JP2004522484A - 哺乳類動物における慢性的ストレスを減少するための方法 - Google Patents

哺乳類動物における慢性的ストレスを減少するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明はHPA軸の活性を減少または抑制する一定の感覚的な管理を施すことにより各種哺乳類動物における慢性的なストレスを減少するための方法に関する。この哺乳類動物におけるHPA軸の活性は以下の方法、すなわち、(1)全体の日々の副腎皮質ホルモンの量を減少する方法、(2)朝の目覚め後の約4乃至約8時間の期間内の任意の時点における副腎皮質ホルモンを減少する方法、(3)全体の日々の副腎皮質ホルモンの量から朝のピーク時の副腎皮質ホルモンの積分による測定値を差し引いた値を減少する方法の内の少なくとも一つにより抑制できる。一般に、この感覚的な管理は聴覚的な刺激、視覚的な刺激、触覚的な刺激、味覚的な刺激、嗅覚的な刺激、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。

Description

【発明の内容の開示】
【0001】
優先権の主張
本特許出願は2000年12月20日に出願されている米国特許出願第60/256,813号に対して優先権を主張しており、この特許出願の開示は本明細書に参考文献として含まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸の活性を減少または抑制する一定の感覚の治療プログラムを施すことにより各種哺乳類動物における慢性的なストレスを減少するための方法に関する。
【0003】
発明の背景
前世紀における技術の進歩は社会に種々の恩恵をもたらしてきたが、社会のあらゆる段階の人々の日常的な生活にさらに大きなストレスの広がりを生じている。人間のストレスに応答する機構は技術の進歩と同じ速さには適応していない。健康および良好な体調におけるストレスの影響が「ホワイ・ゼブラズ・ドント・ゲット・アルサーズ−アン・アップデイテッド・ガイド・トウ・ストレス,ストレス・リレイテッド・ディジージズ・アンド・コーピング(Why Zebra's Don't Get Ulcers -; An Updated Guide to Stress, Stress Related Diseases and Coping)」,第1章,ロバート M.サポルスキー(Robert M. Sapolsky),ISBN 0−7167−3210−6、およびジョージ P.クロウソス(George P. Chrousos),「ザ・コンセプツ・オブ・ストレス・アンド・ストレス・システム・ディスオーダーズ−オーバービュー・オブ・フィジカル・アンド・ビヘイビオラル・ホメオスタシス(The Concepts of Stress and Stress System Disorders - Overview of Physical and Behavioral Homeostasis)」, JAMA,1992年3月4日,267巻,9号において詳細に記されている。例えば、ストレスが各種の感染性の病気、胃の状況、睡眠の問題、うつ病、妊婦における早産、低出生時体重、記憶および学習の問題につながる脳神経の退化、上昇血圧、上昇した血液脂質量による心臓の合併症および発作およびその他の健康上の複雑化に対する免疫抑制およびぜい弱性を含む多くの状況を引き起こすか悪化する可能性があることが知られている。
【0004】
視床下部として知られている脳内の領域は哺乳類動物のストレス応答の活性を操作している。特に、この視床下部は各種のカテコールアミンおよびグルココルチコイドを含む「ストレス・ホルモン(stress hormones)」の生成を操作している。さらに、この視床下部は副腎髄質内の交感神経終末を活性化してアドレナリンを生成することにより一定のストレス要因に対して応答する。また、この視床下部は副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(「CRH」)を生成し、このホルモンが下垂体に作用して副腎皮質刺激ホルモン(「ACTH」)を放出し、この副腎皮質刺激ホルモンがさらに副腎皮質に作用してコルチソルの生成を促す。これらのCRH系および交感系は一定の正のフィードバック・ループに関与しているので、一方の系の活性化により他方の系が活性化する。増加したコルチソルの分泌は上記HPA(「HPA」)軸が活性化されていることの一定の指示因子であるので、逆に、コルチソルの分泌における減少はHPA軸の活性における一定の抑制を示すと考えられる。
【0005】
短期間において、上記のようなストレスに対する生理学的な応答の活性化は有益的であり救命的な利点さえも有する可能性があるが、長期のまたは慢性的なストレスは健康および良好な体調に望ましくない影響を及ぼす。例えば、この慢性的なストレスに対する生理学的な応答が各種ストレス・ホルモンの生成の増加を引き起こして、その結果としてそれぞれの基礎的な量を変える場合に、これらのホルモンの持続された減少、すなわち、それぞれの基礎的な量をさらに低い値に変えることがそのストレスに対処することおよび体調の良化を促すことにおいて有益的になると仮定できる。また、これらのホルモンは一定の正のフィードバック・ループ内において互いに作用し合うので、一方の系の抑制が他方の系を抑制すると期待できる。
【0006】
上記のような各種ストレス・ホルモンの基礎的な量を一定の比較的に低い値に変えることは減少した知覚されるストレス、感染性の各種病気に対する減少した免疫抑制およびぜい弱性、減少した胃の病状の発生数、減少した睡眠の問題の発生数、減少したうつ病の発生数、減少した早産の発生数、減少した低出生時体重の発生数、減少した記憶および学習の問題につながる脳神経の退化の発生数、減少した上昇血圧の発生数、減少した心臓合併症および上昇した血液脂質量による心臓発作の発生数、減少した代謝および生殖に関する有害な作用、減少した腹部肥満の発生数、減少した老化の起因、減少した依存性行為の発生数、および減少したストレスにより引き起こされるか悪化するその他の健康上および行動上の複雑化の発生を含む各種の有益性を提供すると考えられる。
【0007】
上記HPA軸の反応性における一定の良好な測定は副腎皮質の活性の一定の測定手段になる。容易に測定可能な一定の副腎皮質ホルモンはコルチソルであり、このホルモンは人間の血液、尿および唾液中において見ることができる。コルチソルは副腎皮質内において生成されて、多数の神経学的な結果に関連する。一部の研究者はこのホルモンの量が一定の個人が心理学的および/または生理学的なストレスを受ける時に上昇することを見出している。例えば、キルシュバウム,C.(Kirschbaum, C.)およびヘルハマー,D.H.(Hellhammer, D. H.),「サリバリー・コルチソル・イン・サイコエンドクリン・リサーチ:リーセント・ディベロプメンツ・アンド・アプリケーションズ(Salivary Cortisol in Psychoendocrine Research: Recent Development and Applications)」,サイコエンドクリノロジー(Psychoendocrinology),19巻,4号,1994年,p.313−333を参照されたい。また、この副腎皮質ホルモンを正確に測定するための方法がここ10年間にわたり開発および洗練されており、現在では、HPA軸の活性を測定するために適用可能である。
【0008】
当該技術分野における熟練者においては、一定のストレス要因が唾液中において検出可能なコルチソルの量における増加を誘発することが既に認識されている。心理学的および生理学的なストレスに対する応答において増加する唾液中のコルチソルについての報告が上記のキルシュバウム,C.(Kirschbaum, C.)およびヘルハマー,D.H.(Hellhammer, D. H.),「サリバリー・コルチソル・イン・サイコエンドクリン・リサーチ:リーセント・ディベロプメンツ・アンド・アプリケーションズ(Salivary Cortisol in Psychoendocrine Research: Recent Development and Applications)」,サイコエンドクリノロジー(Psychoendocrinology),19巻,4号,1994年,p.313−333において記載されている。
【0009】
また、別の研究者は成人が心理学的なストレスを受ける場合(ストレスの多い条件下において計算を行なう場合)にそれぞれのストレスの量がそれぞれの唾液中のコルチソルによりモニターできることを見出しており、例えば、特公平11−19076号(JP)を参照されたい。さらに、同じ研究者が、同じ各個人がストレスの多い状態の前に特定の芳香に曝されると、それぞれの唾液中のコルチソルの量がその芳香を伴わずに心理学的にストレスを受ける場合ほどには高くならないことを示している。また、この調査は全ての芳香がストレスにより誘発されるコルチソルの放出の減少において効果的であるとは限らないことも示している。例えば、ラベンダー・オイルまたはミント・オイルによる芳香はストレスにより誘発されるコルチソル量の増加を有効に弱めるが、スカトールによる芳香は反対の作用を有していた。
【0010】
さらに、他の研究者もまた上記のようなストレスによる副腎皮質ホルモンの放出を減少することにおける各種芳香の有用性を報告している。例えば、「アン・アドレノコルチカル・ホルモン・シークリーション・インヒビトリー・エージェント(An Adrenocortical Hormone Secretion Inhibitory Agent)」を発明の名称とする特開平9−227399号(JP)はシソ科の植物のエッセンスを含む一定の副腎皮質ホルモン分泌抑制剤に関係している。すなわち、ストレスによる副腎皮質ホルモンの放出がシソ科植物の系統群の各種エッセンスの吸入により抑制されている。この特許出願によれば、シソ科植物系統群における各種の要素が副腎皮質ホルモンのストレスによる放出を減少することにおいて有用である。しかしながら、副腎皮質ホルモンの基礎的な量を変えるか減少することにおける有益性については全く述べられていない。
【0011】
「メソッド・フォー・カーミング・ヒューマン・ビーイングズ・ユージング・パーソナル・ケア・コンポジションズ(Method For Calming Human Beings Using Personal Care Compositions)」を発明の名称とする2000年9月29日に出願されている同時係属の米国特許出願第09/676,876号は一定の人間を落ち着かせる手段として副腎皮質ホルモンが減少されている別の発明である。この特許出願によれば、特定の方法および組成物がその発明の方法を実施する際に副腎皮質ホルモンの量を減少することにおいて有用であり、その使用者において短期間の鎮静の体験が得られる。
【0012】
多くの現在において販売されている芳香性の化粧用製品はその使用者に対して「鎮静性」、「刺激性」または「リラックス性」に関する有益性を有していることを主張している。一般的に、これらの製品は上記のような有益性を示すことを目的としている各種の芳香を有している。これらの主張を支持するために、各種の生理学的なパラメーターについての芳香の作用効果を測定するための幾つかの方法が採用されているが、その効果の程度は様々であり、不都合にも、それぞれの目的とされる有益性の証拠の多くは科学的と言うよりは伝承の対象になっている。
【0013】
上記の開示においては、唾液中のコルチソルの測定がストレス応答系における各種の内分泌パラメーターの抑制を立証すること、およびこのような生理学的抑制を知覚されるストレスにおける減少に関連付けることのために用いられている。このようなHPA軸の抑制は、コルチソルの減少により測定される場合に、各種の基礎的な量を変更するために十分である。なお、薬剤による介入がこのHPA軸の活性を抑制することにおいて有効であるが、このような介入は医療の専門家による処理を必要とし、それゆえ、通常的に特にストレスを受けやすい人として医療界において認められている人々に限られるが、一般に公衆において利用可能ではない。
【0014】
発明の概要
本発明は一定の有効量の感覚的な管理を一定の哺乳類動物に施すことによりHPA軸の活性を抑制して当該哺乳類動物における慢性的なストレスを減少するための方法に関する。この哺乳類動物におけるHPA軸の活性は以下の方法、すなわち、(1)全体の日々の副腎皮質ホルモンの量を減少する方法、(2)朝の目覚め後の約4乃至約8時間の期間内の任意の時点における副腎皮質ホルモンを減少する方法、(3)全体の日々の副腎皮質ホルモンの量から朝のピーク時の副腎皮質ホルモンの積分による測定値を差し引いた値を減少する方法の内の少なくとも一つにより抑制できる。一般に、この感覚的な管理は聴覚的な刺激、視覚的な刺激、触覚的な刺激、味覚的な刺激、嗅覚的な刺激、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は一定の感覚的な管理を一定の哺乳類動物に施すことにより当該哺乳類動物における慢性的なストレスを減少するための方法に関連しており、この方法はHPA軸の基礎的な活性を変更するために十分な一定の量だけ当該HPA軸の活性を減少または抑制する。このHPA軸の活性は一定の副腎の測定値の関数である。
【0016】
本明細書において用いられているように、「哺乳類動物(mammals)」は任意の種類の温血の高等脊椎動物を含み、これらの動物はそれぞれの子供を各乳腺により分泌される乳により育てて、通常的に毛髪により多少に被覆されている皮膚を有しており、人間、イヌおよびネコを非限定的に含む。
【0017】
用語の「有効量(effective amount)」は所望の応答、すなわち、HPA軸の活性の減少または抑制、を生じるために十分な上記感覚的な管理の持続を意味する。この有効量は治療を受ける哺乳類動物の年齢、物理的および感情的な状況、同時の治療の性質、採用する特定の管理方法、およびその他の類似の要因により変わる。
【0018】
上記の用語の「HPA軸の基礎的な活性を変更するために十分な量(amount sufficient to reset the basal activity of the HPA axis)」はHPA軸の全体の活性を低下するために必要とされるHPA活性における減少を意味する。所望の応答の例は以下のいずれか、すなわち、(1)朝の目覚め後の約4乃至約8時間の期間内の任意の時点の副腎皮質ホルモン、(2)全体の日々の副腎皮質ホルモンの量、(3)全体の日々の副腎皮質ホルモンから朝のピーク時の副腎皮質ホルモンの積分による測定値を引いた量、のいずれかの減少を含む。
【0019】
本明細書において用いられているように、用語の「目覚め後の約4乃至約8時間の期間内の一定の哺乳類動物における副腎皮質ホルモン(adrenocortical hormone in a mammal in the period from about 4 to about 8 hours following morning waking)」は、例えば、数分および数時間等の、任意の時間の増加分における、朝の目覚め後の4乃至8時間内の任意の時点において分泌される副腎皮質ホルモンの量を意味する。この曲線の領域における任意の点がこの定義内に含まれる。朝の目覚めからの時間の関数としての唾液中における副腎皮質ホルモンのコルチソルについての朝の目覚め後の4乃至8時間を代表する曲線の領域が図1において示されている。
【0020】
本明細書において用いられているように、用語の「全体の日々の副腎皮質ホルモン(total daily adrenocortical hormone)」は一般的に一定の目覚めている期間および一定の眠っている期間に分かれている24時間の期間内における目覚めている期間中において分泌される副腎皮質ホルモンの全体の量を意味する。一定の24時間の日の目覚めている期間中に一定の個人により分泌される副腎皮質ホルモンの大半の実質的な量が朝の目覚めの直後から最初の12時間において一般的に分泌される。朝の目覚めから12時間の期間にわたる目覚めからの時間の関数としての唾液中におけるコルチソル分泌の曲線下の面積が図3において示されており、一定の24時間の日において目覚めている期間中に分泌されるコルチソルの全体の量を示すためにこの開示における各実施例において用いられている。
【0021】
本明細書において用いられているように、用語の「全体の日々の副腎皮質ホルモンから朝のピーク時の副腎皮質ホルモンの積分による測定値を差し引いた量(total daily adrenocortical hormone minus the integrative measure of morning peak adrenocortical hormone)」は、上述したように、朝のピーク値の曲線下の面積を差し引いた、一定の目覚めている期間および一定の眠っている期間に一般的に分けられる一定の24時間の期間内における目覚めている期間中に分泌される副腎皮質ホルモンの全体の量を意味する。
【0022】
これらの領域または面積が図3において唾液中の副腎皮質ホルモンのコルチソルに対応して示されている。
【0023】
別の実施形態において、本発明は有効量の感覚的管理を一定の哺乳類動物に施すことにより当該哺乳類動物中の各種ストレス・ホルモンの基礎的な量を減少する方法に関連しており、この場合に、各種のストレス・ホルモンは各種の副腎皮質ホルモンおよびカテコールアミンとして定められている。
【0024】
本発明はHPA活性を減少すること等のような副腎の各種の機能に影響を及ぼすことにより各種の哺乳類動物における慢性的なストレスを減少する方法に関する。HPA軸の反応性の一定の良好な測定値が副腎皮質の活性の一定の測定値になることが既に示されている。コルチソルは一定の副腎皮質ホルモンであり、副腎皮質の活性に対応する一定の良好な代表的な標識であり、その量を測定するための方法が過去10年間にわたり開発されている。コルチソルは漿液、唾液および尿を含む体内の多数の異なる流体中において見られる。最近において、唾液サンプル中において行なわれるコルチソル測定が漿液サンプルに対して関連付けることが可能であり、漿液の測定に付随する問題を含まないことが示されている。例えば、E.アーダル(E. Aardal)およびA.ホルム(A. Holm),ジャーナル・クリニカル・ケミカル・クリニカル・バイオケミストリー(J. Clin. Chem. Clin. Biochem.),33巻,p.927−932,1995年を参照されたい。先ず、漿液中におけるコルチソル収集の方法は各種流体を収集するための一定のピンプリック(pinprick)、針またはその他の装置を必要とし、このこと自体が一定のストレスの多い応答を生じる可能性がある。長期間の収集に対応する各種静脈装置の使用が可能であるが、個々の生活の質に影響を及ぼし、それゆえ、それぞれの正常な応答を全体的に示さない。第2に、漿液中のコルチソルの大部分がコルチコステロイド結合性グロブリン(CBG)、アルブミンおよび赤血球に対して結合する(85%−98%)ことが良く知られている。何らかの生理的な作用を示すことが予想できるのは遊離の未結合状態のコルチソルのみであるので、このパラメーターを測定することが重要である。尿のコルチソルの測定も可能であるが、この方法は、一時的な測定ではなく、経時的に比較的に多量の積分による測定値を示し、このことは各個人のストレス・プロファイルをさらに良く理解するために重要である。
【0025】
唾液中においては、見出されているコルチソルの大部分が遊離していて、この成分を一定の感応性の測定手段にしている。このコルチソルが十分に減少すると、その減少は一定の十分な時間の期間にわたり持続され、その後に、一定の個人の生活の質が改善される。
【0026】
HPA活性の一定の指示手段として日々のコルチソルの全体の量(一定の目覚めている期間および一定の眠っている期間に一般的に分けられる24時間の期間内における目覚めている期間中に分泌されるコルチソル)を使用することにより、その全体の日々のコルチソルはリラックスのための管理が全く実施されていない場合の典型的な一定の日において分泌される量から5乃至50%だけ、さらに好ましくは10乃至40%だけ、最も好ましくは15乃至30%だけ減少する必要がある。
【0027】
コルチソルは一定の日周期リズムに従い、そのプロファイルは一般的に目覚め後の約30乃至45分において一定の朝のピーク値を示す。また、上記全体の日々の副腎皮質ホルモンの量から朝のピーク時の副腎皮質ホルモンの積分による測定値を差し引いた値(朝のピーク値時の面積を差し引いた曲線下の面積から計算した場合の値)はさらに別のHPA活性の有用な指示手段である。この値はリラックスのための管理が全く実施されていない場合の典型的な一定の日において分泌される量から5乃至70%だけ、さらに好ましくは10乃至60%だけ、最も好ましくは20乃至50%だけ減少する必要がある。
【0028】
さらに、上記HPA軸の活性の別の有用な指示手段は目覚め後の約4時間乃至約8時間、好ましくは朝の目覚め後の約4時間における唾液中のコルチソル量である。この量がその基準線の値から十分に減少されていれば、その一定の個人の生活の質が改善されていると考えることができる。なお、この目覚め後の4時間のコルチソル値はリラックスのための管理が全く実施されていない場合の典型的な一定の日において分泌される量から5乃至70%だけ、さらに好ましくは10乃至60%だけ、最も好ましくは20乃至50%だけ減少する必要がある。
【0029】
上記の感覚的な管理を行なうために用いられる刺激は一般に本発明を実施することを目的とする各個人が快いと感じる一定の体験を提供する刺激である。この感覚的な管理は使用者にリラックスした感じを与える任意の管理方法とすることができる。一般に、この感覚的な管理は音響的な刺激、視覚的な刺激、触覚的な刺激、味覚的な刺激および嗅覚的な刺激、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0030】
適当な聴覚的刺激は使用者をなだめるまたはリラックスさせる音楽および自然の各種の音を含むがこれらに限らない。この用語の音楽は器械的および叙情的な作曲、調律,メロディー、ハーモニー、歌、メトロノームによる等のようなビートおよび周波数、音叉、ベル、ビート・マシン、チャイム、詩歌およびリズムを含むものとして本明細書において用いられている。また、この音楽はクラシック、ソフト・ロック、イージー・リスニング、プログレッシブ・カントリー、ショー音楽を含むがこれらに限らない任意のジャンルにすることができる。また、自然の音はクジラの歌またはトリのさえずり等の各種動物の音、コオロギ等の虫の音、および小川の流れまたは滝等の環境の音を含むがこれらに限らない。また、一貫して最少のメロディーおよびハーモニーの変化を伴う穏やかな音調を有していて、従来的なビート・ピッチをほとんどまたは全く含まない、音声をほとんどまたは全く含まない、スロー・テンポで、打奏または強いリズムをほとんどまたは全く含まない音楽がその使用者をリラックスさせてなだめることに特に有効である。さらに、通常的にそれぞれの耳にそれぞれ一つの周波数の、2種類の周波数を使用することにより形成される一定のバイノーラル・ビートを使用している音がその使用者の気分を改善することにおいて有用である。また、デルタ、テータおよびアルファの脳波の周波数範囲内の各種のバイノーラル・ビートがその使用者をリラックスさせるために有用であり、ベータ波活性の周波数領域内の各種ビートはその使用者における精神的な警戒を促すために有用である。また、聴覚的な刺激は一定のカセット・テープ、ビデオテープ、コンパクト・ディスク、対話式の玩具およびゲーム、各種ウエブサイト、および一定のコンピューター・オーディオ・ファイルを含むことができるがこれらに限らない。
【0031】
視覚的な刺激は使用者をなだめてリラックスさせる各種の柔らかな光、キャンドル、ビデオ、映画、絵画、壁画、本、風景、対話式の玩具およびゲーム、ウェブサイト、およびコンピューター画像ファイルを含むことができるがこれらに限らない。この柔らかい光は青色、緑色、ピンク、紫等の任意の色にすることができる。青色および緑色等のような冷たい感じの色は使用者をなだめてリラックスすることを補助するために好ましく、オレンジおよび赤色等のような比較的に温かい感じの色は使用者を高揚させるために好ましい。また、飽和した色合の少ないパステル色の陰は使用者をなだめることにおいて有用である。また、光は一定の電球としてキット内に備えることができ、この電球は家庭の電灯内に挿入することができ、あるいは、一定の電灯としてキット内に備えることもできる。また、光ファイバーを利用している各種の光も本発明の各種キット内において有用である。これらの光ファイバーによる光は、当業界において知られているように、断続的に色を変えることができる。約500ルクスの柔らかい光が、特に就寝時間前の夜の時間において、その使用者をリラックスさせるために有用である。また、約2000ルクス以上の明るい光は目覚め時または就寝時間の数時間前におけるその日の任意の別の時間等のような一日の目覚めている期間内において使用される場合にその使用者の気分を改善することにおいて有用である。
【0032】
また、デルタ、テータおよびアルファの脳波の周波数の範囲内における各種周波数パタンの光および音の組み合わせがその使用者をリラックさせるために有用であり、ベータ波の活性の周波数範囲内におけるパタンの光および音の組み合わせはその使用者の精神的な警戒を促すために有用である。
【0033】
本発明において有用な触覚的刺激はコンピューター・ソフトウェア、対話式の玩具およびゲーム、バブル・バス、ローション、および個人用ケア組成物を含むがこれらに限らない。この「個人用ケア組成物(Personal care compositions)」は各種のワイパー、洗剤、入浴剤、シャンプー、ジェル、石鹸、ステイック剤、バーム剤、サシェット、ピロー、ムース、スプレー、ローション、クリーム、クレンジング組成物、パウダー、オイル、バス・オイルおよび浴槽に加えることのできるその他の浴用組成物を含む個人用の美顔品、化粧品、およびヘルスケア用の製品を意味する。また、この個人用ケア組成物は各種のエアゾール、キャンドルおよび気化器と共に使用できる物質も含むことができるがこれらに限らない。なお、上記のワイパー、洗剤、入浴剤、シャンプー、ジェル、石鹸、ステイック剤、バーム剤、サシェット、ピロー、ムース、スプレー、ローション、クリーム、クレンジング組成物、オイル、バス・オイル、エアゾール、キャンドルおよび気化器と共に使用可能な物質は各種個人用ケア組成物を調製する一定の知識を有する者において商業的に知られている。適当な個人用ケア組成物の一例はジョンソンズ・ベッドタイム・バス(Johnson's Bedtime Bath)(登録商標)である。
【0034】
上記コンピューター・ソフトウェアは一定の対話式にして、その使用者がそのソフトウェアを利用している間にリラックスするようにできる。このようなソフトウェアは各種のビデオ・ゲーム、クロスワード・パズル等を含む。
【0035】
味覚的な体験もまたストレスを減少することに役立つ。それゆえ、本発明の方法は果実、キャンディー、クラッカー、チーズ、お茶等を含むがこれらに限らない食品および飲料を含むことができる。
【0036】
また、本発明の方法は芳香等のような吸引による感覚的な体験も含むことができる。使用者が快いと感じてその気分を静める効果を有する各種の芳香が本発明の実施において有用である。適当な芳香は英国特許出願第0031047.4号において記載されている各種の香水組成物等のリラックス用の芳香を含むがこれらに限らず、この特許出願の開示は本明細書に参考文献として含まれる。さらに適当なものとして、「メソッド・フォー・カーミング・ヒューマン・ビーイングズ・ユージング・パーソナル・ケア・コンポジションズ(Method For Calming Human Beings Using Personal Care Compositions)」を発明の名称とする2000年9月29日に出願されている同時係属の米国特許出願第09/676,876号において記載されている各種の芳香剤があり、この特許出願の開示は本明細書に参考文献として含まれる。一般に、上記の芳香は使用者が感知してリラックスでき、上記HPA軸の活性を抑制する任意の芳香とすることができる。適当な芳香はクエスト・インターナショナル社(Quest International)から入手可能なリラックス用の各種芳香剤等の芳香を含むがこれらに限らず、この一例はPD1861であり、上記英国特許出願第0031047.4号において記載されている。さらに適当なものとして、「メソッド・フォー・カーミング・ヒューマン・ビーイングズ・ユージング・パーソナル・ケア・コンポジションズ(Method For Calming Human Beings Using Personal Care Compositions)」を発明の名称とする2000年9月29日に出願されている同時係属の米国特許出願第09/676,876号において記載されている各種の芳香剤があり、この特許出願の開示は本明細書に参考文献として含まれる。
【0037】
感覚的な刺激を配給する好ましい手段は一定の個人用ケア組成物の形態である。このような個人用ケア組成物は吸引性の刺激の配給において特に有用である。例えば、この感覚的な芳香は芳香配合の技術分野において一般的に知られている装置および方法により最終的な混合物が均質になるまで選択された各種のエッセンシャル・オイルと芳香性の各種成分を周囲条件下において混合することにより製造できる。さらに、この最終的な感覚的な芳香剤混合物を一定の個人用ケア組成物の成分として使用する前に混合処理後の数時間にわたり周囲条件下においてこの混合物を保管することが好ましい。
【0038】
その後、本発明の個人用ケア組成物が個人用ケア製品の製造における技術分野において一般的に知られている装置および方法により上記の感覚的な芳香剤と共に所望の各種成分を混合することにより製造できる。この感覚的な芳香剤の水性の個人用ケア組成物中への溶解性を高めるために、この感覚的な芳香剤を1種類以上の非イオン性界面活性剤と共に予め混合することができる。
【0039】
「個人用ケア組成物(Personal care compositions)」は各種のドライおよびウエット式のワイパー、洗剤、入浴剤、シャンプー、ジェル、石鹸、ステイック剤、バーム剤、サシェット、ピロー、ムース、スプレー、ローション、クリーム、クレンジング組成物、パウダー、オイル、バス・オイルおよびその他の浴槽に加えることのできる浴用組成物等のような個人用の美顔品、化粧品、およびヘルスケア用の製品を意味する。さらに、この個人用ケア組成物は各種のエアゾール、キャンドル、および気化器と共に使用可能な物質も含むことができるが、これらに限らない。なお、上記のワイパー、洗剤、入浴剤、シャンプー、ジェル、石鹸、ステイック剤、バーム剤、サシェット、ピロー、ムース、スプレー、ローション、クリーム、クレンジング組成物、オイル、バス・オイル、エアゾール、キャンドルおよび気化器と共に使用可能な物質は各種個人用ケア組成物を調製する一定の知識を有する者において商業的に知られている。適当な個人用ケア組成物の一例はジョンソンズ・ベッドタイム・バス(Johnson's Bedtime Bath)である。
【0040】
一定の哺乳類動物における所望の応答を達成するために、上記個人用ケア組成物は当該個人用ケア組成物の各種処方に従う一定の投薬量で使用できる。
【0041】
HPA活性を抑制するために有用な多数の感覚的な体験を組み合わせて、その結果として副腎皮質ホルモンを一定の基準線量よりも少なく減少することが望ましい。例えば、一定の日々の管理が一定の芳香、柔らかい光、芳香を含むバブル・バス、およびリラックスする音楽を含むことができる。この芳香は一定の穏やかな照明の部屋の中に座りリラックスする音楽を聴きながら一日中において断続的にかぐことができる。さらに、芳香を入れたバブル・バスを入浴またはシャワー時にリラックスする音楽を聴きながら朝または夜に使用することも可能である。
【0042】
特に好ましい実施形態において、上記感覚的な管理は少なくとも1週間にわたり毎日行なわれ、一定のリラックスする芳香をかぐこと、およびこれと同時に、浴槽につかること、およびリラックスする音楽を聴くことを含む。さらに、この感覚的な管理が上述したような柔らかな光を含む場合にさらに別の有益性が感じられる。
【0043】
多数の刺激が一緒に用いられる場合に比較的に大きな効果が一般に達成されるが、当該技術分野における熟練者においては、一定の効果的な刺激に対する単一の曝露もまた本発明の主体において記載されており、それゆえ、本発明に含まれる刺激に対する多数種の曝露と同様の持続可能な効果を有すると認識できることが当然に明らかである。
【0044】
上述したように、一定の感覚的な管理を行なうことが結果として一定の哺乳類動物におけるストレスの量を減少できることが分かった。薬剤的に活性なCRH拮抗質は類似の有益性を示すが、これらの活性材料を使用する場合に関連する結果として生じる副作用が存在することが既に示されている。本発明の別の実施形態において、上記の感覚的な管理およびCRH拮抗質の使用の組み合わせがさらに効力のある一定の治療を提供している。また、別の実施形態において、このような感覚的な管理およびCRH拮抗質の使用の組み合わせにより、使用するCRHの比較的に少ない投与量を可能にしている。
【0045】
上記CRH拮抗質の例はアストレシン(Astressin)、D−PheCRH(12−41)、およびアルファ・ヘリカルCRH(9−41)、および当業界において知られている別の物質を含むがこれらに限らない。さらに別の実施形態において、本発明による方法は、例えば、プロザック(Prozac)等の選択的セロトニン再取込み抑制因子(SSRI)を含むがこれに限らない抗うつ薬等のようなCRHを抑制する各種の薬剤の投与との組み合わせにおいて実施できる。なお、このような薬剤は一定の認可されている医者による処方に従って投与される必要がある。
【0046】
本発明を説明するための以下の各実施例が含まれている。これらの実施例は本発明を限定しない。これらは本発明を実施するための方法を示唆することのみを目的としている。すなわち、人間を静めることにおいて知識を有する者ならびにその他の専門家は本発明を実施する別の方法を見出すことが可能である。従って、これらの方法もまた本発明の範囲に含まれると考えられる。
【0047】
実施例
実施例1:嗅覚的および聴覚的な各刺激に対する1回の曝露および唾液中のコルチソルにより測定した場合のHPA活性における短期間の影響
【0048】
良好な一般的な健康状態にある年齢が20才乃至55才の女性および男性の一定のグループを一定の調査に招き、この調査において、10分間にわたり彼らは和やかな音楽を聴きながら快くリラックスすると主観的に知覚された一定の芳香をかいだ。この調査の目的は上記の体験の後の短時間における唾液中のコルチソルにより測定した場合のHPA活性についてのその体験の作用効果を測定することであった。
【0049】
約1mlの唾液をそれぞれの成人が一定の別個のビンの中によだれをたらすかつばを入れることにより10人の男性および女性の各志願者のそれぞれから各ビンの中に集めた。これらのサンプルはコルチソル濃度について分析するまで一定の冷蔵庫の中に保管した。これらのサンプルは「メソッド・フォー・カーミング・ヒューマン・ビーイングズ・ユージング・パーソナル・ケア・コンポジションズ(Method For Calming Human Beings Using Personal Care Compositions)」を発明の名称とする2000年9月29日に出願されている同時係属の米国特許出願第09/676,876号において記載されている方法に従ってそれぞれ収集および分析した。その後、各成人はエクリプス・ミュージック・グループ社(Eclipse Music Group)による「リラックス・ウィズ・オーシャン・リラクシング・サーフ(Relax with Ocean Relaxing Surf)」と題する音楽CDによりリラックスする音楽を聴きながら10分間にわたりクエスト・インターナショナル社(Quest International)から入手可能なPD1861として認識されている一定の快いリラックスする芳香として知覚される一定の芳香を含有する吸収棒材(sorbarod)を頻繁にかぐことを要求された。各成人が芳香をかいで音楽を聞いた上記の10分間に続いて、20乃至30分経過後に、第2の唾液サンプルを各成人から一定の個別のビンの中に収集して上述したように保管した。
【0050】
上記の各コルチソル分析の結果が以下の表1において示されている。
【表1】
Figure 2004522484
【0051】
上記の結果は上記の芳香および音楽の体験が唾液中のコルチソルにおける15%の平均の減少を生じていることを示しており、このことはHPA軸の活性がリラックスする体験の後の短時間において減少していることを示している。このような短時間におけるコルチソルの減少は一定の体験がリラックスするが、この実験において調査する状況の持続時間よりも長い一定の時間の期間にわたり上記HPA軸の一定の抑制作用が存在するか否かについては分からないことを確認することにおいて有用である。
【0052】
実施例2乃至6
それぞれの気分および行動の自己評価を行なう一定の調査に女性の3種類のグループ(グループA乃至C)が参加し、それぞれの唾液サンプルをコルチソルを測定する目的のために一日を通して各設定時間点において収集した。
【0053】
実施例2において、グループAは朝の一定の設定時間点に1回のリラックス用の芳香の体験に曝された。
【0054】
実施例3において、グループBはグループAと同一の芳香の体験に曝されたが、睡眠開始前の1回を含む、その日を通して多数回の曝露された。
【0055】
実施例4において、グループCはグループAおよびBと同一の芳香に曝されたが、その同一期間中にリラックス用の音楽にも曝された。さらに、グループCはその日を通して各設定時間点において上記の音楽および芳香に多数回にわたり曝された。さらに、知覚される睡眠の開始前の一定の設定時間において、グループCの各解答者はその日に経験したものと同一の芳香を伴い、さらに音楽および抑えた周囲の証明を伴って、一定の暖かい(約33乃至約37℃)浴槽内において入浴した。
【0056】
各実施例2乃至6において用いた芳香および音楽の刺激は実施例1において用いた芳香および音楽の刺激とそれぞれ同一であった。
【0057】
報告されている各結果を含む各表において、「NA」は解答者のサンプル収集の失敗、サンプルの損失またはサンプルの汚染による無効を示している。
【0058】
実施例2:芳香に対する1回の曝露(グループA)
年齢が20乃至40才の良好な健康状態にある一定の女性のグループ(グループA)がそれぞれの自然な環境内における一定の巡回式の調査に参加し、この調査において、彼らは各コルチソル濃度を測定する目的のためにその調査における各日と通して各設定時間点において個別のビンの中によだれをたらすかつばを入れることにより約1mlの唾液を収集するように要求された。これらの唾液サンプルは以下の時点においてそれぞれ収集した。
(i)目覚め時
(ii)目覚め後30分
(iii)目覚め後65分
(iv)目覚め後4時間
(v)目覚め後8時間
(vi)目覚め後12時間
【0059】
上記の参加者はまたそれぞれの気分および行動の自己評価を完成することについても要求された。この調査は5日間にわたり続けられた。調査の1日目は対照日として用いられ、この場合に、各唾液サンプルが収集されて質問表が完成されたが、治療用の管理は全く処方されなかった。調査の2日目において、各解答者は5分の一定期間にわたり一定の快いリラックスする芳香(クエスト・インターナショナル社(Quest International)からのPD1861)をかぐように要求され、この処理は目覚め後の約30分において行なわれた。その後、2日目乃至5日目において治療の管理は全く処方されなかった。
【0060】
実施例2のグループAについての唾液コルチソルのデータが以下の表2乃至9においてそれぞれ示されている。
【表2】
Figure 2004522484
【表3】
Figure 2004522484
【表4】
Figure 2004522484
【表5】
Figure 2004522484
【表6】
Figure 2004522484
【0061】
1日目は対照であり、2日目の朝に芳香をかぎ、2日目乃至5日目には治療が全く行なわれなかった。各日に対応する曲線下の面積から計算したコルチソルの積分による測定値を作成することができる。上記調査の5日間におけるそれぞれに対応するグループAについてのこれらの曲線下の面積の値(AUC)が以下の表7において示されている。
【表7】
Figure 2004522484
【0062】
さらに、上記AUCの各値から上記調査の5日間におけるそれぞれに対応するグループAについての各ピーク値を差し引いた値が以下の表8において示されている。
【表8】
Figure 2004522484
【0063】
さらに、目覚め後4時間におけるグループAについての平均のコルチソル値が以下の表9において示されている。
【表9】
Figure 2004522484
【0064】
実施例3:周囲の照明を伴う快いリラックス用の芳香に対する多数回の曝露(グループB)
年齢が20乃至40才の良好な健康状態にある一定の女性のグループ(グループB)がそれぞれの自然な環境内における一定の巡回式の調査に参加し、この調査において、彼らは各コルチソル濃度を測定する目的のためにその調査における各日と通して各設定時間点において個別のビンの中によだれをたらすかつばを入れることにより約1mlの唾液を収集するように要求された。これらの唾液サンプルは以下の時点においてそれぞれ収集した。
(i)目覚め時
(ii)目覚め後30分
(iii)目覚め後65分
(iv)目覚め後4時間
(v)目覚め後8時間
(vi)目覚め後12時間
【0065】
上記の参加者はまたそれぞれの気分および睡眠行動の自己評価を完成することについても要求された。この調査は5日間にわたり続けられた。調査の1日目は対照日として用いられ、この場合に、各唾液サンプルが収集されて質問表が完成されたが、治療用の管理は全く処方されなかった。その後、調査の2日目乃至5日目において、各解答者は朝の目覚め後の約30分、目覚め後の4時間、および目覚め後の8時間のそれぞれに、5分の一定期間にわたり低量の周囲の照明を伴う一定の室内において快適に座りながら一定の快いリラックスする芳香(クエスト・インターナショナル社(Quest International)からのPD1861)をかぐように要求された。
【0066】
上記実施例3のグループBにおける唾液コルチソルのデータが以下の表10乃至表17においてそれぞれ示されている。
【表10】
Figure 2004522484
【表11】
Figure 2004522484
【表12】
Figure 2004522484
【表13】
Figure 2004522484
【表14】
Figure 2004522484
【0067】
1日目は対照であり、2日目から開始して5日目まで続いて、解答者は1日を通して3回の時間点において芳香に曝された。各日に対応する曲線下の面積から計算したコルチソルの積分による測定値を作成することができた。上記調査の5日間におけるそれぞれに対応するグループBについてのこれらの曲線下の面積の値(AUC)が以下の表15において示されている。
【表15】
Figure 2004522484
【0068】
さらに、上記AUCの各値から上記調査の5日間におけるそれぞれに対応するグループBについての各ピーク値を差し引いた値が以下の表16において示されている。
【表16】
Figure 2004522484
【0069】
さらに、目覚め後4時間におけるグループBについての平均のコルチソル値が以下の表17において示されている。
【表17】
Figure 2004522484
【0070】
実施例4:芳香、音楽および周囲の照明に対する多数回の曝露(グループC)
年齢が20乃至40才の良好な健康状態にある一定の女性のグループ(グループC)がそれぞれの自然な環境内における一定の巡回式の調査に参加し、この調査において、彼らは各コルチソル濃度を測定する目的のためにその調査における各日と通して各設定時間点において個別のビンの中によだれをたらすかつばを入れることにより約1mlの唾液を収集するように要求された。これらの唾液サンプルは以下の時点においてそれぞれ収集した。
(i)目覚め時
(ii)目覚め後30分
(iii)目覚め後65分
(iv)目覚め後4時間
(v)目覚め後8時間
(vi)目覚め後12時間
【0071】
上記の参加者はまたそれぞれの気分および睡眠行動の自己評価を完成することについても要求された。この調査は5日間にわたり続けられた。調査の1日目は対照日として用いられ、この場合に、各唾液サンプルが収集されて質問表が完成されたが、治療用の管理は全く処方されなかった。その後、調査の2日目乃至5日目において、各解答者は朝の目覚め後の約30分、目覚め後の4時間、および目覚め後の8時間のそれぞれに、5分の一定期間にわたり低量の周囲の照明下においてリラックスする音楽(エクリプス・ミュージック・グループ社(Eclipse Music Group)による「リラックス・ウィズ・オーシャン・リラクシング・サーフ(Relax with Ocean Relaxing Surf)」と題する音楽CD)を聴いて一定の室内において快適に座りながら一定の快いリラックスする芳香(クエスト・インターナショナル社(Quest International)からのPD1861)をかぐように要求された。さらに、就寝時間前に、2日目乃至5日目において、各解答者は低量の周囲の照明を伴う一定の室内においてリラックスする音楽(エクリプス・ミュージック・グループ社(Eclipse Music Group)による「リラックス・ウィズ・オーシャン・リラクシング・サーフ(Relax with Ocean Relaxing Surf)」と題する音楽CD)を聞きながら約35℃の芳香(クエスト・インターナショナル社(Quest International)からのPD1861)を加えた浴槽に15分間にわたり入浴するように要求された。
【0072】
上記実施例4のグループCにおける唾液コルチソルのデータが以下の表18乃至表26においてそれぞれ示されている。
【表18】
Figure 2004522484
【表19】
Figure 2004522484
【表20】
Figure 2004522484
【表21】
Figure 2004522484
【表22】
Figure 2004522484
【表23】
Figure 2004522484
【0073】
1日目は対照であるが、2日目から解答者は1日を通して3回の時間点において芳香、リラックスする音楽および低量の周囲の照明、および就寝前に低量の周囲の照明下におけるリラックスする音楽(エクリプス・ミュージック・グループ社(Eclipse Music Group)による「リラックス・ウィズ・オーシャン・リラクシング・サーフ(Relax with Ocean Relaxing Surf)」)を聞きながら一定のリラックスする芳香(PD1861)を伴う入浴を体験し、この処理が5日目を含む全体を通して繰り返された。各日に対応する曲線下の面積から計算したコルチソルの積分による測定値を作成することができた。上記調査の5日間におけるそれぞれに対応するグループCについてのこれらの曲線下の面積の値(AUC)が以下の表24において示されている。
【表24】
Figure 2004522484
【0074】
さらに、上記AUCの各値から上記調査の5日間におけるそれぞれに対応するグループCについての各ピーク値を差し引いた値が以下の表25において示されている。
【表25】
Figure 2004522484
【表26】
Figure 2004522484
【0075】
上記グループCについてのコルチソルのデータは対照の1日目に比較して2日目乃至5日目におけるコルチソルにおける一定の減少を予想外に示している。重要なことはコルチソルにおける減少が上記のHPA活性を調べるための調査において使用した全ての指示要素において見られたことである。このことは感覚的な各刺激の組み合わせまたは管理方法が、HPA活性を変更することによる、長期間の継続した作用効果を各個人のストレスの量に及ぼすことを明瞭に示している。
【0076】
同一のリラックスする芳香を上記3種類の異なるグループを通して使用して、一定のリラックスする快感を覚える感覚をグループAおよびグループBに供給したが、HPA活性を調べる場合に有用な各種の指示要素、すなわち、全体の日々のコルチソル量、コルチソル量から朝のピーク時の量を引いた値、および目覚め後の約4時間におけるコルチソル値のいずれかにより測定した場合のストレスの減少における長期の継続的な作用効果が全く見られなかった。これらの実施例は一次的な快感の作用効果とストレスの量を減少できる長期の継続した作用効果との間に一定の差が存在することを明瞭に示している。
【0077】
実施例5:HPA活性の抑制は各個人におけるストレスを減少する
ストレスの作用は様々であり、一定の各個人のグループ内においても明らかに異なる可能性がある。各個人におけるストレスの量を主観的に評価することを目的としている各種の質問表は気分、行動および身体の各徴候を含む一定範囲のパラメーターについて調べている。すなわち、これらのパラメーターは各個人のストレスの量を包括的に評価するために調べられている。個々の解答者は調査の5日前および5日後においてそれぞれの身体、行動力、感情およびストレス量について評価するように求められている。これらの質問表の分析の結果が以下の表27および28においてそれぞれ示されている。
【表27】
Figure 2004522484
【表28】
Figure 2004522484
【0078】
上記実施例2,3および4における各グループA,BおよびCについてのそれぞれの5日間の調査の開始時および終了時における気分および身体の各徴候を等級付けした自己評価による質問表を使用することにより、全てのグループが気分および身体の各パラメーターにおけるいくらかの有益性を報告しているが、最大の包括的な改善が実施例4におけるグループCにおいて見られた。
【0079】
上記の結果はHPA活性に対して比較的に短期間の作用効果を有する一定の快い体験がストレスに伴う気分および身体の各徴候において一定の改善をもたらすことを示している。しかしながら、ストレスに伴う気分および身体の徴候における最大の改善は実施例4におけるグループCにおいて見られ、この改善はHPA活性における優位差の有る抑制を行なっている。
【0080】
上記の主観的な自己評価の結果はグループCがHPA活性における最大の抑制を体験している点においてHPA活性の客観的な生理的評価の結果に一致している。すなわち、これらの結果はHPA活性の抑制がストレスにおける使用者の知覚可能な減少を引き起こすことを示している。
【0081】
実施例6:2週間の皮膚科学者により調整されたスキン−ケア調査における一定の芳香を加えていないローションの局所的供給
13才から40才の年齢範囲内の男女12人の解答者のグループが2週間のスキン−ケア調査に参加することを求められ、この調査において、かれらは毎日供給するための一定の局所的スキン−ケア製品を処方する一定の皮膚科学者に診察を受けることを要求された。各解答者に供給されたこのスキン−ケア製品は過酸化ベンゾイルの存在しないクリーン・アンド・クリア・ペルサ−ジェル(Clean & Clear Persa-Gel)5%であった。さらに、各解答者はコルチソルの測定を目的として唾液を収集することを要求された。これらの唾液サンプルは基線の各コルチソル値を評価するためにあらゆる処理に先立ってその調査の最初の日に集められ、さらに後続の各サンプルが1週間後および2週間後に集められた。各解答者は上記の3日のそれぞれにおいて個別のビンの中によだれをたらすかつばを入れることにより1mlの唾液を集めた。これらのサンプルはそれぞれ以下の時間点において求められた。
(i)目覚め時
(ii)目覚め後30分
(iii)目覚め後65分
(iv)目覚め後4時間
(v)目覚め後8時間
(vi)目覚め後12時間
【0082】
上記の調査グループ(グループD)において集めた唾液コルチソルのデータが以下の表29乃至表38においてそれぞれ示されている。実施例1乃至5において報告されているコルチソル濃度のデータはμg/dlの単位であるが、実施例6および7において報告されているコルチソルの濃度の単位はnmol/lである。なお、比較のために、1μg/dlは27.6mmol/lに等しい。
【表29】
Figure 2004522484
【表30】
Figure 2004522484
【表31】
Figure 2004522484
【表32】
Figure 2004522484
【表33】
Figure 2004522484
【表34】
Figure 2004522484
【表35】
Figure 2004522484
【0083】
さらに、基準線および処理の1週間後および2週間後における上記グループDについての全体のAUC、平均のAUCから朝のピーク量を引いた値および目覚め後4時間の平均のコルチソル量の各値が以下の表36,37および38にそれぞれ示されている。
【表36】
Figure 2004522484
【表37】
Figure 2004522484
【表38】
Figure 2004522484
【0084】
上記実施例5のグループDにおけるコルチソルのデータは全体の日々のコルチソルの量が1週間目および2週間目においてその基準線よりも低いこと、および1週間目および2週間目における目覚め後4時間のコルチソルが基準線からわずかに減少していることが見られたことを示している。さらに、上記AUCから朝のピーク量を引いた値における基準線からのわずかな減少が1週間目において見られたが、2週間目までにこの値が基準線よりも高くなっている。
【0085】
実施例7:日々の感覚的な管理を伴う2週間の長期の皮膚科学者により調整されたスキン−ケア調査
13才から40才の年齢範囲内の男女12人の解答者のグループが2週間の長期のスキン−ケア調査に参加することを求められ、この調査において、かれらは一定の皮膚科学者に診察を受けることを要求され、この皮膚科学者は一定の快いリラックスする芳香(Quest International)から供給されるPD1861)をかいで、リラックスする音楽(エクリプス・ミュージック・グループ社(Eclipse Music Group)による「リラックス・ウィズ・オーシャン・リラクシング・サーフ(Relax with Ocean Relaxing Surf)」と題する音楽CD)を聴き、低量の周囲の照明および就寝時間前の入浴管理から成る一定の日々の感覚的な管理を処方し、この入浴において、各解答者は低量の周囲の照明を伴う一定の室内においてリラックスする音楽(エクリプス・ミュージック・グループ社(Eclipse Music Group)による「リラックス・ウィズ・オーシャン・リラクシング・サーフ(Relax with Ocean Relaxing Surf)」と題する音楽CD)を聴きながら約35℃において芳香を加えた浴槽(Quest International)から供給される芳香剤PD1861)に15分間にわたり入浴することを求められた。
【0086】
さらに、各解答者はコルチソルの測定を目的として唾液サンプルを収集することを要求された。これらの唾液サンプルは基準線の各コルチソル値を評価するためにあらゆる処理に先立ち調査の最初の日に集められ、さらに、後続のサンプルが1週間後および2週間後にそれぞれ集められた。各解答者は上記の3日のそれぞれにおいて個別のビンの中によだれをたらすかつばを入れることにより1mlの唾液を集めた。これらのサンプルはそれぞれ以下の時間点において求められた。
【0087】
各唾液サンプルは上記のそれぞれの日における以下の時間点において集められた。
(i)目覚め時
(ii)目覚め後30分
(iii)目覚め後65分
(iv)目覚め後4時間
(v)目覚め後8時間
(vi)目覚め後12時間
【0088】
上記の参加者はまたそれぞれの気分およびその他の自分の皮膚の状況に関連する徴候の自己評価を完成することについても要求された。この調査は2週間にわたり続けられた。調査の1日目は対照日として用いられ、この場合に、各唾液サンプルが収集されて質問表が完成されたが、治療用の管理は全く処方されなかった。その後、この調査の残りの日において、各解答者は朝の目覚め後の約30分、目覚め後の4時間、および目覚め後の8時間のそれぞれに、5分の一定期間にわたり低量の周囲の照明下においてリラックスする音楽(エクリプス・ミュージック・グループ社(Eclipse Music Group)による「リラックス・ウィズ・オーシャン・リラクシング・サーフ(Relax with Ocean Relaxing Surf)」と題する音楽CD)を聴いて一定の室内において快適に座りながら一定の快いリラックスする芳香(クエスト・インターナショナル社(Quest International)により供給されるPD1861)をかぐように要求された。さらに、就寝時間前に、2日目乃至5日目において、各解答者は低量の周囲の照明を伴う一定の室内においてリラックスする音楽(エクリプス・ミュージック・グループ社(Eclipse Music Group)による「リラックス・ウィズ・オーシャン・リラクシング・サーフ(Relax with Ocean Relaxing Surf)」と題する音楽CD)を聞きながら約35℃の芳香(クエスト・インターナショナル社(Quest International)により供給されるPD1861)を加えた浴槽に15分間にわたり入浴するように要求された。
【0089】
上記実施例7のグループEにおける唾液コルチソルのデータが以下の表39乃至表48においてそれぞれ示されている。
【表39】
Figure 2004522484
【表40】
Figure 2004522484
【表41】
Figure 2004522484
【表42】
Figure 2004522484
【表43】
Figure 2004522484
【表44】
Figure 2004522484
【表45】
Figure 2004522484
【表46】
Figure 2004522484
【0090】
1日目は対照であり、2日目は朝に芳香による処理があった。その後、2日目乃至5日目は全く処理がなかった。各日に対応する曲線下の面積から計算したコルチソルの積分による測定値を作成することができた。上記調査の5日間におけるそれぞれに対応するグループEについてのこれらの曲線下の面積の値(AUC)が以下の表47において示されている。
【表47】
Figure 2004522484
【0091】
さらに、上記AUCの各値から上記調査の基準線時および1週間目および2週間目におけるグループEについての各ピーク値を差し引いた値が以下の表48においてそれぞれ示されている。
【表48】
Figure 2004522484
【0092】
さらに、上記調査の基準線時および1週間目および2週間目におけるグループEについての目覚め後4時間の平均のコルチソル値が以下の表49においてそれぞれ示されている。
【表49】
Figure 2004522484
【0093】
実施例8:HPA活性の抑制が各個人の生活の質を改善する
一定の個人の生活の質は各調査員が一定の個人の生活の条件または状況を対処している各個人の生活の質に一定の処理が作用効果を及ぼす程度を定量化することを可能にする有効化された種々の質問表の使用により調査することが可能である。例えば、スキンデクス(Skindex)は一定の状況下にある各個人の生活の質における一定の皮膚の状況の作用効果を定量化するために皮膚科学の分野において使用される一定の生活の質に関する質問表であり、一定の皮膚の状況下にある各個人により採用される一定の処理または介入の程度を定量化することを各調査員に可能にして、各個人の生活の質に作用効果を及ぼし、クレン,メアリー−マーガレット,ラセック,レベッカ J.(Chren, Mary-Margaret, Lasek, Rebecca J.),フロッケ,スーザン A.(Flocke, Suan A.),チザンスキー,ステフェン J.(Zyzanski, Stephen J.),「インプルーブド・デイスクリミネイテイブ・アンド・エバリュエイテイブ・ケイパビリテイ・オブ・ア・リファインド・バージョン・オブ・スキンデクス,ア・クオリテイ−オブ−ライフ・インストルメント・フォー・ペイシェンツ・ウイズ・スキン・ディジージズ(Improved Discriminative and Evaluative Capability of a Refined Versions of Skindex, a Quality - of - Life Instrument for Patients with Skin Diseases)」,1997年,アーク・ダーマトル(Arch Dermatol),133巻,p.1433−1440において記載されており、この文献の開示は本明細書に参考文献として含まれる。
【0094】
上記実施例6および7における各グループDおよびEはそれぞれ調査における基準線時および1週間目および2週間目において上記のスキンデクス質問表を完成している。この質問表の使用の目的はそれぞれの処理の管理方法により誘発されるHPA活性の抑制が上記の調査を実施している各個人の生活の質に作用効果を及ぼす程度を決定することである。この質問表における各パラメーターの変化は0.05よりも小さい一定のp値により優位差有りと判断されている。
【0095】
上記の各結果が以下の表50においてそれぞれ示されている。
【表50】
Figure 2004522484
【0096】
上記の結果は一定の個人の生活の質がそのHPA軸の抑制により改善できることを示している。
【0097】
本明細書における実施例は一定の皮膚の病状を有している一定の個人の生活の質に関連しているが、一定の個人の生活の質における改善を引き起こすHPA軸の抑制は上記の実施例に限定されない。当該技術分野における通常の熟練者においては、一定の個人の生活の質を改善するための一定の手段としてのHPA軸の抑制が一定の不利益な影響を各個人の生活の質に及ぼすあらゆる問題、条件またはストレスの多い状況に対処している各個人に適用できることが明らかである。
【0098】
HPA活性における各実施例2,3,4,6および7についての治療の管理方法の作用効果のまとめ
HPA活性における上記各実施例2,3,4,6および7のそれぞれの治療の作用効果のまとめが以下の表51および表52にそれぞれ示されている。
【表51】
Figure 2004522484
【0099】
上記表51においてそれぞれまとめられている実施例2,3および4の各グループA,BおよびCについてのHPA活性分析の結果はHPA軸の活性を抑制することにおけるグループCにより実施された管理方法の作用効果を明瞭に示している。さらに、上記実施例5はこのようなHPA活性における抑制がストレスの自己評価される包括的な各種パラメーターの減少に関連していることを示している。
【表52】
Figure 2004522484
【0100】
上記実施例6および7の各グループDおよびEについてのHPA活性分析の結果がそれぞれ上記の表52においてまとめられており、これらのグループが共にHPA活性における一定の抑制を経験していること、および感覚の管理を実施しているグループ、すなわち、グループEにおいて最大の抑制が見られたことを示している。さらに、これら両方のグループにおいて見られたHPA活性の抑制は、上記実施例8において示されているような、調査を実施している各個人の生活の質において一定の改善を引き起こすために十分であった。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】朝の目覚め後の約4乃至約8時間の期間内の一定の哺乳類動物における副腎皮質ホルモンを示しているグラフである。
【図2】全体の日々の副腎皮質ホルモンを示しているグラフである。
【図3】全体の日々の副腎皮質ホルモンから朝のピーク値を引いた状態を示しているグラフである。

Claims (24)

  1. 一定の哺乳類動物に一定の有効量の感覚的な管理を施すことによりそのHPA軸の活性を抑制する工程を含む当該哺乳類動物における慢性のストレスを減少するための方法。
  2. 前記感覚的な管理が一定のCRH拮抗質または一定の抗うつ薬の投与を含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記HPA軸の活性が前記哺乳類動物における全体の日々の副腎皮質ホルモンの量を減少することにより抑制される請求項1に記載の方法。
  4. 前記全体の日々の副腎皮質ホルモンがコルチソルである請求項3に記載の方法。
  5. 前記コルチソルが、前記管理の開始時における前記哺乳類動物において存在している全体の日々のコルチソルに基づいて、少なくとも約5乃至約50%だけ減少される請求項4に記載の方法。
  6. 前記コルチソルが、前記管理の開始時における前記哺乳類動物において存在している全体の日々のコルチソルに基づいて、少なくとも約10乃至約40%だけ減少される請求項4に記載の方法。
  7. 前記コルチソルが、前記管理の開始時における前記哺乳類動物において存在している全体の日々のコルチソルに基づいて、少なくとも約15乃至約30%だけ減少される請求項4に記載の方法。
  8. 前記減少が前記管理の開始時から約1乃至14日の一定期間内に生じる請求項3に記載の方法。
  9. 前記減少が1日乃至2年の一定期間にわたり維持される請求項8に記載の方法。
  10. 請求項1に記載の方法に従って慢性のストレスを減少する工程を含む一定の個人の生活の質を改善する方法。
  11. 前記HPA軸の活性が朝の目覚め後の約4乃至約8時間の期間内における任意の時間点において前記哺乳類動物における副腎皮質ホルモンを減少することにより抑制される請求項1に記載の方法。
  12. 前記副腎皮質ホルモンがコルチソルである請求項11に記載の方法。
  13. 前記コルチソルが、前記管理の開始時における前記哺乳類動物において存在しているコルチソルの量に基づいて、約5乃至約70%だけ減少される請求項12に記載の方法。
  14. 前記コルチソルが、前記管理の開始時における前記哺乳類動物において存在しているコルチソルの量に基づいて、約10乃至約60%だけ減少される請求項12に記載の方法。
  15. 前記コルチソルが、前記管理の開始時における前記哺乳類動物において存在しているコルチソルの量に基づいて、約20乃至約50%だけ減少される請求項12に記載の方法。
  16. 前記減少が前記管理の開始時から約1乃至14日の一定期間内に生じる請求項11に記載の方法。
  17. 前記減少が1日乃至2年の一定期間にわたり維持される請求項16に記載の方法。
  18. 前記HPA軸の活性が前記哺乳類動物における全体の日々の副腎皮質ホルモンから朝のピーク時の副腎皮質ホルモンの積分による測定値を引いた値を減少することにより抑制される請求項1に記載の方法。
  19. 前記副腎皮質ホルモンがコルチソルである請求項18に記載の方法。
  20. 前記コルチソルが、前記管理の開始時における前記哺乳類動物において存在しているコルチソルの量に基づいて、約5乃至約70%だけ減少される請求項19に記載の方法。
  21. 前記コルチソルが、前記管理の開始時における前記哺乳類動物において存在しているコルチソルの量に基づいて、約10乃至約60%だけ減少される請求項19に記載の方法。
  22. 前記コルチソルが、前記管理の開始時における前記哺乳類動物において存在しているコルチソルの量に基づいて、約20乃至約50%だけ減少される請求項19に記載の方法。
  23. 前記減少が前記管理の開始時から約1乃至14日の一定期間内に生じる請求項18に記載の方法。
  24. 前記減少が1日乃至2年の一定期間にわたり維持される請求項23に記載の方法。
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