JP2004514129A - レーザ走査顕微鏡を用い、材料によって放射、反射及び透過された光の偏光特性を測定する方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
レーザ光源(1)と試験中の材料(5)との間に偏光状態生成器(2)を、また、材料によってその偏光状態が変化する光の強度又は材料によって照射された光の強度を検出するため光ビーム中に備え、この改良によって、空間及び時間的に偏光素子を分割するための手段(8)を光ディテクタの前で用いることができる。
Description
本発明は、レーザ走査顕微鏡を用い、材料によって、放射、反射及び透過された光の偏光特性を測定する方法及び装置に関する。
【0002】
レーザ走査顕微鏡(LSM)を用いて、材料の選択されたポイント(明確に定義されたボリュームユニット)は焦点を合わせたレーザビームによって照射され、レーザビームの反応から、透過、反射、または、放射された光の強度に関する情報が得られ、その情報は、一般にデジタル形式に記憶される。あらかじめ決められた幅及び長さのフィールドを走査する間のレーザ走査顕微鏡の信号は、詳細な分析高解像度のピクチャを得るのに用いられる。画質は共焦点モードでLSMを使うことによってさらに向上する。それによって実質的に焦点以外の点から拡散している光の妨害的な影響を除外する。大部分の市販のレーザ走査顕微鏡(例えばツァイス410又は510において)において、共焦点モードは基本的な特徴である、しかし、それが反射、または放射された光(蛍光)にのみ使われる。LSMの共焦点モードは、試料の非破壊光学スライス及び三次元「画像」の再構築に備える。非常に改善された画質は、厳しく試験された領域に限られる二つ以上のフォトン・レーザ励起法方法を使用することによって得られる、そして、それによって、背景照射(強度)の妨害的な影響は、実際に完全に除去されてもよい。(A. Diaspro and M.Robello:Multi−Photon Excitation Microscopy to study Biosystems, European Microscopy and Analysis, March 1999)
レーザ走査顕微鏡は、従来の顕微鏡及び方法と比較して高品質及び高解像度である試料の構造の情報を提供する。それにもかかわらず、これらの方法は、異方性及び偏光分光法だけで調べられる試料の多くの他の物理的相互作用に関する情報を提供しない。
【0003】
偏光の使用は、異方性の構造(例えば遷移双極子の空間配置、互いの物理的相互作用及び微小環境)に関する情報を含んでいる試料の画像を提供する。材料の異方性特性は、一般に異方性的方法において材料によって放射、反射及び透過された光の偏光特性に影響する。したがって、放射、反射及び透過された光の偏光特性の検査は、光学的異方性、更には試験された材料の分子の順序に関する結論を可能にする。偏光(LD:直線ダイクロイズム CD:円ダイクロイズム)で実行される測定は、T.C. Oakberg によって Application note, Stokes Polarimetry, Hinds Instruments Inc., 1991 news. において記述される。また、同様の方法が、複屈折を測ることに使われる。ルミネセンス発光の直線偏光は出射双極子の異方性に関する重要な情報を提供するため、この特性である異方性値(r)が、他の技術によって得られない材料の構造に関する重要な情報に提供する。放射(放出光)の内容である円偏光光(CPL)は励磁されるときの材料のカイラルな構造に関する重要な情報を提供する。この情報は他のどの方法からも得られない。さらに重要な情報は、双極子の間でエネルギー移動、分子を囲むミクロ粘性、励起の寿命及び他の重要なパラメータに関して結論をだすことができる蛍光の偏光度(P)である。定義、測定、そして、P、r及びCPLは、J.R. Lakoviczによって彼の本、「蛍光分光学の原理」(”Principles of Fluorescence Spectroscopy”)、そして、I.Z. Steinberg によって酵素学の方法(Methods in Enzymology) に発表された彼のレポートに詳細に述べられている。
【0004】
Kimほかによって生物物理学ジャーナル(Biophysical Journal) で発表されるレポートにおいて、詳細に述べられているように、差分偏光画像が画像を作る間、二つの異なる画像は直交偏光光を用いる試料から生じ、その差が標準化された強度は、材料または試料の異方性構造に関する情報を提供する。CD、LD及び透過された光の他の差分偏光値は、他の技術では不可能な材料の異方性構造に関する重要な情報を提供する。
【0005】
蛍光(放出光)の偏光特性は、直線偏光の直交コンポーネントの透過のための二つの角のある位置の間で偏光フィルタを回転させて、LSMの光ディテクタの前で偏光コンポーネント(例えば、偏光フィルタ)を置くこと、及び原則として、偏光フィルタの両方の位置で続いて二つのピクチャを撮ることによって測定される。この方法がツァイスLSM410のアクセサリーで、実行されてもよいけれども、時間内の蛍光の強度の変化のため、それは満足な結果を、特に生物学的試料において、提供しない。更なる問題は、レーザ光の強度の変化である。試料又はステージの振動及び動きは、また、重要な歪みにつながることもある。
【0006】
アメリカ合衆国特許出願第5,457,536号は、ツァイスLSMに、多目的レーザ走査顕微鏡によって、試料を通して透過された光の2色性及び複屈折をポイントごとに測定することができるようにする改良を提案している。試料に透過されるレーザビームは、レーザ光源と試料との間に挿入された偏光状態発生器において変調される。試料を通して透過された光を測定するために、オブジェクトプレーンの反対側に偏光検光子が設置される。偏光検光子の出力は光ディテクタに接続されており、光ディテクタは出力を復調器に供給して復調器に接続されている。この構成の1つの欠点は、大部分のLSMにおいて、共焦点モードが、伝送モードにおいてのみ実行されることができるLD、CD及び複屈折測定の間は利用できないということである。この方法では、放射された、あるいは反射された光の偏光コンテンツの測定をすることができず、したがって、放射(放射光)の直線又は円偏光(r,CPL)における異方性の測定をすることができない。これは、共焦点蛍光顕微鏡検査法が広く用いられている生物学的試料の研究における主要な欠点である。大部分の生物学的アプリケーションにおいて、異なる成分の空間的配置に関する重要な情報は、いくつかの発色団の発散を辿ることによって得られる。この情報の各項目は、上述の従来の技術によって分析することができない異なる偏光情報を提供する。多くのLSMにおいて、レーザ光の光ファイバ結合のため、レーザ光を調整することは不可能あるいは非常に難しい。また、光の偏光コンテンツを詳細に特徴づけることができず、したがって、ミュラー行列の要素に割り当てられる重要なパラメータの一部を特定することができないのは不利である。
【0007】
したがって、本発明の1つの目的は、レーザ走査顕微鏡検査法及び偏光分析法の長所を兼ね備え、その長所を兼ね備えることによって、1つの装置でパラメータを測定数を増加し、あるいは、1つの装置で異なる構成をし、特に、実質的に同時に1つ又は複数の波長で共焦点において測定された発散蛍光のパラメータに関する、または、放射、透過又は反射された光の偏光コンテンツの可能な限りの最も完全な分析に関する、方法と装置を提供するものである。
【0008】
本発明の更なる目的は、測定時の光学装置の波長依存及び偏光歪により生じるエラーを除去又は補正することである。
【0009】
これらの目的は、既知の偏光状態のレーザビームによってポイント毎に光を当てられたテスト材料で、レーザ走査顕微鏡を使用して、材料によって放射、反射又は透過された光の偏光特性を測定する方法によって達成される。本発明にかかる方法において、材料によって変更された偏光状態の光ビーム、又は、材料によって放射された光は、本質的に同時に上述の材料の各ポイントから得られる選択された光ビームの2つの異なる偏光成分の強度を測定して試験され、2つの強度信号を、上述の材料の画像の各ポイントに処理することによって得られる信号を割り当てる。
【0010】
本発明の1つの特徴によると、上述の2つの偏光成分の強度信号の差は、上述の信号処理の間生成され、その差は、値1、I1+I2,I1+2I2又はミュラー行列の要素によって割り当てられる、あるいは測定又は算定によって決定される他の値により実行される測定に基づいて分割される。
【0011】
本発明の他の特徴によると、光ビームは、偏光状態又は光強度の所定の割合に基づいて、2つの異なるビームに分割され、そして、分割された各光ビームのうち、偏光成分のうちの1つの強度のみが測定される。
【0012】
本発明の更なる特徴によると、材料から受光される光ビームの偏光成分間の位相は、2点間で所定の周波数及び形状を有する関数に基づいて周期的に変化し、偏光成分は同じ分析器で測定される。
【0013】
材料から受光される光ビームの偏光成分間の位相は、好ましくはサイン関数に基づく両端間で変化する。
【0014】
また、偏光特性の波長依存は、本発明にかかる方法によって決定され、材料から受光される光ビームの偏光成分間で位相を変化させる過程に続いて、選択された波長によって光ビームを分割し、同時に、分割された各光ビームにおいて測定を実行する過程がある。測定値のエラーは、必要に応じて補正されてもよい。
【0015】
本発明の他の特徴によると、光を当てる光ビームの偏光成分間の位相は、2点間で所定の周波数及び形状を有する関数(望ましくはサイン関数)に基づいて周期的に変化し、FDLC及びFDCD値は、所定の周波数(2fとf)及び位相で、材料によって放射される光の強度を測ることによって周期的に測定される。
【0016】
共焦点モードにおける測定には、試料に照射されたレーザ光の焦点から受け取られる光の成分を選択し、焦点以外の点から受け取られる光の成分を除外するステップも含まれる。これにより、試料を光学的にスライスすることができる。
【0017】
本発明の更なる側面によれば、空間的及び/又は時間的な輝度集中を可能にするレーザ光が、試料を照射することに、また試料の分子において2つ以上のフォトン励起をほぼ同時に引き起こすことに用いられる。この方法は、必然的に共焦点測定の長所を有する。個々の画素の非常に短い照射時間を利用して、試料が走査されてもよく、またレーザ光の悪影響を受けることなく、より長い時間測定されてもよい。
【0018】
本発明による方法は、顕微鏡の光ビームのうちの少なくとも1つにおいて、ストークスパラメータ(I,Q,U,V)を決定する容易な方法を備える。
【0019】
本発明は、また、4つのステップ(減偏光、0度(又は90度)の直線偏光、+45度(又は−45度)の直線偏光、円偏光)において、照射するレーザ光の偏光状態を変化させることにより、顕微鏡の透過する又は反射するレーザビームにおけるミュラー行列の要素を決定し、一方で上記4つの状態のそれぞれにおいてストークスパラメータ(I,Q,U,V)を決定することのできる方法を備える。
【0020】
本発明の目的は、レーザ光源と試料物質との間の偏光状態生成器と、物質や物質から放射される光の強度によって変えられる偏光状態により光の強度を決定する光ビームを検出する光ディテクタとを備えたレーザ走査顕微鏡を用いることにより、物質から放射され、反射され、又は透過させられる光の偏光特性を決定する装置によって達成される。本発明では、異なる偏光成分を空間的又は時間的に分割する手段が、光ディテクタの前で用いられる。
【0021】
本発明による装置は、偏光成分をその偏光状態に応じて、又はあらかじめ決められたパーセントの強度に応じて空間的に分割するための、物質から受け取られる光ビームにおける光学コンポーネントを備えていてもよく、その分割は、偏光成分の偏光状態に応じて分割される光ビームを検出する光ディテクタによって、又は光ディテクタと上記光ディテクタの前にあってあらかじめ決定されたパーセントの強度に応じて分割される光ビームにおける偏光成分の1つを選択的に透過させる分析器によって行われる。
【0022】
本発明の好ましい実施例においては、時間内に偏光成分を分割するための、物質から受け取られる光ビームに光電変調器(PEM、カーセル、又はそれに類するもの)が備えられ、受動偏光検光子が光ディテクタの前に備えられる。
【0023】
偏光パラメータの波長依存度を決定するために、本発明による装置は、受動偏光検光子と光ディテクタとの間に、少なくとも1つの波長選択ビームスプリッタを備えていてもよく、上記波長選択ビームスプリッタによって分割される光ビームに、更なる光ディテクタが備えられてもよい。
【0024】
ストークスパラメータを決定するために、本発明による装置は、上記光電変調器と受動偏光検光子との間に2つ目の光電変調器(PEM)を備えていてもよく、その第2の光電変調器(PEM)は、第1の光電変調器(PEM)の光軸に対して45°回転された光軸を有していてもよい。
【0025】
ミュラー行列の要素を決定するために、本発明による装置は、減偏光器、直線偏光器又は円偏光器、光学位相リターダやそれらのいかなる組み合わせをも有する偏光状態生成器を備えていてもよい。
【0026】
蛍光検知直線ダイクロイズムの値と蛍光検知円ダイクロイズムの値を測定するために、本発明による装置は、受動偏光光学コンポーネントと光電変調器(PEM)を有する偏光状態生成器を備えていてもよい。
【0027】
SN比を改善するために、本発明による装置は、2つの受動直線偏光器の間に位置する光電偏光器(PEM)を有する偏光状態生成器を備えていてもよく、その2つの受動直線偏光器は、互いに平行又は垂直な偏光面と上記受動直線偏光器に対して45°に置かれた光電変調器の光軸とを有していてもよい。さらに、本発明による装置は、第2の直線偏光器の後ろに無偏光子を備えていてもよい。
【0028】
測定された信号を変換し処理するために、また測定中に起きたエラーの埋め合わせをするために、本発明による装置は、光ディテクタの出力部に接続された信号処理部を備えていてもよい。信号処理部は、少なくとも1つの埋込型増幅器と、ローパスフィルタ、アナログ/デジタル変換器とを有している。デジタル信号処理の場合、及び結像部がアナログ入力部を有する場合は、信号処理部にデジタル/アナログ変換器が必要となる。
【0029】
本発明は添付の図面によって、より詳細に説明される。
【0030】
図1は、2つのチャンネルを有する装置の構成を示し、目的テーブル6上の試料5は、偏光状態設定部2を通ったレーザ光源1のレーザ光により照射される。反射された光又は蛍光は、ビームスプリッタ4(例えば半透明ミラー)によって偏向される。このように、2つの光ビームは、第2のビームスプリッタ8によって生成される。両方のビームにおいて、光ディテクタ16及び17は、信号処理部18に入力される光の強度に比例した出力信号を生成する。チャンネルcsl及びcs2の各々において、1つの偏光成分の強度だけが測定される。半透明ミラーは、第2のビームスプリッタ8として用いられる。この場合、入るビームは、所定の比率の強度に分離される。分離されたビームの1つにおいて、更なるミラー9は、選択されたビームを偏向させるように配置される。分離された(偏向された)ビームの両方は、全ての偏光成分を含み、したがって、測定される偏光成分は、光ディテクタ16及び17の正面に位置する受動偏光検光子12及び13によって選択されなければならない。第2のビームスプリッタ8のように、偏光ビームスプリッタ(例えば、ウォラストンプリズムなど)もまた、第1の分離されたビームにおいては、第1の偏光成分だけを透過させ、第2の分離されたビームにおいては、第2の偏光成分だけを透過させるのに用いられる。偏光ビームスプリッタは、Melles Griot又はOrielから商業上、入手可能である。特別な偏光ビームスプリッタもまた、OZ Opticsから入手可能である。更なるミラー9は、チャンネルcs1のビームを光ディテクタ16へ偏向させる必要に応じて、偏向されるビームの中に配置される。第2のビームスプリッタ8を用いるとき、受動偏光検光子12及び13は必要でない。チャンネルcs1及びcs2の光ビームにおいて、そして、光ディテクタ16及び17の正面において、カラーフィルタ14及び15もまた、不用な光強度を受光しないように用いられる。チャンネルcs1及びcs2の光ビームに配置された絞り10及び11は、共焦点画像化に必要である。共焦点モードにおける測定はまた、試料上のレーザ光の共焦点から受光する光成分を選択し、共焦点以外の点から受光するレーザ光を排除する工程を含む。これにより、試料の光学スライスが可能になる。望ましくはビームスプリッティングの前に、試料5から受光する光ビームにおいて、位相リターダ(1/4波長板)は、直線偏光ビームスプリッタ又は分析器だけが用いられるとしても、円偏光成分の選択ができるように用いられる。図1の配置は、レーザ走査顕微鏡によって1画素ごとに照射された試料から、同時に受光する2つの異なる偏光成分の強度を測定することを可能とする1つの実施例である。強度値と比例したアナログ信号は、必要な変換、計算及び訂正が行われる信号処理部18に入力される。実質的に互いに直交している2つの偏光成分I及びIに基づいて、出力信号は、以下の式うちの1つ又はミュラー行列の要素を決定するのに用いられる式の1つにより、計算される。
(1) I = I−I
(2) I = (I−I)/(I+I)
(3) I = (I−I)/(I+2I)
式(3)は、円筒形の対称において、放射双極子の異方性の測定が調整された場合に使われる。本発明による方法で測られる偏光成分は、互いに直角である。上記の式の結果として生じる値は、信号処理部18によって測定される。上記の計算のうちの一つは画素の各々(試料の照射された点)で実行され、結果は記憶装置に記憶される。
記憶された画像情報は、ビデオ信号処理装置及びソフトウェアによって表示装置(スクリーン、モニタ、その他)に表示される。
【0031】
一つの具体例として、信号処理部18の出力信号は、LSMの画像信号として入力される。図7に表されるように、もう一つの具体例としては、
LSMのレーザ光及び信号処理部18の出力信号を走査又はラスタするための同期信号は電子制御部、例えばコンピュータCOMPによって画像信号へ処理され、その画像はモニタMON上に表示される。
【0032】
図2において示される具体例は図1にみられる具体例とは異なり、レーザ光3は試料5を通り抜け、測定は透過された光において実行される。図1に見られるように、測定には同じ要素が用いられる。図2の要素は、図1と同じ要素の同じ引用符号で示される。この例における反射ミラー4’は、必ずしも半透明ミラーである必要はなく、どの光学ミラーでも使うことができる。
【0033】
本発明におけるもう一つの具体例として、試料から受け取られる光ビームを分けることなしに、つまり一つの光ビームを使う異なる偏光の測定が図3に示される。これを達成するために、時間内に偏光成分と分けるための装置を使う。このため、試料5から受け取られる光ビームの偏光成分間の位相は所定の周波数または波形とともに関数(好ましくはサイン関数)によって、周期的に変えられ、二つの終わりの位置間及び偏光成分の位相ははのちに同ディテクタ27とともに同分析器25を通して測定される。偏光成分間の位相を周期的に変えるものとして、光電変調器(PEM)、電気光学変調器(EOM)、光音響変調器。カーセル、ポッケトセル等のような偏光変調器が用いられる。図3で示される具体例において、光電変調器23が、光の強度を感じるため及びそれに比例した出力信号を供給するためにディテクタ27の前で使われる。偏光成分を一つ選択するために、受動偏光検光子25が、ディテクタ27と光電変調器23の間に用いられる。適当な光電変調器は商品名I/FS50としてHines Instrumentsから入手可能である。しかし、同じ効果のある他の種類や装置が使われてもよい。図1及び図2に既に示されている同じ方法でディテクタ27の出力は信号処理部28の入力信号に接続している。
【0034】
ディテクタ27の前でも、カラーフィルタ26が望まない背景光の強さを拒絶すること使われてもよい。絞り21は光ビームに位置し、同焦点の作像が必要になる。試料5から受け取られる光ビームは好ましくは光電変調器23より前に、たとえ直線偏光検光子だけが使われるとしても、位相リターダ22(1/4波長板)もまた円偏光された成分の選択を可能にするために使われる。
【0035】
前述の1−チャンネルの形状において、測定に使用される要素の数を半分の結果によって十分に減らすことができ、費用も実質上減らすことができる。
経済的な利点と比べて、装置の許容範囲のためにエラーを減らす同じ光学及び電気光学装置とともに、測定が同じ光ビームにおいて実行されることができることは、技術的な利益である。光電変調器23は例えば、サイン交流電圧のような所定の周波数や波形の電気信号によって制御され、その制御の結果光電変調器のサイン交流幅dになり、d = d0 + A*sin(2¶ft)である。いずれの制御電圧もない光電変調器のはじめの幅はd0である。最大限の幅はd0+Aであり最小の幅はd0−Aである。この基底状態では、光電変調器が透過した光の偏光特性に変わらない。光電変調器の最大変化幅がlambda/4(lambdaは、用いられる光の波長)であるとき、直線偏光された入射光は、光電変調器により、d0+Aの状態においては、右又は左方向の円偏光に変換され、光電変調器がd0−Aの状態においては、出力光は右又は左方向の円偏光に変換される。光電変調器の最大変化幅がlambda/2(lambdaは、用いられる光の波長)であるとき、直線偏光された入射光は、光電変調器により、d0+A及びd0−Aの状態で、偏光の偏光平面が入射光の偏光平面に対して90度で回転するよう円偏光に変換される。この場合、lambda/4の位置に近づくときには、変化の方向に従い、右又は左方向の円偏光が生じる。
【0036】
このように、制御された光電変調器23の出力で、幅A=lambda/2において最大限の変化をする制御を使用すると同じ方向による直線偏光が制御電圧の周波数fに伴って、周波数2fで繰り返して現れると述べることができる。また、幅A=lambda/4において最大限の変化をする制御を使用すると、同じ方向による円偏光は制御電圧の周波数fで、繰り返して現れる。
【0037】
光ディテクタの前の直線偏光検光子は分析器の偏光軸と平行する偏光水平面を持つ実質上一つの選択された直線偏光だけを電送する、そしてそれは、代わりに、最大限の検出回路信号の最大値になる。また他の全ての偏光構成要素は検出回路信号のより少ない値になる。分析器の偏光軸に対して直角の偏光方向による直線偏光は、最小限の検出回路信号を提供する。光電変調器23が最終的に受動偏光検光子25の偏光軸に比例して、偏光角が0度と90度の位置直線偏光を提供するために分析器25の前に配置された場合、強度の出力信号は図10Dで示すように制御電圧の周波数fに比例して、周波数2fで定期的に変わる。
【0038】
上記の信号処理は、図1に関連して説明される信号処理とは異なる。図1の装置が更なる処理のための静電気信号を提供する間、図3の構成は偏光構成要素を提供する、そして、その調整された強度は少なくとも10kHzの比較的高い周波数で、定期的に時間内の変化(望ましくは少なくとも100kHz)の値をとる。そのような状況において、測定は、正確にあらかじめ決められた位相位置において、PEMのサイン波制御電圧に同期化して、実行されなければならない。あらかじめ決められた位相位置におけるあらかじめ決められた周波数の繰り返された測定は、位相感度(ロックイン)増幅器を用いて実行することができる。例えば、あらかじめ決められた周波数においてデュアルモードで、あらかじめ決められた周波数f及び2fでの測定ができる。その位相感度(ロックイン)増幅器が、従来の差の下では、ΔI=12−Ilという値をとる差強度を提供する。少なくとも10kHzの比較的高い周波数で、望ましくは、少なくとも100kHzで働く位相感度(ロックイン)増幅器は、例えばEG&G又はJupiterといったいくつかのメーカーから入手可能である。
【0039】
図3の構成で使われる信号処理部28は、図8Aで示すような、つまり、光ディテクタの出力に接続するローパスフィルタLP及び位相感度増幅器FEと、ローパスフィルタLPの出力に接続するアナログ/デジタル変換器ADを備えた構成となるだろう。デジタル信号処理及びアナログ入力も備えた結像部の場合には、デジタル/アナログ変換器DAも必要である。ツァイスによって製造されている現在のLSMは、アナログ入力の結像部を備えている。したがって、そのデジタル/アナログ変換器Dの互換性の維持に備えている。
【0040】
大部分のLSMシステム、または、ツァイス・タイプ410のLSMは、各々の出射波長を分離し、特別な光ディテクタで、概して光電子倍率器であるが、異なる波長の構成要素を持っている試料によって放射される蛍光の強度の測定に適している。励磁は、一つの、あるいはそれ以上の周波数で、起こり得る。分離のために、ダイクロイックミラーが使用可能である。図4で示される異なる波長での測定のための構成において、試料5の照度は図1または、図1に関する記述と同様のものである。試料5から受け取られ、半透明鏡4によって屈折させられる光ビームにおいては、例えばハインズから入手可能なFS50のような光電変調器31及び受動偏光検光子32がある。異なる波長及び光学鏡34により、試料から受け取られる光を分離するために、または必要に応じて分離された光ビームを屈折するために、分析器の次には、ダイクロイックミラー、あるいは、ダイクロイックビームスプリッタ33が続く。ダイクロイックミラー又は、ビームスプリッタ33の前に配置される、例えばハインズ・タイプFS50のような光電変調器31を用いて、蛍光の全ての波長構成要素は、同時に変調され得る。偏光状態の変調深度は、波長が異なるために異なるけれども、それを算出したり、修正要因によって補整することができる。このようにして、図3に関して記された方法によって、波長をより伸ばすことが可能である。大部分のダイクロイックビームスプリッタが選択性のある偏光状態にあるという事実に関して、上記受動偏光器32は、場合によっては省略されたり、ダイクロイックミラーによって取り替えられたりしてもよい。大きい波長範囲にあり、光の偏光状態に反応しないダイクロイックビームスプリッタも市販されている。異なる選択的な波長チャネルにおいて、強度はディテクタ37で同時に検波される。そして、その検波された信号は、詳細に上述された信号処理を行うために、一般の信号処理部38へ出射される。本構成は、測定のための多様な方法、又は多重チャンネル手段を必要とする。信号処理は、本構成で、変調している周波数が全てのチャネルにおいて同一のものであるという事実により、単一化される。
【0041】
光ビームの中に置かれる絞り35は、共焦点結像のために必要となり得る。そして、カラーフィルタ36は、不要な背景光の強度を拒絶するために用いられる。
【0042】
図8Aは、図4に示す信号処理部38を示す図であり、図3を用いてさらに詳細に説明する。3チャネルからなる3倍のデータ量を処理すると、例えば、図8Aに示す信号処理装置は3個になる。あるいは、信号処理速度が十分に速いときには、3チャネルからなる検出回路37の出力を信号処理部38の入力に接続(多重化)することが可能である。
【0043】
また、発光帯域が単一の場合には、図4に示す構成によって、光ビームの異なる偏光成分を分離することもできる。このためには、偏向処理の前段に、単一のモジュレータ及び検光子を配設する代わりに、各々のチャネルに個々のモジュレータ及び検光子を配設する必要がある。図3は、1チャネルの構成を示す図である。これによると、2個のチャネルにおいて、直線偏光及び円偏光の強度であるI(90°)−I(0°)及びI(+45°)−I(−45°)の差を測定することができる。I(+45°)−I(−45°)の測定は、I(90°)−I(0°)の測定と同様に行うことができるが、モジュレータは0°に設定され、検光子は45°に設定される。このことは、特に異方性の測定において重要である。これらの測定の間、蛍光性の全強度に比例した値も決定することができ、したがって、感度差も補償される。このことは、図10において更に詳細に説明される。3個のチャネルを用いることによって、全ての特性パラメータ、すなわち、放射された蛍光の偏光状態のストークスベクトル(Stokes vector)(I、Q、U、V)の全ての構成要素又は反射率は、測定されてもよいて先に述べたようにイメージとして表示されてもよい。
【0044】
1チャネルを用いてストークスベクトルの値又は偏光の状態を測定する方法はよく知られている。レーザ走査顕微鏡(LSM)においてこの方法を用いることによって、ストークスベクトルの全ての値(I、Q、U、V)は、測定して表示することができる(図5)。このために、2個の光電変調器43及び44は、テストされた試料から反射された光ビーム上に直列に配置される。第1の光電変調器43の光軸は基準面に対し45度の角度をなし、第2の光電変調器44は基準面に対し0度の角度を有する。第2の光電変調器44及び光ディテクタ47の間には、同一の基準面で22.5度の角度をなす光軸を有する受動偏光検光子45(例えば、グラントンプソンプリズム(Glann−Thompson prism))が用いられる。光ディテクタ47出力は、上述した具体例と同様に、信号処理装置48に接続されている。このとき、信号処理装置48は、図8に示すように、3個の位相感度(ロックイン)増幅器FE1...FE3及びローパスフィルタを有する。エラー補償なしで強度Imを測定するときには、デジタルローパスフィルタが用いられる。強度を測定する間にエラー補償するときには、第4の位相感度(ロックイン)増幅器FE4が必要になる。デジタル信号を処理するときには、アナログ/デジタル変換器ADは、ローパスフィルタLPのアナログ出力に接続されている。アナログ入力を有するLSMの結像部との互換性を維持するために、デジタル/アナログ変換器DAも必要である。位相感度(ロックイン)増幅器としては、例えば、KFKI(ブダペスト)によって製造され、二重構造において2個の位相感度増幅器を有するDPSD(デジタル位相感度光ディテクタ)が用いられる。
【0045】
信号処理部(SPU)(位相感度増幅、周波数選択、信号調整)の異なる機能が制御可能であるならば、上述した結像方法は著しく支持される。このことは、以下の機能を有する低レベルのプログラム可能な素子である一つのDPSD基盤(KFKI(ブダペスト))上でこれは達成される。入力信号は、平均を計算する前にどんな周期的なスカラ―信号によってでも増幅されてよく、すなわち、従来の位相感度(ロックイン)増幅器と同様に、選択された周波数を有する信号の振幅を、異なるモードで測定することができるだけでなく追加モードでも測定することができる。異なるモードにおいて、出力信号は、位相Φでの入力信号の大きさから位相Φ+¶での入力信号の大きさを減算した値に反応する。追加モードにおいて、出力信号は、位相Φでの入力信号の大きさに位相Φ+¶での入力信号の大きさを加算した値に反応する。2つの関数のスカラー積は、一般的には、P=∫f1(t)*f2(t)で表される。追加モードでの乗数関数は図10Bのように示され、また、異なるモードでの乗数関数は図10Cのように示される。
【0046】
ストークスベクトルの値は、以下のように表される。
【0047】
I、強度:周波数2fでのPEM43又は44の追加モードで機能する位相感度(ロックイン)増幅器FE4の信号(I1+I2−2Im)で補償されたローパスフィルタLPのIm信号
Q、0°−90°直線偏光成分:PEM44の周波数2fでの異なるモードで機能するFElの信号
U、±45°直線偏光成分:PEM43の周波数2fでの異なるモードで機能するFE2の信号
V、円偏光成分:PEM43又は44の周波数fでの異なるモードで機能するFE3の信号
測定値は、調整後に、異なる偏光(DP)値を「従来の」モードの強度ピクチャに類似したピクチャとして表示するLSMの結像部(ビデオ信号処理基盤)の適当な入力に向けられてもよい。
【0048】
本発明の別の見地から述べると、x及びy方向で画素を走査するためのシンクロン信号もまた、適当な画像処理回路(図7)によって、直接用いられてもよい。結果として、LSM画像で画像を表示することを記憶する互換性を維持している間、LSMの画像処理から独立して画像処理を実行することが可能である。この方法の利点は図4の測定と比較して、ただ一つの検出チャンネルが測定に必要とされ、光ディテクタを再配置した後にそれが外部単位として使われてもよい点である。偏光画像はLSMの更なる使用なしで得られてもよい、また、偏光チャンネルはハードウェア及びソフトウェアの特性から独立している。
【0049】
図6は、図5の構成との組み合わせからなる異なる種類の偏光状態設定部が、既知の異なる照射光の偏光状態を用いることにより、伝送モードにおいて、全てのミュラー行列の要素を測定する可能性を供給することを示す図である。この目的のため、図5の構成は試料の後ろに配置される(図2のミラー4の後ろ)。本発明を適用したミュラー行列の要素の決定方法は、照射レーザ光の偏光状態を4つの状態、すなわち偏光を減らす、0度もしくは90度に偏光させる、+45度あるいは−45度直線に偏光させる、円形に偏光させる、といった状態に偏光させるとともに、4つの状態のそれぞれにおいてストークスパラメータ(I,Q,U,V)を測定する。この目的のために、無偏光子51、直線又は円偏光器52、53及び光学位相リターダ54、もしくは前述のいかなる組み合わせからなる、偏光状態設定部2aから2dが用いられる。図6Aから図6Dは、時間的には一定であるが、異なる偏光状態のレーザ光を生成する偏光状態設定部2aから2dを示す図である。偏光状態設定部2aは、偏光されうるレーザ光の偏光を減らす無偏光子51を含み、減偏光されたレーザ光でテストされた試料を照射する。偏光状態設定部2bは、必要に応じて直線もしくは円からなる偏光器52を含む。偏光状態設定部2bは直線又は円に偏光されたレーザ光をもってテストされた試料を照射し、レーザ光が最初から減偏光されていた場合は用いられてもよい。偏光状態設定部2dは、直線偏光器53及び位相リターダ54を、レーザ光が最初から減偏光されていた場合、円形に偏光されたレーザ光を用いてテストされた試料を照射するための、直線偏光器53の後ろに含む。偏光状態設定部2dは無偏光子51の後ろに無偏光子51及び偏光器52を含む。偏光器52は、必要に応じて直線又は円になる。偏光状態設定部2dは直線又は円に偏光されたレーザ光でテストされた試料を明らかにし、レーザ光が最初から偏光されていた場合に用いられてもよい。
【0050】
図9は、蛍光検出直線ダイクロイズム(FDLD)及び蛍光検出円ダイクロイズム(FDCD)を測定するための、本発明のさらなる構成を示す図である。この目的のため、偏光状態設定部2は直線偏光器81と、その後ろに光電変調器82を含む。レーザ光源1が直線に偏光されたレーザ光を供給する時には、直線偏光器81は省略されてもよい。この構成により、励起しているレーザ光は異なった偏光状態を獲得するために調整されてもよい。発光する光の軌道は、LSMで変更されされる必要はない。このことは図1に見られるよりも、より単純な構成を供給する。同じ機能を持つ同じ要素には、図1に用いられているように、同じ引用符号が付けられていた。信号処理は、前述した方法に似た検波方法を用いて実行される。FDLDの値は周波数2fで測定され、FDCDの値は周波数fで測定され、画像処理もまた詳細にわたって前述の方法と同様である。
【0051】
本発明においては、試料を照射し、ほぼ同時に試料の2又はそれ以上の分子中のフォトン励起を同時に発生させるために、空間的及び/又は時間的な強度集中を許容する高出力レーザ光が用いられてもよい。焦点から正方距離における2のフォトン励起の発生により、背景蛍光が大幅に減少するという周知の事実を利用すれば、より高いレベルの間隔分解能が得られるとともに、レーザ光の欠点も抑えられる。
【0052】
強度I=I1 +I2の正確な値は、ローパスフィルタ(low pass filter)を用いた従来の方法では、測定することができない。誤差の原因及び本発明の訂正方法を、図10を参照して更に詳細に説明する。図10Aは、サイン波交互制御電圧(sinusoidal alternating control voltage)による光電変調器(以下、PEMという)の幅dにおける、時間関数(function of time)としての偏差を表す。図10Aから明らかなように、サイン波交互電圧によって制御されているPEMの幅は、d=d0+A*sin(2¶ft)で表されるサイン波に関する数式によっても、様々に変化する。PEMが励起されていない基底状態では、PEMを透過する光の偏光状態は、変化しない。A=lambda/2の場合、PEMは、入射光の偏光面を最大幅がd0+A、最小幅がd0−Aの状態で90度回転させる。図10Dは、直線偏光分析装置(linear polarization analyzer)の裏側に位置する光ディテクタによって検出される、時間関数としての強度値を示す。ここで、PEMの制御は図10Aに示す制御と同一である。分析装置は、励起されていないPEMを透過する直線偏光装置の偏光面と平行な光軸を持つように設定される。この構成では、それぞれの位置d0において最大強度I2が得られる。d0+A及びd0−Aの位置では、直線偏光の偏光面が、分析装置の光軸に対して直交するため、光ディテクタによって検出される強度I1は、最小である。強度関数がサイン関数でないため、デジタルローパスフィルタによって分離されたDC成分(DC component)は、強度Iv=(I1+I2)/2ではなく、Imを表す。第4の位相感度増幅器を用いることによって、追加モード(addition mode)S+=I1+I2−2ImにおけるFE4を得ることができる。Imがすでに決定されているため、強度の補償値(compensate value)を、以下の数式に従って計算することができる。
I=I1+I2=S++2Im
検出された強度の誤りを補償するこの方法は、巨視的なダイクロイック測定値の場合、先行技術と比較すると、変調度(modulation depth)を必要とせず、より正確な補償が得られる。
【0053】
偏光状態に影響を及ぼす異なる光学素子によって、DP測定の定誤差は、訂正方法によって補償することができ、その補償は、デジタル信号処理の間に実行することもできる。
【0054】
励起している(照明している)光の強度の変調によって、フォトセレクション(photoselection)を排除し、信号と雑音(noise)の比率を向上させることができる。
【0055】
LSMで用いられるレーザ光は、通常偏光である。入射光の吸収及び放出が、入射光の変更状態によって異なるため、試料から得られる画像は用いられる入射光の偏光状態によって様々である。LSM画像においては、露光過度や露出不足、さらには詳細部が損なわれてしまうことさえある。この現象は特に、異方性の試料において顕著である。このような影響は、図6Aに示すように変更状態に設定されたユニットにおいて無偏光子(depolarizer)を用いることによって、排除することができる。無偏光子の使用は、伝送、蛍光または反射のような場合にも、用いることができる。しかし、励起している/照明している光ビームに位置する受動の無偏光子は、巨視的レベルで不均等性を生じたり、出力が、多くの場合十分に行われないことがある。
【0056】
FDLD/FDCD測定において用いられる方法と同様に、無偏光子の代わりにPEMを、入射光の偏光状態を変更するために適切な時期に用いることもできる。レーザ光が1つの焦点に集められ、平均化が起こる間、励起している/照明している光は、偏光が全ての方向からなるため、光ディテクタ信号を適切にゲート又は平均化した後、負の影響に妨げられることなく、フォトセレクションを排除することができる。
【0057】
仮に偏光測定が何もなされていなければ、この変調及び復調方法を、信号と雑音の比率を向上するために用いることもできる。この目的を達成させるために、偏光状態生成器は、お互いに偏光面が平行又は垂直な2つの受動直線偏光器の間に位置する光電変調器(PEM)と、受動直線偏光器に対して45度に設定された、光電変調器の光軸を備える。なお、必要があれば第2の直線偏光器の裏側に位置する、無偏光子を用いてもよい。この構成によって、PEMの周波数fに対する周波数2fのサイン波交流強度が得られる。復調は、単一位相感度増幅器(ロックイン)によって、周波数2fで実行される。仮に、レーザ光源からゆがみがない直線偏光されたレーザ光が得られた場合、レーザ光源側の直線偏光器を除外することができる。また、上述のように、仮にフォトセレクションが測定に悪い影響を与えず、補償が動的なモード(dynamic mode)で実行される場合、無偏光子もまた、除去することができる。信号と雑音の比率を向上させるこの方法は、FDLD/FDCD測定及びフォトセレクションの補償を同様の成分によって実行される、高い強度を用いる他の方法と比べると、大変優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】
FIG.1は、本発明を適用した、放射モード又は反射モードで動作する2つのチャンネルを有する装置の構成を示すブロック図である。
【図2】
FIG.2は、本発明を適用した、透過モードで動作する2つのチャンネルを有する装置の構成を示すブロック図である。
【図3】
FIG.3は、本発明を適用した、変調原理に基づいて動作する1つのチャンネルを有する装置の構成を示すブロック図である。
【図4】
FIG.4は、本発明を適用した、異なる波長を測定するために変調原理に基づいて動作する装置の構成を示すブロック図である。
【図5】
FIG.5は、本発明を適用した、ストークスパラメータを測定する装置の構成を示すブロック図である。
【図6】
FIG.6は、本発明を適用した、ミュラー行列の要素を決定する装置の構成を示すブロック図である。
【図7】
FIG.7は、測定値を表示するための信号処理及び画像部を示すブロック図である。
【図8】
FIG.8は、本発明を適用した装置に用いられる信号処理部を示すブロック図である。
【図9】
FIG.9は、本発明を適用した、FDLD値及びFDCD値を決定するための装置の構成を示すブロック図である。
【図10】
FIG.9は、光電変調器のサイン波エラーを補正する方法を示すブロック図である。
Claims (24)
- レーザ走査顕微鏡を用いて、既知の偏光状態を有するレーザビームで試験材料を逐次照射し、上記材料で放射、反射又は透過される光の偏光特性を測定する方法において、
上記材料によって偏光状態が変更された光ビーム又は上記材料によって放射された光を、上記材料の各点から本質的には同時に受光される選択された光ビームの2つの異なる偏光成分の強度を測定することによって、調べるステップと、
上記2つの強度信号を処理することによって得られる信号を、上記材料の画像のそれぞれの点に割り当てるステップを有する方法。 - 上記2つの偏光成分の強度信号の差を、上記信号処理の間に生成するステップと、
上記差を、値1、I1+I2、I1+2I2、あるいはミュラー行列の要素に割り当てられる、又は測定又は計算によって決定される他の値によって実行される測定に応じて分割するステップとを有する請求項1に記載の方法。 - 上記光ビームは、上記偏光状態、又は光の強度の所定の比率に従って分割され、各分割された光ビームは、一方の偏光成分のみが測定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 上記材料から受光される光ビームの偏光成分間の位相は、2点間で所定の周波数及び形状を有する関数に従って周期的に変えられ、上記偏光成分は、同じ分析器で連続して測定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 上記材料から受光される光ビームの偏光成分間の位相は、サイン関数に従った2点間で変えられることを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 上記材料から受光される光ビームの偏光成分間の位相を変えるステップの後に、選択された波長に基づいて上記光ビームを分割し、該分割された光ビームにおいて測定を同時に実行し、必要に応じて測定値の誤差を補正するステップを有する請求項4又は5に記載の方法。
- 上記照射光ビームの偏光成分間の位相は、2点間で所定の周波数及び形状を有する関数に基づいて変えられ、FDLC及びFDCDの値は、所定の周波数(2f及びf)及び位相で、上記材料により周期的に放射される光の強度を測定することによって決定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 上記照射レーザビームの偏光成分間の位相は、サイン関数の両端間で変えられることを特徴とする請求項7に記載の方法。
- 上記試料上の上記レーザビームの合焦点位置から受光される光の成分を選択し、上記合焦点以外の位置から受光される光の成分を排除するステップを有する請求項1乃至8いずれか1項に記載の方法。
- 上記試料を照射し、2つ以上の光子を励起するために空間的及び時間的に集束されたレーザビームを用いることを特徴とする請求項4乃至6いずれか1項に記載の方法。
- 上記レーザ走査顕微鏡の少なくとも1つのレーザビームのストークスパラメータ(I,Q,U,V)を決定するステップを有する請求項4乃至6いずれか1項に記載の方法。
- 上記ストークスパラメータ(I,Q,U,V)を決定する間に、上記照射レーザビームの偏光状態を、無偏光、0(又は90)度直線偏光、+45(又は−45)度直線偏光、円偏光の4つの状態で変化させることによって、上記レーザ走査顕微鏡の透過レーザビームのミュラー行列の要素を決定するステップを有する請求項4乃至6いずれか1項に記載の方法。
- レーザ走査顕微鏡を用いて、材料で放射、反射又は透過される光の偏光特性を測定する装置において、
レーザ光源(1)と、
上記レーザ光源(1)と試験される上記材料又は試料(5)の間に配設された偏光状態設定ユニットと、
上記試料(5)によって偏光状態が変更された光の強度又は上記試料(5)によって放射された光の強度を検出する光ディテクタ(16、17、27、37、47)と、
上記光ディテクタ(16、17、27、37、47)の前に設けられ、偏光成分を空間的及び時間的に分離する手段とを備える装置。 - 上記試料(5)からの光ビームが入射され、偏光状態によって偏光成分を空間的に分離する光学素子とを備え、
あるいは、
上記試料からの光ビームが入射され、光ビームを所定の比率で分割する光学素子と、
上記光ディテクタ(16、17)の前に配設され、上記所定の比率で分割された光ビームの一方の偏光成分を上記光ディテクタ(16、17)に選択的に通過させる検光子(12、13)とを備える請求項13に記載の装置。 - 上記試料(5)から入射される光ビームの偏光成分を時間的に分離する第1の偏光変調器(23)と、
上記光ディテクタ(27)の前に配設された受動偏光検光子(25)とを備える請求項13に記載の装置。 - 受動偏光検光子(32)と光ディテクタ(37)の間の配設された少なくとも1つの波長選択ビームスプリッタ(33)と、
上記波長選択ビームスプリッタ(33)で分離された光ビームを検出する光ディテクタ(37)とを備える請求項13に記載の装置。 - 受動偏光光学素子(81)と偏光変調器(82)とからなる偏光状態設定ユニットを備える請求項13に記載の装置。
- 17への主張されたはやりの請求の範囲13として装置、ピンホールを成る(10、11、21、35)
試料から受け取られる光ビームにおいて、光の成分を選ぶこと(5)は、試料に焦点を合わせたことを特徴とする請求項13乃至17にいずれか1項記載の装置。 - 装置、そのことは17まで請求の範囲13において、レーザビームを含むことは試料の分子のtwo−又は多光子励起空間的におよび/または一時的に集中されたレーザビームで、(1)を供給することを特徴とする請求項13乃至17いずれか1項に記載の装置。
- 装置、光軸を最初の偏光変調器(43)の光軸と比較して、45°によって回転させておいている第二の偏光変調器(44)で、最初の偏光変調器(43)及び受動偏光検光子(45)の間で第二の偏光変調器(44)を含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
- 主張されたはやりの請求の範囲20としての装置は、偏光で設定単位を述べる(2a−2d)、減極剤(51)、リニア偏光子(52、53)又は円偏波器(52)を成る、そして、光位相遅らせる人(54)又はそのどんな組合せでもよいことを特徴とする請求項20に記載の装置。
- 装置、平行して互いへの偏光水平面又は垂直による2の受動リニア偏光子及び受動リニア偏光子と比較して45°でセットされる光弾性の変調器(PEM)の光軸の間に位置する光弾性の変調器(PEM)を含んでいるて第二のリニア偏光子の後で減極剤を更に含んでいる単位(2)をセットしている偏光状態で、ことを特徴とする請求項13乃至20いずれか1項に記載の装置。
- 信号の処理装置(18、28、38、48)がdetector(s)(16、17、27、37、47)の出力に接続している21への
ことを特徴とする請求項13乃至21いずれか1項に記載の装置。 - 信号の処理装置(JFE)が少なくとも1から成るその点では、段階的に実行する敏感な増幅器(FE1、FE1...FE4)(ローパスフィルター)(LP)(アナログ−デジタル変換器(広告)及びD−A変換(DA))ことを特徴とする請求項22に記載の装置。
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