JP2001513336A - トランスジェニック動物の生産における「マリーナ」トランスポザンの使用 - Google Patents

トランスジェニック動物の生産における「マリーナ」トランスポザンの使用

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Abstract

(57)【要約】 トランスジェニック動物の胚を調製する方法であって、転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子(MLE)を動物の胚細胞中に導入する工程を含み、そして外因性トランスポザーゼタンパク質、又はトランスポザーゼをコードするDNAもしくはRNA配列を導入する工程を任意選択可能に含んで成る方法。その結果得られる胚はさらなる胚を形成させるために又は動物に発育させるために使用することができる。本発明は、選択した動物に外来DNAを導入する上で有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は動物の胚に転移遺伝子を導入する方法に関し、そしてそれからのトラ
ンスジェニック動物の調製に関する。
【0002】 新たな受精卵内に、その胚細胞の最初の卵割の前に、マイクロインジェクショ
ンにより外来性のDNAを導入する方法は、トランスジェニック動物の確立され
た生産方法となってきた。この外来性DNAは動物の染色体内に組み込まれ、そ
して創始動物であるトランスジェニック動物の子孫により安定な付加的配列とし
て遺伝的に承継される。
【0003】 この染色体への組み込みが起こる頻度は種間で変動する。この頻度は注入の場
所によっても影響される。このDNAが受精卵の前核の一つの中に導入されると
きは、トランスジェニック動物の生産の頻度は一般に高くなる。
【0004】 転移因子とは、生物のゲノム内の異なる部位に転移することができるDNAの
配列と定義される。転移因子は、一つのゲノム部位から別のゲノム部位に移動す
るために使用するメカニズムにより、幾つかの異なるクラスに分けることができ
る。転移因子の能力は、特定の種由来の転移因子をその種のゲノム中に外来遺伝
子を導入するためのベクターとして使用することを可能とするように修飾されて
きた。例えば、ドロソフィラ・メラノガスター由来のP因子はディー.メラノガ
スターを形質転換するために広く使用されている(ルービン,ジー.エム.及び
スプラドリング,エイ.シー.,Science 218 348-353 (1982)及びUS−A−4
670388)。
【0005】 新たな受精卵由来のニワトリ胚を培養して孵化したニワトリを生産する方法が
発展し、それはEP−A−0295964及びペリー,エム.エム.Nature 331 70-72 (1988) に記述されている。続いて、ニワトリの接合体の細胞質内にDN
Aを注入する方法、すなわちジャーミナル・ディスクがサング,エイチ.エム.
及びペリー,エム.エム., Mol. Reprod. Development 1 98-106 (1989) 及びペ
リーら Roux's Archive of Developmental Biology 200 312-319 (1991) 。トラ
ンスジェニック鳥の生産におけるこれらの技術の使用はラブら Bio/Technology 12 60-63 (1994) で報告された。しかしながら、トランスジェニック鳥の生産の
ためのこの手順を継続的に使用すると、得ることができるトランスジェニック鳥
の頻度は、その子孫へ移転される外来性DNAの組み込みで判断すると、低い、
すなわち生ニワトリ総数254からの、生殖系列トランスジェニック鳥は3羽で
あった。
【0006】 従って、この方法の効率は比較的低く、DNA注射後に孵化されたニワトリの
僅か1%又はそれ未満しかそのゲノム中に注射されたDNAを組み込まなかった
。さらに、これらのトランスジェニック鳥のそれぞれから1個のトランスジェニ
ック系列しか得られなかった。すなわち、このトランスジェニック子孫は1個の
染色体部位に外来性DNAを数コピー含むだけである。
【0007】 細胞質中へのDNA構築物の注入も、前核注射に比べると、哺乳動物では極め
て非効率的である(ブリンスターら Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82 4438-4442
(1985))。また、前核注射により生産された転移遺伝子の大部分は注射されたD
NA構築物の多重コピーのアレーから成る。これらのアレーの構造は転移遺伝子
の発現に対し負の効果を及ぼし得る、すなわち、発現のレベルを減少させあるい
は発現の組織特異性に悪影響を与え得る。
【0008】 トランスジェニック鳥はレトロウイルスベクターの感染を用いても生産されて
きた(ボセルマンら Science 243 533-535 (1989))。しかしながら、レトロウイ
ルスベクターの使用は幾つかの不利益がある。家禽集団に広く拡がる野生型レト
ロウイルスとウイルスベクターの組換えの危険性は最も深刻な問題と考えられる
。レトロウイルスベクターはそれを用いて作業するのに極めて複雑でありそして
約8キロ塩基対より大きな構築物を組み込むことにその能力が制限される。
【0009】 転移因子「マリーナ」は最初ドロソフィラ・マウリティアーナのゲノム中で発
見されたが、密接に関連する因子が脊椎動物及び無脊椎動物の両方の広範囲の種
で発見されてきた(ロバートソン,エイチ.エム.Nature 362 241 (1993))。そ
れは、ライシュマニアなどの病原性生物を研究するためにも使用されてきた(グ
エイロス−フィルホ,エフ.ジェイ.及びビバリー,エス.エム.Science 276 1716-1719 (1997)及びハートル,ディー.エル.Science 276 1659-1660 (1997)
) 。しかしながら、グエイロス−フィルホら及びハートルにより記述された「マ
リーナ」の使用は遺伝的道具としての使用、すなわち、挿入的突然変異誘発用に
関連するもののみであり、そして遺伝子導入(transgenesis) 又は突然変異誘発
によりトランスジェニック動物を調製するための手段としての使用には関連しな
かった。要するに、「マリーナ」はトランスジェニック動物の生産における役割
について適当であるとは記述されず、そしてそのような使用は先行技術では決し
て期待されていないのである。
【0010】 驚くべきことに、「マリーナ」因子はトランスジェニック動物の調製における
ベクターとして使用することができることがここに発見されたのである。
【0011】 本発明の第1の側面によれば、転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子(ML
E)を動物の胚細胞内へ導入する工程を含み、外因性トランスポザーゼタンパク
質又はトランスポザーゼをコードするDNAもしくはRNA配列を導入する工程
を任意選択可能に含んで成るトランスジェニック動物胚を調製する方法が提供さ
れる。
【0012】 トランスジェニックという用語は、本発明の文脈においては、外来性DNAの
配列がトランスジェニック子孫動物の代々の世代へと譲渡されるように「マリー
ナ」−様因子(MLE)によって導入される外来性DNAの配列が動物染色体内
に安定に組み込まれた動物を記述するために用いられる。このような状況では、
最初のトランスジェニック動物は「創始」動物として知られる。この創始動物は
その子孫が安定にこの転移遺伝子を遺伝的に承継するように、組み込まれた外来
性DNA又は転移遺伝子をその細胞のすべてに又は十分な割合で持っている。転
移遺伝子がその動物の細胞の一部にだけ存在するときは、この動物はキメラと呼
ばれる。本発明は安定に又は直接的に転移遺伝子を染色体中に組み込んでいる動
物であってその子孫まで遺伝子を譲渡することなくその体細胞中に転移遺伝子を
発現する動物にも広げられる。
【0013】 動物に関して「トランスジェニック」という用語は、別の種由来の一つ以上の
遺伝子をその生殖系列中に含む動物を指すことに限定するものと解すべきでない
。ただし、多くのトランスジェニック動物はそのような遺伝子又は遺伝子群を含
むであろうが。むしろ、この用語は、もっと広く、その生殖系列が「マリーナ」
−様因子(MLE)の導入の対象となったすべての動物を指すのである。そうで
あるから、例えば、その生殖系列において内因性遺伝子が欠失、重複、活性化、
又は修飾されてしまった動物は、外因性DNA配列がその生殖系列に付加された
動物と同様に本発明の目的にとってはトランスジェニック動物である。
【0014】 原理的には、本発明は、鶏などの鳥類、両生類及び魚類を含むすべての動物に
適用可能である。しかしながら、実用的には、最大の商業的に有用な適用可能性
が現在予想されるのは、非−ヒト動物(温血脊椎動物)、殊に(非−ヒト)哺乳
動物、特に胎盤哺乳動物、そして鳥、特に家禽に対するものである。この発明が
最も有用であるように思われるのは、有蹄類、牛、ヒツジ、ヤギ、水牛、ラクダ
及びブタなどの特に経済的に重要な有蹄類についてである。鳥類の中では、本発
明は、鶏、ガルス・ドメスティクス、七面鳥及びホロホロチョウなどの家禽に対
する特別な適用を有する。本発明は、例えば、馬、ラマ又はラット、マウス又は
ウサギなどのげっ歯類のような他の経済的に重要な動物種に適用可能でもある。
【0015】 本発明の方法は動物胚細胞内への外来性DNA又は転移遺伝子の導入に直接向
けられる。この胚細胞は接合体段階である受精直後の単一細胞段階にあるもので
よい。しかしながら、その導入は胚発育の後期の段階、例えば、2−細胞、4−
細胞、8−細胞、16−細胞、32−細胞、又は64−細胞段階の胚からの、又
はさらに後の段階からの胚細胞内へのものでもよい。このような後期段階胚から
作成された創始動物であるトランスジェニック動物は、従って、キメラであるこ
とがあるが、その子孫から全ての細胞中に転移遺伝子が存在するものを選択する
ことが可能である。
【0016】 「マリーナ」−様因子はドロソフィラ・マウリティアーナ由来の転移因子「マリ
ーナ」であることもあり、又は別の脊椎動物もしくは無脊椎動物種由来の近縁の
因子であってもよい(ロバートソン,エイチ.エム.Nature 362 241 (1993))。
「マリーナ」−様因子は、便宜的に、染色体変更の対象となる動物の細胞から誘
導することもできる。「マリーナ」−様因子のヌクレオチド配列は、細胞内に導
入されるとき転移因子として働くその能力によって規定することができる。
【0017】 「マリーナ」−様転移因子は約36bpの末端の逆方向反復を持つ約1,30
0bp長のものである。「マリーナ」−様因子はそれぞれ、トランスポザーゼと
推定されるポリペプチドであって、他の「マリーナ」−様因子がコードするポリ
ペプチドと平均して34%のアミノ酸配列同一性を持つポリペプチドをコードす
る。すべての「マリーナ」−様因子の推定的トランスポザーゼのアミノ酸配列は
D、D34Dとして知られる特徴的なモチーフを含む。ここで、「D」はアスパ
ルギン酸残基を表す。このモチーフの第3のアスパラギン酸の直ぐ後にチロシン
残基がくる(ロバートソン,エイチ.エム.J. Insect Physiol. 41 99-105 (19
95))。
【0018】 転移遺伝子は「マリーナ」−様因子内では「マリーナ」配列内のどの位置にで
も含まれることができる。理論にとらわれることなく、「マリーナ」−様因子の
それぞれの末端の最後のほぼ100塩基がMLEの機能にとってそして細胞染色
体中へのその組み込みにとって重要であると信じられている。こうして、転移遺
伝子は、それぞれの末端からほぼ100塩基以内を除き、MLE内のどこにでも
配置されうる。転移遺伝子はMLEの中央の配列を置換してその因子の末端のみ
が残っているものを生ずることもできる。
【0019】 「マリーナ」−様因子内に含まれる転移遺伝子配列は望ましい外来遺伝子配列
のいかなるものでもよい。特に好ましい遺伝子配列としては、酵素、ホルモン又
は他の機能的に活性なタンパク質、例えば、免疫グロブリン、ヘモグロビン、ミ
オグロビン、チトクローム等の治療上有用なタンパク質をコードする遺伝子配列
が挙げられるが、これらに限定されない。他の遺伝子配列は、その遺伝子が存在
しないか又は突然変異しており対応するタンパク質が生産されず又は活性型で生
産されないタンパク質をコードすることができる、すなわち、嚢胞性腺維症又は
筋ジストロフィーなどの疾病状態の原因となる遺伝子である。
【0020】 転移遺伝子配列が、動物の乳の分泌のための乳腺などの選択された組織中に、
卵黄もしくは卵のアルブミン中に、又は血液中に転移遺伝子の発現を指示するた
めのプロモーター配列を含むことは一般的である。さらなる適用では、トランス
ジェニック宿主動物の器官を、その細胞内で発現する免疫タンパク質に対し同種
異系である受容体中への異種移植に使用できるように免疫拒絶を制御する調節タ
ンパク質の発現を含んでいる。同様に、同種移植も含まれる。
【0021】 農業への適用では、本発明の方法は改良された農場動物を生産するために使用
することができる。動物中に導入される転移遺伝子としては、疾病抵抗性遺伝子
、生長促進性遺伝子、又は特定の性質に改良された特徴を付与しもしくは新規な
性質を導入する遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】 「マリーナ」−様因子(MLE)の導入は、細胞質中へ又は接合体の前核もし
くは動物胚細胞の核中へMLEを注入することにより便宜的に達成することがで
きる。電気穿孔又はリポソームなどの、導入の他の経路も本発明の方法に同様に
効果的であり、使用することができる。
【0023】 このMLEは「マリーナ」−様因子のDNA配列及び望ましい転移遺伝子を含
む構築物の形で導入することができ、あるいは単に「マリーナ」−様因子のヌク
レオチド配列と望ましい転移遺伝子それ自体を導入することもできる。ベクター
系導入法が用いられる場合、構築物はプラスミド、コスミド又は酵母人工染色体
(YAC)もしくは細菌人工染色体(BAC)などの人為的染色体であってもよ
い。この構築物は、必要なときは、導入される外来DNAに応じて、プロモータ
ー又はエンハンサーなどの付加的な調節配列を含んでいてもよい。従って、本発
明のさらなる側面は上述の転移遺伝子をふくむ「マリーナ」−様因子を含む構築
物又はベクターである。一般に、MLEは転移遺伝子の操作及びクローニングの
し易さの観点からプラスミド中にクローニングされる。転移を促進するためDN
AがスーパーコイルとなるようにMLEベクターを環状分子にすることも好まし
い。
【0024】 本発明の方法は、「マリーナ」−様因子の導入の時に、又はその少し前又はそ
の少し後に、外因性トランスポザーゼタンパク質、又はトランスポザーゼをコー
ドするDNAもしくはRNA配列を導入する付加的な任意選択可能な工程を含ん
でもよい。
【0025】 細胞内に導入される「マリーナ」−様因子及びトランスポザーゼは同一動物種
由来でも異なる種由来のものでもよい。
【0026】 本発明の第2の側面によれば、転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子(ML
E)を動物の成熟細胞中に導入する工程を含み、外因性トランスポザーゼタンパ
ク質又はトランスポザーゼをコードするDNAもしくはRNA配列を導入する工
程を任意選択可能に含んで成るトランスジェニック動物胚を調製する方法が提供
される。
【0027】 本発明の第3の側面によれば、転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子(ML
E)を動物の胎児細胞中に導入する工程を含み、外因性トランスポザーゼタンパ
ク質又はトランスポザーゼをコードするDNAもしくはRNA配列を導入する工
程を任意選択可能に含んで成るトランスジェニック動物胚を調製する方法が提供
される。
【0028】 本発明の第1、第2及び第3の側面に記載の方法のいずれか一つにおいて、そ
の結果得られる動物胚は(i)転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子の導入そ
して染色体中へのその挿入の後、その細胞の核を取り出す工程、そして(ii) 続
いて、その核を除核卵母細胞中へ導入しそれを動物胚に発育させる工程により調
製することができる。核転移技術を用いる動物胚の調製を記述した幾つかの方法
があり、そして好ましい技術としては、WO−A−9607732 、WO−A−970766
9 及びWO−A−9707668 に記述されたものが挙げられるが、これらに限定され
ない。
【0029】 上述の発明の方法では、核は供与細胞から受容細胞へ転移される。この方法の
使用は特定の供与細胞型に限定されない。供与細胞は、ウイルマットら Nature 385 810 (1997)、キャンベルら Nature 380 64-66 (1996)、又はシベッリら Sci
ence 280 1256-1258 (1998) に記述されているようなものである。核転移に使用
して成功し得る胚細胞、胎児細胞及び成熟体細胞を含む正常な核型の細胞はすべ
て、原理的には本発明の方法に用いることができる。胎児繊維芽細胞は特に有用
な供与細胞のクラスである。一般に適する核転移の適当な方法は、キャンベルら
Theriogenology 43 181 (1995) 、コラスら Mol. Reprod. Dev. 38 264-267 (1
994)、キーファーら Biol. Reprod. 50 935-939 (1994)、シムズら Proc. Nat'l
. Acad. Sci. USA 90 6143-6147 (1993)、WO−A−9426884 、WO−A−9424
274 、WO−A−9807841 、WO−A−9827214 、WO−A−9003432 、US−
A−4994384 及びUS−A−5057420 に記述されている。従って、本発明は、完
全に分化した細胞を含む少なくとも部分的に分化した細胞の使用を予定する。供
与細胞は培養細胞でもよいが、これに限られる必要はなく、静止細胞でもよい。
静止している核の供与細胞は静止に入るように誘導され得る細胞又はイン・ビボ
で静止状態で存在する細胞である。培養された牛の一次繊維芽細胞、胚由来のヒ
ツジ細胞系(TNT4)、6歳の成熟ヒツジからのヒツジ乳上皮細胞由来の細胞
系(OME)、ヒツジ胎児組織由来の繊維芽細胞の細胞系(BLWF1)及び9
日齢ヒツジ胚由来の上皮−様細胞系(SEC1)がWO−A−9707669 及びWO
−A−9707668 に記述されている。TNT4細胞系を含む本発明に有用な胚由来
の細胞系の1クラスがWO−A−96/07732に記述されている。培養された内部細
胞マス(CICM)細胞はWO−A−9737009 及びWO−A−9827214 に記述さ
れ、そして胚細胞系又は幹−様細胞系はWO−A−9807841 に記述されている。
核供与体として使用するためのトランスジェニック牛の繊維芽細胞はザワダら (
Nature Medicine 4 (5) 569-574 (1998)及びシベッリら (Science 280 1256-125
8 (1998)に記述されている。
【0030】 供与細胞が静止していると記述される場合、このような細胞は分裂細胞周期に
より活発に増殖していることはないであろう。静止供与細胞の使用はWO−A−
9707669 に記述されている。分裂細胞周期には四つの異なる相、すなわち、G1
、S、G2及びMがある。細胞周期における開始の事象は「開始点(細胞周期の
)」と呼ばれ、G1相で起こり、そしてユニークな機能を持っている。別の細胞
周期を受けようとする決定又は約束は「開始点」でなされる。一旦細胞が「開始
点」を通過すると、それは前−DNA合成相である、G1相の残りを通過する。
第2の段階であるS相はDNA合成が起こる相である。この相の次にDNA合成
と有糸分裂の間の期間であるG2相が来る。有糸分裂それ自体はM相で起こる。
静止細胞(静止が誘導された細胞並びにある種の完全に分化した細胞などの自然
状態で静止している細胞を含む)は一般にこの周期の四つの相のいずれにも存在
しないものとみなされる。これらの静止細胞は、これらがこの周期を通って正常
に進行しないことを示すために、G0状態にあると通常記述される。静止G0細
胞の核は内容物として二倍体DNAを持っている。
【0031】 培養細胞は、化学的処理、栄養枯渇、成長阻害又は遺伝子発現の操作などを含
む種々の方法により静止状態に入るように誘導することができる。今日では、培
養培地中の血清レベルの減少を用いて、ヒツジ及び牛両方の細胞系で静止を誘導
するのに成功している。この状況では、細胞はG1相の間の成長周期を出て、上
に説明したように、いわゆるG0段階に置かれている。このような細胞は再び刺
激され成長周期に再突入するときまで、数日間(おそらく細胞によってはもっと
長く)この状態に留まることができる。G0状態に置かれた静止細胞は二倍体で
ある。このG0状態は、細胞がそれから分化することができる細胞周期の中の重
要な点である。静止の際に、幾つかの代謝的変化が報告されてきており、これら
には、モノリン酸化ヒストン、繊毛中心粒、全てのタンパク質合成の減少又は完
全停止、タンパク質分解の増加、転写の減少及び総細胞RNAの減少をもたらす
RNAの代謝回転の増加、ポリリボソームの分解、不活性80Sリボゾームの蓄
積及びクロマチン縮合が含まれる(ホイットフィールドら,Control of Animal
Cell Proliferation, 1 331-365 (1985)) 。
【0032】 これらの特徴の多くは、除核卵母細胞に核を移転した後に起こるために要求さ
れる特徴である。G0状態が細胞の分化と関連しているという事実は、これが受
容体細胞の細胞質による改造及び/又は再プログラミングをより受け易い核/ク
ロマチン構造を提供することを示唆する。このようにして、静止状態にある核供
与体のお蔭で、核が発育を指示することができるように胚の再構成又は再構築の
前に供与体の核のクロマチンが修飾されうるのである。これは、供与体細胞のク
ロマチンが核供与体として細胞が使用する前に修飾されるという点で、従来報告
された核の転移方法のいずれとも異なっている。
【0033】 供与体細胞からの核がそれに転移される受容体細胞は卵母細胞又は別の適当な
細胞でありうる。受容体卵母細胞の好ましいクラスはWO−A−9707668 に記述
されている。
【0034】 中期Iにある卵母細胞から、中期IIにある卵母細胞を経て、接合体及び2細胞
胚までの、種々の異なる発育段階にある受容体細胞が使用されうる。それぞれは
、その利点および不利益を持っている。受精卵の使用は効率的な活性化を保証す
るが、卵母細胞については単為発生の活性化が必要となる(後記参照)。一部の
種では、卵割−段階の胚の使用を有利にする別のメカニズムは、遺伝子発現の再
プログラミングが必要となる程度である。マウスでは、複写は第2細胞周期の間
に開始され、そして合成されるタンパク質の性質の大きな変化は、胚盤胞の段階
まで二次元電気泳動では認められない(ハウレット及びボルトン J. Embryol. E
xp. Morphol. 87 175-206 (1985)) 。そうはいっても、多くの場合、受容体細胞
は卵母細胞である。
【0035】 受容体は除核されていることが好ましい。核転移手順における受容体卵母細胞
の除核は必須であると一般に考えられてきたが、この判断の実験的確認は公表さ
れていない。有蹄類に対して記述された最初の手順は、細胞を2個の1/2細胞
への分割を含み、その一つは除核されていたようであった(ウイラドセン Natur
e 320 (6) 63-65 (1986)) 。この手順は、他方の未知の1/2細胞がなお中期の
組織を持ちそして細胞質の容積の減少が新たな胚の分化のパターンを加速すると
考えられるという不利益を持っている(エヴィスコフら,Development 109 322-
328 (1990)) 。
【0036】 より最近になって、最少量の細胞質を含む染色体を除去する試みの中で、異な
る手順が用いられてきた。第1の極体と近くの細胞質の吸引により、ヒツジ卵母
細胞の67%で中期II組織を除去することが見出された(スミス及びウイルマッ
ト Biol. Reprod. 40 1027-1035 (1989)) 。DNA特異的蛍光色素(ヘキスト33
342)を使用した場合のみ、除核の際、細胞質容量の最少の減少を保証する方法が
提供された(ツノダら,J. Reprod. Fertil. 82 173 (1988)) 。家畜類では、こ
れはおそらく現在日常的に使用される方法となっている(プラザー及びファース
ト J. Reprod. Fertil. Suppl. 41 125 (1990)、ウェススシンら Biol. Reprod.
(Suppl.) 42 176 (1990)) 。
【0037】 哺乳動物での除核への非浸襲的取り組みについての報告は極めて少ないが、両
生類では日常的手順として紫外線照射が用いられている(ガードン,キュー.J.
Microsc. Soc. 101 299-311 (1960))。DNA特異的蛍光色素の使用の過程で、
マウスの卵母細胞を30秒より長く紫外線に曝すと細胞の発育能力を低下させた
ことに注目された(ツノダら,J. Reprod. Fertil. 82 173 (1988)) が、哺乳動
物でのこのアプローチの使用についての詳細な報告はない。
【0038】 本発明の第4の側面によれば、動物を調製する方法であって、 (a)本発明のこれまで記載した側面のいずれかの胚を調製する工程、 (b)前記胚から分娩まで動物を発育させる工程、及び (c)このようにして形成された動物から任意選択可能に増殖させる工程、
を含んで成る方法が提供される。
【0039】 本発明のこの側面に従って調製された動物の胚は、胚の完全発育の前に、さら
に操作することができる。これは、付加的遺伝物質の導入又は特定の遺伝的特性
もしくはある遺伝子の有無のためのその胚の検定を含む。胚の細胞が分娩まで発
育させられる二以上の胚を調製するために使用される場合には、その胚から二以
上の動物を誘導することができるということもあり得る。
【0040】 従って、本発明は、本発明の第4の側面に記載の方法により調製される動物に
も及ぶ。
【0041】 本発明の第5の側面によれば、遺伝子の不存在又は遺伝子の突然変異により惹
起される疾病状態の治療における「マリーナ」−様因子の使用が提供される。本
発明のこの側面は遺伝子の不存在又は遺伝子の突然変異により惹起される疾病状
態の予防又は治療のための薬剤の調製における「マリーナ」−様因子の使用にま
でも拡張される。このような治療方法は転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子
の動物細胞中への導入を含みうる。トランスポザーゼタンパク質、又はトランス
ポザーゼをコードするDNAもしくはRNA配列も導入される場合には、この工
程はMLEの導入と同時に、連続して又は別々に行われうる。
【0042】 従って、本発明は、遺伝子の不存在又は遺伝子の突然変異と関連する疾病状態
の治療に胚の細胞が用いられる本発明のこれまで記載の側面のいずれか一つに記
載の胚の調製にも及ぶ。このような細胞は、患者の細胞がもはや活性でなく、有
効でない疾病状態、特に神経障害又はホルモン障害を治療するために使用するこ
ともできる。
【0043】 第2及びその後の側面にとっての好ましい特徴は、必要な変更を加え、第1の
側面にとってのそれと同様である。
【0044】実施例1:トランスポザーゼの調製 以下の実験に使用する「マリーナ」トランスポザーゼは、プラスミドpBCP
Mos1を保持する大腸菌株BL21DE3(ステゥディアら,Methods in Enz
ymology 185 60-89 (1991)) から精製した。これは発現ベクターpBCP368
から誘導した(ヴェルテロップら Gene 153 63-65 (1995)) 。因子Mos1由来
の「マリーナ」トランスポザーゼの完全コード配列をpBCPMos1のNde
I部位に挿入した。これらの細胞を軌道振盪機(200rpm ,37℃)上、ルー
リアブロス(LB)中でOD550 が0.8になるまで成長させ、この時点でIP
TGを0.5mMまで添加して細胞を2時間誘導させた。誘導の後、細胞を収穫
し、必要になるまで−20℃で貯蔵した。1リットル培養からのペレット状の細
胞を5mlの50mMのトリス−塩酸(pH7.5)、10%グリセロール、2
mMのMgCl2 、1mMのDTTに再懸濁した。0.1mg/mlの濃度まで
リゾチームを添加し、そして細胞を室温で5分間インキュベートした。ついで、
25mMのトリス−塩酸(pH7.5)、4mMのEDTA、0.2MのNaC
l、1%デオキシコール酸塩、1%のNP40、1mMのDTTを含む洗剤緩衝
液を10ml添加することにより細胞を溶解し、そしてさらに15分間室温でイ
ンキュベートした。2000ユニット/mlのDNアーゼIの100μlと共に
MgCl2 を最終濃度10mMになるまで添加した。抽出物を粘性が減少するま
でピペットで数回上下させ、ついで室温に10分間放置した。次いで、全細胞抽
出物を20,000gで30分間遠心分離した。そのペレットを0.5%NP4
0(v/v)、1mMのEDTA中で3回洗浄した後、6M尿素中で1回洗浄し
、最後に1mlの25mMトリス−塩酸(pH7.5)、6Mグアニジン塩酸、
5mMのDTT中に再懸濁した。13,000gで10分間遠心分離した後、そ
の上清を25mMトリス−塩酸(pH7.5)、8M尿素、5mMのDTT、1
0%のグリセロール緩衝液中に100倍希釈し、50mMのNaClを補充した
同じ緩衝液で予め平衡化した2mlファスト・フローCMセファロース・カラム
(シグマ)上に載せた。
【0045】 これらの条件の下で、変性した「マリーナ」トランスポザーゼはこのカラムに
結合した。タンパク質は1ml/分の速度で8〜0M尿素の200ml直線勾配
を通過させることによりそのカラム上で再生された。再生の後、結合したタンパ
ク質をバッファーA(20mMのトリス−塩酸(pH7.5)、1mMのDTT
、10%のグリセロール)中の50mM〜1.0MのNaCl直線勾配の20m
lで溶出した。「マリーナ」トランスポザーゼを含む画分はSDS−PAGEで
確認し、セントリコン(アミコン)カラム(30K分子量カットオフ)を通す回
転によりさらに濃縮した。このタンパク質を約0.25〜0.5mg/mlの濃
度で凍結貯蔵した。
【0046】実施例2:ニワトリ胚中への「マリーナ」の注入 「マリーナ」因子を含むプラスミドMos1(メドホラら Genetics 128 311-
318 (1991)) を、サング及びペリー(Mol. Reprod. Dev. 1 98-106 (1989))が記
述したように、5mMの酢酸マンガンを含む又は含まない、100mMのNaC
l、25mMのヘペスpH7.7、2mMのジチオトレイトール、5%(v/v
)グリセロール、25μg/mlの牛血清アルブミンを含む緩衝液中、0.05
〜0.005mg/mlの濃度の精製「マリーナ」トランスポザーゼと共に、2
5μg/mlの濃度でニワトリ胚中に注入した。注入した胚をペリー(Nature 3 31 70-72 (1988))が記述したように培養した。「マリーナ」配列を含む細胞を持
つ孵化した雛は、「マリーナ」に特異的なプライマー及び孵化中の雛の漿尿膜か
ら調製したDNAを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行うことにより同
定した。実験中に死んだが、注入後少なくとも12日間生存した胚も「マリーナ
」配列の存在について分析した。
【0047】実施例3から8:材料及び方法: プラスミド構築物及びトランスポザーゼタンパク質の調製 プラスミドpMos1TetはpMos1中の「マリーナ」のオープンリーデ
ィングフレーム中に存在するユニークSalI部位中にテトラサイクリン耐性遺
伝子を挿入することにより構築した。TetR 遺伝子はAvaI及びEcoRI
でpBR322を消化することにより得た。pMos1はSalIで線状化しそ
して末端を満たすためクレノウポリメラーゼで処理した後この二つの断片を連結
した。組換え体−誘導「マリーナ」トランスポザーゼの発現及び調製は他の場所
(エイ.ドーソン及びディー.フィンガン、準備中)で詳細に記述されるであろ
う。簡単に述べれば、pMos1由来の「マリーナ」トランスポザーゼ遺伝子を
発現ベクターpBCP368(ヴェルテロップら Gene 153 63-65 (1995)) に挿
入し、pBCPMos1を構築した。この構築物を大腸菌株DH5α中に転移さ
せ、そしてタンパク質発現の誘導の後、細胞を収穫した。このトランスポザーゼ
タンパク質は、不溶性の沈澱物として回収され、可溶化され、そしてファスト・
フローCMセファロースカラム(シグマ)に結合させた。このタンパク質は8M
尿素中で再生させそしてイン・ビトロ転移検定法でその活性を測定した。
【0048】ミクロ注入及び雛胚の培養 雛胚の培養は、( ラブら Bio/Technology 12 60-63 (1994))に注記された修正
を施し、実質的には(ペリー,Nature 331 70-72 (1988))が記述したとおりに行
った。25μg/mlの濃度の無切断プラスミド1〜2nlを、確立された手順
(ラブら Bio/Technology 12 60-63 (1994))に従って、接合体の卵核ディスク(
germinal disc)中に注入した。このDNAを転移緩衝液(100mMのNaCl
、25mMのヘペスpH7.9、2mMのジチオトレイトール、50mMの酢酸
マンガン、25μg/mlのBSA、5%のグリセロール)中で希釈し、必要な
ときは、トランスポザーゼタンパク質を15ng/mlの濃度まで添加した。
【0049】PCR分析 組織試料(漿尿膜、肝臓及び生殖腺)は12日間以上インキュベートした後に
培養中に死んだ胚から切り取り、そしてDNAはピュアジーン(フローゲン)ゲ
ノミックDNA精製キットを用いて抽出した。ゲノムDNA試料は生存している
雛の孵化中の漿尿膜から取得し、血液試料はより成熟した(older)ニワトリから
取得しそして精液は成熟おんどりから得た。PCR分析は「マリーナ」因子及び
pBluescript(pMos1実験)又はTetR 遺伝子及びベクターク
ロラムフェニコール(CAT)耐性遺伝子(pMos1Tet実験)の存在を調
べるため0.5〜1μgのDNA試料について行った。コピー数を推定するため
、対照のPCR反応を、既に記述された(ラブら Bio/Technology 12 60-63 (19
94))ように、1個のコピー遺伝子(1×)、10倍希釈(0.1×)及び100
倍希釈(0.01×)の量と当量になるように添加したpMos1又はpMos
1TetDNAと共に雛のゲノムDNAの1μg部分について平行して行った。
使用したプライマーは、 (i)「マリーナ」 + 5’−TCAGAAGGTCGGTAGATGGG − 5’−AAATGACACCGCTCTGATCC (ii)pBluescript + 5’−GCAGAGCGAGGTATGTAGGC − 5’−AGCCCTCCCGTATCGTAGTT (iii) TetR + 5’−CTTGAGAGCCTTCAACCCAG − 5’−TTTGCGCATTCACAGTTCTC (iv) CAT + 5’−AAAATGAGACGTTGATCGGC − 5’−AGGTTTTCACCGTAACACGC である。PCR産物は1.5%アガロースゲル上で分析し、構築物配列のコピー
数は対照反応との比較により推定された。
【0050】サザン転移分析及び組み込まれた「マリーナ」因子の単離 PCRによってトランスジェニックとして同定されたG1 雛からのDNAは、
BamHI+HindIII 及びEcoRIで消化し、1%アガロースゲルで電気
泳動しそしてハイボンドN(アマシャム)に転移させた。「マリーナ」−特異的
プローブはこの因子の両末端に近いプライマーを用いるPCRにより形成させそ
してランダム−プライミングにより標識化した(レディプライム,アマシャム)
。EcoRIで消化したG1 雛13からのDNAの0.1μg部分をラムダZa
pII・EcoRI−カット・アームズ(ストラタジーン)の1μgに連結し、ギ
ガパック・ゴールド(ストラタジーン)でパッケージした。約250,000個
のプラークをプレートに播き、そして「マリーナ」−特異的プローブでスクリー
ニングした。一つの陽性プラークを同定し、精製し、そしてストラタジーン・プ
ロトコールに従ってプラスミドとしてその挿入体を回収した。このクローン、p
Zap13は、EcoRIで消化し、その挿入体のサイズを雛13のゲノムDN
A中に存在する「マリーナ」にハイブリダイズする断片と比較し、約8kb断片
と共移動することが見出された。このpZap13クローンは、この因子の両端
を含み隣接するゲノムDNAにはいる所まで配列決定するように設計された「マ
リーナ」の5’及び3’末端近くのプライマー、すなわち、 左末端プライマー 5’−TCGGCACGAAACTCGACATG 右末端プライマー 5’−GCAAATACTTAGAATAAATG を用いて配列決定された。
【0051】実施例3:「マリーナ」プラスミドの注入後の雛胚の分析 確立された手順を用いて雛接合体中に活性な「マリーナ」因子Mos1(図1
(a))(メドホラら Genetics 128 311-318 (1991)) を保持するプラスミドを
注入する一連の実験を行った。精製した「マリーナ」トランスポザーゼタンパク
質はその注入の約半分に含まれていた。総数97の接合体に注入し、51はプラ
スミド+トランスポザーゼタンパク質を注入した。DNAは、少なくとも12日
のインキュベーションの間生存したが孵化の前に死んだ胚の組織から、そして孵
化した雛の漿尿膜から抽出した。これらのDNA試料を「マリーナ」因子(MA
R)とプラスミドベクター(PBS,図1(a))を同時に検出するためPCR
で分析した。「マリーナ」配列とプラスミドベクター配列のコピー数は存在する
雛ゲノムDNAの量に関して推定された、すなわち、1コピー(ゲノム当量当た
り1コピー又はそれ以上)、ゲノム当たり0.05〜0.5コピーそしてゲノム
当たり0.05コピー未満。操作された胚の中の44が少なくとも12日のイン
キュベーションの間生存し、pMos1+トランスポザーゼタンパク質の注入後
23日間生存した。
【0052】 pMos1をトランスポザーゼタンパク質を加え又は加えずに注入した後の「
マリーナ」及びプラスミドベクターの存在についてのPCR分析の結果は表1に
示してある。これらの結果は、リゾチーム遺伝子由来の標準遺伝子構築物(エイ
.シャーマン,未発表データ)の注入により得られた結果と比較して図1Bにグ
ラフ的に示してある。pMos1の注入後に「1コピー」胚が見出される頻度は
リゾチーム構築物実験におけるよりも劇的に高くなった。リゾチーム実験で得ら
れた胚の1%未満は、構築物中のゲノム当たり1コピー当量でみるとpMos1
を注入された胚の27%に相当するレベルで構築物を含んでいた。トランスポザ
ーゼを加え又は加えずに注入した胚の分析から得られた結果は極めてよく似てい
る(表1,図1(b))。このことは、PCR分析で検出された「マリーナ」配
列が転移の結果として存在するならば、そのときは、転移は外因性トランスポザ
ーゼタンパク質の不存在で起こることができるに違いないということを示す。
【0053】
【表1】
【0054】 これらの胚試料について、pMos1のプラスミドベクターが存在するか分析
した。トランスポザーゼタンパク質を加え又は加えずにpMos1を注入した後
分析した29の胚、これらはゲノム当たり0.05コピー以上と推定されたレベ
ルで「マリーナ」を含んでいた、のうち、6個(21%)がプラスミドベクター
配列をも含んでいた(表1)。残りの胚には「マリーナ」が存在していたが検出
可能なプラスミドベクター配列が欠如していたということは、pMos1中の「
マリーナ」因子は、プラスミド構築物からもしかすると雛のゲノムDNA中に転
移したことを示唆するものであった。
【0055】実施例4:「マリーナ」の生殖系列伝達 上記の実験で得られた3羽の雛は性的成熟に至るまで生存した。1羽の雛は孵
化時にpMos1についてトランスジェニックではないかと同定された。「マリ
ーナ」配列とプラスミドベクター配列は両方とも漿尿膜試料からのDNA及び血
液試料からのDNAでPCRにより検出され、そのコピー数は0.1〜0.5ゲ
ノム当量であった。この評価は、このおんどりが性的成熟に達した時、精子試料
の分析により確認された。このおんどりは家畜めんどりと交配され、子孫を孵化
され、トランスジェニック雛の検出のためスクリーニングされた。総数93羽の
1 雛をスクリーニングし、その中の27羽(29%)が「マリーナ」に対する
トランスジェニックであるとPCRにより同定された。
【0056】 G0 おんどりの生殖系列への「マリーナ」挿入の頻度及び起こった異種転移事
象の数を求めるため、G1 雛のそれぞれを分析した。23羽の雛からのゲノムD
NA試料をサザンブロットにより分析して「マリーナ」の挿入を含んだ制限断片
の数とサイズを求めた。このゲノムDNA試料を「マリーナ」それ自体の内部を
切断しない制限酵素であるBamHI及びHindIII で消化し、「マリーナ」
−特異的プローブ(図2(a))とハイブリッド形成をさせた。これも「マリー
ナ」内部を切断しない、さらなる制限酵素EcoRI(図2(b))を用いる分
析により、異なるG1 雛の中に存在する幾つかの「マリーナ」−ハイブリダイジ
ング制限断片を決定することができた。それぞれのG1 雛は、BamHI/Hi
ndIII 及びEcoRI、「マリーナ」−ハイブリダイジング制限断片のサイズ
により分類された(表2)。「マリーナ」を含む6個の異なる断片が同定された
。それぞれの1例は図2(a)及び(b)に示してある。3個の断片(表2、図
2(a)及び(b)、レーン7)は最も普通であり、そして親のおんどり中に明
らかに存在していた(図2(a)及び(b)、レーン8)。G1 雛の中の3羽は
「マリーナ」と同様にプローブベクター配列を含むことがPCRにより確認され
た。サザン転移分析(例えば、図2(a)及び(b)、レーン1)はそれらが5
kb(BamHI/HindIII 消化物)又は8kb(EcoRI消化物)の制
限断片を含むことを示した。この観察は、これらのトランスジェニック鳥が完全
なpMos1プラスミドの多重コピーの組み込みの結果として生じたということ
を示している。そしてそれは、PCRによりG0 おんどり由来のゲノムDNA試
料中にプラスミドベクター配列が検出されたことを説明する。G1 雛由来のゲノ
ムDNAの分析により、「マリーナ」が発育の初期段階でpMos1からG0
んどりの染色体中へ転移したこと、そして多重転移事象が起こったことが示唆さ
れる。
【0057】
【表2】
【0058】実施例5:雛ゲノム中への「マリーナ」の転移 「マリーナ」にハイブリダイズする制限断片が雛ゲノムDNA中に組み込まれ
た「マリーナ」のコピーに実際に相当することを明らかにするため、「マリーナ
」の1コピーを含む制限断片を1羽のG1 雛(雛13、図2(b),レーン2)
のゲノムDNAからクローニングした。雛13由来のEcoRI断片のライブラ
リーを構築し、「マリーナ」プローブでスクリーニングした。図2(b),レー
ン2の低い方のバンドに相当する8.2kb断片を含むクローンを単離した。こ
のクローン、pZAP13は、図2(b)に示されたサザンブロットを再調査す
るために使用した(図3(a))。このプローブにより、野生型雛由来のDNA
を含む、全てのニワトリのゲノムDNA試料中から一連のEcoRI制限断片が
同定された(図3(a),レーン9)。「マリーナ」ハイブリダイジング断片も
かすかに検出可能である。このクローンも、挿入された「マリーナ」因子が完全
なときはその両端をおおう配列をプライムするように設計された「マリーナ」の
両端の内部のプライマーを用いて、DNA配列決定により分析した。生成した配
列(図3(b))は「マリーナ」因子の両端の配列に完全に対応するが、pMo
s1中のこの因子に隣接するドロソフィラ・ゲノムDNAとは異なる配列が両側
に隣接する。ニワトリのDNA中に存在するこの因子にはTAジヌクレオチド反
復が隣接し、この配列は「マリーナ」トランスポザーゼにより媒介される転移に
よって特徴的に形成される。これらの結果は「マリーナ」がpMos1からの転
移によってニワトリの染色体DNA中に組み込まれたことを示す。
【0059】実施例6:トランスポザーゼ機能の起源 接合体注入実験においてpMos1プラスミドにトランスポザーゼタンパク質
の付加が転移にとって必要であるという証拠は存在しなかった(図1(b)及び
表1)。トランスポザーゼ活性は、Mos1トランスポザーゼ遺伝子の発現又は
ニワトリ接合体中に存在する内因性活性によるものであったであろう。これらの
可能性の間を区別するため、「マリーナ」トランスポザーゼ遺伝子がトランスポ
ザーゼのコード領域内にテトラサイクリン耐性遺伝子(TetR )を挿入するこ
とにより不活性化された構築物(pMos1Tet)を用いて、一連の注入実験
を行った。トランスポザーゼタンパク質は、再び、接合体注入の約半数に取り込
まれた。胚及びニワトリからのDNA試料をPCRによりTetR 遺伝子及びプ
ラスミドベクターの存在について分析し、そしてそれらのコピー数を評価した。
プラスミドのみを注入した29の胚及びプラスミド+外因性トランスポザーゼを
注入した34の胚を分析し、その結果を図4にグラフ的に示してある。0.05
ゲノム当量より上のレベルでTetR 配列を含む胚の割合(トランスポザーゼな
しの胚の17%そしてトランスポザーゼ添加の胚の24%)は、完全な「マリー
ナ」の導入の後に検出されたもの(トランスポザーゼなしの胚の66%そしてト
ランスポザーゼありの胚の78%)よりもはるかに低い。「マリーナ」配列を含
む胚DNA試料はすべて検出可能な量のプラスミドベクターをも含んでいた(デ
ータは示していない)。一つのレベルで構築物を含む胚の少数は完全なプラスミ
ドの無差別組み込みの結果であったであろう。再び、外因性トランスポザーゼの
機能についての証拠はなかった。これらの結果から、pMos1からニワトリゲ
ノムDNA中への「マリーナ」因子の転移をもたらすトランスポザーゼ活性は、
この構築物による機能性トランスポザーゼの発現から誘導されたものであること
が示唆される。この結果は外因性トランスポザーゼタンパク質が機能的であった
という可能性を決して排除するものではない。しかしこの結果はpMos1から
「マリーナ」の転移にとってそれは必要でなかったことを強く示している。
【0060】実施例7:組み込まれた「マリーナ」因子の生殖系列安定性 それぞれが異なる染色体部位に組み込まれた1コピーの「マリーナ」を持って
いる2羽のG1 鳥、おんどり3および7(図2(a)、レーン4及び5)は、G 2 世代への生殖系列伝達の後のこの因子の安定性を分析するために選択した。こ
れらをそれぞれ家畜めんどりと交配し、その結果生じた胚からDNAを抽出し、
そしてトランスジェニック胚を同定するためPCRによりスクリーニングした。
おんどり3及びおんどり4からの非−トランスジェニック子孫に対するトランス
ジェニック子孫の比(65:59及び64:57)は、予想されたメンデル比で
ある1:1と有意に異なることはなかった。トランスジェニック胚からのゲノム
DNAをBamHI及びHindIII で消化し、そして「マリーナ」−ハイブリ
ダイジング断片のパターンをトランスジェニック親中に存在する1本のバンドと
比較した。両おんどりからのトランスジェニック子孫はすべて親おんどり中に存
在する制限断片と共−移動する1本の「マリーナ」バンドを持っていた(データ
は示していない)。不安定性の低いレベルは検出されなかったであろうが、転移
後の「マリーナ」の不安定性の証拠はない。
【0061】実施例8:マウスにおける「マリーナ」転移のテスト 完全なプラスミド構築物(pMos1)をマウスの受精卵の前核または細胞質
に約1.5ng/μlの濃度で注入する。使用する方法はホワイトローら(Bioc
hemical J. 286 31-39 (1992))に記述されているとおりであり、そしてブリンス
ターら(Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 82 4438-4442 (1985)) に基づいている。
一部の実験では組換え体由来の、精製された「マリーナ」トランスポザーゼタン
パク質又はmRNAが含まれる。マウス胚を代理母に転移させそして新たに生ま
れたマウスを「マリーナ」に関する何等かのトランスジェニックを検出するため
スクリーニングする。トランスジェニックマウスはすべてさらに分析して、「マ
リーナ」因子がトランスポザーゼにより触媒された転移の結果としてマウス中に
存在するのかそれとも全プラスミド構築物の無差別組み込みの結果なのかを決定
する。
【0062】討論 本研究はドロソフィラ・マウリティアーナの転移因子「マリーナ」がニワトリ
接合体中への微量注入によるその導入後にニワトリゲノム中へ転移することがで
きることを示している。「マリーナ」−含有プラスミドの運命を、ニワトリ胚へ
の注入後、接合体状態でそして少なくとも12日の胚の発育時において分析した
。従来の結果とは対照的に、同一の手順に従って、しかし様々な遺伝子構築物を
用いて、「マリーナ」が20%を越える胚において細胞当たり1コピー当量のレ
ベルで存在したことを見出した。「マリーナ」因子を保持したこのプラスミドベ
クターはこれらの胚のほとんど80%において検出可能な程には存在しなかった
。これらの結果から、「マリーナ」因子は最初のプラスミドから転移し、そして
ニワトリのゲノム中に組み込まれることが示唆された。この解釈は、性的成熟ま
で生存しそしてその子孫のほぼ30%に「マリーナ」のコピーを伝達した「マリ
ーナ」に対するトランスジェニックおんどりの分析により確認された。個々のG 1 鳥の分析から、「マリーナ」の全部で6種の異なる挿入が異なる個体で存在す
ることが示された。さらに、G1 トランスジェニック鳥から「マリーナ」の1コ
ピーを単離したことから、完全な因子がニワトリのゲノムDNA中に転移しそし
てこの転移事象が挿入部位において予想されたTA反復を形成したことが確認さ
れた(ブライアンら Genetics 125 103-114 (1990)) 。G2 世代への生殖系列伝
達後では、「マリーナ」の組み込まれたコピーの安定性に関する証拠は得られな
かった。
【0063】 この分析により示されたニワトリゲノム中への「マリーナ」転移の頻度は高い
(20%を越える)。しかしこれは付加的トランスジェニック鳥の形成により確
認されねばならない。同一「マリーナ」因子のドロソフィラ・メラノガスターへ
の導入により得られた生殖系列の形質転換の頻度は4%と31%の間で変動し(
ガルザら Genetics 128 303-310 (1991)) 、類似の値である。G0 おんどりから
遺伝的に承継したG1 鳥の割合はほぼ30%であり、線状の遺伝子構築物の導入
後に得られた場合よりも10倍高い伝達頻度であった(ラブら Bio/Technology 12 60-63 (1994))。G1 鳥の分析から、「マリーナ」の多重挿入があったことが
示された。導入されたプラスミドから幾つかの独立の転移事象が起こったか、又
は「マリーナ」の1コピーがニワトリのゲノムに転移しそしてこれが2回目の転
移事象を受けたのかという二つの可能な説明のうちのいずれかの間を区別するこ
とは未だできない。「マリーナ」の二つのコピーがG2 世代へ安定に伝達された
という事実は、ニワトリのゲノム中に一旦組み込まれれば、「マリーナ」因子は
安定である。「マリーナ」は、ディー.メラノガスターのゲノム中に転移した後
にも安定であり、推定された除去割合は0.1%未満であった(ローエら Genet
ics 140 183-192 (1995)) 。
【0064】 精製したトランスポザーゼタンパク質を微小注入の半分にpMos1DNAと
共に含めたが、PCR分析により、転移の頻度がこの酵素の添加により増加しな
かったことが示唆された。トランスポザーゼ遺伝子がTetR の挿入により不活
性化されたときは、転移は検出されなかった。従って、観察された「マリーナ」
転移事象はpMos1中のトランスポザーゼ遺伝子の発現により触媒されたもの
と結論される。これまで、ニワトリ接合体に注入されたプラスミドDNAは胚の
発育の最初の24時間の間にほぼ20倍複製されること(サング,エイチ.エム
.及びペリー,エム.エム.Mol. Reprod. Dev. 1 98-106 (1989))そしてレポー
ター遺伝子構築物は注入の9時間以内に検出され得ること(ペりーら Roux's Ar
ch. Dev. Biol. 200 312-319 (1991))が示されてきた。従って、トランスポザー
ゼ遺伝子の複製のための鋳型として働くことができる発育の初期の段階の間に細
胞当たりpMos1の高いコピー数が存在するであろうと予想される。たとえ転
写及び翻訳の効率が悪いとしても、転移を触媒するのに十分なトランスポザーゼ
が合成されうる。一旦「マリーナ」因子が組み込まれると、それらが完全なトラ
ンスポザーゼ遺伝子を保持するとしても、明らかに安定である。一旦この因子が
ニワトリの染色体中に組み込まれると、トランスポザーゼ遺伝子の発現は極めて
効率が悪く、細胞当たりのコピー数は少数に過ぎなくなるであろう。
【0065】 これらの結果及びミノカサゴ(zebrafish)における「マリーナ」の転移に関す
る最近記述された証拠(ファデゥールら Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 95 5182
-5186 (1998)) は脊椎動物の遺伝子転移(transgenesis) 用のベクターとしての
「マリーナ」の開発を支持する有力な証拠である。遺伝子転移のために「マリー
ナ」由来のベクターを使用することは、幾つかの潜在的長所、特に家禽の遺伝子
転移のための操作にとっての長所を持っている。組み込みの頻度は現在可能なレ
ベルを越えて増加させうる。多重組み込み事象が一つのG0 トランスジェニック
鳥の生殖系列に存在するという観察から、一つの創始鳥 (founder birds)から増
殖させることにより、ゲノムの異なる部位に挿入を有する幾つかのトランスジェ
ニック系列を確立しうることが示唆される。1コピー転移遺伝子の発現が多重コ
ピー配列で組み込まれた転移遺伝子よりも発現の低レベル制御を受け難いという
証拠が蓄積しつつある(ガリックら Nature Genetics 18 56-59 (1998)) 。
【0066】 「マリーナ」ベクターが1コピーとして転移遺伝子を組み込むという事実は、
転移遺伝子の発現レベルをより一層予想可能とする結果を生ずるというさらなる
長所を持つことになる。転移遺伝子を保持する「マリーナ」ベクターに「トラン
ス位に」トランスポザーゼ活性を与える方法を研究することが計画できる。転移
遺伝子を組み込むように改変された「マリーナ」因子の転移の頻度そして「マリ
ーナ」ベクターが保持することができる転移遺伝子のサイズが確立されねばなら
ない。転移遺伝子発現の分析により、1コピーとして「マリーナ」ベクターに導
入された転移遺伝子の発現が多重コピー配列における転移遺伝子の発現よりもよ
り予想可能であるかどうかが確立されるであろう。「マリーナ」は「マリーナ」
−様因子のスーパーファミリーの中で遺伝子転移のためのベクターとしての開発
のための潜在能力を有する唯一のものである(ドーソン,エイ.及びフィネガン
,ディー.ジェイ.Nature Bio. 16 20-21 (1998) 、ラズら Current Biol. 8 8
2-88 (1998))。将来の発展は、特定の因子が他のものよりもベクターとしてより
一層有効であるかどうか、又は特定の因子が別のものよりも一つの適用に関して
より有用であるかどうかを明らかにするであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は「マリーナ」−含有プラスミドpMos1の注入後少なくとも12日間
生存した胚及び雛から抽出されたDNAのPCR分析を示す。図1(a)は、P
CRによって同定された配列及びユニークな制限部位を示すpMos1の線図を
示す。図1(b)は表1に示した結果のグラフ表示である。先の一連の実験で注
入された(n=186)リゾチーム遺伝子構築物のゲノム等量当たりの推定コピ
ー数が「マリーナ」配列の推定コピー数と比較される。組換え体由来のトランス
ポザーゼタンパク質を付加してpMos1を注射した場合と付加しないで注射し
た場合の結果を比較する。
【図2】 図2は「マリーナ」プローブとハイブリッド形成した個々のG1 トランスジェ
ニックー雛から単離されたゲノムDNAのサザンブロット分析を示す。図2(a
)は、それぞれが「マリーナ」とハイブリッドを形成する断片の新規なパターン
を持つ個々の雛(レーン1〜7)及び親のG0 おんどり(レーン8)のBamH
I/HindIII 消化物を示す。非トランスジェニックー雛のDNAの対照消化
物はレーン9に流した。図2(b)は図2(a)の場合と同じ鳥から得た試料の
EcoRI消化物を示す。レーン2で矢印をしたバンドはpZAP13にクロー
ニングしたEcoRI断片である(図3を参照)。
【図3】 図3は1個の組み込まれた「マリーナ」因子の特性決定を示す。図3(a)は
BamHIとHindIII で消化したG1 雛それぞれ由来のゲノムDNAのサザ
ンブロット(図2(a)からのもの)を細長く裁断しそしてpZAP13からの
EcoRI挿入物で再調査した結果を示す。ある範囲の制限断片とのハイブリッ
ド形成を、負の対照(レーン9)を含め、試料のすべてで観察することができる
。図3(b)はpMos1とpZAP13中の「マリーナ」因子の左端と右端を
またぐ配列の比較を示す。
【図4】 図4は、pMos1Tetの導入後少なくとも12日のインキュベーションの
間生存した胚及び雛からのDNA中にTetR 遺伝子が存在するか否かのための
PCR分析を示す。TetR 遺伝子のコピー数は「材料及び方法」で記述したよ
うに推定し、そしてトランスポザーゼタンパク質の共−注入の結果はプラスミド
単独注入の結果と比較した。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年2月21日(2000.2.21)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】 前記鳥類が家禽である、例えばガルス・ドメスティクスであ
る、請求項1記載の方法。
【請求項】 前記非−ヒト哺乳動物が有蹄類である、請求項1記載の方法
【請求項】 前記有蹄類が雌牛もしくは雄牛、ヒツジ、ヤギ、水牛、ラク
ダ又はブタである、請求項3記載の方法。
請求項5】 前記非−ヒト哺乳動物がげっ歯動物である、請求項1記載の 方法。
請求項6】 前記げっ歯動物がラット又はマウスである、請求項5記載の 方法。
請求項7】 前記非−ヒト哺乳動物がウサギである、請求項1記載の方法
【請求項】 前記「マリーナ」−様因子がドロソフィラ・マウリティアー
ナ由来の転移因子「マリーナ」である、請求項1〜請求項7いずれか1項に記載
の方法。
【請求項】 転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子がコンストラクト中
の細胞内に導入されるものである、請求項1〜請求項8いずれか1項に記載の方
法。
【請求項10】 「マリーナ」−様因子(MLE)の導入が細胞質中への又
は接合体の前核もしくは鳥類又は非−ヒト哺乳動物胚細胞の核中へのMLEの注
入により達成されるものであり、又はMLEの導入が電気穿孔法により又はリポ ソームを用いることにより達成されるものである 、先行する請求項のいずれか1
項に記載の方法。
【請求項11】 転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子(MLE)を成
細胞内に導入する工程を含み、外因性トランスポザーゼタンパク質又はトランス
ポザーゼをコードするDNAの共−導入を任意選択可能に含んで成る鳥類又は非 −ヒト哺乳動物の トランスジェニック胚を調製する方法。
【請求項12】 転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子(MLE)を胎
細胞内に導入する工程を含み、外因性トランスポザーゼタンパク質又はトランス
ポザーゼをコードするDNAの共−導入する工程を任意選択可能に含んで成る 類又は非−ヒト哺乳動物の トランスジェニック胚を調製する方法。
【請求項13】 結果として得られる鳥類又は非−ヒト哺乳動物胚が、(i
)転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子を導入しそれを染色体中に挿入した後
その細胞の核を取得する工程、及び(ii)続いて除核された卵母細胞中にその核を
導入し、この細胞を発育させる工程により調製されるものである、先行する請求
項いずれか1項に記載の方法。
【請求項14】 (a)先行する請求項のいずれか1項に記載の胚を調製す
る 工程、 (b)該胚から分娩まで鳥類又は非−ヒト哺乳動物を発育
さ せる工程、そして、任意選択可能に (c)工程(b)でこうして形成された鳥類又は非−ヒト 乳動物から増殖させる工程、 を含んで成る鳥類又は非−ヒト哺乳動物を調製する方法。
【請求項15】 前記胚の完全発育の前に該胚がさらに操作されるものであ
る、請求項14記載の方法。
【請求項16請求項14又は請求項15記載の方法により調製されるト
ランスジェニック鳥類又は非−ヒト哺乳動物
請求項17】 転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子(MLE)を鳥類 又は哺乳動物細胞内に導入する工程を含み、外因性トランスポザーゼタンパク質 又はトランスポザーゼを封入する(enclosing)DNAもしくはRNA配列の共− 導入を任意選択可能に含んで成る鳥類又は哺乳類のトランスジェニック細胞を調 製する方法。
請求項18】 遺伝子の不存在又は遺伝子の突然変異により惹起される病
的状態の治療に使用するための「マリーナ」−様因子
請求項19】 遺伝子の不存在又は遺伝子の突然変異により惹起される疾
病の予防又は治療のための薬剤の調製における「マリーナ」−様因子の使用。
【請求項20】 遺伝子の不存在又は遺伝子の突然変異により惹起される病
的状態の治療方法であって、転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子を鳥類又は 哺乳動物細胞中に導入する工程を含み、トランスポザーゼタンパク質又はトラン
スポザーゼをコードするDNAを導入する工程を任意選択可能に含んで成る方法
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA10 AA11 AA20 BA07 BA10 BA80 CA02 CA12 DA02 DA06 EA04 GA12 GA13 GA14 GA30

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物胚細胞中に、転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子(
    MLE)を導入する工程を含み、外因性のトランスポザーゼタンパク質又はトラ
    ンスポザーゼをコードするDNA又はRNAの配列を導入する工程を任意選択可
    能に含んで成るトランスジェニック動物胚を調製する方法。
  2. 【請求項2】 前記動物が鳥類である、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記動物が家禽、例えばガルス・ドメスティクスである、請
    求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記動物が有蹄類である、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記動物が雌牛又は雄牛、ヒツジ、ヤギ、水牛、ラクダ又は
    ブタである、請求項3記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記「マリーナ」−様因子がドロソフィラ・マウリティアー
    ナ由来の転移因子「マリーナ」である、請求項1〜請求項5いずれか1項に記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 転移遺伝子を含む前記「マリーナ」−様因子がコンストラク
    ト中の細胞内へ導入されるものである、請求項1〜請求項6いずれか1項に記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 前記「マリーナ」−様因子(MLE)の導入が細胞質中への
    又は接合体の前核もしくは動物胚細胞の核中への電気穿孔又はリポソームを用い
    るMLEの注入によるものである、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法
  9. 【請求項9】 転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子(MLE)を動物の
    成熟細胞中へ導入する工程を含み、外因性トランスポザーゼタンパク質又はトラ
    ンスポザーゼをコードするDNAもしくはRNA配列の共−導入を任意選択可能
    に含んで成るトランスジェニック動物胚を調製する方法。
  10. 【請求項10】 転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子(MLE)を動物
    の胎児細胞中へ導入する工程を含み、外因性トランスポザーゼタンパク質又はト
    ランスポザーゼをコードするDNAもしくはRNA配列の共−導入する工程を任
    意選択可能に含んで成るトランスジェニック動物胚を調製する方法。
  11. 【請求項11】 結果として得られる動物胚が、(i)転移遺伝子を含む「
    マリーナ」−様因子(MLE)の導入しそれを染色体中に挿入した後その細胞の
    核を取得する工程、及び(ii)その後にその核を除核された卵母細胞中に導入し、
    この細胞を動物胚に発育させる工程により調製されるものである、先行する請求
    項のいずれか1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 (a)先行する請求項のいずれか1項に記載の胚を調製す
    る 工程、 (b)該胚から分娩まで動物を発育させる工程、そして (c)こうして形成された動物から任意選択可能に増殖さ
    せ る工程、 を含んで成る動物を調製する方法。
  13. 【請求項13】 該動物胚が胚の完全発育の前にさらに操作されるものであ
    る、請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 請求項12又は請求項13記載の方法により調製されるト
    ランスジェニック動物。
  15. 【請求項15】 遺伝子の不存在又は遺伝子の突然変異により惹起される病
    的状態の治療における「マリーナ」−様因子の使用。
  16. 【請求項16】 遺伝子の不存在又は遺伝子の突然変異により惹起される疾
    病の予防又は治療用の薬剤の調製における「マリーナ」−様因子の使用。
  17. 【請求項17】 遺伝子の不存在又は遺伝子の突然変異により惹起される病
    的状態の治療方法であって、転移遺伝子を含む「マリーナ」−様因子を動物細胞
    中に導入する工程を含み、トランスポザーゼタンパク質又はトランスポザーゼを
    コードするDNAもしくはRNA配列を導入する工程を任意選択可能に含んで成
    る方法。
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