JP2004190806A - シール構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料バリア性と低温シール性を長期間確実に維持することができるゴム製のシール構造体を提供する。
【解決手段】管状体の継ぎ手部に設置されるシール構造体であって、前記シール構造体は、流体の流れ中心に対して同心円に少なくとも2種類のゴムが並列されたものであり、流体の流れ中心に対して内周側のゴムが、これより外周側に位置するゴムのいずれかよりも常温において高い流体密性を有し、流体の流れ中心に対して外周側に位置するゴムが、これより内周側に位置するゴムのいずれかよりも少なくとも−30℃〜−50℃の温度域において高い流体密性を有することを特徴とするシール構造体。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム製のシール構造体に係り、更に詳細には、2種類以上のゴムを並列させて成り、高い流体密性、特に燃料バリア性(燃料不透過性)を有するシール構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種流体の配管における継ぎ手部には、内部の液相流体および/または気相の流体を外部に漏洩しないようにOリング等のリング状のシール構造体が用いられている。通常このシール構造体は、内部を流通する流体及び使用環境に併せて材料が選択され、例えば、自動車等の燃料配管におけるシール構造体においては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、NBRにポリ塩化ビニルをブレンドしたもの(NBR−PVC)、フッ素ゴム(FKM)、フロロシリコンゴム(FVMQ)などが一般に使用されている。
【0003】
一方、大気中に蒸散される自動車用燃料等の炭化水素物質(HC)に対しては、近年その排出量が規制されるようになり、自動車の燃料系システムにおける継ぎ手部のシール性は従来以上に要求されるようになっている。この為、燃料不透過性(燃料バリア性)が要求される部位においては、上記のゴム類においてフッ素ゴムのものが用いられ、特に低温において優れたシール性を確保する為にフッ素ゴムの中でも、低温柔軟性に優れた組成のもの、例えば、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ポリメチルビニルエーテルを主成分とする3元系フッ素ゴムが用いられる。
【0004】
しかしながら、一般に低温での柔軟性が高いものは、常温域における燃料バリア性が乏しく、例えば、前述の低温柔軟性を改良した3元系フッ素ゴムは、2元系の一般のフッ素ゴムやフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンからなる3元系フッ素ゴムに比べて、燃料バリア性は低下する。
【0005】
この為、低温柔軟性に優れるゴムの表面に樹脂、あるいは他のゴムをコーティングすることによって低温でのシール性と燃料バリア性を両立させることが提案されている。例えば、NBRにナイロン樹脂をコーティングしたもの、FVMQあるいはヒドリンゴムにフッ素樹脂あるいはナイロン樹脂をコートしたものが、ゴム表面に樹脂をコーティングしたものとして挙げられる(例えば、特許文献1、2参照。)。また、ゴム表面にゴムをコーティングしたものとしては、各種ゴム製のパッキンに低温におけるシール性が優れるゴムをコーティングしたものが挙げられる(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
しかしながら、前者のゴム表面に樹脂をコーティングしたものでは、当該シール構造体自体の燃料バリア性は高まるものの、寒冷な使用環境下では、コーティング樹脂の低温硬化が生じ、相手部品との密着性を確保することができず、シール性は不十分である。
【0007】
また、後者のゴム表面に別のゴムをコーティングしたものは、低温での硬化がないため低温シール性は確保することができるものの、そもそもこのようにコーティングすることは均質な成膜が極めて難しく、例えば、Oリングでは、断面が円形であるため、一部分に液ダレ部が生じ、この液ダレ部分で相手部品と空隙が生じ、この部分でのシール性が確保できないという問題が生じる。
【0008】
また、このようなコーティング手法は密着性確保も大きな課題であり、例えば、ガソリンなどの流通媒体では、シール材料は膨潤する為、使用時にも十分耐え得る密着性を確保することは極めて困難である。
【0009】
【特許文献1】
特公平4−27938号公報
【特許文献2】
特開2001−182837号公報
【特許文献3】
特開2001−150595号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来のシール構造体においては燃料バリア性と低温シール性を十分な耐久性をもって確保しているものは見当たらない。本発明は、燃料バリア性と低温シール性を長期間確実に維持することができるゴム製のシール構造体を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、管状体の継ぎ手部に設置されるシール構造体であって、
前記シール構造体は、流体の流れ中心に対して同心円に少なくとも2種類のゴムが並列されたものであり、
流体の流れ中心に対して内周側のゴムが、これより外周側に位置するゴムのいずれかよりも常温において高い流体密性を有し、
流体の流れ中心に対して外周側に位置するゴムが、これより内周側に位置するゴムのいずれかよりも少なくとも−30℃〜−50℃の温度域において高い流体密性を有することを特徴とするシール構造体である。
【0012】
また、上記課題を解決するためのシール構造体のより好適な構成(請求項2に記載の発明)は、前記シール構造体において、
前記シール構造体は、その断面形状でみた場合に、流体密にシールする為に相手部品と2箇所以上の接点を有するものであり、
少なくとも一つのゴムが1箇所以上の接点を形成し、これとは異なる少なくとも1つのゴムが異なる1箇所以上の接点を形成していることを特徴とする請求項1に記載のシール構造体である。
【0013】
さらにまた、上記課題を解決するためのシール構造体のより好適な構成(請求項3に記載の発明)は、前記シール構造体において、少なくとも内周を構成するゴムがフッ素ゴムである請求項1または2に記載のシール構造体である。
【0014】
さらにまた、上記課題を解決するためのシール構造体のより好適な構成(請求項4に記載の発明)は、前記シール構造体において、構成するゴムが全てフッ素ゴムであること請求項1もしくは2に記載のシール構造体である。
【0015】
さらにまた、上記課題を解決するためのシール構造体のより好適な構成(請求項5に記載の発明)は、前記シール構造体を構成するゴムが加硫前に並設され、加硫時に接着されている請求項1ないし5いずれか1項に記載のシール構造体である。
【0016】
さらにまた、上記課題を解決するためのシール構造体のより好適な構成(請求項6に記載の発明)は、前記シール構造体において、外周のゴムがTR10値≦−20℃のフッ素ゴムであり、内周のゴムが40℃におけるガソリン透過係数で外周側のゴムに対して1/2以下のフッ素ゴムのシール構造体である。
【0017】
さらにまた、上記課題を解決するためのシール構造体のより好適な構成(請求項7に記載の発明)は、前記シール構造体を構成するゴムにおいてその内周側がテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレンからなるフッ素ゴムであり、且つその外周側が、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、パーフルオロメチルビニルエーテルからなるフッ素ゴムであるシール構造体である。
【0018】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成したので、常温(使用環境温度)においても低温においても、燃料バリア性(燃料不透過性)およびシール性が高く、且つ長期の使用時においても並設ゴム間における剥離が小さいシール構造体を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明のシール構造体は、管状体の継ぎ手部に設置されるシール構造体であって、
前記シール構造体は、流体の流れ中心に対して同心円に少なくとも2種類のゴムが並列されたものであり、
流体の流れ中心に対して内周側のゴムが、これより外周側に位置するゴムのいずれかよりも常温において高い流体密性を有し、
流体の流れ中心に対して外周側に位置するゴムが、これより内周側に位置するゴムのいずれかよりも少なくとも−30℃〜−50℃の温度域において高い流体密性を有することを特徴とするものである。
【0020】
流体密性の測定・評価は、一般に次のようにして行うことができる。
【0021】
ゴム材料(例えば、Oリング)を用いて、以下の条件で行う。計測で得られた値(漏れ量:mg/day)で流体密性の高低を評価することができる。
【0022】
・Oリング形状;線径3.1mm、Oリング内径130mm
・Oリング圧縮率;15%
・燃料圧;23℃以上の場合は0.5Mpa、23℃未満の場合は、負荷圧力なし
・容器内容積;40ml
・計測項目;504時間経過時の漏れ量(mg/day)
・計測方法;
▲1▼23℃以上の場合:SHED法により計測する。詳しくは、内部にガソリン(試験流体)を封入したアルミニウム製の容器(内容積40ml)をゴム材料(いずれも上記に規定するOリングを用いる。)で封止を行い、常温(23℃以上)下にて容器内部を0.5MPaに加圧し、加圧開始から504時間(3週間)経過時の、Oリングを介して漏れ出すガソリンの漏れ量(mg/day)を、測定装置として株式会社ジャップス製の小型VT SHED(容積2m3)に株式会社堀場製作所製の分析計MEXA7200を組み合わせたものを用いて計測する。
【0023】
▲2▼23℃未満の場合:重量法により計測する。詳しくは、内部にガソリン(試験流体)を封入したアルミニウム製の容器(内容積40ml)をゴム材料(いずれも上記に規定するOリングを用いた。)で封止を行い、常温(23℃未満)ないし低温(−30〜−50℃)下にて加圧開始から504時間(3週間)経過時の、Oリングを介して漏れ出すガソリンの漏れ量(封入燃料の減少量;mg/day)を計測する。
【0024】
・漏れ出すガソリンの漏れ量は、Oリング(ゴム材料)を透過して出てくるものと容器とOリングの界面をリークしてくるものとの合計量である。
【0025】
従って、本発明で言う流体密生性の高い低いは、上記計測により得られた漏れ出すガソリン等の漏れ量が少ないほど、高い流体密性を有するゴム材料と言え、逆に上記計測により得られた漏れ出すガソリン等の漏れ量が多いほど、低い流体密性を有するゴム材料と言える。
【0026】
本発明では、上記ゴム(Oリング)の流体密性の測定・評価を、常温と、−30℃〜−50℃の温度域にて行い、本発明の上記要件を満足するゴム同士の組み合わせ、すなわちシール構造体を構成する2種類以上のゴムの並列配置を適宜決定すればよい。なお、ゴムの漏れ量(流体密性)を計測できるものであれば、上記ゴムの流体密性の測定・評価法に示す条件や計測装置等に何ら制限されるものではなく、上記に示す条件や計測装置等は適宜設定して測定評価することができる。例えば、試験流体がガソリンの場合には、23℃以上で0.5MPaに加圧するのが一般的であるが、特に制限されず、他の流体の場合の加圧力条件は、当該他の流体で一般に使用されている条件と同程度で行えばよいと言える。
【0027】
また、シール構造体が、流体の流れ中心に対して同心円に少なくとも2種類のゴムが並列された構造か否かは、シール構造体の断面を見れば、通常判別でき、殆ど同じような組成の場合は、光学顕微鏡でみれば簡単に判別できる。また、シール構造体を構成する2種以上のゴムの成分は、断面を分析すれば簡単にそれぞれの成分は分析できる。通常2mm四方もあれば、材料種、組成比は分析できる。
【0028】
以下、本発明のシール構造体について添付図面に基づいて詳しく説明する。
【0029】
図1は、本発明のシール構造体が管状体の継ぎ手部に設置された状態の例を模式的に示した断面概略図である。図1に示すように、本発明のシール構造体1は、第一の管状体2(例えば、ポンプモジュールなど)と第二の管状体3(例えば、燃料タンクなど)の継ぎ手部に設置される。図中の符号4は、第一の管状体2及び第二の管状体3のカシメ部品(例えば、ロックリングなど、ねじ止め部材を用いることができる)である。管内流体は、第一の管状体2及び第二の管状体3の内部を通り、シール構造体1は、第一の管状体2及び第二の管状体3の間を流体密にするために設置されている。
【0030】
図2は、本発明のシール構造体の代表的な断面構造を表わした図面である。シール構造体の断面は、図2のように流体の流れ中心(図1を参照のこと。)に対して同心円に2種類のゴムが並列されており、管内流体の流れ中心に対して内周側(管内側;以下、単に内周側または内周ともいう)のゴム1aは、管内流体の流れ中心に対して外周側(管外側;以下、単に外周側または外周ともいう)のゴム1bよりも、常温において高い流体密性を有し、一方、外周側のゴム1bは、少なくとも−30℃〜−50℃の温度域において内周側のゴム1aよりも高い流体密性を有するゴムとなっている。この構造によって、常温、低温のいずれの環境下においても優れた流体密性を得ることができる。
【0031】
内周のゴムに常温での流体密性を担わせるのは、次の理由による。流体密性が低い材料は、管内流体(例えば、ガソリンなど)によって膨潤するため、材料内部に大きな内部応力が発生する。内部応力によって、ゴム材料の分子鎖が切断される等、材料であるゴムに負担が掛かり、劣化が促進する。この為、使用頻度の高い常温域でより高い流体密性を有するゴム材料を内周側に設置することによって、内部応力負荷の程度を低減し、耐久性をより高めることが可能となる。また、この内部応力を低減することによって、内周、外周間の剥離を防止することが可能であり、この2点から常温での流体密性の高いゴムを内周側に設置することとしたものである。
【0032】
ここで、上記要件を満たすゴム、詳しくは、図2に示すように2種類のゴムを並列させる場合の内周側と外周側のゴムに用いられる上記要件を満たすゴム材料の組み合わせを具体的に列挙する。
【0033】
▲1▼内周側に水添NBR、外周側にNBR、
▲2▼内周側にNBR−PVC、外周側にNBR、
▲3▼内周側に2元系フッ素ゴム(フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン)、外周側に3元系フッ素ゴム(フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロメチルビニルエーテル)、
▲4▼内周側に3元系フッ素ゴム(フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)、外周側に3元系フッ素ゴム(フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/パーフルオロメチルビニルエーテル)、
▲5▼内周側に3元系フッ素ゴム(フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)、外周側にFVMQ、などの組み合わせがこれに該当する。ただし、本発明の上記要件を満たすゴムの組み合わせは、これらに限定されるものではない。
【0034】
なお、本発明のシール構造体では、流体の流れ中心に対して同心円に少なくとも2種類以上のゴムが並列されたものであればよく、3種類以上のゴムを並列させた構造体であってもよい。
【0035】
例えば、図2で示したような2種類のゴムを並列させたシール構造体1において、これら内周側のゴム1aと外周側のゴム1bの間に第3のゴムを設置しても良い。具体的には、図3に示すように第3のゴム1cとして、内周のゴム1a、外周のゴム1b間に、接着性を有するゴムなどを適宜適用可能である。
【0036】
あるいは別の態様として、図4のように第3のゴム1cをシール構造体1の最外周に設置しても良い。図4における第3のゴム1cは、安価なゴムを採用して経済的有利に本シール構造体を提供する場合などに有効である。
【0037】
図3の組み合わせの一例として、内周側に3元系フッ素ゴム(フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)、中間層としてNBR、外周側としてFVMQの組み合わせがこれに該当する。ただし、本発明の上記要件を満たすゴム材料の組み合わせは、これらに限定されるものではない。図3の組合せのシール構造体1では、流体の流れ中心に対して内周側のゴム1aが、これより外周側に位置するゴム1cまたは1bのいずれかよりも常温において高い流体密性を有するか、あるいは流体の流れ中心に対して内周側のゴム1bが、これより外周側に位置するゴム1cよりも常温において高い流体密性を有するものであればよい。一方、流体の流れ中心に対して外周側に位置するゴム1bが、これより内周側に位置するゴム1cまたは1aのいずれかよりも少なくとも−30℃〜−50℃の温度域において高い流体密性を有するか、あるいは流体の流れ中心に対して外周側に位置するゴム1cが、これより内周側に位置するゴム1aよりも少なくとも−30℃〜−50℃の温度域において高い流体密性を有するものであればよい。
【0038】
図4の組み合わせの一例として、内周側に3元系フッ素ゴム(フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン)、中間層として2元系フッ素ゴム(フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン)、外周側にNBR、など種々の組み合わせが可能である。よって、本発明の上記要件を満たすゴム材料の組み合わせは、これらに限定されるものではない。図4の組合せのシール構造体1では、流体の流れ中心に対して内周側のゴム1aが、これより外周側に位置するゴム1bまたは1cのいずれかよりも常温において高い流体密性を有するか、あるいは流体の流れ中心に対して内周側のゴム1bが、これより外周側に位置するゴム1cよりも常温において高い流体密性を有するものであればよい。一方、流体の流れ中心に対して外周側に位置するゴム1cが、これより内周側に位置するゴム1aまたは1bのいずれかよりも少なくとも−30℃〜−50℃の温度域において高い流体密性を有するか、あるいは流体の流れ中心に対して外周側に位置するゴム1bが、これより内周側に位置するゴム1aよりも少なくとも−30℃〜−50℃の温度域において高い流体密性を有するものであればよい。
【0039】
なお、これら使用するゴムは、上記要件を満足するものであれば何ら制限されるべきものではなく、例えば、上記に例示したゴム材料の接着性を改良するなど同業者が容易に想到し得る改変を適宜織り込んだゴム材料などを用いても良い。
【0040】
さらにこの好ましいシール構造体の形態として、その断面形状でみた場合に、流体密にシールする為に相手部品(継ぎ手する必要のある2つの管状体部品)と2箇所以上の接点を有するものであり、少なくとも一つのゴムが1箇所以上の接点を形成し、これとは異なる少なくとも1つのゴムが異なる1箇所以上の接点を形成していることが望ましい。2種類のゴムから構成されるシール構造体の場合には、例えば、図5の断面形状を有するものを挙げることができる。図5に示すシール構造体の断面形状は、相手部品(例えば、図1の場合、第一の管状体2と第二の管状体3)との接点5a、5b、5c、5dを持つものであり、この接点を異なるゴムが構成している。図5に示した形状は4接点の形状で、内周側のゴム1aと外周側のゴム1bがそれぞれ2つの接点5a、5bと5c、5dを構成したものである。このような接点を有する形状とすることによって、それぞれのゴムが相手部品と確実に接することができ、より確実なシール性を得ることができる。接点の数は特に限定はない。少なくとも2点を接点を有していれば、接点の無い形状に比べてシール性は飛躍的に向上する。2点形状として、図6に、相手部品との接点6a、6bを持つものを例示した。なお、図6のシール構造体1の下面6cは、相手部品の一つ(図1の場合、第二の管状体3)と面で接するものである。
【0041】
また、図5、6に示すシール構造体の実施形態においても、図3、図4の如く、第3のゴムを設定しても良い。すなわち、3種類以上のゴムにより構成されてなるシール構造体でも、その断面形状でみた場合に、流体密にシールする為に相手部品と2箇所以上の接点を有するものであり、少なくとも一つのゴムが1箇所以上の接点を形成し、これとは異なる少なくとも1つのゴムが異なる1箇所以上の接点を形成していることが望ましい。例えば、図7に示すように、シール構造体1がH型断面の場合には、内周のゴム1aと、外周のゴム1bにそれぞれ2箇所の接点(内周のゴム1aの接点7a、7bと、外周のゴム1bの接点7c、7d)を有していればよく、中間層のゴム1cには接点が設けられていなくてもよい。また、図8に示すように、シール構造体1が変形H型断面の場合には、内周のゴム1aと、外周のゴム1bにそれぞれ1箇所の接点(内周のゴム1aの接点8aと、外周のゴム1bの接点7b)を有していればよく、中間層のゴム1cには接点が設けられていなくてもよい。ただし、必要があれば、上記中間層のゴム1cにも、接点を形成しても良いことはいうまでもない。なお、4種類以上のゴムで構成されたシール構造体でも同様に、シール構造体を構成する4種類以上のゴムの中から任意の2種類以上のゴムにおいて、それぞれ異なる接点が形成されていればよく、必ずしも全ての種類のゴムに接点が形成されていなくてもよいと言える。また、その断面形状に関しても、図5〜図8に示すようなH型断面形状や変形H型断面形状でなくてもよい。
【0042】
なお、ここでいう接点とは、シール構造体の断面形状において、相手部品と接触する部分が、点接触であることをいう。シール構造体の断面形状における点接触部分の大きさ(幅ないし長さ)は、図5、6に示すように、厳密に点でなくても良く、若干の幅を有していても良い。かかる幅の大きさは、シール構造体1の断面形状における内周から外周までの全幅Lの30%程度までのものであれば、本発明にいう点接触に含まれるものとする。すなわち、接点としてカウントするものとする。したがって、図6に示すように、シール構造体1の断面形状において、相手部品の1つと接する面6cは、本発明でいうところの接点には含まれない。
【0043】
さらにこの好ましいシール構造体の実施態様として、少なくとも内周を構成するゴムをフッ素ゴムとすることである。前述の通り、内周のゴム(3種類以上のゴムを並列させる場合には、最内周のゴム)は、常温における流体密性を担うゴムであると共に、流体に接するゴムである。従って、内周側ゴムは、常温において優れた燃料バリア性と柔軟性、更に耐薬品性が必要となる。この点からフッ素ゴムが最も適しており、フッ素ゴムを適用した場合、優れたシール構造体を提供することが可能となる。
【0044】
さらに好ましくは、シール構造体を構成するゴムが全てフッ素ゴムである場合である。すなわち、2種類以上の異なるフッ素ゴムが並列されて構成されているのが望ましい。この場合、前述の内周側がフッ素ゴムである場合の利点に加えて、フッ素ゴム同士の並設によって接着性が著しく向上し、長期使用においても剥離等の経時変化の少ない優れたシール構造体を提供することが可能となる。
【0045】
並設されるゴム間の接着は加硫接着が好ましい。詳しくは、前記シール構造体を構成する2種類以上のゴムが、加硫前に並設され、加硫時に(並設された異種ゴム間が)接着されてなることを特徴とするものである。即ちトランスファーなどの所望の型内に加硫前のゴム(並設させる複数のゴム)を投入し、型内で加硫する際に、同時接着することが好ましい(後述する実施例4以外の実施例では、この接着方法を用いた。実施例では、単に「型内加硫接着法」と称する。)。並設されるゴム間が同系統のゴムの場合並設されるゴム間にも架橋ができ、優れた接着性を有する。加硫は、硫黄、パーオキサイドなど使用するゴムに併せて適宜選択可能である。ただし、並設されるゴム間の接着は、加硫接着に制限されるものではなく、十分な接着強度を得られるものであれば、従来公知の他の接着方法を適用してもよい。
【0046】
さらに外周側のゴムがTR10値=−20℃以下のフッ素ゴムであり、内周のゴムがTR10値=−20℃以上のフッ素ゴムで、且つ40℃におけるガソリン透過係数で外周側のゴムに対して1/2以下のものが望ましい。こうした特性を有するゴムを選定する場合、自動車用燃料タンクとポンプモジュール間に設置するパッキンとして好適である(図1を参照のこと。)。TR10値≦−20℃のフッ素ゴムを外周に設置することによって、自動車に要求される−40℃の極寒地でも優れたシール性を有し、一方、内周のゴムをTR10値≧−20℃で、かつ40℃におけるガソリン透過係数で外周側のゴムに対して1/2以下のフッ素ゴムにすることによって、耐ガソリン性に優れ、且つ燃料バリアに優れ、低温から40℃まで安定的に燃料シール性に優れたシール構造体を提供できる。この場合もシール構造体の断面形状には特に限定はない。図2のような丸断面、図5のようなH型断面、図6のような変形H型断面など相手部品との形状に合わせて任意に改変可能である。なお、TR10値は、ゴム(試験片)の収縮率が10%となる温度をいい、JIS K6261−1997の低温弾性回復試験(TR試験)に従って求めることができる。また、ガソリン透過係数は、JIS Z0208−1976の防湿包装材料の透湿度試験方法に準拠したアルミニウム製の容器に試験燃料(トルエン:イソオクタン=50:50(体積比))を封入し、40℃一定雰囲気下で、試験燃料(ガソリン)の透過する量を計測して算出することができる。なお、試験片の形状は、φ70mm×1mmとする。
【0047】
なお、3種類以上のゴムで構成されているシール構造体の場合には、上記した作用効果を有効に発現させるには、最内周のゴムと最外周のゴムが上記特性を有することが望ましいが、これらに制限されるものではない。例えば、図3に示す3種類のゴムで構成されているシール構造体の例で説明すれば、以下の3通りの組み合わせが適用可能である。
【0048】
(1)外周のゴム1bがTR10値=−20℃以下のフッ素ゴムであり、内周のゴム1aがTR10値=−20℃以上のフッ素ゴムで、且つ40℃におけるガソリン透過係数で外周側のゴム1bに対して1/2以下のものの場合である。この場合、中間層のゴム1cについては特に制限されないが、好ましくは、上記の内周のゴムまたは外周のゴムのいずれかの特性を有するものが望ましい。
【0049】
(2)中間層のゴム1c(内周のゴム1aに対しては、これよりも外周側のゴムの1つと言える)がTR10値=−20℃以下のフッ素ゴムであり、内周のゴム1aがTR10値=−20℃以上のフッ素ゴムで、且つ40℃におけるガソリン透過係数で外周側のゴムである中間層のゴム1cに対して1/2以下のものの場合である。この場合、外周のゴム1bについては特に制限されないが、好ましくは、中間層のゴム1cと同様の特性を有するものが望ましい。
【0050】
(3)外周のゴム1bがTR10値=−20℃以下のフッ素ゴムであり、中間層のゴム1c(外周のゴム1bに対しては、これよりも内周側のゴムの1つと言える)がTR10値=−20℃以上のフッ素ゴムで、且つ40℃におけるガソリン透過係数で外周側のゴム1bに対して1/2以下のものの場合である。この場合、内周のゴム1aについては特に制限されないが、好ましくは、中間層のゴム1cと同様の特性を有するものが望ましい。なお、4種類以上のゴムで構成されたシール構造体でも同様に、シール構造体を構成する4種類以上のゴムの中から任意の2種類のゴムを選択して、上記特性を持たせばよいと言える。
【0051】
さらに好ましくは、シール構造体を構成する内周側のゴムが、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレンからなるフッ素ゴム(3元系FKMの1種である。単に3元系FKM1とも称する。)であり、且つその外周側のゴムが、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、パーフルオロメチルビニルエーテルからなるフッ素ゴム(3元系FKMの他の1種である。単に3元系FKM2とも称する。)であるシール構造体である。
【0052】
この場合、上記の要求特性を最も高いレベルで成立させることが可能であり、且つ調達が安定しているため、安定的にシール構造体を供給可能となる。
【0053】
なお、3種類以上のゴムからなるシール構造体の場合にも、該シール構造体を構成する3種類以上のゴムのうちから選択した2種類のゴムが、上記に規定するゴム材料の要件を満足する関係にあればよい(後述する実施例3を参照のこと。)。例えば、図4に示す3種類のゴムで構成されているシール構造体の例で説明すれば、以下の3通りの組み合わせが適用可能である。
【0054】
(1)シール構造体1を構成する内周側のゴム1aが3元系FKM1であり、外周側のゴム1cが3元系FKM2である。この場合、中間層のゴム1bについては特に制限されないが、3元系FKM1と3元系FKM2とは、共にフッ素系ゴムであるため、中間層のゴム1bにも種類の異なるフッ素系ゴムを用いるのが望ましい。
【0055】
(2)シール構造体1を構成する中間層のゴム1b(外周のゴム1cに対しては、これよりも内周側のゴムの1つと言える)が3元系FKM1であり、外周側のゴム1cが3元系FKM2である。この場合、内周のゴム1aについては特に制限されないが、3元系FKM1と3元系FKM2とは、共にフッ素系ゴムであるため、内周のゴム1aにも種類の異なるフッ素系ゴムを用いるのが望ましい。
【0056】
(3)シール構造体1を構成する内周側のゴム1aが3元系FKM1であり、中間層のゴム1b(内周のゴム1aに対しては、これよりも外周側のゴムの1つと言える)が3元系FKM2である。この場合、外周のゴム1cについては特に制限されないが、3元系FKM1と3元系FKM2とは、共にフッ素系ゴムであるため、外周のゴム1cにも種類の異なるフッ素系ゴムを用いるのが望ましい。
【0057】
なお、本発明のシール構造体は、流体の流れ中心に対して同心円に少なくとも2種類のゴムが並列された構造(配置)を有していればよく、他の構造(配置)が含まれているものを決して排除するものではない。よって、本発明の作用効果に影響を及ぼさない範囲内で、他の構造を含んでいてもよく、例えば、図9に示すように、シール構造体1の断面形状(構造)において、その一部に、流体の流れ中心に対して同心円に少なくとも2種類(以上)のゴムが直列に形成された構造や図10に示すような構造、すなわちシール構造体1の断面形状(構造)において、その一部に、流体の流れ中心に対して同心円に少なくとも2種類のゴムがいわば海島構造などを有するものであってもよい。即ち本発明の目的は達成できるものであり、本発明の技術範囲に属するものである。
【0058】
さらに、ここでいう並列された構造とは、流体の流れ中心の軸線方向に対して斜めに傾斜された状態で2種類以上のゴムが並設されていてもよく、例えば、図11(A)、(B)に示すように、シール構造体1の断面形状(構造)において、流体の流れ中心の軸線方向に対して45°まで傾斜された状態で、2種類以上のゴム(図では、3種類のゴム1a、1b、1c)が並設されていてもよい。すなわち、本発明では、図中のθ(ないしθ1、θ2)の角度が0°±45°の範囲であれば、並列された構造といえる。
【0059】
また、管内流体は、液体(ガソリンなど)流体に限られるものではなく、気体流体、固体流体のいずれであってもよい。
【0060】
また、本発明のシール構造体は、図1に説明したように、自動車等の燃料系配管(管状体)の継ぎ手部のほか、空気調和装置の冷媒系配管(管状体)の継ぎ手部などの管状体の継ぎ手部などに適用できるなど、産業全般に幅広く適用し得るものである。
【0061】
【実施例】
以下、実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
比較例1〜3および実施例1〜5のシール構造体について、以下に説明する燃料透過性試験、常温および低温下でのシール試験および燃料浸漬後の接着強度試験を行い、表1に示す結果を得た。また、比較例1〜3および実施例1〜5のシール構造体を構成するゴム材料につき、常温(23℃)および低温(−50〜−30℃)雰囲気下での流体密性(漏れ出すガソリンの量)、TR10値およびガソリン(Fuel C)透過係数につき、上記ないし以下に説明する測定方法によって測定した結果をあわせて表1に示す。
【0063】
(燃料透過性試験)
燃料透過量計測は、イソオクタンとトルエンを同体積(50:50)で混合した試験燃料(Fuel C)を入れたアルミニウム製の容器に、比較例1〜3ないし実施例1〜5のシール構造体を装着した後、アルミニウム製の蓋で封をし、40℃一定雰囲気下で504時間(=3週間)放置した後の封入燃料の重量減少量を計測した。下記表1の燃料透過性試験の項目の数値は、いずれも各シール構造体(1個)ごとの1日(24hr)あたりの試験燃料の重量減少量(=透過量)(単位:mg/個/day)を表わす。
【0064】
(シール試験)
市販のレギュラガソリンを入れたアルミニウム製の容器に、比較例1〜3ないし実施例1〜5のシール構造体を装着した後、アルミニウム製の蓋で封をし、内部を0.5MPaで加圧し、常温(23℃)および低温(−40℃)雰囲気下にて、それぞれ試験開始(密封加圧した時点)から504時間(3週間)経過後に内封されたレギュラガソリンの漏れを調べた。
【0065】
レギュラガソリンの漏れは、市販のリークチェッカーで調べたが、水浴につけて調べる方法を適用してもよい。後者の場合には、レギュラガソリンの漏れは、にじみとして判別できる。
【0066】
下記表1のシール試験の項目の判定基準では、調査時(=試験開始(密封)後504時間経過後)に、ガソリンの漏れ(にじみ)が全く検出されない場合を「無し」とし、調査時にごくわずかでもガソリンの漏れ(にじみ)が検出されれば「有り」とした。これは、ごくわずかでも漏れていれば(にじんでいれば)リークチェッカーが反応するためである。なお、水浴につけて調べる場合にも、ごくわずかでも漏れていれば(にじんでいれば)、目視で簡単にわかるためである。
【0067】
(燃料浸漬後の接着強度試験)
60℃に加熱した燃料(レギュラガソリンを用いた)中に、実施例1〜5のシール構造体を504時間(3週間)浸漬後に、当該シール構造体を上記燃料透過性試験で用いたのと同様の容器に装着して締め付け負荷を加えた後、当該シール構造体のゴム同士の接合部分を観察し、接合部分の異常(剥がれ等)の有無を観察した。
【0068】
なお、本試験では、比較例1〜3のシール構造体については、2種類以上のゴムを接合した構造ではないため実験は行わなかった。
【0069】
(流体密性(漏れ出すガソリンの量))
流体密性の測定・評価は、Oリングを用い、次の条件で行い、計測で得られた値(漏れ量:mg/day)で流体密性の高低を評価した。すなわち、流体密性(流体密)の高い低いは、下記の計測量の高低で決定した。
【0070】
・Oリング形状;線径3.1mm、Oリング内径130mm
・Oリング圧縮率;15%
・燃料圧;23℃以上の場合は0.5Mpa、23℃未満の場合は、負荷圧力なし
・容器内容積;40ml
・計測項目;504時間経過時の漏れ量(mg/day)
・計測方法;
▲1▼23℃以上の場合:SHED法により計測した。詳しくは、内部に試験流体(ガソリンを用いた。)を入れたアルミニウム製の容器(内容積40ml)をゴム材料(いずれも上記に規定するOリングを用いた。)で封止を行い、常温(23℃)下にて容器内部を0.5MPaに加圧し、加圧開始から504時間(3週間)経過時の、Oリングを介して漏れ出すガソリンの漏れ量(mg/day)を、測定装置として株式会社ジャップス製の小型VT SHED(容積2m3)に株式会社堀場製作所製の分析計MEXA7200を組み合わせたものを用いて計測した。
【0071】
▲2▼23℃未満の場合:重量法により計測した。詳しくは、内部に試験流体(ガソリンを用いた。)を入れたアルミニウム製の容器(内容積40ml)をゴム材料(いずれも上記に規定するOリングを用いた。)で封止を行い、低温(具体的には、−30℃、−40℃、−50℃の3条件でそれぞれ実施した。)下にて加圧開始から504時間(3週間)経過時の、Oリングを介して漏れ出す試験流体の漏れ量(封入燃料の減少量;mg/day)を計測した。
【0072】
・漏れ出すガソリンの量は、Oリング(ゴム材料)を透過して出てくるものと容器とOリングの界面をリークしてくるものとの合計量である。
【0073】
(TR10値)
ゴム材料(試験片)の収縮率が10%となる温度を、JIS K6261−1997の低温弾性回復試験(TR試験)に従って求めた。
【0074】
(ガソリン(Fuel C)透過係数)
JIS Z0208−1976に準拠したアルミニウム製の容器に試験燃料(Fuel C;トルエン:イソオクタン=50:50(体積比))を封入し、40℃一定雰囲気下で、試験燃料のガソリン(=Fuel C)の透過する量を計測して算出した。なお、ゴム材料(試験片)の形状は、φ70mm×1mmとした。
【0075】
(比較例1)
断面形状が丸断面であり、線径φ3.1mm、内側直径φ130mmのOリングを用いた。材質は、NBRとした。
【0076】
(比較例2)
断面形状が丸断面であり、線径φ3.1mm、内側直径φ130mmのOリングを用いた。材質は、3元系FKM1とした。
【0077】
(比較例3)
断面形状が丸断面であり、線径φ3.1mm、内側直径φ130mmのOリングを用いた。材質は、3元系FKM2とした。
【0078】
(実施例1)
断面形状が図2に示す丸断面であり、線径φ3.1mm、内側直径φ130mmのOリングを用いた。材質は、内側材質にNBR−PVC、外側材質にNBRを用いた。これらの接着方法は、型内加硫接着法とした。
【0079】
(実施例2)
断面形状が図2に示す丸断面であり、線径φ3.1mm、内側直径φ130mmのOリングを用いた。材質は、内側材質に3元系FKM1、外側材質に3元系FKM2を用いた。これらの接着方法は、型内加硫接着法とした。
【0080】
(実施例3)
断面形状が図4に示す丸断面であり、線径φ3.1mm、内側直径φ130mmのOリングを用いた。材質は、内側材質に3元系FKM1、中間層材質に3元系FKM2、外側材質にNBRを用いた。これらの接着方法は、型内加硫接着法とした。
【0081】
(実施例4)
断面形状が図5に示す変形H型断面であり、等価線径φ3.1mm、内側直径φ130mmのOリングを用いた。材質は、内側材質に3元系FKM1、外側材質に3元系FKM2を用いた。これらの接着方法は、型内加硫により各パーツを作製後、これらをフッ素系接着剤(ダイキン工業株式会社製;ダイフロイル#10)により接着した。また、断面形状が内周部分のみのOリングと、断面形状が外周部分のみのOリングとを形成し、これらの接着面の全周にわたって接着剤を塗布後、両者を貼り付けて150℃で2時間かけて接着した。
【0082】
(実施例5)
断面形状が図5に示す変形H型断面であり、等価線径φ3.1mm、内側直径φ130mmのOリングを用いた。材質は、内側材質に3元系FKM1、外側材質に3元系FKM2を用いた。これらの接着方法は、型内加硫接着法とした。
【0083】
【表1】
Figure 2004190806
【0084】
なお、表1の燃料浸漬後の接着強度試験の欄の実施例4の*印の注記として、「但し、内側ゴムと外側ゴムの接合部分の界面の接着性が若干弱い。」とあるのは、上記した燃料浸漬後の接着強度試験において、接着強度は概ね良好であったが、接合部分の界面の一部にわずかな剥がれがあるのが観察されたため、接着性が加硫接着に比べて弱いという意味で、接着性が弱いとしたものである。ただし、燃料透過性能およびシール性能に影響を与える程度でないことは、上表1の燃料透過性試験およびシール試験結果が示す通り良好であることから明白である。なお、他の実施例で行った加硫接着による接合の場合には、当該接合部分に剥がれなどの異常は認められず、接着性は良好であった。
【0085】
実施例1では、材料が同じNBR同士で比較した場合、すなわち比較例1と比較した場合に燃料透過性試験での燃料透過量(mg/個/day)が50%改善されており、NBR材料において、燃料バリア性と低温シール性を長期間確実に維持することができるNBR製のシール構造体を提供することができることが確認された。
【0086】
実施例2〜5では、材料が同じフッ素ゴム同士の比較例2、3と対比した場合、比較例2よりも燃料透過性は極わずか低下しているものの、同時にシール性(特に低温シール性)にも優れていることが明確になっており、シール性のよい比較例3よりも燃料透過性は30〜40%も改善されているため、本発明の目的である、燃料バリア性と低温シール性を長期間確実に維持することができるフッ素ゴム製のシール構造体を提供することができることが確認された。
【0087】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。それゆえ、前述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的な解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】シール構造体適用の一例図である。
【図2】本発明に係る2種類のゴムを並設(並列に設置)させた構造を有するシール構造体(丸断面)の断面図である。
【図3】本発明に係る3種類のゴムを並設させた構造を有するシール構造体(丸断面)の断面図である。
【図4】本発明に係る3種類のゴムを並設させた構造を有するシール構造体(丸断面)の断面図である。
【図5】本発明に係る2種類のゴムを並設させた構造を有するシール構造体(H断面)の断面図である。
【図6】本発明に係る2種類のゴムを並設させた構造を有するシール構造体(変形H断面)の断面図である。
【図7】本発明に係る3種類のゴムを並設させた構造を有するシール構造体(H断面)の断面図である。
【図8】本発明に係る3種類のゴムを並設させた構造を有するシール構造体(変形H断面)の断面図である。
【図9】本発明に係る2種類のゴムを並設させた構造を有し、かつ他の2種類のゴムを直設(直列に設置)させた構造を有するシール構造体(丸断面)の断面図である。
【図10】本発明に係る3種類のゴムを並設させた構造を有し、かつ中間層のゴム内に他のゴムを、いわば海島構造となるように設置させた構造を有するシール構造体(丸断面)の断面図である。
【図11】図11(A)および(B)は、共に本発明に係る3種類のゴムを並設させた構造を有するシール構造体(丸断面)の断面図であって、該3種類のゴムの並設構造の範囲を例示した解説図面である。
【符号の説明】
1…シール構造体、
1a…シール構造体を構成するゴム材料、
1b…シール構造体を構成するゴム材料、
1c…シール構造体を構成するゴム材料、
2…管状体、
3…管状体、
4…カシメ部品、
5a、5b、6a、7a、7b、8a…内周のゴムの接点、
5c、5d、6b、7c、7d、8b…外周のゴムの接点、
6c、8c…シール構造体の断面形状の下面、
L…シール構造体の断面形状における内周から外周までの全幅。

Claims (7)

  1. 管状体の継ぎ手部に設置されるシール構造体であって、
    前記シール構造体は、流体の流れ中心に対して同心円に少なくとも2種類のゴムが並列されたものであり、
    流体の流れ中心に対して内周側のゴムが、これより外周側に位置するゴムのいずれかよりも常温において高い流体密性を有し、
    流体の流れ中心に対して外周側に位置するゴムが、これより内周側に位置するゴムのいずれかよりも少なくとも−30℃〜−50℃の温度域において高い流体密性を有することを特徴とするシール構造体。
  2. 前記シール構造体において、
    前記シール構造体は、その断面形状でみた場合に、流体密にシールする為に相手部品と2箇所以上の接点を有するものであり、
    少なくとも一つのゴムが1箇所以上の接点を形成し、これとは異なる少なくとも1つのゴムが異なる1箇所以上の接点を形成していることを特徴とする請求項1に記載のシール構造体。
  3. 前記シール構造体において、
    少なくとも流体の流れ中心に対して内周を構成するゴムが、フッ素ゴムであることを特徴とする請求項1または2に記載のシール構造体。
  4. 前記シール構造体において、
    該シール構造体を構成する材料が、フッ素ゴムであることを特徴とする請求項1または2に記載のシール構造体。
  5. 前記シール構造体において、
    外周のゴムが、TR10値=−20℃以下のフッ素ゴムであり、
    内周のゴムが、TR10値=−20℃以上のフッ素ゴムで、且つ40℃におけるガソリン透過係数で外周側のゴムに対して、1/2以下であることを特徴とする請求項4に記載のシール構造体。
  6. 前記シール構造体を構成する2種類以上のゴムが、加硫前に並設され、加硫時に接着されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシール構造体。
  7. 前記シール構造体を構成するゴムにおいて、
    その内周側が、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよびヘキサフルオロプロピレンからなるフッ素ゴムであり、
    その外周側が、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライドおよびパーフルオロメチルビニルエーテルからなるフッ素ゴムであることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のシール構造体。
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