JP2004522418A - 新規なprkag3対立遺伝子並びに生殖性及び肉質の形質の遺伝標識としてのその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
グラント参考条項
本発明はプロジェクト番号IOWO3600(ハッチ・ファンド,USDA)により少なくとも一部支援された。米国政府は本発明の一部の権利を所有しうる。
【0002】
関連出願への交差参照
本出願は次の同時係属中の共通して所有する米国仮出願、2000年9月8日出願の第60/231,045号、2001年1月8日出願の第60/260,239号、及び2001年6月18日出願の第60/299,111号の係属出願である。35U.S.C.セクション120の下での優先権が主張される。
【0003】
発明の分野
本発明は一般的に動物の間の遺伝的相違の検出に関する。より具体的には、本発明は動物における改良された肉質、一腹仔数、及び他の経済的な形質と関連する遺伝性表現型の指標となる遺伝標識に関する。動物の遺伝子型分類及び選択におけるこれらのマーカーの使用のための方法及び組成物も開示される。
【0004】
発明の背景
遺伝的相違は、個々の動物の間にそして所望の特性を持つ動物を得るための品種改良技法により利用され得る品種の間に存在する。例えば、チャイニーズ・ブリードは若年で思春期に達しそしてそれらの一腹仔数が大きいことで知られているが、一方、アメリカン・ブリードは成長速度の大きさ及び脂肪の少なさで知られている。しかしながら、所望の形質の遺伝性はしばしば低く、表現型の変化に基づいて個体を選択する標準的育種法は、存在する遺伝的変異性又は遺伝子相互作用を十分に考慮に入れていない。
【0005】
ブタのDNAを研究するため幾つかのグループにより制限断片長多型(RFLP)分析が用いられた。参照により本明細書にインコーポレートされるジュングら,Theor. Appl. Genet., 77: 271−274 (1989) は二つのブタ血統の間での遺伝子の変異性を明らかにするためのRFLP法の使用を開示した。多型は、これらの血統におけるブタ白血球抗原(SLA)I型遺伝子について証明された。参照により本明細書にインコーポレートされるホガンソンら,Abstract for Annual Meeting of Midwestern Section of the American Society of Animal Science, March 26−28, 1990は、RFLP分析によっても証明されたチャイニーズブタのブタ主要組織適合性複合体(MHC)遺伝子の多型について報告する。参照により本明細書にインコーポレートされるジュングら,Theor. Appl. Genet., 77: 271−274 (1989) はあるボアーズにおけるブタSLAI型遺伝子のRFLP分析について報告する。この著者らは結果がブタSLA/MHCI型遺伝子と生産形質及び生産力形質の間に関連がありうることを示唆すると述べている。該著者らはさらに、遺伝標識としてSLAI型制限断片を使用することはブタの成長能力を改良するために将来有望であると述べている。
【0006】
特定の有利な対立遺伝子を追跡する能力には、主要な効果のある遺伝子のためのDNA分子標識の同定という新規な且つ長期間を要するプロセスが含まれる。この標識は主要な効果を有する単一遺伝子に連結したり、又は付加的な効果を有する幾つかの遺伝子に連結していたりする。DNA標識は幾つかの利点を持つ。即ち、分離が測定容易であり曖昧でないこと、そしてDNA標識が共優占種(co−dominant)であること、即ちヘテロ接合体動物とホモ接合体動物が明確に同定できることである。一旦標識系が確立されると、組織試料若しくは血液試料を個々の幼児動物から、若しくは胚からさえも集めた後に、DNA標識を何時でも検定できるので、選択の決定は極めて容易になされ得るであろう。
【0007】
受容体遺伝子における遺伝的相違の使用は、選択のための貴重な標識系となった。例えば、参照により本明細書にインコーポレートされるロスチャイルドらに与えられた米国特許第5,550,024号及び第5,374,526号は、より大きな多産性と関連するブタ・エストロゲン受容体遺伝子における多型を開示する。米国特許第5,935,784号はより大きな多産性及び全体的生殖効率と関連するブタ・プロラクチン受容体遺伝子における多型性標識を開示する。
【0008】
一腹仔数は、もちろん育種業者にとって直接的な経済的影響力を持ち、また食肉を生産する動物にとって重要なのは肉質である。肉質は、客観的にも主観的にも多数の異なる側面が全体の形質を作り上げているので、評価するのが困難な特性である。肉の品質を決定する要因のリストは、他の食物と同様に、かなり長くなる(ウッドら,Proceedings of The Nutrition Society (1999) 58: 363−70) 。それには、微生物学的危険(食物の安全性)が無いことや動物搾取の防止(動物保護)が含まれる。それには、肉の感覚的魅力、即ち、その味又は食物としての品質が含まれ、特に脂肪の量及び型に関して健康的と感じられることが含まれる。
【0009】
生のブタ肉の品質は多数の遺伝的及び非遺伝的要因により影響される。その後者には、農場、移送、屠殺及び処理条件が含まれる。肉科学者は、これらの要因について相当の量の研究を行なってきており、相当な品質の改良をもたらした。これらの研究の一部はこの動物の遺伝的背景にも当てられ、幾つかの研究は重要な遺伝的要因を明らかにした。これは、この産業に動物の選択的育種及び遺伝子技法の利用がブタの品質を高めるのに重要な役割を果たし得ることに気付かせた。
【0010】
DNAレベルの情報は特定の主要遺伝子を固定する助けとなり得るが、それは我々が既に選択している定量的形質の選択の助けにもなる。表現型のデータに加え分子情報は選択従って選択的応答の精度を増加できる。このような標識依存選択(MAS)プログラムにおける余分の応答の大きさは理論的観点から多数の研究者により考察されてきた。一般的に言えば、MASは遺伝性の低い形質そして表現型的に測定するには高価過ぎる形質については利点がより大きい。とりわけ肉質はMASを利用するための素晴らしい機会となる。例えば、ミューウィッセン,T.H.E.及びゴダード,M.E.(1996)「動物育種計画における標識ハプロタイプの使用」, Genet. Sel. Evol., 28 161−176 は伝統的な方法を用いて進めることが困難な生殖性及び肉質などの形質の標識依存選択の影響を考察した。彼らの結果は極めて有望であり、肉質などの形質について、該形質が屠殺後に測定される場合、64%までの付加的応答が得られうるであろうことを示す。
【0011】
実際、肉質や一腹仔数などの経済的形質を遺伝的に改良するための最良の取り組みは選択された集団における関連するDNA標識を直接見出すことである。肉質の測定は育種機構の核集団から得られる一部の動物について継続的に実施できる。肉質の完全な測定は屠殺後にしか実施できないので、このデータは不良品として選別された動物から集めねばならず、潜在的な品種改良用動物から得ることはできない。同様に、一腹仔数についても、雌動物は一腹仔数を確認するため出産した後にのみ確認され得る。これらの形質について遺伝的素因を同定することは遺伝子レベルで選択することを可能とするであろう。
【0012】
この表現型のデータは、関連するDNA標識を検出可能とするため、そして同定された標識を実験集団を用いて評価するため又は候補遺伝子を試験するために集められる。次いで、重要な標識又は遺伝子を選択プロセスに直接含めることができる。分子情報の利点は品種改良用の動物の極めて若い年齢で既にそれを得ることができることであり、このことは動物が成長能力試験が終了する前にDNA標識に基づいて予め選択できることを意味する。これは全体的な試験及び選択システムにとっての大きな利点である。
【0013】
前述のことから、遺伝子レベルで改良された特性を有する動物を同定し選択することにより動物の肉質並びに繁殖特性を改良するために使用しうる標識を同定する必要があることを読み取ることができる。
【0014】
本発明の目的は、pH、霜降り、色、及び滴損失あるいは一腹仔数が大きいことなどの有利な肉の特性の指標であるPRKAG3遺伝子に基づく遺伝標識又はPRKAG3遺伝子内の遺伝標識を提供することである。
【0015】
本発明の別の一目的は、この遺伝標識の存在を決定する検定法を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、所望の形質について選択及び品種改良の方法の精度を増加させる動物評価法を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、該標識の存在の決定を大きく促進するPCR増幅試験を提供することである。
【0018】
本発明のさらなる目的及び利点は、以下の明細書で部分的に記載され、該明細書から部分的には明らかとなり、又は本発明の実施によって会得されるであろう。本発明の目的及び利点はとりわけ付属の特許請求の範囲で指摘された手段や組み合わせにより達成されるであろう。
【0019】
発明の概要
本発明は、動物における肉質の形質及び繁殖性の形質と関連する遺伝標識として有用なPRKAG3遺伝子の代わりの遺伝子型の発見に関する。このPRKAG3遺伝子は種及び動物の間で高度に保存されており、本明細書に開示された異なる対立遺伝子は、ウシ、ヒツジ、ニワトリ、などの他の経済的又は肉生産性動物におけるこの遺伝子の変異性とも相関することが予想される。
【0020】
具体的に述べたようにそして本明細書に広く述べたように、本発明の目的を達成するためそして本発明の目的に従って、本発明は、有利な肉質形質を持つ可能性のより高いものを決定するため又は好ましくない肉質形質を示す対立遺伝子を持つブタに除いて選択するため動物をスクリーニングする方法を提供するもう一つの遺伝子型の発見を提供する。本明細書で用いるとき、「有利な肉質形質」とは、多数の測定可能な肉質形質の一つで、所与集団の平均に優る有意の改良(増加又は減少)を意味し、この情報は肉質の最適化された均一集団を得るために品種改良に使用でき、所望の肉特性に応じて一部の形質の増加又は他の形質の減少が含まれうる。考慮されうるこれらの要因には、下記のものが含まれるが、これらに限定されない。
ロイン・ミノルタ・ライトネス(L* ) :43〜47単位(暗い色から明るい色へ)の範囲が許容可能であるが、43のL* がより良好である。即ち、より高い経済的価値があり、一般にこの範囲にある(これは市場に依存し、例えば日本では黒ブタが好ましい)。
ロイン・ジャパニーズ・カラー・スコア(JCS): 2.5〜5.0 単位(明るい色から暗い色へ)の範囲が許容できるが、3〜4のJCSが良好である。ロイン・霜降り(筋肉内脂肪のレベル):一般に、霜降りの程度が高い程良好である。霜降りは肉を食する際の品質特性の改良と関連するからである。
ロインpH:(死後24時間で測定された最終の肉の酸性度。この特性はポークの品質の単一の最も重要な形質である) 。5.50〜5.80の範囲が望ましい。しかし、肉の色及び(低い)清浄にプラスに影響するので、5.80が良好である。
ハム・ミノルタ・ライトネス(L* ) : 43 〜52単位の範囲が許容されるが、
低い(43)方が良好である。
ハムpH:より高い方、即ち、5.80が良好である。
滴損失又は清浄:1%〜3%の範囲が許容されるが、低い方がより良好である。
【0021】
肉質のこれらの尺度は当業者により一般に許容されるものの例である。肉質形質の総説については、次のものを参照しうる。即ち、ソスニキ,A.A.,E.R.ウィルソン,E.B.シャイス,A.デフリース,1998「高品質のポークを生産するための費用効果的方法はあるか」,Reciprocal Meat Conference Proceedings, Vol. 51 。
【0022】
こうして、本発明は、有利な肉質を生産する可能性のより高いブタ、及び/又は最良の肉質とするため品種改良及び選択法を最適化するため有利な肉質を生産する可能性のより小さなブタを同定するためブタをスクリーニングする方法を提供する。
【0023】
また、本発明は、品質改良する場合より大きな一腹仔数を生産する可能性のより高いブタを決定するために又はより小さな一腹仔数を示す対立遺伝子を持つブタを除いて選択するためにブタをスクリーニングする方法を含む。本明細書で使用するとき「より大きな仔数」とは、所与の集団の平均に優る一腹仔数の有意の増加を意味する。こうして、本発明はより大きな仔数を生産する可能性がより高いブタ、及び/又はより大きな仔数を生産する可能性がより小さなブタを決定するためにブタをスクリーニングする方法を提供する。
【0024】
これらの形質を検定する方法は一般に、1)ブタから生体試料を得る工程、そして2)工程1)で得られたゲノムDNA又はタンパク質を分析してどのPRKAG3対立遺伝子(単数又は複数)が存在するかを決定する工程を含む。また、この方法では、これらの標識のそれぞれの利点を最大限に発揮させるべく選択又は同定計画の中で組み合わされるべきPRKAG3遺伝子における一連の多型を可能とするハプロタイプのデータが含まれる。
【0025】
該多型の幾つかはPRKAG3タンパク質のアミノ酸組成における変化を含むので、検定法は該PRKAG3タンパク質のアミノ酸組成を確認する工程を含みさえする。このタイプの方法又は精製及び分析は通常蛍光標識抗体を含む手段によるタンパク質の単離、タンパク質の分離及び精製(即ち、逆相HPLC系)、及び存在するアミノ酸配列を同定するため自動化タンパク質シーケンサーの使用を含む。この検定のための実験計画は標準的であり、当分野では知られており、アウスベルら(編集),「分子生物学における簡単なプロトコル」4版,ジョン・ウィリー・アンド・サンズ 1999 に記載されている。
【0026】
好ましい実施態様では、遺伝子試料が分析される。簡単に述べると、遺伝物質の試料を動物から取得し、この試料を、その遺伝子型に応じて一腹仔数の増加又は肉質の改良のいずれか又は両方の形質と相関する、AMPにより活性化されるタンパク質キナーゼ調節ガンマ・サブユニット(PRKAG3)遺伝子における多型の存在又は非存在を決定するために分析する。
【0027】
当業者には周知のように、配列の相違について核酸分子を比較する場合、多様な技法が利用されうる。これらには、例を挙げれば、制限断片長多型分析、ヘテロ二本鎖分析、一本鎖高次構造多型分析、変性勾配電気泳動、及び温度勾配電気泳動が挙げられる。
【0028】
好ましい実施態様では、この多型は制限断片長多型であり、その検定は、単離された遺伝子材料から得られるブタPRKAG3遺伝子を同定する工程、該遺伝子を制限酵素と接触させ該遺伝子を種々の長さの制限断片とする工程、該制限断片を電気泳動若しくはHPLC分離などにより分離して制限パターンを形成する工程、及び所望の標識を持つか持たないかのいずれかであることが知られているPRKAG3遺伝子から得られた制限断片パターンを比較する工程を含む。もし該標識について動物が陽性と出るならば、この動物を品種改良計画に含めると考えることができる。もし該動物が該標識遺伝子型について陽性と出ないならば、この動物を該グループから除くことができ、他の目的に使用できる。ハロタイプデータの使用も肉質及び/又は一腹仔数の両方に対する複数対立遺伝子のスクリーニングに組み込むことができる。
【0029】
最も好ましい実施態様では、該遺伝子は多型を含む遺伝子の特定の領域を増幅するためプライマー及びDNAポリメラーゼを使用することによって単離される。次に、この増幅された領域を制限酵素で消化し、断片を再び分離する。RFLPパターンの可視化は該断片の簡単な染色によるか、又は増幅に使用されたプライマー又はヌクレオシド三リン酸を標識化することにより行なわれる。
【0030】
別の一実施態様では、本発明は特定集団における肉質及び/又は一腹仔数のための遺伝標識を同定する方法を含む。同血統又は血統交差又は類似の遺伝的血統の雄と雌のブタを交配させ、そして子孫(雌について)の数及び/又はそれぞれのブタの生産する肉質を測定する。それぞれのブタのPRKAG3遺伝子の多型を同定し、子孫の数または肉質と関連させる。RFLP分析を使用して多型を決定することが好ましい。
【0031】
別の一実施態様では、本発明はブタ以外の任意の特定の経済的動物において肉質及び/又は一腹仔数(産まれる数)に対する遺伝標識を同定する方法を含む。異なる動物の間でこの遺伝子が高度に保存されているという性質に基づき、本明細書で記述したような単なる機械的試験によりこの標識を異なる動物種に適用して本明細書の教示に基づき肉質又は一腹仔数(産まれる数)のために選択できることが期待される。同じ血統又は血統交差又は類似の遺伝的血統の雄と雌の動物を交配させ、各動物が生産した子孫の数又は肉質を決定し、相関させる。配列が入手可能な他の動物について、配列のBLAST比較を用いて特定の対立遺伝子が本明細書で開示された対立遺伝子と類似であるか否かを確認しうる。類似の多型は他の動物や他の近縁の遺伝子に存在する。用語「類似の多型」とは、BLAST比較により決定するとき、本明細書で開示されたもののいずれかと同じである多型である。
【0032】
次の用語は、二つ以上の核酸又はポリヌクレオチドの間の配列関係を記述するために用いられる。即ち、(a)「参照配列」、(b)「比較窓」、(c)「配列同一性」、(d)「配列同一性のパーセンテージ」、及び(e)「実質的同一性」である。
【0033】
(a)本明細書で用いるとき「参照配列」とは、配列比較の根拠として用いられる規定された配列である。本発明では、参照PRKAG3配列である。参照配列は特定の配列の部分集合であってもその全体であってもよい。例えば、全長cDNA又は遺伝子配列のセグメント、又は完全cDNA又は遺伝子配列である。
【0034】
(b)本明細書で用いるとき、「比較窓」には連続し特定されたポリヌクレオチド配列のセグメントへの言及が含まれる。ここで、該ポリヌクレオチド配列は参照配列と比較され、二つの配列の最適整列を行なった場合ポリヌクレオチド配列の比較窓に入る部分が参照配列(これは付加や欠失を含まない)と比較されると付加又は欠失(即ち、ギャップ)を含むことになりうる。一般に、この比較窓は少なくとも20の連続したヌクレオチド長であり、任意選択的には30、40、50、100 、またはそれ以上であり得る。ポリヌクレオチド配列にギャップを含めることによる参照配列への高い類似性を避けるために、ギャップペナルティが通常導入され、適合の数から差し引かれることは当業者に理解されることである。
【0035】
比較のため配列を整列させる方法は当分野で周知である。比較のため配列を最適整列することは、スミスとウォーターマン,Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)の局部ホモロジー・アルゴリズムにより、ニードルマンとヴンシュ, J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)のホモロジー・アラインメント・アルゴリズムにより、ピアソンとリップマン, Proc. Natl. Acad. Sci. 85: 2444 (1988)の類似法の調査により、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実施により、例えば、インテリジェネティクス, マウンテンビュー, カリフォルニアによる PC/Geneプログラム中のCLUSTAL 、ウィスコンシン・ジェネティクス・ソフトウェア・パッケージ, ジェネティクス・コンピュータ・グループ(GCG), 575サイエンス Dr., マジソン、ウィスコンシン, USA における GAP、BESTFIT 、BLAST 、FASTA 、及び TFASTA など、これらに限定されないが、により行なうことができる。CLUSTAL プログラムはヒギンスとシャープ,Gene 73: 237−244 (1988) 、ヒギンスとシャープ, CABIOS 5: 151−153 (1989)、コルペットら, Nucleic Acids Research 16: 10881−90 (1988)、フアングら, Computer Applications in the Biosciences 8: 155−65 (1992) 、及びピアソンら, Methods in Molecular Biology 24: 307−331 (1994) により十分に記述されている。データベース類似性調査に使用できる BLASTファミリーのプログラムには、ヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチド質問配列のための BLASTN 、タンパク質データベース配列に対するヌクレオチド質問配列のための BLASTX 、タンパク質データベース配列に対するタンパク質質問配列のための BLASTP 、ヌクレオチドデータベース配列に対するタンパク質の質問配列のための TBLASTN、及びヌクレオチドデータベース配列に対するヌクレオチド質問配列のための TBLASTXが含まれる。Current Protocols in Molecular Biology, 第19章, アウスベルら編, グリーン・パブリッシングアンドウィリー−インターサイエンス,ニューヨーク(1995) を参照。
【0036】
特に断らない限り、本明細書で提供される配列同一/類似の数値はデフォルトパラメータを用いるBLAST2.0 スート・オブ・プログラムを用いて得られた数値を指す。アルチュルら, Nucleic Acids Res. 25: 3389−3402 (1997) 。 BLAST分析を行なうためのソフトウェアは公的に、例えばナショナル・センター・フォア・バイオテクノロジー−インフォーメーション経由で、入手できる(http://www.hcbi.nlm.nih.gov/) 。
【0037】
このアルゴリズムは、まず、データベース配列中の同じ長さのワードと整列させた場合ある陽性値の閾値得点Tに適合するか又はそれを満足する質問配列の長さWの短いワードを同定することにより高得点の配列対(HSPs) を同定する工程を含む。Tは近隣ワード得点閾値と呼ばれる(アルチュルら、前掲)。これらの初期の近隣ワード的中はそれらを含むより長いHSPを見出すための調査を開始するための種として作用する。次いでこのワード的中を整列得点の累積が増加する限り各配列に沿って両方向に伸長する。累積得点は、ヌクレオチド配列についてはパラメータM(適合残基の対に対する報奨の得点、常に<0)及びN(不適合残基に対する罰の得点、常に<0)を用いて計算する。アミノ酸配列については、得点マトリックスは累積得点を計算するために用いられる。それぞれの方向におけるワード的中の伸長は、累積的整列得点が達成したその最大値から量Xだけ低下する場合、一つ以上の負の得点の残基の整列の蓄積のため累積得点がゼロ又はそれ以下になる場合、又はいずれかの配列の末端に到達する場合に中止される。該BLASTアルゴリズムパラメータであるW、T及びXがその整列の感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列についての)は、デフォルト(自動選択)として11のワード長(W)、10の期待値(E)、100 の遮断値、M=5、N=−4、及び両鎖の比較を用いる。アミノ酸配列については、BLASTPプログラムは、デフォルトとして3のワード長(W)、10の期待値(E)、及びBLOSUM62得点マトリックス( ヘニコフとヘニコフ(1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 10915 を参照) を使用する。
【0038】
配列同一パーセントの計算に加えて、BLASTアルゴリズムは二つの配列の間の類似性の統計的解析をも実行する(例えば、カーリンとアルチュル,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 5873−5877 (1993) を参照) 。BLASTアルゴリズムにより得られる類似性の一つの尺度は最小和確率(P(N))であり、これは二つのヌクレオチド配列又はアミノ酸配列の間の適合が偶然に起こるであろう確率の指標を与える。
【0039】
BLAST調査はタンパク質が無作為配列としてモデル化できることを仮定する。しかしながら、多くの現実のタンパク質はホモポリマー領域、短周期反復、又は一つ以上のアミノ酸の濃縮領域などの非無作為配列の領域を含む。このような複雑さの低い領域は、そのタンパク質の他の領域が全く非類似である場合でさえも、無関係のタンパク質の間で整列されうる。幾つかの低複雑性フィルタープログラムをこのような低複雑性整列を減少させるために用いることができる。例えば、SEG(ウートンとフェデルヘン,Comput. Chem., 17: 149−163 (1993))及びXNU(クラベリーとステーツ,Comput. Chem., 17: 191−201 (1993))の低複雑性フィルターは単独で又は組み合わせて使用できる。
【0040】
(c)本明細書で使用されるとき、二つの核酸配列又はポリペプチド配列の文脈で「配列同一性」又は「同一性」とは特定の比較窓の上で最大対応するように整列された場合に同一である二つの配列中の残基への言及を含む。配列同一性のパーセンテージがタンパク質への参照において使用される場合、同一でない残基の位置がしばしば同類アミノ酸置換だけ異なることが認められる。この場合、アミノ酸残基は類似の化学的性質(例えば、電荷又は疎水性)を持った他のアミノ酸残基の代わりに置換され、従って、この分子の機能的特性は変化しない。配列が同類置換で異なる場合には、配列同一性のパーセントは該置換の保存的性質に対して訂正するため上方に調整されうる。このような同類置換だけ異なる配列は「配列類似性」又は「類似性」を有すると言われる。この調整をする手段は当業者に周知である。通常、これは同類置換を完全不適合ではなく部分不適合として評点することを含み、これにより配列同一性パーセンテージが増加する。従って、例えば、同一のアミノ酸が得点1を与えられそして非同類置換が得点ゼロを与えられる場合、同類置換はゼロと1の間の得点が与えられる。同類置換の得点は、例えば、PC/GENEプログラムで実施されたような(インテリジェネティクス,マウンテン・ビュー,カリフォルニア,USA)、例えば、マイヤースとミラー,Computer Applic. Biol. Sci., 4: 11−17 (1988)のアルゴリズムに従って、計算される。
【0041】
(d)本明細書で用いられるとき「配列同一性のパーセンテージ」とは、比較窓の上で最適整列された二つの配列を比較することにより決定された数値を意味する。ここで、該二つの配列を最適整列した場合、該ポリヌクレオチド配列の比較窓内にある部分は参照配列(付加又は欠失を含まない)と比べ付加又は欠失(即ち、ギャップ)を含みうる。このパーセンテージは核酸塩基又はアミノ酸残基が両配列で同一となる位置の数を決定して適合位置の数を得、この適合位置の数を比較窓内の位置の総数で割り、次いで100を乗じて配列同一性のパーセンテージを得ることにより計算される。
【0042】
(e)(I)ポリヌクレオチド配列の「実質的同一性」という用語は、標準的パラメータを用いて記載された整列プログラムの一つを用いて参照配列と比較した場合、あるポリヌクレオチドが少なくとも70%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、そして最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。当業者はこれらの数値が、二つのヌクレオチド配列によりコードされるタンパク質の対応する同一性を決定する場合に、コドン縮重、アミノ酸類似性、読み取り枠配置などを考慮に入れることにより、適当に調整できることを認識している。これらの目的のためにアミノ酸配列の実質的同一性は通常少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、80%、90%、そして最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を意味する。
【0043】
これらのプログラム及びアルゴリズムにより、標的遺伝子中の特定の多型と本明細書に記載されたものとの類似を確認することができる。PRKAG3遺伝子の高度に保存された性質に基づいて先に述べられた(ジェオン,T.J.,V.アーメガー,C.ロゲル−ゲイラード,A.ロビック,E.ボンカム−ルドルフら,2001 Genomics 72: 297−303)ように、この多型は他の動物にも存在し、本明細書に記載された以外の動物でそれを使用することは本明細書の教示を用いる単なるパラメータの機械的最適化を含むに過ぎないことが予想される。該ブタのPRKAG3配列は図1に示される。
【0044】
特定の形質と関連することが既に知られている特定の遺伝子(例えば、本明細書で論じられたPRKAG3遺伝子)と関連することが知られているDNA標識の対立遺伝子と代替的DNA標識の特定の対立遺伝子の間の連結を確立することも可能である。こうして、PRKAG3遺伝子を問題にしている現在の状況では、代替的染色体15標識の特定の対立遺伝子の選択を通じてPRKAG3関連標識の確かな対立遺伝子を選択することにより、より大きな一腹仔数及び/又はより良質の肉質を生産する可能性のあるブタを選択し、又は間接的により小さな一腹仔数及び/又はより不利な肉質を生産する可能性のあるブタを除いて選択することが、少なくとも短期間で可能となるであろう。ブタ染色体15上のPRKAG3に連結していることが知られている標識の例としては、SW1683及びSW1983が挙げられる。本明細書で用いられるとき、用語「遺伝標識」には、該多型と関連するタンパク質の変化について検定する任意の手段により開示される多型だけでなく、それが標識と連結しているならば、ミクロサテライト、又は該標識により示される原因となるタンパク質変化を検定する他の手段さえもの使用、そして動物の肉質に影響を与えるものの使用も含まれる。
【0045】
本明細書で用いられるとき、特定多型の命名がしばしば特定制限酵素の名前によりなされる。これは該部位を同定する唯一の方法がその制限酵素の使用によることを意味するよう意図されているわけではない。特定の多型を同定するために使用できる他の制限酵素を確認するための当業者に利用できるデータベースや供給源は無数にある。例えば、http://darwin.bio.geneseo.edu は配列の分析や同定すべき多型の分析に関する制限酵素を与え得る。実際、本明細書の教示で開示されたように、制限酵素を含みさえしないが同一の遺伝子代替型又はタンパク質代替型を検定する代替的方法により特定の多型又は対立遺伝子を同定する方法が無数にある。
【0046】
本明細書にインコーポレートされ、本明細書の一部を構成する添付の図は、本発明の一つの実施態様を例示するものであり、明細書と一緒に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0047】
発明の詳細な説明
ここに、本発明の今言及された実施態様について詳細な説明を行なう。それは下記の実施例と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。
【0048】
AMPにより活性化されるタンパク質キナーゼはATP生産経路の促進及びATP消費経路の阻害に関与する。また、それはリン酸化によりグリコーゲンシンターゼを失活させることができる。AMPKは3個のサブユニット、触媒的α鎖及び二つの調節サブユニットβ及びγから構成される。
【0049】
インスティチュート・ナショナル・デ・レ・レヒェルヒェ・アグロノミクによる国際公開 WO/01/2003 はPRKAG3遺伝子の変異型を開示する。これらには、PRKAG3の既知のRN−対立遺伝子と関連する、R41Q(このケースではアミノ酸200に対応する)置換、V40I(アミノ酸199)置換、が含まれる。この出願は、RN−(200Q)表現型と呼ばれるハンプシャーブタにおける高い解糖ポテンシャルと関連する(ホモ接合体又はヘテロ接合体で)PRKAG3遺伝子におけるコドン200中の突然変異の発見を報告する。この表現型を持つこのブタは、低い最終pH、低い水保持能力を有し、保蔵処理され料理されたハムの収率を低下させる。しかしながら、ブタの異なる系統の分析により、コドン200におけるこの突然変異はハンプシャー系統で起こったが、頻度は極めて低く、又は他のブタ系統では完全に存在しないことが示唆される。さらに、このPCT公開の実施例5で開示されたように、200Qは常に199Vと共に存在する。このことは、位置199の標識が変化をせず、又は遺伝標識として200Q標識とは無関係の独立の価値を有さないことを示唆するであろう。
【0050】
出願 WO/01/2003 は200Q標識が不利なRN−突然変異と関連することを確認する。この出願はこの標識が常に199Vと一緒に見出されるが、199Vはより良質な肉質を持つ200Rとも一緒に存在することを教示する。本出願人らは驚くべきことに第3の組み合わせである199I/200Rが199V/200Rよりも平均してより良質な肉質を持つことを見出した。さらに、本出願人らはV199I多型が驚くべきことに一腹仔数の変動と関連することを発見した。この情報は199標識を品種改良の道具として利用可能とするものである。
【0051】
さらに、本出願人らは、改良された肉質と関連する新たな多型座であるG52Sを同定した。最後に、ハプロタイプ分析を行なって、199I−52G多型と既知の30T多型(ミランら,2000で開示) の間の相互作用を評価した。この実施態様によれば、30T−52G−199Iハプロタイプ(以下では、ハプロタイプ3)は肉質形質にとって最も有利なものであった。
【0052】
図1はPRKAG3遺伝子を図示し、本明細書で論じられた多型の全てを図示する(配列番号:1は野性型である)。本出願で記述された研究の前にはこの遺伝子が他の系統の経済的形質に影響を与えるという証拠は存在しなかった。驚くべきことに、PRKAG3遺伝子の新たな標識である、PRKAG3−199、PRKAG−30、及びPRKAG3−52が、ハンプシャー血統以外のブタの多数の血統における肉質形質並びに一腹仔数などの繁殖形質における変化と相関することがここに見出された。これらの新たな標識は、色、pHレベル、霜降り、及び滴損失の点で最高の技術的品質の肉と相関し、そして一腹仔数とも相関することが今や明らかにされた。本発明によれば、これらの形質(単数又は複数)とこれらの多型との関連から、該動物の寿命の早い時期に有利な肉質特性及び/又は有利な一腹仔数を持つ動物を同定するため、特定の血統又は遺伝的系統について遺伝子標識を同定することが可能となる。
【0053】
PRKAG3−199の異なる標識遺伝子型は、ヌクレオチド位置595でグアニンからアデニンへの移行を生じるPRKAG3遺伝子内の多型(配列番号:7)の結果であり、その結果、バリンのイソロイシンへのアミノ酸の変化(アミノ酸番号199)を生ずる(配列番号:8)。この移行は、今度は、より低いグリコーゲン、乳酸塩及び解糖ポテンシャルと関連する対立遺伝子1における制限部位を形成する。この部位は少なくとも一つのコピーが存在する場合、一腹仔数の増加と相関することも見出された。
【0054】
PRKAG3−52の異なる標識遺伝子型はヌクレオチド位置154でグアニンからアデニンへの移行(アミノ酸52)(配列番号:5)を生ずるPRKAG3遺伝子内の多型から生じ、その結果、グリシンからセリンへのアミノ酸の移行を生ずる(配列番号:6)。この変化は、今度は、対立遺伝子2がより低いグリコーゲン、乳酸塩及び解糖ポテンシャルと関連するように制限部位を形成する。
【0055】
PRKAG3−30の異なる標識遺伝子型はヌクレオチド位置89(アミノ酸30)(配列番号:3)でアデニンからシトシンへの移行を生ずるPRKAG3遺伝子内の多型から生じ、その結果、アスパラギンからスレオニンへのアミノ酸の変化(配列番号:4)を生じる。この多型は先に報告されたが、如何なる肉質表現型との相関も見出されていなかった。このスレオニンは改良された肉質と有意に関連していた。
【0056】
本発明は動物における経済的に価値のある形質についての遺伝標識に関する。
この標識は肉質形質及び/又は一腹仔数という繁殖形質と有意に関連し、こうしてそのように相関されるPRKAG3遺伝子中の多型の存在又は非存在を同定することにより、交配した場合により多くの一腹仔数又はより良質な肉質(又は両方)を生産する可能性がより大きい動物を決定するために該動物をスクリーニングする方法を提供する対立遺伝子を表す。
【0057】
従って、本発明は遺伝標識、及び特定の品種、血統、集団、又はグループの動物においてこれらの標識を同定し、それにより該雌動物がその特定の品種、血統、集団、又はグループの平均を上回って一腹仔数を有意に増加させる可能性がより高くなるようにする方法に関する。同様に、この方法は好ましい肉質の肉を生ずる可能性のより高い動物を同定するために使用しうる。
【0058】
この標識の存在又は非存在を同定する任意の方法が使用しうる。その中には、例えば、PRKAG3遺伝子、又はPRKAG3遺伝子の他の連結配列の、一本鎖高次構造多型(SSCP)分析、塩基切断配列走査(BESS)、RFLP分析、ヘテロ二本鎖分析、変性勾配ゲル電気泳動、及び温度勾配電気泳動、対立遺伝子PCR、リガーゼ連鎖反応直接配列決定、ミニ配列決定、核酸ハイブリダイゼーション、ミクロ−アレイ型検出が含まれる。本発明の範囲内には、この多型の存在により生ずるタンパク質コンホーメーションの変化又はタンパク質配列の変化を検定する工程も含まれる。該多型は突然変異が原因でも原因でなくてもよいが、多型はこの変化の存在の指標であり、該表現型の相違に対する遺伝子又はタンパク質の基礎について検定されうる。
【0059】
下記の事項は本発明の多型を検定するために使用できる技法の一般的概述である。
【0060】
本発明では、遺伝子材料の試料は動物から得られる。試料は血液、組織、精液などから得ることができる。一般に、末梢血細胞はその供給源として使用され、該遺伝子材料はDNAである。分析のための十分量のDNAを得るためには十分な量の細胞を取得する。この量は当業者には知られており、容易に決定できる。該DNAは当業者に知られた技法で血液細胞から単離される。
【0061】
核酸の単離及び増幅
ゲノムDNAの試料は、無傷の中間期核又は中期細胞を含む唾液、頬細胞、毛根、血液、臍帯血、羊水、間質液、腹膜液、絨毛膜絨毛、及び他の適当な細胞若しくは組織試料を含む任意の便利な供給源から単離される。これらの細胞は新鮮な若しくは保存された臓器からなどの固体組織から、又は組織試料又は生検から得ることができる。該試料は天然では生体物質とは混合しない、保存剤、抗凝血剤、緩衝液、固定剤、栄養物、抗生物質などの化合物を含むことができる。
【0062】
これらの種々の供給源からゲノムDNAを単離する方法は、例えば、キルビー,DNAフィンガープリンティング,入門,W.H.フリーマン&コウ.ニューヨーク(1992) に記載されている。ゲノムDNAは培養された一次又は二次細胞培養から、又は前述の組織試料のいずれかから誘導される形質転換された細胞系統から単離することもできる。
【0063】
動物RNAの試料も使用できる。RNAはサムブルックら,前掲に記述されたようにPRKAG3遺伝子を発現する組織から単離できる。RNAは総細胞性RNA、mRNA、ポリA+RNA、又はこれらの任意の組み合わせであることができる。最良の結果を得るためには、RNAは精製されるが、精製されていない細胞質RNAであってもよい。RNAはDNAを形成させるために逆転写することもでき、このDNAは次にRNA転写物の特定の集団をPCRにより間接的に増幅するための、増幅の鋳型として使用される。サムブルック,上掲、カワサキら,第8章,PCR技法 (1992),上掲、ベルグら, Hum. Genet. 85: 655−658 (1990)を参照。
【0064】
PCR増幅
増幅のための最も普通の手段は、米国特許第4,683,195号、第4,683,202号、第4,965,188号に記載されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。これらは参照により本明細書にインコーポレートされる。PCRを用いて血液細胞中の標的領域を増幅するときは、ヘパリン化された全血を他の試料とは隔離して保存された密封真空チューブの中に採取し、清潔な手袋で処理すべきである。最良の結果を得るためには、血液は採取直後に処理すべきである。それが不可能ならば、使用まで4℃で密封容器の中に保存すべきである。他の生理学的液体中の細胞も検定しうる。これらの液体のいずれかを用いるときは、該液体中の細胞を遠心分離により該液体成分から分離すべきである。
【0065】
組織は5mmペトリ皿中で無菌の使い捨て外科用メス及び無菌の針(又は二本の外科用メス)を用いて粗く切り刻むべきである。組織切片からパラフィンを取り除くための手順は当業者に周知の種々の専門的ハンドブックに記載されている。
【0066】
試料中の標的核酸配列をPCRで増幅するためには、この配列は増幅系の構成要素を利用可能でなければならない。標的DNAを単離する一つの方法は比較的大量の試料に利用可能な粗抽出である。簡単に述べれば、血液の試料からの単核細胞、羊水からの羊水細胞、培養した絨毛膜絨毛細胞、などを、標準的手順により、無菌のフィコール−ハイパック勾配上に重層することにより単離する。境界層の細胞を集め、無菌リン酸緩衝化食塩水で3回洗浄した後、DNAを抽出する。末梢血リンパ球から得たDNAを試験する場合は、浸透圧ショック(該ペレットを蒸留水で10秒間処理する)が示唆され、その後最初の洗浄後に残存する赤血球が見える場合はさらに2回洗浄する。これはヘモグロビンによりもたらされるヘム基のPCR反応阻害効果を防止する。PCR試験が試料採取の直後に実施されない場合は、106 細胞の部分標本を無菌エッペンドルフ管中でペレット化し、使用するまで乾燥ペレットを−20℃で凍結保存する。
【0067】
この細胞を100μg/mlのプロテイナーゼKを補充した緩衝液(50mMトリス−塩酸(pH 8.3) 、50mMのKCl、1.5 mMのMgCl2 、0.5 %のトゥイーン20、0.5 %のNP40)中に再懸濁した(106 有核細胞/100μl)。56℃で2時間インキュベートした後、該細胞を95℃で10分間加熱して該プロテイナーゼKを失活させ、直ちに湿氷中に移した(急冷)。大きな凝集物があるときは、同じ緩衝液中でもう1回消化を行なうべきである。この抽出物の10μlを増幅に使用する。
【0068】
組織、例えば絨毛膜絨毛細胞又はコンフルウエントに培養された細胞からDNAを抽出する場合、プロテイナーゼKを含む上記の緩衝液の量は組織試料の量に応じて変更しうる。該抽出は50〜60℃で4〜10時間インキュベートし、次いで該プロテイナーゼを失活させるために95℃で10分間インキュベートする。インキュベーション時間がより長い場合は、約4時間後に元の濃度の新鮮なプロテイナーゼKを添加すべきである。
【0069】
該試料が少数の細胞しか含まない場合は、抽出はPCRテクノロジー,エールリッヒ,H.A.(編),ストックトン・プレス,ニューヨーク中のヒグチ,「PCR試料の単純かつ迅速な調製」に記載された方法により行ないうる。これは参照により本明細書にインコーポレートされる。PCRは、骨髄や末梢血の培養物からの個々のコロニーから得られる極めて少数の細胞(1000〜5000)中の標的領域を増幅するためにも利用できる。この試料中の細胞を20μlのPCR溶解緩衝液(10mMのトリス−塩酸(pH 8.3) 、50mMのKCl、2.5 mMのMgCl2 、0.1 mg/ mlゼラチン、0.45%のNP40、0.45%のトゥイーン20)に懸濁し、使用まで凍結する。PCRを行なう時に、0.6 μlのプロテイナーゼK(2mg/ml)をPCR溶解緩衝液中の該細胞に添加する。次いで、該試料を約60℃まで加熱し、1時間インキュベートする。消化は、95℃で10分間該試料を加熱し次いで氷上で冷却することにより該プロテイナーゼKを失活させることにより停止させる。
【0070】
PCR用にDNAを抽出するための比較的容易な手順は、ミラーら,Nucleic Acids Res. 16: 1215 (1988)により記載された方法から適応された塩析手順である。これは参照により本明細書にインコーポレートされる。単核細胞はフィコール−ハイパック勾配上で分離される。この細胞を3mlの溶解緩衝液(10mMのトリス−塩酸、400mMのNaCl、2mMのNa2 EDTA、pH 8.2) に再懸濁する。プロテイナーゼKの20mg/ml溶液の50μl及び20%SDS溶液 150μlを該細胞に添加し、次いで37℃で一晩インキュベートする。インキュベーションの間チューブを揺さぶり試料の消化を助ける。一晩インキュベーション後にもこのプロテイナーゼK消化が不完全(断片がまだ見える)な場合は、20mg/mlプロテイナーゼK溶液をさらに50μl該溶液に混合し、温和に揺さぶり又は回転機の上でさらに一晩37℃でインキュベートする。適当な消化の後、該試料に6MのNaCl溶液を1mlを添加し激しく攪拌する。得られる溶液を3000rpmで15分間遠心分離する。そのペレットは細胞タンパク質の沈殿物を含み、一方その上清はDNAを含む。この上清を4mlのイソプロパノールを含む15mlチューブに採る。このチューブの内容物を、水相とアルコール相が混ざり白色のDNA沈殿物が生ずるまで温和に混合する。このDNA沈殿物を取り出し、70%エタノール溶液中に浸漬し温和に混合する。該DNA沈殿物をエタノールから取り出し、風乾する。この沈殿物を蒸留水中に入れ溶解する。
【0071】
PCR用の高分子量DNAの抽出のためのキットには、ゲノミック単離キットA.S.A.P.(ベーリンガー・マンハイム,インディアナポリス,Ind.)、ゲノミック・DNA単離システム(ギブコ・BRL,ゲイサースブルグ,Md.)、エル−クイック・DNA・精製キット(シュライヒャー&シュエル,キーン,N.H.)、DNA抽出キット(ストラタジーン,ラホーヤ,Ca)、ターボ・ゲン単離キット(インビトロゲン,サンジエゴ、Ca)、などが含まれる。本発明の方法を実施する前のDNAの精製のためには、製造者の説明書に従ったこれらのキットの使用が、一般に、良好である。
【0072】
抽出されたDNAの濃度及び純度は希釈した部分標本の260nm及び280nmの吸光度の分光学的分析により測定できる。DNAの抽出の後、PCRの増幅に進みうる。PCRの各サイクルの最初の段階は、プライマー伸長により形成される核酸二本鎖の分離を必要とする。二本鎖が分離されると、PCRの次の段階はこの分離した鎖と標的配列を挟んで隣接するプライマーとをハイブリダイズさせる工程を必要とする。次いで、このプライマーを伸長して該標的鎖の相補的コピーを形成する。PCR増幅を成功させるために、プライマーは、二本鎖配列に沿って各プライマーがハイブリダイズする位置が、鋳型(相補型)から分離したとき一方のプライマーから合成された伸長産物が他方のプライマーの伸長のための鋳型として役立つような位置となるように設計される。変性、ハイブリダイゼーション、及び伸長のサイクルは増幅される核酸の所望の量を得るのに必要な回数だけ反復される。
【0073】
PCR増幅の特に有用な実施態様では、二本鎖分離は、二本鎖の変性を惹起するがポリメラーゼの不可逆的変性を惹起しない程に十分に高い温度で十分な時間だけ、該反応を加熱することにより達成される(米国特許第4,965,188号を参照、これは参照により本明細書にインコーポレートされる)。通常、熱変性は約80℃から105℃までの範囲の温度で数秒から数分までの範囲の時間を必要とする。しかしながら、二本鎖分離は、物理的、化学的、又は酵素的手段を含む任意の適当な変性方法により達成できる。二本鎖分離は、例えば、ヘリカーゼ、又はヘリカーゼ活性を示すことができる酵素により誘導してもよい。例えば、酵素RecAはATPの存在下でヘリカーゼ活性を有する。ヘリカーゼによる二本鎖分離に適した反応条件は当分野で知られている(クーン,ホフマン−バーリング,1978, CSH−Quantitative Biology, 43: 63−67 、及びラディング, 1982, Ann. Rev. Genetics 16: 405−436を参照、いずれも参照により本明細書にインコーポレートされる。) 。
【0074】
PCRにおけるプライマーの鋳型依存性伸長は、適当な塩、金属カチオン、及びpH緩衝系からなる反応媒体中、4種のデオキシリボヌクレオチド三リン酸(通常、dATP,dGTP,dCTP,及びdTTP)の適当量の存在下で重合剤により触媒される。適当な重合剤は鋳型依存性DNA合成を触媒することが知られている酵素である。場合によっては、この標的領域は該細胞により発現されるタンパク質の少なくとも一部をコードしうる。この場合には、mRNAが該標的領域の増幅に使用されうる。または、PCRは、さらなる増幅のためにRNAからcDNAライブラリーを作成するために使用できる。そのプライマー伸長の最初の鋳型はRNAである。RNA鋳型から相補的なコピーDNA(cDNA)配列を合成するのに適した重合剤は、トリ骨髄芽球症ウイルスRT、モロニーネズミ白血病ウイルスRTなどの逆転写酵素(RT)、又はテルムス・サーモフィルス(Tth)DNAポリメラーゼ、パーキン・エルマー・シータス社により市販されている逆転写酵素活性を持つ熱安定DNAポリメラーゼである。通常、ゲノムRNA鋳型は最初の逆転写工程の後最初の変性段階の間に熱分解され、DNA鋳型のみが残る。DNA鋳型と共に用いる適当なポリメラーゼには、例えば、大腸菌DNAポリメラーゼI又はそのクレノウ断片、T4DNAポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、及びテルムス・アクアティクスから単離された熱安定DNAポリメラーゼでパーキン・エルマー・シータス社から入手可能なTaqポリメラーゼが挙げられる。後の酵素は核酸の増幅や配列決定に広く使用されている。Taqポリメラーゼを使用するための反応条件は当分野で知られており、ゲルファンド,1989, PCR Technology, 上掲に記載されている。
【0075】
対立遺伝子特異的PCR
対立遺伝子特異的PCRは、変異又は多型の存在又は非存在の点で異なる標的領域の間を識別する。この標的配列の確定した対立遺伝子のみに結合するPCR増幅プライマーが選択される。この方法はギブス,Nucleic Acid Res. 17: 12427−2448 (1989) により記載されている。
【0076】
対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドのスクリーニング法
さらなる診断的スクリーニング法はサイキら,Nature 324: 163−166 (1986)に記載されたような対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)スクリーニング法を利用する。一つ以上の塩基対不適合を持つオリゴヌクレオチドが特定の対立遺伝子において形成される。ASOスクリーニング法は変異型標的ゲノムDNA又はPCR増幅DNA及び非突然変異オリゴヌクレオチドの間の不適合を検出して、突然変異オリゴヌクレオチドに対するオリゴヌクレオチドの結合の低下を明らかにする。低厳格性の下で対立遺伝子の多型の両方と結合するが、高厳格性の下ではそれが対応する対立遺伝子に結合するオリゴヌクレオチドプローブを設計することができる。または、本質的に二重の応答が得られる、即ち、該標的遺伝子の変異型に対応するASOがその対立遺伝子にハイブリダイズするが、野性型対立遺伝子にはハイブリダイズしない厳格条件が考案される。
【0077】
リガーゼ媒介対立遺伝子検出法
試験対象であるDNAの標的領域は、リガーゼ媒介対立遺伝子検出により、影響を受けていないファミリー構成員及び影響を受けたファミリー構成員の標的領域と比較できる。ランデグレンら,Science 241: 107−1080 (1988)を参照。リガーゼはウーら,Genomics 4: 560−569 (1989)に記載された連結増幅反応における点突然変異を検出するためにも使用しうる。この連結増幅反応(LAR)はウー,上掲及びバラニー,Proc. Nat. Acad. Sci. 88: 189−193 (1990)に記載されたような鋳型依存性連結の逐次繰り返しを用いた特定のDNA配列の増幅を利用する。
【0078】
変性勾配ゲル電気泳動
ポリメラーゼ連鎖反応を用いて形成された増幅産物は変性勾配ゲル電気泳動の使用により分析できる。異なる対立遺伝子は異種配列依存融点特性及び溶液中のDNAの電気泳動移動に基づいて同定できる。DNA分子は上昇温度即ち変性の条件下で融解ドメインと呼ばれるセグメントにおいて融解する。融解ドメインはそれぞれ異なる、塩基特異的融解温度(TM)で協同して融解する。融解ドメインは長さが少なくとも20塩基対であり、長さが数百塩基対にまで及びうる。
【0079】
配列特異的融解ドメインの相違に基づく対立遺伝子の間の弁別は、エールリッヒ編,「PCR 技法、原理及びDNA増幅の適用」W.H.フリーマン・アンド・コウ.,ニューヨーク(1992) の第7章に記載されたポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いて評価できる。この本の内容は参照により本明細書にインコーポレートされる。
【0080】
一般に、変性勾配ゲル電気泳動により分析すべき標的領域は、その標的領域を挟んで隣接するPCRプライマーを用いて増幅される。増幅されたPCR産物は、マイヤーズら,Meth. Enzymol. 155: 501−527 (1986)、及びK.デイビース編「ゲノム分析・実用的アプローチ」IRL プレス・リミティッド, オックスフォード中、マイヤーズら,95−139頁(1988)に記載されたような線形変性勾配を有するポリアクリルアミドゲルに付する。これらの内容は参照により本明細書にインコーポレートされる。電気泳動系は該標的配列の融解ドメインのTmより少し下の温度に維持される。
【0081】
変性勾配ゲル電気泳動の代替法では、エールリッヒ,上掲の第7章に記載されたように、標的配列をまずGCクランプと呼ばれるGCヌクレオチドの鎖に付着させる。GCクランプ中のヌクレオチドの少なくとも80%がグアニンかシトシンのいずれかであることが好ましい。このGCクランプは少なくとも30塩基長であることが好ましい。この方法は、高Tmを持つ標的配列にとりわけ適している。
【0082】
一般に、標的領域は上記のようにポリメラーゼ連鎖反応により増幅される。オリゴヌクレオチドPCRプライマーの一方はその5’末端に、少なくとも30塩基のGCの豊富な配列であるGCクランプ領域を持っており、この領域は増幅の間に該標的領域の5’末端に組み込まれる。その結果生ずる増幅された標的領域を上記のような変性勾配条件下で電気泳動ゲル上を走行させる。1個の塩基の変化だけ異なるDNA断片は異なる位置までそのゲル中を移動し、エチジウムブロミド染色により可視化しうる。
【0083】
温度勾配ゲル電気泳動
温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)は変性勾配が化学変性剤の濃度の差の代わりに温度の差によって作られることを除き変性勾配ゲル電気泳動と同じ基本原理に基づく。標準的TGGEは電気泳動経路に沿って設けられた温度勾配を有する電気泳動装置を利用する。試料が化学変性剤の均一な濃度を持つゲルの中を通って移動するが、該試料は温度の上昇と遭遇する。TGGEの代替的方法、即ち、時間的温度勾配ゲル電気泳動(TTGE又はtTGGE)は電気泳動ゲルの全体の温度の漸次上昇を使用して同じ結果を得る。試料はゲルの中を通って移動するにつれゲル全体の温度は上昇し、試料が該ゲル中を移動するにつれ温度の上昇に出合うことになる。試料の調製は、GCクランプの組み込みを伴うPCR増幅及びその産物の可視化を含め、変性勾配ゲル電気泳動に対するものと同じである。
【0084】
一本鎖コンホーメーション多型分析
PRKAG3遺伝子座における標的配列即ち対立遺伝子は、オリタら,Proc. Nat. Acad. Sci. 85: 2766−2770 (1989)に記述されたように、一本鎖PCR産物の電気泳動移動における変化により塩基の相違を同定する一本鎖コンホーメーション多型分析を用いて弁別できる。増幅されたPCR産物は上記のように形成でき、加熱又はその他の方法により変性して一本鎖増幅産物とすることができる。一本鎖核酸は該塩基配列に部分的に依存する二次構造を再生又は形成しうる。従って、一本鎖増幅産物の電気泳動移動度は対立遺伝子即ち標的配列の間の塩基−配列相違を検出できる。
【0085】
不適合塩基対の化学的又は酵素的切断
標的配列の間の相違は、グロンプら,Am. J. Hum. Genet. 48: 212−222 (1991) に記述されたように、不適合塩基対の分別的化学切断により検出することもできる。別の一方法では、標的配列の間の相違は、ネルソンら,Nature Genetics 4: 11−18 (1993) に記述されたように、不適合塩基対の酵素切断により検出することもできる。簡単に述べれば、動物からの遺伝物質及び影響を受けたファミリー構成員を用いて不適合のないヘテロハイブリッドDNA二本鎖を形成する。本明細書で用いるとき、「ヘテロハイブリッド」とは一つの動物由来のDNAの一本鎖と別の動物、通常目的の形質についての表現型において異なる動物由来の第2のDNA鎖を含むDNA二本鎖を意味する。不適合の無いヘテロハイブリッドについて陽性の選択をすると、PRKAG3多型と関連しうる小さな挿入、欠失又は他の多型の決定が可能となる。
【0086】
非ゲル系
他の可能な技法には、 TaqMan(商標) (パーキン・エルマー)などの非ゲル系が含まれる。この系では、オリゴヌクレオチドPCRプライマーは問題の突然変異の両側を挟みそして該領域をPCR増幅させるように設計される。次いで、第3のオリゴヌクレオチドプローブは該遺伝子の異なる対立遺伝子の間で変わる塩基主体を含む領域にハイブリダイズするように設計される。このプローブは5’末端及び3’末端の両方において蛍光色素で標識される。これらの色素は、相互に近接しているときはそれらの一方の蛍光が他方により消光され検出され得ないように選択される。該プローブと比べ鋳型の5’側に位置したPCRプライマーからTaqDNAポリメラーゼによる伸長は、このTaq・DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によりアニーリングしたプローブの5’末端に付着した色素の切断が生じる。これは、該プローブの3’末端にある色素からの蛍光を検出させる消光効果を除去する。異なるDNA配列の間の識別は、鋳型分子へのプローブのハイブリダイゼーションが完全でない場合は、即ち、長さの多型、超可変性領域、反復要素、又は異なる数の縦列反復が存在するという事実により生ずる。ハイブリダイゼーション・プローブは如何なる遺伝子又は適当な類似体であり得る。さらに適当なハイブリダイゼーション・プローブには、該染色体の関連領域の地図で知られたエキソン断片又はcDNA又は遺伝子の部分が含まれる。
【0087】
本発明に従って使用するために好ましい縦列反復ハイブリダイゼーション・プローブは、高度厳格性ハイブリダイゼーション条件で特定遺伝子座における少数の断片を認識するプローブ、又は厳格性条件が低められた場合該遺伝子座で多数の断片を認識するプローブである。
【0088】
一つ以上の追加の制限酵素及び/又はプローブ及び/又はプライマーを使用することができる。追加される、酵素、構築されたプローブやプライマーは、当業者が機械的実験によって決定でき、本発明の範囲内にあるものと意図される。
【0089】
本明細書に記載された方法は単一制限酵素、1セットのプライマーの使用に関しているが、本方法はこれらに限定されない。必要ならば、一つ以上の追加の制限酵素及び/又はプローブ及び/又はプライマーを使用できる。実際、ある状況下では、特定のハプロタイプを生ずる標識(markders) の組み合わせを使用することがより好ましい。追加の酵素、構築されたプローブやプライマーは、本明細書に示されインコーポレートされた教示と組み合わせて機械的実験により決定することができる。
【0090】
本発明によれば、PRKAG3遺伝子の多型は肉質及び一腹仔数と関連があると同定された。この標識の存在又は非存在は、一つの実施態様では制限エンドヌクレアーゼを用いるPCR・RFLP分析により検定しうる。その増幅プライマーは、該多型を取り巻く領域の高度の相同性の故にPRKAG3に類似のヒト、ブタ又は他の関連する遺伝子を用いて設計しうるし、又はゲンバンクに例示されるような既知のPRKAG3遺伝子配列データを用いて設計しうるし、又は本教示や本明細書の参照文献に基づいて近い周辺遺伝子の連鎖データから得られる配列から設計することさえできる。この多型を取り巻く配列は、この多型に直ぐ隣接する配列から得られる約4〜30の連続した塩基のプライマーをポリメラーゼ連鎖反応との関係で使用して所望の制限酵素で処理する前に該領域を大幅に増幅する、別のPCRテストの開発を容易にするであろう。このプライマーは正確に相補的である必要はなく、実質的に等価な配列も許容されうる。PCRによる増幅のためのプライマーの設計は当業者には知られており、アウスベル(編)「分子生物学の簡単なプロトコル、第4版」ジョン・ウィリー・アンド・サンズ 1999 に詳細に論じられている。下記のものは、プライマー設計の簡単な説明である。
【0091】
プライマー設計戦術
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の使用の増加は、PCR用のプライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドの設計又は選択の助けとなるプログラムが多数開発される刺激となった。インターネットを介して無料で入手可能なこのようなプログラムの4個の例を挙げると、ホワイトヘッド・インスティチュートのデイリー,マークとリンカーン,スティーブによるPRIMER(UNIX(登録商標)、VMS、DOS、及びマッキントッシュ)、セントルイスのワシントン大学のグリーン,ヒルとヒラー,ラディーナによる Oligonucleotide Selection Program (OSP)(UNIX(登録商標)、VMS、DOS、及びマッキントッシュ)、ヨシによる PGEN (DOSのみ) 、及びヴィスコンシン大学のエンジェルズ,ビルによる Amplify (マッキントッシュのみ)である。一般に、これらのプログラムは、既知の反復配列要素の小片を探索し、次いで推定的プライマーの長さとGC含量を分析してTmを最適化することによりPCRプライマーの設計を助ける。市販のソフトウェアも入手可能であり、プライマー選択手順は迅速であって、最も一般的な配列分析パッケージの中に入る。
【0092】
配列決定及びPCRのためのプライマー
配列決定又はPCRのためのプライマーのいずれかとして使用するためのオリゴヌクレオチドの設計には、標的を特異的に認識する適当な配列を選択すること、次いでそのオリゴヌクレオチドが安定な二次構造を持つ可能性を消去するために配列を試験することが必要となる。この配列における逆方向反復は上記のものなどの反復同定プログラム又はRNA折り畳みプログラム(核酸構造の予測を参照)を用いて同定できる。もしステム構造の可能性が観察される場合は、プライマーのその配列をいずれかの方向に数ヌクレオチドシフトさせて予測された二次構造を最低にすることができる。オリゴヌクレオチドの配列は適当なベクター及び挿入DNAの鎖の両方の配列とも比較すべきである。配列決定用のプライマーは該標的DNAに1個の適合しか持たないはずであることは明らかである。望まない標的DNA配列と1個の不適合しか持たないプライマーを排除することが賢明でもある。ゲノムDNAを増幅するために使用されるPCRプライマーについては、相当な適合が起こるか否かを決定するため、そのプライマー配列をゲンバンクデータベース中の配列と比較すべきである。もしオリゴヌクレオチド配列が如何なる既知のDNA配列中に存在する場合、又はより重要であるがそれが如何なる既知の反復要素中に存在する場合は、このプライマー配列は変更すべきである。
【0093】
本発明の方法及び物質は、より一般的にブタDNAを評価し、個々のブタを遺伝的にタイプ分けし、そしてブタの中の遺伝的相違を検出するために使用することもできる。とりわけ、ブタのゲノムDNAの試料を一つ以上の対照と参照することにより評価してPRKAG3遺伝子中の多型が存在するか否かを決定することができる。RFLP分析はブタのPRKAG3遺伝子に関して行ない、その結果を対照と比較することが好ましい。この対照はブタPRKAG3遺伝子の多型が知られている異なるブタのブタPRKAG3遺伝子のRFLP分析の結果である。同様に、ブタのPRKAG3遺伝子型は、そのゲノムDNAの試料を取得し、このDNA中のPRKAG3遺伝子のRFLP分析を行い、そしてその結果を対照と比較することにより決定しうる。再び、その対照は異なるブタのPRKAG3遺伝子のRFLP分析の結果である。これらの結果は、そのPRKAG3遺伝子中の多型を特定することによりブタを遺伝的にタイプ分けする。最後に、少なくとも二頭のブタから得たゲノムDNAの試料を取得し、PRKAG3遺伝子中における多型の存在又は非存在を同定し、そしてその結果を比較することによりブタの遺伝的相違を検出できる。
【0094】
これらの検定法は、上で論じたように、肉質に関する遺伝的標識を同定するために、一腹仔数などの他の特性と相関しうるPRKAG3遺伝子中の他の多型を同定するために、そしてブタの遺伝子型及び表現型の一般的科学的分析のために有用である。
【0095】
本発明の遺伝標識、方法、及び新規な対立遺伝子は、ブタの品種、系統、又は集団における肉質及び/又は繁殖効率(一腹仔数)を改良するための品種改良計画においても有用である。状況によっては、有利な肉質と関連する多型の少なくともヘテロ接合体そして好ましくはホモ接合体である雌ブタの継続的選別及び品種改良も一腹仔数の改良をもたらすであろう。これは実施例2で研究された集団に当てはまるであろう。
【0096】
本明細書の実施例及び方法は確定したある遺伝子を開示する。それはこの多型を保持する動物の肉質/一腹仔数に効果を及ぼす有利な形質と正か又は負のいずれかで関連する多型を持つことが同定された遺伝子である。ある遺伝子内での多型の存在の同定は確定した対立遺伝子型内に制限部位を生ずる1塩基代替物によりしばしばなされる。しかしながら、確定した対立遺伝子は、本明細書で証明され論じられたように、それと関連する幾つかの塩基変化を持ちうる。その塩基変化は、同一多型(対立遺伝子)を示すものであるか否かについて検定しうるであろう。さらに、他の遺伝標識又は遺伝子が本明細書で開示されたこの多型と結び付いているため検定が他の遺伝子又は遺伝子断片の同定を必要とすることもあるが、それは最終的には同一多型についての動物の遺伝的特性に依存する。本明細書で開示された対立遺伝子の相違に基づいて動物を分類し同定する如何なる検定法も本発明の範囲内に含まれるべきものと意図される。
【0097】
当業者は、一旦多型が同定されそして特定の形質との相関性が確立されるならば、この多型について動物を遺伝子型に分ける方法は多数あることを理解するであろう。このような代替的試験法の設計は当業者に知られたパラメータの最適化を示すに過ぎず、本明細書で完全に開示されたように本発明の範囲内にあるものと意図される。
【0098】
材料と方法
血統図、連鎖地図、及びQTL地図作成:
本発明者らはバークシャーとヨークシャー(BxY)ブタ品種の間の交雑雑種を形成させて525頭のF2 子孫を作成し、インタバル・マッピング法(ハレーら,1994) を用いる肉質(マレックら,2001) についてのQTLを地図化するためこの血統を使用した。この交雑においては、とりわけpH、色、水保持能力、及び柔らかさの観点から極めて良質の肉質を有するとみなされるので、バークシャー品種が選択された。PRKAG3遺伝子を、CRI−MAP(バージョン 2.4) マッピング・プログラム (グリーンら, 1990) を用いるBxYファミリー連鎖地図に位置付けた。PRKAG3部位情報を含むインタバル・マッピング法(ハレーら,1994) を用いてブタ染色体15(SSC15)の肉質のQTLを位置付けした(図1)。QTLの効果は、平均ヨークシャー対立遺伝子効果と比較して平均バークシャー対立遺伝子効果を見積もり、表した。
【0099】
組織試料及びDNA/RNAの単離:血液試料及び表現型は、数頭のF3 動物由来のハム及びロイン領域からの血液試料及び筋肉組織と共に、交雑雑種ファミリー(マレックら,2001) から得たF0 、F1 及びF2 動物について採取し記録した。本発明者らはブタの5種類の異なる市販系統(ランドレース、ラージホワイト、デュロック、デュロック・シンセティック、及びバークシャー)からも血液試料を大量に集めた。ゲノムDNAは標準的塩析法により全血より単離し、総RNAは製造者(ギブコ/BRL,ロックビル,MD)に従ってTRIzol試薬法を用いてハム及びロインの筋肉組織から抽出した。
【0100】
PCR、RT−PCR、RACE、及び多型の発見:ゲンバンクで入手可能なPRKAG3ブタ遺伝子配列(AF214521)に基づいて、本発明者らはPRKAG3遺伝子の全コード領域を増幅するためのプライマーを設計した。このPCR反応は、10μlの最終容量で、ブタのゲノムDNAの 12.5 ng、1.5 mMの MgCl2、0.125 mMの dNTP 、0.3 μMの各プライマー、及び 0.35 U のTaq DNAポリメラーゼ (プロメガ,マジソン, WI) 及びPCR緩衝液(10mMのトリス− 塩酸、50mMのKCl 、及び0.1 %の Triton(登録商標) X−100) を用いて行なった。総RNA(3.5μg) の逆転写は製造者のプロトコル (プライマー:セットA,前向き5’ATGAGCTTCCTAGAGCAAGGAG3’及び逆向き5’CAGGTCTCAATCTTATGTTCTTC3’であり、セットB,前向き5’CGTCCGAGCGGCACCTTTGT3’及び逆向き5’AAGGTTCCAAGGTTCTCAGGC3’である )に従ってランダム・ヘキサヌクレオチド・プライミング及びスーパースクリプトII (ギブコ/BRL, ロックビル, MD) により行なった。cDNA末端の5’迅速増幅(RACE)実験は、製造者の説明書に従って FirstChoice RLM−RACE キット( アンビオン, オースチン,TX)を用いて行なった後、PCR産物の配列決定を行なった(遺伝子特異的プライマー:外側5’CCCACGAAGCTCTGCTTCTT3’、及び内側5’TCCTTGCTCTAGGAAGCTCAT3’)。そのアンプリコンは色素ターミネーター(PEアプライド・バイオシステムズ,フォスターシティ,CA)を用い、ABI377自動シーケンサーにより配列決定した。本発明者らは配列を組立て多型を同定するためシーケンサー・ソフトウェア(ジーン・コーズ社,バージョン4.0.5,アン・アーバー, MI) を使用した。
【0101】
遺伝子型分類及びPCR−RFLP分析: 分析されたミスセンス突然変異のそれぞれを挟む領域を、T30N及びG52S置換に対するプライマーの同じ対(前向き5’ATGAGCTTCCTAGAGCAAGGAG3’及び逆向き5’GGCTGCATGATGTTATGTGCCT3’)及びI199Vに対する異なる対(前向き5’GGAGCAAATGTGCAGACAAG3’及び逆向き5’CCCACGAAGCTCTGCTTCTT3’)を用いて増幅した。(I199Vに対して)BsaHI、(G52Sに対して)HphI、及び(T30Nに対して)StyI制限酵素で消化した後、その消化したPCR産物を4%ヌシーブ・アガロース(FMC,ロックランド,ME) ゲル上で分離し、エチジウムブロミドで染色した。SINE多型については、PCR増幅(プライマー:前向き5’GAAACTCTTCTCCCCACAGAC3’及び逆向き5’GGCTGCATGATGTTATGTGCCT3’)の後に1%アガロース(アメレスコ, ソロン, OH) ゲル上でその産物を分離した。これらの多型を遺伝子型分類した後、ハプロタイプ2(表6)を持つ動物全てを、RN− 又は200Q対立遺伝子(ミランら,2000) を見出す機会を増加させるためにR200Q置換についても遺伝子型分類を行なった。200Q対立遺伝子の二つのホモ接合体及び4頭の保持体を見出し、これらをさらなる統計的分析から除いてRN− 突然変異が他の置換についての本発明者らの分析に悪影響を与えないようにした。R200Q置換については、本発明者らはI199V突然変異と同じプライマーを用い、その消化はBsrBI制限酵素で行なった。最終チェックとして、異なるハプロタイプを持つ約100頭の動物の無作為試料をR200Q置換についても評点したが、1頭の動物も200Q対立遺伝子を持っていなかった。
【0102】
表現型形質の測定:
BxYファミリーについての表現型測定は典型的な産業的技法(マレックら,2001) を用いてなされ、それにはpH、色、及び解糖ポテンシャルが含まれていた。5種の市販の系統からのブタについて、商業的包装工場でデータを集め、そして採取後24時間目の個々の肉の色(ロイン及びハムの反射率−数値が低い程好ましい)及び個々のロイン及びハムのpH(数値が高い程好ましい)を得た。包装工場のデータについては、グリコーゲン又は解糖ポテンシャルの測定は得られなかった。色及びpHの表現型形質の測定は、グリコーゲン及び解糖ポテンシャルと間接的に相関する肉質の普通の産業上の測定である。
【0103】
統計的分析
−バークシャー×ヨークシャーF 2 集団分析。
BxYF2 集団におけるPRKAG3のI199V置換とグリコーゲン、乳酸塩、解糖ポテンシャル及び肉質の形質の間の関連を、雌親、屠殺日、性別及びI199V遺伝子型を含むモデルを用い、一般的線形モデル手順(SAS(登録商標)手順GLM,SASインスティチュート・インク.,キャリ,NC) を使用して試験した。I199V置換について3種の遺伝子型全ての最小二乗平均を得た。
【0104】
−市販系統の分析。
PRKAG3多型と肉質形質の間の関連を、無作為効果としての雄親及び屠殺日及び固定効果としての標識遺伝子型(単数又は複数)を常に含むモデルを用い、混合モデル手順(SAS(登録商標)プロシデュアMIXED,SAS インスティチュート・インク.,キャリ, NC) を使用して試験した。横断系統分析に対する固定効果として系統を添加した。全ての形質が雌のみで測定され各屠殺日には一つの農場しか示されなかったので、性別と農場は含めなかった。分析のこの部分では雄は使用しなかったが、BxYにおける本発明者らの結果は遺伝子型の効果による性別を示さなかった。3種の置換部位のぞれぞれについての別の遺伝子型効果を含む完全なモデルは5種の市販の系統全体にわたって妥当した。有意でない遺伝子型効果は、どの置換が肉質形質に及ぼす効果と関連を持つかを同定するため、後方消去(backwards elimination)(p>0.10 の場合に除去する) により除去した。
【0105】
個々に分析された置換のそれぞれについて市販系統内で、3種のクラスの遺伝子型についての最小二乗(LS)平均を得た。遺伝子型相互作用による系統は見出されなかった。従って、対立遺伝子効果の見積もりの信頼性を改良するため、
5種の系統から得たデータを系統全体分析(an across lines analysis) のためにプールした。
【0106】
3種の置換の結合効果をハプロタイプ置換効果として評価した。ハプロタイプ間の対比は、雄親(無作為)、屠殺日及び問題のハプロタイプのコピーを0個、1個又は2個有する動物に相当する数値−1、0及び1を持つ各ハプロタイプについて一つの変数を含むモデルから評価した。このハプロタイプ置換効果は、ハプロタイプの平均からの偏差として表され、そして最悪のハプロタイプから最良のハプロタイプまでの相違を反映した。関連分析に使用した動物の数は測定された形質に応じて変化し、それは表3、4及び5に列挙されている。
【0107】
結果
標識の開発及び連鎖地図作成:
幾つかの重要なQTLがPRKAG3遺伝子が位置し(ミランら,2000) 、標識SW1683とSW1983の間(図1)に位置する領域内のSSC15(マレックら,2001) 上で検出された。これらは、PRKAG3の200Q対立遺伝子及び形質24時間ハム及びロインpHや24時間ロインハンターL値(光反射)による影響を受けると報告された(ミランら,2000) 平均的なグリコーゲン含量と解糖ポテンシャルに対するQTLを含んでいた。興味深いことに相加効果(RN− 突然変異が優勢である)を有するこのQTLで有利な対立遺伝子は、予想されたように(表1)、バークシャー品種(一般に極めて良質の肉質を持つとみなされる)から専ら誘導された。PRKAG3遺伝子は、ブタRN領域におけるBACコンティグ(contig) の最近の発展(ミランら,2000) 、この領域におけるブタ地図の、ヒト転写地図(ジェオンら,2001) との高度の連鎖順序保存、及び最近発展したヒトゲノム地図(ランダーら,2001) に基づけば、この領域における独特の候補遺伝子であった。本発明者らはまず、出版されたRN− 置換(R200Q)について、基礎動物(founder animals)である2頭のバークシャー雄親と9頭のヨークシャー雌親を試験した。全ての基礎動物はrn+ 対立遺伝子(200R)を持っていた。BxYファミリー基礎動物中及び肉質について極端な数値を持つ4頭のF3 個体のPRKAG3遺伝子の全コード領域を配列決定することにより、本発明者らは3個のミスセンス突然変異を同定した。これらは先に記述された(ミランら,2000) T30N及びI199V置換、及び新たなミスセンス突然変異(G52S)である。ミランら,(2000)によって発見された別の非同類(non−synonymous) 置換(P53L)は、全てが53PであったBxYファミリーの基礎動物中で分離していることは見出されなかった。5’UTRに関する情報が欠如しているため、本発明者らはその領域における完全な5’隣接配列及び遺伝子構成を発見するためRACEを用いた。イントロンのSINE多型は開始コドンの上流79bpで開始することが発見されたが、これは3頭のヨークシャー祖母にのみ存在していた。交雑ファミリーの基礎動物の間の各部位の対立遺伝子頻度の相違に基づいて、本発明者らは、G52S置換及びI199V置換を先に報告された肉質QTLに対する最も可能性の高い候補と考えた。I199V置換を用いて本発明者らはBxY連鎖地図におけるPRKAG3遺伝子をグリコーゲン、乳酸塩及び解糖ポテンシャル及び24時間pH(図1)に対するQTLの幅広のピーク(単数又は複数)の下方の位置に位置付けた。PRKAG3のI199Vの情報を追加した後、SSC15の地図長さ及び標識順序はマレックら(2001)のそれと同じであった。PRKAG3のI199V(図1)を含むQTLを再分析すると、マレックら(2001)の結果と比較した場合、F値及びSSC15上のQTLピークの位置に小さな変化(0から3cM)を惹き起こした。
【0108】
F 2 関連研究: 関連分析を用いて、本発明者らは、F2 BxY集団におけるグリコーゲン及び乳酸塩の平均含量にそして解糖ポテンシャルにも及ぼす3種の置換(T30N、G52S及びI199V)全ての有意の効果を発見した(データはI199V置換についてのみ示す−表2)。最も有意の効果は、グリコーゲン及び乳酸塩含量及び解糖ポテンシャルの測定などの分析された形質の大部分についてI199V置換に対して明らかにされたが、これらの測定と関連した肉質形質の一部においても明らかにされた。F2 のデータから30T、52G、及び199I対立遺伝子は肉質の観点から有利であった。交雑雑種における予想された大きな連鎖不均衡がある場合は、この遺伝子が観察された肉質の変化に直接関与している可能性があるか否かを決定するため、ブタの異系交配雑種市販系統の幾つかにおけるこれらの突然変異の効果を研究し確認する必要があった。
【0109】
市販集団の分析:
分析された置換についての遺伝子型頻度を表3に示す。3種の置換部位の全てについて、バークシャー系統はBxYF2 データに基づけば骨格筋におけるグリコーゲン含量の低さ(そしてより高い肉質)と関連する遺伝子型がより高い頻度で現れた。他の市販集団は、バークシャー集団と比較すると、I199V置換に対して特に標識された置換を持つ有利な対立遺伝子の頻度が低い。
【0110】
PRKAG3突然変異とその肉質との関連について、5種の市販系統のそれぞれ及びこれらの系統の全体にわたって試験した。系統全体分析において、置換部位の後方消去は、6種の形質全てについてこのモデルでI199Vを保ち、ハムpH、ロインpH、ロインミノルタL及びロインミノルタbについてG52Sを保ち、そしてハムミノルタL、ロインミノルタL、及びハムミノルタbについてT30Nが保たれた。
【0111】
これらの置換のそれぞれは少なくとも3種の形質との明確な関連を示したので、これらの置換のそれぞれの効果は独立に評価された。系統全体の遺伝子型平均の最小二乗評価(表4)及び系統内の遺伝子型平均の最小二乗評価(表5)は分析された置換と肉質の測定の間の有意の効果を示した、このことは幾つかの付加的(新たな)rn+ 対立遺伝子が存在しうることを示唆する。
【0112】
関連研究により、系統全体にわたる最大の効果が(表4)そして系統内における最大効果も(表5、データはI199Vについてのみ示す)、分析された形質全てに対してI199V置換で得られたことが明らかにされた。この置換について、該関連は系統全体にわたって分析された場合本研究で使用した肉質形質の全てについて高度に有意(p<0.0005)であった。少なくとも一つの形質との有意の関連は個々の系統のそれぞれの内部での同一置換に対して明らかにされ、デュロック及びデュロック・シンセティックにおけるハムミノルタbに対して、そしてデュロック・シンセティックにおけるロインpHに対して高度に有意な効果を示した。これらの二つの品種(デュロック・シンセティック、デュロック)は各遺伝子型に対して十分な数の動物で関連分析のための最良の頻度分布を示す(表5)。全体系統分析ではそして個々の系統の結果の大部分では、該効果は全ての形質について高い肉質に対して有利な対立遺伝子であるI199I対立遺伝子と同じ方向であった。
【0113】
有意な効果であるが、I199Vと比較するとより小さな効果が、系統全体を分析した場合5種の形質においてT30N置換について明らかにされた(表4)。T30Nの系統分析の中で、ほとんど専らデュロック及びデュロック・シンセティック集団で効果が示された(データは示していない)。ほとんどの状況下で、該効果は同じ方向であり、対立遺伝子30Tはより良質の肉質と関連していた。
【0114】
G52S置換については、有意(p<0.05)の効果は全体系統分析では二つの形質(ハムpH及びロインミノルタL)でのみ同定され、異なる対立遺伝子がこれらの形質にとって有利であると同定された。系統分析内では、ロインミノルタ色評点に対するデュロック・シンセティック集団のみについて有意の関連性が明らかにされた(データは示していない)。
【0115】
試験した5種の市販の集団では、本発明者らは丁度4種のハプロタイプを発見した(表6)。このバークシャー集団は最も多型性が少なく、高い頻度(0.87)でハプロタイプ3(30T−52G−199I)を有していた。ラージホワイトでは、ハプロタイプ2(30T−52S−199V)が最も高頻度であり、ハプロタイプ1(30N−52G−199V)はランドレース、デュロック及びデュロック・シンセティック集団で最高の頻度を示した。ハプロタイプ4(30T−52G−199V)は全ての集団で最低の頻度を示した。
【0116】
各系統についてのそして系統全体についてのハプロタイプ置換の効果は4種のハプロタイプの平均からの偏差として計算された(図2)。系統全体分析及び系統内分析はロインの形質のハプロタイプよりもハムのpH及び色の測定のハプロタイプの間でより大きな相違を示した。ハムのpHについては、系統全体分析及び系統内分析は、ハプロタイプ3が系統全体分析における他のハプロタイプのそれぞれと有意に(p<0.0005) 異なっており且つ個々の系統分析のそれぞれにおける少なくとも一つの他のハプロタイプとも有意に(p<0.05) 異なっていたという最高の効果を有することを示した。ハプロタイプ2はほとんどの形質について二番目に最良であった。ハプロタイプ1及び4を有する系統は肉質に関して最悪である傾向があった。このヒエラルキーはバークシャー集団では明らかでない。この集団では、系統全体の結果に相当する最低の数値を持つハプロタイプ4で有意の相違が見られるだけである。バークシャーにおける有意でない結果はこの品種での多型のレベルの低さ及び同時に生ずるハプロタイプ1及び4についての極めて少数の観察に一部帰せられるようである。デュロック・シンセティック集団におけるハプロタイプ4の評価は他の系統におけるそれとは異なるように見える(とりわけハムのpHについて)、ここではハプロタイプ2(p<0.05) 及びハプロタイプ1(p<0.01) よりも有意に高いが、この集団におけるハプロタイプ4の頻度は極めて低かった(0.07) 。この系統の合成的性質(その発端は6世代前であった)も拡大した連鎖不均衡が存在する機会を与えており、連結した遺伝子座がハプロタイプ置換効果に寄与する機会を増やしている。
【0117】
ミノルタ評点についてのハプロタイプの結果はpHの結果と一致していた。ハプロタイプ3は一般に有利な効果(より低い色評点)を持つことが見出された。個々の系統からの結果には少数の例外があり、これらは試料採取法の結果であるかも知れない。唯一の有意の偏差はハプロタイプ2についてのものであり(p<0.05) 、これはバークシャーにおけるより低いミノルタb評点と関連する。系統全体分析では、ハプロタイプ2はほとんどの場合ハプロタイプ3の次であった。
【0118】
討論
本研究で報告された結果は肉質形質に影響を与えるPRKAG3遺伝子の新たな対立遺伝子の存在の有利性の重要な証拠を提供する。この結論は三つの点に基づく。即ち、1)PRKAG3対立遺伝子であるrn+ 及びRN− の肉質に対する既知の効果、2)PRKAG3がBxYファミリー中に局在する領域におけるSSC15の上で発見された肉質形質関連の幾つかのQTLの観察。これらのQTLは元のR200Q置換が分離しなかったブタ交雑雑種で発見された。3)PRKAG3置換とグリコーゲン及び乳酸含量、解糖ポテンシャルの間の関連及びBxYF2 集団における肉質形質及び数種の無関係の市販ブタ系統における肉質形質に関する本明細書で提供された結果、である。
【0119】
個々の置換の関連分析は、ここで研究された3種のうちで、I199V置換が肉質形質における最も有意で且つ最大の相違を示すことを明らかにした。例えば、BxYF2 分析は解糖ポテンシャルについてのI199V遺伝子型クラスの間における有意の相違を示したが、グリコーゲン及び乳酸塩含量においてもそうであった(表2)。分析された肉質形質の大部分についての重要な効果も明らかにされた。対立遺伝子199Iはグリコーゲン、乳酸塩及び解糖ポテンシャルの低レベル、ハム及びロインの高いpH、及びより良好な色評点と関連することが見出された。この標識はBxYF2 における十分な情報を有しており、この対立遺伝子効果の良好な評価を与えた。
【0120】
市販の集団の分析においては、I199V置換はホモ接合体クラスの間でLS手段における有意の差と関連しており、ランドレース系統で 0.14 まで、ハムのpHについての系統全体で 0.10 まで有意である(表4及び5)。肉色測定の一つである、ハムミノルタLについて、LS手段の有意の相違がホモ接合体遺伝子型の間で見出され、反射率が(ランドレースで)3.5 ユニットまで、系統全体で 2.0ユニットまで相違した。これらの効果は 0.5から1までの範囲の表現型の標準偏差である。重要な相違は他の形質及び品種についても明らかにされた。肉質全体について重要な形質におけるこの量の効果は動物品種改良業界において大きな関心がある。
【0121】
I199Vの外に、T30Nの1置換分析からも大きな効果が見積もられた。
しかしながら、I199Vもその分析に含めるとT30N置換の控えめの効果しか残らなかった。部位30と199の間の強い連鎖不均衡が部位30について検出される効果の原因の大部分であると考えられる。G52Sの単一分析においてはほとんどが有意でなかった小さな効果が観察された。
【0122】
ハプロタイプ分析は非同類置換の効果を詳細に吟味する助けとなり、199並びに52の位置における効果についてのさらなる証拠を与えた。199Iを含む唯一のハプロタイプであるハプロタイプ3は、pH及び肉色の測定に関して最も有利なハプロタイプであった。試験した状況の大部分では、52Sを含む唯一のハプロタイプであるハプロタイプ2は、効果の相違が他の形質におけるよりもより有意で且つより大きかったハムの質の形質についてはとりわけ中間的数値を示した。ハプロタイプ1及び4の数値は、相互に有意に異ならない多くの場合、範囲の底に一緒に集まっている。
【0123】
これらの二つのハプロタイプ(1及び4)の数値が大部分の評価において比較的類似しているという観察から、T30N置換は肉質変化に対し下限に近い寄与をするだけであると結論できる。ハプロタイプ4の頻度が 0.10 を上回る、系統全体分析、ランドレース分析及びラージホワイトの分析では、本発明者らはハムミノルタ評点に関してハプロタイプ4と比べハプロタイプ1(このハプロタイプは30N変異型と関連する)の有利な効果を見出す。他の集団では、これらのハプロタイプ効果の間の相違はハプロタイプ4の頻度が極めて低いため殆ど評価できない。
【0124】
ハプロタイプ4とハプロタイプ2の間の相違はG52S部位においてのみである。ハプロタイプ4と2の効果は系統全体分析ではハムとロインの両方でpHとミノルタLの評点について、そして個々の系統の、最も顕著にはラージホワイトの幾つかの形質について有意に異なる。ハプロタイプ2(52Sを含み、セリンをコードする)はハプロタイプ4(52Gを含み、グリシンをコードする)よりも有利である。これはBxY研究で見出された結果の反対である。後者では、52Gは有利な対立遺伝子であると予想された。I199V部位との強い連鎖不均衡は、F2 の基礎動物の数が限定されてることにより、この集団におけるG52S置換の真の効果を遮蔽したかも知れない。G52Sの個々の分析が殆どの形質及び系統に対する如何なる効果も示さなかったことは興味深い。その分析はハプロタイプ2を他の3種の組み合わせと比較する。他の3種のハプロタイプの混合は、ハプロタイプ頻度に応じて、ハプロタイプ2のそれに近似の平均値を生じ、G52Sが個別に分析される場合、ハプロタイプに基づく分析の数値を示す相違は検出されないであろうことが図2から見られ得る。
【0125】
ハプロタイプ4で現れる30T変異型は単一部位分析に基づき肉質に有利であることが見出された。それは、殆どの形質についてデュロック及びデュロック・シンセティック系統における有意な効果と関連する。これらの二つの集団においてハプロタイプ3は中程度の頻度(表6)を持ち、30Tと有利な199I変異型の両方を含む。こうして、199I変異型は連鎖不均衡により30T部位変異型についてのより高い効果に寄与している。
【0126】
置換分析とハプロタイプ分析の結合分析は、ブタの肉質測定に異なる大きさの効果を持つPRKAG3遺伝子における3種の非同類置換の存在を証明すると本発明者らは結論する。「1個の遺伝子−数個の多型−多様な表現型」というこの興味深いモデルは複雑な表現型形質に及ぼす識別可能な付加的効果に基づき、そして他の形質についての将来の研究のためのモデルとして役立つことができる。選別下における1個の遺伝子の連続的な突然変異の結果としての複数の対立遺伝子の存在は最近ブタで提唱された(ジェオンら,1999、ネザーら, 1999) 。
【0127】
I199V置換はシスタチオニンβ−シンターゼ(CBS)ドメイン中にある。このドメインはこのファミリーの遺伝子における極めて保存性の高い領域である(ミランら,2000) 。CBSドメインの役割は未だ不明であるが、それは細胞質標的化(ポンティック,1997) 、タンパク質− タンパク質相互作用 (ベイトマン, 1997) 及び/又はタンパク質活性の調節 (ベイトマン, 1997) に関与することが示唆されている。PRKAG3遺伝子には4種のCBSドメインがあり(ミランら,2000) そしてI199V置換は最初の最も保存されたドメイン中に位置する。Pfamソフトウェアを用いて得られるこのCBSドメインとγ3 ぺプチドの整列は、この位置における好ましいアミノ酸がイソロイシンであることを明らかにする(結果は示していない)。この研究で、対立遺伝子199I(199部位のイソロイシンをコードする)が市販の集団及びBxYF2 ファミリーにおけるより良好な肉質と関連し、そして後者においてはグリコーゲン、乳酸塩及び解糖ポテンシャルのより低レベルにも関連することが見出されたことは興味深い。
【0128】
ミランら(2000) は200Q変異型(RN− )が常に199Vと共に見出されることを示す。しかしながら、199Vは200R及び200Qの両方と共に見出され、199Iは常に200Rと共に見出される。これらの置換部位は僅か3ヌクレオチドしか離れていないので、それらの間の組換えの確率は極めて小さい。この理由から、本発明者らはR200Qが最も最近の置換であると考えることができる。この仮説はハンプシャーブタ品種中でのみこの突然変異が存在することによっても支持される。ハプロタイプ199V−200R及び199I−200Rは両方とも先祖でありうるであろう。何故なら、それぞれが今日までに分析された品種、例えば、野性型雄ブタや幾つかの種の1段階下のスイスフォルメス(Suisformes)(キオバヌら, 未発表の結果) の大部分で同定されたからである(ミランら,2000) 。
【0129】
199V−200Rハプロタイプは、199I−200Rハプロタイプ(BxYF2 データ)と比較すると、より高いグリコーゲン含量及びより低い死後のハム/ロインpHと関連する。コドン199における置換はおそらくグルコース代謝従って筋肉のグリコーゲン含量への効果をもたらすことになる。第3のハプロタイプである199V−200QはRN− 表現型を付与する。199V−200Qのグリコーゲン含量に及ぼす関連効果は他のハプロタイプの効果よりも大きく、そして199V−200Qハプロタイプは他のものよりも優性である。これらの理由から、本発明者らはRN− 表現型が、R200Q置換の単一の結果ではなく199V−200Qハプロタイプの組み合わせ効果であろうと示唆する。この効果はこれらの置換によるCBSドメインの改変により惹起され得るであろう。
【0130】
AMPKのβ及びγ調節サブユニットの正確な機能は未だ明らかでない。しかしながら、両方ともキナーゼ活性にとって必須であることが知られている(ハーディーとカーリング,1997) 。イン・ビトロ実験により、βサブユニットは互いに直接相互作用しないγ及びαサブユニットの両方と相互作用するので、βサブユニットがAMPKのヘテロ三量体構造の形成において重要な役割を有しうることが示される(ウッズら,1996) 。最近の証拠は、アロステリックなAMP結合部位がAMPK複合体のγ及びαサブユニットの両方を必要とすることを示唆する(チェウングら,2000) 。チェウングら(2000) は、AMPが存在しない場合には、ヘテロ三量体複合体がγ及びαサブユニット間の相互作用がなく専ら不活性であるというエレガントなモデルを提唱した。この状況下では、αサブユニット中のThr172 部位のリン酸化及び基質との相互作用はαサブユニットの自己阻害領域により阻止される。AMPKの活性型では、αの自己阻害領域とγCBSドメインの一つ以上の間の相互作用が自己阻害を防止し、そしてAMPが両サブユニットに結合してこの複合体を安定化する(チェウングら,2000) 。整列情報、AMPK複合体の調節の提唱されたモデル及び直ぐ近くのR200Q部位の存在も、AMPKの活性におけるI199V置換の可能な役割の仮説を支持する。AMPK複合体の分子構造は未だ解明されていないとは言え、本発明者らはこのアミノ酸変化が酵素の構造及び活性に影響を与え、G52S置換の観察された効果を生ずるという仮説を立てる。
【0131】
γ3 サブユニットは骨格筋内で顕著に発現されるが、AMPK活性はγ1 及びγ2 イソ型とより強く関連するように見える(チェウングら,2000) 。しかしながら、未だ解明されていない機序において、PRKAG3遺伝子におけるR200Q置換(又はI199V−R200Qの組み合わせ)はハンプシャーブタのAMPK活性における重要な差を惹起する(ミランら,2000) 。これはγ3 イソ型が骨格筋におけるグルコース代謝で重要な役割を有することを示唆する。異なるサブユニットの組み合わせについての詳細な機能的研究がこの状況を解決するために必要である。グルコース代謝におけるAMPKの役割は酵母から得られた近縁のSNF1複合体との比較に基づき、生理学的意味を生じる。また、幾つかの研究はAMPKが次の事象によりグリコーゲン代謝に関与することを示す。即ち、グリコーゲン・シンターゼの不活性化(カーリングとハーディー,1989、パウルターら, 1988、ザングら, 1993) により、酸化窒素シンターゼの活性化 (フライヤーら, 2000) により、及び原形質膜へのグルコース・トランスポーター4の転置を増加すること(ハヤシら、1998、クルス−クラチェクら、1999、ベルゲロンら,1999、ホームズら,1999) による。
【0132】
本明細書で報告された肉質の測定に及ぼす置換の効果は優性なRN− 突然変異の効果よりも量的には小さいが、この効果は生物学的及び経済的の両方で重要である。とりわけ、これらの対立遺伝子はこれまで分析された市販の系統及び品種の全てで分離しており、ハンプシャー品種とのみ関連し大部分のブタ生産プログラムでの使用が限られてきたRN− 突然変異とは対照的である。PRKAG3について本明細書で報告された結果は、遺伝学者が種内及び種間の両方でもっと劇的な効果を惹起する、既知の遺伝子における経済的な衝撃を有するさらなる突然変異を探索すべきであることも示唆する。この指摘は標的種又は標的品種以外の他の遺伝子と関連する主要な効果、例えば、マウス(フザールら,1997) 及びヒト( イエオら, 1998) でのMC4R突然変異の大きな効果、そしてより小さな程度でブタ(キムら,2000) での効果についての報告により支持される。
【0133】
動物種における生化学的意義を持つ新規な遺伝子の同定は、ヒトの生物医学的標的についての有用な情報も提供する。この知識は新たな且つ興味ある対立遺伝子が発見された場合に高められる。PRKAG3の場合、この遺伝子、そしてヒトでの他のAMPK関連遺伝子は、それらの機能及びQTL局在に基づき、ヒトII型糖尿病に対する興味深い候補であると示唆された (ミランら, 2000) 。こういう理由で、これらの新たな対立遺伝子の効果はグルコース代謝に影響を与える潜在的因子についての新たな洞察を提供しうるものであり、この疾病のさらなる研究の中で検討されるべきである。
【0134】
本明細書で引用された全ての参考文献はその全体が参照により本明細書にインコーポレートされる。これらの文献には下記のものが含まれるが、これらに限定されない。
ベイトマン,A.,1997「古細菌及びホモシスチン尿症タンパク質に共通のドメインの構造」Trends Biochem. Sci. 22: 12−13。
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【0135】
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【0141】
【表1】
【0142】
a 順列テストにより決定されたとき、5%レベルで染色体様F−統計閾値は、5.02であった。
b 付加的(a)及び優性(d)QTL効果は、二つのバークシャー対立遺伝子を遺伝によって受け継いだ個体、ヘテロ接合体、及び二つのヨークシャー対立遺伝子を持つ個体についての+a、d、及び−aの遺伝子型数値にそれぞれ対応する。陽性の付加効果はバークシャー対立遺伝子が形質を増加させたことを示し、陰性はバークシャー対立遺伝子がそれを減少させたことを示す。優性の効果は該二つのホモ接合体の平均と比較する。
c 分散%=F2 における残りの分散のパーセントとしての、見積もられた付加的効果及び優性効果及び対立遺伝子頻度の1/2に基づくQTLでの遺伝的分散。
d 測定の単位−μモル/g
* 5%ゲノム様レベルで有意(F>8.22)
** 1%ゲノム様レベルで有意(F>9.96)
【0143】
【表2】
【0144】
次の形質はp<0.05で有意でなかった。即ち、実験室ハムミノルタ、実験室ハムハンター、及び包装工場ロインミノルタ。最小二乗平均は各形質について評価され、括弧内の見積もりの標準誤差と共に示してある。各遺伝子型クラスにおける動物の数は、n=131(II) 、260−265(IV) 、及び111−113 (VV)である。最小二乗見積もりの間の有意の差は上付二文字で示す。即ち、a−b p<0.05, c−d p<0.005, e−f p<0.0005 である。上付「a」は、上付「b」を付した見積もり(単数又は複数)とは有意に異なる。同じことはそれぞれの有意のレベルでc−d 及び e−fにも成り立つ。
【0145】
【表3】
【0146】
【表4】
【0147】
【表5】
【0148】
【表6】
【0149】
実施例2
本発明によれば、そして全く驚くべきことに、PRKAG3対立遺伝子は動物における一腹仔数と有意の関連を持つことも示された。この特定の実施態様において本発明は動物の一腹仔数の遺伝標識に関する。本発明は、一腹仔数の増加と相関するPRKAG3遺伝子における多型の存在又は非存在を同定することにより品種改良する場合、より大きな一腹仔数を生ずる可能性のより高い動物を決定するため動物をスクリーニングする方法を提供する。本明細書で用いるとき、用語「増加した一腹仔数」とは、所与の集団の平均を上回る一腹仔数の生物学的に有意の増加を意味する。
【0150】
PRKAG3遺伝子型と一腹仔数の間の関連。
【0151】
PRKAG3のコドン199の多型を用いて一腹仔数データを持つ雌ブタを遺伝子型に分けた。先に、この多型と肉質形質の間に関連があることが見出されたランドレース系統(A)及びデュロック・シンセティック系統(B)に相当する二つの系統を利用した。
【0152】
データは、最初の出産仔数記録及び全ての出産仔数に従って分析した(表7)。
【0153】
【表7】
【0154】
最初の出産仔数における系統Bについての遺伝子型と一腹仔数形質(出生総数、生きて出産した数)の間に統計的に有意の関連(p<0.05)が見出された(表8)。ヘテロ接合体は最大の一腹仔数を有すること、さらに、11の遺伝子型が22ホモ接合体よりも大きな一腹仔数を有すること(p<0.3 )が見出された、このことは、対立遺伝子1の少なくとも一つのコピーを保持する雌ブタが有利であることを示唆する。おそらく観察の数が小さいことにより系統Aではその差は統計的に有意のレベルまでは到達しないものの、類似の効果が系統Aで見られるように見えることは興味深い。しかしながら、より多くの観察がなされたヘテロ接合体と遺伝子型22の間の差は生きて産まれた数について統計的有意(p<0.1)に近づく。
【0155】
類似の効果が両系統の全ての出産仔数データ集合全体で見られる。この場合、系統Aにおける総出産数への効果はp< 0.08 という遺伝子型有意を有する。
【0156】
【表8】
【0157】
PCRテストプロトコール:
【0158】
PRKAG 3−30 PCR−RFLPテスト
StyI多型
【0159】
プライマー
RF1−5’ATGAGCTTCCTAGAGCAAGGAG3’
RN52R2 −5’GGCTGCATGATGTTATGTGCCT3’
【0160】
PCR条件
混合物1
【0161】
混合物1とDNAを一つの反応管中で混合する。鉱物油を重層する。次のPCRプログラム:94℃で4分、ついで94℃で45秒、59℃で45秒且つ72℃で45秒を35サイクル、最後の伸長を72℃で12分、を行なう。
【0162】
PCRの3μlを2%アガロースゲル上でチェックして、増幅の成功及び負の対照のクリーンを確認する。産物の大きさは270bpである。
【0163】
次の手順により消化を行なう。
StyI消化反応
【0164】
PCR産物、緩衝液、酵素及び水の混合物を作成する。37℃で2時間インキュベートする。この消化産物をローディング色素と混ぜ(1:6)、4%アガロースゲル上で走らせる。
【0165】
遺伝子型:
11:198bp及び72bp AAC/AAC
12:198bp、181bp72bp及び17bp AAC/ACC
22:181bp、72bp及び17bp ACC/ACC
【0166】
PRKAG3−SINE(短い散在性の反復配列)多型テスト
プライマー
RP1F:5’GAAACTCTTCTCCCCACAGAC3’
RN52R2 :5’GGCTGCATGATGTTATGTGCCT3’
PCR条件
混合物1
一つの反応管の中で混合物1とDNAを混ぜる。鉱物油を重層する。次のPCRプログラムを行なう。
【0167】
PRKAG 3−52 PCR−RFLPテスト
HphI多型
プライマー
RF1:5’ATGAGCTTCCTAGAGCAAGGAG3’
RN52R2 :5’GGCTGCATGATGTTATGTGCCT3’
PCR条件
混合物1
一つの反応管の中で混合物1とDNAを混ぜる。鉱物油を重層する。次のPCRプログラム:94℃で4分、ついで94℃で45秒、59℃で45秒且つ72℃で45秒を35サイクル、最後の伸長を72℃で12分、を行なう。
PCRの3μlを2%アガロースゲル上でチェックして、増幅の成功及び負の対照のクリーンを確認する。産物の大きさは270bpである。
消化は次の手順により行なう。
HphI消化反応
PCR産物、緩衝液、酵素及び水の混合物を作成する。37℃で2時間インキュベートする。この消化産物をローディング色素と混ぜ(1:6)、4%アガロースゲル上で走らせる。
遺伝子型:
【0168】
PRKAG 3−199 PCR−RFLPテスト
BsaHI多型
プライマー
RNF:5’GGAGCAAATGTGCAGACAAG3’
RNR:5’CCCACGAAGCTCTGCTTCTT3’
PCR条件
混合物1
一つの反応管の中で混合物1とDNAを混ぜる。鉱物油を重層する。次のPCRプログラム:94℃で4分、ついで94℃で45秒、61℃で45秒且つ72℃で1分の35サイクル、最後の伸長を72℃で12分、を行なう。
PCRの3μlを2%アガロースゲル上でチェックして、増幅の成功及び負の対照のクリーンを確認する。産物の大きさは258bpである。
消化は次の手順により行なう。
BsaHI消化反応
PCR産物、緩衝液、酵素及び水の混合物を作成する。37℃で2時間インキュベートする。この消化産物をローディング色素と混ぜ(1:6)、4%アガロースゲル上で走らせる。
遺伝子型:
11: 167 bp 及び91 bp
12: 167 bp 、119 bp、及び 91 bp
22: 119 bp 及び 91 bp
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、ブタのPRKAG3ヌクレオチド配列の図であり、アミノ酸を含み、代替的多型座及びそれらのアミノ酸変化が確認される。
【図2】
図2A及び図2BはPRKAG3遺伝子の5’隣接領域の配列を図示する。エキソン1、エキソン2及びそれらの間の新規なイントロン配列が含まれる。図2AはSINE(11)を含み、図2BはSINE(22)を含まない。この配列は付加的プライマーを形成するために用いうる。太字はSINEの間の直接反復を示し、太字且つイタリック文字はPRKAG3遺伝子のエキソン(エキソン1及びエキソン2)を示す。
【図3】
図3A及び図3Bは、SSC15について肉質と関連するQTLの証拠のためのF−比曲線を図示するグラフである。x−軸は連鎖地図上の相対位置を示す。y 軸はF−比を表す。x−軸上の矢は標識が存在した位置を示す。3本の線は、5%染色体−様の有意性(…)、5%ゲノム−様の有意性(―)及び1%ゲノム−様の有意性(‥)に対して与えられる。3Aは平均グリコーゲン、平均乳酸塩、及び平均グリコール酸ポテンシャルの形質、3BはpH形質を示す。
【図4】
図4は、ハム及びロインのpH及び色得点に及ぼすPRKAG3のハプロタイプ置換の効果を明らかにする。ハプロタイプ置換効果は5系統(ALL)を横断的にそして各系統内で評価される。系統は、ランドレース(LR)、ラージホワイト(LW)又はデュロック(DU)、デュロック系の合成系統(DS)、及びバークシャー系の系統(BE)に基づいている。BE系統については別の尺度が用いられる。同じ上付を持つカラム内の評価は、系統横断的評価についてp< 0.005 で有意に異なり、系統内の評価についてはp< 0.005 で有意に異なる。
Claims (58)
- より多くの出産仔数を生ずる可能性のより高い動物を決定するために該動物をスクリーニングする方法であって、該方法が該動物から遺伝物質の試料を採取する工程、及び該動物における一腹仔数の増大と関連する遺伝子型の存在について検定する工程を含むものであり、該遺伝子型が下記の事項a)即ち、PRKAG3遺伝子における多型、により特徴付けられるものである方法。
- 該多型が、配列番号:2のBLAST比較により決定されるとき、PRKAG3遺伝子の199番目のアミノ酸におけるバリンからイソロイシンへのアミノ酸変化又はその等価物を生ずるものである、請求項1記載の方法。
- 該多型がヌクレオチド位置595におけるグアニンのアデニンへの変化又はその等価物である、請求項1記載の方法。
- 該遺伝子型がBsaHI多型である、請求項1記載の方法。
- 該検定工程が、制限断片長多型(RFLP)分析、ミニ配列決定法、MALD−TOF、SINE、ヘテロ二本鎖分析、一本鎖コンホーメーション多型(SSCP)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)及び温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)からなる群より選択されるものである、請求項1記載の方法。
- 該動物がブタである、請求項1記載の方法。
- 該多型を含むPRKAG3遺伝子又はその一部の量を増幅する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
- 該増幅が、多型のBsaHI部位を含むPRKAG3遺伝子の領域を増幅できる前向き及び逆向き配列プライマーを選択する工程を含むものである、請求項7記載の方法。
- 該前向き及び逆向きプライマーがプライマーRNF及びプライマーRNRから及びこれらに基づいて選択されるものである、請求項8記載の方法。
- 改良された肉質形質を示す可能性のより高い動物を決定するために該動物をスクリーニングする方法であって、該方法が該動物から得た材料の生体試料を取得する工程、及び該動物における改良された肉質形質と関連する遺伝子型の存在について検定する工程を含むものであり、該遺伝子型が下記の事項a)、即ち
a) PRKAG3遺伝子における多型であって、配列番号:2のBLAST比較により決定されるとき、該多型が199位のバリン及び200位のアルギニンというアミノ酸、又は200位がアルギニンの場合199位がイソロイシンというアミノ酸又はその等価物を生じそしてこれにより特徴付けられる多型、
により特徴付けられるものである方法。 - 該多型がヌクレオチド位置595におけるグアニンのアデニンへの変化又はその等価物である、請求項10記載の方法。
- 該検定工程が短い散在性反復配列多型テストを含むものである、請求項10記載の方法。
- 該検定がプライマーRP1F及びプライマーPN52R2から選択されるプライマー及びこれらに基づくプライマーを用いてPRKAG3遺伝子を増幅する工程をさらに含むものである、請求項12記載の方法。
- 該多型を含むPRKAG3遺伝子又はその一部の量を増幅する工程をさらに含む、請求項10記載の方法。
- 該増幅が多型性BsaHI部位を含むPRKAG3遺伝子の領域を増幅できる前向き及び逆向き配列プライマーを選択する工程を含むものである、請求項14記載の方法。
- 該前向き及び逆向きプライマーがプライマーRNF及びプライマーRNRから選択され及びこれらに基づくものである、請求項14記載の方法。
- 改良された肉質形質を示す可能性がより高い動物を決定するために該動物をスクリーニングする方法であって、該方法が該動物から得た材料の生体試料を取得する工程、及び該動物における改良された肉質形質と関連する遺伝子型の存在を検定する工程を含むものであり、該遺伝子型が下記の事項a)
a) PRKAG3遺伝子における多型であって、配列番号:1のBLAST比較により決定されるとき、アミノ酸位置30におけるアスパラギンのスレオニンへのアミノ酸変化又はそれと等価の変化を生じ且つこれにより特徴付けられる多型、
により特徴付けられるものである方法。 - 該多型が配列番号:1のBLAST比較により決定されるときヌクレオチド位置89におけるアデニンのシトシンへの変化又はその等価物である、請求項17記載の方法。
- 該遺伝子型がStyI多型である、請求項17記載の方法。
- 該検定工程が、制限断片長多型(RFLP)分析、ミニ配列決定法、MALD−TOF、SINE、ヘテロ二本鎖分析、一本鎖コンホーメーション多型(SSCP)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)及び温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)からなる群より選択されるものである、請求項17記載の方法。
- 該動物がブタである、請求項20記載の方法。
- 該多型を含むPRKAG3遺伝子又はその一部の量を増幅する工程をさらに含む、請求項20記載の方法。
- 該増幅工程が、多型性のStyI部位を含むPRKAG3遺伝子の領域を増幅できる前向き及び逆向き配列プライマーを選択する工程を含むものである、請求項22記載の方法。
- 該前向き及び逆向きプライマーがプライマーRF1及びプライマーRN52R2から選択され及びこれらに基づくものである、請求項23記載の方法。
- 改良された肉質形質を示す可能性がより高い動物を決定するため該動物をスクリーニングする方法であって、該方法が該動物から材料の生体試料を取得する工程、及び該動物における改良された肉質形質と関連する遺伝子型の存在について検定する工程を含むものであり、該遺伝子型が次の事項a)
a) PRKAG3遺伝子における多型であって、配列番号:1のBLAST比較により決定されるとき、アミノ酸位置52におけるグリシンのセリンへのアミノ酸変化又はその等価物を生じまたはそれにより特徴付けられる多型、
により特徴付けられるものである方法。 - 該多型が配列番号:1のBLAST比較により決定されるとき、ヌクレオチド位置154におけるグアニンのアデニンへの変化又はその等価物である、請求項25記載の方法。
- 該遺伝子型がHphI多型である、請求項25記載の方法。
- 該検定工程が、制限断片長多型(RFLP)分析、ミニ配列決定法、MALD−TOF、SINE、ヘテロ二本鎖分析、一本鎖コンホーメーション多型(SSCP)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)及び温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)からなる群より選択されるものである、請求項25記載の方法。
- 該動物がブタである、請求項25記載の方法。
- 該多型を含むPRKAG3遺伝子又はその一部の量を増幅する工程をさらに含む、請求項28記載の方法。
- 該増幅工程が、多型性のHphI部位を含むPRKAG3遺伝子の領域を増幅できる前向き及び逆向き配列プライマーを選択する工程を含むものである、請求項30記載の方法。
- 該前向き及び逆向きプライマーがプライマーRF1及びプライマーRN52R2から選択され及びこれらに基づくものである、請求項30記載の方法。
- 発現の際PRKAG3タンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、位置52にセリンをさらに含む配列。
- 配列番号:5を含む請求項33記載のヌクレオチド配列。
- 請求項33記載のPRKAG3タンパク質。
- 配列番号:6を含む請求項35記載のタンパク質。
- 発現の際PRKAG3タンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、該タンパク質が該タンパク質の位置199にイソロイシン且つ位置200にアルギニン又はその等価物を含むものであるヌクレオチド配列。
- 請求項37記載のPRKAG3タンパク質。
- 発現の際PRKAG3タンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、該タンパク質が該タンパク質の位置199にイソロイシン、位置30にスレオニン、位置52にグリシンそして位置200にアルギニン又はその等価物を含むものである、ヌクレオチド配列。
- 請求項39記載のPRKAG3タンパク質。
- 発現の際PRKAG3タンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、該タンパク質が該タンパク質の位置199にバリン且つ位置200にアルギニンまたはその等価物を含むものである、ヌクレオチド配列。
- 請求項41記載のPRKAG3タンパク質。
- 発現の際PRKAG3タンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、該タンパク質が該タンパク質の位置199にイソロイシン又はバリン且つ位置200にアルギニン又はその等価物を含むものであるヌクレオチド配列。
- 請求項43記載のPRKAG3タンパク質。
- 有利な肉質形質を持つ可能性のより高い動物を決定するため該動物をスクリーニングする方法であって、該方法が該動物から得た遺伝子材料の試料を取得する工程、及び該動物中の有利な肉質形質と関連する遺伝子型の存在について検定する工程を含むものであり、該遺伝子型が次の事項、即ちアミノ酸位置30にスレオニン、アミノ酸位置52にグリシン且つアミノ酸位置199にイソロイシン、により特徴付けられるものである方法。
- 有利な肉質形質を持つ可能性がより高い動物を決定するため該動物をスクリーニングする方法であって、該方法が該動物から遺伝子材料の試料を取得する工程、及び該動物における有利な肉質形質と関連する遺伝子型の存在について検定する工程を含むものであり、該遺伝子型が次の事項、即ち位置199にイソロイシン且つ位置200にアルギニン、により特徴付けられるものである方法。
- 動物の肉質及び/又は一腹仔数についての遺伝標識を同定する方法であって、該方法が該動物の各雌動物により生産される子孫の数又は肉質を決定する工程、各動物のPRKAG3遺伝子又は等価遺伝子における多型(該多型は請求項1、7、17、又は11又はそれらの等価物の多型を含むものである)を決定する工程、及び雌動物それぞれにより生産される子孫の数又は肉質と該多型とを関連させ、それにより動物の肉質又は一腹仔数に好ましい多型を同定する工程、を含む方法。
- 該標識により、有利な肉質又は一腹仔数を持つと予想される動物を品種改良のために選択する工程をさらに含む、請求項47記載の方法。
- 該分析がPCR増幅DNAをBsaHI、HphI及びStyIからなる群より選択される制限酵素で消化する工程を含むものである、請求項48記載の方法。
- 肉質及び/又は一腹仔数のための形質の有利な組み合わせを持つ動物を決定するため該動物をスクリーニングする方法であって、動物中に存在するPRKAG3の対立遺伝子(この対立遺伝子はPRKAG3遺伝子の多型性のBsaHI、HphI又はStyI部位の一つ以上を含む対立遺伝子を含むものである)を決定する工程、肉質及び/又は一腹仔数に影響することが知られている遺伝子についての他の標識の対立遺伝子を決定する工程、及び対立遺伝子の有利な組み合わせを持つ動物を選び且つ有利でない組み合わせを持つ動物を除くよう選択する工程、を含む方法。
- PRKAG3対立遺伝子を決定する工程が、PRKAG3に直接的にか又は間接的に連結した少なくとも一つのDNA標識と関連する少なくとも一つの対立遺伝子の存在を決定する工程を含むものである、請求項50記載の方法。
- 該DNA標識がミクロサテライトである、請求項51記載の方法。
- 有利な肉質形質を持つ動物を決定するため該動物をスクリーニングする方法であって、該方法が該動物から得た遺伝子材料の試料を取得する工程、及び該動物における有利な肉形質と関連する遺伝子型の存在について検定する工程を含むものであり、該遺伝子型が次の事項、
a) PRKAG3遺伝子における多型であって、アミノ酸200におけるRN− 突然変異以外の多型、
により特徴付けられるものである方法。 - 有利な肉質形質を持つ可能性がより高い動物を決定するため該動物をスクリーニングする方法であって、該方法が該動物から遺伝子材料の試料を取得する工程、及び該動物における有利な肉質と関連する遺伝子型の存在を検定する工程を含むものであり、該遺伝子型がPRKAG3における少なくとも二つの多型の組み合わせにより特徴付けられるものである方法。
- 一腹仔数及び/又は肉質の形質の増加値を持つ可能性がより高い動物を決定するため該動物をスクリーニングする方法であって、該方法が該動物から遺伝子材料の試料を取得する工程、及び該動物における有利な一腹仔数及び/又は肉質と関連する遺伝子型の存在について検定する工程を含むものであり、該遺伝子型がPRKAG3における少なくとも二つの多型の組み合わせにより特徴付けられるものである方法。
- 有利な肉質形質を持つ可能性がより高い動物を決定するため該動物をスクリーニングする方法であって、該方法が該動物から遺伝子材料の試料を取得する工程、及び該動物における有利な肉質形質と関連する遺伝子型の存在について検定する工程を含むものであり、該遺伝子型が次の事項、即ちアミノ酸位置30にスレオニン、アミノ酸位置52にセリン、且つアミノ酸位置199にバリン、により特徴付けられるものである方法。
- 改良された肉質形質及び/又はより大きな一腹仔数を示す可能性がより高い動物を決定するため該動物をスクリーニングする方法であって、該動物から材料の生体試料を取得する工程、及び該動物における該形質と関連する遺伝子型の存在について検定する工程を含むものであり、該遺伝子型が次の事項、即ち
a) PRKAG3遺伝子における短い散在性の反復配列多型、
により特徴付けられるものである方法。 - 該検定がプライマーRP1F及びプライマーPN52R2から選択され及びこれらに基づくプライマーを用いてPRKAG3遺伝子を増幅する工程を含むものである、請求項57記載の方法。
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