JP2004060830A - リップ型高圧シール - Google Patents
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Abstract
【課題】冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路に使用することが可能で、高圧ガスをシールするのに適したリップ型高圧シールを提供する。
【解決手段】ハウジング2側に固定されて軸6の周面に摺動自在に密接するシールリップ7と、シールリップ7の密封流体側の面に被着された被覆材8とを有するリップ型高圧シール1であって、シールリップ7は、高強度、高硬度、低摩擦および低摩耗性のゴム配合物(水素添加NBRに対してカーボンブラック、シリカ、グラファイトまたはカーボンファイバー等の充填材を体積分率で45%以上配合したもの等)で形成され、被覆材8は、高ガスバリア性かつ非エラストマー性の高分子材料(ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはポリビニルアルコール等)で形成されていることにした。
【選択図】 図1
【解決手段】ハウジング2側に固定されて軸6の周面に摺動自在に密接するシールリップ7と、シールリップ7の密封流体側の面に被着された被覆材8とを有するリップ型高圧シール1であって、シールリップ7は、高強度、高硬度、低摩擦および低摩耗性のゴム配合物(水素添加NBRに対してカーボンブラック、シリカ、グラファイトまたはカーボンファイバー等の充填材を体積分率で45%以上配合したもの等)で形成され、被覆材8は、高ガスバリア性かつ非エラストマー性の高分子材料(ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはポリビニルアルコール等)で形成されていることにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジングとその軸孔に挿通した回転軸との間において流体シールを行なうために用いられるリップ型シールに係り、更に詳しくは、高圧・高温の二酸化炭素ガスや超臨界流体二酸化炭素のように高度な溶解性、拡散性を有する流体をシールするのに適したリップ型高圧シールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、空調装置の冷凍回路に装入されるフロンガスのような冷媒を圧縮するためにコンプレッサが使用されており、このコンプレッサの軸シールにはリップ型高圧シールが使用されている。
【0003】
従来のリップ型高圧シールは、例えば実開平02−110760号公報、実開平02−146269号公報、実開平03−102658号公報または特開平11−125337号公報に掲載されているように、テフロン(登録商標、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))のような低摩擦材料で形成された第一のシールリップと、ニトリルゴムやフッ素ゴムのような弾力的なエラストマー材料で形成された第二のシールリップとを備えている。後者の弾力的なエラストマー材料で形成された第二のシールリップは、主として、軸が回転していないときの静的シールを行なう役割を果たす。前者の第一のシールリップを形成するPTFEは、第二のシールリップを形成する弾力的なエラストマー材料に比べて曲げに対する耐久性が高く、耐摩耗性および耐熱性に優れているため、第一のシールリップは冷媒の高圧力に良く耐える。
【0004】
ところで、昨今、フロンガスによるオゾン層の破壊を回避して地球環境の保全を図るため、フロンガスに代わる冷媒として炭化水素やアンモニア、二酸化炭素の使用が検討されている。これらの中でも二酸化炭素は比較的容易に液化し、毒性も小さいため、汚染や安全性の観点から好ましいと考えられている。
【0005】
しかしながら、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路を実現するにあたり克復しなければならない問題は、コンプレッサの軸シールは流体シールの分野では未経験の非常に高い圧力に晒されるということである。何故ならば、図3のモリエル線図に示すように、冷媒として例えばフロンR−134aを使用する冷凍回路においては冷媒の圧力は約0.4MPaから約1.4MPaの範囲にとどまるのに対して、二酸化炭素を使用する冷凍回路においては、コンプレッサに入る二酸化炭素は約4MPaから約12MPaという冷媒ガスとしては非常に高い圧力範囲になると推測される。したがって、このようにコンプレッサの軸シールは約4MPaから約12MPaという極めて高い二酸化炭素の圧力を受けることに加えて、二酸化炭素自体が本来、高分子材料への溶解性が高く高分子材料を透過し易いものであるため、PTFEやゴム等の材料では、高圧の二酸化炭素ガスが容易に透過し、約4MPa以上という高圧下での二酸化炭素の漏れ量は冷凍回路を実用化する上で許容できないものである。
【0006】
また、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路を実現するにあたりコンプレッサの軸シールが克復しなければならない第二の問題は、この冷凍回路の冷凍サイクルの過程で二酸化炭素が超臨界流体に達するということである。図4の相図に示すように、二酸化炭素は臨界温度31.06℃および臨界圧力7.38MPaよりも高い温度および圧力条件で超臨界流体となる。超臨界流体二酸化炭素は気体より液体に近い密度を呈するため、シールリップを構成するPTFEに大量に溶解する。溶解した二酸化炭素は、冷凍回路の圧力が下がったときに気化し、PTFE内部に取り残された二酸化炭素は圧力差により急激に膨張し、結果としてPTFEを発泡させる。その結果、シールリップを構成するPTFEは二酸化炭素の圧力変化による内部歪みの発生で破壊され、早期に機械的強度を喪失する。
【0007】
また、炭酸ガスを用いる冷凍回路の他の問題は、高圧の二酸化炭素によりリップシールにPTFEの弾性限界を超えた引っ張り応力が局部的に作用するということである。PTFEは比較的低い弾性率を有するため、弾性限界を超えた引っ張り応力が作用すると、PTFEリップは局部的に変形(永久変形)し、静的シール性能を低下させる。
【0008】
これらの問題点を解決するために、本願発明者らは先に、PCT/WO00/79157A1公報に掲載されたように、高ガスバリア性樹脂を積層したリップシールを提案している。
【0009】
しかしながら、このリップシールでは、3000rpm程度の低速回転では問題を生じることがないものの、6000rpmを超えるような高速回転では、摺動部を構成するPTFE材料に極度の摩耗や変形が発生することがある。二酸化炭素を冷媒に使用する場合、高回転になればなるほど潤滑油の効果が消失し、リップと軸間は殆ど固体潤滑状態になり、摺動発熱の増加や摩耗の増加が生じると考えられ、摩耗量が増加すれば静的シール性能が低下してしまう。また、高ガスバリア性樹脂は柔軟性に欠けるため、10MPaを超えるような圧力ではリップの割れが発生するほか、軸振れ発生時に振れに追従することができず、よってガス漏れが大きくなる虞がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路に使用することが可能で、高圧のガスをシールするのに適したリップ型高圧シールを提供することを目的とする。また、二酸化炭素のような高度に溶解性、透過性のガスをシールするのに適したリップ型高圧シールを提供することを目的とする。また冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍機において遭遇するような極めて高い流体圧力に抗してハウジングと軸との間の流体シールを確立することを目的とする。更にまた、約12MPaにも達することがある高い流体圧力下で良好なシール性を発揮することが可能な低摩耗性のリップ型高圧シールを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるリップ型高圧シールは、ハウジング側に固定されて軸の周面に摺動自在に密接するシールリップと、前記シールリップの密封流体側の面に被着された被覆材とを有するリップ型高圧シールであって、前記シールリップは、高強度、高硬度、低摩擦および低摩耗性のゴム配合物で形成され、前記被覆材は、高ガスバリア性かつ非エラストマー性の高分子材料で形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項2によるリップ型高圧シールは、上記した請求項1のリップ型高圧シールにおいて、被覆材を形成する高分子材料は、圧力4MPaの二酸化炭素に対して1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下、より好ましくは1.0×10−14(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下のガス透過係数を有することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項3によるリップ型高圧シールは、上記した請求項1のリップ型高圧シールにおいて、シールリップを形成するゴム配合物は、その硬度が90(JIS A)以上であることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項4によるリップ型高圧シールは、上記した請求項1のリップ型高圧シールにおいて、シールリップを形成するゴム配合物は、その20℃における熱伝導率が0.4W/m・K以上であることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項5によるリップ型高圧シールは、上記した請求項1ないし4の何れかに記載されたリップ型高圧シールにおいて、被覆材を形成する高分子材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはポリビニルアルコールを主材として形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
更にまた、本発明の請求項6によるリップ型高圧シールは、上記した請求項1ないし4の何れかに記載されたリップ型高圧シールにおいて、シールリップを形成するゴム配合物は、水素添加NBRに対してカーボンブラック、シリカ、グラファイトまたはカーボンファイバー等の充填材を体積分率で45%以上配合したものであることを特徴とするものである。
【0017】
上記構成を備えた本発明のリップ型高圧シールにおいては、その構成部品であるシールリップが、高強度、高硬度、低摩擦および低摩耗性のゴム配合物で形成され、このシールリップに被着される被覆材が、高ガスバリア性かつ非エラストマー性の高分子材料で形成されている。また、好ましくは、被覆材を形成する高分子材料が、圧力4MPaの二酸化炭素に対して1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下、より好ましくは1.0×10−14(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下のガス透過係数を有し、シールリップを形成するゴム配合物が、硬度を90(JIS A)以上とされ、20℃における熱伝導率を0.4W/m・K以上とされる。被覆材を形成する高分子材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはポリビニルアルコールよりなり、シールリップを形成するゴム配合物は、水素添加NBRに対し、カーボンブラック、シリカ、グラファイトまたはカーボンファイバー等の充填材を体積分率で45%以上配合したものよりなる。
【0018】
したがって、このようにシールリップが高ガスバリア性の高分子材料よりなる被覆材で被覆されると、高圧の二酸化炭素の透過を効果的に阻止し、長期間に亙って二酸化炭素の透過漏れを最小限に抑えることが可能となる。シールリップに対する被覆材の厚さの比率は1%以上、より好ましくは2%以上、更に好ましくは5%以上が好適であり、このように被覆材の厚さを設定することによりガスバリア層の厚みが充分に確保されるため、ガスの透過漏れを最小限に抑えることが可能となる。
【0019】
また、シールリップを形成する高ガスバリア性の高分子材料で被覆されたゴム配合物は、単独のゴム材料と比較して高い剛性を有する。したがって、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路に存在する約4MPaから約12MPaという高圧力に良く対抗することができ、充分な静的シール機能および動的シール機能を発揮することが可能となる。
【0020】
また、好ましくは、被覆材を形成する高分子材料は高い弾性率を有するものとする。このような高い弾性を有する高分子材料で被覆されたシールリップは、溶解した二酸化炭素の発泡により破壊されることがなく、長期間に亙って超臨界流体二酸化炭素の溶解と発泡の反復に耐えることができる。また、高圧の二酸化炭素による大きな応力が局部的に作用してもシールリップは塑性変形せず、静的シール性能を維持することができる。
【0021】
低摩擦および低摩耗性のゴム配合物は、シールリップの摺動摩擦を軽減し、発熱を防止するので、ポリアミドのような高分子材料に熱負荷がかかるのを防止する。また、高圧力が作用してもシャフトの高回転によって生じる摩耗が少ないため、充分な静的シール機能および動的シール機能を発揮することができる。
【0022】
好ましい実施形態において、シールリップは、特開2002−80639号公報に掲載された水素化ニトリルゴム組成物で形成される。この組成物は、本願発明者らが鋭意研究した結果として、優れた耐熱性、耐圧変形性、摩耗特性および熱伝導性を発揮して高圧用シール材の成形材料として有効に利用し得るようにしたものであって、具体的には、アクリロニトリル結合量が38%以下、水素添加率が90%以上、ヨウ素価(中心値)が28以下である水素化ニトリルゴム100重量部当り約120重量部以上の合計量となるカーボンブラックおよび他の充填剤を配合してなり、20℃における熱伝導率が0.4W/m・K以上であり、50%モジュラスが14MPa以上の架橋物を与える組成物である。
【0023】
本発明の他の観点において、本発明は、高圧ガスを収容するハウジングと相対回転する軸との間の流体シールを行なう方法を提供するもので、この方法は、高ガスバリア性かつ非エラストマー性の高分子材料で被覆したゴム材料で形成された環状のシールリップを備えたリップ型シールを準備し、前記シールリップの高圧側のみに高ガスバリア性材料を被覆することで、低摩擦、低摩耗ゴム材料のみが軸に接触するように軸とハウジングの間にリップ型シールを装着し、約3MPaより高い圧力のガスをシールの流体側に作用させながら軸とハウジングとを相対回転させ、もって、シールリップの高ガスバリア性によりガス透過を実質的に防止しながら、ガスの高圧力によりゴム材料を弾力的に軸振れに追従させ、なおかつ、軸の高速回転による摩耗を最小限にすることを特徴とする。
【0024】
以上の構成を有するとともに作用を奏する本発明によれば、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路に使用することが可能で、高圧ガスをシールするのに適したリップ型シールを提供することができ、二酸化炭素のような高度に溶解性、透過性のガスをシールするのに適したリップ型シールを提供することができる。また、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍機において遭遇する極めて高い流体圧力に抗して軸およびハウジング間の流体シールを確立することができ、更にまた、約12MPaにも達する高圧の密封流体を有効にシールにし、かつ摩耗の少ないリップ型シールを提供することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るリップ型高圧シール1の半裁断面を示している。
【0027】
当該実施形態に係るリップ型高圧シール1は、空調装置の冷凍回路において冷媒として二酸化炭素をシールするものであって、以下のように構成されている。
【0028】
すなわち先ず、当該リップ型高圧シール1をハウジング2の軸孔内周に取り付けるための金属製の取付環3が設けられており、この取付環3に環状の弾性体4がインサート成形の実施により一体成形されている。弾性体4には、ハウジング2の軸孔内面に密接して取付環3およびハウジング2間をシールする外周シール部5と、軸6の周面に摺動自在に密接して取付環3および軸6間をシールするシールリップ(第二シールリップ)7とが一体に設けられており、後者のシールリップ7はそのリップ端を密封流体側Aに向けて傾斜させている。またこの弾性体4は、高強度、高硬度、低摩擦および低摩耗性を備えたゴム配合物によって成形されており、具体的には、水素添加NBRに対しカーボンブラック、シリカ、グラファイトまたはカーボンファイバー等の充填材を体積分率で45%以上配合したものによって成形されている。ゴム配合物の硬度は90(JIS A)以上とされており、またその20℃における熱伝導率は0.4W/m・K以上とされている。
【0029】
弾性体4の密封流体A側の面に、被覆材8が全面に亙って被着されている。この被覆材8は、高ガスバリア性および非エラストマー性を備えた高分子材料によって皮膜状に成形されており、具体的には、ポリアミド(ナイロン6)、ポリイミド(メクコート)、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはポリビニルアルコールによって皮膜状に成形されている。高分子材料のガス透過係数は、圧力4MPaの二酸化炭素に対し1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下、より好ましくは1.0×10−14(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下とされている。またこの被覆材8は、共押出法、接着法、キャスト法または熱圧着法等によって弾性体4に接合されており、シールリップ7とともに一つの一体の複合リップを形成している。
【0030】
シールリップ7の大気側Bに、このシールリップ7をバックアップするためのバックアップリング9が設けられている。またこのバックアップリング9の大気側BにPTFE等よりなる樹脂リップ(第一シールリップ)10が設けられており、この樹脂リップ10の更に大気側に、この樹脂リップ10をバックアップするためのバックアップリング11が設けられている。これらのバックアップリング9,11および樹脂リップ10は、取付環3の大気側端部3aを径方向内方へ折り曲げることにより当該シール1に対してカシメ固定されている。
【0031】
シールリップ7および樹脂リップ10の装着前自由状態における内径寸法はそれぞれ、軸6の外径寸法よりも小さく形成されており、よって当該シール1をハウジング2に装着して当該シール1の内周に軸6を挿通させると、所定の締め代が設定される。また、シールリップ7のリップ端内周面および樹脂リップ10の内周面にはそれぞれ、螺旋形のポンピング要素12,13が設けられている。
【0032】
上記構成のリップ型高圧シール1の使用にあたり、コンプレッサの非作動時には、コンプレッサのハウジング2内の二酸化炭素ガスの圧力は、図3のモリエル線図から理解されるように、約12MPaという非常に高いレベルになることがある。しかしながら当該シール1では、シールリップ7の密封流体側の面に被着された被覆材8が高度のガスバリア性を有しているため、高圧下における二酸化炭素の透過を有効に阻止することができる。
【0033】
図2のグラフ図に、異なる圧力の二酸化炭素に対するポリアミドおよびその他の高分子材料のガス透過係数を示す。このグラフにおいて、#1プロットはポリアミドの、#2プロットはポリイミドの、#3プロットはポリフッ化ビニリデンの、#4プロットはPTFEの、#5プロットはフッ素ゴムの、#6プロットはブチルゴムの、#7プロットは塩素化ポリエチレンゴムの、#8プロットは水素添加NBRゴムのガス透過係数をそれぞれ示している。このグラフから分かるように、PTFEおよび各種ゴム材料は1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))よりも大きなガス透過係数を有するのに対してポリアミドやポリイミドは圧力4MPaの二酸化炭素に対し1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))未満の小さなガス透過係数を有しており、よって良好なガスバリア性が発揮される。
【0034】
また、ポリアミドやポリイミドは比較的高い剛性を有しているため、シールリップ7は二酸化炭素の高圧力に良く耐えることができる。また、シールリップ7がハウジング2内の二酸化炭素の高い圧力の作用により弾力的に撓むため、摺動摩擦による動力損失や発熱を最小限に抑制することができる。また、水素添加NBRゴム配合物が耐摩耗性および耐熱性に優れているため、シールリップ7は摩耗も極めて少ないものである。
【0035】
コンプレッサの低圧状態である約4MPaの場合にも、高ガスバリア性の被覆材8を有するシールリップ7は二酸化炭素の透過を有効に阻止することができる。また、二酸化炭素の圧力が、被覆材8を有するシールリップ7を被覆材8の剛性に抗して柔軟に変形させ、シールリップ7を軸の振れに対して弾力的に追従させる。したがってポリアミド単体のシールリップと比較して、シールリップ7が静止時および軸振れ発生時にも軸6に良く密着するため、ガス漏れを最小限に抑えることができる。
【0036】
実施例1・・・
ナイロン(三菱樹脂製品ダイアミロンC−Z)を射出成形して厚さ0.1mmのリップシール形状に成形し、それを金型に残したまま、水素添加NBR(Zetpol−2000)ゴム配合物を注入して加硫し、#1シールリップとした。このように成形して得られた#1シールリップ(リップ内径10mm)を回転シャフト型摺動試験装置に組み付けて、周速2m/sec、二酸化炭素圧力5MPaの条件下で二酸化炭素の漏れ量を測定したところ、24時間あたり1.8cm3であった。またゴムリップの摩耗幅は0.20mmであった。また二酸化炭素10MPaで同様な試験を実施したところ、24時間あたりの漏れ量は2.5cm3で、摩耗幅は0.21mmであった。
【0037】
#1シールリップと同様にして、ナイロンシートの代わりに、フッ化ビニリデン樹脂(ダイキン工業製品ネオフロンVDF)のシート、クロロトリフルオロエチレン樹脂(ダイキン工業製品ネオフロンCTFE)のシート、ポリビニルアルコール(クラレ製品PVA−105)のシートおよび塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ製品ZEST800Z)のシートを用いてそれぞれのシールリップ製品を製作し、同じ摺動試験機で試験したところ、24時間あたりの二酸化炭素の漏れ量はそれぞれ、5.1cm3、2.7cm3、2.4cm3、および2.0cm3であった。ゴムリップの摩耗幅は全て0.20mmであった。
【0038】
実施例2・・・
予めゴム組成物を圧縮成形法によりリップシール形状に成形し、その成形品の高圧側の面にポリイミドNMP溶液を乾燥後の厚みが0.1mmになるようにコーティングし、#2シールリップとした。このようにして得られた#2リップシールを実施例1と同様に試験したところ、24時間あたりの二酸化炭素の漏れ量は1.9cm3であった。またゴムリップの摩耗幅は0.20mmであった。更に、二酸化炭素10MPaで同様な試験を実施したところ、24時間あたりの漏れ量は2.6cm3で、摩耗幅は0.21mmであった。
【0039】
比較例1・・・
比較のため、ナイロンシートを用いることなく、ゴム組成物のみからなる#3シールリップを製作し、同様の試験をしたところ、24時間あたりの二酸化炭素の漏れ量は24.3cm3で、ゴムリップの摩耗幅は0.26mmであった。更に、二酸化炭素10MPaで同様な試験を実施したところ、24時間あたりの漏れ量は40.2cm3で、摩耗幅は0.5mmであった。
【0040】
比較例2・・・
更に比較のため、ゴム組成物リップシールを除いて、PTFEリップシールだけにした#4シールリップを製作し、同様の試験をしたところ、24時間あたりの二酸化炭素の漏れ量は30.3cm3で、PTFEリップの摩耗幅は1.21mmであった。更に、二酸化炭素10MPaで同様な試験を実施したところ、24時間あたりの漏れ量は2.6cm3で、PTFEは塑性変形し、低圧側にはみ出した。摩耗幅は計測不能であった。
【0041】
比較例3・・・
更に比較のため、上記PCT/WO00/79157A1公報に掲載されたリップ型シールを製作し、同様の試験を実施したところ、24時間あたりの二酸化炭素の漏れ量は2.4cm3で、PTFEリップの摩耗幅は0.32mmであった。更に、二酸化炭素10MPaで同様な試験を実施したところ、樹脂リップに割れが生じて、計測を中断した。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路に使用することが可能で、高圧ガスをシールするのに適したリップ型シールを提供することができ、二酸化炭素のような高度に溶解性、透過性のガスをシールするのに適したリップ型シールを提供することができる。また、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍機において遭遇する極めて高い流体圧力に抗して軸およびハウジング間の流体シールを確立することができ、更にまた、約12MPaにも達する高圧の密封流体を有効にシールにし、かつ摩耗の少ないリップ型シールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るリップ型高圧シールの半裁断面図
【図2】異なる圧力の二酸化炭素に対する種々の高分子材料のガス透過係数を示すグラフ図
【図3】冷媒としてフロンR−134aまたは二酸化炭素を用いた冷凍回路のモリエル線図
【図4】圧力と温度変化に伴う二酸化炭素の相変化を示すグラフ図
【符号の説明】
1 リップ型高圧シール
2 ハウジング
3 取付環
3a 大気側端部(カシメ部)
4 弾性体
5 外周シール部
6 軸
7 シールリップ
8 被覆材
9,11 バックアップリング
10 樹脂リップ
12,13 ポンピング要素
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジングとその軸孔に挿通した回転軸との間において流体シールを行なうために用いられるリップ型シールに係り、更に詳しくは、高圧・高温の二酸化炭素ガスや超臨界流体二酸化炭素のように高度な溶解性、拡散性を有する流体をシールするのに適したリップ型高圧シールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、空調装置の冷凍回路に装入されるフロンガスのような冷媒を圧縮するためにコンプレッサが使用されており、このコンプレッサの軸シールにはリップ型高圧シールが使用されている。
【0003】
従来のリップ型高圧シールは、例えば実開平02−110760号公報、実開平02−146269号公報、実開平03−102658号公報または特開平11−125337号公報に掲載されているように、テフロン(登録商標、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))のような低摩擦材料で形成された第一のシールリップと、ニトリルゴムやフッ素ゴムのような弾力的なエラストマー材料で形成された第二のシールリップとを備えている。後者の弾力的なエラストマー材料で形成された第二のシールリップは、主として、軸が回転していないときの静的シールを行なう役割を果たす。前者の第一のシールリップを形成するPTFEは、第二のシールリップを形成する弾力的なエラストマー材料に比べて曲げに対する耐久性が高く、耐摩耗性および耐熱性に優れているため、第一のシールリップは冷媒の高圧力に良く耐える。
【0004】
ところで、昨今、フロンガスによるオゾン層の破壊を回避して地球環境の保全を図るため、フロンガスに代わる冷媒として炭化水素やアンモニア、二酸化炭素の使用が検討されている。これらの中でも二酸化炭素は比較的容易に液化し、毒性も小さいため、汚染や安全性の観点から好ましいと考えられている。
【0005】
しかしながら、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路を実現するにあたり克復しなければならない問題は、コンプレッサの軸シールは流体シールの分野では未経験の非常に高い圧力に晒されるということである。何故ならば、図3のモリエル線図に示すように、冷媒として例えばフロンR−134aを使用する冷凍回路においては冷媒の圧力は約0.4MPaから約1.4MPaの範囲にとどまるのに対して、二酸化炭素を使用する冷凍回路においては、コンプレッサに入る二酸化炭素は約4MPaから約12MPaという冷媒ガスとしては非常に高い圧力範囲になると推測される。したがって、このようにコンプレッサの軸シールは約4MPaから約12MPaという極めて高い二酸化炭素の圧力を受けることに加えて、二酸化炭素自体が本来、高分子材料への溶解性が高く高分子材料を透過し易いものであるため、PTFEやゴム等の材料では、高圧の二酸化炭素ガスが容易に透過し、約4MPa以上という高圧下での二酸化炭素の漏れ量は冷凍回路を実用化する上で許容できないものである。
【0006】
また、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路を実現するにあたりコンプレッサの軸シールが克復しなければならない第二の問題は、この冷凍回路の冷凍サイクルの過程で二酸化炭素が超臨界流体に達するということである。図4の相図に示すように、二酸化炭素は臨界温度31.06℃および臨界圧力7.38MPaよりも高い温度および圧力条件で超臨界流体となる。超臨界流体二酸化炭素は気体より液体に近い密度を呈するため、シールリップを構成するPTFEに大量に溶解する。溶解した二酸化炭素は、冷凍回路の圧力が下がったときに気化し、PTFE内部に取り残された二酸化炭素は圧力差により急激に膨張し、結果としてPTFEを発泡させる。その結果、シールリップを構成するPTFEは二酸化炭素の圧力変化による内部歪みの発生で破壊され、早期に機械的強度を喪失する。
【0007】
また、炭酸ガスを用いる冷凍回路の他の問題は、高圧の二酸化炭素によりリップシールにPTFEの弾性限界を超えた引っ張り応力が局部的に作用するということである。PTFEは比較的低い弾性率を有するため、弾性限界を超えた引っ張り応力が作用すると、PTFEリップは局部的に変形(永久変形)し、静的シール性能を低下させる。
【0008】
これらの問題点を解決するために、本願発明者らは先に、PCT/WO00/79157A1公報に掲載されたように、高ガスバリア性樹脂を積層したリップシールを提案している。
【0009】
しかしながら、このリップシールでは、3000rpm程度の低速回転では問題を生じることがないものの、6000rpmを超えるような高速回転では、摺動部を構成するPTFE材料に極度の摩耗や変形が発生することがある。二酸化炭素を冷媒に使用する場合、高回転になればなるほど潤滑油の効果が消失し、リップと軸間は殆ど固体潤滑状態になり、摺動発熱の増加や摩耗の増加が生じると考えられ、摩耗量が増加すれば静的シール性能が低下してしまう。また、高ガスバリア性樹脂は柔軟性に欠けるため、10MPaを超えるような圧力ではリップの割れが発生するほか、軸振れ発生時に振れに追従することができず、よってガス漏れが大きくなる虞がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の点に鑑みて、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路に使用することが可能で、高圧のガスをシールするのに適したリップ型高圧シールを提供することを目的とする。また、二酸化炭素のような高度に溶解性、透過性のガスをシールするのに適したリップ型高圧シールを提供することを目的とする。また冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍機において遭遇するような極めて高い流体圧力に抗してハウジングと軸との間の流体シールを確立することを目的とする。更にまた、約12MPaにも達することがある高い流体圧力下で良好なシール性を発揮することが可能な低摩耗性のリップ型高圧シールを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるリップ型高圧シールは、ハウジング側に固定されて軸の周面に摺動自在に密接するシールリップと、前記シールリップの密封流体側の面に被着された被覆材とを有するリップ型高圧シールであって、前記シールリップは、高強度、高硬度、低摩擦および低摩耗性のゴム配合物で形成され、前記被覆材は、高ガスバリア性かつ非エラストマー性の高分子材料で形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の請求項2によるリップ型高圧シールは、上記した請求項1のリップ型高圧シールにおいて、被覆材を形成する高分子材料は、圧力4MPaの二酸化炭素に対して1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下、より好ましくは1.0×10−14(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下のガス透過係数を有することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項3によるリップ型高圧シールは、上記した請求項1のリップ型高圧シールにおいて、シールリップを形成するゴム配合物は、その硬度が90(JIS A)以上であることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項4によるリップ型高圧シールは、上記した請求項1のリップ型高圧シールにおいて、シールリップを形成するゴム配合物は、その20℃における熱伝導率が0.4W/m・K以上であることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の請求項5によるリップ型高圧シールは、上記した請求項1ないし4の何れかに記載されたリップ型高圧シールにおいて、被覆材を形成する高分子材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはポリビニルアルコールを主材として形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
更にまた、本発明の請求項6によるリップ型高圧シールは、上記した請求項1ないし4の何れかに記載されたリップ型高圧シールにおいて、シールリップを形成するゴム配合物は、水素添加NBRに対してカーボンブラック、シリカ、グラファイトまたはカーボンファイバー等の充填材を体積分率で45%以上配合したものであることを特徴とするものである。
【0017】
上記構成を備えた本発明のリップ型高圧シールにおいては、その構成部品であるシールリップが、高強度、高硬度、低摩擦および低摩耗性のゴム配合物で形成され、このシールリップに被着される被覆材が、高ガスバリア性かつ非エラストマー性の高分子材料で形成されている。また、好ましくは、被覆材を形成する高分子材料が、圧力4MPaの二酸化炭素に対して1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下、より好ましくは1.0×10−14(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下のガス透過係数を有し、シールリップを形成するゴム配合物が、硬度を90(JIS A)以上とされ、20℃における熱伝導率を0.4W/m・K以上とされる。被覆材を形成する高分子材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはポリビニルアルコールよりなり、シールリップを形成するゴム配合物は、水素添加NBRに対し、カーボンブラック、シリカ、グラファイトまたはカーボンファイバー等の充填材を体積分率で45%以上配合したものよりなる。
【0018】
したがって、このようにシールリップが高ガスバリア性の高分子材料よりなる被覆材で被覆されると、高圧の二酸化炭素の透過を効果的に阻止し、長期間に亙って二酸化炭素の透過漏れを最小限に抑えることが可能となる。シールリップに対する被覆材の厚さの比率は1%以上、より好ましくは2%以上、更に好ましくは5%以上が好適であり、このように被覆材の厚さを設定することによりガスバリア層の厚みが充分に確保されるため、ガスの透過漏れを最小限に抑えることが可能となる。
【0019】
また、シールリップを形成する高ガスバリア性の高分子材料で被覆されたゴム配合物は、単独のゴム材料と比較して高い剛性を有する。したがって、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路に存在する約4MPaから約12MPaという高圧力に良く対抗することができ、充分な静的シール機能および動的シール機能を発揮することが可能となる。
【0020】
また、好ましくは、被覆材を形成する高分子材料は高い弾性率を有するものとする。このような高い弾性を有する高分子材料で被覆されたシールリップは、溶解した二酸化炭素の発泡により破壊されることがなく、長期間に亙って超臨界流体二酸化炭素の溶解と発泡の反復に耐えることができる。また、高圧の二酸化炭素による大きな応力が局部的に作用してもシールリップは塑性変形せず、静的シール性能を維持することができる。
【0021】
低摩擦および低摩耗性のゴム配合物は、シールリップの摺動摩擦を軽減し、発熱を防止するので、ポリアミドのような高分子材料に熱負荷がかかるのを防止する。また、高圧力が作用してもシャフトの高回転によって生じる摩耗が少ないため、充分な静的シール機能および動的シール機能を発揮することができる。
【0022】
好ましい実施形態において、シールリップは、特開2002−80639号公報に掲載された水素化ニトリルゴム組成物で形成される。この組成物は、本願発明者らが鋭意研究した結果として、優れた耐熱性、耐圧変形性、摩耗特性および熱伝導性を発揮して高圧用シール材の成形材料として有効に利用し得るようにしたものであって、具体的には、アクリロニトリル結合量が38%以下、水素添加率が90%以上、ヨウ素価(中心値)が28以下である水素化ニトリルゴム100重量部当り約120重量部以上の合計量となるカーボンブラックおよび他の充填剤を配合してなり、20℃における熱伝導率が0.4W/m・K以上であり、50%モジュラスが14MPa以上の架橋物を与える組成物である。
【0023】
本発明の他の観点において、本発明は、高圧ガスを収容するハウジングと相対回転する軸との間の流体シールを行なう方法を提供するもので、この方法は、高ガスバリア性かつ非エラストマー性の高分子材料で被覆したゴム材料で形成された環状のシールリップを備えたリップ型シールを準備し、前記シールリップの高圧側のみに高ガスバリア性材料を被覆することで、低摩擦、低摩耗ゴム材料のみが軸に接触するように軸とハウジングの間にリップ型シールを装着し、約3MPaより高い圧力のガスをシールの流体側に作用させながら軸とハウジングとを相対回転させ、もって、シールリップの高ガスバリア性によりガス透過を実質的に防止しながら、ガスの高圧力によりゴム材料を弾力的に軸振れに追従させ、なおかつ、軸の高速回転による摩耗を最小限にすることを特徴とする。
【0024】
以上の構成を有するとともに作用を奏する本発明によれば、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路に使用することが可能で、高圧ガスをシールするのに適したリップ型シールを提供することができ、二酸化炭素のような高度に溶解性、透過性のガスをシールするのに適したリップ型シールを提供することができる。また、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍機において遭遇する極めて高い流体圧力に抗して軸およびハウジング間の流体シールを確立することができ、更にまた、約12MPaにも達する高圧の密封流体を有効にシールにし、かつ摩耗の少ないリップ型シールを提供することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るリップ型高圧シール1の半裁断面を示している。
【0027】
当該実施形態に係るリップ型高圧シール1は、空調装置の冷凍回路において冷媒として二酸化炭素をシールするものであって、以下のように構成されている。
【0028】
すなわち先ず、当該リップ型高圧シール1をハウジング2の軸孔内周に取り付けるための金属製の取付環3が設けられており、この取付環3に環状の弾性体4がインサート成形の実施により一体成形されている。弾性体4には、ハウジング2の軸孔内面に密接して取付環3およびハウジング2間をシールする外周シール部5と、軸6の周面に摺動自在に密接して取付環3および軸6間をシールするシールリップ(第二シールリップ)7とが一体に設けられており、後者のシールリップ7はそのリップ端を密封流体側Aに向けて傾斜させている。またこの弾性体4は、高強度、高硬度、低摩擦および低摩耗性を備えたゴム配合物によって成形されており、具体的には、水素添加NBRに対しカーボンブラック、シリカ、グラファイトまたはカーボンファイバー等の充填材を体積分率で45%以上配合したものによって成形されている。ゴム配合物の硬度は90(JIS A)以上とされており、またその20℃における熱伝導率は0.4W/m・K以上とされている。
【0029】
弾性体4の密封流体A側の面に、被覆材8が全面に亙って被着されている。この被覆材8は、高ガスバリア性および非エラストマー性を備えた高分子材料によって皮膜状に成形されており、具体的には、ポリアミド(ナイロン6)、ポリイミド(メクコート)、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはポリビニルアルコールによって皮膜状に成形されている。高分子材料のガス透過係数は、圧力4MPaの二酸化炭素に対し1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下、より好ましくは1.0×10−14(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下とされている。またこの被覆材8は、共押出法、接着法、キャスト法または熱圧着法等によって弾性体4に接合されており、シールリップ7とともに一つの一体の複合リップを形成している。
【0030】
シールリップ7の大気側Bに、このシールリップ7をバックアップするためのバックアップリング9が設けられている。またこのバックアップリング9の大気側BにPTFE等よりなる樹脂リップ(第一シールリップ)10が設けられており、この樹脂リップ10の更に大気側に、この樹脂リップ10をバックアップするためのバックアップリング11が設けられている。これらのバックアップリング9,11および樹脂リップ10は、取付環3の大気側端部3aを径方向内方へ折り曲げることにより当該シール1に対してカシメ固定されている。
【0031】
シールリップ7および樹脂リップ10の装着前自由状態における内径寸法はそれぞれ、軸6の外径寸法よりも小さく形成されており、よって当該シール1をハウジング2に装着して当該シール1の内周に軸6を挿通させると、所定の締め代が設定される。また、シールリップ7のリップ端内周面および樹脂リップ10の内周面にはそれぞれ、螺旋形のポンピング要素12,13が設けられている。
【0032】
上記構成のリップ型高圧シール1の使用にあたり、コンプレッサの非作動時には、コンプレッサのハウジング2内の二酸化炭素ガスの圧力は、図3のモリエル線図から理解されるように、約12MPaという非常に高いレベルになることがある。しかしながら当該シール1では、シールリップ7の密封流体側の面に被着された被覆材8が高度のガスバリア性を有しているため、高圧下における二酸化炭素の透過を有効に阻止することができる。
【0033】
図2のグラフ図に、異なる圧力の二酸化炭素に対するポリアミドおよびその他の高分子材料のガス透過係数を示す。このグラフにおいて、#1プロットはポリアミドの、#2プロットはポリイミドの、#3プロットはポリフッ化ビニリデンの、#4プロットはPTFEの、#5プロットはフッ素ゴムの、#6プロットはブチルゴムの、#7プロットは塩素化ポリエチレンゴムの、#8プロットは水素添加NBRゴムのガス透過係数をそれぞれ示している。このグラフから分かるように、PTFEおよび各種ゴム材料は1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))よりも大きなガス透過係数を有するのに対してポリアミドやポリイミドは圧力4MPaの二酸化炭素に対し1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))未満の小さなガス透過係数を有しており、よって良好なガスバリア性が発揮される。
【0034】
また、ポリアミドやポリイミドは比較的高い剛性を有しているため、シールリップ7は二酸化炭素の高圧力に良く耐えることができる。また、シールリップ7がハウジング2内の二酸化炭素の高い圧力の作用により弾力的に撓むため、摺動摩擦による動力損失や発熱を最小限に抑制することができる。また、水素添加NBRゴム配合物が耐摩耗性および耐熱性に優れているため、シールリップ7は摩耗も極めて少ないものである。
【0035】
コンプレッサの低圧状態である約4MPaの場合にも、高ガスバリア性の被覆材8を有するシールリップ7は二酸化炭素の透過を有効に阻止することができる。また、二酸化炭素の圧力が、被覆材8を有するシールリップ7を被覆材8の剛性に抗して柔軟に変形させ、シールリップ7を軸の振れに対して弾力的に追従させる。したがってポリアミド単体のシールリップと比較して、シールリップ7が静止時および軸振れ発生時にも軸6に良く密着するため、ガス漏れを最小限に抑えることができる。
【0036】
実施例1・・・
ナイロン(三菱樹脂製品ダイアミロンC−Z)を射出成形して厚さ0.1mmのリップシール形状に成形し、それを金型に残したまま、水素添加NBR(Zetpol−2000)ゴム配合物を注入して加硫し、#1シールリップとした。このように成形して得られた#1シールリップ(リップ内径10mm)を回転シャフト型摺動試験装置に組み付けて、周速2m/sec、二酸化炭素圧力5MPaの条件下で二酸化炭素の漏れ量を測定したところ、24時間あたり1.8cm3であった。またゴムリップの摩耗幅は0.20mmであった。また二酸化炭素10MPaで同様な試験を実施したところ、24時間あたりの漏れ量は2.5cm3で、摩耗幅は0.21mmであった。
【0037】
#1シールリップと同様にして、ナイロンシートの代わりに、フッ化ビニリデン樹脂(ダイキン工業製品ネオフロンVDF)のシート、クロロトリフルオロエチレン樹脂(ダイキン工業製品ネオフロンCTFE)のシート、ポリビニルアルコール(クラレ製品PVA−105)のシートおよび塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ製品ZEST800Z)のシートを用いてそれぞれのシールリップ製品を製作し、同じ摺動試験機で試験したところ、24時間あたりの二酸化炭素の漏れ量はそれぞれ、5.1cm3、2.7cm3、2.4cm3、および2.0cm3であった。ゴムリップの摩耗幅は全て0.20mmであった。
【0038】
実施例2・・・
予めゴム組成物を圧縮成形法によりリップシール形状に成形し、その成形品の高圧側の面にポリイミドNMP溶液を乾燥後の厚みが0.1mmになるようにコーティングし、#2シールリップとした。このようにして得られた#2リップシールを実施例1と同様に試験したところ、24時間あたりの二酸化炭素の漏れ量は1.9cm3であった。またゴムリップの摩耗幅は0.20mmであった。更に、二酸化炭素10MPaで同様な試験を実施したところ、24時間あたりの漏れ量は2.6cm3で、摩耗幅は0.21mmであった。
【0039】
比較例1・・・
比較のため、ナイロンシートを用いることなく、ゴム組成物のみからなる#3シールリップを製作し、同様の試験をしたところ、24時間あたりの二酸化炭素の漏れ量は24.3cm3で、ゴムリップの摩耗幅は0.26mmであった。更に、二酸化炭素10MPaで同様な試験を実施したところ、24時間あたりの漏れ量は40.2cm3で、摩耗幅は0.5mmであった。
【0040】
比較例2・・・
更に比較のため、ゴム組成物リップシールを除いて、PTFEリップシールだけにした#4シールリップを製作し、同様の試験をしたところ、24時間あたりの二酸化炭素の漏れ量は30.3cm3で、PTFEリップの摩耗幅は1.21mmであった。更に、二酸化炭素10MPaで同様な試験を実施したところ、24時間あたりの漏れ量は2.6cm3で、PTFEは塑性変形し、低圧側にはみ出した。摩耗幅は計測不能であった。
【0041】
比較例3・・・
更に比較のため、上記PCT/WO00/79157A1公報に掲載されたリップ型シールを製作し、同様の試験を実施したところ、24時間あたりの二酸化炭素の漏れ量は2.4cm3で、PTFEリップの摩耗幅は0.32mmであった。更に、二酸化炭素10MPaで同様な試験を実施したところ、樹脂リップに割れが生じて、計測を中断した。
【0042】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍回路に使用することが可能で、高圧ガスをシールするのに適したリップ型シールを提供することができ、二酸化炭素のような高度に溶解性、透過性のガスをシールするのに適したリップ型シールを提供することができる。また、冷媒として二酸化炭素を用いる冷凍機において遭遇する極めて高い流体圧力に抗して軸およびハウジング間の流体シールを確立することができ、更にまた、約12MPaにも達する高圧の密封流体を有効にシールにし、かつ摩耗の少ないリップ型シールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るリップ型高圧シールの半裁断面図
【図2】異なる圧力の二酸化炭素に対する種々の高分子材料のガス透過係数を示すグラフ図
【図3】冷媒としてフロンR−134aまたは二酸化炭素を用いた冷凍回路のモリエル線図
【図4】圧力と温度変化に伴う二酸化炭素の相変化を示すグラフ図
【符号の説明】
1 リップ型高圧シール
2 ハウジング
3 取付環
3a 大気側端部(カシメ部)
4 弾性体
5 外周シール部
6 軸
7 シールリップ
8 被覆材
9,11 バックアップリング
10 樹脂リップ
12,13 ポンピング要素
Claims (6)
- ハウジング(2)側に固定されて軸(6)の周面に摺動自在に密接するシールリップ(7)と、前記シールリップ(7)の密封流体側の面に被着された被覆材(8)とを有するリップ型高圧シール(1)であって、
前記シールリップ(7)は、高強度、高硬度、低摩擦および低摩耗性のゴム配合物で形成され、前記被覆材(8)は、高ガスバリア性かつ非エラストマー性の高分子材料で形成されていることを特徴とするリップ型高圧シール。 - 請求項1のリップ型高圧シールにおいて、
被覆材(8)を形成する高分子材料は、圧力4MPaの二酸化炭素に対して1.0×10−13(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下、より好ましくは1.0×10−14(cm3(STP)・cm/(cm2・sec・Pa))以下のガス透過係数を有することを特徴とするリップ型高圧シール。 - 請求項1のリップ型高圧シールにおいて、
シールリップ(7)を形成するゴム配合物は、その硬度が90(JIS A)以上であることを特徴とするリップ型高圧シール。 - 請求項1のリップ型高圧シールにおいて、
シールリップ(7)を形成するゴム配合物は、その20℃における熱伝導率が0.4W/m・K以上であることを特徴とするリップ型高圧シール。 - 請求項1ないし4の何れかに記載されたリップ型高圧シールにおいて、
被覆材(8)を形成する高分子材料は、ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、液晶ポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレンまたはポリビニルアルコールを主材として形成されていることを特徴とするリップ型高圧シール。 - 請求項1ないし4の何れかに記載されたリップ型高圧シールにおいて、
シールリップ(7)を形成するゴム配合物は、水素添加NBRに対してカーボンブラック、シリカ、グラファイトまたはカーボンファイバー等の充填材を体積分率で45%以上配合したものであることを特徴とするリップ型高圧シール。
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- 2002-07-31 JP JP2002222298A patent/JP2004060830A/ja active Pending
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