JP2004532956A - 蓄圧式噴射システムのインジェクタに用いられる制御モジュール - Google Patents

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Abstract

本発明は、弁ボディ(8)を制御しかつ案内するための蓄圧式噴射システムのインジェクタに用いられる制御モジュール(1)に関する。当該制御モジュール(1)は、燃料を供給するための高圧流入部(2)と、弁ボディ(8)を案内するための案内装置(3)とを有している。さらに、制御室(4)と流入絞り(5)と流出絞り(6)とが設けられている。流入絞り(5)は高圧流入部(2)を制御室(4)に接続しており、流出絞り(6)は制御室(4)を制御弁(15)に接続している。制御室(4)内には制御ピストン(7)が配置されており、該制御ピストン(7)の、制御室(4)とは反対の側の端部が、弁ボディ(8)に設けられた高圧範囲(9)に接続されている。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、インジェクタ弁ボディを制御しかつ案内するための、蓄圧式噴射システムのインジェクタに用いられる制御モジュールに関する。
【0002】
蓄圧式噴射システムのためのインジェクタについては、種々様々の構成が知られている。このような公知のインジェクタの例が図4に図示されている。公知のインジェクタでは、高圧供給管路30を介してノズルニードル36の周辺範囲に燃料が供給される。ノズルニードル36は制御ピストン31と接触しており、この制御ピストン31の一方の端部は制御室32内に配置されている。制御弁33を介して、制御室32内の圧力を公知の形式で制御することができるので、制御室32はタンクTに接続可能となる。制御ピストン31の、制御室32とは反対の側は、低圧室34と接触しており、この低圧室34は低圧流出部35を介してタンクTに接続されている。これにより、ノズルニードル36は公知の形式で、対応する座部から持ち上げられ得るので、噴射が行われる。
【0003】
しかし、図4に示したインジェクタコンセプトでは、ノズルニードル36の案内部37と、制御ピストン31の案内部38とにおいて永久漏れが生じてしまう。なぜならば、高圧で負荷されたこれらの室がシールギャップを介して低圧室34に連通しているからである。したがって、高圧範囲から両案内部37,38を介して低圧室34へ燃料量が流れる。しかし、このような永久漏れは、無視することのできない効率損失を招く。
【0004】
したがって、本発明の課題は、単純な構造でかつ簡単で廉価な製造可能性において、永久漏れなしの制御モジュールもしくは蓄圧式噴射システムのための永久漏れなしのインジェクタを提供することである。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴部に記載の特徴を有する、インジェクタに用いられる制御モジュールもしくは請求項12の特徴部に記載の特徴を有するインジェクタにより解決される。請求項2〜請求項11には、本発明の有利な改良形が記載されている。
【0006】
インジェクタに用いられる本発明による制御モジュールは、インジェクタの弁ボディを制御しかつ案内するための全ての機能エレメントが1つの構成部分に組み込まれていることにより、永久漏れなしのインジェクタを可能にする。これにより、高圧シール面の数が最小限に抑えられる。この場合、高圧シール面は平坦面としてしか形成されていないので、公知先行技術において高圧シール面として必要とされる円筒状の案内面は存在しない。これにより、公知先行技術において生じる永久漏れなしのインジェクタを提供することができる。本発明による制御モジュールには、高圧流入部と、インジェクタの弁ボディを案内するための案内装置と、制御室と、流入絞りと、流出絞りとが配置されている。制御室内には制御ピストンが配置されており、この制御ピストンは間接的または直接的に弁ボディに結合されている。制御ピストンの、制御室とは反対の側の端部は、弁ボディのところに設けられた高圧範囲に接続されている。したがって、本発明による制御モジュールは、極めてコンパクトにも形成され得るので、インジェクタの全体寸法を公知先行技術と比べてさらに減少させることができる。さらに、本発明による制御モジュールにより、特に公知先行技術において存在していた長い高圧管路をも不要にすることができる。このような長い高圧管路は、通常ではインジェクタボディ全体を通って案内されていて、その手間のかかる製造の他に強度問題をも招く恐れがあるので極めて不都合である。
【0007】
本発明による制御モジュールが、さらに高圧流入部とインジェクタの制御弁との間の接続を形成するバイパス絞りを有していると有利である。このバイパス絞りを用いて、特にインジェクタの短縮された閉鎖時間を可能にすることができる。
【0008】
インジェクタの特に廉価な製造可能性を実現するためには、高圧流入部とバイパス絞りとの間に環状通路が配置されていると有利である。この場合、この環状通路は制御モジュールに形成されているか、またはインジェクタのノズルハウジングに形成されていてよい。また、環状通路が制御モジュールにもノズルハウジングにも設けられた切欠きによって形成されていることも可能である。
【0009】
本発明のさらに別の有利な構成では、制御モジュールの案内装置が円筒環状の突設部もしくは付設部として形成されている。この場合、この円筒状の付設部内に制御室が設けられていて、弁ボディが、この円筒状の付設部に形成された真ん中の切欠き内に案内されていると特に有利である。
【0010】
本発明による制御モジュールの特にコンパクトな構造を提供するためには、案内装置の外周面またはノズルハウジングの内周面に、接続範囲が設けられている。この接続範囲は高圧流入部を、インジェクタの弁ボディに設けられた高圧範囲に接続している。したがって、本発明によれば接続範囲を簡単に製作することができる。
【0011】
前記接続範囲が、通路状の1つの切欠きまたは案内装置の外周面に分配された複数の切欠きおよび/またはノズルハウジングの内周面に分配された複数の切欠きにより形成されていると特に有利である。接続範囲はその場合、案内装置へのノズルハウジングの組付け時に、対応する個所に形成された2つの切欠きの組み合わせにより自動的に得られる。接続範囲のジオメトリ的な形状(幾何学的形状)は任意に選択され得る。切欠きによって十分な量の燃料のための十分に大きな横断面が存在していることさえ確保されていればよい。
【0012】
本発明のさらに別の有利な構成では、弁ボディを戻すためのノズルばねが設けられており、該ノズルばねが、一方では制御モジュールに設けられた案内装置に支持されており、他方では弁ボディに配置されたばね受けに支持されている。
【0013】
燃料の噴射時のおけるインジェクタの精度を一層改善するためには、案内装置に、弁ボディをセンタリングするための1つまたは複数のセンタリング面が設けられている。これにより、弁ボディの高い運動精度を確保することができる。
【0014】
インジェクタの噴射精度および構造は、制御ピストンと弁ボディとが、1つの共通の構成部分として形成されていることにより一層改善され得る。この場合、弁ボディがノズルニードルとして形成されていると特に有利である。
【0015】
インジェクタに用いられる本発明による制御モジュールは、蓄圧式噴射システム、たとえばディーゼル機関に用いられるコモンレールインジェクタにおいて使用されると有利である。本発明による制御モジュールはノズルニードルを制御しかつ案内するための全てのエレメントを1つの構成部分に統合しているので、インジェクタを特にコンパクトにかつ廉価に製造することができる。さらに、この構成部分の機能チェックは著しく簡単化され、制御モジュールは最小数の高圧シール面しか有していない。これにより、インジェクタの所要の耐高圧性を特に廉価に提供することができる。
【0016】
さらに、本発明による制御モジュールにより、制御室の最小容積を達成することができる。このことから、インジェクタの切換え動的特性に関する重要な利点が得られ、ひいては噴射される燃料の達成可能な最小量に関する重要な利点が得られる。
【0017】
以下に、本発明の有利な実施例を図面につき詳しく説明する。
【0018】
以下に、本発明の実施例を図1〜図3につき詳しく説明する。
【0019】
特に図1に示したように、蓄圧式噴射システムのインジェクタに用いられる本発明による制御モジュール1は極めてコンパクトに形成されている。この制御モジュール1は、高圧ポンプからインジェクタへ燃料を供給するために高圧流入部2を有している。さらに制御モジュール1は、インジェクタの弁ボディ8を案内するための案内装置3と、制御室4と、流入絞り5と、流出絞り6とを有している。流入絞り5は高圧流入部2と制御室4との間の接続を形成している。流出絞り6は制御室4を制御弁15に接続している。この制御弁15は弁座16と弁ボール17とを有していて、アクチュエータ(図示しない)、たとえばピエゾアクチュエータ、磁気歪み式のアクチュエータまたはソレノイドアクチュエータによって弁座16から持ち上げられて、公知の形式で制御室4と低圧範囲との接続を形成する。さらに制御モジュール1にはバイパス絞り14が設けられており、このバイパス絞り14は環状通路13を介して制御弁15を高圧流入部2に接続している(図1参照)。
【0020】
特に図2および図3から判るように、案内装置3は円筒環状の突設部もしくは付設部として形成されている。案内装置3に設けられた内側の中央の切欠きには、ニードル案内部18が形成されており、そしてこの切欠きの端部に制御室4が配置されている(図2参照)。
【0021】
図1に示したように、制御ピストン7はノズルニードルとして形成された弁ボディ8と一体に形成されているので、制御ピストン7の案内部18は同時にニードルのための案内部をも成している。図3に示したように、案内装置3の外周面には4つの接続範囲19ならびに4つのセンタリング面20が形成されている。接続範囲19は高圧流入部2、より正確に云えば環状通路13と、ノズルニードル8のところに設けられた高圧範囲9との間の接続を形成している。接続範囲19は、たとえば円筒状の付設部として形成された案内装置3の研削加工によって簡単に製作することができる。
【0022】
さらに、ノズルニードル8を戻すためのノズルばね11が設けられている。このノズルばね11は一方では案内装置3に支持されていて、他方ではばね受け12に支持されている。このばね受け12は公知の形式でノズルニードル8に設けられている(図1参照)。
【0023】
以下に、本発明による制御モジュール1を有するインジェクタの機能形式について詳しく説明する。燃料の噴射を行いたい場合、制御弁15がアクチュエータ(図示しない)によって操作され、この場合、弁ボール17が弁座16から持ち上げられる。これにより、流出絞り6を介して制御室4とインジェクタの低圧範囲との間の接続が形成されるので、制御室4内の圧力は低下する。これにより、制御ピストン7は制御室4内へ進入運動して、図1に示した位置をとることができる。したがって、ノズルニードル8は対応する座部から持ち上がって、燃料の噴射が行われる。図1には、インジェクタの開放された位置が示されており、この位置で燃料の噴射が行われる。
【0024】
したがって、燃料は高圧流入部2と環状通路13とを介して案内装置3の接続範囲19を通ってノズルニードル8の高圧範囲9にまで供給される。
【0025】
噴射を終了させたい場合には、制御弁15がアクチュエータによって再び閉鎖されるので、燃料は一方では流入絞り5を介して、他方ではバイパス絞り14と流出絞り6とを介してそれぞれ制御室4内に供給される。これにより、制御室4内の圧力が再び増大するので、制御ピストン7は下方へ向かって運動させられる。したがって、ノズルニードル8は噴射開口を再び閉鎖し、噴射は終了される。念のため付言しておくと、制御室4が燃料で充填される間、流出絞り6における流れ方向は逆転する。ノズルばね11はこのとき、インジェクタのための閉鎖力を提供する。なぜならば、制御室4とノズルニードル8における高圧範囲9との間の圧力差が比較的僅かでしかないからである。
【0026】
したがって、制御モジュール1の本発明による構成により、永久漏れなしのインジェクタを提供することができる。なぜならば、制御モジュール1に存在する高圧シール面21,22(図2参照)が、比較的簡単にシール可能となる平坦面としてしか形成されていないからである。したがって、本発明によれば、制御ピストンの範囲もしくはニードル案内部の範囲におけるシールはもはや必要にならないので、インジェクタが操作されていない状態で漏れが生じなくなる。さらに本発明によれば、ノズルニードルを制御しかつ案内するための全てのエレメントが1つの構成部分に配置されているので、特に廉価に製造可能でかつコンパクトなインジェクタを提供することができる。さらに、インジェクタの本発明による構成に基づき、制御室4内の最小容積を達成することができる。このことは、改善された切換え動的特性をもたらす。さらにこれにより、最小量の燃料をも極めて正確に噴射することができる。したがって、本発明を用いて、永久漏れなしのインジェクタを初めて提供することができる。これにより、インジェクタの効率は公知先行技術に比べて著しく改善される。
【0027】
したがって、本発明は弁ボディ8を制御しかつ案内するための、蓄圧式噴射システムのインジェクタに用いられる制御モジュール1に関する。この制御モジュール1は燃料を供給するための高圧流入部2と、弁ボディ8を案内するための案内装置3とを有している。さらに、制御室4と流入絞り5と流出絞り6とが設けられている。流入絞り5は高圧流入部2を制御室4に接続し、流出絞り6は制御室4を制御弁15に接続する。制御室4内には制御ピストン7が配置されており、この制御ピストン7の、制御室4とは反対の側の端部は、弁ボディ8に設けられた高圧範囲9に接続されている。
【0028】
上で説明した本発明の実施例は、単に本発明を例示的に説明することを目的としているに過ぎず、本発明を制限することを目的とするものではない。本発明の枠内では、本発明の範囲ならびにその等価範囲から逸脱することなしに種々の変化形および改良形が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の1実施例による制御モジュールを備えたインジェクタの概略的な断面図である。
【0030】
【図2】図1に示した制御モジュールの拡大断面図である。
【0031】
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。
【0032】
【図4】公知先行技術による蓄圧式噴射システムのためのインジェクタを示す概略的な断面図である。

Claims (12)

  1. 弁ボディ(8)を制御しかつ案内するための蓄圧式噴射システムのインジェクタに用いられる制御モジュール(1)において、燃料を供給するための高圧流入部(2)と、弁ボディ(8)を案内するための案内装置(3)と、制御室(4)と、高圧流入部(2)と制御室(4)との間の接続を形成する流入絞り(5)と、制御室(4)と制御弁(15)との間の接続を形成する流出絞り(6)と、制御室(4)内に配置された制御ピストン(7)とが設けられており、該制御ピストン(7)が間接的または直接的に弁ボディ(8)に結合されており、制御ピストン(7)の、制御室(4)とは反対の側の端部が、弁ボディ(8)に設けられた高圧範囲(9)に接続されていることを特徴とする、蓄圧式噴射システムのインジェクタに用いられる制御モジュール。
  2. 高圧流入部(2)と制御弁(15)との間の接続を形成するバイパス絞り(14)が設けられている、請求項1記載の制御モジュール。
  3. 高圧流入部(2)とバイパス絞り(14)との間に環状通路(13)が配置されている、請求項2記載の制御モジュール。
  4. 前記環状通路(13)が当該制御モジュール(1)および/またはノズルハウジング(10)に形成されている、請求項3記載の制御モジュール。
  5. 案内装置(3)が円筒環状の付設部として形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の制御モジュール。
  6. 案内装置(3)の外周面またはノズルハウジング(10)の内周面に、接続範囲(19)が設けられており、該接続範囲(19)が高圧流入部(2)を、弁ボディ(8)に設けられた高圧範囲(9)に接続している、請求項5記載の制御モジュール。
  7. 前記接続範囲(19)が、通路状の1つの切欠きまたは案内装置(3)の外周面に分配された複数の切欠きおよび/またはノズルハウジング(10)の内周面に分配された複数の切欠きにより形成されている、請求項6記載の制御モジュール。
  8. 弁ボディ(8)を戻すためのノズルばね(11)が設けられており、該ノズルばね(11)が、一方では案内装置(3)に支持されており、他方では弁ボディ(8)に配置されたばね受け(12)に支持されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の制御モジュール。
  9. 案内装置(3)に、弁ボディ(8)をセンタリングするためのセンタリング面(20)が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の制御モジュール。
  10. 制御ピストン(7)と弁ボディ(8)とが、単一部分から成る一体の共通の構成部分として形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の制御モジュール。
  11. 弁ボディ(8)がノズルニードルとして形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の制御モジュール。
  12. 請求項1から11までのいずれか1項記載の制御モジュール(1)を備えた、蓄圧式噴射システムのためのインジェクタ。
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