JP2004518269A - 冷却装置及びその製造プロセス - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却される対象体(6)と熱接触関係にある吸熱面と、放熱面とを備える基板(1)を有する、マイクロプロセッサーのような電子部品用の冷却装置を提供することである。
【解決手段】放熱面は所定の連続する通路(2)型の構造を有して、吸熱面よりその面積がはるかに大きい。少なくとも吸熱面、しかし望ましくは、放熱面の全部または主要一部は、熱伝導材料からなる薄いコーティング(3)により形成される。その表面が、例えば金属または金属酸化物からなる微細粒子(21)によりコーティングされることによってその表面領域が拡張される。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却装置及びその製造プロセスに関する。特に本発明は、電気及び電子部品を冷却するための受動型冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばマイクロプロセッサーのような電気および電子部品は、エネルギーを放散する。このようなエネルギーは部品の動作効率を制限したり低下させたりする。例えば、マイクロプロセッサーの動作温度が、100℃から0℃に減少すれば、クロック周波数は30%以上増加する。消費電力の増加に加えて、過熱は部品故障の原因になる。このような過熱は、また、部品の耐用年数を低下させる。一般的に、電子部品により発生される熱を、冷却および放熱するためには、例えばリブ付きのヒートシンクおよび/またはモーター付きのファンのような受動および能動冷却装置を使用する。ヒートシンク(必要であればファンと共に)は、その回路基板が微細配線のクラックの原因になる応力を受けないようにするために、なるべく軽量であることが望ましい。ファンのような能動冷却装置には、短所がさらに多い。これは、電気エネルギーを必要とし、より大きい空間を必要とし、ノイズを発生させ、初期費用が比較的高くて運用費用を必要とする。能動冷却装置が故障すれば、マイクロプロセッサーのような部品らは、警告もなしに、すぐ熱を発生させてその部品が損傷を受けたり破壊されたりすることがある。
【0003】
DE 196 26 227 C2には、”ヒートパイプ”の原理によって動作する冷却装置が開示されている。ヒートパイプ構造は、本来の位置から他の位置に熱を伝達するのに使用するものである。蒸発潜熱の高い液体は、装置の高温領域で蒸発する。蒸発によって生じた圧力によって、蒸気は装置の冷たい部分に移動する。この冷たい部分で、蒸気が液体に凝縮されて、伝えられた熱を発散する。この凝縮液は、蒸発位置にまた戻り、これによって閉鎖ループ上を循環するようになる。このような冷却装置の製造と配置過程は複雑で、費用がたくさん発生する。
【0004】
DE 197 44 281 A1には、ヒートパイプ原理、即ち冷却剤で飽和されている数個の毛細管構造を特徴とする、ハウジングを有するヒートパイプ構造によって、半導体部品を冷却するための冷却装置が開示されている。この毛細管構造の浸透率、断面積および有効孔径が調整されて、毛管圧力を高くする。ハウジング内には、断面積が毛細管構造の断面積より大きい付加の通路があり、この通路は毛細管構造よりはるかに低い毛管圧力を示す。そして、その製造と配置もまた高価である。
【0005】
DE 196 41 731 A1には、少なくとも2個の電極を備えたアーク型発電機を冷却するための装置が開示されている。ここで、少なくとも2個の電極の中で、少なくともひとつは対応する多孔性のヒートシンクを備えている。多孔性ヒートシンクは焼結素子で形成され、この素子は鋳型中でプレスされて、陽極に挿入されるか、機械加工されるか、する。スポンジ型の多孔性ヒートシンクには微細通路があり、この通路を通じてガスが流れる。生成された熱が燃焼処理に供給されるように、ヒートシンクを利用することによって、熱損失が最小化される。このようなヒートシンク用に適切な材料としては、タングステンが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、前記従来技術の短所を克服し、冷却能力に優れかつ高い費用効率により製造できる冷却装置を提供することである。本発明の他の課題は、このような冷却装置を製造するプロセスを提供することである。
【0007】
これらの課題は、それぞれ特許請求の範囲の請求項1および請求項13に記載する特徴により解決される。本発明の有利な構成と改善事項は、従属項に記載されている。
【0008】
本発明の基本原理は、冷却装置が所定構造を有し、その突起面に比べて表面積が大きい基板だということにある。望ましくは、構造化基板の表面の少なくとも一部分に熱伝導層が形成される。望ましくは、基板の所定構造は、例えばその厚さ方向にのびている適切な形状の複数の通路を有し、吸熱面に対する放熱面の比が非常に大きく、その比率の大きさが700以上となることもできる。所定構造とは、従来技術の焼結体とは違って予め決められかつ再現できる、通路の形状、大きさ、個数、および空間分布に関係し、本発明の冷却装置もこのような再現可能な冷却能力を有している。
【0009】
原特許は、放熱面が所定構造によって吸熱面よりはるかに大きいということによって、これらの課題を解決している。この構造は、基板を貫通してのびている通路によって、この領域に形成されることが望ましい。この領域の一部またはすべての表面が熱伝導コーティングを備え得ることが望ましい。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本出願は、放熱面が粗い表面を持つことによってその表面がもっと広くなるということによって、原特許による解決策を改善している。これは、熱伝導性が良い材料からなる微細粒子を塗布することによって具現されることが望ましい。このような塗布は構造化基板または熱伝導コーティング上に直接行われる。粒子の大きさは数μmまたは数nm以下である。熱伝導特性のある、このような粒子はAl、Cu、Ag、Auで形成され、または酸化鉄のような金属酸化物からなる。個別粒子の代わりに、スポンジのような多孔性の薄膜酸化物層を塗布することもできる。
【0011】
製造プロセスは、望ましくは所定の形状、大きさ、個数、および空間分布を有する通路を備えた所定構造の基板を形成する段階と、本発明の改善によって、熱伝導層を前記構造化基板の表面の少なくとも一部分に形成する段階を含む。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記基板は、シリコンまたは同様の材料からなる。基板の構造の形成は、半導体産業においては公知のエッチングプロセスをもって行う。構造、特に通路は、例えば通路の個数、寸法、形状、そして空間配置および空間分布が予め決められるといったような、正確に定義された方式により形成される。これらのパラメータの選択により、400乃至700またはそれ以上の吸熱面に対する放熱面の比を得ることができる。これが意味することは、1cmの熱源面(吸熱面)に対して、放熱可能な表面積が400乃至700cm またはそれ以上になるということである。このような方式によって、大量の熱を熱源から非常に簡単に放出できる。
【0013】
熱伝導層は、熱伝導性が高い材料、例えば、銀、銅、アルミニウムまたは同様の材料からなる。この層は基板に比べてその厚さが薄く、その比率が50%以下であることが望ましい。
【0014】
本発明の一構成によれば、吸熱面は通路の形態をもって構成され、この通路は吸熱面に平行に形成されて基板の厚さ方向にのびている通路と流体連通状態にあることが望ましい。このような方式によって、例えば、空気またはその他気体や液体のような周辺の冷却剤を、熱除去用で通路に流れるようにすることによって、熱輸送能力が向上する。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1において、基板1は、その厚さ方向にのびている複数の通路2を具備することを特徴とする。ここで、基板は長方形体であり、その一面は熱伝導材料からなる層3を備えている。以下、その面は吸熱面と記載する。その面は冷却される対象体6、例えば、マイクロプロセッサー、チップ、他のタイプの電子または電気部品、あるいは他のタイプの冷却を必要とする物体と直接接触されている。
【0018】
基板1はシリコンまたは同様の材料からなる。基板の構造、即ちここでは通路2は、適切なリソグラフィおよびエッチングプロセスにより形成される。したがって、このような構造は、通路2の配置または空間分布とともに、その個数および寸法を予め定めるという観点から、厳格に定められた方式により形成される。これらのパラメータを選択することによって、400乃至700またはそれ以上の吸熱面に対する放熱面の比を得ることができる。ここで、放熱面とは、基板の表面4だけでなく複数の通路2の内面を意味する。この内面は非常に大きい領域である。吸熱面を除外した、側面と内面4が、放熱面を形成する。
【0019】
熱伝導層3を備えた基板は、望ましくは、熱伝導化合物、例えば熱伝導粘着剤を使用して熱源6に付着している。しかし、熱伝導化合物の材料は、前記熱伝導層の材料と同一であり得るが、必ずしも同一である必要はない。通路2の径は吸熱面に比べて非常に小さく、望ましくは10−50μオーダーである。
【0020】
吸熱面に対する放熱面の比が、1よりはるかに大きく、望ましくは100よりもはるかに大きい。
【0021】
熱伝導層3の熱伝導率は非常に高い。熱伝導層3は、例えば銅からなることができる。銅は、その熱伝導性がアルミニウムより非常に高い反面、その比重量もアルミニウムより非常に高い。これによって、完全に銅からなるヒートシンクは重くなり、よって、例えばコンピュータのマザーボードのような回路基板には機械的負荷がかかるようになる。本発明において、熱伝導層3は、その厚さが基板1の厚さに比べて薄く、基板1の厚さは1mmのオーダーであるが、熱伝導層3の厚さはただ10μ未満であることが望ましい。したがって、例えば銅のような熱伝導材料からなる薄層の場合には、冷却装置の全体重量が非常に低いので機械的応力の問題を無視できる。熱源6と冷却装置との間の接触は全面的でなければならない。即ち、冷却装置は、熱源6の全領域にわたって接触しなければならない。これによって、流体または半流体様態の熱伝導層3の塗布を行った後、能動または受動的にこれを固着させる。熱伝導層を流体または半流体様態で塗布することによって、基板と熱源との間には最適の接触状態を維持できる。熱源の表面は、一般に完全に平らでも滑らかでもないために、基板と熱源との間に点接触だけを発生させてこれらの部品間の結合を弱化させる熱源表面の不均一は、流体または半流体の熱伝導層により補償される。前記熱伝導層は、例えば、シリコン、熱伝導ペースト、アルミニウム、銅、銀などのようなの色々な材料からなることができる。
【0022】
冷却装置の大きさは比較的小さいが、その面積は冷却される対象体6の放射領域にほぼ対応する。したがって、その厚さはベースの長いエッジの長さよりはるかに薄く、望ましくは1mmの範囲にある。これによって、熱伝導経路は非常に短くなる。それは熱源または吸熱面と、全体的に非常に大きい放熱面の間の熱結合を良くなるようにする。したがって、非常に迅速な熱伝逹が行われて優れる冷却能力を得るようになる。
【0023】
熱源6からの熱の散逸は、最も単純な場合は構造化基板1の熱伝導層3で受け入れたエネルギーを、例えば空気のような周囲の媒体に伝達することによって行われる。周囲媒体は加熱され、構造化基板を通して流れ大気に移動する。それは、熱源の動作後には継続して加熱されるので、徐々に対流現象が発生する。放熱面、即ち通路2の内壁、表面4、側面全体が、熱伝導層により被覆される場合には、さらに改善される。ここで、多様な変形例が考案でき、その実例を図2a乃至2fに図示する。
【0024】
図2aにおいては、基板1の全面を熱伝導層、即ち下面を層3で、通路2の内壁を層7で、そして表面を層8で被覆する。
【0025】
図2bの実施形態においては、下面を層3で、そして通路2の内壁を層7で被覆であるが、表面4は被覆しない。
【0026】
図2cの実施形態においては、基板1の下面全体を層3で被覆、即ち通路2の下面も層3で密封する。そうでなければ、図2aのように、他面全体が被覆されてしまう。
【0027】
図2dの実施形態においては、通路2は層3で密封するが、表面4は被覆しない。
【0028】
図2eの実施形態においては、基板1の下面全体を被覆して、通路2が層3により、下部側に密封されるようにする。他面は被覆されない。
【0029】
図2fにおいては、下面だけが層3を備えて、通路2が下部側に開放されるようにする。他の全ての面は被覆されない。
【0030】
図1および図2において、通路の断面形状は長方形である。もちろん、通路の断面形状は円筒の形状やその他任意の形状を持てる。
【0031】
通路における加熱された媒体の垂直方向の流れを支援するために、通路の断面形状は、図4aに示したように、テーパ形状、即ち通路の径が、例えば吸熱面から表面側に減少する形状でありうる。このような形状によって、通路においては冷却剤(例えば、空気)のスピードと関連して、圧力降下が発生し得る。通路の上部領域における圧力が低くなれば、加熱された媒体が容易に除去されて、冷却装置の冷却効率が高まる。通路の断面積が長さ方向に対して変化する場合、流体の全経路の長さにわたって希望の流れ方向に減少するように通路の寸法を設計すれば、対流現象が特に良くなる。したがって、図4aにおいて、好ましい流れの方向は、冷却される対象体6から通路2を経由して表面4の方向である。ベルヌイ方程式は次の関係式を提供する。
【0032】
p−p = 1/2ρV [A/A − 1]
【0033】
AとA、及びpとpは、通路において空間的に分離されている二つのポイントの断面積とブリッジを示す。Vは通路における流体の流量である。
したがって、流体の流れは必ず垂直方向である必要はなく、上から流れて側面へ向かうこともできる。
【0034】
図4bにおいて、通路2は冷却される対象体6に隣接した領域に近接し、表面4側方向に向かうにつれて拡張している。これによって、逆煙突効果が現れる。
【0035】
また、他の形状の通路も当然考慮し得る。
【0036】
構造化基板は、色々な方式により製造されることができる。一つの方式は、多様なエッチングプロセスにより、基板に構造を形成する。基板に構造を形成する他の方式は、基板上に構造を転写するために、スタンピングプロセス(熱間または冷間)を使用する。これらの2種類の基本的に異なるプロセスは、組合せて使われることもできる。例えば、連続する孔や通路がある部分構造は、エッチングプロセスにより製造され、その構造と熱源との間に提供される省略可能な構造化基板はスタンピングプロセスにより製造されることができる。
【0037】
前記基板の構造を形成する他のプロセスは、公知のLIGAプロセス(lithography and electroforming)である。このプロセスは、深い垂直構造の製造にも適合する。略1mm(=1000μ)までの深さを得ることができる。ここで、熱伝導材料に被覆される材料(例えば、プラスチック)からなるキャリア層を直接成形できる。このような変形例において、即ちLIGAプロセスにより全冷却装置用の素子を製造するためには、エッチング段階を必要としない。これによる利点は明らかである。このようなプロセスの変形例に必ず必要な段階は、マスク製造、リソグラフィ(例えば、X線リソグラフィ)、電気鋳造、鋳型からの除去、例えばプラスチックによる充填、鋳型からの除去である。プラスチックの外形はマスクと同一である。前記プラスチックの外形は、熱伝導材料により被覆される。電気鋳造により生成された外形は、熱伝導コーティングを備えたプラスチックからなる追加の冷却装置に対する製造モデルとなる。他の方法においては、前述した全てのことが有効となり、前述したプロセスの全部または個別部分が採択されたり含まれたりすることができる。
【0038】
熱伝導層または層らは、蒸気蒸着により形成されることができる。これによって、熱源と冷却装置との間に優れた接触が生成される。何故なら、このプロセスはそれらの部品間に空洞が形成されることを防止するからである。
【0039】
テーパ型通路の形成は、一般的に、例えば異方性の湿式化学エッチング剤により行われる。この時、V字型の凹部は[100]シリコンにより、そしてU字型の凹部は[110]シリコンにより形成されることができる。
【0040】
図3は、本発明の改良事項であり、ここで基板の吸熱面は、通路2と、媒体の流れによって接続するスロットまたは溝9とを備える。このような方式により、冷却剤、例えば常温の空気は、これらのスロット9に流れ、冷却される対象体の表面から通路2に熱を伝達して放出できる。
【0041】
図3の実施形態において、冷却装置は二つのパートから構成される。第1パートは、前述の構造化基板1である。本実施形態の冷却装置の第2パートは、第2基板10である。前記基板10は、熱源と第1基板1との間に配置され、スロットや溝を備えた通路構造であることを特徴とする。ここで、これらのスロット9は、互いに平行であり、熱源の表面に平行であり、よって自然に前記第1基板の下面にも平行に形成されている。前記構造に対して他の構成も可能なことは明らかである。第2基板10は、熱放出用の周囲媒体の供給を増進させる機能を有する。停止動作から見ると、これは煙突の放出口の形態を形成して、熱源からの熱は連続する対流により放出される。第2基板10は、望ましくは第1基板1より薄く、その下面に熱伝導層3を備える。ここで、二つの変形例が可能である。一番目の変形例では、図3にスロット9’と通路2’が明確に示されているように、そのスロットや溝9が通路と媒体の流れにより接続され、第2基板10には垂直に形成されている開口または孔が存在することである。二番目の変形例では、図3において通路2”により示されているように、スロット9と通路2との間に媒体の流れによる接続がないことである。
【0042】
図3の実施形態とは違って、通路2とスロット9とを備える冷却装置の全体は一つの部品により形成されることもある。これは順にエッチングプロセスを行うことによって可能である。図3の二つのパートの構造においては、二つの基板1および10は、別途に構成された後、熱伝導のために、例えば熱伝導粘着剤により互いに整列接続される。コーティングの形成は図2の実施形態と同様に行われる。熱源がマイクロプロセッサーまたはその他電子部品であれば、本発明の冷却装置はマイクロプロセッサーの製造中にマイクロプロセッサー上に形成されることができる。特に、マイクロプロセッサーがシリコンチップに装着される場合には、冷却装置をマイクロプロセッサーに一体化できる。これによって、製造段階の数が減少し、冷却装置をマイクロプロセッサー上に装着するための調整費用が減少し、生産力が促進され、プロセッサー製造の生産量が増加し、よって全体費用が減少する。冷却装置をマイクロプロセッサーのような熱源に一体化すれば、当業者に公知である簡単な方式、即ち前述のエッチングおよびリソグラフィプロセシングにより、熱源の全面に対して冷却装置を具現できる。所望の場合には、冷却装置をマイクロプロセッサーの内側に陥入した形態で形成することもできる。即ち、冷却装置の上面とマイクロプロセッサーの上面が、同一面上にあるようにすることができる。
【0043】
図5において、基板11は、その厚さ方向にのびている複数の通路12を備えている。ここで、基板は、その一面が熱伝導材料からなる層13を備える長方形体である。前記面は、以下では吸熱面と記載される。前記面は、冷却される対象体16、例えばマイクロプロセッサー、チップ、他の形態の電子または電気部品、あるいは他の形態の冷却されるべきボディーと直接接触される。
【0044】
基板11は、例えばシリコンや同様の材料からなる。基板の構造、即ち通路12は、半導体産業で使用されるプロセスである、リソグラフィとエッチングプロセスにより形成される。このようにして、構造の形成は正確に定義された方式、例えば通路12の個数、寸法、そして配置または空間分布が予め決められる方式により行われる。これらのパラメータの選択により、吸熱面に対する放熱面の比は、例えば400乃至700またはそれ以上であり得る。ここで、放熱面は、基板の表面14だけでなく、それよりはるかに広い複数の通路12の内面を含む。吸熱面を除いて、これらの内面、表面14と共に側面が、放熱面を形成する。構造化基板に関連する原特許に図示されているすべての実施形態が可能であり、その内容は本発明に含まれる。
【0045】
また、放熱面の少なくとも一つの面、しかし望ましくはすべての放熱面は、通路を含めてその表面が粗い。このような粗さは、例えば熱伝導粒子21を構造化基板上に塗布することによって形成される。これらの粒子は基板上に直接塗布されることができる。基板の表面の一部に熱伝導層13を形成すれば、これらの粒子21は熱伝導層13にも塗布される。このように表面を粗くすることによって、放熱面はもっと広くなる。拡張計数は、図1乃至図4と比較して少なくとも2、望ましくは10またはそれ以上である。これによって、吸熱面に対する放熱面の比は、1000乃至7000またはそれ以上であり得る。
【0046】
粒子21の寸法は、数μmまたはその以下のオーダーであり、特に数nmの範囲に下がったりもする。このような粒子は、例えば酸化鉄のような金属酸化物からなる。他の材料などもまた可能である。
【0047】
個別粒子の代わりに、スポンジのような多孔性の薄膜酸化物層を塗布することもできる。
【0048】
表面の拡張によって、表面と空気のような流体との間の熱結合能力が向上する。また、熱放射も向上する。シュテファン ボルツマン法則によれば、放射能力は放射表面、即ち放熱面積とその温度の4乗(T)に比例する。したがって、Tの周囲温度に対する温度Tのボディーの放射能力は次のように表現される。
【0049】
Pnet = eσA (T−T
【0050】
ここで、eは放射率((0≦e≦1)であり、σはシュテファン ボルツマン定数(= 5.6703 × 10−8 W m−2−4)である。コーティングの物質特性は放射率eに含まれている。
【0051】
良好な放射率eは、気化処理により被着される金属(Al、Cuなど)または酸化化合物により達成される。
【0052】
図6は、基板11の断面を示す略断面図である。ここで、通路12は基板を貫通して形成され、通路の側壁は垂直に傾いている。断面形状において、通路の壁は熱源から遠ざかる方に傾くように形成される台形である。例えば基材であるシリコンに対して台形構造(角錐台)が成す固有角度は、54.76度である。この角度は、結晶面の位置における対応する変化によって変動し得る。ここで、通路の壁も粒子21により被覆されてその熱放射面を拡張させる。通路の壁が熱伝導層17により被覆される場合には、粒子21がその層に塗布される。これらの粒子は、熱伝導層18を備えた表面14と熱伝導層13を備えた下面とに塗布される。
【0053】
冷却装置が熱源と一体化しない場合には、冷却装置は、前述のプロセス中の一つにより、個別冷却装置の間に短い距離をおきつつも、部分的には連続するように全面にわたって付着できる。
【0054】
本発明による冷却装置は、マイクロプロセッサーとは違った形態の熱源についても使われ得ることは自明である。冷却機能を行う付加の支援装置、即ちファンやその他換気装置も当然使われ得る。また、本発明による冷却装置が、熱源から空間的に分離するように配置でき、熱伝導体を通して熱源に接続されるようにすることができる。
【0055】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることができる。そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0056】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、適切なパラメータの選択により、400乃至700またはそれ以上の吸熱面に対する放熱面の比を得て、大量の熱を熱源から非常に簡単に放出できる。
【0057】
また、本発明によれば、吸熱面が通路の形態を有し、この通路が吸熱面に平行に形成されて基板の厚さ方向にのびている通路と連結されて、周辺の冷却剤を熱除去用で通路に流れるようにすることによって、熱輸送能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による冷却装置の斜視図である。
【図2】aからfは多様な変形例の熱伝導層を備える図1の冷却装置の断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による図1と同様の斜視図である。
【図4】aおよびbは相違の断面の垂直通路を有する図3と同様の斜視図である。
【図5】本発明による冷却装置の斜視図である。
【図6】傾斜している通路壁を備える本発明による基板の略断面図である。
【符号の説明】
1,11 基板
2,12 通路
3,13 熱伝導層
6,16 対象体
7、17 熱伝導層
8,18 熱伝導層
9 溝
10 第2基板
21 粒子

Claims (36)

  1. 冷却される対象体(6)と熱接触関係にある吸熱面と、放熱面とを備える基板(1)を有する冷却装置であって、前記放熱面は、所定の構造(2)によって前記吸熱面よりはるかに大きいことを特徴とする冷却装置。
  2. 前記吸熱面に対する前記放熱面の比は、10より大きいことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  3. 前記吸熱面に対する前記放熱面の比は、約400乃至700、またはそれより大きいことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  4. 前記構造は、前記基板を貫通してのびていて、前記吸熱面に略垂直な通路(2)により形成されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  5. 少なくとも前記吸熱面は、熱伝導材料からなるコーティング(7)を具備することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  6. 前記通路(2)の内壁は、熱伝導材料からなるコーティング(7)を具備することを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
  7. 前記吸熱面と向き合っている前記基板(1)の表面(4)は、熱伝導材料からなるコーティング(8)を具備することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  8. 前記通路(2)は、その断面形状が正方形、長方形、または円形であることを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
  9. 前記吸熱面は、溝(9)型の所定構造を有することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
  10. 前記溝(9)は、前記通路(2)と媒体の流れによる接続関係にあることを特徴とする請求項9に記載の冷却装置。
  11. 前記溝(9)は、互いに平行し、前記吸熱面にも平行していることを特徴とする請求項9に記載の冷却装置。
  12. 前記基板(1)と熱伝導による接触関係にある第2基板(10)を備え、前記第2基板(10)は、溝(9)を具備し、熱伝導材料(3)からなるコーティングにより被着されることを特徴とする請求項9に記載の冷却装置。
  13. 前記第2基板(10)は、前記第1基板より薄いことを特徴とする請求項12に記載の冷却装置。
  14. 前記通路(2)は、その断面形状が前記通路の縦方向(媒体の流れ方向)に変化することを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
  15. 基板の所定の構造を形成する段階を備えることを特徴とする冷却装置の製造プロセス。
  16. 前記基板の構造は、通路をエッチングすることによって形成されることを特徴とする請求項13に記載の冷却装置の製造プロセス。
  17. 前記基板の構造は、代替または付加段階としてスタンピングプロセスを行うことによって形成されることを特徴とする請求項13に記載の冷却装置の製造プロセス。
  18. 前記基板の構造は、リソグラフィおよび電気鋳造を用いるプロセスにより形成されることを特徴とする請求項13に記載の冷却装置の製造プロセス。
  19. 熱伝導層は、前記所定構造化基板の表面の少なくとも一つの部分に被着されることを特徴とする請求項15に記載の冷却装置の製造プロセス。
  20. 前記熱伝導層は、蒸着により塗布されることを特徴とする請求項13に記載の冷却装置の製造プロセス。
  21. 前記熱伝導層は、銀、銅、アルミニウム、または少なくともこれらとほぼ同一の熱伝導性(λ)を有する材料からなることを特徴とする請求項13に記載の冷却装置の製造プロセス。
  22. 前記熱伝導層は、前記基板(1)より薄いことを特徴とする請求項13に記載の冷却装置の製造プロセス。
  23. 前記熱伝導層の厚さは、約10μであることを特徴とする請求項22に記載の冷却装置の製造プロセス。
  24. 前記通路は、異方性エッチングにより形成され、前記通路の径または断面形状は、その縦方向にわたって変化することを特徴とする請求項16に記載の冷却装置の製造プロセス。
  25. 冷却される対象体(16)と熱接触関係にある吸熱面と、放熱面とを備える基板(11)を有する冷却装置であって、前記放熱面は、所定の構造(12)によって前記放熱面よりはるかに大きく、粗くすること(21)によってより拡張されることを特徴とする冷却装置。
  26. 前記粗くすることは、被着される粒子(21)により行われることを特徴とする請求項25に記載の冷却装置。
  27. 前記粒子(21)は、熱伝導性があることを特徴とする請求項26に記載の冷却装置。
  28. 前記粒子(21)は、金属または金属酸化物粒子であることを特徴とする請求項27に記載の冷却装置。
  29. 前記粒子(21)の径は、マイクロメートルまたはナノメ−トルオーダーであることを特徴とする請求項26に記載の冷却装置。
  30. 前記粒子(21)は、前記構造化基板(11)に直接被着されることを特徴とする請求項25に記載の冷却装置。
  31. 前記粒子(21)は、前記構造化基板(11)上に被着されている熱伝導コーティング(13、14、17)上に被着されることを特徴とする請求項25に記載の冷却装置。
  32. 前記構造化基板(11)の断面形状は台形であり、その傾いた側壁も粒子(21)により被覆されることを特徴とする請求項25に記載の冷却装置。
  33. 前記放熱面の粗さ(21)は、スポンジ型の多孔性層を被着することによって行われることを特徴とする請求項25に記載の冷却装置。
  34. 基板の所定の構造を形成する段階を備え、粒子またはスポンジ型の多孔性層が前記基板の表面に被着され、その表面を粗くしてその表面領域を拡張させることを特徴とする冷却装置の製造プロセス。
  35. 前記粒子または前記多孔性層は、熱伝導材料からなることを特徴とする請求項34に記載の冷却装置の製造プロセス。
  36. 前記粒子または前記多孔性層は、金属酸化物のような金属化合物、熱伝導金属であることを特徴とする請求項35に記載の冷却装置の製造プロセス。
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