の炭素原子を含有する。
【0020】
ブロック剤を合成するための工程(a)は、当業者に知られた反応を使用する。
【0021】
しかして、塩基性媒体中で1,3−ジケトン(又はβ−ジケトン)をヒドラジンと反応させて置換ピラゾールを生成させることは、特に「Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry」(B.S.ファーニス,A.J.ハナフォード,P.W.G.スミス,A.R.タッチェル),第5版に記載されている。
【0022】
さらに、ヒドロキシルアミンとケトンの反応は、特にジェリー・マーチ著,「Advanced Organic Chemistry」,第3版,J.ウィリーアンドソンズ,pp534,729,805及び1170に記載された周知の反応である。
【0023】
ヒドラジン又はその誘導体の1種とケトン又はケトアルコールからのヒドラゾンの製造法は当業者に周知であり、特に「Textbook of Practical Organic Chemistry」,フォーゲル,第5版,ジョン・ウィリーアンドソンズ,p.1245に記載されている。
【0024】
本発明の目的のために、用語「アルキル」基とは、一般に、水素と炭素原子のみを有し且つ一般に1〜20、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6個の炭素原子を有する飽和線状又は分岐炭化水素基を意味するものとする。
【0025】
用語「シクロアルキル」とは、単環を含有し且つ有利には3〜12個の炭素原子を有する上に定義されるようなアルキル基、例えばシクロプロピル又はシクロプロピルメチル基を意味するものとする。
【0026】
用語「アリール」基とは、6〜10個の炭素原子を含む単環式又は二環式の炭化水素芳香族基を意味するものとする。
【0027】
本発明の目的のために、用語「アルコキシ」とは、−O−アルキル基を意味し、このアルキルは上に定義されるようなものであり、特にシクロアルキル及びアラルキルを包含するものとする。
【0028】
本発明の目的のために、用語「アリールオキシ」とは、−O−アリール基(このアリールは上に定義されるものである)を意味するものとする。
【0029】
本発明の目的のために、用語「アシル」とは、−C(O)−アルキル又は−C(O)−アリール基を意味し、このアルキル及びアリールは上に定義されるようなものであり、しかもアルキルはシクロアルキル及びアラルキルを包含するものとする。
【0030】
本発明の目的のために、用語「アシルオキシ」とは、−O−C(O)−アルキル又は−O−C(O)−アリール基を意味し、このアルキル及びアリール基は上に定義されるようなものであり、しかもアルキルはシクロアルキル及びアラルキルを包含するものとする。
【0031】
本発明の目的のために、用語「アルコキシカルボニル」とは、−C(O)−O−アルキル基を意味し、このアルキルは、上に定義されるようなものであり、しかもシクロアルキル及びアラルキルを包含するものとする。
【0032】
本発明の目的のために、用語「アリールオキシカルボニル」とは、−C(O)−O−アリール基(このアリール基は上に定義されるようなものである)を意味するものとする。
【0033】
アルキル基の置換基は、アリール、OR9、SR9、NR9R10、PO4R9R10又はポリオキシエチレン基であることができ、ここでR9及びR10は同種又は異種であってよく、そして上に定義されるようなアルキル、シクロアルキル又はアリール基を表す。
【0034】
アリール基の置換基は、アルキル、アリール、OR9、SR9、NR9R10、PO4R9R10又はポリオキシエチレン基であることができ、ここでR9及びR10は同種又は異種であってよく、そして上に定義されるようなアルキル、シクロアルキル又はアリール基を表す。
【0035】
好ましいR1及びR2基はアルキル基、特にメチル及びエチル基であり、或いはR1及びR2の一つはアルコキシ又はカルボニル基、特にメチルオキシカルボニル又はアリールオキシカルボニル基である。
【0036】
好ましいR3、R4及びR5基は水素原子又はアルキル基、特にメチル又はアリール基、具体的にはフェニル基である。好ましくは、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1種の基は水素原子を表す。
【0037】
好ましい式Iの化合物は、メチルエチルケトキシム(MEKO)、ベンゾフェノンオキシム、アルキルピルベートオキシム、特にメチルピルベートオキシム(POME)又はエチルピルベートオキシム及びシクロヘキサノンオキシムである。
【0038】
α−ジケトンから誘導されるオキシムは好ましくない。
【0039】
好ましい一般式IIの化合物は、ピラゾール、3−メチルピラゾール及び3,5−ジメチルピラゾールである。
【0040】
好ましい一般式IIIの化合物は、アセトアルデヒドヒドラゾン、アセトンメチルヒドラゾン、シクロペンタノンメチルヒドラゾン及びメチルエチルケトンメチルヒドラゾンである。
【0041】
本発明の第1の具体例によれば、工程(a)において、ヒドロキシルアミンをケトン、α−ケトエステル又はさらにβ−ケトエステルと反応させてオキシムを得る。
【0042】
この場合には、これらのケトンは、ヒドロキシカルビルオキシカルボニル、特に、アルキルオキシ若しくはアリールオキシカルボニル又はケトエステル、好ましくはα−ケトエステル、特にWO97/24386号に記載されたもの、ケトニトリル、ジアルコキシルアミド、アルドール及びケトール(糖及びそれらの誘導体並びに環状エステル、具体的にはラクトン及びケトアルコール(ここで、このアルコール官能基は、好ましくは第二又は第三である)も含めて)を包含する。
【0043】
本発明の第2の具体例では、工程(a)において、ヒドラジンをβ−ジケトンと反応させてピラゾール化合物を得る。
【0044】
本発明の第3の具体例によれば、工程(a)において、ヒドラジン又はヒドラジン誘導体をケトン又は好ましくは第二若しくは第三ε−ケトアルコールと、或いはケトラクトンと反応させてヒドラゾンを得る。
【0045】
より正確に言えば、一般式Iに相当するオキシムは、1モルのヒドロキシルアミンを1モルの一般式Ia:
【化2】
[式中、R1及びR2は上に定義するようなものである]
のケトンと1モルの水の脱離を伴って縮合させることによって得られうる。
【0046】
この反応は、一般に、pH3〜10、有利にはpH4〜6、好ましくはpH5±0.5で実施される。
【0047】
一般式IIのピラゾールは、1モルのヒドラジン:
NH2−NH2
と1モルの一般式IIaのβ−ジケトン:
【化3】
[式中、R3、R4及びR5は上に定義されるようなものである]
との2モルの水の脱離を伴った反応によって得られる。
【0048】
一般式IIIのヒドラゾンは、1モルの一般式IIIa:
NH2−NHR6 (IIIa)
[式中、R6は上に定義されるようなものである]
のヒドラジンと1モルの上に定義されるような一般式(Ia)のケトンとの1モルの水の脱離を伴った反応によって得られる。
【0049】
本発明の方法の第1工程は、それ自体周知の態様で有機、水性−有機又は水性媒体で実施される。溶媒の選択は最終処方物の溶媒によって左右される。
【0050】
有機媒体中で(ポリ)イソシアネート組成物を得るのが望ましいならば、このタイプの処方物について慣用される溶媒、特にエステル(酢酸n−ブチル)、エーテル又は炭化水素、好ましくは芳香族炭化水素、例えばSOLVESSO(登録商標)が使用されるであろう。
【0051】
水性−有機媒体中で組成物を得るのが望ましいならば、水混和性有機溶媒が選択されるであろう。エーテル、アルコール又はアミド、例えばNMPが好ましいであろう。
【0052】
水性組成物を得るのが望ましいならば、反応は、もっぱら水中で実施されるであろう。
【0053】
本発明の状況内では、意外にも、該反応がカルボニル化合物と窒素含有化合物との縮合を阻害することなく二相性の態様で実施できることが示された。この反応媒体はカルボニル化合物と窒素含有化合物との縮合を阻害することなく、しかも(ポリ)イソシアネート組成物をブロックするその後の反応を阻害することなく同種又は異種であることができることを理解されたい。
【0054】
これらのいずれかの場合には、ブロック剤を製造するための反応中に形成される水の存在がそれ自体ブロッキング反応を阻害する要因を構成しないことを理解されたい。また、水を反応媒体に添加することも考えられうる。しかして、反応媒体の水分は、有利には、ブロック剤の製造中に形成される水の量の1倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは2倍であろう。
【0055】
反応温度は、一般に20〜100℃であり、好ましくは50℃前後である。
【0056】
反応時間は、一般に、ほぼ30分〜8時間であり、有利には、ほぼ30分〜4時間である。
【0057】
この手順は、一般に、せいぜい0.9、有利には1である>=O官能基/前駆物質の窒素含有官能基の当量比で、好ましくは、20%まで、好ましくは10%までの範囲にある前駆物質の窒素含有官能基の当量対>=O官能基の当量の超過量で実施される。また、この手順は、>=Oの僅かな超過量で実施される。しかしながら、この具体例は好ましくない。というのは、この生成物は黄色に変わる傾向があり、これは本発明のブロックド(ポリ)イソシアネート組成物のいくつかの用途には問題であると分かったためである。
【0058】
第1工程の終了時に、一般式I、II又はIIIの反応生成物、カルボニル試薬と窒素含有試薬との縮合によって誘導された水及びしかるべき場合に有機溶媒が得られる。
【0059】
本発明の第1の具体例では、工程(a)は有機水性−有機媒体で実施される。一般式I、II又はIIIの化合物と相当するカルボニル化合物との縮合によって生じた水は、例えば沈降による分離又は当業者に周知の任意の他の方法によって随意に除去されうる水性媒体を形成し、そして一般式I、II又はIIIの反応生成物は、必ずしも乾燥状態ではない有機相から溶液又は懸濁液の状態で回収できる。これは完全な水の除去を伴わない。
【0060】
本発明の第2の具体例では、工程(a)で生じた水は除去されず、その反応生成物は、初期の反応媒体が有機溶媒を含有するかどうかによって水性又は水性−有機媒体の溶液又は懸濁液の状態で得られる。
【0061】
本発明の第3の具体例では、反応は、完全に水性媒体で実施される。この場合には、その平衡は、例えば、形成される化合物の沈殿によってシフトしよう。一般には、この具体例は、その平衡が出発化合物の方へシフトするという事実を考慮すれば好ましくない。
【0062】
ブロッキング工程(b)は、工程(a)の終了時に得られた反応媒体で、しかるべき場合に沈降による分離工程以外の該媒体のその後の処理なしに、とはいえ、全ての場合に中間ブロック生成物の分離なしに直接実施される。
【0063】
イソシアネートとブロック剤の反応は発熱的であるため、その反応温度は、ブロック剤、イソシアネート化合物及び媒体中の試薬濃度の性質に従って上昇する。
【0064】
第1の手順によれば、NCO官能基をブロックすることが求められるイソシアネートは、ブロック剤を含有する反応媒体に、好ましくは徐々に且つ連続的に、その反応媒体の温度をブロック基の脱離温度以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下に保持するような方法で導入される。
【0065】
イソシアネートは、一般に、20〜120℃の温度、好ましくは50℃近辺で導入される。しかしながら、反応を促進させることが望ましいならば反応媒体を加熱することも可能である。
【0066】
第2の手順によれば、工程(a)のブロック剤は、ブロックしようとする(ポリ)イソシアネート組成物に添加される。
【0067】
(ポリ)イソシアネートがブロック剤に添加されるときに、イソシアネート官能基の全ては、イソシアネートと反応するブロック剤の官能基/イソシアネート官能基が≧1である限りブロックされる。
【0068】
逆の場合には、ブロック剤を(ポリ)イソシアネートに添加するのを停止させ、そして部分的にブロックされた(ポリ)イソシアネートを得ることが可能であるが、ここで、ブロック剤/イソシアネート比は1以下であり、しかもブロック剤の分布は不規則、即ち、実質的にはブロック剤の全てが初期の(ポリ)イソシアネート組成物中に存在するそれぞれの(ポリ)イソシアネート種のイソシアネート官能基の全て又はいくらかをブロックする。次いで、第2のブロック剤又は連鎖延長剤(ジオール、プレポリマーなど)が非常に容易に導入できる。
【0069】
この2つの場合には、イソシアネートとH2Oとの反応によって尿素及びことによるとビウレットの形成がありうるが、本発明によれば、この反応は、これが自発的でない限り(連鎖延長剤又は触媒の添加)ブロッキング反応に対して明らかにさほど重要ではない。遊離のNCO官能基は、ジブチルアミン法によって検定され、或いはその後2250cm-1での赤外線で検定される(NCO帯域)。
【0070】
ブロッキング反応は触媒を添加することによって促進されうるが、この添加は必須ではない。
【0071】
本発明の特定の具体例によれば、工程(a)について、2種の異なるオキシム、例えばMEKO及びPOME、又は2種の異なるピラゾール、例えばピラゾール及び3−メチルピラゾールを生成させる2種の異なるカルボニル化合物を使用することができ、またブロッキングは得られた混合ブロック剤でその後に実施できる。
【0072】
また、化合物Ia及び/又はIIa/ヒドラジン若しくはヒドラジン誘導体の一組を選択してある種のタイプのブロック剤(例えば、オキシム)と異なるタイプのブロック剤(例えば、ピラゾール)との混合物を得ることも可能であり、その後に、このものはブロックされるべき(ポリ)イソシアネートと反応して混合ブロック(ポリ)イソシアネートが得られる。
【0073】
ブロック剤と反応するイソシアネートは、単量体のイソシアネート、特にジイソシアネート又はトリイソシアネートであることができる。好ましい単量体は、イソシアネート官能基の少なくとも1個が脂肪族、即ち、有利には少なくとも1個、好ましくは2個の水素原子も保持する(sp3)混成炭素によって保持されるものである。
【0074】
特に、次の単量体イソシアネートが挙げられる。
・1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、
・1,12−ドデカンジイソシアネート、
・シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、
・シクロヘキサン−1,3−及び/又は1,4−ジイソシアネート、
・1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、
・2,4−及び/又は2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、
・ヘキサヒドロ−1,3−及び/又は−1,4−フェニレンジイソシアネート、
・ペルヒドロ−2,4'−及び/又は−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、
・1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、
・2,4−及び/又は2,6−トルイレンジイソシアネート、
・ジフェニルメタン−2,4'−及び/又は−4,4'−ジイソシアネート、
・4−イソシアナトメチルオクチレンジイソシアネート(LTI又はNTI)、
・トリフェニルメタン−4,4',4"−トリイソシアネート、
・1,3−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、
・ビスイソシアナトメチルノルボルナン(NBDI)、
・2−メチルペンタメチレンジイソシアネート。
【0075】
また、イソシアネートは、アルキレンジイソシアネートのホモ縮合又はヘテロ縮合の生成物、特にイソシアネート官能基を有するビウレット及びトリマータイプ若しくはプレポリマータイプからなる生成物、特に尿素、ウレタン、アロファネート、エステル又はアミド官能基を含む生成物又は上記の生成物の混合物であることもできる。
【0076】
また、イソシアネートは、移動性水素を有する少なくとも1種の官能基を有する化合物、特にポリオール又はポリアミンとの初期縮合生成物であることもできる。
【0077】
このタイプの化合物のサブファミリーは、アルコール、一般にはトリオール、又はポリアミン、特にトリアミンとポリイソシアネート、一般にはジイソシアネートとの予備重合によって誘導されるポリイソシアネートに向けられ、ここで、このイソシアネート官能基の量は、この予備重合の終了時に1分子当たりの残留イソシアネート官能基の数が平均して2個以上、有利には少なくとも2.5個、好ましくは少なくとも3個であるように移動性水素を有する官能基(例えばアミン及び/又はアルコール)の量よりも多い。
【0078】
アルコール化合物の例としては、モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール又はブタノール、2〜30個の炭素原子を有するポリオール、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット又はジグリム、フェノール類、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール及びノニフェノールが挙げられる。
【0079】
好ましいイソシアネート化合物としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのシクロ三量体、即ち、3モルのHDIをそれ自体とシクロ三量体化させることによって得られたモノイソシアヌレート化合物、HDIのシクロ二量体、即ち、2モルのHDIをそれ自体とシクロ二量体化させることによって得られたウレチジオンが挙げられ、またこれらの化合物のビウレット及びアロファネート誘導体も挙げられる。
【0080】
工程(b)の反応媒体が有機媒体であるとき、即ち、その水性相が、特に沈降による分離によって随意に除去されたときに、ブロックドイソシアネートがブロック剤の性質及び/又は組成物中に存在するブロック基のパーセンテージに応じて有機媒体溶液又は懸濁液の状態で得られる。
【0081】
水性エマルジョン状態のブロックドイソシアネート組成物を得るのが望ましいときには、工程(a)をもっぱら水性媒体で実施し、そして得られた反応生成物に工程(b)の前、中又は終了時に界面活性剤を添加することが有利である。しかしながら、この界面活性剤の添加は必須ではなく、反応を異種媒体中で行うことが可能である。
【0082】
エマルジョンの形成のため使用される界面活性剤は、それらのエマルジョン形成特性に関して当業者に知られた標準的な界面活性剤から選択される(例えば、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル)。
【0083】
界面活性剤は、イソシアネートとは異質なもの又はそれ自体がイソシアネートであり且つイソシアネートを活性水素を有する官能基を示す前駆物質に作用させることによって得られたもの(該前駆物質は、著しい親水性を示すか又はそれ自体がすでに両親媒性であるかのいずれかである)のいずれかであることができ、或いはこれら2種の混合物であることができる。この合成は、ブロッキングの前又はそれと同時に実施できる。
【0084】
使用される界面活性剤は、10以上、好ましくはほぼ10〜20のHLBを有する非イオン性、有利にはほぼ10以上のHLBを有する陰イオン性、陽イオン性、両性イオン性又は両性であることができる。
【0085】
非イオン界面活性剤は、有利には少なくともほぼ10のHLBを示すアルコキシル化脂肪酸、ポリアルコキシル化アルキルフェノール、ポリアルコキシル化脂肪アルコール、ポリアルコキシル化又はポリグリセリン化脂肪アミド、ポリグリセリン化アルコール及びα−ジオール、ポリアルキレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック重合体から選択され、またアルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、糖エーテル、糖エステル、糖グリセリド、ソルビタンエステル及びこれらの糖誘導体のエトキシル化化合物からも選択される。
【0086】
陰イオン界面活性剤は、有利には少なくともほぼ10のHLBを示すアルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、スルホ琥珀酸ジアルキル塩、燐酸アルキル及びよく解離されるエーテル燐酸塩、例えば、アルカリ塩、アンモニウム塩、有利には第四アンモニウム塩を構成するものから選択されうる。いくつかの好ましい界面活性剤の詳細を以下に与える。
【0087】
陽イオン界面活性剤のなかでは、有利には少なくともほぼ10のHLBを示す脂肪族又は芳香族脂肪アミン、脂肪族脂肪アミド及び第四アンモニウム誘導体が挙げられる。
【0088】
両性イオン又は両性界面活性剤のなかでは、有利には少なくともほぼ10のHLBを示すベタイン及びその誘導体、スルタイン及びその誘導体、レシチン、イミダゾリン誘導体、グリシネート及びその誘導体、アミドプロピオン酸塩及び脂肪アミンの酸化物が挙げられる。
【0089】
一般に、これらの界面活性剤が非イオン界面活性剤であるときに、これらのものは、ブロックされ又はブロックされていなくてもよいポリイソシアネートが直ちに乳化できるほどに十分な数、一般にはほぼ10個以上の数の親水性基、例えばエチレンオキシド基を有する。また、これらの界面活性剤は、芳香族基を有する脂肪族鎖又は単に8〜50個の炭素原子を含有する脂肪族鎖から選択できる疎水性成分も有する。また、シリコーン単位又は弗素化単位のようなその他の疎水性単位も特定の用途のために使用できる。
【0090】
脂肪酸のポリオキシアルキレンエステル誘導体の例示として、エトキシル化アルキルフェノール、ポリアルキルオキシアルキレン鎖(例えば、ポリオキシ及び/又はプロポキシエチレングリコールのような)を含有する燐酸塩エステル及びポリエチレンオキシド鎖を含有するトリスチリルフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
また、該界面活性剤は、中性の又は陰イオン性官能基を有する薬剤(又は界面活性剤の混合物)からなることもできる。
【0092】
従って、有利には、該界面活性剤(又は界面活性剤の混合物)は、陰イオン性官能基及び少なくとも1個、有利には少なくとも5個、好ましくは少なくとも7個の次式:
−(CHR−CH2−O)−
(ここで、R=H又はCH3である)
のアルキレンオキシ単位、有利にはエチレンオキシ単位を含有するポリエチレングリコール鎖のフラグメントを含む化合物を含有する。
【0093】
該界面活性剤(又はその成分の一つ)は、有利には、陰イオン性官能基を有する化合物を主体とする。このタイプの界面活性剤は、例えば、WO99/10402号に記載されている。詳細についてはこれを参照されたい。
【0094】
好ましい界面活性剤は、その陰イオンが次式:
【化4】
また、式中qがゼロであるときには
【化5】
[これらの式において、
・pはゼロ又は1〜2の整数(閉間隔、即ち、限界を含む)を表し、
・mはゼロ又は1〜2の整数(閉間隔、即ち、限界を含む)を表し、
・p+m+qの合計はせいぜい3であり、
・1+q+2m+qは3又は5であり、
・X及びX'は同種又は異種であってよく、そしてせいぜい2個の炭素を含む結合手を表し、
・n及びsは同一又は異なってよく、そして5〜30、有利には5〜25、好ましくは9〜20(閉間隔、即ち、限界を含む)から選択される整数を表し、
・R1及びR2は同種又は異種であってよく、そして有利には特にハロゲン原子特に弗素原子で随意に置換されうるアリール及びアルキルから選択される炭化水素基を表す]
に相当するものである。燐酸塩エステル及びポリアルキレングリコールエステルが好ましい。
【0095】
特に、3〜20個、有利には8〜15個の平均EO単位数を含有し且つエトキシル化ノニルフェノール鎖又はエトキシル化脂肪酸鎖、例えばラウリル鎖又はC8〜C20の炭化水素鎖を有するポリエトキシル化燐酸塩モノ及びジエステルの混合物が挙げられる。特に、商品名RHODAFAC(登録商標)の下に販売されている生成物が挙げられる。
【0096】
この対陽イオンは、有利には1価であり、そして有利には本質的に非求核性、従って第四又は第三である無機陽イオン及び有機陽イオン(特に、ホスホニウム、アンモニウムのような第V族のオニウム又はスルホニウムなどのような第VI族のオニウム)並びにその混合物から選択され、最も一般的にはアミンから誘導されるアンモニウム、有利には第三アミンから選択される。有利には、イソシアネート官能基と反応性のある水素を示す有機陽イオンが避けられるため、第三アミンが好ましい。
【0097】
無機陽イオンは、クラウンエーテルのような相転移剤によって封鎖できる。この陽イオン(有機[アンモニウムなど]又は無機)のpKaは、有利には8〜12である。
【0098】
工程(a)が水性媒体で実施されるときに、反応媒体に工程(b)の前、中又は後に水分散性溶媒を添加することによって水性−有機エマルジョン状態の最終ブロックド(ポリ)イソシアネート組成物を得ることも可能である。特に、燐酸メチル、エーテル又はSOLVESSO(登録商標)タイプのその他の炭化水素、好ましくは芳香族炭化水素が挙げられる。
【0099】
この場合には、安定な水中油型エマルジョンを得るために水性−有機媒体に上記のタイプの界面活性剤を添加することが有利であるが、必須ではない。
【0100】
また、本発明の方法は、非常に濃縮されたブロックド(ポリ)イソシアネート組成物の有機溶液を得ることも可能にさせる。この場合には、工程(a)が水性媒体で実施され、そして工程(b)の終了時に、親水性溶媒がこの反応媒体に添加され、その後に有機相と水性相が分離し、そして非常に濃縮されたブロックド(ポリ)イソシアネート組成物の有機溶液が回収される。この目的のために好ましい溶媒は酢酸n−ブチルである。
【0101】
また、本発明の主題は、本発明に従う方法によって得られた部分又は完全ブロックド(ポリ)イソシアネート組成物でもある。
【0102】
本発明に従う部分又は完全ブロックド(ポリ)イソシアネートは、重合体及び/又は架橋物質を製造するための基材として使用でき、また、特にワニス及びペイントのような全てのタイプの塗料の主成分の一つとして使用できる。このような用途では、架橋性重合体の硬さの質は、技術及び機能の観点から望ましいものの一つである。
【0103】
この重合体を製造するための方法は、次の工程:
・本発明に従う保護ポリイソシアネート(I)をアルコール、フェノール、チオール、アニリンを含めたある種のアミンの形の反応性水素を示す誘導体を含有する共反応体と接触させ、ここで、これらの誘導体は、線状又は分岐であってよく且つ置換又は非置換であってよく、そして脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素主鎖、好ましくは、シクロアルキル及びアラルキルを含めてアルキル、又はアリール主鎖を有しうるものとし(一般にポリオールであるこれらの共反応体は、それ自体周知である)、
・かくして形成された反応媒体を短時間わたって高温で又は長時間にわたって低温で加熱すること
を含む。
【0104】
第1の場合は、多くの場合「コイル被覆」と呼ばれる技術に相当し且つ180℃でせいぜい15分及び200℃でせいぜい5分の時間に相当し、さらに、過硬化が生じた場合についても良好な耐変色性(一般に耐黄変性)がある。この手順は、一般には、好ましくは150℃±10℃の温度で実施される。
【0105】
その他の極端な場合には、穏やかな硬化を一般にせいぜい2時間、より一般的にはせいぜい1時間にわたってせいぜい160℃の温度で実施する。
【0106】
有利には、この温度は、15時間以内、好ましくは10時間以内、さらに好ましくは8時間以内の時間にわたってせいぜい150℃、好ましくは80℃〜140℃、さらに好ましくは110℃〜130℃である。
【0107】
有機溶媒を反応媒体に含めることが考えられうる。また、水懸濁液も考えられうる。
【0108】
この随意の溶媒は上に定義されるようなものである。比較的非極性の溶媒、即ち、その誘電率がわずかに4以上であるか又は4であるもの、好ましくは5であるものが好ましい。
【0109】
共反応体の組成を構成する誘導体は、一般に、ジ、オリゴ又はポリ官能性である。これらのものは単量体であることができ、或いは二量体化、オリゴマー化又は重合によって誘導でき、そして随意に架橋されたポリウレタンを製造するために使用される。その選択は、最終用途の重合体について予期される官能価及びそれらの反応性によって決定されるであろう。
【0110】
ブロックドイソシアネートの開放を触媒する活性水素を示す誘導体の使用を避けることが好ましい。従って、アミンのなかでは、本発明に従ってブロックされたイソシアネート官能基の分解又はアミノ基転移を触媒しないもののみを使用することが好ましい。これらの共反応体は、一般に当業者に周知である。
【0111】
従って、本発明は、連続又は同時添加のために、
・本発明に従うブロックド(ポリ)イソシアネート、
・上記のような反応性水素を有する共反応体、
・オキシム、ピラゾール及び/又はヒドラゾンのためのそれ自体周知の随意の触媒、特に錫を主体とするもの、
・随意として少なくとも1種の顔料、
・随意として二酸化チタン、
・随意として水性相、
・随意として該混合物のエマルジョン又は懸濁液を構成する成分を維持するための界面活性剤、
・随意として有機溶媒、
・随意として脱水剤
を含むペイント組成物に関するものでもある。
【0112】
また、本発明は、上記の方法に従ってこれらの組成物を使用して得られたペイント及びワニスに関するものでもある。
【0113】
本発明を下記の実施例により例示する。
【0114】
下記の実施例では、生成物の特徴付けのためにこれらの三つのIR吸収帯を参照されたい。
遊離の又はブロックしたポリイソシアネートの特徴的な官能基の赤外線吸収帯
最終生成物の赤外線分析は、周囲温度で溶媒及び水を蒸発させた後に、KBrペレット上で実施する。次いで、乾燥抽出物をKBrウエハー上でフィルム状で検査する。
3,5−ジメチルピラゾールでブロックしたイソシアネート官能基を持つHDTポリイソシアネートの特徴的な吸収帯
・NCO:2250cm-1
・COイソシアヌレート:1688cm-1及び1465cm-1
・3,5−ジメチルピラゾールによるブロックの吸収帯:
−C=Oブロック:1720cm-1及び−C(=O)−NH−ブロック:1518cm-1
・NH:3398cm-1
メチルエチルケトキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つHDTポリイソシアネートの特徴的な吸収帯
・NCO:2250cm-1
・COイソシアヌレート:1688cm-1及び1465cm-1
・MEKOによるブロックの吸収帯:
−C=Oブロック:1731cm-1及び−C=O−NH−ブロック:1508cm-1
ピルビン酸アルキルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つHDTポリイソシアネートの特徴的な吸収帯
・NCO:2250cm-1
・COイソシアヌレート:1688cm-1及び1465cm-1
・オキシムによるブロックの吸収帯:
−C=Oブロック:1731cm-1及び−C=O−NH−ブロック:1508cm-1
エステル吸収帯:1732cm-1
【実施例】
【0115】
例1
3,5−ジメチルピラゾールの水性懸濁液の合成
冷媒、温度計及び慣用の撹拌装置を備えた1Lの恒温反応器に135gの51重量%ヒドラジン水和物、即ち2.15モルのヒドラジンを周囲温度で連続導入する。次いで、47gの水を添加する。
温度を約50℃に保持しながら、反応媒体に200g(2モル)のアセチルアセトンを2時間で添加する。
添加が完了したときに、反応媒体の温度を70℃に更に2時間もたらして反応を終息させる。
このDMP水溶液はそのまま使用することができ、又は40%のDMP水性懸濁液を得るように希釈することができる。
この溶液の冷却中に生成したDMPが沈殿する。得られた生成物の構造を赤外線分析及びNMRにより確認した。
ヒドラジン水和物の水溶液は、塩の共生をもたらさないので、ヒドラジン源として使用するのが好ましい。
3,5−ジメチルピラゾールを合成するための別の経路(ボーゲルのTextbook of Practical Organic Chemistry、第5版、第1149頁、ジョンウイリー&ソンズ社、ニューヨークに記載)は、ヒドラジン硫酸塩を使用し、塩(硫酸ナトリウム)を生成させるので、後者はイソシアヌレート官能基のブロックの前後で除去しなければならない。
下記の実施例では、本例から誘導した39%のDMP水溶液(周囲温度では懸濁液)を使用するので、塩を含まない。
【0116】
例2
HDT−3,5−ジメチルピラゾールブロックドポリイソシアネート組成物の合成
冷媒、温度計及び慣用の撹拌装置を備えた1Lの恒温反応器に、例1に記載のように製造した40%の固形分を含有する365gの3,5−ジメチルピラゾール(DMP)水性懸濁液、即ち、146gの3,5−DMPを、周囲温度で導入する。
反応媒体を60℃の温度に加熱するが、この温度でDMPはゆっくりと溶解する。
撹拌した反応媒体に、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(イソシアヌレート)(TOLONATE−HDT)をベースとしたポリイソシアネートを酢酸n−ブチル(AcOn−Bu)に溶解してなる溶液380g(即ち、127gのAcOn−Buに溶解した100g当たり0.52モルのNCOを含有する253gのHDT)を1時間45分で添加する。
反応媒体の温度を、反応塊の試料の赤外線分析が2250cm-1でのイソシアネート吸収帯の不存在を示すまで、80℃に1時間40分もたらす。
100gの水と86gの酢酸n−ブチルを反応媒体に添加し、反応媒体のデカンテーションを実施する。有機相を450gの水で洗浄し、更にデカンテーションを実施する。
次いで、DMPでブロックしたHDTポリイソシアネートを含有する水性有機相(437g)を追加の乾燥なしに容器に貯蔵する。
この有機相を分析すると、2重量%の水の存在が示された。
1H NMRにより検定された酢酸n−ブチルの量は36.3%である。最終有機溶液中のDMPでブロックしたHDTの量は62%である。
このエマルジョンの赤外線スペクトルは、形成されたHDT−DMP生成物が、乾燥粉末状の3,5−ジメチルピラゾールから出発する慣用の有機相法に従って得られたHDT−DMPブロックドポリイソシアネート溶液と実質的に等しいことを示した。
DMPでブロックしたHDTポリイソシアネート溶液は、適用試験においてそのまま使用する(適用試験を参照されたい。)。
上記よりも高い固形分を望むならば、80℃の最高温度で部分真空蒸発により溶媒の幾分かを蒸留することが可能である。
また、1.5gのDMPでブロックしたHDTの水性有機溶液にアルコール(1gのエタノール)を添加すると完全に均質で半透明の溶液となることが示された。
【0117】
例3
HDT−3,5−ジメチルピラゾールブロックドポリイソシアネート組成物の合成
例1に従って得た314gの39%DMP水性懸濁液(122.5gのDMP及び191.5gの水)を使用して、例2のように実施する。
HDTポリイソシアネートの有機溶液(122.7gの酢酸n−ブチル中に245.5g)を反応媒体に60℃でほぼ50分間で添加する。HDT溶液の全てを添加した後、反応媒体の温度を80℃にもたらす。80℃で1時間20分経た後に、溶液をデカンテーションする。170.5gの水性相を取出す。
有機相を、固形分が69%程度であるように調節する。
溶媒の分析は、次の分布:水1.6重量%、酢酸n−ブチル29.5重量%を示した。
潜在的NCOの濃度は10.03%であった。
溶媒の蒸発後のKBrフィルム上での赤外線分析は、3,5−ジメチルピラゾールでブロックしたHDTのスペクトルの特徴を示していて、遊離のイソシアネート官能基の不存在を示した。
【0118】
例4
HDT−3,5−ジメチルピラゾールブロックドポリイソシアネート組成物の合成
例1に従って得た340gの39%DMP水性懸濁液(122.5gのDMP及び191.5gの水)を使用して、例3のように操作を実施する。
HDTポリイソシアネートの有機溶液(132.8gの燐酸トリフェニル中に265.8g)を反応媒体にほぼ15分間で添加する。反応媒体の温度は、添加開始時の60℃から添加終了時の75℃まで上昇する。ブロック反応を終了させるために反応混合物を80℃で2時間撹拌し続ける。
次いで、この溶液をデカンテーションし、233.5gの相を取出す。
有機相に233.5gの燐酸トリフェニルを添加した後、54%のHDT−DMP固形分及び25℃で330mPaに等しい粘度を有する透明な水性有機ブロックドポリイソシアネート溶液を得た。
溶媒の分析は、次の分布:水28.1重量%、燐酸トリフェニル18重量%を示した。
潜在的NCOの濃度は0.239、即ち10%であった。
溶媒の蒸発後のKBrフィルム上での赤外線分析は、3,5−ジメチルピラゾールでブロックしたHDTのスペクトルの特徴を示していて、遊離のイソシアネート官能基の不存在を示した。
【0119】
例5
HDT−3,5−ジメチルピラゾールブロックドポリイソシアネート組成物の合成
例1に従って得た287gの39%DMP水性懸濁液(112gのDMP及び175gの水)を使用して、例4のように操作を実施する。
HDTポリイソシアネート(224.3g)を反応媒体にほぼ40分間で直接添加する。反応媒体の温度を60℃に保持する。HDTの添加が終了したならば、21.5gのN−メチルピロリドン(即ち、6重量%)を反応媒体に流入し、温度を75℃に上昇させる。反応媒体を85℃で2時間撹拌し続けてブロック反応を終了させる。
次いで、63%のHDT−DMP固形分を有する溶液を貯蔵する。
貯蔵中にデカンテーションにより二相に分離するのが観察されたが、このことはN−メチルピロリドンがHDT−DMPを処方するための最良の溶媒でないことを示している。
【0120】
例6
DMPでブロックしたHDTの水性有機溶液の合成
HDTの酢酸n−ブチル溶液(41.6gの酢酸n−ブチル中に382.4gのHDT)を例1の反応媒体にほぼ75℃で55分間で添加する。反応媒体の温度は75℃に上昇する。
次いで、反応媒体をデカンテーションし、水の大部分を除去した後に、有機相を貯蔵容器に排出する。
赤外線分析は、2500cm-1でのイソシアネート吸収帯の不存在及びブロックに相当する尿素吸収帯の存在を示した。
【0121】
例7
DMPでブロックしたHDTの水性有機溶液の合成
HDTの溶液がソルベッソ100(登録商標)/酢酸n−ブチル(重量で50/50)混合物による溶液であることを別にして、上記の例6のように操作を実施する。
ソルベッソが存在すると、デカンテーションが更に困難となり、DMPでブロックしたHDTの白いミルク状エマルジョンが得られた。
【0122】
例8
DMPでブロックしたHDTの水性有機溶液の合成
例1に従って得た370gの39%DMP水性懸濁液(148gのDMP(1.54モル)及び222gの水)を使用して、例4のように操作を実施する。
HDTポリイソシアネート(297g、100g当たり0.519モルのNCOのNCO濃度)をソルベッソ100(148.2g)に溶解してなる溶液を反応媒体に1時間で直接添加する。反応媒体の温度を35℃に保持する。HDTの添加が終了するや否や、反応媒体の粘度が上昇するが、撹拌を容易にさせるために反応媒体の温度を75℃にもたらす。
反応媒体を75℃でほぼ2時間撹拌し続けてブロック反応を終了させる(IRによるイソシアネート官能基の制御)。
DMPでブロックしたイソシアネート官能基を持ち、固形分が49%であるHDTの水性有機エマルジョンを常温状態でもたらすように、上記の溶液を高温状態から外す。
遊離のジメチルピラゾールの量は0.03%であった。
溶媒の分析は、次の分布:ソルベッソ100(登録商標)19.5重量%及び水30.5重量%を与えた。
貯蔵中にデカンテーションによる二相の分離が観察されるが、HDT−DMPブロックドポリイソシアネートは安定である。
【0123】
例9
ピルビン酸メチルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートトリマーをベースとした組成物の製造方法
83gの純度99%のヒドロキシルアミン硫酸塩(即ち0.5モル)と240gの水を、冷媒、温度計及び慣用の撹拌装置を備えた1Lの恒温反応器に周囲温度で続けて導入する。反応媒体の温度は20.7℃から15.5℃に低下する。
118.5gのピルビン酸メチルを120gの酢酸n−ブチルと混合することによってこの化合物の有機溶液を製造する。
この溶液を反応媒体に1時間で添加する。
この有機溶液の流入を開始してから10分後に(ほぼ40mL)、平行して250gの4N水酸化ナトリウム水溶液をほぼ1時間で添加する。反応媒体の温度は、15.5℃から反応終了時の45℃に上昇する。
40℃で3時間後に、有機相のデカンテーションを行ない、有機相を50gの水で2回洗浄して生成した硫酸ナトリウムの大部分を除去する。
534gの水性相と102.5gの水性洗浄相を取出した。
撹拌しながら40℃にもたらしたピルビン酸メチルオキシムの水性有機相(269g)に193gのポリイソシアネートのTOLONATE−HDT(100g当たり0.519のNCO官能基濃度)を40℃の温度勾配で2時間で添加する。
この添加のために選ばれた温度プロフィルは、次のようである。40℃で1時間、次いで30分間で85℃まで上昇、この温度を1時間保持。
遊離のイソシアネート官能基の不存在は赤外線分析により制御する。
このようにして、ピルビン酸メチルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つポリイソシアネートTOLONATE−HDTよりなり、固形分が74%で、25℃で1380mPa・sの粘度及び16.14%に等しい潜在的NCO濃度(100g当たり0.384モルのNCO)を有する437gの水性有機組成物が得られた。
得られた生成物の構造は、赤外線分析及びNMRにより確認された。
【0124】
例10
ピルビン酸メチルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートトリマーをベースとした組成物の製造方法
ピルビン酸メチルオキシムの形成後に硫酸ナトリウムを含有する水性相のデカンテーションを実施しないこと並びに二相のデカンテーションしてない反応媒体にHDTを添加することによりブロック反応を実施することを除いて、例9のように操作を実施する。
赤外線分析により決定されるブロック反応の終了後に、ピルビン酸メチルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つポリイソシアネートTOLONATE−HDTを含有する有機相の上の塩水性相のデカンテーションを実施する。
有機相を100mLの蒸留水で2回洗浄して残留痕跡量の硫酸ナトリウムを除去する。
このようにして、ピルビン酸メチルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持ち、75%の固形分及び25℃で1500mPa・sに等しい粘度を有するポリイソシアネートTOLONATE−HDTの溶液を得た。
結論
この例は、二相の媒体中でブロック剤の合成とポリイソシアネートのイソシアネート官能基のブロックを、中間でブロック剤を単離することなく、リンクさせることが可能であることを示す。塩の除去は、ブロック反応後まで遅らさせることができる。
【0125】
例11
ソルベッソ100中での3,5−ジメチルピラゾールの水性懸濁液の合成
例1のように操作を実施する。最終の処理に変更を加える。
350mLのトリメチルベンゼン(ソルベッソ(登録商標)100)をDMP水溶液に添加する。
次いで、反応混合物の共沸蒸留によって水を除去する。
水を除去した後、溶液を冷却させる。このようにして、DMPのソルベッソ100懸濁液を得た。次いで、これを有機相でのポリイソシアネートのイソシアネート官能基のブロックのために使用する。ソルベッソ100中のDMPの濃度は46%程度である。
【0126】
例12
ソルベッソ100中で3,5−ジメチルピラゾールでブロックしたイソシアネート官能基を持つHDTポリイソシアネートの有機組成物の製造
例11に記載のように製造したDMPのソルベッソ100懸濁液を使用する。
冷媒、温度計及び慣用の撹拌装置を備えた1Lの恒温反応器に、DMPのソルベッソ100懸濁液(即ち、174.5gのソルベッソ100中に152.5gのDMP、即ち、1.59モルのDMP)を周囲温度で導入する。
この懸濁液に、100g当たり0.519モルのイソシアネート官能基含有量を有する302gのポリイソシアネートTOLONATE−HDTを1時間で添加する。これにより反応媒体の温度は23℃から52℃まで上昇する。HDTポリイソシアネートの添加が終了したときに、反応媒体を80℃に更に1時間15分加熱してブロック反応を完了させる。
このようにして、固形分が73.4%であり且つ潜在的イソシアネート官能基含有量が10.5%であるDMPでブロックしたイソシアネート官能基を持つHDTの溶液625gを得た。
最終溶液中の遊離の3,5−ジメチルピラゾールの量は0.07%である。
溶媒の分析は、次の分布:25.5%のソルベッソ100及び1.1%の水を与えた。
赤外線スペクトルは、所期の赤外線スペクトルのそれと一致した。
この例は、リンク方法(ブロック剤の合成+イソシアネート官能基のブロック反応)が、中間でブロック剤を単離せずに、従ってブロック剤を損失させることなく、高い固形分を有する溶液を得るのを可能にさせることを示す。
【0127】
例13(比較例)
慣用法によるDMPでブロックしたHDTの有機溶液の合成
258gの酢酸n−ブチル溶媒と242g(即ち、2.52モル)の3,5−ジメチルピラゾールを、冷媒、温度計及び慣用の撹拌装置を備えた1Lの恒温反応器に周囲温度で導入する。反応媒体の温度を60℃にもたらし、100g当たり0.52モルのNCOを含有する500gのHDTポリイソシアネートを1時間で添加する。反応媒体の温度が60℃から80℃に上昇する。80℃で1時間仕上げた後、赤外線スペクトルは、イソシアネート吸収帯に相当する吸収帯の不存在を示した。960gのDMPでブロックしたHDTポリイソシアネートの有機溶液を500mLの瓶に入れてコンディショニングした。
この組成物は、74%の固形分、10.6%の潜在的NCO濃度及び25℃で1210mPa・sの粘度を有する。
この誘導体を適用試験で使用できるようにするために固形分を70%の量に調節した。 この混合物を比較試験(例14)を実施するために使用する。
【0128】
例14
適用比較試験
本発明のリンク方法:ブロック剤の合成−HDTのイソシアネート官能基のブロック反応に従ってDMPでブロックしたHDTポリイソシアネート(例3)及び慣用法に従って得たDMPでブロックしたイソシアネート官能基を持つ同じ性質のHDTのポリイソシアネートを使用して得た被覆を比較する。
本発明の主題である例3の硬化剤により得られた結果は、例13(比較例)で得た結果に匹敵できる。このことは、開発された合成法が皮膜の性能にマイナスの影響を及ぼさないことを示している。
【0129】
例3及び13の処方物の組成は次の通りである。
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
ソルベッソ100/酢酸n−ブチルを添加することによって粘度50s(フォード4カップ)とし、スチール板上に皮膜スプレダー(100μm、湿潤)により適用し、30分間溶媒除去し、次いで140、150又は160℃で30分間硬化させる。
【0132】
適用試験の結果を以下に示す。
【表3】
【0001】
本発明は、ブロックドイソシアネート、特にブロックドポリイソシアネートの製造法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、ブロック剤の製造と(ポリ)イソシアネートのブロッキングを、厳密に言えばその中間反応生成物を分離することなく互いに直接組み合わせる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
オキシム型のブロック剤の手段によってブロックされたポリイソシアネートは、SU727637号、SU78−2665978号、US4868298号及びDE2342775号に記載されている。
【0004】
さらに、SU414259号及びEP159117号は、イソシアネート官能基がピラゾールでブロックされたポリイソシアネートを記載している。
【0005】
イソシアネートをブロックするための多くの他の方法がこの文献に記載されている。これらの方法の全ては、次の2工程:ブロック剤の製造と分離の第1工程及びブロック剤とブロックしようとするイソシアネート組成物中に存在するイソシアネート官能基とを反応させる第2工程からなる。
【特許文献1】
ソビエト連邦特許第727637号明細書
【特許文献2】
ソビエト連邦特許出願公開第78−2665978号明細書
【特許文献3】
米国特許第4868298号明細書
【特許文献4】
独国特許発明第2342775号明細書
【特許文献5】
ソビエト連邦特許第414259号明細書
【特許文献6】
欧州特許第159117号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ブロックド(ポリ)イソシアネート組成物を制御された態様で製造することである。
【0007】
また、本発明の目的は、ブロック性基の量が予め決定でき、ブロック剤の前駆物質である化合物を直接使用して中間化合物を損失させることなく且つ該ブロック剤を中間分離することなく得られる、部分又は完全ブロックド(ポリ)イソシアネート組成物の有機、水性−有機又は水性媒体溶液、懸濁液又はエマルジョンを提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者による研究の結果、特定のブロック剤のタイプのために、ブロック反応を妨害するブロック剤の分離の欠如なしにブロック剤の前駆物質を使用して1工程方法によりブロックドポリイソシアネートを製造することが可能であることが分かった。
【0009】
本発明の主題は、C=N結合を示しそしてそのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある原子上に移動性水素を有するブロック剤を使用してブロックド(ポリ)イソシアネートを製造する方法において、次の工程:
(a)アルデヒド又はケトンよりなる前駆物質をアルデヒド又はケトンのカルボニル官能基に対して反応性の官能基を含む窒素含有前駆物質と水性、有機又は水性−有機媒体中において縮合水の離脱を伴って縮合させることによって得ることができる、C=N結合を示しそしてそのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある原子上に移動性水素を有するブロック剤を製造し、
(b)そのブロック剤とブロックしようとする(ポリ)イソシアネート組成物とを現場で反応させて完全又は部分ブロックド(ポリ)イソシアネートを得ること
を含むことを特徴とするブロックド(ポリ)イソシアネートの製造法である。
【0010】
有利には、そのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある移動性水素は、酸素又は窒素原子によって保持されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
語句「アルデヒド又はケトンよりなる前駆物質をアルデヒド又はケトンのカルボニル官能基に対して反応性の官能基を含む窒素含有前駆物質と縮合させることによって得ることができる」とは、ブロック剤が本発明の方法の文脈ではこの経路によって得られうるが、必ずしもこれに限られないことを意味するものとする。
【0012】
上記のタイプの前駆物質間の縮合反応は平衡反応であり、そのカルボニル前駆物質の縮合はブロック剤加水分解反応と平衡状態にある(「Textbook of Practical Organic Chemistry,フォーゲル,第5版,ジョン・ウィリーアンドソンズ,p1228)。
【0013】
さらに、ケトン誘導体は、多くの場合窒素含有誘導体との縮合中に寄生反応を誘導しうる移動性水素原子を有する。
【0014】
従って、本発明の方法は、当業者が、反応しなかった出発物質及びまた工程(a)の終了時に反応媒体中に存在する厄介な副産物がまず第一にブロック反応を妨害し、そして第二に本発明のブロックド(ポリ)イソシアネート組成物の適用中に得られる塗料の品質に悪影響を及ぼすことを予期し、そして結果としてブロック剤の製造用の反応媒体からブロック剤を注意深く分離することが実際のブロッキングを実施する前の必須工程であると考えている限りにおいて驚くべき特徴を示す。工程(a)の終了時に反応媒体中に存在する副産物(これは従来技術からみれば厄介なものとみなされるかもしれない)としては、例えば、ブロック剤を製造するための反応中に形成される水が挙げられる。
【0015】
本発明の方法にとって好適なブロック剤は、好ましくは、オキシム、ピラゾール及びヒドラゾンであり、後者のものはセミカルバゾンを包含する。
【0016】
一般に、本発明のブロック剤は、次の一般式I〜III:
【化1】
[式中、
・R1及びR2は、S、O及びNから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子、好ましくはOで随意に置換されうる、及び/又は中断されうるアルキル基、ペルハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基から選択され、
・R3、R4及びR5は、水素原子、並びにS、O及びNから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子、好ましくはOで随意に置換されうる、及び/又は中断されうるアルキル基、ペルハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基から選択され、
・R6は、水素原子、上に定義されるようなアルキル基、シクロアルキル基若しくはアリール基又は式CONR7R8(ここで、R7及びR8は、互いに独立して、随意に置換されうるアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択されうる)を表す]
に相当する。
【0017】
上記の式I、II及びIIIにおいて、C=N基の窒素のα−位置にある移動性水素原子は太線で下線を施されている。
【0018】
好ましくは、R1及びR2又はR3、R4及びR5の1種は、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニル又はアリールオキシカルボニル基を表す。式I、II及びIIIにおいて、R1、R2、R3、R4及びR5基がヘテロ原子で中断される炭化水素鎖を表すときに、好ましくは、2個以下の単一炭素原子上の単結合C−O、C−S及び/又はC−Nが存在する。
【0019】
R1〜R6基は、有利には、せいぜい15個の炭素原子、好ましくはせいぜい10個の炭素原子を含有する。
【0020】
ブロック剤を合成するための工程(a)は、当業者に知られた反応を使用する。
【0021】
しかして、塩基性媒体中で1,3−ジケトン(又はβ−ジケトン)をヒドラジンと反応させて置換ピラゾールを生成させることは、特に「Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry」(B.S.ファーニス,A.J.ハナフォード,P.W.G.スミス,A.R.タッチェル),第5版に記載されている。
【0022】
さらに、ヒドロキシルアミンとケトンの反応は、特にジェリー・マーチ著,「Advanced Organic Chemistry」,第3版,J.ウィリーアンドソンズ,pp534,729,805及び1170に記載された周知の反応である。
【0023】
ヒドラジン又はその誘導体の1種とケトン又はケトアルコールからのヒドラゾンの製造法は当業者に周知であり、特に「Textbook of Practical Organic Chemistry」,フォーゲル,第5版,ジョン・ウィリーアンドソンズ,p.1245に記載されている。
【0024】
本発明の目的のために、用語「アルキル」基とは、一般に、水素と炭素原子のみを有し且つ一般に1〜20、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜6個の炭素原子を有する飽和線状又は分岐炭化水素基を意味するものとする。
【0025】
用語「シクロアルキル」とは、単環を含有し且つ有利には3〜12個の炭素原子を有する上に定義されるようなアルキル基、例えばシクロプロピル又はシクロプロピルメチル基を意味するものとする。
【0026】
用語「アリール」基とは、6〜10個の炭素原子を含む単環式又は二環式の炭化水素芳香族基を意味するものとする。
【0027】
本発明の目的のために、用語「アルコキシ」とは、−O−アルキル基を意味し、このアルキルは上に定義されるようなものであり、特にシクロアルキル及びアラルキルを包含するものとする。
【0028】
本発明の目的のために、用語「アリールオキシ」とは、−O−アリール基(このアリールは上に定義されるものである)を意味するものとする。
【0029】
本発明の目的のために、用語「アシル」とは、−C(O)−アルキル又は−C(O)−アリール基を意味し、このアルキル及びアリールは上に定義されるようなものであり、しかもアルキルはシクロアルキル及びアラルキルを包含するものとする。
【0030】
本発明の目的のために、用語「アシルオキシ」とは、−O−C(O)−アルキル又は−O−C(O)−アリール基を意味し、このアルキル及びアリール基は上に定義されるようなものであり、しかもアルキルはシクロアルキル及びアラルキルを包含するものとする。
【0031】
本発明の目的のために、用語「アルコキシカルボニル」とは、−C(O)−O−アルキル基を意味し、このアルキルは、上に定義されるようなものであり、しかもシクロアルキル及びアラルキルを包含するものとする。
【0032】
本発明の目的のために、用語「アリールオキシカルボニル」とは、−C(O)−O−アリール基(このアリール基は上に定義されるようなものである)を意味するものとする。
【0033】
アルキル基の置換基は、アリール、OR9、SR9、NR9R10、PO4R9R10又はポリオキシエチレン基であることができ、ここでR9及びR10は同種又は異種であってよく、そして上に定義されるようなアルキル、シクロアルキル又はアリール基を表す。
【0034】
アリール基の置換基は、アルキル、アリール、OR9、SR9、NR9R10、PO4R9R10又はポリオキシエチレン基であることができ、ここでR9及びR10は同種又は異種であってよく、そして上に定義されるようなアルキル、シクロアルキル又はアリール基を表す。
【0035】
好ましいR1及びR2基はアルキル基、特にメチル及びエチル基であり、或いはR1及びR2の一つはアルコキシ又はカルボニル基、特にメチルオキシカルボニル又はアリールオキシカルボニル基である。
【0036】
好ましいR3、R4及びR5基は水素原子又はアルキル基、特にメチル又はアリール基、具体的にはフェニル基である。好ましくは、R3、R4及びR5のうちの少なくとも1種の基は水素原子を表す。
【0037】
好ましい式Iの化合物は、メチルエチルケトキシム(MEKO)、ベンゾフェノンオキシム、アルキルピルベートオキシム、特にメチルピルベートオキシム(POME)又はエチルピルベートオキシム及びシクロヘキサノンオキシムである。
【0038】
α−ジケトンから誘導されるオキシムは好ましくない。
【0039】
好ましい一般式IIの化合物は、ピラゾール、3−メチルピラゾール及び3,5−ジメチルピラゾールである。
【0040】
好ましい一般式IIIの化合物は、アセトアルデヒドヒドラゾン、アセトンメチルヒドラゾン、シクロペンタノンメチルヒドラゾン及びメチルエチルケトンメチルヒドラゾンである。
【0041】
本発明の第1の具体例によれば、工程(a)において、ヒドロキシルアミンをケトン、α−ケトエステル又はさらにβ−ケトエステルと反応させてオキシムを得る。
【0042】
この場合には、これらのケトンは、ヒドロキシカルビルオキシカルボニル、特に、アルキルオキシ若しくはアリールオキシカルボニル又はケトエステル、好ましくはα−ケトエステル、特にWO97/24386号に記載されたもの、ケトニトリル、ジアルコキシルアミド、アルドール及びケトール(糖及びそれらの誘導体並びに環状エステル、具体的にはラクトン及びケトアルコール(ここで、このアルコール官能基は、好ましくは第二又は第三である)も含めて)を包含する。
【0043】
本発明の第2の具体例では、工程(a)において、ヒドラジンをβ−ジケトンと反応させてピラゾール化合物を得る。
【0044】
本発明の第3の具体例によれば、工程(a)において、ヒドラジン又はヒドラジン誘導体をケトン又は好ましくは第二若しくは第三ε−ケトアルコールと、或いはケトラクトンと反応させてヒドラゾンを得る。
【0045】
より正確に言えば、一般式Iに相当するオキシムは、1モルのヒドロキシルアミンを1モルの一般式Ia:
【化2】
[式中、R1及びR2は上に定義するようなものである]
のケトンと1モルの水の脱離を伴って縮合させることによって得られうる。
【0046】
この反応は、一般に、pH3〜10、有利にはpH4〜6、好ましくはpH5±0.5で実施される。
【0047】
一般式IIのピラゾールは、1モルのヒドラジン:
NH2−NH2
と1モルの一般式IIaのβ−ジケトン:
【化3】
[式中、R3、R4及びR5は上に定義されるようなものである]
との2モルの水の脱離を伴った反応によって得られる。
【0048】
一般式IIIのヒドラゾンは、1モルの一般式IIIa:
NH2−NHR6 (IIIa)
[式中、R6は上に定義されるようなものである]
のヒドラジンと1モルの上に定義されるような一般式(Ia)のケトンとの1モルの水の脱離を伴った反応によって得られる。
【0049】
本発明の方法の第1工程は、それ自体周知の態様で有機、水性−有機又は水性媒体で実施される。溶媒の選択は最終処方物の溶媒によって左右される。
【0050】
有機媒体中で(ポリ)イソシアネート組成物を得るのが望ましいならば、このタイプの処方物について慣用される溶媒、特にエステル(酢酸n−ブチル)、エーテル又は炭化水素、好ましくは芳香族炭化水素、例えばSOLVESSO(登録商標)が使用されるであろう。
【0051】
水性−有機媒体中で組成物を得るのが望ましいならば、水混和性有機溶媒が選択されるであろう。エーテル、アルコール又はアミド、例えばNMPが好ましいであろう。
【0052】
水性組成物を得るのが望ましいならば、反応は、もっぱら水中で実施されるであろう。
【0053】
本発明の状況内では、意外にも、該反応がカルボニル化合物と窒素含有化合物との縮合を阻害することなく二相性の態様で実施できることが示された。この反応媒体はカルボニル化合物と窒素含有化合物との縮合を阻害することなく、しかも(ポリ)イソシアネート組成物をブロックするその後の反応を阻害することなく同種又は異種であることができることを理解されたい。
【0054】
これらのいずれかの場合には、ブロック剤を製造するための反応中に形成される水の存在がそれ自体ブロッキング反応を阻害する要因を構成しないことを理解されたい。また、水を反応媒体に添加することも考えられうる。しかして、反応媒体の水分は、有利には、ブロック剤の製造中に形成される水の量の1倍、好ましくは1.5倍、より好ましくは2倍であろう。
【0055】
反応温度は、一般に20〜100℃であり、好ましくは50℃前後である。
【0056】
反応時間は、一般に、ほぼ30分〜8時間であり、有利には、ほぼ30分〜4時間である。
【0057】
この手順は、一般に、せいぜい0.9、有利には1である>=O官能基/前駆物質の窒素含有官能基の当量比で、好ましくは、20%まで、好ましくは10%までの範囲にある前駆物質の窒素含有官能基の当量対>=O官能基の当量の超過量で実施される。また、この手順は、>=Oの僅かな超過量で実施される。しかしながら、この具体例は好ましくない。というのは、この生成物は黄色に変わる傾向があり、これは本発明のブロックド(ポリ)イソシアネート組成物のいくつかの用途には問題であると分かったためである。
【0058】
第1工程の終了時に、一般式I、II又はIIIの反応生成物、カルボニル試薬と窒素含有試薬との縮合によって誘導された水及びしかるべき場合に有機溶媒が得られる。
【0059】
本発明の第1の具体例では、工程(a)は有機水性−有機媒体で実施される。一般式I、II又はIIIの化合物と相当するカルボニル化合物との縮合によって生じた水は、例えば沈降による分離又は当業者に周知の任意の他の方法によって随意に除去されうる水性媒体を形成し、そして一般式I、II又はIIIの反応生成物は、必ずしも乾燥状態ではない有機相から溶液又は懸濁液の状態で回収できる。これは完全な水の除去を伴わない。
【0060】
本発明の第2の具体例では、工程(a)で生じた水は除去されず、その反応生成物は、初期の反応媒体が有機溶媒を含有するかどうかによって水性又は水性−有機媒体の溶液又は懸濁液の状態で得られる。
【0061】
本発明の第3の具体例では、反応は、完全に水性媒体で実施される。この場合には、その平衡は、例えば、形成される化合物の沈殿によってシフトしよう。一般には、この具体例は、その平衡が出発化合物の方へシフトするという事実を考慮すれば好ましくない。
【0062】
ブロッキング工程(b)は、工程(a)の終了時に得られた反応媒体で、しかるべき場合に沈降による分離工程以外の該媒体のその後の処理なしに、とはいえ、全ての場合に中間ブロック生成物の分離なしに直接実施される。
【0063】
イソシアネートとブロック剤の反応は発熱的であるため、その反応温度は、ブロック剤、イソシアネート化合物及び媒体中の試薬濃度の性質に従って上昇する。
【0064】
第1の手順によれば、NCO官能基をブロックすることが求められるイソシアネートは、ブロック剤を含有する反応媒体に、好ましくは徐々に且つ連続的に、その反応媒体の温度をブロック基の脱離温度以下、好ましくは100℃以下、さらに好ましくは80℃以下に保持するような方法で導入される。
【0065】
イソシアネートは、一般に、20〜120℃の温度、好ましくは50℃近辺で導入される。しかしながら、反応を促進させることが望ましいならば反応媒体を加熱することも可能である。
【0066】
第2の手順によれば、工程(a)のブロック剤は、ブロックしようとする(ポリ)イソシアネート組成物に添加される。
【0067】
(ポリ)イソシアネートがブロック剤に添加されるときに、イソシアネート官能基の全ては、イソシアネートと反応するブロック剤の官能基/イソシアネート官能基が≧1である限りブロックされる。
【0068】
逆の場合には、ブロック剤を(ポリ)イソシアネートに添加するのを停止させ、そして部分的にブロックされた(ポリ)イソシアネートを得ることが可能であるが、ここで、ブロック剤/イソシアネート比は1以下であり、しかもブロック剤の分布は不規則、即ち、実質的にはブロック剤の全てが初期の(ポリ)イソシアネート組成物中に存在するそれぞれの(ポリ)イソシアネート種のイソシアネート官能基の全て又はいくらかをブロックする。次いで、第2のブロック剤又は連鎖延長剤(ジオール、プレポリマーなど)が非常に容易に導入できる。
【0069】
この2つの場合には、イソシアネートとH2Oとの反応によって尿素及びことによるとビウレットの形成がありうるが、本発明によれば、この反応は、これが自発的でない限り(連鎖延長剤又は触媒の添加)ブロッキング反応に対して明らかにさほど重要ではない。遊離のNCO官能基は、ジブチルアミン法によって検定され、或いはその後2250cm-1での赤外線で検定される(NCO帯域)。
【0070】
ブロッキング反応は触媒を添加することによって促進されうるが、この添加は必須ではない。
【0071】
本発明の特定の具体例によれば、工程(a)について、2種の異なるオキシム、例えばMEKO及びPOME、又は2種の異なるピラゾール、例えばピラゾール及び3−メチルピラゾールを生成させる2種の異なるカルボニル化合物を使用することができ、またブロッキングは得られた混合ブロック剤でその後に実施できる。
【0072】
また、化合物Ia及び/又はIIa/ヒドラジン若しくはヒドラジン誘導体の一組を選択してある種のタイプのブロック剤(例えば、オキシム)と異なるタイプのブロック剤(例えば、ピラゾール)との混合物を得ることも可能であり、その後に、このものはブロックされるべき(ポリ)イソシアネートと反応して混合ブロック(ポリ)イソシアネートが得られる。
【0073】
ブロック剤と反応するイソシアネートは、単量体のイソシアネート、特にジイソシアネート又はトリイソシアネートであることができる。好ましい単量体は、イソシアネート官能基の少なくとも1個が脂肪族、即ち、有利には少なくとも1個、好ましくは2個の水素原子も保持する(sp3)混成炭素によって保持されるものである。
【0074】
特に、次の単量体イソシアネートが挙げられる。
・1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、
・1,12−ドデカンジイソシアネート、
・シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、
・シクロヘキサン−1,3−及び/又は1,4−ジイソシアネート、
・1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート又はIPDI)、
・2,4−及び/又は2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、
・ヘキサヒドロ−1,3−及び/又は−1,4−フェニレンジイソシアネート、
・ペルヒドロ−2,4'−及び/又は−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、
・1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、
・2,4−及び/又は2,6−トルイレンジイソシアネート、
・ジフェニルメタン−2,4'−及び/又は−4,4'−ジイソシアネート、
・4−イソシアナトメチルオクチレンジイソシアネート(LTI又はNTI)、
・トリフェニルメタン−4,4',4"−トリイソシアネート、
・1,3−ビスイソシアナトメチルシクロヘキサン、
・ビスイソシアナトメチルノルボルナン(NBDI)、
・2−メチルペンタメチレンジイソシアネート。
【0075】
また、イソシアネートは、アルキレンジイソシアネートのホモ縮合又はヘテロ縮合の生成物、特にイソシアネート官能基を有するビウレット及びトリマータイプ若しくはプレポリマータイプからなる生成物、特に尿素、ウレタン、アロファネート、エステル又はアミド官能基を含む生成物又は上記の生成物の混合物であることもできる。
【0076】
また、イソシアネートは、移動性水素を有する少なくとも1種の官能基を有する化合物、特にポリオール又はポリアミンとの初期縮合生成物であることもできる。
【0077】
このタイプの化合物のサブファミリーは、アルコール、一般にはトリオール、又はポリアミン、特にトリアミンとポリイソシアネート、一般にはジイソシアネートとの予備重合によって誘導されるポリイソシアネートに向けられ、ここで、このイソシアネート官能基の量は、この予備重合の終了時に1分子当たりの残留イソシアネート官能基の数が平均して2個以上、有利には少なくとも2.5個、好ましくは少なくとも3個であるように移動性水素を有する官能基(例えばアミン及び/又はアルコール)の量よりも多い。
【0078】
アルコール化合物の例としては、モノアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール又はブタノール、2〜30個の炭素原子を有するポリオール、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット又はジグリム、フェノール類、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール及びノニフェノールが挙げられる。
【0079】
好ましいイソシアネート化合物としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのシクロ三量体、即ち、3モルのHDIをそれ自体とシクロ三量体化させることによって得られたモノイソシアヌレート化合物、HDIのシクロ二量体、即ち、2モルのHDIをそれ自体とシクロ二量体化させることによって得られたウレチジオンが挙げられ、またこれらの化合物のビウレット及びアロファネート誘導体も挙げられる。
【0080】
工程(b)の反応媒体が有機媒体であるとき、即ち、その水性相が、特に沈降による分離によって随意に除去されたときに、ブロックドイソシアネートがブロック剤の性質及び/又は組成物中に存在するブロック基のパーセンテージに応じて有機媒体溶液又は懸濁液の状態で得られる。
【0081】
水性エマルジョン状態のブロックドイソシアネート組成物を得るのが望ましいときには、工程(a)をもっぱら水性媒体で実施し、そして得られた反応生成物に工程(b)の前、中又は終了時に界面活性剤を添加することが有利である。しかしながら、この界面活性剤の添加は必須ではなく、反応を異種媒体中で行うことが可能である。
【0082】
エマルジョンの形成のため使用される界面活性剤は、それらのエマルジョン形成特性に関して当業者に知られた標準的な界面活性剤から選択される(例えば、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル)。
【0083】
界面活性剤は、イソシアネートとは異質なもの又はそれ自体がイソシアネートであり且つイソシアネートを活性水素を有する官能基を示す前駆物質に作用させることによって得られたもの(該前駆物質は、著しい親水性を示すか又はそれ自体がすでに両親媒性であるかのいずれかである)のいずれかであることができ、或いはこれら2種の混合物であることができる。この合成は、ブロッキングの前又はそれと同時に実施できる。
【0084】
使用される界面活性剤は、10以上、好ましくはほぼ10〜20のHLBを有する非イオン性、有利にはほぼ10以上のHLBを有する陰イオン性、陽イオン性、両性イオン性又は両性であることができる。
【0085】
非イオン界面活性剤は、有利には少なくともほぼ10のHLBを示すアルコキシル化脂肪酸、ポリアルコキシル化アルキルフェノール、ポリアルコキシル化脂肪アルコール、ポリアルコキシル化又はポリグリセリン化脂肪アミド、ポリグリセリン化アルコール及びα−ジオール、ポリアルキレングリコール、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック重合体から選択され、またアルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、糖エーテル、糖エステル、糖グリセリド、ソルビタンエステル及びこれらの糖誘導体のエトキシル化化合物からも選択される。
【0086】
陰イオン界面活性剤は、有利には少なくともほぼ10のHLBを示すアルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、スルホ琥珀酸ジアルキル塩、燐酸アルキル及びよく解離されるエーテル燐酸塩、例えば、アルカリ塩、アンモニウム塩、有利には第四アンモニウム塩を構成するものから選択されうる。いくつかの好ましい界面活性剤の詳細を以下に与える。
【0087】
陽イオン界面活性剤のなかでは、有利には少なくともほぼ10のHLBを示す脂肪族又は芳香族脂肪アミン、脂肪族脂肪アミド及び第四アンモニウム誘導体が挙げられる。
【0088】
両性イオン又は両性界面活性剤のなかでは、有利には少なくともほぼ10のHLBを示すベタイン及びその誘導体、スルタイン及びその誘導体、レシチン、イミダゾリン誘導体、グリシネート及びその誘導体、アミドプロピオン酸塩及び脂肪アミンの酸化物が挙げられる。
【0089】
一般に、これらの界面活性剤が非イオン界面活性剤であるときに、これらのものは、ブロックされ又はブロックされていなくてもよいポリイソシアネートが直ちに乳化できるほどに十分な数、一般にはほぼ10個以上の数の親水性基、例えばエチレンオキシド基を有する。また、これらの界面活性剤は、芳香族基を有する脂肪族鎖又は単に8〜50個の炭素原子を含有する脂肪族鎖から選択できる疎水性成分も有する。また、シリコーン単位又は弗素化単位のようなその他の疎水性単位も特定の用途のために使用できる。
【0090】
脂肪酸のポリオキシアルキレンエステル誘導体の例示として、エトキシル化アルキルフェノール、ポリアルキルオキシアルキレン鎖(例えば、ポリオキシ及び/又はプロポキシエチレングリコールのような)を含有する燐酸塩エステル及びポリエチレンオキシド鎖を含有するトリスチリルフェノールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
また、該界面活性剤は、中性の又は陰イオン性官能基を有する薬剤(又は界面活性剤の混合物)からなることもできる。
【0092】
従って、有利には、該界面活性剤(又は界面活性剤の混合物)は、陰イオン性官能基及び少なくとも1個、有利には少なくとも5個、好ましくは少なくとも7個の次式:
−(CHR−CH2−O)−
(ここで、R=H又はCH3である)
のアルキレンオキシ単位、有利にはエチレンオキシ単位を含有するポリエチレングリコール鎖のフラグメントを含む化合物を含有する。
【0093】
該界面活性剤(又はその成分の一つ)は、有利には、陰イオン性官能基を有する化合物を主体とする。このタイプの界面活性剤は、例えば、WO99/10402号に記載されている。詳細についてはこれを参照されたい。
【0094】
好ましい界面活性剤は、その陰イオンが次式:
【化4】
また、式中qがゼロであるときには
【化5】
[これらの式において、
・pはゼロ又は1〜2の整数(閉間隔、即ち、限界を含む)を表し、
・mはゼロ又は1〜2の整数(閉間隔、即ち、限界を含む)を表し、
・p+m+qの合計はせいぜい3であり、
・1+q+2m+qは3又は5であり、
・X及びX'は同種又は異種であってよく、そしてせいぜい2個の炭素を含む結合手を表し、
・n及びsは同一又は異なってよく、そして5〜30、有利には5〜25、好ましくは9〜20(閉間隔、即ち、限界を含む)から選択される整数を表し、
・R1及びR2は同種又は異種であってよく、そして有利には特にハロゲン原子特に弗素原子で随意に置換されうるアリール及びアルキルから選択される炭化水素基を表す]
に相当するものである。燐酸塩エステル及びポリアルキレングリコールエステルが好ましい。
【0095】
特に、3〜20個、有利には8〜15個の平均EO単位数を含有し且つエトキシル化ノニルフェノール鎖又はエトキシル化脂肪酸鎖、例えばラウリル鎖又はC8〜C20の炭化水素鎖を有するポリエトキシル化燐酸塩モノ及びジエステルの混合物が挙げられる。特に、商品名RHODAFAC(登録商標)の下に販売されている生成物が挙げられる。
【0096】
この対陽イオンは、有利には1価であり、そして有利には本質的に非求核性、従って第四又は第三である無機陽イオン及び有機陽イオン(特に、ホスホニウム、アンモニウムのような第V族のオニウム又はスルホニウムなどのような第VI族のオニウム)並びにその混合物から選択され、最も一般的にはアミンから誘導されるアンモニウム、有利には第三アミンから選択される。有利には、イソシアネート官能基と反応性のある水素を示す有機陽イオンが避けられるため、第三アミンが好ましい。
【0097】
無機陽イオンは、クラウンエーテルのような相転移剤によって封鎖できる。この陽イオン(有機[アンモニウムなど]又は無機)のpKaは、有利には8〜12である。
【0098】
工程(a)が水性媒体で実施されるときに、反応媒体に工程(b)の前、中又は後に水分散性溶媒を添加することによって水性−有機エマルジョン状態の最終ブロックド(ポリ)イソシアネート組成物を得ることも可能である。特に、燐酸メチル、エーテル又はSOLVESSO(登録商標)タイプのその他の炭化水素、好ましくは芳香族炭化水素が挙げられる。
【0099】
この場合には、安定な水中油型エマルジョンを得るために水性−有機媒体に上記のタイプの界面活性剤を添加することが有利であるが、必須ではない。
【0100】
また、本発明の方法は、非常に濃縮されたブロックド(ポリ)イソシアネート組成物の有機溶液を得ることも可能にさせる。この場合には、工程(a)が水性媒体で実施され、そして工程(b)の終了時に、親水性溶媒がこの反応媒体に添加され、その後に有機相と水性相が分離し、そして非常に濃縮されたブロックド(ポリ)イソシアネート組成物の有機溶液が回収される。この目的のために好ましい溶媒は酢酸n−ブチルである。
【0101】
また、本発明の主題は、本発明に従う方法によって得られた部分又は完全ブロックド(ポリ)イソシアネート組成物でもある。
【0102】
本発明に従う部分又は完全ブロックド(ポリ)イソシアネートは、重合体及び/又は架橋物質を製造するための基材として使用でき、また、特にワニス及びペイントのような全てのタイプの塗料の主成分の一つとして使用できる。このような用途では、架橋性重合体の硬さの質は、技術及び機能の観点から望ましいものの一つである。
【0103】
この重合体を製造するための方法は、次の工程:
・本発明に従う保護ポリイソシアネート(I)をアルコール、フェノール、チオール、アニリンを含めたある種のアミンの形の反応性水素を示す誘導体を含有する共反応体と接触させ、ここで、これらの誘導体は、線状又は分岐であってよく且つ置換又は非置換であってよく、そして脂肪族、脂環式又は芳香族の炭化水素主鎖、好ましくは、シクロアルキル及びアラルキルを含めてアルキル、又はアリール主鎖を有しうるものとし(一般にポリオールであるこれらの共反応体は、それ自体周知である)、
・かくして形成された反応媒体を短時間わたって高温で又は長時間にわたって低温で加熱すること
を含む。
【0104】
第1の場合は、多くの場合「コイル被覆」と呼ばれる技術に相当し且つ180℃でせいぜい15分及び200℃でせいぜい5分の時間に相当し、さらに、過硬化が生じた場合についても良好な耐変色性(一般に耐黄変性)がある。この手順は、一般には、好ましくは150℃±10℃の温度で実施される。
【0105】
その他の極端な場合には、穏やかな硬化を一般にせいぜい2時間、より一般的にはせいぜい1時間にわたってせいぜい160℃の温度で実施する。
【0106】
有利には、この温度は、15時間以内、好ましくは10時間以内、さらに好ましくは8時間以内の時間にわたってせいぜい150℃、好ましくは80℃〜140℃、さらに好ましくは110℃〜130℃である。
【0107】
有機溶媒を反応媒体に含めることが考えられうる。また、水懸濁液も考えられうる。
【0108】
この随意の溶媒は上に定義されるようなものである。比較的非極性の溶媒、即ち、その誘電率がわずかに4以上であるか又は4であるもの、好ましくは5であるものが好ましい。
【0109】
共反応体の組成を構成する誘導体は、一般に、ジ、オリゴ又はポリ官能性である。これらのものは単量体であることができ、或いは二量体化、オリゴマー化又は重合によって誘導でき、そして随意に架橋されたポリウレタンを製造するために使用される。その選択は、最終用途の重合体について予期される官能価及びそれらの反応性によって決定されるであろう。
【0110】
ブロックドイソシアネートの開放を触媒する活性水素を示す誘導体の使用を避けることが好ましい。従って、アミンのなかでは、本発明に従ってブロックされたイソシアネート官能基の分解又はアミノ基転移を触媒しないもののみを使用することが好ましい。これらの共反応体は、一般に当業者に周知である。
【0111】
従って、本発明は、連続又は同時添加のために、
・本発明に従うブロックド(ポリ)イソシアネート、
・上記のような反応性水素を有する共反応体、
・オキシム、ピラゾール及び/又はヒドラゾンのためのそれ自体周知の随意の触媒、特に錫を主体とするもの、
・随意として少なくとも1種の顔料、
・随意として二酸化チタン、
・随意として水性相、
・随意として該混合物のエマルジョン又は懸濁液を構成する成分を維持するための界面活性剤、
・随意として有機溶媒、
・随意として脱水剤
を含むペイント組成物に関するものでもある。
【0112】
また、本発明は、上記の方法に従ってこれらの組成物を使用して得られたペイント及びワニスに関するものでもある。
【0113】
本発明を下記の実施例により例示する。
【0114】
下記の実施例では、生成物の特徴付けのためにこれらの三つのIR吸収帯を参照されたい。
遊離の又はブロックしたポリイソシアネートの特徴的な官能基の赤外線吸収帯
最終生成物の赤外線分析は、周囲温度で溶媒及び水を蒸発させた後に、KBrペレット上で実施する。次いで、乾燥抽出物をKBrウエハー上でフィルム状で検査する。
3,5−ジメチルピラゾールでブロックしたイソシアネート官能基を持つHDTポリイソシアネートの特徴的な吸収帯
・NCO:2250cm-1
・COイソシアヌレート:1688cm-1及び1465cm-1
・3,5−ジメチルピラゾールによるブロックの吸収帯:
−C=Oブロック:1720cm-1及び−C(=O)−NH−ブロック:1518cm-1
・NH:3398cm-1
メチルエチルケトキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つHDTポリイソシアネートの特徴的な吸収帯
・NCO:2250cm-1
・COイソシアヌレート:1688cm-1及び1465cm-1
・MEKOによるブロックの吸収帯:
−C=Oブロック:1731cm-1及び−C=O−NH−ブロック:1508cm-1
ピルビン酸アルキルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つHDTポリイソシアネートの特徴的な吸収帯
・NCO:2250cm-1
・COイソシアヌレート:1688cm-1及び1465cm-1
・オキシムによるブロックの吸収帯:
−C=Oブロック:1731cm-1及び−C=O−NH−ブロック:1508cm-1
エステル吸収帯:1732cm-1
【実施例】
【0115】
例1
3,5−ジメチルピラゾールの水性懸濁液の合成
冷媒、温度計及び慣用の撹拌装置を備えた1Lの恒温反応器に135gの51重量%ヒドラジン水和物、即ち2.15モルのヒドラジンを周囲温度で連続導入する。次いで、47gの水を添加する。
温度を約50℃に保持しながら、反応媒体に200g(2モル)のアセチルアセトンを2時間で添加する。
添加が完了したときに、反応媒体の温度を70℃に更に2時間もたらして反応を終息させる。
このDMP水溶液はそのまま使用することができ、又は40%のDMP水性懸濁液を得るように希釈することができる。
この溶液の冷却中に生成したDMPが沈殿する。得られた生成物の構造を赤外線分析及びNMRにより確認した。
ヒドラジン水和物の水溶液は、塩の共生をもたらさないので、ヒドラジン源として使用するのが好ましい。
3,5−ジメチルピラゾールを合成するための別の経路(ボーゲルのTextbook of Practical Organic Chemistry、第5版、第1149頁、ジョンウイリー&ソンズ社、ニューヨークに記載)は、ヒドラジン硫酸塩を使用し、塩(硫酸ナトリウム)を生成させるので、後者はイソシアヌレート官能基のブロックの前後で除去しなければならない。
下記の実施例では、本例から誘導した39%のDMP水溶液(周囲温度では懸濁液)を使用するので、塩を含まない。
【0116】
例2
HDT−3,5−ジメチルピラゾールブロックドポリイソシアネート組成物の合成
冷媒、温度計及び慣用の撹拌装置を備えた1Lの恒温反応器に、例1に記載のように製造した40%の固形分を含有する365gの3,5−ジメチルピラゾール(DMP)水性懸濁液、即ち、146gの3,5−DMPを、周囲温度で導入する。
反応媒体を60℃の温度に加熱するが、この温度でDMPはゆっくりと溶解する。
撹拌した反応媒体に、ヘキサメチレンジイソシアネートトリマー(イソシアヌレート)(TOLONATE−HDT)をベースとしたポリイソシアネートを酢酸n−ブチル(AcOn−Bu)に溶解してなる溶液380g(即ち、127gのAcOn−Buに溶解した100g当たり0.52モルのNCOを含有する253gのHDT)を1時間45分で添加する。
反応媒体の温度を、反応塊の試料の赤外線分析が2250cm-1でのイソシアネート吸収帯の不存在を示すまで、80℃に1時間40分もたらす。
100gの水と86gの酢酸n−ブチルを反応媒体に添加し、反応媒体のデカンテーションを実施する。有機相を450gの水で洗浄し、更にデカンテーションを実施する。
次いで、DMPでブロックしたHDTポリイソシアネートを含有する水性有機相(437g)を追加の乾燥なしに容器に貯蔵する。
この有機相を分析すると、2重量%の水の存在が示された。
1H NMRにより検定された酢酸n−ブチルの量は36.3%である。最終有機溶液中のDMPでブロックしたHDTの量は62%である。
このエマルジョンの赤外線スペクトルは、形成されたHDT−DMP生成物が、乾燥粉末状の3,5−ジメチルピラゾールから出発する慣用の有機相法に従って得られたHDT−DMPブロックドポリイソシアネート溶液と実質的に等しいことを示した。
DMPでブロックしたHDTポリイソシアネート溶液は、適用試験においてそのまま使用する(適用試験を参照されたい。)。
上記よりも高い固形分を望むならば、80℃の最高温度で部分真空蒸発により溶媒の幾分かを蒸留することが可能である。
また、1.5gのDMPでブロックしたHDTの水性有機溶液にアルコール(1gのエタノール)を添加すると完全に均質で半透明の溶液となることが示された。
【0117】
例3
HDT−3,5−ジメチルピラゾールブロックドポリイソシアネート組成物の合成
例1に従って得た314gの39%DMP水性懸濁液(122.5gのDMP及び191.5gの水)を使用して、例2のように実施する。
HDTポリイソシアネートの有機溶液(122.7gの酢酸n−ブチル中に245.5g)を反応媒体に60℃でほぼ50分間で添加する。HDT溶液の全てを添加した後、反応媒体の温度を80℃にもたらす。80℃で1時間20分経た後に、溶液をデカンテーションする。170.5gの水性相を取出す。
有機相を、固形分が69%程度であるように調節する。
溶媒の分析は、次の分布:水1.6重量%、酢酸n−ブチル29.5重量%を示した。
潜在的NCOの濃度は10.03%であった。
溶媒の蒸発後のKBrフィルム上での赤外線分析は、3,5−ジメチルピラゾールでブロックしたHDTのスペクトルの特徴を示していて、遊離のイソシアネート官能基の不存在を示した。
【0118】
例4
HDT−3,5−ジメチルピラゾールブロックドポリイソシアネート組成物の合成
例1に従って得た340gの39%DMP水性懸濁液(122.5gのDMP及び191.5gの水)を使用して、例3のように操作を実施する。
HDTポリイソシアネートの有機溶液(132.8gの燐酸トリフェニル中に265.8g)を反応媒体にほぼ15分間で添加する。反応媒体の温度は、添加開始時の60℃から添加終了時の75℃まで上昇する。ブロック反応を終了させるために反応混合物を80℃で2時間撹拌し続ける。
次いで、この溶液をデカンテーションし、233.5gの相を取出す。
有機相に233.5gの燐酸トリフェニルを添加した後、54%のHDT−DMP固形分及び25℃で330mPaに等しい粘度を有する透明な水性有機ブロックドポリイソシアネート溶液を得た。
溶媒の分析は、次の分布:水28.1重量%、燐酸トリフェニル18重量%を示した。
潜在的NCOの濃度は0.239、即ち10%であった。
溶媒の蒸発後のKBrフィルム上での赤外線分析は、3,5−ジメチルピラゾールでブロックしたHDTのスペクトルの特徴を示していて、遊離のイソシアネート官能基の不存在を示した。
【0119】
例5
HDT−3,5−ジメチルピラゾールブロックドポリイソシアネート組成物の合成
例1に従って得た287gの39%DMP水性懸濁液(112gのDMP及び175gの水)を使用して、例4のように操作を実施する。
HDTポリイソシアネート(224.3g)を反応媒体にほぼ40分間で直接添加する。反応媒体の温度を60℃に保持する。HDTの添加が終了したならば、21.5gのN−メチルピロリドン(即ち、6重量%)を反応媒体に流入し、温度を75℃に上昇させる。反応媒体を85℃で2時間撹拌し続けてブロック反応を終了させる。
次いで、63%のHDT−DMP固形分を有する溶液を貯蔵する。
貯蔵中にデカンテーションにより二相に分離するのが観察されたが、このことはN−メチルピロリドンがHDT−DMPを処方するための最良の溶媒でないことを示している。
【0120】
例6
DMPでブロックしたHDTの水性有機溶液の合成
HDTの酢酸n−ブチル溶液(41.6gの酢酸n−ブチル中に382.4gのHDT)を例1の反応媒体にほぼ75℃で55分間で添加する。反応媒体の温度は75℃に上昇する。
次いで、反応媒体をデカンテーションし、水の大部分を除去した後に、有機相を貯蔵容器に排出する。
赤外線分析は、2500cm-1でのイソシアネート吸収帯の不存在及びブロックに相当する尿素吸収帯の存在を示した。
【0121】
例7
DMPでブロックしたHDTの水性有機溶液の合成
HDTの溶液がソルベッソ100(登録商標)/酢酸n−ブチル(重量で50/50)混合物による溶液であることを別にして、上記の例6のように操作を実施する。
ソルベッソが存在すると、デカンテーションが更に困難となり、DMPでブロックしたHDTの白いミルク状エマルジョンが得られた。
【0122】
例8
DMPでブロックしたHDTの水性有機溶液の合成
例1に従って得た370gの39%DMP水性懸濁液(148gのDMP(1.54モル)及び222gの水)を使用して、例4のように操作を実施する。
HDTポリイソシアネート(297g、100g当たり0.519モルのNCOのNCO濃度)をソルベッソ100(148.2g)に溶解してなる溶液を反応媒体に1時間で直接添加する。反応媒体の温度を35℃に保持する。HDTの添加が終了するや否や、反応媒体の粘度が上昇するが、撹拌を容易にさせるために反応媒体の温度を75℃にもたらす。
反応媒体を75℃でほぼ2時間撹拌し続けてブロック反応を終了させる(IRによるイソシアネート官能基の制御)。
DMPでブロックしたイソシアネート官能基を持ち、固形分が49%であるHDTの水性有機エマルジョンを常温状態でもたらすように、上記の溶液を高温状態から外す。
遊離のジメチルピラゾールの量は0.03%であった。
溶媒の分析は、次の分布:ソルベッソ100(登録商標)19.5重量%及び水30.5重量%を与えた。
貯蔵中にデカンテーションによる二相の分離が観察されるが、HDT−DMPブロックドポリイソシアネートは安定である。
【0123】
例9
ピルビン酸メチルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートトリマーをベースとした組成物の製造方法
83gの純度99%のヒドロキシルアミン硫酸塩(即ち0.5モル)と240gの水を、冷媒、温度計及び慣用の撹拌装置を備えた1Lの恒温反応器に周囲温度で続けて導入する。反応媒体の温度は20.7℃から15.5℃に低下する。
118.5gのピルビン酸メチルを120gの酢酸n−ブチルと混合することによってこの化合物の有機溶液を製造する。
この溶液を反応媒体に1時間で添加する。
この有機溶液の流入を開始してから10分後に(ほぼ40mL)、平行して250gの4N水酸化ナトリウム水溶液をほぼ1時間で添加する。反応媒体の温度は、15.5℃から反応終了時の45℃に上昇する。
40℃で3時間後に、有機相のデカンテーションを行ない、有機相を50gの水で2回洗浄して生成した硫酸ナトリウムの大部分を除去する。
534gの水性相と102.5gの水性洗浄相を取出した。
撹拌しながら40℃にもたらしたピルビン酸メチルオキシムの水性有機相(269g)に193gのポリイソシアネートのTOLONATE−HDT(100g当たり0.519のNCO官能基濃度)を40℃の温度勾配で2時間で添加する。
この添加のために選ばれた温度プロフィルは、次のようである。40℃で1時間、次いで30分間で85℃まで上昇、この温度を1時間保持。
遊離のイソシアネート官能基の不存在は赤外線分析により制御する。
このようにして、ピルビン酸メチルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つポリイソシアネートTOLONATE−HDTよりなり、固形分が74%で、25℃で1380mPa・sの粘度及び16.14%に等しい潜在的NCO濃度(100g当たり0.384モルのNCO)を有する437gの水性有機組成物が得られた。
得られた生成物の構造は、赤外線分析及びNMRにより確認された。
【0124】
例10
ピルビン酸メチルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートトリマーをベースとした組成物の製造方法
ピルビン酸メチルオキシムの形成後に硫酸ナトリウムを含有する水性相のデカンテーションを実施しないこと並びに二相のデカンテーションしてない反応媒体にHDTを添加することによりブロック反応を実施することを除いて、例9のように操作を実施する。
赤外線分析により決定されるブロック反応の終了後に、ピルビン酸メチルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持つポリイソシアネートTOLONATE−HDTを含有する有機相の上の塩水性相のデカンテーションを実施する。
有機相を100mLの蒸留水で2回洗浄して残留痕跡量の硫酸ナトリウムを除去する。
このようにして、ピルビン酸メチルオキシムでブロックしたイソシアネート官能基を持ち、75%の固形分及び25℃で1500mPa・sに等しい粘度を有するポリイソシアネートTOLONATE−HDTの溶液を得た。
結論
この例は、二相の媒体中でブロック剤の合成とポリイソシアネートのイソシアネート官能基のブロックを、中間でブロック剤を単離することなく、リンクさせることが可能であることを示す。塩の除去は、ブロック反応後まで遅らさせることができる。
【0125】
例11
ソルベッソ100中での3,5−ジメチルピラゾールの水性懸濁液の合成
例1のように操作を実施する。最終の処理に変更を加える。
350mLのトリメチルベンゼン(ソルベッソ(登録商標)100)をDMP水溶液に添加する。
次いで、反応混合物の共沸蒸留によって水を除去する。
水を除去した後、溶液を冷却させる。このようにして、DMPのソルベッソ100懸濁液を得た。次いで、これを有機相でのポリイソシアネートのイソシアネート官能基のブロックのために使用する。ソルベッソ100中のDMPの濃度は46%程度である。
【0126】
例12
ソルベッソ100中で3,5−ジメチルピラゾールでブロックしたイソシアネート官能基を持つHDTポリイソシアネートの有機組成物の製造
例11に記載のように製造したDMPのソルベッソ100懸濁液を使用する。
冷媒、温度計及び慣用の撹拌装置を備えた1Lの恒温反応器に、DMPのソルベッソ100懸濁液(即ち、174.5gのソルベッソ100中に152.5gのDMP、即ち、1.59モルのDMP)を周囲温度で導入する。
この懸濁液に、100g当たり0.519モルのイソシアネート官能基含有量を有する302gのポリイソシアネートTOLONATE−HDTを1時間で添加する。これにより反応媒体の温度は23℃から52℃まで上昇する。HDTポリイソシアネートの添加が終了したときに、反応媒体を80℃に更に1時間15分加熱してブロック反応を完了させる。
このようにして、固形分が73.4%であり且つ潜在的イソシアネート官能基含有量が10.5%であるDMPでブロックしたイソシアネート官能基を持つHDTの溶液625gを得た。
最終溶液中の遊離の3,5−ジメチルピラゾールの量は0.07%である。
溶媒の分析は、次の分布:25.5%のソルベッソ100及び1.1%の水を与えた。
赤外線スペクトルは、所期の赤外線スペクトルのそれと一致した。
この例は、リンク方法(ブロック剤の合成+イソシアネート官能基のブロック反応)が、中間でブロック剤を単離せずに、従ってブロック剤を損失させることなく、高い固形分を有する溶液を得るのを可能にさせることを示す。
【0127】
例13(比較例)
慣用法によるDMPでブロックしたHDTの有機溶液の合成
258gの酢酸n−ブチル溶媒と242g(即ち、2.52モル)の3,5−ジメチルピラゾールを、冷媒、温度計及び慣用の撹拌装置を備えた1Lの恒温反応器に周囲温度で導入する。反応媒体の温度を60℃にもたらし、100g当たり0.52モルのNCOを含有する500gのHDTポリイソシアネートを1時間で添加する。反応媒体の温度が60℃から80℃に上昇する。80℃で1時間仕上げた後、赤外線スペクトルは、イソシアネート吸収帯に相当する吸収帯の不存在を示した。960gのDMPでブロックしたHDTポリイソシアネートの有機溶液を500mLの瓶に入れてコンディショニングした。
この組成物は、74%の固形分、10.6%の潜在的NCO濃度及び25℃で1210mPa・sの粘度を有する。
この誘導体を適用試験で使用できるようにするために固形分を70%の量に調節した。 この混合物を比較試験(例14)を実施するために使用する。
【0128】
例14
適用比較試験
本発明のリンク方法:ブロック剤の合成−HDTのイソシアネート官能基のブロック反応に従ってDMPでブロックしたHDTポリイソシアネート(例3)及び慣用法に従って得たDMPでブロックしたイソシアネート官能基を持つ同じ性質のHDTのポリイソシアネートを使用して得た被覆を比較する。
本発明の主題である例3の硬化剤により得られた結果は、例13(比較例)で得た結果に匹敵できる。このことは、開発された合成法が皮膜の性能にマイナスの影響を及ぼさないことを示している。
【0129】
例3及び13の処方物の組成は次の通りである。
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
ソルベッソ100/酢酸n−ブチルを添加することによって粘度50s(フォード4カップ)とし、スチール板上に皮膜スプレダー(100μm、湿潤)により適用し、30分間溶媒除去し、次いで140、150又は160℃で30分間硬化させる。
【0132】
適用試験の結果を以下に示す。
【表3】
Claims (20)
- C=N結合を示しそしてそのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある原子上に移動性水素を有するブロック剤を使用してブロックド(ポリ)イソシアネートを製造する方法において、次の工程:
(a)アルデヒド又はケトンよりなる前駆物質をアルデヒド又はケトンのカルボニル官能基に対して反応性の官能基を含む窒素含有前駆物質と水性、有機又は水性−有機媒体中において縮合水の離脱を伴って縮合させることによって得ることができる、C=N結合を示しそしてそのC=N基の窒素原子に対してα−位置にある原子上に移動性水素を有するブロック剤を製造し、
(b)そのブロック剤とブロックしようとする(ポリ)イソシアネート組成物とを現場で反応させて完全又は部分ブロックド(ポリ)イソシアネートを得ること
を含むことを特徴とするブロックド(ポリ)イソシアネートの製造法。 - C=N基の窒素原子に対してα−位置にある移動性水素が酸素又は窒素原子によって保持されていることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 工程(a)において、随意に置換されうるヒドラジンをケトンと反応させて一般式III:
R1及びR2は、S、O及びNから選択される1個又はそれ以上のヘテロ原子、好ましくはOで随意に置換されうる、及び/又は中断されうるアルキル基、ペルハロアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基から選択され、
R6は、水素原子、上に定義されるようなアルキル基、シクロアルキル基若しくはアリール基又は式CONR7R8(ここで、R7及びR8は、互いに独立して、随意に置換されうるアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基から選択されうる)を表す]
の化合物を得ることを特徴とする請求項1記載の方法。 - 工程(a)の終わりに得られる化合物が、メチルエチルケトキシム(MEKO)、ベンゾフェノンオキシム、アルキルピルベートオキシム、特にメチルピルベートオキシム(POME)若しくはエチルピルベートオキシム又はシクロヘキサノンオキシムであることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
- 工程(a)の終わりに得られる化合物が、ピラゾール、3−メチルピラゾール又は3,5−ジメチルピラゾールであることを特徴とする請求項4記載の方法。
- 工程(a)の終わりに得られる化合物が、アセトアルデヒドヒドラゾン、アセトンメチルヒドラゾン、シクロペンタノンメチルヒドラゾン又はメチルエチルケトンメチルヒドラゾンであることを特徴とする請求項5記載の方法。
- 工程(a)を有機又は水性−有機媒体中で実施することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
- 工程(a)を水性媒体中で実施することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
- 請求項1〜8のいずれか一項記載の如きオキシム、ピラゾール及びヒドラゾンから選択されるNCO官能基のブロック剤を使用してブロックした(ポリ)イソシアネートの有機媒体溶液又は懸濁液の製造法において、工程(a)を有機媒体中で実施することを特徴とする製造法。
- 請求項1〜8のいずれか一項記載の如きオキシム、ピラゾール及びヒドラゾンから選択されるNCO官能基のブロック剤を使用してブロックした(ポリ)イソシアネートの水性エマルジョンの製造法において、工程(a)を水性媒体中で実施すること、及び工程(b)の前、中又は後に、反応媒体に界面活性剤を添加することを特徴とする製造法。
- 界面活性剤が、式:
・pは、ゼロ又は1〜2の整数(閉間隔、即ち、限界を含む)を表わし、
・mは、ゼロ又は1〜2の整数(閉間隔、即ち、限界を含む)を表わし、
・p+m+qの合計はせいぜい3であり、
・l+p+2m+qの合計は3又は5であり、
・X及びX’は同種又は異種であってよく、そしてせいぜい2個の炭素原子よりなる結合手を表わし、
・n及びsは同じ又は異なってよく、そして5〜30有益には5〜25好ましくは9〜20(閉間隔、即ち、限界を含む)から選択される整数を表わし、
・R1及びR2は同種又は異種であってよく、そして有益には特にハロゲン原子特に弗素原子で随意に置換されうるアリール及びアルキルから選択される炭化水素基を表わす]
に相当する陰イオンを有する陰イオン性剤であることを特徴とする請求項12記載の方法。 - 工程(a)を水性媒体中で実施すること、及び工程(b)の前、中又は後に、水分散性溶剤を反応媒体に添加することを特徴とする水性−有機エマルジョン状態のブロックド(ポリ)イソシアネートの製造法。
- 反応媒体に界面活性剤も添加することを特徴とする請求項14記載の方法。
- ポリイソシアネートが、アルキレンジイソシアネート又はアルキレンジイソシアネートのホモ縮合若しくはヘテロ縮合の生成物、特にイソシアネート官能基を有するビウレット、トリマー若しくはプレポリマータイプの生成物からなるもの、特に尿素、ウレタン、アロファネート、エステル若しくはアミド官能基を含む生成物又は上記生成物の混合物であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項記載の方法。
- ポリイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート、並びにビウレット、トリマー及びプレポリマータイプのそのホモ縮合又は重縮合の生成物から選択されることを特徴とする請求項16記載の方法。
- 請求項1〜17のいずれか一項記載の方法によって得られた部分又は完全ブロックド(ポリ)イソシアネート組成物。
- 連続又は同時添加のために、
(a)請求項18記載の部分又は完全ブロックド(ポリ)イソシアネート、
(b)反応性水素を有する共反応体、
を含むことを特徴とする被覆用組成物。 - 次の工程:
(a)請求項18記載の部分又は完全ブロックド(ポリ)イソシアネートを、反応性水素を示す誘導体を含有する共反応体と接触させ、そして
(b)かくして形成した反応媒体を、共反応体による(ポリ)イソシアネートの架橋を可能にする温度で加熱する、
ことを含むことを特徴とする重合体の製造法。
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