JP2004526526A - 屈曲ヒンジを備える人工膝関節 - Google Patents

Abstract

本発明は、２つの向かい合う分岐部（８）を備えるフォーク状ヒンジ、その屈曲軸（１９）に対してある角度をなしてフォーク状ヒンジに挿入されるセンター部（１４）、及びセンター部（１４）がフォーク状ヒンジに挿入されるとすぐに、長手方向にセンター部が動くことによって、フォーク状ヒンジとセンター部（１４）の一列になったヒンジ孔（１１，２０）にまたがるヒンジシャフトによって構成される屈曲ヒンジを備える人口膝関節に関する。外側から人口関節にシャフトを挿入しないためには、組立位置ではセンター部（１４）内に配置され、取付ポジションでは部分的に突出している２つのピンスタンプ（１２，１３）によって形成される。

Description

【０００１】
本発明は、屈曲運動を決めるヒンジを有する人工膝関節に関する。これは、固定のためにのみ使用されるヒンジ（ＤＥ−Ｃ−３１１９８４１，ＥＰ−Ａ−７１６８３９，ＥＰ−Ａ−７９１３４３，ＥＰ−Ａ−４２０４６０）又は、全荷重を伝えるヒンジ（ＧＢ−Ｃ−１３０５３９１，ＥＰ−Ａ−２７８１８４，ＦＲ−Ｃ−２１６１５８８，ＵＳ−Ａ−３７７２７０９）であってよい。ヒンジは、いずれの場合にも、通常大腿骨に接続されるフォーク状ヒンジと、脛骨に接続されるヒンジセンターピースによって形成される。フォーク状ヒンジとセンターピースの分岐部にヒンジピンが通るように調整された孔が形成される。
【０００２】
一般に、人工膝関節の大腿骨及び脛骨構成部品はまず別々に埋め込まれ、その後、互いに連結される。部品が互いにヒンジピンだけで連結されている場合において、部品が埋め込まれた後に、ピンは側面から、結合した受入れ孔に押し込まれる。これは、大腿骨頭の一つに、対応する挿入開口部を必要とし、それは反対に骨を弱くし、手術中に余分な仕事を伴うことになる。
【０００３】
脛骨に平行な軸（ジャーナル）を有する回転軸受を経由して脛骨構成部品に連結される固定部分にヒンジを含む人工膝関節において、構成部品はほとんどの場合、一方の構成部品にある軸（ジャーナル）をもう一方の構成部品の受入れ孔に挿入することによって結合される。これは、膝の靭帯器具をかなり伸ばさなければならない不利益を有する。
【０００４】
本発明は、請求項１に明確に述べた特徴によってこれらの不利益を回避する。つまり、単一のヒンジピンの代りに、２つのポジションを採用できる二つのピンスタンプを利用する。組立用のポジションでは、ピンスタンプはほぼ完全にヒンジセンター部内に保持される。ピンスタンプは、センター部をフォーク状ヒンジに側面から嵌め込むことができる程度に、センター部の奥に配置される。その後、ピンスタンプはセンター部から押し出されて、取付け状態の位置に入り、その位置でそれらはフォーク状分岐部に備えられた受入れ孔に充分に突出する。
【０００５】
ヒンジのセンター部端面とフォーク状分岐部との間の距離は非常に小さいので、ピンスタンプはセンター部の中で長い支持長さを必要とせず、ピンスタンプに加わるトルクもまた、相応して小さい。しかしながら、センター部のヒンジ孔の壁部に係合する支持突出部及び／又は互いのピンスタンプを支持し合う支持突出部を有することはピンスタンプにとって好ましい。センター部のヒンジ孔の長さの半分より長い突出部をピンスタンプが備えることにより、生じるトルクを安全に伝えることができる。
【０００６】
好ましい実施態様において、一方のピンスタンプの支持突出部は、軸（ジャーナル）であり、シリンダー状に作られた他方のピンスタンプの支持突出部に挿導される他の支持形状も考えられる。例えば、各ピンスタンプは、その周囲まわりに間隔をあけた歯のような環状突出部を有することもできる。その突出部は、組立ポジションにおいて、逆向きに配置された他方のピンスタンプの突出部同士の間に、センター部の孔のほぼ全長さ分伸びており、いずれも、センター部の受入れ孔の周囲に係合する。
【０００７】
組立を簡単にするために、ピンスタンプにばねによる広がり力に付することができ、この力はピンスタンプ同士を離して取付位置に動かすと同時に、それらがフォーク状分岐部の受孔に到達させることができる。例えば、組立の開始時には、ピンスタンプをセンター部に押し込むように、ヒンジのセンター部を親指と人差し指の間に保持する。センター部をその後、フォーク状分岐部の間の空間に押し込む。それによってピンスタンプは、フォーク状分岐部の端面に圧迫されてセンター部の中に保持される。
ピンスタンプが受孔に到達して初めてピンスタンプがひろがりばねの作用により素早く離れて、取付状態となる。
【０００８】
しかしながら、手術中の外科医が、組立の開始からピンスタンプをしっかりと保持することに注意を向けなくても済むように、保持装置を備えていても良い。
【０００９】
この保持装置はピンスタンプの少なくとも一方の端面をフォーク状ヒンジへ自由に挿入できるようにすることを意図している。よって保持装置は、ヒンジセンター部がピンスタンプと共に少なくとも部分的にヒンジフォークに噛み合わされば、直ちに取り外すことが可能である。
【００１０】
分解のためには、ピンスタンプをフォーク状ヒンジにある受孔から引き戻すことが必要である。この目的のためには、手術中にアクセス可能な位置で、センター部の円周表面に開口部を形成すればよい。開口部を通して、器具をピンスタンプの好適なグリップ表面に到達させることができる。この開口部は一つの長方形穴又は各ピンスタンプに一つずつ割り当てられた２つの長方形穴であってもよい。器具はまた、もしばね力が不十分だとか、医師がピンスタンプが最終取付ポジションに到達したことを確実にすることを望むのであれば、ひろがり処置を補助するためにも利用することができる。
【００１１】
ピンスタンプを組立ポジションに引き戻すような力が加わることを心配する理由はないので、取付位置にピンスタンプを固定することは必須ではない。しかしながら、もし確実にすることを望むのであれば、安全装置のようなものを備えても良い。
【００１２】
本発明を、有利な実例となる実施態様を表した図を参照して以下により詳細に説明する。
【００１３】
人口関節は幹（ステム）２が脛骨に埋め込まれる脛骨構成部品１及び、幹４が大腿骨に埋め込まれる大腿骨構成部品３から成る。最上部で、脛骨構成部品１はプレート５になり、プレートはポリエチレン台座６を支持し、ポリエチレン台座の上部は大腿骨構成部品のランナー７のためのスライド表面を形成する。垂直荷重はこれらの部分を通じて伝えられる。
【００１４】
構成部品１及び３を固定するために、固定処置が施され、構成部品１及び３の間に屈曲運動を可能にするヒンジと回転軸受を形成する。大腿骨構成部品３は、互いに平行に箱型の配置されたプレート８を備え、受入れ孔９を備えるフォーク状ヒンジを形成している。受入れ孔９は帽子型ポリエチレン軸受部１０によって内側を覆われ、軸受部分は中空円筒状軸受表面１１を形成する。そこに、ピンパート１２，１３が挿入され、それらの他端はヒンジセンター部１４内に配置される。ヒンジセンター部はジャーナル１５の上端部に一体化して形成され、ジャーナルは受入れ孔１６内で回転できるように取り付けられている。受入れ孔１６は脛骨構成部品１の幹２にほぼ平行に備えつけられる。この固定処置により、大腿骨構成部品と脛骨構成部品との間の相対運動は、ピンスタンプ１２の軸１９周りの屈曲運動として、又は孔１６によって範囲が決められた回転軸周りの回転運動としてだけ起こすことができるようになる。
【００１５】
ヒンジセンター部１４は、望まない金属間接触を避けるために、フォーク状ヒンジ分岐部８の間であって、ポリエチレン部１０のリム１７の間の、ほぼ遊びの無い位置にある。
【００１６】
図５に示すように、ピンスタンプ１２，１３は、組立ポジションをとれるように、ヒンジのセンター部１４の孔２０から引き出したり押し込んだりできる。ピンスタンプの端面２１は、ヒンジセンター部１４の端面とほぼ同一平面上にあり、ともにどんな場合でもフォーク形状分岐部８の間にある組立時に利用可能な空間よりも幅広にならないようにする。外周におしてるピンスタンプ１２，１３のそれぞれの軸寸法は、ヒンジセンター部１４の対応する寸法のほぼ半分である。圧縮ばね２２によって、ピンスタンプはこの組立ポジションから強制的に外に出され、取り付け状態の体勢をとる位置に入る。これがあまりに直ぐ起きないようにするために、図７に示したように、ピンスタンプは保持装置２３によって組立ポジションにしっかりと保持される。図９に別に示したこの保持装置は、所定の固定された距離に配置された２つのロッド２４を有し、ロッドはヒンジセンター部１４にある長方形穴２５を通ってピンスタンプ１２，１３の孔２６に嵌め込まれる。保持装置２３は、ネジ２７によってヒンジセンター部１４上の固定位置に一時的に固定されることができる。
【００１７】
この組立状態に固定されている限り、脛骨構成部品１及び大腿骨構成部品３は、図４に示したように結合することができる。フォーク形状部８の間にピンスタンプ１２，１３がくる位置にヒンジセンター部１４がき次第、保持装置２３は取り外される。構成部品がフォーク形状分岐部８及びヒンジセンター部１４にある孔が互いに同一平面にある相対位置に到達し次第、ピンスタンプ１２，１３はばね２２の作用によって素早く広がり、受入れ孔１１に入る。器具２３’によって、（器具のロッド２４’だけが図８に示されているが、）ピンスタンプ１２，１３を、もしそれらがばね２２の作用によってまだ最終位置に到達していないのであれば、さらに広げることが可能である。その後、医者はネジ３０によってピンスタンプ１２，１３を取付位置に固定することができる。図６に示したように、ネジ３０はピンスタンプ１２，１３に備えられた支持突出部３１，３４の孔３５，３６に挿入される。
【００１８】
長方形穴２５を通じて常に孔２６に届くことができように、即ち、孔がピンスタンプ１２，１３の方向変換によって消失しないようにするために、回転防止手段、すなわち孔２０に配置された縦リブ２８が備えられ、これは対応するピンスタンプ１２、１３の溝２９と協働する。
【００１９】
必要に応じて、もしヒンジセンター部が狭く作られたなら、ピンスタンプ１２，１３は軸方向の相対的に短い長さに渡ってのみヒンジセンター部１４の孔２０に収容されて、孔２０と協働する。ピンスタンプ１２，１３に加わるトルクは僅かだが、付加的に支持用形態をとることは好ましい。示した実施例において、ピンスタンプ１３は、ピンスタンプ１２の支持突出部３４の円筒状孔３３に、堅固にガイドされる円筒状円周表面３２を持つ支持ジャーナル３１を有することによってこれは成し遂げられている。取り付け状態においても、これらの表面は、それらが互いに支持し、ガイドし合う状態にある。
【００２０】
人工関節構成部品を互いに取り外す場合には、ピンスタンプ１２，１３を、図８に示した器具を利用してともに引き戻す。そうすれば、ヒンジセンター部はフォーク状ヒンジ８から取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】図１は広がった状態の人口関節の主要部分の背面図である。
【図２】図２は大腿骨構成部品の斜視図である。
【図３】図３は脛骨構成部品の斜視図である。
【図４】図４は上記部品を組立て中の斜視図である。
【図５】図５はピンスタンプが組立て位置にあるヒンジのセンター部の斜視図である。
【図６】図６はピンスタンプが取付ポジションにあるヒンジの斜視図である。
【図７】図７は、保持装置によって組立て位置に保持されたピンスタンプを備えるセンター部の部分図である。
【図８】図８は保持装置の斜視図である。
【図９】図９は、図７に対応する位置で、器具によって広がったピンスタンプを示す。

Claims (7)

1. 対向している２つの分岐部（８）を備えるフォーク状ヒンジと、ヒンジ屈曲軸に対して横方向にフォーク状ヒンジに嵌るセンター部（１４）と、センター部（１４）がフォーク状ヒンジに嵌った後、フォーク状ヒンジとヒンジセンター部（１４）の一列になったヒンジ孔（１０，２０）中を、縦方向に移動することにより、取付状態となるヒンジピンと、によって形成される屈曲ヒンジを備える人口膝関節であって、
   ヒンジピンが、組立ポジションではセンター部（１４）の内側に配置され、取付ポジションでは部分的にセンター部から突出する２つのピンスタンプ（１２，１３）によって形成されることを特徴とする人口膝関節。
2. ピンスタンプ（１２，１３）が、挿入部（１４）のヒンジ孔（２０）の壁部及び／又は他方のピンスタンプ（１３，１２）を支え、挿入部（１４）のヒンジ孔（２０）の半分の長さを越えて伸びる支持突出部（３１，３４）を有することを特徴とする請求項１に記載の人口膝関節。
3. 一つのピンスタンプ（１３）の支持突出部が、軸（３１）として形成されて、該軸（３１）が円筒状にデザインされた他方のスタンプ（１２）の支持突出部（３４）に挿導されることを特徴とする請求項２に記載の人口膝関節。
4. ピンスタンプ（１２，１３）にばね（２２）による伸展力が付されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一つによる人口膝関節。
5. 組立ポジションにピンスタンプ（１２，１３）を保持するために、保持装置（２３）が備えられており、該保持装置（２３）により、ピンスタンプ端面（２１）の少なくとも一部をフォーク状分岐部（８）の間に自由に挿入できるようにすることを特徴とする請求項４に記載の人口膝関節。
6. ピンスタンプ（１２，１３）を広げ及び／又はそれらを共に引き戻すための器具（２３’）を、挿入部（１４）の周面にある開口部（２５）を通って導入し、ピンスタンプに到達させることができることを特徴とする請求項５に記載の人口膝関節。
7. 取付ポジションにピンスタンプ（１２，１３）を固定する手段（３０，３５，３６）を備えたことを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項に記載の人口膝関節。