JP2004525730A - 温度変化要素を有する着用可能物品 - Google Patents

Abstract

排泄しつけを容易にするために有用な着用可能物品が提供される。着用可能物品は、濡れた時に着用者に不快感を引き起こす、冷たい／濡れた合図を提供する温度変化要素を包含する。温度変化要素は、着用者の皮膚に提供される熱による合図を最大限にするために不浸透性材料の上に配置された温度変化物質を具備する。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、おむつ、トレーニングパンツなどのような衛生的な吸収性物品に関する。本発明は特に、排泄のしつけ方法を容易にするトレーニングパンツに関する。
【背景技術】
【０００２】
吸収性物品は当該技術分野において周知である。これらの物品は一般に、着用者から排泄された排泄物を捕獲及び吸収するために、使用中に締着装置により着用者の身体に近接して保持又は配置される吸収性コアを有する。一般的な吸収性物品は、流体の排出物を通過させる、着用者に面するトップシートと、排出物が吸収性物品から漏れるのを防ぐバックシートとを包含する。
【０００３】
おむつのような使い捨て吸収性物品は、着用者の身体と衣服の汚れを防ぐために排泄物を吸収及び封じ込めるために設計されている。使い捨ておむつは一般に、新生児から排泄しつけ中の幼児に及ぶ様々な着用者に適合するように、様々な寸法で入手可能な単一のデザインを備える。おむつのデザインは一般に、排泄物を吸収して封じ込める能力のような性能に影響を及ぼす。おむつの寸法、例えば、おむつのウエスト開口部の寸法、大腿部周囲の開口部の寸法、及びおむつの長さ又は「ピッチ」は概して、適合性に影響を及ぼす。
【０００４】
排泄しつけ段階は、一旦このしつけが首尾よく終了すると幼児が通常は製品の範疇を出るため、「出口地点」と呼ぶことができる。「先進」国において子供が排泄しつけされる年齢は、過去数十年にわたり着実に伸び、現在はおよそ２４〜４２ヶ月の範囲にある。排泄しつけが遅くなった一つの理由は、おむつの乾燥度と快適さにおける有意な技術的改善によるものである。現代のおむつでは、１回以上の排尿の後でさえ子供の皮膚は乾燥している。その結果、子供はほとんど又は全く不快を感じず、また排尿したことにさえ気付かないことも多い。
【０００５】
多くの親は排泄しつけ中子供に木綿のトレーニングパンツ又は下着をはかせるので、子供は自分の「パンツ」の中で排尿した後に不快を感じる。そのような不快感が学習の助けとなるか、又は適切な排泄しつけを学習するモティベーションを提供すると考えられている。木綿のトレーニングパンツは皮膚を湿らせたままにすると共に、その高い通気性のために、皮膚の蒸発冷却を促進し、更に不快感を増す。しかしこの方法における現行の代償は、木綿のトレーニングパンツは尿の封じ込め力に乏しいので衣類を濡らし、また周囲、例えば、敷物、家具などを濡らすことが多いことである。尿漏れ、及び不必要な衣服の取り換えを防ぐ一方、排泄しつけ中の子供にしつけの合図を提供する必要性が明らかにある。
【０００６】
この必要性に取り組むために多くの試みが当該技術分野において行われてきた。一つの試み（米国特許第５，６８１，２９８号）は、液体浸透性温度変化部材の使用を含み、熱による合図を子供に提供する。この温度変化部材は、水中で正の溶液熱（発熱）又は負の溶液熱（吸熱）を有する塩を具備し、吸収性組立部品と共に配置される。重要な必要条件は、単位面積当たりの総エネルギー変化量が約６〜約３０カロリー／平方センチメートルであることである。この方法はいくつかの重大な限界を有する。第一に、温度変化部材の液体浸透性により、塩が溶解し、着用者の皮膚から離れて吸収性組立部品の中に運ばれるため、熱による合図を皮膚に提供する機会を大きく低減する。更に、６〜３０カロリー／平方センチメートルの総エネルギー変化量という必要条件によりこの現象を克服する試みは、かなりの量の塩の使用を伴い、製品の経費と複雑さとが増大する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
故に、排泄物の排泄が発生した時に不快感を引き起こすことにより、着用者に知らせる有効な合図を提供すると同時に、吸収性物品の保護を提供して着用者の衣類及び周囲が汚れるのを防ぐことにより排泄しつけを容易にし得る着用可能物品を提供することが望ましい。最小限の量の吸熱塩又は発熱塩を使用して有効な熱による排尿の合図を提供する着用可能物品を提供することが特に望ましい。約３カロリー／平方センチメートル未満の総エネルギー変化量を有する熱による排尿の合図を提供することが更に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
当該技術分野において判明した一つ以上の問題を解決するために、吸収性物品のような着用可能物品は、着用者の皮膚により感知される温度変化を起こして尿などの排泄物の排泄が発生したことを着用者に合図する温度変化要素を備える。温度変化要素は、浸透性層と、浸透性層の反対側の不浸透性層とを具備する。ある実施形態では、浸透性層は着用者の身体に面し、不浸透性層は着用可能物品の吸収性組立部品に面している。吸熱塩などの温度変化物質は浸透性層と不浸透性層との間に挟まれている。
【０００９】
一旦着用者が排尿して、着用者の尿道と位置整合する温度変化要素の目標領域を濡らすと、浸透性層は尿が層の厚さをＺ方向に浸透するのを可能にする。浸透性層の反対側に配置された不浸透性層は尿をＺ方向に浸透させないので、温度変化物質及び／又は冷えた尿が着用者の皮膚から離れて吸収性組立部品又は下にある他の層の中に流れ込むのを最小限に抑える。更に不浸透性層は、Ｘ−Ｙ平面における浸透性層と不浸透性層との間の流体の移動に最小の抵抗の経路を提供して、その間で濡れた温度変化物質の量を増す。その結果、尿は目標領域に隣接した温度変化要素の領域内に移動して、温度変化要素によって提供される合図の効力を増強することができる。
【００１０】
更に、浸透性層をＺ方向に通過する尿は、不浸透性層を通って下にある物品の層まで通過しないので、本発明の温度変化要素は、最小限の量の温度変化物質を利用して有効な合図を生成するように作られることができる。同様に、本発明の温度変化要素は、０．５カロリー／平方センチメートル〜約３０カロリー／平方センチメートルの範囲に及ぶ単位面積当たりの総エネルギー変化量を生成するように作られることができるが、浸透性層は着用者の皮膚と接触して保持されるので、着用者は尿の攻撃による温度変化効果のみならず濡れも感じる。結果的に本発明の温度変化要素は、約０．５カロリー／平方センチメートル〜約５．０カロリー／平方センチメートルの範囲に及ぶ低減した単位面積当たりの総エネルギー変化量で有効な合図を生成し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１１】
本明細書は、本発明を形成すると思われる主題を特定して指摘し明確に請求する請求項にて結論とするが、本発明は、添付図と関連づけて行う次の説明によってより良く理解されると考えられ、添付図中では同様の表記は実質的に同一の要素を示すのに使用する。
【００１２】
本発明は、温度変化要素が着用者の身体から排泄される排出物で一旦濡れると、着用者の皮膚によって感じられる温度の変化を提供する温度変化要素を有する着用可能物品を提供する。温度変化要素は、トレーニングパンツ、失禁用ブリーフ、失禁用下着、吸収性挿入物、おむつホルダ及びライナー、女性用生理衣類などを包含する使い捨て吸収性物品のような着用可能物品に等しく適用可能である。本発明の吸収性物品の一つの実施形態は、図１に示される使い捨ておむつ２０のような単一の使い捨て吸収性物品である。しかし、好ましくは、本発明は排泄しつけを容易にするようにデザインされた使い捨てトレーニングパンツ及びプルオンおむつに適用可能である。
【００１３】
（定義）
本明細書で使用する次の用語は、次の意味を有する。
「吸収性物品」とは、液体を吸収及び封じ込める装置を指し、より具体的には、着用者の身体に又はそれに近接して配置されて、身体から排泄された様々な排出物を吸収及び封じ込める装置を指す。
「長手方向」は、物品の最大直線寸法に平行に走る方向であり、長手方向±４５°内の方向を包含する。
「横」又は「横断」方向は、長手方向に直交する。
「Ｚ方向」は、長手方向と横断方向の双方向に直交する。
「Ｘ−Ｙ平面」とは、長手方向と横断方向に相合する平面を指す。
【００１４】
用語「使い捨て」は、本明細書では、洗濯される、さもなければ修復される、又は吸収性物品として再利用されることを一般に意図しない（すなわち、一回の使用後に廃棄される、好ましくはリサイクルされる、堆肥化される、さもなければ環境に適合する方法で処理されることを意図する）吸収性物品を説明するために使用される。
【００１５】
本明細書で使用する用語「配置される」は、ある要素が特定の場所又は位置で他の要素と共に単一構造体として、又は他の要素に接合した別個の要素として形成（接合及び配置）されることを意味するために使用される。
【００１６】
本発明で使用する用語「接合される」は、ある要素が他の要素に直接取り付けられることによりその要素に直接固定される構成と、ある要素が中間部材に取り付けられ、その中間部材が他の要素に取り付けられることにより他の要素に間接的に固定される構成とを包含する。
【００１７】
「単一の」吸収性物品とは、結合した別個の部分から形成され、調和した統一体を形成して、別個のホルダ及びライナーのような別個の操作部分を必要としない吸収性物品を指す。
【００１８】
本明細書で使用する用語「おむつ」とは、一般に乳幼児及び失禁者により胴体下部の周囲で着用される吸収性物品を指す。
【００１９】
本明細書で使用する用語「不浸透性」とは、一般に、９７０パスカル（０．１４ポンド／平方インチ）以下の圧力で物品のＺ方向の厚さ全体に流体による浸透がない物品及び／又は要素を指す。好ましくは、不浸透性物品又は要素は３４５０パスカル（０．５ポンド／平方インチ）以下の圧力で流体による浸透がない。より好ましくは、不浸透性物品又は要素は、７０００パスカル（１．０ポンド／平方インチ）以下の圧力で流体による浸透がない。
【００２０】
図１は、平らに広げた非収縮状態の（すなわち、弾性による収縮がない）おむつ２０の平面図であり、おむつ２０の下層構造をより明瞭に示すために構造の一部分が切り取られ、おむつ２０の着用者に接触する部分が見る人に向いている。おむつ２０は、長手方向軸線４２と横断方向軸線４４を包含する。おむつ２０の一つの末端部分３６は、おむつ２０の第一腰部区域として構成されている。反対側の末端部分３８は、おむつ２０の第二腰部区域として構成されている。おむつ２０の中間部分３７は、第一腰部区域３６と第二腰部区域３８との間を長手方向に伸びる股部区域として構成されている。腰部区域３６及び３８は一般に、着用時に着用者の腰を取り巻くおむつ２０の部分を含む。腰部区域３６及び３８は、改善された適合性と収容性を提供するために着用者の腰の周りで縮むように、弾性要素を含んでもよい。股部区域３７は、おむつ２０を着用した時に、一般に着用者の脚の間に配置されるおむつ２０の部分である。
【００２１】
おむつ２０は好ましくは、液体透過性トップシート２４、液体不透過性バックシート２６、及びトップシート２４とバックシート２６との間に入れられた吸収性コア２８を具備する。トップシート２４は、トップシート２４とコア２８との間に空間を供給するために、全体的に若しくは部分的に伸縮性を持たせ、又は収縮され得る。伸縮性の又は収縮したトップシートを包含する代表的な構造は、１９９０年１月９日にデマレーズ（Des Marais）らへ発行された「弾性ストランドを有する吸収性物品（Absorbent Article Having Elastic Strands）」という名称の米国特許第４，８９２，５３６号と、１９９１年２月５日にフリーランド（Freeland）へ発行された「排出物隔離のために弾性ライナーを備える吸収性物品（Absorbent Article With Elastic Liner For Waste Material Isolation）」という名称の米国特許第４，９９０，１４７号と、１９９１年８月６日にアレン（Allen）らへ発行された「弾性的伸縮性のトップシートを有する使い捨て吸収性物品（Disposable Absorbent Article Having Elastically Extensible Topsheet）」という名称の米国特許第５，０３７，４１６号と、１９９３年１２月１４日にフリーランド（Freeland）らへ発行された「使い捨て吸収性物品用の三分割トップシート及びその三分割トップシートを有する使い捨て吸収性物品（Trisection Topsheets For Disposable Absorbent Articles and Disposable Absorbent Articles Having Such Trisection Topsheets）」という名称の米国特許第５，２６９，７７５号とにさらに詳細に記載され、これら特許の各々を参考として本明細書に組み込む。
【００２２】
おむつ２０は、少なくとも一つの噛合う構成要素（雄の締着構成要素）と少なくとも一つのランディング領域（雌の締着構成要素）とを包含する、フックとループタイプの締着装置４０のようなファスナを包含してもよい。おむつ２０はまた、レッグカフ、前及び後耳パネル、ウエストキャップ機構、及び弾性部などを包含する当技術分野で既知の他の機構を包含し、より良い適合性、収容性、及び美的特質を提供することができる。そのような追加の機構は、当技術分野で周知であり、米国特許第３，８６０，００３号、及び第５，１５１，０９２号に説明されており、これらを参考として本明細書に組み込む。
【００２３】
更に、本発明は他のおむつの実施形態にも好適と考えられ、これらには、２０００年１月４日に発行された「粘性流体の排泄物を処理する物品（Viscous Fluid Bodily Waste Management Article）」という名称の米国特許第６，０１０，４９１号と、１９９９年２月２３日に発行された「シャーシと芯の改良によるおむつの適合と適合維持（Fit And Sustained Fit Of A Diaper Via Chassis And Core Modifications）」という名称の米国特許第５，８７３，８７０号と、１９９９年４月２７日に発行された「コンバーチブル吸収性物品と共に使用するエラストマーサイドパネル（Elastomeric Side Panel for Use with Convertible Absorbent Articles）」という名称の米国特許第５，８９７，５４５号と、１９９９年５月１８日に発行された「構造的に弾性様のフィルムウェブウエストベルトを持つ吸収性用品（Absorbent Article With Structural Elastic-Like Film Web Waist Belt）」という名称の米国特許第５，９０４，６７３号と、１９９９年８月３日に発行された「使い捨てプルオンパンツ（Disposable Pull On Pant）」という名称の米国特許第５，９３１，８２７号と、１９９９年１１月２日に発行された「マクロ粒子貯蔵構造を有する吸収性用品（Absorbent Article With Macro-Particulate Storage Structure）」という名称の米国特許第５，９７７，４３０号と、１９９９年１２月２１日に発行された「多方向延伸性サイドパネルを有する吸収性物品（Absorbent Article With Multi-Directional Extensible Side Panels）」という名称の米国特許第６，００４，３０６号とに開示されるものが挙げられ、これらの開示を参考として本明細書に組み込む。
【００２４】
本発明による代表的な温度変化要素が図２に示される。温度変化要素５０は、浸透性層５２、浸透性層５２の反対側に配置された不浸透性層５４、及び浸透性層上に配置された温度変化物質５６を具備する。好ましくは、温度変化物質５６は、図２に示されるように浸透性層５２と不浸透性層５４との間に挟まれるが、温度変化物質が不浸透性層の反対側の浸透性層の表面上に配置された実施形態が考察される。本発明による温度変化要素５０は好ましくは、身体に面する浸透性層（上部層）と、この身体に面する層の反対側の不浸透性層（下部層）とを具備する。しかしもう一つの方法として、本発明による温度変化要素は、身体に面する不浸透性層（上部層）と、この身体に面する層の反対側の浸透性層（下部層）とを具備してもよい。後者の実施形態では、温度変化物質の濡れはウィッキングによって達成される。代表的な実施形態を下記に説明する。
【００２５】
温度変化物質５６は、着用者の近くに配置されて尿に接触する時、温度変化の形態の合図を着用者に提供する。温度変化物質５６は、粒子の形態であってもよい。しかしもう一つの方法として、温度変化物質５６は、コーティングの形態で二つの層の一つの上に配置されてもよい。例えば、温度変化物質は、温度変化物質の飽和水溶液で浸透性層を濡らし、次に乾燥によって水分を蒸発させることによりその層の上に堆積されてもよい。
【００２６】
尿の攻撃を受けている間、浸透性層５２は尿をＺ方向に浸透させると共に、ウィッキングによりＸ−Ｙ平面に尿を流すための媒体も提供する。浸透と流れとの組み合わせにより、尿は温度変化物質５６に接近する。尿は温度変化物質を融解して、尿の温度の著しい低下／上昇を引き起こす。浸透性層の反対側の層は、本明細書で定義されるように、液体（温度変化物質／尿溶液）が吸収性構造体の下にある層に移動するのを防ぐために、不浸透性である。着用者により感知される温度変化の合図を最大限にするために、不浸透性層はまた、浸透性層と不浸透性層との間の液体の流れを支持して、着用者の身体とできるだけ緊密で連続的な接触状態で液体を保持する。
【００２７】
温度変化要素５０はまた、浸透性層５２と不浸透性層５４との間に転移層５８を包含して、温度変化物質５６を浸透性層５２から分離してもよい。転移層５８は、セルロース層、ティッシュ層、不織布層、発泡体層、又は製造及び使用中に温度変化物質５６を適所に保持して温度変化物質５６が着用者の皮膚に接触するのを防ぐのを助け得る他の層を具備してもよい。更に転移層は、ウィッキングを増加させることで、温度変化要素５０の濡れた面積を増大して、より有効な合図にし得る。
【００２８】
温度変化は熱の吸収又は発散のいずれかを含み、着用者が気付く程度まで周囲の温度を変化させ得る。水中で溶解する時に温度変化を起こす温度変化物質では、エネルギーの変化は、「溶解熱」として既知である。負の溶解熱を有する温度変化物質は、熱の吸収及び温度の低下を含み、吸熱物質として既知である。吸熱物質は着用者に冷たい感覚を提供する。正の溶解熱を有する温度変化物質は、熱の発散及び温度の上昇を含み、発熱物質として既知である。発熱物質は着用者に温かい感覚を提供する。
【００２９】
温度変化物質は、尿などの水溶液に接触して反応し、熱を吸収するか又は発散する。これが達成される仕組みは、水溶液中での物質の溶解、水溶液中での物質の膨潤、又は水溶液中での一つ以上の物質の反応である。特定の実施形態では、温度変化物質は、溶解した状態と結晶状態との間に実質的なエネルギー差を有する物質であるので、熱の形態のエネルギーは、上記で説明したように、水又は尿と接触して溶解すると周囲に吸収又は発散される。
【００３０】
水溶液と接触する時に多種多様の物質が温度変化を起こし得るが、特定の温度変化物質の選択及び使用される量の決定は、所望の温度変化にある程度基づくべきである。温度変化要素に配置される温度変化物質は、吸熱物質であっても発熱物質であってもよいが、ある実施形態では、従来の木綿のトレーニングパンツにより着用者に伝えられる冷却合図により近い合図が得られるので、吸熱物質が好ましい。更に、着用者は一般におむつにより提供される温かい環境に慣れているので、発熱物質は同様の良好な合図を提供しない。更に、加熱された環境は細菌の成長と、それに付随する細菌及び菌類に起因するおむつかぶれとを促進する。
【００３１】
皮膚に接触する尿は一般に、着用者が合図及び／又は不快感を容易に感知するように２７℃以下であるべきである。好ましくは、皮膚に接近可能な尿は約２５℃まで冷却されて、感知される合図を最大限にする。最も好ましくは、皮膚に接近可能な尿は約２２℃以下まで冷却されて、感知される合図を最大限にする。この結果を達成するために、使用される特定の温度変化物質、使用量、及びその物質の位置は、着用者による排尿時に必要な総エネルギー変化量を生成するように選択されるべきである。排尿時の温度変化要素における単位面積当たりの総エネルギー変化量は通常、約０．０５カロリー／平方センチメートルより大きい。より典型的に、単位面積当たりの総エネルギー変化量は、約０．０５カロリー／平方センチメートル〜約３０カロリー／平方センチメートルの範囲である。本明細書で開示される単位面積当たりの総エネルギー量の値の大きさは、絶対値であるので、負の溶解熱（吸熱）の値及び正の溶解熱（発熱）の値に等しく適用される。
【００３２】
本発明の温度変化要素の不浸透性層は、冷えた液体を皮膚に接近可能な位置で保持するので、有効な合図を提供するために、より小さい単位面積当たりの総エネルギー変化量が必要とされ得る。例えば、本発明のある実施形態では、温度変化要素における単位面積当たりの総エネルギー変化量は、約５カロリー／平方センチメートル未満であり得る。別の実施形態では、単位面積当たりの総エネルギー変化量は、約３カロリー／平方センチメートル未満、約２カロリー／平方センチメートル未満、又は約１．５カロリー／平方センチメートル未満でさえあり得る。いずれにしても、本発明の温度変化要素により提供される単位面積当たりの総エネルギー変化量は、約０．０５カロリー／平方センチメートル〜約３０カロリー／平方センチメートル、約０．０５カロリー／平方センチメートル〜約５カロリー／平方センチメートル、約０．０７５カロリー／平方センチメートル〜約４．５カロリー／平方センチメートル、又は約１．０カロリー／平方センチメートル〜３．０カロリー／平方センチメートルでさえあり得る。
【００３３】
例として、塩化カリウム（ＫＣｌ）が温度変化物質として選択されてもよい。塩化カリウムの粒子は水溶液中で溶解すると熱を吸収するので（すなわち、吸熱）、塩化カリウムは飽和時に冷たい感覚を提供することができる。塩化カリウムは１グラム当たり約−５９カロリー（ｃａｌ／ｇ）の溶液熱を有する。塩化カリウム粒子の望ましい添加量は、１平方センチメートル当たり約０．０２３グラム（ｇ／ｃｍ^２）の坪量である。この坪量の塩化カリウム粒子の選択は、−５９カロリー／グラム×０．０２３グラム／平方センチメートルの可能な総エネルギー変化量となり、これは−１．３６カロリー／平方センチメートルに等しい。
【００３４】
水溶液と接触して熱を吸収又は発散する温度変化物質は望ましくは、約４０カロリー／グラムより大きい若しくは約−４０カロリー／グラム未満の溶解熱、水和熱、又は反応熱を有する。溶解熱、水和熱、又は反応熱は好適には、約４０〜約９０カロリー／グラム又は約−４０〜約−９０カロリー／グラム、より詳細には約５０〜約７０カロリー／グラム、又は−５９カロリー／グラムの塩化カリウムのように約−５０〜約−７０カロリー／グラムの範囲内である。そのような温度変化物質の典型的な坪量は、約０．００１〜約０．０７５ｇ／ｃｍ^２、より詳細には約０．０１〜約０．０５ｇ／ｃｍ^２の範囲である。
【００３５】
上記で参照したように、使い捨ておむつ２０及びトレーニングパンツにおける使用に好適な温度変化物質は、水溶液中で溶解するものを包含する。そのような温度変化物質の溶解度は一般に、材料１グラム当たり水（Ｈ_２Ｏ）約１．０〜約１５ｇ（ｇ／ｇ）、より詳細には改善された性能では約３〜約７ｇ／ｇである。上記で参照した塩化カリウム（ＫＣｌ）の溶解度の範囲は、１４％〜２８％の飽和度で塩化カリウム１グラム当たり約６．０〜約２．６グラムのＨ_２Ｏである。
【００３６】
溶解中に熱を吸収する好適な温度変化物質は、酢酸ナトリウム（Ｈ_２Ｏ）、炭酸ナトリウム（１０Ｈ_２Ｏ）、硫酸ナトリウム（１０Ｈ_２Ｏ）、チオ硫酸ナトリウム（５Ｈ_２Ｏ）、及びリン酸ナトリウム（１０Ｈ_２Ｏ）のような塩水和物；硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、及び硝酸ナトリウムのような無水塩；尿素、キシリトール、及び他の糖類などのような有機化合物を包含する吸熱塩を含み得る。溶解中に熱を発散する温度変化物質は、発熱塩を含むと共に、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウムなどを包含し得る。温度変化物質は、膨潤中に熱を吸収又は発散する物質も包含してもよい。説明として、膨潤中に熱を発散する一つの好適な温度変化物質は、少し架橋して部分的に中和されたポリアクリル酸である。
【００３７】
あるいは、温度変化物質は水溶液と反応して熱を吸収又は発散する物質を包含してもよい。例としては、オルトエステル類又は、１〜８個の炭素を含有するアルコール類若しくは２〜８個の炭素を含有するポリオール類にメントンを反応させることにより生じるメントンケタール類のようなケタール類と、それらの全ての構造異性体及び光学異性体が挙げられる。好適であり得る特定のメントンケタール類には、メントン−グリセロールケタール及びメントン−プロピレングリコールケタールが挙げられる。特定のケタール類は、１９９４年９月２０日にグリーンバーグ（Greenberg）に発行された米国特許第５,３４８,７５０号と、１９９３年１１月３０日にグラブ（Grub）らに発行された米国特許第５,２６６,５９２号に開示されており、それらの特許を参考として本明細書に組み込む。
【００３８】
温度変化物質は、必須ではないが、望ましくは、浸透性層と不浸透性層との間に挟まれた粒子の形態である。本発明の温度変化要素における使用に好適な代表的な浸透性層には、不織布、発泡体、織布素材などが挙げられる。浸透性層は好ましくは、親水性であると共に、重力に対して少なくとも４〜１２ｇ／ｇの尿を保持し得る。本発明の温度変化要素における使用に好適な代表的な不浸透性層には、ポリオレフィンフィルム、微小多孔性又は通気性フィルム、その他のフィルム、及び約９７０パスカル（０．１４ポンド／平方インチ）より大きい水頭を有する疎水性不織布が挙げられる。好適な疎水性不織布には、ＳＭ（スパンボンドメルトブローン）、ＳＭＳ（スパンボンドメルトブローンスパンボンド）、及びＳＭＭＳ（スパンボンドメルトブローンメルトブローンスパンボンド）複合物が挙げられる。
【００３９】
浸透性層と不浸透性層との間に挟まれた温度変化物質は、着用者の排泄箇所の近くの領域に別個に配置されてもよいし、又は温度変化要素全体に均一に分散されてもよい。排泄箇所は一般に、排尿中にあふれて、その領域の温度変化物質を迅速に過飽和にさせ、たとえあるとしても温度変化効果をほとんど提供しない。しかし、排泄箇所に隣接する領域はウィッキングにより濡れるので、これらの隣接する領域は飽和がより小さく、Ｘ−Ｙ平面における尿の流れは着用者への顕著な温度変化の合図を生じさせる。いずれにしても、温度変化効果は一回の排尿の後で最も顕著である。
【００４０】
図３に示される実施形態では、温度変化物質は望ましくは、温度変化要素５０の長手方向縁部に沿って配置された複数の区画６０に蓄積される。この実施形態では、温度変化要素５０は尿獲得領域６２及びウィッキング水路６４を包含する。過飽和の危険を最小にするために、ウィッキング水路６４は、温度変化物質を含む多数の区画６０に平行に流体を移動させる。温度変化物質を含む区画６０の各々は、接合部６６により互いから分離してもよい。接合部６６は、尿／温度変化物質溶液が次の区画６０に流れて、過飽和レベルに達するのを防ぐ。これらの接合部６６は、接着剤、超音波接着、高周波接着、又は他の好適な手段を使用して形成され得る。この構成は、多くの回数の排尿に対応する多数の排尿の合図を提供し得る。更に、温度変化要素は、使用中に温度変化要素が着用者の皮膚に向かって偏向するのを可能にする弾性要素を包含してもよい。図３に示されるように、弾性要素６８が要素５０の末端部の近くに配置されてもよい。
【００４１】
本発明による温度変化要素は、様々な構成で吸収性物品に配置されてもよい。更に、吸収性物品は、単一の温度変化要素を包含してもよいし、又は複数の温度変化要素を包含してもよい。いずれにしても、温度変化要素は好ましくは、トップシートのような要素若しくはウェブの一部分であるか、又はそれに取り付けられ、着用者の皮膚に対して確実に保持される。更に、温度変化要素は好ましくは、吸収性物品内に配置されて、尿で濡れる確率を増す。
【００４２】
トップシート２４と共に配置される温度変化要素５０の代表的な実施形態が、図４ａと図４ｂに説明されている。示されるように、温度変化要素５０は、トップシート２４に取り付けられた別個の複合部材を具備する。温度変化要素５０は、身体に面する浸透性層５２、この身体に面する層の反対側の不浸透性層５４、及びそれらの間に挟まれた温度変化物質５６を具備する。この実施形態では、温度変化要素５０は好ましくは、使用中に着用者の皮膚と接触する確率を増すように構成され、組み立てられる。例えば、トップシート２４又は温度変化要素５０のいずれかが弾性的に収縮されて、要素５０を着用者の皮膚に向かって偏向させる一方、温度変化要素５０の不浸透性層５４は、接着剤、超音波接着、高周波接着、又は他の好適な手段を使用してトップシート２４に固着することができる。
【００４３】
図５に説明される実施形態では、別個の複合部材を具備する温度変化要素５０は、プルオンタイプのおむつのトップシート２４の上に配置される。この実施形態では、温度変化要素５０は弾性特性を有し、第一腰部区域３６に取り付けられた第一長手方向末端部７０と、第二腰部区域３８に取り付けられた第二長手方向末端部７２とを包含する。更に、要素５０の中央部分７４は好ましくは、その要素を安定させて、着用者への物品の適合を容易にし、排便への干渉を防ぎ、また着用者の皮膚との良好な接触を確実にするために、おむつ２０の股部区域３７に取り付けられる。
【００４４】
図６ａと図６ｂに示される代わりの実施形態では、温度変化要素５０の不浸透性層５４は、トップシート２４の内側表面に取り付けられ、トップシート２４の少なくとも一部分が温度変化要素５０の浸透性層５２を形成し、不浸透性層５４とトップシート２４との間で温度変化物質５６を挟む。この実施例では、トップシート２４は好ましくは、弾性的に収縮されて、温度変化要素５０を偏向させて着用者の皮膚と接触させる。あるいは、この実施形態は、バックシートより短く、バックシートの長手方向末端部と隣接するトップシートの長手方向末端部を有するトップシートを包含してもよく、おむつが着用者の周囲に適合される時、トップシートは押し付けられて着用者の皮膚と接触する。
【００４５】
特定の構築にかかわらず、温度変化要素５０の位置及び／又は構造は、温度変化物質が尿で濡れて、その後着用者の皮膚と接触して保持されるのを可能にするべきである。温度変化要素は好ましくは、長手方向中心線４２あたりに中心がある、おむつ２０の股部区域３７の少なくとも一部分に配置される。温度変化要素５０は、物品の長さの半分未満に及ぶ使い捨て吸収性物品の一部分の上に広がってもよく、さもなければ物品の長さの半分より多くに及ぶ物品のかなりの部分に広がってもよい。更に、温度変化要素５０は好ましくは、尿が使い捨て吸収性物品と接触し始める領域を覆うために、着用者の尿道と調和している。
【００４６】
複数の温度変化要素を提供する実施形態が図７ａと図７ｂに示されている。二つの不浸透性層５４ａ、５４ｂが、トップシート２４の底面に取り付けられて、二つの温度変化要素５０ａ、５０ｂを形成する。この実施形態では、温度変化物質５６はトップシートと不浸透性層５４ａ、５４ｂとの間に配置されて、トップシートは温度変化要素の浸透性層５２を形成する。二つの不浸透性層５４ａ、５４ｂは、おむつ２０の長手方向中心線４２に平行に間隔を空けて配置されている。不浸透性層５４ａ、５４ｂは、接着剤、超音波接着、高周波接着、又は他の好適な手段を使用して、不浸透性材料の長手方向縁部及び横断方向縁部に沿ってトップシート２４の下側に固着される。
【００４７】
図７ａと図７ｂに示されるように、不浸透性層の空隙部はトップシート２４における伸長したスリット開口部８０のための空間を提供する。伸長したスリット開口部８０は、着用者からの糞便を受け取りそれを着用者の皮膚から隔離するように適合している。示されるように、スリット開口部８０は好ましくは、おむつ２０の長手方向中心線４２に沿って温度変化要素５０ａ、５０ｂの間に挟まれる。スリット開口部８０に隣接して位置する伸縮性のある領域８２は、使用中にスリット開口部８０を着用者の肛門と位置整合して維持する。伸縮性のある領域８２はまた、温度変化要素５０ａ、５０ｂを着用者の皮膚に向けて偏向させて、使用中にそれらの接触を維持してもよい。伸長したスリット開口部を包含する代表的な伸縮性のあるトップシートは、米国特許出願第０９／６９４，７５１号に開示されており、これを参考として本明細書に組み込む。あるいは、温度変化要素５０ａ、５０ｂの不浸透性層５４ａ、５４ｂは、弾性的に収縮されて、トップシート２４に配置された伸縮性のある領域８２の利益を提供してもよい。
【００４８】
図８ａと８ｂに示されたもう一つの代わりの実施形態では、トップシート２４は前記の実施形態に類似する浸透性層５２を形成するが、不浸透性層５４ａ、５４ｂは、おむつ２０の長手方向の長さに沿ってトップシート２４に形成された二つの平行なＺ形の折り畳み９０に配置される。Ｚ形に折り畳んだトップシートは、下にある層にトップシート２４の長手方向縁部に沿って取り付けられ、トップシート２４の中央部分を自由に浮かせるようにしてもよい。弾性要素９２は、Ｚ形に折り畳んだトップシートの中央部分を吸収性コア２８から離れて外向きに偏向させるために、不浸透性層５４ａの外側縁部に沿って配置される。Ｚ形に折り畳んだトップシート２４と弾性要素９２との組み合わせは、おむつが着用者の周囲でたるむ又は緩く適合する場合に、温度変化要素を着用者の皮膚と接触させて維持する。
【００４９】
図９ａと図９ｂに示されたもう一つの実施形態では、温度変化要素５０は、大部分が不浸透性層５４に囲まれている浸透性層５２を包含する。この実施形態では、不浸透性層５４は浸透性層５２を部分的に包むので、不浸透性層５４の長手方向縁部５３、５５は接する手前で終わって、浸透性層の中央部分１８４を露出させる。温度変化要素５０は好ましくは、露出した中央部分８４が身体面表面上にあると共に着用者の尿道と位置整合するように向けられる。この実施形態では、温度変化物質５６は好ましくは、露出した中央部分８４から離れて浸透性層の上に、好ましくは不浸透性層５４の長手方向縁部５３、５５により覆われる二つの平行な区域に配置される。尿の攻撃を受ける間、浸透性層５４の露出した中央部分８４は、温度変化物質５６に向かって尿を運んでその物質を濡らし、着用者に合図を提供し得る。
【００５０】
温度変化要素をトップシートに組み込むことに加えて、本発明の温度変化要素はまた、バリアレッグカフのようなおむつの他の構成要素と一体化させてもよい。バリアレッグカフは、浸透性材料又は不浸透性材料のどちらからでも作ることができる。どちらの場合においても、バリアレッグカフ材料は、温度変化要素の層の一つを形成することができる。
【００５１】
バリアレッグカフと一体化した温度変化要素の例が図１０ａと１０ｂに示されている。この実施形態のためのおむつ２０は、不浸透性材料から作られたバリアレッグカフ１００ａ、１００ｂを包含する。バリアレッグカフ１００ａ、１００ｂは、トップシート２４の身体面表面上に配置された平行な配列においておむつ２０の長手方向縁部に沿って伸び、その間にトップシート２４の露出した中央部分１８４を残す。図１０ａと図１０ｂに示された実施形態では、温度変化要素１５０ａ、１５０ｂはバリアレッグカフ１００ａ、１００ｂに組み込まれるので、バリアレッグカフ材料は温度変化要素の不浸透性層を提供する。温度変化物質１５６は、バリアレッグカフの身体面表面上に配置されて、材料の別個の浸透性層１１０により覆われる。温度変化物質１５６及び浸透性層１１０は、バリアレッグカフの長さ、好ましくは股部区域３７及び前腰部区域３６の長さに伸びることができ、おむつ２０の長手方向軸線４２に最も近いカフの部分の上に配置されて、排尿中に濡らされる確率を増す。図１０ａと図１０ｂに示されるように、バリアレッグカフ１００ａ、１００ｂは、内側の折り畳み１０５ａ、１０５ｂがおむつ２０の長手方向軸線４２の付近に配置されたＺ形に折り畳まれた構成を包含し、トップシート２４の中央部分１８４を露出させる。温度変化物質１５６は、バリアレッグカフ１００ａ、１００ｂの内側の折り畳み１０５ａ、１０５ｂの上に配置されて、浸透性層１１０で覆われる。Ｚ形に折り畳まれたレッグカフ１００ａ、１００ｂはまた、その中に配置される弾性要素１０８を有する外側の折り畳み１０６ａ、１０６ｂも包含する。使用中に弾性要素１０８は、レッグカフをトップシート２４から離して着用者の皮膚に向かって偏向させる。
【００５２】
本明細書で下記に開示される温度変化要素の実施形態は、着用者の皮膚と接触して保持される時に有効に機能する。使用中に着用者の皮膚と確実に接触するために、温度変化要素の身体に面する部分は、使用中に温度変化要素を適所に保持するように作用する局所接着剤又は身体接着性組成物を包含してもよい。局所接着剤は、温度変化要素の身体面表面の少なくとも一部分に適用することができる。しかし、身体接着性組成物は、温度変化要素の身体に面する層を作り上げる材料とも一体化させてもよい。更に、身体接着性組成物は、線、縞、点などを包含するがこれらに限定されない任意のパターン又は構成で、着用者の皮膚に接触する温度変化要素のどの部分の上に配置されてもよい。
【００５３】
身体接着性組成物の種類は、取り外し可能に着用者の皮膚に接着することができる一つ以上のいかなる物質を包含してもよい。更に、身体接着性組成物は、ゲル、ローション、フィルム、又はウェブなどの形態であってもよい。好適な身体接着性組成物の例としては、接着剤類、ゼラチン、ワセリン、シリコーンワックス又は石油ワックスなどのワックス類、シリコーン又は石油ベースオイルなどのオイル類、及び下記に記載するようなスキンケア組成物又はその成分などが挙げられる。好適な局所接着剤としては、アクリルベースポリマー接着剤などの、ヒドロゲル又はヒドロコロイド接着剤が挙げられるが、これらに限定されない。（いくつかの代表的なヒドロゲル及び／又はヒドロコロイド接着剤が、米国特許第４，２３１，３６９号、第４，５９３，０５３号、第４，６９９，１４６号、第４，７３８，２５７号、及び第５，７２６，２５０号に開示されており、各々を参考として本明細書に組み込む。）局所接着剤としては、皮膚などの生物学的組織との使用に適合性のある「医療用接着剤」も挙げられる。身体接着性組成物として使用するのに好適なアクリル医療用接着剤としては、ペンシルバニア州グレンロックのアドヒーシブリサーチ社（Adhesive Research, Inc.）からＭＡ−４６、ＭＡ−３１２、「ＭＴＴＭ］高ＭＶＴＲ接着剤、及びＡＳ−１７の名称で入手可能な接着剤が挙げられる。アドヒーシブリサーチ社（Adhesive Research, Inc.）のＳＢ−２などのゴムベース医療用接着剤も好適であり得る。他の代表的な接着剤として、ミシガン州ミッドランドのダウコーニング社（Dow Corning）から入手可能なダウコーニングメディカルアドヒーシブ（Dow Corning Medical Adhesive）（タイプＢ）、イリノイ州リバティービルのホリスター社（Hollister Inc.）からの「メディカルアドヒーシブ」（MEDICAL ADHESIVE）、ミネソタ州セントポールの３Ｍ社（3M Corp.）から入手可能な３Ｍスプレーアドヒーシブ（3M Spray Adhesives）＃７９、７６、７７、及び９０、並びにミシガン州ファーンデールのファーンデ−ル研究所（Ferndale Laboratories）から入手可能な液体接着剤「マチソル」（MATISOL）などが挙げられる。その他の医療用接着剤が、米国特許第４，０７８，５６８号、第４，１４０，１１５号、第４，１９２，７８５号、第４，３９３，０８０号、第４，５０５，９７６号、第４，５５１，４９０号、第４，７６８，５０３号に記載されており、またポリアクリレート及びポリメタクリレートヒドロゲル接着剤が、米国特許第５，６１４，５８６号、及び第５，６７４，２７５号に開示されており、各々の開示を参考として本明細書に組み込む。ポリビニルピロリドン及び多機能アミン含有ポリマーを含む更なる代表的な接着剤が、ＰＣＴ国際公開特許ＷＯ９４／１３２３５Ａ１に開示されている。（これらの引用文献の各々の開示を参考として本明細書に組み込む。）上記のものの代わりに又はそれらに加えて使用し得る代替的な身体接着手段としては、静電気、吸引などが挙げられる。いかなる場合においても、身体接着性組成物は、蒸気を通し（すなわち、通気性であり）、皮膚に適合性があり、さもなければ皮膚に優しいことが好ましい。更に、身体接着剤は、少なくとも部分的に疎水性であり、好ましくは接着剤の６０重量％、より好ましくは８０重量％が、疎水性構成成分からなることが好ましい。しかし、親水性接着剤が、本発明のある実施形態では考察される。
【００５４】
本発明の特定の実施形態及び／又は個別の機構を例示し記述しているが、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、様々な変化と変形が可能であることは当業者にとり明白である。更に、このような実施形態及び機構の全ての組み合わせが可能であり、またこれにより本発明を好ましく実施できることも明らかである。従って、付随する請求項は、本発明の範囲内にある全てのこのような変化と変形を包括するように意図したものである。
【図面の簡単な説明】
【００５５】
【図１】使い捨ておむつの平面図である。
【図２】本発明による温度変化要素の横断面図である。
【図３】本発明による温度変化要素の実施形態の平面図である。
【図４ａ】身体面表面上に配置された温度変化要素を有するおむつの平面図である。
【図４ｂ】温度変化要素の層を説明する、図４ａに示されたおむつの横断面図である。
【図５】温度変化要素の取り付けを説明するプルオンおむつの等角図である。
【図６ａ】トップシートと一体化した温度変化要素を有するおむつの平面図である。
【図６ｂ】図６ａに説明したおむつの横断面図である。
【図７ａ】トップシートと一体化し、間に伸長したスリット開口部を挟んで長手方向軸線に平行に間隔を空けて配置された二つの温度変化要素を有するおむつの平面図である。
【図７ｂ】図７ａに説明したおむつの横断面図である。
【図８ａ】トップシートのＺ形の折り畳みで配置された二つの温度変化要素を有する、Ｚ形に折り畳んだトップシートを有するおむつの平面図である。
【図８ｂ】図８ａに説明したおむつの横断面図である。
【図９ａ】温度変化要素が不浸透性層によって部分的に囲まれた浸透性層を具備する、身体面表面上に配置された温度変化要素を有するおむつの平面図である。
【図９ｂ】図９ａに説明したおむつの横断面図である。
【図１０ａ】バリアレッグカフと一体化した温度変化要素を包含するレッグカフを有するおむつの平面図である。
【図１０ｂ】図１０ａに説明したおむつの横断面図である。

Claims (26)

1. 浸透性層、前記浸透性層と対面するように配置された不浸透性層、及び前記浸透性層と前記不浸透性層との間に挟まれた温度変化物質を包含する温度変化要素を具備する、着用者の胴体下部の周囲で着用される着用可能物品であって、前記温度変化要素上に堆積した尿が前記浸透性層を通って前記不浸透性層までＺ方向に浸透し得ると共に、前記不浸透性層は尿が前記温度変化要素をＺ方向に完全に通過するのを防いで、Ｘ−Ｙ平面における尿の移動を支持して前記温度変化物質を濡らす着用可能物品。
2. 前記温度変化要素が、０．０５〜約３０カロリー／平方センチメートルの範囲に及ぶ単位面積当たりの総エネルギー変化量を表す、請求項１に記載の着用可能物品。
3. 前記温度変化要素が、約０．０５カロリー／平方センチメートル〜約５カロリー／平方センチメートルの範囲に及ぶ単位面積当たりの総エネルギー変化量を表す、請求項１に記載の着用可能物品。
4. 前記温度変化物質が吸熱塩を包含する、請求項１に記載の着用可能物品。
5. 前記温度変化要素が弾性的に収縮されている、請求項１に記載の着用可能物品。
6. 前記温度変化要素が多数の区画を具備し、前記温度変化物質が前記区画の各々に配置されている請求項１に記載の着用可能物品。
7. 前記温度変化要素が、前記多数の区画に平行に配置された多数の流体の水路を具備する、請求項１に記載の着用可能物品。
8. 前記浸透性層が前記着用者の身体に面する、請求項１に記載の使い捨ておむつ。
9. 長手方向軸線、第一腰部区域、第二腰部区域、及びそれらの間に挟まれた股部区域とを有する使い捨ておむつであって、
   バックシートと、
   身体面表面を有し、前記バックシートに接合されたトップシートと、
   前記バックシートと前記トップシートとの中間に配置された吸収性コアと、
   浸透性層、前記浸透性層の反対側に配置された不浸透性層、及びそれらの間に挟まれた温度変化物質とを包含する、前記トップシート上に配置された前記温度変化要素であって、前記温度変化要素上に堆積した尿が前記浸透性層を通って前記不浸透性層までＺ方向に浸透し得ると共に、前記不浸透性層は尿が前記温度変化要素をＺ方向に完全に通過するのを防いで、Ｘ−Ｙ平面における尿の移動を支持して前記温度変化物質を濡らす温度変化要素とを具備する使い捨ておむつ。
10. 前記温度変化要素が、約０．０５カロリー／平方センチメートル〜約３０カロリー／平方センチメートルの範囲に及ぶ単位面積当たりの総エネルギー変化量を表す、請求項９に記載の使い捨て吸収性物品。
11. 前記温度変化要素が、約０．０５カロリー／平方センチメートル〜約５カロリー／平方センチメートルの範囲に及ぶ単位面積当たりの総エネルギー変化量を表す、請求項９に記載の使い捨て吸収性物品。
12. 前記温度変化物質が吸熱塩を包含する、請求項９に記載の使い捨て吸収性物品。
13. 前記温度変化要素が弾性的に収縮される、請求項９に記載の使い捨て吸収性物品。
14. 前記トップシートが弾性的に収縮されていると共に、前記温度変化要素が前記トップシートに取り付けられている、請求項９に記載の使い捨て吸収性物品。
15. 前記弾性的に収縮されたトップシートが、糞便物質を受け取り隔離するために着用者の肛門と位置整合する伸長したスリット開口部を具備する、請求項１４に記載の使い捨て吸収性物品。
16. 前記温度変化要素が、第一末端部、前記第一末端部と反対側の第二末端部、及びそれらの間に配置された中央部を更に具備し、前記温度変化要素の第一末端部、第二末端部、及び中央部が、第一腰部区域、第二腰部区域、及び股部区域における前記トップシートの前記身体面表面に各々別個に取り付けられている、請求項９に記載の使い捨て吸収性物品。
17. 前記トップシートが浸透性であると共に、前記温度変化要素が前記トップシートと前記吸収性コアとの間に挟まれて、前記トップシートの少なくとも一部分が前記温度変化要素の前記浸透性身体面表面を形成している、請求項９に記載の使い捨て吸収性物品。
18. 長手方向軸線、第一腰部区域、第二腰部区域、及びそれらの間に挟まれた股部区域とを有する使い捨ておむつであって、
    バックシートと、
    上部身体面表面と下部表面とを有する、前記バックシートに接合された浸透性トップシートと、
    前記バックシートと前記トップシートとの中間に配置された吸収性コアと、
    前記トップシートによって形成された浸透性層、前記トップシートと前記吸収性コアとの間に挟まれた、不浸透性部材によって形成された不浸透性層、及び前記トップシート上に配置された温度変化物質とを具備する、前記長手方向軸線に平行に間隔を空けて前記トップシート上に配置された複数の温度変化要素であって、前記温度変化要素上に堆積した尿が前記トップシートを通って前記不浸透性部材までＺ方向に浸透し得ると共に、前記不浸透性部材は尿が前記温度変化要素をＺ方向に完全に通過するのを防いで、Ｘ−Ｙ平面における尿の移動を支持して前記温度変化物質を濡らす温度変化要素とを具備する使い捨ておむつ。
19. 前記温度変化物質が前記トップシートと前記不浸透性部材との間に挟まれている、請求項１８に記載の使い捨て吸収性物品。
20. 前記温度変化要素の前記不浸透性部材が弾性的に収縮されている、請求項１８に記載の使い捨て吸収性物品。
21. 前記浸透性トップシートが前記長手方向軸線に平行な二つのＺ形の折り畳みを具備すると共に、前記不浸透性部材が前記二つのＺ形折り畳み内に配置されている、請求項１８の使い捨て吸収性物品。
22. 前記二つのＺ形折り畳みが、前記二つの不浸透性部材の外側縁部に沿って配置された二つの弾性部材を更に具備する、請求項２１の使い捨て吸収性物品。
23. 長手方向軸線、第一腰部区域、第二腰部区域、及びそれらの間に挟まれた股部区域を有する使い捨ておむつであって、
    バックシートと、
    前記バックシートに接合されたトップシートと、
    前記バックシートと前記トップシートとの中間に配置された吸収性コアと、
    身体面表面を有する浸透性層、前記浸透性層上に配置された温度変化物質、及び前記不浸透性層の長手方向縁部が接する手前で終わって前記浸透性層の前記身体面表面の中央部分を露出させるように前記浸透性層の周囲に部分的に巻き付けられた不浸透性層とを包含する、前記長手方向軸線に沿って前記トップシート上に配置された温度変化要素とを具備する使い捨ておむつ。
24. 前記温度変化物質が、前記不浸透性層の前記長手方向縁部によって覆われる平行な領域において前記浸透性層の前記身体面表面上に配置されている、請求項２３に記載の使い捨ておむつ。
25. 長手方向軸線、第一腰部区域、第二腰部区域、及びそれらの間に挟まれた股部区域を有する使い捨ておむつであって、
    バックシートと、
    前記バックシートに接合されたトップシートと、
    前記バックシートと前記トップシートとの中間に配置された吸収性コアと、
    前記長手方向軸線に平行に前記トップシート上に配置された不浸透性バリアレッグカフと、
    各々が、身体面表面を有する浸透性層、前記バリアレッグカフによって形成された不浸透性層、及び前記浸透性層上に配置された温度変化物質とを包含する、前記バリアレッグカフ上に配置された温度変化要素とを具備する使い捨ておむつ。
26. 前記温度変化物質が、前記浸透性層と前記バリアレッグカフとの間に配置されている、請求項２５に記載の使い捨ておむつ。