JP4967128B2 - 扁平上皮癌の予後判定方法 - Google Patents

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本発明は、癌の予後を判定する方法に関し、特に扁平上皮癌組織におけるカルボニルレダクターゼ(Carbonyl reductase:CR)の発現パターンを測定することにより、扁平上皮癌の予後を判定する方法に関する。さらにまた、CRと特異的に結合する抗体、当該抗体を作製するためのペプチド、当該抗体を用いてCRを検出するための検査用キットに関する。
厚生労働省の年報中の統計データによると、平成17年の悪性新生物と分類された傷病の総患者数は142万人である。同じ統計データから入院患者数をみると17万であった。さらに癌組織の摘出を行うケースは限られると考えられるが、いずれにしても癌患者の最大の関心事は今後の癌の進行具合である。これまで、癌の予後を判定する方法について、いくつかの報告がある。膀胱癌の予後に関しては、尿中に存在する細胞の中心体複製異常の有無の検出による判定方法が明らかにされており(特許文献1)、メラノーマ又は肺癌の発症や進行については、CD166(ALCAM:activated leukocyte−cell adhesion molecule:活性化白血球接着分子)を血液中から検出し、この検出結果に応じて予後の状況を判定する方法が開示されている(特許文献2)。また、乳癌、肺癌、前立腺癌、または胃癌等の癌から骨転移のリスクが高いと予測する方法として、尿や癌細胞中のγ−GTP(γ−グルタミルトランスペプチダーゼ)レベルを測定し、該γ−GTPレベルが設定値より高い場合に、骨転移のリスクが高いと予測する方法が開示されている(特許文献3)。現在ゲノムプロジェクトにより、多数のヒト遺伝子とその機能が明らかにされているが、それを基に多数の遺伝子の総合的・系統的解析を行うために用いられるDNAマイクロアレイ法(DNAチップ法)を利用して、乳癌の術後予後予測を行う方法として、特定遺伝子グループの発現を前記方法で解析する方法も提供されている(特許文献4)。食道扁平上皮癌に関しては、特定の染色体の特異的な構造変化を検出する方法による予後の診断方法が開示されている(特許文献5)。
扁平上皮癌に関して、その腫瘍マーカーとしてはSCC抗原(squamous cell carcinoma related antigen)がよく知られている(特許文献6)。SCC抗原は、扁平上皮癌である肺癌、子宮頸癌、食道癌等の診断や病状管理のために全世界で臨床利用されている組織特異的な腫瘍マーカーである。SCC抗原の値を測定することにより、放射線治療や抗癌剤治療効果の有無を判定できると考えられている。しかしながら、SCC抗原の発現が、癌特異的ではないケースもあり、判定の精度としては問題がある。
SCC抗原の細胞内標的分子として見出されたCRは、SCC抗原に存在する2種類の遺伝子SCCA1、SCCA2と結合する分子の1つである。遺伝子SCCA1は抗癌剤、TNF−α 、NK(natural killer)細胞によるアポトーシスを抑制することが知られており(非特許文献1,2)、また、遺伝子SCCA2も放射線、TNF−αによるアポトーシスを抑制することが知られている(非特許文献3)。さらに、細胞内の SCCA2の発現を抑制することによって、E−cadherin(細胞の形態、極性を維持する機能をもつ細胞間接着分子)の発現が低下し、癌細胞の浸潤能・移動能を増強させることも明らかとなっている(非特許文献4)。このことから、CRも癌関連の機能を有することが推察される。
CRは、ヒトの脳により精製され、分子量が約30kDaの分子で(非特許文献5)、277のアミノ酸からなり(非特許文献6)、その遺伝子は21番染色体長腕22.12に位置し、マウスの遺伝子とは82%の相同性を持つことが明らかにされている(非特許文献7)。CRは、カルボニル化合物を基質とする細胞質に局在しているNADPH依存性の酵素である。脳ではプロスタグランジンやステロイドの還元を触媒する作用を有すること、また、肝臓では解毒作用に関与することが知られている。その他、癌関連の機能に関しては、タバコに含まれる癌誘発物質の解毒に作用し、CRの発現が少ない喫煙者では癌発症の誘因となりうるなど腫瘍新生に関与すること、アントラサイクリン系の抗癌剤はCRによって還元されるために抗癌作用が低下するなど抗癌剤に対する薬剤耐性にも関与すること、等が知られている。薬剤耐性については、薬剤耐性に関与するMRP(multi drug resistance protein)の細胞中の量は変化しないが、CRは増加しているという現象があり、薬剤耐性のメカニズムも明確ではない。また最近、CRは癌細胞の転移能を変化させる機能を有することが明らかとなっているが、その作用機序についてもまだ理解されていないのが現状である。
特開2006−275989号公報 特許第3779294号公報 特開2006−153499号公報 特開2005−270093号公報 特開2002−272497号公報 特開平6−100599号公報 Br.J.Cancer 82:981−989,2000 Cancer Res.61:1776−1780,2001 Br.J.Cancer 84:851−858,2001 Int J Oncol 29:1231−1235,2006 Bendicht,W.The Journal of Biological Chemistry.256(3):1206−1213,1981 Bendicht,W.et al.The Journal of Biological Chemistry.263(31):16185−16188,1988 Forrest,GL. et al.Biochim Biophys Acta.1048(2−3):149−155,1990
従来、扁平上皮癌患者について、不要な治療を受ける患者数を減らし得るような、癌の予後を予測して判定する方法は知られていなかった。本発明は、高精度で、かつ特異性の高い癌の予後判定法を提供することをその主な課題とする。
扁平上皮癌のマーカーとしてよく知られているSCC抗原に結合する分子として、本発明者らに見出されたCRは、SCC抗原と同様に、腫瘍マーカーになることができると予想された。しかしながら、CRの発現パターンは、癌組織において同一ではなく、発現が強い細胞と弱い細胞が存在する。本発明者らは、その点に着眼して、発現パターンと癌の予後の密接な関連を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(8)を提供する。
(1)癌の予後を判定する方法であって、癌組織におけるカルボニルレダクターゼの発現パターンがheteroであるか、W&Hである場合を、全生存期間の短縮と判定することを特徴とする扁平上皮癌の全生存期間判定方法。
(2)癌組織におけるカルボニルレダクターゼの発現パターンを、カルボニルレダクターゼと特異的に結合する抗体を用いた免疫反応により測定することを特徴とする上記(1)に記載の扁平上皮癌の全生存期間判定方法。
(3)扁平上皮癌が子宮頚部扁平上皮癌である上記(1)〜(2)のいずれかに記載の扁平上皮癌の全生存期間判定方法。
本発明により、癌の予後判定法、特に子宮頚部扁平上皮癌の高精度かつ高特異度の予後判定法を提供することができ、さらに、簡便に判定するための測定用キットを提供することができる。
本発明の扁平上皮癌の予後判定方法においては、配列表の配列番号2または配列番号3に示すペプチド、あるいは同様な抗原性を有する類似ペプチドを作製し、該ペプチドを動物に感作し、常法により分離・精製して抗体を作製し、該抗体を用いて癌組織内のCRの発現パターンを測定する。そして、癌組織内のCRの発現パターンを解析することにより、癌の予後を判定することができる。
癌組織中に存在するCRは、ヒトの組織だけでなく、他の哺乳動物や非哺乳動物種の組織にも広く存在するたんぱく質で、多種類のカルボニル化合物のNADPH依存性還元反応を触媒する酸化還元酵素である。
CRの遺伝子に関する情報は、ヒトCRとして公知であり、NCBIの遺伝子データベースにおいて、アクセッションナンバーJ04056として登録されている。それによると、配列表の配列番号1に示すアミノ酸配列からなるポリペプチドであることがわかる。
ヒトCRは、公知の方法により調整することができる。Wermuthらが明らかにしているように、ヒト胎盤から得られたcDNAのライブラリーからクローンを用いて生産する方法(上記非特許文献2)がある。あるいは、GST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)蛋白質との融合として、大腸菌等の宿主細胞内で発現させ、グルタチオンカラムあるいはニッケルカラムを用いて精製することもできる。
CRの発現パターンの測定は、本発明のペプチドを用い、当該ペプチドに特異的に結合する抗体を作製し、当該抗体と癌細胞中のCRの結合体を、免疫学的測定法を利用して行うことができる。免疫源とする本発明のペプチドは、少なくとも8アミノ酸以上、好ましくは10アミノ酸以上のアミノ酸配列からなる。
本発明のペプチドは、CRと同様の免疫原性を有するものであり、その作製法としてはいくつかの方法があげられる。例えば、CRの遺伝子情報を基にマーカー遺伝子又はその部分遺伝子を発現ベクターに組込み、これを適当な宿主細胞に導入して、形質転換体を作成し、該形質転換体を培養して組み換え蛋白質を発現させ、発現させた組み換え蛋白質を培養体又は培養上清から精製することにより得る方法、CRのアミノ酸配列情報を基にオリゴペプチドを化学的に合成する方法があげられる。あるいはCRの蛋白質を適切な蛋白切断酵素を用いて切断して得ることもできる。
本発明のペプチドは、所望の免疫原性を有する限り、アミノ末端および/またはカルボキシ末端が修飾されていてもよく、配列表の配列番号2または配列番号3に示されるアミノ酸配列を有することが望ましい。配列番号2のペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列の第184番目のヒスチジン(His)から第195番目のグリシン(Gly)までのアミノ酸配列部位を抗原決定部位とみなし、N末端側のヒスチジンの前にシステインを付加して、化学的に合成されたものであり、CHQKEGWPSSAYGのアミノ酸配列を有する。
さらに、配列番号3のペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列の第99番目のアスパラギン(Asp)酸から第113番目のスレオニン(Thr)までのアミノ酸配列部位が、別のもう1つの抗原決定部位とみなし、C末端側のスレオニンの後にシステインを付加して、化学的に合成されたものであり、DPTPFHIQAEVTMKTCのアミノ酸配列を有する。
また、本発明のペプチドは、配列番号2または配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたペプチドであってもよい。このような変異体は、配列表の配列番号2または配列番号3に記載のアミノ酸配列と、少なくとも70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
本発明の抗体は、上記ペプチドを認識する抗体であり、癌組織内のCRと特異的に結合し、CRの発現パターンを測定することができる抗体である。
本発明の抗体は、公知の方法を用いて作製することができる。かかる抗体は、ポリクローナル抗体、あるいはモノクローナル抗体のいずれであってもよい。また、CRを認識する特性を失わない限り、低分子化抗体や、修飾された抗体などの抗体フラグメントであってもよい。
例えば、ポリクローナル抗体は、上記抗原性を有する配列表の配列番号2または配列番号3に示されるアミノ酸配列を有するペプチド、あるいは、配列表の配列番号2または配列番号3に記載のアミノ酸配列において、1又は複数個のアミノ酸残基が欠失、置換または付加されたペプチドを、必要に応じて適当なアジュバントを用いて、ウサギ、ラット、マウス、サル、ヒツジなどの哺乳動物の皮下あるいは腹腔内に投与して感作し、感作した動物から血液を採取し、この血液から公知の方法により血清を分離して得られる。ポリクローナル抗体としては、分離した血清をそのまま使用することができるが、さらに、例えば、SDS−PAGE(SDS−polyaclylamidegel electrophoresis,SDSアクリルアミドゲル電気泳動)や、CNBr−activated Sepharose 4B(アマシャム社製)を使用するAffinity法で精製して使用することもできる。
本発明の抗体を用いたCRの発現パターンの測定は、公知の蛋白質の測定方法に従って行うことができる。例えば、ウェスタンブロッティング法、ドットブロット法や、免疫沈降法、酵素免疫測定法 (EIA;enzyme−immuno assay、ELISA;enzyme−linked immunosorbent assay)、放射線免疫測定法(RIA;radio−immuno assay)、蛍光抗体法(FIA;fluorescent immuno assay)、免疫細胞染色等の免疫学的測定法が挙げられる。
上記測定法においては、CRと特異的に結合する抗体を検出可能な物質で標識する。標識としては、放射性同位体や例えばビオチン、アビジン等のアフィニティー標識、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の酵素標識、例えばFITC、ローダミン等蛍光標識、ECL(Enhanced Chimi Luminescence)による化学発光標識等があげられる。そのような標識は組み合わせても良く、標識を行う方法は、すでによく知られている方法で行う。
免疫学的測定法の例としては、競合アッセイ法やサンドイッチ法があげられる。当該サンドイッチ法のELISA法では、結合した酵素標識抗体に、酵素基質となる物質を加えて発色あるいは発光させ、その後に反応停止液を加え、発色あるいは発光の強さやパターンを測定する。試料中の抗原濃度に比例した強さやパターンが得られるため、対照物質との比較に基づいて試料中の抗原の発現状況を把握することができる。
本発明の抗体を用いたCRの発現解析は、ヒト組織染色用キットを用いることもできる。免疫組織化学染色用キットのヒストファイン(ニチレイ社製)を使用する場合は、CRと結合した抗体に、ビオチン標識抗ウサギIgG抗体を2次抗体として結合させ、そこへ酵素試薬であるペルオキシターゼ標識ストレプトアビジンを結合させる。次いで、DAB(3,3−Diaminobenzidine)によりペルオキシターゼを染色することにより、癌組織中のCRの発現状態を観察することができる。
癌患者の組織を用いて、癌の予後を判定する場合は、インフォームド・コンセントが得られた患者の癌組織に由来する試料に、本発明の抗体組成物を接触させてCRの免疫複合体を形成させ、当該免疫結合体の測定により予後を判定することができる。評価法は、例えばShiozakiらの方法(Am J Pathol 139:17−23,1991) に準じて行うことができる。つまり、癌組織におけるCRの発現パターンを3つのパターン(A)strong pattern(正常扁平上皮と同等の染色強度で、均一に染色されているもの)、(B)weak and homogenous pattern(W&H:正常扁平上皮と比べて染色強度は弱いが、均一に染色されているもの)、(C)heterogenous pattern(hetero:発現が強い細胞と弱い細胞が混在しているもの)に分け、各々のパターンについて、(1)CRの発現態度とリンパ節転移、(2)CRの発現態度と無進行生存(PFS:progression free survival、治療開始日から組織学的に再発が確認されるまでの期間)、(3)CRの発現態度と全生存(OS:overall survival、治療開始日から死亡までの期間)の3段階評価を行う方法である。
本発明のCRの測定のための試薬を予め組み合わせてキット化することもできる。該キットには、抗体のほか、固定化担体、標識物質、標識の検出に用いられる基質化合物等を含めることもできる。
以下、本発明を更に詳しく説明するため、実施例を挙げるが本発明はこれに限定されない。
<ヒト正常細胞中のCRの確認>
ヒトケラチノサイト(ヒト表皮細胞、NCE16:ヒューマンサイエンス振興財団より購入)を用いて、正常細胞中のCRの存在を確認した。まず、SCC抗原の組み換え蛋白質としてGST融合蛋白(以下、GST−SCCA1、GST−SCCA2とする)を大腸菌で誘導・合成した。この大腸菌を超音波破砕機で処理した破砕菌液を、glutatione sepharose 4B beads(アマシャム・ファルマシア社製)と混合し、反応・結合させた。次いで、ヒトケラチノサイト1X10個の細胞破砕物と上記で得られたbeadsを混合し反応させた。反応終了後、beads を十分に洗浄し、このbeads にSDS−PAGE サンプルバッファーを添加し、100度で5分間インキュベート後、GST−SCCA1、GST−SCCA2およびコントロールであるGSTと結合する物質をSDS−PAGEで分離した(図1)。肉眼的に異なるバンドを切り出し、これを質量分析器(島津製作所)によるpeptide finger printingによりこの結果、SCCA1およびSCCA2と結合する分子の1つとしてCRを確認し、ヒトケラチノサイトにCRが存在することが明らかとなった。
<ペプチドの合成>
配列番号1に示すCRのアミノ酸配列の情報を解析し、CRの抗原決定部位を検索した。その結果、配列番号1のアミノ酸配列の第184番目のヒスチジン(His)から第195番目のグリシン(Gly)までのアミノ酸配列部位が優れた抗原決定部位と分かった。そこで、CRの抗体を作成するために、N末端側のヒスチジンの前にシステインを付加した合成ペプチドCHQKEGWPSSAYG(配列表の配列番号2)を作製した。
<CRの抗体作製>
実施例2で作成した合成ペプチドを、フロイントアジュバントを用いてエマルジョンを作製し、当該エマルジョンをウサギの皮下に注射して免疫した。免疫は、第1回目に0.15mgの合成ペプチドを投与し、2週間後に0.3mg、その後は2週間おきに計4回の投与を行った。採血は、合成ペプチドを投与する前、合成ペプチドを3回投与した1週間後、さらに4回目を投与した1週間後に各1ccずつ、計3回の試験採血を行った。各試験採血におけるCRの抗体価はELISA法で測定した。最終免疫終了の1週間後に、免疫したウサギから全血を最終採血した。最終採血分はCNBr−acvivated Sepharose 4B(アマシャム・ファルマシア社製)によるaffinity精製を実施し、CRのポリクローナル抗体を得た。
<CRとポリクローナル抗体との反応>
実施例3で得られたポリクローナル抗体は、ウエスタンブロット法によりCRとの反応性を確認した。さらに、CRの存在が確認されたヒトケラチノサイト、および6種類の子宮頸部扁平上皮癌培養細胞を用いて、CRの発現を確認した。この結果、当該ポリクローナル抗体の優れた反応性を証明した。
1.CRと作製したポリクローナル抗体との反応性の検出
CRと作製したポリクローナル抗体の反応性をウエスタンブロットで確認した。下記(1)〜(4)の手順で処置したものを、(5)のウエスタンブロットにより解析した。
(1)実施例1の手順に従って、GST、GST−SCCA1およびその変異体、GST−SCCA2およびその変異体とケラチノサイト細胞破砕液を混合し、SDS−PAGEで分離後、polyvinylidene difluoride(PVDF)膜(ATTO社)に蛋白質を転写する。(2)一次抗体反応として、5%スキムミルクー0.1%Tween20含有TBS(TBS−T)液で8μg/mlの濃度に調整した抗CRポリクローナル抗体と4℃で一晩反応させる。(3)PVDF膜をTBS−Tで10分間4回洗浄後、5%スキムミルクー0.1%TBS−T液で4000倍に希釈した二次抗体であるHRP(Horseradish Peroxidase:西洋ワサビ過酸化酵素)標識ブタ抗ウサギ免疫グロブリン(DAKO社)と室温で60分間反応させる。(4)PVDF膜は0.1%TBS−T液で15分ずつ4回洗浄する。(5)ECL−Western blotting detection system(アマシャム・ファルマシア社) を使用し、hyperfilm−ECL(アマシャム・ファルマシア社)に感光させて解析した。その結果、図2に示すように、CRが存在する1のケラチノサイト細胞破砕液や、SCC抗原と結合したCRが存在する3〜6では、抗体との結合体のバンドが見られ、CRが存在しない2のGST+ケラチノサイト細胞破砕液では、バンドが見られないことから、実施例3で作製した抗体はCRとの反応性が優れていることが証明された。
2.培養細胞におけるCRの発現検出
さらに、ヒトケラチノサイト、および以下の子宮頸部扁平上皮癌培養細胞 BOKU、ME−180、SKGI、SKG II(以上ヒューマンサイエンス振興財団より購入)、SiHa(東北大学加齢医学研究所より購入)、SKG IIIa(慶応大学医学部産科婦人科 野澤 志朗博士より供与)におけるCRの発現を解析した。方法は上記に従い、SDS−PAGEおよびウエスタンブロットにより解析した。結果は、図3に示すように、いずれの培養細胞でもCRの発現を認めるが、ケラチノサイトと比較し6種類の子宮頸部扁平上皮癌培養細胞での発現は低く、CRの測定を行うための対照としては、ケラチノサイトが優れていることが分かった。
<正常扁平上皮組織中のCRの検出>
実施例3で作製した抗体を用いて、培養細胞であるヒトケラチノサイトと患者の同意を得て採取した子宮頸部正常扁平上皮組織におけるCRの発現を免疫染色により確認した。実験法は、精製したポリクローナル抗体と、ヒストファインSAB−PO(R)キット(ニチレイ社)を用いて、プロトコールに従い、免疫組織染色を(1)〜(8)の手順に従って実施した。(1)ホルマリン固定パラフィン包埋組織を5μm厚に切り出し、キシレンに3回浸した後、100%エタノールに浸して、脱パラフィン操作を行う。(2)0.3%過酸化水素入りメタノールに組織切片を50分浸し、内因性ペルオキシダーゼを失活させる。(3)組織切片をPBSで3回洗浄後、作製した抗CR抗体の非特異的吸着を防ぐため、ヒストファインSAB−PO(R)キットに付属する10%ヤギ正常血清を用いて室温で10分間ブロッキングを行う。(4)一次抗体反応として、1%ウシアルブミン含有PBSで2μg/mlの濃度に調整した抗CRポリクローナル抗体と4℃で一晩反応させる。(5)組織切片をPBSで3回洗浄後、キットに含まれる二次抗体ビオチン標識ヤギ抗ラビットIgG抗体と室温で10分間反応させる。(6)終了後、組織切片をPBSで3回洗浄し、キットに含まれるペルオキシターゼ標識ストレプトアビジン溶液を添加する。室温で5分間反応させる。(7)終了後、組織切片をPBSで3回洗浄し0.02% DAB液(30mg DABを、130ml 0.05M Tris HCl bufferと、20ml 0.05MTrisma baseに溶解する。)に1分間浸す。終了後、5分間流水で洗浄する。(8)へマトキシリン染色し、流水で10分間洗浄し、封入する。
以上の結果より、CRは細胞質に局在(図4)しており、正常扁平上皮の全層で強く発現していることが明らかとなった(図5)。
<扁平上皮癌組織中のCRの検出>
組織の採取および検討に対し、インフォームド・コンセントが得られた手術前未治療で予後の追跡が可能である子宮頸部扁平上皮癌患者の組織中のCRを検出した。癌患者例数およびその病態レベルを表1に示した。
Figure 0004967128
原発巣におけるCRの発現態度について、Shiozakiらの方法(Am J Pathol 1991;139:17−23)に準じて、3パターンに分類し評価した。免疫組織学的染色によるCRの発現状況を図6、図7、図8に示した。解析した結果を表2に示した。
Figure 0004967128
その結果、HeteroとW&Hでは、リンパ節転移と強い関連性を認め、無進行生存の短縮が認められ、さらに、全生存の短縮も認められた。これにより、子宮頸部扁平上皮癌原発巣におけるCRの発現減弱を示したHeteroとW&Hの症例では、リンパ節転移や再発・死亡に至るなど、明らかに予後不良であった。以上の結果より、CRは子宮頸癌の予後を判定し、治療の個別化を検討する上で新たな指標となりうることが明らかとなった。
本発明の、癌組織中のCRの発現パターンを指標とする扁平上皮癌の予後判定方法は、細胞の状況を肉眼的に行うため、精度のよい判定が可能になり、癌患者に対し将来の生活態度に関する重要な情報を与えることができる。また、臨床治験における新薬の評価についても、CRの発現パターンを指標にして行うことが可能になる。
ケラチノサイト中で、CRの存在を確認した結果を示す図である。 CRと、作製したポリクローナル抗体の反応性をウエスタンブロットで確認した結果を示す図である。 ケラチノサイト、および6種類の子宮頚部扁平上皮癌の培養細胞でのCRの発現検出結果を示す図である。 正常扁平上皮細胞の細胞質に局在するCRの検出結果を示す図である。 正常扁平上皮細胞の全層で強く発現するCRの検出結果を示す図である。 免疫組織学的染色によるCRの発現状況で、Strong patternの検出結果を示す図である。 免疫組織学的染色によるCRの発現状況で、Weak and Homogenous pattern(W&H)の検出結果を示す図である。 免疫組織学的染色によるCRの発現状況で、Heterogenous pattern(Hetero)の検出結果を示す図である。

Claims (3)

  1. 癌の予後を判定する方法であって、癌組織におけるカルボニルレダクターゼの発現パターンがheteroであるか、W&Hである場合を、全生存期間の短縮と判定することを特徴とする扁平上皮癌の全生存期間判定方法。
  2. 癌組織におけるカルボニルレダクターゼの発現パターンを、カルボニルレダクターゼと特異的に結合する抗体を用いた免疫反応により測定することを特徴とする請求項1に記載の扁平上皮癌の全生存期間判定方法。
  3. 扁平上皮癌が子宮頚部扁平上皮癌である請求項1〜2のいずれか一項に記載の扁平上皮癌の全生存期間判定方法。
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