JP2004531713A - 腎細胞癌の腫瘍マーカー - Google Patents

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Abstract

本発明は、腎細胞癌のサブタイプのスクリーニング、診断、予後、および同定のために使用できる腫瘍マーカーに関する。本発明はまた、イムノアッセイにおける同定された抗原タンパク質の使用、および免疫応答の刺激ための免疫原としての腫瘍マーカーの使用に関する。本発明はさらに、腫瘍マーカー指向性の抗体および抗体融合タンパク質の製造のための腫瘍マーカーの使用に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、腎細胞癌(RCC)のスクリーニング、診断、および予後のために、並びにRCCのサブタイプの同定のために使用できる腫瘍マーカーに関する。本発明はさらに、免疫応答を刺激するための、並びに腫瘍マーカー指向性の抗体および抗体融合タンパク質を製造するための、免疫原としての腫瘍マーカーの使用に関する。
【0002】
(発明の背景)
MHCクラスI関連ペプチドは、主として細胞質内タンパク質のタンパク質分解から誘導される。最初のユビキチン化の後、こうしたタンパク質は、多触媒性の大きなプロテアソーム複合体によって切断される。その構成要素である、β−サブユニットのいくつか、すなわちY、Z、およびX、ならびにインターフェロン(IFN)γ誘導性サブユニット、低分子量タンパク質(LMP)サブユニットLMP2、MECL1(LMP10)、およびLMP7はそれぞれ、プロテアソーム複合体のタンパク質分解活性部位を形成している。得られたペプチドは、抗原プロセッシング関連輸送体(transporter associated with antigen processing)(TAP)、すなわちTAP1およびTAP2サブユニットを含むヘテロダイマーの膜タンパク質によって、細胞質ゾルから小胞体(ER)まで輸送される。その後、これらのペプチドは、多段階の構築プロセスを伴い、ER内でMHCクラスI分子に積載される。新たに合成されたMHCクラスI重鎖(HC)は、ERに存在するシャペロンカルネキシンに結合し、その後β2−ミクログロブリン(β2−m)に結合し、続いてシャペロンカルレティキュリン、チオール酸化還元酵素ERp57、TAPヘテロダイマー、および膜貫通タンパク質タパシン(tapasin)からなる大きなMHCクラスIペプチドを積載する複合体に組み込まれる。さらに、細胞質ゾル、ならびにERに位置する熱ショックタンパク質も、ペプチドに結合でき、その安定化および輸送における重要な役割を果たすことができる。その後、安定的に結合したMHCクラスI/ペプチド複合体は、CD8+T細胞への提示のために、トランスゴルジ装置を介して細胞表面に輸送される。
【0003】
癌、自己免疫性疾患、または心血管障害などのいくつかの疾患では、健康な個体の細胞表面には見つけることができない正常または異常な細胞タンパク質のペプチドが、細胞表面に提示される。したがって、これらのペプチドおよびタンパク質を、こうした異常細胞を同定するためのマーカーとして使用することができる。さらに、血清または他の体液中の、こうしたペプチドまたはタンパク質に指向性のある抗体の検出も、リスクの指標として、あるいは予後の指標として使用することができる。
【0004】
腎細胞癌(RCC)は、すべての癌死亡の約5%に相当する。提示の時点では、患者の50%より多くが既に、局所的に進行したあるいは転移性の疾患を発症しており、5年生存率は20%未満である。RCCは、従来の療法に対しては比較的耐性があるが、T細胞ベースの免疫療法には部分的に感受性がある。
【0005】
プロテオーム分析は、分化ステップ中、あるいは生理学的/病態生理学的プロセス中に、規定の条件下で培養された細胞における、タンパク質の発現および変異パターンの変化を研究するための重要なツールとして役立つ(Pandey他、 Nature 2000、 405、 837; Appella他、 Exs.2000、 88、 1; Gevaert他、 Electrophoresis 2000、 21、 1145)。
【0006】
最近、異なる起源の腫瘍における診断、予測、および予後のパラメータの調査のために、プロテオミクスが用いられている(Alaiya他、 Electrophoresis 2000、 21、 1210; Unwin他、 Electrophoresis 1999、 20、 3629; Jungblut他、 Electrophoresis 1999、 20、 2100)。こうした腫瘍マーカー(すなわち腫瘍に関連する分子)は、患者の疾患をモニターするために日常的に用いられ、さらに、特別に設計された免疫療法治療戦略のために腫瘍患者を選択するのに役立っているはずである。
【0007】
この治療方法のための潜在的な標的構造を明確にするために、2-D PAGE分離(Sarto他、Electrophoresis 1997、 18、 599; Sarto他、 Electrophoresis 1999、 20、 3458)、SEREX分析(Scanlan 他、Int. J. Cancer 1999、 3、 456)、cDNA発現クローニング(Boon他、 Immunol. Today 1997、 18、 267)、およびサブトラクティブ(subtractive)ハイブリダイゼーション手順(Pitzer他、J. Cancer Res. Clin. Oncol. 1999、 125、 487)を含むいくつかの戦略が存在する。
【0008】
WO99/00671の、患者から得られた血清を用いた二次元ゲル電気泳動、それに続くウェスタンブロット分析では、いくつかの特異的なβ−チューブリン・アイソフォームが、神経芽細胞腫の腫瘍マーカーと同定された。
【0009】
WO00/20586では、腫瘍マーカーとして使用できる腎癌に関連する新規の抗原が、癌患者からの抗血清を使用する、腎癌細胞に発現した核酸のライブラリの自己抗体スクリーニングによって同定されている。
【0010】
しかし、RCCまたは他の癌を患う癌患者に適用できる治療および診断の発展のための、また、RCCの同定およびRCCのサブタイプの区別のための方法のためのさらなる腫瘍マーカーが必要である。
(発明の要約)
したがって、本発明の一目的は、新しい腫瘍マーカーを提供することである。
【0011】
さらに詳細には、本発明は、腫瘍マーカーとしての、β−アクチン、γ−アクチン、α−チューブリン、サイトケラチン、サイトケラチン8(CK8)、細胞骨格のトロポミオシン、F−アクチンキャッピングタンパク質、hsp 27、hsp 60、hsp 70、hsp 90、grp 78(BIP)、gp 96、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、グルタチオン合成酵素、スーパーオキシドジスムタエ、チオレドキシンペルオキシダーゼ、PA28α、ユビキチンチオールエステラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドース還元酵素、エノイル−CoAヒドラターゼ、α−エノラーゼ、アネキシンII、IV、およびV、スタスミン(stathmin)、ニコチンアミド−N−メチルトランスフェラーゼ、B23/ヌクレオフォスミン(nucleophosmin)、およびビメンチンからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質の使用に関する。
【0012】
本発明は特に、腎細胞癌の腫瘍マーカーとしての、β−アクチン、γ−アクチン、α−チューブリン、β−チューブリン、サイトケラチン、CK8、細胞骨格のトロポミオシン、F−アクチンキャッピングタンパク質、hsp 27、hsp 60、hsp 70、hsp 90、grp 78(BIP)、gp 96、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、グルタチオン合成酵素、スーパーオキシドジスムターゼ、チオレドキシンペルオキシダーゼ、PA28α、ユビキチンチオールエステラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドース還元酵素、エノイル−CoAヒドラターゼ、α−エノラーゼ、アネキシンII、IV、およびV、スタスミン、ニコチンアミド−N−メチルトランスフェラーゼ、B23/ヌクレオフォスミン、およびビメンチンからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質の使用に関する。
【0013】
別の目的は、個体の血清中の同定された腫瘍マーカーに特異的に結合する抗体の存在を検出するために設計されたイムノアッセイにおける、こうした腫瘍マーカーの使用を提供することである。
【0014】
本発明の一目的は、個体の血清中の腫瘍マーカーに特異的な抗体の存在を検出するためのイムノアッセイを提供することである。こうしたイムノアッセイは、スクリーニングのために、疾患の診断および予後のために利用することができる。RCCまたは他の腫瘍の初期診断のために、本発明に従って、個体のサンプル中の抗体レベルの測定法を使用できる。さらに、疾患の進行を段階付けるために、血清抗体レベルのモニタリングを予後的に使用することができる。
【0015】
本発明の他の目的は、腫瘍細胞の成長を抑制する、あるいは腫瘍細胞を死滅させるために、個体における腫瘍細胞に対する免疫応答を刺激するための、免疫原としての腫瘍マーカーの使用である。
【0016】
本発明の一目的は、腫瘍細胞の成長を抑制するためにかつ/または腫瘍細胞を死滅させるために、腫瘍細胞に対する免疫応答を刺激するためのこうした腫瘍マーカーを含む医薬品を提供することである。
【0017】
さらに、本発明の別の態様は、抗体または抗体融合タンパク質を製造するための腫瘍マーカーの使用である。こうした抗体または抗体融合タンパク質は、腫瘍細胞死滅のための、あるいは腫瘍成長の抑制のための医薬品として使用することができる。
【0018】
本発明の別の目的は、免疫組織化学的方法を用いた、RCCの同定およびRCCのサブタイプの区別のための方法およびキットを提供することである。
【0019】
本発明の他の目的は、以下の詳細な説明に基づけば、当分野の技術者には明らかである。
【0020】
(図面の簡単な説明)
(図1)高分子量成分のためのスクリーニングウィンドウ(screening window)中に検出された標的(7%T/2.5%Cゲル)
約5×106個の未処理のMZ1257RC細胞からの全ライセートのスポットパターンを表す、コロイド性クーマシーで染色した2Dゲル(7%T/2.5%C)の一部分を示す。タンパク質は、非直線状のImmobiline DryStrip(pH3〜10、NL;Amersham Pharmacia Biotech、 Freiburg、 Germany)上の一次元に集束させた。患者の血清を用いたブロットの陽性免疫染色によって検出された該当する標的スポットを矢印で示す。これらの標的スポットの同一性を、ペプチドマスフィンガープリント法および/または部分配列決定法によって、対応するゲル上で分析した。
【0021】
(図2)低分子量成分のためのスクリーニングウィンドウ中に検出された標的(16%T/2.5%Cゲル)
約2.5×106個の未処理のMZ1257RC細胞からの全ライセートのスポットパターンを表す、コロイド性クーマシーで染色した2Dゲル(16%T/2.5%C)を示す。タンパク質は、非直線状のImmobiline DryStrip(pH3〜10、NL;Amersham Pharmacia Biotech、Freiburg、Germany)上の一次元に集束させた。患者の血清を用いたブロットの陽性免疫染色によって検出された該当する標的スポットを矢印で示す。これらの標的スポットの同一性を、ペプチドマスフィンガープリントおよび/または部分配列によって、対応するゲル上で分析した。
【0022】
(図3)細胞株MZ1257RCのIFN−γ刺激後の、低分子量成分のためのスクリーニングウィンドウ(16%T/2.5%Cゲル)中に検出された標的
IFN−γで(48時間)刺激した約2.5×106個のMZ1257RC細胞からの全ライセートのスポットパターンを表す、コロイド性クーマシーで染色した2Dゲル(7%T/2.5%C)を示す。タンパク質は、非直線上のImmobiline DryStrip(pH3〜10、NL;Amersham Pharmacia Biotech、 Freiburg、 Germany)上の一次元に集束させた。患者の血清を用いたブロットの陽性免疫染色によって検出された該当する標的スポットを矢印で示す。これらの標的スポットの同一性を、ペプチドマスフィンガープリントおよび/または部分配列によって、対応するゲル上で分析した。
【0023】
(図4)CK8、スタスミン、およびビメンチンに対する正常な腎臓組織およびRCCの免疫組織化学的分析
正常な腎臓組織、明細胞サブタイプ(G2)のRCC、および色素嫌性サブタイプ(G2)のRCCの免疫組織化学的染色(400×、左から右へ)を、実施例5で述べた通りの抗CK8、抗スタスミン、および抗ビメンチンに特異的なmAbを用いて実施した。CK8については、遠位尿細管および集合管系の上皮、ならびに明細胞および色素嫌性サブタイプのRCC細胞においては、強い陽性染色が示される。スタスミンについては、遠位尿細管系における上皮の細胞質の中間〜強い陽性染色、明細胞サブタイプのRCC細胞および散乱した浸潤性炎症細胞の細胞質の陽性染色、色素嫌性サブタイプのRCC細胞の陰性反応が示される。抗ビメンチン染色については、正常な腎臓組織および明細胞タイプのRCC細胞における間細胞の細胞質の強い陽性染色に対し、正常な尿細管上皮は陰性である。色素嫌性サブタイプのRCC細胞においては、ビメンチンの弱い発現が見られる。
【0024】
(発明の詳細な説明)
本発明の目的は、β−アクチン、γ−アクチン、α−チューブリン、β−チューブリン、サイトケラチン、CK8、細胞骨格のトロポミオシン、F−アクチンキャッピングタンパク質、hsp 27、hsp 60、hsp 70、hsp 90、grp 78(BIP)、gp 96、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、グルタチオン合成酵素、スーパーオキシドジスムタエ、チオレドキシンペルオキシダーゼ、PA28α、ユビキチンチオールエステラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドース還元酵素、エノイル−CoAヒドラターゼ、α−エノラーゼ、アネキシンII、IV、およびV、スタスミン、ニコチンアミド−N−メチルトランスフェラーゼ、B23/ヌクレオフォスミン、およびビメンチン、好ましくはアネキシンII、IV、V、スタスミン、ビメンチン、およびB23/ヌクレオフォスミンが、RCC患者における多触媒性の大きなプロテアソーム複合体によるタンパク質分解に対する基質であり、したがって、こうしたタンパク質のペプチドが、こうした個体における腎癌に関連する抗原であるという予想外の発見に基づいて実現される。したがって、これらのタンパク質およびそのフラグメントを、腫瘍マーカーとして使用することができる。
【0025】
本発明のタンパク質は、二次元ゲル電気泳動(図1〜3参照)およびそれに続く、患者の血清を用いたイムノブロッティングによる検出によって同定された。免疫染色されたタンパク質スポットを、複製ゲルから切り出し、ゲル消化を施し、質量分析によって分析した。健康な志願者に対する患者からの血清の示差分析を用いて、上で述べたタンパク質が、RCC患者における腫瘍マーカーであると同定された。
【0026】
本明細書では、本発明に係る用語「腫瘍マーカー」は、タンパク質β−アクチン、γ−アクチン、α−チューブリン、β−チューブリン、サイトケラチン、CK8、細胞骨格のトロポミオシン、F−アクチンキャッピングタンパク質、hsp 27、hsp60、hsp 70、hsp 90、grp 78(BIP)、gp 96、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、グルタチオン合成酵素、スーパーオキシドジスムタエ、チオレドキシンペルオキシダーゼ、PA28α、ユビキチンチオールエステラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドース還元酵素、エノイル−CoAヒドラターゼ、α−エノラーゼ、アネキシンII、IV、およびV、スタスミン、ニコチンアミド−N−メチルトランスフェラーゼ、B23/ヌクレオフォスミン、およびビメンチン、ならびにそれらの免疫原フラグメントを指す。
【0027】
こうしたタンパク質が、RCC患者において免疫原であるという発見は、こうしたタンパク質が腫瘍細胞の表面に提示されるRCCおよび他の癌の診断方法を開発する基礎、ならびにこれらの疾患への様々な治療処置の予後をモニタリングする手段を提供する。さらに、この発見は、腫瘍細胞に対する免疫応答の刺激のための免疫原としてこうしたタンパク質を使用するための方法を提供する。
【0028】
したがって、本発明では、腫瘍マーカーとしての、タンパク質β−アクチン、γ−アクチン、α−チューブリン、サイトケラチン、サイトケラチン8、細胞骨格のトロポミオシン、F−アクチンキャッピングタンパク質、hsp 27、hsp 60、hsp 70、hsp 90、grp 78(BIP)、gp 96、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、グルタチオン合成酵素、スーパーオキシドジスムタエ、チオレドキシンペルオキシダーゼ、PA28α、ユビキチンチオールエステラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドース還元酵素、エノイル−CoAヒドラターゼ、α−エノラーゼ、アネキシンII、IV、およびV、スタスミン、ニコチンアミド−N−メチルトランスフェラーゼ、B23/ヌクレオフォスミン、およびビメンチンが使用される。
【0029】
本発明では特に、腎細胞癌の腫瘍マーカーとしての、タンパク質β−アクチン、γ−アクチン、α−チューブリン、β−チューブリン サイトケラチン、CK8、細胞骨格のトロポミオシン、F−アクチンキャッピングタンパク質、hsp 27、hsp 60、hsp 70、hsp 90、grp 78(BIP)、gp 96、グルタチオン−Sトランスフェラーゼ、グルタチオン合成酵素、スーパーオキシドジスムタエ、チオレドキシンペルオキシダーゼ、PA28α、ユビキチンチオールエステラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドース還元酵素、エノイル−CoAヒドラターゼ、α−エノラーゼ、アネキシンII、IV、およびV、スタスミン、ニコチンアミド−N−メチルトランスフェラーゼ B23/ヌクレオフォスミン、およびビメンチンが使用される。
【0030】
これらのタンパク質は、クロマトグラフィー(例えばイオン交換、アフィニティ、およびサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、電気泳動を含めた標準の方法によって、あるいはタンパク質の精製のためのどんな標準の技術によっても、単離および精製することができる。精製されたタンパク質は、個体のサンプル中の抗体の存在を検出するために設計されたイムノアッセイで使用することができる、あるいは、こうしたタンパク質調製物を、上および下で述べるような免疫化のために使用してもよい。
【0031】
本発明はさらに、細胞表面への腫瘍マーカーフラグメントの特異的提示が特徴であるRCCまたは他の疾患を患う患者の血清または他の体液のような生体サンプル中の、本発明の腫瘍マーカーに指向性のある抗体の検出および/または定量的測定のための方法を提供する。
【0032】
これらの方法は、いくつかの方法のうちのいずれによっても実現できる。こうした方法には、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降法、沈降反応、ゲル内拡散沈降反応、免疫拡散法、凝集測定、補体結合分析検定、免疫放射定量法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ(これらはほんの一例である)などの技術を使用する、それだけには限らないが競合および非競合アッセイ系を含めたイムノアッセイが含まれる。
【0033】
アッセイを実施するために、腫瘍マーカーを、膜または基体に固定してもよいし、液相で使用してもよい。適当な膜または基体は、例えば、ポリスチレン製マイクロタイタープレートのウェルやニトロセルロース膜などの、タンパク質が結合可能な表面である。他の適当なin vitroアッセイは、当分野の技術者には容易に明白であろう。
【0034】
例えば、イムノアッセイによって、個体の血清サンプルから得られた、腫瘍マーカータンパク質指向性の抗体の存在を検出することを含む、前記個体における癌の診断および予後のためのin vitro方法は、以下のステップを含む方法によって実施することができる:
a)少なくとも1種の腫瘍マーカーを、膜または基体に固定するステップ
b)この膜または基体を、個体の血清サンプルと接触させるステップ、および
c)個体の血清サンプル中の腫瘍マーカーに特異的な抗体の存在を検出するステップ。
【0035】
血清サンプル中の腫瘍マーカーに特異的な抗体の検出のために、通常、検出可能な標識で標識された第2の抗体が使用される。検出可能な標識は、オートラジオグラフィーによって検出される放射性同位体であり得る。本発明の目的のために特に有用な同位体は、3H、125I、131I、35S、および14Cである。
【0036】
第2の抗体はまた、蛍光性の化合物で標識することもできる。蛍光標識された抗体の存在は、免疫複合体を適当な波長の光に当て、生じた蛍光を検出することによって決定される。蛍光標識用化合物には、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリセリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルデヒド、およびフルオレスカミンが挙げられる。
【0037】
あるいは、第2の抗体は、抗体を化学発光化合物と結合させることによって、検出可能なように標識することができる。化学発光標識された免疫複合体の存在は、化学反応の経過中に生じるルミネセンスの存在を検出することによって決定される。化学発光標識用化合物の例には、ルミノール、イソルミノール、芳香族アクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、およびシュウ酸エステルが挙げられる。
【0038】
同様に、第2の抗体を標識するために、生物発光化合物を使用することができる。生物発光は、生体システムに見られる、触媒タンパク質が、化学発光反応の効率を増大させる化学発光の一種である。生物発光タンパク質の存在は、ルミネセンスの存在を検出することによって決定される。標識を行うのに有用な生物発光化合物には、ルシフェリン、ルシフェラーゼ、およびアクオリンが含まれる。
【0039】
あるいは、第2の抗体は、この第2の抗体を、酵素に結びつけることによって、検出可能なように標識することができる。抗体−酵素複合体を、適切な基質の存在下でインキュベートした場合、酵素部分は、基質と反応して、例えば分光光度的、蛍光光度的、または視覚的手段によって検出可能な化学部分を生じる。多特異性の免疫複合体を検出可能なように標識するために使用できる酵素の例には、β−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、およびアルカリホスファターゼが含まれる。当分野の技術者であれば、本発明に従って用いることができる他の適当な標識が分かるであろう。マーカー部分の抗体への結合は、当分野で知られた標準の技術を用いて行うことができる。これに関する典型的な方法論は、Kennedy他、 Clin. Chim. Acta 1976、70、1; Schurs他、 Clin. Chim. Acta 1977、 81、 1、 Shih他、 Intl. J. Cancer 1990、 46、 1101; Stein他、 Cancer Res. 1990、 50、 1330によって記載されている。
【0040】
血清または他の体液中の、本発明の腫瘍マーカーに指向性のある抗体の検出および/または定量的測定は、本発明の腫瘍マーカーの免疫原特性が特徴であるRCCまたは他の障害のリスクがある個体のスクリーニングにおいて使用することができる。さらに、これらの抗体の測定は、疾患の進行を段階付けるために、予後的に使用することもできる。
【0041】
本発明はまた、こうした検出方法を実施するためのキットを提供する。こうしたキットは、上に述べた診断アッセイを実施するための必要な要素をすべて含むことができる。キットは、腫瘍マーカーを含む少なくとも1つの容器を含むこととなる。このキットはまた、患者の血清の抗体に対する適切な認識部位を有する抗体またはそのフラグメント(例えば抗ヒトIgG抗体)、ならびに上で述べた通りの検出可能な標識を含む第2の容器を含むこともできる。
【0042】
RCCに関連する腫瘍マーカーの同定は、この疾患の免疫療法の基礎を提供する。腫瘍マーカーを用いて患者に免疫性を与え、腫瘍細胞の死滅および/または腫瘍細胞成長の抑制を促進する免疫応答を誘発することができる。これらの腫瘍マーカーは、タンパク質の精製について上で述べた方法を使用して調製することができる。
【0043】
あるいは、患者を抗体、好ましくは腫瘍細胞の死滅および/または腫瘍細胞成長の抑制を促進する反応を誘発するための腫瘍マーカーに指向性のあるヒト化抗体または抗体フラグメントを用いて治療することもできる。
【0044】
本発明の意味での用語「抗体フラグメント」は、F(ab')2、F(ab)2、Fab'、Fabなどの、抗体の一部分を意味する。抗体フラグメントは、構造にかかわらず、完全な抗体によって認識されるのと同じ抗原と結合する。この用語には、軽鎖可変領域からなるポリペプチド、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「FV」フラグメント、軽および重可変領域がペプチドリンカー(「scFvタンパク質」)によって結び付けられている組み換え型単鎖ポリペプチド分子、ならびに超可変領域によく似たアミノ酸残基からなる最小認識単位などの、特定の抗原に結合する合成の、または遺伝子操作されたポリペプチドも含まれる。
【0045】
用語「ヒト化抗体」は、(超可変領域がヒトでない起原に由来するのに対し)ヒト起原に由来する、軽鎖および重鎖に位置するアミノ酸の可変領域のFRおよび不変領域を含む抗体を意味する。「FR」は、抗体の枠組み構造領域を意味し、可変領域内に見られる。この領域では、アミノ酸のある種の置換が起こる。
【0046】
本発明の腫瘍マーカーに対するポリクローナル抗体は、当分野の技術者によく知られた方法を使用して調製することができる(Green他、 「Production of Polyclonal Antisera」:Immunochemical Protocols (Manson編)内、 1〜5頁 (Humana Press 1992); Williams他、 「Expression of foreign Proteins in E.coli using plasmid vectors and Purification of specific polyclonal antibodies」、 DNA Cloning 2内: Expression Systems、 第2版、 Glover他(編)、 15頁 (Oxford University Press 1995))。
【0047】
腫瘍マーカーの免疫原性は、アルミ(水酸化アルミニウム)あるいはフロイントの完全または不完全アジュバントなどのアジュバントの使用を通して増強することができる。免疫化に有用なポリペプチドにはまた、腫瘍マーカーまたはその一部分と、免疫グロブリンポリペプチドとの、あるいはマルトース結合タンパク質との融合体などの融合(fusion)ポリペプチドも挙げられる。ポリペプチド免疫原は、全長の分子、またはその一部分であり得る。ポリペプチド部分が「ハプテン様」である場合、免疫化のために、こうした部分を、(キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、または破傷風トキソイドなどの)高分子の担体に、好都合に連結または結合することができる。
【0048】
腫瘍マーカーに対するモノクローナル抗体は、当分野の技術者に知られた方法よって得ることができる(例えば、Kohler他、Nature 1975、 256: 495; Coligan他(編)、Current Protocols in Immunology、 Vol.1、 2.5.1〜2.6.7頁 (John Wiley & Sons 1991); Picksley他、「Production of monoclonal antibodies against Proteins expressed in E coli」、 DNA Cloning 2内: Expression Systems、 第2版、 Glover他(編)、 93頁 (Oxford University Press 1995)を参照)。簡単に言えば、モノクローナル抗体は、マウスに1種または複数の腫瘍マーカーを含む組成物を注射し、血清サンプルの取り出しによって抗体生成の存在を確認し、脾臓を切除してB−リンパ球を得て、このB−リンパ球をミエローマ細胞と融合させてハイブリドーマを生成し、ハイブリドーマをクローニングし、当該抗原に対する抗体を生じる陽性クローンを選択し、この抗原に対する抗体を生じるこれらのクローンを培養し、ハイブリドーマ培養株からこの抗体を単離することによって得ることができる。
【0049】
さらに本発明の抗腫瘍マーカー抗体は、ヒトモノクローナル抗体から得ることができる。ヒトモノクローナル抗体は、抗原の攻撃に応答して特異的なヒト抗体を生成するように操作されたトランスジェニックマウスから得られる。この技術では、ヒト重鎖および軽鎖座位の要素を、内在性重鎖および軽鎖座位の標的破壊部(targeted disruption)を含む胚性幹細胞系から得られたマウスの株に組み込む。このトランスジェニックマウスは、ヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、これらのマウスを使用して、ヒト抗体を分泌するハイブリドーマを生成することができる。
【0050】
トランスジェニックマウスからヒト抗体を得るための方法は、例えば、Green他、 Nature Genet. 1994 7、 13; Lonberg他、 Nature 1994、 368、 856; およびTaylor他、 Int. Immun. 1994、 6、 579によって記載されている。
【0051】
モノクローナル抗体は、十分に確立された様々な技術によってハイブリドーマ培養株から単離および精製することができる。こうした単離技術には、プロテインAセファロースを用いたアフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが含まれる(例えばColiganの2.7.1〜2.7.12頁および2.9.1〜2.9.3頁; Baines他、 「Purification of Immunoglobulin G (IgG)」、 Methods in Molecular Biology、 Vol.10内、 79〜104頁 (The Humana Press, Inc. 1992を参照)。
【0052】
特定の使用のためには、抗腫瘍マーカー抗体のフラグメントを調製することが望ましい。こうした抗体フラグメントは、例えば抗体の蛋白分解性加水分解によって得ることができる。抗体フラグメントは、従来の方法による、完全な抗体のペプシンまたはパパイン消化によって得ることができる。例として、抗体フラグメントは、ペプシンを用いた抗体の酵素による切断によって生成し、F(ab')2と表される5Sフラグメントを提供することができる。このフラグメントを、さらに、チオール還元剤を使用して切断し、1価の3.5S Fab'フラグメントを生成することができる。切断反応は、場合によっては、ジスルフィド結合の切断の結果生じるスルフヒドリル基のために、ブロック基を使用して実施することができる。代替法として、ペプシンを使用する酵素による切断により、2つの1価のFabフラグメントおよびFcフラグメントが直接生成する。こうした方法は、例えば、Goldenberg、 米国特許第4,331,647号、 Nisonoff他、Arch Biochem. Biophys. 1960、 89、 230; Porter、 Biochem. J. 1959、 73、 119; Edelman他、 Methods in Enzymology Vol.1内、 422頁 Academic Press 1967)、およびColiganによる2.8.1〜2.8.10 および2.10.〜2.10.4 頁に記載されている。
【0053】
重鎖を分離し、1価の軽鎖−重鎖フラグメントを形成し、さらにフラグメントを切断する方法、あるいは他の酵素、化学、または遺伝子技術など、フラグメントが、完全な抗体によって認識される抗原に結合するのであれば、抗体を切断する他の方法を使用することもできる。例えば、Fvフラグメントは、VH鎖とVL鎖の結合体(association)を含む。この結合体は、lnbar他、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1972、 69、 2659によって記載されている通り、非共有結合性であり得る。あるいは、これらの可変鎖は、分子間のジスルフィド結合によって連結されていてもよいし、グルタルアルデヒドなどの化学薬品によって橋かけされてもよい(例えばSandhu、 Crit. Rev. Biotech. 1992、 12、 437を参照)。
【0054】
Fvフラグメントは、ペプチドリンカーによって結ばれたVH鎖とVL鎖を含んでいてもよい。こうした単鎖の抗原結合タンパク質(scFv)は、オリゴヌクレオチドによって結ばれるVHおよびVLドメインをコードするDNA配列を含む構造遺伝子を構築することによって調製する。この構造遺伝子を、発現ベクターに挿入し、続いてこれをE.coli.などの宿主細胞に組み込む。この組み換え型宿主細胞は、リンカーペプチドが2つのVドメインを橋かけしている単鎖ポリペプチドを合成する。scFvを生成するための方法は、例えばWhitlow他、Methods: A Companion to Methods in Enzymology 1991 2、 97によって(Bird他、 Science 1988、 242、 423、 Ladner他、 米国特許第4,946,778号も参照)記載されている。
【0055】
例として、scFvは、(例えば、固定されたまたは標識された腫瘍マーカーの使用を通して)in vitroでリンパ球を腫瘍マーカーに曝し、ファージまたは同様のベクター中の抗体ディスプレイライブラリを選択することによって得ることができる。抗体フラグメントのもう1つの形は、単一の相補性決定領域(CDR)をコードするペプチドである。CDRペプチド(「最小の認識単位」)は、当該の抗体のCDRをコードする遺伝子を構築することによって得ることができる。こうした遺伝子は、例えばポリメラーゼ連鎖反応を使用して、抗体を生成する細胞のRNAから可変領域を合成することよって調製する(例えば、Larrick他、 Methods: A Companion to Methods in Enzymology 1991、 2、 106; Courtenay-Luck、 「Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies」、 Monoclonal Antibodies内: Production、 Engineering and Clinical Application、 Ritter他(編)、 166頁 (Cambridge University Press 1995)、 およびWard他、 「Genetic Manipulation and Expression of Antibodies」、 Monoclonal Antibodies内: Principles and Applications、 Birch他(編)、 137頁 (Wiley-Liss, Inc. 1995)を参照)。
【0056】
あるいは、抗腫瘍マーカー抗体は、「ヒト化」モノクローナル抗体から得てもよい。ヒト化モノクローナル抗体は、マウスの免疫グロブリンの可変重鎖および軽鎖由来のマウスの相補性決定領域を、ヒト可変ドメイン中に導入することによって生成する。次いで、ヒト抗体の典型的な残基を、マウス対応の枠組み構造領域中に置き換える。ヒト化モノクローナル抗体から得られた抗体成分の使用は、マウスの不変領域の免疫原性に関連する潜在的問題を未然に防ぐ。マウスの免疫グロブリン可変ドメインをクローニングする一般的な技術は、例えば、Orlandi他、 Proc. Natl. Acad Sci. USA 1989、 86、 3833によって記載されている。ヒト化モノクローナル抗体を生成するための技術は、例えば、Jones他、 Nature 1986、 321、 522; Carter他、 Proc. Natl. cad. Sci. USA 1992、 89、 4285; Sandhu, Crit. Rev. Biotech. 1992、 12、 437; Singer他、 J. Immun. 1993、 150、 2844; Sudhir (編)、 Antibody Engineering Protocols (Humana Press, Inc. 1995); Kelley、 「Engineering Therapeutic Antibodies」、 Protein Engineering内: Principles and Practice、 Cleland他(編)、 399〜434頁 (John Wiley & Sons, Inc. 1996); ならびにQueen他による米国特許第5,693,762号(1997)によって記載されている。
【0057】
あるいは、患者を、腫瘍細胞の死滅および/または腫瘍細胞成長の抑制を促進する反応を誘発するための腫瘍マーカータンパク質に指向性のある抗体融合タンパク質を用いて治療することができる。
【0058】
本明細書では、用語「抗体融合タンパク質」は、基本的に、本発明の腫瘍マーカーに指向性のある抗体またはそのフラグメントと、直接あるいはリンカーまたはスペーサーを介して免疫グロブリンまたはそのフラグメントと融合させた治療薬からなる融合分子を意味する。こうした融合タンパク質に適した治療薬の例には、免疫調節薬および毒素、例えば、それだけには限らないが、IL−1、IL−2、IL−4、IL−6、IL−7、IL−10、IL−13、IFN、TNFα、またはCSFなどのサイトカインが含まれる。
【0059】
融合タンパク質は、当分野の技術者に知られている方法によって、融合タンパク質の各成分を調製し、それらを化学的に結合させることにより、調製することができる。あるいは、適切なリーディングフレーム内の、融合タンパク質の両方の成分をコードするポリヌクレオチドを、知られている技術を使用して作成し、例えばEP0659439に記載された方法によって発現させることができる。
【0060】
本発明の一実施形態では、患者の癌が抗体を発現した腫瘍マーカーの精製品の一種または混合物を含む免疫原が、免疫応答を誘発するために使用される。
【0061】
本発明の別の実施形態では、本発明の腫瘍マーカーに対して産生された抗体または抗体フラグメントを、腫瘍細胞の死滅および/または腫瘍細胞成長の抑制を促進する反応のために使用することができる。
【0062】
腫瘍マーカーフラグメントの細胞表面上の特異的な提示が特徴であるRCCまたは他の疾患を患う患者のために、本発明の腫瘍マーカー、その混合物、あるいは抗体および抗体フラグメント、あるいは抗体融合タンパク質を、直接適用することができる、あるいは前記化合物と、薬剤として許容される希釈剤、担体、または賦形剤とを含む薬剤組成物に入れて適用することができる。
【0063】
本明細書では、用語「薬剤として許容される担体」は、活性な化合物または患者と不都合に反応しない、不活性な非毒性の固体または液体の充填剤、希釈剤、またはカプセル化用材料を意味する。適当な、好ましい液体の担体は、滅菌水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、糖液、エタノール、グリコール、ならびに例えば、ラッカセイ油/ピーナッツ油、ダイズ油、および鉱油などの石油、動物、植物、または合成由来のオイルを含めたオイルなど、当技術分野でよく知られたものである。
【0064】
本発明に係る調合物は、通常の非毒性の薬剤として許容される担体、希釈剤、アジュバント、および非経口投与に典型的な溶媒を含有する単位服用量として投与することができる。
【0065】
上で述べた調合物を導入するためには、多くの方法が使用でき、それだけには限らないが、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、および皮下が含まれる。
【0066】
用語「非経口」には、ここでは、皮下、静脈、関節、および気管内注射および注入技術が含まれる。経口投与および局所適用などの他の投与も適当である。非経口組成物およびその組み合わせは、知られている手順によるボーラス型(bolus form)で、あるいは一定の融合物(constant fusion)として、静脈内に投与されることが最も好ましい。
【0067】
本発明の化合物が、錠剤 カプセル剤、または散剤として調剤される場合、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ラクトース、微結晶セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムデンプン、および無水シリカなどの通常の担体および賦形剤、含水(hydrated)ヒマシ油、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、および糖などの滑沢剤、ペクチン、デキストリン、トラガカント、低融点ワックス、カカオバター、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリエチルグリコール、第四級アンモニウム化合物など、ならびにデンプン、グルコース、アラビアゴム、およびマンニトールなどの結合剤を使用することができる。これらの錠剤やカプセル剤は、当技術分野でよく知られた方法に従ってコートすることができる。
【0068】
経口用の液体調製物は、水性または油性の懸濁剤、液剤、エマルジョン、シロップ剤、またはエリキシル剤の形でもよいし、使用前に水または別の適当な溶媒で戻す乾燥製品として提供してもよい。こうした液体調製物は、懸濁化剤、乳化剤、非水性の溶媒、および保存剤のような通常の添加剤を含有することができる。
【0069】
局所適用形は、水性または油性の懸濁剤、液剤、エマルジョン、ゼリー、または好ましくは乳剤性軟膏の形であり得る。
【0070】
腫瘍マーカーを含む組成物では、タンパク質抗原への免疫学的応答を増強するために、腫瘍マーカーが、適当なアジュバントとともに調剤されるような調合物が好ましい。適当なアジュバントには、それだけには限らないが、例えば水酸化アルミニウムなどの無機質ゲル、リゾレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳濁液などの表面活性のある物質、ならびにBCG(カルメット−ゲラン桿菌(bacilli Calmett-Guerin))および(コリネバクテリウムパルヴム(Corynebacterium parvum)などの潜在的に有用な可能性のあるヒトアジュバントが含まれる。
【0071】
本発明に係る単位服用量は、1日に必要な量の本発明に係る化合物、あるいは所望の服用量を構成するための、その約数を含有することができる。投与される患者(ヒトを含めた哺乳類)にとって、治療上許容される最適な投薬量および投与速度は、用いられる具体的な活性な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与の時期および経路、クリアランス速度、治療の目的(すなわち治療または予防)、および治療される疾患の性質などの様々な要因に応じて変わり、これらは当分野の技術者に知られている。
【0072】
したがって、治療される患者(in vivo)における組成物および合剤において、本発明の活性な化合物の薬剤として有効な1日の用量は、体重1kgあたり約0.01〜100mg、好ましくは体重1kgあたり0.1〜10mgである。本適用形によれば、1回の服用量は、活性な化合物を約0.01〜10mg含有することができる。
【0073】
本発明の腫瘍マーカー、抗体、および抗体融合タンパク質は、他の化学療法薬との組み合わせにおいても有用である。本発明の化合物との組み合わせに使用できる化学療法薬には、本発明によれば、例えば細胞増殖抑制性または細胞障害効果によって腫瘍細胞に対して直接的に、また、生体応答調節などの機構を通して非間接的に抗腫瘍効果を発揮する、すなわち新生細胞の発達、成熟、または広がりを予防する薬剤が含まれる。本発明に係る化学療法薬は、天然または合成の化学物質であることが好ましいが、タンパク質、抗体、ケモカイン、サイトカイン、ポリペプチドなどの生物学的分子も除外されない。臨床評価および臨床前開発において市販品として入手できる多数の化学療法薬が存在し、これらを本発明に含めることができる。
【0074】
化学療法薬または薬剤の例には、例えばナイトロジェンマスタード、エチレンイミン化合物、アルキルスルホン酸塩、ならびにニトロソウレア、シスプラチン、およびダカルバジンなどのアルキル化作用をもつ他の化合物などのアルキル化剤;例えば葉酸、プリン、またはピリミジンアンタゴニストなどの代謝拮抗剤;例えばビンカアルカロイド、およびポドフィロトキシンの誘導体などの有糸分裂阻害剤;細胞障害性の抗生物質、ならびにカンプトテシン誘導体が挙げられる。好ましい化学療法薬または化学療法には、アミフォスチン(エチオール(ethyol))、シスプラチン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、ストレプトゾシン、シクロホスファミド、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、リポ化ドキソルビシン(ドキシル(doxil))、ゲムシタビン(ジェムザール)、ダウノルビシン、リポ化ダウノルビシン(ダウノキソーム(daunoxome))、プロカルバジン、マイトマイシン、シタラビン、エトポシド、メトトレキサート、5−フルオロウラシル(5-FU)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(タキソテール)、アルデスロイキン(aldesleukin)、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテシン、CPT−11,10−ヒドロキシ−7−エチルカンプトテシン(SN38)、ダカルバジン、フロクスウリジン、フルダラビン、ヒドロキシ尿素、イホスファミド、イダルビシン、メスナ、インターフェロンα、インターフェロンβ、イリノテカン、ミトキサントロン、トポテカン、リュープロライド、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、プリカマイシン、ミトタン、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)、ペントスタチン、ピポブロマン、プリカマイシン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、テニポシド、テストラクトン、チオグアニン、チオテパ、ウラシルマスタード、ビノレルビン、クロラムブシル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
本発明はさらに、以下に述べる発見に基づいた、免疫組織化学的方法を用いたRCCの同定およびRCCのサブタイプの区別のための方法およびキットを提供する。
【0076】
組織学的特徴に従って、RCCは、異なるサブタイプ、すなわち明細胞(最も高頻度)、色素嫌性、色素好性、およびオンコサイトーマのサブタイプに分類される。RCCの異なるサブタイプを決定するための方法は、Thoenes 他(Path. Res. Pract. 1986、 181、 125)、ならびにStorkelおよびvan der Berg(World J. Urol. 1995、 13、 153)に記載されている。
【0077】
3つの選択された免疫原タンパク質の発現パターンが、正常な腎臓およびRCCの異なるサブタイプにおいて異なることが判明した。CK8、スタスミン、およびビメンチンの発現パターンを、一連の外科的に切除した異なるサブタイプのRCC病変部および自己由来の正常な腎臓上皮について、免疫組織化学的に分析した。図4に示す通り、近位および遠位尿細管系の上皮、ならびに集合尿細管系の上皮は、CK8については細胞膜の強い陽性染色を示したが、正常な腎臓組織のすべての上皮細胞は、ビメンチンについては陰性染色を示す。対照的に、異なるRCCサブタイプは、CK8およびビメンチンについて、外科的に切除した病変部の36%および72%において、それぞれ中間〜強い陽性染色を示した(図4、表1)。
【0078】
【表1】
Figure 2004531713
【0079】
RCC病変部の16%および18%において、細胞膜の強いまたは中間の陽性CK8染色が検出され、分析された腫瘍の45%において、CK8の弱い発現が示された(図4)。明細胞RCCと色素嫌性RCCにおいて、CK8およびビメンチン発現のはっきりとしたの違いが発見された(表1)。明細胞RCCの78%および10%はそれぞれ、細胞質の強いまたは中間の陽性ビメンチン染色を示す。このサブタイプのRCCの4%において、弱いビメンチン発現が見られた。対照的に、色素嫌性サブタイプのRCCは、CK8について、分析された病変部の31%および15%が、強いまたは中間の陽性染色を示したのに対し、このRCCサブタイプの38%では、弱いCK8発現が検出できた。色素嫌性RCCの8%および23%のみが、ビメンチンについて、それぞれ細胞質の中間または弱い陽性染色を示した(図4、表1)。観察されたCK8とビメンチンの共発現は、RCC、特に明細胞サブタイプのRCCにおいて頻繁に起こるように思われる。したがって、両方のタンパク質の共発現は、明細胞RCCの検出のための診断用マーカーとして役に立つ。
【0080】
RCC病変部および正常な腎臓組織の染色は、様々なスタスミン発現パターンを示す(表2)。抗スタスミン抗体が、近位および遠位尿細管系の上皮の10%未満を染色したのに対し圧迫された腫瘍周囲の尿細管の内皮細胞、炎症細胞、および上皮細胞は、細胞質の強い陽性染色を示した。対照的に、明細胞RCCの腫瘍細胞は、スタスミンについて、それぞれ10%および33%のみが中間または弱い陽性染色を示したが、このRCCサブタイプの57%は、完全にスタスミン発現を欠いていた(図4、表2)。色素嫌性サブタイプのRCCは、スタスミンについて、分析された病変部の60%が、弱い陽性染色を示したのに対し、それ以外の40%は、スタスミンについて陰性であった(図4、表2)。
【0081】
【表2】
Figure 2004531713
【0082】
これらの結果は、CK8、ビメンチンおよび/またはスタスミンの共発現が、RCCサブタイプの診断用マーカーとして使用できることを示す。
【0083】
したがって、本発明は、抗CK8、抗ビメンチンおよび/または抗スタスミン抗体を用いた腎臓上皮の組織サンプルの免疫組織化学的染色によるRCCの同定およびRCCのサブタイプの区別のための方法を提供する。
【0084】
原則として、この方法は、
a)RCCを罹患している疑いがある個体によって得られる腎臓上皮からの組織サンプルを、サイトケラチン8、抗ビメンチン、および抗スタスミンからなる群から選択される少なくとも1種の抗体(第1の抗体)とともに、前記抗体が組織サンプルに確実に結合する条件下でインキュベートするステップ、
b)第1の抗体を、第1の抗体に対する結合親和性をもつ認識部位と、上で述べた通りの検出可能な標識とを含む第2の抗体と、第2の抗体が第1の抗体に確実に結合する条件下で接触させるステップ、
c)第1の抗体に結合した第2の抗体を検出するための検出ステップを実施するステップ、および
d)ステップc)によって検出された組織サンプルを、RCCの明細胞、色素嫌性、色素好性、またはオンコサイトーマのサブタイプを患う個体から得られた、ステップa)からc)に従って処理された基準サンプルと比較するステップ
を含む。基準サンプルについてのRCCのサブタイプの決定は、例えばThoenes他(Path.Res.Pract.1986、181、125)、並びにStorkelおよびvan der Berg(World J.Urol.1995、13、153)によって記載されている通りに実施することができる。
【0085】
本発明はさらに、免疫組織化学的方法を用いたRCCの同定およびRCCのサブタイプの区別のための成分を含むキットを提供する。これらは、少なくとも
a)抗CK8、抗ビメンチンおよび/または抗スタスミン抗体
b)第1の抗体に対して指向性であり、検出可能な標識をもつ第2の抗体
であり得る。
【実施例】
【0086】
(実施例1)
細胞培養およびIFN−γ治療
MZ1257RCおよびMZ1940RCが、明細胞タイプの腎細胞癌(RCC)と特徴付けられる、十分に明確にされているヒト細胞株の代表である(Seliger, B.他、Cancer Res.1996、56、1756-60)のに対し、MZ2733RCおよびこれの正常な腎臓の組織に相当するMZ2733NNが、明細胞タイプの原発性RCCを患う患者から最近樹立された。RCC株はすべて、10%ウシ胎児血清、2mMグルタミン、および100U/mlペニシリン/100μg/mlストレプトマイシン)を添加したDMEM中に保持した。
【0087】
300U/mlの組み換え型IFN−γ(Imukin、 Boehringer Ingelheim、 Ingelheim、Germany)の存在下で48時間、MZ1257RC細胞のIFN−γ治療を実施した。
【0088】
血清サンプル:
血清サンプルはすべて、腎細胞癌と診断された患者、または正常な提供志願者から、各個人からインフォームドコンセントが得られた後に採取したヒト静脈血サンプルから単離した。
【0089】
(実施例2)
二次元ゲル電気泳動
サンプル調製:
これらの細胞株を、バッチあたり5×107〜1×108細胞の細胞数に広げ、その後、トリプシン処理によって回収した。この細胞ペレットを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3〜4回洗浄し、その後、液体窒素中で、滅菌したクライオチューブ(cryotube)中に、チューブあたり5×106または1×107細胞のアリコートの乾燥した細胞ペレットとして、後に使用するまで保管した。細胞ペレットを、溶解バッファー(7M尿素、2Mチオ尿素、0.2Mジメチル−ベンジルアンモニウムプロパンスルホン酸(NDSB)、1%ジチオスレイトール(DTT)、4% 3−[(3−コーラミドプロピル)ジメチル−アンミノ]−1−プロパン−スルホン酸(CHAPS)、0.5%ファルマライト(pharmalyte)、および微量の色素ブロモフェノールブルーに再懸濁させた。この溶解物を超音波処理し(超音波浴中で3×4分)、次いでマイクロ遠心機で遠心分離によって(90分、15℃、13,000rpm)清澄化した。
【0090】
タンパク質の定量:
大量の尿素が存在したとしても本来のBradford法が使用可能である、RamagliおよびRodriguezによって記載されたプロトコルに従って、タンパク質定量を実施した。簡単に言えば、清澄化した溶解物の2.5μl〜10μlの複製液を、最終体積10μlに調整し、各サンプルを、0.1M HCl 10μlと混合した。続いて、各サンプルに、ddH2O 80μlを加え、次いでこれらのサンプルを再び混合した。各複製サンプル(100μl)に、1:3希釈した染色試薬ミックス(Bio-Rad Protein Assay Dye Reagent Concentrate)3.5mlを加え、この混合物を軽くボルテックスして混合した。5分後、プラスチックキュベットに入れ、基準として試薬ブランク(上で述べた通りに処理した溶解バッファー10μl)を使用して、595nmでの吸光度を測定した。
【0091】
サンプル装填/等電点電気泳動およびストリップ平衡化:
溶解物を新しい溶解バッファーで調整して最終体積をそれぞれ350μlとし、そこから340μlを、IPGphorストリップホルダー(Amersham Pharmacia Biotech)に移した。Immobiline DryStrip(pH3〜10、NL、18cm、Amersham Pharmacia Biotech)の再水和およびサンプル装填を、1つのステップで実施した。DryStripを溶解物に加えてから90分後、サンプルを浸透させたストリップを、Immobiline DryStrip Cover Fluid 400μlでカバーした。IPGphorユニット(Amersham Pharmacia Biotech)で、20℃で、以下のパラメータを使用して等電点電気泳動を実施した:0Vで2時間再水和;30Vで10時間;500Vで1時間;1000Vで1時間、5000Vで1時間、8000Vで4〜5時間、標的タンパク質(低分子量成分)が、16%T/2.5%C SDS−PAGEゲル上で二次元に分離する場合、ボルト時間積(Vhr)を36,000〜38,000にし(最終ステップは8000Vで4時間)、あるいはサンプル溶解物が、高分子量成分を標的にする7%T/2.5%C SDS−PAGEゲル上で分離する場合、Vhrを44,000〜46,000にする(最終ステップは8000Vで5時間)。ステップはすべて、ステップアンドホールド方式で行った。集束されたストリップは、−80℃で保管する、あるいは直接、ストリップ平衡化手順を施した。この手順は、ストリップを、1.5%DTTを添加した10mlの平衡化バッファー(50mM Tris−HCI pH8.8、6M 尿素、30%グリセロール、2%SDS)中で15分間インキュベートし、続いて4.8%ヨードアセトアミドを添加した10mlの平衡化バッファー中で15分間インキュベートすることによって実施した。
【0092】
二次元SDS−PAGE:
Hoefer ISO-DALT System(Amersham Pharmacia Biotech)を使用して、SDS-PAGE分離を実施し、ポリアクリルアミド/ピペラジンジアクリルアミド(PDA)PAGEゲルで泳動を行った。ゲルミックスは、375mM Tris/HCI、pH8.8、5mM Na224、および4%グリセロールを含有していたが、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は含有していなかった。新しく平衡化したImmobiline DryStripを、十分にすすぎ洗いしたPAGEゲルの表面に移した。このストリップを、微量のマーカー色素(7%T/2.5%Cゲルについてはブロモフェノールブルー;16%T/2.5%Cゲルについてはブロモフェノールブルー+キシレンシアノールFF)を含有する1%の軟融解アガロースに埋め込むことによって、ストリップ固定を実現した。厳密な温度調節(<20℃)の下、SDS-PAGE泳動バッファー(25mM Tris、192mMグリシン、0.1%SDS)中で、色素の前面がゲルの端に到達するまでゲルを泳動させた(16%T/2.5%Cゲルは、キシレンシアノールFF色素の前面がゲルから溶出するまで泳動させた)。等電点電気泳動(IEF)ストリップからゲルへのサンプルの最初の移動を、低電圧(一定の50Vで1時間)で実施したのに対し、分離は、一定の高電圧(100〜140V)で行った。
【0093】
ゲルの染色:
ゲルを、コロイド性クーマシーブルー(Coomassie Blue)で染色した。すべてのゲルを、通常のスキャナー(Hewlett Packard ScanJet 6100C)で、解像度600dpiでスキャンし、TIFF画像として保存した。
【0094】
ウェスタンブロット分析を行う予定のゲルまたは質量分析にかけたタンパク質スポットを含むゲルは、単にコロイド性クーマシーブルー染色液(10%硫酸アンモニウム、2%リン酸、0.1%クーマシーブリリアントブルー(Coomassie Brilliant Blue)G−250、20%メタノールで染色しただけなので、最初の定着ステップを省略し、その後H2O(dd)での徹底的な洗浄によって脱色した。
【0095】
(実施例3)
イムノブロッティング
イムノブロット分析では、転写バッファーとして20%メタノールを添加したSDS-PAGE泳動バッファーを使用するISO-DALTタンクブロッティングシステム(tank blotting system)(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて、コロイド性クーマシーブルーであらかじめ染色した2−D PAGEゲルを、イモビロンPメンブレン(Immobilon P membrane)にブロッティングし、転写につき500Vhrを適用した。続いて、ブロッキング溶液(140mM NaCl、10mM Tris/HCl pH7.4、0.4% Tween20、5%乾燥低脂肪乳、および10%ウマ血清中で1時間、ブロットをインキュベートし、Tris緩衝食塩水(TBS;140mM NaCl、10mM Tris/HCl pH7.4)で2回すすぎ、次いで、抗体インキュベーションバッファー(TBS、0.1% Tween20、2%乾燥低脂肪乳)で1:20希釈した対照または患者の血清(20ml/膜)とともに、4℃で終夜インキュベートした。その後、これらの膜を、TBS、0.4% Tween20で3回(各10分)洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を結合した二次mAb溶液(20ml/膜、抗体インキュベーションバッファーで1:1000希釈したウサギ抗ヒトIgG)とともに、室温で0.5〜1時間インキュベートした。TBS、0.4% Tween20を用いた3つの洗浄ステップの後、化学ルミネセンス検出キット(Lumi-Light Western Blotting Substrate、Roche Molecular Biochemicals、Mannheim)を用いて、製造者の指示書に従ってスポット視覚化を実施し、科学用結像フィルム(Kodak X-Omat Blue XB-1)上に記録した。結像フィルムと、対応するゲルプリントを重ね合わせることによって、シグナルとスポットとを合致させた。
【0096】
(実施例4)
質量分析
質量分析のために、免疫染色されたタンパク質スポットを、コロイド性クーマシーブルーで染色した転写ゲルから切り出した。各サンプルを、滅菌したマイクロ反応管に移し、これらのゲル切片を、50mM NH4HCO3/アセトニトリル(60%/40%)中で、30℃で30分インキュベートし、続いて、得られた上清を、取り出して捨てた。次いで、ゲル切片を真空乾燥させて、後に使用するまで−80℃で保管した。ゲル内消化のために、各サンプルを、0.1μg/mlの改変トリプシン(Promega、Madison、WI、USA)を含有する50mM NH4HCO3 25〜40μlに1時間浸した。上清を収集し、新しいNH4HCO3 25μlのアリコートを加え、次いでこれらのサンプルを、37℃で終夜インキュベートした。サンプルを、抽出バッファー(H2O/トリフルオロ酢酸(TFA);50%/50%;v/v)中で20分間2回、次いでアセトニトリル/TFA;50%/50%;v/v)を含有するバッファー中で20分間2回インキュベートすることによって、ペプチド抽出を実現した。各サンプルからの上清を、最終体積をサンプルあたり約25〜50μlに濃縮し、次いでZipTips(Millipore)を用いて、製品プロトコルに従って脱塩した。得られた溶出液の1μlアリコートを、MALDIマトリックスに装填し、Perseptive Biosystems Voyager RP-DE instrument(Perseptive Biosystems、Framington、MA)を使用するペプチドマスフィンガープリント分析に直接かけた。
【0097】
(実施例5)
免疫組織化学のために使用する患者および組織サンプル
免疫組織化学的分析のために、RCCおよび対応する正常な腎臓上皮からの外科的に切除した組織サンプルを、根治的腎摘出を受けた患者から無作為に得た。Thoehesら(Thoenes他、 Path. Res. Pract. 1986、 181、 125; Storkelおよびvan der Berg、World J. Urol. 1995、 13、 153)によって提案された基準に従って、それぞれの腫瘍の組織病理学的分類を実施した。これらには、性別、疾患の段階、TNM(Tumor Node Metastasis)システムによる腫瘍浸潤およびリンパ節転移が含まれる。合わせて、51の明細胞腫と13の色素嫌性腫を含めた64の原発性腎腫瘍、ならびに64の自己由来の腎臓標本が、切除で収集された。これらの組織サンプルをホルマリン固定しパラフィン包埋した。
【0098】
免疫組織化学
mAb抗ヒトサイトケラチン8(クローンβH11、DAKO、Hamburg、Germany、1:25希釈)、抗ビメンチンmAb(クローンV9、DAKO、1:40希釈)および抗スタスミン(B37545、Calbiochem、USA、1:500希釈)を用いて免疫組織化学的染色を実施した。抗原賦活のために、連続する切片を、電子レンジ内、クエン酸バッファー中でそれぞれ8分間および6分間インキュベートし、続いてTris緩衝食塩水を用いた洗浄手順を行い、通常のブタ血清(1:10希釈)を用いてさらに10分間インキュベートを行った。スライドを一次抗体を用いて室温で1時間インキュベートした。LASB(Labeled Streptavidin Biotin)−ペルオキシダーゼキットおよび記載される通りの(DAKO Diagnostika GmbH、Hamburg、Germany)AEC(アミノ−9−エチルカルバゾール)を使用することによって、検出を実施した。一次抗体を省略することによって、陰性対照を実施した。
【0099】
以下のスコアに従って、各腫瘍の定量分析を実施した:
【0100】
【表3】
Figure 2004531713

【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】高分子量成分のためのスクリーンウィンドウ(screening window)中に検出された標的(7%T/2.5%Cゲル) 約5×106個の未処理のMZ1257RC細胞からの全ライセートのスポットパターンを表す、コロイド性クーマシーで染色した2Dゲル(7%T/2.5%C)の一部分を示す。タンパク質は、非直線状のImmobiline DryStrip(pH3〜10、NL;Amersham Pharmacia Biotech、 Freiburg、 Germany)上の一次元に集束させた。患者の血清を用いたブロットの陽性免疫染色によって検出された該当する標的スポットを矢印で示す。これらの標的スポットの同一性を、ペプチドマスフィンガープリント法および/または部分配列決定法によって、対応するゲル上で分析した。
【図2】低分子量成分のためのスクリーンウィンドウ中に検出された標的(16%T/2.5%Cゲル) 約2.5×106個の未処理のMZ1257RC細胞からの全ライセートのスポットパターンを表す、コロイド性クーマシーで染色した2Dゲル(16%T/2.5%C)を示す。タンパク質は、非直線状のImmobiline DryStrip(pH3〜10、NL; Amersham Pharmacia Biotech、 Freiburg、 Germany)上の一次元に集束させた。患者の血清を用いたブロットの陽性免疫染色によって検出された該当する標的スポットを矢印で示す。これらの標的スポットの同一性をペプチドマスフィンガープリントおよび/または部分配列によって、対応するゲル上で分析した。
【図3】細胞株MZ1257RCのIFN−γ刺激後の、低分子量成分のためのスクリーンウィンドウ(16%T/2.5%Cゲル)中に検出された標的 IFN−γで(48時間)刺激した約2.5×106個のMZ1257RC細胞からの全ライセートのスポットパターンを表す、コロイド性クーマシーで染色した2Dゲル(7%T/2.5%C)を示す。タンパク質は、非直線上のImmobiline DryStrip(pH3〜10、NL;Amersham Pharmacia Biotech、 Freiburg、 Germany)上の一次元に集束させた。患者の血清を用いたブロットの陽性免疫染色によって検出された該当する標的スポットを矢印で示す。これらの標的スポットの同一性を、ペプチドマスフィンガープリントおよび/または部分配列によって、対応するゲル上で分析した。
【図4】CK8、スタスミン、およびビメンチンに対する正常な腎臓組織およびRCCの免疫組織化学的分析 正常な腎臓組織、明細胞サブタイプ(G2)のRCC、および色素嫌性サブタイプ(G2)のRCCの免疫組織化学的染色(400×、左から右へ)を、実施例5で述べた通りの抗CK8、抗スタスミン、および抗ビメンチンに特異的なmAbを用いて実施した。CK8については、遠位尿細管および集合管系の上皮、ならびに明細胞および色素嫌性サブタイプのRCC細胞においては、強い陽性染色が示される。スタスミンについては、遠位尿細管系における上皮の細胞質の中間〜強い陽性染色、明細胞サブタイプのRCC細胞および散乱した浸潤性炎症細胞の細胞質の陽性染色、色素嫌性サブタイプのRCC細胞の陰性反応が示される。抗ビメンチン染色については、正常な腎臓組織および明細胞タイプのRCC細胞における間細胞の細胞質の強い陽性染色に対し、正常な尿細管上皮は陰性である。色素嫌性サブタイプのRCC細胞においてはビメンチンの弱い発現が見られる。

Claims (18)

  1. β−アクチン、γ−アクチン、α−チューブリン、サイトケラチン、サイトケラチン8、細胞骨格のトロポミオシン、F−アクチンキャッピングタンパク質、hsp 27、hsp 60、hsp 70、hsp 90、grp 78(BIP)、gp 96、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、グルタチオン合成酵素、スーパーオキシドジスムタエ、チオレドキシンペルオキシダーゼ、PA28α、ユビキチンチオールエステラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、アルドース還元酵素、エノイル−CoAヒドラターゼ、α−エノラーゼ、アネキシンII、IV、およびV、スタスミン、ニコチンアミド−N−メチルトランスフェラーゼ、B23/ヌクレオフォスミン、およびビメンチンからなる群から選択される少なくとも1種のタンパク質の腫瘍マーカーとしての使用。
  2. 請求項1で定義される通りのタンパク質および/またはβ−チューブリンの腎細胞癌の腫瘍マーカーとしての使用。
  3. イムノアッセイによって個体の血清サンプルから得られた、血清中に存在する請求項1または2で定義される通りの腫瘍マーカータンパク質に対する抗体の存在を検出することを含む、前記個体における癌の診断および予後のためのin vitroの方法。
  4. イムノアッセイが、
    (a)膜または基体に、請求項1に記載のタンパク質を固定するステップ、
    (b)膜または基体を、個体の血清サンプルと接触させるステップ、および
    (c)個体の血清サンプル中の腫瘍マーカーに特異的な抗体の存在を検出するステップ
    を含む請求項3に記載の方法。
  5. 血清サンプル中の腫瘍マーカーに特異的な抗体が、前記の血清抗体に対する外因的に適用される標識抗体によって検出される請求項4に記載の方法。
  6. 個体が腎細胞癌を患っている請求項3から5のいずれかに記載の方法。
  7. 請求項1または2で定義される通りの少なくとも1種または複数の腫瘍マーカーを含む、請求項3から6のいずれかの方法を実施するのに適した診断用キット。
  8. 個体における免疫応答を刺激する医薬品を製造するための、請求項1または2で定義される通りの少なくとも1種の腫瘍マーカーの使用。
  9. 腫瘍細胞の死滅および/または腫瘍細胞増殖の抑制を促進する反応を誘発する医薬品を製造するための、請求項1または2で定義される通りの少なくとも1種の腫瘍マーカーに免疫特異的に結合する少なくとも1種の抗体またはそのフラグメントの使用。
  10. 抗体またはそのフラグメントが、抗体融合タンパク質である請求項9に記載の使用。
  11. 請求項1または2で定義される通りの少なくとも1種の腫瘍マーカーと、場合によっては、薬剤として許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬剤組成物。
  12. 請求項1または2で定義される通りの少なくとも1種の腫瘍マーカーに免疫特異的に結合する少なくとも1種の抗体またはそのフラグメントと、場合によっては、薬剤として許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む薬剤組成物。
  13. 抗体またはそのフラグメントが、抗体融合タンパク質である請求項12に記載の薬剤組成物。
  14. さらに化学療法薬を含む請求項11から13のいずれかに記載の薬剤組成物。
  15. 第1の容器内に請求項11から13のいずれかに記載の薬剤組成物、第2の容器内に同時または時間差投与のための化学療法薬を含む薬剤組成物を含んだ薬剤パッケージ。
  16. 免疫組織化学的方法を用いたRCCの同定およびRCCのサブタイプの区別のための、抗サイトケラチン8、抗ビメンチン、および抗スタスミンからなる群から選択される少なくとも1種の抗体の使用。
  17. a)RCCに罹患している疑いがある個体によって得られる腎臓上皮からの組織サンプルを、抗サイトケラチン8、抗ビメンチン、および抗スタスミンからなる群から選択される少なくとも1種の抗体(第1の抗体)とともに、前記抗体が組織サンプルに確実に結合する条件下でインキュベートするステップ、
    b)第1の抗体を、第1の抗体に対する結合親和性をもつ認識部位と検出可能な標識とを含む第2の抗体と、第2の抗体が第1の抗体に確実に結合する条件下で接触させるステップ、
    c)第1の抗体に結合した第2の抗体を検出するための検出ステップを実施するステップ、および
    d)ステップc)によって検出された組織サンプルを、明細胞、色素嫌性、色素好性、またはオンコサイトーマのRCCサブタイプを患う個体から得られた基準サンプルと比較するステップ
    を含む、RCCの同定およびRCCのサブタイプの区別のための方法。
  18. a)請求項16に記載の少なくとも1種の抗体(第1の抗体)
    b)第1の抗体に対する検出可能な標識をもつ少なくとも1種の第2の抗体
    を含む、RCCの同定およびRCCのサブタイプの区別のためのキット
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