JP2004531547A - 非適合性医薬剤と一緒に用いるための酸化されたコラーゲンの製剤 - Google Patents

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Abstract

開示されているのは、酸化されたコラーゲン組成物であり、ここで、コラーゲンの1又は複数のメチオニン残基のチオメチル基は、メチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基で置換されている。

Description

【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は新規コラーゲン組成物及びかかる組成物を使用する方法に関する。詳細には、本発明のコラーゲン組成物は、コラーゲンの1もしくは複数のメチオニン残基のチオメチル基がメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基で置換されている酸化されたコラーゲンの組成物に関連する。
【0002】
意外にも、本明細書中に記載の酸化されたコラーゲン組成物は、酸化されていないコラーゲンとは本来非適合性である医薬物と適合性である。従って、本明細書中に記載の酸化されたコラーゲン組成物は、薬物のデリバリー、投与、臨床的有用性及び/又は所定の非適合性医薬物、特に細胞傷害性薬物の、酸化されたコラーゲンとの組み合わせにおいて用いられた場合の治療上の使用、の向上を供する。加えて、本明細書中で開示された酸化されたコラーゲン組成物は、適合性医薬物と共に用いられた場合ドラッグデリバリーの向上をもたらすだろう。
【0003】
参考文献
以下の刊行物を本願において上付番号として引用している。
1 1991年5月7日に刊行されたSouthardら、Drug Delivery Devices、米国特許第5,013,553号
2 1986年10月28日に刊行されたLuckら、Treatments Employing Drug-Containing Matrices for Introduction into Cellular Lesion Areas、米国特許第4,619,913号
3 1998年5月12日に刊行されたJonesら、Translucent Collagen Formulations with a Cytotoxic Drug、米国特許第5,750,146号
【0004】
上記の参考文献は全て、その全体を参照として本明細書中に組み込まれている。あたかも個々の参考文献が、その全体を参照とすることにより、特定且つ個別に示され本明細書中に組み込まれている。
【背景技術】
【0005】
技術の説明
コラーゲンは医薬において多く使用されている周知の生体材料であり、その使用には例えば、止血剤としての使用、軟組織増加における使用、尿失禁治療のための使用、及びドラッグデリバリープラットフォームとしての使用などが挙げられる。コラーゲンをドラッグデリバリープラットフォームとして使用する例としては、ベンゾフェナントリジンアルカロイド又は細胞傷害性薬物を含んで成るコラーゲン組成物が挙げられる。1,2
【0006】
コラーゲンは、例えば細胞傷害性薬物と共に処方でき、ここでコラーゲンは、患者に対しこの薬物を局所的に投与する一方で全身的な吸収を最小限にするドラッグデリバリーデバイスとして用いられている。2,3 所定の場合、前記薬物はコラーゲンと限られた時間に渡ってのみ適合性であり、そしてその後では適合しなくなる。それによって、製剤の効果が妨げられ、そして往々にして患者に対しそれを投与することへ悪影響を示す。任意の理論に限定されることなく、この非適合性は、不都合な反応、例えば非適合性薬物とコラーゲン鎖との間での架橋などによって生ずると考えられている。例えば、シスプラチンは、タンパク質、核酸、及び他の求核基を有する物質と反応する傾向がある。シスプラチンが水性コラーゲンゲルと組み合わされている場合、生じる製剤は次第に、時間が経てば一層硬く且つ不均質になり、そしてシスプラチンの回収率が低くなる。更に、シスプラチンはコラーゲン中の求核基と反応してコラーゲン架橋をもたらすとも考えられている。
【0007】
物理的且つ化学的に安定なコラーゲンベース製剤を形成する能力への影響においてかかる反応は、非適合性医薬の治療作用を損い且つ製剤のレオロジー特性を変化させてしまい物質の効果を多彩にし、そして投与を難しくなる。
【0008】
この非適合性の故に、シスプラチンとコラーゲン組成物を投与直前に混合すること、及び混合後数時間以内で投与を完了することが必要である。
【0009】
ある実施態様において、本発明は、コラーゲン中の1又は数個のメチオニン残基のチオメチル基を酸化して対応するメチルスルホキシもしくはメチルスルホニル基へすることにより、生成されるコラーゲン組成物は、本来非適合性の薬物と一層適合性になるという発見に関する。これについて、一般に、コラーゲンは、3本のポリペプチド鎖に由来する、ホモ又はヘテロ三量体として形成された、三重らせんからなる長い棒状分子として存在する。その一次構造は、グリシン−X−Yリピート(ここで、Xの有意な構成員はプロリンもしくはヒドロキシプロリンであり、そしてYは他のアミノ酸残基、例えばメチオニン及びヒスチジン残基などを含んで成る)を特徴とする。生理pHで、各コラーゲン分子は自己集合して微視的もしくは巨視的な微小繊維もしくは網になり、それがコラーゲンによって呈示される典型的な細胞外マトリックスの足場を担う。コラーゲンがドラッグデリバリー用途において用いられる場合、繊維性コラーゲンは水性系における増粘剤として作用し、粘性ゲル様物質を供する。コラーゲンは徐放植込錠において用いるために乾燥させてペレット様形態にもできる。
【0010】
多くの医薬はコラーゲン製剤と共に用いるためには非適合性であると考えられている。何故なら、それらには時間が経つにつれ、コラーゲンとの不都合な反応に関与する官能基が含まれているからである。その不都合な反応とは、官能基がコラーゲンのメチオニン残基と反応しうることなどである。これらの不都合な反応により、非適合性薬物とコラーゲン鎖との間での架橋がもたらされうる。上で述べたように、かかる架橋により、コラーゲン/医薬組成物の効果が有意に損われる。
【発明の開示】
【0011】
発明の概要
本発明は酸化されたコラーゲン組成物に関連する。ここにおいて、コラーゲンの1もしくは複数のメチオニン残基のチオメチル基は、メチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基によって置換されている。上に述べたように、かかる組成物は、シスプラチンなどの細胞傷害性薬物(これら薬物は本来、コラーゲンとの接触が長くなることにより非適合性である)との適合性が向上している。
【0012】
従って、その組成物の1つの観点において、本発明は、コラーゲンの1もしくは数個のメチオニン残基のチオメチル基が、メチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基によって置換されている、酸化されたコラーゲンに関する。
【0013】
好適に、コラーゲンのメチオニン残基の20%以上が、メチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されている。更に好適には、コラーゲンの40%以上のメチオニン残基及び尚一層好適には60%以上のメチオニン残基が、メチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されている。
【0014】
本発明は、コラーゲンの1もしくは数個のメチオニン残基が、非適合性医薬物を添加する前に、メチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基で置換されることにより、不都合な反応、例えば非適合性薬物とコラーゲンとの間での架橋が減少もしくは、予防され、それによってコラーゲンと非適合性の薬物とが一層適合性になるという発見にも関する。任意の理論に限定されることはなく、メチオニンのチオメチル基がメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基により置換されることで、メチオニンのイオウ求核基と非適合性薬物との間で反応が低減もしくは妨がれると考えられている。そしてまた、思いのほか、予想外に、この置換は、コラーゲン分子が微小繊維を形成する能力に有意に影響を与えることはなく、それ故に、コラーゲンが医薬物のための担体として働く特性に影響を及ぼすことはない。
【0015】
加えて、かかる、不都合な反応が減少することにより、適合する薬物(ある時には、棚寿命の延長、効果の向上など1又は複数の特性向上を担いうる)を含んで成る製剤も可能になる。
【0016】
従って、その組成物の他の観点において、本発明は:
a)コラーゲンの1もしくは数個のメチオニン残基のチオメチル基が、メチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基によって置換されている酸化されたコラーゲン;及び
b)医薬物、
を含んで成る医薬組成物に関する。
【0017】
これらの組成物中で用いられる医薬物は、酸化されていないコラーゲンと適合性又は非適合性のどちらであっても良い。しかし、酸化されたコラーゲンの利点は、薬物が本来、酸化されていないコラーゲンとは非適合性である場合に最も明らかになる。好適に、医薬は細胞傷害性の薬物であり、そして一層好適には、白金酸塩である。
【0018】
本発明は、前記製剤が酸性化されている場合、即ち、当該製剤のpHが約4.5未満(例えば、pH3.7へ)下げられている場合、そして更に好適には約2.5〜4.5の場合には、コラーゲンと非適合性医薬との間での不都合な反応が減少しているという発見にも関する。コラーゲン製剤の酸性化は、コラーゲン中のヒスチジン残基をプロトン化し、ヒスチジン残基と非適合性薬物との間での反応を逆戻りさせる、減少させる又は妨げると考えられている。酸性化の利点は、コラーゲン製剤の酸性化を非適合性薬物添加の前又は後にすることによって、達成できうるということが発見されている。
【0019】
更に尚、コラーゲンと非適合性医薬物との間での不都合な反応は、製剤中で用いるコラーゲンの濃度を下げている場合に減少していることが発見されている。好適には、製剤中のコラーゲンの量は約3%(w/w)以下であり、そして更に好ましくは約1%(w/w)〜約3%(w/w)である。
【0020】
医薬物との組み合わせにおけるコラーゲン組成物を酸性化する利点は、酸化されたコラーゲンを単独で又は組み合わせにおいて用いることによって達成されている。従って、その組成物の他の観点において、本発明は、コラーゲンと医薬物を含んで成るpH約4.5未満の医薬組成物に関する。好適には、前記組成物のpHは、約2.5〜約4.5であり、そして更に好適には約3.7である。他の好適な実施態様において、酸性化されたコラーゲン組成物中で用いられたコラーゲンは、本明細書中に記載の酸化されたコラーゲンである。
【0021】
その方法のある観点において、本発明は、非適合性薬物をコラーゲンと適合させる方法に関する。この方法はコラーゲンの1もしくは数個のメチオニンのチオメチル基をメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基で置換することを含んで成る。ある実施態様において、このような置換は、コラーゲン組成物と酸化剤とを、コラーゲンの1もしくは数個のメチオニンのチオメチル基がメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基に置換されるような条件下で接触させることによって達成されうる。適切な酸化剤は当業者に周知であり、そして好ましくは過酸化水素、メタクロロ過安息香酸などが挙げられる。
【0022】
もう1つの方法として、コラーゲンの1もしくは数個のメチオニンのチオメチル基がメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基で置換されている酸化されたコラーゲンは、常用のタンパク質化学によって調製できうる。例えば、標準的な固相合成を用いてメチオニン残基の代わりに酸化されたメチオニン残基を伸長するペプチド中に挿入できうる。
【0023】
上記の方法には更に、コラーゲン組成物のpHを3.7以下に下げること;及び/又は製剤中のコラーゲンの濃度を約3%(w/w)以下に下げることが含まれる。
【0024】
その方法の他の観点において、本発明は腫瘍性病変又は周辺組織を治療するための方法に関する。この方法は、病巣の部位又は当該病巣の周辺組織に:
a)酸化されたコラーゲン、約2.5〜約4.5のpHに酸性化されたコラーゲン、及び約2.5〜約4.5のpHに酸性化された酸化されたコラーゲンからなる群から選択されたコラーゲン組成物;及び
b)医薬的に許容できる細胞傷害性薬物、
を含んで成る医薬組成物を導入することを含んで成る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
好適な実施態様の詳細な説明
本発明は医薬物(特に、非適合性医薬物)と共に用いるために適合させた新規コラーゲン製剤及びかかる新規コラーゲン製剤を用いるための方法に関する。
【0026】
非適合性医薬と共に用いられた場合、本明細書中に記載のコラーゲン製剤及び方法により、非適合性医薬、特に細胞傷害性薬物のドラッグデリバリー、投与、臨床上の有効性及び/又は治療効果が向上する。加えて、本明細書中に記載のコラーゲン組成物は、適合性医薬剤と共に用いられて良い。本発明を更に詳細に記載する前に、先ず以下の用語を規定する。
【0027】
用語「非適合性医薬物」又は「非適合性薬物」とは、時間が経つにつれ、改変されていないコラーゲンとの不都合な反応、例えば架橋などに加わる1又は複数の医薬物を意味する。従って、これらの用語には、最初、ある限られた時間に渡り改変されていないコラーゲンと適合する一方、時が経つにつれて当該改変されていないコラーゲンと不適合になる薬物も含まれる。
【0028】
これらの不都合な反応により、非適合性薬物、特に長時間(例えば24時間を超えて)に渡り保存されたものの、薬物のデリバリー、投与、臨床上の有効性及び/又は治療上の使用が損われる。非適合性薬物とコラーゲンとの架橋は、コラーゲンゲルを針から一定の送出速度で押出すのに要する力を測定することによって定量できうる。架橋の程度が大きければ、コラーゲン製剤を押出すのがより困難であろう。非適合性医薬物の例には、周知の、シスプラチンなど白金酸塩のファミリーの薬物がある。
【0029】
用語「適合性医薬物」又は「適合性の薬物」とは、それらが、改変されていないコラーゲンと反応しても、コラーゲン製剤(改変されていないコラーゲンとの組み合わせにおいてかかる薬物を含んで成る)の使用を損わない1又は複数の医薬物を意味する。適合性医薬物の例には、フルオロウラシ、メトトレキセートなどが挙げられる。
【0030】
用語「白金酸塩」とは、中心原子として白金を含む細胞傷害性薬物を意味する。白金酸塩の例には、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、オルマプラチン、イプロプラチン、エンロプラチン、ネダプラチン、ZD0473(シス−(アミンジクロロ(2−メチルピリジン)−プラチナ(II))、BBR3464などが挙げられる。
【0031】
用語「酸化されたコラーゲン」とは、メチオニン残基を1つ以上含んで成るコラーゲンであって、ここでコラーゲンの1もしくは数個のメチオニンのチオメチル基がメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基によって置換されているコラーゲンを意味する。このような置換は、コラーゲン組成物と酸化剤とを、1もしくは複数のコラーゲンのメチオニンのチオメチル基がメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基に転換されるような条件下で接触させることによって達成できる。もう1つの方法として、このような置換は、常用のタンパク質化学によってコラーゲンの1もしくは複数のメチオニンのチオメチル基が、メチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基で置換されることによって起こる。
【0032】
好適に、コラーゲンの20%以上のメチオニン残基のチオメチル基がメチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されている。更に好適には、コラーゲンの40%以上の、そして更に尚好適には60%以上のメチオニン残基のチオメチル基がメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基によって置換されている。
【0033】
用語「酸化」とは、コラーゲンを過酸化水素で処理することなど、コラーゲン製剤を酸化する全ての方法を意味する。
【0034】
用語「酸性化」とは、コラーゲン製剤のpHを、非適合性医薬物と組み合わせる前あるいは後に下げる全ての方法を意味する。好適に、酸性化には、医薬的に許容できる酸を用い、pHを下げる。適切な医薬的に許容できる酸は当業者に周知であり、例によって、塩酸、リン酸、酢酸、クエン酸、乳酸などが挙げられる。
【0035】
用語「転移温度」とは、水性コラーゲン組成物中のコラーゲンが相変化をする温度である。相変化とは、典型的に、組成物中のコラーゲンの微小繊維サイズの変化であり、そして水性コラーゲン組成物に対する常用の示差走査熱量測定(DSC)スキャンにおけるピークによって容易に測定できうる。本願の目的に関し、DSCによって測定された転移温度は、次のような条件下で測定されている。その条件とは即ち、TA Industries, New Castle, Del., USAから入手可能なDSC装置を用いて、10℃/分で加熱するという条件である。
【0036】
本発明のある観点において、コラーゲン製剤は酸化することによって、非適合性の医薬と共に用いるために適合されている。任意の理論に限定されることなく、コラーゲンを酸化することにより、コラーゲンのメチオニン残基のチオメチル基の1部分以上がメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基によって置換されることで、酸化されていないチオメチル基の求核性のイオウと非適合性医薬との間での反応が低減もしくは予防されると考えられている。加えて、本発明の酸化されたコラーゲン製剤は、適合性医薬と共に用いることもできうる。
【0037】
本発明の利点を得るために、全てのチオメチル基がメチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されているということは重要ではない。任意の部分のチオメチル基の置換により、コラーゲンと非適合性医薬との間での不都合な相互作用の数が減る。好適には、コラーゲンの20%以上のメチオニン残基のチオメチル基がメチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されている。一層好適には、コラーゲンの40%以上の、そして更に尚も好適には60%以上のメチオニン残基のチオメチル基がメチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されている。
【0038】
医薬物の治療上の効果が損われるのを回避するために、この薬物を添加する前にコラーゲンの酸化が起こることが重要である。
【0039】
本発明の他の観点において、コラーゲン製剤が酸性化されている。即ち、コラーゲン製剤のpHが下げられている。任意の理論に限定されることはなく、コラーゲン製剤を酸性化することは、ヒスチジン残基をプロトン化し、ヒスチジン残基と非適合性医薬との間での不都合な反応を反転させる、減らす又は妨げると考えられている。
【0040】
本発明の利点を得るために、コラーゲンにおける全てのヒスチジン残基がプロトン化されているということは重要ではない。コラーゲン製剤のpHを中性のpH7未満に任意に下げることにより、コラーゲンと非適合性薬物との間での不都合な相互作用が減少する。しかし、本発明の好適な実施態様において、コラーゲン組成物のpHは、2.5〜4.5、及び一層好ましくはpH約3.7に下げられている。
【0041】
組成物
ある実施態様において、本明細書中に記載の組成物は、酸化されたコラーゲン、医薬物及びコラーゲンが分散されている水性の生理的に許容できる媒体を含んで成る。前記薬物は、溶かされる、分散される又はコラーゲンと複合されて良い。
【0042】
本明細書中に記載の組成物中で用いられた酸化されたコラーゲンは、コラーゲン、言い換えれば、任意のホニュウ類宿主起源、例えば、ウシ、ブタもしくはヒトに由来し、そして組換えDNA技術もしくはトランスジェニック生産術によっても生産されうる。用いられたコラーゲンは、天然コラーゲン又は改変されたコラーゲン、例えば、トロポコラーゲン、アテロコラーゲンなどであって良い。コラーゲンは、非免疫源性、免疫源性、又はわずかに免疫源性でありうる。
【0043】
コラーゲン又はその誘導体を精製された形態で調製し、ホニュウ類宿主に対して投与するための様々な方法が当業者に公知である。適切な方法には、列挙された、例えば、米国特許第3,949,073号でその中で引用された参考文献が挙げられる。その中で注目なのは、若いウシから獲得して精製されたウシコラーゲンである。単離及び精製には、通常、様々な媒体、例えば、希酢酸からの分散又は沈澱を伴う。同じ状況で、異種コラーゲンが注射の領域における免疫応答を高めるのに用いられる又は免疫源性アジュバントが用いられうる。加えて、本明細書中での使用に適したコラーゲンは、多くの業者から商業上入手可能でもある。
【0044】
上で述べたように、本実施態様において、コラーゲンは、医薬物を添加する前に酸化されている。ある実施態様において、コラーゲンの酸化は、コラーゲンを、典型的には水性溶液中で、過酸化水素などの酸化剤と接触させることによって達成されている。酸化の程度は、用いられる酸化剤の量、その接触時間及び接触温度によって調節されている。好ましくは、過剰(典型的に約2〜約50化学量論当量)の酸化剤が、コラーゲン中のメチオニン残基の総数に基づいて用いられている。そのうえ、酸化反応は約0.1〜約100時間に渡り行われるのが好ましく、そして一層好ましくは約1〜約10時間に渡り、約0℃〜約40℃の温度で行われるのが好ましい。反応終結時に、酸化されたコラーゲンが常用の方法によって回収されている。
【0045】
酸化剤の比濃度及び反応条件は、コラーゲンのメチオニン残基の約20%以上がメチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されるように選択されている。一層好適には、コラーゲンのメチオニン残基の約40%以上、及び尚一層好適には約60%以上が、メチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されている。これらのパラメーターに基づく濃度及び反応条件の特異的な選択は当業界で周知である。
【0046】
ある実施態様において、十分な量の酸化されたコラーゲンが水性組成物中で用いられており、約5〜約100mg/mL、及び好適には約5〜約75mgL/mLの酸化されたコラーゲン濃度が供されている。用いられた酸化されたコラーゲンの一定量は、酸化されたコラーゲン組成物が適度な圧加下では流れるが患者の特定の部位に位置した後は有意に移動することがないように、当該組成物の所望の粘度に関連して選択されている。好適には、十分に酸化されたコラーゲンは、前記組成物が20℃、せん断速度15.8sec-1で約5,000〜約2,000cpの粘度を有するように用いられている。
【0047】
他の実施態様において、製剤中の酸化されたコラーゲンの量は、約3%(w/w)以下に、そして一層好適には、約1%(w/w)〜約3%(w/w)に下げられている。
【0048】
他の実施態様において、酸性化された水性コラーゲン組成物は、医薬物との組み合わせにおいて用いられている。この実施態様において、酸化されたコラーゲン組成物は、医薬物、及びコラーゲン、酸化されたコラーゲン又は上に列挙した濃度でのこれらの混合物のどれかを用いる。加えて、十分な量の医薬的に許容できる酸が前記組成物に対して添加され、pHが約2.5〜4.5に調整される。医薬的に許容できる酸の添加は、典型的に室温で行われ、そして組成物中で用いられるコラーゲン及び/又は酸化されたコラーゲンの濃度は、酸を添加することにより、所望の濃度が得られるように調整されている。
【0049】
酸化されたコラーゲン、酸性化されたコラーゲンもしくは酸性化及び酸化されたコラーゲンを用いようが、医薬物は、薬物の性質、薬物の治療上の使用及び、協同作用が医薬的に示されているかどうかに依存し、個別にもしくは、組み合わせて用いられる。好適に、前記薬物は、非適合性医薬物、例えば白金酸塩をベースとした薬物の、例えばシスプラチン(シス−ジアミンジクロロプラチナ(II))である。特に好適な実施態様において、シスプラチンは、組成物中で約0.1mg/mL超の濃度で用いられており、尚一層好適には、約1.0mg/mL〜約10.0mg/mL超の濃度で用いられている。
【0050】
医薬物は、コラーゲンに対して結合していない又は非共有結合、例えば、複合体形成、塩形成、錯体形成などにより結合しうるのみならず、容易に元へ戻せる結合及び薬物の生理活性を有意に減らさない任意の結合で結合すべきである。医薬物は、コラーゲンではなく担体からの薬物の、加水分解など酵素による解裂を可能にする結合を導入することによって改変されても良い。
【0051】
これらの改変は、個々の医薬物、水性媒体中での薬物の溶解度を変化させること、及びコラーゲンとの非共有相互作用を供することに依存しうる。加えて、様々な生理学的に許容できる充てん剤又は濃縮薬が任意に用いられて良く、薬物とタンパク質の相互作用、そして薬物放出速度を低下させる働きをする。実例となる物質には、無機物質の例えば、ヒドロキシアパタイト及び有機物質の例えば、炭水化物のデキストラン、アガロース、メチルセルロース及びセルロースなどが挙げられる。
【0052】
本発明の組成物には、更に尚、他の薬物が前記医薬物との組み合わせにおいて含まれて良い。そのような薬物とは、生理的損傷を減らす且つ/もしくは成長口及び/又は通路のいずれかとしての局所的脈管構造を制限する、例えば、血管収縮薬もしくは交感神経興奮薬などである。これらの薬物には、カテコールアミン類の、エピネフリン及びノルエピネフリン、ジピベフリン、ホウ酸エピネフリンなど、麦角アルカロイド、プロスタグランジン、アンギオテンシンなどが挙げられる。組織構築に影響を及ぼすための他の薬剤には、ストロマを傷害できる酵素、例えばペプチダーゼのパパイン、キモパパイン、トリプシン、アミラーゼ、コラーゲナーゼ及びキモトリプシンなどが挙げられる。又は、細胞の浸透性に影響を及ぼす薬物、例えば非イオン系デタージェントの、例えばポリソルベート、アムホテリシンB、ジメチルスルホキシド及びプロカインなどの麻酔が用いられうる。特に好適な実施態様において、エピネフリンがコラーゲン組成物と共に用いられている。
【0053】
異種コラーゲンに加えて、マクロファージ、ヘルパーT−細胞などの増殖及び浸潤など免疫応答を高める他の物質が含まれて良い。実例となるアジュバントには、コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)、バチルス・カルメッテ−グエリン(Bacillus Calmette-Guerin)細胞壁又は細胞壁骨格調製物、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)などが挙げられる。例えば、その全体を本明細書中に参照として組み込まれている。Miyataら、Cancer Res.、43:pp.4670〜4675 (1983); Bierら、Arch. Otorhinolaryngol, 236:pp.245〜255 (1982);及びMehanjhlinら、Cancer Res.、38:pp.1311〜1316(1978)を参照のこと。
【0054】
細胞傷害活性を高めるために、様々なアジュバント物質がコラーゲンに組み込まれて良く、それは例えば、放射性ペレットのラジオヌクレイド(radionucleides)テクニチウム又はイリジウムなど;放射性増感剤のミソニダゾールなど;修復阻害物質のメチル化キサンチンなど;低酸素細胞においてのみ活性化される生体内還元薬物;免疫調節物質の例えば、インターフェロン、リンホカイン(例えばインターロイキン2)、腫瘍増殖阻害物質、例えば、腫瘍壊死因子、形質転換増殖因子βなど、及び/又は血管造影剤などである。
【0055】
好適な実施態様において、コラーゲン(酸化されたコラーゲン、酸性化されたコラーゲン、又は酸化及び酸性化されたコラーゲンなど)、医薬物及び所定の任意の添加剤が、例えば、塩類溶液、リン酸緩衝塩類溶液、蒸留水などの生理的に許容できる水性媒体中で均一に分散され、コラーゲン組成物が形成される。水性媒体は、穏和な加圧下で流れることができる非晶質分散体を提供するのに十分であろう。流動性を有する混合物を提供するためには、通常、前記液体水性媒体は組成物全体の90重量%以上、通常、更には95重量%以上であって良く、通常は99.5重量%を超えない。この量は、医薬物の性質、他の物質の存在などにより変わるだろう。
【0056】
任意の添加物も様々な目的のために組成物中に含まれて良い。これらの添加物の大部分は、組成物の安定性を保護し、pHを調節するなどの特性を与えるためのものであろう。実例となる薬剤には、リン酸バッファー及び酢酸バッファー、メチル又はプロピルパラベン、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらの薬剤は、一般に、組成物全体の約2重量%未満、通常1重量%未満で存在しており、そして各個別に0〜約1重量%で変化しうる。
【0057】
本明細書中に記載の組成物は、コラーゲン、医薬物及び生理的に許容できる水性媒体を無菌環境下で組み合わせることによって調製できうる。この時に、任意の添加物も含まれても良いが、血管収縮薬又は交感神経興奮薬などの所定の添加物は、安定性の問題故に、組成物中へは使用直前に組み込まれるのが好ましい。コラーゲンは、都合の良い形態、通常は用いられる全水性媒体の1部以上と混合されて都合良く供されるだろう。混合し、均一な分散体が得られうることにより、組成物は十分に有効になるだろう。医薬物は、動揺しながらコラーゲン分散体に添加されることで、当該薬物の均一な分散が確実になりうる。必要に応じて、任意の物質が同時に、又は順次加えられて良い。通常、無菌性は無菌状態を用いることで維持されるだろう。
【0058】
目的の組成物は、様々な腫瘍性病変の化学療法(細胞傷害性)治療において有用であり、その腫瘍性病変には、固形異常腫瘍、細胞増殖、又は異常な腫瘍細胞を含みうる隣接組織が挙げられる。前記組成物は病巣、例えば、腫瘍又は病巣領域(病巣に隣接する組織)、又は腫瘍が除去された場所、腫瘍が予め除去された組織に隣接する領域へ注射されている。前記組成物は、注射のために流動性を有しているのみならず、一度組織へと注射されれば、安定に位置する。即ち、コラーゲンが一度注射されれば、機械的に崩壊することはなく、且つ有意に移動することはない。注射後、細胞傷害薬物は、その周辺環境中に放出され、細胞傷害薬物の活性が不都合である他の部位に対しての薬物の事実上の輸送が妨げられる。
【0059】
腫瘍の実例としては、ガン腫、肉腫及び黒色腫の、基底細胞ガン、扁平上皮細胞ガン、黒色腫、軟組織の肉腫、日光性角化症、カポジー肉腫、皮膚悪性リンパ腫、ボーウェン病、ウィルム腫瘍、肝ガン、結腸直腸ガン、脳腫瘍、菌状息肉腫、ホジキンリンパ腫、真性赤血球増加症、慢性顆粒球性白血病、リンパ腫、燕麦細胞ガンなどが挙げられる。腫瘍には、例えば尖圭コンジローム(陰部疣贅)及びほくろ及び尋常性疣贅などの良性の増殖も挙げられうる。
【0060】
目的の組成物は腫瘍に対して投与され腫瘍部位に細胞を傷害する量の細胞傷害薬物を供給するだろう。腫瘍部位に対して投与される細胞傷害薬物の量は、薬物の性質、腫瘍のサイズ及び他の検討材料に依存して好適に約0.01〜100mg/kg宿主、一層通常は、約0.5〜300mg/kg宿主の範囲である。血管収縮剤は、用いられる場合、一般に、細胞傷害薬物の約1〜約50重量%で存在するだろう。各腫瘍において、各薬物について用いられる細胞傷害性薬の一定量とは、治療される腫瘍に用いられる細胞傷害薬物の型及び/又は性質、細胞傷害性薬物の相対的な流動性などに依存するだろう。かかる因子は当業者には良く知られている。
【0061】
特に断わらない限り、温度とは全て摂氏温度である。そしてまた、これらの例において、以降、別に規定されない限りは、用いた略語は一般に認められた以下の意味である。
シスプラチン、CDDP=シス−ジアミンジクロロプラチナ(II)
CNBr =臭化シアン
Da =ダルトン
DSC =示差走査熱量測定
g =グラム
G =ゲージ
HPLC/SEC =サイズ排除高性能液体クロマトグラフィー
M =モラー
mg =ミリグラム
mL =ミリリッター
mm =ミリメーター
N =ニュートン
OD =光学密度
Pa =パスカル
RT =室温
SDS−PAGE =ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動
sec =秒
%w/w =重量パーセント
【実施例】
【0062】
実施例
以下の例において、実施例1には酸化されたコラーゲンの調製及び特性を例示する。
【0063】
実施例2には、シスプラチンの酸化されたコラーゲンとの反応性は、酸化されていないコラーゲンに比べて下がっていることを示している。
【0064】
実施例3には、低pHで処方した後のコラーゲン含量を下げたゲルにおけるCDDP/コラーゲン混合ゲルの安定性の更なる向上を例示する。
【0065】
実施例1:酸化されたコラーゲンの調製
A.酸化されたコラーゲンの調製
I型ウシコラーゲン(III型のコラーゲンを少量含む)を、若いウシの皮の粉末の懸濁から、酸処理、ペプシンでの消化、固形物の除去及び超遠心/ジアフィルトレーションによって獲得した。このことにより10mMのHCl中0.6%(w/v)のコラーゲン溶液を得た。このコラーゲン溶液のメチオニン残基を、徐々に0.86mLの30%過酸化水素を800mLの当該コラーゲン溶液に対して添加して混合することによって酸化させた。この組み合わせはコラーゲン中の総メチオニン残基に対して25M倍過剰の過酸化物をもたらした。混合物を室温で1時間に渡り撹拌し、そして2〜8℃で約60時間に渡り保存した。
【0066】
次いで、9体積の酸化されたコラーゲンの溶液に対して0.2Mのリン酸ナトリウムバッファー、pH10.7を添加することによって(最終pH約7.2)コラーゲン繊維を沈澱させた。
【0067】
2時間に渡る撹拌後、沈澱物を遠心によって回収した。コラーゲンペレットを2度、約600mLの20mM リン酸ナトリウム/9mM NaCl(pH7.2)で洗浄し、余剰の過酸化水素を除去した。次いで、洗浄された、酸化されたコラーゲン濃縮物(約85mgコラーゲン/gスラリー)を更に、水と0.6M リン酸ナトリウム/0.27M NaClバッファー(pH6.8)を添加することによって調製し、65mg/g酸化されたコラーゲン(6.5%コラーゲンゲル)、0.1M リン酸ナトリウム及び0.045M NaClの標的組成物を伴う均質なゲルを得た。
【0068】
過酸化水素による段階を省くことによって、同様の最終組成物を伴う酸化されていないコラーゲンゲルを、同ロットの0.6%コラーゲン溶液から生産した。
【0069】
B.酸化されたコラーゲン及び酸化されていないコラーゲンのCNBrによる解裂の比較
酸化されたコラーゲン製剤における酸化の程度を、臭化シアン解裂アッセイによって決定した。臭化シアンはペプチド鎖をメチオニン残基で解裂するが、チオメチル基が酸化されメチルスルホキシ又はメチルスルホニルになっているメチオニン残基での解裂はしない。
【0070】
0.6%コラーゲン溶液及び6.5%コラーゲンゲルの両方の酸化されたコラーゲン試料及び酸化されていないコラーゲン試料を臭化シアン解裂に委ね、そして生じた断片をSDS−PAGE(10〜20%トリスグリシンゲル)によって分離してクマジエブルーで染色し、断片化のパターンの違いを調べた。酸化されなかったコラーゲンの溶液及びゲルはどちらも25〜80kDaの分子量範囲のバンドを多く示したが約90kDa超のバンドは示さず、CNBrによる解裂の有効性を裏づけている。酸化されたコラーゲン溶液及びゲルのCNBrによる消化では、酸化されていないコントロールにおいて発見されたようなより低い分子量のバンドが見られず、その代わりに100kDa超のバンドが見られた。これらの結果により示されることは、コラーゲンのメチオニン残基の大部分が過酸化物処理により酸化されたということである。
【0071】
C.酸化された0.6%コラーゲン溶液と酸化されていない0.6%コラーゲン溶液の旋光度の比較
酸化されたコラーゲンが酸化されていないコラーゲンと同様の物理的及び化学的な特性を有するのかどうかを特定するために、出願人は、各調製品の比旋光度を測定した。
【0072】
I型とIII型のコラーゲンは3重らせん構造であり、各3重らせん単量体は、3つのタンパク鎖を含む。高次3重らせん構造により、コラーゲンは独自の高い光学活性を有し、そして、らせんの巻き戻しによりこの光学活性が失われる。
【0073】
表1に示すように、比旋光度の測定を酸化された及び酸化されていない0.6%コラーゲン溶液(上記節Aに記載のようにして調製した)に対して行った。酸化されたコラーゲン溶液及び酸化されていないコラーゲン溶液はどちらも類似の比旋光度を示し、これはどちらの溶液も3重らせん含量が類似していることを示している。このデータにより示されることは、コラーゲンの3重らせん構造は、酸化によって事実上変化しないということである。
【表1】
Figure 2004531547
【0074】
D.酸化された0.6%コラーゲン溶液と酸化されていない0.6%コラーゲン溶液のオリゴマー含量の比較
ウシの皮膚から単離した場合、ペプシン処理されたI型及びIII型のコラーゲンは、コラーゲン単量体及びオリゴマーの混合物として存在する。調製物のオリゴマーの含量は、その繊維形成特性に対して影響を及ぼす。酸化されたコラーゲンが、酸化されていないコラーゲンに対して類似の物理的及び化学的な特性を有するかどうかを特定するために、出願人は、酸化された0.6%コラーゲン製剤と酸化されていない0.6%コラーゲン製剤(節Aに記載のようにして調製した)のオリゴマー含量を測定した。
【0075】
単量体のピークをオリゴマーのピークから分けることができうるサイズ排除HPLCを用いることで、単量体とオリゴマーの相対存在量の定量を可能にした。表1に示すように、酸化されたコラーゲン調製物は、酸化されていないコラーゲン調製物よりもわずかにオリゴマー含量がわずかに高かった。
【0076】
E.酸化された0.6%コラーゲン溶液と酸化されていない0.6%コラーゲン溶液の原繊維形成の比較
原繊維形成アッセイを行い、コラーゲンの中性化により微小繊維を形成する能力を測定し、酸化されたコラーゲンが、酸化されていないコラーゲンに類似する物理的及び化学的な特性を有するかどうかを特定した。このアッセイを酸化された0.6%コラーゲン溶液及び酸化されていない0.6%コラーゲン溶液(節Aに記載のようにして調製した)に対して行った。
【0077】
この原繊維形成アッセイにおいて、9体積の、酸化されたコラーゲンの溶液又は酸化されていないコラーゲンの溶液(10mMのHCl中0.5mg/mL)をキュベットに置き、そして1体積の0.2M リン酸ナトリウム、pH10.7を添加することで中性化した。繊維が形成されるにつれ、溶液は濁り、そしてこの濁度を分光光度計を用いて313nmの波長で観測した。図1に示すように、酸化されたコラーゲンの溶液の原繊維形成特性は、酸化されていないコントロールのものと類似していた。
【0078】
F.酸化された6.5%コラーゲンゲルと酸化されていない6.5%コラーゲンゲルの物理的な特性の比較
上記節Aに記載したように、65mg/g(6.5%)のコラーゲンゲルを酸化されたコラーゲンの溶液から、そして酸化されていないコラーゲンの溶液から調製した。これらのゲルの物理的及び生化学的特性を、粘度、旋光度、示差走査熱量(DSC)特性及びオリゴマー含量(HPLCによって)を測定することによって比較した。表IIに示すように、酸化されたコラーゲンゲルの粘度及び比旋光度は、酸化されていないコラーゲンゲルに関して得られたデータに類似していた。酸化されたコラーゲン及び酸化されていないコラーゲンの両方のDSC転移温度は、類似の46℃及び54℃であった。図2A−Bに示すように、DSC特性は全般的に類似していた。加えて、表IIに示すように、2つの温度転移に関するピーク高さ比も全般的に類似していた。これらの結果により示されることは、酸化されたコラーゲンのゲルは、酸化されていないコラーゲンのゲルに比べて、巨大微小繊維をより少なく、そして一層の微小繊維及び非微小繊維性コラーゲンを含んでいたということである。これについて、DSC結果は、上に示した原繊維形成の結果と一貫していた。
【表2】
Figure 2004531547
【0079】
要約すれば、コラーゲンと穏和な過酸化水素とを反応させることで、コラーゲンのメチオニル残基の大部分が酸化された。生成した酸化されたコラーゲン溶液は、3重らせん含量、オリゴマー含量、及び繊維形成特性が、酸化されていないコラーゲンのコントロールの溶液と類似していた。この酸化されたコラーゲンを沈澱させてゲル中に処方した場合、当該ゲルの物理的及び生化学的な特性は、酸化されていないコラーゲンの溶液から生産したゲルに類似していた。
【0080】
実施例2:シスプラチンと酸化されたコラーゲンとの反応性が減少したことの証明
この例の目的とは、酸化されたコラーゲンで調製したコラーゲンのゲルとシスプラチンとの反応性が低下したことを証明することである。この例において、コラーゲンを過酸化水素に委ねる代わりに、コラーゲンとメチオニンスルホキシドとを混ぜ合わせることによって酸化されたコラーゲン製剤を得たという以外は、酸化された6.5%コラーゲンゲル及び酸化されていない6.5%コラーゲンゲルを実施例1の節Aに記載のようにして調製した。コラーゲンとメチオニンスルホキシドとを混ぜ合わせることによって、通常コラーゲン中に存在するだろうメチオニン残基の多くが、酸化されたメチオニンスルホキシドによって置換される。
【0081】
ゲルを個別にCDDP懸濁と混合し、そして室温で24時間に渡り保存した。生じたCDDP/コラーゲンゲル(4mg/mlのCDDPを含む)を分析してCDDP回収率及び押出し力を測定した。この結果を表IIIに報じている。
【0082】
希塩酸中にCDDP含有ゲルを溶かした後、CDDP回収率を強陰イオン交換HPLC法によって測定した。
【0083】
押出し力は、長時間、即ち数時間に渡り22G針を通してゲルを押出すのに必要な力として測定した。押出し力が15ニュートン(15N)未満のゲルは、22G針を介して腫瘍中へと容易に注入され、一方で30Nのものはかなりの労力が必要であり、そして50Nのものは実用的ではない。
【0084】
CDDP/酸化されたコラーゲンのゲルは、酸化されていないコラーゲンのゲル(94%)よりも高い(100%)CDDP回収率を示した。加えて、表IIIに示すように、前記CDDP/酸化されたコラーゲンのゲルは、対応するCDDP/酸化されていないコラーゲンのゲルに対して、長期に渡り、(22G針を通して)容易に押出すことができるままである。
【表3】
Figure 2004531547
【0085】
実施例3:コラーゲン含量を下げたゲルにおける、低い pH で処方した後のCDDP/コラーゲン混合ゲルの安定性における更なる改良
この例の目的とは、コラーゲンとCDDPが低いpHで、ゲルのコラーゲン含量を下げて処方された場合に、コラーゲン製剤とCDDPとの間での不都合な反応が減少することを示すことである。
【0086】
先に述べたように、非適合性医薬とコラーゲンとの間での不都合ないくつかの反応は、非適合性医薬、例えばCDDPとコラーゲンのヒスチジン残基との間での反応によるものであると考えられている。出願人は、酸性条件下でこの反応を容易に逆転させることができるということを発見した。pH6.5及びそれより上では、ヒスチジンのイミダゾール窒素がシスプラチンと反応できる弱い求核試薬である。pk(pH6.5)未満でイミダゾール環をプロトン化することにより、イミダゾール環の求核反応性がかなり下がり、それによってそれの、CDDPとの反応性が低くなる。加えて、CDDP損失は、コラーゲン濃度に依存するので、製剤の更なる改良は、混合ゲル中のコラーゲン含量を下げることによって行われている。
【0087】
A.酸化された3%コラーゲンゲル及び酸化されていない3%コラーゲンゲルのpH3.7及びpH7での調製及び物理特性の測定
酸化されたコラーゲンの濃縮物及び酸化されていないコラーゲンの濃縮物を処方し、先に記載したのと類似する方法で、6%コラーゲンゲル(pH7)を生産した。次いで、これらのゲルのアリコートを、等重量の100mM リン酸/45mM NaCl(pH1.6)と混合し、最終pH3.7の3%コラーゲンゲルを生産した。個別のアリコートを100mM リン酸ナトリウム/45mM NaCl(pH7)で処方し、最終pH7の3.0%ゲルを生産した。これら4つの3%コラーゲンゲルの物理特性を測定し、そしてそれらを表IVにまとめた。
【0088】
これらのゲルの外見を観察した。pH3.7のゲルはどちらも透明無色であり、一方でpH7のゲルは白色不透明であった。時間が経つと、pH7の、酸化されたコラーゲンゲルは粘度が均一なままであったが4〜24時間後にはわずかに不透明さがとれて来た。その一方で、pH7の、酸化されていないゲルは、同様の時間間隔で時間が経つにつれ硬くなりそしてかなり凝集した。時間が経ってもpH3.7の酸化されたコラーゲンは均質であり、24時間を経ても透明ゲルのままであった。一方で、pH3.7の、酸化されていないゲルは24時間後、著しく凝集した。
【0089】
ゲルの粘度を、20℃で、Brookfield Model DV-III HBデジタル測定機上のコーン・プレート粘度計により測定した。これら4つのゲルは全て類似する粘度を有していた。
【0090】
各ゲルに関する、注射針通過力又は押出し力の評価は、1″22G針を通してゲルを押出すのに必要な力の量を測定することによって行った。これら4つのゲルは全て、容易に押出すことができた。
【0091】
これら4つのゲルに関するDSC特性も測定した。両方のpH3.7ゲルについて、DSC特性は、約42℃での吸熱が1つ示され微小繊維特性がないことを示す。pH7ゲルは2つのDSC吸熱を示し、1つは約45℃での吸熱でありもう1つは52℃での吸熱であり、一層の微小繊維構造を示している。
【0092】
要約すると、酸化されたゲル及び酸化されていないゲルは、各pHでの測定した各物理的特性が非常に類似していた。
【表4】
Figure 2004531547
【0093】
B.CDDPと共に処方した酸化された3%コラーゲンゲルと酸化されていない3%コラーゲンゲルのpH3.7及びpH7.0での調製及び物理特性の評価
凍結乾燥したCDDPを1mg/mLで10mM、pH4の酢酸に溶かした。上記節Aに記載の3.0%コラーゲンゲル調製物各4gを4mLの1mg/mL CDDP溶液と混合し、1.5%(w/w)コラーゲン中0.5mg/mLのCDDPを含む混合ゲルを作った。混合後の様々な時間に、これらのゲルを試料にして、外見、pH、粘度及び注射針通過力を評価した。
【0094】
各ゲルの注射針通過力又は押出し力を、表Vに示すように測定した。各pHで、酸化されたコラーゲンゲルは対応する酸化されていないコラーゲンゲルよりも注射針通過力が高いままであった。時間が経つと、特に24時間での測定では、pH3.7ゲルは全体的にpH7.0ゲルよりも注射針通過力が高いままであった。24時間の指標で、酸化されたコラーゲンのpH3.7ゲルは押出し力が最も低かった。
【表5】
Figure 2004531547
【0095】
各ゲルの粘度を表VIに示すように測定した。ゲルの粘度を、20℃で、Brookfield Model DV-III HB計測機上の、コーン・プレート粘度計により測定した。このデータにより、酸化されたコラーゲンのゲルは、対応する酸化されていないゲルよりも時間が経っても安定であることが示される。特に、pH3.7の酸化されたコラーゲンゲルは長時間に渡り安定であった。
【表6】
Figure 2004531547
【0096】
最後に、酸化されたコラーゲンのゲル及び酸化されなかったコラーゲンのゲルと共にpH3.7及びpH7.0で処方されたCDDPゲル中でのCDDPの安定性を長時間測定した。CDDP含有ゲルを希塩酸に溶かした後、CDDPの回収率を強陰イオン交換HPLC法によって測定した。その結果を表VIIに示している。酸化され且つ酸性化された(即ち、低いpHで処方した)コラーゲンを有する製剤中で、シスプラチンの安定性は驚くべき且つ意外にも有意に向上していた。酸化されていない、pH7コラーゲン製剤中でのCDDP含量は、5℃で21日後、その最初の含量の25%にまで低下していた。対照的に、酸化された、pH3.7コラーゲン製剤のCDDP含量は、21日後、その初期の含量の90%であった。
【表7】
Figure 2004531547

【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】酸化されたコラーゲンの溶液の原繊維形成特性を例示する。
【図2】A−Bは、酸化されていないコラーゲンのゲルと酸化されたコラーゲンのゲルのDSC特性の比較である。

Claims (21)

  1. 酸化されたコラーゲンであって、コラーゲンの1もしくは数個のメチオニン残基のチオメチル基が、メチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基によって置換されている酸化されたコラーゲン。
  2. (a)コラーゲンの1もしくは数個のメチオニン残基のチオメチル基が、メチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基によって置換されている酸化されたコラーゲン;及び
    (b)医薬物、
    を含んで成る医薬組成物。
  3. 20%以上のチオメチル基が、メチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されている、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 40%以上のチオメチル基が、メチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されている、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 60%以上のチオメチル基が、メチルスルホキシ及び/又はメチルスルホニル基によって置換されている、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 前記医薬物が酸化されていないコラーゲンと適合性である、請求項2に記載の医薬組成物。
  7. 前記医薬物が酸化されていないコラーゲンと非適合性である、請求項2に記載の医薬組成物。
  8. (a)コラーゲン、コラーゲンの1もしくは数個のメチオニン残基のチオメチル基がメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基によって置換されている酸化されたコラーゲン、又はこれらの混合物;並びに
    (b)医薬物、
    を含んで成り、pHが約4.5未満である医薬組成物。
  9. 前記コラーゲンのpHが約2.5〜4.5である、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 前記組成物中のコラーゲンの濃度が約3%(w/w)以下である、請求項2又は8に記載の医薬組成物。
  11. 前記組成物中のコラーゲンの濃度が、約1%(w/w)〜約3%(w/w)である、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. コラーゲンと非適合性の薬物を適合させるための方法であって、当該コラーゲンの1もしくは数個のメチオニンのチオメチル基をメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基で置換することを含んで成る方法。
  13. 前記置換が、コラーゲン組成物と酸化剤とを、コラーゲンの1もしくは数個のメチオニンのチオメチル基がメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基へ転換される条件下で接触させることによって達成されている、請求項12に記載の方法。
  14. 前記酸化剤が、過酸化水素及びメタクロロ過安息香酸からなる群から選択されている、請求項13に記載の方法。
  15. 前記置換がタンパク質化学によって達成されている、請求項12に記載の方法。
  16. コラーゲンと非適合性の薬物を適合させるための方法であって、コラーゲン組成物のpHを約4.5以下に下げることを含んで成る方法。
  17. 前記コラーゲンのpHを約2.5〜約4.5に下げることを更に含んで成る請求項16に記載の方法。
  18. 腫瘍性病変又は周辺組織を治療するための方法であって、病巣の部位又は当該病巣を囲む組織に:
    (a)酸化されたコラーゲン、約2.5〜約4.5のpHに酸性化されたコラーゲン、及び約2.5〜約4.5のpHに酸性化された酸化されたコラーゲンから成る群から選択されたコラーゲン組成物;及び
    (b)医薬的に許容できる細胞傷害性薬物、
    を含んで成る医薬組成物を導入することを含んで成る方法。
  19. 前記細胞傷害性薬物が白金酸塩である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記白金酸塩が、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、オルマプラチン、イプロプラチン、エンロプラチン、ネダプラチン、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)−プラチナ(II)、及びBBR3464から成る群から選択されている請求項19に記載の方法。
  21. コラーゲンと非適合性の薬物を適合させるための方法であって、当該コラーゲンの1もしくは数個のメチオニンのチオメチル基をメチルスルホキシ及び/もしくはメチルスルホニル基で置換し且つコラーゲン組成物のpHを約4.5以下に下げることを含んで成る方法。
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