JP2004525776A - 大きな慣性体積力を用いて、多成分バルクガラス状合金形成合金を同定し、処理し、製造するための方法および装置、ならびにそれから製作される構成部品 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、バルクのガラス状合金を形成する合金を同定し、処理するための方法および装置、ならびにこれら合金から製作される構成部品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の10年間に、多数の大学および産業界の研究グループが、比較的遅い冷却速度で溶融状態から冷却したときにガラスを形成するガラス状合金処方を発見するために多大な努力を払ってきた。金属合金におけるガラス化またはガラス形成は、1960年頃にカリフォルニア工科大学(「Caltech」)でP.Duwezとその共同研究者によって最初に発見された。彼らは、「急速凝固」法を用いて、液状合金を毎秒約百万度の速度で冷却することによりガラス状合金を作製した。このような急冷ガラス状合金(metallic glass)がその後30年間にわたり多数作製された。
【0003】
1990年頃から、日本のA.Inoue教授の研究グループとCaltechのW.L.Johnson教授の研究グループが、平衡液体状態から凝固させるときに極めて遅い冷却速度、典型的には1〜100度/秒でガラスを形成する、3、4、5種またはそれ以上の成分を含有する複雑な合金を開発した。最近の数年間に、これら「バルク」ガラス形成合金は、工業材料として商業的にかなりの関心を引いてきた。バルクガラス状合金は、高強度、高硬度、高比強度、およびその他有用な種々の工学諸特性を有する。また、液状合金は加工が容易で、複雑な3次元超ニアネットシェイプ(very near net shape)に鋳造することができる。これらの材料を工学用途で利用することに興味が集まり、新たなバルクガラス形成合金の開発と発見、溶融物からのこれら合金の処理、また、ロッド、プレート、シート、チューブ、その他のより複雑な成型品(shapes)など商業的に有用な材料を生産するためのこれら合金の利用に広範な関心が向けられた。
【0004】
非常に優れたガラス形成能を有する合金を特徴づける重要なパラメータは、これら合金の比較的低い融点である。バルクガラス状合金を形成する合金は、この合金を構成する純金属の組成平均融点(compositionally averaged melting point)よりも低い温度範囲にわたり初期の合金が平衡状態で溶融する。最適なガラス形成合金は、合金組成を関数とした合金溶融面(液相面)の極小近くに存在することが極めて多い。この液相面は、通常、「液相投影図(liquidus projection)」のような合金状態図で表現される。例えば、2成分合金では、液相線を組成/温度図面内の曲線として表すことができる。
【0005】
簡単な例を、図1のAu−Si状態図に示す。この2成分Au−Si合金状態図は、共融温度12が363℃である共融組成10を示す。液相線14は、この線より高温側では単一の液相が存在する線である。固相線16は、この線より低温側ではこの系が完全に凝固する線である。Auの融点が約1064℃、Siの融点が約1414℃であることに注意されたい。共融組成を外れた組成(off−eutectic composition)18において、凝固中の徐冷液体が分配される組成も示してある。ここで、XLは、残留液体の組成である。
【0006】
この簡単な2成分の例では、共融組成は、まさにDuwezおよびその共同研究者が急冷により最初のガラス状合金を作製した組成範囲にある。より一般的には、液相線温度が低温側(例えば、合金共融組成近く)にあると、最適なガラス形成領域は3成分、4成分、5成分などのより高次のガラス形成合金にくるようになる。W.L.Johnson、24 MATERIALS RESEARCH SOCIETY BULLETIN 42〜56(1999年10月)を参照されたい。一般に、ガラス状合金形成能は、共融組成またはその近辺の組成で、より一般的には3成分、4成分、およびより高次の合金における液相線面の最低温度近くで最適になる。このように、ガラスを容易に形成する合金を探索することは、最低溶融温度(または最低液相線面)に対応する合金組成を見つけることと等価であると判明することが極めて多い。最適なガラス形成合金は、液相線面の最小値の約±5at.%以内にあることがほとんどである。したがって、ガラス状合金を容易に形成する合金の探索は、最低融点の合金を同定できると極めて簡単になる。
【0007】
ガラス状合金形成組成を突き止めるためには、高次合金の溶融曲線の最低領域近くにある化学組成を有する合金を同定または「発見」できることが極めて重要である。したがって、2成分、好ましくは3成分以上の金属を含む複雑な多成分合金系において、最低融点の合金を発見しかつ単離する効率的な手段を開発することが重要である。3成分を超える合金の場合、状態図は一般に利用できず、最適な低融点組成物に研究者を導く情報はほとんどまたは全くない。
【0008】
実際、文字通り数千の合金組成物を(例えば、薄膜加工方法を用いて)作製し、それらの融点を迅速かつ並行してスクリーニングすることによって低融点温度の合金を探索する、材料のコンビナトリアル方法(combinatory methods)の開発が提案されてきている。159 CHEM.WEEK 57(1997)を参照のこと。この手法では、文字通り数千または数万のスクリーニング実験を実施する必要がある。したがって、バルク液体について1回または数回の実験で最低融点の合金を同定する方法が必要とされている。
【0009】
バルクガラス状合金を生産するには、低融点合金を開発することに加え、結晶化を誘発する汚染物質、酸化物、および細片を、低融点液体合金が実質的に含まないことも必要である。金属の場合、その液体で最も頻繁に遭遇する汚染は、結晶性酸化物粒子、炭化物粒子、および他の多様なタイプの初期異物の形をしている。これらの汚染物質は遍在しており、金属部品の鋳造に使用されるほとんどすべての商用金属の処理において常に存在する。最も一般的な例(例えば、アルミニウム、鉄、およびチタン合金の鋳造)では、これらの液体中への混入は避けられない。この初期汚染が、液体合金をその融点以下に過冷却するときに、その結晶化をしばしば誘発することはよく知られている。冶金学者は、これを不均一結晶核形成と呼んでいる。実際、不均一核形成は、金属合金のガラス状合金形成能にとって極めて有害である。したがって、ガラス状合金を生産しようとするときに、初期の酸化物、炭化物、および他の細片を金属溶融物から削減または除去する方法を開発することが極めて望ましい。したがって、溶融合金からほとんどまたはほぼすべてのこれら初期汚染および細片を除去する直接かつ効率的な手段が必要とされている。
【0010】
最後に、有用な形状をしたバルクガラス状合金を生産することが重要である。効率的に冷却し、凝固または鋳造して、最適組成を有する(最低融点を有する)「汚染物が除かれた」合金を、プレート、ロッド、チューブ、または他の超ニアネットシェイプ鋳造品にする無理のない手段が必要とされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、バルクガラス状合金を容易に形成する低融点合金の合金組成物を同定し物理的に単離する迅速で効率的な方法を提供することによって、これらおよび他の要求に対処するものである。また、好ましいある実施形態では、溶融合金中の望ましくなく有害な不純物および細片(結晶性酸化物、炭化物、または窒化物粒子)を除去して、液体合金のガラス状合金形成能を向上させるように、これらの材料を処理する。好ましい実施形態では、精製した最適組成の液体合金からの、大きなネットシェイプ鋳造品、プレート、ロッド、および他の有用な成型品の生産および製造についても記述する。
【0012】
本発明の一態様では、「n」(n≧2)相を含む合金の最低融点共融組成を同定する方法が提供される。任意の出発合金(starting alloy)を用意する。この合金を、実質的に溶融するまで加熱する。この溶融合金を、その融点以上でしばらくの間慣性力にかけることが好ましい。合金に大きな慣性力または加速度をかけながら合金温度を下げる。慣性加速度は、重力加速度あるいは単に重力と呼ばれることも多いが、重力と加速度とは逆の意味を持つ。温度を下げると、最初の結晶性固相の核形成および結晶成長が周囲液体中で起こる。
【0013】
最初の固相結晶に(好ましくは、慣性加速度または重力により生じる)体積力または慣性力をかけて、この最初の固相を残留液体中で(慣性加速度の方向に対して)上方または下方に移動させる。本明細書で用いる上方および下方(ならびに上部および下部)は、これら用語の通常の意味では必ずしもなく、慣性加速度に対する方向を示し、下部は加速度と逆方向(または、かけた重力に沿う方向)を示す。移動方向(すなわち、上方または下方)は、結晶と周囲液体の密度差の符号によって決まる。重い結晶は慣性加速度と逆方向に動き、軽い結晶は慣性加速度に沿って動く。通常、このプロセスは沈降分離と呼ばれる。
【0014】
前記慣性加速度および体積力を合金にかけながら、合金温度をさらに下げると、別の固相の核形成および成長が続いて起こり、この別の固相結晶は慣性力を受けて、この結晶と残留液体との密度差の符号に応じて上方または下方に移動する。したがって、結晶相が順次形成されると、これらの結晶は、液体の上部または下部に沈降し、液体を入れた容器の上部と下部で層を形成する。
【0015】
合金が実質的に完全に凝固するまでさらに温度を下げる。最後に凝固する固相は、すでに凝固した層の間に位置することが望ましい。しかし、これらの固相が実質的に同じ密度である場合、最後に凝固する固相が、すでに凝固した他の層の間にある必要が必ずしもないことは理解されよう。最終液体は、すべての凝固層のうちで最低の融点を有することになる。この最終液体が、最低溶融温度の共融組成を有する場合、この最終残留液体は、明瞭なレイヤまたは層として共融組成で凝固するはずである。共融組成の合金は、明瞭なレイヤとして物理的に単離される。
【0016】
本発明の別の態様では、最低融点の共融組成からなるバルク合金試料を生成する方法が提供される。任意の出発合金を用意する。合金に慣性力をかけながら合金温度を下げ、この温度低下によって最初の固相の核形成および成長を周囲液体中で起こさせる。この最初の固相は、慣性力を受け、周囲液体中で上方または下方に移動する。合金にこの慣性力をかけながら合金温度をさらに下げると、別の固相の核形成および成長が引き続き起こり、この別の固相結晶は、慣性力を受けて上方または下方に移動する。温度を、合金が実質的に完全に凝固するまでさらに下げる。次いで、最後に凝固したバルク合金試料を層またはレイヤから取り出す。次いで、この最低融点の試料を再溶融し、この最低融点の合金組成を有するバルクガラス鋳造物を生産するために鋳造する。
【0017】
本発明の別の態様では、合金を溶融させること、および続いてこの合金を凝固させることを含む多成分合金の処理方法であって、両方の操作を求心加速場の存在下で実施する方法が提供される。一実施形態では、遠心運動により発生する約1から106gの慣性加速度またはg場(g field)の存在下で合金を凝固させる。ここで、gは地球の重力場の加速度=9.8m/s2である。
【0018】
本発明の別の態様では、精製した多成分バルクガラス状合金形成合金を形成する方法が提供される。合金試料を高温で溶融する。この溶融合金を、しばらくの間融点以上に保持しながら、求心加速度にかける。引き続きこの合金を求心加速度にかけながら、その温度を低下させて凝固させると、凝固した合金は残留合金から分離した部分を有し、最低融点の共融組成を有するようになる。最低融点の共融組成を有する合金部分を単離する。最低融点の共融組成を有する合金部分を、求心加速度にかけながら高温で再溶融させる。最低融点の共融組成を有する合金部分を、求心的場におきながら冷却すると、冷却された合金は、残留合金よりも比較的不純物の少ない部分を有する。
【0019】
本発明の別の態様では、バルクガラス形成能の最適な組成を有する金属合金が提供される。この組成物は、合金を溶融し、その後初期溶融合金を遠心機でゆっくり徐々に冷却し凝固させて得られる。遠心機によって、凝固中の合金に大きな慣性力がかかり、結晶相が残留溶融合金から物理的に分離される。その結果、最適な金属合金組成は、最後に凝固する合金部分となり、最終合金の明瞭なレイヤとして物理的に単離される。
【0020】
本発明の別の態様では、極めて大きな慣性加速度下で溶融金属合金を処理する高温遠心処理装置が提供される。ロータは、温度約400から1200℃で高い強度と破壊抵抗を有し少なくとも50,000gまでの慣性加速度に耐える高温材料で製作されている。ロータ内の複数の内部空隙は、ロータ本体内で対称に配置されている。ロータを取り付けたシャフトは、ロータを約1000から100,000rpmの高回転数で回転させることができる。
【0021】
本明細書で説明する好ましい実施形態では、ガラス状合金を形成する合金を同定し、処理し、製造するための方法、およびこれらの方法を実施するための好ましい装置について述べる。より具体的には、ある好ましい実施形態では、所望の合金組成を分離し、不純物を除去するために溶融合金を冷却するときに、その溶融合金に対して求心力を発生させる遠心機の使用について述べる。しかし、所望の分離をもたらすために他の方法および装置も使用できることは言うまでもない。また、本明細書に記載の方法を、ガラス状合金形成合金以外に応用できることも容易に理解されよう。
【0022】
層形成、沈降、および流体力学
上記で概説した目的を達成するために、一実施形態では、大きな慣性力または「g」力を利用して、液相線温度よりも低温で徐冷中に溶融合金中に順次形成され成長する結晶相(粒子)を順次分離する。結晶粒子が形成されると、それを残留液体から物理的に除去し、単離する。これは、大きなg力の下で、迅速かつ効率的な沈降と層形成によってなされる。また、溶融合金由来の酸化物、炭化物、または他の異物粒子の形をした汚染物質および初期の固体「細片」を、同じ沈降/層形成技術を用いて除去することができる。得られる液体は、低融点の層化され除染された最終液体であり、これは、冷却ガスによる対流熱輸送を利用するなど効率的に冷却、凝固させて、固体ガラス成分にすることができる。その結果、ニアネットシェイプのガラス状バルクガラス状合金組成物が得られる。
【0023】
大きな慣性またはg力は、一実施形態では、遠心機の回転運動によって発生させることが好ましい。多数の遠心機設計のうちの1つを用いて、例えば約1から106gの範囲の慣性加速度aを発生させることができる。ここで、gは重力の加速度(9.8m/s2)である。さらに改良した遠心機を用いて、約105から106g以上の慣性加速度を発生させることができる。これにより、遠心機で回転する任意の物体に作用する単位体積当たりの体積力密度は、ρa(ここで、ρは物体の密度である)となる。より具体的には、液体中にある固体粒子は、
f=(ρs・ρL)a=Δρa
で与えられる総体積力密度を受けることになる。ここで、ρs=固体粒子の密度(kg/m3)、ρL=キャリア液体の密度(kg/m3)である。体積Vの固体粒子の場合、これは総体積力F=fΩ=ΔρaΩになる。このよく知られた体積力は、固体粒子をg場中で移動または沈降させ、よく知られた沈降現象を招く。
【0024】
説明のため、図2に示す液柱の中の固体粒子を考える。層流を仮定すると、液体中の固体粒子の移動速度vは、液体の粘度を求めることによって計算することができる。例えば、簡単な球状粒子の場合、これは、粒子の摩擦抵抗を体積力に等しいとして求められ、以下の式で示される:
(1)ΔρaΩ=3πμvd、または
(2)v=[ΔρaΩ]/[3πμd]=[Δρad2]/18μ
ここで、dは球の直径、Ω=(4π/3)(d/2)3=πd3/6、μ=液体の粘度(Pa・s)である。R.CLIFTら、BUBBLES、DROPS、AND PARTICLES 380(Academic Press 1978)を参照されたい。例として、a=104g=105m/s2、d=1μm、Δρ=500kg/m3=0.5g/cc、μ=0.01pa・sとすると、v=移動速度=0.28mm/sとなる。粒子が距離Lを沈降するのに要する時間は、τ=L/vとなる。L=10cmの場合、1ミクロンの球が10cmの距離を「沈降」するのに約300秒かかる。アスペクト比が1でない楕円体などの非球状粒子では、この時間は短くなる。
【0025】
沈降精製速度/時間スケール
低密度溶融体中に「重い」固体粒子がある混合物の場合、地質学者は、求心力場に沿って液柱長さLにわたる溶融沈降が次式で表されることを示した:
(3)d[lnf]/dt=(1/f)df/dt=−v/L
(ここで、fは固相の体積分率、vはg場内の液中にある固体粒子の平均移動速度である)。D.McKenzie、The Generation and Compaction of Partially Molten Rock、25 J.PETROL.713〜765を参照のこと。
【0026】
簡単な近似で、固相の分率は、液柱の「上部」で次式に従い指数的に減少する:
(4)f=f0exp(−tv/L)=f0exp(−tΔρad2/18μL)
(ここで、移動速度vは上式(2)を用いて求められ、f0は固体粒子の初期体積分率である)。
【0027】
固体体積分率が液柱上部において指数的に減衰する固有の時間は、
(5)τ=[Δρad2/18μL]-l
である。
【0028】
104gの求心的場で(上述同様)L=10cmの場合、Δρ=0.5g/cc、μ=0.01Pa・s=10センチポイズの1μm粒子では、τ=300秒である。これは、粒子の初期体積分率の範囲内で、粒子濃度が300秒で1/eに、または700秒で1/10に減衰することを意味する。直径10nmの粒子の場合、精製に要する時間スケールは、3×106秒、または約3日になる。L=1cmの場合、1μm粒子では同じ結果が約70秒(10nm粒子では約8時間)で得られる。これは、1μm(10nm)粒子の溶融精製に要する固有の時間スケールである。この時間スケールは、(1/d2)、μ=粘度、(1/a)(a=求心加速場)、および(1/L)(L=液柱長さ)に比例する。これによって、(ここでは球状と仮定した)固体粒子を含む2相液体混合物における溶融精製の時間的速度(temporal rates)を推定するのに必要な基本的物理特性のすべてが提供される。
【0029】
最終精製レベル
遠心機で達成できる「精製」の最終レベルに目を向けると、ごく一般に、Lamm微分方程式を用いて、求心的場における粒子沈降の問題に対する過渡および定常状態の解を得ることができる。H.FUJITA、MATHEMATICAL THEORY OF SEDIMENTATION ANALYSIS(Academic Press 1962)を参照されたい。求心的場における最終定常状態濃度特性を得るために、Lamm式のアーチボルド(Archibald)「定常状態」解法を使用することができる。これは次式で与えられる:
(6)C(r)/C0=exp[sω2r2/2D]×[sω2(R2 2−R1 2)/2D]/[exp(sω2R2 2/2D)−exp(sω2R1 2/2D)]
(ここで、C(r)は半径rの位置における粒子濃度(粒子/m3)、C0は試料の初期平均粒子濃度、sは粒子の沈降係数、Dは粒子の拡散定数、rは遠心機の半径座標、R1およびR2は周波数ωラジアン/sで回転する遠心機の半径方向のアームに沿って位置する円柱状試料バイル(vile)のそれぞれ内端および外端である)。
【0030】
この定常状態解を用いて、粒子の定常状態分配(または「精製」)係数を計算することができる。これは次式で定義される:
(7)K=C(R1)/C(R2)=exp[sω2(R1 2−R2 2)/2D]
スベードベリ(Svedberg)の関係式を用いて、s/D比を決定することができる。上記Fujitaの論文を参照されたい。これは次式で与えられる:
(8)s/D=M(1−ρL/ρs)/(kBT)
(ここで、ρLおよびρsはそれぞれキャリア液体および固体粒子の密度である)。
【0031】
説明のため、一般的な密度5000kg/m3を有すると想定したキャリア液体よりも10%大きな密度を有する球状固体粒子の典型的なケースについて分配係数を計算する。1μmおよび10nm(実用上重要な典型ケース)の直径を有する粒子の場合、それぞれM=2.6×10-15および2.6×10-21kgである。kB=1.38×10-23J/粒子・KおよびT=1000K(重要な典型温度)の場合、それぞれs/D=0.1(M/kBT)=19および1.9×10-2である。R1=0.4mおよびR2=0.5m(試料液柱高さ10cm)、ω=500Hzを式(7)に代入して、K=exp(2.14×107)およびexp(21.4)=2×109を得る。1μm粒子の場合、精製は本質的に完全であるが、10nm球状固体粒子の場合、精製は2ppbである。したがって、この方法は、どんな初期粒子濃度について測定しても、極めて小さな結晶粒子をppbレベルで溶融物から除去することができる。
【0032】
液体合金の凝固および結晶核形成中における求心的場の使用−多成分状態図における最低融点液体の単離
バルクガラス状合金形成合金の発見、単離、および処理への上記原理の適用について説明するため、ある好ましい実施形態のいくつかの目的を最初に述べる。それは、次の通りである。
(1)最低融点合金を「発見」し、それを物理的に単離する目的で任意の出発合金から最低融点共融合金を物理的に分離すること。
(2)固体結晶細片または汚染物質(例えば、酸化物粒子)を溶融共融合金から除去してガラス形成能を最適化すること。
(3)単離し精製した最低融点または共融液体からバルクガラス状合金組成物を生成すること。
【0033】
これらの目標を達成するために、一実施形態では、液体合金を順次溶融し、次いで求心的g場の存在下で徐冷して徐々に凝固させる。好ましくは、これは高温炉を装備した遠心機でなされる。図3に、この装置の一略図を示す。遠心装置の別の実施形態を以下に述べる。
【0034】
図3に示すように、遠心組立体20は、真空チャンバ22中に収容することが好ましい。ロータアーム24は中心軸26を中心に回転し、2組の炉28および30がアーム24の内部に設置されてチャンバ内の温度を制御する。合金試料を、説明のために円柱状とみなせる下記の試料ホルダに充填する。この試料ホルダを、アーム24の各炉に隣接する空隙32および34中に装填する。この組立体は、抵抗加熱炉に電力を供給する回転大電流端子(図示せず)、ならびに熱電対を用いて炉の温度を外部から測定するのに使用する弱電流回転端子を備えることが好ましい。
【0035】
先に説明したように、ωは遠心機の角周波数、Rは遠心機の回転点から炉までの平均半径である。炉の位置での加速度はa=ω2Rになる。好ましい一装置では、約5000rpmの回転数、すなわち約80回転/秒は、(2π)-1ωに等しく、ω=500ラジアン/秒となる。この装置では、R=0.4mであり、a=ω2R=2.5×105×0.4m/s2=105m/s2=104gとなる。
【0036】
円柱状試料の温度は変えることが可能であり、試料内では均一(等温状態)に維持されるものとすると、任意の出発組成を有する合金を、以下のように処理することができる。合金を完全に溶融するまで液相線温度以上でまず加熱する。次いで、平衡状態図における最高融点結晶相の合金液相線曲線が交わるまで段階的に徐々に温度を低下させる。最初の結晶相(これをα相と呼ぶ)が核形成し成長するまで、合金をこの曲線よりも低温で過冷却する。Au−Si系(図1)の場合、図示した初期組成では、この第1相はダイヤモンド立方構造を有するほぼ純粋なSiである。残留液体よりも密度が低いので、この成長シリコン結晶はg力を受けることになる。上記で考えたケースの場合、この約104gのg力は、遠心機内側への迅速な沈降を引き起こす。成長結晶が約10nmの大きさにしかならない場合、長さ10cmを沈降するのに、時間(h)の時間スケールがかかる(この場合、AuとSiの大きな密度差Δρに注意されたい)。
【0037】
シリコン結晶は迅速かつ効果的に試料ホルダの一端に移動し、対象温度での液相線曲線組成を有する残留液体が残る。なおも冷却すると、既存のシリコン結晶がさらに成長すると共に、引き続き核形成が起こる。これらの結晶は、(残留液体よりも密度が低いので)遠心機の最も内側の部分に移動させられる。
【0038】
最後に、(Au−Si系の場合)363℃で固相曲線に到達する。なおも過冷却すると、最終的にSiと共にAuの核形成および成長をもたらす(共融凝固(eutectic solidification))。共晶微細構造の成長によって2相が同時に凝固する程度に、さらなる沈降および分離は抑制される。試料の凝固する最後の部分は、状態図の共融組成に極めて近い組成で共晶晶出することになる。完全に凝固した後、試料を周囲温度に冷却し、遠心機を停止し、「層化合金(stratified alloy)」を遠心機から取り出す。
【0039】
次いで、この試料を当初の試料シリンダの軸に垂直な切片に切断する。x線回折で相を同定し、二次イオン質量分析計で切片の総組成を測定して、これらの切断切片の特性を明らかにすることが好ましい。X線分光法、EDS、オージェ電子分光法など他の方法も使用することができる。純粋な共融液体は、凝固する最後の「層」にあるはずである。この「層」は、1つの層化部分にすべての相(この例ではAuおよびSiの2相)が存在することを特徴とする。これが共融合金である。
【0040】
この技術の原理は、3成分または4成分の共融合金の場合でも同じである。合金の次数(例えば、2成分、3成分など)をnとすれば、共融点は、液体と平衡にあるn相の結晶相の存在によって特徴づけられる。一般に、n相すべてを含む層は、遠心沈降し凝固した共融組成合金である。この方法により、低温状態図においてn相の結晶が共存する領域のどこかに出発合金があることだけを条件に、任意の出発合金を遠心処理することで、高次の合金中で共融組成物を物理的に単離し同定することができる。換言すれば、任意の出発合金は、合金が固相線温度以下にあるときに、n相の結晶相を含むことが好ましい。
【0041】
酸化物などの外来固体粒子を含む溶融物の精製
酸化物に関する溶融精製の事例として、実用上興味のある代表例を以下で考察する。Feベースのバルクガラス状合金を合成するために多大な努力が払われてきた。これまでで最も成功した手法の1つは、酸化ホウ素フラックス(B2O3)を使用して、ガラス状合金形成鉄ベース合金の結晶化を誘発する酸化物粒子の効果を抑制するものである。
【0042】
この問題は、図4に示すFe−Oの2成分状態図を参考に理解することができる。この状態図は、極めて高温の液体のミシビリティギャップを示す。温度1500℃未満では、少量の酸素を含有する鉄合金でさえも液相分離を起こす。ミシビリティギャップを非常に低い温度(1000℃未満)まで外挿すると、数十ppmの範囲の酸素を含有する合金が相分離することが示唆される。相分離により、概略50at.%の酸素を含有する酸素リッチな溶融物が生成する。この溶融物は、容易に結晶化してウスタイト相(鉄のほぼ等原子数の酸化物)になる。このウスタイト相が、今度は、他の結晶相(例えば、Feの結晶相、または高次合金の場合の金属間相)の核形成を触媒する。この酸素リッチ溶融物およびウスタイト粒子は、液体鉄の密度(約7.2g/cc)よりもかなり低い密度(ウスタイト相の場合約5.7g/cc)を有する。この差は、(上で説明した計算に用いた10%と比較して)実に20%を超える。
【0043】
酸素リッチ溶融物ならびにウスタイト結晶の両方を、遠心分離を使用して残留合金(Feリッチ)から除去することができる。この方法は、上述の沈降作用に基づいている。合金は、液体ミシビリティギャップを横切るまで高温から段階的に徐冷される。相分離によって、残留Feリッチ溶融物から離れた場所へg力により移動させられる酸素リッチな液相(または、場合によってはウスタイト結晶)が生成される。第1の要件は、酸素リッチ相が0.001〜1μm(または、それ以上)の範囲の大きさに粗大化すること、ならびに粒子サイズおよび上記式(5)から得られる正確な時間スケールに応じて数時間または数日程度の時間スケールで溶融物が処理されることである。
【0044】
この状況で、残留溶融物は、酸素リッチ液相、ウスタイト粒子細片、および結晶の不均一核形成部位の各「精製物」となるはずである。nmサイズまでの結晶ウスタイト粒子を除去することは、数時間/数日の時間スケールで実施することができる。この方法は、(典型的には、70at.%Feを超える)かなりの割合の鉄を含有する、これより複雑なFeベース合金に適用することができる。この方法の原理は依然同じであり、不均一核形成部位の溶融物の汚染を除くために酸素リッチ相(液体と結晶の両方)を残留液体合金から除去する。この方法は、これだけには限定されないが、酸化物および炭化物粒子を含めた不純物をFe合金以外の合金から除去するためにも適用することができる。これら不純物は、名目上は合金中に存在しないことになっているが、合金を形成する材料の純度不足から発生する。
【0045】
バルクガラス状合金成分の鋳造
上述の方法を用いて金属合金を同定し、および/または精製すれば、精製低融点液体からガラス状合金成分を鋳造することは、一般的な2通りの方法の少なくとも1つによって実施することができる。これらの方法は、以下に説明するように、「エクスシチュ(Ex−situ)」および「インシチュ(In−situ)」鋳造と呼ぶことができる。
【0046】
エクスシチュ鋳造。一実施形態では、(1)低融点共融組成物を単離すること、および(2)この低融点合金から不均一結晶核形成を触媒する作用をする結晶細片(酸化物、炭化物など)を取り除いて精製することからなる初期処理ステップに続いて、遠心分離して完全に合金を凝固させることができる。この単離/精製した溶融物を、回転させながら、遠心分離機上の炉への電力供給を停止して冷却する。凝固した合金が周囲温度に冷却されたら、遠心機自体を停止させる。合金を周囲温度に冷却させることは、合金の結晶化を抑制するのに十分な速度で行うことが好ましい。したがって、遠心機から取り出した精製共融もしくは低融点合金は、好ましくはアモルファス金属であり、在来の鋳造プロセス用の供給原料として使用することができる。
【0047】
インシチュ鋳造。精製し単離した低融点合金を直接鋳造して、ネットシェイプの構成部品にすることができる。この場合、鋳造用ゲートを、試料カラム内の適切な場所に設けることが好ましい。この場所は、精製共融溶融物が存在するカラム上のある箇所に位置する。実際には、上述のように最低融点合金を単離し同定する目的で一連の求心的な初期実験を行って、低融点または共融合金をまず同定する。次いで、この名目組成の合金を、求心的な鋳造用の供給原料として使用する。この最適な供給原材料を求心的な炉の中で溶融させる。次いで、あらゆる酸化物または他の結晶細片を(上述の方法を用いて)取り除く。結晶細片の沈降領域から遠く離れた溶融カラム内のある場所から金型またはダイにこの溶融物を移送するゲートを設ける。ゲートを通って移送する溶融体は、依然としてその共融温度またはその付近にある間に、金型またはダイに移送することが好ましい。合金は、金型に入れば、結晶化を抑制するのに十分な速度で冷却することができ、これによってアモルファス金属合金が形成される。
【0048】
上記記述は、使用される一般的手法の特徴を概説したものである。アモルファス金属合金の鋳造に関する詳細は、さらに米国特許第5,950,704号、米国特許第5,711,363号、および2001年6月11日出願の米国特許出願第09/879,545号に記載されており、これら各特許の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0049】
上記の方法を用いた鋳造構成部品は、好ましくは(例えば、最小寸法が約1mmを超える)バルク状で作製することができる。上述の「インシチュ」または「エクスシチュ」鋳造法のいずれかによる求心的な加工方法を用いて生産した構成部品は、ガラス状またはアモルファス構造を有することが好ましい。アモルファスまたはガラス状の構造を部分的に有する「バルク」鋳造構成部品も作製することができる。より好ましくは、バルク鋳造構成部品の一実施形態は、少なくとも20体積%のアモルファス相をその微細構造中に有する。好ましい実施形態は、精製した最適組成の液体合金からの、大きなネットシェイプ鋳造品、プレート、ロッド、および他の有用な成型品の生産および製造についても記述する。
【0050】
好ましい遠心分離装置
上述の通り、高温で(溶融状態で)液体金属合金を処理する大きな慣性力を用いて、ガラス状合金形成合金を同定し処理し、また、その合金からなる構成部品を作製する方法が提供される。この方法は、遠心処理のプラットホーム(platform)を用いて実施されることが好ましい。この方法を実施するには、加速度またはg力を使用することが好ましい。ここで、1gの加速度は、地球の重力の加速度(9.8m/s2)である。液体金属合金処理の加速度は、約103g(9.8×103m/s2)から約1Mgすなわち106gまでの範囲が好ましい。
【0051】
この方法を実施するため、装置は、(1)メガ−gの範囲(105〜106g)までの慣性加速度を発生し維持することができる遠心装置/プラットホーム、(2)回転中に固体または液体金属合金試料を遠心プラットホーム上に保持または収容することができる遠心装置、(3)長時間(好ましくは、数十秒から数十時間まで)にわたり溶融合金に大きな慣性加速度(メガ−g)をかけながら、金属合金試料をその溶融温度以上の温度に加熱できる機能、および(4)溶融合金を処理する環境を制御できる機能、を備えることが好ましい。具体的には、この方法を最適に実施するために、溶融金属を真空中あるいは制御されたガス雰囲気中で処理する必要がある。したがって、大きなg加速度での処理中は、液体合金を、制御された真空またはガス雰囲気の環境中に置くべきである。
【0052】
(3)の実際の温度要件は、当該合金の融点温度で決まる。ある好ましい実施形態では、アルミニウム、チタン、鉄、ニッケル、銅など商用的に有用な構造用金属(structural metals)を使用することができる。融点温度の一般的な範囲は、約400℃から約1200℃までである。
【0053】
要件(4)では、装置全体を好ましくは気密密封容器中に置く。あるいは、高温で(メガ−g範囲までの)大きな慣性加速度にかけたときに密封状態を維持できる、遠心装置上に取り付けた気密密封容器中に、合金試料を封入する。
【0054】
本発明者らの知る限り、これらの要件すべてを満たす市販の遠心分離機や遠心装置はない。高温と大きな慣性力の組み合せは、回転遠心プラットホーム(以後、ロータと呼ぶ)の機械的完全性にとって至難なものであるので、要件(3)は特に困難である。
【0055】
これらの難題を克服するために、メガ−g範囲(約105〜106g)の加速度下、制御された環境中で長時間にわたり高融点液体を処理することができる高温遠心装置を提供する。
【0056】
高温ロータ
ここで提案する装置を、いくつかの方法で実現することができる。一実施形態は、適切な高温材料で作製したロータを含む。ここで、高温材料とは、メガ−g範囲の加速度に伴う大きな応力負荷をかけた時に、適切な強度レベル、耐変形性、耐高温破壊・破損性を維持する材料である。適切なロータ材料の例は、インコネル合金などの高温鋼;Niベース超合金(ジェットエンジン部品を回転させるために使用するものなど);アルミナ、ジルコニア、マグネシア、イットリアなどの強化高温セラミックス;およびガラス状または熱分解炭素であるが、これらだけに限らない。
【0057】
これら材料のすべては、高温でかなりの強度および靭性を有することが知られている。例えば、インコネル合金は、900℃もの高温で約500MPaの降伏強度を有する。ガラス状カーボン、あるいはガラス状のカーボンロッド、るつぼ、および構成部品は、1500℃までの温度範囲で600MPaもの破壊強度を持つことが知られている。一体型ロータは、これら高温材料の1つで作製することが好ましい。
【0058】
好ましいロータは、約400〜1200℃の温度で高強度と耐破壊性を有する、少なくとも100,000gまでの慣性加速度に耐え得る高温材料で作製される。これらのロータを、約1000〜100,000rpmの高回転数で回転させることが好ましい。一実施形態では、ロータは、ロータ外周で約50,000g、より好ましくは約100,000gまで、さらに好ましくは約250,000gまでの加速度に耐えることができる。
【0059】
好ましいロータ部品の簡単な図を図5A〜5Cに示す。図5Aは、シャフト38に取り付けた円板型ロータ36の図である。図5Bは、シャフト44に取り付けた棒型ロータ42の図である。図5Cは、シャフト54を中心に回転する中心ハブ50に取り付けた複数のブレード52を有するハブ型ロータ48の図である。これら各実施形態では、ロータは、シャフトを中心に高回転数で振動せずに回転するためにバランスをとった対称形状の一体型部品である。これは、好ましいすべての遠心分離機に共通した要件である。
【0060】
図5A〜5Cのロータはそれぞれ、試料合金を保持する内部空隙を有する。これらの空隙は、対称配列でロータ中に配置されている。例えば、4個の空隙40を図5Aに、2個の空隙46を図5Bに、4個の空隙56を図5Cに示す。2、3、4、5、6、8、またはこれ以外の数の空隙を対称配列で使用できることは容易に理解されよう。使用する空隙の数は、ロータ全体にかかる機械的総負荷の要件によって決まる。
【0061】
空隙が存在すると、ロータが耐え得る最大負荷が低下し、したがって、ロータが耐え得る最大回転数が低下する。したがって、一般に、空隙は相対的に「小さく」すべきである。例えば、ロータが図5A〜5Cに示すようなもので、半径がR、(紙面に垂直な)厚みがtであり、空隙が直径d、長さLの円柱である場合、D/tを好ましくは小さく、より好ましくは約0.5未満とする。回転によって生じる応力負荷の下で、ロータが十分な機械的完全性を維持するために、L/Rも好ましくは小さく、より好ましくは約0.6未満とする。
【0062】
ロータが図5Bなどのように棒状の場合、その断面は、円形、正方形、矩形、または他の形にすることができる。ロッド42は、ロッドの主(長)軸に垂直な方向を向いてロッドの中心に位置するシャフト44を中心に回転することが好ましい。ロッド42は、シャフトとロッド両端との間に位置する2個の内部空隙46を有することが好ましい。このロッド/空隙組立体は、シャフトを中心に高温(好ましくは、約400〜1200℃)で回転し、それによってロッド両端が最低50,000g、好ましくは約250,000gまで、またはそれ以上の慣性加速度を維持することができる。
【0063】
図5Cのロータは、中心ハブから延在するブレード様の突出部52を有することが好ましい。各突出部は試料処理空隙56を有する。このロータは、到達可能な最大慣性加速度を最適にする形状をしていることが好ましい。
【0064】
図5A〜5Cのロータは、約10cmから約3mの長さであることが好ましい。換言すれば、この長さは、図5Aの円板の直径、または図5Bのロッドの長さに相当する。
【0065】
密封試料カプセルおよびるつぼ
図5A〜5Cの空隙は、処理する試料を入れるために使用する。試料自体は、図6Aおよび6Bに示すような気密密封カプセル58内に入れることが好ましい。処理する液体合金試料60は、図6に示すように、カプセル58の中に直接、またはカプセル内に収容したるつぼ62の中に入れることが好ましい。液体合金試料60を、真空中または不活性ガス雰囲気中でカプセル58中に密封する。溶融状態の対象試料とカプセル材料との反応性が、試料を汚染したり、気密密封カプセルの機械的完全性を損なったり(例えば、カプセルの気密密封性の不良)するほどに激しくはないことを条件に、カプセル58に合金試料を直接(るつぼなしで)入れることができる。
【0066】
反応性が懸念されるときには、合金を入れるために適切なるつぼを使用すべきである。るつぼは、溶融シリカ、ガラス状カーボン、耐火金属、またはアルミナ、ジルコニアなどのセラミック材料を含めて、これだけには限らない多様な適した材料で作製することができる。好ましい一実施形態では、るつぼ62はマンガン製とすることができる。
【0067】
気密密封試料カプセルは、好ましくは、高温(約500〜1500℃)で大きな慣性応力(通常、約10〜500MPa)に耐え得る材料でできており、るつぼおよび合金試料を真空中または不活性ガス中で好都合に気密密封するのに適したものが望ましい。適切なカプセルの例は、制御された環境中にある円柱るつぼ上に蓋を溶接(例えば、真空中または不活性ガス中での電子ビーム溶接)して密封できるインコネル製または高温鋼製カプセル、ガラス吹きにより真空密封できるシリカ製カプセル、Niベース超合金製、モリブデンなどの耐火金属製であるが、これらだけに限定されるものではない。
【0068】
試料カプセルをロータ空隙に装填する好都合な手段を用意することが好ましい。この目的のため、様々なロータの設計を採用することができる。蓋をした空隙の設計例を図7に示す。図7に示す遠心組立体64は、図5A〜5Cの実施形態またはその他の実施形態に従って設計することができるロータ66と駆動軸68を含むことが好ましい。試料60(図示せず)を、ロータ66の上部表面のすぐ下にある試料空隙70内に充填し、空隙カバー72をロータ66に開放可能に閉めて空隙を密封する。
【0069】
適切なロータ空隙設計の別の例を図8に示す。この場合は、試料カプセルを容易に装填できる分割ロータの設計が提供されている。組立体74は、水平面に沿って2個のプレート76および78に分離するロータとロータ駆動軸80を含む。試料空隙82を、これらプレート部品の対向した面の間に配置する。締め具84を用いて、これらプレート部品を合わせて密封することが好ましい。
【0070】
図7および8の実施形態は、単に、試料をロータ空隙に充填し易くするための2種類の可能な構造にすぎず、すべての可能な構造を列挙しようとするものではないことは理解されよう。様々な構造の利点を評価する際には、ロータの機械的完全性を考慮すべきである。上記構造はいずれも、妥当な設計を提供するものである。実施形態を以下でさらに説明する。
【0071】
ロータの加熱方法およびロータ温度の制御
前記遠心処理方法を実施するために、試料カプセルを含むロータ組立体全体を加熱する手段を用意することが好ましい。様々な方法を採用することができる。一実施形態では、航空機部品の部品点検で特徴的な高温回転試験と同様に、回転部品を炉内で「回転試験(spin tested)」する。この方法では、ロータとシャフトの組立体全体を炉内に入れ、炉の周囲温度に加熱する。Niベース超合金製およびインコネル製部品は、この方法を用いて最高約1000℃の温度で慣行的に試験されている。
【0072】
好ましい実施形態では、空隙および試料カプセルを含むロータを、炉内に入れることができる。これに対し、円柱状の炉をロータの上に持ち上げることもできる。炉は、予熱することも、ロータを入れてから加熱することもできる。いずれの場合でも、ロータ組立体全体を、最終的には、炉内で定常温度に加熱することになる。この方法を用いて、カプセル中の試料合金を溶融するのに十分な温度にロータ組立体を加熱する。試料カプセルは基本的に黒体空隙中に気密密封されているので、試料温度はロータ温度とすぐに平衡になる。ロータおよび試料は、ロータの最大回転数まで回転を上げることができ、試料を大きな慣性加速度の下で処理することができる。
【0073】
計算によれば、インコネル製または超合金製ロータを用いると、最高約1000℃の温度で約1から2×105gの加速度にすることができる。次いで、ロータを炉から取り出し、または、炉への電力を下げてロータおよび密封試料を徐々に冷却させることができる。このようにして、大きなg加速度を連続してかけている間に凝固を実施することができる。
【0074】
上記方法の別法としては、ロータに加熱源を設けてロータを加熱することができる。例えば、RF誘導加熱を用いて、ロータを回転中に加熱することができる。ここで、ロータを囲む構造をしたRFコイルを使用できる。RF電源で駆動させる場合には、RFコイルを金属ロータに接続し、RF電源をロータに直接接続する。RF電源の強度を調節することによって、「定常状態」ロータ温度を変化させることができる。この方法は容易に実施でき、導電性のロータを、熱損失が主に放射によって起こる1200℃以上の温度範囲まで加熱することができる。熱伝導性の高い金属ロータの場合、定常状態での温度は比較的均一になる。同様に、ロータ内に密封した試料は、明確に規定された温度において、液体合金の処理に必要なほぼ等温の状態に達することになる。
【0075】
誘導加熱および抵抗加熱に加え、他の方法を使用してロータ組立体を加熱することもできる。あるいは、レーザを利用してロータ組立体を加熱することもできる。この場合、比較的高出力のレーザが必要になるであろう。他の加熱方法としては、ロータの直接抵抗加熱が挙げられる。この場合、外部電源から回転ロータ組立体に電流を送るために、大電流の回転型フィードスルーが必要になるであろう。上記加熱方法のすべてを、本発明の好ましい実施形態を実施するために使用することができる。
【0076】
液体金属合金を処理する場合、大きなg加速度下で液体金属の処理を制御するために、試料(例えば、ロータ)温度を時間と加速度の履歴の関数として理解することも望ましい。処理中のロータ温度を測定するために、いくつかの方法を使用することができる。これらの方法には、処理中のロータ温度を外部で監視する赤外または光高温計の使用、試料空隙内に位置する接合点を有しロータに取り付けられた1本または複数の検定済み熱電対の、好ましくは試料に直接接した状態での使用が含まれる。熱電対を利用するには、回転する電気接続を用いて、熱電対信号を外部の電圧計または監視システムに送ることが好ましい。上述の方法のいずれもが、大きなgでの処理中に試料温度履歴を監視するのに有効なはずである。
【0077】
実験結果
図9に、ガラス形成金属合金を処理するために使用できる1つの好ましい遠心組立体100を示す。この組立体100は、チャンバ104を囲む円柱本体102、本体102の上に設けられチャンバを密封する蓋106を備える。円柱本体102は、好ましくは炉として働いてチャンバ104内の温度を制御し、(下記)ロータは最高約35,000rpmの回転数で回転しながら、最高約1600°F(約875℃)、より好ましくは最高1200℃の温度に達することができる。本体102および蓋104は、劣化することなく高温に耐える適切な鋼またはセラミック材料でできていることが好ましい。試料チャンバの内径は、好ましくは約30〜60cmである。
【0078】
炉の蓋106を通って、駆動軸108が延在している。駆動軸は、ワスパロイまたはインコネル100などの耐高温クリープ合金で作製されている。図10〜12にさらに詳細に記述したロータ110が、駆動軸の底部に設けられている。したがって、円柱本体102に蓋106を閉めると、ロータ110がチャンバ104の内部にくる。
【0079】
図10〜12に示すように、ロータ110は、2個の隣接するプレート112および114で構成される。図11および12に示すように、これら各プレートの内面は、上述のように試料カプセルを入れる複数のくぼみ120を有する。この2個のプレートを一緒にして閉じると、これらのくぼみが合わさって試料カプセルを保持する内部空隙が画定される。図11および12に示すように、8個の空隙がロータ内に設けられているが、任意の数の空隙を使用することができる。図10に示すように、ロータ110の上部および下部プレートは、プレートの開口部118を通って延在する締め具116を用いて一緒に保持される。
【0080】
ロータは、高温(好ましくは、最高約900℃またはそれ以上)で高強度(好ましくは、約500MPa以上)を維持し、かつこのような温度で荷重下のクリープに耐える材料でできていることが好ましい。1つの好ましいロータは、インコネル100で作製されているが、上述のいくつかの材料のうちどれを用いてもよい。Niベースの超合金、または熱分解炭素/炭素繊維強化材料もロータの作製に適している。締め具、(ロータ空隙内に入れる)試料カプセルを含めて他のロータ部品も、インコネル100で製作することができる。
【0081】
一実施形態の(試料空隙を含む)円板型ロータ全体の直径は、好ましくは約10cm〜50cmの範囲にある。好ましい一実施形態では、ロータの直径は約25cmである。ロータ円板の厚みは、好ましくは約1cmから5cm、より好ましくは約2から3cmである。ロータ内の空隙はそれぞれ、長さが好ましくは約2から10cm、より好ましくは約5cm、直径が約0.5から2cm、より好ましくは約1.27cmである。ロータは、好ましくは最高約60,000g(600,000m/s2)、より好ましくは最高約200,000g(2,000,000m/s2)に加速できるである。好ましい一装置を、(試料空隙の外端で)最高120,000gの加速度で試験した。約1分から10時間の冷却時間、より好ましくは約0.001℃/秒から10℃/秒の冷却速度を使用することができる。
【0082】
本発明のある種の変形および改変が当業者には自明であることを理解されたい。本発明の範囲は、図やそれについての前記説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】2成分Au−Si合金の状態図である。
【図2】液体中にあり、求心的g場中を落下する球状固体粒子を示す概略図である。
【図3】多成分合金の最低融点共融組成を測定するための遠心組立体を示す概略図である。
【図4】Fe−O系の状態図である。
【図5A−5C】好ましい遠心組立体で使用できる種々のロータの設計を示す概略図である。
【図6A】液体合金試料を入れるのに使用する気密密封カプセルを示す斜視図である。
【図6B】液体合金試料を入れるるつぼを有する試料カプセルを示す断面図である。
【図7】試料カプセルを遠心組立体に装着するための、蓋をした空隙の設計を示す断面図である。
【図8】試料カプセルを遠心組立体に装着するためのスプリットロータ(split rotor)の設計を示す断面図である。
【図9】好ましい一実施形態による遠心組立体を示す斜視図である。
【図10】図9の遠心組立体で使用するロータ組立体を示す斜視図である。
【図11】内部空隙を示すために開いた、図10のロータ組立体を示す斜視図である。
【図12】図10のロータ組立体を形成するプレートの1つの内面を示す端面図である。
Claims (45)
- 「n」相(n≧2)を含む合金の最低融点共融組成を同定する方法であって、
任意の出発合金を用意すること、
この合金を実質的に溶融するまで加熱すること、
溶融合金温度を合金の融点を超える温度に維持しながら、しばらくの間この溶融合金を大きな慣性力にかけること、
この溶融合金に大きな慣性力をかけながら、合金温度を融点未満に下げ、それによって周囲液体中で第1の固相の核形成および成長を引き起こし、この第1の固相に慣性力をかけて、沈降により周囲液体中を上方または下方へ移動させること、
この合金に前記慣性力をかけながら、合金が実質的に完全に凝固するまでさらにその温度を下げ、それによって別の固相の核形成および成長をさらに引き起こし、この別の固相に慣性力をかけて、沈降により周囲液体中を上方または下方へ移動させること、および
初期凝固固体レイヤ間に層を形成し、最低融点共融組成を有する最終凝固固相を同定することを含む方法。 - 任意の出発合金が、状態図の低温部分にあるときに、n相の共存領域中にある組成を有する、請求項1に記載の方法。
- 合金を慣性力にかけることが、合金を回転装置中で求心加速度にかけることを含む、請求項1に記載の方法。
- 合金を求心加速度にかけることが、合金を遠心分離機中に置くことを含む、請求項3に記載の方法。
- 求心加速度が約1から106gである、請求項3に記載の方法。
- 求心加速度が約105〜106gである、請求項3に記載の方法。
- 最終凝固固相の同定が、X線回折、X線分光法、EDS、およびオージェ電子分光法からなる群から選択される方法を用いて最終固相の組成を同定することを含む、請求項1に記載の方法。
- 合金を冷却後に最終固相を同定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
- 溶融状態から最終固相が凝固するまで合金温度を下げることを、約1分から10時間かけて約0.001℃/秒から約10℃/秒の冷却速度で行う、請求項1に記載の方法。
- 合金が3相以上の相を含む混合物に凝固する、請求項1に記載の方法。
- 固相の少なくともいくつかが不純物相を含む、請求項1に記載の方法。
- 不純物相が酸化物、炭化物、または窒化物粒子を含む、請求項11に記載の方法。
- 不純物が、容器中での材料加工中に生成される細片を含む、請求項11に記載の方法。
- 最低融点共融組成のバルク合金試料を生成する方法であって、
任意の出発合金を用意すること、
この合金を実質的に溶融するまで加熱すること、
溶融合金温度を合金の融点を超える温度で維持しながら、しばらくの間この溶融合金を大きな慣性力にかけること、
この合金を慣性力にかけながら、合金温度を下げ、それによって周囲液体中で第1の固相の核形成および成長を引き起こし、この第1の固相に慣性力をかけて、沈降により周囲液体中を上方または下方へ移動させること、
この合金を前記慣性力にかけながら、合金が実質的に完全に凝固するまでその温度をさらに下げ、それによって別の固相の核形成および成長をさらに引き起こし、この別の固相に慣性力をかけて、沈降により周囲液体中を上方または下方へ移動させること、および
最終凝固固相から得た材料を用いてバルク合金試料を鋳造することを含む方法。 - 任意の出発合金が、状態図の低温部分にあるときに、n相の共存領域中にある組成を有する、請求項14に記載の方法。
- 合金を慣性力にかけることが、合金を求心加速度にかけることを含む、請求項14に記載の方法。
- 合金を求心加速度にかけることが、合金を遠心分離機中または回転ロータ組立体中に置くことを含む、請求項16に記載の方法。
- 求心加速度が約1から106gである、請求項16に記載の方法。
- 求心加速度が約103〜106gである、請求項16に記載の方法。
- 求心加速度が約105〜106gである、請求項16に記載の方法。
- 溶融状態から最終固相が凝固するまで約1分から10時間かけて合金温度を下げる、請求項14に記載の方法。
- 平衡にある固体合金が3相以上の相を含む、請求項14に記載の方法。
- バルク合金試料の鋳造が、在来の鋳造プロセス用の供給原料として最終凝固固相を使用することを含む、請求項14に記載の方法。
- バルク合金試料の鋳造が、最終凝固固相を含有する合金の少なくとも一部を鋳型に直接鋳造することを含む、請求項14に記載の方法。
- 請求項14に記載の方法によって形成される金属合金構成部品。
- 合金を溶融すること、
溶融合金を求心加速度にかけること、および
その後、求心加速度の存在下で合金を凝固させること、
を含む多成分合金の処理方法。 - 多成分合金が2種の主要な成分を含有する、請求項26に記載の方法。
- 多成分合金が3種以上の主要な成分を含有する、請求項26に記載の方法。
- 約1から106gのg場の存在下で合金を凝固させることを含む、請求項26に記載の方法。
- 遠心分離機内に合金を入れる、請求項26に記載の方法。
- 約0.001℃/秒から10℃/秒の冷却速度で合金を凝固させる、請求項26に記載の方法。
- 在来の鋳造プロセス用の供給原料として凝固合金の一部を使用することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
- 合金の凝固により、残留合金に比べて低融点の共融組成を有する合金の一部が分離する、請求項26に記載の方法。
- 合金の凝固により、残留合金に比べて不純物の少ない相を含む合金の一部が分離する、請求項26に記載の方法。
- 合金が試料カラム内に入っている、請求項26に記載の方法。
- 試料カラムが合金の少なくとも一部を取り出すためのゲートを有する、請求項35に記載の方法。
- ゲートが、凝固により残留合金よりも比較的少ない不純物を含有する合金の一部に隣接して位置する、請求項36に記載の方法。
- 請求項25の方法によって処理される多成分合金。
- 精製された多成分のバルクガラス状合金形成合金を形成する方法であって、
(a)高温で試料合金を溶融すること、
(b)この溶融合金を、しばらくの間融点を超える温度に保持しながら、求心加速度にかけること、
(c)合金に求心加速度をかけ続けながら合金温度を下げることによって合金を凝固させ、凝固した合金が最低融点共融組成を有する残留合金から分離した部分を含むこと、
(d)最低融点共融組成を有する合金部分を単離すること、
(e)求心加速度をかけながら、最低融点共融組成を有する合金部分を高温で再溶融すること、および
(f)求心加速度をかけながら、最低融点共融組成を有する合金部分を引き続き冷却し、冷却した合金が残留合金よりも不純物の比較的少ない相を含む部分を有することを含む方法。 - 最低融点共融組成を有する合金部分が試料カラム内に入っている、請求項39に記載の方法。
- 試料カラムが、不純物の比較的少ない相を含む冷却合金部分に隣接するゲートを有する、請求項40に記載の方法。
- 不純物の比較的少ない相を含む冷却合金部分をゲートを通して試料から取り出し、取り出した部分を鋳型またはダイに移送することを含む、請求項41に記載の方法。
- バルクガラス形成能が最適である組成を有する金属合金であって、その組成が、合金を溶融し、その後、凝固中の合金に遠心分離機で大きな慣性力をかけて残留溶融合金から結晶相を物理的に分離して初期溶融合金をゆっくり徐々に凝固させ、その結果、金属合金の最適組成が凝固する合金の最終部分となるようにし、最終合金の明確なレイヤとしてそれを物理的に単離することによって得られる金属合金。
- 残留溶融合金から分離される結晶相が、酸化物、炭化物、および窒化物の相からなる群から選択される不純物相である、請求項43に記載の金属合金。
- 残留溶融合金から分離される結晶相が、合金を徐々に凝固させる間に形成される、請求項43に記載の金属合金。
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