JP2004530823A - 水平スクロール式圧縮機 - Google Patents

Abstract

【課題】
潤滑油を外部ソースからクランク軸内のオイル通路に与えるためのオイル注入継手を設けることにより、縦型の圧縮機から独自に転換される水平スクロール式圧縮機を提供することである。
【解決手段】
水平スクロール式圧縮機は、圧縮機の外殻を通して延設するオイル注入継手を備え、且つ潤滑剤を圧縮機および他の部材に与えるために、潤滑油をクランク軸内の注油通路に伝達するものである。オイル注入継手には、外部の配置されたものから潤滑油を供給する。
【選択図】図２

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、一般にスクロール式機械に関する。詳言すれば、本発明は、潤滑油を外部ソースからクランク軸内のオイル通路に与えるためのオイル注入継手を設けることにより、縦型の圧縮機から独自に変換された水平スクロール式圧縮機に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に且つとりわけスクロール式圧縮機であるスクロール式機械は、しばしば作動流体が置かれるチェンバを区画形成する気密外殻内に配置されている。外殻内部の仕切り板は、しばしばチェンバを吐出圧領域および吸引圧領域とに分割する。低サイド配備において、スクロールアセンブリは、作動流体を圧縮するための吸引圧領域内で位置決めされる。一般に、これらのスクロールアセンブリは、１対の噛み合った螺旋状ラップ部を組み入れ、該螺旋状ラップ部の一方または双方が外部の吸引ポートから中心の吐出ポートに向かって移動すると次第に寸法が減少する１または２以上の可変チェンバを区画形成するように、他方に対して旋回させるものである。電動モータは、通常、この相対旋回運動を起こすように作動するものが設置されている。
【０００３】
外殻内の仕切り板は、吐出圧領域と吸引圧領域との間の保全を同時に維持しながら、スクロールアセンブリの中心吐出ポートを出て行く圧縮流体を外殻内の吐出圧領域に導くものである。仕切り板のこの機能は、通常、該仕切り板と、中心吐出ポートを定めるスクロール部材とに相互に作用するシール材によって成し遂げられる。
【０００４】
気密外殻の吐出圧領域は、通常、冷却回路またはいくつかの他のタイプの流体回路と連通する吐出流体ポートを備えている。閉鎖システムにおいて、流体回路の反対端は、外殻を経て吸引圧領域へ延設する吸引流体ポートを用いる気密外殻の吸引圧領域と接続している。それ故に、スクロール式機械は、気密外殻の吸引圧領域から作動流体を受け取り、スクロールアセンブリで区画形成された１または２以上の移動チェンバの中で作動流体を圧縮し、そしてこの圧縮作動流体を圧縮機の吐出圧領域の中へ吐出する。この圧縮作動流体は、吐出ポートから流体回路を通して送り出され、吸引ポートを経て気密外殻の吸引圧領域に帰還する。
【特許文献１】
米国特許第４８７７３８２号明細書
【特許文献２】
米国特許第５３２０５０６号明細書
【発明の開示】
【０００５】
典型的には、スクロール式圧縮機は、縦型または水平のスクロール式圧縮機のいずれかとして設計されている。縦型および水平の圧縮機デザインとの主要な違いは、潤滑油吸引および配送システムが特に縦型または水平の構成に適合することを必要としている事実に起因している。本発明は、外部のオイルソースから圧縮機システムのクランク軸内の現存の注油通路にオイルを配送するための独自のオイル注入継手を設けることにより、典型的な縦型のスクロール式圧縮機を水平型のスクロール式圧縮機に変換できるという知見に存するものである。
【０００６】
本発明が適用可能なもっと別の領域は、以下で提示される詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神および範囲内での種々の変更および変形がこの詳細な説明から当業者には明らかになるので、詳細な説明および特定の実施例は、本発明の好適な具体例を表してはいるけれども、単に説明だけのつもりであることを理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００７】
本発明は、詳細な説明および添付図面からいっそう良く理解されることになる。
【０００８】
本発明は、典型的な目的のために、多くの異なるタイプのスクロール式機械に組み込むのに適しているが、ここでは図１に図示した一般構造のスクロール式圧縮機に組み込まれたものを記述する（水平圧縮機に変換する前に示した縦型圧縮機は、オハイオ州シドニー所在のコープランド社からの商業上利用できるＺＢ４５圧縮機である）。図面特に図１を参照すると、圧縮機１０は、その一端部にキャップ１４を溶接した一般に円筒形の気密外殻１２からなるものが図示されている。キャップ１４は、内部に普通の吐出バルブを有する吐出継手１８を備える。外殻に固着された他の主要部材には、入口継手２１および直交方向に延設する仕切り板２２が含まれ、該仕切り板は、キャップ１４が円筒形外殻１２に溶接されるのと同じ個所でその周囲について溶接されている。吐出チェンバ２３は、キャップ１４および仕切り板２２によって区画形成されている。
【０００９】
主軸受ハウジング２４および放射方向の外方へ延びる複数本の脚部を有する第２軸受ハウジング２６は、それぞれ円筒形外殻１２に固着されている。回転子３０を含むモータ２８は、円筒形外殻１２の内部で主軸受ハウジング２４と第２軸受ハウジング２６との間で支持されている。一端部に偏心クランクピン３４を有するクランク軸３２は、主軸受ハウジング２４の軸受３６および第２軸受ハウジング２６の第２軸受３８で回転自在に支承されている。
【００１０】
クランク軸３２は、第２端部に比較的大径の同心穴４０を有し、該同心穴は放射方向外方に位置させた小径穴４１と連通し、該小径穴は同心穴４０からクランク軸３２の第１端部まで延設する。
【００１１】
クランク軸３２は、回転子３０および該回転子を貫通する固定子巻線４８を有する電動モータ２８によって回転自在に駆動される。回転子３０は、クランク軸３２上に圧嵌めされ、且つ第１および第２釣合い重り５２，５４をそれぞれ含んでいる。
【００１２】
主軸受ハウジング２４の第１表面は、平坦なスラスト軸受表面５６からなり、該スラスト軸受表面には、第１表面に普通の螺旋状ベーンまたはラップ部６０を有する旋回スクロール部材５８が配置されている。ジャーナル軸受６２を有する円筒形ハブ６１が旋回スクロール部材５８の第２表面から突出し、該ハブ内には、中ぐり部６６を有する駆動ブッシュ３６を回転可能に配置し、該中ぐり部の中にクランクピン３４を駆動可能に配置する。クランクピン３４は、中ぐり部６６の一部に形成した平坦表面（図示しない）と駆動可能に係合する一表面上に平坦部を有し、本出願人所有の米国特許第４８７７３８２号で示したような放射方向で融通性を有する駆動機構を提供しており、同特許の記載を参照のために本明細書に加入する。
【００１３】
オルダムカップリング６８は、旋回スクロール部材５８と軸受ハウジング２４との間に配置されている。オルダムカップリング６８は、旋回スクロール部材５８および非旋回スクロール部材７０にキー止めされ、旋回スクロール部材５８が自転運動することを防いでいる。オルダムカップリング６８は、好ましくは本出願人所有の米国特許第５３２０５０６号に記載されたタイプであり、同特許の記載を参照のために本明細書に加入する。浮動シール材７１は、非旋回スクロール部材７０によって支持され、吸入チェンバ７５と吐出チェンバ２３をそれぞれ密に隔離するための仕切り板２２に取り付けた台座部７３と係合する。
【００１４】
非旋回スクロール部材７０は、旋回スクロール部材５８のラップ部６０とかみ合うように位置させたラップ部７２を備えている。非旋回スクロール部材７０は、ベースプレート部７６で区画形成される中央配置の吐出通路７４を有する。また、非旋回スクロール部材７０には、吐出通路７４を囲む環状ハブ部７７が含まれる。動力吐出バルブまたは読み取り（read）バルブは、吐出通路７４内に設置することができる。
【００１５】
図２で最も良く明らかにするように、オイル注入継手８０は、外殻１２に連結したボトムキャップ８２を通して設置されている。オイル注入継手８０は管継手８４にねじ連結され、該管継手は、ボトムキャップ８２に設けた開口８６内で溶接されている。管継手８４は、オイル注入継手８０の一端部に設けた雄ねじ部９０とねじ係合する雌ねじ部８８を有する。ニップル部９２は、オイル注入継手８０の雄ねじ部９０から延設する。ニップル部９２は、下方軸受２６内に配置したスナップリング９４に設けた開口内に延設する。スナップリング９４は、クランク軸３２の下端部と接触するディスク部材９６を保持する。ディスク部材９６は、間隙を持たせてニップル部９２の端部を受ける孔９８を有する。オイル注入継手８０は、オイル流れの制限に役立つ縦方向に延びる内部オイル通路１００を有する。オイル注入継手８０は、（標準レンチで継手８０の差し込みおよび取り外しを容易にする六角形状部のような）工具噛み合い部１０４を備える主本体部１０２を有する。さらに、オイル注入継手８０は、第１ニップル部９２と反対方向に主本体部１０２から延びる第２ニップル部１０６を有する。第２ニップル部１０６は、継手８０にオイルを供給するホースまたは管１０８と嵌合させるのに適している。
【００１６】
図３を参照すると、いずれも図１に示したタイプであると好ましい２台の圧縮機１０Ａ，１０Ｂを含むシステムレイアウトが図示されている。このシステムは、圧縮機１０Ａ，１０Ｂの吐出継手１８から圧縮ガスを受け取るオイルセパレータ１１２を備える。オイルセパレータ１１２は、当業界で知られたタイプのものでよい。オイルセパレータ１１２は、吐出ガスからオイルを分離し、且つ通路１１４を経由して所望のシステムに吐出ガスを与える。帰還オイル通路１１６は、オイルセパレータ１１２に接続され且つ１対の電子ソレノイド１１８，１２０と連通する。電子ソレノイド１１８，１２０は、圧縮機１０Ａ，１０Ｂが遮断された後にセパレータから圧縮機へのオイル損失が起こらないようにする。毛細管１１９では、オイル制御を設定して流れを制限することが規定され、圧縮機１０Ａ，１０Ｂのフル稼動範囲を超える過剰なオイル流れを阻止する。毛細管１１９は、オイル注入継手８０に設けた制限オイル通路１００に加えてまたはそれに代えて使用することができる。オイルは、継手８０を通して、圧縮機１０Ａ，１０Ｂのクランク軸３２に設けた同心穴４０中へ送り込む。同心穴４０は、該同心穴からクランク軸３２の第２端部まで延設する放射方向外方の小径穴４１と連通する。クランク軸３２の第２端部から、オイルは、軸受そしてスクロール部材５８，７０に分配される。
【００１７】
図４は、本発明の第２具体例に係るシステムレイアウトを示す。図４のシステムレイアウトには、自身のオイルセパレータ１３０Ａ，１３０Ｂを各自備える第１および第２圧縮機１０Ａ，１０Ｂが含まれる。オイルセパレータ１３０Ａ，１３０Ｂのそれぞれは、吐出ガスを供給するために通路１１４に接続している。オイルセパレータ１３０Ａ，１３０Ｂは、分離オイルを与えるためにオイル溜め１３２に接続している。帰還オイル通路１１６は、第１および第２圧縮機１０Ａ，１０Ｂにオイルを戻すためにオイル溜め１３２に接続している。電子ソレノイド１１８，１２０は、圧縮機１０Ａ，１０Ｂに接続される各自の帰還オイル通路に設けている。さらに、毛細管１１９は、圧縮機１０Ａ，１０Ｂのオイル注入継手８０へのオイル流れを制限することを規定することができる。図４のシステムレイアウトは、標準オイルセパレータの使用を可能とし且つエアコンプレッサまたは天然ガス圧縮機システムとともに用いることができる。
【００１８】
図５は、オイルセパレータ１１２に接続した吐出通路１８を有する圧縮機１０を含む単一の圧縮機システムを示す。オイル帰還通路１１６は、圧縮機１０のオイル注入継手８０にオイルを戻すためにオイルセパレータ１１２に接続している。毛細管１１９は、圧縮機へのオイル流れを制限するためにオイル帰還通路１１６に設けている。毛細管１１９は、オイル注入継手８０に設けた制限通路１００に代えてまたはそれに加えて使用することができる。
【００１９】
本発明に従って、縦型の圧縮機は、オイル注入継手および外部のオイルセパレータシステムを追加することによって水平圧縮機になるように変形することができる。加えて、縦型の圧縮機を水平圧縮機へ変形することは、ほんの僅かの追加コストになるだけであり、且つ変形される縦型の圧縮機と実質上同じ性能を有する。
【００２０】
本発明はこのように説明され、これが同様に多くの方法に変更しうることは自明である。このような変更は、本発明の精神と範囲から逸脱しているものとみなすべきでなく、さらに当業者にとって自明であるはずのこのような全ての変形は、本発明の特許請求の範囲に包含されることを意味している。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】本発明に係るオイル注入継手を組み込んだ水平スクロール式圧縮機の中心を通る縦断面図である。
【図２】本発明に係るオイル注入継手の詳細断面図である。
【図３】本発明の原理に従ってオイル注入継手を有する水平スクロール式圧縮機を用いるシステムレイアウトの概略図である。
【図４】本発明の第２具体例に従うシステムレイアウトの概略図である。
【図５】本発明の第３具体例に従うシステムレイアウトの概略図である。
【符号の説明】
【００２２】
１０ 圧縮機
１２ 気密外殻
１８ 吐出継手
２１ 入口継手
２２ 仕切り板
２４ 主軸受ハウジング
２６ 第２軸受ハウジング
２８ モータ
３０ 回転子
３２ クランク軸
４０ 同心穴
５８ 旋回スクロール部材
６０ 螺旋状ラップ部
７０ 非旋回スクロール部材
７２ 螺旋状ラップ部
８０ オイル注入継手
８４ 管継手
１１２ オイルセパレータ
１１６ 帰還オイル通路
１１８，１２０ 電子ソレノイド
１１９ 毛細管

Claims (16)

1. 外殻と、
   前記外殻内に配置された第１スクロール部材であって、ポートおよび第１螺旋状ラップ部を有する第１スクロール部材と、
   前記外殻内に配置され且つ第２螺旋状ラップ部を有する第２スクロール部材であって、前記第１および第２螺旋状ラップ部が互いに噛み合されている第２スクロール部材と、
   前記スクロール部材の一方に駆動可能に取り付けられたクランク軸であって、該クランク軸を通して延設する注油通路を有するクランク軸と、
   第２スクロール部材の一方を前記スクロール部材の他方に対して旋回させるために前記クランク軸に駆動可能に接続したモータであって、それによって前記第１および第２螺旋状ラップ部が前記スクロール部材で定められた周辺域と前記ポートとの間で連続的に変化する容積の少なくともひとつの密閉空間を作り出すモータと、
   前記外殻を通して延設し且つ前記クランク軸内の前記注油通路と連通するオイル注入継手とを備える水平スクロール式機械。
2. 前記オイル注入継手は、オイルセパレータに接続したオイル通路から潤滑油を受け取る請求項１記載のスクロール式機械。
3. 前記エンドキャップの内側面に取り付けられ、且つ前記オイル注入継手の雄ねじ部とねじ結合するための雌ねじ部を有する第２管継手をさらに備える請求項１記載のスクロール式機械。
4. 孔を有するディスク部材であって、前記孔が潤滑油を前記継手から受けるためのチェンバを形成するように前記クランク軸の端部に接して配置されるディスク部材をさらに備える請求項１記載のスクロール式機械。
5. 前記ディスク部材は、軸受ハウジング内に配置されたスナップリングによって適切に固着され、前記スナップリングは前記オイル注入継手の一端部を受けるための開口を有する請求項４記載のスクロール式機械。
6. 。
   前記継手は、前記ディスク部材の前記孔で受け止められた端部を有し且つ前記端部と前記ディスク部材との間に間隙を有する請求項４記載のスクロール式機械。
7. 前記オイル注入継手は、工具噛み合い部と、前記工具噛み合い部から反対方向に延設する第１および第２ニップル部とを有する請求項１記載のスクロール式機械。
8. 前記第１ニップル部は前記クランク軸内の前記注油通路と連通し、および前記第２ニップル部は外部の潤滑源と嵌合させる請求項７記載のスクロール式機械。
9. 前記第１ニップル部は、前記ニップル部と前記ディスク部との間で間隙を持って前記クランク軸の端部に接して配置されたディスク部材の孔で受け止められる請求項８記載のスクロール式機械。
10. 前記オイル注入継手は、オイル流れを前記クランク軸内の前記注油通路に制限する縮小直径の通路を有する請求項１記載のスクロール式機械。
11. 前記オイル通路には、オイル流れを前記オイル注入継手に制限するための毛細管が含まれる請求項２記載のスクロール式機械。
12. 外殻と、
    前記外殻内に配置された圧縮機と、
    クランク軸によって前記圧縮機に連結されるモータであって、前記クランク軸には、潤滑油を前記クランク軸および前記圧縮機に与えるためにその一端部からの第２端部に向かって延設する注油通路が含まれるモータと、
    前記外殻を通して延設し且つ前記クランク軸内の注油通路と連通するオイル注入継手と、
    前記オイル注入継手に接続された潤滑油の外部ソースとを備える圧縮機。
13. それぞれ外殻を有する第１圧縮機および第２圧縮機と、
    前記外殻内に配置された第１スクロール部材であって、ポートおよび第１螺旋ラップ部を有する第１スクロール部材と、
    前記外殻内に配置され且つ第２螺旋状ラップ部を有する第２スクロール部材であって、第１および第２螺旋状ラップ部が互いに噛み合されている第２スクロール部材と、
    第２スクロール部材の一方に駆動可能に取り付けられたクランク軸であって、該クランク軸を通して延設する注油通路を有するクランク軸と、
    前記スクロール部材の一方を前記スクロール部材の他方に対して旋回させるために前記クランク軸に駆動可能に接続したモータであって、それによって前記第１および第２螺旋状ラップ部が前記スクロール部材で定められた周辺域と前記ポートとの間で連続的に変化する容積の少なくともひとつの密閉空間を作り出すモータと、
    前記外殻を通して延設し且つ前記クランク軸内の前記注油通路と連通するオイル注入継手と、
    前記第１および第２圧縮機の吐出通路に接続されるオイルセパレータと、
    前記オイルセパレータと前記第１および第２圧縮機のそれぞれの前記オイル注入継手との間に接続されたオイル帰還通路とを備える圧縮機システム。
14. 前記オイル帰還通路内に電子ソレノイドをさらに備える請求項１３記載の圧縮機システム。
15. 前記オイル帰還通路内に毛細管をさらに備える請求項１３記載の圧縮機システム。
16. 前記オイル注入継手が該継手内でオイル制限通路を有する請求項１３記載の圧縮機システム。

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