JP2004520544A - シールブーツ、シールブーツを備えた伝達継手、およびシールブーツを固定する方法 - Google Patents

Abstract

本発明は、シャフトの外周、またはシャフトと一体となった伝達継手の要素（７）の外周とのシール接触を与えるように設計されたラグ（１２）を各端部に設けられたベローズ本体を含むベローズ（２）に関する。各ラグ（１２）は、ベローズ本体（１０）との間に移行部を与える半径方向のアウターショルダ（１６）と、シャフトまたは関連要素にラグを密封的に固定するように、リングまたクランプのような要素（２２）を受け入れるように設計された支持面（２０）とを含む。支持面（２０）は、ショルダー（１６）から延在し、さらに、直径が増大することなくラグ（１２）の端部まで延在する。ショルダー（１６）は、固定要素（２２）が取り付けられる際に長手方向の位置決め止め部をなすようになっている。本発明は、閉じたリングの据え込み圧縮によりラグが固定されるベローズに適用できる。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、請求項１のプレアンブル（preamble：前提部分）において定義されたタイプの、２本のシャフトを連結する伝達継手（transmission joint）のシールを保証するよう意図されたシールブーツに関する。
【０００２】
このタイプのシールブーツは、たとえば、トライポッド型継手（tripod joint）のような関節装置（articulation：アーティキュレーション）または等速回転継手（homokinetic joint）によって連結される２本のシャフトに設けられているものがよく見受けられる。これらのブーツは、エラストマーから作製され、同心または螺旋のプリーツを有しており、関節装置または継手が浸されている潤滑剤を密封（confine）する。
【０００３】
このタイプのブーツの固定は、ブーツのビードのそれぞれに固定要素を圧締め（clamp）することによる既知の方法で行われ、したがって、シャフトのそれぞれに対して、または各シャフトと部分的に一体となった部分に対してブーツをしっかり圧締めする。これらの固定要素は、閉じたリング、鍔（特にラグ（突起）を有する）、または任意の他の適当な要素とすることができる。ブーツの膜の主な劣化はさておき、装置の良好なシーリングに関して最も重大なゾーンは、ビードの内側と対応シャフトとの圧締め接触のレベルにある。
【０００４】
固定要素が、据え込み圧着される閉じたリング（swage-crimped closed rings）である場合、難点がある。実際、ビードの支持面に固定リングを圧着する作業には、塑性変形によりリングを取付けた状態にさせるために、リングを嵌合し、ビード上に位置決めし、次にリングを据え込み加工することが必要とされる。この場合、固定リングの据え込みは、リングの内側面をビードの支持面と単純に接触させるようにこのリングを変形する第１の段階と、次に、支持面を圧縮することによってビード内にリングを貫入させるようにリングを変形する第２の段階とからなる。第２の段階とは対照的に、第１の変形段階は、いずれにしてもビードと対応シャフトとの間の圧締めに寄与するようにはなっていない。しかしながら、この第１の段階は、固定リングの第１のレベルの塑性変形を伴うため、第２の取付けの段階の間（特にこの取付けが自動化されている場合）または作業中のその後の応力の間にリングが劣化および／または破壊するという危険性を増大させる。
【０００５】
本発明の目的は、優れたシーリングを保証するとともに、取付けが位置決めの誤りや固定要素の早期の劣化の危険性を減らすブーツを提案することによって上述した欠点を防ぐことにある。
【０００６】
この目的は、請求項１の特徴部分の特徴を備える上記タイプのシールブーツを用いる本発明により達成される。
【０００７】
このブーツは、単独的に、または技術的に可能な任意の組合せで与えられる、請求項２ないし４の特徴のうち１つまたは複数の特徴を含み得る。
【０００８】
本発明はまた、請求項５に定義された伝達継手に関する。
【０００９】
本発明による伝達継手の他の特徴は、請求項６ないし８に記載されている。
【００１０】
本発明はまた、請求項９に定義された伝達継手を形成するためにシールブーツを固定する方法に関する。
【００１１】
本発明による方法の他の特徴は、請求項１０および請求項１１に記載されている。
【００１２】
本発明は、例としてのみ与えられた以下の説明を読み、図面を参照することで、よりよく理解されるであろう。
【００１３】
図１および図２は、第１のシャフト４と第２のシャフト６を連結する、本発明に係る伝達継手１を示す。２本のシャフト４および６は、良好な潤滑、特にグリースによる潤滑を必要とする機械的伝達要素（詳細には図示せず）によって連結される。この継手レベルでのこの潤滑剤の密封は、ブーツ２によって保証され、このブーツ２は、その小さい端部が、継手の雄型要素５と一体となったシャフト４に固定されており、その大きい端部が、シャフト６と一体となった継手の雌型要素７の外周に固定されている。
【００１４】
このブーツは、塑性材料からできた弾性膜から構成されているブーツ本体１０を含み、シャフト４から遠くなるにつれて直径が増大している複数のプリーツを有する。ブーツの端部のそれぞれは、ビード１１、１２の形態をしている。
【００１５】
ビード１１、１２の内側面は、関連要素の外周に対しシール性のあるように圧締めされるよう意図されている。図１では、ビード１１はシャフト４上に、ビード１２は雌型要素７上に、圧締め接触状態で取付けられている。
【００１６】
さらに、図１および図２に示した例では、継手は、互いに１２０°の角度で離間したフォロワ８を備えた３つのトラニオンを雄型要素５が有するトライポッド型継手である。雌型要素７は、それぞれがフォロワ８を受け入れるよう意図された陥凹部９を有する。したがって、図２において示されるように、断面では、雌型要素７のシャフト６の軸に対する外周形状（external profile）は３つのローブ付き形状であり、これらの陥凹部９の外周形状からなる。継手のシールを保証するために、ビード１２の内周形状（internal profile）は、継手の内側が先に述べた雌型要素７の外周形状に相補的であるようにして、継手の内側の方に向いた所定数の突起を有する。したがって、示した例では、ビード１２は、３つのローブ付き形状の内周形状を有し、外周形状が円形部分を有する。
【００１７】
図３は、本発明に係るブーツ２のビード１２、固定要素２２、および継手の内側で最も遠い雌型要素７の端部を示している。
【００１８】
ビード１２は、ブーツ本体１０とビード１２との間に遷移部を形成する半径方向アウターショルダ１６を有する。ビード１２は、ショルダ１６からその端部にかけて、固定要素２２を受け入れるよう意図された支持面２０を有する。支持面２０は略円筒形であり、ビード１２と同軸にある。ビード１２の長手方向断面の内周形状は、継手の内方に向けられた複数の略Ｖ字形の突起２１を有する。これらの突起２１は、ビード１２が関連要素７に取り付けられ圧締めされたときに、シールラインを形成するよう意図されている。
【００１９】
固定要素２２は、鋼またはアルミニウムからできた閉じたリングの形態をしている。
【００２０】
雌型要素７の外周面は、雌型要素７の端部近くに配置された環状溝２３を有する。このキャビティ２３の長手方向断面形状は、上述したシールラインを形成するためにビード１２の内周形状の突起２１と協働するよう意図されている。
【００２１】
ブーツ２の取付けはまず初めに、シールすべき継手の要素４、７上にこのブーツを位置決めすることからなる。雌型要素７上のビード１２の取付けの詳細のみを例示として以下に記載するが、シャフト４上のビード１１の取付けは類似していることが理解される。
【００２２】
固定要素２２は、次に、わずかな半径方向遊隙がある状態でビード１２に嵌合され、図３ｂに示されるように、位置決め止め部としてショルダ１６を用いて、固定要素２２が支持面２０に面する位置にくるように長手方向に位置決めされる。
【００２３】
最終的に、固定要素２２は、半径方向に支持面２０を圧縮するように据え込み（スエージ加工）され、したがって、ビード１２から締付力を関連要素７にかける結果、半径方向に突出する端首部２４をビード１２の端部に出現させる。要素７上のビード１２の取付け状態は、図３ｃに示される。閉じたリングが固定要素２２として用いられる場合には、圧締め（clamping）は、リングの外周面にわたって均一の円周力（pheripheral force）をかけることからなる。既に実際にビード１２と単純接触しているリングは、次に、収縮によって可塑的に変形され、圧縮（crimping）によってビード１２に食い込んで、支持面２０を押しつぶし、端首部（end neck）２４を出現させる。
【００２４】
本発明のよりよい理解を助けるために、図５は、図３ｂと同一の図を示すが、図５においてブーツ２は、従来技術に従っている。ブーツ２のビード１２は、前と同じ要素を有しているが、ビード１２の端部に位置した、外方に向って半径方向に延出する端首部２８もフリーな状態において含む。図５に示したようにブーツの圧締め（clamping）前の取付けは、支持面２０に面して位置される前に固定要素２２がわずかな半径方向遊隙をもって首部２８を乗り越えて、ビード上に適合される。
【００２５】
本発明に係るブーツのビードは、フリー状態では、端首部ではなく端部の表面を支持面２０の延在部に有しているため、固定要素２２を支持面２０と接触させるのに、取付けの時点で固定要素２２の本来の変形は必要ではない。取付時の要素２２は、この表面２０の直径よりもほとんど大きくない内径を有する。また、ビードと対応シャフトとの間の同程度の圧締め（clamping）では、本発明によるブーツを含む継手１は、従来技術に属する同じタイプの継手に関して、固定要素２２の変形の度合い、すなわちフリー状態と圧締め取付け後とでの固定要素２２の内径の差を小さくさせる。結果として、ビードの圧締めの確実性と再現性とが改善される。
【００２６】
図４ａは、本発明の第２の実施形態を示す。この実施形態によるブーツ２のビード１２は、図３ａに示した第１の実施形態に属するビードと同じ要素、すなわち支持面２０および半径方向アウターショルダ１６を含む。しかしながら、支持面２０はまた、円形溝２６も有する。
【００２７】
この第２の実施形態によるブーツ１２の取付けは、図４ｂに示されている。この取付けは、第１の実施形態の取付けと同じである。
【００２８】
有利には、図４ｂに示すように、溝２６が固定要素２２の内周面の長さに略等しい距離のところに配置される場合、溝２６は、固定要素２２の長手方向の位置決めに対し視覚的な基準目印として役立つ。溝２６に関したこの位置決めにより、圧締め前のショルダ１６と固定要素２２との間にわずかな軸方向の遊隙が存在し得る。
【００２９】
固定要素２２の圧締めが図４ｃに示されており、図３ｃの場合と同じ表現で記載されている。固定要素２２の圧締め（clamping）は、止め部をなす端首部２４を出現させるとともに、押圧された支持面２０の溝２６を部分的にまたは全体的になくすようにさせる。
【００３０】
したがって、本発明の２つの実施形態では、固定要素２２が取付けられて圧締めされたときに、伝達継手１はシャフト、あるいはシャフトと部分的に一体となっている部分のそれぞれに対しシール接触状態で固定されているブーツを有しており、固定要素の各サイドには突起止め部がある。
【００３１】
円形溝２６の存在はまた、固定要素２２によって押しつぶされた支持面２０の下に配置された材料の体積圧縮の間、ビード内の固定応力のより均一な分布を可能にする。
【００３２】
ビード１２の外周面の断面形状は、円形断面に限定されず、その部分のすべてにわたって略一定の材料の厚さを圧締めされたビードが有するように、外側の方に向いた、特に雌型要素７の陥凹部に面した突起を有してもよい。その場合、リング２２は、取付時では、対応する非円形断面を有する。したがって、締付け圧力（clamping pressure）は、ビードを構成している材料内でより均一になるようにして分布される。
【００３３】
変形として、閉じたリングは、固定要素２２としてラグ鍔部（lug collar）と代替することができる。この場合、圧締めは、ラグの基本レベルで締付け力（pinching force）をかけることからなり、このラグには、既に実際にビード１２と単純に接触状態にある鍔部が従来的に設けられる。ラグの締付けにより、鍔部の内径が縮小し、ビード１２に食い込む結果、端首部２４が出現する。
【００３４】
最後に、本発明は、本明細書に記載の実施形態におけるような３つの対称（ternary symmetry）を有するものに適用するだけでなく、任意の伝達継手にも適用する。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】太く印字された軸線によって境界を画された部分が長手方向部で表されている、本発明による伝達継手の側面図である。
【図２】線ＩＩ−ＩＩに沿った、図１に示した継手の断面図である。
【図３ａ】図１の円形ゾーンＩＩＩに対応する長手方向部の単純化された図であり、本発明によるブーツの端部、取付け前の固定要素および雌型要素を示しす図である。
【図３ｂ】図１の円形ゾーンＩＩＩに対応する長手方向部の単純化された図であり、固定要素の圧締め前に互いに位置決めされたこれらの要素を示す図である。
【図３ｃ】図１の円形ゾーンＩＩＩに対応する長手方向部の単純化された図であり、継手の雌型要素に圧締めされたブーツの端部の最終状態を示す図である。
【図４ａ】図３ａに類似しているが、本発明の第２の実施形態による継手に関した図である。
【図４ｂ】図３ｂに類似しているが、本発明の第２の実施形態による継手に関した図である。
【図４ｃ】図３ｃに類似しているが、本発明の第２の実施形態による継手に関した図である。
【図５】図３ｂに類似しているが、従来技術の継手形成部に関した図である。

Claims (11)

1. シャフト（４）の外周、またはシャフト（６）と一体となった伝達継手の要素（７）の外周とのシール接触を保証するよう意図されたビード（１１、１２）を各端部に設けられたブーツ本体（１０）を備えるタイプの、２本の前記シャフト（４、６）を連結する前記伝達継手のシールを保証するよう意図されたシールブーツであって、
   前記各ビードは、前記ビード（１２）と前記ブーツ本体（１０）との間に遷移部を形成する半径方向アウターショルダ（１６）と、該ショルダ（１６）から延在し、前記シャフトまたは関連の前記要素に対して前記ビードをシール固定するように要素（２２）を受け入れるよう意図された支持面（２０）を含む、シールブーツにおいて、
   前記支持面（２０）は、前記ビード（１１、１２）の端部まで外径が増大することなく延在すること、および、前記ショルダ（１６）は、前記固定要素（２２）を取付ける際の長手方向の位置決めのための止め部をなすようになっていることを特徴とする、シールブーツ。
2. 前記ビード（１１、１２）は、外形的に回転体であり、前記支持面（２０）は、略円筒形であることを特徴とする、請求項１に記載のブーツ。
3. 前記支持面（２０）は、円形溝（２６）を含む、請求項１または２に記載のブーツ。
4. 前記円形溝（２６）は、前記ショルダ（１６）から、前記固定要素（２２）の内周面の長さに略等しい距離のところに配置され、前記固定要素（２２）を取付ける際の長手方向の位置決めのための視覚的な基準目印をなすよう意図されていることを特徴とする、請求項３に記載のブーツ。
5. ２本のシャフト（４、５）と、
   前記２本のシャフトを連結する関節式伝達要素と、
   伝達継手のシールを保証するよう意図されたシールブーツ（２）と、
   シャフト（４）上に、またはシャフト（６）と一体となった伝達継手の要素（７）上に前記ブーツの各端部を固定するための、該各端部に圧締めされる２つの固定要素（２２）と
   を備えるタイプの伝達継手であって、
   前記シールブーツ（２）は、請求項１ないし４のいずれか一項に記載されているものであること、および、端首部（２４）は前記各固定要素（２２）の外周面の上に前記ブーツの前記ビード（１１、１２）から半径方向に突出することを特徴とする、伝達継手。
6. 前記ブーツは、請求項３または４に記載されているものであること、および、前記各固定要素（２２）は、前記ブーツ（２）の前記ビード（１１、１２）の関連の支持面（２０）を圧縮する結果、該支持面（２０）の前記円形溝（２６）を少なくとも部分的になくさせることを特徴とする、請求項５に記載の伝達継手。
7. 前記固定要素（２２）は、関連の前記ビード（１１、１２）上に据え込み圧縮された閉じたリングであることを特徴とする、請求項５または６に記載の伝達継手。
8. 前記固定要素（２２）は、関連の前記ビード（１１、１２）に圧縮された、締め付けられたラグ鍔部であることを特徴とする、請求項５または６に記載の伝達継手。
9. ２本のシャフト、伝達継手のシールを保証するよう意図されたシールブーツ（２）、およびシャフト（４）上に、またはシャフト（６）と一体となった前記伝達継手の要素（７）上に前記ブーツの各端部を固定するための２つの要素（２２）を備えるタイプの伝達継手を形成するために、シールブーツを固定する方法であって、
   前記２つの固定要素（２２）は、
   関連の前記端部に前記固定要素（２２）を嵌合するステップと、
   関連の前記端部に対して前記固定要素（２２）の長手方向の位置決めをするステップと、
   前記固定要素（２２）を圧締めするステップと
   からなる連続ステップによって前記端部のそれぞれに各自取付けられる、固定する方法において、
   前記シールブーツ（２）は、請求項１ないし４のいずれか一項に記載されているものであること、および、取付時の前記固定要素（２２）は、前記ビード（１２）の前記支持面（２０）の外径に略等しい内径を有することを特徴とする、方法。
10. 前記固定要素（２２）は、閉じたリングであること、および前記圧締めステップは、前記リングの外周に均一の力をかけることによって前記リングを据え込みすることからなることを特徴とする、請求項９に記載の方法。
11. 前記固定要素（２２）は、ラグ鍔部であること、および、前記圧締めステップは、前記ラグの基部を締め付けることからなることを特徴とする、請求項９に記載の方法。

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