JP2004529783A - 引っ掛った対象物を解放打撃するために適した打撃装置を備えた打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ - Google Patents

引っ掛った対象物を解放打撃するために適した打撃装置を備えた打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ Download PDF

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Abstract

打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマは、軸方向で往復可動な打撃ピストンを備えた打撃発生装置を有している。主打撃状態で打撃ピストンは、制限された軸方向の区間にわたって可動な工具(18)を直接的に主打撃方向で負荷する一方、解放打撃状態で打撃ピストンは打撃変換装置(54)を負荷し、さらに該打撃変換装置を介して工具(18)を間接的に、主打撃方向とは逆向きの解放打撃方向で負荷する。打撃ピストンの打撃面は工具シャフト(16)の打撃面と解放打撃ラム(38)の打撃面とに対向して位置しており、主打撃位置では解放打撃ラム(38)が戻しばね(74)により打撃ピストンの作用範囲から引き出されていて、同時にこの戻しばね(74)の作用下で打撃変換装置(54)の伝動機構部材(64)に支持されているようになっており、この伝動機構部材は突起(72)でもって、工具(18)に設けられたストッパ面(30)の運動軌道内に突入しており、アイドリング状態で工具シャフト(16)が打撃ピストンの作用範囲から引き離されると、このストッパ面(30)は突起(72)に到達するので、工具(18)のこの運動が引き続き行われれば、ストッパ面(30)は伝動機構部材(64)を戻しばね(74)の作用に抗して負荷して、ばね力を克服すると、解放打撃ラム(38)を打撃ピストンの作用範囲内へと移動させる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念部に記載された形式の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマに関する。
【0002】
打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマによる作業時に、工具、例えばビットもしくはチゼルまたはドリル刃が岩石中でくさび作用または締め付け作用により引っ掛って動かなくなってしまうようなことが頻繁に発生する。若干の習熟で穿孔ハンマによる穿孔時に工具の引っ掛りは大抵の場合回避され得るものの、大型の打撃ハンマによる破砕作業時には専門家にとっても、ビット等の引っ掛りを回避することは必ずしも可能なことではない。
【0003】
救済手段を、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19731732号明細書により公知になっている打撃装置が提供している。工具が引っ掛かって動かなくなると、打撃ハンマまたは穿孔ハンマを操る人物により解放打撃装置が接続されることができて、この解放打撃装置により駆動力が変向されるので、駆動力は工具を主打撃方向とは逆向きに負荷し、これにより、実験から判るように、引っ掛かった工具は若干の打撃により解放されることができる。
【0004】
公知の打撃装置の場合、工具が引っ掛かる度に、スライド式レバーをオペレータが操作すべきであって、それにより、打撃変換装置をアクティブにすることが可能である。その際に、シール性についての問題点が考えられる。
【0005】
それゆえ本発明の課題は、上位概念部に記載された形式の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマを改良して、オペレータの操作手間なしに、通常運転と解放打撃運転との間での簡単化された切換えを可能にし、しかも、強度の点で好適な原理と良好なシール性とを顧慮した打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマを提供することである。
【0006】
上記課題は本発明により、請求項1に基づく打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマにより解決される。本発明の有利な変化形は請求項2以下に定義されている。
【0007】
本発明による打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ(以下「ハンマ」とも呼ぶ)の場合、主打撃状態から解放打撃状態への切換えは、打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマを、工具の引っ掛かり時に、加工したい材料から引き抜く際に実施される。ハンマの引き抜きはオペレータにより直感的に、工具の引っ掛かりが認識されると実施される。そうすると、解放打撃状態への切換えが行われるので、オペレータにとって、例えばスライド式レバーまたはこれに類するもののような別の装置を操作する必要がなくなって、このことは操作手間を明らかに軽減する。
【0008】
ハンマを、加工したい岩石から引き抜くことにより、工具内もしくは工具に引張力が惹起され、この引張力は力検出装置により検出もしくは別の物理的な値、例えば距離へと変換される。力検出装置は切換装置と相俟って、引張力が所定の閾値を越えた場合に、切換装置が解放打撃状態への切換えを生ぜしめるように協働する。このことは、解放打撃状態への切換えを実施するために、オペレータはハンマを少なくとも所定の、予め設定された力でもって引っ張りさえすればよいことを意味している。
【0009】
有利には、力検出装置および切換装置は打撃変換装置の構成部分である。このような形式で打撃変換装置の構成エレメントが複数の機能のために同時に使用されることができると、場合によっては鋭敏であってメンテナンスを多く必要とする別の構成エレメントは不要である。
【0010】
本発明の特に有利な実施形態では、工具に作用する引張力が、工具の、ハンマのその他の部分に対して相対的な軸方向での移動量に比例するようになっている。このことは、力検出装置が引張力を、例えばばねの作用に抗した軸方向での工具の移動に基づいて測定し得ることを意味している。軸方向での工具の移動量が、予め設定された距離を超過すると、この事実から、引張力に関して予め設定された閾値も超過されているという結論を引き出すことができる。工具の、ばねの作用に抗した軸方向での移動を検出することにより、工具に実際に作用する引張力を検出する必要がなくなる。それどころか、この軸方向での移動は適当な機構を介して直接的に切換装置に導かれることができ、解放打撃状態への切換えのために使用されることができる。
【0011】
ただし本発明の別の実施形態の場合、工具に作用する引張力は、工具の、ハンマのその他の部分に対する相対的な軸方向での移動が存在しない場合に、適当な力センサを用いて検出されることもある。その際、力センサの信号は適当な形式で切換装置に伝送されることができる。
【0012】
本発明の有利な実施形態の場合、打撃変換装置は、解放打撃状態で打撃ピストンの作用範囲内に移動可能な第一の部分と、工具に設けられたストッパに形状結合式にコンタクトすることができる第二の部分とを有しており、その際、第二の部分を工具の作用範囲内にもたらすために、工具の運動は打撃変換装置の第二の部分を介して第一の部分に伝達可能である。これにより、打撃変換装置が打撃ピストンと工具のストッパとの間の作用結合を生ぜしめるので、打撃ピストンは工具を間接的に解放打撃方向で負荷することができる。
【0013】
有利な実施形態では、打撃変換装置が、打撃装置の打撃ピストンの作用範囲内にもたらされ得る解放打撃ラムと、工具の鍔に係合する突起とを有している。打撃変換装置はばねによりプレロードもしくは予荷重をかけられており、それにより、解放打撃ラムが主打撃状態では打撃ピストンの作用範囲内に位置しないように構成されている。
【0014】
解放打撃状態、つまり工具の引っ掛かり時に、打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマが、作業したい材料から持ち上げられると、工具の鍔が突起を押圧するので、打撃変換装置ひいては解放打撃ラムは戻しばねの作用に抗して摺動させられる。これにより、解放打撃ラムは打撃ピストンの作用範囲内に達し、後続の打撃に際して負荷されることができる。打撃ピストンの打撃作用は解放打撃ラムと打撃変換装置とを介して突起に、ひいては最終的に工具の鍔に解放打撃方向で、つまり主打撃方向とは逆向きに伝達される。
【0015】
その際に、打撃ピストンが解放打撃ラムを解放打撃状態において主打撃方向で負荷すると、特に有利である。それというのは、これにより打撃ピストンの打撃方向を維持することができるからである。
【0016】
有利な実施形態では、打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマが駆動ユニットおよび工具ユニットに分割されており、駆動ユニットおよび工具ユニットはその都度1つのハウジングを有しており、ハウジングの機械的な結合により互いに連結可能であって、その際、駆動ユニットの、工具ユニットに向かって開いた連結領域内に、打撃ピストンの打撃面が配置されており、打撃ピストンは工具ユニットの連結領域内で工具シャフトの打撃面と、解放打撃ラムの打撃面とに対向して位置しており、その際、主打撃状態では解放打撃ラムが戻しばねにより打撃ピストンの作業範囲から引き離されていると共に、この戻しばねの作用下で、打撃変換装置に属する伝動機構部材もしくはカムに支持されているようになっていて、しかも、この伝動機構部材は突起でもって、工具に設けられたストッパ面の運動軌道内に突入しており、それにより、アイドリング状態において工具シャフトが打撃ピストンの作用範囲から引き離されると、ストッパ面が突起に到達するので、工具のこの運動がさらに続いた場合、ストッパ面は伝動機構部材を戻しばねの作用に抗して負荷し、ばね力を克服すれば、解放打撃ラムを打撃ピストンの作用範囲内へと移動させる。
【0017】
ハンマが、作業したい材料に対して押し付けられている限り、これにより同時に、工具が打撃ピストンの作用範囲内に押し込まれる一方で、戻しばねは解放打撃ラムをこの作用範囲から引き出した状態に保つ。ハンマが引き戻されると、工具は打撃ピストンの作用範囲から、突起に当接するまで滑動する。そこで、装置はアイドリング状態になる。工具が引っ掛かっている場合に、装置をさらに引き戻すと、引張力が増大して、突起を戻しばねの作用に抗して運動させ、これにより、解放打撃ラムを打撃ピストンの作用領域内に押し込むことになるので、打撃ピストンは突起を介して打撃を工具に、主打撃方向とは逆向きに作用させる。この状態は解放打撃状態と呼ばれる。工具が解放されるやいなや、戻しばねは元来の状態を再度作り出し、装置は再度、それが改めて材料に対して押し付けられるまで、アイドリング状態に入る。
【0018】
運転状態間の変換は自動的に行われる。その際、駆動ユニットと工具ユニットとの間の機械的な結合はそれらの両側のハウジングを結合することによってのみ構成されている。工具に対する打撃ピストンの作業打撃と、場合によっては必要となる、解放打撃ラムに対する解放打撃と、異なる作業状態間での切換制御とは、両ユニット間の付加的な結合を全く必要としない。両ユニットはカップリング結合の解離後に簡単かつ迅速に互いに分解することができ、別個に整備し、やはり迅速かつ簡単に再度組み立てることができる。その際、結合領域において接続寸法が遵守されて、しかも工具および解放打撃ラムの打撃面が打撃ピストンに正対してさえいれば、種々異なる工具に適合された工具ユニットを駆動ユニットに結合することが可能である。そうして、その都度の目的に合致した打撃変換装置の構成に関して、広範な自由度が存在する。
【0019】
自体公知の形式で有利には、ストッパが、工具横断面を拡幅した鍔である。
【0020】
有利な実施形態では、伝動機構部材が、第一の軸を中心として旋回可能にハウジングに支承された変向レバーであって、その際さらなる構成に従って、伝動機構部材にはロック装置が対応配置されており、このロック装置は、その旋回角を2つの限界位置の間で制限するのに適しており、それにより、突起が常時ストッパの軌道内に突入していて、しかも、解放打撃ラムが一方の限界位置で打撃ピストンの作用範囲内に、他方の限界位置でまさにこの作用範囲外に位置するようになっている。
【0021】
有利には、ロック装置は係止および係止解除レバーであって、この係止および係止解除レバーは、伝動機構部材の旋回軸に対して平行であってかつこの旋回軸から間隔を置いて配置された軸を中心として旋回可能にハウジングに支承されており、かつ係止結合によりロック・係止位置でその角度位置に、ハウジングに対して相対的に固定可能であり、しかも伝動機構部材に形成されたピンが係止および係止解除レバーの滑子案内部内に係入していて、この滑子案内部がそのロック・係止位置で伝動機構部材の旋回角を両制限位置間で制限する一方、係止結合を克服した後には、係止および係止解除レバーは係止解除位置に旋回可能であって、この係止解除位置で滑子案内部は伝動機構部材を、突起が工具のストッパの運動軌道外に外れる位置へと旋回させる。
【0022】
その際、別の極めて有利な構成では、係止解除レバーが、互いに軸方向で間隔を有していてその軸から離れた方の端部でもってウェブにより結合された2つの脚部から成っており、両脚部には互いに背離した外面に、ハウジング内に支承するためにその都度1つの軸片が設けられており、かつ伝動機構部材が両脚部間の中間スペース内に係入しているのに対し、その軸は係止および係止解除レバーの旋回範囲外に位置している。
【0023】
以下に図面を参照しながら本発明の実施例について詳説する。
【0024】
図面は全て、本発明による打撃ハンマ(Schlaghammer)および/または穿孔ハンマ(Bohrhammer)の抜粋を、種々異なる状態もしくは見方で示している。構造を説明するために、それゆえ以下に、全ての図面を同時に参照する。
【0025】
図面には、打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマのうち、全体として符号10を付与した工具ユニットだけが図示されている。自体公知の構造形式の打撃発生装置、例えば空気ばね式打撃装置を含む駆動ユニットは簡略化のために省略されている。駆動ユニットは例えば、電動モータにより駆動されるクランク伝動装置と、このクランク伝動装置により軸方向で可動な駆動ピストンとを含んでおり、駆動ピストンは打撃ピストンの中空円筒形の切欠き内で軸方向運動可能である。打撃ピストンは駆動ユニットのハウジング内で軸方向運動可能に配置されており、その際、工具に対する主打撃方向での力伝達のために役立ち打撃面とも呼ばれる端面はハウジング開口の領域で、駆動ユニットに結合したい工具ユニット10に正対して位置している。場合によっては、打撃ピストンと工具との間には、中間エレメントとして働くスナップ(Doepper)が配置されていてもよい。本発明の使用のために、原理的には全ての種類の打撃装置が適している。
【0026】
運転状態は、ハンマが通常の形で作動する、つまり打撃が工具に加えられる主打撃状態と、ハンマの駆動装置自体は実際に作動し続けているものの、打撃発生装置から打撃がチゼルもしくはビットに加えられないアイドリング状態と、打撃が工具に主打撃方向とは逆向きの解放打撃方向で、つまり加工したい材料から引き抜かれるように加えられる解放打撃状態とに分類される。
【0027】
工具ユニットはハウジング12を有しており、このハウジング12は、例えばビットのような工具18の、六角形横断面を備えたシャフト16のために、中心の案内通路14により貫通されている。ハウジング12には、駆動ユニットに対応配置されたその連結端部20に、円筒状の付設部22が設けられており、付設部22はその外面に、シールを収容するための環状溝24を有している。この付設部22は、駆動ユニット(図示せず)のハウジングに設けられていて付設部22に対応した収容部内に挿入可能である。工具ユニット10のハウジング12に設けられた、孔26を備えたフランジ28は、工具ユニット10と駆動ユニットとの機械的な結合のために役立つ。結合は2つのねじにより迅速かつ簡単に製作されることができる。両方のユニットを連結するために、それ以外の手段は必要ない。
【0028】
工具18にはストッパとして働く鍔30が設けられており、この鍔30を収容するために、案内通路14には、ハウジング12の、付設部22とは反対側の端部区分において横断面拡張部32が設けられている。横断面拡張部32の長さの設定は、工具18の、付設部22の方向での更なる運動が、横断面拡張部32の終端部に対する鍔30の当接により妨げられるように行われているが、当接した時点で、シャフト16が付設部22の領域でハウジング12から打撃ピストン(図示せず)の運動領域内に突入して、打撃ピストンがその打撃運動を工具18に伝達できるようになっていなければならない。主打撃状態にあって打撃位置と呼ばれる、この状態は図1a〜図1cに示されている。
【0029】
ハウジング12の、駆動ユニットに面した端部には、鉢状の凹欠部34が設けられており、その中心部に案内通路14が開口している。案内通路14の傍らに、解放打撃ラム38のための案内通路36が開口している。この案内通路36は凹欠部34の方向で鋭角的に案内通路14に接近している。案内通路36の、凹欠部34に開口している案内区分40で、案内通路36は円筒形の解放打撃ラム38を包囲しており、解放打撃ラム38は、凹欠部34とは反対側のその端部区分42で、拡大された横断面を有しており、この拡大された横断面により肩部44が形成される。端部区分42には長手方向スリット46が形成されており、長手方向スリット46は、ハウジング12に固定されたピン48により横断され、これにより、解放打撃ラム38は回動しないようになっている。解放打撃ラム38の、凹欠部34とは反対側の端部は、ラム軸線に対して傾きを有して延びるコンタクト面50を有しており、コンタクト面50は、ハウジング12内に軸方向で可動に案内されたピストン52の軸線に対してほぼ直角に方向付けられている。ピストン52は打撃変換装置54の部分であって、打撃変換装置54は実質的に、ハウジング12に配置されていて互いに平行な2つのフランジ56aと56bとの間に配置されている。
【0030】
打撃変換装置54はさらに、係止および係止解除レバー58の、2つの合同の脚部58a,58bを有しており、脚部58a,58bは、自由なレバー端部で1つのウェブ60により互いに結合されている。脚部58a,58bはその都度1つのフランジ56aもしくは56bに、互いに同軸的に配置された軸片62もしくはジャーナルにより旋回可能に支承されている。両脚部58aと58bとの間には、変向レバーおよびロックとして働く伝動機構部材もしくはカム64が配置されており、伝動機構部材もしくはカム64は、係止および係止解除レバー58により必要とされる旋回領域の外で、軸片62に対して平行な軸66によりフランジ56a,56bに支承されている。伝動機構部材64に結合されたピン68は、脚部58a,58bに合同に切欠かれて成形された滑子案内部70内に係入する。さらに、伝動機構部材64には突起72が設けられており、突起72は、図1a〜図1cに示した打撃位置では、工具18に設けられた鍔30の運動軌道内に突入しているが、鍔30が工具18の打撃運転中に突起72まで到達することはない。
【0031】
案内区分40の、凹欠部34とは反対側の端部と、肩部44との間には、戻しばねとして働く圧縮コイルばね74が解放打撃ラム38を包囲しており、圧縮コイルばね74は解放打撃ラム38を凹欠部34から引き戻し、そのコンタクト面50でもってピストン52を押圧する。ピストン52自体は伝動機構部材64に支持されており、伝動機構部材64に対して、図1a,図1bで見て反時計回りに作用するトルクを伝達し、このトルクによりピン68は滑子案内部70内で、ひいては係止および係止解除レバー58に支持されている。係止および係止解除レバー58はその周囲にカム状の突出部76を有しており、突出部76は、軸66を取り巻いている弾性的なスリーブ78に対して当て付けられている。このスリーブ78の抵抗は、係止および係止解除レバー58を、図1a〜図1cに示された位置に固持するのに十分であって、これにより、伝動機構部材64もその位置を維持し、突起72は鍔30の軌道内に保持される。
【0032】
係止および係止解除レバー58の付加的な位置決めは、ピストン52が圧縮コイルばね74の作用に基づいて伝動機構部材64に対して押さえ付けられることにより達成される。伝動機構部材64はピン68を支持しており、ピン68を、図1bに示された位置に、滑子案内部70内で係止および係止解除レバー58に対して押さえ付ける。ピン68により加えられて軸66の周りに作用する力に基づいて、軸片62を中心にトルクが生ぜしめられて、このトルクが係止及び係止解除レバー58を、軸片62を中心として、図1aに示された位置へ、後述するストッパ82に対して押さえ付ける。それにより間接的に、圧縮コイルばね74も、係止及び係止解除レバー58を図1a〜図1cに示された位置に固持する働きを有している。
【0033】
図1a〜図1cに示した、主打撃状態において生じる打撃位置では、工具18のみが打撃ピストンにより負荷される。
【0034】
ハンマに対する圧力を除去し、ハンマを、加工したい材料から引き戻すと、下方を向いた工具先端を有した装置の一般的な作業姿勢の場合、工具18は所定の長さをハウジング12から、鍔30が突起72により留められるまで引き出される。これが図2a〜図2cに示したアイドリング位置であって、アイドリング位置で工具18は打撃ピストン18により負荷されておらず、解放打撃方向も無効である。
【0035】
なお、アイドリング位置では、打撃装置(図示せず)が公知の形式でアイドリング状態へと移行して、打撃ピストンが打撃を実施しないようにすることができる。
【0036】
オペレータがアイドリング状態の到達後にさらに強くハンマを引いた時に、工具が、加工したい材料に引っ掛ってしまっている場合には、工具はハンマの引き戻し運動に参加できない。オペレータにより装置に加えられる引張力は突起72に作用して、工具18をその鍔30で、その引っ掛った位置から引き抜くように努められる。引っ掛った工具18の抵抗に基づいて、圧縮コイルばね74の力は克服される。伝動機構部材64は図面で見て時計回りに旋回し、ピストン52を持ち上げ、解放打撃ラム38を圧縮コイルばね74の作用に抗して打撃ピストンの運動範囲内に押し込み、これにより、打撃ピストンの打撃が、二腕式のレバーを成す伝動機構部材64により突起72において逆方向に変向されて、鍔30を介して工具18を、主打撃方向とは逆向きに解放打撃方向で負荷する。
【0037】
オペレータの挙動に応じて、直接的に主打撃状態から解放打撃状態へ、または間接的に主打撃状態からアイドリング状態を介して解放打撃状態へ変更することが可能である。オペレータがハンマを工具の引っ掛り時に迅速に、加工したい岩石から持ち上げると、打撃装置には、打撃ピストンの移動によってアイドリング状態へと移行させる時間は残されていない。より正確に言えば、打撃ピストンは、工具シャフト16のストロークに代わって解放打撃ラム38のストロークを実施するので、打撃運転(但しこの場合は解放打撃運転として)が引き続き実施される。
【0038】
これに対して、オペレータがハンマを工具の引っ掛り時に緩慢に、加工したい岩石から持ち上げると、図2a〜図2cに示されたアイドリング状態が生ぜしめられ、このアイドリング状態では、工具シャフト16も解放打撃ラムも打撃ピストンの作用範囲に進入しない。それに基づいて、打撃ピストンは、打撃装置(図示せず)がアイドリング状態に移行する範囲内で、前方に凹欠部34の領域内へと滑動する。ハンマを、引っ掛った工具18に対してさらに引くと、解放打撃ラム38が打撃ピストンを打撃装置内に押し戻し、これにより、打撃運転が(今度は解放打撃運転として)再度開始される。
【0039】
解放打撃状態に達した、解放打撃位置とも呼ばれるこの状態は図3a〜図3cに示されている。
【0040】
工具18が解放されるやいなや、突起72に作用する引張力が弱まって、圧縮コイルばね74が解放打撃ラム38を打撃ピストンの作用範囲から押し戻すので、再度図2a〜図2cに示したアイドリング位置が生ぜしめられる。
【0041】
工具18を工具ユニット12から取り外したい場合、係止および係止解除レバー58に対して力が反時計回りに加えられ、これにより、カム状の突出部76が弾性的なスリーブ78に沿って圧縮しながら擦過して、係止および係止解除レバー58は、図4a〜図4cに示された位置へと移行されることができる。滑子案内部70によりピン68は連行されて、伝動機構部材64は反時計回りで旋回して、それにより、突起72が上方へ鍔30の軌道から外れて旋回し、工具18は取り外されることができる。図4a〜図4cに示したこの状態は開放位置と呼ばれる。
【0042】
打撃変換装置54は、打撃ピストンにより打撃変換装置54に主打撃方向で作用する打撃を、逆向きの、解放打撃方向とも呼ばれる方向に変向するために働くので、打撃は突起72により工具18の鍔30に解放打撃方向で伝達されることができる。このために、打撃変換装置54は特に、圧縮コイルばね74を備えた解放打撃ラム38と、ピストン52と、伝動機構部材64と、突起72とを有している。
【0043】
さらに、打撃変換装置54は、オペレータがハンマを引き抜こうと試みた際に、引っ掛っている工具に作用する力を検出するために役立つ。それにより、打撃変換装置は一種の力検出装置の機能を有していて、力検出装置の助けを借りて、突起72を介して引張力が工具18に導入されることができるようになっており、この力が同時に解放打撃ラム38の、圧縮コイルばね74に抗した移動を生ぜしめる。それにより、解放打撃ラム38の移動は、オペレータにより引き起こされる引張力に対して比例的である。
【0044】
さらに、打撃変換装置54は切換装置の機能を有している。それというのは、打撃変換装置54が、解放打撃ラム38の、打撃ピストンの打撃範囲内への移動により、解放打撃状態への切換えを可能にするからである。
【0045】
圧縮コイルばね74の巧みな寸法設定により、力検出装置は、例えばハンマを工具と共に、加工したい岩石から単純に持ち上げること、かつこれにより工具18の重量力を力検出装置に入力することが、主打撃状態から解放打撃状態への切換えを切換装置によって生ぜしめるにはまだ不十分であるように構成される。特に、このことは、圧縮コイルばね74が予負荷されていて、その結果、閾値を成すプレロード力を超過して初めて圧縮コイルばね74の変形が可能であることにより達成される。閾値は、工具が重い場合においても、工具重量だけでは解放打撃状態への切換えが行われないように設定されているべきである。オペレータがハンマをより強く引いたことが確認されて初めて、切換えが実施されてよい。
【0046】
原理的に、本発明の別の実施形態では、オペレータによりハンマに加えられる引張力を検出すべき力検出装置と、主打撃状態と解放打撃状態との間で切換えるための切換装置とを別個の装置として、つまり打撃変換装置54に対して付加的に設けることも可能である。
【0047】
伝動機構部材64は特別に成形された側面の輪郭80を有しており、この輪郭80は突起72へと続いている。輪郭80は滑動面として、ピストン52の、伝動機構部材64に面した端面を支持するために役立ち、軸66に対するその異なる半径方向の間隔に基づいて、ピストン52ひいては解放打撃ラム58を適当に軸方向で移動させる働きを有している。輪郭80を有した伝動機構部材64ひいてはピストン52の種々異なる位置は特に図1a、図3a、図4aから見て取ることができる。
【0048】
特に図3aに示されているように、伝動機構部材64は鍔30により軸66を中心として、輪郭80の部分が、工具ユニットのハウジング12に形成されていて傾斜した面を成すストッパ82に対して当接するまで旋回させられる。このようにして、伝動機構部材64のための確実な終端位置が確定され、この終端位置は、突起72が工具18の鍔30に接触して留まることをも保証する。既に上で述べたように、ストッパ82はさらに、係止及び係止解除レバー58を、図1bに示した位置に位置決めするために働く。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1a】打撃位置(主打撃状態)にある、工具を装着した工具ユニットの軸方向断面図である。
【0050】
【図1b】図1aの軸方向断面図に対して平行な、つまり図1aの断面図に比べて若干読者寄りの断面を示す図である。
【0051】
【図1c】主打撃状態にある工具ユニットの斜視図である。
【0052】
【図2a】アイドリング状態の、図1aに対応する図である。
【0053】
【図2b】アイドリング状態の、図1bに対応する図である。
【0054】
【図2c】アイドリング状態にある工具ユニットの斜視図である。
【0055】
【図3a】解放打撃位置(解放打撃状態)の、図1aに対応する図である。
【0056】
【図3b】解放打撃位置の、図1bに対応する図である。
【0057】
【図3c】解放打撃位置にある工具ユニットの斜視図である。
【0058】
【図4a】工具を取り外した開放位置の、図1aに対応する図である。
【0059】
【図4b】工具を取り外した開放位置の、図1bに対応する図である。
【0060】
【図4c】工具を取り外した開放位置にある工具ユニットの斜視図である。

Claims (16)

  1. 軸方向で往復可動な打撃ピストンを有する打撃発生装置を備えた打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマであって、
    主打撃状態では打撃ピストンが、軸方向での限定的な区間にわたって可動な工具(18)の工具シャフト(16)を直接的にまたは中間エレメントを介して主打撃方向で負荷し、
    それに対して解放打撃状態では打撃ピストンが直接的に工具シャフト(16)を負荷するのではなく、打撃変換装置(54)を負荷して、該打撃変換装置(54)を介して工具(18)を間接的に、主打撃方向とは逆向きの解放打撃方向で負荷し、かつ
    工具(18)が、処理したい材料内で引っ掛ってしまった場合に、主打撃状態から解放打撃状態へと切換可能である
    形式のものにおいて、
    処理したい材料内に引っ掛った工具(18)に作用し、打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマの引き抜きによって工具(18)により惹起される引張力を検出するための力検出装置が設けられており、
    該力検出装置が、主打撃状態から解放打撃状態への切換えのための切換装置と協働し、
    引張力が、設定された閾値を上回った場合に、解放打撃状態への切換えが実施される
    ことを特徴とする、引っ掛った対象物を解放打撃するために適した打撃装置を備えた打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  2. 力検出装置および切換装置が打撃変換装置(54)の構成部分である、請求項1記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  3. 工具(18)に作用する引張力が、工具(18)の、打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマのその他の部分に対して相対的な軸方向での移動に関して、予め規定された関係にあって、かつ工具(18)が解放打撃状態では、主打撃状態に比べて軸方向で一区間分だけ移動させられている、請求項1または2記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  4. 打撃変換装置(54)の第一の部分(38)が解放打撃状態で、軸方向での区間にわたって打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマから引き出し可能な工具(18)により、打撃ピストンの作用範囲内に移動可能である、請求項2または3記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  5. 打撃変換装置(54)の第二の部分(72)が、工具(18)に設けられたストッパ(30)に形状結合式に接触できるように形成されており、工具(18)の運動が第二の部分を介して打撃変換装置(54)の第一の部分に伝達可能であるようになっている、請求項3または4記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  6. 主打撃状態において、
    打撃変換装置(54)の第一の部分を形成する解放打撃ラム(38)が戻しばね(74)の作用により打撃ピストンの作用範囲から引き離されており、
    同時に打撃変換装置(54)が戻しばね(74)の作用の下で、打撃変換装置に属していて第二の部分を形成する突起(72)を、工具(18)に設けられたストッパ(30)の運動軌道内に突入させるように予負荷されており、かつ
    解放打撃状態において、
    工具(18)のストッパ(30)が、その変化した軸方向位置に基づいて、打撃変換装置(54)を戻しばね(74)の作用に抗して負荷し、ばね力を克服すると、解放打撃ラム(38)の打撃面を打撃ピストンの作用範囲内に移動させる、
    請求項4または5記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  7. 打撃ピストンが解放打撃ラム(38)を解放打撃状態において主打撃方向で負荷する、請求項6記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  8. 打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマが駆動ユニットと工具ユニット(10)とに区分されており、両者はその都度1つのハウジング(12)を有しており、かつハウジングの機械的な結合により互いに連結可能であり、
    駆動ユニットの、工具ユニットに対して方向付けられた連結領域内に打撃ピストンの打撃面が配置されており、打撃ピストンが工具ユニットの連結領域で工具シャフト(16)の打撃面および解放打撃ラム(38)の打撃面に正対しており、その際、主打撃状態では解放打撃ラム(38)が戻しばね(74)により打撃ピストンの作用範囲から引き離されていて、しかも同時に戻しばね(74)の作用下で打撃変換装置(54)の伝動機構部材(64)に支持されているようになっており、該伝動機構部材(64)が突起(72)でもって、工具(18)に設けられたストッパ(30)の運動軌道内に突入し、かつ
    アイドリング状態で工具シャフト(16)が打撃ピストンの作用範囲から引き離されると、ストッパ(30)が突起(72)に到達し、その結果、工具(18)のこの運動を継続すると、ストッパ(30)が伝動機構部材(64)を戻しばね(74)の作用に抗して負荷し、ばね力の克服時に解放打撃ラム(38)を打撃ピストンの作用範囲内に移動させる、
    請求項6または7記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  9. 前記ストッパが、工具(18)の横断面を拡幅した鍔(30)である、請求項1から8までのいずれか1項記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  10. 前記伝動機構部材(64)が、第一の軸(66)を中心として旋回可能にハウジング(12)に支承された変向レバーである、請求項6から9までのいずれか1項記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  11. 伝動機構部材(64)にロック装置(58)が対応配置されており、該ロック装置(58)が、伝動機構部材(64)の旋回角を2つの限界位置の間で制限するために適しており、それにより、突起(72)が常時ストッパ(30)の軌道内に突入し、かつ解放打撃ラム(38)が一方の限界位置では打撃ピストンの作用範囲内に位置し、かつ他方の限界位置ではまさにこの作用範囲外に位置する、請求項6から10までのいずれか1項記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  12. 前記ロック装置が係止および/または係止解除レバー(58)であって、該係止および/または係止解除レバー(58)が、伝動機構部材(64)の旋回軸である軸(66)に対して平行であって該軸(66)から間隔を有した軸(62)を中心として旋回可能にハウジング(12)に支承されており、係止結合(76,78)によりロック・係止位置で、ハウジング(12)に対して相対的なその角度位置に固定可能であり、かつ
    伝動機構部材(64)に形成されたピン(68)が、係止および係止解除レバー(58)に設けられた滑子案内部(70)内に係入して、該滑子案内部(70)がそのロック・係止位置において伝動機構部材(64)の旋回角を両制限位置の間で制限し、その一方で、係止結合(76,78)の克服後には、係止および係止解除レバー(58)がロック解除位置に旋回可能であって、ロック解除位置では滑子案内部(70)により伝動機構部材(64)が旋回させられて、突起(72)が、工具(18)に設けられたストッパ(30)の運動軌道外に外れた位置へと達する、
    請求項11記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  13. 係止および係止解除レバー(58)が、軸方向で互いに間隔を有していて軸(62)から離間した側の端部においてウェブ(60)により結合された2つの脚部(58a,58b)から成っており、該脚部(58a,58b)にはその互いに背離した外面に、ハウジング(12)内に支承するための軸(62)として、その都度1つの軸片が設けられており、かつ伝動機構部材(64)が両脚部(58a,58b)間の中間スペース内に係入する一方、伝動機構部材(64)の軸(66)が係止および係止解除レバー(58)の旋回範囲外に位置している、請求項12記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  14. 駆動ユニットおよび工具ユニットが一体的に互いに結合されている、請求項8から13までのいずれか1項記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  15. 主打撃状態と解放打撃状態との間で、少なくとも短期的に、アイドリング位置にある工具(18)を伴ったアイドリング状態が生ぜしめられる、請求項1から14までのいずれか1項記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
  16. 打撃ピストンが打撃変換装置(54)を解放打撃状態において主打撃方向で負荷する、請求項1から15までのいずれか1項記載の打撃ハンマおよび/または穿孔ハンマ。
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