JP2004518090A - 腐食性流体に使用される容器のポートのシールシステム - Google Patents

腐食性流体に使用される容器のポートのシールシステム Download PDF

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Abstract

腐食性流体を貯留する容器についてのシールシステム、シールシステム構成部材及び製造方法及び使用。シールシステムは容器のポート、インサート及びシール部材を有する。シール部材は腐食性の危険流体に対して耐性を有するとともに実質的に不透過性であり、浸出可能な不純物が実質的に存在せず、約70から95のショアーA硬度を有する材料で形成されている。シールリング用の好ましい材料はポリオレフィンとして知られるクラスの材料である。インサートはポート及びシール部材と作動可能に係合可能であり、シール部材と第1及び第2のシール面との間にシールを形成して、流体がポートを通過するのを防止する。

Description

【0001】
関連出願
本出願は2001年1月25日に出願された米国仮特許出願第60/264,207号に対して優先権を主張している。この仮出願は本願において文献援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、流体取り扱い貯留装置用のシールシステム、詳しくは、相対的に移動可能な部材間に静的シールを形成すること、さらに詳しくは、腐食性の強い薬品を内蔵する容器のポートのシールに関する。
【0003】
背景
強酸又は強塩基などの腐食性流体を貯留する容器は、耐食性の材料で形成されなければならない。適切な材料にはポリエチレン及びポリフルオロカーボンが含まれる。高密度ポリエチレンは特に有用な材料である。その理由は、フルオロカーボンなどの特殊材プラスチックと比べて比較的安価であり、酸及び塩基の両方に対して耐性があるからである。さらに、それは微量金属などの汚染物質を含まない調製物の形で入手できる。そのような汚染物質は、腐食性薬品と反応して、その純度を低下させ、容器の構造的一体性を弱める恐れがある。高密度ポリエチレンは従来のプラスチック処理技術への適合性もあるので、ドラムなどの容器が形成可能である。
【0004】
流体は、容器の開口部であるポートを経て、容器から出し入れされる。腐食性薬品の貯留に使用される容器は、容器がある箇所から他の箇所へ移動されるとき、又は流体を貯留するのに使用されるときに、容器がシールされるように、シールできるポートを有していなければならない。このように、容器上のポートは、一般的には、ポートとインサートとの間にシールを形成するインサートを受容する。ポートは、腐食性流体の適切な貯留のためだけでなく、容器からの流体の出し入れを可能にする器具、例えば、容器の内容物を容器から取り出すための移送チューブがポートに嵌め込まれるときに、漏出を起こさないためにもシールされなくてはならない。
【0005】
腐食性の高い流体に使用される容器は、従来、容器のポートとインサートとの間にシールを形成するために封入型の二重材料Oリングが必要とされていた。封入型のOリングには、従来は、弾性及び柔軟性を有する材料から成るコア及び耐食性を有する別の材料から成る外層が設けられていた。このように、弾性コアは弾性及び柔軟性を付与し、一方、外層は耐食性を付与する。
柔軟性によって、Oリングは変形可能であり、容易に取り扱い可能となっており、また、大きいシール領域を形成している。このように、円形断面を有する弾性のドーナツ形Oリングは圧縮及び変形可能であり、その湾曲した縁部はそれが接触するシール面の形状に合致することができる。シリコーンゴムは従来使用されている適切な柔軟性を有するコア材料である。柔軟性はジュロメーター硬度に関係がある。
【0006】
弾性材料は元の形状を変形させる応力に抵抗する傾向がある。したがって、二つのシール面間に圧縮されている弾性Oリングはこれらの面に対して「押し返す」傾向があり、シールを維持する。さらに、弾性材料は、温度変化などの要因に応答して、容器、インサート及びOリング材料の膨張及び収縮を補償する。このように、シール材料が低温に応答して収縮すると、弾性Oリングは膨張して、そのシールを維持する。反対に、不十分な弾性の材料は圧縮力に応答して永久的に変形する傾向があり、弱いシールを形成する。所定位置に圧縮された後に徐々に変形する不十分な弾性の材料は「クリープ」として知られる塑性流れを生じ、時間の経過と共に不十分なシールを形成しやすい。シリコーンゴムは従来使用されている適切な弾性を有する材料である。
【0007】
しかしながら、シリコーンゴムは耐薬品性が不十分であるので、強い酸又は塩基と接触するシール材料として使用するには不適切である。さらに、それは、一般的に、相当量の不純物を含んだ状態で製造されるため、容器内の流体の純度を低下させることがある。
【0008】
これらの全ての理由のために、腐蝕性流体に使用されるOリングは、従来、耐食性材料の外層で覆われた弾性材料で形成され、封入型の二重材料Oリングと呼ばれている。外層は、従来、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、弗化エチレンプロピレン(FEP)又はペルフルオロアルコキシ(PFA)などのフルオロカーボンポリマーである。フルオロポリマーは優れた耐食性を有するので、一般に、強い酸及び塩基への使用に適している。また、それらのポリマーは不透過性であり、腐蝕性流体がOリングを通過せず、コア層の不純物が封じ込められる。フルオロポリマーは耐腐蝕性を有するとともに溶剤への暴露時における不純物の遊離を阻止するOリングを形成するために従来使用されているエンジニアリングプラスチックである。
【0009】
少なくとも30ガロンの容量を有するドラム用の封入型の二重材料Oリングは費用と時間のかかるプロセスによって形成され、現在のコストはそれぞれ約4.00ドルである。それらは、一般的に、使い捨て器具として使用されており、インサートが容器のポート内で変更される度に交換される。それらのコストは腐食性流体用の標準的な容器の小売価格に比べてかなりの額になる。容器の価格は、55ガロンドラムの場合には、約25.00ドルである。腐食性流体取り扱い業界は、封入型の二重材料Oリングが安価な代替物で置き換えられれば、大きい恩恵を受けることになろう。
代替物に対するニーズがあるにもかかわらず、出願人は、腐食性流体又は危険流体に使用される封入型の二重材料Oリングに対する従来の利用できる代替物については知らない。
【0010】
【特許文献1】
アメリカ合衆国特許第4,886,178号明細書
【特許文献2】
アメリカ合衆国特許第3,724,712号明細書
【0011】
発明の概要
本発明者はフルオロポリマー以外の材料が腐食性流体を貯留する容器用のシールの形成に使用されるのが望ましいことを認識した。フルオロポリマーは弾性が低く、柔軟性が限定されているので、不十分なシールしか形成しない。さらに、フルオロポリマーはシリコーンや高密度ポリエチレンなどの容器材料とは異なる熱膨張率を有する。互いに同様な熱膨張率を有する材料は温度変動に対して同様に応答して膨張又は収縮するため、シールの性能が低下しないであろう。
【0012】
本発明者による本発明は封入型の二重材料Oリングを一つのシステムで置き換えている。このシステムはフルオロポリマーを使用する必要がなく、使用毎の費用がほぼ20分の一で済む。従来のシステムと対照的に、本発明は封入型の二重材料Oリングの使用を回避するものである。本発明は、特に、大容量を有する容器、好ましくは、少なくとも5ガロン、より好ましくは、少なくとも15ガロン、最も好ましくは、少なくとも約30ガロンを有する容器、例えば、30から55ガロンのドラム及び500から1200リットルを貯留する容器に対して有用である。
【0013】
本発明の実施形態は、危険流体又は腐食性流体を貯留する容器用のシールシステムであり、そのシステムには容器上のポート、インサート及びシール部材が設けられている。そのシール部材は、危険流体又は腐食性流体に対して耐食性があるとともに実質的に不透過性であり、約75から約95のショアーA硬度を有する材料で形成され、インサート上の第1のシール面及び第2のシール面をシールする外側部分を有する。そのインサートはポート及びシール部材に作動可能に係合自在であり、シール部材と第1及び第2のシール面との間にシールを形成して流体がポートを通過するのを防止する。
【0014】
本発明の好ましい実施形態は約75から約95のショアーA硬度を有する単一の材料で形成されたシール部材を含む。より好ましくは、シール部材は実質的に一つの材料だけである。シール部材は、好ましくは、単一の連続ピースの材料である。好ましい材料はポリオレフィンとして知られるクラスの材料であり、より好ましい材料はENGAGE(商標)という商品名で通常呼ばれているポリオレフィンである。ポリオレフィンは固体であるか、又は発泡体としての形態であるか、又は当業者に周知の他の処理に従って形成された形態である。好ましい実施形態は5000ppm未満の微量金属を有するシール部材である。
【0015】
本発明の他の実施形態はコア及び周囲層を有するシール部材を含む。その層の外部はインサート及びポートといっしょにシールを形成する。コアは、好ましくは、中実体であるが、別の形態を使用でき、例えば、中空体でもよいし、発泡体で形成することもできる。
【0016】
本発明の他の実施形態は容器を有効にシールするシール部材である。しかしながら、このシール部材は、他の材料で覆われている。その材料は、例えば、減摩性、接着性、特別の腐蝕保護性を有する他のプラスチック層又は被覆層、もしくは、本開示を読めば当業者にとって自明の他の代替材料である。
【0017】
本発明の実施形態はポートがインサートにねじ係合しているシールシステムを含む。この場合、ポートはインサートにねじ係合しており、インサートが締め付けられることによって、シール部材とポート及びインサートのシール面との間にシールを形成するようになっている。
【0018】
本発明の実施形態は容器をシールする方法である。一つのそのような方法は、シール部材を設ける段階と、シール部材といっしょにインサートをポート内に挿入する段階と、シール部材がポート上の第1のシール面をシールするとともにインサート上の第2のシール面もシールして流体がポートを通過するのを防止するように、インサートとポートとを機械的に係合させる段階とを含む。ここに、シール部材は、腐食性流体に対して耐食性があるとともに実質的に不透過性であり、約70から約95、より好ましくは、約75から90、さらに好ましくは、約90のショアーA硬度を有する材料を含むものである。
【0019】
一般に、図1から7を参照すると、容器40には、ポート10、インサート20及びシールリング30を含むシールシステム41が取り付けられている。ポート10はねじ部分12及びシール面11を有する。インサート20はインサートシール面21、インサートねじ部分22及びインサートステム24を有する。シールリング30はドーナツ形であり、弾性ポリオレフィンエラストマーで形成されている。ポート10は流体をポートから出し入れできるように容器40上に配置されている。ポートねじ部分12はインサートねじ部分22にねじ係合しており、シールリング30をシール面11及びインサートシール面21へ押し付けている。インサート20には容器40に内臓される危険流体43とインサート上端キャップ組立体26との間の連通を可能にするインサートステム24が選択的に取り付けられている。インサート20には容器40とインサート20の内部との連通を可能にする開口部25が選択的に取り付けられている。インサートシール面は湾曲した形状(図4及び図5)又は長方形の形状(図2及び図3)の種々の形状に適合できる。他の形状、例えば、三角形、多角形及び凹み状などの形状も必要に応じて使用できる。インサート20は中実の盲プラグ(図6)として形成することもできる。
【0020】
シールシステム41はドラム形容器(図7)に設置可能である。インサートの一つの好ましい実施形態が図7に示されている。インサート50はステム51、インサートねじ部52、インサートシール面53、キャップ組立体55、上端キャップ組立体57、外側ねじ部58及びリング54を含む。リング54は外側ねじ部58とその外側ねじ部58にねじ嵌合するキャップ組立体55とによって限定された空洞内に配置されている。キャップ組立体55は上端キャップ組立体55をねじ受容する。ステム51は容器とキャップ組立体及び/又は上端キャップ組立体との間の連通を可能にする中空チューブである。インサートねじ部52は容器上のポート内のねじと係合するのに利用できる。
【0021】
本発明において想定される容器は、好ましくは、液体を貯留するのに使用される。液体は後に使用されるように貯留される。すなわち、容器に対する流体の出し入れを許容する器具とともに貯留される。したがって、本発明のシールは、例えば、盲プラグと容器のポートとの間又は分配ヘッドとポートとの間に使用できる。本発明の一つの実施形態は鉄道、トラック又は他の車両による輸送のために流体を貯留している。しかしながら、液体は液体で満たされていない密閉容器の一部分に存在する蒸気相を有するので、容器が流体の漏出を起こさないようにされる必要がある場合は、この蒸気相が封じ込められなくてはならない。容器に使用される好ましい材料は、ポリエチレン、特に、高密度ポリエチレン(HDPE)である。ドラムなどのHDPE容器は、一般的には、主として単一の連続ピースのHDPEで形成される。
【0022】
ポートは、好ましくは、容器の一部分であり、さらに好ましくは、容器と同一の材料、好ましくは、高密度ポリエチレンで形成されている。容器及びポート用の他の材料も適しており、例えば、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン及び当業者に周知の他の材料も適している。ポートは、好ましくは、インサートと確実に係合するようにねじ部が形成されている。そのねじ部は、インサートと係合するために、必要に応じて、ポートの内側又は外側に配置可能である。
【0023】
ポートとは容器中への開口部を意味する用語であり、ここで広く使用されている。ポートは開口部を意味するだけではなく、開口部を囲んで限定する材料及びインサート及び/又はシールリングと共にポートの作動に関連する材料も意味する。このように、ポートは容器と一体で形成できるし、別体として形成することもでき、また、複数の部材から成っていてもよいし、それらの組み合せから成っていてもよい。ポートはシールリング及びインサートと協働してシールを形成する部材を有するであろう。ポートはシールリングをシールするようになっているシール面を有する。シール面はポートの主要部分に一体状に成形できるし、ポートの一部分である別個の部分とすることもできる。
【0024】
インサートはエンジニアリングプラスチック、好ましくは、高密度ポリエチレンで形成されている。インサート用の他の材料も適しており、例えば、フルオロカーボン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン及び当業者に周知の他の材料も適している。インサートは、好ましくは、ポートと確実に係合するようにねじ部が形成されている。そのねじ部は、インサートと係合するために、必要に応じてインサートの内側又は外側に配置可能である。インサートはポート内に嵌合可能であり、ポートの内側に嵌合する部分又はポートの上端に嵌合する部分を有する。インサートはシール部材でシールするシール面を有する。シール面はインサートと一体にすることもできるし、インサートと組み合せて使用される部材、例えば、座金、インサートの残りの部分と協働する部材とすることもできるし、又は当業者に周知の他のシール面にすることもできる。インサートとはポート及びシールリングと協働してシールを形成する器具又は器具の部分を包含する用語であり、ここで広く使用されている。インサートは単一の部材であってもよいし、幾つかの部材を有していてもよい。
【0025】
シールリングは、好ましくは、一つの材料で形成されている。その材料とは、柔軟性、弾性を有し、微量金属及び/又は浸出可能な金属を少量だけ含有し、危険流体及び腐食性流体、例えば、強酸及び強塩基による化学的攻撃に耐える材料である。好適な材料はポリオレフィンエラストマー、例えば、ENGAGE(商標)、すなわち、DUPON−DOW(商標)により製造されたポリオレフィンエラストマーである。後者の材料は米国特許第5,721,185号及びEP特許第0416815号に記載されている。これら両方の特許はここにおいて文献援用される。ポリオレフィンエラストマーは、好ましくは、ASTMショアーA硬度試験により測定される硬度において、約70から95、より好ましくは、約75から90、さらに好ましくは、約90のショアーAジュロメーター硬度を有する。
【0026】
シールリングは、好ましくは、単一の材料で形成されており、単一の材料がその体積を通して一定の化学組成を有するようになっている。その材料は、幾つかの成分、例えば、2種類以上のポリマーのブレンドから均一に製造されている。シールリングの一実施形態は中空のリングである。別の実施形態は発泡材料、例えば、発泡技術で処理されたENGAGE(商標)を使用してシールリングの弾性及び物理的特性を向上することを含む。これについては、米国特許第5,369,136号が参照される。この特許はここにおいて文献援用される。
【0027】
シールリングは選択的に外層を有することもできる。その外層は厚さ約10mm未満、好ましくは、1mm未満の層としてコア上に噴霧又は薄く塗布される。この外層は封入型の二重材料Oリングとは異なる。というのは、その層は薄く、シールリングのコアと同一の材料で形成されているからである。
【0028】
シールリングとは流体流れを防止するために中実面に対してシールを形成する中実部分を有する器具を意味する用語であり、ここで広く使用されている。シールリングの試験は、シールリングをポート及びインサートと共に組立て、シールリングが漏出なしに3psi(2.1×10Pa)の空気を5分間保持できるかどうかを判断するというものである。シールリングは、特定の幾何学的形状に限定されないが、例えば、ドーナツ形、ガスケット形、湾曲形、リング形、全ての箇所で湾曲した形であり、縁部、平坦な面を有し、断面が多角形形状、輪郭が正方形、及びシールリングの作動に適した他の形状を有している。
【0029】
シールリングは、硝酸温浸試験で測定された総微量金属レベルが、好ましくは、5000百万分率(ppm)未満、より好ましくは、1000ppm未満、最も好ましくは、500ppm未満である材料で形成されている。「試験」に供された例がここに記載されている。DUPON−DOW(商標)のポリオレフィンエラストマーであるENGAGE(商標)、例えば、ENGAGE(商標)8401ががシールリング用の適切な材料である。ここで使用される用語のポリオレフィンエラストマーはポリオレフィンのコポリマーを含み、エチレンとオクテンとのエラストマーコポリマーを含む。
【0030】
シールリングは、好ましくは、中空の中央部を有する0の形状を有する縦方向断面と、使用前には中実の円形形状を有する横方向断面輪郭とを有するドーナツ形状である。また、シールリングは多角形又は長円形又は円形の任意の種類の横方向断面、もしくは多角形及び/又は長円形及び/又は円形を組合せた横方向断面の形状とすることができる。さらに、シールリングは多角形又は長円形又は円形の任意の種類の形状、もしくは多角形及び/又は長円形及び/又は円形を組合せた形状の縦方向断面を有するようにすることもできる。
【0031】
シールシステムはドラムなどの容器にポートを形成してドラム内に開口部を形成し、インサートに係合するねじ部又は他の固定具又は把持手段をそのドラムに設けることによって容器に取り付けられる。ポートはシールリングでシールするポートシール面を有する。シールリングはポート内又はインサート上に配置されるか、又はポート又はインサート内に永久部材として組み込まれる。インサートはポート内に配置される。その場合、インサート又はポート上のねじ部又は固定具又は把持手段が係合されるように配置される。インサートはシールリングがシールリングとポートシール面とインサートシール面との間にシールを形成するように配置される。
【0032】
好ましい実施形態においては、シールシステムはドーナツ形シールリングを有する。このシールリングはドーナツの内径によって部分的に限定された内部部分と、ドーナツの外径によって部分的に形成された外径とを有する外面を有している。使用に際して、ドーナツの内部部分はインサートをシールし、その外側部分はポートをシールする。
【0033】
本発明はポート、インサート及びシールリングを製造する方法を包含する。これは成形、ブロー成形、押出及び当業者に周知の他の技術を含む。
【0034】
本発明は半導体製作設備において危険流体の貯留に使用される容器をシールする方法を包含する。そのような設備は大量の強酸及び塩基を使用しており、それらは、安全かつ確実に貯留されるとともに汚染することなく分配されなければならない。危険流体は硫酸、塩酸、弗化水素酸、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化アンモニウム、過酸化水素、燐酸、n−メチルピリジン(nMP)及びイソプロピルアルコール(IPA)である。ここで使用されるように、「危険」流体は「臨界点」の概念に関して規定されるものではなく、「腐食性」という用語の概念に含まれる。ここで使用される流体とは、液体及び/又は気体及び/又は蒸気相を意味する。
【0035】
本発明の他の形態は、硫酸、塩酸、弗化水素酸、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化アンモニウム、過酸化水素、燐酸、n−メチルピリジン(nMP)及び/又はイソプロピルアルコール(IPA)を含む危険流体を有する半導体製作設備及びその他の設備において使用される危険流体の貯留及び移送のためにシールシステムを使用することである。シールシステムは、好ましくは、危険流体を内蔵する耐食性ドラム内に設けられる。
【0036】
本発明の別の形態は他の材料層で被覆されたシールリングである。そのシールリングは、既に述べた機能、例えば、圧力を保持する機能を依然有するが、別の材料で被覆されている。その別の材料はプラスチックであって、シールリングの耐食性、保存性、耐摩耗性もしくは使用又は性能形態を向上させるプラスチックである。本発明は従来の封入型の二重材料Oリングから区別される。というのは、従来のOリングは指定された機能を発揮するために2種類の材料が必要とされているからである。これに対して、本発明のこの実施形態は単一の材料と、その機能を向上させる第2の材料とから成る機能性のシールリングを提供する。
【0037】
試験及び実施例
樹脂が検査され、微量金属に関する清浄度レベルが測定された(表I)。同一重量の試料が完全に溶解され、それぞれの樹脂中の全金属含有量が測定された(ENTEGRIS(商標)について、FGTMの1343の手順に従って行われた)。4種類の材料、すなわち、DOW(商標)の低密度ポリエチレン(LDPE)、EQUISTAR(商標)のLDPE、ENGAGE(商標)のポリオレフィン及びエチルビニルアセテート(EVA)がそれらの測定結果に基づいてさらなる試験のために選択された。
【0038】
Figure 2004518090
【0039】
これらの4種類の材料は高密度ポリエチレンプラスチックドラムに使用可能な標準サイズのOリングに成形され、同一のサイズを有する市販の標準サイズのOリングと共に全金属含有量について試験された(表2参照)。サイズは、外径が3.0インチ(7.62cm)、内径が2/8〜5/8インチ(0.64−1.59cm)、半径方向厚さが3/16インチ(0.48cm)であった。なお、例えば、REAL SEAL(商標)によって製造された部品番号REAL SEAL(商標)334も参照されたい。これらのOリングは、5%超純度硝酸中に7日間入れてOリングから浸出する金属量を測定することによって、微量金属含有量について試験された(表2参照)。その測定結果によると、これらの4種類の材料は封入型の二重材料Oリングと好都合に対比されることが示された。
【0040】
Figure 2004518090
【0041】
これらの4種類の材料が封入二重材料Oリングに置換わるシールシステムにおける使用に適しているかどうかを判断するためには、さらに試験が必要であった。これらの材料が漏出を起こさない実用的なシールを形成できるかどうかを判断するために使用された水圧試験の結果が表IIIに示されている。この水圧試験において、OリングはENTEGRIS(商標)の高密度ポリエチレンドラム部品番号01−004404に使用されるものと同一のねじ付きのポートに取り付けられ、ENTEGRIS(商標)部品番号151−131Rのねじ付きのプラグでシールされた。これらのシールは25psi(1.7×10Pa)の圧力まで水で試験された。
【0042】
Figure 2004518090
【0043】
表IIIに要約された試験結果によれば、ENGAGE(商標)の材料は水圧試験をパスした弾性及び柔軟性を含む最良の物理的特性を有する材料であることが示された。EQUISTAR(商標)の低密度ポリエチレンは封入型の二重材料Oリングの代替物であるが、物理的特性はENGAGE(商標)の材料よりも劣っている。
【0044】
表IVに要約されるように、別の水圧試験がENGAGE(商標)の範囲のポリオレフィンで実施された。これらの試験は、別途説明されない限り、表IIIに記載されるものと同一である。ENGAGE(商標)の等級1の材料は、水圧試験の観点からすれば、最良であったが、取り扱い/組み立て観点からすれば、使用が難しかった。プラスチックのインサートへ接着する傾向があるという問題点があったため、Oリングをインサート上でスライドさせるためにタルカムパウダー(潤滑粉末)が必要であり、また、その柔軟性が限定的であったため、Oリングをインサート上で機能させるために非常に長い時間が必要であった。ENGAGE(商標)の等級2の材料は最良の取り扱い特性を有するが、水圧試験においては効果が無かった。
【0045】
Figure 2004518090
【0046】
本発明者はOリングのサイズを変更するとともにENGAGE(商標)8401の等級2の材料を使用することによって、これらの問題を解決した。標準サイズのOリングを使用する代わりに、小さい内径を有するOリング形のシールリングを形成した。市販品の使用を容易にするために、それらのシールリングは市販の封入型の二重材料Oリングと同一のサイズ及び形状に適合させた。それらのシールリングは、それぞれ6個の試料における2回の試験において、有効に機能し、漏出をもたらさないことが判明した。それらのシールリングは、内径が2.545±0.020インチ(6.464±0.051cm)、断面径が0.235±0.010インチ(0.597±0.025cm)の寸法を有した。
【0047】
本発明のシールシステムの耐食性はシールシステムを種々の薬品に浸漬することによって試験された(表V)。シールリングはENGAGE(商標)の等級2の材料から製造された。このシールリングは一体成形されたねじ付きのポートを有するENTEGRIS(商標)の高密度ポリエチレン製ドラム内に嵌合されたENTEGRIS(商標)のねじ付きのインサート(部品番号151−131Rの盲プラグ)上に取り付けられた(図1、図6及び図7を参照)。シールシステムはドラムから切り取られ、表Vに列挙された種々の薬品を内蔵したシール容器中に配置された。シールシステムは直接化学薬品に暴露されるとともに薬品からの蒸気へ暴露された。容器は3ヶ月間監視された。シールリングのジュロメーター硬度と重量が3ヶ月後に測定され、薬品に浸漬されなかったコントロールと比較された。硝酸へ浸漬されたシールリングを除き、シールリングの直径又は重量における変化は実質的に検出されなかった(表V参照)。しかしながら、硝酸におけるシールリングの不合格は、本発明者により考えられた危険流体におけるシールリングの使用に対しては障害とはならない。表Vに示される他のデータは公にされた文献から入手され、新規な試験を反映したものではない。
【0048】
Figure 2004518090
【0049】
ここに開示される実施形態と実施例は、本発明の例であり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。当業者であれば、本出願を読むことによって、本発明の多くの別の実施形態が可能であることを認識できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】
ドラム内に配置されたシールシステムの断面図である。
【図2A】
シールシステムでの使用に適したインサートの平面図である。
【図2B】
シールシステムでの使用に適したインサートの断面図であり、図2AのA−A’線断面図である。
【図3A】
シールシステムでの使用に適したインサートの平面図である。
【図3B】
シールシステムでの使用に適したインサートの断面図であり、図3AのA−A’線断面図である。
【図4A】
シールシステムでの使用に適したインサートの平面図である。
【図4B】
シールシステムでの使用に適したインサートの断面図であり、図4AのA−A’線断面図である。
【図5A】
シールシステムでの使用に適したインサートの平面図である。
【図5B】
シールシステムでの使用に適したインサートの断面図であり、図5AのA−A’線断面図である。
【図6A】
シールシステムでの使用に適したインサートの平面図である。
【図6B】
シールシステムでの使用に適したインサートの左立面図である。
【図6C】
シールシステムでの使用に適したインサートの正面立面図である。
【図7】
ドラム内に配設されたシールシステムの斜視図及びシールシステムでの使用に適したインサートの分解図である。
【符号の説明】
10 ポート
11 シール面
20,50 インサート
21,53 インサートシール面
30 シールリング
40 容器

Claims (14)

  1. 危険流体を貯留するシステムであって、
    少なくとも約30ガロンの容量を有するポリエチレン製の容器と、
    容器上のポートと、
    そのポートと機械的に係合可能なインサートと、
    弾性のシール部材と、
    を有し、容器には流体が貯留され、その流体は、硫酸、塩酸、弗化水素酸、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化アンモニウム、過酸化水素、燐酸、n−メチルピリジン、イソプロピルアルコール、それらの混合物、及びそれらと他の流体との混合物から成るグループのメンバーであり、
    シール部材は容器の内容物に対して耐食性を有するとともに実質的に不透過性であり、約75から約95のショアーA硬度を有する材料で形成され、硝酸内への温浸によって測定された値で1000ppm未満の総微量金属を有し、ポート上の第1のシール面及びインサート上の第2のシール面をシールする外側部分を有し、
    ポート、インサート及びシール部材は協働してシール部材と第1及び第2のシール面との間にシールを形成し、そのシールが少なくとも3psi(2.1×10Pa)の空気を少なくとも5分間保持可能であるシステム。
  2. シール部材の材料は、実質的に、約75から約95のショアーA硬度を有する単一材料で形成されている請求項1に記載のシステム。
  3. シール部材は、実質的に、シール部材の材料の単一の連続ピースで形成されている請求項2に記載のシステム。
  4. シール部材の材料はポリオレフィンである請求項3に記載のシステム。
  5. シール部材の材料はENGAGE(商標)である請求項4に記載のシステム。
  6. シール部材はコアを有し、コアは外側部分である表面を有する層の下に配置され、また、その層及びコアはシール部材の材料で形成されている請求項2に記載のシステム。
  7. シール部材の材料はポリオレフィンである請求項2に記載のシステム。
  8. シール部材の材料はENGAGE(商標)である請求項7に記載のシステム。
  9. シール部材の材料は発泡体である請求項2に記載のシステム。
  10. シール部材は中空である請求項2に記載のシステム。
  11. 容器及びポートはポリエチレンで形成され、また、ポートはインサートにねじ係合しており、インサートが締め付けられることによって、シール部材と第1及び第2のシール面との間にシールを形成するようになっている請求項2に記載のシステム。
  12. 危険流体を貯留する方法であって、
    少なくとも約30ガロンの容量を有するポリエチレン製の容器にポートを設ける段階と、
    弾性のシール部材を設ける段階と、
    ポート及びシール部材をインサートに対して機械的に係合させる段階と、
    を有し、容器には危険流体が貯留され、その危険流体は、硫酸、塩酸、弗化水素酸、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化アンモニウム、過酸化水素、燐酸、n−メチルピリジン、イソプロピルアルコール、それらの混合物、及びそれらと他の流体との混合物から成るグループのメンバーであり、
    シール部材は容器の内容物に対して耐食性を有するとともに実質的に不透過性であり、約75から約95のショアーA硬度を有する材料で形成され、硝酸内への温浸によって測定された値で1000ppm未満の総微量金属を有し、ポート上の第1のシール面及びインサート上の第2のシール面をシールする外側部分を有し、
    ポート及びシール部材とインサートとの機械的に係合によって、シール部材が圧縮され、シール部材と第1及び第2のシール面との間にシールを形成し、そのシールが少なくとも3psi(2.1×10Pa)の空気を少なくとも5分間保持可能である方法。
  13. シール部材の材料は、実質的に、約75から約95のショアーA硬度を有する単一材料で形成されている請求項13に記載のシステム。
  14. 危険流体を貯留するシステムであって、
    少なくとも30ガロンの流体を貯留するポリエチレン製の貯留手段と、
    貯留手段内の流体と、
    流体を容器に対して出し入れする手段と、
    流体を出し入れする手段と係合可能なインサート手段と、
    インサート手段及び流体を出し入れする手段と協働するシール手段と、
    を有し、流体は、硫酸、塩酸、弗化水素酸、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化アンモニウム、過酸化水素、燐酸、n−メチルピリジン、イソプロピルアルコール、それらの混合物、及びそれらと他の流体との混合物から成るグループのメンバーであり、
    シール手段は容器の内容物に対して耐食性を有するとともに実質的に不透過性であり、約75から約95のショアーA硬度を有し、硝酸内への温浸によって測定された値で1000ppm未満の総微量金属を有し、少なくとも3psi(2.1×10Pa)の空気を少なくとも5分間保持可能であるシステム。
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