JP2004532001A - 単細胞レベルでの生物発光性Ca++リポーターとしてのキメラ性GFP−エクオリン - Google Patents
単細胞レベルでの生物発光性Ca++リポーターとしてのキメラ性GFP−エクオリン Download PDFInfo
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Abstract
Description
(関連出願に対する相互参照)
本願は、2000年6月1日付け米国仮出願第60/208,314号(代理人整理番号第03495.6051)、2000年6月6日付け同第60/210,526号(代理人整理番号第03495.6052)、および2000年12月14日付け同第60/255,111号(代理人整理番号第03495.6059)の恩典に基づき、かつこれをクレームする。参照によって、これらの出願のそれぞれの開示全体は、根拠とされ、かつ本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)によるエネルギーの移動を可能にする、共有結合で発光タンパク質と結合された蛍光性分子を含む、改変された生物発光系に関する。本発明は、該改変された生物発光系のin vivoおよびin vitroアッセーにおける使用にも関する。
【0003】
カルシウムは、非常に様々な細胞内過程の調節に関与している(1)。細胞内Ca++の追跡には、いくつかの手法が最も一般的に用いられる。パッチ−クランプおよびCa++選択的微小電極は、限定的な数の細胞におけるCa++流束の累積的な測定を与える。一方、大集団内の細胞における細胞内〔Ca++〕力学は、蛍光プローブで可視化することができる(2)。
【0004】
現在は、2群の遺伝学的なCa++プローブが利用可能である。第1のカテゴリーは、緑色蛍光タンパク質(GFP)の二つの変種間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の原理を用いる。2種類のGFPを、単独でか、またはカルモジュリンと組み合わせたカルモジュリン結合配列によって共有結合で結合する結果、Ca++流入に応答して、分子内FRETが出現したり(3)、しなかったり(4)する。第2のカテゴリーは、生物発光タンパク質、たとえばエクオリンで構成される(5、6)。この活性タンパク質は、分子状酸素の存在下で、アポエクオリン(189アミノ酸)、およびそのルシフェリンである、セレンテラジン(Mr423)から形成される(7)。
【0005】
Ca++結合部位に特徴的である、3個のEFハンド構造を有するエクオリンとのCa++の結合は、配座上の変化を誘導して、分子内反応を介してセレンテラジンの酸化を招く。その上、そのように生成されたセレンテラミドは、励起された状態にあり、その基底状態に復帰するときに、青色光(極大波長:470nm)を放射する(8)。そのような生物発光性遺伝学的マーカーは、特異的な細胞を、適切な調節性要素およびペプチドシグナルを有する、細胞より小さい区画で、容易にその標的にさせる、Ca++感受性蛍光染料に優る利点を与える(9)。生物発光過程は、蛍光プローブまたはタンパク質のような光励起を必要とせず、そのため、自発蛍光、光漂白および生物学的劣化という問題を誘発しない。さらに、エクオリンは、有害ではなく、他の2価陽イオンに結合せず、高濃度で微小注射されたときでさえ、〔Ca++〕I緩衝系に干渉しない。Ca++に対するその低い親和性(Kd=10μM)は、おそらく、このことに起因し、エクオリンを生物学的〔Ca++〕変動の範囲内での優れたセンサーにさせる。
【0006】
バックグラウンドを凌駕して優れた比率のシグナルを与えるものの、エクオリンシグナルは、光量子収率、すなわち、Ca++に結合するタンパク質あたりの放射される光子の数が低いため、検出するのが非常に困難である。エクオリンが単離されたクラゲ、すなわちエクオレア・ビクトリアAequorea victoriaでは(10)、このタンパク質は、GFPと会合している(11)。Ca++結合の後、エクオリンが獲得したエネルギーは、活性化されたオキシルリフェリンからGFPへと、青色光の放射を伴わずに移転される。GFP受容体である発蛍光団は、オキシセレンテラジンによって無放射エネルギー移動で励起される。そうして、励起されたGFPがその基底状態に復帰するときは、緑色光(極大波長:509nm)が放射される(12)。
【0007】
そのような分子内無放射エネルギー移動は、生物発光では異例ではなく、もう一つの腔腸動物であるウミシイタケ属Renillaでは、生物発光過程の量子収率を上昇させることが既に示されている(13)。in vitroで測定された利得は、3〜5倍にわたる(14)。ルシフェラーゼと緑色蛍光タンパク質とは、互いに結合するため、in vitroでウミシイタケ属の系を再構成し、その構成要素の低い等モル濃度でスペクトルシフトを得ることが可能である(14)。
【0008】
オワンクラゲ属の系では、高濃度で存在するときでさえ、精製された発光タンパク質とGFPとの間の結合は溶液中では生じない(15)。in vivoでは、エネルギー移動は、高濃度のGFPによって発生する。in vitroでは、それは、DEAEセルロース膜でのエクオリンおよびGFPの同時吸着によって達成される(15)。フェルスター方程式は、この過程の効率が、FRETの場合に記載されたいくつかの条件に依存することを示す。供与体の発光スペクトルには、受容体の励起スペクトルとの最大の重複がなければならない。エネルギー移動は、幾何学、特に二つの双極子の相対的な配向および距離にも強く依存し、それらの個々の運動によって変更される(16)。
【0009】
本発明の目的は、Ca++感受性の特性と、エクオリンおよびGFPのそれぞれの蛍光の特性とを結びつける、二重リポーター遺伝子を開発することである。古典的なエピ蛍光で検出することができる、融合タンパク質を用いて、カルシウム活性を追跡することができる。本発明の分子の立体配置は、それらの代謝回転を増大させ、効率的な分子内化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)を許す。その結果、エクオリンの量子収率は、より高くなると思われる。本発明は、生理学的カルシウムシグナルが、真核単細胞では、増感CCDカメラによって可視化できることを示す。本明細書に記載されたその他の構成体は、ニューライト膜を該融合タンパク質の標的にさせる。
【0010】
(発明の要約)
したがって、本発明は、発光タンパク質に共有結合で結合された蛍光分子を含む、改変された生物発光系であって、該2種類のタンパク質間の結合が、該改変された生物発光系を安定させ、化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)によるエネルギーの移動を許すための機能を有する系を提供する。好適実施態様では、該生物発光系は、エクオリンというタンパク質に共有結合で結合されたGFPというタンパク質を含み、該2タンパク質間の結合が、該改変された生物発光系を安定させ、化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)によるエネルギーの移動を可能にするための機能を有する。
【0011】
本発明による改変された生物発光系の一実施態様では、該生物発光系は、エクオリンタンパク質に共有結合で結合されたGFPタンパク質を含み、該2タンパク質間の結合は、少なくとも5個のアミノ酸によって、場合により、少なくとも5個のアミノ酸と少なくとも一つの9アミノ酸のコピーとによって構成される。この結合は、系を安定させ、化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)によるエネルギーの移動を可能にするという機能を有する。
【0012】
好適実施態様では、該生物発光系は、エクオリンタンパク質に共有結合で結合されたGFPタンパク質を含み、該2タンパク質間の結合は、好ましくは、少なくとも5個のアミノ酸と9アミノ酸の5コピーとによって構成され、そして系を安定させ、化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)によるエネルギーの移動を可能にするという機能を有する。
【0013】
この2種類のタンパク質は、別個であるか、またはまとまって機能的であることができる。加えて、該改変生物発光系は、カルシウム感受性および/または光感受性であることができる。
【0014】
本発明は、物理的、化学的、生化学的または生物学的条件の変化をin vitroでふるい分ける方法も提供する。該方法は、
(a)異なるサンプル中に、問題の被検体を含有する反応系中の本発明による生物発光系を与える工程と;
(b)光が生成されるか否かを測定する工程と;
(c)光の生成に基づく変化を検出する工程と
を含む。
【0015】
さらに、本発明は、物理的、化学的、生化学的または生物学的条件の変化in vivoでふるい分ける方法も提供する。該方法は、
(a)本発明による生物発光系を含む、許容され得る組成物を哺乳動物に投与する工程と;
(b)光が生成されるか否かを測定する工程と;
(c)場合により、カルシウム流束のイオン濃度を測定する工程と場合により、カルシウム流束のイオン濃度を測定する工程と
を含む。
【0016】
加えて、本発明は、カルシウムイオンに結合し、測定できるエネルギーを許すという機能的特徴性を有する、精製されたポリペプチドを含む組成物であって、該エネルギーが、いかなる光励起の不在下であっても、該組成物中の結合したカルシウムの量とポリペプチドの量とに依存する組成物を提供する。
【0017】
加えて、本発明は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5および配列番号6のアミノ酸配列を有する、精製されたポリペプチドを提供する。
【0018】
別の実施態様では、本発明は、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11および配列番号12の配列を有するポリヌクレオチドを提供する。
【0019】
本発明は、C.N.C.M.に寄託されたとおりの、プラスミドNo.I−2507、プラスミドNo.I−2508、プラスミドNo.I−2509、プラスミドNo.I−2510、プラスミドNo.I−2511、プラスミドNo.I−2512またはプラスミドNo.I−2513を含む培養体も提供する。
【0020】
さらに、本発明は、本発明による精製ポリペプチドにおける化学発光によるエネルギーの直接移動を許すのに最適の条件下で、供与体部位を受容体部位に近づける、翻訳後の機能を有するペプチドリンカーを提供する。ヌクレオチドリンカーは、たとえば、配列番号13、配列番号14、配列番号15、請求項16または配列番号17を有する。該ペプチドリンカーは、少なくとも5個のアミノ酸を含んで、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21または配列番号22のアミノ酸配列を含むことができる。
【0021】
in vitroまたはin vitroでのエネルギーの移動を測定するためのキットは、本発明による少なくとも1種類のポリペプチド、または本発明によるポリヌクレオチドと、問題の分子の存在もしくは不在下での該移動を可視化もしくは検出するのに必要な試薬とを含む。
【0022】
もう一つの実施態様では、本発明は、式:
【0023】
GFP−リンカー−AEQ
【0024】
〔式中、GFPは、緑色蛍光タンパク質であり、AEQは、エクオリンであり、リンカーは、4〜63、好ましくは14〜50のアミノ酸を有するポリペプチドである〕
で示される融合タンパク質を提供する。
【0025】
リンカーは、下記のアミノ酸:
【0026】
【0027】
〔式中、nは1〜5である〕
を含む。リンカーは、アミノ酸配列Ser Gly Leu Arg Ser 〔配列番号26〕を含むこともできる。
【0028】
Ca++の存在下でのエクオリンの活性化の後の、化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)による、エクオリンから緑色蛍光タンパク質へのエネルギー移動のためもう一つの融合タンパク質は、式:
【0029】
GFP−リンカー−AEQ
【0030】
〔式中、GFPは、緑色蛍光タンパク質であり、AEQは、エクオリンであり、リンカーは、下記のアミノ酸:
【0031】
【0032】
(式中、nは1〜5である)を含む〕
を有して;該融合タンパク質は、Ca++イオンに対する親和性、および少なくとも24時間の半減期を有する。リンカーは、アミノ酸配列Ser Gly Leu Arg Ser 〔配列番号26〕を含むことができる。加えて、該融合タンパク質は、細胞または細胞下区画を融合タンパク質の標的にさせるためのペプチドシグナル配列をさらに含むことができる。
【0033】
本発明は、上記の融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチドも提供する。
【0034】
本発明を、図面を参照して説明する。
【0035】
(発明の詳細な説明)
腔腸動物のうちには、生物発光する種が存在する。数多くの研究が、生物発光は、カルシウムに対して感受性を有する発光タンパク質によって生成されることを示している。これらのタンパク質は、カルシウムイオンの濃度の上昇に応答して、閃光または光を発する。これらの発光タンパク質のうち、エクオリンは、最も充分に研究された一つである〔Blinks et al., 1976〕。
【0036】
クラゲ、すなわちエクオレア・ビクトリアで単離された〔Shimomura et al., 1962〕エクオリンは、3個のカルシウムイオンと結合した後、極大波長470nmのスペクトルを有する青色光の閃光を放射する。古典的なルシフェラーゼ−ルシフェリン反応とは対照的に、この発光は、酸素を必要とせず、光の総量は、タンパク質の量に比例する。しかし、酸素は、アポエクオリン(21kDaの分子量を有するタンパク質)およびセレンテラジンの作用によってエクオリンを再構成するのに必要である。光子の放射は、エクオリン上の3個のカルシウムと結合した後のセレンテラジンにおける、過酸化反応によって生じる。この過程については二つの仮説が示唆されている:(i)エクオリンとカルシウムとの間の結合が、タンパク質の配座上の変化によって、酸素がセレンテラジンと反応するのを許して、発光を誘導する;(2)酸素が、セレンテラジンとアポエクオリンとの間の結合に役割を果たす〔Shimomura & Johnson, 1978〕。エクオリンは、β−メルカプトエタノールおよび酸素の存在下で、オキシルシフェリンを排除して、ルシフェリン(セレンテラジン)を加えることによって、in vitroおよびin vivoで再生成されるのであろう〔Shimomura & Johnson, 1978〕。エクオリンを再構成するのにβ−メルカプトエタノールまたは還元剤の添加を必要とすることは、おそらく、負に荷電した微小環境に含まれる第145システインの少なくとも一つのスルフヒドリル基の存在による〔Charbonneau et al., 1985〕。
【0037】
カルシウムイオンに対して異なる親和性を有する、30種類より多くの半合成エクオリンが、タンパク質に結合するセレンテラジンの形式に基づいて特徴付けられている〔Shimomura, 1991;参照によって本明細書に組み込まれる〕。エクオリンとカルシウムイオンとの間の解離定数は、0.1mM〔Allen et al., 1997〕〜1mM〔Prasher et al., 1985〕であると推計される。発光とカルシウムイオン濃度との間の関係は、線形ではない可能性があるが、それでも、発光とカルシウムイオン濃度との間の対数的関係が決定されている〔Shimomura & Johnson, 1978〕。実際、Ca++濃度が10−7Mから10−6Mに達したとき、シグナル対バックグラウンドノイズ比の200倍の、また10−6Mから10−5Mまでは、1,000という率の上昇が測定される〔Cobbold & Rink, 1987〕。その上、シグナル放射の動態は、Ca++イオン濃度の一時的上昇を検出するには充分なだけ急速である。カルシウム飽和条件下での、6ミリ秒という時間定数を有する光強度の増大が示されている〔Blinks et al., 1987〕。したがって、エクオリンは、生理学的条件下でのCa++イオンの急速かつ大幅な上昇を測定するのに充分に適した発光タンパク質である。
【0038】
Prasherら(1985)およびInouyeら(1985)によるアポエクオリン遺伝子のクローニングは、発現ベクターの生成へと導いて、核、細胞質、ミトコンドリア、小胞体または原形質膜のシグナルペプチドとの融合によって、特定の細胞区画におけるその標的化を可能にした〔Kendall et al., 1992;Di Giorgio et al., 1996〕。加えて、タンパク質のin vivo発現は、カルシウムの細胞内生理学を乱されないままにして、低レベルでのその検出を可能にする。
【0039】
自然界では、発光タンパク質の活性は、第二のタンパク質に関連することが非常に多い。最も一般的であるのは、「緑色蛍光タンパク質」またはGFPである。この場合に放射される光は、実際に、緑色である。エクオリンとGFPとの間の放射性機構によるエネルギー移動という仮説は、Johnsonら(1962)によって1960年代に提唱された。Ca++の存在下でのエクオリンによって放射される青色光は、おそらく、GFPによって吸収され、509nmの極大波長を有するスペクトルで再放射される。その他の研究は、エネルギーのこの移動が、GFPとエクオリンとの間のヘテロ四量体の形成によって可能にされる、非放射性機構によって発生することを示している。Moriseら(1974)は、このエネルギー移動をin vitroで可視化することに成功し、DEAE−セルロース膜への2種類の分子の同時吸着は、この過程を容易にする。こうして、この機構によって、系の量子効率を上昇させることが可能になる〔Ward & Cormier, 1976〕。
【0040】
GFPは、やはりクラゲであるエクオレア・ビクトリアで単離されたが、最近クローニングされている〔Prasher et al., 1992〕。それは、細胞での発現および系列マーカーとして異なる生物学系で用いられている〔Cubitt et al., 1995〕。古典的な蛍光顕微鏡を用いてこのタンパク質を検出することは、生きた生物と固定された組織との双方で実施するのが比較的容易である。加えて、蛍光放射は、助因子または補酵素の添加を必要とせず、自己触媒性の翻訳後過程に依存する。9アミノ酸からなる発蛍光団が、第65セリンと第67グリシンとの間の環の形成によって特徴付けられて、中間的な第5イミダゾリジンを発生させ、次いで、第66チロシンの酸化を生じて、それをデヒドロチロシンへと転換する〔Heim et al., 1994〕。この基は、11のβ層で構成される円筒の内部で見出されていて、発色団と直接作用し合う環境を構成する〔Yang et al., 1996〕。
【0041】
リアルタイムでカルシウム流束を追跡することは、中枢神経系の発達、可塑性および機能性を理解するのを助けることができると思われる。クラゲでは、化学発光性の、カルシウム結合する、エクオリンというタンパク質が、緑色蛍光タンパク質(GFP)と結びつき、Ca++刺激の際に、緑色の生物発光シグナルが放射される。エクオリンは、単独では、励起後の光子の放射が弱いために、細胞および細胞下レベルで検出することが困難である。
【0042】
そのため、より高い量子収率でカルシウムに感受性を有する、新たなマーカーの開発が始められた。本発明は、2分子間の化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)を利用する。GFPとエクオリンを融合させることによって、カルシウム感受性生物発光リポーター遺伝子が構成されて、はるかに多くの光の放射につながった。
【0043】
これらの融合タンパク質の化学発光および蛍光活性を、哺乳動物細胞で査定した。細胞質ゾルのCa++イオンの増加を、冷却した増感CCD(結合電荷素子)カメラにより、単細胞レベルで画像化した。この二機能性リポーター遺伝子は、トランスジェニック動物の神経ネットワーク、および特定の細胞下区画におけるカルシウム活性の調査を許すはずである。
【0044】
(Ca++活性化リポーター遺伝子としてのGFP−エクオリン融合タンパク質) 本発明によれば、エクオリンおよびGFPによって融合タンパク質を構成して、Ca++誘導生物発光の量子収率を増大させている。この活性は、GFPとエクオリンと融合との単なる同時発現によって上昇させることができない(データ示さず)。C末端のプロリン残基は、Ca++活性化生物発光過程に関与することが示されていることから、耐熱性GFP(Gm)を、アポエクオリンのNH2末端領域と枠内で融合させた(図1)。
【0045】
GFPとアポエクオリンとの間の増大する大きさのリンカーを用いて、異なる構成体を作成した。最短のスペーサーは、5アミノ酸によって、また最長のそれは、50アミノ酸によって形成した(図1)。融合タンパク質は、すべて、エクオリン単独より優れたCa++触発性生物発光活性を示した。おそらくは、より大きいタンパク質安定性のため、発光活性の上昇は、19〜65倍にわたった(表1)。
【0046】
【表1】
【0047】
以下、表1に特定されたプラスミドを詳細に説明する。下記の配列識別要素を用いて、各プラスミド挿入断片のアミノ酸およびヌクレオチド配列を記載する。
【0048】
【表2】
【0049】
これらの構成体に用いたリンカーの正体は、下記のとおりである:
【0050】
(GFP−エクオリンリンカーのDNA配列)
【0051】
【表3】
pSeG5A(I−2512株)およびpStG5A(I−25013株)は、pG5Aと同じリンカー配列を有する。
【0052】
(リンカーのペプチド配列)
【0053】
【表4】
pSeG5AおよびpStG5Aは、pGSAと同じ。
【0054】
前記のポリヌクレオチドを含むプラスミドを、国立微生物培養コレクション(「C.N.C.M.」)Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(Institut Pasteur, 28, rue du Docteur Roux, 75724 Paris Cedex 15、フランス国)に下記のとおり寄託した:
【0055】
【表5】
【0056】
組換えアポエクオリンは、細胞質ゾル中では不安定であって、約20分の半減期を有する(21)。対照的に、GFPは、非常に安定なタンパク質であり、おそらく、キメラタンパク質中ではアポエクオリンを安定化する。ピューロマイシン(50μg/ml)で6時間処理することによって、異なる細胞質ゾルタンパク質の代謝回転を、COS7細胞における一時的発現で推計した。この期間にわたって、ほとんどの融合タンパク質は、単独のとき、アポエクオリンの80%の損失に比して、活性成分の30%の低下を示した(図5)。in vitroでは、本発明の融合タンパク質は、エクオリン単独より感受性に富んだ。G5Aは、38nMという低いCa++濃度で、バックグラウンドに優る有意なシグナルを与えたのに対し、エクオリンは、匹敵するシグナルを生じるのに、28倍も多くのカルシウム(1μM)を必要とした(図6)。エネルギー移動は、GFP−エクオリンの量子収率も向上させて、より効率的なカルシウムイオン検出を許すであろう。より高い発光に寄与する因子を識別するため、精製されたハイブリッドタンパク質でGFP蛍光の励起状態の弛緩機構を研究することが必要であろう。
【0057】
より一般的には、本発明の一実施態様は、GFPおよびエクオリンに対する遺伝子で出発して、キメラタンパク質を提供する。向上した量子収率は、化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)の機構によるタンパク質の機能的共役に依存することになる。したがって、エクオリンの再構成、およびカルシウムイオンとのその結合の後、活性化されたエクオリンは、そのエネルギーをGFPに伝達し、次いで、GFPは、緑色の光を放射して、その基底状態に復帰する。両タンパク質間の機能的共役を最適化することは、下記の3点に絞られる:
1.37℃でのGFPの配座変化の誘導を改良して、それが、哺乳動物細胞におけるGFPの、より高い放射へと導くこと;
2.哺乳動物細胞に適合させたエクオリンコドンの使用へと変化させて、その発現を増強すること;および
3.両タンパク質間の結合ペプチドを加えること。
【0058】
第三点に関しては、初めに、二つのタンパク質を分離する5アミノ酸を有する初期分子構成体を完成した。次いで、9アミノ酸の配列を、5コピーの一つの配列に加えた。これらの構成体を、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーターの制御下で、真核生物の発現ベクターに入れて、それらの機能的能力をなじませた。これらの融合タンパク質は、(i)GFPシグナルによって、波長470nmの光による生物学的プレパラートの励起から、蛍光顕微鏡によって(FITCフィルター);(ii)エクオリン活性によって、Ca++イオンと結合した後の青色光の放射から、特定されるであろう。
【0059】
下記の用語は、本明細書で用いられたときは、下記の意味を有する:
【0060】
発光
UV、可視光またはIR中の原子もしくは分子からの電磁放射線の放射。この放射は、電子的に励起された状態から、より弱いエネルギーからの状態、一般的には基底状態に向けての移行の結果として生じる。
【0061】
蛍光
非常に短期の電子的に励起された一重項によって生成される蛍光。この発光は、励起からの発生源と同時に消滅する。
【0062】
化学反応の結果として生じる発光。
【0063】
生物発光
生きた生物が生成する可視的化学発光。本発明は、クラゲに天然に存在する系を、担体に固定することなく模倣する。
【0064】
生物発光系
本発明による生物発光系は、中央にペプチドリンカーおよび補酵素を有する、キメラの三部構成分子(すなわちセレンテラジン)である。リンカーによって共有結合で結合された、第一の分子および第二の分子は、第一に供与体部位を、第二にそれに結合した受容体部位を有するならば(受容体−リンカー−リンガンド、抗体−リンガンド−抗原)、いかなるものであることもできる。このキメラタンパク質は、Coen, L.、Osta, R.、Maury, M.およびBrulet, P.〔Construction of hybrid proteins that migrate retrogradely and transynaptically into the centaral nervous system, Proc. Natl. Acad. Sci. (USA), 94 (1997) 9400−9405〕によって、破傷風毒素のフラグメントに、軸索上でのその逆行およびシナプス貫通輸送のために融合させるか、または膜受容体に融合することができる。
【0065】
非放射線性
エクオリンがカルシウムイオンによって結合されているとき、エクオリンからGTPへの光子の放射は皆無である(したがって、本発明におけるエクオリンによる青色光の伝達は皆無であり、エネルギー移動は、二つのタンパク質間で直接実施される)。
【0066】
FRET系
蛍光による共鳴による(すなわちGFPの二つの変異体間の)エネルギーの移動。
【0067】
参考文献
緑色蛍光タンパク質およびカルモジュリンに基づく、Ca2+のための蛍光指示薬;Miyawaki, A., Llopis, J., Heim, R, McCaffery, J.M., Adams, J.A., Ikura, M. & Tsien, R.Y., Nature (1997) Vol. 388 pp. 882−887
カルモジュリン結合配列によって結合された2種類の緑色蛍光タンパク質変異体で構成される、指示薬の蛍光放射のCa2+依存性の変化の、生細胞における検出:蛍光指示薬の新たな一分類群;Romoser, V.A., Hinkle, P.M. & Persechini, A., J. Biol. Chem., (1997) Vol. 272, pp. 13270−13274
【0068】
CRET
化学発光による共鳴(すなわち、リンカーまたはGFP−オベリンではなく、GFP−エクオリン(オワンクラゲ属のクラゲ)との融合タンパク質)によるエネルギーの移動。
【0069】
参考文献
化学発光エネルギー移動;Campbell, A.K., in Chemiluminescence: Principles and application in Biology and Medicine, Eds. Ellis Horwood, Chichester、英国、1988, pp. 475−534
【0070】
BRET
生物発光による共鳴(すなわち、GFPとルシフェラーゼ(ウミシイタケ属のクラゲ)との間の相互作用)によるエネルギーの移動。
【0071】
参考文献
生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)系:相互作用性概日時計タンパク質への応用;Xu, Y., Piston, D.W. & Johnson, C.H., Proc. Natl. Acad. Sci., (USA) (1999) Vol. 96, pp. 151−156;
【0072】
応用1:真核生物の細胞集団からのカルシウムシグナルの研究
細胞集団、または特定の組織におけるカルシウムに感受性を有する生物発光タンパク質の標的化は、特定のプロモーターの制御下での、相同的組換え、または遺伝子導入によって達成されるであろう。マウスの胚細胞における相同的組換えによって、遺伝子、たとえばHoxc−8およびOtxlをこの新たなマーカーと置き換えることは、突然変異マウスの新たな系統を得るのを可能にすると思われる。この取組み方は、一群の神経細胞における電気的活性の検出を許し、LacZ遺伝子を置き換えることによって得られる突然変異種の表現型の研究〔Le Mouellic et al., 1990, 1992;Acampora et al., 1996〕を完遂するのを可能にすると思われる。Hoxc−8遺伝子座については、マーカーの発現は、セクションC7で始めて、脊髄前角に位置しなければならない〔Le Mouellic et al., 1990〕。これらの筋に分布する運動ニューロンの体性感覚的機構の異常が解明されていて〔Tiret et al., 1998〕、そのため、発生の際のこれらの神経接続の確立における、カルシウム流束の役割の研究が着手されるであろう。Otxlモデルでは、大脳皮質の第V層および第VI層に、また間脳、中脳および小脳の領域に局在化した発現が、示されているところから、導入遺伝子は、前脳の特定の領域で発現されなければならない〔Frantz et al., 1994〕。この遺伝子をLacZ遺伝子に置き換えることによって得られた突然変異マウスは、大脳皮質の厚さの現象、および海馬、中脳および小脳の異常を示す〔Acampora et al., 1996〕。これらのマウスで観察された平衡および回転運動の喪失は、おそらく、感覚器官、具体的には目および内耳における異常に帰すことができる。また、これらのマウスは、全身性てんかんの発作を生じやすい。不完全な接続、および/または異常な電気的活性の確立が、これらの病理学的過程の形成に関与している可能性がある〔McNamara, 1992〕。この新たなマーカーの使用は、一方では、これらの仮説を、機能的かつ動的な取組み方を通じて確認すること、他方では、成体はもとより、発生の際のてんかんの発症に対処することを可能にすると思われる。
【0073】
応用2:細胞内カルシウムの役割の研究
カルシウムは、非常に多くの細胞性機構、たとえば細胞移動、膜興奮性、ミトコンドリア代謝、分泌、有糸分裂、およびシナプス可塑性に関与する〔Berridge et al., 1998〕。細胞および細胞下レベルでのカルシウム情報のコーディングは、複雑であって、空間的、時間的および定量的因子を含む。異なる細胞下区画を本発明のマーカーの標的にさせることは、ペプチドシグナル、たとえばシナプトタグミンとの融合によって可能である。
【0074】
例A:核区画の標的化は、転写活性化機構における、またプログラムされた細胞死(アポトーシス)に関連する機構の際の、カルシウムの役割を研究するのを可能にすると思われる。
【0075】
例B:GFPとの2種類の融合タンパク質の標的化は、異なる発光スペクトルを二つの細胞区画、たとえば細胞質および小胞体に生じさせ、細胞活性化の際のカルシウム流束の調節を研究するのを可能にすると思われる。
【0076】
例C:シナプスにおける融合タンパク質の標的化は、神経伝達物質の放出の際の神経細胞における電気的活性に結びついた、カルシウム活性を研究するのを可能にすると思われる。第一の可能性は、シナプスタンパク質、たとえばシナプトタグミンまたはSNAP25、GFPおよびエクオリンの間の三重融合の達成である。エキソサイトーシスの際のタンパク質−タンパク質相互作用の存在は、第二の可能性:すなわち、GFPとエクオリンとの間の、一方では、小胞タンパク質との、他方では血漿タンパク質との融合における、機能的共役を考慮するのを可能にする。シグナルは、カルシウムイオン濃度の上昇の存在下での、異なるタンパク質の相互作用の際にのみ得られるにすぎないと思われる。
【0077】
応用3:細胞集団レベルでのカルシウムシグナルの研究
破傷風毒素のフラグメントC(TTC)、またはヘルペスウイルスのVP22のような、細胞内輸送特性を有するタンパク質の、GFPおよびエクオリンとの三重融合は、接続された細胞の集団、たとえば神経ネットワークにおけるカルシウム活性を観察するのを可能にすると思われる。
【0078】
カルシウムイオンに感受性を有する生物発光マーカー発現ベクターの構成の説明工程1:pEGFP−C1dKS(KpnI−SmaI削除)
KpnIおよびSmaIという酵素によるpEGFP−Clプラスミド〔Clontech、図を参照されたい〕の二重消化。KpnI外延を「ヤエナリ」ヌクレアーゼで末端平滑化した後、二つの突起を結合した。
【0079】
【表6】
【0080】
工程2:pEGFP−CImut(GFP突然変異誘発)
pEGFP−CIdKSを用いて製造した一本鎖分子に対して、4種類の突然変異オリゴヌクレオチドを用いた。オリゴヌクレオチドは、それぞれ、1カ所または数カ所の誤対合を含んでいて(下記に小文字で特定した)、望みの突然変異を生じた。選ばれ、AgeI酵素ではなく、SacII酵素で切断されたpEGFP−Clmutというプラスミドでは、すべての突然変異を、配列決定によって確認した。
【0081】
−AgeI部位の破壊、SacII部位の導入、および「野生型」GFPには通常不在である、バリンのコドンの削除〔Prasher, D.C., Eckenrode, R.K., Ward, W.W., Prendergast, F.G., & Cormier, M.J., ”Primary structure of the Aequorea victoria green−fluorescent protein” Gene, 111 (1992) 229−233〕。
【0082】
【表7】
【0083】
−37℃での正しい配座を想定して、GFPの量を増加させるための、第163バリンのアラニンコドンとの置換え〔Siemering, K.R., Golbik, R, Sever, R., and Haseloff, J., ”Mutations that suppress the thermosensitivity of green− fluorescent protein” Current Biol., 6 (1996) 1653−1663〕
【0084】
【表8】
【0085】
−「野生型」GFPに通常存在するヒスチジンコドンとの第231Leuの置換え〔Prasher, D.C., Eckenrode, V.K., Ward, W.W., Prendergast, F.G., & Cormier, M.J., ”Primary structure of the Aequorea victoria green−fluorescent protein” Gene, 111 (1992) 229−233〕
【0086】
【表9】
【0087】
工程3:pEGFPmut−Aeq(GFP−エクオリン融合タンパク質)
エクオリン(Aeq)コーディング枠を含むベクターに対してなされた4回のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)は、A、B、CおよびDフラグメントを、それぞれ、プライマーoAE5AおよびoAE3A、oAE5BおよびoAE3B、oAE5CおよびoAE3C、oAE5DおよびoAE3Dを用いて増幅するのを可能にする。重複領域を用いて、連続PCRの際に異なる部分を組み立てる〔Ho, S.N., Hunt, H.D., Horton, R.M., Pullen, J.K. & Pease, L.R. ”Site−directed mutagenesis by overlap extension using the polimerase chain reaction” Gene, 77 (1989) 51−59〕。AおよびBフラグメントの混合物、ならびにプライマーoAE5AおよびoAE3Bで出発して、A+Bフラグメントを増幅する。同様に、CおよびDフラグメントの混合物によって、プライマーoAESAおよびoAE3Dを用いて、C+Dフラグメントを増幅する。最後に、完全なコーディング枠、すなわちA+B+C+Dを、プライマーoAE5AおよびoAE3Dによって開発した。
【0088】
・オリゴヌクレオチドは、それぞれ、下記に小文字で特定される、1カ所または数カ所の誤対合を含む。「野生型」配列を、向かい側に、大文字で示す。プライマーoAE5Aは、本来の開始翻訳コード(ATG)を抑制し、BglII部位を導入する。プライマーおよびoAE3Dは、翻訳終止コドン(TAA)の直後にXhoI部位を導入する。BglIIおよびXhoI酵素で消化された、最終PCR産物を、pEGFP−ClmutプラスミドのBglTI−SalI部位に、エクオリンの最初のコドンである、バリンコドン(GTC)がGFPと同じ読み枠内に存在するように、クローニングする(図を参照されたい)。その他のプライマーは、タンパク質配列は変化させないが、クラゲ、すなわちエクオレア・ビクトリアの6コドンを改変する、「サイレント」突然変異を導入して、哺乳動物におけるそれらの発現を改良する〔Wada, K−N., Aota, S.−I., Tsuchiya, R., Ishibashi, F., Gojobori, T. & Ikemura, T. ”Codon usage tabulated from the GenBank genetic sequence data” Nucleic Acids Res., 18 suppl. (1990) 2367−2411〕。配列全体の完全性を、配列決定によって確認した。
【0089】
【表10】
【0090】
工程4:pGCA(差込み配列の挿入)
pEGFPmur−Aeqプラスミドでは、GFPとエクオリンののコーディング枠の間に、5アミノ酸の配列が存在する。観察は、BspEL部位に配列を差し込むことによる、この領域の伸長へと導いた。9アミノ酸の配列に対する二つの相補的なオリゴヌクレオチドのコーディングは、グリシンおよびセリンが豊富なために、大量の柔軟性を組成物に与える。挿入の後、新たな差込み配列が連続的に加えられてよいが、BspEL部位は、一方の側にのみ保存する。工程のそれぞれにおいて、BspEI酵素によって制御した。この配列の二つのコピーは、GFPの正常な蛍光を回復するのに必要とされるが、エクオリンとGFPとの間のエネルギー移動は、5コピーで最適である。pGCAプラスミドの差込配列の全体(5x9+l最初の5アミノ酸=50aa)を、配列決定によって確認した。
【0091】
【表11】
【0092】
GFPとアポエクオリンとの間でのスペーサーの挿入による、エネルギー移動の最適化
励起されたオキシルシフェリンとGFP発色団との間の非放射性エネルギー移動は、それらの全体的な幾何学、およびそれらの個々の運動に強く依存すると思われる。そのため、主としてセリンおよびグリシン残基で構成されるリンカーを、様々な長さの柔軟な要素を差し込むよう設計した。
【0093】
Ca++触発に際して放射される緑色および青色の光子の比率を、Neuro2A細胞の一過性トランスフェクションの48時間後に調製した細胞抽出物で測定した。ビームスプリッターを通じて放射された光子を、適切なフィルターを通過させた後に計数した。エクオリン(GA)とのGFPの共有結合は、極大発光の波長を有意に変化させ(図2)、それによって、分子内エネルギー移動を立証した。緑色光対青色光の比率(500/450)は、1〜5種類のリンカーを加えることによって、3から7前後へとさらに上昇した(図2、CRET)。予備測定は、おそらく、膜に足場を有する融合タンパク質の蓄積のために、この比率が、SG5Aではほぼ11に到達できることを示す(材料および方法を参照されたい)。
【0094】
異なる構成体のスペクトル放射も、モノクロメーターを用いて分析した。エクオリンは、474±6.9nmに極大波長が、また極大放射の50%の値での低および高波長間の距離に対応して、103.3±20.1nmのバンド幅を有する、幅広いスペクトルを示した(図2)。GFP−エクオリン構成体のピーク放射には、506.7±1.2nm〜514.1±3.4nmにわたるGFP−エクオリンのピーク放射で、緑色に向けての明瞭な移動があった。リンカーの長さの増大は、それぞれpGAおよびpG5Aについての、より狭いバンド幅、すなわち88.4±9.4nmおよび56.0±3.3nmによって示される通り、スペクトルの鋭さにさらに影響した。pG1A〜pG5Aの構成体のいずれでも、二モードスペクトルの証拠は皆無であって、pGAの場合には不完全であり得る、最適の移動を示した。
【0095】
GFPとエクオリンとの間のスペーサーが、14アミノ酸より長いときは、供与体および受容体双極子は、おそらく、最適の分子内エネルギー移動に好都合な立体配置になるための、より多くの自由度を有すると思われる。本発明の系は、in vivoで測定された分子内CRETに匹敵する効率を生じ(22、23)、無放射エネルギー移動の機構の生物物理学的研究に好都合なモデルを提供する。
【0096】
GFP−アポエクオリンの細胞内局在と標的化
GFP−アポエクオリン構成体の細胞内局在を調べた。図3は、Neuro2A細胞における一過性トランスフェクションの48時間後のGFP活性を示す。突然変異GFP単独の発現(Gm)は、GFPが、核内に拡散できる非委細タンパク質であることから予期されたとおり、細胞質ゾルはもとより、核内でも均質な蛍光を示した。突然変異V163Aは、本来のEGFP(データ示さず)と比較したとき、おそらく、適正に折り畳まれたタンパク質の比較的高い濃度のために、蛍光シグナルを顕著に向上させ、光漂白を減少させた。Neuro2A細胞(図3A〜D)はもとより、COS−7細胞でも、すべてのGFP−アポエクオリン構成について、均等な分布も観察された。最短のリンカー:すなわちGA、G1AおよびG2Aを有する融合タンパク質では、しばしば、細胞質ゾル中に輝点が出現した。これらの輝点は、G4Aでは、より少なく、GmおよびG5Aでは、決して観察されなかった。一過性トランスフェクションの際に発現された高濃度のタンパク質は、GFPの凝集を誘導することができて(24)、エクオリンタンパク質の存在、およびそれらを隔てる距離によっても影響されようとしている。
【0097】
完全または部分的なシナプトタグミンI分子を有する神経伝達物質小胞も、GFP−アポエクオリンの標的にさせた。シノプトタグミンIは、シナプス小胞の貫膜タンパク質であり、神経伝達物質のエキソサイトーシスに関与する(25)。シナプス前区画内のカルシウムミクロドメインを画像化するには、シグナルは、ニューロンの細胞質中に均等に分布するそれより正確でなければならない。三部融合タンパク質のSG5Aで(図1)、シナプトタグミンIの完全なコーディング配列をG5Aの上流に入れた。この場合、GFP蛍光は、シナプトタグミンの免疫染色と重ね合わせることができるが、細胞表面でも視認することができる(図3E)。ニューロン(26)およびNeuro2A細胞では、シナプトタグミンIは、ニューロン突起に局在するが、原形質膜では、おそらく、エキソサイトーシスの動的機構後に、急速なエンドサイトーシスが続くために、検出することができない。GFP−アポエクオリンを、シナプトタグミンIの貫膜ドメインを含むが、細胞質ドメインを欠く、N末端部のみと融合させたとき(tSG5A、図1)、強い蛍光が細胞質ゾルに局限される(図3F)。区分標的化は、このタンパク質が、トランスゴルジ系に固定化されることを示唆する。本発明の三部融合分子の適正な標的化は、tSG5Aでは生じず、SG5Aの場合は、減速すると思われる。完全なシナプトタグミンタンパク質と融合させたときは、生物発光マーカーは、原形質膜内に引き込まれるが、それでも、Neuro2A細胞内に存在するすべての神経突起の伸展部を標的化する。
【0098】
単一細胞内におけるCa++検出
Neuro2A細胞をpA、pGA、pG2A、pG5Aで一過的にトランスフェクションするか、またはpAおよびpGmで同時トランスフェクションした(図1)。Ca++を含まない緩衝液中の天然セレンテラジンによるエクオリン再構成の後、CaCl2溶液(5mM)を加えて、光子の放出を古典的な増感CCDカメラで測定した(図4A.1および4A.4)。無視し得るバックグラウンドにより(図4A.2)、融合タンパク質のいずれかを発現する単一細胞のシグナル(図4A.1)を記録するには、1秒の積分時間が充分である。エクオリン単独でか、または同時発現させた遊離GFPでは、可視化できたシグナルは皆無であった(データは示さず)。未結合GFPの存在は、本発明者らがin vitroで観察したとおりのエクオリン化学発光を改良しなかった。生成された光のレベルが低いため、in situで発現されたエクオリンは、単一細胞では、ミトコンドリアを標的化したとき以外は決して検出されなかった。冷却増感CCDカメラを用いて、Rutterら(1996)(27)は、エクオリンをシトクロームcオキシダーゼと融合させたときに、ミトコンドリア内Ca++シグナルを検出するのに成功している。細胞質エクオリンをコードしている導入遺伝子は、より鋭敏ではあるが、単一細胞分析のための空間解像力を欠く、光電子増倍管(PMT)を用いたときにのみ、細胞の単層内のカルシウム活性をリポートできるにすぎない。本発明のGFP−エクオリン融合の安定性、および改良された発光は、単一細胞のレベルで生理学的Ca++シグナルを検出するのを可能にした。
【0099】
測定前のカルシウム欠乏、または用いたトランスフェクション条件は、細胞脱分極を誘導することがあり、その結果、電圧依存性Ca++チャンネルの開口が、CaCl2添加に対する急速な生物発光応答の原因である可能性がある(図4A)。次いで、発光は、Ca++チャンネルの脱感作、およびCa++依存性K+チャンネルによる膜の脱分極のために、バックグラウンドレベルに復帰すると思われる(28)。Fluo−3は、Neuro2A細胞の擬似トランスフェクションで類似の描像を示した(図4C)。その後のCa++イオノホア(A23187)の添加は、匹敵する強さではあるが、異なる動態での光子の第二の放射を誘導した。pSG5AでトランスフェクションしたNeuro2A細胞では、より低い光強度が検出可能である(図4B)。蛍光カルシウムプローブを、膜の内表面に固着させたときは、応答動態は、プローブを標的化しないときよりはるかに速い(29)。生物発光リポーターであるSG5Aの利用は、おそらく、より高い空間および時間解像力を有する系を必要とする。いずれの場合も、観察された応答は、エクオリンの完全な消費によるものではなく、その理由は、濃縮されたCa++溶液(100mM)を細胞に加えたときも、依然として、より多くの生物発光を観察することができたからである(たとえば図4.Bを参照されたい)。それぞれの構成について、測定は、少なくとも4回繰り返した。おそらく細胞集団が異型遺伝子性であるため、個々の細胞応答の変動性が観察された。相対光単位(RLU)対Ca++濃度を較正するには、さらに探求が必要とされる。パッチ−クランプの手法も、これらの応答に関与するカルシウムチャンネルの種類、および膜電位に対する細胞性トランスフェクションの効果の特定を許す。
【0100】
本発明の導入遺伝子は、動物全体の神経ネットワークの電気的活性の画像化を許すはずである。in vitroでは、二つの取組み方が最近まで用いられた。第一の方法は、神経細胞におけるエキソサイトーシスと、シナプトルシンからの発光との共役に基づく(30)。発光は、シナプス小胞の内側を標的にさせたルシフェラーゼが、細胞外空間でATPと反応したときに生じる。この系を用いて、著者らは、神経伝達物質の放出と相関するシグナルを得たが、低い光のレベルは、非常に長い捕捉時間(30秒超)を必要とした。第二の取組み方では、蛍光Ca++溶液感受性マーカーを用いて、FRETによって細胞内〔Ca++〕を測定する。単一細胞の検出のためには、この手法は、生物学的化合物の自発的蛍光、および二つのGFP間のカルシウム依存性エネルギー移動の可能性によって生成される、バックグラウンドからシグナルを識別するのに充分なプローブ濃度を必要とする。積分時間も、比較的長く、4〜20秒間である。
【0101】
したがって、本発明は、GFP蛍光によって発現パターンを追跡することができる一方で、エクオリン部分がCa++活性のリポーターである、新奇な二機能性ハイブリッドを提供する。さらに、二つの構成要素の、CRETの原理に従う機能的共役が、より大量の発行、およびより高いCa++感度につながる。これらの遺伝学的マーカーの生物発光活性を、単一細胞で冷却増感CCDカメラを用いて、1秒の積分時間で査定した。低レベル光検出系の最近の発達は、はるかに短い積分時間、および高い空間解像度でのCRETシグナルの検出を許すはずである。細胞内および細胞間Ca++発信は、特定の細胞集団および/または特定の細胞下区画をGFP−エクオリンの標的にさせた、トランスジェニック動物においてin vivoで取り組むことができる。特に、カルシウム振動は、そうして、集積された神経回路を有する細胞で、現時式で同時に画像化することができる。
【0102】
下記の実施例で、本発明を、より詳細に説明する。
【0103】
例1:GFP−エクオリン融合タンパク質の構成
構成体は、すべて、pEGFP−Clベクター(Clontech)中に作成した。EGFP遺伝子を、哺乳動物細胞での最大発現にコドン最適化した。それは、クロモホアF64LおよびS65Tに、励起スペクトルを変更し、蛍光強度を増強する二つの突然変異も有する(17)。EGFPのバリン163番も、一本鎖突然変異誘発を用いて、アラニンに置き換えて、タンパク質の適正な折り畳みを改良し、371Cにおける蛍光を強めた(18、19)。エクオリンコーディング配列は、M.−T. Nicolasによる寛大な贈与品であって、pEGFP−ClのBgIII/SaII部位で、EGFP遺伝子の3’末端の枠内で融合した。哺乳動物細胞でより充分に発現させるため、重複外延を有するPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を用い、部位指向性突然変異誘発によって7コドンを改変した。、次いで、相補的オリゴヌクレオチド:5’−CCGGCGGGAGCGGATCCGGCGGCCAGT−3’〔配列番号23〕および5’−CCGGACTGGCCGCCGGATCCGCTCCCG−3’〔配列番号24〕を、GFPとエクオリンとの間の15bpの配列中のBspEI部位に挿入した。末端のみでのBspEI部位の保存は、1〜5個のリンカー配列(pG1A〜pG5A)の逐次付加を許す。
【0104】
pG5A中に、シナプスタンパク質であるシナプトタグミンI(そのcDNAプラスミドは、M. Fukudaによって寛大にも贈与された)との二つの追加の融合構成体を作成した。このタンパク質の貫膜ドメインを含む、読取り枠全体、または最初の134個のN末端アミノ酸のいずれかをコードしている配列を、GFP−エクオリン遺伝子の5’末端で枠内融合させた。
【0105】
例2:細胞培養およびトランスフェクション
神経芽細胞腫の細胞(Neuro2A、マウス)を、10体積%熱処理ウシ胎児血清;2mMグルタミン(Life Technologies − Gibco、英国)、および100単位のストレプトマイシン−ペニシリン(Life Technologies − Gibco、英国)を補強した、ダルベッコのイーグル培地(Life Technologies − Gibco、英国)中で増殖させた。培養体を、8%CO2を含む加湿雰囲気中、37℃で温置し、CaPO4手法またはFuGENE 6(登録商標)トランスフェクション試薬(Roche)のいずれかを用いて、一過的にトランスフェクションした。
【0106】
例3:in vitroCa++感受性化学発光およびCRET活性
細胞を、PBS中10mMのβ−メルカプトエタノール、4mMのEDTA、5μMのセレンテラジンの250μl中で4℃で2〜4時間トランスフェクションした後に採集した。細胞を、PBS中1mMのEDTA中で洗浄し、低浸透圧緩衝液(製造者Rocheに従って、プロテアーゼ阻害剤カクテルを加えた、20mMトリス−HCl、pH7.5/5mMEDTA/5mMβ−メルカプトエタノール)400μl中、4℃で30分〜1時間で採集した。30ゲージの針を通過させることによって、細胞膜を破壊し、13,000rpm、40℃で1時間の遠心分離後に、細胞抽出物を得た。すべての構成体について上清を採集したが、SGSAだけは、膜ペレットをさらに再懸濁させた。ルミノメーター(Lumat LB95501 E&EG Berthold)内で、カルシウム感受性化学発光活性を測定した。アリコート(10μl)を、ルミノメーター内のサンプル管(90mlの10mMトリス−HCl、pH7.5)に入れ、相対光単位(R.L.U.)で表される光強度を、50mMCaCl2/10mMトリス−HCl、pH7.5の溶液100μlを注入した後に測定した。
【0107】
CRET測定のために、トランスフェクションした細胞からの抽出物のアリコートを、貯留室に入れ、光子計数カメラ(Photekの3マイクロチャンネルプレート増感CCDカメラ:Photek 216)に接続した光ファイバー束に接触させた。シグナル捕捉の前に、光は、モノクロメーターを通過して、放射光子のスペクトル分析を許す。捕捉は、CaCl2注入の20秒前に開始し、CaCl2溶液(50mM)の注入後の40秒間実施した。緑色/青色光子比を決定するため、同じ手順に従うが、この場合、系は、ビームスプリッター後の青色(450nm)および緑色(500nm)フィルター越しの光を測定した。
【0108】
例4:GFPの蛍光および免疫定位
Neuro2A細胞を、PBS、pH7.4中4%のパラホルムアルデヒド中でのトランスフェクションの48時間後に固定し、PBS中で洗浄し、載せた。マルチラインモードで作動する、アルゴン−クリプトンレーザーを用いる、共焦点レーザー走査顕微鏡(Zeiss, Heidelberg、ドイツ国)、または表面発光系によるAxiophot顕微鏡(Zeiss, Heidelberg、ドイツ国)下で、GFP蛍光を可視化した。標的化されたGFP−エクオリンの免疫定位のためには、固定された細胞を、PBS、pH7.4中50mMのNH4Clで室温で5分間前処理し、PBS中の2%BSA/0.02%トリトン/ヤギ血清溶液中で1時間、浸透性化した。次いで、シナプトタグミンに対する抗体(StressGen SYA−130)を、2〜4時間加えた。次いで、細胞をPBS中で洗浄し、1/100に希釈した二次抗体(TRITC結合抗体)とともに、PBS中2%のBSA/0.02%トリトン中で温置した。次いで、細胞を、PBS中で洗浄し、載せた。
【0109】
例5:単一細胞生物発光の検出
トランスフェクションの48時間後に、細胞を、124mMNaCl/5mMKCl/15mMHepes、pH7.4/5mMNaHCO3/1mMNaH2PO4/0.5mMMgSO4/1.5mMCaCl2/5.5mMグルコース中で洗浄し、その後、CaCl2なしで、5μMのセレンテラジンを含む同じ緩衝液中で、37℃で2〜4時間温置して、エクオリンを再構成し、次いで洗浄した。カルシウムシグナルは、BH2−RFCA表面蛍光ユニットを取り付け、平面x40のOlympus長作業距離水浸レンズ(N.A.0.7)越しに記録される、改変Olympusアップライト顕微鏡(BHS)で可視化した。GFP蛍光は、トランスフェクションされた細胞上の記録域を選ぶことを許した。励起灯を消灯し、カメラの利得を増加させた。画像は、冷却されたPhotonic Science extended ISISビデオカメラで、毎秒、積分した。図4の描像は、それぞれ、Axon Imaging Workbench 2214というソフトウェアを用いて、個々の細胞の本体の周囲に本発明者らが定義した部域全体から放射された光の量を表す。蛍光の強さ、およびCRET活性を、目盛りつき擬似色彩に翻訳した。対照は、模擬トランスフェクションされたNeuro2A細胞上でFluo−3AMを用いて作成して、実験条件を確認した。
【0110】
例6:タンパク質の安定性
異なる細胞質タンパク質の代謝回転時間を、ピューロマイシン(50μg/ml)で6時間処理することによって、COS7細胞で一過性発現について推計した。Ca2+誘導化学発光活性は、5μMセレンテラジンの存在下でエクオリンを再構成した後に得られた細胞抽出物で実施した。カルシウム感受性化学発光活性は、ルミノメーターLumat LB95501 E&EG Berthold)内で測定した。アリコート(10μl)を、ルミノメーター内のサンプル管(90mlの10mMトリス−HCl、pH7.5)に入れ、相対光単位(R.L.U.)で表される光強度をアリコート(10μl)を、ルミノメーター内のサンプル管(90mlの10mMトリス−HCl、pH7.5)に入れ、相対光単位(R.L.U.)で表される光強度をアリコート(10μl)を、ルミノメーター内のサンプル管(90mlの10mMトリス−HCl、pH7.5)に入れ、相対光単位(RLU)で表される光強度を、50mMCaCl2/10mMトリス−HCl、pH7.5の溶液100μlを注入した後に測定した。相対化学発光活性は、ゼロ時点での活性(100%)の百分率として表す。結果は、図5に示したとおりである。図5から理解されるとおり、この期間にわたって、ほとんどの融合タンパク質は、単独のときのアポエクオリンの80%の喪失と比較して、活性の30%の低下を示した。
【0111】
例7:エクオリンおよびG5AのCa++親和性の決定
Ca2+誘導化学発光活性を、5μMセレンテラジンの存在下でエクオリンを再構成した後に得られた細胞抽出物で実施した。ルミノメーター(Lumat LB95501 E&EG Berthold)内で、カルシウム感受性化学発光活性を測定した。アリコート(10μl)を、ルミノメーター内のサンプル管(90mlの10mMトリス−HCl、pH7.5)に入れ、相対光単位(RLU)で表される光強度を、異なるCa/EGTA溶液100μlの注入後に測定した。結果を図6に示す。図6で理解されるとおり、G5Aは、38nMという低いCa++濃度で、バックグラウンドに優る有意なシグナルを与えるのに対して、エクオリンは、匹敵するシグナルを生じるのに、28倍も多くのカルシウム(1M)を必要とする。
【0112】
単一細胞レベルでの生物発光Ca2+リポーターとしてのキメラ性GFP−エクオリンについて
キメラ性GFP−エクオリンカルシウムカルシウム感受性生物発光リポーターに関しては、新たな用途を開発し、いくつかの予備データが、Ca2+イオンに対するGFP−エクオリンタンパク質の感受性について得られた。
【0113】
例8:G5AおよびSG5AのCa2+感受性:生物発光シグナルとCa2+濃度との間の較正
二つの構成体G5AおよびSG5AのCa2+感受性の測定を、5μMセレンテラジンの存在下でエクオリンを再構成した後に得られた細胞抽出物で実施した。カルシウム化学発光活性を、ルミノメーター(Lumat LB95501 E&EG Berthold)内で測定した。アリコート(10μl)を、ルミノメーター内の90μlの10mMトリス−HCl、pH7.5を有するサンプル管に入れ、相対光単位(RLU)で表される光強度を、異なるCa/EGTA溶液100mlの注入後に測定した(Molecular Probes Calcium Calibration Buffer Kit)。図7は、G5A、SG5AおよびエクオリンのCa2+応答曲線を示す。曲線は、L/Lmax比と〔Ca2+〕との間の関係を表す。Lは、与えられたいずれかの〔Ca2+〕でのRLUの比率であり、Lmaxは、飽和〔Ca2+〕でのRLUの比率である。これらの結果は、様々な形態のGFP−エクオリンのCa2+に対する、エクオリンよりはるかに高い親和性を示す。
【0114】
例9:GFP−エクオリンリポーターの新奇な応用
GFP−エクオリンを有するアデノウイルスベクターを開発した。これらの新奇な構成体を用いて、培養体中のラット脊髄からの解離したニューロンを、より高い効率でトランスフェクションすることができる。図8および9は、解離ニューロン細胞において単一細胞レベルで検出されたCa2+誘導生物発光シグナルを示す。アデノウイルスベクターによって、G5A(図8)またはSG5A(図9)に感染させたニューロン細胞を、無Ca2+緩衝液中で5μMのセレンテラジンとともに前温置した。蛍光および生物発光の強さを、擬似色彩に翻訳した。5mMおよび2.5mMのCaCl2を、それぞれ、図8a〜cおよび9aについて12および19秒間加えた後に、選ばれた視野の代表的な画像を示す。図8d〜eおよび9bは、イオノマイシン、および高濃度のCaCl2(100mM)を加えた後に得られた。
【0115】
例10:アフリカツメガエル属Xenopusの胚におけるin vivoでのGFP−エクオリンリポーターの発現、およびカルシウム活性の測定
アフリカツメガエル属における初期および後期胚発生の際のカルシウム発信を調べた。図10は、アフリカツメガエル属の胚の単細胞期における、GAプラスミドの注入後の神経誘導の際の、細胞内カルシウムの変化を示す。図11は、GFP−エクオリンを有するトランスジェニックなアフリカツメガエル属の幼生を示す。これらの手法は、ゼブラダニオおよびマウスの核酸移入にも用いることができる。これらの結果は、これらのカルシウムリポーターが、非常に様々な生物または組織に用いて、カルシウム活性を可視化し、カルシウム濃度を測定することができる。
【0116】
ようやくすると、生物発光系におけるCRET系によるエネルギー移動に役立つ新奇なリンカーは、下記の特性を有する:
【0117】
形態
該リンカーの異なるアミノ酸配列およびペプチド配列を記載した。その長さは、4〜9アミノ酸という最小の大きさを含み、それが、7〜12アミノ酸の群によって伸長することができる(好適実施態様では9アミノ酸)。該群は、63アミノ酸まで、すなわち9x6倍に拡張することができる。実験は、たとえば、5アミノ酸、次いで1〜5倍のアミノ酸を含むペプチドリンカーで実施した。
【0118】
機能
その第一の機能は、二つの分子の供与体部位と受容体部位とを近づけて、エネルギーを直接伝達することである。このリンカーは、CRETによるエネルギー移動に最適の環境を与える。
【0119】
第二の機能は、GFPの融合のため、エクオリンの半減期を増大させることによって、記載された系の安定化することである。エクオリンを、24時間を越える半減期を有する、GFPに結合する。
【0120】
応用:
生物発光系では、タンパク質−タンパク質相互作用に適性あり。
【0121】
リンカーを有する生物発光系の応用:てんかん発生、SNC疾患(発育の際、および成人における、ニューロン細胞活性の可視化)、脊髄中のホメオ遺伝子HOX−C8が関与する神経筋接続。
【0122】
細胞内カルシウムプールの改変を可視化することによる、本発明によるリンカーを含むキメラタンパク質によるアポトーシスにおける応用。
【0123】
脾臓のような生体器官におけるカルシウム波の役割の可視化および精度(細胞内および細胞間カルシウム波)。
【0124】
結果
キメラタンパク質は、分子の半減期の延長によって、より安定的になる。
カルシウムイオンに対する感度の増大も重要である。
【0125】
本発明のリンカーは、驚異的な特性を有する。エクオリンと該リンカーとを含むキメラ分子のカルシウムイオンの感度は、エクオリン単独についてのそれとは異なる。本発明は、より充分な感度を与える。
【0126】
このリンカーは、エクオリン分子をGFPにともに結合するのを可能にする。下記の参考文献は、両分子とも、リンカーなしには作用し合わないことを立証する:Morise, H., Shimomura, O., Johnson, F.H. & Winant, J. (1974) ”Intermolecular Energy Transfer in the bioluminescent system of Aequoria” Biochemistry, 13, 2656−2662。
【0127】
生きた単一細胞系(または1個の生存動物)でエクオリンシグナルの可視化を達成できたのは、最初である。
【0128】
要約すると、カルシウム流束を現時式に追跡することは、中枢神経系の発生、可塑性および機能性を理解する助けになり得る。クラゲでは、化学発光性のカルシウム結合エクオリンというタンパク質は、緑色蛍光タンパク質(GFP)と会合しており、Ca++刺激を受けて、緑色の生物発光シグナルを放射する。本発明者らは、2分子間のこの化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)を用いることに決定した。GFPおよびエクオリンを融合させることによって、カルシウム感受性生物発光リポーター遺伝子を構成して、結果的にはるかに多くの光の放射を得た。これらの融合タンパク質の化学発光および蛍光活性を、哺乳動物細胞で査定した。細胞質Ca++の増加を、冷却増感CCDカメラを用いて、単一細胞レベルで画像化した。この二機能性リポーター遺伝子は、トランスジェニック動物のニューロンネットワーク、および特定の細胞下区画におけるカルシウム活性の研究を許す。
【0129】
下記は、本明細書に参照された配列、および対応する配列特定子である。
【0130】
【表12】
ペプチド配列
【0131】
【表13】
GFP−エクオリンリンカーのDNA配列
【0132】
【表14】
リンカーのペプチド配列
【0133】
【表15】
【図面の簡単な説明】
【図1】
異なる構成の模式的地図を示す図である。構成体は、すべて、ヒトサイトメガロウイルス(PCMV)プロモーターの制御下にあった。星印は、Val−163−Alaという突然変異の位置を示す。pGAでは、GFPおよびエクオリンのコーディング配列は、5コドンを隔てている。pGjA(jは、リンカーの数である)では、1〜5個のリンカー(かっこ内)が付加されていた。リンカーは、9アミノ酸の繰返しをコードするように配向させた。完全なシナプトタグミン1、またはその貫膜部分(tSyn)をG5Aと枠内で融合させた。
【図2A】
細胞抽出物に対するCa++CRET活性を示すグラフである。エクオリン、およびいくつかのGFP−エクオリン融合タンパク質の発光スペクトルを、最大強度の百分率として較正した。CRETの測定は、青色の(450nm)の光子に対する緑色の(500nm)のそれの比率として表されている。
【図2B】
細胞抽出物に対するCa++CRET活性を示すグラフである。エクオリン、およびいくつかのGFP−エクオリン融合タンパク質の発光スペクトルを、最大強度の百分率として較正した。CRETの測定は、青色の(450nm)の光子に対する緑色の(500nm)のそれの比率として表されている。
【図3】
pGm(A)、pGA(B)、pG2A(C)およびpG5A(D)をトランスフェクションしたNeuro2A細胞内のGFP−エクオリンタンパク質のGFP蛍光を示す図である。GFP蛍光と、pSG5A(E)またはpStG5A(F)のいずれかを発現している、細胞内シナプトタグミンの免疫染色との共焦点重ね合わせを示す。
【図4A1】
単細胞レベルで検出されたCa++誘導生物発光を示す図である。pGA(A.1〜4)またはpSG5A(B)をトランスフェクションしたNeuro2A細胞を、5μMのセレンテラジンとともに無Ca++緩衝液中で前温置した。(A.3)GFP蛍光は、トランスフェクションされた細胞の選別を可能にした。CaCl2を加える前に記録されたバックグラウンド(A.2)は、実験の時間0の時点での相対光単位(RLU)に相当する(A.4、B)。蛍光および生物発光活性の強さを、目盛り付き擬似色彩に翻訳した。捕捉開始(A.1)のそれぞれ13秒および159秒後に、5mMCaCl2および5μMA23187を加えた後の、選ばれた視野の代表的な画像を示す。(A.4)それぞれの描像は、単一細胞が放射する光の強さを示す。
問題の5領域を、個々の細胞体を円で囲むことによって画定した。pGA(データ示さず)またはpSG5A(B)のトランスフェクションでは、高濃度のCaCl2(100mM)を実験の終点(500秒)で加えて、生物発光タンパク質が、依然として活性を有することを確認した。(C)対照実験は、模擬トランスフェクションしたNeuro2A細胞でのFluo−3AMによって実施した。
【図4A2】
単細胞レベルで検出されたCa++誘導生物発光を示す図である。pGA(A.1〜4)またはpSG5A(B)をトランスフェクションしたNeuro2A細胞を、5μMのセレンテラジンとともに無Ca++緩衝液中で前温置した。(A.3)GFP蛍光は、トランスフェクションされた細胞の選別を可能にした。CaCl2を加える前に記録されたバックグラウンド(A.2)は、実験の時間0の時点での相対光単位(RLU)に相当する(A.4、B)。蛍光および生物発光活性の強さを、目盛り付き擬似色彩に翻訳した。捕捉開始(A.1)のそれぞれ13秒および159秒後に、5mMCaCl2および5μMA23187を加えた後の、選ばれた視野の代表的な画像を示す。(A.4)それぞれの描像は、単一細胞が放射する光の強さを示す。
問題の5領域を、個々の細胞体を円で囲むことによって画定した。pGA(データ示さず)またはpSG5A(B)のトランスフェクションでは、高濃度のCaCl2(100mM)を実験の終点(500秒)で加えて、生物発光タンパク質が、依然として活性を有することを確認した。(C)対照実験は、模擬トランスフェクションしたNeuro2A細胞でのFluo−3AMによって実施した。
【図4A3】
単細胞レベルで検出されたCa++誘導生物発光を示す図である。pGA(A.1〜4)またはpSG5A(B)をトランスフェクションしたNeuro2A細胞を、5μMのセレンテラジンとともに無Ca++緩衝液中で前温置した。(A.3)GFP蛍光は、トランスフェクションされた細胞の選別を可能にした。CaCl2を加える前に記録されたバックグラウンド(A.2)は、実験の時間0の時点での相対光単位(RLU)に相当する(A.4、B)。蛍光および生物発光活性の強さを、目盛り付き擬似色彩に翻訳した。捕捉開始(A.1)のそれぞれ13秒および159秒後に、5mMCaCl2および5μMA23187を加えた後の、選ばれた視野の代表的な画像を示す。(A.4)それぞれの描像は、単一細胞が放射する光の強さを示す。
問題の5領域を、個々の細胞体を円で囲むことによって画定した。pGA(データ示さず)またはpSG5A(B)のトランスフェクションでは、高濃度のCaCl2(100mM)を実験の終点(500秒)で加えて、生物発光タンパク質が、依然として活性を有することを確認した。(C)対照実験は、模擬トランスフェクションしたNeuro2A細胞でのFluo−3AMによって実施した。
【図4A4】
単細胞レベルで検出されたCa++誘導生物発光を示す図である。pGA(A.1〜4)またはpSG5A(B)をトランスフェクションしたNeuro2A細胞を、5μMのセレンテラジンとともに無Ca++緩衝液中で前温置した。(A.3)GFP蛍光は、トランスフェクションされた細胞の選別を可能にした。CaCl2を加える前に記録されたバックグラウンド(A.2)は、実験の時間0の時点での相対光単位(RLU)に相当する(A.4、B)。蛍光および生物発光活性の強さを、目盛り付き擬似色彩に翻訳した。捕捉開始(A.1)のそれぞれ13秒および159秒後に、5mMCaCl2および5μMA23187を加えた後の、選ばれた視野の代表的な画像を示す。(A.4)それぞれの描像は、単一細胞が放射する光の強さを示す。
問題の5領域を、個々の細胞体を円で囲むことによって画定した。pGA(データ示さず)またはpSG5A(B)のトランスフェクションでは、高濃度のCaCl2(100mM)を実験の終点(500秒)で加えて、生物発光タンパク質が、依然として活性を有することを確認した。(C)対照実験は、模擬トランスフェクションしたNeuro2A細胞でのFluo−3AMによって実施した。
【図4B】
単細胞レベルで検出されたCa++誘導生物発光を示す図である。pGA(A.1〜4)またはpSG5A(B)をトランスフェクションしたNeuro2A細胞を、5μMのセレンテラジンとともに無Ca++緩衝液中で前温置した。(A.3)GFP蛍光は、トランスフェクションされた細胞の選別を可能にした。CaCl2を加える前に記録されたバックグラウンド(A.2)は、実験の時間0の時点での相対光単位(RLU)に相当する(A.4、B)。蛍光および生物発光活性の強さを、目盛り付き擬似色彩に翻訳した。捕捉開始(A.1)のそれぞれ13秒および159秒後に、5mMCaCl2および5μMA23187を加えた後の、選ばれた視野の代表的な画像を示す。(A.4)それぞれの描像は、単一細胞が放射する光の強さを示す。
問題の5領域を、個々の細胞体を円で囲むことによって画定した。pGA(データ示さず)またはpSG5A(B)のトランスフェクションでは、高濃度のCaCl2(100mM)を実験の終点(500秒)で加えて、生物発光タンパク質が、依然として活性を有することを確認した。(C)対照実験は、模擬トランスフェクションしたNeuro2A細胞でのFluo−3AMによって実施した。
【図4C】
単細胞レベルで検出されたCa++誘導生物発光を示す図である。pGA(A.1〜4)またはpSG5A(B)をトランスフェクションしたNeuro2A細胞を、5μMのセレンテラジンとともに無Ca++緩衝液中で前温置した。(A.3)GFP蛍光は、トランスフェクションされた細胞の選別を可能にした。CaCl2を加える前に記録されたバックグラウンド(A.2)は、実験の時間0の時点での相対光単位(RLU)に相当する(A.4、B)。蛍光および生物発光活性の強さを、目盛り付き擬似色彩に翻訳した。捕捉開始(A.1)のそれぞれ13秒および159秒後に、5mMCaCl2および5μMA23187を加えた後の、選ばれた視野の代表的な画像を示す。(A.4)それぞれの描像は、単一細胞が放射する光の強さを示す。
問題の5領域を、個々の細胞体を円で囲むことによって画定した。pGA(データ示さず)またはpSG5A(B)のトランスフェクションでは、高濃度のCaCl2(100mM)を実験の終点(500秒)で加えて、生物発光タンパク質が、依然として活性を有することを確認した。(C)対照実験は、模擬トランスフェクションしたNeuro2A細胞でのFluo−3AMによって実施した。
【図5】
様々な融合タンパク質について、タンパク質安定性を分析した結果を示すグラフである。
【図6A】
エクオリンおよび融合タンパク質G5AのCa++親和性を決定した結果を示すグラフである。
【図6B】
エクオリンおよび融合タンパク質G5AのCa++親和性を決定した結果を示すグラフである。
【図7】
G5A、SG5Aおよびエクオリンについての、生物発光活性とCa2+との間の較正曲線を示すグラフである。
【図8】
アデノウイルスのG5Aベクターでトランスフェクションした培養体中の解離させたニューロンにおける蛍光およびCa2+誘導生物発光活性を示す図である。
【図9】
アデノウイルスのSG5Aベクターでトランスフェクションした培養体中の解離させたニューロンにおける蛍光およびCa2+誘導生物発光活性を示す図である。
【図10A】
アフリカツメガエル属の胚の単細胞期における、GAプラスミドの注入後の発光活性の代表的なパターンを示す図である。
【図10B】
アフリカツメガエル属の胚の単細胞期における、GAプラスミドの注入後の発光活性の代表的なパターンを示す図である。
【図11】
GFP−エクオリンを有するトランスジェニックなアフリカツメガエル属の幼生を示す図である。
Claims (52)
- カルシウムイオンに結合し、かつ測定可能なエネルギーを可能にする機能的特徴を有する、精製されたポリペプチドを含む組成物であって、該エネルギーが、いかなる光励起の不在下であっても、該組成物中の結合したカルシウムの量とポリペプチドの量とに依存する、組成物。
- 配列番号1のアミノ酸配列を有する、精製されたポリペプチド。
- 配列番号2のアミノ酸配列を有する、精製されたポリペプチド。
- 配列番号3のアミノ酸配列を有する、精製されたポリペプチド。
- 配列番号4のアミノ酸配列を有する、精製されたポリペプチド。
- 配列番号5のアミノ酸配列を有する、精製されたポリペプチド。
- 配列番号6のアミノ酸配列を有する、精製されたポリペプチド。
- 配列番号7の配列を有する、精製されたポリヌクレオチド。
- 配列番号8の配列を有する、精製されたポリヌクレオチド。
- 配列番号9の配列を有する、精製されたポリヌクレオチド。
- 配列番号10の配列を有する、精製されたポリヌクレオチド。
- 配列番号11の配列を有する、精製されたポリヌクレオチド。
- 配列番号12の配列を有する、精製されたポリヌクレオチド。
- 配列番号13のポリヌクレオチド配列を有する、精製されたポリヌクレオチドリンカー。
- 配列番号14のポリヌクレオチド配列を有する、精製されたポリヌクレオチドリンカー。
- 配列番号15のポリヌクレオチド配列を有する、精製されたポリヌクレオチドリンカー。
- 配列番号16のポリヌクレオチド配列を有する、精製されたポリヌクレオチドリンカー。
- 配列番号17のポリヌクレオチド配列を有する、精製されたポリヌクレオチドリンカー。
- 請求項1記載の精製されたポリペプチドにおける化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)によるエネルギーの直接移動を可能にするのに最適の条件下で、供与体部位を受容体部位に近づける翻訳後の機能を有する、請求項14〜18のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドリンカー。
- 少なくとも5アミノ酸を有し、配列番号18のアミノ酸を含むペプチドリンカー。
- 少なくとも5アミノ酸を有し、配列番号19のアミノ酸を含むペプチドリンカー。
- 少なくとも5アミノ酸を有し、配列番号20のアミノ酸を含むペプチドリンカー。
- 少なくとも5アミノ酸を有し、配列番号21のアミノ酸を含むペプチドリンカー。
- 少なくとも5アミノ酸を有し、配列番号22のアミノ酸を含むペプチドリンカー。
- 請求項2〜7記載の精製されたポリペプチドにおける化学発光によるエネルギーの直接移動を可能にするのに最適の条件下で、供与体部位を受容体部位に近づける機能を有するペプチドリンカー。
- 請求項1記載の精製されたポリペプチドの存在下でエネルギーの直接移動を可能にするのに最適の条件下で、供与体部位を受容体部位に近づける機能を有する、請求項20〜25のいずれか一項に記載のペプチドリンカー。
- 改変された生物発光系をin vivoおよび/またはin vitroで安定化することができる能力を有する、請求項20〜26のいずれか一項に記載のペプチドリンカー。
- 2種類の生物発光タンパク質と、請求項20〜27のいずれか一項に記載のペプチドリンカーとを含む改変された生物発光系。
- 該2種類の生物発光タンパク質が、少なくともエクオリンタンパク質を含む、請求項28記載の改変された生物発光系。
- 下記の成分、すなわちエクオリンタンパク質およびGFPタンパク質を含む、請求項28または29記載の改変された生物発光系。
- in vitroまたはin vitroでのエネルギーの移動を測定するためのキットであって、請求項2〜7に記載の少なくとも1種類のポリペプチド、または請求項8〜13に記載のポリヌクレオチドと、問題の分子の存在もしくは不在下での該移動を可視化もしくは検出するのに必要な試薬とを含むキット。
- 式:
GFP−リンカー−AEQ
〔式中、GFPは、緑色蛍光タンパク質であり、AEQは、エクオリンであり、リンカーは、4〜63アミノ酸を有するポリペプチドである〕
で示される融合タンパク質。 - リンカーが、14〜50アミノ酸を含む、請求項32記載の融合タンパク質。
- nが1である、請求項34記載の融合タンパク質。
- nが5である、請求項34記載の融合タンパク質。
- リンカーが、Ser Gly Leu Arg Ser 〔配列番号26〕というアミノ酸配列を含む、請求項32〜37のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
- 細胞または細胞より小さい区画を融合タンパク質の標的にさせるためのペプチドシグナル配列をさらに含む、請求項32〜38のいずれか1項に記載の融合タンパク質。
- 請求項32〜39のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードしているポリヌクレオチド。
- 該精製されたポリペプチドが、請求項2〜7のいずれか一項に記載の精製されたポリペプチド、または請求項28〜30のいずれか1項に記載の改変された生物発光系、または請求項32〜39のいずれか一項に記載の融合タンパク質である、請求項1記載の組成物。
- C.N.C.M.に寄託されたとおりの、プラスミドNo.I−2507を含む培養体。
- C.N.C.M.に寄託されたとおりの、プラスミドNo.I−2508を含む培養体。
- C.N.C.M.に寄託されたとおりの、プラスミドNo.I−2509を含む培養体。
- C.N.C.M.に寄託されたとおりの、プラスミドNo.I−2510を含む培養体。
- C.N.C.M.に寄託されたとおりの、プラスミドNo.I−2511を含む培養体。
- C.N.C.M.に寄託されたとおりの、プラスミドNo.I−2512を含む培養体。
- C.N.C.M.に寄託されたとおりの、プラスミドNo.I−2513を含む培養体。
- 物理的、化学的、生化学的または生物学的条件の変化をin vivoでふるい分ける方法であって、
(a)請求項1または41に記載の組成物を哺乳動物に投与する工程と;
(b)光が生成されたか否かを検出する工程と;
(c)場合により、カルシウム流束のイオン濃度を測定する工程と
を含む方法。 - 物理的、化学的、生化学的または生物学的条件の変化をin vitroでふるい分ける方法であって、
(a)問題の被検体を含有する請求項1または41記載の組成物を、試験しようとする問題の分子の存在または不在下で反応系に加える工程と;
(b)工程(a)で生成されたエネルギーの放射を可視化する工程と
を含む方法。 - 物理的、化学的、生化学的または生物学的条件の変化へと導く生成物をin vivoでふるい分ける方法であって
(a)請求項1または41記載の組成物を含む薬学的に許容され得る媒体を、試験しようとする問題の分子の存在または不在下で脊椎動物に投与する工程と;
(b)生成されたエネルギーを、該組成物の存在下で検出する工程と;
(c)場合により、工程(b)におけるエネルギーの検出に必要な該問題の分子の有効濃度を測定する工程と
を含む方法。 - 請求項1または41記載の組成物におけるエネルギーを調整できる分子をin vitroでふるい分ける方法であって、
(a)試験しようとする分子を含有する反応系中の請求項1または41記載の組成物を、生物学的サンプル中に与える工程と;
(b)試験しようとする分子なしに請求項1または41記載の該組成物を含有する対照サンプルと比較することによって、エネルギーの調整を検出する工程と;
(c)場合により、該組成物のエネルギー移動を阻害または増強できる該分子の有効最低濃度を決定する工程と
を含む方法。
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