JP2004525968A - 鼻適用のためのイミダゾトリアジノン含有の組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、鼻適用のためのイミダゾトリアジノン含有の組成物に関する。該組成物は、該cGMP-PDE阻害物質に加えて少量の局所麻酔薬を含有する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻投与のためのイミダゾトリアジノン含有の組成物であって、該イミダゾトリアジノンに加えて少量の局所麻酔薬を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サイクリックグアノシン-3',5'-一リン酸ホスホジエステラーゼ阻害物質(短縮してcGMP-PDE阻害物質)は、よく知られた作用範囲を有する(例えば、欧州特許出願公開EP-A-0463756、国際特許出願公開WO99/24433を参照)。本発明に包含されるイミダゾトリアジノンは、このようなcGMP-PDE阻害物質としてWO99/24433に記載されている。特に、ペニス勃起過程の生化学的基礎が数年前に解明され、この基礎に基づいて、cGMP-PDE阻害物質、特にPDE5阻害物質が男性勃起障害の治療に適することが報告された[Rajferら, New England J.Med. 326 (1992), 90; Murray, Drug News & Perspectives 6 (1993), 150を参照]。それに続いて、男性勃起障害を治療するために、ある種のcGMP-PDE阻害物質を使用することが国際特許出願公開WO94/28902に記載され、これらの1つ[クエン酸シルデナフィル(sildenafil citrate)、バイアグラ(ViagraR)]が、現在この徴候に経口投与しうる薬物として証明されている。しかし、経口投与の1つの欠点は、作用の開始が遅いことであり、これが、特にこの徴候にある患者が望む自発性に有害であることである。さらに、最初の通過作用または食物作用が、経口投与された薬物の効果を損なうことがある。
【0003】
原則的に、活性成分の鼻投与によって、血流中の活性成分レベルのより速い上昇、およびこれに付随して作用開始の促進を達成することが可能なはずである。従って、cGMP-PDE阻害物質を、特に男性勃起障害を治療するために鼻投与することについて、当分野で提案に事欠くことはない(国際特許出願公開WO96/32003、WO97/03985、WO98/53819、WO99/24433、欧州特許出願公開EP-A-0967214、WO00/00199を参照)。例えば、EP-A-0967214は、より良好な水溶性を有するシルデナフィル塩(即ち、シルデナフィルメシレート)の鼻投与および達成しうる血流中の活性成分レベルのより速い上昇、さらに、これにより経口経路と比較して少ない量の活性成分が必要になることを記載している。
【0004】
しかし、cGMP-PDE阻害物質の鼻投与において問題が生じることがある。その作用機構のゆえに、これらの物質は血管拡張物質である。PDE5は鼻腔組織にも存在するので、PDE5阻害物質の鼻投与は、鼻粘膜血管の局所拡張を導く。この結果は、患者にとって不快な鼻の状態、例えばむずむず感もしくはずきずき感、または涙目、鼻空気抵抗の増加および/または鼻づまりであるが、毒性学的には局所刺激は検出されない。欧州特許出願公開EP-A-0967214には、これらの作用はシルデナフィルメシレートの迅速な吸収を損なわないと記載されているが、鼻の不快状態(これは特に性交渉中に気分を害する)、鼻空気抵抗の増加または鼻づまりは、些細とは言えない欠点のままである。
【0005】
欧州特許出願公開EP-A-0992240(国際特許出願公開WO98/53819に対応する)は、上記の欠点によって引き起こされるcGMP-PDE阻害物質の不適切な吸収を、血管収縮性の活性成分(例えば、エピネフリン、硝酸ナファゾリン、塩酸トラマゾリンまたはテトラゾリン)、抗アレルギー物質(例えば、クロモリンナトリウムまたはフマル酸ケトチフェン)、鼻粘膜分泌の抑制剤(例えば、臭化フルトロピウム)、またはステロイド(例えば、プレドニゾロン)の添加によって回避することを提案している(これが、上記の患者にとって不快な感覚の発生を十分に妨げることを例示していない)。
【0006】
現在、局所麻酔薬の鼻投与が、鼻領域の手術前の表面麻酔のために開示されている。さらに、米国特許US-4,602,099は、ライノウイルス感染の症状の追加処置のために、抗ライノウイルス薬物中の補助薬として局所麻酔薬を使用することを記載している。この特許において使用されている局所麻酔薬の唯一の例は、ベンジルアルコールである。ベンジルアルコールは防腐剤または可溶化剤としても知られており、欧州特許出願公開EP-A-0967214および国際特許出願公開WO00/00199においてはこれらの機能で、これら特許文献に挙げられている配合物のために追加で使用しうる複数の補助薬の1つとして記載されていることに注意すべきである。さらに、ベンジルアルコールは、cGMP-PDE阻害物質の鼻投与の際に生じる上記の欠点を軽減または防止しえないことが、本発明の範囲内で明らかになった。
【0007】
国際特許出願公開WO99/15177は、液晶ニコチン調製物であって、これに局所麻酔薬を添加して、ニコチンの局所刺激作用によって引き起こされるその不利な作用を回避した調製物を記載している。この場合、局所麻酔薬は、末梢の痛み受容体をブロックすることによって作用する。鼻投与したときのcGMP-PDE阻害物質は、このような局所刺激作用をわずかしか示さないか、または全く示さないことに注意すべきである。
【0008】
英国特許出願公開GB-A-2315673は、偏頭痛の治療のために、5-HT1Dアゴニストに加えて局所麻酔薬(例えばリドカイン)を鼻内投与することを提案している。局所麻酔に対して知られている痛み伝達遮断作用に加えて、この提案は、局所麻酔薬の血管拡張作用に基づいており、これが、5-HT1Dアゴニストの吸収の促進を導き、従ってより速い作用開始を導く。
従って、cGMP-PDE阻害物質の血管拡張特性に基づく上記の欠点が、血管拡張作用のゆえに局所麻酔薬の存在によってさらに増強されることが予想されるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、鼻投与のためのイミダゾトリアジノン含有の組成物であって、その使用が、不快な鼻の状態、涙、鼻空気抵抗の増加または鼻づまりなどの欠点を伴わない組成物を見い出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、少なくとも1つのイミダゾトリアジノンおよび少なくとも1つの局所麻酔薬(この局所麻酔薬はベンジルアルコールではない)を含んでなる組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0011】
驚くべきことに、上記の欠点を克服するために、イミダゾトリアジノン含有の組成物にごく少量の局所麻酔薬を添加することが必要になるだけであることがわかった。通常、この目的に必要な局所麻酔薬の用量は、表面麻酔に必要な量よりも明らかに低い。従って、刺激を伝達する神経のブロック後に起こるような局所麻痺の感覚(例えば局所麻酔による)を、本発明の組成物の使用時に回避することができる。さらに、本発明に係るcGMP-PDE阻害物質の鼻組成物への局所麻酔薬の添加は、驚くべきことに、局所麻酔薬の血管拡張特性に基づいて予測される血漿レベルにおける過度のピークの増強ならびに予測される鼻におけるcGMP-PDE阻害物質の吸収の促進および増加を導くことがない。即ち、本発明の組成物の使用時に、副作用の増加または作用期間に関連する欠点は生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明によれば、組成物中に含有されるcGMP-PDE阻害物質は、式(I):
【化1】
{式中、
R1は、水素または4個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキルであり;
R2は、4個までの炭素原子を含む直鎖アルキルであり;
R3およびR4は、同一または異なって、5個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル(これは所望により、ヒドロキシルまたはメトキシにより、同一または異なって2回まで置換されている)であるか;または
R3およびR4は、窒素原子と一緒になって、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル環、または、式:
【化2】
[式中、R7は、水素、ホルミル、それぞれ6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアシルまたはアルコキシカルボニルであるか、または6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル(これは所望により、ヒドロキシル、カルボキシル、それぞれ6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシまたはアルコキシカルボニルにより、同一または異なって1〜2回置換されている)であるか、またはC3 - 8シクロアルキルである]
で示される基を形成し;
窒素原子と一緒になって形成されるR3およびR4で示される複素環は、所望により、ヒドロキシル、ホルミル、カルボキシル、それぞれ6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアシルまたはアルコキシカルボニルにより、同一または異なって、また所望によりジェミナルに、1〜2回置換されており;そして/または
窒素原子と一緒になって形成されるR3およびR4で示される複素環は、所望により、6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル(これは所望により、ヒドロキシルまたはカルボキシルにより、同一または異なって1〜2回置換されている)により置換されており;そして/または
窒素原子と一緒になって形成されるR3およびR4で示される複素環は、所望により、N-結合したピペリジニルまたはピロリジニルにより置換されており;
R5およびR6は、同一または異なって、水素、6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、ヒドロキシルであるか、または、6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシである}
で示される化合物ならびにその塩、異性体および/または水和物である。
【0013】
本発明に従って特に好ましい組成物は、cGMP-PDE阻害物質として、2-{2-エトキシ-5-[(4-エチルピペラジン-1-イル)スルホニル]フェニル}-5-メチル-7-プロピルイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4(3H)-オン[バルデナフィル(vardenafil)]、またはその薬学的に許容される塩、異性体および/または水和物(例えば、対応する塩酸塩、塩酸塩・三水和物、クエン酸塩またはメシレート)を含有する。
【0014】
式(I)の化合物は、例えば、国際特許出願公開WO99/24433に記載のようにして製造することができる。
【0015】
他に示すことがなければ、置換基は、一般に、本発明の目的のために以下の意味を有する。
「アルキル」は、一般に、1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基である。挙げることができる例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、およびイソヘキシルである。
「アシル」は、一般に、カルボニル基を介して結合している1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の低級アルキルである。挙げることができる例は、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニル、およびイソブチルカルボニルである。
【0016】
「アルコキシ」は、一般に、酸素原子を介して結合している1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の炭化水素基である。挙げることができる例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシである。「アルコキシ」および「アルキルオキシ」は同意語として使用される。
「アルコキシカルボニル」は、例えば、式:
【化3】
によって示すことができる。この場合のアルキル(Alkyl)は、一般に、1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基である。挙げることができる例は、次のアルコキシカルボニル基である:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルまたはイソブトキシカルボニル。
「シクロアルキル」は、一般に、3〜8個の炭素原子を含む環状炭化水素基である。シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが好ましい。挙げることができる例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルである。
【0017】
「複素環」は、本発明の目的のためには、一般に、飽和、不飽和または芳香族の3〜6員(例えば5または6員)の複素環であり、該複素環は、S、Nおよび/またはOからなる群からの3個までのヘテロ原子を含有していてよく、窒素原子の場合は、これを介して結合していてもよい。挙げることができる例は、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピロリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,2,3-トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、モルホリニルまたはピペリジルである。チアゾリル、フリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびテトラヒドロピラニルが好ましい。「ヘテロアリール」(または「ヘトアリール」)という用語は、芳香族複素環式基を表す。
【0018】
上記の式(I)の化合物は、その塩の形態で存在することもできる。通常、有機または無機の塩基または酸との塩をここで挙げることができる。
生理学的に許容される塩が本発明の目的のために好ましい。本発明に係る化合物の生理学的に許容される塩は、本発明に係る物質と、無機酸、カルボン酸またはスルホン酸との塩であってよい。特に好ましい例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸または安息香酸ならびに糖酸(例えば、グルクロン酸またはラクトビオン酸)との塩である。
【0019】
また、生理学的に許容される塩は、遊離カルボキシル基を有する本発明に係る化合物の金属塩またはアンモニウム塩であってもよい。特に好ましい例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩、ならびに、アンモニアまたは有機アミン、例えば、エチルアミン、ジまたはトリエチルアミン、ジまたはトリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、アルギニン、リシンまたはエチレンジアミンから誘導されるアンモニウム塩である。
【0020】
式(I)の化合物は、異性体の形態で存在することができる。これは、本発明によれば、像と鏡像の関係にある(エナンチオマー)か、または像と鏡像の関係にない(ジアステレオマー)、立体異性体の形態を意味する。本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマー、これらそれぞれの混合物の両方に関する。ラセミ形態は、ジアステレオマーと同様に、既知の方法で、例えばラセミ体分割またはクロマトグラフィー分離によって、立体異性体的に純粋な成分に分離することができる。本発明に係る化合物中に存在する二重結合は、シスまたはトランス配置(ZまたはE形)であることができる。
【0021】
また、式(I)の化合物は、水和物の形態で存在することもでき、この場合、遊離化合物の水和物およびその塩の水和物の両方が本発明に包含される。塩の水和物の1つの例は、バルデナフィル塩酸塩・三水和物である。
【0022】
経口投与に必要なcGMP-PDE阻害物質の量と比較すると、好ましくは、わずか0.001〜0.5mg/kgのcGMP-PDE阻害物質の量が、鼻投与される本発明の組成物に必要になる。
【0023】
本発明に従って使用することができる局所麻酔薬は、自体既知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 1990, p.1048-1056に挙げられている。局所麻酔薬は、永久的な害を引き起こすことなく、身体の限定された領域において、痛みまたは他の感覚刺激のためのニューロン伝達または感覚神経終末の興奮性を可逆的に抑制する化合物である[J.L.McGuire(編), Pharmaceuticals, vol.2, Wiley-VCH, Weinheim 2000, p.539以降, Helwig/Otto, Arzneimittel (医薬生成物), vol.II, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH Stuttgart, 2000, p.37-1以降を参照]。本発明の意味の範囲内の局所麻酔薬は、好ましくは、治療カテゴリー「局所麻酔薬」で、Index Nominum 2000, International Drug Directory, Scientific Publishers Stuttgart 2000に挙げられている物質を意味することが意図されている(この参照文献中の上記に関連する内容は本明細書の一部を構成する)。
【0024】
本発明に従って好ましい局所麻酔薬は、式(II):
【化4】
[式中、
R1は、H、NH2、NH(C1 - 6アルキル)、O-C1 - 6アルキルまたはCH2OPhであり;
R2は、O-C1 - 6アルキルであり、これは所望により、NH(C1 - 6アルキル)、N(C1 - 6アルキル)2または飽和の5もしくは6員の複素環(これは、少なくとも1個の窒素原子を含み、それを介して結合しており、所望によりN、O、Sからなる群からの1または2個のさらなるヘテロ原子を含み、所望により1〜3個のさらなるC1 - 6アルキル基を有する)からなる群からの基を有していてよいか、あるいは
(CH2)1 - 6-Hetであり、ここでHetは、飽和の5もしくは6員の複素環(これは、少なくとも1個の窒素原子を含み、それを介して結合しており、所望によりN、O、Sからなる群からの1または2個のさらなるヘテロ原子を含み、所望により1〜3個のさらなるC1 - 6アルキル基を有する)であり;
R3は、H、ハロゲンまたはO-C1 - 6アルキルである]
で示される化合物、または、式(III):
【化5】
[式中、
R1は、HまたはOHであり;
R2は、C1 - 6アルキル-N(C1 - 6アルキル)2であり、ここで架橋アルキル鎖は、所望により1またはそれ以上のC1 - 6アルキル基を有していてよいか、あるいは、飽和の5もしくは6員の複素環(これは、少なくとも1個の窒素原子、および所望により、N、O、Sからなる群からの1または2個のさらなるヘテロ原子を含み、所望により1〜3個のさらなるC1 - 6アルキル基を有する)であり;
R3は、C1 - 6アルキル、ハロゲンまたはCOOC1 - 6アルキルであり;
nは、1または2である]
で示される化合物、または、以下の物質:
【化6】
およびポリドカノールおよびベノキシネートからなる群からの化合物、ならびに、これらの生理学的に許容される塩および/または水和物である。
【0025】
本発明に係る特に好ましい局所麻酔薬は、式(II)において、
R1が、H、NH2、NH-n-C4H9、O-n-C3H7、O-n-C4H9またはCH2OPhであり、
R2が、OC2H5、O-n-C4H9、O-(CH2)2N(C2H5)2、O(CH2)2N(CH3)2、または以下からなる群:
【化7】
からの基であり、
R3が、H、Cl、O-n-C3H7またはO-n-C4H9である化合物;
または、式(III)において、
R1が、HまたはOHであり、
R2が、CH2N(C2H5)2、CHCH3NH-n-C3H7、CH2NH-n-C4H9、または以下からなる群:
【化8】
からの基であり、
R3が、CH3、ClまたはCOOCH3であり、
nが、1または2である化合物;
およびベノキシネート、ならびに、これらの生理学的に許容される塩および/または水和物である。
【0026】
本発明に従って特に好ましく使用しうる局所麻酔薬は、ベンゾカイン、ブタムベン、ピペロカイン、ピペロカイン塩酸塩、プロカイン、プロカイン塩酸塩、クロロプロカイン、クロロプロカイン塩酸塩、オキシブプロカイン、オキシブプロカイン塩酸塩、プロキシメタカイン、プロキシメタカイン塩酸塩、テトラカイン、テトラカイン塩酸塩、ニルバニン、リドカイン、リドカイン塩酸塩、プリロカイン、プリロカイン塩酸塩、メピバカイン、メピバカイン塩酸塩、ブピバカイン、ブピバカイン塩酸塩、ロピバカイン、ロピバカイン塩酸塩、エチドカイン、エチドカイン塩酸塩、ブタニリカイン、ブタニリカイン塩酸塩、アルチカイン、アルチカイン塩酸塩、シンコカイン、シンコカイン塩酸塩、オキセタカイン、オキセタカイン塩酸塩、プロピポカイン、プロピポカイン塩酸塩、ジクロニン、ジクロニン塩酸塩、プラモカイン、プラモカイン塩酸塩、フォモカイン、フォモカイン塩酸塩、キニソカイン、キニソカイン塩酸塩、ベノキシネートおよびポリドカノールである。これらの化合物は市販されているか、または、例えばJ.L.McGuire(編), Pharmaceuticals, vol.2, Wiley-VCH 2000, p.539以降に記載されているような、当業者に既知の方法により調製することができる。
【0027】
本発明に従って好ましく使用しうる局所麻酔薬は、ベンゾカイン、リドカイン、テトラカイン、ベノキシネート、ポリドカノールまたはこれらの薬学的に許容される塩である。本発明によれば、リドカイン塩酸塩およびリドカインメタンスルホン酸塩が特に好ましい。
【0028】
しかし、ここでもう一度、時には局所麻酔薬と称されることもあるベンジルアルコールが本発明に包含されないことを指摘しておくべきである。その理由は、それが上記の欠点を克服するのに不適切であること、およびさらに、鼻粘膜の局所刺激を導くことがわかったためである。
【0029】
本発明の組成物は、局所麻酔薬を、表面麻酔のための市販の局所調製物における通常の量よりも少ない濃度で、即ち4%(m/v)未満、好ましくは3%(m/v)未満の濃度で含有する。ここで、%(m/v)は%質量/容量を表す。即ち、例えば3%(m/v)は、3g物質/100ml溶液を意味する。本発明によれば、リドカインは、本発明の組成物中に、4%(m/v)未満、好ましくは0.5〜3.0%(m/v)の濃度で存在する。これは、100μlの投与容量を用いたときに、4mg未満、好ましくは0.5〜3mgの1回用量に対応する。これは、市販製品XylocainR4%中のリドカインの濃度を下まわる(XylocainR4%は、耳、鼻および喉の領域の表面麻酔のために、5ml容量あたり200mgリドカインを含有する;Rote Liste 1999, Editio Cantor, Aulendorf)。本発明によれば、オキシブプロカイン(ベノキシネート)が、本発明の組成物中に、1%(m/v)未満(0.5mg/50μlの1回用量に対応する)、好ましくは0.1〜0.8%(m/v)の濃度で存在する。比較すると、鼻科学における表面麻酔中に、70kg体重あたり105mgまでのベノキシネートの1回用量が推奨される(専門家情報サービス NovesineRWander 1%, 1998; Drugdex Drug Evaluations, Micromedex 2001, Engelwood, コロラド, 米国において引用)。本発明によれば、テトラカインが、本発明の組成物中に、1回用量あたり0.5mg未満、好ましくは1回用量あたり0.25mg未満の濃度で存在する。比較すると、20mgまでのテトラカインが、鼻の粘膜麻酔に推奨される(Reynolds 1990; Drugdex Drug Evaluations, Micromedex 2001, Engelwood, コロラド, 米国において引用)。
【0030】
鼻内調製物は当分野で既知である。これと同様に、本発明の組成物は、鼻内に噴霧、吸引または液滴導入するため、または鼻の粘膜壁に適用するために、溶液、懸濁液、乳液または噴霧用粉末として配合することができる。溶液、懸濁液(例えばナノ粒子懸濁液)、または乳液の形態にある配合物は、例えば鼻液滴ビンもしくはピペット、ポンプ噴霧パックまたは圧縮ガスパック(例えばエーロゾルまたは噴霧デバイス)(これらは、一定量の活性成分の供給が可能なように計量することができる)から液滴調製物として投与することができる。粉末調製物は、例えばゴムバルブにより生成させた空気流によって、小さな穿孔が供されたカプセルから鼻内に噴霧することができる。全ての調製物形態は、複数用量の容器または分割された1回用量の容器であってよい。
【0031】
市販の鼻アプリケーターは、例えば、Pfeifferの単位用量およびビドース(bidose)システム、Valoisのモノスプレー、ビドースおよびモノパウダーシステム、またはBecton-Dickinson AccusprayRシステムである。また、市販の計量ポンプ噴霧ヘッドを有するガラスまたはプラスチックビンも適している。
【0032】
ナノ粒子懸濁液は、本発明の組成物の粉末成分を粉砕することによって、または本発明の配合物の成分の溶液から沈殿物を微細に分割することによって得ることができ、通常は改善された溶解特性を示す。
【0033】
本発明の組成物は、液体形態で配合されたときには溶媒を含有し、適切であれば1またはそれ以上の助剤(例えば、緩衝剤またはpH調節用物質、増粘物質、防腐剤、界面活性剤、可溶化剤、緊張剤、酸化防止剤および香味剤など)を含有する。
本発明に従って使用しうる溶媒は、水、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたは中程度の鎖のトリグリセリドである。
【0034】
本発明によれば、本発明の組成物の液体配合物を、2〜9、好ましくは3〜8の範囲内のpHに調節して、鼻における刺激を回避し、cGMP-PDE阻害物質の吸収を最適化するのが好ましい。本発明によれば、これを、乳酸(乳酸塩)、酢酸、リン酸またはクエン酸緩衝剤を添加することによって、あるいは、メタンスルホン酸、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸、グルコン酸、グルクロン酸、ラクトビオン酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたはトロメタモール(trometamol)を添加することによって達成することができる。
【0035】
増粘助剤は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールまたはキサンタンゴムなどのポリマーである。また、糖または糖アルコール(例えばソルビトール)を本発明に従って使用することもできる。本発明の組成物中の増粘助剤の濃度は、本発明の組成物の所望の粘度および使用する物質に依存して選択することができる。
【0036】
さらに、本発明の組成物は、1またはそれ以上の防腐剤、例えば、ベンズアルコニウムクロリド、ソルビン酸もしくはその塩または安息香酸もしくはその塩、パラベン、例えばメチルパラベンもしくはプロピルパラベン、クロロブタノールまたはチオメルサールなどを含有することができる。本発明の組成物中の防腐剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。防腐剤を使用する場合、それは、2%(m/v)までの濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0037】
本発明によれば、本発明の組成物は、1またはそれ以上の界面活性剤および/または可溶化剤を含有して、適切であれば、使用するcGMP-PDE阻害物質の溶解性を増大させることができる。例えば、本発明によれば、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ソルビトール無水物の脂肪酸モノエステルのポリオキシエチレン誘導体、例えば、Tween 80、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン50ステアレート、胆汁塩、オクトキシノール、ポリオキシエチル化ヒマシ油、ポリオキシステアレート、ポロキサマー、リン脂質、安息香酸、カフェイン、バニリン、尿素、ニコチンアミド、シクロデキストリンまたはシクロデキストリンエーテルを使用することができる。本発明によれば、上記カテゴリーの非イオン性、陰イオン性または陽イオン性の添加剤を使用することができる。本発明の組成物中の界面活性剤および/または可溶化剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。界面活性剤および/または可溶化剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0038】
本発明によれば、本発明の組成物は、1またはそれ以上の緊張剤を含有することもできる。本発明に従ってこの目的に使用しうる例は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、グリセロール、マンニトールまたはグルコースである。本発明の組成物中の緊張剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。緊張剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0039】
本発明によれば、本発明の組成物は、1またはそれ以上の酸化防止剤を含有することもできる。本発明に従ってこの目的に使用しうる例は、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸およびその塩、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、金属キレート形成剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビルまたはトコフェロールである。本発明の組成物中の酸化防止剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。酸化防止剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0040】
本発明によれば、本発明の組成物は、1またはそれ以上の香味剤を含有することもできる。本発明に従ってこの目的に使用しうる例は、サッカリンナトリウム、アスパルターム、アセスルファームカリウムまたはメントールである。本発明の組成物中の香味剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。香味剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0041】
本発明の組成物を圧縮ガスパック形態で投与するときには、これらの圧縮ガスパックは、さらに噴射ガス、例えばプロパン、ブタン、窒素または一酸化二窒素などを含有する。
【0042】
本発明によれば、粉末形態の本発明の組成物は、さらに担体、例えばグルコース、スクロース、マンニトール、結晶性セルロースまたはラクトースなどを含有する。
【0043】
本発明によれば、粉末形態の本発明の組成物は、鼻粘膜との接触時間を長くするための物質、例えば、カルボマー、キトサンまたはセルロースエーテルなどのポリマーを含有することもできる。本発明の組成物中のこれら助剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。このような助剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0044】
本発明によれば、本発明の組成物は、粘膜の乾燥を防止または軽減し、こうして刺激を防止するための保湿剤を含有することもできる。本発明に従ってこの目的に使用しうる例は、ソルビトール、プロピレングリコールまたはグリセロールである。本発明の組成物中の保湿剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。保湿剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【実施例】
【0045】
本発明を、限定のためのものではない好ましい実施例により、以下において詳しく説明する。他に示すことがなければ、全ての量データは重量%である。
選択した溶媒中に成分を溶解し、次いで溶液を濾過し、意図した容器に無菌条件下で充填し、適切であれば加熱滅菌することにより、簡単な方法で可溶性配合物を製造することができる。
【0046】
この場合、cGMP-PDE阻害物質は、配合物用に選択したその塩の形態で使用することができる。別法によれば、遊離塩基を、適当な酸と共に上記の溶液に添加して、対応する塩を溶液中においてのみ生成させることができる。その後のさらなる処理は、上記の操作と同様にして行う。即ち、例えば、cGMP-PDE阻害物質バルデナフィルを、その塩酸塩・三水和物の形態で、または塩酸と共に遊離塩基として、上記の溶液に添加することができる。
【0047】
より高い用量を投与するため、および安定性の問題を回避するために、本発明の組成物を粉末として配合するのが有利であることもある。この場合、1〜100μm、好ましくは5〜40μmの範囲内の粉末配合物の粒子サイズ分布が望ましい。その理由は、より小さい粒子は鼻を通過して肺に達することがあり、一方、より大きい粒子は吸収がいくぶん不適切であるためである。
最終配合物のための適当な容器は、当業者に既知であり、一般に使用されている1回用量または複数用量の容器である。
【0048】
精製水とは、当業者に既知であるEuropean Pharmacopoeia (Ph.Eur.)に規定されている精製水を意味する。これは、規格品質の脱イオン水である。
【0049】
実施例1
以下の成分から溶液を調製した。
次いで、溶液を濾過滅菌し、1回用量の鼻アプリケーターに充填した。この溶液67μlは、使用したcGMP-PDE阻害物質1mgを含有する。
【0050】
比較例1
ベノキシネート塩酸塩を精製水で置換したことを除き、実施例1と同様にして溶液を調製した。
【0051】
実施例2
以下の成分から溶液を調製した。
この溶液100μlを、1回用量の鼻噴霧アプリケーターの生成物容器に、20%過剰で導入し、121℃以上の温度で15分間の加熱滅菌を行った。次いで、この生成物容器を、1回用量の鼻噴霧アプリケーターに導入した。アプリケーターを駆動させた後、それぞれ100μlの溶液(使用したcGMP-PDE阻害物質2mgに対応する)がエーロゾルとして供給される。
【0052】
実施例3
以下の成分から溶液を調製した。
1) pH3.7まで
成分を水に溶解し、濾過し、プラスチック管に120μlづつ導入し、加熱滅菌した。それぞれの管から100μlの溶液(使用したcGMP-PDE阻害物質2mgの1回用量に対応する)を取り出すことができ、これを鼻に投与する。
【0053】
比較例2
リドカインおよびリドカインとの塩を形成するのに必要なメタンスルホン酸の量を省いたことを除き、実施例3と同様にして溶液を調製した。
1) pH3.7まで
【0054】
実施例4
以下の成分から溶液を調製した。
1) pH3.7まで
この溶液100μlを、1回用量の鼻噴霧アプリケーターに、25%過剰で導入し、密封し、121℃の温度で15分間の加熱滅菌を行った。このアプリケーターを駆動させた後、それぞれ100μlの溶液(バルデナフィル1mgに対応する)がエーロゾルとして供給される。
【0055】
実施例5
以下の成分から溶液を調製した。
この溶液を、0.2μmフィルターで濾過し、50μlの1回用量の鼻噴霧アプリケーターに、30%過剰で導入し、密封し、121℃の温度で15分間の加熱滅菌を行った。このアプリケーターを駆動させた後、それぞれ50μlの溶液(バルデナフィル1mgに対応する)がエーロゾルとして供給される。
【0056】
生物学的試験
試験1:イヌにおける比較薬物速度論
実施例1および比較例1の溶液200μlづつ(使用したcGMP-PDE阻害物質3mgに対応する)を、雌性イヌに鼻投与した。この研究の薬物速度論の結果を、以下の表1に示す。
【表1】
表1の結果は、本発明に従う局所麻酔薬の添加が、組成物の薬物速度論において不利を導かないことを示す。大きな副作用を導くであろう過度のピーク血漿濃度は存在しない。さらに、本発明に従う局所麻酔薬の添加による活性成分の望ましくなく速い取込みも存在しない。
【0057】
試験2:健康な対象における比較許容性試験
19人の健康な対象のそれぞれに、二重盲検法により、実施例3の溶液100μlおよび比較例2の溶液100μlを、研究の2つの異なる日に投与した。2種類の溶液の局所許容性を質問表に基づいて確かめ、表2の結果を得た。
【表2】
【0001】
本発明は、鼻投与のためのイミダゾトリアジノン含有の組成物であって、該イミダゾトリアジノンに加えて少量の局所麻酔薬を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サイクリックグアノシン-3',5'-一リン酸ホスホジエステラーゼ阻害物質(短縮してcGMP-PDE阻害物質)は、よく知られた作用範囲を有する(例えば、欧州特許出願公開EP-A-0463756、国際特許出願公開WO99/24433を参照)。本発明に包含されるイミダゾトリアジノンは、このようなcGMP-PDE阻害物質としてWO99/24433に記載されている。特に、ペニス勃起過程の生化学的基礎が数年前に解明され、この基礎に基づいて、cGMP-PDE阻害物質、特にPDE5阻害物質が男性勃起障害の治療に適することが報告された[Rajferら, New England J.Med. 326 (1992), 90; Murray, Drug News & Perspectives 6 (1993), 150を参照]。それに続いて、男性勃起障害を治療するために、ある種のcGMP-PDE阻害物質を使用することが国際特許出願公開WO94/28902に記載され、これらの1つ[クエン酸シルデナフィル(sildenafil citrate)、バイアグラ(ViagraR)]が、現在この徴候に経口投与しうる薬物として証明されている。しかし、経口投与の1つの欠点は、作用の開始が遅いことであり、これが、特にこの徴候にある患者が望む自発性に有害であることである。さらに、最初の通過作用または食物作用が、経口投与された薬物の効果を損なうことがある。
【0003】
原則的に、活性成分の鼻投与によって、血流中の活性成分レベルのより速い上昇、およびこれに付随して作用開始の促進を達成することが可能なはずである。従って、cGMP-PDE阻害物質を、特に男性勃起障害を治療するために鼻投与することについて、当分野で提案に事欠くことはない(国際特許出願公開WO96/32003、WO97/03985、WO98/53819、WO99/24433、欧州特許出願公開EP-A-0967214、WO00/00199を参照)。例えば、EP-A-0967214は、より良好な水溶性を有するシルデナフィル塩(即ち、シルデナフィルメシレート)の鼻投与および達成しうる血流中の活性成分レベルのより速い上昇、さらに、これにより経口経路と比較して少ない量の活性成分が必要になることを記載している。
【0004】
しかし、cGMP-PDE阻害物質の鼻投与において問題が生じることがある。その作用機構のゆえに、これらの物質は血管拡張物質である。PDE5は鼻腔組織にも存在するので、PDE5阻害物質の鼻投与は、鼻粘膜血管の局所拡張を導く。この結果は、患者にとって不快な鼻の状態、例えばむずむず感もしくはずきずき感、または涙目、鼻空気抵抗の増加および/または鼻づまりであるが、毒性学的には局所刺激は検出されない。欧州特許出願公開EP-A-0967214には、これらの作用はシルデナフィルメシレートの迅速な吸収を損なわないと記載されているが、鼻の不快状態(これは特に性交渉中に気分を害する)、鼻空気抵抗の増加または鼻づまりは、些細とは言えない欠点のままである。
【0005】
欧州特許出願公開EP-A-0992240(国際特許出願公開WO98/53819に対応する)は、上記の欠点によって引き起こされるcGMP-PDE阻害物質の不適切な吸収を、血管収縮性の活性成分(例えば、エピネフリン、硝酸ナファゾリン、塩酸トラマゾリンまたはテトラゾリン)、抗アレルギー物質(例えば、クロモリンナトリウムまたはフマル酸ケトチフェン)、鼻粘膜分泌の抑制剤(例えば、臭化フルトロピウム)、またはステロイド(例えば、プレドニゾロン)の添加によって回避することを提案している(これが、上記の患者にとって不快な感覚の発生を十分に妨げることを例示していない)。
【0006】
現在、局所麻酔薬の鼻投与が、鼻領域の手術前の表面麻酔のために開示されている。さらに、米国特許US-4,602,099は、ライノウイルス感染の症状の追加処置のために、抗ライノウイルス薬物中の補助薬として局所麻酔薬を使用することを記載している。この特許において使用されている局所麻酔薬の唯一の例は、ベンジルアルコールである。ベンジルアルコールは防腐剤または可溶化剤としても知られており、欧州特許出願公開EP-A-0967214および国際特許出願公開WO00/00199においてはこれらの機能で、これら特許文献に挙げられている配合物のために追加で使用しうる複数の補助薬の1つとして記載されていることに注意すべきである。さらに、ベンジルアルコールは、cGMP-PDE阻害物質の鼻投与の際に生じる上記の欠点を軽減または防止しえないことが、本発明の範囲内で明らかになった。
【0007】
国際特許出願公開WO99/15177は、液晶ニコチン調製物であって、これに局所麻酔薬を添加して、ニコチンの局所刺激作用によって引き起こされるその不利な作用を回避した調製物を記載している。この場合、局所麻酔薬は、末梢の痛み受容体をブロックすることによって作用する。鼻投与したときのcGMP-PDE阻害物質は、このような局所刺激作用をわずかしか示さないか、または全く示さないことに注意すべきである。
【0008】
英国特許出願公開GB-A-2315673は、偏頭痛の治療のために、5-HT1Dアゴニストに加えて局所麻酔薬(例えばリドカイン)を鼻内投与することを提案している。局所麻酔に対して知られている痛み伝達遮断作用に加えて、この提案は、局所麻酔薬の血管拡張作用に基づいており、これが、5-HT1Dアゴニストの吸収の促進を導き、従ってより速い作用開始を導く。
従って、cGMP-PDE阻害物質の血管拡張特性に基づく上記の欠点が、血管拡張作用のゆえに局所麻酔薬の存在によってさらに増強されることが予想されるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、鼻投与のためのイミダゾトリアジノン含有の組成物であって、その使用が、不快な鼻の状態、涙、鼻空気抵抗の増加または鼻づまりなどの欠点を伴わない組成物を見い出すことであった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、少なくとも1つのイミダゾトリアジノンおよび少なくとも1つの局所麻酔薬(この局所麻酔薬はベンジルアルコールではない)を含んでなる組成物によって達成される。
【発明の効果】
【0011】
驚くべきことに、上記の欠点を克服するために、イミダゾトリアジノン含有の組成物にごく少量の局所麻酔薬を添加することが必要になるだけであることがわかった。通常、この目的に必要な局所麻酔薬の用量は、表面麻酔に必要な量よりも明らかに低い。従って、刺激を伝達する神経のブロック後に起こるような局所麻痺の感覚(例えば局所麻酔による)を、本発明の組成物の使用時に回避することができる。さらに、本発明に係るcGMP-PDE阻害物質の鼻組成物への局所麻酔薬の添加は、驚くべきことに、局所麻酔薬の血管拡張特性に基づいて予測される血漿レベルにおける過度のピークの増強ならびに予測される鼻におけるcGMP-PDE阻害物質の吸収の促進および増加を導くことがない。即ち、本発明の組成物の使用時に、副作用の増加または作用期間に関連する欠点は生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明によれば、組成物中に含有されるcGMP-PDE阻害物質は、式(I):
【化1】
{式中、
R1は、水素または4個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキルであり;
R2は、4個までの炭素原子を含む直鎖アルキルであり;
R3およびR4は、同一または異なって、5個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル(これは所望により、ヒドロキシルまたはメトキシにより、同一または異なって2回まで置換されている)であるか;または
R3およびR4は、窒素原子と一緒になって、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル環、または、式:
【化2】
[式中、R7は、水素、ホルミル、それぞれ6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアシルまたはアルコキシカルボニルであるか、または6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル(これは所望により、ヒドロキシル、カルボキシル、それぞれ6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシまたはアルコキシカルボニルにより、同一または異なって1〜2回置換されている)であるか、またはC3 - 8シクロアルキルである]
で示される基を形成し;
窒素原子と一緒になって形成されるR3およびR4で示される複素環は、所望により、ヒドロキシル、ホルミル、カルボキシル、それぞれ6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアシルまたはアルコキシカルボニルにより、同一または異なって、また所望によりジェミナルに、1〜2回置換されており;そして/または
窒素原子と一緒になって形成されるR3およびR4で示される複素環は、所望により、6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル(これは所望により、ヒドロキシルまたはカルボキシルにより、同一または異なって1〜2回置換されている)により置換されており;そして/または
窒素原子と一緒になって形成されるR3およびR4で示される複素環は、所望により、N-結合したピペリジニルまたはピロリジニルにより置換されており;
R5およびR6は、同一または異なって、水素、6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、ヒドロキシルであるか、または、6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシである}
で示される化合物ならびにその塩、異性体および/または水和物である。
【0013】
本発明に従って特に好ましい組成物は、cGMP-PDE阻害物質として、2-{2-エトキシ-5-[(4-エチルピペラジン-1-イル)スルホニル]フェニル}-5-メチル-7-プロピルイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4(3H)-オン[バルデナフィル(vardenafil)]、またはその薬学的に許容される塩、異性体および/または水和物(例えば、対応する塩酸塩、塩酸塩・三水和物、クエン酸塩またはメシレート)を含有する。
【0014】
式(I)の化合物は、例えば、国際特許出願公開WO99/24433に記載のようにして製造することができる。
【0015】
他に示すことがなければ、置換基は、一般に、本発明の目的のために以下の意味を有する。
「アルキル」は、一般に、1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基である。挙げることができる例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、およびイソヘキシルである。
「アシル」は、一般に、カルボニル基を介して結合している1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の低級アルキルである。挙げることができる例は、アセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニル、およびイソブチルカルボニルである。
【0016】
「アルコキシ」は、一般に、酸素原子を介して結合している1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の炭化水素基である。挙げることができる例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシである。「アルコキシ」および「アルキルオキシ」は同意語として使用される。
「アルコキシカルボニル」は、例えば、式:
【化3】
によって示すことができる。この場合のアルキル(Alkyl)は、一般に、1〜6個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基である。挙げることができる例は、次のアルコキシカルボニル基である:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルまたはイソブトキシカルボニル。
「シクロアルキル」は、一般に、3〜8個の炭素原子を含む環状炭化水素基である。シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが好ましい。挙げることができる例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルである。
【0017】
「複素環」は、本発明の目的のためには、一般に、飽和、不飽和または芳香族の3〜6員(例えば5または6員)の複素環であり、該複素環は、S、Nおよび/またはOからなる群からの3個までのヘテロ原子を含有していてよく、窒素原子の場合は、これを介して結合していてもよい。挙げることができる例は、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チエニル、フリル、ピロリル、ピロリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、1,2,3-トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル、モルホリニルまたはピペリジルである。チアゾリル、フリル、オキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニルおよびテトラヒドロピラニルが好ましい。「ヘテロアリール」(または「ヘトアリール」)という用語は、芳香族複素環式基を表す。
【0018】
上記の式(I)の化合物は、その塩の形態で存在することもできる。通常、有機または無機の塩基または酸との塩をここで挙げることができる。
生理学的に許容される塩が本発明の目的のために好ましい。本発明に係る化合物の生理学的に許容される塩は、本発明に係る物質と、無機酸、カルボン酸またはスルホン酸との塩であってよい。特に好ましい例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸または安息香酸ならびに糖酸(例えば、グルクロン酸またはラクトビオン酸)との塩である。
【0019】
また、生理学的に許容される塩は、遊離カルボキシル基を有する本発明に係る化合物の金属塩またはアンモニウム塩であってもよい。特に好ましい例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはカルシウム塩、ならびに、アンモニアまたは有機アミン、例えば、エチルアミン、ジまたはトリエチルアミン、ジまたはトリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、アルギニン、リシンまたはエチレンジアミンから誘導されるアンモニウム塩である。
【0020】
式(I)の化合物は、異性体の形態で存在することができる。これは、本発明によれば、像と鏡像の関係にある(エナンチオマー)か、または像と鏡像の関係にない(ジアステレオマー)、立体異性体の形態を意味する。本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマー、これらそれぞれの混合物の両方に関する。ラセミ形態は、ジアステレオマーと同様に、既知の方法で、例えばラセミ体分割またはクロマトグラフィー分離によって、立体異性体的に純粋な成分に分離することができる。本発明に係る化合物中に存在する二重結合は、シスまたはトランス配置(ZまたはE形)であることができる。
【0021】
また、式(I)の化合物は、水和物の形態で存在することもでき、この場合、遊離化合物の水和物およびその塩の水和物の両方が本発明に包含される。塩の水和物の1つの例は、バルデナフィル塩酸塩・三水和物である。
【0022】
経口投与に必要なcGMP-PDE阻害物質の量と比較すると、好ましくは、わずか0.001〜0.5mg/kgのcGMP-PDE阻害物質の量が、鼻投与される本発明の組成物に必要になる。
【0023】
本発明に従って使用することができる局所麻酔薬は、自体既知であり、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences 1990, p.1048-1056に挙げられている。局所麻酔薬は、永久的な害を引き起こすことなく、身体の限定された領域において、痛みまたは他の感覚刺激のためのニューロン伝達または感覚神経終末の興奮性を可逆的に抑制する化合物である[J.L.McGuire(編), Pharmaceuticals, vol.2, Wiley-VCH, Weinheim 2000, p.539以降, Helwig/Otto, Arzneimittel (医薬生成物), vol.II, Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH Stuttgart, 2000, p.37-1以降を参照]。本発明の意味の範囲内の局所麻酔薬は、好ましくは、治療カテゴリー「局所麻酔薬」で、Index Nominum 2000, International Drug Directory, Scientific Publishers Stuttgart 2000に挙げられている物質を意味することが意図されている(この参照文献中の上記に関連する内容は本明細書の一部を構成する)。
【0024】
本発明に従って好ましい局所麻酔薬は、式(II):
【化4】
[式中、
R1は、H、NH2、NH(C1 - 6アルキル)、O-C1 - 6アルキルまたはCH2OPhであり;
R2は、O-C1 - 6アルキルであり、これは所望により、NH(C1 - 6アルキル)、N(C1 - 6アルキル)2または飽和の5もしくは6員の複素環(これは、少なくとも1個の窒素原子を含み、それを介して結合しており、所望によりN、O、Sからなる群からの1または2個のさらなるヘテロ原子を含み、所望により1〜3個のさらなるC1 - 6アルキル基を有する)からなる群からの基を有していてよいか、あるいは
(CH2)1 - 6-Hetであり、ここでHetは、飽和の5もしくは6員の複素環(これは、少なくとも1個の窒素原子を含み、それを介して結合しており、所望によりN、O、Sからなる群からの1または2個のさらなるヘテロ原子を含み、所望により1〜3個のさらなるC1 - 6アルキル基を有する)であり;
R3は、H、ハロゲンまたはO-C1 - 6アルキルである]
で示される化合物、または、式(III):
【化5】
[式中、
R1は、HまたはOHであり;
R2は、C1 - 6アルキル-N(C1 - 6アルキル)2であり、ここで架橋アルキル鎖は、所望により1またはそれ以上のC1 - 6アルキル基を有していてよいか、あるいは、飽和の5もしくは6員の複素環(これは、少なくとも1個の窒素原子、および所望により、N、O、Sからなる群からの1または2個のさらなるヘテロ原子を含み、所望により1〜3個のさらなるC1 - 6アルキル基を有する)であり;
R3は、C1 - 6アルキル、ハロゲンまたはCOOC1 - 6アルキルであり;
nは、1または2である]
で示される化合物、または、以下の物質:
【化6】
およびポリドカノールおよびベノキシネートからなる群からの化合物、ならびに、これらの生理学的に許容される塩および/または水和物である。
【0025】
本発明に係る特に好ましい局所麻酔薬は、式(II)において、
R1が、H、NH2、NH-n-C4H9、O-n-C3H7、O-n-C4H9またはCH2OPhであり、
R2が、OC2H5、O-n-C4H9、O-(CH2)2N(C2H5)2、O(CH2)2N(CH3)2、または以下からなる群:
【化7】
からの基であり、
R3が、H、Cl、O-n-C3H7またはO-n-C4H9である化合物;
または、式(III)において、
R1が、HまたはOHであり、
R2が、CH2N(C2H5)2、CHCH3NH-n-C3H7、CH2NH-n-C4H9、または以下からなる群:
【化8】
からの基であり、
R3が、CH3、ClまたはCOOCH3であり、
nが、1または2である化合物;
およびベノキシネート、ならびに、これらの生理学的に許容される塩および/または水和物である。
【0026】
本発明に従って特に好ましく使用しうる局所麻酔薬は、ベンゾカイン、ブタムベン、ピペロカイン、ピペロカイン塩酸塩、プロカイン、プロカイン塩酸塩、クロロプロカイン、クロロプロカイン塩酸塩、オキシブプロカイン、オキシブプロカイン塩酸塩、プロキシメタカイン、プロキシメタカイン塩酸塩、テトラカイン、テトラカイン塩酸塩、ニルバニン、リドカイン、リドカイン塩酸塩、プリロカイン、プリロカイン塩酸塩、メピバカイン、メピバカイン塩酸塩、ブピバカイン、ブピバカイン塩酸塩、ロピバカイン、ロピバカイン塩酸塩、エチドカイン、エチドカイン塩酸塩、ブタニリカイン、ブタニリカイン塩酸塩、アルチカイン、アルチカイン塩酸塩、シンコカイン、シンコカイン塩酸塩、オキセタカイン、オキセタカイン塩酸塩、プロピポカイン、プロピポカイン塩酸塩、ジクロニン、ジクロニン塩酸塩、プラモカイン、プラモカイン塩酸塩、フォモカイン、フォモカイン塩酸塩、キニソカイン、キニソカイン塩酸塩、ベノキシネートおよびポリドカノールである。これらの化合物は市販されているか、または、例えばJ.L.McGuire(編), Pharmaceuticals, vol.2, Wiley-VCH 2000, p.539以降に記載されているような、当業者に既知の方法により調製することができる。
【0027】
本発明に従って好ましく使用しうる局所麻酔薬は、ベンゾカイン、リドカイン、テトラカイン、ベノキシネート、ポリドカノールまたはこれらの薬学的に許容される塩である。本発明によれば、リドカイン塩酸塩およびリドカインメタンスルホン酸塩が特に好ましい。
【0028】
しかし、ここでもう一度、時には局所麻酔薬と称されることもあるベンジルアルコールが本発明に包含されないことを指摘しておくべきである。その理由は、それが上記の欠点を克服するのに不適切であること、およびさらに、鼻粘膜の局所刺激を導くことがわかったためである。
【0029】
本発明の組成物は、局所麻酔薬を、表面麻酔のための市販の局所調製物における通常の量よりも少ない濃度で、即ち4%(m/v)未満、好ましくは3%(m/v)未満の濃度で含有する。ここで、%(m/v)は%質量/容量を表す。即ち、例えば3%(m/v)は、3g物質/100ml溶液を意味する。本発明によれば、リドカインは、本発明の組成物中に、4%(m/v)未満、好ましくは0.5〜3.0%(m/v)の濃度で存在する。これは、100μlの投与容量を用いたときに、4mg未満、好ましくは0.5〜3mgの1回用量に対応する。これは、市販製品XylocainR4%中のリドカインの濃度を下まわる(XylocainR4%は、耳、鼻および喉の領域の表面麻酔のために、5ml容量あたり200mgリドカインを含有する;Rote Liste 1999, Editio Cantor, Aulendorf)。本発明によれば、オキシブプロカイン(ベノキシネート)が、本発明の組成物中に、1%(m/v)未満(0.5mg/50μlの1回用量に対応する)、好ましくは0.1〜0.8%(m/v)の濃度で存在する。比較すると、鼻科学における表面麻酔中に、70kg体重あたり105mgまでのベノキシネートの1回用量が推奨される(専門家情報サービス NovesineRWander 1%, 1998; Drugdex Drug Evaluations, Micromedex 2001, Engelwood, コロラド, 米国において引用)。本発明によれば、テトラカインが、本発明の組成物中に、1回用量あたり0.5mg未満、好ましくは1回用量あたり0.25mg未満の濃度で存在する。比較すると、20mgまでのテトラカインが、鼻の粘膜麻酔に推奨される(Reynolds 1990; Drugdex Drug Evaluations, Micromedex 2001, Engelwood, コロラド, 米国において引用)。
【0030】
鼻内調製物は当分野で既知である。これと同様に、本発明の組成物は、鼻内に噴霧、吸引または液滴導入するため、または鼻の粘膜壁に適用するために、溶液、懸濁液、乳液または噴霧用粉末として配合することができる。溶液、懸濁液(例えばナノ粒子懸濁液)、または乳液の形態にある配合物は、例えば鼻液滴ビンもしくはピペット、ポンプ噴霧パックまたは圧縮ガスパック(例えばエーロゾルまたは噴霧デバイス)(これらは、一定量の活性成分の供給が可能なように計量することができる)から液滴調製物として投与することができる。粉末調製物は、例えばゴムバルブにより生成させた空気流によって、小さな穿孔が供されたカプセルから鼻内に噴霧することができる。全ての調製物形態は、複数用量の容器または分割された1回用量の容器であってよい。
【0031】
市販の鼻アプリケーターは、例えば、Pfeifferの単位用量およびビドース(bidose)システム、Valoisのモノスプレー、ビドースおよびモノパウダーシステム、またはBecton-Dickinson AccusprayRシステムである。また、市販の計量ポンプ噴霧ヘッドを有するガラスまたはプラスチックビンも適している。
【0032】
ナノ粒子懸濁液は、本発明の組成物の粉末成分を粉砕することによって、または本発明の配合物の成分の溶液から沈殿物を微細に分割することによって得ることができ、通常は改善された溶解特性を示す。
【0033】
本発明の組成物は、液体形態で配合されたときには溶媒を含有し、適切であれば1またはそれ以上の助剤(例えば、緩衝剤またはpH調節用物質、増粘物質、防腐剤、界面活性剤、可溶化剤、緊張剤、酸化防止剤および香味剤など)を含有する。
本発明に従って使用しうる溶媒は、水、グリセロール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたは中程度の鎖のトリグリセリドである。
【0034】
本発明によれば、本発明の組成物の液体配合物を、2〜9、好ましくは3〜8の範囲内のpHに調節して、鼻における刺激を回避し、cGMP-PDE阻害物質の吸収を最適化するのが好ましい。本発明によれば、これを、乳酸(乳酸塩)、酢酸、リン酸またはクエン酸緩衝剤を添加することによって、あるいは、メタンスルホン酸、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸、グルコン酸、グルクロン酸、ラクトビオン酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたはトロメタモール(trometamol)を添加することによって達成することができる。
【0035】
増粘助剤は、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールまたはキサンタンゴムなどのポリマーである。また、糖または糖アルコール(例えばソルビトール)を本発明に従って使用することもできる。本発明の組成物中の増粘助剤の濃度は、本発明の組成物の所望の粘度および使用する物質に依存して選択することができる。
【0036】
さらに、本発明の組成物は、1またはそれ以上の防腐剤、例えば、ベンズアルコニウムクロリド、ソルビン酸もしくはその塩または安息香酸もしくはその塩、パラベン、例えばメチルパラベンもしくはプロピルパラベン、クロロブタノールまたはチオメルサールなどを含有することができる。本発明の組成物中の防腐剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。防腐剤を使用する場合、それは、2%(m/v)までの濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0037】
本発明によれば、本発明の組成物は、1またはそれ以上の界面活性剤および/または可溶化剤を含有して、適切であれば、使用するcGMP-PDE阻害物質の溶解性を増大させることができる。例えば、本発明によれば、ポリソルベート、ポリエチレングリコール、ソルビトール無水物の脂肪酸モノエステルのポリオキシエチレン誘導体、例えば、Tween 80、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン50ステアレート、胆汁塩、オクトキシノール、ポリオキシエチル化ヒマシ油、ポリオキシステアレート、ポロキサマー、リン脂質、安息香酸、カフェイン、バニリン、尿素、ニコチンアミド、シクロデキストリンまたはシクロデキストリンエーテルを使用することができる。本発明によれば、上記カテゴリーの非イオン性、陰イオン性または陽イオン性の添加剤を使用することができる。本発明の組成物中の界面活性剤および/または可溶化剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。界面活性剤および/または可溶化剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0038】
本発明によれば、本発明の組成物は、1またはそれ以上の緊張剤を含有することもできる。本発明に従ってこの目的に使用しうる例は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、グリセロール、マンニトールまたはグルコースである。本発明の組成物中の緊張剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。緊張剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0039】
本発明によれば、本発明の組成物は、1またはそれ以上の酸化防止剤を含有することもできる。本発明に従ってこの目的に使用しうる例は、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸およびその塩、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、金属キレート形成剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、没食子酸プロピル、パルミチン酸アスコルビルまたはトコフェロールである。本発明の組成物中の酸化防止剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。酸化防止剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0040】
本発明によれば、本発明の組成物は、1またはそれ以上の香味剤を含有することもできる。本発明に従ってこの目的に使用しうる例は、サッカリンナトリウム、アスパルターム、アセスルファームカリウムまたはメントールである。本発明の組成物中の香味剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。香味剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0041】
本発明の組成物を圧縮ガスパック形態で投与するときには、これらの圧縮ガスパックは、さらに噴射ガス、例えばプロパン、ブタン、窒素または一酸化二窒素などを含有する。
【0042】
本発明によれば、粉末形態の本発明の組成物は、さらに担体、例えばグルコース、スクロース、マンニトール、結晶性セルロースまたはラクトースなどを含有する。
【0043】
本発明によれば、粉末形態の本発明の組成物は、鼻粘膜との接触時間を長くするための物質、例えば、カルボマー、キトサンまたはセルロースエーテルなどのポリマーを含有することもできる。本発明の組成物中のこれら助剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。このような助剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【0044】
本発明によれば、本発明の組成物は、粘膜の乾燥を防止または軽減し、こうして刺激を防止するための保湿剤を含有することもできる。本発明に従ってこの目的に使用しうる例は、ソルビトール、プロピレングリコールまたはグリセロールである。本発明の組成物中の保湿剤の濃度は、所望の適用および使用する物質に依存して選択することができる。保湿剤を使用する場合、それは、0.001%(m/v)〜約5%(m/v)の濃度で本発明の組成物中に存在するのが普通である。
【実施例】
【0045】
本発明を、限定のためのものではない好ましい実施例により、以下において詳しく説明する。他に示すことがなければ、全ての量データは重量%である。
選択した溶媒中に成分を溶解し、次いで溶液を濾過し、意図した容器に無菌条件下で充填し、適切であれば加熱滅菌することにより、簡単な方法で可溶性配合物を製造することができる。
【0046】
この場合、cGMP-PDE阻害物質は、配合物用に選択したその塩の形態で使用することができる。別法によれば、遊離塩基を、適当な酸と共に上記の溶液に添加して、対応する塩を溶液中においてのみ生成させることができる。その後のさらなる処理は、上記の操作と同様にして行う。即ち、例えば、cGMP-PDE阻害物質バルデナフィルを、その塩酸塩・三水和物の形態で、または塩酸と共に遊離塩基として、上記の溶液に添加することができる。
【0047】
より高い用量を投与するため、および安定性の問題を回避するために、本発明の組成物を粉末として配合するのが有利であることもある。この場合、1〜100μm、好ましくは5〜40μmの範囲内の粉末配合物の粒子サイズ分布が望ましい。その理由は、より小さい粒子は鼻を通過して肺に達することがあり、一方、より大きい粒子は吸収がいくぶん不適切であるためである。
最終配合物のための適当な容器は、当業者に既知であり、一般に使用されている1回用量または複数用量の容器である。
【0048】
精製水とは、当業者に既知であるEuropean Pharmacopoeia (Ph.Eur.)に規定されている精製水を意味する。これは、規格品質の脱イオン水である。
【0049】
実施例1
以下の成分から溶液を調製した。
次いで、溶液を濾過滅菌し、1回用量の鼻アプリケーターに充填した。この溶液67μlは、使用したcGMP-PDE阻害物質1mgを含有する。
【0050】
比較例1
ベノキシネート塩酸塩を精製水で置換したことを除き、実施例1と同様にして溶液を調製した。
【0051】
実施例2
以下の成分から溶液を調製した。
この溶液100μlを、1回用量の鼻噴霧アプリケーターの生成物容器に、20%過剰で導入し、121℃以上の温度で15分間の加熱滅菌を行った。次いで、この生成物容器を、1回用量の鼻噴霧アプリケーターに導入した。アプリケーターを駆動させた後、それぞれ100μlの溶液(使用したcGMP-PDE阻害物質2mgに対応する)がエーロゾルとして供給される。
【0052】
実施例3
以下の成分から溶液を調製した。
1) pH3.7まで
成分を水に溶解し、濾過し、プラスチック管に120μlづつ導入し、加熱滅菌した。それぞれの管から100μlの溶液(使用したcGMP-PDE阻害物質2mgの1回用量に対応する)を取り出すことができ、これを鼻に投与する。
【0053】
比較例2
リドカインおよびリドカインとの塩を形成するのに必要なメタンスルホン酸の量を省いたことを除き、実施例3と同様にして溶液を調製した。
1) pH3.7まで
【0054】
実施例4
以下の成分から溶液を調製した。
1) pH3.7まで
この溶液100μlを、1回用量の鼻噴霧アプリケーターに、25%過剰で導入し、密封し、121℃の温度で15分間の加熱滅菌を行った。このアプリケーターを駆動させた後、それぞれ100μlの溶液(バルデナフィル1mgに対応する)がエーロゾルとして供給される。
【0055】
実施例5
以下の成分から溶液を調製した。
この溶液を、0.2μmフィルターで濾過し、50μlの1回用量の鼻噴霧アプリケーターに、30%過剰で導入し、密封し、121℃の温度で15分間の加熱滅菌を行った。このアプリケーターを駆動させた後、それぞれ50μlの溶液(バルデナフィル1mgに対応する)がエーロゾルとして供給される。
【0056】
生物学的試験
試験1:イヌにおける比較薬物速度論
実施例1および比較例1の溶液200μlづつ(使用したcGMP-PDE阻害物質3mgに対応する)を、雌性イヌに鼻投与した。この研究の薬物速度論の結果を、以下の表1に示す。
【表1】
表1の結果は、本発明に従う局所麻酔薬の添加が、組成物の薬物速度論において不利を導かないことを示す。大きな副作用を導くであろう過度のピーク血漿濃度は存在しない。さらに、本発明に従う局所麻酔薬の添加による活性成分の望ましくなく速い取込みも存在しない。
【0057】
試験2:健康な対象における比較許容性試験
19人の健康な対象のそれぞれに、二重盲検法により、実施例3の溶液100μlおよび比較例2の溶液100μlを、研究の2つの異なる日に投与した。2種類の溶液の局所許容性を質問表に基づいて確かめ、表2の結果を得た。
【表2】
Claims (20)
- 少なくとも1つのcGMP-PDE阻害物質および少なくとも1つの局所麻酔薬を含んでなる組成物であって、局所麻酔薬がベンジルアルコールではなく、cGMP-PDE阻害物質が、式(I):
R1は、水素または4個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキルであり;
R2は、4個までの炭素原子を含む直鎖アルキルであり;
R3およびR4は、同一または異なって、5個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル(これは所望により、ヒドロキシルまたはメトキシにより、同一または異なって2回まで置換されている)であるか;または
R3およびR4は、窒素原子と一緒になって、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル環、または、式:
で示される基を形成し;
窒素原子と一緒になって形成されるR3およびR4で示される複素環は、所望により、ヒドロキシル、ホルミル、カルボキシル、それぞれ6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアシルまたはアルコキシカルボニルにより、同一または異なって、また所望によりジェミナルに、1〜2回置換されており;そして/または
窒素原子と一緒になって形成されるR3およびR4で示される複素環は、所望により、6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル(これは所望により、ヒドロキシルまたはカルボキシルにより、同一または異なって1〜2回置換されている)により置換されており;そして/または
窒素原子と一緒になって形成されるR3およびR4で示される複素環は、所望により、N-結合したピペリジニルまたはピロリジニルにより置換されており;
R5およびR6は、同一または異なって、水素、6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、ヒドロキシルであるか、または、6個までの炭素原子を含む直鎖もしくは分岐鎖のアルコキシである}
で示される化合物、ならびに、その塩、異性体および/または水和物である組成物。 - 2-{2-エトキシ-5-[(4-エチルピペラジン-1-イル)スルホニル]フェニル}-5-メチル-7-プロピルイミダゾ[5,1-f][1,2,4]トリアジン-4(3H)-オン、またはその塩、異性体および/または水和物を、cGMP-PDE阻害物質として含んでなる請求項1に記載の組成物。
- 局所麻酔薬が、式(II):
R1は、H、NH2、NH(C1 - 6アルキル)、O-C1 - 6アルキルまたはCH2OPhであり;
R2は、O-C1 - 6アルキルであり、これは所望により、NH(C1 - 6アルキル)、N(C1 - 6アルキル)2または飽和の5もしくは6員の複素環(これは、少なくとも1個の窒素原子を含み、それを介して結合しており、所望によりN、O、Sからなる群からの1または2個のさらなるヘテロ原子を含み、所望により1〜3個のさらなるC1 - 6アルキル基を有する)からなる群からの基を有していてよいか、あるいは
(CH2)1 - 6-Hetであり、ここでHetは、飽和の5もしくは6員の複素環(これは、少なくとも1個の窒素原子を含み、それを介して結合しており、所望によりN、O、Sからなる群からの1または2個のさらなるヘテロ原子を含み、所望により1〜3個のさらなるC1 - 6アルキル基を有する)であり;
R3は、H、ハロゲンまたはO-C1 - 6アルキルである]
で示される化合物、または、式(III):
R1は、HまたはOHであり;
R2は、C1 - 6アルキル-N(C1 - 6アルキル)2であり、ここで架橋アルキル鎖は、所望により1またはそれ以上のC1 - 6アルキル基を有していてよいか、あるいは、飽和の5もしくは6員の複素環(これは、少なくとも1個の窒素原子、および所望により、N、O、Sからなる群からの1または2個のさらなるヘテロ原子を含み、所望により1〜3個のさらなるC1 - 6アルキル基を有する)であり;
R3は、C1 - 6アルキル、ハロゲンまたはCOOC1 - 6アルキルであり;
nは、1または2である]
で示される化合物、または、以下の物質:
- 局所麻酔薬が、式(II)において、
R1が、H、NH2、NH-n-C4H9、O-n-C3H7、O-n-C4H9またはCH2OPhであり、
R2が、OC2H5、O-n-C4H9、O-(CH2)2N(C2H5)2、O(CH2)2N(CH3)2、または以下からなる群:
R3が、H、Cl、O-n-C3H7またはO-n-C4H9である化合物;
または、式(III)において、
R1が、HまたはOHであり、
R2が、CH2N(C2H5)2、CHCH3NH-n-C3H7、CH2NH-n-C4H9、または以下からなる群:
R3が、CH3、ClまたはCOOCH3であり、
nが、1または2である化合物;
およびベノキシネート、ならびに、これらの生理学的に許容される塩および/または水和物から選択される請求項3に記載の組成物。 - 局所麻酔薬が、ベンゾカイン、ブタムベン、ピペロカイン、ピペロカイン塩酸塩、プロカイン、プロカイン塩酸塩、クロロプロカイン、クロロプロカイン塩酸塩、オキシブプロカイン、オキシブプロカイン塩酸塩、プロキシメタカイン、プロキシメタカイン塩酸塩、テトラカイン、テトラカイン塩酸塩、ニルバニン、リドカイン、リドカイン塩酸塩、プリロカイン、プリロカイン塩酸塩、メピバカイン、メピバカイン塩酸塩、ブピバカイン、ブピバカイン塩酸塩、ロピバカイン、ロピバカイン塩酸塩、エチドカイン、エチドカイン塩酸塩、ブタニリカイン、ブタニリカイン塩酸塩、アルチカイン、アルチカイン塩酸塩、シンコカイン、シンコカイン塩酸塩、オキセタカイン、オキセタカイン塩酸塩、プロピポカイン、プロピポカイン塩酸塩、ジクロニン、ジクロニン塩酸塩、プラモカイン、プラモカイン塩酸塩、フォモカイン、フォモカイン塩酸塩、キニソカイン、キニソカイン塩酸塩、ベノキシネートおよびポリドカノールから選択される請求項3に記載の組成物。
- 局所麻酔薬が、ベンゾカイン、リドカイン、テトラカイン、ベノキシネート、ポリドカノールまたはこれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される請求項3に記載の組成物。
- 局所麻酔薬が、リドカイン塩酸塩およびリドカインメタンスルホン酸塩である請求項3に記載の組成物。
- 局所麻酔薬が、4%(m/v)未満の濃度で存在する請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
- 局所麻酔薬が、3%(m/v)未満の濃度で存在する請求項8に記載の組成物。
- cGMP-PDE阻害物質が、0.5〜200g/kgの量で存在する請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
- 緩衝剤またはpH調節用物質、増粘物質、防腐剤、界面活性剤、可溶化剤、緊張剤、酸化防止剤、香味剤、接触時間長期化用物質および保湿剤からなる群からの1またはそれ以上の助剤ならびに溶媒をさらに含んでなる請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
- 緩衝剤またはpH調節用物質、増粘物質、防腐剤、界面活性剤、可溶化剤、緊張剤、酸化防止剤、香味剤、担体、接触時間長期化用物質および保湿剤からなる群からの1またはそれ以上の助剤をさらに含んでなる請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
- 疾患を治療するための請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1〜13のいずれかに記載の組成物を含んでなる鼻投与のための医薬組成物。
- 男性勃起障害を治療するための医薬生成物を製造するための請求項1〜14のいずれかに記載の組成物の使用。
- 治療を鼻投与によって行う請求項15に記載の使用。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の組成物を含んでなる鼻噴霧アプリケーター。
- 1回用量の鼻噴霧アプリケーターである請求項17に記載の鼻噴霧アプリケーター。
- 請求項1〜14のいずれかに記載の組成物を含んでなる粉末散布器。
- 1回用量の粉末散布器である請求項19に記載の粉末散布器。
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