JP2004530787A - ポリオレフィン添加物を含む難燃性ポリエステル成形組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、1つまたはそれ以上のポリエステル、燐含有化合物、窒素含有化合物およびポリオレフィン化合物を含む難燃剤組み合わせを所望により硫化亜鉛と共に含む、難燃性の、好ましくはハロゲン不含有の熱可塑性成形組成物に関する。本発明はさらに、成形品、シートまたは繊維の製造における該成形組成物の使用、および成形品、シートまたは繊維自体に関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたはそれ以上のポリエステル、燐含有化合物、窒素含有化合物およびポリオレフィン化合物を含む複合難燃剤をそれのみでまたは硫化亜鉛と共に含む、好ましくはハロゲン不含有の難燃性熱可塑性成形組成物に関する。本発明はさらに、成形品、シートまたは繊維の製造における該成形組成物の使用、および成形品、シートまたは繊維自体に関する。
【背景技術】
【0002】
防炎化されたポリエステル成形組成物は、電気/電子技術分野において、極めて重要であり、とりわけ、電圧保持部品の基材の製造に使用される。これらの部材は、優れた難燃性だけでなく、優れた機械的および電気的特性も有すべきであり、ハロゲン不含有成形組成物を提供することが、ますます必要とされている。これまで、この分野ではいくつかの開発がなされている。
【0003】
JP-A-3-281652は、難燃剤としてメラミン・シアヌル酸付加物およびホスフェートまたはホスホネート並びに他の充填剤を含むポリアルキレンテレフタレートを開示する。JP-A-06-157880は、難燃剤としてメラミンシアヌレートおよび燐化合物を含む、強化ポリアルキレンテレフタレートを開示する。JP-A-9-157503は、メラミンシアヌレート、燐酸エステルおよび特定の離型剤を含有する難燃性ポリエステル組成物を開示する。ピロ燐酸メラミンおよびホスフェートオリゴマーの組み合わせを含む難燃性強化ポリエステル部品は、EP-A 903370から既知である。WO 00/11085は、メラミンシアヌレート、ホスフェート、充填剤および特定の離型剤を含有するポリエステル成形組成物を開示する。WO 00/11071は、窒素化合物、燐化合物、金属塩および安定剤を含有するポリエステル組成物を開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、難燃性と共に改良された機械的性質、例えば耐衝撃強度、極限伸びを有する、ハロゲン不含有難燃性ポリエステル成形組成物に対する強い要求がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、難燃剤として、燐含有化合物と窒素含有化合物との組み合わせをポリオレフィン化合物および場合により硫化亜鉛と共に含むポリエステル成形組成物は、所望の性質を有することが見出された。硫化亜鉛をさらに添加すると、成形組成物の機械的特性がさらに改良される。
【0006】
すなわち、本発明は、
A) 1つまたはそれ以上のポリエステル;
B) 組成物全体に対して10〜40質量%、好ましくは15〜26質量%、特に好ましくは18〜23質量%の、下記B.1)およびB.2)を含有する難燃性成分:
B.1) 窒素化合物、および
B.2) 式(I)の燐化合物:
【化1】
[式中、
R1〜R4は、互いに独立に、場合によりハロゲン置換されていてよいC1−C8アルキル基、またはそれぞれ場合によりアルキル(好ましくはC1−C4アルキル)置換および/またはハロゲン(好ましくは塩素または臭素)置換されていてよい、C5−C6シクロアルキル基、C6−C20アリール基またはC7−C12アルアルキル基、好ましくはフェニル基を表し、
nは、互いに独立に、0または1、好ましくは1を表し、
Nは、0〜50の数、好ましくは0〜20、特に好ましくは0〜10、特に0〜6を表し、
Xは、ジフェノール、好ましくはジフェニルフェノール、ビスフェノールA、レゾルシノールまたはヒドロキノンおよびそれらの塩素化または臭素化誘導体から誘導される6〜30個の炭素原子を有する単環または多環芳香族基を表す。];
C) 組成物全体に対して0.05〜1.5質量%、0.1〜0.7質量%、特に好ましくは0.15〜0.45質量%の、ポリオレフィンワックス;
D) 組成物全体に対して0〜5質量%、好ましくは0〜4質量%、特に好ましくは0〜3.5質量%の、硫化亜鉛;
E) 組成物全体に対して0〜50質量%、10〜40質量%、特に好ましくは10〜35質量%の、1種またはそれ以上の充填剤および強化剤;および
F) 組成物全体に対して0〜40質量%の、他の添加剤
(ただし、全成分の合計は100質量%である)
を含む成形組成物に関する。
【0007】
成分Aのポリエステルは、第一に、ポリアルキレンテレフタレート、即ち、好ましくは芳香族ジカルボン酸、またはそれらの反応性誘導体(例えば、ジメチルエステルまたは無水物)と、脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジオールとの反応生成物、および該反応生成物の混合物であり、第二に、下記に詳しく説明する完全芳香族ポリエステルである。
【0008】
ポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸(またはその反応性誘導体)、および2〜10個のC原子を有する脂肪族または脂環式ジオールから、既知の方法によって製造することができる(Kunststoff−Handbuch、第VIII巻、695頁以下、Karl-Hanser-Verlag、ミュンヘン 1973)。
【0009】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、ジカルボン酸に対して少なくとも80モル%、好ましくは90モル%のテレフタル酸基、およびジオール成分に対して少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%のエチレングリコール基および/または1,3−プロパンジオール基および/または1,4−ブタンジオール基を有する。
【0010】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸基に加えて、20モル%までの、8〜14個のC原子を有する他の芳香族ジカルボン酸基または4〜12個のC原子を有する脂肪族ジカルボン酸基、例えば、フタル酸基、イソフタル酸基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸基、4,4'−ジフェニルジカルボン酸基、コハク酸基、アジピン酸基、セバシン酸基、アゼライン酸基またはシクロヘキサン二酢酸基を有することができる。
【0011】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、エチレン基および/またはプロパンジオール−1,3基および/またはブタンジオール−1,4−グリコール基の他に、20モル%までの、3〜12個のC原子を有する他の脂肪族ジオール基または6〜21個のC原子を有する脂環式ジオール基、例えば、プロパンジオール−1,3基、2−エチルプロパンジオール−1,3基、ネオペンチルグリコール基、ペンタンジオール−1,5基、ヘキサンジオール−1,6基、シクロヘキサン−ジメタノール−1,4基、3−メチルペンタンジオール−2,4基、2−メチルペンタンジオール−2,4基、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3基および1,6,2−エチルヘキサンジオール−1,3基、2,2−ジエチルプロパンジオール−1,3基、ヘキサンジオール−2,5基、1,4−ジ−(β−ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン基、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン基、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルシクロブタン基、2,2−ビス−(3−β−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン基および2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパン基を含有しうる(DE-OS 2407674、2407776、2715932)。
【0012】
ポリアルキレンテレフタレートは、比較的少量の三価または四価アルコール、または三または四塩基性カルボン酸、例えばDE-OS 1900270およびUS-PS 3692744に開示されているような物質を組み込むことによって、分岐させることができる。好ましい分岐剤の例は、トリメシン酸、トリメリット酸、トリメチロール−エタンおよび−プロパン、およびペンタエリトリトールである。
酸成分に対して1モル%以下の分岐剤を使用するのが好ましい。
【0013】
特に好ましいポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸およびその反応性誘導体(例えば、そのジアルキルエステル)およびエチレングリコールおよび/またはプロパンジオール−1,3および/またはブタンジオール−1,4のみから製造される化合物(ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレンテレフタレート)、ならびにこれらのポリアルキレンテレフタレートの混合物である。本発明において、ポリブチレンおよびポリエチレンテレフタレートの混合物が特に好ましい。
【0014】
他の好ましいポリアルキレンテレフタレートは、少なくとも2つの前記の酸成分および/または少なくとも2つの前記のアルコール成分から製造されるコポリエステルであり、特に好ましいコポリエステルは、ポリ(エチレングリコール/ブタンジオール−1,4)テレフタレートである。
【0015】
ポリアルキレンテレフタレートは、それぞれ25℃でフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1重量部)において測定した場合、約0.4〜1.5、好ましくは0.5〜1.3の極限粘度数を一般に有する。
【0016】
やはり好適な完全芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸またはそれらの反応性誘導体と、対応する芳香族ジヒドロキシ化合物との反応生成物である。
【0017】
ポリアルキレンテレフタレートに関して先に記載した化合物を、芳香族ジカルボン酸として使用しうる。5〜100モル%のイソフタル酸および0〜95モル%のテレフタル酸の混合物、特に約80%テレフタル酸および20%イソフタル酸の混合物ないしこれら2つの酸のほぼ等量の混合物が好ましい。
【0018】
使用しうる芳香族ジヒドロキシ化合物は、下記の式(II)によって示される:
【化2】
[式中、
Zは、8個までの炭素原子を有するアルキレン基またはシクロアルキレン基、12個までの炭素原子を有するアリーレン基、カルボニル基、酸素原子または硫黄原子、スルホニル基または化学結合を表し;
nは、0〜2の数を表す]。
これら化合物それぞれは、それらのフェニレン基上の置換基として、C1〜C6アルキル基またはアルコキシ基、ならびに弗素、塩素または臭素を有していてもよい。
【0019】
これらの物質の例は、次のとおりである:ジヒドロキシフェニル、ジ−(ヒドロキシフェニル)アルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ジ−(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジ−(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ジ−(ヒドロキシフェニル)、α,α'−ジ(ヒドロキシフェニル)ジアルキルベンゼン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホン、ジ−(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、レゾルシノールおよびヒドロキノン、ならびにアルキル化またはハロゲン化核を有するそれらの誘導体。
【0020】
前記の群の中で、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、2,4−ジ−(4'−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、α,α'−ジ−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ジ−(3'−メチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ジ−(3'−クロロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0021】
次のものが特に好ましい:2,2−ジ−(3',5'−ジメチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ジ−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ジ−(3',5−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ジ−(4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび3,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン。
前記ジオール化合物の混合物も使用しうる。
【0022】
純粋ポリアルキレンテレフタレートおよび純粋完全芳香族ポリエステルの他に、これらのポリエステルの任意の混合物および下記ポリエステルの混合物も使用しうる。
【0023】
「ポリエステル」という用語は、ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートをも包含するものと理解される。
【0024】
ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは文献から既知であるか、または文献から既知の方法によって製造できる(ポリカーボネートの製造については、例えば、Schnell, "Chemistry and Physics of Polycarbonates", Interscience Publishers, 1964、ならびにDE-A 1495626、DE-A 2232877、DE-A 2703376、DE-A 2714544、DE-A 3000610およびDE-A 3832396を参照;ポリエステルカーボネートの製造については、例えば、DE-A 3077934を参照)。
【0025】
芳香族ポリカーボネートは、例えば、界面法によって、連鎖停止剤、例えばモノフェノールを任意に使用し、三官能性分岐剤または四官能以上の官能価を有する分岐剤、例えばトリフェノールまたはテトラフェノールを任意に使用して、ジフェノールを、炭酸ハロゲン化物、好ましくはホスゲン、および/または芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物、好ましくはベンゼン−ジカルボン酸二ハロゲン化物と反応させることによって製造される。
【0026】
芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートの製造用のジフェノールは、好ましくは、式(III)で示されるジフェノールである:
【化3】
[式中、
Aは、単結合、C1〜C5アルキレン、C2〜C5アルキリデン、C5〜C6シクロアルキリデン、
−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO2−またはヘテロ原子を任意に有する他の芳香環と縮合しうるC6〜C12アリーレンを表すか、または式(IV)または(V)の基:
【化4】
【化5】
を表し;
Bは、各場合に、C1〜C12アルキル、好ましくはメチル、またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素を表し;
xは、それぞれ互いに独立に0、1または2を表し;
pは、1または0を表し;
R1およびR2は、各X1について、個々に、互いに独立に選択することができ、水素またはC1〜C6アルキル、好ましくは、水素、メチルまたはエチルを表し;
X1は、炭素を表し;
mは、4〜7の整数、好ましくは4または5であり;
但し、少なくとも1つのX1原子において、R1およびR2が同時にアルキルを表すものとする]。
【0027】
好ましいジフェノールは、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス−(ヒドロキシフェニル)−C1〜C5−アルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−C5〜C6−シクロアルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−エーテル、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホキシド、ビス−(ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホンおよびα,α−ビス−(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼン、ならびに臭素化および/または塩素化環を有するそれらの誘導体である。
【0028】
特に好ましいジフェノールは、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィドおよび4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ならびにそれらの二および四臭素化または塩素化誘導体、例えば、2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンまたは2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンである。
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。
【0029】
ジフェノールは、個々に、または混合物として使用することができる。ジフェノールは、文献から既知であるか、または文献から既知の方法によって得られる。
【0030】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートの製造に好適な連鎖停止剤の例は、フェノール、p−クロロフェノール、p−tert−ブチルフェノールおよび2,4,6−トリブロモフェノールを包含し、長鎖アルキルフェノール、例えば、DE-A 2842005に記載の4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール、およびアルキル置換基に合計8〜20個のC原子を有するモノアルキルフェノールまたはジアルキルフェノール、例えば、3,5−ジ−tert−ブチル−フェノール、p−イソ−オクチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールも包含する。使用される連鎖停止剤の量は一般に、各場合に使用されるジフェノールのモル合計に対して0.5モル%〜10モル%である。
【0031】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、10,000〜200,000、好ましくは20,000〜80,000の平均重量平均分子量(Mw、例えば、超遠心分離によるかまたは散乱光の測定によって測定)を有する。
【0032】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、既知の方法、好ましくは、使用されるジフェノールの合計に対して0.05〜2.0モル%の三官能性化合物または四官能以上の官能価を有する化合物、例えば3個またはそれ以上のフェノール基を有する化合物を組み込むことよって分岐しうる。
【0033】
ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートは共に好適である。本発明のコポリカーボネートを製造するために、1〜25質量%、好ましくは2.5〜25質量%(使用されるジフェノールの合計量に対して)の、末端ヒドロキシ−アリールオキシ基を含有するポリジオルガノシロキサンも使用しうる。これらは既知である(例えば、US-A 3419634参照)か、または文献から既知の方法によって製造できる。ポリジオルガノシロキサンを含有するコポリカーボネートの製造は、例えばDE-A 3334782に記載されている。
【0034】
好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールAホモポリカーボネートの他に、ジフェノールのモル合計に対して15モル%までの、好ましいものまたは特に好ましいものとして記載した以外のジフェノール、特に2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンを含有するビスフェノールAのコポリカーボネートも包含する。
【0035】
芳香族ポリエステルカーボネートの製造用の芳香族酸ハロゲン化物の例は、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸およびナフタレン−2,6−ジカルボン酸の二酸塩化物である。
【0036】
1:20〜20:1の比率のイソフタル酸およびテレフタル酸の二酸二塩化物の混合物が特に好ましい。
【0037】
ポリエステルカーボネートの製造の間に、炭酸ハロゲン化物、好ましくはホスゲンを、酸の二官能性誘導体として付加的に使用する。
【0038】
芳香族ポリエステルカーボネートの製造に考えられうる連鎖停止剤は、前記モノフェノールの他に、そのクロロ炭酸エステル、C1〜C22アルキル基によってまたはハロゲン原子によって任意に置換されている芳香族モノカルボン酸の酸塩化物、ならびに脂肪族C2〜C22モノカルボン酸塩化物も包含する。
【0039】
連鎖停止剤の量は、フェノール連鎖停止剤の場合はジフェノールのモルに対して、モノカルボン酸塩化物連鎖停止剤の場合はジカルボン酸塩化物のモルに対して、それぞれ0.1〜10モル%である。
【0040】
芳香族ポリエステルカーボネートは、成分として芳香族ヒドロキシカルボン酸も含有しうる。
芳香族ポリエステルカーボネートは、直鎖であってもよく、または既知の方法によって分岐させてもよい(これに関して、DE-A 2940024およびDE-A 3007934も参照)。分岐剤は、例えば、使用されるジカルボン酸二塩化物に対して0.01〜1.0モル%の量の、三または多官能性カルボン酸塩化物、例えば、トリメシン酸三塩化物、シアヌル酸三塩化物、3,3'−4,4'−ベンゾフェノン−テトラカルボン酸四塩化物、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボン酸四塩化物またはピロメリット酸四塩化物、および使用されるジフェノールに対して0.01〜1.0モル%の量の、三または多官能性フェノール、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,4−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェノール、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンジル)−4−メチル−フェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、テトラ−(4−[4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル]−フェノキシ)−メタンまたは1,4−ビス[4,4'−ジヒドロキシトリフェニル)−メチル]−ベンゼンである。フェノール分岐剤は、ジフェノールと共に使用することができ、酸塩化物分岐剤は、酸二塩化物と共に添加することができる。
【0041】
熱可塑性芳香族ポリエステルカーボネートにおいて、カーボネート構造単位の比率は任意に変化しうる。カーボネート構造単位の比率は、エステル基およびカーボネート基の合計に対して、好ましくは100モル%まで、特に80モル%まで、最も好ましくは50モル%までである。芳香族ポリエステルカーボネートのエステル成分およびカーボネート成分の両方は、ブロック形態で存在することもでき、または縮合ポリマーにおいてランダムに分布させることもできる。
【0042】
芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートの相対溶液粘度(ηrel)は1.18〜1.4、好ましくは1.22〜1.3である(25℃において、塩化メチレン溶液100mL中のポリカーボネートまたはポリエステルカーボネート0.5gの溶液について測定した場合)。
【0043】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは、単独で、または互いに任意に混合して使用することができる。
【0044】
さらに、US-A 3651014に記載されているような全ての既知のポリエステルブロックコポリマー、例えばコポリエーテルエステルを使用することができる。
【0045】
成分B)を、本発明において、ポリエステル成形組成物を防炎性にするために、添加し、成分B)は、共に、全成形組成物に対して10〜40質量%、好ましくは15〜26質量%、特に好ましくは18〜23質量%の窒素化合物B.1および燐化合物B.2の混合物である。
【0046】
最良の結果が、18〜23質量%の防炎性混合物が窒素含有化合物および燐含有化合物からなった場合に得られた。窒素含有化合物B.1の割合が、成形組成物に対して好ましくは7〜13質量%、特に好ましくは9〜11質量%である。燐含有化合物B.2の割合が、また成形組成物に対して8〜13質量%、特に好ましくは9〜12質量%である。
【0047】
好適な窒素化合物B.1は、メラミンシアヌレート、メラミン、メラミンボレート、メラミンオキサレート、1級メラミンホスフェート、2級メラミンホスフェート、および2級メラミンピロホスフェート、ポリマーメラミンホスフェートおよびネオペンチルグリコール硼酸メラミンである。グアニジン塩、例えば、グアニジンカーボネート、1級グアニジンシアヌレート、1級グアニジンホスフェート、2級グアニジンホスフェート、1級グアニジンスルフェート、2級グアニジンスルフェート、ペンタエリトリトール硼酸グアニジン、ネオペンチルグリコール硼酸グアニジン、ウレアホスフェートグリーンおよびウレアシアヌレートも好適である。縮合窒素含有化合物、例えばメレム(Melem)およびメロン(Melon)も使用できる。アンモニウムポリホスフェートおよびトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートまたはそれらとカルボン酸との反応生成物、ベンゾグアナミンおよびその付加生成物または塩、ならびに窒素位置で置換されたそれらの生成物、およびそれらの塩および付加生成物も好適である。他の好適な窒素含有成分は、アラントイン化合物、ならびそれと燐酸、硼酸またはピロ燐酸との塩、およびグリコールウリルまたはその塩を包含する。無機窒素含有化合物、例えばアンモニウム塩も使用できる。メラミン化合物が好ましい。
【0048】
本発明において最も好ましい窒素化合物であるメラミンシアヌレートは、好ましくは等モル量の、メラミンとシアヌル酸またはイソシアヌル酸との反応生成物であると理解されるものとする。特に、全ての一般的な商業的に入手可能なグレードの製品が包含される。それらの例は、特に、Melapur(登録商標)MC 25(DSM Melapur, Heerlen, オランダより供給)、およびBudit(登録商標)315(Budenheim, Budenheim, ドイツより供給)である。使用されるメラミンシアヌレートは、平均粒径0.1μm〜100μm、好ましくは0.1μm〜25μm、最も好ましくは0.1μm〜7μmの粒子から成り、好適な物質で表面処理および/または被覆することができる。該物質は、特に、モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマー形態でメラミンシアヌレートに付着しうる有機化合物を包含する。例えば、珪素含有化合物、例えば有機−官能化シランまたはオルガノシロキサンに基づく被覆系を使用しうる。無機成分の被覆物質も使用できる。
【0049】
メラミンシアヌレートは、通常、90〜100℃の水性媒体中で、出発物質から得られる。
【0050】
難燃剤として使用される燐化合物B.2)は、一般式(I)で示されるホスフェートである:
【化6】
[式中、
R1〜R4は、互いに独立に、場合によりハロゲン置換されていてよいC1−C8アルキル基、またはそれぞれ場合によりアルキル(好ましくはC1−C4アルキル)置換および/またはハロゲン(好ましくは塩素または臭素)置換されていてよい、C5−C6シクロアルキル基、C6−C20アリール基またはC7−C12アルアルキル基、好ましくはフェニル基を表し、
nは、互いに独立に、0または1を表し、
Nは、0〜50の数、好ましくは0〜20、特に好ましくは0〜10、特に0〜6を表し、
Xは、ジフェノール、好ましくはジフェニルフェノール、ビスフェノールA、レゾルシノールまたはヒドロキノンおよびそれらの塩素化または臭素化誘導体から誘導される6〜30個の炭素原子を有する単環または多環芳香族基を表す。]。
【0051】
R1〜R4は、相互に独立に、好ましくはC1−C4アルキル基、フェニル基、ナフチル基またはフェニル−C1−C4アルキル基を表す。芳香族基であるR1〜R4は、ハロゲンおよび/またはアルキル基、好ましくは塩素、臭素および/またはC1−C4アルキル基により置換されていてよい。特に好ましい芳香族基は、クレシル、フェニル、キシレニル、プロピルフェニルまたはブチルフェニルである。
【0052】
式(I)のモノ燐化合物は、特に、トリブチルホスフェート、トリス−(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、ジフェニルクレシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、ジフェニル−2−エチルクレシルホスフェート、トリ−(イソプロピルフェニル)ホスフェート、ハロゲン置換アリールホスフェート、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、トリフェニルホスフィンオキシドまたはトリクレシルホスフィンオキシドである。トリクレシルホスフェートが特に好ましい。他の好ましい燐化合物は、ビスフェノールA−ビスフェニルジホスフェートである。
【0053】
上記燐化合物は既知である(例えば、EP-A 363608、EP-A 640655参照)か、または既知の方法の類似方法により製造できる(例えば、Ullmanns Encyklopadie der technischen Chemie、第18巻、301頁以下、1979;Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie、第12/1巻、p.43;Beilstein、第6巻、177頁)。
【0054】
成分C)として含まれるポリオレフィン化合物は、ポリオレフィンワックス、好ましくはポリプロピレンまたはポリエチレンワックスであり、ポリエチレンワックスが特に好ましい。「ポリオレフィンワックス」という用語は、一般に、ワックス様特性を有するポリオレフィンを意味する。このような化合物は、当業者に既知の方法により、あるいは基本オレフィンモノマーの直接重合または対応する高分子量体の解重合により製造することができ、通常低分子量(約3000〜20000g/モル)を有する。ポリオレフィン化合物は、0.05〜1.5質量%、好ましくは0.1〜0.7質量%、特に好ましくは0.15〜0.45質量%の量で使用される。異なるポリオレフィンの混合物も同様に使用できる。
【0055】
硫化亜鉛が、成分D)として使用される場合、全成形組成物に対して0.1〜4質量%、好ましくは0.4〜3.5質量%の量で含まれる。本発明のある態様において、0.4〜1質量%のZnSの使用が最も好ましい。硫化亜鉛は一般に固体粒子として使用される。商業的に入手可能な製品の例は、Sachtolith(登録商標)HDSまたはSachtolith(登録商標)HD(両方ともSachtleben, Duisburg, ドイツより供給)である。ポリマー支持材料において圧縮材料またはマスターバッチを使用することもできる。硫化亜鉛は、表面処理することができ、または既知の物質で被覆することができる。該物質は、特に、モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマー形態で付着しうる有機化合物を包含する。無機成分を含有する被覆物質も使用できる。
例えば、珪素含有化合物、例えば有機−官能化シランまたはオルガノシロキサンに基づく被覆物質を使用しうる。
【0056】
成形組成物は、さらに成分E)として添加される、0〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、最も好ましくは10〜35質量%の充填剤または強化剤を含有する。
【0057】
本発明の成形化合物を形成するために添加されうる繊維または粒子形態の充填剤および強化剤は、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスクロス、ガラスマット、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、天然繊維、非晶質ケイ酸、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、長石、マイカ、シリケート、石英、タルク、カオリン、二酸化チタン、珪灰石などを包含する。これらの物質は、表面処理することもできる。好ましい強化剤は、商業的に入手可能なガラス繊維である。これらは、8〜18μmの直径を一般に有し、連続繊維として、またはカットまたは研磨繊維として添加することができる。好適なサイズ剤系および結合剤または結合剤系、例えばシランに基づく系で、繊維を被覆することができる。
【0058】
針状無機充填剤も好適である。本発明において、針状無機充填剤は、極めて顕著な針状性質を有する無機充填剤として理解されるものとする。針状珪灰石はその例である。無機質は、L/D(長さ/直径)比8:1〜35:1、好ましくは8:1〜11:1を有するのが好ましい。無機充填剤は、任意に表面処理することができる。
【0059】
成分F:
ゴム状弾性ポリマー(しばしば耐衝撃性改質剤、エラストマーまたはゴムとも称される)の付加的使用は、得られる機械的特性の範囲に関して有利な場合がある。
【0060】
該ポリマーは、最も一般的には、好ましくは下記のモノマーの少なくとも2つから合成されるコポリマーである:エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、ビニルアセテート、スチレン、アクリロニトリル、またはアルコール成分中に1〜18個の炭素原子を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステル。
【0061】
この種のポリマーは、例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, 第14/1巻(Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961)、p.392〜406、およびC.B. Bucknallの論文 "Toughened Plastics"(Applied Science Publishers, ロンドン, 1977)に記載されている。
WO 00/46491に記載されているゴム状弾性ポリマーが好ましい。
【0062】
本発明のポリエステルは、他の添加剤、例えば、熱分解防止剤、熱架橋防止剤、紫外線による損傷から保護する薬剤、可塑剤、流動促進剤および加工助剤、難燃性物質、内部滑剤および離型剤、成核剤、帯電防止剤および安定剤、ならびに着色剤および顔料も含有しうる。Sは、成分Fとして確に除外される。
【0063】
酸化防止剤および熱安定剤の例は、立体障害フェノールおよび/または亜燐酸塩、ヒドロキノン、芳香族第二級アミン、例えばジフェニルアミン、これらの群の置換物質、およびそれらの混合物である。
【0064】
UV安定剤は、種々の置換レゾルシノール、サリチレート、ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノンでありうる。
【0065】
無機顔料、例えば、二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄およびスス、ならびに有機顔料、例えば、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、および染料、例えば、ニグロシンおよびアントラキノン、ならびに他の着色剤も着色剤として添加しうる。
【0066】
使用しうる成核剤の例は、フェニルホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、好ましくはタルクである。
【0067】
上記に例示されていない他の、好ましくはハロゲンを含まない燐化合物を、単独で、または他のものと、好ましくはハロゲン不含有燐化合物と組み合わせて使用できる。燐化合物としては、純粋な無機燐化合物、例えば燐酸ホウ素水和物または燐元素、例えば赤燐を包含する。
【0068】
一般に使用される滑剤および離型剤は、エステルワックス、ペンタエリトリトールテトラステアレート(PETS)、長鎖脂肪酸(例えば、ステアリン酸またはベヘン酸)またはそれらの塩(例えば、CaまたはZnステアレート)およびアミド誘導体(例えば、エチレン−ビス−ステアリルアミド)またはモンタンワックス(28〜32個のC原子の鎖長を有する直鎖飽和カルボン酸の混合物)である。
【0069】
可塑剤の例は、ジオクチルフタレート、ジベンジルフタレート、フタル酸ブチルベンジルエステル、炭化水素油およびN−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドである。
【0070】
以下、いくつかの実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明する。
【0071】
実施例
成分A/1:PBT Pocan(登録商標)B 1300 00/000(Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
成分A/2:PBT Pocan(登録商標)B 1600(Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
成分A/3:PET R 10(Agfa, Mortsel, ベルギー)
成分B.1:メラミンシアヌレート(Melapur(登録商標)MC 25, DSM-Melapur, Heerlen, オランダ)
成分B.2:トリフェニルホスフェート(Disflamoll(登録商標)TP, Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
成分C:ポリオレフィンワックスLuwax(登録商標)A(BASF AG, Lugwigshafen, ドイツ)
成分D:ZnS(Sachtolith(登録商標)HDS, Sachtleben, Duisburg, ドイツより供給)
成分E/1:チョップトガラス繊維(CS 7962、Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
成分F1:ミクロタルクRP-6(Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
添加剤1:モルタングリコールワックス(E-wax, Hoechst, Frankfurt, a.M., ドイツ)
添加剤F3:安定剤、PBT Pocan(登録商標)B 1300 00/000中10%の濃度(Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
【0072】
各成分を、所定の比率で、二軸押出機 ZSK(Werner & Pfleiderer製)によって260℃で混合し、ストランドとして押出し、必要な温度に冷却した後、ペレット化する。粒状材料を乾燥した後に、260℃の温度で処理して、標準試験片を形成し、該試験片について機械的、電気的および燃焼特性を測定した。
【0073】
プラスチックの難燃性は、UL94V法によって測定される(a)Underwriters Laboratories Inc.Standard of Safety, "Test for flammability of plastic materials for parts in devices and appliances", 14頁以下、Northbrook、1998;b)J. Troitzsch, "International Plastics Flammability Handbook", 346頁以下、Hanser Verlag, ミュンヘン 1990参照)。この方法を使用して、ASTM標準試験片の燃焼時間および滴下挙動を測定する。
【0074】
防火等級UL94V-0に分類される防炎性プラスチック材料は、下記の基準を満たさなければならない:5つのASTM標準試験片(寸法:127×12.7×X、X=3.2;1.6および0.8mm)の組について、全ての試験片が、10秒間にわたる規定の高さの裸火への2回の適用後に、10秒以下の後燃えを示さなければならない。5つの試験片の10回の点火についての後燃え時間の合計は、50秒以下でなければならない。さらに、該試験片は、30秒より長い時間にわたって、燃焼滴下挙動、完全燃焼または残燼を示してはならない。等級UL94V-1は、各後燃え時間が30秒以下であり、5つの試験片の10回の点火後の後燃え時間の合計が250秒以下であることを必要とする。その他の基準は、前記と同様である。材料が、燃焼滴下挙動を示すが、等級UL94V-1の他の全ての基準を満たす場合、その材料は防火等級UL94V-2を付与される。
【0075】
ポリマーコンパウンドの機械的特性を、ISO 527による引張試験(ダンベル試験片)、ISO 178による曲げ試験(寸法80mm×10mm×4mmの平板試験片)、およびアイゾッド曲げ衝撃試験(ISO180、寸法80mm×10mm×4mmの平板試験片)によって測定した。
【0076】
【表1】
【0077】
上記表に示した試験結果は、本発明の成形組成物が、所望の難燃性と共に良好な衝撃強度および極限伸びを有しているが、比較例1および2の組成物は不十分難燃性および非常に劣った機械的特性しか有していないことを明らかにしている。本発明の成形組成物(実施例1)の作動機械水準は、ZnSの添加により(実施例2および3)、更に向上することができる。
【0001】
本発明は、1つまたはそれ以上のポリエステル、燐含有化合物、窒素含有化合物およびポリオレフィン化合物を含む複合難燃剤をそれのみでまたは硫化亜鉛と共に含む、好ましくはハロゲン不含有の難燃性熱可塑性成形組成物に関する。本発明はさらに、成形品、シートまたは繊維の製造における該成形組成物の使用、および成形品、シートまたは繊維自体に関する。
【背景技術】
【0002】
防炎化されたポリエステル成形組成物は、電気/電子技術分野において、極めて重要であり、とりわけ、電圧保持部品の基材の製造に使用される。これらの部材は、優れた難燃性だけでなく、優れた機械的および電気的特性も有すべきであり、ハロゲン不含有成形組成物を提供することが、ますます必要とされている。これまで、この分野ではいくつかの開発がなされている。
【0003】
JP-A-3-281652は、難燃剤としてメラミン・シアヌル酸付加物およびホスフェートまたはホスホネート並びに他の充填剤を含むポリアルキレンテレフタレートを開示する。JP-A-06-157880は、難燃剤としてメラミンシアヌレートおよび燐化合物を含む、強化ポリアルキレンテレフタレートを開示する。JP-A-9-157503は、メラミンシアヌレート、燐酸エステルおよび特定の離型剤を含有する難燃性ポリエステル組成物を開示する。ピロ燐酸メラミンおよびホスフェートオリゴマーの組み合わせを含む難燃性強化ポリエステル部品は、EP-A 903370から既知である。WO 00/11085は、メラミンシアヌレート、ホスフェート、充填剤および特定の離型剤を含有するポリエステル成形組成物を開示する。WO 00/11071は、窒素化合物、燐化合物、金属塩および安定剤を含有するポリエステル組成物を開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、難燃性と共に改良された機械的性質、例えば耐衝撃強度、極限伸びを有する、ハロゲン不含有難燃性ポリエステル成形組成物に対する強い要求がなお存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、難燃剤として、燐含有化合物と窒素含有化合物との組み合わせをポリオレフィン化合物および場合により硫化亜鉛と共に含むポリエステル成形組成物は、所望の性質を有することが見出された。硫化亜鉛をさらに添加すると、成形組成物の機械的特性がさらに改良される。
【0006】
すなわち、本発明は、
A) 1つまたはそれ以上のポリエステル;
B) 組成物全体に対して10〜40質量%、好ましくは15〜26質量%、特に好ましくは18〜23質量%の、下記B.1)およびB.2)を含有する難燃性成分:
B.1) 窒素化合物、および
B.2) 式(I)の燐化合物:
【化1】
[式中、
R1〜R4は、互いに独立に、場合によりハロゲン置換されていてよいC1−C8アルキル基、またはそれぞれ場合によりアルキル(好ましくはC1−C4アルキル)置換および/またはハロゲン(好ましくは塩素または臭素)置換されていてよい、C5−C6シクロアルキル基、C6−C20アリール基またはC7−C12アルアルキル基、好ましくはフェニル基を表し、
nは、互いに独立に、0または1、好ましくは1を表し、
Nは、0〜50の数、好ましくは0〜20、特に好ましくは0〜10、特に0〜6を表し、
Xは、ジフェノール、好ましくはジフェニルフェノール、ビスフェノールA、レゾルシノールまたはヒドロキノンおよびそれらの塩素化または臭素化誘導体から誘導される6〜30個の炭素原子を有する単環または多環芳香族基を表す。];
C) 組成物全体に対して0.05〜1.5質量%、0.1〜0.7質量%、特に好ましくは0.15〜0.45質量%の、ポリオレフィンワックス;
D) 組成物全体に対して0〜5質量%、好ましくは0〜4質量%、特に好ましくは0〜3.5質量%の、硫化亜鉛;
E) 組成物全体に対して0〜50質量%、10〜40質量%、特に好ましくは10〜35質量%の、1種またはそれ以上の充填剤および強化剤;および
F) 組成物全体に対して0〜40質量%の、他の添加剤
(ただし、全成分の合計は100質量%である)
を含む成形組成物に関する。
【0007】
成分Aのポリエステルは、第一に、ポリアルキレンテレフタレート、即ち、好ましくは芳香族ジカルボン酸、またはそれらの反応性誘導体(例えば、ジメチルエステルまたは無水物)と、脂肪族、脂環式または芳香脂肪族ジオールとの反応生成物、および該反応生成物の混合物であり、第二に、下記に詳しく説明する完全芳香族ポリエステルである。
【0008】
ポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸(またはその反応性誘導体)、および2〜10個のC原子を有する脂肪族または脂環式ジオールから、既知の方法によって製造することができる(Kunststoff−Handbuch、第VIII巻、695頁以下、Karl-Hanser-Verlag、ミュンヘン 1973)。
【0009】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、ジカルボン酸に対して少なくとも80モル%、好ましくは90モル%のテレフタル酸基、およびジオール成分に対して少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%のエチレングリコール基および/または1,3−プロパンジオール基および/または1,4−ブタンジオール基を有する。
【0010】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸基に加えて、20モル%までの、8〜14個のC原子を有する他の芳香族ジカルボン酸基または4〜12個のC原子を有する脂肪族ジカルボン酸基、例えば、フタル酸基、イソフタル酸基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸基、4,4'−ジフェニルジカルボン酸基、コハク酸基、アジピン酸基、セバシン酸基、アゼライン酸基またはシクロヘキサン二酢酸基を有することができる。
【0011】
好ましいポリアルキレンテレフタレートは、エチレン基および/またはプロパンジオール−1,3基および/またはブタンジオール−1,4−グリコール基の他に、20モル%までの、3〜12個のC原子を有する他の脂肪族ジオール基または6〜21個のC原子を有する脂環式ジオール基、例えば、プロパンジオール−1,3基、2−エチルプロパンジオール−1,3基、ネオペンチルグリコール基、ペンタンジオール−1,5基、ヘキサンジオール−1,6基、シクロヘキサン−ジメタノール−1,4基、3−メチルペンタンジオール−2,4基、2−メチルペンタンジオール−2,4基、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3基および1,6,2−エチルヘキサンジオール−1,3基、2,2−ジエチルプロパンジオール−1,3基、ヘキサンジオール−2,5基、1,4−ジ−(β−ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン基、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン基、2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチルシクロブタン基、2,2−ビス−(3−β−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン基および2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパン基を含有しうる(DE-OS 2407674、2407776、2715932)。
【0012】
ポリアルキレンテレフタレートは、比較的少量の三価または四価アルコール、または三または四塩基性カルボン酸、例えばDE-OS 1900270およびUS-PS 3692744に開示されているような物質を組み込むことによって、分岐させることができる。好ましい分岐剤の例は、トリメシン酸、トリメリット酸、トリメチロール−エタンおよび−プロパン、およびペンタエリトリトールである。
酸成分に対して1モル%以下の分岐剤を使用するのが好ましい。
【0013】
特に好ましいポリアルキレンテレフタレートは、テレフタル酸およびその反応性誘導体(例えば、そのジアルキルエステル)およびエチレングリコールおよび/またはプロパンジオール−1,3および/またはブタンジオール−1,4のみから製造される化合物(ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレンテレフタレート)、ならびにこれらのポリアルキレンテレフタレートの混合物である。本発明において、ポリブチレンおよびポリエチレンテレフタレートの混合物が特に好ましい。
【0014】
他の好ましいポリアルキレンテレフタレートは、少なくとも2つの前記の酸成分および/または少なくとも2つの前記のアルコール成分から製造されるコポリエステルであり、特に好ましいコポリエステルは、ポリ(エチレングリコール/ブタンジオール−1,4)テレフタレートである。
【0015】
ポリアルキレンテレフタレートは、それぞれ25℃でフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1重量部)において測定した場合、約0.4〜1.5、好ましくは0.5〜1.3の極限粘度数を一般に有する。
【0016】
やはり好適な完全芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸またはそれらの反応性誘導体と、対応する芳香族ジヒドロキシ化合物との反応生成物である。
【0017】
ポリアルキレンテレフタレートに関して先に記載した化合物を、芳香族ジカルボン酸として使用しうる。5〜100モル%のイソフタル酸および0〜95モル%のテレフタル酸の混合物、特に約80%テレフタル酸および20%イソフタル酸の混合物ないしこれら2つの酸のほぼ等量の混合物が好ましい。
【0018】
使用しうる芳香族ジヒドロキシ化合物は、下記の式(II)によって示される:
【化2】
[式中、
Zは、8個までの炭素原子を有するアルキレン基またはシクロアルキレン基、12個までの炭素原子を有するアリーレン基、カルボニル基、酸素原子または硫黄原子、スルホニル基または化学結合を表し;
nは、0〜2の数を表す]。
これら化合物それぞれは、それらのフェニレン基上の置換基として、C1〜C6アルキル基またはアルコキシ基、ならびに弗素、塩素または臭素を有していてもよい。
【0019】
これらの物質の例は、次のとおりである:ジヒドロキシフェニル、ジ−(ヒドロキシフェニル)アルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ジ−(ヒドロキシフェニル)エーテル、ジ−(ヒドロキシフェニル)ケトン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ジ−(ヒドロキシフェニル)、α,α'−ジ(ヒドロキシフェニル)ジアルキルベンゼン、ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホン、ジ−(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、レゾルシノールおよびヒドロキノン、ならびにアルキル化またはハロゲン化核を有するそれらの誘導体。
【0020】
前記の群の中で、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、2,4−ジ−(4'−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、α,α'−ジ−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ジ−(3'−メチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2−ジ−(3'−クロロ−4'−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。
【0021】
次のものが特に好ましい:2,2−ジ−(3',5'−ジメチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ジ−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ジ−(3',5−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ジ−(4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンおよび3,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン。
前記ジオール化合物の混合物も使用しうる。
【0022】
純粋ポリアルキレンテレフタレートおよび純粋完全芳香族ポリエステルの他に、これらのポリエステルの任意の混合物および下記ポリエステルの混合物も使用しうる。
【0023】
「ポリエステル」という用語は、ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートをも包含するものと理解される。
【0024】
ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは文献から既知であるか、または文献から既知の方法によって製造できる(ポリカーボネートの製造については、例えば、Schnell, "Chemistry and Physics of Polycarbonates", Interscience Publishers, 1964、ならびにDE-A 1495626、DE-A 2232877、DE-A 2703376、DE-A 2714544、DE-A 3000610およびDE-A 3832396を参照;ポリエステルカーボネートの製造については、例えば、DE-A 3077934を参照)。
【0025】
芳香族ポリカーボネートは、例えば、界面法によって、連鎖停止剤、例えばモノフェノールを任意に使用し、三官能性分岐剤または四官能以上の官能価を有する分岐剤、例えばトリフェノールまたはテトラフェノールを任意に使用して、ジフェノールを、炭酸ハロゲン化物、好ましくはホスゲン、および/または芳香族ジカルボン酸二ハロゲン化物、好ましくはベンゼン−ジカルボン酸二ハロゲン化物と反応させることによって製造される。
【0026】
芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートの製造用のジフェノールは、好ましくは、式(III)で示されるジフェノールである:
【化3】
[式中、
Aは、単結合、C1〜C5アルキレン、C2〜C5アルキリデン、C5〜C6シクロアルキリデン、
−O−、−SO−、−CO−、−S−、−SO2−またはヘテロ原子を任意に有する他の芳香環と縮合しうるC6〜C12アリーレンを表すか、または式(IV)または(V)の基:
【化4】
【化5】
を表し;
Bは、各場合に、C1〜C12アルキル、好ましくはメチル、またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素を表し;
xは、それぞれ互いに独立に0、1または2を表し;
pは、1または0を表し;
R1およびR2は、各X1について、個々に、互いに独立に選択することができ、水素またはC1〜C6アルキル、好ましくは、水素、メチルまたはエチルを表し;
X1は、炭素を表し;
mは、4〜7の整数、好ましくは4または5であり;
但し、少なくとも1つのX1原子において、R1およびR2が同時にアルキルを表すものとする]。
【0027】
好ましいジフェノールは、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス−(ヒドロキシフェニル)−C1〜C5−アルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−C5〜C6−シクロアルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−エーテル、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホキシド、ビス−(ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホンおよびα,α−ビス−(ヒドロキシフェニル)−ジイソプロピルベンゼン、ならびに臭素化および/または塩素化環を有するそれらの誘導体である。
【0028】
特に好ましいジフェノールは、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィドおよび4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ならびにそれらの二および四臭素化または塩素化誘導体、例えば、2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンまたは2,2−ビス−(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンである。
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。
【0029】
ジフェノールは、個々に、または混合物として使用することができる。ジフェノールは、文献から既知であるか、または文献から既知の方法によって得られる。
【0030】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートの製造に好適な連鎖停止剤の例は、フェノール、p−クロロフェノール、p−tert−ブチルフェノールおよび2,4,6−トリブロモフェノールを包含し、長鎖アルキルフェノール、例えば、DE-A 2842005に記載の4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール、およびアルキル置換基に合計8〜20個のC原子を有するモノアルキルフェノールまたはジアルキルフェノール、例えば、3,5−ジ−tert−ブチル−フェノール、p−イソ−オクチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールおよび4−(3,5−ジメチルヘプチル)−フェノールも包含する。使用される連鎖停止剤の量は一般に、各場合に使用されるジフェノールのモル合計に対して0.5モル%〜10モル%である。
【0031】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、10,000〜200,000、好ましくは20,000〜80,000の平均重量平均分子量(Mw、例えば、超遠心分離によるかまたは散乱光の測定によって測定)を有する。
【0032】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、既知の方法、好ましくは、使用されるジフェノールの合計に対して0.05〜2.0モル%の三官能性化合物または四官能以上の官能価を有する化合物、例えば3個またはそれ以上のフェノール基を有する化合物を組み込むことよって分岐しうる。
【0033】
ホモポリカーボネートおよびコポリカーボネートは共に好適である。本発明のコポリカーボネートを製造するために、1〜25質量%、好ましくは2.5〜25質量%(使用されるジフェノールの合計量に対して)の、末端ヒドロキシ−アリールオキシ基を含有するポリジオルガノシロキサンも使用しうる。これらは既知である(例えば、US-A 3419634参照)か、または文献から既知の方法によって製造できる。ポリジオルガノシロキサンを含有するコポリカーボネートの製造は、例えばDE-A 3334782に記載されている。
【0034】
好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールAホモポリカーボネートの他に、ジフェノールのモル合計に対して15モル%までの、好ましいものまたは特に好ましいものとして記載した以外のジフェノール、特に2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−プロパンを含有するビスフェノールAのコポリカーボネートも包含する。
【0035】
芳香族ポリエステルカーボネートの製造用の芳香族酸ハロゲン化物の例は、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン酸およびナフタレン−2,6−ジカルボン酸の二酸塩化物である。
【0036】
1:20〜20:1の比率のイソフタル酸およびテレフタル酸の二酸二塩化物の混合物が特に好ましい。
【0037】
ポリエステルカーボネートの製造の間に、炭酸ハロゲン化物、好ましくはホスゲンを、酸の二官能性誘導体として付加的に使用する。
【0038】
芳香族ポリエステルカーボネートの製造に考えられうる連鎖停止剤は、前記モノフェノールの他に、そのクロロ炭酸エステル、C1〜C22アルキル基によってまたはハロゲン原子によって任意に置換されている芳香族モノカルボン酸の酸塩化物、ならびに脂肪族C2〜C22モノカルボン酸塩化物も包含する。
【0039】
連鎖停止剤の量は、フェノール連鎖停止剤の場合はジフェノールのモルに対して、モノカルボン酸塩化物連鎖停止剤の場合はジカルボン酸塩化物のモルに対して、それぞれ0.1〜10モル%である。
【0040】
芳香族ポリエステルカーボネートは、成分として芳香族ヒドロキシカルボン酸も含有しうる。
芳香族ポリエステルカーボネートは、直鎖であってもよく、または既知の方法によって分岐させてもよい(これに関して、DE-A 2940024およびDE-A 3007934も参照)。分岐剤は、例えば、使用されるジカルボン酸二塩化物に対して0.01〜1.0モル%の量の、三または多官能性カルボン酸塩化物、例えば、トリメシン酸三塩化物、シアヌル酸三塩化物、3,3'−4,4'−ベンゾフェノン−テトラカルボン酸四塩化物、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボン酸四塩化物またはピロメリット酸四塩化物、および使用されるジフェノールに対して0.01〜1.0モル%の量の、三または多官能性フェノール、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,4−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、2,2−ビス[4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル)−フェノール、テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチル−ベンジル)−4−メチル−フェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−プロパン、テトラ−(4−[4−ヒドロキシフェニル−イソプロピル]−フェノキシ)−メタンまたは1,4−ビス[4,4'−ジヒドロキシトリフェニル)−メチル]−ベンゼンである。フェノール分岐剤は、ジフェノールと共に使用することができ、酸塩化物分岐剤は、酸二塩化物と共に添加することができる。
【0041】
熱可塑性芳香族ポリエステルカーボネートにおいて、カーボネート構造単位の比率は任意に変化しうる。カーボネート構造単位の比率は、エステル基およびカーボネート基の合計に対して、好ましくは100モル%まで、特に80モル%まで、最も好ましくは50モル%までである。芳香族ポリエステルカーボネートのエステル成分およびカーボネート成分の両方は、ブロック形態で存在することもでき、または縮合ポリマーにおいてランダムに分布させることもできる。
【0042】
芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートの相対溶液粘度(ηrel)は1.18〜1.4、好ましくは1.22〜1.3である(25℃において、塩化メチレン溶液100mL中のポリカーボネートまたはポリエステルカーボネート0.5gの溶液について測定した場合)。
【0043】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは、単独で、または互いに任意に混合して使用することができる。
【0044】
さらに、US-A 3651014に記載されているような全ての既知のポリエステルブロックコポリマー、例えばコポリエーテルエステルを使用することができる。
【0045】
成分B)を、本発明において、ポリエステル成形組成物を防炎性にするために、添加し、成分B)は、共に、全成形組成物に対して10〜40質量%、好ましくは15〜26質量%、特に好ましくは18〜23質量%の窒素化合物B.1および燐化合物B.2の混合物である。
【0046】
最良の結果が、18〜23質量%の防炎性混合物が窒素含有化合物および燐含有化合物からなった場合に得られた。窒素含有化合物B.1の割合が、成形組成物に対して好ましくは7〜13質量%、特に好ましくは9〜11質量%である。燐含有化合物B.2の割合が、また成形組成物に対して8〜13質量%、特に好ましくは9〜12質量%である。
【0047】
好適な窒素化合物B.1は、メラミンシアヌレート、メラミン、メラミンボレート、メラミンオキサレート、1級メラミンホスフェート、2級メラミンホスフェート、および2級メラミンピロホスフェート、ポリマーメラミンホスフェートおよびネオペンチルグリコール硼酸メラミンである。グアニジン塩、例えば、グアニジンカーボネート、1級グアニジンシアヌレート、1級グアニジンホスフェート、2級グアニジンホスフェート、1級グアニジンスルフェート、2級グアニジンスルフェート、ペンタエリトリトール硼酸グアニジン、ネオペンチルグリコール硼酸グアニジン、ウレアホスフェートグリーンおよびウレアシアヌレートも好適である。縮合窒素含有化合物、例えばメレム(Melem)およびメロン(Melon)も使用できる。アンモニウムポリホスフェートおよびトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートまたはそれらとカルボン酸との反応生成物、ベンゾグアナミンおよびその付加生成物または塩、ならびに窒素位置で置換されたそれらの生成物、およびそれらの塩および付加生成物も好適である。他の好適な窒素含有成分は、アラントイン化合物、ならびそれと燐酸、硼酸またはピロ燐酸との塩、およびグリコールウリルまたはその塩を包含する。無機窒素含有化合物、例えばアンモニウム塩も使用できる。メラミン化合物が好ましい。
【0048】
本発明において最も好ましい窒素化合物であるメラミンシアヌレートは、好ましくは等モル量の、メラミンとシアヌル酸またはイソシアヌル酸との反応生成物であると理解されるものとする。特に、全ての一般的な商業的に入手可能なグレードの製品が包含される。それらの例は、特に、Melapur(登録商標)MC 25(DSM Melapur, Heerlen, オランダより供給)、およびBudit(登録商標)315(Budenheim, Budenheim, ドイツより供給)である。使用されるメラミンシアヌレートは、平均粒径0.1μm〜100μm、好ましくは0.1μm〜25μm、最も好ましくは0.1μm〜7μmの粒子から成り、好適な物質で表面処理および/または被覆することができる。該物質は、特に、モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマー形態でメラミンシアヌレートに付着しうる有機化合物を包含する。例えば、珪素含有化合物、例えば有機−官能化シランまたはオルガノシロキサンに基づく被覆系を使用しうる。無機成分の被覆物質も使用できる。
【0049】
メラミンシアヌレートは、通常、90〜100℃の水性媒体中で、出発物質から得られる。
【0050】
難燃剤として使用される燐化合物B.2)は、一般式(I)で示されるホスフェートである:
【化6】
[式中、
R1〜R4は、互いに独立に、場合によりハロゲン置換されていてよいC1−C8アルキル基、またはそれぞれ場合によりアルキル(好ましくはC1−C4アルキル)置換および/またはハロゲン(好ましくは塩素または臭素)置換されていてよい、C5−C6シクロアルキル基、C6−C20アリール基またはC7−C12アルアルキル基、好ましくはフェニル基を表し、
nは、互いに独立に、0または1を表し、
Nは、0〜50の数、好ましくは0〜20、特に好ましくは0〜10、特に0〜6を表し、
Xは、ジフェノール、好ましくはジフェニルフェノール、ビスフェノールA、レゾルシノールまたはヒドロキノンおよびそれらの塩素化または臭素化誘導体から誘導される6〜30個の炭素原子を有する単環または多環芳香族基を表す。]。
【0051】
R1〜R4は、相互に独立に、好ましくはC1−C4アルキル基、フェニル基、ナフチル基またはフェニル−C1−C4アルキル基を表す。芳香族基であるR1〜R4は、ハロゲンおよび/またはアルキル基、好ましくは塩素、臭素および/またはC1−C4アルキル基により置換されていてよい。特に好ましい芳香族基は、クレシル、フェニル、キシレニル、プロピルフェニルまたはブチルフェニルである。
【0052】
式(I)のモノ燐化合物は、特に、トリブチルホスフェート、トリス−(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、ジフェニルクレシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、ジフェニル−2−エチルクレシルホスフェート、トリ−(イソプロピルフェニル)ホスフェート、ハロゲン置換アリールホスフェート、メチルホスホン酸ジメチルエステル、メチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、トリフェニルホスフィンオキシドまたはトリクレシルホスフィンオキシドである。トリクレシルホスフェートが特に好ましい。他の好ましい燐化合物は、ビスフェノールA−ビスフェニルジホスフェートである。
【0053】
上記燐化合物は既知である(例えば、EP-A 363608、EP-A 640655参照)か、または既知の方法の類似方法により製造できる(例えば、Ullmanns Encyklopadie der technischen Chemie、第18巻、301頁以下、1979;Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie、第12/1巻、p.43;Beilstein、第6巻、177頁)。
【0054】
成分C)として含まれるポリオレフィン化合物は、ポリオレフィンワックス、好ましくはポリプロピレンまたはポリエチレンワックスであり、ポリエチレンワックスが特に好ましい。「ポリオレフィンワックス」という用語は、一般に、ワックス様特性を有するポリオレフィンを意味する。このような化合物は、当業者に既知の方法により、あるいは基本オレフィンモノマーの直接重合または対応する高分子量体の解重合により製造することができ、通常低分子量(約3000〜20000g/モル)を有する。ポリオレフィン化合物は、0.05〜1.5質量%、好ましくは0.1〜0.7質量%、特に好ましくは0.15〜0.45質量%の量で使用される。異なるポリオレフィンの混合物も同様に使用できる。
【0055】
硫化亜鉛が、成分D)として使用される場合、全成形組成物に対して0.1〜4質量%、好ましくは0.4〜3.5質量%の量で含まれる。本発明のある態様において、0.4〜1質量%のZnSの使用が最も好ましい。硫化亜鉛は一般に固体粒子として使用される。商業的に入手可能な製品の例は、Sachtolith(登録商標)HDSまたはSachtolith(登録商標)HD(両方ともSachtleben, Duisburg, ドイツより供給)である。ポリマー支持材料において圧縮材料またはマスターバッチを使用することもできる。硫化亜鉛は、表面処理することができ、または既知の物質で被覆することができる。該物質は、特に、モノマー、オリゴマーおよび/またはポリマー形態で付着しうる有機化合物を包含する。無機成分を含有する被覆物質も使用できる。
例えば、珪素含有化合物、例えば有機−官能化シランまたはオルガノシロキサンに基づく被覆物質を使用しうる。
【0056】
成形組成物は、さらに成分E)として添加される、0〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、最も好ましくは10〜35質量%の充填剤または強化剤を含有する。
【0057】
本発明の成形化合物を形成するために添加されうる繊維または粒子形態の充填剤および強化剤は、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスクロス、ガラスマット、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、天然繊維、非晶質ケイ酸、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、長石、マイカ、シリケート、石英、タルク、カオリン、二酸化チタン、珪灰石などを包含する。これらの物質は、表面処理することもできる。好ましい強化剤は、商業的に入手可能なガラス繊維である。これらは、8〜18μmの直径を一般に有し、連続繊維として、またはカットまたは研磨繊維として添加することができる。好適なサイズ剤系および結合剤または結合剤系、例えばシランに基づく系で、繊維を被覆することができる。
【0058】
針状無機充填剤も好適である。本発明において、針状無機充填剤は、極めて顕著な針状性質を有する無機充填剤として理解されるものとする。針状珪灰石はその例である。無機質は、L/D(長さ/直径)比8:1〜35:1、好ましくは8:1〜11:1を有するのが好ましい。無機充填剤は、任意に表面処理することができる。
【0059】
成分F:
ゴム状弾性ポリマー(しばしば耐衝撃性改質剤、エラストマーまたはゴムとも称される)の付加的使用は、得られる機械的特性の範囲に関して有利な場合がある。
【0060】
該ポリマーは、最も一般的には、好ましくは下記のモノマーの少なくとも2つから合成されるコポリマーである:エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、ビニルアセテート、スチレン、アクリロニトリル、またはアルコール成分中に1〜18個の炭素原子を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエステル。
【0061】
この種のポリマーは、例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, 第14/1巻(Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961)、p.392〜406、およびC.B. Bucknallの論文 "Toughened Plastics"(Applied Science Publishers, ロンドン, 1977)に記載されている。
WO 00/46491に記載されているゴム状弾性ポリマーが好ましい。
【0062】
本発明のポリエステルは、他の添加剤、例えば、熱分解防止剤、熱架橋防止剤、紫外線による損傷から保護する薬剤、可塑剤、流動促進剤および加工助剤、難燃性物質、内部滑剤および離型剤、成核剤、帯電防止剤および安定剤、ならびに着色剤および顔料も含有しうる。Sは、成分Fとして確に除外される。
【0063】
酸化防止剤および熱安定剤の例は、立体障害フェノールおよび/または亜燐酸塩、ヒドロキノン、芳香族第二級アミン、例えばジフェニルアミン、これらの群の置換物質、およびそれらの混合物である。
【0064】
UV安定剤は、種々の置換レゾルシノール、サリチレート、ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノンでありうる。
【0065】
無機顔料、例えば、二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄およびスス、ならびに有機顔料、例えば、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、および染料、例えば、ニグロシンおよびアントラキノン、ならびに他の着色剤も着色剤として添加しうる。
【0066】
使用しうる成核剤の例は、フェニルホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、好ましくはタルクである。
【0067】
上記に例示されていない他の、好ましくはハロゲンを含まない燐化合物を、単独で、または他のものと、好ましくはハロゲン不含有燐化合物と組み合わせて使用できる。燐化合物としては、純粋な無機燐化合物、例えば燐酸ホウ素水和物または燐元素、例えば赤燐を包含する。
【0068】
一般に使用される滑剤および離型剤は、エステルワックス、ペンタエリトリトールテトラステアレート(PETS)、長鎖脂肪酸(例えば、ステアリン酸またはベヘン酸)またはそれらの塩(例えば、CaまたはZnステアレート)およびアミド誘導体(例えば、エチレン−ビス−ステアリルアミド)またはモンタンワックス(28〜32個のC原子の鎖長を有する直鎖飽和カルボン酸の混合物)である。
【0069】
可塑剤の例は、ジオクチルフタレート、ジベンジルフタレート、フタル酸ブチルベンジルエステル、炭化水素油およびN−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドである。
【0070】
以下、いくつかの実施例を参照して本発明をさらに詳しく説明する。
【0071】
実施例
成分A/1:PBT Pocan(登録商標)B 1300 00/000(Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
成分A/2:PBT Pocan(登録商標)B 1600(Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
成分A/3:PET R 10(Agfa, Mortsel, ベルギー)
成分B.1:メラミンシアヌレート(Melapur(登録商標)MC 25, DSM-Melapur, Heerlen, オランダ)
成分B.2:トリフェニルホスフェート(Disflamoll(登録商標)TP, Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
成分C:ポリオレフィンワックスLuwax(登録商標)A(BASF AG, Lugwigshafen, ドイツ)
成分D:ZnS(Sachtolith(登録商標)HDS, Sachtleben, Duisburg, ドイツより供給)
成分E/1:チョップトガラス繊維(CS 7962、Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
成分F1:ミクロタルクRP-6(Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
添加剤1:モルタングリコールワックス(E-wax, Hoechst, Frankfurt, a.M., ドイツ)
添加剤F3:安定剤、PBT Pocan(登録商標)B 1300 00/000中10%の濃度(Bayer AG, Leverkusen, ドイツ)
【0072】
各成分を、所定の比率で、二軸押出機 ZSK(Werner & Pfleiderer製)によって260℃で混合し、ストランドとして押出し、必要な温度に冷却した後、ペレット化する。粒状材料を乾燥した後に、260℃の温度で処理して、標準試験片を形成し、該試験片について機械的、電気的および燃焼特性を測定した。
【0073】
プラスチックの難燃性は、UL94V法によって測定される(a)Underwriters Laboratories Inc.Standard of Safety, "Test for flammability of plastic materials for parts in devices and appliances", 14頁以下、Northbrook、1998;b)J. Troitzsch, "International Plastics Flammability Handbook", 346頁以下、Hanser Verlag, ミュンヘン 1990参照)。この方法を使用して、ASTM標準試験片の燃焼時間および滴下挙動を測定する。
【0074】
防火等級UL94V-0に分類される防炎性プラスチック材料は、下記の基準を満たさなければならない:5つのASTM標準試験片(寸法:127×12.7×X、X=3.2;1.6および0.8mm)の組について、全ての試験片が、10秒間にわたる規定の高さの裸火への2回の適用後に、10秒以下の後燃えを示さなければならない。5つの試験片の10回の点火についての後燃え時間の合計は、50秒以下でなければならない。さらに、該試験片は、30秒より長い時間にわたって、燃焼滴下挙動、完全燃焼または残燼を示してはならない。等級UL94V-1は、各後燃え時間が30秒以下であり、5つの試験片の10回の点火後の後燃え時間の合計が250秒以下であることを必要とする。その他の基準は、前記と同様である。材料が、燃焼滴下挙動を示すが、等級UL94V-1の他の全ての基準を満たす場合、その材料は防火等級UL94V-2を付与される。
【0075】
ポリマーコンパウンドの機械的特性を、ISO 527による引張試験(ダンベル試験片)、ISO 178による曲げ試験(寸法80mm×10mm×4mmの平板試験片)、およびアイゾッド曲げ衝撃試験(ISO180、寸法80mm×10mm×4mmの平板試験片)によって測定した。
【0076】
【表1】
【0077】
上記表に示した試験結果は、本発明の成形組成物が、所望の難燃性と共に良好な衝撃強度および極限伸びを有しているが、比較例1および2の組成物は不十分難燃性および非常に劣った機械的特性しか有していないことを明らかにしている。本発明の成形組成物(実施例1)の作動機械水準は、ZnSの添加により(実施例2および3)、更に向上することができる。
Claims (15)
- A) 1つまたはそれ以上のポリエステル;
B) 組成物全体に対して10〜40質量%の、下記B.1)およびB.2)を含有する難燃性成分:
B.1) 窒素化合物、および
B.2) 式(I)の燐化合物:
R1〜R4は、互いに独立に、場合によりハロゲン置換されていてよいC1−C8アルキル基、またはそれぞれ場合によりアルキルおよび/またはハロゲン置換されていてよい、C5−C6シクロアルキル基、C6−C20アリール基またはC7−C12アルアルキル基を表し、
nは、互いに独立に、0または1を表し、
Nは、0〜50の数を表し、
Xは、ジフェノールから誘導される6〜30個の炭素原子を有する単環または多環芳香族基を表す。];
C) 組成物全体に対して0.05〜1.5質量%の、ポリオレフィンワックス;
D) 組成物全体に対して0〜5質量%の、硫化亜鉛;
E) 組成物全体に対して0〜50質量%の、1種またはそれ以上の充填剤および強化剤;および
F) 組成物全体に対して0〜40質量%の、他の添加剤
(ただし、全成分の合計は100質量%である)
を含む成形組成物。 - 成分A)がポリアルキレンテレフタレート、または複数のポリアルキレンテレフタレートの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の成形組成物。
- 成分A)がポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートまたはこれらの化合物の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の成形組成物。
- 難燃性成分B)の含有量が、全組成物に対して15〜26質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形組成物。
- 窒素化合物B.1)の含有量が、全組成物に対して7〜13質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形組成物。
- 燐化合物B.2)の含有量が、全組成物に対して8〜13質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形組成物。
- ポリオレフィンワックスの含有量が、全組成物に対して0.1〜0.7質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成形組成物。
- 硫化亜鉛の含有量が、全組成物に対して0.1〜4質量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の成形組成物。
- 窒素化合物B.1)がメラミンシアヌレートであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の成形組成物。
- 燐化合物B.2)が燐酸トリフェニルであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の成形組成物。
- 燐化合物B.2)がビスフェノールA−ビスジフェニルホスフェートであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の成形組成物。
- 熱分解防止剤、熱架橋防止剤、紫外線による損傷から保護する薬剤、可塑剤、流動促進剤および加工助剤、難燃性物質、滑剤および離型剤、成核剤、帯電防止剤、安定剤、耐衝撃性改良剤ならびに着色剤および顔料から選択される他の添加剤を含有する請求項1〜11のいずれかに記載の成形組成物。
- ガラス繊維を含有する請求項1〜12のいずれかに記載の成形組成物。
- 成形品、シートおよび繊維の製造における、請求項1〜13のいずれかに記載の成形組成物の使用。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の成形組成物から得られる成形品、シートおよび繊維。
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