JP2004524039A - 増幅ベクターを用いる部位選択的形質転換 - Google Patents

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Abstract

植物細胞核ゲノムへの目的DNAの選択的組込みをもたらす方法であって、(i)植物細胞内で自律性の複製能を有する増幅ベクター又はその前駆体であって、該ベクターが、(a)植物細胞内で機能する複製起点をコードするDNA配列と、(b)ベクターと宿主核DNAとの間の部位特異的かつ/又は相同的な組換えに必要なDNA配列と、(c)任意に、さらなる目的DNAとを含むものを、植物細胞に供給する工程と、(ii)任意に、ベクターの増幅及び/又は細胞間移動及び/又は部位特異的かつ/又は相同的な組換えを促進する条件を与える工程と、(iii)植物核DNAにおける予定の部位で組換えを受けた細胞を選択する工程と、を含む方法。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、植物の遺伝的修飾に関する。特に、本発明は、植物細胞核ゲノムへDNAを部位選択的に組込む方法に関する。本発明はさらに、そのような方法に用いるベクター並びにそれにより生産される植物細胞、種子及び植物体に関する。また、本発明の方法を実施するための複数の構成部材からなるキット(a Kits-of-parts)を提供する。
【背景技術】
【0002】
植物分子遺伝学及び植物機能ゲノム学の分野における現在の研究レベルでは、植物形質転換は、植物の改良にとってますます重要なツールとなっていると思われる。現在の形質転換の手順においては多くの制限があるが、現在用いられている技術の最も重要な欠点の一つとしては、標的遺伝子の宿主ゲノムへの不規則な挿入をもたらし、次いで非制御的な伝達と予測不能なレベルの導入遺伝子の発現をきたすことがある。その結果、既存の方法で、望ましいレベル又はパターンの発現を有する形質転換植物を見出すには、数世代にわたり産生され分析される、多数の独立した形質転換植物を必要とする。
同一部位へ後から形質転換することは不可能なので、そのような非選択的な形質転換のためのベクターは、必然的に全発現単位を含まなければならず、そのため、そのプロセスにおいては遺伝子工学的性能が限定される。ゲノムにおける特定部位でのDNAの効率的なターゲティングを行なうためのプロトコールを開発する試みとして、多種のアプローチが検討されている。これらの検討成果は以下のとおりである。
(i)組換え/修復に関与するいくつかの酵素を過剰発現させることにより、相同的組換え(内因性細胞性組換え機構に依拠する)の方法を改善する試み
(ii)非特異的な組換えに寄与する酵素を抑制的に制御することにより、非選択的な組換えを低減する試み
(iii)微生物起源の異種組換え酵素の使用、
(iv)植物における選択的なDNA修飾のためのキメラ形成の開発
【0003】
以下に、これら検討成果について簡単に説明する。
【0004】
相同的組換えは、細菌及び酵母において容易に起こり、遺伝子置換実験に用いられている。最近では、哺乳類(マンソアら(Mansour et al.)、1988年、Nature、第336巻、348〜336ページ、トーマスら(Thomas et al.)、1986年、Cell、第44巻、419〜428ページ、トーマスら(Thomas et al.)、1987年、Cell、第51巻、503〜512ページ)及びコケPhyscomytrella patens(シェファー及びジリド(Schaefer & Zryd、1997年、Plant J.第11巻、1195〜1206ページ)における、遺伝子置換ツールとして開発された相同的組換え技術がある。しかしながら、相同的組換えは植物では非効率的である。相同的組換えによる選択的DNA修飾は、標的部位と相同性の領域を共有する線状DNA分子を細胞に導入することによって達成される。相同的組換えは、DNA断片の末端における2本鎖損傷により誘発された修復メカニズムの結果として起こる。また、残念ながら、多くの生物及び/又は細胞型で、非相同的末端結合(NHEJ)と呼ばれる競合的修復メカニズムが、非常に高頻度で起こるため、選択的に所望の部位選択的な組換えを起こすことが困難である(ハーバー(Haber)、2000年、Curr.Op.Cell.Biol.第12巻、286〜292ページ、ハーバー(Haber)、2000年、TIG、第16巻、259〜264ページ、メンギステ及びパスズコウスキー(Paszkowski)、1999年、Biol.Chem.第380巻、749〜758ページ)。高等植物では、相同的組換えによる選択的な形質転換の成功例についての報告は、極僅かにすぎず、その成功例のすべてにおいて、非選択的組換えに対して選択的組換えを生じる効率は、10−3〜10−5の範囲であった(パスズコウスキーら(Paszkowski et al.)、1988年、EMBO J.第7巻、4021〜4026ページ、リーら(Lee et al.)、1990年、Plant Cell、第2巻、415〜425ページ、ミアオ及びラム(Miao & Lam)、1995年、Plant J.第7巻、359〜365ページ、オフリンガら(Offringa et al.)、1990年、EMBO J.第9巻、3077〜3084ページ、ケムピンら(Kempin et al.)、1997年、Nature、第389巻、802〜803ページ)。これは、スクリーニングに、非常に多数の植物が必要であり、時間と費用の面で非常に無駄が多いこととを意味する。そして、このようなスクリーニングは、多くの場合に無益な努力となるであろう。
【0005】
相同的組換えの頻度を増加させる試みがなされている。2本鎖損傷修復に関与するいくつかの酵素を過剰発現させたものがあり、例えば、タバコにおける大腸菌RecAタンパク質(レイスら(Reiss et al.)、1996年、Proc Natl Acad Sci USA、第93巻、3094〜3098ページ)又は大腸菌RuvCタンパク質(シャレフら(Shalev et al.)、1999年、Proc Natl Acad Sci USA、第96巻、7398〜402ページ)の過剰発現が試みられている。しかし、これは、染色体内相同的組換えの増加(約10倍の)引起こすものにすぎず、遺伝子選択性(gene targeting)を増加するものではなかった(レイスら(Reiss et al.)、2000年、Proc Natl Acad Sci USA、第97巻、3358〜3363ページ)。相同的組換えを増加させる他のアプローチを用いるものとしては、酵母HOエンドヌクレアーゼ(チウラジら(Chiurazzi et al.)、1996年、Plant Cell、第8巻、2057〜2066ページ、ルーングら(Leung et al.)、1997年、Proc.Natl.Acad.Sci.第94巻、6851〜6856ページ)又は酵母I−Sce Iエンドヌクレアーゼ(プチタら(Puchta et al.)、1996年、Proc. Natl. Acad. Sci.第93巻、5055〜5060ページ)のような希少切断性のエンドヌクレアーゼ(rare cutting endonuclease)を用いて、ゲノムの遺伝子工学処理部位で2本鎖損傷を誘発するものがある。I−Sce Iエンドヌクレアーゼを用いて2×10−3〜18×10−3の標的部位選択率が得られた。この方法は、選択性が改善されてはいるが、依然として非効率的なものである。さらに、この選択的組換えの多くは、望ましくない突然変異を含んでいたり、損傷した部位の1の末端のみでの相同的組換えにより発生するものであった。因みに、興味深い最近の刊行物において、相同染色体間の有糸分裂組換えを3桁のレベルで増加することを示されている高効率組換え性のタバコ突然変異体が記載されている。しかし、この刊行物は、関与遺伝子をまだ特定しておらず(ゴルブノバら(Gorbunova et al.)、Plant J.第24巻、601〜611ページ)、選択的組換えに関係するものではない。
【0006】
他のアプローチとしては、相同的組換え/非相同的組換えの比を増加させるために、非相同的末端結合に関与する酵素(例えば、Ku70)の活性を低下させること(米国特許第6,180,850号)からなるものがある。しかし、このアプローチは、到底、実用的なものと言えるものでなかった。
【0007】
最近、キメラ形成と呼ばれるアプローチが開発されているが、このアプローチは、標的遺伝子に単一ヌクレオチド突然変異を導入するためにDNA/RNAオリゴヌクレオチドを用いることからなる。このアプローチは、哺乳類細胞においては非常に効率がよく(ユーンら(Yoon et al.)、1996年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第93巻、2071〜2076ページ、クレンら(Kren et al.)、1999年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第96巻、10349〜10354ページ、バートレットら(Bartlett et al.)、2000年、Nature Biotech.第18巻、615〜622ページ)、成功率は40%を超えている。残念なことに、効率は植物でははるかに低く(ズーら(Zhu et al.)、1999年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第96巻、8768〜8773ページ、ビーサムら(Beetham et al.)、1999年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第96巻、8774〜8778ページ、ズーら(Zhu et al.)、2000年、Nature Biotech.、第18巻、555〜558ページ、国際出願第9925853号)、10−5〜10−7の頻度に達するにすぎない。植物系において、キメラ形成アプローチを用いるさらなる重大な欠点としては、当該アプローチが、単一ヌクレオチドの突然変異の導入に制限されるとともに、導入された突然変異が選択可能な表現型をもたらす特定の場合に限定されることである。
【0008】
他のアプローチとしては、微生物起源の異種部位特異性の組換え酵素を用いるものがある。これらの組換え酵素を用いる場合、標的とされるDNA配列だけでなく、標的部位についても、それらの各々の側に特異的組換え部位を含めなければならない。現在までのところ、このアプローチは、著しく制限された条件によるため、ほとんど実際的な有用性をもたらすものではない。そのような系の例としては、バクテリオファージP1のCre−Lox系(オースチンら(Austin et al.)、1981年、Cell、第25巻、729〜736ページ)、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のFlp−Frt系(ブローチら(Broach et al.)、1982年、Cell、第29巻、227〜234ページ)、ザイゴサカロミセスロウキシイ(Zygosaccharomyces rouxii)のR−RS系(アラキら(Araki et al.)、1985年、J.Mol.Biol.第182巻、191〜203ページ)及びストレプトミセスファージPhiC31のインテグラーゼ(ソープ及びスミス(Thorpe & Smith)、1998年、Proc.Natl.Acad.Sci.第95巻、5505〜5510ページ、グロスら(Groth et al.)、2000年、Proc.Natl.Acad.Sci.第97巻、5995〜6000ページ)などがある。野生型Lox部位(LoxP部位)は、8bp非対称コア配列の両側に隣接する13bp逆方向反復配列からなっている。コア領域の非対称性は、当該部位に方向性を与える。LoxP部位間の組換えは、LoxP部位の位置と配向によって、欠失、挿入又は転位をもたらし得る可逆反応である。植物では、Cre−Lox系が、欠失(ベイレイら(Bayley et al.)、1992年、Plant Mol.Biol.第18巻、353〜361ページ)、逆位(メドベリーら(Medberry et al.)、1995年、Nucl.Acids.Res.第23巻、485〜490ページ)、転位(キンら(Qin et al.)、1994年、Proc.Natl.Acad.Sci.第91巻、1706〜1710ページ、バーグンストら(Vergunst et al.)、2000年、Chromosoma、第109巻、287〜297ページ)、植物染色体への環状DNAの挿入(アルバートら(Albert et al.)、1995年、Plant J.第7巻、649〜659ページ)、染色体アームの種間転座(ヘザーら(Heather et al.)、2000年、Plant J.第23巻、715〜722ページ)及び形質転換後の選択遺伝子の除去(デール及びオウ(Dale & Ow)、1991年、Proc.Natl.Acad.Sci.第88巻、10558〜62ページ、ズオら(Zuo et al.)、2001年、Nat Biotechnol.第19巻、157〜161ページ)をもたらすために使用された。選択的形質転換にCre−Lox系(又は同様な組換え系)を用いる際に遭遇する問題の一つとしては、DNAの挿入に引き続き、その除去が起こり得ることである。実際、DNAの挿入は2分子反応であるのに対し、除去は単一分子での部位の組換えを要するものであるため、除去は挿入よりもはるかに高い効率で起こる。この問題に対処するために、一過性にCreを発現させたり、挿入によってCreコード配列を置換してその配列を不活性化したり、突然変異部位を使用したりする、多くのアプローチが考案されている(アルバートら(Albert et al.)、1995年、Plant J.第7巻、649〜659ページ、バーグンストら(Vergunst et al.)、1998年、Plant Mol.Biol.第38巻、393〜406ページ、米国特許第6,187,994号)。ストレプトミセスファージPhiC31インテグラーゼのような、一部の部位特異的組換え酵素は、組換えが不可逆的に生じるため(逆反応は異なる酵素により行われる)、理論的には同じ問題を生じないはずである(ソープ及びスミス(Thorpe & Smith)、1998年、Proc.Natl.Acad.Sci.第95巻、5505〜5510ページ、しかし、それらは動物に限定される)が、植物細胞におけるこの組換え系の使用はまだ確認されていない。部位特異的組換え系を実際に魅力のないものとする他の欠点が存在するからである。即ち、第1に、受容体(レシピエント)のゲノムにおけるランディング又はドッキング部位を設計する必要があるが、その設計は、現在、植物ゲノムへの組換え部位の不規則な挿入により行われており、このような設計は、部位特異的組込みのほとんどの利点を失わせてしまう。第2に、望ましい組換え頻度は、依然として、特に経済的に重要な農作物において非常に低く、その結果、その使用はタバコ及びシロイヌナズナに限定されている。植物細胞における組換え酵素の発現は、Cre−lox又はFlp−frtのような一般的に用いらる系で回避することができない問題である、毒性の問題を生じる。
【0009】
国際出願第99/25855号及び対応媒介米国特許第6,300,545号は、植物細胞において高コピー数のウイルスレプリコンを得るために、部位特異的組換えを媒介とする除去により、アグロバクテリウム伝達T−DNAのウイルスレプリコンを動態化する方法を開示している。前記の高コピー数は、部位特異的な組換えを用いて植物染色体へ目的DNAを部位選択的に組込む上で有用であると推測される。しかし、この開示は、この推測について、どのようにして試験するかについての情報が含まれておらず、この開示に示される実施例は、部位選択的組込みに関連するものでない。さらに、この実施例は、細胞に部位選択的な組込みを受ける細胞を提示するものではなく、感染細胞の腐朽を示唆する若葉の基部における黄色の斑及び縞の発生といったウイルス感染の徴候を示す植物を提示するものにすぎない。したがって、これらの文献の教示は、ウイルスベクターによって細胞破壊を生じる細胞の感染に限定されている。これら文献の教示は、単に、成功裡の部位選択的な組込みを選択させることのみであり、核ゲノムへの組込みが起こったか否かについての判断を可能とするものではない。これは、その文献が部位選択的形質転換細胞を回収するための選択方法の開示を含んでいないという事実により強調される。核ゲノムに部位特異的に取り込まれた目的の前記DNAを含むトランスジェニック子孫細胞の選択及び回収は、これらの参考文献の教示によっては全く不可能である。さらに、国際出願第99/25855号及び米国特許第6,300,545号は、この問題について言及していない。さらに、これらの文献は、相同的組換えについて言及していない。さらに、この方法は、アグロバクテリウムを介してのレプリコン伝達に限定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、実用的な用途において十分に効率的な、植物の選択的な形質転換方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる課題は、組込み結果の回収、即ち、植物核DNAにおいて組換えを受けた細胞の選択を可能にする、植物細胞核ゲノムへ目的とするDNAを選択的に組込む方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる課題は、相同的組換えにより植物細胞核ゲノムへ目的とするDNAを選択的に組込む方法を提供することである。
【0013】
したがって、本発明のさらなる課題は、アグロバクテリウムを媒介とする方法とは無関係の伝達方法による、植物細胞核ゲノムへ目的とするDNAを選択的に組込む方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の課題は、植物細胞核ゲノムへの目的DNAの選択的組込みをもたらす方法において、
(i)植物細胞内で自律性の複製能を有する増幅ベクター又はその前駆体であって、該ベクターが、
(a)植物細胞内で機能する複製起点をコードするDNA配列と、
(b)増幅ベクターと宿主核DNAとの間の部位特異的かつ/又は相同的な組換えに必要なDNA配列と、
(c)任意に、さらなる目的DNAと
を含むものを、植物細胞に供給する工程と、
(ii)任意に、ベクターの増幅及び/又は細胞間移動及び/又は部位特異的かつ/又は相同的な組換えを促進する条件を与える工程と、
(iii)植物核DNAの予定の部位で組換えを受けた細胞を選択する工程とを含む方法、により解決される。
【0015】
さらに、植物細胞核ゲノムへの目的DNAの選択的組込みをもたらす方法において、
(i)植物細胞ゲノムに組み込んだ際、部位特異的かつ/又は相同的な組換えのための標的部位を供与する配列を含む第1のDNAで、植物細胞をトランスフェクション又は形質転換する工程と、
(ii)その核ゲノム中に、部位特異的かつ/又は相同的な組換えのための該標的部位を含む細胞を選択する工程と、
(iii)該標的部位を有する組換えのための領域および第1の目的配列を含む第2のDNAで、該選択された細胞を、トランスフェクション又は形質転換する工程と、
(iv)任意に、組換えのための酵素を供給する工程と、
(v)標的部位に組み込まれた第2のDNAから、目的配列を含む細胞を選択する工程とを含み、
これらの工程により、植物細胞内で自律性の複製能があり、植物細胞内で機能する複製起点をコードするDNA配列を含む増幅ベクター又はその前駆体で、該第1のDNA又は該第2のDNAの少なくとも1つを伝達する方法が提供される。
【0016】
さらに、本発明は、これらの方法を実施することにより得られる又は得られうる植物細胞、種子及び植物体、並びにこれらの方法を実施するためのベクター(増幅ベクター)又はプロベクター(前駆体)を提供する。さらに、本発明は、当該ベクター又はプロベクターを含む、アグロバクテリウム細胞及びパッケージされたウイルス粒子を提供する。
【0017】
最後に、本発明は、
(i)特に、上記5工程のプロセスの工程(i)及び(ii)によって得られる植物細胞、種子及び植物体と、
(ii)本発明によるベクター又はプロベクター、並びに/或いは前記アグロバクテリウム細胞及び/又はパッケージされたウイルス粒子と
を構成部材として含むキットを提供する。
【0018】
また更に、上記5工程プロセスの(i)及び(ii)の工程を実施するためのベクター又はプロベクターと、当該プロセスの(iii)及び(iv)の工程を実施するためのベクターとを構成部材として含む、キットを提供する。
【0019】
驚くべきことに、植物細胞の部位選択的形質転換の効率が、増幅ベクターによる部位特異的かつ/又は相同的な組換えのためのDNA配列を供給させることにより著しく改善できることが見い出された。この改善の正確な理由は、今のところ明らかではないが、標的配列のコピー数の増加に起因すると思われる。非増幅性ベクターを用いる場合と対照的に、増幅ベクターを用いることにより部位選択的挿入の顕著な増加を実証する実施例を提示している。より一層驚くべきことは、このコピー数の増加が、同時に、核ゲノムへの標的とする配列の非選択的又は不規則な挿入の頻度を増加させないことである。その結果、不規則な挿入の頻度に対する選択的な挿入の頻度の比は、本発明による方法により著しく増加する。非常に重要なことは、選択的形質転換が、もはや植物バイオテクノロジーにおける常用の方法になるほどのレベルの効率を達成していることである。
【0020】
しかし、増幅ベクターの高コピー数は、疾患症状、細胞分裂の妨害、最終的には感染細胞の死滅をもたらすので、増幅ベクターの複製は、組込みの選択を困難又は不可能にする。その結果、核ゲノムに組み込まれた目的DNAを含む子孫細胞を得ることができない。したがって、発明者らは、次の難題に直面した。すなわち、一方で、効率的な部位選択的な組込みは、ベクターの複製を必要とし、他方で、当該複製は、植物核DNAにおける組換えを受けた細胞の選択を妨げる、という難題である。
【0021】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、この難題を解決する方法を突きとめた。好ましくは、本発明の方法は、前記増幅ベクターで形質転換又はトランスフェクションした細胞内の前記増幅ベクターの複製が一過性となるように設計される。一過性の複製とは、一時的な複製、すなわち、前記細胞内の相同的及び/又は部位特異的な組換え、並びに核ゲノムへの前記目的DNAの組込みを達成又は検出するのに必要限度の期間継続する複製を意味する。増幅ベクターの一過性の複製は、選択可能な子孫細胞を生ずるように前記細胞の分裂能を妨害しないことが望ましい。好ましい増幅ベクターは、子孫細胞内で消滅するものである。後述で、本発明による子孫細胞の選択の成功を実証する実施例を示す。
【0022】
増幅ベクターの一過性の複製は、いくつかの方法により達成することができる。1つの可能性は、ポリメラーゼが消失するときに複製が停止するような、増幅ベクターの一時的な複製に関与する核酸ポリメラーゼ(レプリカーゼ)を供給することである。これは、レプリカーゼ遺伝子を非複製ベクターで植物細胞に供給することによって行うことができる(実施例6を参照)。好ましくは、当該非複製ベクターを維持するために用いる選択圧力を、この目的のために軽減する。さらに、複製は、組換えの結果として(実施例13を参照)、例えばレプリカーゼ遺伝子を非発現性とすることにより、停止又は減少させることができる。
【0023】
本発明はさらに、植物細胞ゲノムへの目的DNAの選択的組込みをもたらす方法において、
(i)植物細胞内で自律性の複製能を有する増幅ベクター又はその前駆体であって、該ベクターが、
(a)植物細胞内で機能する複製起点をコードするDNA配列と、
(b)該増幅ベクターと宿主核DNAとの間の相同的組換えに必要なDNA配列と、
(c)任意に、さらなる目的DNAと
を含むものを、植物細胞に供給する工程と、
(ii)任意に、ベクターの増幅及び/又は細胞間移動及び/又は部位特異的かつ/又は相同的な組換えを促進する条件を与える工程と、
(iii)植物核DNAの予定部位で組換えを受けた細胞を選択する工程と
を含む方法を提供する。
【0024】
植物細胞内で増幅するために、本発明において使用する増幅ベクターは、植物細胞内で機能する複製起点を有さなければならない。複製起点は、植物核ゲノム由来、例えば、リボソームDNA遺伝子間スペーサー領域由来であってよい。或いは、複製起点は、非植物起源又は合成のものであってもよい。好ましくは、複製起点は、植物ウイルス由来、最も好ましくはDNAウイルス由来のものである。複製起点は、細胞内で複製酵素(DNA又はRNAポリメラーゼ)により認識されるならば、細胞内で機能する。複製酵素は、複製起点と同じ起源のものであることが好ましい。複製酵素が形質転換される植物種に由来する場合、前記細胞に外来複製酵素を供給する必要はない。ベクター増幅を促進するためには、特に前記複製起点が前記植物細胞と異なる起源に由来する場合、複製酵素を供給してもよい。この酵素は、増幅ベクター上、別のベクター上にコードさせることができ、或いは植物核ゲノムに組み込むことができる。
【0025】
増幅ベクターは、植物ウイルス由来のベクターであってよく、増幅ベクターは、RNAウイルスから得ることができる。この場合、増幅ベクターは、好ましくはRNAウイルス由来ベクターのDNAコピー又は複製中間体である。但し、ベクターは、DNAウイルスから得ることが好ましい。ベクターは、そのようなウイルスの少なくとも1つの機能的な要素を含む場合、RNA又はDNAウイルス由来であると考えることができる。好ましくは、そのような機能的な要素は、そのウイルスの複製酵素(ポリメラーゼ)により認識される複製起点である。
【0026】
ジェミニウイルス(Geminiviridae)は、本発明を実施するという目的に特によく適している。増幅ベクターは、更に、宿主感染、植物全体に広がるための細胞間及び/又は全身性の移動、並びに選択的形質転換の頻度のさらなる増加のためのウイルス機能をコードする他の配列を有することが好ましい。増幅ベクターは、宿主染色体への組込み、ウイルス粒子構築、宿主による遺伝子発現抑制の制御及び/又は宿主の生理機能の制御のような機能をもたらすためのさらなる配列を有していてよい。或いは、そのような追加のウイルス機能は追加のベクターに備えさせてもよい。追加のベクターは複製ベクターであってもよい。追加のベクターは、追加のウイルス機能が一過性のみに発現するような非複製ベクターであることが好ましい。これにより、植物の疾患症状を低減することができる。さらに、増幅ベクターは、レトロトランスポゾン起源のものであってよい。
【0027】
増幅ベクターはさらに、目的DNA配列、例えば、有用な形質を与えるため、突然変異誘発を行う等のために発現させる遺伝子を含んでいてよい。
【0028】
前記部位特異的又は相同的な組換えは、増幅ベクターと宿主核DNAとの間で起こる。前記宿主核DNAは、宿主の核染色体に属していてもよく、或いはエピソーム核DNAに属していてもよい。当該組換えは、増幅ベクターと宿主の核染色体上のDNAとの間で起こることが好ましい。
【0029】
部位特異的又は相同的な組換えを促進するために、部位特異的組換え酵素、制限酵素又はインテグラーゼのような適切な組換え酵素を、追加のベクター又は前記植物に予め組み込んだ遺伝子から供給することができる。そのような追加のベクターは、増幅ベクターとともに同時に形質転換させるか、又は別個に形質転換させることができる。組換え酵素の発現は構成性又は誘導性であってよい。組換え酵素は、例えば、非複製ベクターから一過性のみに発現させることが好ましい。組換え酵素が核ゲノムの標的遺伝子座に存在する場合、その機能は、組換えの結果として破壊することができる。
【0030】
相同的組換えの場合、組換え酵素は外部から供給してはならず、この過程は内因性組換えに依拠させる。しかし、その効率は、相同的組換えを促進するための組換え酵素をさらに供給することによりさらに増加させることができる。そのような酵素は、前記植物の酵素、異種酵素又は工学的に処理した酵素であってよい。
【0031】
相同的組換えを、植物の核ゲノムへの目的DNAの選択的組み込みのために用いる場合、望ましい組換えのために選択される適切な選択手段が存在する限り、核ゲノムにおけるあらゆる部位を標的とすることができる。選択は、抗生物質又は阻害剤耐性をもたらす突然変異を導入若しくは耐性マーカー遺伝子を供給することにより、達成することができる。より多くのゲノム配列が知られるようになるにつれて、相同的組換えにより望ましい部位を標的とすることがより広く適用できるようになる。
【0032】
選択的相同的組換えの好ましい実施形態は、植物核ゲノムの遺伝子における位置指定突然変異誘発である。この目的のために、増幅ベクターは、標的部位の相同配列が隣接する望ましい突然変異を含んでいてよい。
【0033】
部位特異的組換えを、植物の核ゲノムへの目的DNAの選択的組み込みに用いる場合、上記5工程のプロセスによって、部位特異的組換え酵素で認識可能な標的部位を、植物に予め導入することが好ましい。上記5工程のプロセスは、2つの段階からなり、第1の段階(工程(i)及び(ii))においては、部位特異的組換えのため予め設計された標的部位を有するトランスジェニック植物が生産される。標的部位は核ゲノムに安定に組み込まれていることが好ましい。5工程の工程(i)における前記第1のDNAのトランスフェクション又は形質転換は、非選択的であってよい。ゲノムの多種の遺伝子座に導入された標的部位を有する多くのトランスジェニック植物が生産される可能性がある。次いで、望ましい位置に標的部位を有するトランスジェニック植物系を、第2の段階(工程(iii)及び(v))の工程を実施するために選択することができる。次いで、第2の段階における目的DNAの組込みを、進めることができる。この方法によれば、安定なトランスジェニック植物系を最初の工程で生産することができる。そのような各トランスジェニック植物系は、第2の段階により様々な目的のために用いることができ、この方法を高度に汎用性のあるものとする。少なくとも1つの前記第1又は第2のDNAは、増幅ベクターにより伝達される。少なくとも前記第2のDNAが増幅ベクターにより伝達されることが好ましい。
【0034】
前記第1及び第2のDNAは、目的配列を含んでいてよい。そのような目的配列は、選択可能マーカー及び/又は例えば、植物に有用な形質を与えるために発現させる遺伝子であってよい。組換えは機能的な配列を安定させることが好ましい。機能な配列を安定させる例としては、発現させるDNAをプロモーターの制御下に置くことである。それにより、プロモーターは、前記第1又は第2のDNAにより供給され、発現させるDNAがそれぞれ前記第1又は第2のDNAにより供給される。さらに、コード配列の2つの断片の組合せのような遺伝子の機能的な発現に必要な他の機能は、前記組換えにより組み合わせることができる。前記組換えは、遺伝子の機能を破壊するため、又は、標的部位の配列を除去するためにも用いることができる。
【0035】
前記植物細胞に前記増幅ベクター(例えば、レプリコン)又はその前駆体(プレレプリコン又はプロベクター)を供給することができる。前記植物細胞に前記前駆体を供給する場合、植物細胞内で前記増幅ベクターへと処理される前駆体を適用する必要がある。増幅ベクターは、例えば、組換えにより前駆体から摘出することができる。しかし、増幅ベクターを前駆体から摘出する場合、摘出は、増幅ベクターの複製放出を可能にするために、前駆体に2つの複製起点を供給することで達成することが好ましい。
【0036】
前駆体からの増幅ベクターの摘出は、アグロバクテリウムにより伝達されるTiプラスミドから増幅ベクターを摘出するためにアグロバクテリウムの形質転換と組み合わせて行うことが好ましい。さらに、増幅ベクターは、組換えにより2つ又はそれ以上の前駆体から植物細胞内で構築させることができる。
【0037】
前記植物細胞に前記増幅ベクター又はその前駆体をいくつかの方法により供給することができる。好ましい方法は、アグロバクテリウム媒介伝達、直接ウイルストランスフェクション及び非生物学的伝達(例えば、粒子ボンバードメント)である。直接ウイルストランスフェクションにおいては、感染性ウイルス材料を植物組織に直接適用する。直接ウイルストランスフェクションは、ウイルスDNAをアグロバクテリウムを用いて間接的に伝達するアグロインフェクション(Agroinfection)と区別すべきである。アグロバクテリウム媒介伝達においては、Tiプラスミドが増幅ベクターの前駆体として伝達され、それが植物細胞内で処理されて、前記増幅ベクターを発生する。直接ウイルストランスフェクション及び非生物学的伝達法が好ましい。
【0038】
(発明の詳細な説明)
本発明は、植物における選択的形質転換の効率を増加させるための増幅ベクターの使用を記述する。DNAが伝達された細胞でパッセンジャーDNA(目的DNA)を増幅する植物細胞内での複製能を有するベクターは、特異的組換えの頻度を著しく増加することが示されている。さらに、用いるベクターがウイルスゲノム由来であり、細胞間又は長距離(全身性)の移動のような他のウイルスの能力を保持している場合、標的とされるパッセンジャーDNAは、それを複製もする隣接細胞及び生物体全体に輸送させることができる。得られる選択的組換え効果がさらに増幅する。我々は、植物の内因性組換え機構又は異種の部位特異的組換えシステムを用いて、天然の又は予め設計した標的部位における複製ベクターによる相同的組換え頻度の増加が得られることを見い出した。
【0039】
移入DNAを内因性組換え機構又は異種の部位特異的組換え酵素を用いて組み換えする必要があるかどうかにかかわりなく、組換えは、理論的には移入DNA分子と標的部位との物理的相互作用を伴う。したがって、それは移入DNAと標的DNAの相対的濃度に依存するであろう(ウイルソンら(Wilson et al.)、1994年、Proc.Natl.Acad.Sci.第91巻、177〜181ページ)。組換え反応(2分子反応である)は摘出反応よりもはるかに低速度で起こり、挿入事象を回収するために洗練された戦略(上述)を用いなければならないので、Creのような組換え酵素を用いる場合、これは特に重要である。種々のアプローチが既に企てられ、また、企てることができる(図1を参照)。部位特異的組換えの効率を改善する我々のアプローチは、相同的組換えに関与する酵素の濃度を増加させ、又は増加させずに、複製ベクターを用いて標的とするDNAを増幅することからなっている。任意には、非相同的組換えに関与するタンパク質の発現をさらに抑制してもよい。増幅ベクターは、本明細書において、それらが伝達される細胞内でパッセンジャーDNAを複製することが示されている。ウイルス由来のアンプリコン(レプリコン)を用いる場合、感染が隣接細胞に広がり、選択的挿入の効率がさらに改善する。予期しない結果は、選択的形質転換の顕著な増加である。非相同的末端結合(NHEJ)と呼ばれる競合的修復メカニズムもまた、経済的に重要なすべての作物を含むほとんどの高等植物種において高頻度で生じるので、このアプローチの成功は驚くべきものであった。NHEJは、望ましくない反応の強いバックグラウンドで薄められ、又は隠される所望の部位選択的組換えを、従来技術において、選択することが困難である理由の1つである。
【0040】
本発明による選択的形質転換は、植物の遺伝子工学を、非常に精密、制御的、かつ効率的な技術とする。本発明は、広く適用可能であり、遺伝子導入持続期間、遺伝子活性化に対する制御の欠如、遺伝子サイレシング、ベクター設計の制限、現在の遺伝子操作過程の1工程特性、系統変換持続期間及び関連する連鎖障害(linkage drag)等を含む植物遺伝子工学における現在の多くの問題を解決することができる。我々の知る限りでは、植物における選択的形質転換における増幅ベクターの使用に関する従来技術は存在しない。
【0041】
植物ウイルスアンプリコンを用いたベクター
ジェミニウイルスは、双晶二十面体で、環状の1本鎖DNAゲノムを特徴とする植物感染性ウイルスの大規模かつ多様な科のメンバーである(総説については以下を参照のこと。ティンマーマンズら(Timmermans et al.)、1994年、Annu.Rev.Plant.Physiol.Plant.Mol.Biol.第45巻、79〜113ページ、ムリニネアウクスら(Mullineaux et al.)、1992年、ウイルソンティーエムエー、デイビーズジェーダブリュ(Wilson T.M.A.、Davies J.W.)(編)ウイルスに関する遺伝子工学(Genetic Engineering with Viruses)、シーアールシープレス(CRC Press)[フロリダ州ボカラトン(Boca Raton)所在]、187〜215ページ、パルマー及びリビキ(Palmer & Rybicki)、1997年、Plant Science、第129巻、115〜130ページ)。
ジェミニウイルスは、一般的に以下の2つのサブグループに分類することができる(いくつかの非定型ジェミニウイルスを除く):
(i)単一構成要素のゲノムを有し、単子葉植物に感染し、ヨコバイにより伝達されるモノパーティトジェミニウイルス、及び
(ii)そのゲノムが2つの環状ゲノムから構成され、双子葉植物に感染し、コナジラミにより伝達されるジパーティトジェミニウイルス。
モノパーティトジェミニウイルスのいくつかの例としては、トウモロコシ条斑ウイルス(MSV)、コムギ矮小ウイルス(WDV)、ジギタリア条斑ウイルス(DSV)及びススキカリヤス条斑ウイルス(MiSV)などがある。ジパーティトジェミニウイルスの例としては、トマトゴールデンモザイクウイルス(TGMV)、ダイズゴールデンモザイクウイルス(BGMV)及びアフリカタピオカモザイクウイルス(ACMV)及びイチビモザイクウイルス(AbMV)などがある。
【0042】
ジェミニウイルスは、ssDNAを含む大腸菌ファージ(例えば、PhiX174)により使用される機構と同様のローリングサークル機構を用いてそれらのゲノムを複製する(サウンダーズら(Saunders et al.)、Nucl.Acids.Res.第19巻、2325〜2330ページ、ステンガーら(Stenger et al.)、Proc.Natl.Acad.Sci.第88巻、8029〜8033ページ)。この様式の複製は、複製中間体としての2本鎖DNAゲノムの生成を生じる。これらの2本鎖DNAゲノムは、本質的に高コピー植物プラスミドとして挙動し、感染細胞の核当たり最大30000コピーの極めて高いコピー数で存在することができる(カネフスキーら(Kanevski et al.)、1992年、Plant J.第2巻、457〜463ページ、ティンマーマンズら(Timmermans et al.)、1992年、Nucl.Acids Res.第20巻、4047〜4054ページ)。これらの特性と集合的にはジェミニウイルスが非常に広い宿主範囲を有するという事実とは、主として導入遺伝子の発現レベルを高めるため、或いはジェミニウイルス疾患に対する抵抗戦略を開発するために、植物用の複製ベクターとしてのジェミニウイルスの開発に関する多くの研究を刺激した。植物における遺伝子発現を増大させるための(米国特許第5981236号、国際出願第020557A2号、米国特許第6110466号、米国特許第6147278号、米国特許第6077992号)、植物疾患抵抗戦略を開発するための(いくつかの例は米国特許第6118048号、国際出願第9739110A1号、米国特許第6133505号、米国特許第6087162号)又は植物におけるゲノム発現を抑制するための(国際出願第9950429A1号)複製ジェミニウイルスベクターの使用を記述しているいくつかの特許が出されている。
【0043】
単子葉植物のゲノムの転位及び形質転換を達成するために、ジェミニウイルスベクターとトランスポゾンとの併用の試みを記載したいくつかの刊行物が存在する(ラウフスら(Laufs et al.)、1990年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第87巻、7752〜7756ページ、シェン及びホーン(Shen & Hohn)、1992年、Plant J.第2巻、35〜42ページ、スギモトら(Sugimoto et al.)、1994年、Plant J.第5巻、863〜871ページ)。1つの刊行物は、形質転換の頻度を増加させるための増幅ベクターとしてのジェミニウイルスの使用を報告している(スギモトら(Sugimoto et al.)、1994年、Plant J.第5巻、863〜871ページ)。この研究は、染色体DNAに導入されたDNA分子のPエレメントの転位に基づくショウジョウバエ形質転換法により触発された。著者らは、独立したジェミニウイルスミスカンサス条斑ウイルス(MiSV)ベクターにおけるDsエレメント及びAcトランスポザーゼをクローンし、イネプロトプラストをこれらのベクターで同時ボンバードした。除去後、低頻度の再挿入(10−5程度)により、5つの染色体挿入が回収された。対照非複製ベクターには転位は検出できなかったことから、転位の頻度が低いため、再挿入を回収するためには複製が必要であったことがわかる。このアプローチは、得られる形質転換の非選択性によって、我々の発明と区別される。
【0044】
本発明は増幅ベクターとしてレプリコンを使用することが好ましい(レプリコンは環状DNAを自由に複製する。その使用は多くの刊行物に記載されている。総説については以下を参照のこと。ティマーマンズら(Timmermans et al.)、1994年、Annu.Rev.Plant.Physiol.Plant.Mol.Biol.第45巻、79〜113ページ、ムリニネアウクスら(Mullineaux et al.)、1992年、ウイルソンティーエムエー、デイビーズジェーダブリュ(Wilson T.M.A.、Davies J.W.)(編)ウイルスに関する遺伝子工学(Genetic Engineering with Viruses)、シーアールシープレス(CRC Press)[フロリダ州ボカラトン(Boca Raton)所在]、187〜215ページ、パルマー及びリビキ(Palmer & Rybicki)、1997年、Plant Science、第129巻、115〜130ページ)。レプリコンは、ジェミニウイルス複製起点と好ましくは目的DNAとを含む。複製は、レプリコン自体、同時形質転換した複製又は非複製プラスミドに存在し得るジェミニウイルスレプリカーゼにより媒介され、或いは、染色体に組み込まれ安定に形質転換された発現カセットから発現させてもよい。レプリコンは、プレレプリコンの形で細菌中でクローンすることができる。
レプリコンは、次の2つのアプローチのいずれか1つによりプレレプリコンから放出させることができる:
(i)プラスミドベクターからレプリコンDNAを放出する酵素でプレレプリコンを消化すること、或いは
(ii)2単位長以上のゲノムを含むプレレプリコンを使用すること。
第1のアプローチでは、摘出されたDNAは、内因性リガーゼを用いて細胞に導入された後に再環化する(ビサロら(Bisaro et al.)、1983年、Nucl.Acids.Res.第11巻、7387〜96ページ)。第2のアプローチでは、環状レプリコンが、重複配列における相同的分子内組換えにより、又は複製放出機構(2つの複製起点がプレレプリコンに存在することを条件とする)により、プレレプリコンから放出される(ステンジャーら(Stenger et al.)、1991年、Proc.Natl.Acad.Sci.第88巻、8029〜8033ページ、ロジャーズら(Rogers et al.)、1988年、Cell、第45巻、593〜600ページ)。プレレプリコンは、その連続体にレプリコンを含んでおり、レプリコン形成は、前記プレレプリコンの隣接配列から当該連続体を放出する過程である。レプリコンは、植物宿主内でベクター前駆体又はプロベクターから形成させることができる。ベクター前駆体又はプロベクターは、植物宿主中での処理により、当該宿主中で異種核酸配列を増幅し、発現することができるベクターを形成する核酸配列である。当該処理は、不連続ベクター部分から連続体の形成を含む。
【0045】
レプリコンは、アグロバクテリウム媒介形質転換、エレクトロポレーション、粒子伝達又は他のDNA伝達技術などの様々なメカニズムにより植物細胞に導入することができる。或いは、レプリコンは、染色体に組み込まれたプレレプリコンから放出させることができる。これらの構成体内のプレレプリコンは、複製放出機構によるレプリコンの放出を促進するために2つの複製起点を含む。レプリコンの放出と複製は、レプリカーゼの発現により制御される。したがって、細胞の生存に対するレプリコンの複製の有害な影響の可能性を最小限にするために、誘導性の又は組織特異的なプロモーターを用いて発現のタイミングを制御することができることは有用であろう。
【0046】
ジェミニウイルス系増幅ベクターは本発明の実施に好ましいが、植物細胞中で増幅できる他のベクターも本発明に使用してよい。
【0047】
RNA及びDNAを含むウイルスは、複製ベクターの構成に用いることができると思われる。異なるウイルスの例を以下の一覧に示す。
【0048】
(DNAウイルス)
環状dsDNAウイルス:科:Caulimoviridae、属:Badnavirus、代表種:ツユクサ黄色斑紋ウイルス、属:Caulimovirus、代表種:カリフラワーモザイクウイルス、「SbCMV様ウイルス」、代表種:ダイズ退縁斑紋ウイルス、属:「CsVMV様ウイルス」、代表種:キャッサバ葉脈ウイルス、属:「RTBV様ウイルス」、代表種:イネツングロ病ウイルス、属:「ペチュニア葉脈透化ウイルス」、代表種:ペチュニア葉脈clearingウイルス;
【0049】
環状ssDNAウイルス:科:ジェミニウイルス(Geminiviridae)、属:Mastrevirus(ジェミニウイルスサブグループI)、代表種:トウモロコシ条斑ウイルス、属:Curtovirus(ジェミニウイルスサブグループII)、代表種:ビートカーリートップウイルス、属:Begomovirus(ジェミニウイルスサブグループIII)、代表種:マメゴールデンモザイクウイルス;
【0050】
(RNAウイルス)
ssRNAウイルス:科:Bromoviridae、属:Alfamovirus、代表種:アルファルファマメゴールデンモザイクウイルス、属:llarvirus、代表種:タバコ条斑ウイルス、属:Bromovirus、代表種:スズメノチャヒキモザイクウイルス、属:Cucumovirus、代表種:キュウリモザイクウイルス;
科:Closteroviridae、属:Closterovirus、代表種:ビート黄化ウイルス、属:Crinivirus、代表種:レタス感染黄化ウイルス、科:Comoviridae、属:Comovirus、代表種:ササゲモザイクウイルス、属:Fabavirus、代表種:ソラマメウイルトウイルス1、属:Nepovirus、代表種:タバコ輪点ウイルス;
科:Potyviridae、属:Potyvirus、代表種:ジャガイモウイルスY、属:Rymovirus、代表種:ライグラスモザイクウイルス、属:Bymovirus、代表種:オオムギ黄化モザイクウイルス;
科:Sequiviridae、属:Sequivirus、代表種:パースニップ斑紋ウイルス、属:Waikavirus、代表種:イネわい化ウイルス、科:Tombusviridae、属:Carmovirus、代表種:カーネーション斑紋ウイルス、属:Dianthovirus、代表種:カーネーション輪点ウイルス、属:Machlomovirus、代表種:トウモロコシ退縁斑紋ウイルス、属:Necrovirus、代表種:タバコえそウイルス、属:Tombusvirus、代表種:トマトブッシースタントウイルス、属未指定のssRNAウイルス、属:Capillovirus、代表種:リンゴステムグルービングウイルス;
属:Carlavirus、代表種:カーネーション潜在ウイルス、属:Enamovirus、代表種:カーネーション隆起成長モザイクウイルス、属:Furovirus、代表種:土壌コムギモザイクウイルス、属:Hordeivirus、代表種:オオムギ斑葉モザイクウイルス、属:Idaeovirus、代表種:ラズベリーブッシー萎縮ウイルス;
属:Luteovirus、代表種:オオムギ黄萎ウイルス、属:Marafivirus、代表種:トウモロコシrayado finoウイルス、属:Potexvirus、代表種:ジャガイモウイルスX、属:Sobemovirus、代表種:インゲンマメ南部モザイクウイルス、属:Tenuivirus、代表種:イネ縞葉枯ウイルス、属:Tobamovirus、代表種:タバコモザイクウイルス、属:Tobravirus、代表種:タバコ茎えそウイルス、属:Trichovirus、代表種:リンゴクロロティックリーフスポットウイルス病、属:Tymovirus、代表種:カブラ黄化モザイクウイルス、属:Umbravirus、代表種:ニンジン斑紋ウイルス;
【0051】
ネガティブssRNAウイルス:目:モノネガウイルス、科:ラブドウイルス、属:Cytorhabdovirus、代表種:レタスnecrotic yellowウイルス、属:Nucleorhabdovirus、代表種:ジャガイモ黄化えそウイルス;
ネガティブssRNAウイルス:科:ブニヤウイルス、属:Tospovirus、代表種:トマト黄化えそウイルス;
【0052】
dsRNAウイルス:科:Partitiviridae、属:Alphacryptovirus、代表種:シロクローバ潜伏ウイルス1、属:Betacryptovirus、代表種:シロクローバ潜伏ウイルス2、科:Reoviridae、属:Fujivirus、代表種:Fuji diseaseウイルス、属:Phytoreovirus、代表種:創傷腫瘍ウイルス、属:Oryzavirus、代表種:イネラツギドスタントウイルス;
【0053】
未指定ウイルス:ゲノムssDNA:種:バナナbunchy topウイルス、種:ココナツfoliar decayウイルス、種:subterranean clover stuntウイルス;
【0054】
ゲノム:dsDNA、種:キュウリ葉脈黄化ウイルス、ゲノム:dsRNA、種:タバコstuntウイルス;
【0055】
ゲノム:ssRNA、種:ニンニクウイルスA、B、C、D、種:ブドウのつる斑紋ウイルス、種:トウモロコシ白線モザイクウイルス、種:オリーブ潜在ウイルス2、種:ウルミアメロンウイルス、種:ゼラニウム輪紋ウイルス;
【0056】
衛星及びウイロイド:衛星:ssRNA衛星ウイルス:サブグループ2衛星ウイルス、代表種:タバコえそ衛星;
【0057】
衛星RNA、サブグループ2B型mRNA衛星、サブグループ3C型線状RNA衛星、サブグループ4D型環状RNA衛星;
ウイロイド、代表種:ジャガイモ紡錘型塊萎ウイロイド。
【0058】
主として、植物ウイルス起源のベクターは、植物において自律性の複製能を有するプラスミドとして用いられるが、非ウイルスエレメントを用いてそのようなプラスミドを設計するのに必要な原理は知られている。例えば、植物細胞の多くの推定複製起点が記載されている(バルラーニら(Berlani et al.)、1988年、Plant Mol.Biol.第11巻、161〜162ページ、ヘルナンデスら(Hernandes et al.)、1988年、Plant Mol.Biol.第10巻、413〜422ページ、バルラーニら(Berlani et al.)、1988年、Plant Mol.Biol.第11巻、173〜182ページ、エクダールら(Eckdahl et al.)、1989年、Plant Mol.Biol.第12巻、507〜516ページ)。高等植物のゲノム由来の自律複製配列(ARSエレメント)は、酵母及び高等動物のARSエレメントと共通の構造及び配列における特徴を有することが示されている(エクダールら(Eckdahl et al.)、1989年、Plant Mol.Biol.第12巻、507〜516ページ)。植物ARSエレメントは、サッカロミセスセレビシエにおけるプラスミドに自律複製能を与えることができる。酵母におけるプラスミドの自律複製を促進することができるトウモロコシ核DNA配列の研究で、それら配列は、トウモロコシゲノム内で高度に繰り返されている配列の2つのファミリーを示した。それらの配列は、特徴的なゲノムハイブッド形成パターンを有する。典型的には、ゲノム断片の各12〜15kb上にARS相同配列の1つのコピーのみが存在する(バルラーニら(Berlani et al.)、1988年、Plant Mol.Biol.第11巻、161〜162ページ)。植物複製起点のレプリコンにおける他の起源は、植物における異種遺伝子の増幅と発現を刺激できる植物リボソームDNAスペーサーエレメントである(ボリスジュクら(Borisjuk et al.)、2000年、Nature Biotech.第18巻、1303〜1306ページ)。
【0059】
したがって、本発明において使用を意図している増幅ベクターは、必ずしも植物ウイルス由来のものとは限らない。同様に、植物DNAウイルスは、選択的DNA形質転換に特に有用であると思われる増幅ベクターを設計する容易な方法を提供するが、植物RNAウイルス又は非植物ウイルスのエレメントから完全又は部分的に構成されたベクターも可能である。植物ウイルスに基づくベクターの利点は明らかである。そのようなベクターは、増幅のほかに、細胞間及び長距離での移動のような別の有用な機能を提供する可能性がある。さらに、そのようなベクターは、感染した植物からウイルスを根絶する既知の方法を用いて、後で植物細胞から容易に除去し得る場合が多い。
【0060】
本発明において、レプリコンは、宿主細胞の核内で所望の標的配列のコピー数を増加させるために用いることが望ましい。本発明の1の実施形態において、標的部位を含む組換えは、レプリコンに設けられた特異的組換え部位と標的部位に設けられた特異的組換え部位との介在によって起こる。他の実施形態において、組換えは、レプリコンにより運ばれる配列と宿主ゲノムにおける相同の配列との間の相同的組換えの結果として起こる。ベクターの詳細とこれらのベクターの使用については、次に記述する。
【0061】
異種組換え系からの組換え部位を含むレプリコン
適切な組換え酵素/組換え部位系としては、とりわけバクテリオファージP1のCre−Lox系(オースチンら(Austin et al.)、1981年、Cell、第25巻、729〜736ページ)、サッカロミセスセレビシエのFlp−Frt系(ブローチら(Broach et al.)、1982年、Cell、第29巻、227〜234ページ)、Zygosaccharomyces rouxiiのR−Rs系(アラキら(Araki et al.)、1985年、J.Mol.Biol.第182巻、191〜203ページ)、ストレプトミセスファージPhiC31(ソープ及びスミス(Thorpe & Smith)、1998年、Proc.Natl.Acad.Sci.第95巻、5505〜5510ページ、グロスら(Groth et al.)、2000年、Proc.Natl.Acad.Sci.第97巻、5995〜6000ページ)及びリゾルベースなどがある。レプリコンには1つ又は2つの組換え部位が存在する。1つの組換え部位が存在する場合、組換えはジェミニウイルス配列を含む標的部位で、レプリコン全体の組込みがもたらされる(片側組換え)。したがって、標的とするDNAの両側に隣接する2つの組換え部位を用いることが好ましい(両側組換え)。組換え酵素の発現時に、標的遺伝子座で2つの部位を適合部位と組換えることにより、標的遺伝子座における組換え部位間にあるDNA配列の、レプリコン上の目的DNA配列による置換が引き起こされる。例えば、標的とするDNA断片にプロモーターでない選択マーカーと標的部位にプロモーターを含めることにより、選択的組換えに対する選択を容易に行うことができる。次いで、組換えは、標的部位におけるプロモーターの制御のもとで選択マーカー遺伝子を置くことにより、当該選択マーカー遺伝子の活性化をもたらし、その結果、機能的なマーカーが確立される。プロモーターなしで選択マーカーが標的部位に存在し、プロモーターがレプリコン上に存在する逆の戦略も可能である。
【0062】
2つの組換え部位がレプリコン上に存在する場合、これらの部位は互いに組換えないことが有利である。その理由は、これによりレプリコンの複製時に目的配列が欠失する可能性があるためである。互いに組み換えることができない組換え部位の対が、Cre−Lox及びFlp/Frt系について記載されている。異種特異的部位と呼ばれるそのような部位は、中央コア領域に突然変異を含んでいる。これらの部位は、野生型レベルでそれらと同じ部位と組み換えることができるが、異なる異種特異的部位と組み換えることはできない(ベスケ及びサウア(Bethke & Sauer)、1997年、Nucl.Acids Res.第25巻、2828〜2834ページ、実施例2も参照)。Phic31インテグラーゼのようないくつかの系の組み換え部位は、同一部位と組み換えることはできないが、異なる適合部位とのみ組み換えることができる。例えば、Phic31インテグラーゼの存在下では、attP部位はattB部位と組み換えられ、attLとattRを生ずる。attP又はattB部位は、レプリコンで用いることができ、一方、適合部位はゲノム上の標的部位に置くことができる。
【0063】
植物核ゲノムにおける標的部位は、天然に存在する(標的とされる内在遺伝子、異種部位特異的組換え酵素、制限酵素等により認識される配列)か、又は予め設計して既存の技術を用いて植物ゲノムに導入する。植物細胞にそのような部位を伝達するために、マイクロプロジェクタイルボンバードメントによる植物細胞へのベクターの直接導入(米国特許第05100792号、欧州特許第00444882B1号、欧州特許第00434616B1号)、エレクトロポレーション(欧州特許第00564595B1号、欧州特許第00290395B1号、国際出願第08706614A1号)又はプロトプラストのPEG媒介処理)などの種々の方法を用いることができる。これらの3つの方法は、非生物学的伝達法としてまとめることができる。アグロバクテリウム媒介植物形質転換(米国特許第5,591,616号、米国特許第4,940,838号、米国特許第5,464,763号)もベクターの伝達の有効な方法である。原則として、マイクロインジェクションのような他の植物形質転換法も用いることができる(国際出願第09209696号、国際出願第09400583A1号、欧州特許第175966B1号)。植物形質転換法の選択は、形質転換する植物種の種類に依存する。例えば、単子葉植物の形質転換についてはマイクロプロジェクタイルボンバードメントが好ましく、双子葉植物についてはアグロバクテリウム媒介形質転換が一般的に良好な結果が得られる。同じ方法を、増幅ベクターによる植物細胞のトランスフェクション又は形質転換、或いは植物細胞へのDNAの前記供給に用いることができる。さらに、このようなことは、ウイルストランスフェクションにより、或いは、自律的に複製するプラスミドを形成するために植物核DNAにあらかじめ組み込んだベクター又はプロベクターを用いて達成することができる。
【0064】
適切な異種組換え酵素は、レプリコン、同時形質転換した複製若しくは非複製プラスミド、又は染色体標的部位から発現させることができる。その発現は、構成性、組織特異性又は誘導性とすることができる。種々の可能性について、後述する実施例において示す。
【0065】
ジパーティトジェミニウイルスは、2つのゲノム構成要素であるDNAAとDNABとを有している。Bゲノムは、その産物が両ゲノム構成要素の細胞間及び全身性の移動のために必要とされる2つの遺伝子をコードする(ブローら(Brough et al.)、1988年、J.Gen.Virol.第69巻、503〜514ページ、キンら(Qin et al.)、J.Virol.第72巻、9247〜9256ページ)。一例としては、2つのオープンリーディングフレームであるBL1及びBR1をコードするBGMVのDNABゲノムがある。Bゲノム上にコードされている遺伝子の発現は、レプリコンを細胞間及び全身において移動させることを可能とする。両遺伝子は、野生型Bゲノムを放出する構成体を、同時に形質転換することにより供給される。また、B遺伝子は、非複製プラスミドで供給することもできる。この方法において、Bゲノムの遺伝子は、細胞から非複製プラスミドが消失するまで一過性に発現させることができる。これは、Bゲノムの遺伝子、特にBL1の発現が、ジェミニウイルス感染植物の疾患症状の原因であるので、有利である(パスカルら(Pascal et al.)、1993年、Plant Cell、第5巻、795〜807ページ)。Bゲノムによりコードされた遺伝子の一過性の発現は、TGMVのDNAAゲノムの全身移動に十分である(ジェフェリーら(Jeffrey et al.)、1996年、Virology、第223巻、208〜218ページ)。
【0066】
内因性配列と相同性を有する配列を運ぶレプリコン
内因性配列と相同であるDNA配列を含むレプリコンの複製により、相同的標的配列との組換えが増加する。相同的組換えは、DNAの2本鎖損傷又はニックにより開始することが好ましい。ジェミニウイルスDNAは、超コイル2本鎖環状、開環及び線状のDNAなどの種々の形態で細胞内に存在する(サウンダーら(Saunder et al.)、1991年、Nucl.Acids Res.第19巻、2325〜2330ページ)。開環DNAにおけるニック及び線状DNAにおける2本鎖損傷は、相同的組換えを誘発する。更に組換えを増大させるためには、レプリコンに酵母HO又はISce−lエンドヌクレアーゼのような希少切断酵素のための1つ又は2つの制限酵素部位を置くことで、複製DNAにおける2本鎖損傷の形成を誘発することも可能である。エンドヌクレアーゼは、同時形質転換した複製又は非複製プラスミド、或いは染色体に安定に組み込まれた発現カセットから発現させることができる。その発現は、構成性、組織特異性又は誘導性とすることができる。
【0067】
本発明で用いるベクターは、プロベクターであってよい。プロベクターとは、例えば、イントロンスプライシングなどの植物核酸処理機構により、本発明によるベクターを植物細胞内で発生させる元のベクターである。
【0068】
実施例
以下の実施例は、特に、増殖ベクターの複製による、高頻度の部位選択的な組込みの検出について示す。さらには、好ましくは一過性に複製する増殖ベクターを使用する、子孫細胞の選択及び形質転換体の回収についての成功例を示す。
【実施例1】
【0069】
この実施例は、BGMV DNAA及びDNABゲノムの複製クローンのクローニングを報告する(図2)。
【0070】
GFPを含むDNAAゲノム複製ベクターのクローニング
pUC19 DNAを、プライマーdnaapr7(aac tgc agt cta gac tgg ccg tcg ttt tac aac)及びdnaapr8(aac tgc aga aca att gct cga ggc gta atc atg gtc a)を用いて増幅し、増幅された断片をPst1で消化し、再連結した。得られたプラスミドpIC1144は、pUC19に類似しているが、ポリリンカーがXho1、Mfel及びPst1で置換されていた。DNAは、ドイツ微生物細胞培養コレクション(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures(DSMZ、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)から入手したマメゴールデンモザイクウイルス(BGMV)分離株DSMZ PV−0094で感染させたインゲンマメ(Phaseolus vulgaris)組織から抽出した。BGMV共通領域(CR、BGMV複製起点を含む)を含むゲノムの断片を、プライマーdnaapr3(ggg aat tca cta gta aag atc tgc cgt cga ctt gga att g)及びdnaapr4(caa tgc atc atg gcg cat cac gct tag g)を用いてPCRにより増幅し、Mfel及びPstlで消化したpIC1144中でEcoRI−Nsil断片としてクローン化して、プラスミドpIC1156を得た。pIC1156中のBGMV挿入断片を配列決定した。他の2つのBGMV DNAAゲノム断片をBGMV感染インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)DNAからプライマー対dnaapr9(aag ctg cag aag gat cct ctg gac tta cac gtg gaa tgg)/dnaapr13(cgc tcg agg ccg tcg act tgg aat tgt c)及びdnaapr5(gaa gat ctg caa gag gag gtc agc a)/dnaapr10(aag ctg cag atc tat ttc tat gat tcg ata acc)で増幅した。これらの断片の合計は、コートタンパク質を含まない完全なBGMVゲノムに等しい。これらの断片を、(それぞれ)Xho1/Pst1及びPst1/BgIIIで消化し、Xho1及びBgIIIで消化したpIC1156中で3元連結反応によりクローン化した。得られたプラスミドは、重複するBGMV DNAA共通領域が両側に隣接する、コートタンパク質遺伝子を含まない1つの完全なBGMV DNAAゲノムを含んでいる。3クローン、すなわちpIC1663、1664及び1667を試験に備えて保存した。BamHI及びPstlを含む多クローニング部位はコートタンパク質遺伝子を置換している。
【0071】
GFP(SGFPは合成GFPを表す)コード配列を、pIC011(Hbtプロモーター−合成GFPコード配列−pUC18におけるNosターミネーター)からのBamHI−Pstl断片として、pIC1663、pIC1664及びpIC1667のBamHI−Pst1部位においてクローン化して、プラスミドpIC1693、pIC1694及びpIC1697を得た(補足図1)。GFPはコートタンパク質プロモーターの制御下に置かれている。
【0072】
レプリカーゼのために突然変異させたDNAAゲノムクローンを、AL1 ORFに存在するBgIIIを破壊して構築した。pIC1693、pIC1694及びpIC1697に2つのBgIII部位が存在するので、第2のBgIII部位を欠いた中間構成体を構築した(pIC2690)。この構成体は、pIC1694からの断片をプライマーdnaapr16(aag ctg cag gtc tat ttc tat gat tcg ata acc)及びdnaapr5(gaa gat ctg caa gag gag gtc agc a)を用いてPCRにより増幅して構築し、増幅産物からのPst1−HindIII断片を、Hind3及びPstlで消化したpIC1694においてクローン化した。次いで、pIC2690をBgI2で消化し、末端をklenowポリメラーゼで満たし、再連結して、プラスミドpIC2705を得た(補足図3)。
【0073】
DNABゲノムのクローニング
完全なDNABゲノムを、BGMV感染インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)DNAから、プライマーdnabpr2(cgg cat gca tgc att tgg agg att tgc taa ctg)及びdnabpr3(cgg atg cat tca att atg tag agt cac aca g)を用いてPCRにより増幅した。増幅された断片を、promegaからのpGEMTでクローン化した。Nsilによるクローンの消化により、完全な線状DNABゲノムが放出された。12のクローンを採集し、挿入部を含む9クローン(pIC1911〜pIC1919(補足図2))を機能性に関する試験に備えて保存した。
【0074】
DNAA及びDNABクローンの機能性の試験
GFPの機能性(機能コートタンパク質プロモーター及び機能コード配列)を試験するために、pIC1693、pIC1694及びpIC1697を、Biolistic Particle Delivery System 1000/HE(バイオラド(Biorad))を用いて、タバコ(Nicotiana benthamiana)及びインゲンマメ(Phaseolus vulgaris)の切除した葉にボンバードした。翌日、両種の葉において3つの構成体すべてについてGFP発現表皮細胞が検出された。
【0075】
DNAA及びDNABクローンの複製及び移動を試験するために、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)の切除した葉に、pIC1693、pIC1694及びpIC1697を、対に組合せてpIC1911〜pIC1919(Nsilで消化したもの)とともにボンバードした。すべての組合せにより数百のGFP発現細胞を生じさせた。2つのプラスミドの組合せ1694/1914及び1697/1919について、GFPの発現が、主として葉脈中のGFP発現細胞のいくつかについて、隣接細胞に広がっている。
【0076】
植物全体におけるDNAA及びDNABの機能性を試験するために、pIC1694/1914及びpIC1697/1919の組合せを、発芽中のマメの小根にボンバードした(図2)。実生を土壌に戻し、10日後に最初の2つの葉におけるGFP発現について評点をつけた。大多数の幼植物が最初の2つの葉のいくつかの葉脈に蛍光を示した。最初の2つの葉からDNAを抽出し、DNAAプローブを用いてサザンブロッティングにより分析した。植物にDNAA及びDNABクローンを接種したとき、1本鎖、超コイル2本鎖及び開環2本鎖の形態が検出されたが、植物にDNAAクローンのみを接種したときには検出されなかった。GFPタンパク質もGFP抗体を用いてウエスタンサザンブロッティングにより検出された。
【実施例2】
【0077】
この実施例では、標的同時形質転換非複製プラスミドを用いるプラスミドの複製が、組換えの頻度を増加できることを示す。この実施例では、組換えがCre組換え酵素により媒介され、供与体及び受容体プラスミドに存在するIoxP及びLoxM部位で起こる(図3)。
【0078】
プラスミドの説明
pIC1667からのPCR断片を、dnaapr13(cgc tcg agg ccg tcg act tgg aat tgt c)及びdnaapr15(ccc atg cat cta gag tta acg gcc ggc cca aat atc taa cgt tct cac atg)を用いて増幅し、Xhol及びPstlで消化したpIC1667におけるXhol−Nsil断片としてクローンした。得られたプラスミドpIC1951は、pIC1667と類似しているが、コートタンパク質遺伝子プロモーターを欠いている。
【0079】
プラスミドpIC551は、(i)Xbal及びHind3で消化したpUC119についてプライマーadlox1(gtt cta gat gtt aac ggc gcg ccg gcg taa tca tgg tca)、adlox2(aac cat gga gaa ttc ggc cgg ccc tgg ccg tcg ttt tac aac)、adlox3(cgg gat cct gag ctc tat aac ttc gta taa tgt atg cta tac gaa gtt gtt cta gat gtt aac gg)及びadlox4(cgg gat ccc tgc aga taa ctt cgt ata atc tat act ata cga agt tag aaa aac aac cat gga gaa ttc gg)を用いてPCRを実施し、(ii)PCR産物をBamHIで消化し、(iii)消化した断片を再連結して得た。pIC551はpUC119と類似しているが、ポリリンカーAscI−HpaI−XbaI−IoxA−SacI−BamHI−PstI−LoxM−NcoI−EcoRI−FseIを有している。LoxA(acaacttcgtatagcatacattatacgaagttat)及びLoxM(ataacttcgtataatctat actatacgaagttag)は、修飾されたLoxP部位である。LoxAは、LoxPと逆方向反復配列の1つにおける1ヌクレオチドが異なっており、野生型レベルでLoxPと組み換えることができる。LoxMは、中央スペーサー領域に2つの突然変異を有し、LoxP又はLoxAと組み換えることができないが、他の異種特異的部位の場合と同様に、それ自体と自由に組み換えることができる(ベスケ及びサワー(Bethke & Sauer)、1997年、Nucl.Acids Res.第25巻、2828〜2834ページ)。
【0080】
GFPコード配列を含むpIC011のBamHI−Pst1断片をpIC551のBamHI及びPst1部位においてクローン化して、プラスミドpIC2051を得た(補足図4)。反対方向のLoxA及びLoxM部位が隣接したGFP ORFを含むFsel/Xba1断片をpIC2051からpIC1951のXba1及びFsel部位にサブクローンして、プラスミドpIC2121を得た(補足図5)。pIC2121は、コートタンパク質遺伝子を置換している2つの異種特異的部位の間にあるプロモーターのないGFPコード配列を含む。
【0081】
pIC1262は、pIC04の0.9kb EcI136II−Pst1シロイナズナ(Arabidopsis)アクチン2プロモーター(プラスミドベクターにおいてクローン化したアクチン2プロモーター断片)を、pIC08のHind3平滑部位及びPst1部位(pUC19における35Sプロモーター−LoxP−Cre−Nosターミネーター)に、クローニングして構築した。pIC1321は、pIC1262のNosターミネーターを、Ocsターミネーターがその後にあるLoxM(LoxP部位に対して反対方向の)部位を含むDNA断片で置換して構築した。
pIC1321(補足図6)は、pUC19に次の挿入断片を含んでいる:
シロイナズナ(Arabidopsis)アクチン2プロモーターLoxP−Cre Orf−LoxM−Ocsターミネーター。
【0082】
複製プラスミドと非複製プラスミド標的部位との組換え(図3)
pIC2121を、pIC1321と、野生型タバコ(N.benthamiana)の葉、インゲン(Phaseolus vulgaris)の葉及びインゲンのマメの細胞の懸濁液培養に、同時にボンバードした。対照として、pIC2051をpIC1321と同じ植物組織に同時のボンバードした。3日後に、pIC2121挿入断片の複製により、pIC1321との組換えが増加し、Cre ORFとGFPコード配列とが交換された。シロイナズナ(Arabidopsis)アクチン2プロモーターへのGFPの融合により、GFPの発現がもたらされた。非複製プラスミドpIC2051を用いた対照実験では、GFP発現細胞は検出されなかった(図3)。
【実施例3】
【0083】
この実施例では、我々は、標的とされる挿入部を含むプラスミドの複製において、植物染色体に安定に挿入された標的部位を用いると、組換え頻度を増加させ得ることを示す。組換えは、Creにより媒介され、複製プラスミドと標的部位の両方に存在するIoxP及びLoxM部位で起こり、Creは同時形質転換プラスミドに伝達される(図4)。
【0084】
プラスミドの説明
XhoI及びSacIが隣接するLoxP部位を含むアダプター(プライマーadlox15[tcg aga taa ctt cgt ata gca tac att ata cga agt tat agc t]及びadlox16[ata act tcg tat aat gta tgc tat acg aag tta tc]を用いて構築した)を、XhoI及びSacIで消化したpIC01でクローン化した。得られたプラスミドpIC2745は、pUC118におけるDNA断片(35Sプロモーター−LoxP−Gus−Ocsターミネーター)を含んでいる。BamHI及びXbaI部位が隣接するLoxM部位(反対方向の)を含むアダプター(プライマーadlox17[gat cat aac ttc gta taa tct ata cta tac gaa gtt att]及びadlox18[cta gaa taa ctt cgt ata gta tag att ata cga agt tat]を用いて構築した)を、BamHI及びXbaIで消化したpIC2745においてクローン化して、プラスミドpIC2755を得た。EcoRI−Hind3断片を、pIC2755から、バイナリーベクターpICBV1(アイコンジェネティックス(Icon Genetics)で開発された。他のバイナリーベクターもこのクローニングに同様に適していると思われる)のEcoRI及びHind3部位にサブクローンした。得られたプラスミドpIC2764(補足図7)は、バイナリーベクターにおける挿入断片(35Sプロモーター−LoxP−Gus−LoxM−Ocsターミネーター)を含んでいる。
【0085】
Cre ORFは、pIC08からプライマーcrerecomb1(CATGCCATGG CCAATTTACT GACCT)及びcrerecomb2(TGCTCTAGAC TAATCGCCATCTTCCAGC)を用いてPCRにより増幅し、NcoI−XbaI平滑断片としてpIC011のPstI平滑及びNcoI部位においてクローン化した。得られたプラスミドpIC2721(補足図8)は、Hbtプロモーター(トウモロコシC4PPDK遺伝子の基礎プロモーターに融合された35Sエンハンサーを含むキメラプロモーター、シェーン(Sheen)、EMBO J.1995年、第12巻、3497ページを参照)の制御下にあるCre ORFを含む。
【0086】
複製プラスミドと染色体標的部位との組換えの増加
構成体pIC2764を、アグロバクテリウムの株GV3101にエレクトロポレーションにより導入し、形質転換した細菌をタバコ(Nicotiana benthamiana)の形質転換に用いた。30の形質転換したタバコ(N.benthamiana)植物を、X−gluc溶液で染色して(ジェファーソン(Jefferson)、1987年、Plant Mol.Biol.Reporter、第5巻、387〜405ページ)、高レベルのGus発現を有する植物を選択した。Gusを発現した植物を、プラスミドpIC2721とpIC2121との混合物でボンバードした。植物細胞への伝達後に、GFPを含むDNAAゲノムがpIC2121から放出され、複製すると予想される。Creにより媒介された組換えにより、染色体上の標的遺伝子座でGusコード配列のGFPコード配列による交換が引き起こされ、GFPが35Sプロモーターの制御下に置かれた。対照実験では、pIC2051(非複製で、プロモーターを含まないGFP構成体)を、Gusを発現したトランスジェニックタバコ(N.benthamiana)植物に同時にボンバードした。pIC2121をpIC2721と同時にボンバードしたとき、対照実験におけるよりも多くのGFP発現細胞が検出された。
【0087】
pIC2764は、アイコンジェネティックス(Icon Genetics)により開発されたインゲンマメ(Phaseolus vulgaris)細胞懸濁液培養系においても形質転換された。安定に形質転換したクローンをX−Glucで染色して、高レベルのGus活性を有する系を選択した。Gusを高レベルで発現した2つのクローンの細胞を増幅し、プラスミドpIC2121とpIC2721との混合物又はプラスミドpIC2051とpIC2721との混合物でボンバードした。pIC2121をpIC2721とともに同時にボンバードしてから1週間後に、対照実験と比較して多くのGFP陽性細胞が認められた。
【実施例4】
【0088】
この実施例において、我々は、実施例3で述べたように、部位選択的な組換えが安定に形質転換されたマメ細胞の生産をもたらし得ることを示す。この実施例では、BAR遺伝子(図5)をGFPで置換するが、ターゲティング戦略は実施例3と同じである。
【0089】
プラスミドの説明と実験
pIC2103は、pIC551のSstI−BamHI部位におけるpIC012(pUC118におけるNosプロモーター−Barコード配列−Ocsターミネーター)のSstI−BamHI断片をクローニングして構築した。反対方向の2つの異種特異的Lox部位が隣接するBARコード配列を含むpIC2103 FseI−XbaI断片を、pIC1951のFseI−XbaI部位にサブクローンして、プラスミドpIC2574(補足図9)を得た。pIC2574は、コートタンパク質遺伝子を置換している2つの異種特異的部位の間にクローンされたプロモーターのないBARコード配列を含む。
【0090】
pIC2574をBgI2で消化し、再連結した。得られたクローンpIC2948(補足図10)は、AI1(レプリカーゼ)、AI2及びAI3 ORFsの欠損を有している。
【0091】
上述の2つのインゲンマメ(P.vulgaris)トランスジェニック系(pIC2764で安定に形質転換した)の細胞を、プラスミドpIC2574とpIC2721の混合物又はプラスミドpIC2948とpIC2721の混合物でボンバードした。形質転換したクローンをホスフィノトリシン(PPT)を含むプレート上で選択した。形質転換したクローンをPCRにより分析して、部位特異的組換えにより生産されたことを確認した。pIC2574を用いた場合、非複製対照pIC2948を用いた場合よりも多くのPPT耐性クローンが得られた。
【実施例5】
【0092】
この実施例では、戦略は実施例4と同様である。しかし、ここではCreを含む非複製プラスミドにレプリカーゼが存在する(図6)。このアプローチの利点は、レプリコンの複製が一過性であり、レプリカーゼを運ぶ非複製プラスミドが消失するときに停止する。利点は、形質転換した細胞が複製プラスミドを含まず、より健康で、トランスジェニック植物をより容易に発生させることができることである。
【0093】
プラスミドの説明と実験
AI1(レプリカーゼ)、AI2及びAI3 ORFsを含む断片を、プラスミドpIC1664からプライマーAI1xho1(tct ctc gag tta caa ata tgc cac cac ctc aaa g)及びAI1xba1(gct cta gag gat cta ttt cta tga ttc gat aac c)を用いて増幅した。増幅された断片を、pIC01(pUC118における35Sプロモーター−Gusコード配列−Ocsターミネーター)のXho1及びXba1部位におけるXho1 Xba1断片としてクローンした。得られたプラスミドpIC2821は、35Sプロモーターの制御下のBGMVレプリカーゼを含む。
【0094】
アダプター(ecopst1、ecopst2)を、pIC2721のEcoRI部位においてクローン化した。得られたクローンpIC2955は、Mfe1及びPst1部位により置換されたEcoRI部位を有する。pIC2821の2つの断片(EcoRI−NcoI断片及びNcoI−Pst1断片)を、Mfe1及びPst1で消化したpIC2955中に3元連結反応でクローンした。得られたプラスミドpIC2966(補足図11)は、35Sプロモーターから発現されるBGMV複製配列及びHbtプロモーターの制御下にあるCreコード配列を含む。
【0095】
上述の2つのインゲンマメ(P.vulgaris)トランスジェニック系(pIC2764で安定に形質転換した)の細胞を、プラスミドpIC2948とpIC2966との混合物又はプラスミドpIC2948とpIC2721との混合物でボンバードした。形質転換したクローンを、ホスフィノトリシン(PPT)を含むプレート上で選択した。形質転換したクローンを、PCRにより分析して、部位特異的組換えにより生産されたことを確認した。pIC2948を複製した場合、pIC2948をpIC2721と同時形質転換した非複製対照よりも多くのPPT耐性クローンが得られた(pIC2966上での複製のため)。
【実施例6】
【0096】
この実施例では、GFPを運ぶ複製クローンを、複製Cre発現クローン及びBGMV DNABゲノムとともに同時にボンバードする(図7)。3クローンすべてが複製することができ、Bゲノムが存在するため、3クローンすべてが、複製する隣接細胞に移動することができる。その結果、部位特異的組換えが起こる細胞数が増加することになる。
【0097】
プラスミドの説明と実験
Cre OFRをpIC903(PromegaからのpGem−Tにおいてクローン化したCre OFR)からSacI平滑Pst1断片として摘出し、pIC1664のBamHI平滑部位及びPst1部位においてクローン化した。得られたプラスミドpIC2736(補足図12)は、DNAA複製ベクターにおけるBGMVコートタンパク質の制御下にあるCreコード配列を含んでいる。
【0098】
pIC2121を、pIC2736及びpIC1914(Nsi1消化)とともに、pIC2764で形質転換したトランスジェニックタバコ(Nicotiana benthamiana)植物の葉において、同時にボンバードした。対照実験では、pIC2051をpIC2721と同時にボンバードした。ボンバードメントの1週間後に、実験において対照よりも多くのGFP発現細胞が検出された。
【実施例7】
【0099】
この実験は、実施例6で述べたものと類似しているが、隣接細胞を複製し、隣接細胞に移動させるBゲノムクローンの無能化の点で異なっている(図8)。Bゲノムクローンは、一過性に発現し、暫時の後に消失する。BL1遺伝子の発現がジェミニウイルス感染植物の疾患症状の大部分の原因であることが示されている(パスカルら(Pascal et al.)、1993年、Plant Cell、第5巻、795〜807ページ)ので、Bクローンを除去することが有利である。Bゲノムの遺伝子の一過性の発現は、TGMVのDNAAゲノムの全身移動に十分であることも示された(ジェフリーら(Jeffrey et al.)、1996年、Virology、第223巻、208〜218ページ)。
【0100】
プラスミドの説明と実験
シロイナズナ(Arabidopsis)アクチン2プロモーターを含むpIC04のEcoRI−SacI断片を、pIC02(pUC118における35Sプロモーター−Gusコード配列−Ocsターミネーター)のEcoRI及びSacI部位においてクローン化したところ、プラスミドpIC2779が得られた。BGMV BL1 Orfを含むPCR断片を、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)DNA(BGMV感染葉組織から抽出)から、プライマーBI1Xho1(gcc tcg agc tta aat gga ttc tca gtt agc)及びBI1bam(cgg gat cct tat ttc aaa gac ttt ggt tga g)を用いて増幅した。この断片を、pIC01に、Xho1−BamHI断片としてクローン化して、プラスミド2781を得た。BGMV BR1 ORFを含むPCR断片を、pIC1914 DNAから、プライマーBr1nsi1(cga tgc atc aca cga att aat aat gta tgc gtc)及びBr1bam(cgg gat cct tat cca aca taa tca aga tca aat g)を用いて増幅した。この断片を、pIC2779に、Nsi1−BamHI断片としてクローン化して、プラスミド2792を得た。2つのpIC2781断片(EcoRI平滑−BamHI及びBamHI−Hind3)を、Pst1(平滑)及びHind3で消化したpIC2792に、3元連結反応でクローン化した。得られたプラスミドpIC2807(補足図13)は、(それぞれ)pUC118におけるシロイナズナ(Arabidopsis)アクチン2プロモーター及び35Sプロモーターの制御下にあるBR1及びBL1 ORFsを含む。
【0101】
pIC2764で形質転換したトランスジェニックタバコ(Nicotiana benthamiana)植物の葉において、pIC2121を、pIC2807及びpIC2736とともに同時にボンバードした。対照実験では、pIC2051をpIC2721と同時にボンバードした。ボンバードメントの1週間後に、実験において対照よりも多くのGFP発現細胞が検出された。
【実施例8】
【0102】
この実施例は、実施例6と類似しているが、ここでは、組換え酵素を、複製クローンから伝達させる代わりに標的部位から発現させる(図9)。その利点は、複製クローンが移動するすべての細胞においてCreが既に発現していることである。さらに、標的部位における組換えがCreを置換し、そのさらなる発現が妨げられる。
【0103】
プラスミドの説明と実験
pIC1321のアクチン2プロモーター−LoxP−Cre Orf−Nosターミネーター断片を、Not1平滑−SacI断片として、バイナリーベクターpBIN19のSmaI及びSacI部位にサブクローンして、構成体pIC1593を得た(補足図14)。
【0104】
LoxP−Gus−Ocsターミネーター−LoxP断片を、プラスミドpIC02から、プライマーLoxPgus(ggc atc gat ata act tcg tat agc ata cat tat acg aag tta tac aat ggg tca gtc cct tat g)及びLoxPocs(gcc cat gga taa ctt gct ata atg tat gct ata cga agt tat gtc aag gtt tga cct gca c)を用いて増幅した。増幅された断片を、CIaI及びNcoIで消化し、pIC591(CIaIで置換されたBamHIを有するpIC011)においてクローン化し、CIaI及びNcoIで消化した。得られたプラスミドpIC2553は、プロモーターとGFPのコード配列との間に挿入されたLoxP部位が隣接するGus遺伝子を含む。
【0105】
pIC1593を、エレクトロポレーションによりアグロバクテリウム株AgI1に導入し、形質転換したアグロバクテリウムを用いて、トランスジェニックタバコ(Nicotiana benthamiana)を形質転換した。10の形質転換体から抽出したDNAを用いて、導入遺伝子の存在についてPCRにより試験した。カナマイシン形質転換マーカー又はCre遺伝子のプライマーを用いてPCRを実施したとき、すべての植物が陽性であることが認められた。トランスジェニック植物におけるCre組換え酵素の機能性を試験するために、25の形質転換体の1枚の葉を、プラスミドpIC2553でボンバードした。Creの存在下で、pIC2553のLoxP部位の組換え酵素が、GFP遺伝子の発現をもたらした。Creを発現することが認められた植物の葉を、pIC2121とpIC1914の混合物でボンバードした(Nsi1消化)。対照実験では、同じトランスジェニック植物の葉をpIC2051とpIC1914との混合物でボンバードした(Nsi1消化)。実験において対照よりも多くのGFP発現細胞が検出された。
【実施例9】
【0106】
この実施例は、ゲノム内の標的配列と相同のDNA配列を含むプラスミドの複製がこの標的配列との相同的組換えをもたらし得ることを示す(図10)。
【0107】
プラスミドの説明と実験
インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)ALS遺伝子の断片を、ゲノムDNAから、縮重プライマーalsdpr1(cgg gat ccc agg tgg ngc wtc mat gga gat)及びalsdpr2(cgg agc tcg cat aca cag thc crt gca t)を用いて増幅し、直接配列決定を行った。配列情報を用いて、プロリン(トウモロコシAHAS108のPro−165に相当する[リーら(Lee et al.)、1988年、EMBO J.第7巻、1241〜1248ページ])と重複する2つのプライマー(alspr3: cga cag cgt cgc cct cgt tgc cat c及びalspr4: gat ggc aac gag ggc gac gct gtc g)を設計した。alspr3とalspr4は、このプロリンをアラニンに変えるヌクレオチド置換を含む。PCRを用いて、プロリンがアラニンに突然変異したAHAS DNAを、マメゲノムDNAから、プライマーalsdpr1、alsdpr2、alspr3及びalspr4を用いて増幅した。このDNAを、SacI−BamHI断片としてpIC2171においてクローン化して、プラスミドpIC2834を得た(補足図15)。
【0108】
非複製プラスミドの対照として、pIC2834のSacI−BamHI断片をpUC19にサブクローンして、プラスミド2857を得た(補足図16)。
【0109】
マメ細胞懸濁培養を、インゲンマメ(Phaseolus vulgaris)葉組織から調製した。それぞれ約10個の細胞を含む60枚の培地を、プラスミドpIC2834でボンバードした。陰性対照として、60枚の培地をプラスミドpIC2857でボンバードし、別の40枚の培地はボンバードせずに、同じ条件で生育させた。形質転換した細胞を、20ppbのクロロスルホン(Glean、工業用、デュポン(Dupont))を含む固形培地上で、平板培養した。ボンバードメントの4〜6週間後に確認される推定の事象を、50ppbのクロロスルホンを含む新しい培地上で選択した。耐性クローンをPCR増幅により分析し、配列決定した。対照よりも実験(複製クローンpIC2834を用いた)において、予想された変化(標的コドンにおけるプロリンからアラニンへの)に起因した多くの耐性クローンが認められた。
【実施例10】
【0110】
この実施例は、複製ジェミニウイルスクローンをアグロバクテリウムの浸潤により伝達できることを示す。
【0111】
プラスミドの説明と実験
pIC1694のXho1−Nar1断片を、pICBV11に、サブクローンして、pIC1694のプロレプリコン部分を含むバイナリーベクターを構築した。得られたクローンpICH4300(図11)は、重複するCRs間に、BGMVコートタンパク質プロモーターの制御下にあるGFP遺伝子とAI1/2/3遺伝子とを含む。pIC4300を、アグロバクテリウム株GV3101で形質転換した。アグロバクテリウム細胞を、100μMアセトシリンゴンを含むLB中で一夜生育させた。翌日、細菌をペレットとし、10mM MES、10mM MgSO4及び100μMアセトシリンゴンを含む溶液に、0.8のODで再懸濁した。再懸濁したアグロバクテリウム細胞を、タバコ(Nicotiana benthamiana)の葉に浸潤させた。接種2日後から2週間を超える時点まで、強いGFP蛍光が浸潤した領域に認められた。ジェミニウイルスレプリコンが形成されていることを確認するために、接種の3日後に浸潤領域からゲノムDNAを抽出し、サザンブロットにより分析した。未消化のDNAをGFPプローブで分析したところ、ニックを有する開環DNAと超コイルDNAが存在することが示されたが、BamHIにより線状化されたDNAは1つの移動断片をもたらした。線状化DNAのシグナルと既知の濃度のプラスミドのシグナルとの比較により、レプリコンが細胞当たり15〜30000コピー存在すると推定された。
【実施例11】
【0112】
この実施例では、レプリカーゼを欠くジェミニウイルスクローンが、輸送中にレプリカーゼを供給した場合、効率よく複製することを示す。
【0113】
プラスミドの説明
pICH4300から、crpr6(cgc aat tgc tcg agc ttt gag gtg gtg gca tat ttg)及びgfppr1(cgctgaacttgtggccgttcac)を用いて増幅したPCR産物を、Xho1 BamHI断片として、pICH4300のXho1 BamHI部位においてクローン化した。得られたクローンpICH5184は、pICH4300と類似しているが、pICH5184におけるプロレプリコン領域の外側にあるAL1の断片を欠いている。レプリカーゼを欠くGFPプロレプリコンは、pICH4300からcrpr9(cgg tca tga ttc tca agc aca gta tgg cat att tgt aaa tat gcg agt gtc)及びcrpr8(gc tct aga gac acg tgg agg cgt acg g)を用いて増幅したPCR産物を、pICH5184のBspHI及びXba1部位においてクローン化して構築した。プラスミドpICH5170(図11)は、pICH2821のXho1 Xba1断片(AI1/2/3 Orfs)を、pICBV16(アイコンジェネティックス(Ion Genetics)バイナリーベクター、Kan選択)においてクローン化して構築した。AI1/2/3 Orfsは、pICH5170における35Sプロモーターの制御下にある。pICH4300から、プライマーcrpr8(gc tct aga gac acg tgg agg cgt acg g)及びcrpr9(cgg tca tga ttc tca agc aca gta tgg cat att tgt aaa tat gcg agt gtc)を用いて増幅したPCR産物を、pICH4300のBspHI Xba1断片としてクローンした。得られたプラスミドpICH5203(図11)は、pICH4300と類似しているが、AI1/2/3 Orfsを欠いている。pICH4699は、pICH4300と類似しているが、GFPコード配列が、アンチセンス配向でLoxA−Gusコード配列−nosターミネーター−LoxMを含む配列により置換されていた。
【0114】
実験
pICH5203、pICH4699及びpICH5170を、アグロバクテリウム株GV3101に形質転換した。上記のように、タバコ(Nicotiana benthamiana)の葉に浸潤させた。pICH5203を単独、pICH4699又はpICH5170とともに浸潤させ、pICH4300を陽性対照として浸潤させた。4日後に浸潤領域からゲノムDNAを抽出し、共通領域プローブを用いて、サザンブロッティングにより分析した。pICH5203を単独で浸潤させたとき、複製は検出されなかった(図11、レーン1〜3)。pICH5203レプリコンは、高レベル(図11、レーン4〜6、断片b)で、pICH4699(構成的に複製する、増幅断片(a)を図11に示す)とともに同時に浸潤させた組織中で増幅した。それはまた、複製しないpICH5170とともに同時に浸潤させたときも効率よく複製した(図11、レーン7〜9)が、pICH4300を単独で浸潤させたとき(レーン10〜12)よりも低レベルであった(約5倍低い)。
【実施例12】
【0115】
この実施例では、組換えはストレプトミセスファージPhiC31インテグラーゼ系に依拠し、組換えはAttP部位とAttB部位との間に起こる。部位選択的形質転換は、アグロバクテリウム形質転換を用いて実施するが、他の伝達手段によっても実施できると思われる。
【0116】
プラスミドの説明
pICH6272(図12)は、pICBV10(選択のためのNosプロモーター−Nptllコード配列−Nosターミネーターを含むアイコンジェネティックス(Ion Genetics)バイナリーベクター)においてクローン化され、34Sプロモーター−AttB部位−Gusコード配列−Ocsターミネーター−AttB部位(逆方向)−GFPコード配列−Nosターミネーターからなっている。34Sプロモーターは、pICP1159(34Sプロモーター−多クローニング部位−マンノピンシンターゼターミネーターを含むクロラムフェニコールプラスミド)から、Xba BgI2断片としてクローンした。Gusコード配列−Ocsターミネーター配列ブロックは、pIC01からのSac1 Pst1として現れる。GFPコード配列−Nosターミネーターは、Pst1部位を欠失したpIC011由来クローンに由来する。AttB組換え部位(ccgcggtgcgggtgccagggcgtgcccttgggctccccgggcgcgtactccac)は、インビトロゲン(InVitrogen)から発注されるオリゴヌクレオチドから合成した。
【0117】
pICH7555(図12)は、pICBV10にクローンされた、シロイヌナズナアクチン2プロモーター−PhiC31インテグラーゼ−Nosターミネーター−BGMV共通領域−AttP部位−Barコード配列−Ocsターミネーター−35Sプロモーター−逆方向のAttP部位−BGMV共通領域からなっている。共通領域はpIC1694に、Bar−OcsターミネーターはpIC012に、35SプロモーターはpIC01に、アクチン2−PhiC31インテグラーゼ−NosターミネーターはpICP1010に由来する。AttP組換え部位(gtagtgccccaactggggtaacctttgagttctctcagttgggggcgta)を、インビトロゲン(InVitrogen)から発注されるオリゴヌクレオチドから合成した。
【0118】
実験
プラスミドpICH6272は、アグロバクテリウム形質転換によりタバコ(Nicotiana tabacam)において安定に形質転換された。トランスジェニック植物は、X−Glucで葉組織を染色して、Gus発現について検査した。部位選択的形質転換に用いるために、Gusを発現した2つの形質転換体を選択した。レプリコン上のAttP部位(pICH7555に由来)における、標的部位におけるAttB部位(pICH6272に由来)との組換えは、プロモーターのないBAR遺伝子(レプリコンに由来)を34Sプロモーターの制御下に置き、それにより、形質転換細胞にPTT耐性を付与すべきである。両形質転換体のリーフディスクにプラスミドpICH7555を運ぶアグロバクテリアを接種するか、或いはpICH7555及びpICH5170を含むアグロバクテリウム培養の混合物を接種した。PhiC31インタグラーゼの存在下では、レプリコン上の2つのAttP部位の部位特異的組換えが標的遺伝子座における2つのAttB部位のいずれか1つにおいて起こり得る。構成体pICH7555又はpICH7555由来のレプリコンの第1のAttP部位が標的遺伝子座における第1のAttB部位と組み換えるとき、pICH7555又はレプリコンのプロモーターのないBar遺伝子は標的部位における34Sプロモーターの制御下に置かれている。形質転換細胞の選択は、PPT含有培地上で行った。標的とする遺伝子が一過性に複製したとき(pICH7555及びpICH5170の一過性の発現)複製しなかったとき(pICH7555単独)よりも多くの組換え体が得られた。形質転換細胞をPCR及びサザンブロッティングにより分析して、部位選択的形質転換細胞であることを確認した。
【実施例13】
【0119】
この実施例では、標的部位及び標的とする遺伝子(プロレプリコン上に存在)を最初に別の植物体内で形質転換する。標的とする遺伝子の伝達は、ハイブリッド形成により実現する。
【0120】
プラスミドの説明
pICH6313(図12)は、pICH6272から得られる。BgI2 SpeI断片を、pICH6303(バイナリーベクターにおける内部リボソーム入口部位に連結されたAI1/2/3) Orfs)から、pICH6272のXba1 BamHI部位にサブクローンした。得られたプラスミドは、34Sプロモーターの制御下にあるGus及びAI1/2/3を含む。pICH6040(図12)は、pUC118における35Sプロモーター−AttB部位−Barコード配列−OcsターミネーターAttP部位−GFPコード配列−Nosターミネーターからなっている。35Sプロモーター配列はpIC01に、Bar−OcsターミネーターはpIC012に、GFP−NosターミネーターはpIC011に由来する。pICH6040は、トランスジェニック植物におけるPhiC31の発現を確認するために試験構成体としてデザインした。すなわち、PhiC31インテグラーゼの発現により、AttBとAttPとの分子内組換えが35SプロモーターへのGFPコード配列の融合及びGFPの発現をもたらす。
【0121】
実験
pICH7555、pICH6313及びpICH6272を、アグロバクテリウム形質転換を用いてタバコ(Nicotiana tabacum)に安定に形質転換させた。Gusを発現したpICH6313を、pICH7555形質転換体との交雑に用いるために選択した。これらの形質転換体は、IRESによりGusに連結されるとき、BGMVレプリカーゼも発現すると予想される。pICH7555形質転換体を、PCRにより、プロレプリコンの存在について確認し、試験構成体pICH6040による葉組織のボンバードメントにより、PhiC31の活性について確認した。pICH6313形質転換体を、雌としてpICH7555形質転換体と交雑させた。F1植物では、pICH6313からのAI1/2/3遺伝子の発現が、pICH7555導入遺伝子からのレプリコンの形成をもたらす。レプリコン分子と標的部位との組換えが34SプロモーターへのBAR遺伝子の融合をもたらす。同時に、Gusコード配列−IRES−AI1/2/3 OrfsのBarコード配列−Ocsターミネーター−35Sプロモーターによる置換が、レプリコンの複製の停止をもたらす。対照交雑(複製なし)では、pICH6272形質転換体を、雌としてpICH7555形質転換体と交雑させた。両タイプの交雑のF1植物を選択せずに生育させ、F2実生についてBasta選択を適用した。pICH6313との交雑によって、pICH6272との交雑よりも多くのBasta耐性植物が得られた。Basta耐性植物をPCR及びサザンブロッティング分析により検査して、標的部位組換え事象により得られたことを確認した。
【実施例14】
【0122】
この実施例では、部位選択的DNA組換えの成功を検出するためのアッセイとして、RNAウイルスプロベクター系を用いる。プロベクター系の別の断片上のLoxP部位における組換えが、増幅の能力のある機能的ウイルス転写物に転写されるDNA分子をもたらす。このアッセイを用いて、DNA配列の複製が非複製標的配列との部位特異的組換えの率を増加させることを示す。
【0123】
プラスミドの説明
pICH4371は、TVCV RNAウイルスに基づく5’プロベクターからなっている。pICH4371は、バイナリーベクターにおけるシロイヌナズナアクチン2プロモーター−TVCVポリメラーゼ−移動タンパク質の切断型−LoxP部位−Nosターミネーターを含む。pICH4461は、3’末端プロベクターからなる。それは、バイナリーベクター中にLoxP部位−GFPコード配列−ウイルス3’NTR−Nosターミネーターを含んでいる。pICH7311は、pICH4461のEcoRI−PstI断片(3’プロベクター断片を含む)を、EcoRI−PstIで消化したpICH6970(バイナリーベクターにおける2BGMV共通領域間のLoxA−Barコード配列−LoxM)においてクローン化して得た。pICH7311は、バイナリーベクターにおける2BGMV共通領域間のLoxP−GFPコード配列−TVCV3’NTR−Nosターミネーターからなっている(図13)。pICH1754は、pICBV10においてクローンされたシロイヌナズナアクチン2プロモーター−LoxP−creコード配列−LoxM−Ocsターミネーターからなっている。pIC1754は、ここではcre組換え酵素を供給するために用いる。
【0124】
実験
pICH4371、pICH7311、pICH5170及びpICH1754を、アグロバクテリウム株GV3101に形質転換させた。pICH4371を、タバコ(N.benthamiana)葉において、pICH7311、pICH1754とともに同時浸潤させた。この際、pICH5170(BGMVレプリカーゼ)を同時浸潤に用いた場合と、用いない場合とで行なった。pICH5170の浸潤により、pICH5170を用いない場合よりも多くのGFP区域が得られ(図13)、3’末端プロベクターの増幅によって、部位特異的組換えの増加をもたらすことが示唆される。陰性対照として、pICH7311をpICH5170とともに、又は単独で浸潤させた。いずれの場合にもGFP発現は検出されず、GFPは3’プロベクタークローンのみからは発現しないことがわかる。また、pICH4371を、pICH4461及びpICH1754とともに浸潤させた。pICH4371を、pICH7311及びpICH1754と同時浸潤させた場合と同じ数の組換えが認められた(示さず)。
【実施例15】
【0125】
この実施例では、非複製相同配列を用いるDNA配列の複製が相同的組換え率を増加させることを示す。非機能性RNAプロレプリコンを機能性に突然変異させることにより、増幅及びGFP発現葉細胞区域をもたらす、組換え事象が検出された。
【0126】
プラスミドの説明
プラスミドpICH7477(図14)は、pICH4351の3つの断片、すなわちKpnI SphI平滑断片、SphI平滑Xho1断片及びXho1 Kpn1断片を連結させて構築した。得られたクローンpICH7477は、Sph1部位で、TVCV RNA依存性RNAポリメラーゼ(Rdrp)Orfにフレームシフトを含み、したがって、非機能性プロレプリコンクローンである。TVCV Rdrp Orfの非突然変異断片を、pICH4351から、プライマーrdrppr3(ttt ccatgg att acc ctg tta tcc cta aag gca tct cgt cgc gtt tac)及びrdrppr4(ttt ctgcag gaa atg aaa ggc cgc gaa aca ag)を用いてPCR増幅し、pICH7423におけるNco1 Pst1断片としてクローンした(pICH7423は、コートタンパク質プロモーター領域からHind3 Nco1が除去されたpICH1694の誘導体である)。得られたクローンpICH7480(図14)は、ジェミニウイルスプロレプリコンにおけるI−SceI制限部位が片側に隣接するTVCVの非突然変異断片を含む。pICH7480のNco1 Pst1断片を、pICH6970のNco1及びPst1部位にサブクローンした。得られたクローンpICH7499(図13)は、pICH7480と類似しているが、レプリカーゼを欠いているため、自律的に複製することができない。しかし、レプリカーゼをトランスに供給されるとき、複製することができる。
【0127】
実験
プラスミドpICH4351は、RNAウイルスTVCVに基づくGFPを運ぶプロレプリコンである。pICH7477においては、TVCVのORFにおけるフレームシフトのためレプリコンを生産することができない。タバコ(Nicotiana benthamiana)植物に、プラスミドpICH7480を含むアグロバクテリウムを浸潤させた。非複製対照として、別の植物にpICH7499を、アグロバクテリウムを介して浸潤させた。1日後に、両植物にpICH7477及びpICH7500(35Sプロモーター−I−SceIエンドヌクレアーゼ−Nosターミネーター)を浸潤させた。pICH7500の発現は、I−SceI制限エンドヌクレアーゼとI−SceI制限部位におけるジェミニウイルスレプリコンの切断をもたらす。線状化断片のTVCV Orfの突然変異部分との相同的組換えは、機能性TVCVプロレプリコンの再生をもたらす。pICH7480を用いた方がpICH7499よりも多くのGFP発現区域が形成された。
【0128】
この実験の変形形態において、ジェミニウイルスレプリコンのレプリカーゼをトランスで一過性に発現させる。タバコ(Nicotiana benthamiana)植物に、pICH7480を単独で、又はpICH7480とpICH5170を浸潤させた。1日後に、すべての植物にpICH7477及びpICH7500を浸潤させた。pICH5170を接種した植物において、pICH7480単独を接種した植物よりも多くのGFP発現区域が得られた。
【0129】
他の実験において、pICH7477を安定にタバコ(N.benthamiana)に形質転換させた。形質転換体に、pICH7480又はpICH7499を浸潤させた。1日後に、同じ領域にpICH7500を浸潤させることにより、I−SceI制限エンドヌクレアーゼが伝達された。pICH7480を浸潤させた植物において、pICH7499を浸潤させた植物よりも多くのGFP発現区域が得られた。
【0130】
他の実験において、pICH7477トランスジェニック植物にpICH7499を単独又はpICH5170とともに浸潤させた。1日後に、同じ領域にpICH7500を浸潤させることにより、制限エンドヌクレアーゼが伝達された。pICH5170を浸潤させた植物において、pICH7499を浸潤させた植物よりも多くのGFP発現区域が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】植物細胞内の標的部位又は相同的組換えの頻度を増加させるための多くの可能な方法のうちの6つ(A〜F)を示す図である。Xは、ドナー分子又は目的配列である。Yは、アクセプター又は標的部位である。Zは、部位選択的又は相同的な組換えの頻度である。Wは、非相同的又は不規則な組込みの頻度である。大きい文字は、分子(X、酵素)、標的部位(Y)の数/濃度の増加及び組換え事象(Z、W)の頻度の増加を意味する。
【図2】ジェミニウイルスに基づくベクターの複製能力を試験するために設計された実験のスキームを示す図である。
【図3】一過性の発現実験において、複製及び非複製ベクターを用いて部位特異的組換えの効率を比較するためのスキームを示す図である。
【図4】目的のドナー配列(GFP)を含む複製及び非複製ベクターを用いてトランスジェニック植物細胞内の部位特異的組換えの効率を比較するためのスキームを示す図である。部位特異的Cre組換え酵素は、非複製ベクターから一過性に供給される。
【図5】目的のドナー配列(BAR)を含む複製及び非複製ベクターを用いてトランスジェニック植物細胞内の部位特異的組換えの効率を比較するためのスキームを示す図である。部位特異的Cre組換え酵素は、非複製ベクターから一過性に供給される。
【図6】目的のドナー配列(BAR)を含む複製及び非複製ベクターを用いてトランスジェニック植物細胞内の部位特異的組換えの効率を比較するためのスキームを示す図である。部位特異的Cre組換え酵素は、非複製ベクターからレプリカーゼとともに一過性に供給される。
【図7】目的のドナー配列(GFP)を含む、細胞間移動能を有する(複製及びBGMV Bゲノムの移動に起因)複製ベクター及び非複製ベクターを用いてトランスジェニック植物細胞内の部位特異的組換えの効率を比較するためのスキームを示す図である。部位特異的Cre組換え酵素は、複製又は非複製ベクターから一過性に供給される。
【図8】目的のドナー配列(GFP)を含む、細胞間移動能を有する(しかしBGMV Bゲノムは移動することができない)複製ベクター及び非複製ベクターを用いてトランスジェニック植物細胞内の部位特異的組換え事象の効率を比較するためのスキームを示す図である。部位特異的Cre組換え酵素は、複製又は非複製ベクターから一過性に供給される。
【図9】目的のドナー配列(GFP)を含む、細胞間移動能を保持している(複製及びBGMV Bゲノムの移動に起因)複製ベクター及び非複製ベクターを用いてトランスジェニック植物細胞内の部位特異的組換え事象の効率を比較するためのスキームを示す図である。部位特異的Cre組換え酵素は、トランスジェニック植物細胞により発現され、部位特異的組換えの結果としてスイッチオフされる。
【図10】ジェミニウイルスに基づく複製ベクターを用いた相同的組換えによる位置指定突然変異誘発の実験のスキームを示す図である。
【図11】トランスで供給されたレプリカーゼによるレプリコンの増幅を実証するために構成されたT−DNAに基づく構成体pICH5203、pICH4300、pICH4699及びpICH5170を示し、サザンブロット分析の結果を示す図である。
【図12】C31インテグラーゼ系を用いた部位特異的組込みのために設計されたT−DNAに基づく構成体pICH6272、pICH6313、pICH7555、pICH5170及びpICH6040を示す図である。
【図13】ジェミニウイルス媒介3’末端プロベクター増幅を用いた5’及び3’プロベクター間の部位特異的組換えの増加を実証するために用いた構成体pICH4371、pICH4461、pICH7311、pICH5170及びpICH1745を示す図である。また、部位特異的組換えの増加を示す浸潤性N.benthamiana葉の写真を示す。
【図14】組換え事象の検出系としてのプロベクターエレメントを用いた相同的組換えのために設計されたT−DNAに基づく構成体pICH7477、pICH7480、pICH7499、pICH5170及びpICH7500を示す図である。
【図15】補足図1は、実施例で用いたベクターを示す。
【図16】補足図2は、実施例で用いたベクターを示す。
【図17】補足図3は、実施例で用いたベクターを示す。
【図18】補足図4は、実施例で用いたベクターを示す。
【図19】補足図5は、実施例で用いたベクターを示す。
【図20】補足図6は、実施例で用いたベクターを示す。
【図21】補足図7は、実施例で用いたベクターを示す。
【図22】補足図8は、実施例で用いたベクターを示す。
【図23】補足図9は、実施例で用いたベクターを示す。
【図24】補足図10は、実施例で用いたベクターを示す。
【図25】補足図11は、実施例で用いたベクターを示す。
【図26】補足図12は、実施例で用いたベクターを示す。
【図27】補足図13は、実施例で用いたベクターを示す。
【図28】補足図14は、実施例で用いたベクターを示す。
【図29】補足図15は、実施例で用いたベクターを示す。
【図30】補足図16は、実施例で用いたベクターを示す。

Claims (37)

  1. 植物細胞の核ゲノム中に目的とするDNAの選択的な組込みをもたらす方法において、
    (i)植物細胞内で自律性の複製能を有する、増幅ベクター又はその前駆体であって、該ベクターが、
    (a)植物細胞内で機能する複製起点をコードするDNA配列(1個又は複数)と、
    (b)ベクターと宿主の核DNAとの間の部位特異的かつ/又は相同的な組換えに必要なDNA配列(1個又は複数)と、
    (c)任意に、さらに目的とするDNAと
    を含むものを、植物細胞に供給する工程と、
    (ii)任意に、ベクターの増幅及び/又は細胞間移動及び/又は部位特異的かつ/又は相同的な組換えを促進する条件を与える工程と、
    (iii)植物の核DNA中における予定部位で組換えを受けた細胞を選択する工程と
    を含む方法。
  2. 植物細胞の核ゲノム中に目的とするDNAの選択的組込みをもたらす方法であって、
    (i)植物細胞ゲノム中に組み込んだ際、部位特異的かつ/又は相同的な組換えのための標的部位をもたらす配列を含む第1のDNAで、植物細胞をトランスフェクション又は形質転換する工程と、
    (ii)その核ゲノム中に部位特異的かつ/又は相同的な組換えのための該標的部位を含む細胞を選択する工程と、
    (iii)該標的部位の組換えのための領域と目的とする第1の配列を含む第2のDNAで、該選択された細胞を、トランスフェクション又は形質転換する工程と、
    (iv)任意に、組換えのための酵素を供給する工程と、
    (v)標的部位に組み込まれた、第2のDNAからの目的配列を含む細胞を選択する工程とを含み、
    これらの工程により、植物細胞内で自律性の複製能を有し、植物細胞内で機能する複製起点をコードするDNA配列(1個又は複数)を含む増幅ベクター又はその前駆体により、該第1又は該第2のDNAの少なくとも1つが伝達される方法。
  3. 植物細胞内の前記増幅ベクターの複製が、一過性である請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記増幅ベクターが、相同的組換えに必要なDNA(1個又は複数)を含む請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
  5. 植物細胞への増幅ベクター又はその前駆体の前記供給、或いは前記トランスフェクション又は形質転換が、アグロバクテリウム媒介伝達により行われる請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
  6. 植物細胞への増幅ベクター又はその前駆体の前記供給、或いは前記トランスフェクション又は形質転換が、ウイルスによる直接トランスフェクションにより行われる請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
  7. 植物細胞への増幅ベクター又はその前駆体の前記供給、或いは前記トランスフェクション又は形質転換が、非生物学的伝達により行われる請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
  8. 植物細胞への増幅ベクター又はその前駆体の前記供給、或いは前記トランスフェクション又は形質転換が、植物の核DNA中に予め組み込まれたベクター又はプロベクターDNAの変換で、自律的に複製するプラスミドを形成することにより行われる請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
  9. 前記増幅ベクターが、2つの複製起点を有するその前駆体から放出される請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
  10. 前記増幅ベクターが、DNAウイルス由来のベクターである請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
  11. 前記増幅ベクターが、RNAウイルス由来ベクターのDNAコピー又は複製中間体である請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
  12. 前記増幅ベクターが、レトロトランスポゾン起源である請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記増幅ベクターが、逆転写、宿主感染力、細胞間及び/又は全身性の移動、宿主染色体への組込み、ウイルス粒子構築、宿主による発現抑制の制御、宿主の生理機能の制御のための機能を含む、他のウイルス機能をさらに有する請求項10から12の何れか一項に記載の方法。
  14. 植物細胞内で機能する前記複製起点が、植物の核ゲノムに由来する請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
  15. 植物細胞内で機能する前記複製起点が、リボソームDNAの遺伝子間スペーサー領域に由来する請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
  16. 植物細胞内で機能する前記複製起点が、合成物である請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
  17. 前記複製起点が、植物ウイルスに由来する請求項1から13の何れか一項に記載の方法。
  18. 前記相同的又は部位特異的な組換えが、片側性である請求項1から17の何れか一項に記載の方法。
  19. 前記相同的又は部位特異的な組換えが、両側性である請求項1から17の何れか一項に記載の方法。
  20. 前記部位特異的組換えが、部位特異的組換え酵素、制限酵素、インテグラーゼ、リゾルベースの群から選択される組換え酵素により促進又は助長される請求項1から19の何れか一項に記載の方法。
  21. 前記相同的組換えが、RecA様タンパク質、HOタイプの希少切断エンドヌクレアーゼ、I−Scelエンドヌクレアーゼの群から選択される組換え酵素により促進又は助長される請求項1から19の何れか一項に記載の方法。
  22. 前記増幅ベクターが、組換えのプロセスにおいて構築される請求項1から21の何れか一項に記載の方法。
  23. 前記第1のDNAが、工程(ii)の選択のための選択マーカーを含む請求項2から22の何れか一項に記載の方法。
  24. 前記第1のDNAが、目的とする第2の配列をさらに含む請求項2から23の何れか一項に記載の方法。
  25. 前記第1及び前記第2のDNAの組換えが、機能的な配列を設置する請求項2から24の何れか一項に記載の方法。
  26. 前記第1及び前記第2のDNAのそれぞれが、前記組換えの結果として選択マーカーを形成する、選択マーカー断片をさらに含む請求項2から25の何れか一項に記載の方法。
  27. 前記第2のDNAが、増幅ベクター又はその前駆体により伝達される請求項2から26の何れか一項に記載の方法。
  28. 工程(i)及び(ii)で植物に導入された配列の機能が、工程(iii)から(v)までに破壊される請求項2から27の何れか一項に記載の方法。
  29. 非相同的組換えに関与する遺伝子の発現が阻害又は抑制される請求項1から28の何れか一項に記載の方法。
  30. 組換えの最終結果が、位置指定突然変異である請求項1から29の何れか一項に記載の方法。
  31. 請求項1から30の何れか一項の方法を、1回又は複数回実施することにより得られる、又は得られえる植物細胞、種子及び植物体。
  32. 請求項2の工程(i)及び(ii)の方法を、任意に、請求項23から28の何れか一項の方法に関連して、1回又は複数回実施することにより得られる、又は得られえる植物細胞、種子及び植物体。
  33. 請求項1から30の何れか一項に記載の方法を実施するためのベクター又はプロベクター。
  34. 請求項33に記載のベクター又はプロベクターを含むアグロバクテリウム細胞。
  35. 請求項33に記載のベクター又はプロベクターを含むパッケージされたウイルス粒子。
  36. (i)請求項32に記載の植物細胞、種子及び植物体、並びに
    (ii)請求項33に記載のベクター又はプロベクター及び/又は請求項34に記載のアグロバクテリウム細胞及び/又は請求項35に記載のウイルス粒子
    を、構成部材として含むキット。
  37. 請求項2の工程(i)及び(ii)を実施するためのベクター又はプロベクター、並びに請求項2の工程(iii)及び(iv)を実施するためのベクターを、構成部材として含むキット。
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