JP2004515212A - 改変es細胞およびes細胞特異的遺伝子 - Google Patents

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Abstract

本発明は、多分化能を有する場合に特異的に外来遺伝子を発現する、改変されたトリES細胞に関する。本発明はまた、多分化能トリ細胞において特異的に発現される核酸およびポリペプチド、ならびにこの核酸およびポリペプチドを用いて細胞の多分化能を検出する方法にも関する。

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、多分化能 (多能性) を有する場合に、外来遺伝子を特異的に発現する改変されたトリES細胞に関する。本発明はまた、多分化能を有するトリ細胞において特異的に発現される核酸およびポリペプチド、並びにこの核酸およびポリペプチドを用いて細胞の多分化能を検出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ES細胞は、ごく初期の胚から単離された多分化能 (多能性) を有する細胞であり、宿主の胚に移植された後に生殖組織を含むすべての組織の形態形成に関与しうる。これらの細胞はまずマウスで単離され、マウスにおいて、そのゲノムの高度に標的化された改変を有する突然変異動物の作製に非常に広範に用いられている。ES細胞は鳥類において既に単離され性状決定されている (Pain et al., 1996)。これらの細胞はニワトリの遺伝の改変に使用することができる (Echtes et al., 1996, Pain et al., 1999) 。これらのトリ細胞の多分化能を維持することを可能にする培地は特許出願WO96/12793の主題であった。
【0003】
培養状態でES細胞を単離しようする者が遭遇する困難は、これらの細胞およびその多分化能の迅速な同定に関する。いくつかの細胞性マーカー、例えばアルカリホスファターゼ活性の発現 (Strickland et al., 1989)、抗原性エピトープの発現 (Kelmer et al., 1981, Solter and Knowles, 1978)、OCT−3 などの特異的タンパク質の発現 (Rosner et al., 1990)またはテロメラーゼ活性の発現 (Prowse and Greider, 1995) が使用されてきた。これまでマウスにおいて、特にOct−3 、REX−1 およびUTF−1 タンパク質が同定された。多分化能の最終的確認は、宿主胚に移植された後のこれらの細胞の形態形成能を分析することに基づき、これは非常に面倒な試験である。
【0004】
ES細胞の培養において遭遇する別の困難は、弱くかつ十分な程度の不均一性を有する細胞集団が得られること、および非多能性細胞の培養における増殖の制御の問題を含む。事実、ある特定の問題は、ある分化細胞種がよく生じる、すなわち細胞がその分化またはそのプログラムされた細胞死を誘導することにより培養物からES細胞を除去しうることに関連している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、多分化能を有する細胞により特異的および選択的に発現される核酸配列 (ens−1 遺伝子) を明かにすることにより培養中のトリ細胞の多分化能の同定を簡便にすることを提案する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明の主題は、以下の配列の群から選択される核酸配列を含むことを特徴とする核酸である。
a)配列番号1、または配列番号1のヌクレオチド1409−2878 に対応する断片;
b)配列番号1、特に配列番号1のヌクレオチド3111−3670 に対応する断片から選択される配列の少なくとも15の連続したヌクレオチドの断片の配列;
c)最適の整列化後に、a)またはb)に定義した配列と少なくとも80%の同一性を有する核酸配列であり、配列番号1のヌクレオチド2308−2927 または3094−3753 により規定されるものではない配列;
d)高ストリンジェントな条件下でa)またはb)に定義した核酸配列とハイブリダイズする核酸配列であり、配列番号1のヌクレオチド2308−2927 または3094−3753 により規定されるものではない配列;
e)a)、b)、c)またはd)に定義された配列に対応する相補的配列または RNA配列。
【0007】
好ましくは、配列番号1の2773位に存在する塩基は「t 」であり、従って対応するコドンはトレオニンをコードする。
c)に定義された本発明の核酸配列は、最適の整列化後、上記a)またはb)に定義された配列と少なくとも80%、好ましくは90%、最も好ましくは98%の同一性を有する。
【0008】
本明細書において同等に用いられる、「核酸」、「核酸配列」、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド配列」および「ヌクレオチド配列」なる用語は、改変されていてもいなくてもよい、一連のヌクレオチドを意味し、異常なヌクレオチドを含んでいてもいなくてもよく、そしてまた二本鎖DNA 、一本鎖DNA および該DNA の転写産物に同等に対応してもよい、核酸の断片または領域を規定するのを可能にする。従って、本発明の核酸配列はPNA(ペプチド核酸) なども含む。
【0009】
本発明が天然の染色体環境における、すなわち天然の状態のヌクレオチド配列に関するものでないことを理解すべきである。それらは、単離及び/又は精製された、すなわち、例えば複製により直接的または間接的に採取され、それらの環境は少なくとも部分的に改変されたものであるような、配列である。従って、化学合成により得られる核酸も含まれる。
【0010】
本発明の目的にとって、2つの核酸またはアミノ酸配列の間の「同一性 (%) 」なる用語は、最良の整列化後に得られる、比較すべき2つの配列間で同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の割合を意味し、この割合は純粋に統計的であり、2つの配列間の違いはランダムにその全長にわたり分布する。「最良の整列化」または「最適の整列化」は、以下のようにして決定する同一性が最も高い整列化を意味する。2つの核酸またはアミノ酸配列間の配列比較は、それらを最適に整列させた後これらの配列を比較することにより慣用の方法で行われ、この比較は配列類似性を有する局部的領域を同定し比較するために、セグメントによりまたは「比較ウインドウ」により行われる。比較のための配列の最適整列化は、手作業の他、Smith およびWaterman (1981) の局所相同性アルゴリズム、NeddlemannおよびWunsch (1970) の局所相同性アルゴリズム、Pearson およびLipman (1988) の類似性調査法、これらのアルゴリズムを用いたコンピュータープログラム (Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIのGAP, BESTFIT, BLAST P, BLAST N, FASTA およびTFASTA) により行うことができる。最適の整列化を得るには、BLOSUM 62 マトリックスを有するBLAST プログラムが好ましく使用される。PAM またはPAM250マトリックスも使用できる。
【0011】
2つの核酸またはアミノ酸配列間の同一性 (%) は、最適に整列化したこれらの2つの配列を比較することにより決定され、比較されるべき核酸またはアミノ酸配列は、これら2つの配列間に最適整列化のための参照配列に対しておそらく付加または欠失を含む。同一性 (%) は、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基が2つの配列間で同一である同一位置の数を決定し、この同一位置の数を比較する全位置数で割り、そして得られた数を100 倍して、これら2つの配列間の同一性の割合を得ることにより算出する。
【0012】
「最適の整列化後に参照配列と少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは98%の同一性を有する核酸配列」なる表現は、参照核酸配列と比較した場合にある種の改変、例えば特に欠失、短縮、伸長、キメラ的融合及び/又は置換 (特に点での) を有する核酸配列であり、その核酸配列が最適の整列化後に参照核酸配列と少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは98%の同一性を有する核酸配列を意味する。それらは好ましくは、その相補的配列が本発明の配列番号1の配列と特異的にハイブリダイズしうる配列である。好ましくは、特異的または高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、2つの配列の一方と、他方に相補的な配列との間で、最適の整列化後に、少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは98%の同一性を確実にするようなものであろう。
【0013】
高ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションとは、温度およびイオン強度の条件が、2つの相補的 DNA断片間のハイブリダイゼーションが維持されることを可能にするように選択されることを意味する。実例として、上記したポリヌクレオチド断片を規定する目的の、ハイブリダイゼーション工程のための高ストリンジェントな条件は有利には以下の通りである。
【0014】
DNA−DNA またはDNA−RNA ハイブリダイゼーションは2つの工程において行われる:(1) 5×SSC(1×SSC は0.15M NaCl+0.015Mクエン酸ナトリウムの溶液に相当する) 、50%ホルムアミド、7%トデシル硫酸ナトリウム (SDS)、10×デンハート溶液、5%デキストラン硫酸および1%サケ精子 DNAを含むリン酸塩緩衝液 (20 mM, pH 7.5)中42℃で3時間の予備ハイブリダイゼーション、(2) プローブの長さに応じた温度 (すなわち、プローブ>100 ヌクレオチド長に対して42℃) での20時間のハイブリダイゼーション自体、次いで2×SSC +2%SDS 中20℃で20分間の洗浄2回、および 0.1×SSC + 0.1%SDS 中20℃で20分間の洗浄1回。最後の洗浄を 0.1×SSC + 0.1%SDS 中、プローブ>100 ヌクレオチド長に対して60℃で30分間行う。規定の長さのポリヌクレオチドに対する上記高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、Sambrook et al., 1989 の教示に従って、より長いまたは短いオリゴヌクレオチドに対して当業者により調整できる。
【0015】
最適の整列化後、本発明の配列と少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは98%の同一性を有する核酸配列の中で、配列番号1またはその断片の変異体である核酸配列、すなわち対立遺伝子性変異体、すなわち配列番号1の配列の個々の変異体、に対応するすべての核酸配列もまた好ましい。これらの自然突然変異配列は鳥類、特にキジ類 (gariform) に存在する多型に相当する。好ましくは本発明は、突然変異により配列番号1の正常配列によりコードされるポリペプチドまたはその断片のアミノ酸配列の改変を生じている変異核酸配列に関する。
【0016】
「変異核酸配列」なる表現はまた、そのcDNAが配列番号1の配列を有するゲノム核酸配列のスプライス部位の突然変異及び/又は変異から生じる任意の RNAまたはcDNAも意味する。
【0017】
本発明は好ましくは、配列番号1の配列、その相補的配列、または配列番号1に対応する RNA配列を含むかまたはそれからなることを特徴とする、精製または単離された本発明の核酸配列に関する。
【0018】
好ましくは、本発明の核酸配列にハイブリダイズする、またはこの核酸配列に相同性の断片は、体系的配列決定により得られ、それに関する何らのデータ、特に機能のデータが提供されていない EST (Genbank 番号 AJ397754 およびAJ393785) にほぼ対応する配列番号1のヌクレオチド2308−2927 または3094−3753 により規定されるものではない。。このため、これらの開示は、偶然の開示であると考えられるべきである。
【0019】
本発明の核酸配列を含むことを特徴とするプローブまたはプライマーもまた本発明の一部である。
従って、本発明はまた、特に、変異核酸配列を実証または区別すること、あるいは、そのcDNAが配列番号1で表される遺伝子のゲノム配列を、特に PCR法もしくは関連方法などの増幅方法を用いて同定することを可能にする、本発明のプライマーまたはプローブに関する。
【0020】
本発明はまた、核酸配列を検出、同定、解析及び/又は増幅するためのプローブまたはプライマーとしての、本発明の核酸配列の使用に関する。
本発明はまた、本発明の核酸配列の、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドとしての使用にも関する。
【0021】
本発明によれば、核酸配列を検出、同定、解析または増幅するための方法においてプローブまたはプライマーとして使用できるポリヌクレオチドは長さが最小15塩基、好ましくは20塩基、またはさらに好ましくは25〜30塩基である。
【0022】
本発明のプローブおよびプライマーは、検出可能な、及び/又は定量可能なシグナルを得るために、当業者に周知の方法を用いて放射性または非放射性化合物で直接または間接的に標識してもよい。
【0023】
標識されていない本発明のポリヌクレオチド配列をプローブまたはプライマーとして直接使用することもできる。
一般的には多くの用途に使用できる配列を得るために配列を標識する。本発明のプライマーまたはプローブは放射性要素または非放射性分子で標識する。
【0024】
使用される放射性同位体には、32P,33P,35S,Hまたは125Iが挙げられる。非放射性の物質は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジンまたはジオキシゲニン (dioxygenin) などのリガンド、ハプテン、染料および発光試薬 (放射発光、化学発光、生物発光、蛍光または燐光試薬など) から選ばれる。
【0025】
従って、本発明のポリペプチドは、特に PCR (ポリメラーゼ連鎖反応) 手法 (Rolfs et al., 1991) を用いる方法においてプライマー及び/又はプローブとして使用することができる。この手法では、増幅すべき断片の境を設けるオリゴヌクレオチドプライマー対を選ぶことが必要である。例えば、米国特許第4,683,202 号に記載の手法が例示される。増幅断片は、例えば、アガロースもしくはポリアクリルアミドゲル電気泳動の後、またはゲル濾過やイオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー手法の後に同定し、次いで配列決定できる。増幅の特異性は、プライマーとして本発明ポリヌクレオチドの核酸配列を用い、マトリックスとしてこれらの配列を含むプラスミドあるいは誘導された増幅産物を用いて調節できる。増幅されたヌクレオチド断片は、生物学的試料中の、この増幅ヌクレオチド断片の配列に相補的な配列の標的核酸の存在を実証するために、ハイブリダイゼーション反応における試薬として使用できる。
【0026】
本発明はまた、本発明のプライマーを用いた増幅により得ることができる核酸にも関する。
標的核酸を増幅するその他の手法を、本発明のヌクレオチド配列を有するプライマー対を用いる PCR法(PCR変法) の代わりとして有利に用いることができる。「 PCR変法」なる用語は、核酸配列の直接または間接的再生産を用いる、あるいは標識系が増幅されたすべての方法を意味する。これらの方法は当然既知である。一般的に、それらは DNAのポリメラーゼによる増幅を含み、もとの試料が RNAである場合は逆転写を予め実施しておくべきである。かかる増幅には現在、非常に多くの方法が存在し、例えば、 SDA (strand displacement amplification 、鎖置換増幅) 法 (Walker et al., 1992)、Knoh et al., (1989) により既報の TAS (transcription−based amplification system、転写に基づく増幅系) 法、Guatelli et al. (1990)により既報の3SR (self−sustained sequence replication、自立配列複製) 法、Kievitis et al. (1991)により既報のNASBA (nucleic acidsequence based amplification 、核酸配列に基づく増幅) 法、 TMA (transcription mediated amplification、転写媒介増幅) 法、Landegren et al. (1988) により既報のLCR (ligase chain reaction、リガーゼ連鎖反応) 法、Segev (1992)により既報の RCR (repair chain reaction 、修復連鎖反応) 法、Duck et al. (1990)により既報の CPR (cycling probe reaction、循環プローブ反応) 法およびMiele et al. (1983) により既報のQ−ベータ− レプリカーゼ増幅 (Q−beta−replicase amplification) 法がある。これらの手法のいくつかはこれまで改善されている。
【0027】
検出すべき標的ポリヌクレオチドがmRNAである場合は、生物学的試料中に含まれるmRNAからcDNAを得るために、本発明のプライマーを用いて増幅反応を行うか、または本発明のプローブを用いる検出法を実施する前に、逆転写酵素型の酵素が有利に使用される。次いで、得られるcDNAは、本発明による増幅または検出方法に用いるプライマーまたはプローブの標的として働く。
【0028】
プローブハイブリダイゼーション手法は多くのやり方で実施できる (Matthews et al., 1988)。最も一般的方法は、各種の組織の細胞、または培養中の細胞から抽出した核酸を支持体 (ニトロセルロース、ナイロンまたはポリスチレンなど) に固定し、固定した標的核酸を規定の条件下でプローブと共にインキュベートすることからなる。ハイブリダイゼーション後、過剰のプローブを除去し、形成されたハイブリッド分子を適宜方法 (プローブに結合した放射能、蛍光または酵素活性の測定) を用いて検出する。
【0029】
本発明の核酸プローブの別の態様によれば、これは捕捉プローブ (capture probe)として使用できる。この場合、「捕捉プローブ」と称されるプローブは、支持体上に固定され、特異的ハイブリダイゼーションにより、試験すべき生物学的試料から得られる標的核酸を捕捉するのに使用され、次いで標的核酸を、容易に検出しうる要素で標識した「検出プローブ」と称される第2のプローブを用いて検出する。
【0030】
従って、有利な核酸断片には、特にアンチセンスオリゴヌクレオチド、すなわち、その構造が、標的配列とのハイブリダイゼーションにより対応する産物の発現の阻害を確実にするようなオリゴヌクレオチドが挙げられる。また、対応する産物の発現の調節に関与するタンパク質と相互作用することにより、この発現の阻害または活性化を生じるセンスオリゴヌクレオチドも例示される。
【0031】
本発明のある特定の態様では、本発明の核酸は配列番号2のタンパク質の少なくとも 200アミノ酸、好ましくは 300アミノ酸の連続断片を有するポリペプチドをコードし、最も好ましくは配列番号2のタンパク質をコードする。このポリペプチドもまた本発明の主題である。
【0032】
即ち、本発明は、以下から選択されるポリペプチドを含むことを特徴とする、単離されたポリペプチドにも関する。
a)配列番号2の配列を有するポリペプチド;
b)配列番号2の配列のポリペプチドの変異ポリペプチド;
c)前記a)のポリペプチドと少なくとも80%の同一性を有する、a)またはb)で定義したポリペプチドに相同的なポリペプチド;
d)a)、b)またはc)に定義したポリペプチドの少なくとも15の連続するアミノ酸の断片;
e)a)、b)またはc)に定義したポリペプチドの生物学的に活性な断片。
【0033】
好ましくは、 455位のアミノ酸はトレオニンである。
本発明の目的にとって、「ポリペプチド」なる用語はタンパク質またはペプチドを意味する。
【0034】
「生物学的に活性な断片」なる表現は、それが由来するペプチド断片と、同じ生物活性、好ましくは同じ桁の範囲内 (10倍の範囲内) の活性を有する断片を意味する。従って、ENS−1 タンパク質の生物学的に活性な断片は、ES細胞の多分化能の特性においてある役割を有するかもしれない配列番号2由来のポリペプチドからなる。
【0035】
好ましくは、本発明のポリペプチドは配列番号2の配列 (ens−1 遺伝子によりコードされるタンパク質に相当) または最適の整列化後に配列番号2と少なくとも80%の同一性を有する配列からなるポリペプチドである。
【0036】
このポリペプチドの配列は、最適の整列化後に配列番号2の配列と少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは98%の同一性を有する。
「そのアミノ酸配列が、最適の整列化後に参照配列と少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは98%の同一性 (%) を有するポリペプチド」なる表現は、参照ポリペプチドと比較してある種の改変、例えば、特に1または2以上の欠失及び/又は短縮、伸長、キメラ的融合及び/又は1または2以上の置換を有するポリペプチドを意味する。
【0037】
そのアミノ酸配列が、最適の整列化後に本発明の配列番号2またはその断片と、少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは98%の同一性を有するポリペプチドの中で好ましいのは、上で規定した変異核酸配列によりコードされる変異ポリペプチド、特に、そのアミノ酸配列が配列番号2またはその断片と比べて少なくとも1つのアミノ酸残基の短縮、欠失、置換及び/又は付加に相当する少なくとも1つの突然変異を有するポリペプチド、より好ましくはそれらを含む細胞の多分化能の消失に関連する突然変異を有する変異ポリペプチドである。
【0038】
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする核酸を含むクローニングベクター及び/又は発現ベクターに関する。かかるベクターは、発現および、場合により宿主細胞中でのポリペプチドの分泌に必要とされる要素も含んでいてよい。かかる宿主細胞もまた本発明の主題である。
【0039】
本発明のプロモーター及び/又は調節配列を含むことを特徴とするベクターもまた本発明の一部である。
このベクターは好ましくは、プロモーター、翻訳開始および終止シグナル、並びに転写の調節に適当な領域も含む。それらは細胞中で安定的に保持されなければならず、場合により翻訳されたタンパク質の分泌を指定する特定のシグナルを含んでもよい。
【0040】
これらの各種調節シグナルは、使用される細胞宿主に関連して選択される。この趣旨で、本発明の核酸配列を、選択された宿主中で自律的に複製するベクターに挿入しても、または選択された宿主に組み込まれるベクターに挿入してもよい。
【0041】
自律的に複製する系の中で好ましいのは、宿主細胞に応じて、プラスミドまたはウイルス型の系が使用され、ウイルスベクターとしては特にアデノウイルス (Perricaudet et al., 1992) 、レトロウイルス、レンチウイルス、ポックスウイルスまたはヘルペスウイルス (Epstein et al., 1992) が可能である。当分野の技術者はこれらの系のそれぞれについて使用できる技術を知っている。
【0042】
宿主細胞の染色体への配列の組み込みが望ましい場合、例えば、プラスミドまたはウイルス型の系が使用でき、かかるウイルスは例えばレトロウイルス (Temin, 1986)またはAAV (Carter, 1993)である。
【0043】
非ウイルスベクターの中で好ましいのは、VICAL 社により開発された手法による、裸の DNAまたは裸の RNAなどの裸のポリヌクレオチド、細菌の人工染色体 (BAC)、酵母での発現のための酵母の人工染色体 (YAC)、マウス細胞での発現のためのマウスの人工染色体 (MAC)、好ましくはヒト細胞での発現のためのヒトの人工染色体 (HAC)である。
【0044】
トリ細胞においては、レトロウイルス、トリアデノウイルス、ポックスウイルスまたは、トランスフェクションもしくは電気穿孔により導入された他のDNA を発現ベクターとして使用できる。
【0045】
かかるベクターは当分野の技術者により通常使用される方法により製造され、それより得られるクローンは、例えばリポフェクション、電気穿孔法、熱ショック、膜の化学的透過性化後の形質転換または細胞融合などの標準的方法を用いて適宜宿主に導入することができる。
【0046】
本発明はまた、本発明のベクターで形質転換された宿主細胞、特に真核細胞および原核細胞、並びにこの本発明の形質転換された細胞の1種を含む、ヒト以外のトランスジェニック動物、好ましくは鳥類または哺乳動物をも含む。特に本発明は、遺伝的マーカーが挿入されたens−1 遺伝子を含む動物を含有する。
【0047】
本発明の目的のために使用できる細胞には、細菌細胞 (Olins and Lee, 1993)、酵母細胞 (Buckholz, 1993) および動物細胞、特に哺乳動物細胞 (Edwards and Aruffo, 1993) 、殊にチャイニーズハムスター卵巣 (CHO)細胞が挙げられる。また、例えばバキュロウイルス (Luckow, 1993) を用いる方法を使用できる昆虫細胞も挙げられる。本発明のタンパク質の発現のための好ましい細胞宿主は COS細胞からなる。
【0048】
使用できるトリ細胞には、 LMHニワトリ血腫細胞、QT6 不死化ウズラ細胞および初代または不死化させたニワトリ、ウズラまたはアヒル繊維芽細胞が挙げられる。
【0049】
本発明は、外来遺伝子の導入により改変されたトリES細胞であり、この外来遺伝子はこの細胞が多分化能状態に維持されているときのみ特異的に発現されることを特徴とする、本発明の核酸を含む宿主細胞にも関する。好ましくは、この外来遺伝子はlacZ、GFP 、ルシフェラーゼ、ROSA− β−geoおよび抗生物質耐性に関与する遺伝子、特にネオマイシン、ハイグロマイシン、フレオマイシンまたはピューロマイシン耐性遺伝子から選択されるレポーター遺伝子である。
【0050】
これらの本発明細胞は、多分化能をもつ細胞の分化を誘導することを可能にする化合物、またはその多分化能を同時に維持しながら細胞を培養するための培地をスクリーニングするのに非常に有用である。
【0051】
本発明の別の有用な宿主細胞は、本発明の核酸を含み、外来核酸の導入により改変されたトリ細胞からなり、この外来核酸は本発明の核酸中に組み込まれている。本発明の好ましい態様によれば、この外来核酸は、場合によりその前に空間的−時間的プロモーター及び/又はターミネーター配列を有する、治療に有用な遺伝子である。別の態様では、この外来核酸はlacZ、GFP 、アルカリホスファターゼ、チミジンキナーゼおよび抗生物質 (この中には、ネオマイシン、ハイグロマイシン、フレオマイシンまたはピューロマイシンがある) に対する耐性に関与する遺伝子から選択されてよい遺伝的マーカーである。
【0052】
好ましくは、上記トリ宿主細胞は、このトリがキジ目 (Galiformes) に属し、特にニワトリまたはウズラであることを特徴とする。
この場合、上記レポーター遺伝子はens−1 遺伝子のプロモーターの制御下に組み込まれている、及び/又は上記外来核酸 (治療に有用な遺伝子及び/又は遺伝的マーカー) が ens−1遺伝子に組み込まれている。
【0053】
このように、配列番号1のヌクレオチド3111−3670 に対応する、本願で同定されたプロモーターを使用することができる。また、ヌクレオチドの数の減少、または追加のヌクレオチドの導入、あるいはあるヌクレオチド上に予め突然変異を形成させておくことによって、このプロモーターを改変することができる。この改変を行うための、また、こうして得られるプロモーターを多能性幹細胞における発現について試験するためのプロトコルは当分野の技術者には既知である。従って、特に、こうして改変された断片のプロモーター活性を失わせることなく、配列番号1の3654位にグアニンを挿入することが可能であることが示された。
【0054】
このように、本発明は、配列番号1のヌクレオチド3111−3670 に相当する核酸の、トリ多能性細胞中の有用遺伝子の特異的発現のためのこの有用遺伝子のプロモーターとしての使用にも関する。有用遺伝子は、マーカー遺伝子 (ルシフェラーゼ、GFP 、β− ガラクトシダーゼなど) であるか、または増殖因子、サイトカイン、免疫認識に関与するタンパク質、治療的に有用なタンパク質などのタンパク質をコードする遺伝子でありうる。配列番号1のヌクレオチド3645−3651 において「TATAボックス」もまた同定されたことを述べるのは興味深く、これも本発明の主題である。
【0055】
本発明の好ましい細胞は、2000年5月11日に、Colleciton Nationale de Culture des Microorganismes (National Collection of Cultures and Microorganisms)に識別番号I−2477として寄託された、9N2.5 細胞である。
【0056】
本発明の細胞は好ましくは多能性ES細胞であるが、本発明はまた、本発明のES細胞由来の分化したトリ細胞にも関することを理解すべきである。これらの細胞は特に、特許出願WO96/12793の教示により、レチノイン酸を用いて分化させることができる。
【0057】
本発明はまた、本発明の細胞を含むトランスジェニック動物にも関する。本発明の動物の中では、トリ、特にキジ目に属するものが好ましい。これらのトランスジェニックトリはens−1 遺伝子またはそのプロモーターにおける改変を検討するのに特に有利である。
【0058】
本発明のポリペプチドを発現させるために、トリおよびその他の動物、例えば齧歯類 (特にマウス、ラットまたはウサギ) に本発明の核酸を導入することもできる。
【0059】
これらのトランスジェニック動物は、例えば、胚性幹細胞での相同的組換え、これらの幹細胞の胚への移行、生殖系列で作製されたキメラの選択およびこのキメラの成育により得られる。それらはまた、裸の DNAを受精卵母細胞に微量注入することによって得てもよい。
【0060】
本発明のトランスジェニック動物は、本発明のタンパク質をコードする遺伝子、またはその相同遺伝子を過発現しても、また変異が導入された該遺伝子を発現しても、またその他に、タンパク質を産生するためのコード配列と関連したens−1 遺伝子の一部を含む導入遺伝子を発現してもよい。
【0061】
あるいは、本発明のトランスジェニックトリは、配列番号2の配列のポリペプチドをコードする遺伝子またはその相同遺伝子を、LOXP/CREリコンビナーゼ系 (Rohlmann et al., 1996)またはこの遺伝子の発現を不活性化するための任意のその他の系を用いる不活性化により、欠失させたものとすることができる。
【0062】
本発明はまた、組換えポリペプチドを合成するための、本発明の核酸配列の使用にも関する。
それ自体本発明に含まれる、組換え体の形態の本発明のポリペプチドを製造する方法は、形質転換細胞、特に本発明の細胞または哺乳動物を、本発明の核酸配列によってコードされる組換えポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養し、この組換えポリペプチドを回収することを特徴とする。
【0063】
この製造方法を用いて得ることができる組換えポリペプチドもまた本発明の一部である。
上記のようにして得られた組換えポリペプチドは、グリコシル化形態でも非グリコシル化形態でもよく、そして天然の3次構造を有しても有していなくてもよい。
【0064】
組換えポリペプチドの配列はまた、その溶解性、特に水性溶媒中での溶解性を改善するために改変されていてもよい。
例えば、疎水性ドメインの欠如や疎水性アミノ酸の親水性アミノ酸での置換などの、かかる改変は当分野の技術者には既知である。
【0065】
これらのポリペプチドは、当分野の技術者に既知の組換えポリペプチドの製造のための技術により、上記核酸配列を用いて製造できる。この場合、使用する核酸配列は、細胞性宿主におけるその発現を可能にするシグナルの制御下に置かれる。
【0066】
組換えポリペプチドの製造のための有効な系は、本発明のベクターおよび宿主細胞を有することが必要である。
これらの細胞は、上記ベクターに挿入されたヌクレオチド配列を宿主細胞に導入し、次いでこの細胞を、トランスフェクトされたヌクレオチド配列の複製及び/又は発現を可能にする条件下で培養することにより得ることができる。
【0067】
組換えポリペプチドを精製するのに使用される方法は、当分野の技術者に既知である。組換えポリペプチドは、細胞溶解液またはその抽出物から、あるいは培地上清から、分画、クロマトグラフィー法、特異的モノクローナルもしくはポリクローナル抗体を用いた免疫アフィニティー法などを単独であるいは組み合わせて使用する方法により精製することができる。
【0068】
本発明のポリペプチドはまた、多数の既知のペプチド合成方法の1つを用いた化学合成、例えば固相を用いる方法 (特に、Stewart et al., 1984参照) または部分的固相を用いる方法、断片縮合、または溶液中の通常の合成により得ることもできる。
【0069】
化学合成により得られ、対応する異常アミノ酸を含んでいてよいポリペプチドもまた本発明に含まれる。
本発明のポリペプチドを特異的に認識しうることを特徴とする、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、もしくはその断片、キメラ抗体または免疫複合体 (immunoconjugate)は本発明の一部である。
【0070】
特異的ポリクローナル抗体は、本発明のポリペプチド、特に遺伝的組換えまたは通常の操作によるペプチド合成により製造されたポリペプチドで免疫された動物の血清から得ることができる。
【0071】
本発明のある種のポリペプチド、変異体またはその免疫原性断片を特異的に認識する抗体の利点が特に言及される。
配列番号2の配列のポリペプチドを特異的に認識しうることを特徴とする、モノクローナルもしくはポリクローナル抗体、もしくはその断片、キメラ抗体または免疫複合体が特に好ましい。
【0072】
特異的モノクローナル抗体は、KohlerおよびMilstein (1975) により既報のハイブリドーマ培養の慣用の方法により得ることができる。
本発明の抗体は、例えばキメラ抗体、ヒト化抗体またはFab もしくはF(ab’) 断片である。それらはまた、検出可能な及び/又は定量可能なシグナルを得るために、免疫複合体または標識化抗体の形態であってもよい。
【0073】
本発明はまた、本発明の抗体を用いることを特徴とする、本発明のポリペプチドを検出及び/又は精製する方法に関する。
本発明は、本発明方法を用いて得られることを特徴とする精製ポリペプチドも含む。
【0074】
さらに、本発明の抗体、特にモノクローナル抗体は、ポリペプチドの精製のための使用に加え、生物学的試料中のこれらのポリペプチドの検出にも使用できる。
【0075】
従って、それらは、本発明ポリペプチド、特に配列番号2の配列のポリペプチドまたはその変異体の特定組織部分上での発現の、例えば、免疫蛍光法、金標識及び/又は酵素的免疫複合体を用いる免疫細胞化学的または免疫組織化学的解析のための手段を構成する。
【0076】
それらは特に、生物学的試料または組織中のこれらのポリペプチドの発現を証明することを可能にする。
さらに一般的には、本発明の抗体は、正常なまたは突然変異した本発明ポリペプチドの発現を観察しなければならない任意の状況において有利に使用できる。
【0077】
従って、生物学的試料を本発明の抗体に接触させる工程、および形成される抗原−抗体複合体を証明する工程を含む、生物学的試料中の本発明のポリペプチド検出方法も本発明の主題であり、またかかる方法を実施するためのキットもそうである。かかるキットは特に以下を含む。
a)本発明のモノクローナルもしくはポリクローナル抗体、
b)場合により、免疫反応に適した媒体を構成するための試薬、
c)免疫反応の間に生成する抗原−抗体複合体を検出する試薬。
【0078】
これらの抗体はヒト血清から直接得ても、本発明のポリペプチドで免疫した動物から得て、次いで「ヒト化」してもよい。
本発明の抗体は、配列番号2のポリペプチドの存在を決定するのに非常に有用であり、従って、トリES細胞の多分化能を決定することを可能にする。
【0079】
配列番号1に対応する遺伝子または配列番号1のmRNAの発現産物を決定することを特徴とする、トリES細胞の多分化能の決定方法もまた、本発明の主題である。
【0080】
即ち、本発明は、トリES細胞、特にキジ類のES細胞において、これらの細胞が多能性である場合に特異的に発現されるens−1 遺伝子の配列を開示する。従って、この遺伝子に適用される、遺伝子の発現を検出する方法により、検討した細胞の性質を迅速に決定することが可能となる。
【0081】
特に、上記のように、この遺伝子の発現産物は、例えば本発明の抗体を用いて、ウェスタンブロッティングまたは既報のその他の方法により検出することができる。
【0082】
本発明のプローブまたはプライマーを用いてノーザンブロッティングまたはRT−PCRにより配列番号1のmRNAを検出することも可能である。
この遺伝子の発現の検出はまた、それぞれ本発明の核酸またはポリペプチドを含む DNAチップまたはタンパク質チップを用いて行うこともできる。かかるチップも本発明の主題である。
【0083】
本発明のタンパク質チップはまた、本発明のポリペプチドと、その他のタンパク質または化合物との間の相互作用を検討することを可能にし、従って、本発明のポリペプチドと相互作用する化合物をスクリーニングするのに有用である。
【0084】
本出願人はまた、ens−1 遺伝子がキジ科 (galliform family) のトリのみに見出されることを示した。従って、本発明は、本発明の核酸の存在、特に配列番号1の存在をトリの遺伝子中に検出することを特徴とする、トリをキジ目 (order Glliformes) に属するとして分類するための方法にも関する。
【0085】
ens−1 遺伝子がキジ類のトリのみに見出されるというこの特性により、本発明の核酸の存在、特に配列番号1の存在を試料中に検出することを特徴とする、食品試料中にキジ目のトリ由来の試料の存在を決定する方法を明かにすることができる。
【0086】
生物学的試料もしくは食品試料中、またはトリのゲノム中の本発明核酸の存在は、各種方法により検出できる。特に、以下の工程を含むことを特徴とする、生物学的試料もしくは食品試料中に本発明の核酸を検出及び/又は解析する方法を明かにすることが可能である。
a)該試料を、標識された、請求項1〜3のいずれかの項記載のポリヌクレオチドに接触させる、
b)このポリヌクレオチドとこの試料の核酸との間に形成されたハイブリッドを検出及び/又は解析する。
【0087】
本発明の核酸から選択されるプライマーを用いた試料の核酸の増幅工程を行うことによって、生物学的試料もしくは食品試料中に本発明の核酸を検出及び/又は解析することも可能である。
【0088】
実施例において実証されるように、本発明の核酸はトリES細胞において、この細胞が多分化能を有する場合にのみ発現する。さらに、細胞が多分化能を有する場合に特異的に発現するレポーター遺伝子を持つ、本発明によって改変されたES細胞、特に9n2.5 細胞は、有用化合物のスクリーニングに使用できる。
【0089】
特に、それらは、以下の工程を含むことを特徴とする、多能性細胞の分化を誘導しうる物質または媒体をスクリーニングする方法において使用できる。
a)本発明のES細胞を、多分化能表現型を維持させうる培地中に維持し、
b)物質をこの培地に添加するか、またはこの培地を試験すべき培地で置換し、
c)配列番号2のタンパク質または外来遺伝子の発現の欠如により、分化の誘導を決定する。
【0090】
この方法は、好ましくは、ens−1 遺伝子のプロモーターの制御下にレポーター遺伝子を挿入することにより改変したES細胞を用いて行い、このレポーター遺伝子の発現の欠如を検出する。好ましくは9N2.5 細胞が使用され、β− ガラクトシダーゼの発現の欠如を検出する。
【0091】
本発明の細胞を用い、以下の工程を含む方法を用いて、分化した細胞の多分化能を復帰させうる物質をスクリーニングすることも可能である。
a)分化した細胞を適宜培地中に維持し、
b)この培地を、多分化能表現型を維持させることができ、試験すべき物質を含む培地で置換し、
c)この細胞中での、配列番号2のタンパク質または外来遺伝子の発現により、この細胞の多分化能の復帰を決定する。
【0092】
この方法は、ens−1 遺伝子に、またはそのプロモーターの制御下にレポーター遺伝子を挿入することにより改変した本発明の分化細胞を用いても有利に行える。β− ガラクトシダーゼ発現の検出を可能にする分化した9N2.5 細胞が有利に使用される。
【0093】
上記方法もまた本発明の主題であり、この方法を用いて得られる培地または物質もそうである。
本発明のかかる物質は、 (小さな有機分子型の) 化学的構造を有する化合物、脂質、糖、タンパク質、ペプチド、タンパク質−脂質、タンパク質−糖、ペプチド−脂質またはペプチド−糖の混成化合物、または化学的分枝が付加されたタンパク質もしくはペプチドであってよい。
【0094】
予想される化合物には、芳香族であっても芳香族でなくてもよい、1または2以上の環、および任意の種類のいくつかの残基 (特に、低級、すなわち炭素数1〜6のアルキル基) を有してもよい化合物がある。
【0095】
ES細胞の多分化能の特性に関与する遺伝子を決定すること、またはこの特性に対するマーカーをもつことを利用するのは極めて重要である。即ち、これらの細胞は全組織の形態形成に寄与する能力をもつため、これらの細胞の遺伝的改変により、求める特性が作製された動物の全組織中に見出されることを確実にしうる。さらに、空間的−時間的特異性を有する各種プロモーターの制御下、ens−1 遺伝子の座位に外来遺伝子を導入することにより、一定の組織または一定の発達段階においてこの遺伝子を発現するトランスジェニック動物を得ることができるかもしれない。実際、ens−1 遺伝子の特異性は、宿主細胞が多分化能を有する場合のみ発現するというものであるので、この座位への外来核酸の導入が胚の発達を害するべきではない。
【0096】
従って、例えば、治療に有用なタンパク質 (ホルモン、増殖因子、リンホカイン) をコードする治療に有用な遺伝子を導入して、胚の発生の間にこれらのタンパク質を製造できるようにすることが可能である。実際、その殻が無菌環境を確実にする卵において治療用タンパク質を製造することは非常に有利であるかもしれない。
【0097】
また、本発明の多能性細胞を使用して、それらが動物、特に鳥類、より好ましくはキジ目の鳥類の生殖組織に定着し、特定の遺伝的性質がそれらの子孫に伝達されるようにすることができる。これは、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラなどの産業的品種を経済的観点から特に有利な方法で改良することを可能にする。
【0098】
また、以下から選択される化合物を、場合により、トリ細胞の多分化能の復帰を可能にするか、または、他方では、ES細胞の分化を誘導するために、医薬として使用することも可能である。
a)本発明の核酸、
b)本発明のポリペプチド、
c)本発明のベクター、
d)本発明の細胞、
e)本発明の抗体、
f)本発明の物質。
【0099】
従って、本発明はES細胞のマーカーの配列を提供することにより、ES細胞の多分化能のよりよい特性決定への道を開くものである。しかし、この遺伝子がこの性質に必須の因子であるかどうかは決定されていない。よって、ens−1 遺伝子を分化した細胞に、例えば適宜プロモーター制御下のプラスミド上に導入して、細胞の多分化能の復帰の可能性を検討することにより、この問題に対する答えを出せるであろう。適当なプロモーターの中で、誘導性プロモーター、例えば糖により誘導しうるプロモーターを選択し、プラスミド上の遺伝子の発現の誘導が停止した場合に、この細胞の多分化能が決定されるであろう。また、一定時間後にens−1 遺伝子の切り出しを生じるプラスミド (例えば、それを2つのloxP配列間に置き、Cre リコンビナーゼをコードする第2のプラスミドを導入することにより) を作製することも可能である。細胞の多分化能を決定するためには、本発明の9N2.5 細胞を用い、ens−1 遺伝子をコードするプラスミドの導入後、β− ガラクトシダーゼの発現を検索することが有利であるかもしれない。
【0100】
ens−1 遺伝子が細胞の多分化能のインデューサーであることを決定できるなら、ens−1 遺伝子を分化細胞で発現させることを特徴とする、この性質を復帰させる方法 (これも本発明の主題である) を実施できるかもしれない。上記方法は、当分野の技術者に既知のある種の改良を導入して用いることができる。
【0101】
以下の実施例は本発明を例示することを可能にするものであり、本発明を限定すると考えるべきではない。
【0102】
【実施例】
実施例1:多分化能に対する遺伝的マーカーを含むニワトリ ES 細胞の作製
多分化能をもつES細胞中で特異的に発現される遺伝子を同定するため、「遺伝子トラップ」方式に従った。この方式は、ES細胞のゲノムに、外来性コード配列を含むが、それ自身のプロモーターが欠失したマーカー遺伝子を導入することからなる。前記細胞のゲノムへのこのマーカーのランダム挿入は、場合によっては、この外来性遺伝子を細胞性ゲノムに属するプロモーターの下流に位置させることになろう。この形態では、外来性遺伝子がとる発現の調節は、これがその中に挿入された遺伝子のそれと、同一とまでいかなくても、非常に似ている。このように修飾された細胞内のマーカー遺伝子の発現後、このように「標識」された細胞性遺伝子の発現のパターンに関する情報が次に得られる。
【0103】
遺伝子トラップ系として、本発明者らは、Friedrich and Soriano (1991)により記載された ROSA−β−geoベクターの性質を活用するものを用いた。この系は、5’−3’の順で互いに融合した、それぞれLacZおよび Neo の2つの遺伝子を保有するプラスミドからなる。融合遺伝子は、単一のLacZ−Neoタンパク質をコードし、それを産生する細胞にG418に対する耐性とβ−ガラクトシダーゼ活性の両方を付与する。このプラスミドの構造を図1に示す。このプラスミドを、その線状化を生じさせるDraI酵素で開裂した。線状化したプラスミドを電気穿孔法によりニワトリES細胞に導入した。このために、Pain et al, (1996)に記載された条件下に保持されたニワトリES細胞の培養物を使用した。ES細胞はプロナーゼによる制御された処理により培養皿から回収した。懸濁状態の細胞を洗浄し、0.8 ml中5×10 の濃度でGlasgow 培地に懸濁させた。この細胞懸濁液に10μg の線状化プラスミドを加え、懸濁液を4℃に10分間保持した。懸濁液を次いで、下記条件下での2回の電気刺激からなる電気穿孔処理に付した:BioRad電気穿孔装置内で1mm厚のキュベット中、280 V 、500 mF。細胞をその後4℃で10分間保持してから、参考文献として援用するPain et al. (1996)に記載の方法に従って、培養液中に接種した。36時間後、培養液にG418を250 μg/mlの濃度で添加した。G418を含有する培地を4日間にわたって毎日、その後は一日おきに交換した。G418耐性ES細胞クローンは6日目から明らかになった。それを培養開始から8〜10日の間に別々にサンプリングした。これらのクローンを、増幅するため、G418を含有する新鮮培地に別々に接種した。その後、それらを液体窒素中で貯蔵した。
【0104】
電気穿孔した細胞において、 ROSA−β−geoマーカーの発現を、下記方法に従ってβ−ガラクトシダーゼ活性をその場で同定することにより分析した。懸濁状態の細胞を、1%のホルムアルデヒド、 0.2%のグルタルアルデヒドおよび0.02%のNonidet P−40を含有するPBS を主成分とする混合物中に、4℃で30分間固定した。次に、1mg/ml の5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル・β−D−ガラクトプラノシド、5mMのKFe(CN) 、5mMのKFe(CN) 、2mMのMgCl 及び0.02%のNonidet P−40を含有するPBS 中で、1〜24時間の範囲内となるりうる時間にわたって、37℃でインキュベーションした。β−ガラクトシダーゼマーカーを発現した細胞は青色に着色されていた。
【0105】
目的は、多分化能を有する場合にのみES細胞内で機能しうるプロモーターの下流に ROSA−β−geoベクターが挿入されたES細胞を同定することであった。いくつかのクローンを特性決定した後、9N2.5 と呼ばれる1つのクローンが選択された。このクローンは、Pain et al. (1996)に記載されたような、細胞の多分化能性の持続を確保する培養条件下に細胞を保持した場合にのみ、β−ガラクトシダーゼ検定に対して陽性 (正) の反応を与えた。この試験の陽性は、9N2.5 細胞を分化するよう誘導した場合には失われた (下記参照) 。
【0106】
9N2.5 クローンをin vitro培養で増幅した後、液体窒素中で凍結することにより生存可能な形態で貯蔵した。
実施例2: 9N2.5 細胞の特性決定
9N2.5 細胞をニワトリES細胞についてPain et al. (1996)により記載された培養条件下に保持した。これらの条件下で、9N2.5 細胞は、Pain et al. (1996)により記載されたニワトリES細胞特有の形態、テロメラーゼ活性および抗原エピトープを示すことが検証された。この細胞はまた、親細胞と同様に、胚様体(embryoid bodies) を形成することができる。従って、電気穿孔、G418における選択、およびその後の細胞の増幅は、それらのES細胞の特性を阻害していなかった。
【0107】
分化細胞における ROSA−β−geoマーカーの発現を分析するため、9N2.5 細胞をPain et al. に記載の方法に従って、分化するように誘導した。これらの細胞を、支持細胞の不存在下、LIF およびサイトカインの不存在下、ならびに5×10−6 M濃度のレチノイン酸もしくは1%濃度のDMSOのいずれかの存在下で培養した。一部の培養では、レチノイン酸とDMSOを同時に添加した。ES細胞分化誘導培地中では、Pain et al. (1996)により初めて記載されたものと同一の分化細胞の出現を同じ条件下で観察することができた。
【0108】
分化用培地中での培養4日後に、細胞はβ−ガラクトシダーゼ活性の検定に対して完全に陰性になった。 ROSA−β−geo導入遺伝子の発現の欠失を確認するため、その発現を、主にRT−PCR法によりLacZ mRNA を探すことにより追跡した。このため、配列番号3および配列番号4のプライマーを使用した。
【0109】
図2に示したように、 ROSA−β−geo導入遺伝子によるRNA 産生量は、多分化能を維持する培地 (ES培地) 中で細胞を5日間培養する間には変化しない。他方、レチノイン酸単独、もしくはDMSO、もしくはレチノイン酸とDMSOのいずれかを含有する分化培地中では、 ROSA−β−geo mRNA の量は培養4日後に著しく減少した。確認のため、LacZ配列に特異的な標識プローブを用いたノーザンブロット法によっても ROSA−β−geo mRNA を分析した。図3に示したように、レチノイン酸の存在下では、LacZ mRNA は培養2日後には実質的に検出できなくなったのに対し、レチノイン酸を含有しない培地中ではLacZ mRNA の発現が維持された。
【0110】
結論
選択した9N2.5 細胞は、多分化能のある状態に保持されると、 ROSA−β−geo導入遺伝子を発現した。この導入遺伝子の発現は、培養中のこれらの細胞の分化を誘導した後、非常にすばやく停止する。
【0111】
実施例3: 9N2.5 細胞中の ROSA− β −geo 導入遺伝子の in vivo 発現の検定
胚中in vivo での9N2.5 細胞の発生能と ROSA−β−geo導入遺伝子の発現を解析するため、Pain et al. (1996)により記載されたプロトコルに準じて、Eyal−Giladi and Kochavスケール(1976)(E−G & Kスケール) に従ってX期のニワトリ胚に9N2.5 細胞を移植した。注入細胞の子孫の存在を、β−ガラクトシダーゼ検定を用いて、移植後の各種の発生段階で調査した。図4に示すように、β−ガラクトシダーゼに対して陽性の細胞の凝集体が、注入された胚において、XIII期に到達した胚の原外胚葉 (epiblast) 中に検出された。これらの陽性細胞は透明帯の原外胚葉中でのみ同定された。発生のより後期の原腸形成期、Hamburger and Hamilton (H&H)スケールに従うと5期では、陽性細胞は原始線条および胚体外生殖半月体 (extra−embryonic germinal crescent)だけに見られた。原始線条では、ほとんどがヘンゼン結節に位置する数個の凝集体中に上記細胞が同定された。13期 (H&H スケール) では、胚の尾部にまだ開いている神経板に対応する菱形洞のみに陽性細胞が見られた。胚発生の後期には、神経起源の一部の組織とさらに生殖腺原基に非常にわずかな孤立細胞の形態で見られるだけであった。
【0112】
β−ガラクトシダーゼ反応の陰性の性質にもかかわらず、9N2.5 細胞の子孫が実際には後期胚の組織に群をなして定着していたかどうかを検証するために、 ROSA−β−geo導入遺伝子の存在を、2日目および4日目の全胚体から抽出されたDNA においてPCR により調査した。図5に示すように、 ROSA−β−geo導入遺伝子に特有のバンドを検出することができた。これは、移植された9N2.5 細胞の子孫である細胞が移植から少なくとも4日後には存在したことを示している。
【0113】
9N2.5 細胞が注入された一部の胚は、発生を終えて、ヒヨコになった。各種の組織から単離されたDNA について、 ROSA−β−geo導入遺伝子の配列の調査をPCR 法を用いて行った。その結果、分析した2羽のヒヨコにおいて、導入遺伝子の存在が皮膚、砂嚢および肝臓で明らかとなった。これらの組織の全てがβ−ガラクトシダーゼ活性を示すことはなかった。これは、導入遺伝子が移植した9N2.5 細胞に由来する分化細胞中に存在することを示している。
【0114】
結論
従って、9N2.5 細胞は宿主胚に定着して、その中で発生することができる。しかし、 ROSA−β−geo導入遺伝子の発現は、胚への移植の非常に初期の細胞と、さらに生殖腺および神経系のような数少ない組織中に存在するわずかな細胞に限られたままである。培養中の9N2.5 細胞について行った観察結果を考慮すると、上記細胞内での ROSA−β−geo導入遺伝子のin vivo 発現は、分化を開始していない細胞に限られると推察することが妥当である。
【0115】
9N2.5 細胞からin vitroおよびin vivo で得られたこれらのデータはすべて、その転写活性が多分化能状態のES細胞に特異的である、細胞ゲノムのある遺伝子座にROSA− β−geo導入遺伝子が挿入されているという推測に導く。
【0116】
実施例4: 9N2.5 細胞の in vivo 増殖
9N2.5 細胞が胚のある種の区画の中で増殖することができるかどうかを解析するため、2つの注入された胚を7日間のインキュベーション後にサンプリングした。胚を、頭部、上肢原基を含む胴部、および下肢原基を含む尾部の3つの部分に任意に切りわけた。これらの部分をプロナーゼ中で解離させ、得られた細胞懸濁液を、Pain et al. (1996)により記載された培養法に従って培養物中に接種した。250 μg/mlのG418による選択を6日間実施した。全ての培養物に耐性細胞のいくつかの部位が現れたが、これらの部位の頻度は、胚の後部が接種された培養物がずっと高かった。この培養物から得られたG418耐性細胞を、最初の接種から7日後に、増幅のため継代培養した。これらの並行培養物の一部を、β−ガラクトシダーゼ活性の発現について実際に試験した。この手法により、試験した2つの胚の一方について、β−ガラクトシダーゼに対して陽性で、G418に対して耐性があり、注入された9N2.5 細胞と同一の形態を示す細胞を維持し、増幅して、さらには生存可能な形態で凍結することが可能になった。第2の胚から得られた細胞は、β−ガラクトシダーゼ活性に関して陽性であるが、ゆっくりしか増殖せず、十分に増殖させることができなかった。
【0117】
結論
従って、これらの結果は、9N2.5 細胞が胚のある種の領域内でES細胞の形態でそれら自体を維持することができることを示す。これらの細胞は、恐らく、9N2.5 細胞が注入された胚の部分上で同定された希少なβ−ガラクトシダーゼ陽性細胞 (上記参照) に対応する。胚の後部部分におけるそれらの位置に関しては、in vivo で9N2.5 細胞の特性を保存する細胞の一部は、マウスおよびヒトにおいて報告されたEG細胞 (Matsui et al. 1992, Shamblott et al. 1998)に対応すると示唆することもできよう。EG細胞は、ES細胞に非常に近い多分化能と細胞特性を有する生殖細胞の前駆細胞である。
【0118】
実施例5:物質をスクリーニングするための 9N2.5 細胞の使用
9N2.5 細胞は、未分化状態にある時にはβ−ガラクトシダーゼを強力に発現する。分化が誘導されると、この発現は失われる。この性質を、各種の分化誘導もしくは分化促進分子の試験、または非誘導分子の試験に利用することができる。例えば、9N2.5 細胞を、ES細胞を培養するのに適した血清のバッチを同定するため、またはその区別のための試験担体として使用することができる。このためには、この細胞を、親細胞を維持するのに使用するのと同じ培地に接種する。この培地中で、参照血清を、場合により各種濃度の、試験する各種の血清で置換する。接種は非常に低密度 (35 mm の皿あたり2×10 個の細胞) で行い、細胞を4日間培養する。細胞を次いで固定し、染色して、β−ガラクトシダーゼ活性を顕示させ、陽性部位の数を推計する。陽性部位の数は、ES細胞の自己更新を維持する血清の能力と直接関係する。この例は、天然物でも合成物でもよい各種物質の試験に拡張することができる。
【0119】
結論
9N2.5 細胞を使用して、物質が持つ培養物中のES細胞の自己更新または分化を誘導する能力に基づいて物質をスクリーニングすることができる。
【0120】
実施例6: 9N2.5 ES 細胞中の ROSA− β −geo 導入遺伝子の組込みの位置の同定
9N2.5 細胞中の ROSA−β−geo導入遺伝子の組込みの位置を同定するための第1の手法では、9N2.5 細胞のゲノム DNAをサザンブロッティング法により解析した。9N2.5 細胞 DNAを、ある特異な部位でのみROSA− β−geo導入遺伝子をそれぞれ開裂するEcoRI 制限酵素またはDraI酵素で切断処理した。切断処理された DNAを電気泳動的に移行させた後、フィルターをLacZ断片に対して特異的なプローブとハイブリダイズさせた。図6に示すように、実施された切断のそれぞれにおいてこれらの条件下では単一のバンドが同定された。 ROSA−β−geo導入遺伝子を含まない正常なニワトリES細胞の DNAではバンドは同定されなかった。これらの結果は、9N2.5 細胞においては、ROSA− β−geo導入遺伝子のただ1つのコピーが組み込まれていることを実証した。
【0121】
第2に、この導入遺伝子から転写されたmRNAのサイズを分析した。9N2.5 細胞からの RNAを、LacZプローブを用いたノーザンブロッティングにより解析した。図7に示すように、大きさ4.7kb の単一の転写物が現れた。この転写物は正常ES細胞の RNA中には存在しない。ROSA− β−geo導入遺伝子から転写されるはずの配列の予想される長さ、すなわち3.9kb を仮定すると、9N2.5 細胞に現れる転写物は、導入遺伝子が挿入された細胞性遺伝子由来の約0.8kb の配列を含むと推定されなければならない。これらの細胞性配列はmRNA上に5’位または3’位のいずれかの位置で存在するか、またはROSA− β−geo導入遺伝子から転写された配列の両側に分布するかもしれない。5’領域でそれらを検索するために、Clontech社のマラソン(Marathon) キットを用いる5’RACE手法を用いた。
【0122】
LacZ領域に特異的なプライマー、配列 (配列番号5) のプライマーを用いて、9N2.5 細胞の RNAから相補的 DNA鎖を合成した。
この第1の鎖に相補的な第2の鎖の合成後、二本鎖の相補的 DNAを、その配列が配列番号6である、マラソンキットにおいて供給されるリンカーに連結した。次いで、この完全融合配列を、配列番号7および配列番号8のプライマーを用いて PCR法により増幅した。
【0123】
増幅はPerkin Elmer 2400 装置において次の条件下で行った:94℃で30秒間、次に、それぞれ94℃で5秒間を5サイクル、次に、72℃で4分間、次に、それぞれ94℃で5秒間を5サイクル、次に、70℃で4分間、次に、それぞれ94℃で5秒間を25サイクル、次に、68℃で4分間。 400塩基対の増幅産物を同定した。F1と称されるこの断片を、増幅するためにプラスミドにクローン化し、次いでその正確な配列を決定した。次いで、我々は、RT−PCR法を用いてES細胞において転写されたmRNA上のF1配列の下流に位置する配列を検討した。このためには、正常ES細胞RNA をマトリックスとして用い、配列番号9の配列を有するプライマーP3を用いてプライミングすることにより相補的DNA を合成した。
【0124】
次いで、1本鎖の相補的DNA を、最初5’−RACE 法により増幅した断片の5’配列に相当する配列番号10のプライマー、および配列番号11のプライマーを用いた PCR法により増幅した。
【0125】
C1と称される断片をこのように増幅し、次いでプラスミド中にクローン化した。C1の正確な配列を決定した (配列番号12) 。
C1配列が実際に、9N2.5 細胞中のLacZ配列をも有するmRNAであることを確認するために、これらの細胞から誘導されるmRNA上において、断片C1に特異的であるプライマーP4 (配列番号13) および、LacZ配列に特異的であるプライマーLacZB をそれぞれ用いてRT−PCRによる増幅を行った。
【0126】
331塩基対の断片を同定した。この断片のサイズは予想したものに相当し、これはC1配列およびLacZ配列が実際に同じmRNA上にあることを示す。このようにC1配列は、ROSA− β−geo導入遺伝子が挿入された細胞性遺伝子に特異的であるに違いないことが確認された。この遺伝子はens−1 (embryonic normal stem cell gene、胚性正常幹細胞遺伝子) と呼ばれた。
【0127】
ens−1 遺伝子が実際にメッセンジャーRNA を産生することを検証するために、正常ニワトリES細胞の RNAを、C1プローブを用いたノーザンブロッティング法により解析した。図8.A に示されるように、C1プローブは大きさ約4.7 kbの主要RNA 、およびそれぞれ約10kbおよび2kbの非常に弱く標識された2つのRNA を同定する。
【0128】
C1配列に基づき、ens−1 遺伝子から転写された完全mRNAのクローニングを行った。
このために、ニワトリES細胞から単離したポリアデニル化RNA より作製したcDNAライブラリーを、断片C1から調製したプローブを用いてスクリーニングを行った。
【0129】
4.2kpbの相補的DNA を単離した。このcDNAが実際にens−1 遺伝子から転写されたmRNAを表わすものかどうかを検証するために、C1配列の下流に位置する、2つの異なるcDNA断片に対応する、2つのヌクレオチドプローブ、それぞれS1およびS2を作製した。これらの2つのプローブは、正常ニワトリES細胞から単離された対応RNA をノーザンブロッティング法により同定するのに使用された。図8.A に示すように、これらの2つのプローブは予めC1プローブで同定された主要RNA と同じ、約4.5 kbの大きさのRNA を同定する。後に示すように、2つのプローブS1とS2で同定されたこのRNA の発現のパターンは、正常ES細胞中にC1プローブで同定された主要RNA のものと同じである。
【0130】
これらのデータはすべて、C1、S1およびS2プローブが正常ニワトリES細胞中で同じens−1 mRNAを認識することを非常に強く示唆する。
ens−1 mRNAの配列を配列番号1に示し、cDNAの構造を図8.B に示す。この配列の解析により、おそらく 490アミノ酸のタンパク質をコードしている非常に長いリーディングフレームが明かになり、その配列は配列番号2に示される。C1配列は多型性であり、cDNAクローンから得られ、配列番号1に示すものは、前に5’−RACE 法により得られたもの (配列番号12) とはやや異なる。
【0131】
ens−1 遺伝子が実際に、9N2.5 細胞においてROSA− β−geo導入遺伝子が挿入された遺伝子に相当することを確認するため、ニワトリ胚の発生の間および培養中のニワトリES細胞の分化の間のens−1 遺伝子発現のパターンを、ノーザンブロッティング法により分析した。
【0132】
図9に示すように、C1プローブおよびS1プローブは正常なニワトリ48時間齢の胚から抽出したRNA 中に同じ 4.5kbのRNA を同定する。シグナルの強さは、3日齢胚および4日齢胚などの、より時間のたった胚から抽出したRNA において大きく減少する。シグナルは7日齢胚または8日齢胚から抽出したRNA において消失する。肝臓、筋肉、砂嚢、脳、心臓、眼、骨または皮膚などの各種ニワトリ組織から抽出したRNA においてはゼロである。
【0133】
ニワトリ胚の発生の第1期におけるens−1 遺伝子の発現のパターンをより正確に決定するために、ens−1 mRNAを完全な胚でのin situ ハイブリダイゼーション法により検索した。結果を図10に示す。非常に強いシグナルがX期およびXIII期の胚の透明帯において観察された (E−G&K スケール) 。2期 (H&H スケール) の胚では、シグナルは原条の領域において優先的に透明帯においてのみ見出された。5期 (H&H スケール) では、シグナルはヘンゼン結節および原条のくちばし尾部(rostrocaudal)領域において、また胚の前方部分に位置する生殖半月体 (germinal crescent)に非常に明瞭な形態で見出された。胚の発生のより進んだ段階では、顕著なシグナルは検出されない。C1およびS1プローブで同じ発現パターンが観察された。
結論
ens−1 遺伝子は未分化ニワトリES細胞および胚発生の極めて初期の段階に特異的な発現を示す。原腸形成が完了した後は、遺伝子の発現は非常に弱くなるか、検出されなくなる。
【0134】
従って、ens−1 遺伝子は、未分化胚性細胞が胚に存在していようが、in vitro培養のこの段階に維持されていようが、未分化胚性細胞に対する非常に特異的なマーカーとなる。ens−1 遺伝子はまた、生殖半月体の細胞に対して、従って配偶子前駆細胞に対して特異的である。
【0135】
実施例7:進化の過程での ens−1 遺伝子の保存
進化の過程でのens−1 遺伝子の保存の程度を分析するために、ニワトリens−1 遺伝子に特異的なプローブを用いて、サザンブロッティング法により様々な動物種由来のゲノムDNA をハイブリダイズさせた (示さず) 。ens−1 遺伝子に特異的な2つのプライマー (配列番号14および15) 間での PCR法による次のプロトコルを用いた核酸配列増幅の手法も使用した:96℃で3分、(96 ℃30秒、62℃30秒、72℃30秒、10サイクル) 、(96 ℃30秒、57℃30秒、72℃30秒、10サイクル) 、(96 ℃30秒、52℃30秒、72℃30秒、20サイクル) 。図11に示す結果は、相同配列がキジ目 [ニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ、赤足イワシャコ (red−legged partridge)、灰色イワシャコ] においてのみ見出されることを示す。ens−1 に対する相同体は哺乳動物においては見られないことは注目すべきである。
【0136】
実施例8:その活性が胚性幹細胞に特異的である、転写プロモーター配列の ens−1 遺伝子における同定
ens−1 遺伝子はニワトリ胚性幹細胞において特異的に発現される遺伝子であると同定された。
【0137】
その転写活性が未分化のニワトリES細胞に対して特異的であるプロモーター領域をens−1 遺伝子において同定した。これは、胚性幹細胞において、そしておそらく原腸形成の前の段階のニワトリ胚において特異的に導入遺伝子の発現を標的化しうるであろう遺伝的手段を提供するので、応用を考慮すべきである。
【0138】
ens−1 転写物の末端の反復配列の存在は、これらの配列がレトロウイルスLTR (long terminal repeat 、長い末端反復) 配列に関連することを示唆した。レトロウイルスLTR は3つの部分、それぞれU3、RおよびU5 (5’−3’ 方向で) 、に分けられる。レトロウイルスゲノムにおいては、U3領域は転写を活性化でき、時に組織特異的制御を伴う。レトロウイルスのメッセンジャーRNA では、R−U5配列のコピーが5’位に、U3−R配列のコピーが3’位にみられる。
【0139】
レトロウイルスLTR の構造との類似によって、おそらくレトロウイルスU3、R およびU5領域に相当するであろう領域が、ens−1 遺伝子のメッセンジャーRNA において同定された。ens−1 転写物の2つの末端で反復しているとして同定された配列は、R領域に相当し、U3領域に相当するであろう配列はens−1 に対するコード配列の3’末端と、Rの5’末端の間に位置する (図12) 。
【0140】
ens−1 遺伝子のRおよびU3−R領域のプロモーター活性を試験するために、これらの領域を、ホタルルシフェラーゼ受容体遺伝子の上流にセンスおよびアンチセンスの2つの可能な方向でクローン化し、それぞれセンス(S) およびアンチセンス(AS)のプロモーター1およびプロモーター2と称されるベクターを得た (図12) 。これらの作製物を、トランスフェクション効率の内部対照としてサイトメガロウイルスのプロモーターの制御下にウミシイタケRenilla のルシフェラーゼ遺伝子を含むベクターpRL−CMV (Promega) を用いて、ニワトリ9N2.5 幹細胞を含む各種細胞系にトランスフェクトした。
【0141】
プロモーター1およびプロモーター2の各種ベクターの、9N2.5 細胞へのトランスフェクションおよび内部対照を用いたルシフェラーゼ活性の測定により、ニワトリ胚性幹細胞 (9N2.5 細胞) 中のプロモーター2SベクターのU3領域については転写活性を同定できたが、一方、R領域は有意な活性を示さない (図13) 。他方、このプロモーターの活性は、試験したその他の各種細胞系 (Qt6 ウズラ繊維芽細胞、QBr ウズラ上皮細胞またはヒト上皮細胞) では非常に低い。さらに、プロモーター2Sベクターを、レチノイン酸での処理により分化を誘導された9N2.5 胚性幹細胞中にトランスフェクトした。レチノイン酸処理後の様々な時間において細胞中のルシフェラーゼ活性を測定すると、プロモーターの転写活性は胚性幹細胞の分化の過程で低下するが、対照プロモーター(CMV) の活性は高いままであることが分かる (図14) 。
【0142】
これらの結果すべてから、ens−1 遺伝子のコーディング配列の3’、すなわち転写プロモーター活性を有する領域が存在し、この転写活性は未分化ニワトリ胚性幹細胞に特異的であることが分かる。
【0143】
プロモーター2Sベクターにおいて5’RACE法を用い、ens−1 cDNA (配列番号1) の配列上の転写開始部位、およびこの転写開始部位の上流のTATAプロモーター型の配列も決定することができた。このプロモーターは配列番号1のヌクレオチド3111−3670 に相当する。
生物学的材料の寄託
9N2.5 細胞系は、2000年5月11日に識別番号I−2477として、ブダペスト条約の規定によりフランス、75724 パリ・セデックス15、リュー・ドゥ・ドクトゥール・ルー25のCollecition Nationale de Cultures des Microorganismes (CNCM) [National Collection of Cultures and Microoaganisms] に寄託されており、実施例1に記載するように、DraIで線状化したROSA− β−geo導入遺伝子が電気穿孔により導入され、G418での選択およびβ− ガラクトシダーゼ活性に基づきにより単離されたニワトリ胚性幹細胞の系に相当する。
【0144】
9N2.5 細胞を培養するのに使用できる細胞 (STOマウス繊維芽細胞) もまた、SH−2477 として2000年5月11日にCNCMに寄託された。
【0145】
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【図面の簡単な説明】
【図1】
ES細胞を形質転換するのに使用されるROSA− β−geoベクターの構造。
【図2】
レチノイン酸(+RA) 、DMSO(+DMSO) または両者同時(+RA+DMSO)による分化誘導時の9N2.5 細胞中のROSA− β−geo転写物の発現のRT−PCRによる解析。対照培地は誘導性因子を含有しない。
【図3】
レチノイン酸による分化誘導時のROSA− β−geo転写物の発現のノーザンブロッティングによる解析。ブロットをLacZプローブとハイブリダイズさせる。
【図4】
9N2.5 細胞に対してキメラである胚におけるβ− ガラクトシダーゼ活性の顕示によるROSA− β−geo導入遺伝子の発現の解析。
【図5】
キメラ胚におけるROSA− β−geo導入遺伝子の存在の PCR解析。 DNAは9N2.5 細胞、9N2.5 細胞の移植により得られる48時間齢もしくは4日齢のキメラ胚、または48時間齢もしくは4日齢の対照胚のいずれかから抽出した。
【図6】
EcoRI (E) またはDraI (D)で切断後の9N2.5 細胞のゲノムDNA におけるROSA− β−geo導入遺伝子の存在のサザンブロッティングによる検出。
【図7】
LacZプローブとのハイブリダイゼーションによる、ROSA− β−geo導入遺伝子を含む転写物の存在のノーザンブロッティングによる検出。
【図8】
C1、S1およびS2プローブとのハイブリダイゼーション後の、正常ニワトリES細胞および9N2.5 細胞におけるens−1 遺伝子の発現のノーザンブロッティング解析。ens−1 遺伝子の相補的DNA の構造(RS =反復配列、ORF =オープンリーディングフレーム) 。矢はハイブリダイゼーションに用いるC1、S1およびS2プローブを表す。
【図9】
正常ニワトリ胚性幹細胞、9N2.5 細胞、各種発生段階および各種ニワトリ器官におけるニワトリ胚でのens−1 転写物の発現のノーザンブロッティング解析。全RNA から単離したpolyA+ RNAをC1もしくはS1プローブまたは対照のGAPDH プローブとブロット上でハイブリダイズさせた。
【図10】
in situ ハイブリダイゼーションによるニワトリ胚中のens−1 転写物の発現の解析。
【図11】
ens1プライマーS1 (配列番号14) およびens1プライマーAS1(配列番号15) を用いて、各種鳥類のゲノムDNA 上で行ったPCR 増幅。
【図12】
レトロウイルス LTRの構造、ens−1 遺伝子に対して予想される構造、およびプロモーターを同定するために使用する2つの作製物の図。
【図13】
各種細胞系におけるプロモーターの活性 (S:センスプロモーター、AS: アンチセンスプロモーター) 。
【図14】
ES細胞の分化の間のプロモーター2 (図12) の活性。

Claims (45)

  1. 下記配列群から選択される核酸配列を含むことを特徴とする、精製または単離された核酸。
    a)配列番号1、または配列番号1のヌクレオチド1409−2878 に対応する断片;
    b)配列番号1、特に配列番号1のヌクレオチド3111−3670 に対応する断片から選択される配列の少なくとも15の連続したヌクレオチドの断片の配列;
    c)最適の整列化後、a)またはb)に定義された配列と少なくとも80%の同一性を有する核酸配列であり、配列番号1のヌクレオチド2308−2927 または3094−3753 により規定されるものではない配列;
    d)高ストリンジェントな条件下でa)またはb)に定義された核酸配列とハイブリダイズする核酸配列であり、配列番号1のヌクレオチド2308−2927 または3094−3753 により規定されるものではない配列;
    e)a)、b)、c)またはd)に定義された配列に対応する相補的配列または RNA配列。
  2. 配列番号1、相補的配列またはこれらの配列のいずれかに対応する RNA配列を含むか、あるいはこれからなることを特徴とする、請求項1記載の精製または単離された核酸。
  3. 配列番号2のタンパク質の連続した少なくとも 200のアミノ酸の断片を有するポリペプチドをコードすることを特徴とする、精製または単離された核酸。
  4. 下記から選択されるポリペプチドを含むことを特徴とする、単離されたポリペプチド。
    a)配列番号2に対応するポリペプチド;
    b)a)で定義した配列を有するポリペプチドの変異ポリペプチド;
    c)前記a)のポリペプチドと少なくとも80%の相同性を有する、a)またはb)で定義したポリペプチドに相同的なポリペプチド;
    d)a)、b)またはc)に定義したポリペプチドの少なくとも15の連続するアミノ酸の断片;
    e)a)、b)またはc)に定義したポリペプチドの生物学的に活性な断片。
  5. 配列番号2から選択される配列、または最適の整列化後に該配列と少なくとも80%の相同性を有する配列からなることを特徴とする、請求項4記載のポリペプチド。
  6. 請求項1〜3 のいずれかに記載した核酸、または請求項4および5のいずれかに記載したポリペプチドをコードする核酸を含む、クローニング及び/又は発現ベクター。
  7. 請求項6に記載のベクターで形質転換されたことを特徴とする宿主細胞。
  8. 外来遺伝子の導入により改変されたトリES細胞であり、該外来遺伝子は該細胞が多分化能状態で維持されている時にのみ特異的に発現されることを特徴とする、請求項1〜3 のいずれかに記載した核酸を含む宿主細胞。
  9. 前記外来遺伝子がレポーター遺伝子であることを特徴とする、請求項8記載の細胞。
  10. 前記レポーター遺伝子が、lacZ、GFP 、ルシフェラーゼ、ROSA− β−geoおよび抗生物質耐性に関与する遺伝子から選択されることを特徴とする、請求項9記載の細胞。
  11. 外来核酸の導入により改変されたトリ細胞であり、該外来核酸が請求項1〜3のいずれかに記載の核酸に組み込まれていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の核酸を含む宿主細胞。
  12. 前記外来核酸が治療的有用性を有する遺伝子であり、場合により、その前に空間的−時間的プロモーター及び/又はターミネーター配列を有することを特徴とする、請求項11記載の細胞。
  13. 前記外来核酸が遺伝的マーカーであることを特徴とする、請求項11記載の細胞。
  14. 前記トリがキジ (Galiformes) 目に属することを特徴とする、請求項8〜13のいずれかに記載の細胞。
  15. 前記トリがニワトリまたはウズラであることを特徴とする、請求項14記載の細胞。
  16. 前記レポーター遺伝子がens−1 遺伝子のプロモーターの制御下に組み込まれていることを特徴とする、請求項14および15のいずれかに記載の細胞。
  17. 2000年5月11日にCollection Nationale de Cultures de Microorgamismes に識別番号 I−2477 として寄託された、9N2.5 細胞であることを特徴とする、請求項14および15のいずれかに記載の細胞。
  18. 請求項8〜17のいずれかに記載のES細胞由来であることを特徴とする、分化したトリ細胞。
  19. 請求項7〜18のいずれかに記載の細胞を含むことを特徴とする、ヒト以外の動物。
  20. 核酸配列を検出及び/又は増幅するためのプローブまたはプライマーとしての、請求項1〜3のいずれかに記載の核酸配列の使用。
  21. 請求項1〜3のいずれかに記載の核酸配列の、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドとしての使用。
  22. 請求項1〜3のいずれかに記載の核酸配列の、組換えポリペプチドを製造するための使用。
  23. 請求項7記載の細胞を、組換えポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養し、そして該組換えポリペプチドを回収することを特徴とする、組換えポリペプチドを得る方法。
  24. 請求項23記載の方法を用いて得られることを特徴とする、組換えポリペプチド。
  25. 請求項4、5および24のいずれかに記載のポリペプチドを選択的に結合することを特徴とする、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体。
  26. 下記工程を含むことを特徴とする、請求項4、5および24のいずれかに記載のポリペプチドを検出する方法。
    a)生物学的試料を請求項25記載の抗体に接触させる、
    b)形成される抗原−抗体複合体を証明する。
  27. 下記を含むことを特徴とする、請求項26記載の方法を行うための試薬キット。
    a)請求項25記載のモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、
    b)場合により、免疫反応に適した媒体を構成する試薬、
    c)免疫反応の間に形成される抗原−抗体複合体を検出するための試薬。
  28. 配列番号1に対応する遺伝子の発現の産物、または配列番号1のmRNAの存在を決定することを特徴とする、トリES細胞の多分化能を決定する方法。
  29. 配列番号1のmRNAを、請求項20に記載の使用により、プローブまたはプライマーを用いたノーザンブロッティングまたはRT−PCRにより検出することを特徴とする、請求項28記載の方法。
  30. 配列番号2のタンパク質の存在を、例えば請求項25記載の抗体を用いて検出することを特徴とする、請求項28記載の方法。
  31. 請求項1〜3のいずれかの項記載の核酸の存在をトリのゲノムにおいて検出することを特徴とする、キジ (Galiformes) 目に属するトリを分類する方法。
  32. 請求項1〜3のいずれかの項記載の核酸の存在を食品試料において検出することを特徴とする、食品試料中のキジ (Galiformes) 目に属するトリ由来の試料の存在を決定する方法。
  33. 請求項1〜3のいずれかの項記載の核酸配列を含むことを特徴とする、 DNAチップ。
  34. 請求項4、5および24のいずれかの項記載のポリペプチド、または請求項25記載の抗体を含むことを特徴とする、タンパク質チップ。
  35. 下記工程を含むことを特徴とする、生物学的試料または食品試料中に、請求項1〜3のいずれかの項記載の核酸を検出及び/又は解析する方法。
    a)該試料を、標識された請求項1〜3のいずれかの項記載のポリヌクレオチドと接触させる、
    b)該ポリヌクレオチドと該試料中の核酸との間に形成されたハイブリッドを検出及び/又は解析する。
  36. 請求項1または2に記載の核酸から選択されるプライマーを用いた、試料の核酸の増幅工程を含むことを特徴とする、生物学的試料または食品試料中に請求項1〜3のいずれかの項記載の核酸を検出及び/又は解析する方法。
  37. 下記工程を含むことを特徴とする、多分化能を有する細胞の分化を誘導しうる物質または媒体をスクリーニングする方法。
    a)請求項7〜17のいずれかの項記載のES細胞を、多分化能表現型を維持しうる培地中に維持し、
    b)該培地に前記物質を添加するか、または該培地を試験すべき培地で置換し、
    c)配列番号2のタンパク質の発現または外来遺伝子の欠如により分化の誘導を決定する。
  38. 請求項8〜17のいずれかの項記載の細胞を用いて行うことを特徴とする、請求項37記載の方法。
  39. 9N2.5 細胞を用い、そしてβ− ガラクトシダーゼの発現の欠如を検出することを特徴とする、請求項37または38記載の方法。
  40. 下記工程を含むことを特徴とする、分化した細胞の多分化能を復帰させうる物質をスクリーニングする方法。
    a)分化した細胞を適宜培地中に維持し、
    b)該培地を、多分化能表現型を維持でき、試験すべき該物質を含む培地で置換し、
    c)該細胞中の配列番号2のタンパク質または外来遺伝子の発現により、該細胞の多分化能の復帰を決定する。
  41. 請求項8〜17のいずれかの項記載の細胞由来の分化細胞を用いて行うことを特徴とする、請求項40記載の方法。
  42. 分化した9N2.5 細胞を用い、そしてβ− ガラクトシダーゼの発現を検出することを特徴とする、請求項40または41記載の方法。
  43. 請求項37〜42のいずれかの項記載の方法を用いて得られることを特徴とする媒体または物質。
  44. 下記から選ばれることを特徴とする医薬品としての化合物。
    a)請求項1〜3のいずれかの項記載の核酸、
    b)請求項4、5または24記載のポリペプチド、
    c)請求項6記載のベクター、
    d)請求項7〜17のいずれかの項記載の細胞、
    e)請求項25記載の抗体、
    f)請求項43記載の物質。
  45. 配列番号1のヌクレオチド3111−3670 に対応する核酸の、トリ多能性細胞中の有用遺伝子の特異的発現のための該有用遺伝子のプロモーターとしての使用。
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