JP2004523243A - 非同期性塩基伸長によってポリヌクレオチド配列を分析するための方法および装置 - Google Patents
非同期性塩基伸長によってポリヌクレオチド配列を分析するための方法および装置 Download PDFInfo
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Abstract
本発明は、非同期塩基伸長によりポリヌクレオチド配列を分析するための方法および装置を提供する。本発明のいくつかの適用は、一分子分解能でポリヌクレオチド分子を画像化するために全反射照明蛍光顕微鏡を利用する。1つの局面において、本発明は、以下の工程:(a)基材表面に固定化された、処理された(primed)標的ポリヌクレオチドを提供する工程;(b)相補ヌクレオチドが、標的ポリヌクレオチドにおけるテンプレートとして作用するように存在する場合、ポリメラーゼの存在下、第1の蛍光標識されたヌクレオチドがプライマーに付着する条件下で、その第1の蛍光標識されたヌクレオチドを基材表面に加える工程;(c)標的ポリヌクレオチドが固定化された表面上の蛍光シグナルの存在または非存在を決定する工程;および(d)さらなる蛍光標識されたヌクレオチドを用いて、工程(b)〜工程(c)を繰り返す工程を包含する。
Description
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本発明は、高感度かつ高平行度でポリヌクレオチド配列を分析するための新規の方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
仮出願ではない本特許出願は、米国仮特許出願60/275,232(2001年3月12日出願)の利益を主張する。この米国仮特許出願60/275,232の開示は、本明細書によりその全てにおいて、そして全ての目的のために参考として援用される。
【0003】
(発明の背景)
ポリヌクレオチド配列を分析するための方法は、2つの主要な分野に分類され得る:電気泳動法および非電気泳動法。この電気泳動法としては、スラブゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、微細加工キャピラリーアレイ、および自由溶液(free solution)電気泳動が挙げられる。これらの方法全てが、ポリヌクレオチド鎖伸長インヒビターがポリヌクレオチド鎖中に組み込まれ、次いで、それらのポリヌクレオチド鎖は、通常ポリアクリルアミドゲルにおいてそれらのサイズに従って分離される、サンガー法を頼っている。これらの方法は、今日、ポリヌクレオチド配列を分析するための一般的な方法である。しかし、このプロセスは、時間がかかり、大量の標的ポリヌクレオチドおよび反応試薬を必要とし、そしてゲル電気泳動法に固有の長い配列を読む能力に制限がある。非電気泳動法としては、パイロシーケンシング法、ハイブリダイゼーションによる配列決定法、大量のパラレルサイン(parallel signature)配列決定法、および質量分析法による配列決定法が挙げられる。これらの方法はまた、多くの不都合を有する。例えば、これらは、通常、ポリヌクレオチドテンプレートの同期化を必要とし、この同期化は、必然的に配列決定反応の各サイクルにより減衰する。
【0004】
従って、当該分野において、ポリヌクレオチド配列を分析するためのより良い方法(例えば、高処理能力、高平行度、および高分解能を有する方法)が必要とされる。本発明は、この必要性および他の必要性を満たす。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、標的ポリヌクレオチドの配列を分析するための方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:(a)基材表面に固定化された、処理された(primed)標的ポリヌクレオチドを提供する工程;ここで、この標的ポリヌクレオチドは、一分子分解能によりその基材表面に付着される;(b)相補ヌクレオチドが、標的ポリヌクレオチドにおけるテンプレートとして作用するように存在する場合、ポリメラーゼの存在下、第1の蛍光標識されたヌクレオチドがプライマーに付着する条件下で、その第1の蛍光標識されたヌクレオチドを基材表面に加える工程;(c)標的ポリヌクレオチドが固定化された表面上の蛍光シグナルの存在または非存在を決定する工程であって、そのシグナルの存在は、第1のヌクレオチドがプライマー中に組み込まれたこと、それゆえに標的ポリヌクレオチドにおけるテンプレートとして作用する相補塩基の同一性を示唆する、工程;および(d)さらなる蛍光標識されたヌクレオチド(第1のヌクレオチドと同じかまたは異なる)を用いて、工程(b)〜工程(c)を繰り返す工程であって、これによって、そのさらなるヌクレオチドが、そのプライマーまたは以前にプライマー中に組み込まれたヌクレオチドに付着する工程。
【0006】
いくつかの方法において、複数の異なる処理された(primed)標的ポリヌクレオチドが、基材の異なる部分に固定化される。いくつかの方法において、工程(b)〜工程(c)は、4つの異なる型の標識ヌクレオチドを用いて少なくとも4回実施される。いくつかの方法において、工程(b)〜工程(c)を、標的ポリヌクレオチドの各塩基の同一性が同定されるまで実施される。いくつかの方法において、工程(c)の後、シグナルを除去するさらなる工程が存在する。いくつかの方法において、全ての成分が同時に存在し、そして組み込みの継続的(continues)観察が亢進される。
【0007】
本発明のいくつかの方法において、蛍光シグナルの存在または非存在は、全反射蛍光(TIRF)顕微鏡を用いて決定される。いくつかの方法において、標的ポリヌクレオチドは、蛍光標識されたプライマーによって(例えば、Cy5またはCy3によって)処理される。本発明のいくつかの方法は、Cy3またはCy5によって標識されたヌクレオチドを用いる。
【0008】
種々の材料が、標的ポリヌクレオチドを固定化するために使用され得る。いくつかの方法において、融解シリカまたはスライドガラスが使用される。いくつかの方法において、その基材表面は、高分子電解質多層(PEM)でコートされる。このPEMは、ポリアニオンにより末端処理され得、このポリアニオンは、その表面にヌクレオチドを寄せつけず、そして表面への非特異的結合を減少させるのを補助する。このポリアニオンは、ペンダントカルボン酸基を保持し得る。これらの方法のいくつかにおいて、標的ポリヌクレオチドはビオチン化され、そして基材表面は、ストレプトアビジンによってコートされる。しばしば、その表面は、ストレプトアビジンでコートする前にビオチンでコートされる。いくつかの方法において、その表面は、ビオチンの付着前に、カルボン酸基で末端処理された高分子電解質多層(PEM)でコートされる。
【0009】
本発明のいくつかの方法において、上記基材の表面を照射するための光源および上記表面からのシグナルを検出するための検出システムが使用される。必要に応じて、適切にプログラムされたコンピューターがまた、ヌクレオチドが固定化プライマー中に組み込まれるようになる場合、そのヌクレオチドの同一性を記録するために使用される。
【0010】
別の局面において、本発明は、本発明の方法を実施するための装置を提供する。代表的に、この装置は、以下を含む:(a)一分子分解能を用いて標的ポリヌクレオチドを固定化するための基材を収容するフローセル(flow cell)と;(b)フローセル中およびフローセルを介して流体が流動するための、フローセルと流体連絡した入口および出口;(c)その基材表面を照射するための光源;および(d)上記表面からのシグナルを検出するための検出システム。この装置のいくつかは、微細加工されている。これらの装置のいくつかにおいて、基材は、微細加工された合成チャネルである。
【0011】
本発明の本質および利益のさらなる理解は、明細書の残りの部分、図面および特許請求の範囲を参照することによって理解され得る。
【0012】
本明細書中に引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、本明細書中に、その全てが参考として、各々が個々に示されるのと同じ範囲で全ての目的のために、明白に援用されている。
【0013】
(詳細な説明)
(I.概論)
本発明は、高感度で、並行して、かつ長い読み取り枠で、ポリヌクレオチドを分析するための方法および装置を提供する。本発明は、一分子分解能を用いて、時間分離様式で、固定化されたポリヌクレオチドテンプレート分子への標識されたヌクレオチドの組み込みの可視化することに一部基づく。各々の固定化テンプレート分子が、個々に読み取られるので、異なる分子間での同期化は、必要とされない。その代わり、本発明の方法を用いると、標的ポリヌクレオチド配列の分析のためには、非同時性の塩基の伸長で十分である。
【0014】
本発明のいくつかの局面において、一分子分解能は、基材の表面に非常に低濃度のテンプレート分子を固定化する工程、この表面をコーティングして、テンプレート付着を容易にし、かつバックグラウンドノイズを低減する表面化学物質を作製する工程、ならびに全反射蛍光顕微鏡法を用いてヌクレオチド組み込みを画像化する工程によって達成された。一分子分解能を用いた分析は、異なる分子の個々の特性をモニタリングするという利点を提供する。このことは、多数の分子が一緒に測定されるバルク測定では明らかにされ得ない個々の分子の特性の同定を可能にする。さらに、速度論を決定するために、バルク測定は分子またはシステムの状態の同期化を必要とするが、一方で、単分子分析においては、同期化の必要がない。
【0015】
本発明を用いた分析に適するポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAであり得る。この分析は、配列分析、DNAフィンガープリンティング、多型同定、または遺伝子発現測定のためのものであり得る。この方法はまた、他の生体高分子の活性(例えば、RNA翻訳およびタンパク質アセンブリ)を分析するために用いられ得る。好ましい実施形態において、この方法は、固体基材(例えば、スライドガラス)の表面へのプライミングされたポリヌクレオチドテンプレートの固定化を必要とする。このテンプレートは、(例えば、蛍光色素を用いて)標識されたプライマーに予めハイブリダイズされて、その結果、その表面上のこれらの位置は、単分子感度で画像化され得るようにされる。一過性のライトフィールド(evanescent light field)が、この蛍光標識されたポリヌクレオチド分子を画像化するために、この表面に設定される。この一過性のフィールドはまた、ポリメラーゼの存在下での固定化されたプライマーへの蛍光標識されたヌクレオチド三リン酸(dNTPまたはNTP)の組み込みの際に、それらを画像化するために用いられ得る。
【0016】
本発明の方法は、ポリヌクレオチド配列分析における種々の適用を見出す。いくつかの適用において、静的アプローチが使用される。そのようなアプローチは、任意の所定の時間に、1つの型のみの標識されたヌクレオチドを伸長反応に添加する工程を含む。標的ポリヌクレオチド中の次のテンプレート残基が相補的な型である場合、このシグナルは、このプライマー中に組み込まれる。そうでなければ、異なる型の標識されたヌクレオチドが、正しい残基が組み込まれるまで用いられ得る。他の適用において、動的アプローチが、使用される。これらの方法において、4つ全ての型のヌクレオチド(少なくとも1つの型が、標識されている)が、この反応中に同時に存在し、そしてこのプライマーへのこのシグナルの組み込みが、動的にモニターされる。例えば、組み込まれたシグナルは(好ましくはこのプライマーにこのヌクレオチドが組み込まれる速度より速い速度で)、連続的に画像化される。
【0017】
好ましくは、このテンプレートまたは組み込まれたヌクレオチドの可視化は、全反射(TIR)蛍光顕微鏡法を用いて認識される。TIR技術を用いて、この励起光(例えば、レーザービーム)は、この基材に近接する小体積の液体(励起ゾーン)のみを照らす。励起ゾーンに存在しない溶液中の遊離のヌクレオチドからのシグナルは、検出されない。遊離のヌクレオチドが、この励起ゾーンを迅速に移動するので、励起ゾーンに拡散する遊離のヌクレオチドからのシグナルは、広いバンドのバックグラウンドとして現れる。必要に応じて、この蛍光シグナルは、1回以上の組み込みの後で、フォトブリーチング(photobleaching)または化学的手段によって除去される。この方法はまた、ミクロ流体手段を用いて反応試薬の流れを制御し得る。そのような方法において、標識されたヌクレオチドおよび他の反応試薬は、迅速かつ経済的な方法で交換され得る。
【0018】
さらに、迅速な流体交換を可能にするミクロ流体デバイスを用いると、ヌクレオチチドおよび/または他の反応試薬の濃度は、この分析の異なる時点で交替(alternate)し得る。このことは、組み込み速度およびこの分析の感度を増加させ得る。例えば、ヌクレオチドの動的な組み込みをモニターするためにこの反応において4つ全ての型が同時に存在する場合、これらのヌクレオチドの濃度は、μMの範囲とnM未満のヌクレオチド範囲との間で変化し得る。このことは、低濃度ヌクレオチドが存在する場合でのこのシグナルのより良好な可視化、およびより高い濃度のヌクレオチドが存在する場合での増加した重合速度の両方を導く。ミクロ流体デバイスを用いると、濃度が交替され得る速度は、20〜30ヘルツ程度の速さであり得る。ヌクレオチドの濃度を交替させることはまた、静的配列分析アプローチにおけるシグナルの可視化および重合速度を改善することに対しても有益である。このアプローチにおいて、固定化されたテンプレート/プライマー複合体に所定の型の標識されたヌクレオチドを添加しそして組み込みのための十分な時間の後で、遊離のヌクレオチド(および溶液中の他の反応試薬)は、ミクロ流体デバイスを用いて流れ出され得る。このことは、このシグナルが可視化されるときに、かなりより低濃度の遊離のヌクレオチドを残す。必要に応じて、このシグナルが画像化される前に、さらなる洗浄工程が、使用されて、この遊離のヌクレオチド濃度をさらに減少させ得る。
【0019】
いくつかの方法において、この4種類のヌクレオチド三リン酸に対して4種類の異なる蛍光標識を用いて、ポリヌクレオチド配列分析が達成される。組み込まれたシグナルが画像化され、次いで次の組み込みサイクルの前にフォトブリーチングされる。一続きの同一の塩基(例えば、AAAAA)は、例えば、放射スポットでのフルオロフォアの数が決定され得るようにシグナルの強度をモニタリングすることによって同定され得る。さらに、2つの異なる型の蛍光色素が、同じDNAに組み込まれる場合、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に起因するシグナルが、個々のDNA鎖から検出され得る。そのようなシグナルは、固定化されたテンプレートポリヌクレオチドの配列情報を決定するために有用である。
【0020】
従って、いくつかの方法において、複数の型の標識されたヌクレオチド(例えば、各々異なる蛍光色素で標識された2〜4つの型)が、伸長反応の間、同時に添加され得る。いくつかの方法において、1つの型の標識されたヌクレオチドが、一つの工程で添加され、そして各々の伸長サイクルが、相補的ヌクレオチドの組み込みを観察するために、4つのそのような工程を包含し得る。いくつかの方法において、4つ全てに満たないdNTPが、標識される。例えば、この分析は、そのヌクレオチドのうちの2種類のみを標識し得る。異なる対(例えば、AT、AG、AC,TG、TC,GC)を用いてこの実験を繰り返すことによって、元のヌクレオチド配列が、表され得る。いくつかの方法において、この組み込み/伸長反応は、複数コピーのテンプレートポリヌクレオチドを用いて実施され得る。あるいは、1つの固定化されたテンプレート分子が、この伸長された分子を変性させること、新しく合成された鎖を除去すること、新しいプライマーをアニーリングすること、次いで、新しい試薬を用いて、この実験をインサイチュで繰り返すことによって、繰り返し用いられ得る。
【0021】
本発明はまた、例えば、2種類または3種類の標識されたヌクレオチド種のみを用いることによって、標的ポリヌクレオチドの部分配列情報を得るためにも有用である。既知の配列データベースと組み合わせた、この配列中での2種類または3種類のヌクレオチド種の相対位置は、この標的配列の正体の決定(すなわち、その標識配列が、既知の配列と同一であるかまたは関連するか否か)を容易にし得る。そのようなアプローチは、例えば、cDNAライブラリの配列決定による遺伝子発現の決定において有用である。
【0022】
本発明の方法は、先行技術の配列決定法で観察された問題の多くを回避する。例えば、
多くの分子が、同時にかつ高密度(例えば、約10μm2の表面積あたり1分子のテンプレート分子)で分析されるので、この方法は、高度に並行している。従って、多くの異なるポリヌクレオチドが、単一の基材表面上で、同時に配列決定または遺伝子型決定され得る。さらに、4種類全てのヌクレオチドが同時に添加され得るので、いくつかの方法においては、ヌクレオチドの段階的な添加が必要でない。むしろ、ポリメラーゼが4種類全てのヌクレオチドを成長するポリヌクレオチド鎖を組み込むのにつれて、配列情報が、連続的に作成され得る。単一コピーのテンプレート分子のみから得られた情報がその配列を決定するために必要とされるので、この方法はまた、非常に高感度である。このポリヌクレオチドテンプレートからのこの伸長産物の放出(例えば、このテンプレートを変性し、そして異なるプライマーとアニーリングすることによる)は、異なるセットのヌクレオチドを有する同じテンプレート分子(例えば、2つの型の標識されたヌクレオチドおよび2つの型の標識されていないヌクレオチドの異なる組み合わせ)を再び読み取る機会を与える。
【0023】
(II.定義)
他に規定されない限り、本明細書中に使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。以下の参考文献は、当業者に、本発明において用いられる用語の多くの一般的な定義を提供する:Singletonら、DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY(第2版、1994);THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY(Walkerら編、1988);ならびにHaleおよびMarham、THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY(1991)。本明細書中に記載される方法および物質に類似するかまたはこれらと等価である任意の方法および物質が、本発明の実施または試験において用いられ得るが、好ましい方法および物質が記載される。以下の定義は、本発明の実施において読者を補助するために提供される。
【0024】
「アレイ」とは、標的ポリヌクレオチドまたはそれに結合されたポリメラーゼのいずれかを有する1より多くの部位または位置を有する固体支持体をいう。
【0025】
「塩基」または「塩基型」とは、特定の型のヌクレオチド塩基をいう。代表的な塩基としては、アデニン塩基、シトシン塩基、グアニン塩基、ウラシル塩基、またはチミン塩基が挙げられ、ここでその型とは、異なる塩基を有するヌクレオチド三リン酸の集団内に、その塩基を有するヌクレオチドの部分集団をいう。より珍しい他の塩基またはアナログ(例えば、キサンチンまたはヒポキサンチンまたはメチル化シトシン)が置換され得る。
【0026】
配列決定または遺伝子型決定の文脈において、「配列決定される領域の下流の標的核酸の領域を補う」とは、このプライマーがポリメラーゼにより3’方向に伸長されているという事実をいう。従って、このプライマーは、標的配列に対して3’(下流)側標的の部分配列に結合し、この標的配列は、このプライマーの3’末端が伸長されるにつれて決定される。
【0027】
「遺伝子型決定」とは、ポリヌクレオチド全体の配列の内容を必ずしも決定せずに、標的ポリヌクレオチドの対立遺伝子内容を決定することである。これは、配列決定のサブセットである。例えば、2つの既知の形態の対立遺伝子間の単一の塩基の差異の決定による一ヌクレオチド多型性の同定は、配列決定の形態であり、配列決定される標的ポリヌクレオチド全てが配列決定されることを必要としない。
【0028】
「固定化する」とは、反応溶液への標的核酸またはポリメラーゼの放出を防ぐ手段による、固体支持体への標的核酸またはポリメラーゼの付着をいう。この手段は、共有結合またはイオン結合または疎水結合であり得る。
【0029】
「ヌクレオシド」は、天然のヌクレオシド(リボヌクレオシドおよび2’−デオキシヌクレオシドを含む)ならびに改変された塩基または糖の骨格を有するヌクレオチドアナログを包含する。
【0030】
用語「核酸」または「核酸分子」とは、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチドポリマーまたはリボヌクレオチドポリマーをいい、他のように限定されない限り、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で機能し得る、天然ヌクレオチドの公知のアナログを包含し得る。他に示されない限り、「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、互換的に用いられる。
【0031】
「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」とは、複数のデオキシリボヌクレオチドサブユニットまたはヌクレオチドサブユニットから構成される分子をいう。これらのヌクレオシドサブユニット間の連結は、ホスフェート、ホスホネート、ホスホロアミデート、ホスホロチオエートなどによってか、または当該分野において公知であるような非リン酸基(例えば、ペプチド核酸(PNA)において利用されるペプチド型連結)によって提供され得る。この連結基は、キラルまたはアキラルであり得る。これらのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、2ヌクレオシドサブユニット長から数百〜数千ヌクレオシドサブユニット長の範囲であり得る。オリゴヌクレオチドは、好ましくは、5〜100サブユニット長(より好ましくは5〜60サブユニット長)であるが、ポリヌクレオチドの長さは、より長くあり得る(例えば、100kbまで)(染色体全体が標的化される場合、100kbが、もはや良好であると考えること)[「例えば」とは、排他的でないことを意味する。また、「100Mb」は、恐らく実用的意味をなさない)。
【0032】
「光学読取り装置」または「検出システム」とは、標識されたdNTP(またはNTP)または固定化されたポリヌクレオチドテンプレート(および/またはプライマー)分子から放出される光を検出および記録し得るデバイスをいう。
【0033】
用語「プライマー」とは、精製された制限消化物の場合のように天然に存在するかまたは合成により作製されるに関らず、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下(すなわち、ヌクレオチドおよび誘導因子(例えば、DNAポリメラーゼ)の存在ならびに適切な温度、緩衝液、およびpH)に置かれた場合、合成の開始位置として作用し得るオリゴヌクレオチドをいう。このプライマーは、好ましくは、最大増幅効率のためには、一本鎖であるが、代替的に、二本鎖でもあり得る。二本鎖の場合、このプライマーは、伸長産物を調製するために用いられる前に、最初にその鎖を分離するように処理される。好ましくは、このプライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。このプライマーは、その誘導因子の存在下で伸長産物の合成を開始するのに十分な長さでなくてはならない。このプライマーの正確な長さは、温度、プライマーの供給源、およびこの方法の使用を含む、多くの要素に基づく。
【0034】
プライマーは、このテンプレートの特定の配列の鎖に「実質的に」相補的であるように選択される。プライマーは、プライマー伸長が生じるためにテンプレート鎖とハイブリダイズするのに十分に相補的でなくてはならない。プライマー配列は、テンプレートの正確な配列を反映する必要はない。例えば、このプライマー配列の残りが、この鎖と実質的に相補的である場合、非相補的ヌクレオチドフラグメントが、このプライマーの5’末端に付着され得る。非相補的な塩基またはより長い配列が、このプライマー中に散在し得、ただしこのプライマー配列は、このテンプレートの配列に対してハイブリダイズし、このプライマーの伸長産物の合成のためのテンプレートプライマー複合体を形成するのに十分な相補性を有する。ランダムプライマーの使用は、いくつかの場合において用いられ得る。例えば、この標的ポリヌクレオチドまたはテンプレートポリヌクレオチドの末端配列が未知の場合、ランダムプライマーの組み合わせが用いられ得る。
【0035】
用語「プローブ」とは、精製された制限消化物の場合のように天然に存在するか、または合成によってか、組換えによってか、もしくはPCR増幅によって作製されるかに関らず、別の目的のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得る、オリゴヌクレオチド(すなわち、一続きのヌクレオチド)をいう。プローブは、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得る。プローブは、特定の遺伝子配列の検出、同定、および単離に有用である。本発明において用いられる任意のプローブが、任意の「レポーター」分子を用いて標識され得、その結果、任意の検出システム(蛍光システム、酵素システム(例えば、ELISA、および酵素ベースの組織化学アッセイ)、放射性システム、量子ドットシステム、および発光システムが挙げられるが、これらに限定されない)において検出可能であることが企図される。本発明は、いかなる特定の検出システムまたは標識にも限定されることは、意図されない。
【0036】
「配列決定」とは、ポリヌクレオチド分子中の塩基の順序および位置の決定をいう。
【0037】
「一分子配置」とは、固体支持体上の分子のアレイをいい、ここでこのアレイのメンバーは、規定された位置に位置する個々の分子として存在する。このメンバーは、同じであっても異なってもよい。
【0038】
「一分子分解能」とは、このシステムが、1つの分子を別の分子から分解する能力をいう。例えば、遠視野(far field)光学的システムにおいて、この検出限界は、ほぼミリオンである。このことは、分解される2つの同一の分子の間の距離が、少なくとも2〜3ミクロン離れていることを意味する。
【0039】
「特異的ハイブリダイゼーション」とは、ストリンジェントな条件下での特定のヌクレオチド配列のみへの、ある分子の結合、二重鎖形成、またはハイブリダイゼーションをいう。ストリンジェントな条件とは、プローブが、その標的配列にハイブリダイズし得るが、他の配列に特異的にハイブリダイズし得ない条件である。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、そして異なる環境において、異なる。より長い配列は、一般的に、より高い温度でハイブリダイズする。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHでの、特定の配列についての熱融点(Tm)より約5℃低いように、選択される。このTmは、平衡状態で、標的配列に相補的なプローブのうちの50%が標的配列にハイブリダイズする(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度下の)温度である。代表的に、ストリンジェントな条件としては、pH7.0〜8.3で、少なくとも約0.01〜0.1MのNaイオン濃度(または他の塩)の塩濃度が挙げられ、そしてその温度は、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)については、少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件はまた、不安定化因子(例えば、ホルムアミドまたはテトラアルキルアンモニウム塩)の添加を用いて達成され得る。例えば、5× SSPE(750mM NaCl、50mM リン酸Na、5mM EDTA、pH7.4)および25〜30℃の温度の条件が、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーションに適する。(Sambrookら、Molecular Cloning 2001を参照のこと)。
【0040】
用語「テンプレート」または「標的」とは、その配列が分析されるポリヌクレオチドをいう。いくつかの場合において、「テンプレート」とは、他のポリヌクレオチド配列とは分別されることが要求される。「実質的に一本鎖のテンプレート」とは、完全に一本鎖である(二本鎖領域を全く有さない)か、または比較的小さい領域の二本鎖ポリヌクレオチド(例えば、ハイブリダイズされたプライマーによって規定された領域または分子内結合によって規定された領域)を除いて一本鎖であるかのいずれかの、ポリヌクレオチドである。「実質的に二本鎖のテンプレート」とは、完全に二本鎖である(一本鎖領域を全く有さない)か、または比較的小さい領域の一本鎖ポリヌクレオチドを除いて二本鎖であるかのいずれかの、ポリヌクレオチドである。
【0041】
(III.テンプレートの調製および固定化)
(A.導入)
本発明は、ポリヌクレオチド配列を分析するための(例えば、配列決定および遺伝子型決定のための)新規方法および新規装置を提供する。好ましくは、分析される標的ポリヌクレオチドまたはテンプレートポリヌクレオチドは、一分子分解能において、固体基材(例えば、石英スライド)の表面に固定化される。好ましくは、このポリヌクレオチドは、標識されたプライマーに予めハイブリダイズされている。次いで、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼ、4つの異なる型のヌクレオチド三リン酸(NTPまたはdNTP(用いられるテンプレートおよびポリメラーゼに依存する))および他の反応試薬が、固定化されたポリヌクレオチドに適用される。そのヌクレオチドの少なくとも1つの型が、蛍光標識されている。1より多くの型のNTPが標識される場合、好ましくは、この標識は、異なるNTPについて異なる。TIR蛍光顕微鏡法を用いて、標的ポリヌクレオチドまたはテンプレートポリヌクレオチドへの標識されたヌクレオチドの組み込みは、固定化されたポリヌクレオチドからの蛍光シグナルを、一分子分解能で画像化することによって検出される。好ましくは、4つ全ての型の標識NTPが、同時に存在する。ポリメラーゼが、この標的ポリヌクレオチドにそって移動を続けるので、このポリヌクレオチド配列は、組み込まれた標識の順序から読み取られる。
【0042】
(B.標的ポリヌクレオチドまたはテンプレートポリヌクレオチド)
標的ポリヌクレオチドは重要でなく、そして種々の標準的な供給源に由来し得る。これはmRNA、リボソームRNA、ゲノムDNAまたはcDNAであり得る。これらは、天然に存在するヌクレオチドおよび天然に存在しないヌクレオチドを含み得る。本発明に従う分析に適切なテンプレートは、種々の大きさを有し得る。たとえば、テンプレートは、100bp、200bp、500bp、1kb、3kb、10kbまたは20kbなどの長さを有し得る。標的が生物学的供給源に由来する場合、ポリヌクレオチドを抽出するため、および遺伝子型特定または配列研究のために都合よい濃度に必要に応じて増幅させるための種々の公知の手段が存在する。ポリヌクレオチドは、ヒト(person)、動物または植物の任意の生細胞から得られ得る。ヒト、病原微生物およびウイルスは、特に目的の供給原である。
【0043】
ポリヌクレオチドの増幅方法は、当該分野で公知である。好ましくは、増幅はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行なわれる。米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号および同第4,889,818号;Gyllensteinら、1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:7652−7656;Ochmanら、1988,Genetics 120:621−623;Lohら、1989,Science 243:217−220;Innisら、1990,PCR Protocols,Academic Press,Inc.,San Diego,Califを参照のこと。本発明において使用され得る当該分野で公知の他の増幅方法は、リガーゼ連鎖反応(EP320,308)またはKrickaら、1995,Molecular Probing,Blotting,and Sequencing,Chap.1およびTable IX,Academic Press,New Yorkに開示される方法を含み得る。
【0044】
(C.プライマーアニーリング)
ポリメラーゼと組み合わせてプライマーを使用して、標的ポリヌクレオチドを配列決定する。プライマーの長さは、相補的なテンプレートポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションを提供するように選択される。プライマーは一般的に、少なくとも10bp長であり、通常15bp長と30bp長との間である。テンプレート配列の一部が公知である場合、特異的プライマーが構築され、そしてテンプレートにハイブリダイズされ得る。あるいはテンプレートの配列が完全に未知である場合、プライマーはリガーゼによって標的ポリヌクレオチドの末端に結合した合成ポリヌクレオチドアダプターに結合し得る。
【0045】
ある方法において、プライマーは標識化される。固定化テンプレートにハイブリダイズされる場合、標識プライマーは、テンプレートの位置画像化を容易にする。以下の実施例で例示されるように、プライマーは蛍光標識(例えば、Cy5)で標識され得る。好ましくは、プライマーを標識するために使用する標識は、部分配列伸長反応物中のヌクレオチド上の標識とは異なる。
【0046】
プライマーは、都合のよい核酸合成技術を用いて合成的に作製され得る。例えば、プライマーは、標準的な化学(例えばホスホラミダイト化学物質、例えば、以下の参考文献に開示される:BeaucageおよびIyer,Tetrahedron,48:2223−2311(1992);Molkoら、米国特許第4,980,460号;Kosterら、米国特許第4,725,677号;Caruthersら、米国特許第4,415,732号;同第4,458,066号;および同第4,973,679号;など)を用いて、自動DNA合成機(例えば、Applied Biosystems,Inc.(Foster City,Calif.)モデル392または394 DNA/RNA Synthesizer)で都合よく合成され得る。代替の化学物質(例えば、非天然の骨格基を生じる、例えば、ホスホロチオネート、ホスホラミダイトなど)はまた、得られたオリゴヌクレオチドがポリメラーゼと適合性であるという条件で使用され得る。プライマーはまた、Operon Inc(Alameda,California)のような特注のオリゴヌクレオチドを専門に取り扱う種々の会社から注文により市販され得る。
【0047】
プライマーアニーリングは、受容可能な速度で安定なハイブリッドを形成させるのになお十分に許容的な配列特異性を達成するために十分ストリンジェントである条件下で行なわれる。プライマーアニーリングに必要な温度および時間は、塩基組成、プライマーの長さおよび濃度、ならびに使用される溶媒の性質(例えば、DMSO、ホルムアミドまたはグリセロールの濃度、およびマグネシウムのような対イオン)を含むいくつかの因子に依存する。代表的に、合成ポリヌクレオチドを用いるハイブリダイゼーションは、アニーリング溶媒中の標的−プライマーハイブリッドの融点の約5〜10℃下の温度で行なわれる。ある方法において、アニーリング温度は、55℃〜75℃の範囲内である。そしてプライマー濃度は、約0.2μMである。プライマーアニーリングの他の条件は、以下の実施例に提供される。これらの好ましい条件下で、アニーリング反応は数秒のみで完了され得る。
【0048】
(D.テンプレートポリヌクレオチドの固定化)
好ましくは、テンプレートポリヌクレオチド分子または標的ポリヌクレオチド分子を、固体基材の表面に固定化された単一分子アレイとして提供する。この基材は、ガラス、シリカ、プラスチックあるいは、蛍光検出方法の有意なノイズもバックグラウンドも生成しない任意の他の都合のよい非反応性材料であり得る。テンプレートポリヌクレオチドが固定化されている基材表面はまた、微小流体装置(例えば、QuakeらのPCT出願(WO01/32930;本明細書中に参考として援用される)に記載されるような装置の微細加工合成チャネル)におけるフローセルの内面であり得る。ある好ましい実施形態において、固体支持体は石英ガラススライドで作製される(例えば、Escoからの石英ガラススライド、Cat.R130110)。他の支持材料(例えば、通常のガラススライド)と比較して、石英ガラスは非常に低い自己蛍光を有する。
【0049】
本発明のある適用において、テンプレートポリヌクレオチドまたは標的ポリヌクレオチドは、一分子分解能で基材表面に固定化される。このような方法において、以下の実施例で例示されるように、一分子分解能は、固定化反応において非常に低濃度のポリヌクレオチドを用いることで達成される。例えば、10pM濃度の80マーのポリヌクレオチドテンプレートは、一分子分解能でシリカスライドの表面へのポリヌクレオチドの結合を可能にする(実施例1を参照のこと)。一分子分解能でのテンプレートの固定化はまた、蛍光性標識テンプレートのブリーチングパターンを測定することで確証され得る(実施例5を参照のこと)。
【0050】
ある方法において、テンプレートは、最初にプライマーへのハイブリダイズされ、次いで表面に固定化される。ある方法において、テンプレートは、プライマーへのハイブリダイゼーションの前に表面に固定化される。なおある方法において、プライマーは表面に固定化され、そしてテンプレートはプライマーへのハイブリダイゼーションを介して基材に結合される。なおある方法において、ポリメラーゼが表面に固定化される。
【0051】
種々の方法を使用して、基材の表面にテンプレートまたはプライマーを固定化し得る。表面へのテンプレートの直接的または間接的な結合を介して、固定化が達成され得る。この結合は共有結合によるものであり得る。Joosら、Analytical Biochemistry 247:96−101,1997;Oroskarら、Clin.Chem 42:1547−1555,1996;およびKhandjian,Mole.Bio.Rep.11:107−115,1986を参照のこと。この結合はまた非共有結合を介し得る。例えば、ビオチン−ストレプトアビジン(Taylorら、J.Phys.D.Appl.Phys.24:1443,1991)ならびにジゴキシゲニンおよび抗ジゴキシゲニン(Smithら、Science 253:1122,1992)は、表面および平行面にポリヌクレオチドを結合する共通のツールである。あるいは、この結合は、脂質の単層または二重層に疎水性鎖を結合することで達成し得る。ビオチン−ストレプトアビジン結合を使用してテンプレートを固定化する場合、テンプレートはビオチン化され、そして基材の1つの表面はストレプトビオチンで覆われる。ストレプトアビジンはテトラマーであるので、1つの分子あたり4つのビオチン結合部位を有する。従って、これは、表面とテンプレートとの間の結合を提供し得る。ストレプトアビジンで表面を覆うために、表面は最初にビオチン化され得、次いでストレプトアビジンの4つの結合部位の一部を使用して表面にタンパク質を結合し得、残っている他の部位はビオチン化テンプレートを結合するためにフリーである(Taylorら、J.Phys.D.Appl.Phys.24:1443,1991を参照のこと)。このような処理は、基材表面上に高密度のストレプトアビジンを導き、対応する高密度のテンプレート適応範囲を可能にする。テンプレート分子の表面密度は、表面に適用されるテンプレートの濃度を調製することによって制御され得る。表面をビオチン化するための試薬は、例えばVector laboratoriesから得られ得る。あるいは、ビオチン化は、BLCPA:EZ−Link Biotin LC−PEO−Amine(Pierce,Cat.21347)を用いて行なわれ得る。
【0052】
ある方法において、非常に低い濃度(例えば、μM、nMまたはpMの範囲の)の標識ストレプトアビジン(例えば、蛍光標識を有する)を用いて、テンプレートの固定化の前に基材表面を覆う。これは、一分子分解能でのテンプレートの固定化を促進する。これはまたテンプレート分子が結合する基材上のスポットをモニタリングおよび引き続くヌクレオチド組み込み事象を可能にする。
【0053】
多様なポリヌクレオチドテンプレートが分離した基材にそれぞれ固定化され得、そして分離した基材において配列決定され得るが、複数のテンプレートはまた、単一の基材上で分析され得る。後者のシナリオにおいて、テンプレートは基材上の異なる位置に結合される。これは、種々の異なる方法(基材上の異なる点で固定化されたオリゴヌクレオチドへのプライマー捕捉配列のハイブリダイゼーション、およびテンプレート固定化に向かって基材に沿って異なる点を連続的に活性化することを含む)によって達成され得る。
【0054】
オリゴヌクレオチドのアレイを有する表面の生成方法は、例えば米国特許第5,744,305号、同第5,837,832号および同第6,077,674号に記載されている。2つのドメイン、プライミングドメインおよび捕捉ドメインを有するプライマーを使用して、基材にテンプレートを結合し得る。プライミングドメインは標的テンプレートに相補的である。捕捉ドメインはプライミング配列の非伸長側に存在する。これは標的テンプレートに相補的ではないが、むしろ基材上に存在する特定のオリゴヌクレオチド配列に相補的である。この標的テンプレートはこれらのプライマーと別々にハイブリダズし得るか、または(プライミング配列が異なる場合)同じ溶液中で同時にハイブリダイズし得る。ハイブリダイゼーション条件下での、基材とプライマー/テンプレート二重鎖とのインキュベーションは、独自のスポットへのそれぞれのテンプレートの結合を可能にする。複数の基材は、この様式で同時にテンプレートで充填され得る。
【0055】
単一基材の表面に複数のテンプレートを結合する別の方法は、基材の一部を連続して活性化し、そしてこれらにテンプレートを結合することである。基材の活性化は、光学的手段または電気的手段のいずれかによって達成され得る。光学照明を使用して、表面へのテンプレートの結合を可能にする光化学的脱保護反応を開始し得る(米国特許第5,599,695号、同第5,831,070号および同第5,959,837号を参照のこと)。例えば、基材表面は「ケージ化ビオチン」(市販されるビオチン誘導体は、光に曝露された後にのみ、アビジンに結合可能になる)で誘導体化(derivitize)され得る。次いで、テンプレートは、光に対する部位の曝露、アビジン溶液でチャネルを充填し、洗浄し、次いでチャネルへビオチン化テンプレートを流すことによって結合し得る。別のバリエーションは、ケージ化ビオチン部分を有するプライマーを用いてアビジニル化基材およびテンプレートを調製することであり;次いで、このテンプレートは、チャネルへ流すことおよび所望する領域上の溶液の照明によって固定化され得る。次いで、活性化テンプレート/プライマー二重鎖を、それらが拡散する最初の壁に結合させ、拡散制限スポットを得る。
【0056】
電気的手段をまた使用して、基材上の特定の位置にテンプレートを指向し得る。チャネルにおいて正に荷電する1つの電極および負に荷電した他方の電極によって、場の勾配は生成され得、この勾配は、1つの電極にテンプレートを駆動する(ここで、テンプレートは結合し得る)(例えば、米国特許第5,632,957号,同第6,051,380号,および同第6,071,394号を参照のこと)。あるいは、これは、表面の領域を電気化学的に活性化することおよび電極に印加される電圧を変化することによって達成され得る。特定の化学物質(タンパク質およびDNAを含む)のパタンーンは、微細加工プラスチックスタンプが表面に押されるスタンプ方法で可能である(例えば、Lopezら、J.Amer.Chem.Soc.115:10774−81,1993を参照のこと)。異なるテンプレートはまた、他から独立してそれぞれ個々の読み取りとしてランダムに表面に結合され得る。
【0057】
(E.基材表面の処理)
ある適用において、基材の表面は、ポリヌクレオチドテンプレートの結合および引き続く合成反応を促進する界面化学を生成するために調製される。界面化学はまた、基材の表面への遊離標識ヌクレオチドの非特異的結合からのバックグラウンドを減少する。
【0058】
ある方法において、表面は、高分子電解質の多層(PEM)で覆われる。ある方法において、非PEMに基づく界面化学はテンプレート結合の前に生成され得る。好ましくは、基材の表面は、高分子電解質の多層(PEM)で覆われる。PEMコート表面へのテンプレートの結合は、光指向性空間的結合(light−directed spatial attachment)によって達成され得る(例えば、米国特許第5,599,695号、同第5,831,070号および同第5,959,837号を参照のこと)。あるいは、テンプレートは、PEMコート表面全体に化学的に結合され得る(詳細については以下を参照のこと)。
【0059】
PEMの形成は、Decherら(Thin Solid Films,210:831−835,1992)に記載されている。PEMの形成は、ポリカチオンおよびポリアニオンの連続した添加によって進み、このポリカチオンおよびポリアニオンは、それぞれ、多くの正電荷または負電荷を有するポリマーである。負に荷電した表面へのポリカチオンの添加の際に、ポリカチオンは表面に沈着し、薄いポリマー層を形成し、そして表面の電荷を逆にする。同様に、正に荷電した表面に沈着したポリアニオンは、ポリマーの薄い層を形成し、そして負に荷電した表面を生じる。交互のポリ(+)およびポリ(−)への曝露は、高分子電解質の多層構造を生成し、最後の高分子電解質の付加によって表面電荷は決定され;不完全荷電表面の場合、多層沈着物はまた、十分に規定された安定なレベルまで、表面電荷およびを増加する傾向がある。
【0060】
ポリヌクレオチドを固定化するためにPEMで基材を覆う例示的スキームは、PCT公開WO01/32930で提供される。詳細な手順はまた以下の実施例に開示される。手短に言えば、基材の表面(例えば、ガラスカバースリップ)を、RCA溶液できれいにする。きれいにした後、基材を高分子電解質の多層(PEM)で覆う。カルボン酸基のビオチン化の後に、次いでストレプトアビジンを適用し、ビオチン化分子を捕捉し得る表面を生成する。次いで、ビオチン化ポリヌクレオチドのテンプレートを、結合のためにコート化ガラスカバースリップに添加する。このように、生成された界面化学は、本発明の方法のための種々の利点を提供する。なぜならこれは、負に荷電したヌクレオチドに反発する強く負に荷電した表面を生成するからである。最初に、カルボン酸保有ポリマーで終結する高分子電解質の多層は、ポリヌクレオチドに容易に結合する。なぜならカルボン酸は、共有結合形成のためのよい標的であるからである。さらに、結合化テンプレートは、ポリリメラーゼによる伸長について活性である。最も好ましくは、電荷のような相反は、テンプレートが表面上「大塗りされる(laying down)」のを防止する。最後に、負の荷電は、蛍光ヌクレオチドを反発し、そして非特異的結合は低い。
【0061】
本明細書に記載される結合スキームは、容易に一般化されている。改変せずに、生成されたPEM/ビオチン/ストレプトアビジンの表面を使用して、任意のビオチン化分子を捕捉または固定化し得る。少しの改変は、別の捕捉対(例えば、抗ジゴキシゲニン(抗−dig)を用いて固定化される、ビオチンを置換するジゴキシゲニン(dig)および標識化分子)の使用であり得る。アミンのビオチン化またはdig−標識のための試薬は、全て市販される。
【0062】
別の一般化は、化学が支持体の界面化学にほとんど依存しないことである。例えば、ガラスは、ポジティブポリマーまたはネガティブポリマーのいずれかで終結するPEM、およびいずれかに対する広範な種々の化学物質を支持し得る。しかし、他の基材(例えば、ガラスと同じ程度に強くは荷電しないシリコーン、ポリスチレン、ポリカーボネートなど)は、なおPEMを支持し得る。PEMが十分多くの層を有する限り、弱く荷電した表面上のPEMの最終層の荷電は、強く荷電した表面上のPEMの荷電と同じ程度に高くなる。これは、ガラス/PEM/ビオチン/ストレプトアビジン/ビオチン−DNAの界面化学の全ての利点は、他の基材に適用されることを意味する。
【0063】
(IV.プライマー伸長反応)
一旦、テンプレートが基材の表面に固定化されると、プライマー伸長反応が行なわれる(例えば、Sambrook,前出;Ausubel,前出;およびHyman,Anal.Biochem.,174,p.423,1988に記載されるように)。ある方法において、プライマーは、1つの型の標識ヌクレオチドの存在下において、ポリヌクレオチドポリメラーゼによって伸長される。他の方法において、4つ全ての型の差示的に標識されたヌクレオチドが存在する。本発明のある適用において、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドの組み合わせが分析で使用される。反応に添加された特定の標識ヌクレオチドがプライマーの3’末端に隣接するテンプレート上のヌクレオチドに相補的である場合にのみ、標識はテンプレート/プライマー複合体に組み込まれる。必要に応じて、テンプレートは引き続いて洗浄され、任意の組み込まれていない標識を除去し、そして任意の組み込まれた標識の存在を決定する。いくつかのエラーは、ポリメラーゼによって生じ得るので、反応条件およびインキュベーション時間は、これらのエラーを最小化するべきである。
【0064】
(A.標識ヌクレオチド)
ヌクレオチドの組み込みの検出を促進するために、少なくとも1つおよび通常は全ての型のデオキシリボヌクレオチド(dATP、dTTP、dGTP、dCTP、dUTP/dTTP)またはヌクレオチド(ATP、UTP、GTPおよびCTP)は、フルオロフォアで標識される。1より多い型のヌクレオチドが標識される場合、異なる種類の標識を使用してそれぞれの異なる型のヌクレオチドを標識し得る。しかし、ある適用において、異なる型のヌクレオチドは、同じ種類の標識で標識され得る。
【0065】
種々の蛍光標識を使用して、本発明におけるヌクレオチドを標識し得る。蛍光標識は、いずれかの多数の異なる部分から選択され得る。好ましい部分は、検出が非常に感受性である蛍光基である。表面に対する親和性は、異なる色素間で変化し得る。表面に対する低い親和性が好ましい。例えば、Cy3およびCy5を使用して、本発明のある方法においてプライマーまたはヌクレオチドを標識する。しかし、Cy5はCy3よりも特定の実験的条件下で表面に対する高い親和性を有する。
【0066】
考慮することが必要である他の因子としては、色素の安定性が挙げられる。例えば、Cy5はCy3よりも安定でなく、そしてCy3よりも早く退色しやすい。このような特性は、環境に依存して利点または不利益であり得る。さらに、色素の異なる大きさはまた、標識ヌクレオチドの組み込みの有効性に影響し得る。さらに、色素とヌクレオチドとの間のリンカーの長さは、組み込みの有効性に影響し得る。(ZhuおよびWaggoner,Cytometry28:206,1997を参照のこと)。
【0067】
本発明において使用され得るフルオロフォアの例示的リストは、以下が挙げられる(これらの対応する吸収/発光波長は、丸括弧で示される):
Cy3(550/565)、Cy5(650/664)、Cy7(750/770)、Rhol23(507/529)、R6G(528/551)、BODIPY 576/589(576/589)、BODIPY TR(588/616)、ナイルブルー(627/660)、BODIPY 650/665(650/665)、スルホ−IRD700(680/705)、NN382(778/806)、Alexa488(490/520)、テトラメチルローダミン(550/570)、およびローダミンX(575/605)。
【0068】
蛍光標識ヌクレオチドは、市販され得る(例えば、NEN DuPont、AmershamまたはBDLから)。あるいは、蛍光標識ヌクレオチドはまた、種々の蛍光標識技術によって生成され得る(例えば、Kambaraら(1988)「Optimization of Parameters in a DNA Sequenator Using Fluorescence Detection」、Bio/Technol.6:816−821;Smithら(1985)Nucl.Acids Res,13:2399−2412;およびSmithら(1986)Nature 321:674−679によって記載されるように)。Cy5シアニン色素のアシルフッ化物はまた、米国特許第6,342,326号に記載されように合成され得、そして標識され得る。
【0069】
文献には、蛍光分子および色素生産分子およびそれらに関連する光学的な特性の完全なリストを提供する、多くの利用可能な実用的な解説が存在する(例えば、Berlman,Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules,第2版(Academic Press,New York,1971);Griffiths,Colour and Constitution of Organic Molecules(Academic Press,New York,1976);Bishop(編),Indicators(Pergamon Press,Oxford,1972);Haugland,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(Molecular Probes,Eugene,1992)Pringsheim,Fluorescence and Phosphorescence (Interscience Publishers,New York,1949);などを参照のこと)。さらに、ヌクレオチドに加えられ得る通常の反応基を介する共有結合のためのフルオロフォア分子およびクエンチャー分子の誘導体化についての文献における広範な解説が、以下の参考文献に例示されるように存在する:Haugland(前出);Ullmanら,米国特許第3,996,345号;Khannaら,米国特許第4,351,760号。
【0070】
ヌクレオチドのフルオロフォア部分に結合するための多くの連結部分および方法論が、以下の文献に例示されるように存在する:Eckstein(編)Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach(IRL Press,Oxford,1991);Zuckermanら,Nucleic Acids Research,15:5305−5321(1987)(オリゴヌクレオチドの3’チオール基);Sharmaら,Nucleic Acids Research,19:3019(1991)(3’スルフヒドリル);Giustiら,PCR Methods and Applications,2:223−227(1993)およびFungら,米国特許第4,757,141号(Applied Biosystems,Foster City,Calif.製のAminolinkTM.IIによる5’ホスホアミノ基)Stabinsky,米国特許第4,739,044号(3’アミノアルキルホスホリル基);Agrawalら,Tetrahedron Letters,31:1543−1546(1990)(ホスホラミデート連結を介する結合);Sproatら,Nucleic Acids Research,15:4837(1987)(5’メルカプト基);Nelsonら,Nucleic Acids Research,17:7187−7194(1989)(3’アミノ基);など。
【0071】
複数標識スキームが利用されるかわりに、種々の候補標識の吸収最大値の平均に近い波長が使用され得る。あるいは、特定の標識の吸収最大値に対応する波長をそれぞれ使用する、複数の励起が実施され得る。
【0072】
(B.他の反応試薬)
1.ポリメラーゼ
多くのポリメラーゼが、本発明における使用のために選択され得る。好ましいポリメラーゼは、核酸塩基上の標識に耐容性を示し得る。例えば、本発明のいくつかの用途は、改変され蛍光標識されたヌクレオチドを、ポリヌクレオチドに取りこむ能力を増加させたポリメラーゼを使用する。このようなポリメラーゼの例(例えば、変異バクテリオファージT4 DNAポリメラーゼ)が、米国特許第5,945,312号に記載されている。
【0073】
テンプレートに依存して、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼまたは逆転謝酵素のいずれかがプライマー伸長に使用され得る。DNAテンプレートの分析のために、多くのDNAポリメラーゼが利用可能である。適切なDNAポリメラーゼの例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:Sequenase 2.0.RTM.、T4 DNAポリメラーゼもしくはDNAポリメラーゼ1のKlenowフラグメントまたはVentポリメラーゼ。いくつかの方法において、3’→5’のエキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼが使用され得る(例えば、T7 DNAポリメラーゼ(Amersham)またはDNAポリメラーゼIのKlenow−エキソフラグメント(New England Biolabs))。いくつかの方法において、ポリメラーゼが、プルーフリーディング活性を有することが所望される場合、3’→5’のエキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼは使用されない。いくつかの方法において、ThermoSequenaseTTM(Amersham)またはTaquenaseTM(ScienTech,St Louis,MO)のような耐熱性のポリメラーゼが使用される。
【0074】
一般的には、このポリメラーゼは、少なくとも99%の忠実度(組み込み精度)および少なくとも20ヌクレオチドの進化性(酵素がDNAから解離される前に取りこまれたヌクレオチドの数)を有するべきであり、より大きい進化性が好ましい。例として、T7 DNAポリメラーゼ、T5 DNAポリメラーゼ、HIV逆転写酵素、E.coli DNA pol I、T4 DNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼおよびE.coli RNAポリメラーゼ、Phi29 DNAポリメラーゼが挙げられる。
【0075】
この方法において使用されるヌクレオチドは、選択されるポリメラーゼと適合可能であるべきである。適切なヌクレオチドとポリメラーゼの組み合わせを選択する手順は、Ruthら(1981)Molecular Pharmacology 20:415−422;Kutateladze,T.,ら(1984)Nuc.Acids Res.,12:1671−1686;Chidgeavadze,Z.,ら(1985)FEBS Letters,183:275−278から適用され得る。
【0076】
このポリメラーゼは、分けられたレザバに貯蔵され得、そして各伸長反応サイクルの前に、基材上(または基材を入れるフローチャンバ/細胞中)に流し込まれる。酵素はまた、他の反応薬剤(例えば、ヌクレオチドトリホスフェート)と共に貯蔵され得る。あるいは、このポリメラーゼは、このポリヌクレオチドテンプレートが溶液に加えられる間、基材の表面上に固定され得る。
【0077】
(2.遮断剤)
いくつかの方法において、プライマー伸長反応において、鎖伸長インヒビターを使用することが所望され得る(例えば、Dowerら米国特許第5,902,723号を参照のこと)。鎖伸長インヒビターは、ヌクレオチドアナログであり、そのいずれかは、その鎖のヌクレオチドの3’末端へのポリメラーゼによるさらなる付加を防ぐ鎖ターミネーターであり、鎖自体に取りこまれる。いくつかの方法において、この鎖伸長インヒビターは、ジデオキシヌクレオチドである。この鎖伸長インヒビターが成長しているポリヌクレオチド鎖に取りこまれる場合、これらは、この標識されたヌクレオチドの組み込みが検出された後に、除去されるべきであり、その結果、異なる標識されたヌクレオチドを使用する処理のための配列決定反応を可能にする。いくつかの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼIII)は、ジデオキシヌクレオチドを除去することができる。
【0078】
鎖伸長インヒビター以外の、遮断剤もしくは保護基は、非特異的な組み込みを防ぐために、標識されたヌクレオチドのデオキシリボース基の3’部分において使用され得る。必要に応じて、この遮断剤は、おだやかな条件下(例えば、感光性、弱酸で不安定であるかまたは弱塩基で不安定な基)において除去可能であるべきであり、それによって、このプライマー鎖の次の合成サイクルによるさらなる伸長を可能にする。この遮断剤がまた、蛍光標識を含む場合、二重ブロック機能および標識機能は、個々の部分について反応を分ける必要なしに、達成される。例えば、この標識されたヌクレオチドは、蛍光色素基の、デオキシリボース基の3’部分への結合によって標識され得、そしてこの標識は、蛍光色素を、3’ヒドロキシル基を作製するヌクレオチドから切断することによって除去される。この蛍光色素は、好ましくは、化学手段または酵素手段によって容易に切断されるリンカーアームによってデオキシリボースに連結される。
【0079】
遮断剤の例としては、他にもあるが、6−ニトベラチルオキシカルボニル(NVOC)、2−ニトベンジルオキシカルボニル(NBOC)、α,α−ジメチル−ジメトキシベンジルオキシカルボニル(DDZ)、5−ブロモ−7−ニトロインドリニル、o−ヒドロキシ−2−メチルシンナモイル、2−オキシメチレンアントラキノン、およびt−ブチルオキシカルボニル(TBOC)のような光感応性の基が挙げられる。他の遮断薬は、例えば、米国出願番号07/492,462号;Patchornik(1970)J.Amer.Chem.Soc.92:6333;およびAmitら(1974)J.Org.Chem.39:192において議論される。種々の標識および保護基を有するヌクレオチドは、容易に合成され得る。標識部分は、例えば、Gait(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press,Oxfordに記載されるような化学および条件を使用してヌクレオチド上の適切な部位に結合される。
【0080】
(C.反応条件)
配列決定のための反応混合物は、特定のポリメラーゼについて最適化された水性緩衝液培地を含む。一般的に、この緩衝液は、一価のイオン供給源、二価のカチオン供給源および緩衝化剤を含む。任意の好都合な一価のイオン供給源(例えば、KCl、K−アセテート、NH4−アセテート、K−グルタメート、NH4Cl、硫酸アンモニウムなど)が使用され得、ここで、この緩衝液中に存在する一価のイオン供給源の量は、典型的には、約500〜20,000マイクロモーの範囲の伝導率、通常、約1000〜10,000マイクロモー、そしてより通常は、約3,000から6,000マイクロモーの伝導率を提供するのに十分な量で存在する。
【0081】
この二価のカチオンは、マグネシウム、マンガン、亜鉛などであり得、このカチオンは、典型的には、マグネシウムである。使用され得るマグネシウムカチオンの任意の供給源としては、MgCl2、Mg−アセテートなどが挙げられる。この緩衝液中に存在するMgイオンの量は、0.5〜20mMの範囲であり得るが、好ましくは約1〜12mMの範囲であり、より好ましくは、2〜10mMの範囲、そして理想的には、約5mMである。
【0082】
緩衝液中に存在し得る代表的な緩衝剤または塩としては、Tris、トリシン、HEPES、MOPSなどが挙げられ、ここで、この緩衝剤の量は、典型的には約5〜150mMの範囲であり、通常、約10〜100mM、そしてより通常は、約20〜50mMであり、特定の好ましい実施形態において、この緩衝剤は、約6.0〜9.5の範囲のpHを提供するのに十分な量で存在し、ここで最も好ましくは、25℃でpH7.6である。緩衝液培地中に存在し得る他の薬剤としては、EDTA、EGTAなどのようなキレート剤が挙げられる。
【0083】
(D.標識および保護基の除去)
組み込みと標識の検出工程を、組み込みが検出されるまで繰り返すことによって、プライマーの3’末端に隣接するテンプレート上のヌクレオチドが同定され得る。一旦、これが達成されると、この標識は、次のヌクレオチドの同一性を見出すための処理を繰り返す前に除去されるべきである。この標識の除去は、3’−5’のエキソヌクレアーゼを使用して標識されたヌクレオチドを除去することによってもたらされ得、続いて標識されていないヌクレオチドで置換される。あるいは、この標識基は、ヌクレオチドから除去され得る。この蛍光色素の放出は、ヌクレオチドと蛍光分子との間の検出可能な結合が使用される場合、達成され得る。例えば、ジスルフィド結合の使用によって、ジチオスレイトール(DTT)のような還元剤を適用することによって色素を切断することが可能である。さらなる代替において、この標識が蛍光標識である場合、照射によって脱色することによってその標識を無効にし得る。フォトブリーチングは、例えば、Jacobsonら,「International Workshop on the Application of Fluorescence Photobleaching Techniques to Problems in Cell Biology」,Federation Proceedings,42:72−79,1973;Okabeら,J Cell Biol 120:1177−86,1993;Wedekindら,J Microsc.176 Pt 1):23−33,1994;およびCloseら,Radiat Res 53:349−57,1973に記載されるような方法に従って実施され得る。
【0084】
特定のターミネーターまたは3’保護基が使用される場合、これらは、次のサイクルが行なわれ得る前に除去されるべきである。3’保護基は、保護基の化学切断または酵素切断によってヌクレオチドから除去され得る。例えば、鎖ターミネーターは、3’−5’エキソヌクレアーゼ(例えば、ヌクレアーゼIII)で除去される。一旦この標識およびターミネーター/保護基が除去されると、このサイクルは、次のヌクレオチドの同一性を見出すために繰り返される。
【0085】
(E.サンプルハウジング)
固体基材は、必要に応じて入口および出口を備えるフローチャンバに入れられ、固定された部分を流れる反応物の再生を可能にする。このフローチャンバは、プラスチックまたはガラスから作製され得、そして顕微鏡または光学読取装置によって表示される平面上で開いているかまたは透明(transparent)であるかのいずれかであるべきである。電気浸透流れ(electro−osmotic flow)は、固体基材上の固定された電荷および固体支持体の反対の側に位置する2つの電極の間を通る電圧勾配(電流)を必要とする。圧力で押し出された流れは、外圧供給源を備える微流体デバイスによって、または微流体蠕動ポンプ(例えば、Ungerら,Science 288:113−116,2000を参照のこと)によって促進され得る。
【0086】
このフローチャンバは、別々の配列決定のために複数のチャネルに分けられ得る。マイクロフローチャンバの例は、Fuら(Nat.Biotechnol.(1999)17:1109)に記載され、これは、選別のために電気浸透流れを利用する3μm×4μmのチャネルを備える微小加工された蛍光活性化細胞選別器を記載する。好ましくは、WO01/32930に記載されるように、このチャンバは微細加工合成チャネルを備える。ポリヌクレオチドテンプレートは、合成チャネルの表面に固定され得る。これらの合成チャネルは、反応試薬の流れを制御する微小流れデバイスによって流れの伝達中に存在し得る。本発明の反応試薬の流れを制御するために使用され得る好ましい微小流れデバイスは、WO01/32930に記載されている。
【0087】
本発明はまた、本発明の方法を実行するための装置を提供する。標的ポリヌクレオチドまたはプライマーが結合される基材以外では、装置は、通常、基材が貯蔵されるフローチャンバを備える。さらに、この装置は必用に応じて、配管デバイス(例えば、流入口および流出口)、光源、および本明細書中に記載される検出システムを備える。好ましくは、WO01/32930に記載されるような微細加工装置が、本発明の発明の基材を貯蔵するために適用される。
【0088】
(V.組み込まれたシグナルの検出)
(A.一般的な検出システム)
インターカレート色素で標識されたDNAの単一分子を視覚化する方法は、例えば、Housealら,Biophysical Journal 56:507,1989に記載されるような蛍光顕微鏡が挙げられる。通常、多数の分子からのシグナルが本発明の配列決定法によって検出されるが、単一の蛍光色素分子からの蛍光もまた検出され得る。例えば、この目的のために多くの方法が利用可能である(例えば、Nieら,Science 266:1013,1994;Funatsuら,Nature 374:555,1995;Mertzら,Optics Letters 20:2532,1995;およびUngerら,Biotechniques 27:1008,1999を参照のこと)。励起状態の単一分子の蛍光スペクトルおよび寿命でさえも検出可能である(Macklinら,Science 272:255,1996)。光電子増倍管またはアバランシェ・フォトダイオードのような標準的な検出器が使用され得る。2段階の画像倍増CCDカメラによる全視野の画像処理(full field imaging)がまた、使用され得る(Funatsuら、前出)。低雑音冷却CCD(Low noise cooled CCD)がまた、単一の蛍光分子を検出するのに使用され得る(例えば、Ungerら,Biotechniques 27:1008−1013,1999;およびSenSys spec:http://www.photomet.com/pdfs/datasheets/sensys/ss1401e.pdfを参照のこと)。
【0089】
シグナルまたは標識のための検出システムはまた、使用される標識に依存し、この標識は、利用可能な化学によって規定され得る。光信号については、光ファイバーまたは電荷結合素子(CCD)が、検出工程において使用され得る。マトリクスが、使用される放射線を通す環境において、ポリヌクレオチド由来の基材の反対側に配置された検出器によって基材を通る入射ビームを持つことが可能である。電磁標識について、種々の形態の分光システムが使用され得る。検出システムについての種々の物理的配向性が利用可能であり、そして、重要な設計パラメータの議論が、この分野において提供される(例えば、Arndt−Jovinら,J Cell Biol 101:1422−33,1985;およびMarriottら,Biophys J 60:1374−87,1991)。
【0090】
本発明の多くの用途は、蛍光標識されたヌクレオチドの、溶液中の単一テンプレート分子への組み込みの検出を必要とする。本発明の発明の単一分子蛍光検出は、光学セットアップ(近距離走査顕微鏡、遠距離共焦点顕微鏡、広視野エピ−イルミネーション、および全反射蛍光(TIRF)顕微鏡を含む)を使用して実施され得る。この技術を記載する一般的な総説が利用可能であり、その総説としては、例えば、Bascheら,(編)1996,Single molecule optical detection,imaging, and spectroscopy,Weinheim:VCM;およびPlakhotnikら,Single−molecule spectroscopy,Ann.Rev.Phys,Chem.48:181−212が挙げられる。一般的には、この方法は、カメラを備えた顕微鏡を使用してレーザーで活性化された蛍光の検出を含む。この方法は時々、高性能光検出システムと呼ばれる(例えば、Nieら,1994,Probing individual molecules with confocal fluorescence microscopy,Science 266:1018−1019を参照のこと)。他の適切な検出システムは、以下の実施例において議論される。
【0091】
適切な光検出システムとしては、光ダイオードおよび高感度(intensified)CCDカメラが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、高感度電荷結合素子(ICCD)カメラが使用される。ガラススライドの表面近くの流体中の個々の蛍光色素分子を画像化するためのICCDカメラの使用は、いくつかの理由で有利である。ICCD光学セットアップを用いると、一連のフルオロフォアの画像(動画)を得ることが可能となる。特定の局面において、この方法において使用されるdNTPまたはNTPの各々は、それに関連する固有のフルオロフォアを有し、そのために、4つのカメラおよび4つの励起レーザーを備える4色機器が使用され得る。好ましくは、この画像は、4分割され、1つのカメラによって写される。例えば、Optical Insights LTDの微小画像装置は、画像を、カメラのポートの前面の4つの異なる範囲に4つの異なる画像に分ける、単純なデバイスである。適切な色素が使用される場合、4色について唯一のレーザー励起を伴うイルミネーションが可能である(例えば、Rosenblumら,Nucleic Acids Research 25:4500,1997)。例えば、BigDyesは、唯一の励起波長スペクトルおよび4つの異なる発光波長スペクトルを有する。これらは、Applied Biosystems(http://www.appliedbiosystems.com/products/productdetail.cfm?ID=82を参照のこと)から入手可能である。ナノ結晶はまた、所定の励起についての種々の発光波長を有することが見出される(例えば、米国特許第6,309,701号;およびLacosteら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:9461−6,2000を参照のこと)。従って、DNAの配列決定をするためにこのような光学セットアップを使用することが可能である。さらに、多くの異なるDNA分子が固体支持体(例えば、顕微鏡スライド)上に広げられ、同時に画像化されそして配列決定され得る。
【0092】
(B.全反射蛍光(TIRF)顕微鏡)
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、二次元の画像処理蛍光検出のために、全反射蛍光(TIRF)顕微鏡を使用する。TIRF顕微鏡は、当該分野で周知である。例えば、Watkinsら,J Biomed Mater Res 11:915−38,1977;およびAxelrodら,J Microsc,129:19−28,1983を参照のこと。TIRF顕微鏡は、全体的に内部に反射された励起光を使用する。レーザービームが液体と固体基材(例えばガラス)との間の界面で全体的に反射された場合、この励起ビームは、液体中に、短い距離のみ透過する。言い換えれば、光学フィールドは、この反射界面において急激に終わることはないが、その強度は、距離に応じて指数関数的に減少する。この表面の電磁場(「一過性の波(evanescent wave)」と呼ばれる)は、界面近くの液体中の蛍光分子を選択的に励起し得る。この界面における薄い一過性の光学フィールドは、低いバックグラウンドを提供し、可視波長で、高いシグナル 対 ノイズの比を有する単一分子の検出を可能にする(例えば、M.Tokunagaら,Biochem.およびBiophys.Res.Comm.235,47(1997)およびP.Ambrose,Cytometry,36,244(1999)を参照のこと)。
【0093】
TIRF顕微鏡法は、種々の分子または細胞の活性(例えば、蛍光α−アマガサヘビ毒素によって標識されたアセチルコリンレセプターと共に最初に培養されたラット筋管の細胞/基材接触領域、および膜組込み蛍光脂質で標識されたヒト皮膚繊維芽細胞)を試験するために使用されている(例えば、Thompsonら、Biophys.J.33:435〜54,1981;Axelrod,J.Cell.Biol.89:141〜5,1981;およびBurghardtら、Biochemistry 22:979〜85,1983を参照のこと)。細胞/表面接触のTIRF試験は、表面自己蛍光および組織片由来のバックグラウンドを劇的に減少する。TIRFはまた、蛍光フォトブリーチングの回復、および相関分光法と組み合わせて、表面に対する蛍光標識された血清タンパク質結合(平衡で)の化学動力学的結合速度および表面拡散定数を測定する(例えば、Burghardtら、Biophys J.33:455〜67,1981);およびThompsonら、Biophys J,43:103〜14,1983を参照のこと)。単一分子のTIRR検出のさらなる例が、Valeら、1996,Direct observation of single kinesin molecules moving along microtubules,Nature 380:451;およびXuら、1997,Direct Measurement of Single−Molecule Diffusion and Photodecomposition in Free Solution,Science 275:1106〜1109に記載されている。
【0094】
ガラスの後ろの場の浸透度は、波長およびレーザービームの入射角に依存する。より深い浸透度が、より長い波長および表面に対する垂直より小さい角度(臨界角度の限界内)について得られる。代表的なアッセイにおいて、フルオロフォアは、約600塩基対のDNAの輪郭の長さに対応する表面から約200nm内で検出される。いくつかの実施形態において、より長いポリヌクレオチドテンプレートが分析される場合、テンプレートよりもむしろポリメラーゼが、表面に固定化され、そして反応が、全ての場合において表面近くで生じる。いくつかの実施形態において、XuおよびYeungによって記載されるような単一分子画像化のためのプリズム型TIRF幾何学が、使用される(X−H.N.Xuら、Science,281,1650(1998)を参照のこと)。いくつかの実施形態において、対物型TIRFは、対物レンズの上の空間を提供するために使用され、その結果、微小流体装置が、使用され得る(例えば、Tokunagaら、Biochem Biophy Res Commu 235:47〜53,1997;Ambroseら,Cytometry 36:224;1999;およびBraslavskyら、Applied Optics 40:5650,2001を参照のこと)。
【0095】
全反射は、高い開口対物レンズ(1.4と1.65との間の開口の範囲)を用いて利用され得、好ましくは、倒立顕微鏡を用いて利用され得る。対物レンズの開口数は、媒体の所定の屈折率において対物レンズで収集(または、照射)され得る最大角の関数である(すなわち、NA=n×sin(tetaMax))。tetaMaxが、屈折についてのteta Criticよりも大きい場合、照射された光線のいくつかは、全反射される。大きいNA対物レンズの周辺を使用するので、対物レンズを介してTIRと共にサンプルが照射され得、そして蛍光の光を収集するために同じ対物レンズが使用され得る。それ故、対物レンズは、コンデンサーおよび画像化対物レンズとして二重の役割を果たす。
【0096】
流動サンプルが、少ない容量を規定するために使用される空間なフィルターで焦点を合わせたレーザーを通り抜ける場合、単一分子検出は、フローサイトメトリーを用いて達成され得る。米国特許第4,979,824号は、この目的のためのデバイスを記載する。米国特許第4,793,705号は、フローセル中の粒子のフロー列において個々の分子を同定するための検出システムを記載する。これは、異なる蛍光核酸塩基特異的標識を検出するための複数のレーザー、フィルター、および検出器をアレンジする方法をさらに記載する。米国特許第4,962,037号はまた、塩基を切断するエキソヌクレアーゼを使用してDNA配列およびRNA配列を入手するための標識化ヌクレオチドの順列を検出するための方法を記載する。固体支持体上の単一分子検出はまた、Ishikawaら、(1994)Single−molecule detection by laser−induced fluorescence technique with a position−sensitive photon−counting apparatus,Jan,J.Apple.Phys.33:1571〜1576に記載される。Ishikawaは、蛍光顕微鏡に装着された光子計測カメラシステムを含む代表的な装置を記載する。Leeら(Anal.Chem.,66;4142〜4149,1994)は、石英キャピラリーチューブにおける単一分子を検出するための装置を記載する。レーザーの選択は、標識および要求される光の質に依存する。ダイオード、ヘリウムネオン、アルゴンイオン、アルゴン−クリプトン混合イオン,および二重Nd:YAGレーザーが、本発明において有用である。
【0097】
(C.励起およびスキャン)
いくつかの適用において、蛍光の励起は、Qスイッチ周波二重化Nd YAGレーザーで提示され、これは、KHz反復速度を有し、多くのサンプルを1秒毎に採取可能にする。例えば、532nmの波長は、ローダミンの励起のために理想的である。これは、単一分子検出スキームにおいて使用されている標準的なデバイスである(Smithら、Science 253:1122,1992)。パルスレーザーは、時間解析実験を可能にし、これは、不要なノイズを拒絶するために有用である。いくつかの方法において、励起は、水銀灯を用いて実行され得、そして組み込まれたヌクレオチド由来の信号は、CCDカメラを用いて検出され得る(例えば、Ungerら、Biotechniques 27:1008,1999を参照のこと)。
【0098】
組み込まれた信号は、基材をスキャンすることによって検出され得る。この基材は、使用されるスキャン方法に依存して、同時にまたは経時的にスキャンされ得る。この信号は、Yershovら(Proc.Natl.Acad.Sci.93:4913,1996)に記載されるように、適切な光学部品(Ploem,J.S.Fluorescent and Luminescent Probes for Biological Activity,Mason,T.W.編,Academic Press,London,pp.1〜11,1993)を用いてCCDカメラ(TE/CCD512SF、Princeton Instruments, Trenton,N.J.)を用いてスキャンされ得るか、またはTVモニタリングによって画像化され得る(Khrapkoら、DNA Sequencing 1:375,1991)。スキャンシステムは、基材を再現的にスキャンし得るべきである。適切な場合(例えば、2次元の基材について、基材がその位置に配置される場合)、スキャンシステムは、再現可能な座標系に、付着される基材を位置的に規定するべきである。基材の位置的な同定が、連続的なスキャン工程において反復可能であることは、重要である。
【0099】
種々のスキャンシステムが、本発明の方法および装置において用いられ得る。例えば、米国特許第5,143,854号に記載される電気光学的スキャンデバイスは、本発明での使用に適切である。このシステムは、写真スキャナ、ディジタイザーまたはコンパクトディスク読み取りデバイスの多くの特徴を示し得る。例えば、Newport Corporationによって製造されたモデル番号PM500−A1 x−y変換テーブルは、検出単位に装着され得る。x−y変換テーブルは、適切にプログラミングされたデジタルコンピュータ(例えば、IBM PC/ATまたはAT互換性コンピュータ)に連結され、そしてこれにより制御される。この検出システムは、前置増幅器(例えば、Stanford Research Systemによって製造されたモデル番号SR440)、および光子計測器(例えば、Stanford Research Systemによって製造されたSR430)に取り付けられた、Hamamatsuによって製造されたモデル番号R943−02光電子増倍管またはマルチチャンネル検出デバイスであり得る。デジタル信号が、通常好ましいが、アナログ信号が、有利である状況もあり得る。
【0100】
スキャンにおける位置的な配置の安定性および再現性は、大部分は、2次元の基材上で近く位置されるポリヌクレオチド群を分離するための解像度を決定する。所定の位置での連続的なモニタリングは、位置的にマップされたポリヌクレオチドにおけるその効果に対する反応サイクルの結果をマップする能力に依存するので、高い解像度のスキャンが好ましい。解像度が増加するにつれて、信号マトリクス上で配列決定され得る可能なポリヌクレオチドの数の上限もまた、増加する。粗雑なスキャンシステムは、1000μmのオーダーしか解像し得ず、洗練されたスキャンシステムは、100μmのオーダーを解像し得、より洗練されたシステムは、約10μmのオーダーを解像し得、そして光学的倍増システムを用いると、1.0μmのオーダーの解像が可能になる。解像における制限は、回折の制限であり得、そして蛍光スキャン工程のためにより短い波長の照射を用いることによって進展が生じ得る。しかし、解像度の増加と共に、マトリクスを完全にスキャンするために要求される時間も増加し、そして速度と解像度との間の妥協が選択され得る。より短いスキャン時間で高い解像度を提供する平行検出デバイスは、複数の検出器が、平行に移動する場合に、適用可能である。
【0101】
いくつかの適用において、解像度はしばしばそれほど重要ではなく、感度が、強調される。しかし、信号の信頼性は、光子を計測すること、および信号の強度が低い位置で長期間計測し続けることによって、予め選択され得る。これは、スキャン速度を減少するが、信号決定の信頼性を増加し得る。種々の信号検出およびプロセシングのアルゴリズムは、検出システムに組み込まれ得る。いくつかの方法において、信号の領域にわたるピクセルの信号強度の分布は、強度の分布が、時間のポジティブ信号に対応するか否かを決定するために評価される。
【0102】
(D.複数の蛍光標識の組込みの検出:FRET)
本願のいくつかの局面において、プライマーへの異なる型のヌクレオチドの組込みは、異なる型のヌクレオチドにおいて異なる蛍光標識を用いて検出される。2つの異なる標識が、接近してプライマーに組み込まれる場合、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に起因する信号が検出され得る。FRETは、文献(例えば、T. Foster, Modern Quantum Chemistry, Istanbul Lectures,Part III,93−137,1965, Academic Press,New York ;およびSelvin,「Fluorescence Resonance Energy Transfer」Methods in Enzymology 246:300〜335,1995)に十分に実証されている現象である。FRETにおいて、フルオロフォア(ドナー)の1つは、他のフルオロフォア(アクセプター)の励起スペクトルと重複する放射スペクトルを有し、そしてエネルギーの移動が、蛍光共鳴エネルギー移動を介して、ドナーからアクセプターへと起こる。このエネルギー移動は、双極子−双極子相互作用によって媒介される。分光法的に、ドナーが、励起される場合、その比放射強度は減少し、一方でアクセプターの比放射強度が増加する、蛍光の増強を生じる。
【0103】
単一分子FRET信号の検出は、配列情報を明らかにし、そして配列データの解釈を容易にする。本発明におけるFRET信号の検出は、当該分野において記載される種々の方法(例えば、米国特許第5,776,782号)に従って実行され得る。FRETは、ポリヌクレオチドを含む生体高分子の種々の生物学的活性を研究するために使用されている。例えば、Cooperらは、二重かつ分岐したDNA分子における蛍光エネルギー移動を開示した(Biochemistry 29:9261〜9268,1990)。Lazowskiらは、FRETによる核酸の特異的配列に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの高感度な検出を報告した(Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10:97〜103,2000)。FRETを用いた核酸分析のための方法もまた、米国特許第6,177,249号および同第5,945,283号に記載された。単一ポリヌクレオチド分子への複数のヌクレオチドの組込みを検出するためにFRETを用いることの効果はまた、本願の実施例8に例示される。
【0104】
任意の多数のフルオロフォアの組合せが、FRET信号を検出するために、本発明においてヌクレオチドを標識するために選択され得る(例えば、Pesceら、編, Fluorescence Spectroscopy,Marcel Dekker,New York, 1971;Whiteら、Fluorescence Analysis:A practical Approach,Marcel Dekker,New York, 1970;Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第6版 Molecular Probes,Inc.,Eugene,Oreg.,1996を参照のこと;これらは、参照として援用される)。一般に、好ましいドナーのフルオロフォアは、アクセプターフルオロフォアの実質的なスペクトルを有するフルオロフォアが選択される。さらに、特定の適用において、ドナーが、レーザーの周波数に近い励起極大(例えば、ヘリウム−カドミウム442nmまたはアルゴン488nm)を有することもまた、所望され得る。このような適用において、強いレーザー光の使用は、ドナーのフルオロフォアを励起する効果的な手段として作用し得る。アクセプターのフルオロフォアは、その励起スペクトルとドナーのフルオロフォアの放射スペクトルとの実質的な重複を有する。さらに、アクセプター部分の放射スペクトルの極大波長は、好ましくは、ドナー部分の励起スペクトルの極大波長よりも少なくとも10nm大きい。アクセプターのフルオロフォアの放射スペクトルは、ドナーのスペクトルと比較して移行される。
【0105】
蛍光エネルギー移動(FET)の原理に従って働く適切なドナーおよびアクセプターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない;4−アセトアミド−4’−イソチオシアネートスチルベン−2,2’ジスルホン酸;アクリジンおよび誘導体:アクリジン、アクリジンイソチオシアナート;5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS);4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド−3,5ジスルホネート;N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;BODIPY;Brilliant Yellow;クマリンおよび誘導体:クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120), 7−アミノ−4−トリフルオロメチルクラリン(trifluoromethylcouluarin)(クマラン151);シアニン色素;シアノシン;4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI); 5’,5”−ジブロモピロガロール−スルホナフタレイン(Bromopyrogallol Red);7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナートフェニル)−4−メチルクマリン;ジエチレントリアミン五酢酸;4,4’−ジイソチオシアナートジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸;4,4’−ジイソチオシアナートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸;5−[ジメチルアミノ]ナフタレン−1−塩化スルホニル(DNS、塩化ダンシル);4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC);エオシンおよび誘導体:エオシン、エオシンイソチオシアネート、エリスロシンおよび誘導体:エリスロシンB、エリスロシンイソチオシアネート;エチジウム;フルオレセインおよび誘導体:5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’−ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、QFITC、(XRITC);フルオレサミン;IR144;IR1446;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4−メチルアンベリフェロン(methylumbelliferoneortho)オルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラローザニリン;Phenol Red;B−フィコエリトリン;o−フタルジアルデヒド;ピレンおよび誘導体:ピレン、ピレンブチレート、スクシンイミジル1−ピレン;ブチル化量子ドット;Reactive Red 4(CibacronTM Brilliant Red 3B−A)ローダミンおよび誘導体:6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リザミンローダミンB塩化スルホニルローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(Texas Red);N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA);テトラメチルローダミン;テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC);リボフラビン;ロゾール酸;テルビウムキレート誘導体;Cy3;Cy5;Cy5.5;Cy7;IRD 700;IRD 800;La Jolla Blue;フタロシアニン;ならびにナフタロシアニン。
【0106】
本発明の多くの修飾および改変が、その精神および範囲から逸脱せずに成され得る。以下に記載される特定の実施形態は、例示のみであり、いかなる点においても本発明を限定することを意図されない。
【実施例】
【0107】
(実施例1 基本材料および基本方法)
(1.材料および反応試薬)
(1)溶液および緩衝液
RCA:H2O:NH4OH:H2O2(6:4:1)1時間煮沸
PEI:ポリエチレンイミン(Sigma P−3143)(正に荷電)
PALL:ポリ(アリルアミン塩酸塩)(Sigma 283223)
PACr:ポリ(アクリル酸、ナトリウム塩)(Sigma 416045)(負に荷電)
EDC:9.6mg/ml;50mM(×10)1−{3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、塩酸塩)、BLCPA(Sigma−161462)に対するアクチベーター
BLCPA:EZ−連結ビオチンLC−PEO−アミン(Pierce 21347)
MES 10mM中ストック溶液 50mM(21mg/ml)(×10)
Tris. PROzyme,Code:SA20中ストレプトアビジン プラス−1mg/ml(×10)
緩衝液:
MES (N−モルホリノエタンスルホン酸)PH 5.5 1M(100×)
TRIS 10mM
TRIS−MgCl2 10mM Tris、100mM MgCl2(×1)
TKMC(10mM Tris・HCl、10mM KCl、l0mM MgCl2、5mM CaCl2、pH 7.0)
EcoPol:10mM Tris・HCl、5mM MgCl2、7.5 mM DTT(25℃でpH );(×10)のポリメラーゼが付随した緩衝液
(2)他の材料および試薬
ヌクレオチド:10μMの濃度で、dTTP、dGTP、dATPおよびdCTP−Cy3
ポリメラーゼ: a) クレノウポリメラーゼI(5単位/ul)、New England BioLabs Cat.210S
b) クレノウ−エキソ、New England BioLabs Cat. 212S
c)TAQ
d)シークエナーゼ
ハイブリダイゼーションチャンバ:Sigma H−1409
ポリヌクレオチドテンプレートおよびプライマー:
7G:ビオチン−5’−tcagtcatca gtcatcagtc atcagtcatc agtcatcagt catcagtcat cagtcatcag tcatcagtca tcagtcatca gtcatcACAC GGAGGTTCTA−3’(配列番号:1)
プライマーp7G:5’−TAGAACCTCCGTGT−3’(配列番号:2);このプライマーは、Cy5またはCy3で標識され得る。
【0108】
Mu50:ビオチン5’−ctccagcgtgttttatctctgcgagcataatgcctgcgtcatccgccagc−3’(配列番号:3)
Cy5標識プライマー(PMu50Cy5):Cy5 5’−gctggcggatgac−3’(配列番号:4)
7G7A−ビオチン−5’−tttGcttcttAttctttGcttcttAttctttGcttcttAttctttGcttcttAttctttGcttcttAttctttGcttcttAttcttACACGGAGGTTCTA−3’(配列番号:5)
6TA6CG:ビオチン−5’−ccAttttttGccccccAttttttGccccccAttttttGccccccAttttttGccccccAttttttA−CACGGAGGTTCTA−3’(配列番号:6)。
【0109】
(2.基材処理およびテンプレート付着)
溶融シリカ顕微鏡スライド(1mmの厚さ、25×75mmのサイズ、Esco Cat.R130110)を使用して、DNAテンプレートを付着させた。このスライドを、上記およびWO01/32930に記載されるようなRCA方法を用いてまず洗浄した。ポリアリルアミン/ポリアクリルの多層をスライドに吸着させた。次いで、EZ連結コネクターを、以下のようにスライドに付着させた:スライドを乾燥し、ダイヤモンドペンシルで引っかき、次いでハイブリダイゼーションチャンバーでカバーした。1:1:8 EDC:BLCPA:MES(50mM EDC、50mM BLCPA、10mM MES)の混合物120μlを、各スライドに塗布した。20分間のインキュベーション後、0.1mg/mlに希釈したストレプロアビジンプラス120μlを、スライドに添加した。20分間のインキュベーション後、スライドを、200μlのTris 10mMで洗浄した。
【0110】
10pMオリゴの調製:7Gオリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号1)を、TRIS−MgCl2緩衝液中(7μMのストック中)でCy5標識プライマー(配列番号2)を用いてプレハイブリダイゼーションした。処理したスライドを、TIR顕微鏡を用いて汚染について試験した。200μlのオリゴヌクレオチド/プライマー混合物を、各スライドに塗布した。10分間のインキュベーション後、このスライドを、200μl mlの10mM Trisで洗浄した。
【0111】
ヌクレオチドおよびポリメラーゼの添加:ヌクレオチドdTTP、dATP、dGTPおよびCy3−dCTPそれぞれ20〜100nMを、ECOPOL緩衝液中で混合した。ストック溶液(−20℃に維持)由来のクレノウ210S 1μlを、200μlのヌクレオチド混合物に添加した。次いで、120μlの混合物を、各スライドに添加した。0〜30分間のインキュベーション後(異なる実験について)、スライドを、TIR顕微鏡を用いて試験した。特に示されない場合、全ての反応を、室温で実行したが、反応試薬を、4℃または−20℃に維持した。プライマー/オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション反応を、サーモサイクラー機械を用いて実行した。
【0112】
一分子分解能を、1つのみのテンプレート分子しか、スライドの異なるスポットに付着されないことを保証する、超低濃度のポリヌクレオチドテンプレートを用いることによって、達成した。異なるものへの単一分子の付着はまた、付着したフルオロフォアの単一の退色パターンを観察することによって確認される。上記の反応において、約10pMの80マーのオリゴヌクレオチドテンプレートの濃度を、スライドへ固定化するために使用した。スライド表面に付着した異なるDNA分子間の間を、数μmで測定した。
【0113】
(3.一分子分解能の想定)
図1に図示するように、Cy5標識化プライマー配列(配列番号2)でプライムした1本鎖オリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号1)を、一分子分解能にて、ビオチン−ストレプトアビジン結合を使用してシリカスライドの表面に固定化した。この表面を、ビオチン(EZ結合)がテザー化されるポリマーでコーティングした。オリゴヌクレオチドテンプレート(その末端の1つに結合されるビオチン分子を有する)は、ストレプトアビジン連結表面に結合し得た。非結合ヌクレオチドを取り除くのを介助するスライド表面は、負に荷電された。DNAを、その5’末端に特異的に結合し、これは、プライマー(これはポリメラーゼが伸長する)が表面から離れていることを意味する。
【0114】
テンプレートおよび標識化ヌクレオチドの組み込みを、蛍光画像化で可視化した。オリゴヌクレオチドの位置を、Cy5標識プライマー(配列番号2)からの蛍光によりモニターした。ヌクレオチドの組み込みを検出した。なぜならば、このヌクレオチドは、Cy3で標識されていたからである。組み込みの後、組み込まれた標識を、照射した。Cy3の照射は、532nmの波長であった。継続する数秒の代表的な時間の照射の後、シグナルを、代表的には単一の工程で漂白した。
【0115】
図2に示すように、単一の分子解像度を有する蛍光シグナルの画像化を、全反射(TIR)による表面照射を用いて可能にした。Ishijimaら(Cell 92:161−71;1998)は、湿環境中で表面に固定化される単一分子の蛍光を観察することが、遊離分子が溶液中に存在する時でさえ、可能であることを示した。ここで、TIRを、シリカスライド表面へのレーザー光線のドーブプリズム結合により促進した。液浸油対物レンズを備える直立顕微鏡を使用して、増強CCD(PentaMax)で表面を画像化した。フィルタセット(Chroma)を使用して、照射頻度を却下し、そして、蛍光頻度をICCDに達成させた。
【0116】
(実施例2:テンプレート分子の基材表面への特異的結合についての試験)
この実験は、ポリヌクレオチドテンプレートが所望の表面に結合するか否かを決定するために実施した。図3は、テンプレートの表面への結合、従って組み込まれた蛍光シグナルの検出にストレプトアビジンが必要とされることを示す。左のパネルは、蛍光標識ではなくストレプトアビジン結合表面のみが存在した場合に蛍光シグナルが存在しないことを示す。中央のパネルは、ビオチン標識化オリゴヌクレオチドテンプレートに結合するためのス表面にトレプトアビジンが存在しない場合、Cy5標識プライマーが存在してさえも、組み込まれた蛍光シグナルが存在しないことを示す。右のパネルは、ストレプトアビジン結合表面、標識化プライマーおよびビオチン標識化オリゴヌクレオチドテンプレートが存在した場合の組み込まれた蛍光シグナルの検出を示す。
【0117】
(実施例3.標識化ヌクレオチドの存在下でのDNAポリメラーゼの前進性の決定)
DNAポリメラーゼが標識化オリゴヌクレオチドをテンプレートに正確に組み込むか否かを決定するために、バルク伸長実験を、基材の表面上ではなく試験管内で実施した。図5中に示すように、結果は、ポリメラーゼが、全ての標識化ヌクレオチドを正確な位置に組み込むことを示す。この実験において、dCTP−Cy3および重合ターミネータ−であるddCTPの組み込みを、7GDNAテンプレート(7塩基ごとにG残基を有するDNA鎖;配列番号1)を使用して検出した。アニール化プライマーを、非標識化dATP、dGTP、dTTP、Cy3標識化dCTP、およびddCTPの存在下で伸長させた。Cy3−dCTPおよびddCTPの比率は3:1であった。反応生成物を、ゲル上で分離し、蛍光を励起させ、そして、自動配列決定機ABI−377を使用してシグナルを検出した。結果は、Cy3−dCTPの組み込みが7Gオリゴマーテンプレートに沿うさらなるプライマー伸長を干渉しなかったことを示す。
【0118】
図5は、7Gオリゴマーテンプレート(配列番号1)中の異なるG残基でのddCTPの組み込みにより終結された様々な長さのプライマー伸長生成物からの蛍光強度を示す。第1のバンドは、ゲルの末端であり、そして、このバンドがゲルのまさに最初にある場合にはカウントされるべきでない。テンプレートの全長は、100残基である。第1のバンド(グラフ中に「1」と記す)は、第2のG残基(27位)での非標識化ddCTPの組み込みにより終結された伸長産物に対応し、第1のG残基(20位)で組み込まれたCy3−dCTPを有する。同様に、10番目のバンド(グラフ中に「10」と記す)は、10番目のG残基(90位)での非標識化ddCTPの組み込みにより終結された伸長産物を示し、そして、前のG残基(すなわち、20位、27位、34位、41位、48位、55位、62位、69位、76位および83位)で組み込まれたCy3−dCTPを有する。この結果は、ポリヌクレオチドテンプレート中のCy3の組み込みについて予想された位置と蛍光強度バンドの位置との間に良好な一致を示した。
【0119】
(実施例4.TIRによる単一ヌクレオチド組み込みの決定)
全反射(TIR)蛍光顕微鏡を用いて、標識化ヌクレオチドの単一の固定化ポリヌクレオチドテンプレートへのリアルタイム組み込みの検出が可能となる。この照射法は、表面付近の薄層(例えば、150nm程度)のみを照射することにより、サンプルからのバックグラウンドを減少する。溶液中の遊離色素の存在下(50nMまで)でさえ、単一分子が観察され得る。TIRを使用して、本発明者らは、溶液中の50nMまでの遊離色素の存在下で、DNAに結合される標識化ヌクレオチドの単一分子を可視化した。この濃度は、DNAポリメラーゼによるヌクレオチドの高率での組み込みのために必要とされる濃度と比較して低いが、その操作には十分である。
(1.光学設定)
レーザー供給源を図2中に示し、光源(例えば、レーザー)を、プリズムにより表面に連結する。この表面を、増強CCD(Pentamax)上の標準1.3NA顕微鏡対物レンズによって画像化する。光学経路中の蛍光フィルタ(Chroma filters)は、レーザー強度をブロックし、そして、色素分子からの蛍光シグナルの通過を可能にする。必要に応じて、レーザーのためのカメラおよびシャッターを、コンピューターによって制御する。
【0120】
(2.照射)
図6中に示すように、ポリヌクレオチド結合スライドのTIR照射は、低いバックグラウンドを生成し、そして、固定化標識からのみのシグナルの検出を可能にした。表面の下の融合シリカガラスおよび油の屈折率は、約1.46である。ガラス上の液体の屈折率は、約1.33〜約1.35である。ガラスおよび水の界面で、照射線は屈折された。照射が非常に浅い(表面直角から70°〜75°)場合、屈折光は、反射し返し、そして、全反射についての臨界角が約65°〜約67°(TetaCitical=sin−1(n1/n2))である場合、液相中に入らない。
【0121】
照射プロセス(一過性照射(evanescent illumination)と呼ばれる)は、約150nmでのみ液相中に照射する、境界面付近に崩壊領域を残す。蛍光発色団色素は、この領域により励起され得る。従って、表面付近の色素のみが放射される。さらに、溶液中の遊離標識化ヌクレオチド分子は、ブラウン運動に起因して、動き回る。これらの遊離分子の迅速な動きは、統合時間(integration time)が100ミリ秒程度なので、汚れた(smear)シグナルしか生成しない。従って、全反射照射は、遊離分子からの低いバックグラウンドを導き、そして、固定化色素からのシグナルのみが検出される。
【0122】
(3.単一分子の検出)
図6は、溶液中の遊離色素を有さない単一Cy3分子からのシグナル 対 溶液中の15nMのCy3のバックグラウンドを有する単一Cy3分子からのシグナルの検出を示す。Cy3標識化ヌクレオチドの組み込みからの蛍光画像を、上段のパネルに示す。このシグナルは、単一の工程で漂白される傾向があり、上段のグラフを参照のこと。溶液中に遊離標識化ヌクレオチド(15nMの遊離色素)が存在する場合、バックグラウンドシグナルは、溶液中に遊離標識化ヌクレオチドが存在しないバックグラウンドシグナルよりも強い(右下のパネル)。しかし、組み込まれた単一分子からのシグナルは、なお検出され得る。遊離色素の存在下での単一分子を検出する能力は、リアルタイムにおけるヌクレオチドの固定化DNAテンプレートへの組み込みの追跡を可能にする。
【0123】
図6の左上のパネルは、単一分子の代表的な画像を示す(輝くスポットを参照のこと)。スポットの強度が、リアルタイムで追跡される場合(上段右パネル)、この強度は、現われ(組み込み事象または表面への固着事象)、そして、消失する(漂白事象または脱離事象)。同一の結果をまた、図6の中段の長細いパネル中に図示する。このパネルは、追跡されていたスポット周辺の小さい領域の完全な画像を示す。蛍光シグナルが現れ、そして、数秒ごとの後に消滅した(各フレームは、2回目の曝露である)。
【0124】
(実施例5.蛍光スポットの対比に基づくヌクレオチド組み込みの決定)
表面上の固定化DNAテンプレート(蛍光的に標識されたプライマーにより示される)と表面へのヌクレオチドの組み込みとの間の相関性を観察した。図4において、Cy5標識化プライマーにハイブリダイズされた固定化DNAの画像を、上段の2つのパネル中に示した(中段のパネルは、左のパネル中の小さな領域の拡大画像である)。画像中の小さなドットは、表面上に固定化されたDNAテンプレートの起こり得る位置を表す。次いで、蛍光シグナルを、10mWのレーザーダイオードを用いて、635nmでの長期放射(約1分)により漂白した。続いて、ポリメラーゼおよびヌクレオチド(Cy3標識化dCTPを含む)を添加し、そして、この混合物を、約1時間室温でインキュベートした。洗浄後、表面の2回目の画像を取得した。今回は、新しいセットの蛍光標識化ポイントが現れた(左下の2つのパネルを参照のこと)。この結果は、蛍光標識化ポイントの2つのセットが関連することを示す(右パネルを参照のこと)。DNAプライマー位置(Cy5)とdCTP組み込み位置(Cy3)との間の有意な重複(約40%)が、無作為な結果でありえないことを記載する。本実験で使用する標識化プライマーの濃度下で、生じるためのこの相関性についての可能性は、約10−50であると無作為に算出した。正確には、この相関性は、Cy3標識化ヌクレオチドの固定化Cy5標識化プライマーへの組み込みに起因する。
【0125】
標識化ヌクレオチドの固定化テンプレートへの組み込みをまた、図7中に示す複数の組み込みデータにより実証した。図4中のスポットの強度を測定する場合、多段階漂白工程を、観察する(図7、上段左パネル)。複数の漂白工程の模擬実験を、上段右パネル中に示す。この結果は、ほとんどの分子が、光分解まで同じ位置に配置されないと想定されるべきものであった。これは、ポリメラーゼが、少しの標識化ヌクレオチドを同一のDNAテンプレートに組み込み得ることを示す。コントロール実験において、ddATP、dCTP−Cy3およびdGTPを使用して、Cy5標識化プライマーPMu50Cy5、Cy5 5’−gctggcggatgac−3’(配列番号4)をMu50オリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号3)に沿って伸長した。これは、1つのCy3標識化ヌクレオチドのみがプライマーに組み込まれることを可能にする。なぜならば、プライマーの後のテンプレート配列中の第1のコドンがCGTであるからである。dCTP−Cy3の組み込み直後のddATPの組み込みは、伸長を終結する。右下のパネル中に示すように、複数の漂白工程はない。
【0126】
表面上のDNAテンプレートの濃度は非常に低いので、DNAテンプレートの1つよりも多いコピーが各スポット上に存在したことはありそうにないことが示される。さらに、複数の漂白工程は、ポリメラーゼが存在しなかった場合、一般的でない(データは示さず)。特に、ポリメラーゼが存在しない場合、プライマー位置と表面からの蛍光シグナルとの間に相関性はない(例えば、図13、中段パネルを参照のこと)。
【0127】
(実施例6.ヌクレオチド組み込みの動力学)
図8は、DNAポリメラーゼ反応の間の組み込み事象の時間経過を示す。本実験において、DNAテンプレートとCy5標識化プライマーの複合体を、上記のとおりに基材表面に固定化し、そして、その位置を画像化した。次いで、DNAポリメラーゼを、ヌクレオチドとともに添加し、このヌクレオチドの1つは、Cy3で標識される。
【0128】
図中に示すように、基材を、1秒の曝露を用いて10秒ごとに画像化した。固定化DNAテンプレートを有する各スポット(標識化プライマーにより示される)を、時間の関数としてモニターした。これらのスポットの一連の小さな画像を、ストリップに沿って配置し、これによって、各ポイントにて「活性」を示す映像を生じた。
【0129】
ヌクレオチドのDNAテンプレートへの反復組み込みを、図9中に示した。より多い色素を使用することで、本発明者らは、非同式の様式でDNA配列を直接読み取ることが可能になる。図9は、8つの異なるスポットでの動的な組み込み事象を示す。これらの映像中に記録されるデジタル情報は、反復組み込み事象が、様々な時点で生じたことを示す。このデータはまた、単一DNA分子に対するプライマー伸長活性をモニターする実行可能性を実証した。
【0130】
図10は、単一のスポット上の組み込み事象の数のヒストグラムおよび組み込み事象間の時間のヒストグラムを示す。このヒストグラムから、少しのヌクレオチドが単一のDNA分子に組み込まれることを見ることができる。3つより多いヌクレオチドが組み込まれる低数の事象は、この実験条件下での多数のDNAへの組み込みを妨げるいくつかの機構があることを示す。この理由は、照射された色素の周囲領域におけるDNAへの光損傷(photo−damage)が、有毒なラジカルを生じ得るということであり得る。反応条件および試薬を変化することは、組み込まれたヌクレオチドの数を劇的に増大し得た。
【0131】
(実施例7 塩基ごとの配列分析)
本実験を実施して、ポリメラーゼの選択性を確認し、そして、塩基ごとのスキームを用いたポリヌクレオチドテンプレートの配列を決定する実施可能性を図示した。
【0132】
第1に、組み込みにおけるポリメラーゼの忠実性を、固定化プライマーの位置とヌクレオチド組み込みとの間の関連性を、相関グラフを用いて分析することで確認した。図11は、プライマー位置とポリメラーゼ活性位置との間の相関性を示す。各ポイントの位置を、サブピクセル解像度を用いて決定した。プライマー位置および組み込み位置のための画像を最初に取得した。この2つの間に相関性がある場合、相関グラフ中に候補(pick)が存在する。にもかかわらず、1つの候補も観察されなかった。図中に示すように、2つの画像は、互いに関連する。
【0133】
一分子分解能での固定化テンプレートの配列の塩基ごとの分析を実証する結果を、図12中に示す。このデータは、テンプレートの少なくとも2つの塩基が、異なる型の標識化ヌクレオチド(例えば、dCTP−Cy3、dUTP−Cy3など)とともに試薬を流し込み、そして流し出すことによって決定されたことを示した。ここで、6TA6GCオリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号6)を、融合シリカスライドに固定化した。Cy3標識化p7Gプライマー(配列番号2)を、テンプレートにアニールした。図中に図示するように、プライマーを、最初に、非標識化dATPヌクレオチドを用いてA残基まで伸長した。次いで、dUTP−Cy3ヌクレオチドを組み込み、そして、画像化した。この時点で取得した画像は、高い相関性を示した(相関グラフの上段左を参照のこと)。色素の漂白後、dCTP−Cy3を、サンプルに供した。この時点で取得したサンプルは、低い相関性を示す(相関グラフの下段左を参照のこと)。従って、非標識化dGTPを添加し、配列中のG残基まで、CCCCCギャップを充填した。この時点で、dCTP−Cy3ヌクレオチドの組み込みを、再び試験した。この時点で、一般に、dCTP−Cy3位置とプライマー位置との間の相関性があり、特に、第1の組み込みサイクル中の組み込まれたdUTPの位置と相関性があった。その後、dUTP−Cy3を添加した。標識化プライマー位置とdUPT−Cy3からのシグナルとの間の相関性が見出されたが、新しいdUPT−Cy3位置と第1の組み込みサイクル中での組み込まれたdUTPを有する位置との間の相関性は見出されなかった(下段右グラフ)。この解釈は、全てのプライマーが第1のdUTP組み込みサイクル中で伸長したわけではなく、伸長されなかったプライマーが、第2の組み込みサイクルにおいてdUTPを組み込み得、第1のサイクルでdUTPを組み込んだプライマーは、第2のサイクルで再びdUTPを組み込み得なかったということである。この結果は、第1のU残基を組み込んだこれらのスポット上で、U残基ではなくCの組み込みがまたあったということを示す。従って、第2の塩基の同一性は、実験的スキームを使用して決定され得るが、第2の塩基についての収率(上段右グラフ)は、第1の塩基の収率(上段左グラフ)ほど良くない。
【0134】
コントロール実験において、A残基で充填した後、dCTP−Cy3(第1の塩基について誤ったヌクレオチド)を添加した。Cy3標識化プライマー位置とC−Cy3との間の相関性は低かった(データは示さず)。別のコントロールにおいて、A残基の配列を充填した後、U残基、G残基およびU−Cy3(第2の塩基について誤ったヌクレオチド)を添加した。この実験における結果から観察された相関性は低かった(ノイズレベルで;データは示さず)。異なるオリゴヌクレオチドテンプレートを使用して、実験スキームを、2つ以上のヌクレオチドの他の組合せの完全な組み込みのために繰り返した(データは示さず)。この結果は、高いシグナル 対 ノイズ比を有する第1の標識化ヌクレオチドの正確な組み込み、続く相対的に低いシグナル 対 ノイズ比を有するより多くのヌクレオチドの組み込みを確認した。これらをあわせて、これらのデータは、観察された結果(図12中に示すように)は、人工的なものに起因せず、むしろこの実験スキームの塩基ごとの分析の有効性を実証することを示す。
【0135】
(実施例8.2色組み込み:蛍光共鳴エネルギー移動)
本実験は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の検出を介して、2つの異なる蛍光標識の同一の固定化ポリヌクレオチドテンプレートへの組み込みを実証する。本実験において、2つの蛍光標識(Cy5およびCy3)を使用して、そして、dUTP−Cy3(ドナー)からdCTP−Cy5(アクセプター)へのFRETを、図13に示すように、単一分子レベルで試験した。
【0136】
標識化プライマーを用いたDNAテンプレートの画像を、左のパネルに示す。2つの標識の組み込み後のFRETの検出を、右の画像中に提供する。テンプレートの位置と組み込みシグナルとの間の相関性を、真ん中のグラフに示す。示すように、テンプレート位置と組み込まれたヌクレオチド位置との間に高い相関性がある。ポリメラーゼが存在しないコントロール実験を実施した。コントロール実験からの結果は、テンプレート位置と標識化ヌクレオチドの位置との間の低い相関性を生成した。FRET実験は、特に高いシグナル 対 ノイズ比を提供した。なぜならば、色素の表面への非特異的組み込みからのシグナルがほとんどないからである。
【0137】
2つの標識が、近傍で(すなわち、数nmの距離で)プライマーに組み込まれる場合、単一分子FRETシグナルを検出した(図14)。FRETシグナルを検出するために、光学設定を変更した。画像スプリッタを、同じ領域を2回画像化するように添加した(Optical Insights LTD、micro imager device)。1つのチャネルにおいて、蛍光フィルターはドナー(Cy3)蛍光のみを検出した。他のチャネルにおいて、アクセプター(Cy5)のためのフィルターを配置した。この設定を用いて、個々のスポットを、組み込み後に試験した。図15はさらに、このFRET検出スキームが、良好なシグナル 対 ノイズ比で組み込み率の測定を可能にすることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、処理されたポリヌクレオチドの固定化および標識ヌクレオチドの組み込みを模式的に示す。
【図2】図2は、全内部反射顕微鏡についての検出システムの光学設定を模式的に示す。
【図3】図3は、ストレプトアビジンが、例示される実施形態においてポリヌクレオチドテンプレートを固定化するために必要とされることを示す結果を示す。
【図4】図4は、固定化プライマー中に標識ヌクレオチドを組み込みDNAポリメラーゼが、一分子分解能により可視化されることを示す結果を示す。
【図5】図5は、ビオチンで標識された7Gオリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号1)およびp7Gプライマー(配列番号2)を用いた、溶液中でのバルク実験における複数の標識ヌクレオチドの組み込みを示す。
【図6】図6は、水溶液中の遊離ヌクレオチドからの低いバックグラウンドシグナルおよび組み込まれたヌクレオチドからのシグナルの検出を示す。
【図7】図7は、実験および複数のブリーチング(bleaching)のシミュレーションの結果を示す。
【図8】図8は、固定化プライマー内への標識ヌクレオチドの組み込み動態を示す。
【図9】図9は、長時間にわたる標識ヌクレオチドの組み込み事象を示す。
【図10】図10は、長時間にわたる複数の標識ヌクレオチドの組み込みの統計を示す。
【図11】図11は、標識プライマーの位置と標識ヌクレオチドの組み込みの位置との間の相関を示す。
【図12】図12は、6TA6GCオリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号6)およびp7Gプライマー(配列番号2)を用いる、2つの標識ヌクレオチドの組み込みについての相関グラフを示す。テンプレートの部分配列(5’−GccccccAtttttt−3’(配列番号7))、および伸長産物(5’−aaaaaaUggggggC(配列番号8))もまた、この図の中に示される。
【図13】図13は、2つの異なる標識が同じプライマー内に組み込まれる場合の、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の検出を示す。ここで使用されるポリヌクレオチドテンプレートは、7G7Aオリゴヌクレオチド(配列番号5)であるが、配列の一部分(5’−AttctttGcttcttAttctttGcttcttAttctttG−3’(配列番号9))のみが、この図の中に示される。
【図14】図14は、一定時間にわたる、一分子のFRETシグナルの相関を示す。
【図15】図15は、ドナーおよびアクセプターの2つの色が逐次組み込まれる実験から予想されるシグナルを示す。テンプレートの部分配列(5’−GccccccAtttttt−3’(配列番号7))、および伸長産物(5’−aaaaaaUggggggC(配列番号8))もまた、この図の中に示される。
【0001】
(技術分野)
本発明は、高感度かつ高平行度でポリヌクレオチド配列を分析するための新規の方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
仮出願ではない本特許出願は、米国仮特許出願60/275,232(2001年3月12日出願)の利益を主張する。この米国仮特許出願60/275,232の開示は、本明細書によりその全てにおいて、そして全ての目的のために参考として援用される。
【0003】
(発明の背景)
ポリヌクレオチド配列を分析するための方法は、2つの主要な分野に分類され得る:電気泳動法および非電気泳動法。この電気泳動法としては、スラブゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、微細加工キャピラリーアレイ、および自由溶液(free solution)電気泳動が挙げられる。これらの方法全てが、ポリヌクレオチド鎖伸長インヒビターがポリヌクレオチド鎖中に組み込まれ、次いで、それらのポリヌクレオチド鎖は、通常ポリアクリルアミドゲルにおいてそれらのサイズに従って分離される、サンガー法を頼っている。これらの方法は、今日、ポリヌクレオチド配列を分析するための一般的な方法である。しかし、このプロセスは、時間がかかり、大量の標的ポリヌクレオチドおよび反応試薬を必要とし、そしてゲル電気泳動法に固有の長い配列を読む能力に制限がある。非電気泳動法としては、パイロシーケンシング法、ハイブリダイゼーションによる配列決定法、大量のパラレルサイン(parallel signature)配列決定法、および質量分析法による配列決定法が挙げられる。これらの方法はまた、多くの不都合を有する。例えば、これらは、通常、ポリヌクレオチドテンプレートの同期化を必要とし、この同期化は、必然的に配列決定反応の各サイクルにより減衰する。
【0004】
従って、当該分野において、ポリヌクレオチド配列を分析するためのより良い方法(例えば、高処理能力、高平行度、および高分解能を有する方法)が必要とされる。本発明は、この必要性および他の必要性を満たす。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、標的ポリヌクレオチドの配列を分析するための方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:(a)基材表面に固定化された、処理された(primed)標的ポリヌクレオチドを提供する工程;ここで、この標的ポリヌクレオチドは、一分子分解能によりその基材表面に付着される;(b)相補ヌクレオチドが、標的ポリヌクレオチドにおけるテンプレートとして作用するように存在する場合、ポリメラーゼの存在下、第1の蛍光標識されたヌクレオチドがプライマーに付着する条件下で、その第1の蛍光標識されたヌクレオチドを基材表面に加える工程;(c)標的ポリヌクレオチドが固定化された表面上の蛍光シグナルの存在または非存在を決定する工程であって、そのシグナルの存在は、第1のヌクレオチドがプライマー中に組み込まれたこと、それゆえに標的ポリヌクレオチドにおけるテンプレートとして作用する相補塩基の同一性を示唆する、工程;および(d)さらなる蛍光標識されたヌクレオチド(第1のヌクレオチドと同じかまたは異なる)を用いて、工程(b)〜工程(c)を繰り返す工程であって、これによって、そのさらなるヌクレオチドが、そのプライマーまたは以前にプライマー中に組み込まれたヌクレオチドに付着する工程。
【0006】
いくつかの方法において、複数の異なる処理された(primed)標的ポリヌクレオチドが、基材の異なる部分に固定化される。いくつかの方法において、工程(b)〜工程(c)は、4つの異なる型の標識ヌクレオチドを用いて少なくとも4回実施される。いくつかの方法において、工程(b)〜工程(c)を、標的ポリヌクレオチドの各塩基の同一性が同定されるまで実施される。いくつかの方法において、工程(c)の後、シグナルを除去するさらなる工程が存在する。いくつかの方法において、全ての成分が同時に存在し、そして組み込みの継続的(continues)観察が亢進される。
【0007】
本発明のいくつかの方法において、蛍光シグナルの存在または非存在は、全反射蛍光(TIRF)顕微鏡を用いて決定される。いくつかの方法において、標的ポリヌクレオチドは、蛍光標識されたプライマーによって(例えば、Cy5またはCy3によって)処理される。本発明のいくつかの方法は、Cy3またはCy5によって標識されたヌクレオチドを用いる。
【0008】
種々の材料が、標的ポリヌクレオチドを固定化するために使用され得る。いくつかの方法において、融解シリカまたはスライドガラスが使用される。いくつかの方法において、その基材表面は、高分子電解質多層(PEM)でコートされる。このPEMは、ポリアニオンにより末端処理され得、このポリアニオンは、その表面にヌクレオチドを寄せつけず、そして表面への非特異的結合を減少させるのを補助する。このポリアニオンは、ペンダントカルボン酸基を保持し得る。これらの方法のいくつかにおいて、標的ポリヌクレオチドはビオチン化され、そして基材表面は、ストレプトアビジンによってコートされる。しばしば、その表面は、ストレプトアビジンでコートする前にビオチンでコートされる。いくつかの方法において、その表面は、ビオチンの付着前に、カルボン酸基で末端処理された高分子電解質多層(PEM)でコートされる。
【0009】
本発明のいくつかの方法において、上記基材の表面を照射するための光源および上記表面からのシグナルを検出するための検出システムが使用される。必要に応じて、適切にプログラムされたコンピューターがまた、ヌクレオチドが固定化プライマー中に組み込まれるようになる場合、そのヌクレオチドの同一性を記録するために使用される。
【0010】
別の局面において、本発明は、本発明の方法を実施するための装置を提供する。代表的に、この装置は、以下を含む:(a)一分子分解能を用いて標的ポリヌクレオチドを固定化するための基材を収容するフローセル(flow cell)と;(b)フローセル中およびフローセルを介して流体が流動するための、フローセルと流体連絡した入口および出口;(c)その基材表面を照射するための光源;および(d)上記表面からのシグナルを検出するための検出システム。この装置のいくつかは、微細加工されている。これらの装置のいくつかにおいて、基材は、微細加工された合成チャネルである。
【0011】
本発明の本質および利益のさらなる理解は、明細書の残りの部分、図面および特許請求の範囲を参照することによって理解され得る。
【0012】
本明細書中に引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、本明細書中に、その全てが参考として、各々が個々に示されるのと同じ範囲で全ての目的のために、明白に援用されている。
【0013】
(詳細な説明)
(I.概論)
本発明は、高感度で、並行して、かつ長い読み取り枠で、ポリヌクレオチドを分析するための方法および装置を提供する。本発明は、一分子分解能を用いて、時間分離様式で、固定化されたポリヌクレオチドテンプレート分子への標識されたヌクレオチドの組み込みの可視化することに一部基づく。各々の固定化テンプレート分子が、個々に読み取られるので、異なる分子間での同期化は、必要とされない。その代わり、本発明の方法を用いると、標的ポリヌクレオチド配列の分析のためには、非同時性の塩基の伸長で十分である。
【0014】
本発明のいくつかの局面において、一分子分解能は、基材の表面に非常に低濃度のテンプレート分子を固定化する工程、この表面をコーティングして、テンプレート付着を容易にし、かつバックグラウンドノイズを低減する表面化学物質を作製する工程、ならびに全反射蛍光顕微鏡法を用いてヌクレオチド組み込みを画像化する工程によって達成された。一分子分解能を用いた分析は、異なる分子の個々の特性をモニタリングするという利点を提供する。このことは、多数の分子が一緒に測定されるバルク測定では明らかにされ得ない個々の分子の特性の同定を可能にする。さらに、速度論を決定するために、バルク測定は分子またはシステムの状態の同期化を必要とするが、一方で、単分子分析においては、同期化の必要がない。
【0015】
本発明を用いた分析に適するポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAであり得る。この分析は、配列分析、DNAフィンガープリンティング、多型同定、または遺伝子発現測定のためのものであり得る。この方法はまた、他の生体高分子の活性(例えば、RNA翻訳およびタンパク質アセンブリ)を分析するために用いられ得る。好ましい実施形態において、この方法は、固体基材(例えば、スライドガラス)の表面へのプライミングされたポリヌクレオチドテンプレートの固定化を必要とする。このテンプレートは、(例えば、蛍光色素を用いて)標識されたプライマーに予めハイブリダイズされて、その結果、その表面上のこれらの位置は、単分子感度で画像化され得るようにされる。一過性のライトフィールド(evanescent light field)が、この蛍光標識されたポリヌクレオチド分子を画像化するために、この表面に設定される。この一過性のフィールドはまた、ポリメラーゼの存在下での固定化されたプライマーへの蛍光標識されたヌクレオチド三リン酸(dNTPまたはNTP)の組み込みの際に、それらを画像化するために用いられ得る。
【0016】
本発明の方法は、ポリヌクレオチド配列分析における種々の適用を見出す。いくつかの適用において、静的アプローチが使用される。そのようなアプローチは、任意の所定の時間に、1つの型のみの標識されたヌクレオチドを伸長反応に添加する工程を含む。標的ポリヌクレオチド中の次のテンプレート残基が相補的な型である場合、このシグナルは、このプライマー中に組み込まれる。そうでなければ、異なる型の標識されたヌクレオチドが、正しい残基が組み込まれるまで用いられ得る。他の適用において、動的アプローチが、使用される。これらの方法において、4つ全ての型のヌクレオチド(少なくとも1つの型が、標識されている)が、この反応中に同時に存在し、そしてこのプライマーへのこのシグナルの組み込みが、動的にモニターされる。例えば、組み込まれたシグナルは(好ましくはこのプライマーにこのヌクレオチドが組み込まれる速度より速い速度で)、連続的に画像化される。
【0017】
好ましくは、このテンプレートまたは組み込まれたヌクレオチドの可視化は、全反射(TIR)蛍光顕微鏡法を用いて認識される。TIR技術を用いて、この励起光(例えば、レーザービーム)は、この基材に近接する小体積の液体(励起ゾーン)のみを照らす。励起ゾーンに存在しない溶液中の遊離のヌクレオチドからのシグナルは、検出されない。遊離のヌクレオチドが、この励起ゾーンを迅速に移動するので、励起ゾーンに拡散する遊離のヌクレオチドからのシグナルは、広いバンドのバックグラウンドとして現れる。必要に応じて、この蛍光シグナルは、1回以上の組み込みの後で、フォトブリーチング(photobleaching)または化学的手段によって除去される。この方法はまた、ミクロ流体手段を用いて反応試薬の流れを制御し得る。そのような方法において、標識されたヌクレオチドおよび他の反応試薬は、迅速かつ経済的な方法で交換され得る。
【0018】
さらに、迅速な流体交換を可能にするミクロ流体デバイスを用いると、ヌクレオチチドおよび/または他の反応試薬の濃度は、この分析の異なる時点で交替(alternate)し得る。このことは、組み込み速度およびこの分析の感度を増加させ得る。例えば、ヌクレオチドの動的な組み込みをモニターするためにこの反応において4つ全ての型が同時に存在する場合、これらのヌクレオチドの濃度は、μMの範囲とnM未満のヌクレオチド範囲との間で変化し得る。このことは、低濃度ヌクレオチドが存在する場合でのこのシグナルのより良好な可視化、およびより高い濃度のヌクレオチドが存在する場合での増加した重合速度の両方を導く。ミクロ流体デバイスを用いると、濃度が交替され得る速度は、20〜30ヘルツ程度の速さであり得る。ヌクレオチドの濃度を交替させることはまた、静的配列分析アプローチにおけるシグナルの可視化および重合速度を改善することに対しても有益である。このアプローチにおいて、固定化されたテンプレート/プライマー複合体に所定の型の標識されたヌクレオチドを添加しそして組み込みのための十分な時間の後で、遊離のヌクレオチド(および溶液中の他の反応試薬)は、ミクロ流体デバイスを用いて流れ出され得る。このことは、このシグナルが可視化されるときに、かなりより低濃度の遊離のヌクレオチドを残す。必要に応じて、このシグナルが画像化される前に、さらなる洗浄工程が、使用されて、この遊離のヌクレオチド濃度をさらに減少させ得る。
【0019】
いくつかの方法において、この4種類のヌクレオチド三リン酸に対して4種類の異なる蛍光標識を用いて、ポリヌクレオチド配列分析が達成される。組み込まれたシグナルが画像化され、次いで次の組み込みサイクルの前にフォトブリーチングされる。一続きの同一の塩基(例えば、AAAAA)は、例えば、放射スポットでのフルオロフォアの数が決定され得るようにシグナルの強度をモニタリングすることによって同定され得る。さらに、2つの異なる型の蛍光色素が、同じDNAに組み込まれる場合、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に起因するシグナルが、個々のDNA鎖から検出され得る。そのようなシグナルは、固定化されたテンプレートポリヌクレオチドの配列情報を決定するために有用である。
【0020】
従って、いくつかの方法において、複数の型の標識されたヌクレオチド(例えば、各々異なる蛍光色素で標識された2〜4つの型)が、伸長反応の間、同時に添加され得る。いくつかの方法において、1つの型の標識されたヌクレオチドが、一つの工程で添加され、そして各々の伸長サイクルが、相補的ヌクレオチドの組み込みを観察するために、4つのそのような工程を包含し得る。いくつかの方法において、4つ全てに満たないdNTPが、標識される。例えば、この分析は、そのヌクレオチドのうちの2種類のみを標識し得る。異なる対(例えば、AT、AG、AC,TG、TC,GC)を用いてこの実験を繰り返すことによって、元のヌクレオチド配列が、表され得る。いくつかの方法において、この組み込み/伸長反応は、複数コピーのテンプレートポリヌクレオチドを用いて実施され得る。あるいは、1つの固定化されたテンプレート分子が、この伸長された分子を変性させること、新しく合成された鎖を除去すること、新しいプライマーをアニーリングすること、次いで、新しい試薬を用いて、この実験をインサイチュで繰り返すことによって、繰り返し用いられ得る。
【0021】
本発明はまた、例えば、2種類または3種類の標識されたヌクレオチド種のみを用いることによって、標的ポリヌクレオチドの部分配列情報を得るためにも有用である。既知の配列データベースと組み合わせた、この配列中での2種類または3種類のヌクレオチド種の相対位置は、この標的配列の正体の決定(すなわち、その標識配列が、既知の配列と同一であるかまたは関連するか否か)を容易にし得る。そのようなアプローチは、例えば、cDNAライブラリの配列決定による遺伝子発現の決定において有用である。
【0022】
本発明の方法は、先行技術の配列決定法で観察された問題の多くを回避する。例えば、
多くの分子が、同時にかつ高密度(例えば、約10μm2の表面積あたり1分子のテンプレート分子)で分析されるので、この方法は、高度に並行している。従って、多くの異なるポリヌクレオチドが、単一の基材表面上で、同時に配列決定または遺伝子型決定され得る。さらに、4種類全てのヌクレオチドが同時に添加され得るので、いくつかの方法においては、ヌクレオチドの段階的な添加が必要でない。むしろ、ポリメラーゼが4種類全てのヌクレオチドを成長するポリヌクレオチド鎖を組み込むのにつれて、配列情報が、連続的に作成され得る。単一コピーのテンプレート分子のみから得られた情報がその配列を決定するために必要とされるので、この方法はまた、非常に高感度である。このポリヌクレオチドテンプレートからのこの伸長産物の放出(例えば、このテンプレートを変性し、そして異なるプライマーとアニーリングすることによる)は、異なるセットのヌクレオチドを有する同じテンプレート分子(例えば、2つの型の標識されたヌクレオチドおよび2つの型の標識されていないヌクレオチドの異なる組み合わせ)を再び読み取る機会を与える。
【0023】
(II.定義)
他に規定されない限り、本明細書中に使用される全ての専門用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。以下の参考文献は、当業者に、本発明において用いられる用語の多くの一般的な定義を提供する:Singletonら、DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY(第2版、1994);THE CAMBRIDGE DICTIONARY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY(Walkerら編、1988);ならびにHaleおよびMarham、THE HARPER COLLINS DICTIONARY OF BIOLOGY(1991)。本明細書中に記載される方法および物質に類似するかまたはこれらと等価である任意の方法および物質が、本発明の実施または試験において用いられ得るが、好ましい方法および物質が記載される。以下の定義は、本発明の実施において読者を補助するために提供される。
【0024】
「アレイ」とは、標的ポリヌクレオチドまたはそれに結合されたポリメラーゼのいずれかを有する1より多くの部位または位置を有する固体支持体をいう。
【0025】
「塩基」または「塩基型」とは、特定の型のヌクレオチド塩基をいう。代表的な塩基としては、アデニン塩基、シトシン塩基、グアニン塩基、ウラシル塩基、またはチミン塩基が挙げられ、ここでその型とは、異なる塩基を有するヌクレオチド三リン酸の集団内に、その塩基を有するヌクレオチドの部分集団をいう。より珍しい他の塩基またはアナログ(例えば、キサンチンまたはヒポキサンチンまたはメチル化シトシン)が置換され得る。
【0026】
配列決定または遺伝子型決定の文脈において、「配列決定される領域の下流の標的核酸の領域を補う」とは、このプライマーがポリメラーゼにより3’方向に伸長されているという事実をいう。従って、このプライマーは、標的配列に対して3’(下流)側標的の部分配列に結合し、この標的配列は、このプライマーの3’末端が伸長されるにつれて決定される。
【0027】
「遺伝子型決定」とは、ポリヌクレオチド全体の配列の内容を必ずしも決定せずに、標的ポリヌクレオチドの対立遺伝子内容を決定することである。これは、配列決定のサブセットである。例えば、2つの既知の形態の対立遺伝子間の単一の塩基の差異の決定による一ヌクレオチド多型性の同定は、配列決定の形態であり、配列決定される標的ポリヌクレオチド全てが配列決定されることを必要としない。
【0028】
「固定化する」とは、反応溶液への標的核酸またはポリメラーゼの放出を防ぐ手段による、固体支持体への標的核酸またはポリメラーゼの付着をいう。この手段は、共有結合またはイオン結合または疎水結合であり得る。
【0029】
「ヌクレオシド」は、天然のヌクレオシド(リボヌクレオシドおよび2’−デオキシヌクレオシドを含む)ならびに改変された塩基または糖の骨格を有するヌクレオチドアナログを包含する。
【0030】
用語「核酸」または「核酸分子」とは、一本鎖形態または二本鎖形態のいずれかのデオキシリボヌクレオチドポリマーまたはリボヌクレオチドポリマーをいい、他のように限定されない限り、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式で機能し得る、天然ヌクレオチドの公知のアナログを包含し得る。他に示されない限り、「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、互換的に用いられる。
【0031】
「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」とは、複数のデオキシリボヌクレオチドサブユニットまたはヌクレオチドサブユニットから構成される分子をいう。これらのヌクレオシドサブユニット間の連結は、ホスフェート、ホスホネート、ホスホロアミデート、ホスホロチオエートなどによってか、または当該分野において公知であるような非リン酸基(例えば、ペプチド核酸(PNA)において利用されるペプチド型連結)によって提供され得る。この連結基は、キラルまたはアキラルであり得る。これらのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、2ヌクレオシドサブユニット長から数百〜数千ヌクレオシドサブユニット長の範囲であり得る。オリゴヌクレオチドは、好ましくは、5〜100サブユニット長(より好ましくは5〜60サブユニット長)であるが、ポリヌクレオチドの長さは、より長くあり得る(例えば、100kbまで)(染色体全体が標的化される場合、100kbが、もはや良好であると考えること)[「例えば」とは、排他的でないことを意味する。また、「100Mb」は、恐らく実用的意味をなさない)。
【0032】
「光学読取り装置」または「検出システム」とは、標識されたdNTP(またはNTP)または固定化されたポリヌクレオチドテンプレート(および/またはプライマー)分子から放出される光を検出および記録し得るデバイスをいう。
【0033】
用語「プライマー」とは、精製された制限消化物の場合のように天然に存在するかまたは合成により作製されるに関らず、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘導される条件下(すなわち、ヌクレオチドおよび誘導因子(例えば、DNAポリメラーゼ)の存在ならびに適切な温度、緩衝液、およびpH)に置かれた場合、合成の開始位置として作用し得るオリゴヌクレオチドをいう。このプライマーは、好ましくは、最大増幅効率のためには、一本鎖であるが、代替的に、二本鎖でもあり得る。二本鎖の場合、このプライマーは、伸長産物を調製するために用いられる前に、最初にその鎖を分離するように処理される。好ましくは、このプライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。このプライマーは、その誘導因子の存在下で伸長産物の合成を開始するのに十分な長さでなくてはならない。このプライマーの正確な長さは、温度、プライマーの供給源、およびこの方法の使用を含む、多くの要素に基づく。
【0034】
プライマーは、このテンプレートの特定の配列の鎖に「実質的に」相補的であるように選択される。プライマーは、プライマー伸長が生じるためにテンプレート鎖とハイブリダイズするのに十分に相補的でなくてはならない。プライマー配列は、テンプレートの正確な配列を反映する必要はない。例えば、このプライマー配列の残りが、この鎖と実質的に相補的である場合、非相補的ヌクレオチドフラグメントが、このプライマーの5’末端に付着され得る。非相補的な塩基またはより長い配列が、このプライマー中に散在し得、ただしこのプライマー配列は、このテンプレートの配列に対してハイブリダイズし、このプライマーの伸長産物の合成のためのテンプレートプライマー複合体を形成するのに十分な相補性を有する。ランダムプライマーの使用は、いくつかの場合において用いられ得る。例えば、この標的ポリヌクレオチドまたはテンプレートポリヌクレオチドの末端配列が未知の場合、ランダムプライマーの組み合わせが用いられ得る。
【0035】
用語「プローブ」とは、精製された制限消化物の場合のように天然に存在するか、または合成によってか、組換えによってか、もしくはPCR増幅によって作製されるかに関らず、別の目的のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズし得る、オリゴヌクレオチド(すなわち、一続きのヌクレオチド)をいう。プローブは、一本鎖または二本鎖のいずれかであり得る。プローブは、特定の遺伝子配列の検出、同定、および単離に有用である。本発明において用いられる任意のプローブが、任意の「レポーター」分子を用いて標識され得、その結果、任意の検出システム(蛍光システム、酵素システム(例えば、ELISA、および酵素ベースの組織化学アッセイ)、放射性システム、量子ドットシステム、および発光システムが挙げられるが、これらに限定されない)において検出可能であることが企図される。本発明は、いかなる特定の検出システムまたは標識にも限定されることは、意図されない。
【0036】
「配列決定」とは、ポリヌクレオチド分子中の塩基の順序および位置の決定をいう。
【0037】
「一分子配置」とは、固体支持体上の分子のアレイをいい、ここでこのアレイのメンバーは、規定された位置に位置する個々の分子として存在する。このメンバーは、同じであっても異なってもよい。
【0038】
「一分子分解能」とは、このシステムが、1つの分子を別の分子から分解する能力をいう。例えば、遠視野(far field)光学的システムにおいて、この検出限界は、ほぼミリオンである。このことは、分解される2つの同一の分子の間の距離が、少なくとも2〜3ミクロン離れていることを意味する。
【0039】
「特異的ハイブリダイゼーション」とは、ストリンジェントな条件下での特定のヌクレオチド配列のみへの、ある分子の結合、二重鎖形成、またはハイブリダイゼーションをいう。ストリンジェントな条件とは、プローブが、その標的配列にハイブリダイズし得るが、他の配列に特異的にハイブリダイズし得ない条件である。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、そして異なる環境において、異なる。より長い配列は、一般的に、より高い温度でハイブリダイズする。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHでの、特定の配列についての熱融点(Tm)より約5℃低いように、選択される。このTmは、平衡状態で、標的配列に相補的なプローブのうちの50%が標的配列にハイブリダイズする(規定されたイオン強度、pHおよび核酸濃度下の)温度である。代表的に、ストリンジェントな条件としては、pH7.0〜8.3で、少なくとも約0.01〜0.1MのNaイオン濃度(または他の塩)の塩濃度が挙げられ、そしてその温度は、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)については、少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件はまた、不安定化因子(例えば、ホルムアミドまたはテトラアルキルアンモニウム塩)の添加を用いて達成され得る。例えば、5× SSPE(750mM NaCl、50mM リン酸Na、5mM EDTA、pH7.4)および25〜30℃の温度の条件が、対立遺伝子特異的プローブハイブリダイゼーションに適する。(Sambrookら、Molecular Cloning 2001を参照のこと)。
【0040】
用語「テンプレート」または「標的」とは、その配列が分析されるポリヌクレオチドをいう。いくつかの場合において、「テンプレート」とは、他のポリヌクレオチド配列とは分別されることが要求される。「実質的に一本鎖のテンプレート」とは、完全に一本鎖である(二本鎖領域を全く有さない)か、または比較的小さい領域の二本鎖ポリヌクレオチド(例えば、ハイブリダイズされたプライマーによって規定された領域または分子内結合によって規定された領域)を除いて一本鎖であるかのいずれかの、ポリヌクレオチドである。「実質的に二本鎖のテンプレート」とは、完全に二本鎖である(一本鎖領域を全く有さない)か、または比較的小さい領域の一本鎖ポリヌクレオチドを除いて二本鎖であるかのいずれかの、ポリヌクレオチドである。
【0041】
(III.テンプレートの調製および固定化)
(A.導入)
本発明は、ポリヌクレオチド配列を分析するための(例えば、配列決定および遺伝子型決定のための)新規方法および新規装置を提供する。好ましくは、分析される標的ポリヌクレオチドまたはテンプレートポリヌクレオチドは、一分子分解能において、固体基材(例えば、石英スライド)の表面に固定化される。好ましくは、このポリヌクレオチドは、標識されたプライマーに予めハイブリダイズされている。次いで、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼ、4つの異なる型のヌクレオチド三リン酸(NTPまたはdNTP(用いられるテンプレートおよびポリメラーゼに依存する))および他の反応試薬が、固定化されたポリヌクレオチドに適用される。そのヌクレオチドの少なくとも1つの型が、蛍光標識されている。1より多くの型のNTPが標識される場合、好ましくは、この標識は、異なるNTPについて異なる。TIR蛍光顕微鏡法を用いて、標的ポリヌクレオチドまたはテンプレートポリヌクレオチドへの標識されたヌクレオチドの組み込みは、固定化されたポリヌクレオチドからの蛍光シグナルを、一分子分解能で画像化することによって検出される。好ましくは、4つ全ての型の標識NTPが、同時に存在する。ポリメラーゼが、この標的ポリヌクレオチドにそって移動を続けるので、このポリヌクレオチド配列は、組み込まれた標識の順序から読み取られる。
【0042】
(B.標的ポリヌクレオチドまたはテンプレートポリヌクレオチド)
標的ポリヌクレオチドは重要でなく、そして種々の標準的な供給源に由来し得る。これはmRNA、リボソームRNA、ゲノムDNAまたはcDNAであり得る。これらは、天然に存在するヌクレオチドおよび天然に存在しないヌクレオチドを含み得る。本発明に従う分析に適切なテンプレートは、種々の大きさを有し得る。たとえば、テンプレートは、100bp、200bp、500bp、1kb、3kb、10kbまたは20kbなどの長さを有し得る。標的が生物学的供給源に由来する場合、ポリヌクレオチドを抽出するため、および遺伝子型特定または配列研究のために都合よい濃度に必要に応じて増幅させるための種々の公知の手段が存在する。ポリヌクレオチドは、ヒト(person)、動物または植物の任意の生細胞から得られ得る。ヒト、病原微生物およびウイルスは、特に目的の供給原である。
【0043】
ポリヌクレオチドの増幅方法は、当該分野で公知である。好ましくは、増幅はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行なわれる。米国特許第4,683,202号、同第4,683,195号および同第4,889,818号;Gyllensteinら、1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:7652−7656;Ochmanら、1988,Genetics 120:621−623;Lohら、1989,Science 243:217−220;Innisら、1990,PCR Protocols,Academic Press,Inc.,San Diego,Califを参照のこと。本発明において使用され得る当該分野で公知の他の増幅方法は、リガーゼ連鎖反応(EP320,308)またはKrickaら、1995,Molecular Probing,Blotting,and Sequencing,Chap.1およびTable IX,Academic Press,New Yorkに開示される方法を含み得る。
【0044】
(C.プライマーアニーリング)
ポリメラーゼと組み合わせてプライマーを使用して、標的ポリヌクレオチドを配列決定する。プライマーの長さは、相補的なテンプレートポリヌクレオチドに対するハイブリダイゼーションを提供するように選択される。プライマーは一般的に、少なくとも10bp長であり、通常15bp長と30bp長との間である。テンプレート配列の一部が公知である場合、特異的プライマーが構築され、そしてテンプレートにハイブリダイズされ得る。あるいはテンプレートの配列が完全に未知である場合、プライマーはリガーゼによって標的ポリヌクレオチドの末端に結合した合成ポリヌクレオチドアダプターに結合し得る。
【0045】
ある方法において、プライマーは標識化される。固定化テンプレートにハイブリダイズされる場合、標識プライマーは、テンプレートの位置画像化を容易にする。以下の実施例で例示されるように、プライマーは蛍光標識(例えば、Cy5)で標識され得る。好ましくは、プライマーを標識するために使用する標識は、部分配列伸長反応物中のヌクレオチド上の標識とは異なる。
【0046】
プライマーは、都合のよい核酸合成技術を用いて合成的に作製され得る。例えば、プライマーは、標準的な化学(例えばホスホラミダイト化学物質、例えば、以下の参考文献に開示される:BeaucageおよびIyer,Tetrahedron,48:2223−2311(1992);Molkoら、米国特許第4,980,460号;Kosterら、米国特許第4,725,677号;Caruthersら、米国特許第4,415,732号;同第4,458,066号;および同第4,973,679号;など)を用いて、自動DNA合成機(例えば、Applied Biosystems,Inc.(Foster City,Calif.)モデル392または394 DNA/RNA Synthesizer)で都合よく合成され得る。代替の化学物質(例えば、非天然の骨格基を生じる、例えば、ホスホロチオネート、ホスホラミダイトなど)はまた、得られたオリゴヌクレオチドがポリメラーゼと適合性であるという条件で使用され得る。プライマーはまた、Operon Inc(Alameda,California)のような特注のオリゴヌクレオチドを専門に取り扱う種々の会社から注文により市販され得る。
【0047】
プライマーアニーリングは、受容可能な速度で安定なハイブリッドを形成させるのになお十分に許容的な配列特異性を達成するために十分ストリンジェントである条件下で行なわれる。プライマーアニーリングに必要な温度および時間は、塩基組成、プライマーの長さおよび濃度、ならびに使用される溶媒の性質(例えば、DMSO、ホルムアミドまたはグリセロールの濃度、およびマグネシウムのような対イオン)を含むいくつかの因子に依存する。代表的に、合成ポリヌクレオチドを用いるハイブリダイゼーションは、アニーリング溶媒中の標的−プライマーハイブリッドの融点の約5〜10℃下の温度で行なわれる。ある方法において、アニーリング温度は、55℃〜75℃の範囲内である。そしてプライマー濃度は、約0.2μMである。プライマーアニーリングの他の条件は、以下の実施例に提供される。これらの好ましい条件下で、アニーリング反応は数秒のみで完了され得る。
【0048】
(D.テンプレートポリヌクレオチドの固定化)
好ましくは、テンプレートポリヌクレオチド分子または標的ポリヌクレオチド分子を、固体基材の表面に固定化された単一分子アレイとして提供する。この基材は、ガラス、シリカ、プラスチックあるいは、蛍光検出方法の有意なノイズもバックグラウンドも生成しない任意の他の都合のよい非反応性材料であり得る。テンプレートポリヌクレオチドが固定化されている基材表面はまた、微小流体装置(例えば、QuakeらのPCT出願(WO01/32930;本明細書中に参考として援用される)に記載されるような装置の微細加工合成チャネル)におけるフローセルの内面であり得る。ある好ましい実施形態において、固体支持体は石英ガラススライドで作製される(例えば、Escoからの石英ガラススライド、Cat.R130110)。他の支持材料(例えば、通常のガラススライド)と比較して、石英ガラスは非常に低い自己蛍光を有する。
【0049】
本発明のある適用において、テンプレートポリヌクレオチドまたは標的ポリヌクレオチドは、一分子分解能で基材表面に固定化される。このような方法において、以下の実施例で例示されるように、一分子分解能は、固定化反応において非常に低濃度のポリヌクレオチドを用いることで達成される。例えば、10pM濃度の80マーのポリヌクレオチドテンプレートは、一分子分解能でシリカスライドの表面へのポリヌクレオチドの結合を可能にする(実施例1を参照のこと)。一分子分解能でのテンプレートの固定化はまた、蛍光性標識テンプレートのブリーチングパターンを測定することで確証され得る(実施例5を参照のこと)。
【0050】
ある方法において、テンプレートは、最初にプライマーへのハイブリダイズされ、次いで表面に固定化される。ある方法において、テンプレートは、プライマーへのハイブリダイゼーションの前に表面に固定化される。なおある方法において、プライマーは表面に固定化され、そしてテンプレートはプライマーへのハイブリダイゼーションを介して基材に結合される。なおある方法において、ポリメラーゼが表面に固定化される。
【0051】
種々の方法を使用して、基材の表面にテンプレートまたはプライマーを固定化し得る。表面へのテンプレートの直接的または間接的な結合を介して、固定化が達成され得る。この結合は共有結合によるものであり得る。Joosら、Analytical Biochemistry 247:96−101,1997;Oroskarら、Clin.Chem 42:1547−1555,1996;およびKhandjian,Mole.Bio.Rep.11:107−115,1986を参照のこと。この結合はまた非共有結合を介し得る。例えば、ビオチン−ストレプトアビジン(Taylorら、J.Phys.D.Appl.Phys.24:1443,1991)ならびにジゴキシゲニンおよび抗ジゴキシゲニン(Smithら、Science 253:1122,1992)は、表面および平行面にポリヌクレオチドを結合する共通のツールである。あるいは、この結合は、脂質の単層または二重層に疎水性鎖を結合することで達成し得る。ビオチン−ストレプトアビジン結合を使用してテンプレートを固定化する場合、テンプレートはビオチン化され、そして基材の1つの表面はストレプトビオチンで覆われる。ストレプトアビジンはテトラマーであるので、1つの分子あたり4つのビオチン結合部位を有する。従って、これは、表面とテンプレートとの間の結合を提供し得る。ストレプトアビジンで表面を覆うために、表面は最初にビオチン化され得、次いでストレプトアビジンの4つの結合部位の一部を使用して表面にタンパク質を結合し得、残っている他の部位はビオチン化テンプレートを結合するためにフリーである(Taylorら、J.Phys.D.Appl.Phys.24:1443,1991を参照のこと)。このような処理は、基材表面上に高密度のストレプトアビジンを導き、対応する高密度のテンプレート適応範囲を可能にする。テンプレート分子の表面密度は、表面に適用されるテンプレートの濃度を調製することによって制御され得る。表面をビオチン化するための試薬は、例えばVector laboratoriesから得られ得る。あるいは、ビオチン化は、BLCPA:EZ−Link Biotin LC−PEO−Amine(Pierce,Cat.21347)を用いて行なわれ得る。
【0052】
ある方法において、非常に低い濃度(例えば、μM、nMまたはpMの範囲の)の標識ストレプトアビジン(例えば、蛍光標識を有する)を用いて、テンプレートの固定化の前に基材表面を覆う。これは、一分子分解能でのテンプレートの固定化を促進する。これはまたテンプレート分子が結合する基材上のスポットをモニタリングおよび引き続くヌクレオチド組み込み事象を可能にする。
【0053】
多様なポリヌクレオチドテンプレートが分離した基材にそれぞれ固定化され得、そして分離した基材において配列決定され得るが、複数のテンプレートはまた、単一の基材上で分析され得る。後者のシナリオにおいて、テンプレートは基材上の異なる位置に結合される。これは、種々の異なる方法(基材上の異なる点で固定化されたオリゴヌクレオチドへのプライマー捕捉配列のハイブリダイゼーション、およびテンプレート固定化に向かって基材に沿って異なる点を連続的に活性化することを含む)によって達成され得る。
【0054】
オリゴヌクレオチドのアレイを有する表面の生成方法は、例えば米国特許第5,744,305号、同第5,837,832号および同第6,077,674号に記載されている。2つのドメイン、プライミングドメインおよび捕捉ドメインを有するプライマーを使用して、基材にテンプレートを結合し得る。プライミングドメインは標的テンプレートに相補的である。捕捉ドメインはプライミング配列の非伸長側に存在する。これは標的テンプレートに相補的ではないが、むしろ基材上に存在する特定のオリゴヌクレオチド配列に相補的である。この標的テンプレートはこれらのプライマーと別々にハイブリダズし得るか、または(プライミング配列が異なる場合)同じ溶液中で同時にハイブリダイズし得る。ハイブリダイゼーション条件下での、基材とプライマー/テンプレート二重鎖とのインキュベーションは、独自のスポットへのそれぞれのテンプレートの結合を可能にする。複数の基材は、この様式で同時にテンプレートで充填され得る。
【0055】
単一基材の表面に複数のテンプレートを結合する別の方法は、基材の一部を連続して活性化し、そしてこれらにテンプレートを結合することである。基材の活性化は、光学的手段または電気的手段のいずれかによって達成され得る。光学照明を使用して、表面へのテンプレートの結合を可能にする光化学的脱保護反応を開始し得る(米国特許第5,599,695号、同第5,831,070号および同第5,959,837号を参照のこと)。例えば、基材表面は「ケージ化ビオチン」(市販されるビオチン誘導体は、光に曝露された後にのみ、アビジンに結合可能になる)で誘導体化(derivitize)され得る。次いで、テンプレートは、光に対する部位の曝露、アビジン溶液でチャネルを充填し、洗浄し、次いでチャネルへビオチン化テンプレートを流すことによって結合し得る。別のバリエーションは、ケージ化ビオチン部分を有するプライマーを用いてアビジニル化基材およびテンプレートを調製することであり;次いで、このテンプレートは、チャネルへ流すことおよび所望する領域上の溶液の照明によって固定化され得る。次いで、活性化テンプレート/プライマー二重鎖を、それらが拡散する最初の壁に結合させ、拡散制限スポットを得る。
【0056】
電気的手段をまた使用して、基材上の特定の位置にテンプレートを指向し得る。チャネルにおいて正に荷電する1つの電極および負に荷電した他方の電極によって、場の勾配は生成され得、この勾配は、1つの電極にテンプレートを駆動する(ここで、テンプレートは結合し得る)(例えば、米国特許第5,632,957号,同第6,051,380号,および同第6,071,394号を参照のこと)。あるいは、これは、表面の領域を電気化学的に活性化することおよび電極に印加される電圧を変化することによって達成され得る。特定の化学物質(タンパク質およびDNAを含む)のパタンーンは、微細加工プラスチックスタンプが表面に押されるスタンプ方法で可能である(例えば、Lopezら、J.Amer.Chem.Soc.115:10774−81,1993を参照のこと)。異なるテンプレートはまた、他から独立してそれぞれ個々の読み取りとしてランダムに表面に結合され得る。
【0057】
(E.基材表面の処理)
ある適用において、基材の表面は、ポリヌクレオチドテンプレートの結合および引き続く合成反応を促進する界面化学を生成するために調製される。界面化学はまた、基材の表面への遊離標識ヌクレオチドの非特異的結合からのバックグラウンドを減少する。
【0058】
ある方法において、表面は、高分子電解質の多層(PEM)で覆われる。ある方法において、非PEMに基づく界面化学はテンプレート結合の前に生成され得る。好ましくは、基材の表面は、高分子電解質の多層(PEM)で覆われる。PEMコート表面へのテンプレートの結合は、光指向性空間的結合(light−directed spatial attachment)によって達成され得る(例えば、米国特許第5,599,695号、同第5,831,070号および同第5,959,837号を参照のこと)。あるいは、テンプレートは、PEMコート表面全体に化学的に結合され得る(詳細については以下を参照のこと)。
【0059】
PEMの形成は、Decherら(Thin Solid Films,210:831−835,1992)に記載されている。PEMの形成は、ポリカチオンおよびポリアニオンの連続した添加によって進み、このポリカチオンおよびポリアニオンは、それぞれ、多くの正電荷または負電荷を有するポリマーである。負に荷電した表面へのポリカチオンの添加の際に、ポリカチオンは表面に沈着し、薄いポリマー層を形成し、そして表面の電荷を逆にする。同様に、正に荷電した表面に沈着したポリアニオンは、ポリマーの薄い層を形成し、そして負に荷電した表面を生じる。交互のポリ(+)およびポリ(−)への曝露は、高分子電解質の多層構造を生成し、最後の高分子電解質の付加によって表面電荷は決定され;不完全荷電表面の場合、多層沈着物はまた、十分に規定された安定なレベルまで、表面電荷およびを増加する傾向がある。
【0060】
ポリヌクレオチドを固定化するためにPEMで基材を覆う例示的スキームは、PCT公開WO01/32930で提供される。詳細な手順はまた以下の実施例に開示される。手短に言えば、基材の表面(例えば、ガラスカバースリップ)を、RCA溶液できれいにする。きれいにした後、基材を高分子電解質の多層(PEM)で覆う。カルボン酸基のビオチン化の後に、次いでストレプトアビジンを適用し、ビオチン化分子を捕捉し得る表面を生成する。次いで、ビオチン化ポリヌクレオチドのテンプレートを、結合のためにコート化ガラスカバースリップに添加する。このように、生成された界面化学は、本発明の方法のための種々の利点を提供する。なぜならこれは、負に荷電したヌクレオチドに反発する強く負に荷電した表面を生成するからである。最初に、カルボン酸保有ポリマーで終結する高分子電解質の多層は、ポリヌクレオチドに容易に結合する。なぜならカルボン酸は、共有結合形成のためのよい標的であるからである。さらに、結合化テンプレートは、ポリリメラーゼによる伸長について活性である。最も好ましくは、電荷のような相反は、テンプレートが表面上「大塗りされる(laying down)」のを防止する。最後に、負の荷電は、蛍光ヌクレオチドを反発し、そして非特異的結合は低い。
【0061】
本明細書に記載される結合スキームは、容易に一般化されている。改変せずに、生成されたPEM/ビオチン/ストレプトアビジンの表面を使用して、任意のビオチン化分子を捕捉または固定化し得る。少しの改変は、別の捕捉対(例えば、抗ジゴキシゲニン(抗−dig)を用いて固定化される、ビオチンを置換するジゴキシゲニン(dig)および標識化分子)の使用であり得る。アミンのビオチン化またはdig−標識のための試薬は、全て市販される。
【0062】
別の一般化は、化学が支持体の界面化学にほとんど依存しないことである。例えば、ガラスは、ポジティブポリマーまたはネガティブポリマーのいずれかで終結するPEM、およびいずれかに対する広範な種々の化学物質を支持し得る。しかし、他の基材(例えば、ガラスと同じ程度に強くは荷電しないシリコーン、ポリスチレン、ポリカーボネートなど)は、なおPEMを支持し得る。PEMが十分多くの層を有する限り、弱く荷電した表面上のPEMの最終層の荷電は、強く荷電した表面上のPEMの荷電と同じ程度に高くなる。これは、ガラス/PEM/ビオチン/ストレプトアビジン/ビオチン−DNAの界面化学の全ての利点は、他の基材に適用されることを意味する。
【0063】
(IV.プライマー伸長反応)
一旦、テンプレートが基材の表面に固定化されると、プライマー伸長反応が行なわれる(例えば、Sambrook,前出;Ausubel,前出;およびHyman,Anal.Biochem.,174,p.423,1988に記載されるように)。ある方法において、プライマーは、1つの型の標識ヌクレオチドの存在下において、ポリヌクレオチドポリメラーゼによって伸長される。他の方法において、4つ全ての型の差示的に標識されたヌクレオチドが存在する。本発明のある適用において、標識ヌクレオチドおよび非標識ヌクレオチドの組み合わせが分析で使用される。反応に添加された特定の標識ヌクレオチドがプライマーの3’末端に隣接するテンプレート上のヌクレオチドに相補的である場合にのみ、標識はテンプレート/プライマー複合体に組み込まれる。必要に応じて、テンプレートは引き続いて洗浄され、任意の組み込まれていない標識を除去し、そして任意の組み込まれた標識の存在を決定する。いくつかのエラーは、ポリメラーゼによって生じ得るので、反応条件およびインキュベーション時間は、これらのエラーを最小化するべきである。
【0064】
(A.標識ヌクレオチド)
ヌクレオチドの組み込みの検出を促進するために、少なくとも1つおよび通常は全ての型のデオキシリボヌクレオチド(dATP、dTTP、dGTP、dCTP、dUTP/dTTP)またはヌクレオチド(ATP、UTP、GTPおよびCTP)は、フルオロフォアで標識される。1より多い型のヌクレオチドが標識される場合、異なる種類の標識を使用してそれぞれの異なる型のヌクレオチドを標識し得る。しかし、ある適用において、異なる型のヌクレオチドは、同じ種類の標識で標識され得る。
【0065】
種々の蛍光標識を使用して、本発明におけるヌクレオチドを標識し得る。蛍光標識は、いずれかの多数の異なる部分から選択され得る。好ましい部分は、検出が非常に感受性である蛍光基である。表面に対する親和性は、異なる色素間で変化し得る。表面に対する低い親和性が好ましい。例えば、Cy3およびCy5を使用して、本発明のある方法においてプライマーまたはヌクレオチドを標識する。しかし、Cy5はCy3よりも特定の実験的条件下で表面に対する高い親和性を有する。
【0066】
考慮することが必要である他の因子としては、色素の安定性が挙げられる。例えば、Cy5はCy3よりも安定でなく、そしてCy3よりも早く退色しやすい。このような特性は、環境に依存して利点または不利益であり得る。さらに、色素の異なる大きさはまた、標識ヌクレオチドの組み込みの有効性に影響し得る。さらに、色素とヌクレオチドとの間のリンカーの長さは、組み込みの有効性に影響し得る。(ZhuおよびWaggoner,Cytometry28:206,1997を参照のこと)。
【0067】
本発明において使用され得るフルオロフォアの例示的リストは、以下が挙げられる(これらの対応する吸収/発光波長は、丸括弧で示される):
Cy3(550/565)、Cy5(650/664)、Cy7(750/770)、Rhol23(507/529)、R6G(528/551)、BODIPY 576/589(576/589)、BODIPY TR(588/616)、ナイルブルー(627/660)、BODIPY 650/665(650/665)、スルホ−IRD700(680/705)、NN382(778/806)、Alexa488(490/520)、テトラメチルローダミン(550/570)、およびローダミンX(575/605)。
【0068】
蛍光標識ヌクレオチドは、市販され得る(例えば、NEN DuPont、AmershamまたはBDLから)。あるいは、蛍光標識ヌクレオチドはまた、種々の蛍光標識技術によって生成され得る(例えば、Kambaraら(1988)「Optimization of Parameters in a DNA Sequenator Using Fluorescence Detection」、Bio/Technol.6:816−821;Smithら(1985)Nucl.Acids Res,13:2399−2412;およびSmithら(1986)Nature 321:674−679によって記載されるように)。Cy5シアニン色素のアシルフッ化物はまた、米国特許第6,342,326号に記載されように合成され得、そして標識され得る。
【0069】
文献には、蛍光分子および色素生産分子およびそれらに関連する光学的な特性の完全なリストを提供する、多くの利用可能な実用的な解説が存在する(例えば、Berlman,Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules,第2版(Academic Press,New York,1971);Griffiths,Colour and Constitution of Organic Molecules(Academic Press,New York,1976);Bishop(編),Indicators(Pergamon Press,Oxford,1972);Haugland,Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals(Molecular Probes,Eugene,1992)Pringsheim,Fluorescence and Phosphorescence (Interscience Publishers,New York,1949);などを参照のこと)。さらに、ヌクレオチドに加えられ得る通常の反応基を介する共有結合のためのフルオロフォア分子およびクエンチャー分子の誘導体化についての文献における広範な解説が、以下の参考文献に例示されるように存在する:Haugland(前出);Ullmanら,米国特許第3,996,345号;Khannaら,米国特許第4,351,760号。
【0070】
ヌクレオチドのフルオロフォア部分に結合するための多くの連結部分および方法論が、以下の文献に例示されるように存在する:Eckstein(編)Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach(IRL Press,Oxford,1991);Zuckermanら,Nucleic Acids Research,15:5305−5321(1987)(オリゴヌクレオチドの3’チオール基);Sharmaら,Nucleic Acids Research,19:3019(1991)(3’スルフヒドリル);Giustiら,PCR Methods and Applications,2:223−227(1993)およびFungら,米国特許第4,757,141号(Applied Biosystems,Foster City,Calif.製のAminolinkTM.IIによる5’ホスホアミノ基)Stabinsky,米国特許第4,739,044号(3’アミノアルキルホスホリル基);Agrawalら,Tetrahedron Letters,31:1543−1546(1990)(ホスホラミデート連結を介する結合);Sproatら,Nucleic Acids Research,15:4837(1987)(5’メルカプト基);Nelsonら,Nucleic Acids Research,17:7187−7194(1989)(3’アミノ基);など。
【0071】
複数標識スキームが利用されるかわりに、種々の候補標識の吸収最大値の平均に近い波長が使用され得る。あるいは、特定の標識の吸収最大値に対応する波長をそれぞれ使用する、複数の励起が実施され得る。
【0072】
(B.他の反応試薬)
1.ポリメラーゼ
多くのポリメラーゼが、本発明における使用のために選択され得る。好ましいポリメラーゼは、核酸塩基上の標識に耐容性を示し得る。例えば、本発明のいくつかの用途は、改変され蛍光標識されたヌクレオチドを、ポリヌクレオチドに取りこむ能力を増加させたポリメラーゼを使用する。このようなポリメラーゼの例(例えば、変異バクテリオファージT4 DNAポリメラーゼ)が、米国特許第5,945,312号に記載されている。
【0073】
テンプレートに依存して、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼまたは逆転謝酵素のいずれかがプライマー伸長に使用され得る。DNAテンプレートの分析のために、多くのDNAポリメラーゼが利用可能である。適切なDNAポリメラーゼの例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:Sequenase 2.0.RTM.、T4 DNAポリメラーゼもしくはDNAポリメラーゼ1のKlenowフラグメントまたはVentポリメラーゼ。いくつかの方法において、3’→5’のエキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼが使用され得る(例えば、T7 DNAポリメラーゼ(Amersham)またはDNAポリメラーゼIのKlenow−エキソフラグメント(New England Biolabs))。いくつかの方法において、ポリメラーゼが、プルーフリーディング活性を有することが所望される場合、3’→5’のエキソヌクレアーゼ活性を欠くポリメラーゼは使用されない。いくつかの方法において、ThermoSequenaseTTM(Amersham)またはTaquenaseTM(ScienTech,St Louis,MO)のような耐熱性のポリメラーゼが使用される。
【0074】
一般的には、このポリメラーゼは、少なくとも99%の忠実度(組み込み精度)および少なくとも20ヌクレオチドの進化性(酵素がDNAから解離される前に取りこまれたヌクレオチドの数)を有するべきであり、より大きい進化性が好ましい。例として、T7 DNAポリメラーゼ、T5 DNAポリメラーゼ、HIV逆転写酵素、E.coli DNA pol I、T4 DNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、Taq DNAポリメラーゼおよびE.coli RNAポリメラーゼ、Phi29 DNAポリメラーゼが挙げられる。
【0075】
この方法において使用されるヌクレオチドは、選択されるポリメラーゼと適合可能であるべきである。適切なヌクレオチドとポリメラーゼの組み合わせを選択する手順は、Ruthら(1981)Molecular Pharmacology 20:415−422;Kutateladze,T.,ら(1984)Nuc.Acids Res.,12:1671−1686;Chidgeavadze,Z.,ら(1985)FEBS Letters,183:275−278から適用され得る。
【0076】
このポリメラーゼは、分けられたレザバに貯蔵され得、そして各伸長反応サイクルの前に、基材上(または基材を入れるフローチャンバ/細胞中)に流し込まれる。酵素はまた、他の反応薬剤(例えば、ヌクレオチドトリホスフェート)と共に貯蔵され得る。あるいは、このポリメラーゼは、このポリヌクレオチドテンプレートが溶液に加えられる間、基材の表面上に固定され得る。
【0077】
(2.遮断剤)
いくつかの方法において、プライマー伸長反応において、鎖伸長インヒビターを使用することが所望され得る(例えば、Dowerら米国特許第5,902,723号を参照のこと)。鎖伸長インヒビターは、ヌクレオチドアナログであり、そのいずれかは、その鎖のヌクレオチドの3’末端へのポリメラーゼによるさらなる付加を防ぐ鎖ターミネーターであり、鎖自体に取りこまれる。いくつかの方法において、この鎖伸長インヒビターは、ジデオキシヌクレオチドである。この鎖伸長インヒビターが成長しているポリヌクレオチド鎖に取りこまれる場合、これらは、この標識されたヌクレオチドの組み込みが検出された後に、除去されるべきであり、その結果、異なる標識されたヌクレオチドを使用する処理のための配列決定反応を可能にする。いくつかの3’から5’へのエキソヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼIII)は、ジデオキシヌクレオチドを除去することができる。
【0078】
鎖伸長インヒビター以外の、遮断剤もしくは保護基は、非特異的な組み込みを防ぐために、標識されたヌクレオチドのデオキシリボース基の3’部分において使用され得る。必要に応じて、この遮断剤は、おだやかな条件下(例えば、感光性、弱酸で不安定であるかまたは弱塩基で不安定な基)において除去可能であるべきであり、それによって、このプライマー鎖の次の合成サイクルによるさらなる伸長を可能にする。この遮断剤がまた、蛍光標識を含む場合、二重ブロック機能および標識機能は、個々の部分について反応を分ける必要なしに、達成される。例えば、この標識されたヌクレオチドは、蛍光色素基の、デオキシリボース基の3’部分への結合によって標識され得、そしてこの標識は、蛍光色素を、3’ヒドロキシル基を作製するヌクレオチドから切断することによって除去される。この蛍光色素は、好ましくは、化学手段または酵素手段によって容易に切断されるリンカーアームによってデオキシリボースに連結される。
【0079】
遮断剤の例としては、他にもあるが、6−ニトベラチルオキシカルボニル(NVOC)、2−ニトベンジルオキシカルボニル(NBOC)、α,α−ジメチル−ジメトキシベンジルオキシカルボニル(DDZ)、5−ブロモ−7−ニトロインドリニル、o−ヒドロキシ−2−メチルシンナモイル、2−オキシメチレンアントラキノン、およびt−ブチルオキシカルボニル(TBOC)のような光感応性の基が挙げられる。他の遮断薬は、例えば、米国出願番号07/492,462号;Patchornik(1970)J.Amer.Chem.Soc.92:6333;およびAmitら(1974)J.Org.Chem.39:192において議論される。種々の標識および保護基を有するヌクレオチドは、容易に合成され得る。標識部分は、例えば、Gait(1984)Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press,Oxfordに記載されるような化学および条件を使用してヌクレオチド上の適切な部位に結合される。
【0080】
(C.反応条件)
配列決定のための反応混合物は、特定のポリメラーゼについて最適化された水性緩衝液培地を含む。一般的に、この緩衝液は、一価のイオン供給源、二価のカチオン供給源および緩衝化剤を含む。任意の好都合な一価のイオン供給源(例えば、KCl、K−アセテート、NH4−アセテート、K−グルタメート、NH4Cl、硫酸アンモニウムなど)が使用され得、ここで、この緩衝液中に存在する一価のイオン供給源の量は、典型的には、約500〜20,000マイクロモーの範囲の伝導率、通常、約1000〜10,000マイクロモー、そしてより通常は、約3,000から6,000マイクロモーの伝導率を提供するのに十分な量で存在する。
【0081】
この二価のカチオンは、マグネシウム、マンガン、亜鉛などであり得、このカチオンは、典型的には、マグネシウムである。使用され得るマグネシウムカチオンの任意の供給源としては、MgCl2、Mg−アセテートなどが挙げられる。この緩衝液中に存在するMgイオンの量は、0.5〜20mMの範囲であり得るが、好ましくは約1〜12mMの範囲であり、より好ましくは、2〜10mMの範囲、そして理想的には、約5mMである。
【0082】
緩衝液中に存在し得る代表的な緩衝剤または塩としては、Tris、トリシン、HEPES、MOPSなどが挙げられ、ここで、この緩衝剤の量は、典型的には約5〜150mMの範囲であり、通常、約10〜100mM、そしてより通常は、約20〜50mMであり、特定の好ましい実施形態において、この緩衝剤は、約6.0〜9.5の範囲のpHを提供するのに十分な量で存在し、ここで最も好ましくは、25℃でpH7.6である。緩衝液培地中に存在し得る他の薬剤としては、EDTA、EGTAなどのようなキレート剤が挙げられる。
【0083】
(D.標識および保護基の除去)
組み込みと標識の検出工程を、組み込みが検出されるまで繰り返すことによって、プライマーの3’末端に隣接するテンプレート上のヌクレオチドが同定され得る。一旦、これが達成されると、この標識は、次のヌクレオチドの同一性を見出すための処理を繰り返す前に除去されるべきである。この標識の除去は、3’−5’のエキソヌクレアーゼを使用して標識されたヌクレオチドを除去することによってもたらされ得、続いて標識されていないヌクレオチドで置換される。あるいは、この標識基は、ヌクレオチドから除去され得る。この蛍光色素の放出は、ヌクレオチドと蛍光分子との間の検出可能な結合が使用される場合、達成され得る。例えば、ジスルフィド結合の使用によって、ジチオスレイトール(DTT)のような還元剤を適用することによって色素を切断することが可能である。さらなる代替において、この標識が蛍光標識である場合、照射によって脱色することによってその標識を無効にし得る。フォトブリーチングは、例えば、Jacobsonら,「International Workshop on the Application of Fluorescence Photobleaching Techniques to Problems in Cell Biology」,Federation Proceedings,42:72−79,1973;Okabeら,J Cell Biol 120:1177−86,1993;Wedekindら,J Microsc.176 Pt 1):23−33,1994;およびCloseら,Radiat Res 53:349−57,1973に記載されるような方法に従って実施され得る。
【0084】
特定のターミネーターまたは3’保護基が使用される場合、これらは、次のサイクルが行なわれ得る前に除去されるべきである。3’保護基は、保護基の化学切断または酵素切断によってヌクレオチドから除去され得る。例えば、鎖ターミネーターは、3’−5’エキソヌクレアーゼ(例えば、ヌクレアーゼIII)で除去される。一旦この標識およびターミネーター/保護基が除去されると、このサイクルは、次のヌクレオチドの同一性を見出すために繰り返される。
【0085】
(E.サンプルハウジング)
固体基材は、必要に応じて入口および出口を備えるフローチャンバに入れられ、固定された部分を流れる反応物の再生を可能にする。このフローチャンバは、プラスチックまたはガラスから作製され得、そして顕微鏡または光学読取装置によって表示される平面上で開いているかまたは透明(transparent)であるかのいずれかであるべきである。電気浸透流れ(electro−osmotic flow)は、固体基材上の固定された電荷および固体支持体の反対の側に位置する2つの電極の間を通る電圧勾配(電流)を必要とする。圧力で押し出された流れは、外圧供給源を備える微流体デバイスによって、または微流体蠕動ポンプ(例えば、Ungerら,Science 288:113−116,2000を参照のこと)によって促進され得る。
【0086】
このフローチャンバは、別々の配列決定のために複数のチャネルに分けられ得る。マイクロフローチャンバの例は、Fuら(Nat.Biotechnol.(1999)17:1109)に記載され、これは、選別のために電気浸透流れを利用する3μm×4μmのチャネルを備える微小加工された蛍光活性化細胞選別器を記載する。好ましくは、WO01/32930に記載されるように、このチャンバは微細加工合成チャネルを備える。ポリヌクレオチドテンプレートは、合成チャネルの表面に固定され得る。これらの合成チャネルは、反応試薬の流れを制御する微小流れデバイスによって流れの伝達中に存在し得る。本発明の反応試薬の流れを制御するために使用され得る好ましい微小流れデバイスは、WO01/32930に記載されている。
【0087】
本発明はまた、本発明の方法を実行するための装置を提供する。標的ポリヌクレオチドまたはプライマーが結合される基材以外では、装置は、通常、基材が貯蔵されるフローチャンバを備える。さらに、この装置は必用に応じて、配管デバイス(例えば、流入口および流出口)、光源、および本明細書中に記載される検出システムを備える。好ましくは、WO01/32930に記載されるような微細加工装置が、本発明の発明の基材を貯蔵するために適用される。
【0088】
(V.組み込まれたシグナルの検出)
(A.一般的な検出システム)
インターカレート色素で標識されたDNAの単一分子を視覚化する方法は、例えば、Housealら,Biophysical Journal 56:507,1989に記載されるような蛍光顕微鏡が挙げられる。通常、多数の分子からのシグナルが本発明の配列決定法によって検出されるが、単一の蛍光色素分子からの蛍光もまた検出され得る。例えば、この目的のために多くの方法が利用可能である(例えば、Nieら,Science 266:1013,1994;Funatsuら,Nature 374:555,1995;Mertzら,Optics Letters 20:2532,1995;およびUngerら,Biotechniques 27:1008,1999を参照のこと)。励起状態の単一分子の蛍光スペクトルおよび寿命でさえも検出可能である(Macklinら,Science 272:255,1996)。光電子増倍管またはアバランシェ・フォトダイオードのような標準的な検出器が使用され得る。2段階の画像倍増CCDカメラによる全視野の画像処理(full field imaging)がまた、使用され得る(Funatsuら、前出)。低雑音冷却CCD(Low noise cooled CCD)がまた、単一の蛍光分子を検出するのに使用され得る(例えば、Ungerら,Biotechniques 27:1008−1013,1999;およびSenSys spec:http://www.photomet.com/pdfs/datasheets/sensys/ss1401e.pdfを参照のこと)。
【0089】
シグナルまたは標識のための検出システムはまた、使用される標識に依存し、この標識は、利用可能な化学によって規定され得る。光信号については、光ファイバーまたは電荷結合素子(CCD)が、検出工程において使用され得る。マトリクスが、使用される放射線を通す環境において、ポリヌクレオチド由来の基材の反対側に配置された検出器によって基材を通る入射ビームを持つことが可能である。電磁標識について、種々の形態の分光システムが使用され得る。検出システムについての種々の物理的配向性が利用可能であり、そして、重要な設計パラメータの議論が、この分野において提供される(例えば、Arndt−Jovinら,J Cell Biol 101:1422−33,1985;およびMarriottら,Biophys J 60:1374−87,1991)。
【0090】
本発明の多くの用途は、蛍光標識されたヌクレオチドの、溶液中の単一テンプレート分子への組み込みの検出を必要とする。本発明の発明の単一分子蛍光検出は、光学セットアップ(近距離走査顕微鏡、遠距離共焦点顕微鏡、広視野エピ−イルミネーション、および全反射蛍光(TIRF)顕微鏡を含む)を使用して実施され得る。この技術を記載する一般的な総説が利用可能であり、その総説としては、例えば、Bascheら,(編)1996,Single molecule optical detection,imaging, and spectroscopy,Weinheim:VCM;およびPlakhotnikら,Single−molecule spectroscopy,Ann.Rev.Phys,Chem.48:181−212が挙げられる。一般的には、この方法は、カメラを備えた顕微鏡を使用してレーザーで活性化された蛍光の検出を含む。この方法は時々、高性能光検出システムと呼ばれる(例えば、Nieら,1994,Probing individual molecules with confocal fluorescence microscopy,Science 266:1018−1019を参照のこと)。他の適切な検出システムは、以下の実施例において議論される。
【0091】
適切な光検出システムとしては、光ダイオードおよび高感度(intensified)CCDカメラが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、高感度電荷結合素子(ICCD)カメラが使用される。ガラススライドの表面近くの流体中の個々の蛍光色素分子を画像化するためのICCDカメラの使用は、いくつかの理由で有利である。ICCD光学セットアップを用いると、一連のフルオロフォアの画像(動画)を得ることが可能となる。特定の局面において、この方法において使用されるdNTPまたはNTPの各々は、それに関連する固有のフルオロフォアを有し、そのために、4つのカメラおよび4つの励起レーザーを備える4色機器が使用され得る。好ましくは、この画像は、4分割され、1つのカメラによって写される。例えば、Optical Insights LTDの微小画像装置は、画像を、カメラのポートの前面の4つの異なる範囲に4つの異なる画像に分ける、単純なデバイスである。適切な色素が使用される場合、4色について唯一のレーザー励起を伴うイルミネーションが可能である(例えば、Rosenblumら,Nucleic Acids Research 25:4500,1997)。例えば、BigDyesは、唯一の励起波長スペクトルおよび4つの異なる発光波長スペクトルを有する。これらは、Applied Biosystems(http://www.appliedbiosystems.com/products/productdetail.cfm?ID=82を参照のこと)から入手可能である。ナノ結晶はまた、所定の励起についての種々の発光波長を有することが見出される(例えば、米国特許第6,309,701号;およびLacosteら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:9461−6,2000を参照のこと)。従って、DNAの配列決定をするためにこのような光学セットアップを使用することが可能である。さらに、多くの異なるDNA分子が固体支持体(例えば、顕微鏡スライド)上に広げられ、同時に画像化されそして配列決定され得る。
【0092】
(B.全反射蛍光(TIRF)顕微鏡)
いくつかの好ましい実施形態において、本発明は、二次元の画像処理蛍光検出のために、全反射蛍光(TIRF)顕微鏡を使用する。TIRF顕微鏡は、当該分野で周知である。例えば、Watkinsら,J Biomed Mater Res 11:915−38,1977;およびAxelrodら,J Microsc,129:19−28,1983を参照のこと。TIRF顕微鏡は、全体的に内部に反射された励起光を使用する。レーザービームが液体と固体基材(例えばガラス)との間の界面で全体的に反射された場合、この励起ビームは、液体中に、短い距離のみ透過する。言い換えれば、光学フィールドは、この反射界面において急激に終わることはないが、その強度は、距離に応じて指数関数的に減少する。この表面の電磁場(「一過性の波(evanescent wave)」と呼ばれる)は、界面近くの液体中の蛍光分子を選択的に励起し得る。この界面における薄い一過性の光学フィールドは、低いバックグラウンドを提供し、可視波長で、高いシグナル 対 ノイズの比を有する単一分子の検出を可能にする(例えば、M.Tokunagaら,Biochem.およびBiophys.Res.Comm.235,47(1997)およびP.Ambrose,Cytometry,36,244(1999)を参照のこと)。
【0093】
TIRF顕微鏡法は、種々の分子または細胞の活性(例えば、蛍光α−アマガサヘビ毒素によって標識されたアセチルコリンレセプターと共に最初に培養されたラット筋管の細胞/基材接触領域、および膜組込み蛍光脂質で標識されたヒト皮膚繊維芽細胞)を試験するために使用されている(例えば、Thompsonら、Biophys.J.33:435〜54,1981;Axelrod,J.Cell.Biol.89:141〜5,1981;およびBurghardtら、Biochemistry 22:979〜85,1983を参照のこと)。細胞/表面接触のTIRF試験は、表面自己蛍光および組織片由来のバックグラウンドを劇的に減少する。TIRFはまた、蛍光フォトブリーチングの回復、および相関分光法と組み合わせて、表面に対する蛍光標識された血清タンパク質結合(平衡で)の化学動力学的結合速度および表面拡散定数を測定する(例えば、Burghardtら、Biophys J.33:455〜67,1981);およびThompsonら、Biophys J,43:103〜14,1983を参照のこと)。単一分子のTIRR検出のさらなる例が、Valeら、1996,Direct observation of single kinesin molecules moving along microtubules,Nature 380:451;およびXuら、1997,Direct Measurement of Single−Molecule Diffusion and Photodecomposition in Free Solution,Science 275:1106〜1109に記載されている。
【0094】
ガラスの後ろの場の浸透度は、波長およびレーザービームの入射角に依存する。より深い浸透度が、より長い波長および表面に対する垂直より小さい角度(臨界角度の限界内)について得られる。代表的なアッセイにおいて、フルオロフォアは、約600塩基対のDNAの輪郭の長さに対応する表面から約200nm内で検出される。いくつかの実施形態において、より長いポリヌクレオチドテンプレートが分析される場合、テンプレートよりもむしろポリメラーゼが、表面に固定化され、そして反応が、全ての場合において表面近くで生じる。いくつかの実施形態において、XuおよびYeungによって記載されるような単一分子画像化のためのプリズム型TIRF幾何学が、使用される(X−H.N.Xuら、Science,281,1650(1998)を参照のこと)。いくつかの実施形態において、対物型TIRFは、対物レンズの上の空間を提供するために使用され、その結果、微小流体装置が、使用され得る(例えば、Tokunagaら、Biochem Biophy Res Commu 235:47〜53,1997;Ambroseら,Cytometry 36:224;1999;およびBraslavskyら、Applied Optics 40:5650,2001を参照のこと)。
【0095】
全反射は、高い開口対物レンズ(1.4と1.65との間の開口の範囲)を用いて利用され得、好ましくは、倒立顕微鏡を用いて利用され得る。対物レンズの開口数は、媒体の所定の屈折率において対物レンズで収集(または、照射)され得る最大角の関数である(すなわち、NA=n×sin(tetaMax))。tetaMaxが、屈折についてのteta Criticよりも大きい場合、照射された光線のいくつかは、全反射される。大きいNA対物レンズの周辺を使用するので、対物レンズを介してTIRと共にサンプルが照射され得、そして蛍光の光を収集するために同じ対物レンズが使用され得る。それ故、対物レンズは、コンデンサーおよび画像化対物レンズとして二重の役割を果たす。
【0096】
流動サンプルが、少ない容量を規定するために使用される空間なフィルターで焦点を合わせたレーザーを通り抜ける場合、単一分子検出は、フローサイトメトリーを用いて達成され得る。米国特許第4,979,824号は、この目的のためのデバイスを記載する。米国特許第4,793,705号は、フローセル中の粒子のフロー列において個々の分子を同定するための検出システムを記載する。これは、異なる蛍光核酸塩基特異的標識を検出するための複数のレーザー、フィルター、および検出器をアレンジする方法をさらに記載する。米国特許第4,962,037号はまた、塩基を切断するエキソヌクレアーゼを使用してDNA配列およびRNA配列を入手するための標識化ヌクレオチドの順列を検出するための方法を記載する。固体支持体上の単一分子検出はまた、Ishikawaら、(1994)Single−molecule detection by laser−induced fluorescence technique with a position−sensitive photon−counting apparatus,Jan,J.Apple.Phys.33:1571〜1576に記載される。Ishikawaは、蛍光顕微鏡に装着された光子計測カメラシステムを含む代表的な装置を記載する。Leeら(Anal.Chem.,66;4142〜4149,1994)は、石英キャピラリーチューブにおける単一分子を検出するための装置を記載する。レーザーの選択は、標識および要求される光の質に依存する。ダイオード、ヘリウムネオン、アルゴンイオン、アルゴン−クリプトン混合イオン,および二重Nd:YAGレーザーが、本発明において有用である。
【0097】
(C.励起およびスキャン)
いくつかの適用において、蛍光の励起は、Qスイッチ周波二重化Nd YAGレーザーで提示され、これは、KHz反復速度を有し、多くのサンプルを1秒毎に採取可能にする。例えば、532nmの波長は、ローダミンの励起のために理想的である。これは、単一分子検出スキームにおいて使用されている標準的なデバイスである(Smithら、Science 253:1122,1992)。パルスレーザーは、時間解析実験を可能にし、これは、不要なノイズを拒絶するために有用である。いくつかの方法において、励起は、水銀灯を用いて実行され得、そして組み込まれたヌクレオチド由来の信号は、CCDカメラを用いて検出され得る(例えば、Ungerら、Biotechniques 27:1008,1999を参照のこと)。
【0098】
組み込まれた信号は、基材をスキャンすることによって検出され得る。この基材は、使用されるスキャン方法に依存して、同時にまたは経時的にスキャンされ得る。この信号は、Yershovら(Proc.Natl.Acad.Sci.93:4913,1996)に記載されるように、適切な光学部品(Ploem,J.S.Fluorescent and Luminescent Probes for Biological Activity,Mason,T.W.編,Academic Press,London,pp.1〜11,1993)を用いてCCDカメラ(TE/CCD512SF、Princeton Instruments, Trenton,N.J.)を用いてスキャンされ得るか、またはTVモニタリングによって画像化され得る(Khrapkoら、DNA Sequencing 1:375,1991)。スキャンシステムは、基材を再現的にスキャンし得るべきである。適切な場合(例えば、2次元の基材について、基材がその位置に配置される場合)、スキャンシステムは、再現可能な座標系に、付着される基材を位置的に規定するべきである。基材の位置的な同定が、連続的なスキャン工程において反復可能であることは、重要である。
【0099】
種々のスキャンシステムが、本発明の方法および装置において用いられ得る。例えば、米国特許第5,143,854号に記載される電気光学的スキャンデバイスは、本発明での使用に適切である。このシステムは、写真スキャナ、ディジタイザーまたはコンパクトディスク読み取りデバイスの多くの特徴を示し得る。例えば、Newport Corporationによって製造されたモデル番号PM500−A1 x−y変換テーブルは、検出単位に装着され得る。x−y変換テーブルは、適切にプログラミングされたデジタルコンピュータ(例えば、IBM PC/ATまたはAT互換性コンピュータ)に連結され、そしてこれにより制御される。この検出システムは、前置増幅器(例えば、Stanford Research Systemによって製造されたモデル番号SR440)、および光子計測器(例えば、Stanford Research Systemによって製造されたSR430)に取り付けられた、Hamamatsuによって製造されたモデル番号R943−02光電子増倍管またはマルチチャンネル検出デバイスであり得る。デジタル信号が、通常好ましいが、アナログ信号が、有利である状況もあり得る。
【0100】
スキャンにおける位置的な配置の安定性および再現性は、大部分は、2次元の基材上で近く位置されるポリヌクレオチド群を分離するための解像度を決定する。所定の位置での連続的なモニタリングは、位置的にマップされたポリヌクレオチドにおけるその効果に対する反応サイクルの結果をマップする能力に依存するので、高い解像度のスキャンが好ましい。解像度が増加するにつれて、信号マトリクス上で配列決定され得る可能なポリヌクレオチドの数の上限もまた、増加する。粗雑なスキャンシステムは、1000μmのオーダーしか解像し得ず、洗練されたスキャンシステムは、100μmのオーダーを解像し得、より洗練されたシステムは、約10μmのオーダーを解像し得、そして光学的倍増システムを用いると、1.0μmのオーダーの解像が可能になる。解像における制限は、回折の制限であり得、そして蛍光スキャン工程のためにより短い波長の照射を用いることによって進展が生じ得る。しかし、解像度の増加と共に、マトリクスを完全にスキャンするために要求される時間も増加し、そして速度と解像度との間の妥協が選択され得る。より短いスキャン時間で高い解像度を提供する平行検出デバイスは、複数の検出器が、平行に移動する場合に、適用可能である。
【0101】
いくつかの適用において、解像度はしばしばそれほど重要ではなく、感度が、強調される。しかし、信号の信頼性は、光子を計測すること、および信号の強度が低い位置で長期間計測し続けることによって、予め選択され得る。これは、スキャン速度を減少するが、信号決定の信頼性を増加し得る。種々の信号検出およびプロセシングのアルゴリズムは、検出システムに組み込まれ得る。いくつかの方法において、信号の領域にわたるピクセルの信号強度の分布は、強度の分布が、時間のポジティブ信号に対応するか否かを決定するために評価される。
【0102】
(D.複数の蛍光標識の組込みの検出:FRET)
本願のいくつかの局面において、プライマーへの異なる型のヌクレオチドの組込みは、異なる型のヌクレオチドにおいて異なる蛍光標識を用いて検出される。2つの異なる標識が、接近してプライマーに組み込まれる場合、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)に起因する信号が検出され得る。FRETは、文献(例えば、T. Foster, Modern Quantum Chemistry, Istanbul Lectures,Part III,93−137,1965, Academic Press,New York ;およびSelvin,「Fluorescence Resonance Energy Transfer」Methods in Enzymology 246:300〜335,1995)に十分に実証されている現象である。FRETにおいて、フルオロフォア(ドナー)の1つは、他のフルオロフォア(アクセプター)の励起スペクトルと重複する放射スペクトルを有し、そしてエネルギーの移動が、蛍光共鳴エネルギー移動を介して、ドナーからアクセプターへと起こる。このエネルギー移動は、双極子−双極子相互作用によって媒介される。分光法的に、ドナーが、励起される場合、その比放射強度は減少し、一方でアクセプターの比放射強度が増加する、蛍光の増強を生じる。
【0103】
単一分子FRET信号の検出は、配列情報を明らかにし、そして配列データの解釈を容易にする。本発明におけるFRET信号の検出は、当該分野において記載される種々の方法(例えば、米国特許第5,776,782号)に従って実行され得る。FRETは、ポリヌクレオチドを含む生体高分子の種々の生物学的活性を研究するために使用されている。例えば、Cooperらは、二重かつ分岐したDNA分子における蛍光エネルギー移動を開示した(Biochemistry 29:9261〜9268,1990)。Lazowskiらは、FRETによる核酸の特異的配列に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションの高感度な検出を報告した(Antisense Nucleic Acid Drug Dev.10:97〜103,2000)。FRETを用いた核酸分析のための方法もまた、米国特許第6,177,249号および同第5,945,283号に記載された。単一ポリヌクレオチド分子への複数のヌクレオチドの組込みを検出するためにFRETを用いることの効果はまた、本願の実施例8に例示される。
【0104】
任意の多数のフルオロフォアの組合せが、FRET信号を検出するために、本発明においてヌクレオチドを標識するために選択され得る(例えば、Pesceら、編, Fluorescence Spectroscopy,Marcel Dekker,New York, 1971;Whiteら、Fluorescence Analysis:A practical Approach,Marcel Dekker,New York, 1970;Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,第6版 Molecular Probes,Inc.,Eugene,Oreg.,1996を参照のこと;これらは、参照として援用される)。一般に、好ましいドナーのフルオロフォアは、アクセプターフルオロフォアの実質的なスペクトルを有するフルオロフォアが選択される。さらに、特定の適用において、ドナーが、レーザーの周波数に近い励起極大(例えば、ヘリウム−カドミウム442nmまたはアルゴン488nm)を有することもまた、所望され得る。このような適用において、強いレーザー光の使用は、ドナーのフルオロフォアを励起する効果的な手段として作用し得る。アクセプターのフルオロフォアは、その励起スペクトルとドナーのフルオロフォアの放射スペクトルとの実質的な重複を有する。さらに、アクセプター部分の放射スペクトルの極大波長は、好ましくは、ドナー部分の励起スペクトルの極大波長よりも少なくとも10nm大きい。アクセプターのフルオロフォアの放射スペクトルは、ドナーのスペクトルと比較して移行される。
【0105】
蛍光エネルギー移動(FET)の原理に従って働く適切なドナーおよびアクセプターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない;4−アセトアミド−4’−イソチオシアネートスチルベン−2,2’ジスルホン酸;アクリジンおよび誘導体:アクリジン、アクリジンイソチオシアナート;5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(EDANS);4−アミノ−N−[3−ビニルスルホニル)フェニル]ナフタルイミド−3,5ジスルホネート;N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイミド;アントラニルアミド;BODIPY;Brilliant Yellow;クマリンおよび誘導体:クマリン、7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC、クマリン120), 7−アミノ−4−トリフルオロメチルクラリン(trifluoromethylcouluarin)(クマラン151);シアニン色素;シアノシン;4’,6−ジアミニジノ−2−フェニルインドール(DAPI); 5’,5”−ジブロモピロガロール−スルホナフタレイン(Bromopyrogallol Red);7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアナートフェニル)−4−メチルクマリン;ジエチレントリアミン五酢酸;4,4’−ジイソチオシアナートジヒドロ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸;4,4’−ジイソチオシアナートスチルベン−2,2’−ジスルホン酸;5−[ジメチルアミノ]ナフタレン−1−塩化スルホニル(DNS、塩化ダンシル);4−ジメチルアミノフェニルアゾフェニル−4’−イソチオシアネート(DABITC);エオシンおよび誘導体:エオシン、エオシンイソチオシアネート、エリスロシンおよび誘導体:エリスロシンB、エリスロシンイソチオシアネート;エチジウム;フルオレセインおよび誘導体:5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、5−(4,6−ジクロロトリアジン−2−イル)アミノフルオレセイン(DTAF)、2’,7’−ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、QFITC、(XRITC);フルオレサミン;IR144;IR1446;マラカイトグリーンイソチオシアネート;4−メチルアンベリフェロン(methylumbelliferoneortho)オルトクレゾールフタレイン;ニトロチロシン;パラローザニリン;Phenol Red;B−フィコエリトリン;o−フタルジアルデヒド;ピレンおよび誘導体:ピレン、ピレンブチレート、スクシンイミジル1−ピレン;ブチル化量子ドット;Reactive Red 4(CibacronTM Brilliant Red 3B−A)ローダミンおよび誘導体:6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシローダミン(R6G)、リザミンローダミンB塩化スルホニルローダミン(Rhod)、ローダミンB、ローダミン123、ローダミンXイソチオシアネート、スルホローダミンB、スルホローダミン101、スルホローダミン101の塩化スルホニル誘導体(Texas Red);N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA);テトラメチルローダミン;テトラメチルローダミンイソチオシアネート(TRITC);リボフラビン;ロゾール酸;テルビウムキレート誘導体;Cy3;Cy5;Cy5.5;Cy7;IRD 700;IRD 800;La Jolla Blue;フタロシアニン;ならびにナフタロシアニン。
【0106】
本発明の多くの修飾および改変が、その精神および範囲から逸脱せずに成され得る。以下に記載される特定の実施形態は、例示のみであり、いかなる点においても本発明を限定することを意図されない。
【実施例】
【0107】
(実施例1 基本材料および基本方法)
(1.材料および反応試薬)
(1)溶液および緩衝液
RCA:H2O:NH4OH:H2O2(6:4:1)1時間煮沸
PEI:ポリエチレンイミン(Sigma P−3143)(正に荷電)
PALL:ポリ(アリルアミン塩酸塩)(Sigma 283223)
PACr:ポリ(アクリル酸、ナトリウム塩)(Sigma 416045)(負に荷電)
EDC:9.6mg/ml;50mM(×10)1−{3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、塩酸塩)、BLCPA(Sigma−161462)に対するアクチベーター
BLCPA:EZ−連結ビオチンLC−PEO−アミン(Pierce 21347)
MES 10mM中ストック溶液 50mM(21mg/ml)(×10)
Tris. PROzyme,Code:SA20中ストレプトアビジン プラス−1mg/ml(×10)
緩衝液:
MES (N−モルホリノエタンスルホン酸)PH 5.5 1M(100×)
TRIS 10mM
TRIS−MgCl2 10mM Tris、100mM MgCl2(×1)
TKMC(10mM Tris・HCl、10mM KCl、l0mM MgCl2、5mM CaCl2、pH 7.0)
EcoPol:10mM Tris・HCl、5mM MgCl2、7.5 mM DTT(25℃でpH );(×10)のポリメラーゼが付随した緩衝液
(2)他の材料および試薬
ヌクレオチド:10μMの濃度で、dTTP、dGTP、dATPおよびdCTP−Cy3
ポリメラーゼ: a) クレノウポリメラーゼI(5単位/ul)、New England BioLabs Cat.210S
b) クレノウ−エキソ、New England BioLabs Cat. 212S
c)TAQ
d)シークエナーゼ
ハイブリダイゼーションチャンバ:Sigma H−1409
ポリヌクレオチドテンプレートおよびプライマー:
7G:ビオチン−5’−tcagtcatca gtcatcagtc atcagtcatc agtcatcagt catcagtcat cagtcatcag tcatcagtca tcagtcatca gtcatcACAC GGAGGTTCTA−3’(配列番号:1)
プライマーp7G:5’−TAGAACCTCCGTGT−3’(配列番号:2);このプライマーは、Cy5またはCy3で標識され得る。
【0108】
Mu50:ビオチン5’−ctccagcgtgttttatctctgcgagcataatgcctgcgtcatccgccagc−3’(配列番号:3)
Cy5標識プライマー(PMu50Cy5):Cy5 5’−gctggcggatgac−3’(配列番号:4)
7G7A−ビオチン−5’−tttGcttcttAttctttGcttcttAttctttGcttcttAttctttGcttcttAttctttGcttcttAttctttGcttcttAttcttACACGGAGGTTCTA−3’(配列番号:5)
6TA6CG:ビオチン−5’−ccAttttttGccccccAttttttGccccccAttttttGccccccAttttttGccccccAttttttA−CACGGAGGTTCTA−3’(配列番号:6)。
【0109】
(2.基材処理およびテンプレート付着)
溶融シリカ顕微鏡スライド(1mmの厚さ、25×75mmのサイズ、Esco Cat.R130110)を使用して、DNAテンプレートを付着させた。このスライドを、上記およびWO01/32930に記載されるようなRCA方法を用いてまず洗浄した。ポリアリルアミン/ポリアクリルの多層をスライドに吸着させた。次いで、EZ連結コネクターを、以下のようにスライドに付着させた:スライドを乾燥し、ダイヤモンドペンシルで引っかき、次いでハイブリダイゼーションチャンバーでカバーした。1:1:8 EDC:BLCPA:MES(50mM EDC、50mM BLCPA、10mM MES)の混合物120μlを、各スライドに塗布した。20分間のインキュベーション後、0.1mg/mlに希釈したストレプロアビジンプラス120μlを、スライドに添加した。20分間のインキュベーション後、スライドを、200μlのTris 10mMで洗浄した。
【0110】
10pMオリゴの調製:7Gオリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号1)を、TRIS−MgCl2緩衝液中(7μMのストック中)でCy5標識プライマー(配列番号2)を用いてプレハイブリダイゼーションした。処理したスライドを、TIR顕微鏡を用いて汚染について試験した。200μlのオリゴヌクレオチド/プライマー混合物を、各スライドに塗布した。10分間のインキュベーション後、このスライドを、200μl mlの10mM Trisで洗浄した。
【0111】
ヌクレオチドおよびポリメラーゼの添加:ヌクレオチドdTTP、dATP、dGTPおよびCy3−dCTPそれぞれ20〜100nMを、ECOPOL緩衝液中で混合した。ストック溶液(−20℃に維持)由来のクレノウ210S 1μlを、200μlのヌクレオチド混合物に添加した。次いで、120μlの混合物を、各スライドに添加した。0〜30分間のインキュベーション後(異なる実験について)、スライドを、TIR顕微鏡を用いて試験した。特に示されない場合、全ての反応を、室温で実行したが、反応試薬を、4℃または−20℃に維持した。プライマー/オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション反応を、サーモサイクラー機械を用いて実行した。
【0112】
一分子分解能を、1つのみのテンプレート分子しか、スライドの異なるスポットに付着されないことを保証する、超低濃度のポリヌクレオチドテンプレートを用いることによって、達成した。異なるものへの単一分子の付着はまた、付着したフルオロフォアの単一の退色パターンを観察することによって確認される。上記の反応において、約10pMの80マーのオリゴヌクレオチドテンプレートの濃度を、スライドへ固定化するために使用した。スライド表面に付着した異なるDNA分子間の間を、数μmで測定した。
【0113】
(3.一分子分解能の想定)
図1に図示するように、Cy5標識化プライマー配列(配列番号2)でプライムした1本鎖オリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号1)を、一分子分解能にて、ビオチン−ストレプトアビジン結合を使用してシリカスライドの表面に固定化した。この表面を、ビオチン(EZ結合)がテザー化されるポリマーでコーティングした。オリゴヌクレオチドテンプレート(その末端の1つに結合されるビオチン分子を有する)は、ストレプトアビジン連結表面に結合し得た。非結合ヌクレオチドを取り除くのを介助するスライド表面は、負に荷電された。DNAを、その5’末端に特異的に結合し、これは、プライマー(これはポリメラーゼが伸長する)が表面から離れていることを意味する。
【0114】
テンプレートおよび標識化ヌクレオチドの組み込みを、蛍光画像化で可視化した。オリゴヌクレオチドの位置を、Cy5標識プライマー(配列番号2)からの蛍光によりモニターした。ヌクレオチドの組み込みを検出した。なぜならば、このヌクレオチドは、Cy3で標識されていたからである。組み込みの後、組み込まれた標識を、照射した。Cy3の照射は、532nmの波長であった。継続する数秒の代表的な時間の照射の後、シグナルを、代表的には単一の工程で漂白した。
【0115】
図2に示すように、単一の分子解像度を有する蛍光シグナルの画像化を、全反射(TIR)による表面照射を用いて可能にした。Ishijimaら(Cell 92:161−71;1998)は、湿環境中で表面に固定化される単一分子の蛍光を観察することが、遊離分子が溶液中に存在する時でさえ、可能であることを示した。ここで、TIRを、シリカスライド表面へのレーザー光線のドーブプリズム結合により促進した。液浸油対物レンズを備える直立顕微鏡を使用して、増強CCD(PentaMax)で表面を画像化した。フィルタセット(Chroma)を使用して、照射頻度を却下し、そして、蛍光頻度をICCDに達成させた。
【0116】
(実施例2:テンプレート分子の基材表面への特異的結合についての試験)
この実験は、ポリヌクレオチドテンプレートが所望の表面に結合するか否かを決定するために実施した。図3は、テンプレートの表面への結合、従って組み込まれた蛍光シグナルの検出にストレプトアビジンが必要とされることを示す。左のパネルは、蛍光標識ではなくストレプトアビジン結合表面のみが存在した場合に蛍光シグナルが存在しないことを示す。中央のパネルは、ビオチン標識化オリゴヌクレオチドテンプレートに結合するためのス表面にトレプトアビジンが存在しない場合、Cy5標識プライマーが存在してさえも、組み込まれた蛍光シグナルが存在しないことを示す。右のパネルは、ストレプトアビジン結合表面、標識化プライマーおよびビオチン標識化オリゴヌクレオチドテンプレートが存在した場合の組み込まれた蛍光シグナルの検出を示す。
【0117】
(実施例3.標識化ヌクレオチドの存在下でのDNAポリメラーゼの前進性の決定)
DNAポリメラーゼが標識化オリゴヌクレオチドをテンプレートに正確に組み込むか否かを決定するために、バルク伸長実験を、基材の表面上ではなく試験管内で実施した。図5中に示すように、結果は、ポリメラーゼが、全ての標識化ヌクレオチドを正確な位置に組み込むことを示す。この実験において、dCTP−Cy3および重合ターミネータ−であるddCTPの組み込みを、7GDNAテンプレート(7塩基ごとにG残基を有するDNA鎖;配列番号1)を使用して検出した。アニール化プライマーを、非標識化dATP、dGTP、dTTP、Cy3標識化dCTP、およびddCTPの存在下で伸長させた。Cy3−dCTPおよびddCTPの比率は3:1であった。反応生成物を、ゲル上で分離し、蛍光を励起させ、そして、自動配列決定機ABI−377を使用してシグナルを検出した。結果は、Cy3−dCTPの組み込みが7Gオリゴマーテンプレートに沿うさらなるプライマー伸長を干渉しなかったことを示す。
【0118】
図5は、7Gオリゴマーテンプレート(配列番号1)中の異なるG残基でのddCTPの組み込みにより終結された様々な長さのプライマー伸長生成物からの蛍光強度を示す。第1のバンドは、ゲルの末端であり、そして、このバンドがゲルのまさに最初にある場合にはカウントされるべきでない。テンプレートの全長は、100残基である。第1のバンド(グラフ中に「1」と記す)は、第2のG残基(27位)での非標識化ddCTPの組み込みにより終結された伸長産物に対応し、第1のG残基(20位)で組み込まれたCy3−dCTPを有する。同様に、10番目のバンド(グラフ中に「10」と記す)は、10番目のG残基(90位)での非標識化ddCTPの組み込みにより終結された伸長産物を示し、そして、前のG残基(すなわち、20位、27位、34位、41位、48位、55位、62位、69位、76位および83位)で組み込まれたCy3−dCTPを有する。この結果は、ポリヌクレオチドテンプレート中のCy3の組み込みについて予想された位置と蛍光強度バンドの位置との間に良好な一致を示した。
【0119】
(実施例4.TIRによる単一ヌクレオチド組み込みの決定)
全反射(TIR)蛍光顕微鏡を用いて、標識化ヌクレオチドの単一の固定化ポリヌクレオチドテンプレートへのリアルタイム組み込みの検出が可能となる。この照射法は、表面付近の薄層(例えば、150nm程度)のみを照射することにより、サンプルからのバックグラウンドを減少する。溶液中の遊離色素の存在下(50nMまで)でさえ、単一分子が観察され得る。TIRを使用して、本発明者らは、溶液中の50nMまでの遊離色素の存在下で、DNAに結合される標識化ヌクレオチドの単一分子を可視化した。この濃度は、DNAポリメラーゼによるヌクレオチドの高率での組み込みのために必要とされる濃度と比較して低いが、その操作には十分である。
(1.光学設定)
レーザー供給源を図2中に示し、光源(例えば、レーザー)を、プリズムにより表面に連結する。この表面を、増強CCD(Pentamax)上の標準1.3NA顕微鏡対物レンズによって画像化する。光学経路中の蛍光フィルタ(Chroma filters)は、レーザー強度をブロックし、そして、色素分子からの蛍光シグナルの通過を可能にする。必要に応じて、レーザーのためのカメラおよびシャッターを、コンピューターによって制御する。
【0120】
(2.照射)
図6中に示すように、ポリヌクレオチド結合スライドのTIR照射は、低いバックグラウンドを生成し、そして、固定化標識からのみのシグナルの検出を可能にした。表面の下の融合シリカガラスおよび油の屈折率は、約1.46である。ガラス上の液体の屈折率は、約1.33〜約1.35である。ガラスおよび水の界面で、照射線は屈折された。照射が非常に浅い(表面直角から70°〜75°)場合、屈折光は、反射し返し、そして、全反射についての臨界角が約65°〜約67°(TetaCitical=sin−1(n1/n2))である場合、液相中に入らない。
【0121】
照射プロセス(一過性照射(evanescent illumination)と呼ばれる)は、約150nmでのみ液相中に照射する、境界面付近に崩壊領域を残す。蛍光発色団色素は、この領域により励起され得る。従って、表面付近の色素のみが放射される。さらに、溶液中の遊離標識化ヌクレオチド分子は、ブラウン運動に起因して、動き回る。これらの遊離分子の迅速な動きは、統合時間(integration time)が100ミリ秒程度なので、汚れた(smear)シグナルしか生成しない。従って、全反射照射は、遊離分子からの低いバックグラウンドを導き、そして、固定化色素からのシグナルのみが検出される。
【0122】
(3.単一分子の検出)
図6は、溶液中の遊離色素を有さない単一Cy3分子からのシグナル 対 溶液中の15nMのCy3のバックグラウンドを有する単一Cy3分子からのシグナルの検出を示す。Cy3標識化ヌクレオチドの組み込みからの蛍光画像を、上段のパネルに示す。このシグナルは、単一の工程で漂白される傾向があり、上段のグラフを参照のこと。溶液中に遊離標識化ヌクレオチド(15nMの遊離色素)が存在する場合、バックグラウンドシグナルは、溶液中に遊離標識化ヌクレオチドが存在しないバックグラウンドシグナルよりも強い(右下のパネル)。しかし、組み込まれた単一分子からのシグナルは、なお検出され得る。遊離色素の存在下での単一分子を検出する能力は、リアルタイムにおけるヌクレオチドの固定化DNAテンプレートへの組み込みの追跡を可能にする。
【0123】
図6の左上のパネルは、単一分子の代表的な画像を示す(輝くスポットを参照のこと)。スポットの強度が、リアルタイムで追跡される場合(上段右パネル)、この強度は、現われ(組み込み事象または表面への固着事象)、そして、消失する(漂白事象または脱離事象)。同一の結果をまた、図6の中段の長細いパネル中に図示する。このパネルは、追跡されていたスポット周辺の小さい領域の完全な画像を示す。蛍光シグナルが現れ、そして、数秒ごとの後に消滅した(各フレームは、2回目の曝露である)。
【0124】
(実施例5.蛍光スポットの対比に基づくヌクレオチド組み込みの決定)
表面上の固定化DNAテンプレート(蛍光的に標識されたプライマーにより示される)と表面へのヌクレオチドの組み込みとの間の相関性を観察した。図4において、Cy5標識化プライマーにハイブリダイズされた固定化DNAの画像を、上段の2つのパネル中に示した(中段のパネルは、左のパネル中の小さな領域の拡大画像である)。画像中の小さなドットは、表面上に固定化されたDNAテンプレートの起こり得る位置を表す。次いで、蛍光シグナルを、10mWのレーザーダイオードを用いて、635nmでの長期放射(約1分)により漂白した。続いて、ポリメラーゼおよびヌクレオチド(Cy3標識化dCTPを含む)を添加し、そして、この混合物を、約1時間室温でインキュベートした。洗浄後、表面の2回目の画像を取得した。今回は、新しいセットの蛍光標識化ポイントが現れた(左下の2つのパネルを参照のこと)。この結果は、蛍光標識化ポイントの2つのセットが関連することを示す(右パネルを参照のこと)。DNAプライマー位置(Cy5)とdCTP組み込み位置(Cy3)との間の有意な重複(約40%)が、無作為な結果でありえないことを記載する。本実験で使用する標識化プライマーの濃度下で、生じるためのこの相関性についての可能性は、約10−50であると無作為に算出した。正確には、この相関性は、Cy3標識化ヌクレオチドの固定化Cy5標識化プライマーへの組み込みに起因する。
【0125】
標識化ヌクレオチドの固定化テンプレートへの組み込みをまた、図7中に示す複数の組み込みデータにより実証した。図4中のスポットの強度を測定する場合、多段階漂白工程を、観察する(図7、上段左パネル)。複数の漂白工程の模擬実験を、上段右パネル中に示す。この結果は、ほとんどの分子が、光分解まで同じ位置に配置されないと想定されるべきものであった。これは、ポリメラーゼが、少しの標識化ヌクレオチドを同一のDNAテンプレートに組み込み得ることを示す。コントロール実験において、ddATP、dCTP−Cy3およびdGTPを使用して、Cy5標識化プライマーPMu50Cy5、Cy5 5’−gctggcggatgac−3’(配列番号4)をMu50オリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号3)に沿って伸長した。これは、1つのCy3標識化ヌクレオチドのみがプライマーに組み込まれることを可能にする。なぜならば、プライマーの後のテンプレート配列中の第1のコドンがCGTであるからである。dCTP−Cy3の組み込み直後のddATPの組み込みは、伸長を終結する。右下のパネル中に示すように、複数の漂白工程はない。
【0126】
表面上のDNAテンプレートの濃度は非常に低いので、DNAテンプレートの1つよりも多いコピーが各スポット上に存在したことはありそうにないことが示される。さらに、複数の漂白工程は、ポリメラーゼが存在しなかった場合、一般的でない(データは示さず)。特に、ポリメラーゼが存在しない場合、プライマー位置と表面からの蛍光シグナルとの間に相関性はない(例えば、図13、中段パネルを参照のこと)。
【0127】
(実施例6.ヌクレオチド組み込みの動力学)
図8は、DNAポリメラーゼ反応の間の組み込み事象の時間経過を示す。本実験において、DNAテンプレートとCy5標識化プライマーの複合体を、上記のとおりに基材表面に固定化し、そして、その位置を画像化した。次いで、DNAポリメラーゼを、ヌクレオチドとともに添加し、このヌクレオチドの1つは、Cy3で標識される。
【0128】
図中に示すように、基材を、1秒の曝露を用いて10秒ごとに画像化した。固定化DNAテンプレートを有する各スポット(標識化プライマーにより示される)を、時間の関数としてモニターした。これらのスポットの一連の小さな画像を、ストリップに沿って配置し、これによって、各ポイントにて「活性」を示す映像を生じた。
【0129】
ヌクレオチドのDNAテンプレートへの反復組み込みを、図9中に示した。より多い色素を使用することで、本発明者らは、非同式の様式でDNA配列を直接読み取ることが可能になる。図9は、8つの異なるスポットでの動的な組み込み事象を示す。これらの映像中に記録されるデジタル情報は、反復組み込み事象が、様々な時点で生じたことを示す。このデータはまた、単一DNA分子に対するプライマー伸長活性をモニターする実行可能性を実証した。
【0130】
図10は、単一のスポット上の組み込み事象の数のヒストグラムおよび組み込み事象間の時間のヒストグラムを示す。このヒストグラムから、少しのヌクレオチドが単一のDNA分子に組み込まれることを見ることができる。3つより多いヌクレオチドが組み込まれる低数の事象は、この実験条件下での多数のDNAへの組み込みを妨げるいくつかの機構があることを示す。この理由は、照射された色素の周囲領域におけるDNAへの光損傷(photo−damage)が、有毒なラジカルを生じ得るということであり得る。反応条件および試薬を変化することは、組み込まれたヌクレオチドの数を劇的に増大し得た。
【0131】
(実施例7 塩基ごとの配列分析)
本実験を実施して、ポリメラーゼの選択性を確認し、そして、塩基ごとのスキームを用いたポリヌクレオチドテンプレートの配列を決定する実施可能性を図示した。
【0132】
第1に、組み込みにおけるポリメラーゼの忠実性を、固定化プライマーの位置とヌクレオチド組み込みとの間の関連性を、相関グラフを用いて分析することで確認した。図11は、プライマー位置とポリメラーゼ活性位置との間の相関性を示す。各ポイントの位置を、サブピクセル解像度を用いて決定した。プライマー位置および組み込み位置のための画像を最初に取得した。この2つの間に相関性がある場合、相関グラフ中に候補(pick)が存在する。にもかかわらず、1つの候補も観察されなかった。図中に示すように、2つの画像は、互いに関連する。
【0133】
一分子分解能での固定化テンプレートの配列の塩基ごとの分析を実証する結果を、図12中に示す。このデータは、テンプレートの少なくとも2つの塩基が、異なる型の標識化ヌクレオチド(例えば、dCTP−Cy3、dUTP−Cy3など)とともに試薬を流し込み、そして流し出すことによって決定されたことを示した。ここで、6TA6GCオリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号6)を、融合シリカスライドに固定化した。Cy3標識化p7Gプライマー(配列番号2)を、テンプレートにアニールした。図中に図示するように、プライマーを、最初に、非標識化dATPヌクレオチドを用いてA残基まで伸長した。次いで、dUTP−Cy3ヌクレオチドを組み込み、そして、画像化した。この時点で取得した画像は、高い相関性を示した(相関グラフの上段左を参照のこと)。色素の漂白後、dCTP−Cy3を、サンプルに供した。この時点で取得したサンプルは、低い相関性を示す(相関グラフの下段左を参照のこと)。従って、非標識化dGTPを添加し、配列中のG残基まで、CCCCCギャップを充填した。この時点で、dCTP−Cy3ヌクレオチドの組み込みを、再び試験した。この時点で、一般に、dCTP−Cy3位置とプライマー位置との間の相関性があり、特に、第1の組み込みサイクル中の組み込まれたdUTPの位置と相関性があった。その後、dUTP−Cy3を添加した。標識化プライマー位置とdUPT−Cy3からのシグナルとの間の相関性が見出されたが、新しいdUPT−Cy3位置と第1の組み込みサイクル中での組み込まれたdUTPを有する位置との間の相関性は見出されなかった(下段右グラフ)。この解釈は、全てのプライマーが第1のdUTP組み込みサイクル中で伸長したわけではなく、伸長されなかったプライマーが、第2の組み込みサイクルにおいてdUTPを組み込み得、第1のサイクルでdUTPを組み込んだプライマーは、第2のサイクルで再びdUTPを組み込み得なかったということである。この結果は、第1のU残基を組み込んだこれらのスポット上で、U残基ではなくCの組み込みがまたあったということを示す。従って、第2の塩基の同一性は、実験的スキームを使用して決定され得るが、第2の塩基についての収率(上段右グラフ)は、第1の塩基の収率(上段左グラフ)ほど良くない。
【0134】
コントロール実験において、A残基で充填した後、dCTP−Cy3(第1の塩基について誤ったヌクレオチド)を添加した。Cy3標識化プライマー位置とC−Cy3との間の相関性は低かった(データは示さず)。別のコントロールにおいて、A残基の配列を充填した後、U残基、G残基およびU−Cy3(第2の塩基について誤ったヌクレオチド)を添加した。この実験における結果から観察された相関性は低かった(ノイズレベルで;データは示さず)。異なるオリゴヌクレオチドテンプレートを使用して、実験スキームを、2つ以上のヌクレオチドの他の組合せの完全な組み込みのために繰り返した(データは示さず)。この結果は、高いシグナル 対 ノイズ比を有する第1の標識化ヌクレオチドの正確な組み込み、続く相対的に低いシグナル 対 ノイズ比を有するより多くのヌクレオチドの組み込みを確認した。これらをあわせて、これらのデータは、観察された結果(図12中に示すように)は、人工的なものに起因せず、むしろこの実験スキームの塩基ごとの分析の有効性を実証することを示す。
【0135】
(実施例8.2色組み込み:蛍光共鳴エネルギー移動)
本実験は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の検出を介して、2つの異なる蛍光標識の同一の固定化ポリヌクレオチドテンプレートへの組み込みを実証する。本実験において、2つの蛍光標識(Cy5およびCy3)を使用して、そして、dUTP−Cy3(ドナー)からdCTP−Cy5(アクセプター)へのFRETを、図13に示すように、単一分子レベルで試験した。
【0136】
標識化プライマーを用いたDNAテンプレートの画像を、左のパネルに示す。2つの標識の組み込み後のFRETの検出を、右の画像中に提供する。テンプレートの位置と組み込みシグナルとの間の相関性を、真ん中のグラフに示す。示すように、テンプレート位置と組み込まれたヌクレオチド位置との間に高い相関性がある。ポリメラーゼが存在しないコントロール実験を実施した。コントロール実験からの結果は、テンプレート位置と標識化ヌクレオチドの位置との間の低い相関性を生成した。FRET実験は、特に高いシグナル 対 ノイズ比を提供した。なぜならば、色素の表面への非特異的組み込みからのシグナルがほとんどないからである。
【0137】
2つの標識が、近傍で(すなわち、数nmの距離で)プライマーに組み込まれる場合、単一分子FRETシグナルを検出した(図14)。FRETシグナルを検出するために、光学設定を変更した。画像スプリッタを、同じ領域を2回画像化するように添加した(Optical Insights LTD、micro imager device)。1つのチャネルにおいて、蛍光フィルターはドナー(Cy3)蛍光のみを検出した。他のチャネルにおいて、アクセプター(Cy5)のためのフィルターを配置した。この設定を用いて、個々のスポットを、組み込み後に試験した。図15はさらに、このFRET検出スキームが、良好なシグナル 対 ノイズ比で組み込み率の測定を可能にすることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、処理されたポリヌクレオチドの固定化および標識ヌクレオチドの組み込みを模式的に示す。
【図2】図2は、全内部反射顕微鏡についての検出システムの光学設定を模式的に示す。
【図3】図3は、ストレプトアビジンが、例示される実施形態においてポリヌクレオチドテンプレートを固定化するために必要とされることを示す結果を示す。
【図4】図4は、固定化プライマー中に標識ヌクレオチドを組み込みDNAポリメラーゼが、一分子分解能により可視化されることを示す結果を示す。
【図5】図5は、ビオチンで標識された7Gオリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号1)およびp7Gプライマー(配列番号2)を用いた、溶液中でのバルク実験における複数の標識ヌクレオチドの組み込みを示す。
【図6】図6は、水溶液中の遊離ヌクレオチドからの低いバックグラウンドシグナルおよび組み込まれたヌクレオチドからのシグナルの検出を示す。
【図7】図7は、実験および複数のブリーチング(bleaching)のシミュレーションの結果を示す。
【図8】図8は、固定化プライマー内への標識ヌクレオチドの組み込み動態を示す。
【図9】図9は、長時間にわたる標識ヌクレオチドの組み込み事象を示す。
【図10】図10は、長時間にわたる複数の標識ヌクレオチドの組み込みの統計を示す。
【図11】図11は、標識プライマーの位置と標識ヌクレオチドの組み込みの位置との間の相関を示す。
【図12】図12は、6TA6GCオリゴヌクレオチドテンプレート(配列番号6)およびp7Gプライマー(配列番号2)を用いる、2つの標識ヌクレオチドの組み込みについての相関グラフを示す。テンプレートの部分配列(5’−GccccccAtttttt−3’(配列番号7))、および伸長産物(5’−aaaaaaUggggggC(配列番号8))もまた、この図の中に示される。
【図13】図13は、2つの異なる標識が同じプライマー内に組み込まれる場合の、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)の検出を示す。ここで使用されるポリヌクレオチドテンプレートは、7G7Aオリゴヌクレオチド(配列番号5)であるが、配列の一部分(5’−AttctttGcttcttAttctttGcttcttAttctttG−3’(配列番号9))のみが、この図の中に示される。
【図14】図14は、一定時間にわたる、一分子のFRETシグナルの相関を示す。
【図15】図15は、ドナーおよびアクセプターの2つの色が逐次組み込まれる実験から予想されるシグナルを示す。テンプレートの部分配列(5’−GccccccAtttttt−3’(配列番号7))、および伸長産物(5’−aaaaaaUggggggC(配列番号8))もまた、この図の中に示される。
Claims (28)
- 標的ポリヌクレオチドの配列を分析する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)基材の表面に固定化された、処理された標的ポリヌクレオチドを提供する工程であって、ここで、該標的ポリヌクレオチドは、一分子分解能で該表面に結合されている、工程;
(b)テンプレートとして働く相補性ヌクレオチドが該標的ポリヌクレオチド中に存在する場合に、第1の蛍光標識されたヌクレオチドが該プライマーに結合する条件下で、該第1のヌクレオチドを該基材の該表面に添加する工程;
(c)該標的ポリヌクレオチドが固定化されている該表面上の蛍光シグナルの存在または非存在を決定する工程であって、シグナルの該存在は、第1のヌクレオチドが該プライマー中に組み込まれ、よってテンプレートとして働く該標的ポリヌクレオチド中の該相補性塩基の同一性が同定されたことを示す、工程;および
(d)該第1のヌクレオチドと同一または異なるさらなる蛍光標識ヌクレオチドとともに工程(b)〜(c)を反復して、これにより該さらなるヌクレオチドは、該プライマー、または該プライマーに予め組み込まれたヌクレオチドに結合する工程、
を包含する、方法。 - 工程(a)が、前記基材の異なる部位に固定化された、複数の異なる処理された標的ポリヌクレオチドを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
- 工程(b)〜(c)が、4つの異なる型の標識ヌクレオチドとともに少なくとも4回行われる、請求項1に記載の方法。
- 工程(b)〜(c)が、前記標的ポリヌクレオチド中の各塩基の同一性が同定されるまで行われる、請求項1に記載の方法。
- 工程(c)の後の前記シグナルを除去するさらなる工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
- 蛍光シグナルの前記存在または非存在が、全反射照明蛍光(TIRF)顕微鏡を用いて決定される、請求項1に記載の方法。
- 前記標的ポリヌクレオチドが、蛍光標識プライマーで処理される、請求項1に記載の方法。
- 前記第1のヌクレオチドおよびさらなるヌクレオチドが、同一の蛍光標識で標識されている、請求項1に記載の方法。
- 前記基材が、融合されたシリカスライドである、請求項1に記載の方法。
- 前記表面が、高分子電解質多層(PEM)でコートされている、請求項9に記載の方法。
- 前記PEMが、ポリアニオンで末端処理されている、請求項10に記載の方法。
- 前記ポリアニオンが、ペンダントカルボン酸基を有する、請求項11に記載の方法。
- 前記標的ポリヌクレオチドがビオチン化されており、そして前記表面が、ストレプトアビジンでコートされている、請求項12に記載の方法。
- 前記表面が、ストレプトアビジンでコートされる前にビオチンでコートされている、請求項13に記載の方法。
- 前記表面が、ビオチンの結合の前に、カルボン酸基で末端処理されているポリ電解質多層(PEM)でコートされている、請求項14に記載の方法。
- 前記除去または還元する工程が、フォトブリーチングによる、請求項1に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記基材が、微小流体デバイスと流体連絡しており、前記第1の標識ヌクレオチドおよびさらなる標識ヌクレオチドが、該微小流体デバイスを介して該基材に添加されるかまたは該基材から除去される、方法。
- 請求項17に記載の方法であって、前記微小流体デバイスは、以下:
(a)前記基材を含むフローセル;および
(b)該フローセルに流体を流すためおよび該フローセルを通して流体を流すために該フローセルと流体連絡している流入口および流出口、
を備える、方法。 - 前記基材が、微細加工合成チャネルである、請求項18に記載の方法。
- 前記基材の前記表面を照らすための光源、および該表面からのシグナルを検出するための検出システムをさらに含む、請求項17に記載の方法。
- ヌクレオチドが前記標的ポリヌクレオチドに組み込まれている場合に、該ヌクレオチドの同一性を読み取るために適切にプラグラミングされたコンピューターをさらに含む、請求項17に記載の方法。
- 標的ポリヌクレオチドの配列を分析する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)基材の表面に固定化された、処理された標的ポリヌクレオチドを提供する工程であって、ここで、該標的ポリヌクレオチドは、一分子分解能で該表面に結合されている、工程;
(b)相補性ヌクレオチドが該標的ポリヌクレオチド中に存在する場合に、4つの型のヌクレオチドが該プライマーに劇的に結合する条件下で、該4つの型のヌクレオチドを該基材の該表面に添加する工程;および
(c)該固定化されたプライマーへの蛍光シグナルの組込みの時間経過をモニタリングする工程、
を包含する、方法。 - 前記固定化されたプライマーへの蛍光シグナルの組込みをモニタリングする工程が、全反射照明蛍光顕微鏡を用いてモニタリングされた時間経過における画像を得ることによる、請求項22に記載の方法。
- 前記画像が、ヌクレオチドが前記プライマーに組み込まれる速度より速い速度で得られる、請求項23に記載の方法。
- ヌクレオチド濃度が、画像が得られる各時点において低い、請求項23に記載の方法。
- ヌクレオチド濃度が、微小流体デバイスを用いる流体変化により変更される、請求項25に記載の方法。
- 4つの型のヌクレオチド全てが、それぞれ異なる標識で標識されている、請求項22に記載の方法。
- 標識ポリヌクレオチドの配列を分析するための装置であって、該装置は、以下:
(a)該標的ポリヌクレオチドを固定化するための基材を、一分子分解能で含む、フローセル;
(b)該フローセルに流体を流すためおよび該フローセルを通して流体を流すために該フローセルと流体連絡している流入口および流出口;
(c)該基材の該表面を照らすための光源;および
(d)該表面からのシグナルを検出するための検出システム、
を備える、装置。
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