JP2004503619A - 架橋性の接触接着性アクリレート材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、架橋したアクリル系接触接着性材料の製造方法に関し、この方法は、最初に下記の単量体:(d)下記の構造:
【化1】
[ここで、R1=HまたはCH3、そしてR2=C原子数が2−20のアルキル鎖]を伴うアクリル酸およびメタアクリル酸単量体を単量体混合物の45−99.5重量%の比率、(e)オレフィン系二重結合を含む1種または数種の無水カルボン酸を単量体混合物の0.5−25重量%の比率、(f)官能基Aを含むさらなる不飽和オレフィン系単量体を単量体混合物の0−30重量%の比率で用いたフリーラジカル(共)重合でポリアクリレートを生じさせることを特徴とする。このようにして生じさせた重合体に濃縮を受けさせることで溶媒含有量が≦2重量%のポリアクリレート材料を生じさせ、前記ポリアクリレート材料に、少なくとも2種類の官能基BとC(基Bは無水カルボン酸と一緒に重合型の反応を起こし得る基であり、そして基Cは架橋性基である)を含むさらなる単量体を添加する。前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間で反応を起こさせることで、官能基Bを含む前記単量体を前記重合体に側鎖の形態で結合させる。前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間の反応を起こさせた後、エネルギーを有する放射線を用いて前記重合体の架橋を起こさせる。
【化1】
[ここで、R1=HまたはCH3、そしてR2=C原子数が2−20のアルキル鎖]を伴うアクリル酸およびメタアクリル酸単量体を単量体混合物の45−99.5重量%の比率、(e)オレフィン系二重結合を含む1種または数種の無水カルボン酸を単量体混合物の0.5−25重量%の比率、(f)官能基Aを含むさらなる不飽和オレフィン系単量体を単量体混合物の0−30重量%の比率で用いたフリーラジカル(共)重合でポリアクリレートを生じさせることを特徴とする。このようにして生じさせた重合体に濃縮を受けさせることで溶媒含有量が≦2重量%のポリアクリレート材料を生じさせ、前記ポリアクリレート材料に、少なくとも2種類の官能基BとC(基Bは無水カルボン酸と一緒に重合型の反応を起こし得る基であり、そして基Cは架橋性基である)を含むさらなる単量体を添加する。前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間で反応を起こさせることで、官能基Bを含む前記単量体を前記重合体に側鎖の形態で結合させる。前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間の反応を起こさせた後、エネルギーを有する放射線を用いて前記重合体の架橋を起こさせる。
Description
【0001】
本発明は、二重結合による官能化を受け(functionalized)ていて放射線誘発架橋で凝集力(cohesion)が向上する感圧接着特性を有するポリアクリレートを製造する方法、およびこのようなポリアクリレート系(polyacrylate)感圧接着剤を付着させた接着テープ(adhesive tape)に関する。
【0002】
ホットメルト(hotmelt)感圧接着剤(ホットメルトPSA)は、ホットメルト接着剤の特性と感圧接着剤の特性を組み合わせて持つ複合物である。ホットメルトPSAは高温で溶融しそしてこれを基質に接触させた状態で冷却すると永久的な粘着性を示すフィルムを形成し、このフィルムは接着的に(adhesively)流れる。これをいろいろな基質、例えば紙、布、金属および重合体フィルムなどと組み合わせて用いることで、多種多様な製品、特に感圧接着テープおよびまたラベルを製造することができる。このような感圧接着性製品は自動車産業で幅広い用途分野を有し、例えば固定または密封などで用いられるか、或は薬剤産業で幅広い用途分野を有し、例えば活性物質のパッチなどで用いられる。
【0003】
ホットメルトPSAの典型的な被覆温度は80から180℃の範囲である。この被覆温度を下げるには、その塗布すべきホットメルトPSAの分子量をできるだけ低くすべきである。他方、このPSAテープが使用時に基質から滑り落ちることがないように、また、このPSAにあるレベルの凝集力を持たせるべきである。この凝集力を高くするには、逆に、分子量を高くすることが必須である。
【0004】
このような問題を解決する目的で、分子量は比較的低いが二重結合を側鎖に沿って含む重合体が開発された。このような重合体、例えばポリエステルのアクリレートまたはポリウレタンのアクリレートなどは、紫外線またはイオン化放射線(ionizing radiation)を用いると、その二重結合を通して有効に架橋し得るが、それらが示す接着特性は限られた度合のみである。
【0005】
アクリル系(acrylic)PSAを架橋させる前に多官能アクリレートおよび/またはメタアクリレートを添加すると架橋が助長され、それによって架橋反応性が向上しかつまた凝集力も向上するが、しかしながら、それが照射中に起こす反応は2段階機構(重合体に結合した後、まだ遊離状態のアクリレートの二重結合を通して架橋反応が起こる)であり、従って、架橋効率が低い。
【0006】
二重結合による官能化を共重合で受けさせる原理をアクリル系PSAでも同様に用いるのは不可能である、と言うのは、その場合の相当するポリアクリレートの調製はフリーラジカル重合で行われるからである。その場合、二重結合の全部が重合過程中に反応する、即ち重合中にゲル化が起こる場合がある。これの一例をPastor[米国特許第4,234,662 A号]が示しており、彼は、アクリル酸アリルまたはメタアクリル酸アリルを重合で用いた。しかしながら、中心になる問題は、そのような化合物を共重合させている間に起こる問題であり、そのような化合物は一般にフリーラジカル重合過程中にゲル化を起こす。その上、アリル基が架橋反応に関して示す反応性は比較的低いことから、苛酷な実験条件が必要であり、特に高い温度または長期の照射が必要である。従って、アリル修飾アクリル系重合体を架橋PSAとして用いるのはあまり適切でない。
【0007】
二重結合に官能化を受けさせる別の可能性も存在し、これは、それが重合体に類似した反応(polymer−analogous reactions)を起こすことによる。一般的に述べると、重合体に類似した反応は溶液の状態または溶融物の状態で実施可能である。EP 0 608 981 B1にも同様に二重結合に関するゲル化問題が示されている。重合体に類似したさらなる多様な反応を用いてそれの補助を行っている。従って、カルボン酸、ヒドロキシル、エポキシドおよびアミン基を有するポリアクリレートと二重結合を含む化合物を重合体に類似した反応で反応させることができ、これに関しては米国特許第4,665,106A号を参照のこと。しかしながら、この必要な成分が示す熱安定性は低いことから、このような反応をホットメルトに適用するのは不可能である。その上、ゲル化を回避するにはポリアクリレートに調節剤(regulator)を多量に添加する必要があることから、操作条件が不利である。
【0008】
従って、アクリル系ホットメルトに関して、米国特許第5,536,759 A号には、ヒドロキシルもしくはカルボン酸基を含むポリアクリレートと1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)ベンゼン(m−TMI)を溶液の状態で反応させた後にホットメルト加工を行うことが記述されている。それとは対照的に、個々の方法のプロス(pros)およびコンス(cons)が記述されている[Chemie Ingenieur Technik(70)、1998、560−566頁];即ち「重合体に類似した反応を溶融状態で起こさせると2つの過程(他の様式では互いに個別に進行する)を起こさせることが可能になる。まず最初に反応が起こるが、その反応媒体は溶融状態であることから、この反応中に押出し加工による成形を開始させることができる。このようにして、追加的反応槽も処理も全く必要でない。それにも拘らず、溶媒を存在させないと反応過程がいろいろな面で複雑になり、例えば、反応混合物が不均一になり、そして反応体が別の反応体の中に拡散する速度が比較的遅くなる」ことが記述されている。
【0009】
従って、EP 0 608 981 B1に記述されている方法は、重合体に類似した反応を溶液の状態で行うと言った基本的な欠点を有する。従って、重合体に類似した反応を溶融状態で起こさせることを可能にするアクリル系PSA方法が得られたならば、これは望ましいことである。
【0010】
中心になる問題は、反応体の拡散速度が遅い点にある。このような問題は単に反応温度を上昇させることで解決可能であり、それによって、個々の成分が互いに対して示す反応性が向上する。しかしながら、アクリル系PSAの場合には、それに関して固有の制限が存在する。
【0011】
従って、重合体に類似した反応を溶融状態で行う場合に使用する材料は一般に熱可塑性プラスチックであり、これに加工および官能化を高温で受けさせる。例えば、熱可塑性プラスチックであるポリスチレン−無水マレイン酸の反応は180−200℃の温度で起こる[Chemie Ingenieur Technik(70)、1998、560−566頁およびChemie Ingenieur Technik(71)、1999、1418−1421頁]。追加的に、ポリエステルと無水マレイン酸は溶融状態で反応する[Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry、37巻、1693−1702(1999)]。しかしながら、両方の方法ともアクリル系PSAに二重結合による官能化を受けさせようとする場合には適切でない。Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry、37巻、1603−1702(1999)にラジカルグラフト化(radical grafting)による官能化が開示されているが、ビニル化合物は即座に重合する可能性があることで次の支持体上で起こさせる架橋にはもはや利用されなくなるであろうことを考慮すると、それを二重結合による官能化で用いるのは不可能である。従来技術[Chemie Ingenieur Technik(70)、1998、560−566頁]で用いられた重合体のガラス転移温度はPSAにはあまりにも高すぎ、それを類似した様式でアクリル系PSAに適用すると、それが示す反応温度が過度に高くなり[高い温度を用いると、例えば熱で分解する開始剤が重合過程後に残存してそれが反応を起こし、或は個々の共重合体、例えばアクリル酸t−ブチル共重合体などは160℃を超えると分解を起こすことが原因で重合体が既にひどい変色を起こす]、かつまた、共重合した無水マレイン酸の分率が非常に高くなることでガラス転移温度が非常に高くなってしまうであろう。
【0012】
ポリアクリレートと1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)ベンゼン(m−TMI)を溶液の状態で反応させることに関して米国特許第5,536,759 A号に記述されている方法もまたこの上に記述した方法と同様に適用不能である、と言うのは、イソシアネートは高い毒性を示すことに加えて被覆後の架橋反応性があまりにも低いであろうからである。
【0013】
これまでに記述した方法全部に一般的な重大な欠点は、被覆後の架橋反応性が低い点にある。ビニル化合物は架橋で生じさせるラジカルに対して低い反応性を示し、その結果として、架橋が完全には起こらずかつあまり効果的でない。競合反応が起こることで望まれる架橋が生じず、例えば大気の酸素または添加した粘着付与剤樹脂(tackifier resins)によって起こるラジカルの飽和の方が優先する。従って、このように架橋の調節性が劣ることが大きな問題になる可能性があり、例えば二重結合の全部が架橋中の反応で消費されないことからPSAの老化挙動に問題が生じ、このようなPSAは長期間貯蔵している間に後架橋(post−crosslinking)を起こす可能性がありかつまた紫外光または酸素および/またはオゾンの影響下で反応を起こして接着強度の顕著な損失を起こすであろう。
【0014】
従って、反応性二重結合による官能化を受けていて化学放射線で高い反応性を伴って架橋し得る新規な種類のアクリル系PSAテープを得る目的で、非常に迅速に反応し得るが重合体に類似した反応でゲル化を起こさない化合物が求められておりかつゲルを生じることなく加工および支持体への被覆を行うことを可能にする工程操作が求められている。
【0015】
本発明の目的は、アクリル系が基になっていて室温で粘弾性挙動を示しかつ従来技術の欠点を示さない感圧接着剤を製造する方法を提供することにある。この目的は、PSAがホットメルト加工中にゲル化を起こさないようにすること、特に二重結合を組み込む結果としてPSAが熱安定性を失うことが起こらないようにすることにある、即ち反応性二重結合を与えたアクリル系PSAは後で溶融状態でゲルを起こすことなく支持体に被覆可能であるべきであり、かつ前記PSAは高い架橋効率で架橋し得るべきである。
【0016】
本主請求項に挙げる如き方法を用いて本目的を達成するが、これは驚くべきことでありかつ本分野の技術者にとって予想外であった。さらなる請求項は本方法の有利な進展、本方法を用いて生じさせた感圧接着剤、そして前記接着剤の使用に関する。
【0017】
従って、本発明は、架橋したアクリル系感圧接着剤の製造方法を提供し、この方法は、
・ 最初に下記の単量体:
(a)下記の構造:
【0018】
【化2】
【0019】
[ここで、
R1=HまたはCH3、そして
R2=炭素原子数が2−20のアルキル鎖]
で表されるアクリルおよびメタアクリル酸系単量体を単量体混合物中45−99.5重量%の分率、
(b)オレフィン系二重結合を含む1種以上の無水カルボン酸を単量体混合物中0.5−25重量%の分率、より好適には単量体混合物中1−5重量%の分率、
(c)官能基Aを有するさらなるオレフィン系不飽和単量体を単量体混合物中0−30重量%の分率、
で用いたフリーラジカル(共)重合でポリアクリレートを生じさせ、
・ このようにして生じさせた重合体に濃縮を受けさせることで溶媒含有量が≦2重量%のポリアクリレート組成物を生じさせ、
・ 前記ポリアクリレート組成物に、少なくとも2種類の官能基BとC[基Bは無水カルボン酸と一緒に重合体に類似した反応に加わり得る基であり、そして基Cは架橋性基(crosslinkable groups)である]を有するさらなる単量体を添加し、
・ 前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間で反応を起こさせることで、官能基Bを含む前記単量体を前記重合体に側鎖として結合させ、
・ 前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間の反応が起こった後、この感圧接着剤を溶融状態で支持体に塗布し、そして
・ 高エネルギーの放射線を用いて前記重合体の架橋を前記支持体上で実施する、
ことを包含する。
【0020】
本方法を用いると、後で穏やかな条件下で起こさせる効率良い架橋で利用される官能基を重合体に導入することができ、架橋を起こさせる前記官能基は重合過程中に消費されることも官能性を失うこともない。
【0021】
前記官能基BとCを含む化合物の導入を重合後早くも行うことから、架橋性官能基Cはこれが重合体鎖の中に取り込まれた後でも反応性を維持する。そのようにすると、高い架橋反応効率を示す官能基を重合体の中に導入することができる(フリーラジカル重合の場合、そのような官能基は官能性を失ってしまうが)。
【0022】
フリーラジカル重合過程中に生じるPSAの平均分子量(重量平均Mw)をこれがポリアクリレート組成物に通常の範囲内、即ち100000から2000000の範囲になるように選択し、具体的には、それをホットメルトPSAとして更に用いる場合には、分子量(重量平均Mw)が100000から800000、より好適には100000から400000g/モルのPSAが好適である。前記重合は有機溶媒の存在下か、水の存在下か、或は有機溶媒と水の混合物中で実施可能である。この目的は、溶媒の使用量を最小限にすることにある。重合時間は変換率および温度に応じて6から48時間の範囲である。選択可能な反応温度が高ければ高いほど、即ち反応混合物の熱安定性が高ければ高いほど、短い反応時間を選択することができる。
【0023】
本発明の目的で、濃縮段階直後に官能基BとCを有する単量体の添加そして前記官能基Bと無水カルボン酸の反応を行うように工程の操作を行うのが特に有利である。
【0024】
本発明の1つの進展では、この操作を押出し加工機で行う、即ちこの目的で二軸押出し加工機(例えばWerner & Pfleiderer、ZSK 40)またはコニーダー(co−kneader)(例えばBuss)を用いるのが非常に適切であることを確認した(反応性押出し加工)。前記押出し加工機を用いて、フリーラジカル重合で生じさせたアクリル系PSAに濃縮を受けさせることで溶媒を除去する。本発明の方法では、有利に、この濃縮操作を受けた後の重合体組成物の溶媒含有量が0.5重量%未満になるようにする。濃縮後、官能基BとCを有する成分を押出し加工機またはコニーダーに好適には計量して加える。ここで、重合体鎖に組み込まれた無水カルボン酸基と官能基Bの間で反応が起こる。本発明の方法の好適な1つの態様では、前記添加を2番目の押出し加工機を用いて行うことも可能である。この場合には、バレルの長さ、処理量(回転速度)、混練り温度および任意触媒の添加量を用いて最適な反応条件を設定することができる。その上、操作中にゲル化が起こらないようにするには、せん断が相対的に低いスクリュー形態の押出し加工機を選択すべきである。
【0025】
本発明の目的で、架橋性基Cを含みかつまた無水カルボン酸と反応し得るヒドロキシル官能も有する化合物のいずれも有利に使用可能である。ヒドロキシル基で置換されている化合物ばかりでなく、架橋性基Cを含みかつ無水カルボン酸と直接または触媒作用下で反応(特に架橋反応)し得る他の官能基も含む化合物を本発明の方法で好適に用いることも可能である。そのような官能基は本分野の技術者に良く知られており、ここでは例として下記を挙げることができるが、下記のリストで不必要に制限することを望むものでない:アルコキシ基、メルカプト基、チオエーテル基、ヒドロキシル基、未置換アミノ基、置換アミノ基、オキサゾリンおよび/または未置換もしくは置換アミド基ばかりでなく、この上に概略を示した意味で無水カルボン酸と反応し得る他のあらゆる官能基。
【0026】
前記重合体の良好で効率良い架橋を確保する目的で卓越した効果で用いる架橋性基Bの例はビニル基、更により好適にはアクリレートもしくはメタアクリレート基であり、これらはまた置換誘導体の形態でも使用可能である。従って、本発明の概念の意味で有利な官能基BとCを含む単量体は、ヒドロキシル含有アクリレート、例えば非常に好適にはアクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA、アクリル酸の2−ヒドロキシエチルエステル)、アクリル酸ヒドロキシプロピル(アクリル酸の3−ヒドロキシプロピルエステル)など、ヒドロキシル含有メタアクリレート、例えばメタアクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA、メタアクリル酸の2−ヒドロキシエチルエステル)、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル(メタアクリル酸の3−ヒドロキシプロピルエステル)など、および/またはビニル化合物、例えば1−デセノールなど、オキサゾリン、例えばリシネン−アルキルオキサゾリンまたはソヤ(soya)アルキルオキサゾリンなど、アクリルアミド、例えばブトキシメチルアクリルアミドなど、または置換アミノ化合物、例えばメタアクリル酸t−ブチルアミノエチルなどである。
【0027】
基BとCを官能基として有する化合物の添加モル分率は、好適には、重合でポリアクリレート鎖に組み込んでおいた無水カルボン酸のモル量に相当するが、またその量よりも少ない量または多い量を選択することも可能である。基BとCを官能基として有する化合物の添加量を、非常に好適には、添加する前記単量体の官能基Bの数nBと共重合した無水カルボン酸単位の数nCSAのモル比nB/nCSAが0.8から1.2の範囲、非常に好適には0.8から1の範囲の大きさの範囲、即ちnB/nCSA≦1になるように選択する。
【0028】
本発明の方法の1つの好適な変法では、基BとCを官能基として有する化合物の添加量を重合体を基準にして0.1から25重量%、好適には1から19重量%の範囲にする。共重合させた無水カルボン酸の量およびBとCを官能基として有する化合物の量を用いて、溶融状態で起こさせる重合体に類似した反応の反応速度を調節することができる。
【0029】
本方法の非常に好適な1つの手順では、反応性を向上させる目的で触媒を添加する。この触媒の分率を無水カルボン酸を基準にして0.01から5モル%、好適には0.1から0.5モル%の範囲にする。
【0030】
この反応を酸または塩基による触媒作用下で進行させる。全てのルイス酸化合物を酸として用いることができる。この反応を好適にはp−トルエンスルホン酸、イタコン酸、ジブチル錫オキサイドまたは酢酸ナトリウムを用いて進行させる。あらゆるルイス塩基を塩基として用いることができる。この反応を好適には4−ビニルアニリン触媒作用下で進行させる。
【0031】
用いるポリアクリレートの流動粘度(flow viscosity)に従い、この反応を高温で進行させる。選択する温度は好適には60℃から180℃の範囲であり、1つの特に好適な範囲は110から160℃の範囲である。
【0032】
本発明の方法では、分子量を変えることで溶融状態における加工特性を向上させるのも同様に有利であり得る。従って、例えば分子量を下げることで、流動粘度を低下させることができ、このようにして反応傾向を高くすることができる。さらなる点は押出し加工機内のせん断下の加工特性である、と言うのは、粘度が相対的に低くかつ分子質量が比較的低いPSAは押出し加工機による加工がより容易であり、従って、導入されるせん断が大きく低下するからである。
【0033】
コンパウンド化(compounding)、即ちさらなる添加剤の添加は、一般に、先行する段階と同じ装置、さらなる押出し加工機またはコンパウンダーを用いて同様に実施可能であり、また、重合体組成物の追加的共混合(commixing)を行うことも可能である。接着テープの製造では、この上に記述した重合体を場合により架橋剤とブレンドしてもよく、この意味で適切な架橋剤物質は二官能もしくは多官能アクリレート、二官能もしくは多官能イソシアネートまたは二官能もしくは多官能エポキシドである。しかしながら、ここでは、また、ポリアクリレートを架橋させ得ることが本分野の技術者に良く知られている如何なるさらなる二官能もしくは多官能化合物も使用可能である。架橋を紫外線で起こさせる場合には光開始剤を用いる。不必要な制限を課すことを望むものでないが、挙げることができる光開始剤の例には、開裂を起こす(ラジカルを発生する)光開始剤、特にα−開裂剤および水素引き抜き剤が含まれる。光で開裂を起こす開始剤の群として挙げることができる例には、芳香族カルボニル化合物、特にベンゾイン誘導体、ベンジルケタール類およびアセトフェノン誘導体が含まれる。水素引き抜き剤には、例えば芳香族ケトン、例えばベンゾフェノン、ベンジルおよびチオキサントンなどが含まれる。
【0034】
感圧接着剤を調製する時、そのような弾性重合体を更に場合により少なくとも1種の樹脂とブレンドしてもよい。添加可能な粘着付与樹脂には、例外なく、文献に記述されている現存の粘着付与剤樹脂の全部が含まれる。挙げることができる代表例には、ピネン樹脂、インデン樹脂およびロジン、それらの不均化誘導体、水添誘導体、重合誘導体、エステル化誘導体および塩、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂およびテルペン−フェノール樹脂、およびまたC5、C9および他の炭化水素樹脂が含まれる。結果として生じる接着剤の特性を所望に応じて調整する目的で、前記およびさらなる樹脂の如何なる所望組み合わせも使用可能である。一般に、相当するポリアクリレートと相溶する(に可溶な)あらゆる樹脂が使用可能である。Donatas Satas著「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」(van Nostrand、1989)に示されている最新技術の記述が明らかに参考になる。本アクリル系ホットメルトに更に1種以上の添加剤、例えば老化抑制剤、光安定剤、オゾン保護剤、脂肪酸、樹脂、可塑剤、核形成剤、発泡剤および促進剤などをブレンドしてもよい。老化抑制剤として、一次および二次両方の老化抑制剤そしてまた光安定剤(これらの互いの組み合わせを包含)を用いることができる。この時点では単に下記を適切であるとして挙げる:Ciba GeigyのIrganox(商標)グレードおよびClariantのHostanox(商標)。老化に対抗する卓越したさらなる作用剤としてフェノチアジン(炭素ラジカル捕捉剤)およびまたヒドロキノンのメチルエーテルを酸素の存在下で用いること、およびまた酸素自身を用いることも可能である。更に、本ホットメルトPSAに1種以上の充填材、例えば繊維、カーボンブラック、酸化亜鉛、二酸化チタン、固体状微細球、固体状または中空ガラス球、シリカ、ケイ酸塩およびチョークなどを充填することも可能であり、さらなる可能性はブロックされていない(blocking−free)イソシアネートの添加である。
【0035】
このような様式でブレンドしたアクリル系PSAを、好適には、溶融状態で更に加工する(ホットメルトとして)。これを接着テープ用接着剤として用いる場合、これを支持体に被覆した後、凝集力が向上するように架橋させる。
【0036】
この官能化を受けさせたアクリル系PSAの被覆をゲルを含まない形態の溶融物の状態で実施するのが有利である。この目的で、スロット幅(slot width)が100から500μm、より好適には150から300μmの溶融物用ダイス(melt dies)または押出し加工用ダイスを用いるのが好適である。
【0037】
これに関連して、支持体材料として、本分野の技術者に良く知られている通常の材料、例えばフィルム(ポリエステル、PET、PE、PP、BOPP、PVC)、不織布、発泡体、織物および織りフィルム、およびまた適宜剥離紙(例えばグラシン、HDPE、LDPE)を用いてもよい。このリストは排他的であることを意図するものでない。
【0038】
この接着剤を紫外光またはイオン化放射線で架橋させる。ホットメルト過程または反応性押出し加工中に反応しなかった残りのビニル化合物が架橋中に生じたラジカルと反応し、遅くともこの時点で前記重合体と結合し、その結果として、それらは以降もはやPSAテープから出て行くことができなくなる。紫外線または電子ビームによる架橋は、側鎖に二重結合が含まれていることから、非常に効率良く進行する。
【0039】
官能化を受けていないポリアクリレートに比較して、最適な架橋を得るに要する線量が低く、それによって、要するエネルギー量が少なく、そして電子ビームによる架橋の場合、支持体材料が被る損傷の度合が少なくなり得る。その上、凝集力が向上する効果も得られた。
【0040】
本発明の方法を用いて生じさせたポリアクリレートの場合、アリル二重結合による修飾を受けているポリアクリレートとは対照的に、熱安定性の大きな低下は生じない。この熱安定性はホットメルト被覆工程による加工に充分なほど高いままである。従って、このような様式で生じさせた全アクリレート系(all−acrylate systems)は、140℃で少なくとも48時間に渡ってゲルを生じず、樹脂をブレンドした系では120℃で少なくとも48時間に渡ってゲルを生じない。
【0041】
本発明の方法は、反応性押出し加工方法をポリアクリレートが基になったPSAの調製に適用する道を開くものである。このような結果は驚くべき結果であり、本分野の技術者が予測し得るものでなく、それとは対照的に、本分野の技術者は、反応性押出し加工に典型的な非常に苛酷な操作条件(高い温度、長い滞留時間)によって高いレベルのゲル化が押出し加工機内で起こると予測していた。
【0042】
従って、本発明の方法で生じさせるポリアクリレートでは、これの中に無水カルボン酸基とカルボン酸基とヒドロキシル基が組み込まれておりかつ更に(メタ)アクリレート基が側鎖として存在する。反応性押出し加工条件下では二次的反応が例えばエステル交換反応、特に重合体鎖が互いに起こすエステル交換反応の形態で起こると予測されていた。この種類の二次的反応が起こると結果としてポリアクリレート組成物が起こすゲル化の度合が高くなってしまうであろう。予想外に、そのような反応は事実上観察されず、その代わりに、本発明に従い、カルボン酸基(好適には無水マレイン酸基)と添加した単量体の官能基B(好適にはヒドロキシル基)の間の反応が優先的に起こる。それによって、驚くべきことに、押出し加工機内で重合体に類似した反応が起こり、その結果として反応速度が速くなることから押出し加工機内の滞留時間を短くすることが可能になる。
【0043】
このようなシステムを用いて、ゲルを含まないポリアクリレート組成物を生じさせることができ、これはゲル化過程に関して高い安定性を示す(「ゲルを含まない(gel−free)」は、標準的な被覆装置を用いて組成物を被覆することができると言った要求に従うことを示す)。本ポリアクリレート組成物はゲルを含まないことから溶融状態で被覆可能な接着剤として使用可能であり、従って、例えばPSAテープ用のPSAとして使用可能である。この被覆性は、標準的な被覆用ダイス(スロット幅が100から500μm、より好適には150から300μmの溶融物用ダイスまたは押出し加工用ダイス)を用いて例えばポリエステル製支持体に50μmの厚みで被覆を行った時に被覆パターン(coating pattern)が均一(均質)で不均一さを伴わないことで区別される。反応性押出し加工方法で通常もたらされるポリアクリレート組成物はそのような要求に合致せず、PSAとして使用不能である。本PSAを支持体に被覆する時、これを非常に好適にはインライン方法(inline process)で行うが、代替法としてまたオフライン操作を行うことも可能である。本PSAを支持体に被覆した後、これに所望の架橋反応を受けさせてもよい。
【0044】
本発明の方法では、最初に、ホットメルトシステム(hotmelt systems)を用いて、ポリアクリレートの側鎖に(メタ)アクリレート基を組み込む。これは、その組み込んだアクリレート基を通して架橋を直接起こさせることができることから、非常に穏やかな架橋方法の利点を与えるものである。電子ビームを用いて架橋を実施する場合の架橋反応速度は非常に速くかつアクリレート基の変換率も高い。従って、本発明の方法を用いて調製して架橋させたポリアクリレート系PSAが後架橋を起こす可能性は非常に僅かである(もし起こすとしても)。追加的に通常添加される架橋剤物質は、一般に、架橋反応中に完全には反応せず、その結果として、そのようなPSAは老化を起こしかつそのようなPSAの製品は時間が経過すると使用不能になってしまう。
【0045】
(実施例)
用いる市販化学品−商標名
【0046】
【表1】
【0047】
試験方法
調製したPSAの技術的接着特性を評価する目的で下記の試験方法を用いた。
せん断強度(試験A)
アセトンで3回そしてイソプロパノールで1回洗浄しておいた滑らかな鋼表面に幅が13mmの接着テープ片を付着させた。付着面積の寸法は20mmx13mm(長さx幅)であった。次に、2kgの重りを用いて前記接着テープを前記鋼製支持体の上に4回押し付けた。この接着テープに1kgの重りを室温で固定して、この重りの落下に要する時間を測定した。測定せん断安定時間を分で報告し、これは3回行った測定の平均に相当する。
ゲル分率の測定(試験B)
注意深く乾燥させておいた無溶媒接着剤サンプルをポリエチレン不織布(Tyvekウエブ)のパウチの中に入れてこれを溶着させる。トルエンを用いた抽出を受けさせる前と後のサンプル重量の差からゲル指数、即ちトルエンに溶解しなかった重合体の重量分率パーセントを決定する。
赤外分光測定
BrukerのFT−IR IFS 45分光測定器を測定で用いた。最初に、個々の無水カルボン酸をいろいろな濃度で用いて較正用プロットを編集した。CO帯の落下パーセントを測定することで、相当する無水カルボン酸部分の変換率を決定した。
分析を受けさせたサンプル
用いた無水カルボン酸は商業的に入手可能である。2−HEA(アクリル酸2−ヒドロキシエチル)および2−HEMA(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)に前以て蒸留による精製を受けさせておいて、これを窒素雰囲気下で貯蔵した。
【0048】
実施例1
フリーラジカル重合に通常の反応槽にアクリル酸2−エチルヘキシルを500g、アクリル酸メチルを350g、アクリル酸ブチルを70g、無水トリメリット酸4−メタアクリロイルオキシエチルを80gおよびアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を540g仕込んだ。この混合物の中に窒素ガスを45分間通した後に脱気することを2回行った後、前記反応槽を撹拌しながら58℃に加熱して、これにアゾイソブチロニトリル(AIBN)を0.2g加えた。次に、外部の加熱用浴を70℃に加熱して、反応を絶えず前記外部温度で実施した。1時間の反応時間後、AIBNを更に0.2g加えた。3時間後および6時間後のそれぞれでアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を250gづつ用いて希釈を行った。24時間後に反応を停止させて、この混合物を室温に冷却した。
【0049】
接着試験では、100gの前記接着剤(固体を基準)を0.4gのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure 819;Ciba Geigy)とブレンドした後、この接着剤を、下塗りをしておいたPETフィルム(厚みが23μm)に50g/m2の被覆率(固体を基準)で塗布した。次に、Eltoschの紫外線照射装置(254nm、120W/cm)を用いて試験片に照射を20m/分受けさせた(ランプの下に4回通した)。次に、結果として得た試験片に試験方法AおよびBに従う接着試験を受けさせた。
【0050】
実施例2
フリーラジカル重合に通常の反応槽にアクリル酸を10g、アクリル酸2−エチルヘキシルを375g、アクリル酸メチルを200g、アクリル酸ブチルを375g、無水イタコン酸を40gおよびアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を290g仕込んだ。この混合物の中に窒素ガスを45分間通した後に脱気することを2回行った後、前記反応槽を撹拌しながら58℃に加熱して、これにアゾイソブチロニトリル(AIBN)を0.2g加えた。次に、外部の加熱用浴を75℃に加熱して、反応を絶えず前記外部温度で実施した。1時間の反応時間後、AIBNを更に0.2g加えた。3時間後および6時間後のそれぞれでアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を250gづつ用いて希釈を行った。24時間後に反応を停止させて、この混合物を室温に冷却した。
【0051】
接着試験では、前記接着剤を、下塗りをしておいたPETフィルム(厚みが23μm)に50g/m2の被覆率(固体を基準)で塗布した。次に、この試験片に線量が20kGyの電子ビームによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた(CrosslinkingのEBC装置)。次に、結果として得た試験片に試験方法AおよびBに従う接着試験を受けさせた。
【0052】
実施例3
フリーラジカル重合に通常の反応槽にアクリル酸を20g、アクリル酸2−エチルヘキシルを810g、アクリル酸メチルを50g、無水トリメリット酸4−メタアクリロイルオキシエチルを120gおよびアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を540g仕込んだ。この混合物の中に窒素ガスを45分間通した後に脱気することを2回行った後、前記反応槽を撹拌しながら58℃に加熱して、これにアゾイソブチロニトリル(AIBN)を0.2g加えた。次に、外部の加熱用浴を70℃に加熱して、反応を絶えず前記外部温度で実施した。1時間の反応時間後、AIBNを更に0.2g加えた。3時間後および6時間後のそれぞれでアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を250gづつ用いて希釈を行った。24時間後に反応を停止させて、この混合物を室温に冷却した。
【0053】
接着試験では、前記接着剤を、下塗りをしておいたPETフィルム(厚みが23μm)に50g/m2の被覆率(固体を基準)で塗布した。次に、この試験片に線量が15kGyの電子ビームによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた(CrosslinkingのEBC装置)。次に、結果として得た試験片に試験方法AおよびBに従う接着試験を受けさせた。
【0054】
実施例4
フリーラジカル重合に通常の反応槽にアクリル酸を20g、アクリル酸2−エチルヘキシルを430g、アクリル酸メチルを100g、アクリル酸ブチルを430g、無水マレイン酸を20gおよびアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を212g仕込んだ。この混合物の中に窒素ガスを45分間通した後に脱気することを2回行った後、前記反応槽を撹拌しながら58℃に加熱して、これにアゾイソブチロニトリル(AIBN)を0.2g加えた。次に、外部の加熱用浴を75℃に加熱して、反応を絶えず前記外部温度で実施した。1時間の反応時間後、AIBNを更に0.2g加えた。3時間後および6時間後のそれぞれでアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を300gづつ用いて希釈を行った。24時間後に反応を停止させて、この混合物を室温に冷却した。
【0055】
接着試験では、前記接着剤を、下塗りをしておいたPETフィルム(厚みが23μm)に50g/m2の被覆率(固体を基準)で塗布した。次に、この試験片に線量が25kGyの電子ビームによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた(CrosslinkingのEBC装置)。次に、結果として得た試験片に試験方法AおよびBに従う接着試験を受けさせた。
【0056】
実施例5
フリーラジカル重合に通常の反応槽にアクリル酸2−エチルヘキシルを1500g、アクリル酸メチルを200g、アクリル酸を100g、無水マレイン酸を10g、N−t−ブチルアクリルアミドを100gおよびアセトンを330g仕込んだ。この混合物の中に窒素ガスを45分間通した後に脱気することを2回行った後、前記反応槽を撹拌しながら66℃に加熱して、これにVazo 67(商標)(DuPont)を1g加えた。8時間後に再びVazo 67(商標)(DuPont)を1gおよびアセトンを500g加えた。24時間後および28時間後のそれぞれでPerkadox 16(Akzo Nobel)を2.5gづつ加えた。32時間後、アセトンを600g用いて希釈を実施した。48時間後に反応を停止させて、この混合物を室温に冷却した。
【0057】
接着試験では、前記接着剤を、下塗りをしておいたPETフィルム(厚みが23μm)に50g/m2の被覆率(固体を基準)で塗布した。次に、この試験片に線量が10kGyの電子ビームによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた(CrosslinkingのEBC装置)。次に、結果として得た試験片に試験方法AおよびBに従う接着試験を受けさせた。
【0058】
実施例6
実施例5の比較として、アクリル系PSAを30重量%(重合体を基準)の炭化水素樹脂TK 90(商標)(Ruttgers)とブレンドした後、被覆で用いた。この手順は実施例5と同じであった。この組成物に線量が30kGyのEBによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた。
記録用押出し加工機を用いたホットメルト操作の実施
HaakeのRheomix 610p記録用押出し加工機を用いて、アクリル系ホットメルトのせん断および熱暴露を実施した。用いた駆動装置はRheocord RC 300p装置であった。PolyLabシステムのソフトウエアを用いて前記装置を制御した。前記押出し加工機に各場合ともアクリル系PSA/単量体混合物を52g仕込んだ(〜80%の充填レベル)。実験を110または130℃の混練り温度、30rpmの回転速度および1時間の混練り時間で実施した。次に、この試験片を約130℃のスロットダイスに通してホットメルトとして被覆した。
【0059】
実施例1#
実施例1と同様にして冷却した後のアクリル系PSAから溶媒を除去した後、このアクリル系ホットメルトを100g用いて、これを1.8gの2−HEA(アクリル酸2−ヒドロキシエチル)および約0.1gの4−ビニルアニリンと混合した。この混合物を52g用い、これに前記記録用押出し加工機を用いた処理をこの上に挙げた手順に従って110℃で受けさせた。反応が終了した後に被覆を実施した後、実施例1の手順に従った。この反応の変換率を赤外分光測定で測定した。
【0060】
実施例2#
実施例2と同様にして冷却した後のアクリル系PSAから溶媒を除去した後、このアクリル系ホットメルトを100g用いて、これを4.6gの2−HEMA(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)および約0.1gの4−ビニルアニリンと混合した。この混合物を52g用い、これに前記記録用押出し加工機を用いた処理をこの上に挙げた手順に従って130℃で受けさせた。反応が終了した後に被覆を実施した後、実施例2の手順に従った。この反応の変換率を赤外分光測定で測定した。
【0061】
実施例3#
実施例3と同様にして冷却した後のアクリル系PSAから溶媒を除去した後、このアクリル系ホットメルトを100g用いて、これを6.1gの2−HEMA(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)および約0.1gの4−ビニルアニリンと混合した。この混合物を52g用い、これに前記記録用押出し加工機を用いた処理をこの上に挙げた手順に従って130℃で受けさせた。反応が終了した後に被覆を実施した後、実施例3の手順に従った。この反応の変換率を赤外分光測定で測定した。
【0062】
実施例4#
実施例4と同様にして冷却した後のアクリル系PSAから溶媒を除去した後、このアクリル系ホットメルトを100g用いて、これを2.6gの2−HEMA(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)および約0.1gの4−ビニルアニリンと混合した。この混合物を52g用い、これに前記記録用押出し加工機を用いた処理をこの上に挙げた手順に従って130℃で受けさせた。反応が終了した後に被覆を実施した後、実施例4の手順に従った。この反応の変換率を赤外分光測定で測定した。
【0063】
実施例5#
実施例5と同様にして冷却した後のアクリル系PSAから溶媒を除去した後、このアクリル系ホットメルトを100g用いて、これを5.8gの2−HEMA(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)と混合した。この混合物を52g用い、これに前記記録用押出し加工機を70rpmで用いた処理をこの上に挙げた手順に従って150℃で1分間受けさせた。反応が終了した後に被覆を実施した後、実施例5の手順に従った。この反応の変換率を赤外分光測定で測定した。
【0064】
実施例6#
実施例5#の比較として、前記官能化を受けさせたアクリル系ホットメルトを30重量%(重合体を基準)の炭化水素樹脂TK 90(商標)(Ruttgers)とブレンドした後、ホットメルトとして溶融状態で被覆した。この手順は実施例5#と同じであった。この組成物に線量が30kGyのEBによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた。
結果
アクリル系感圧接着剤の調製では、まず最初に、下記のアクリレートを表1に挙げる共重合用単量体と一緒に下記の濃度で重合させた。重合をアセトンと特殊な沸点のスピリットの混合物中でAIBNを用いて通常通り実施した。個々の反応管理に関してはこの上に示したセクションに記述した。
【0065】
【表2】
【0066】
AS:アクリル酸、2−EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル、MA:アクリル酸メチル、n−BA:アクリル酸n−ブチル、MSA:無水マレイン酸、ISA:無水イタコン酸、BSI:無水トリメリット酸4−メタアクリロイルオキシエチル。
【0067】
実施例1−5を反応性押出し加工で用いることに加えて、それらにまた接着試験も受けさせて、参考として用いた。この目的で、これらの重合体を溶液の状態で下塗りをしておいた厚みが23μmのポリエステルフィルムに通常通り塗布した。この純粋な(pure)接着剤に乾燥を120℃で10分間受けさせた後の塗布質量(applied mass)は50g/m2であった。電子ビームまたは紫外光による照射で試験片を硬化させた後、これらが示すゲル指数を測定し、その後、せん断試験を室温で受けさせることで凝集力を測定した。その結果を表2に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
実施例1を紫外光(254nm)で硬化させた。ウエブ速度を20m/分にした時に58%のゲル指数を得た。この接着剤が示した凝集力は低く、これは、これに含まれる非極性部分の分率が比較的高いことによる。それとは対照的に、実施例2−6を電子ビームで硬化させた。測定ゲル指数は2から42%の範囲であった。せん断荷重(shearing weight)を10Nにした時のせん断強度も同様に全てのケースで高いせん断強度を有するアクリル系PSAに求められる目標である10000分よりも明らかに低かった。実施例6自身は特に電子ビームによる架橋が劣っていたが、これは、樹脂が存在していると電子ビームによる架橋の効率が一般に低いことによる。
【0070】
このような結果を参考として用いて、実施例1−5に濃縮を受けさせ、即ちこれから溶媒を除去し、このようにしてホットメルト操作に適した調製を受けさせた。次に、このアクリル系ホットメルトを場合により0.1重量%の4−ビニルアニリンおよびいろいろな量のヒドロキシル化アクリレートと反応させた。この反応を記録用押出し加工機(せん断度および反応温度を変えることができる)内で起こさせた。これを用いてまたトルクの変動を記録することも可能である。明瞭さの目的で、工程パラメーターとビニル化合物の使用量を表3に挙げる。
【0071】
【表4】
【0072】
2−HEA=アクリル酸2−ヒドロキシエチル、2−HEMA=メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル
実施例1#で反応させた2−HEAは0.5モル当量のみであった。それとは対照的に、実施例2#−4#では各場合とも等モル量の2−HEMAと混合した。選択した触媒は4−ビニルアニリンであった、と言うのは、二重結合が架橋中にポリアクリレートの中に組み込まれることで塩基の残存画分が揮発性画分としてPSAの中に残存することはないからである。PSAの低いせん断を模擬する目的で混合の回転速度を30rpmにし、このように比較的低くした。実施例5#の場合には、より高いせん断を導入した。実施例1#では反応温度を110℃に設定した、と言うのは、この重合体は最も低い粘度を示したからである。実施例2#−4#では反応および押出し加工温度を130℃にし、実施例5#ではそれを150℃にした。全ての試験片の反応時間を1時間にしたが、実施例5#では1分間にした。その後、これらの実施例を最初にホットメルトとしてダイスに通して、下塗りをしておいたポリエステル製支持体(厚みが23μm)の上に塗布した後、これらに、実施例に応じて、紫外線または電子ビームを用いた硬化を表2に類似した様式で受けさせた後、接着試験を受けさせた。純粋なアクリル系PSAの塗布被覆率を再び50g/m2にした。加うるに、反応変換率をFT−IRで測定した。これらの試験の結果を表4に要約する。
【0073】
【表5】
【0074】
実施例1#の場合には、無水物の変換率(COのIR帯の低下パーセントで表す)は比較的低かったが、これは、用いた2−HEAが0.5モル当量のみであることによる。それにも拘らず、紫外線による架橋の効果はかなりの効果であった。ゲル指数は同じ架橋条件下で58%から70%にまで高くなった。加うるに、この組成物は架橋後に有意により高い凝集力を示すようになり、これは、この組成物に2−HEAを用いた反応性押出し加工を受けさせたことによる。同じ傾向が実施例2#−5#でも記録された。ある場合にはゲル指数がかなり高くなり、これらの実施例のせん断強度は一般に10000分を超えていた。この場合に赤外分光測定で検出した変換率は約80%であった。このサンプルを樹脂とブレンドした場合でもこれに反応性押出し加工を受けさせておくと必要な電子ビーム線量の有意な低下を達成することができることが分かる。
【0075】
これらの実施例を用いて、反応性押出し加工の原理を容易に架橋し得るアクリル系ホットメルトの調製で利用できることを実証することができる。その上、凝集力が向上する効果も確認した。
【0076】
特にアクリル系およびメタアクリル系の二重結合を架橋性官能基として導入しておくと、架橋速度が顕著に速くなり、その結果として、ずっと良好でより効果的な架橋を達成することが可能になる。本方法を用いてアクリル系PSAを製造すると、これの分子量を通常製造の(官能化を受けていない)アクリル系PSAのそれより20−40%低くした場合でも、これは高い分子量を有するように通常に調製されたPSAが示す接着特性と全く同じほど良好な接着特性を達成すると同時に、分子量が低いことから非常に低い粘度を示し、従って、ホットメルト操作における加工品質がかなり向上した。
本発明は、二重結合による官能化を受け(functionalized)ていて放射線誘発架橋で凝集力(cohesion)が向上する感圧接着特性を有するポリアクリレートを製造する方法、およびこのようなポリアクリレート系(polyacrylate)感圧接着剤を付着させた接着テープ(adhesive tape)に関する。
【0002】
ホットメルト(hotmelt)感圧接着剤(ホットメルトPSA)は、ホットメルト接着剤の特性と感圧接着剤の特性を組み合わせて持つ複合物である。ホットメルトPSAは高温で溶融しそしてこれを基質に接触させた状態で冷却すると永久的な粘着性を示すフィルムを形成し、このフィルムは接着的に(adhesively)流れる。これをいろいろな基質、例えば紙、布、金属および重合体フィルムなどと組み合わせて用いることで、多種多様な製品、特に感圧接着テープおよびまたラベルを製造することができる。このような感圧接着性製品は自動車産業で幅広い用途分野を有し、例えば固定または密封などで用いられるか、或は薬剤産業で幅広い用途分野を有し、例えば活性物質のパッチなどで用いられる。
【0003】
ホットメルトPSAの典型的な被覆温度は80から180℃の範囲である。この被覆温度を下げるには、その塗布すべきホットメルトPSAの分子量をできるだけ低くすべきである。他方、このPSAテープが使用時に基質から滑り落ちることがないように、また、このPSAにあるレベルの凝集力を持たせるべきである。この凝集力を高くするには、逆に、分子量を高くすることが必須である。
【0004】
このような問題を解決する目的で、分子量は比較的低いが二重結合を側鎖に沿って含む重合体が開発された。このような重合体、例えばポリエステルのアクリレートまたはポリウレタンのアクリレートなどは、紫外線またはイオン化放射線(ionizing radiation)を用いると、その二重結合を通して有効に架橋し得るが、それらが示す接着特性は限られた度合のみである。
【0005】
アクリル系(acrylic)PSAを架橋させる前に多官能アクリレートおよび/またはメタアクリレートを添加すると架橋が助長され、それによって架橋反応性が向上しかつまた凝集力も向上するが、しかしながら、それが照射中に起こす反応は2段階機構(重合体に結合した後、まだ遊離状態のアクリレートの二重結合を通して架橋反応が起こる)であり、従って、架橋効率が低い。
【0006】
二重結合による官能化を共重合で受けさせる原理をアクリル系PSAでも同様に用いるのは不可能である、と言うのは、その場合の相当するポリアクリレートの調製はフリーラジカル重合で行われるからである。その場合、二重結合の全部が重合過程中に反応する、即ち重合中にゲル化が起こる場合がある。これの一例をPastor[米国特許第4,234,662 A号]が示しており、彼は、アクリル酸アリルまたはメタアクリル酸アリルを重合で用いた。しかしながら、中心になる問題は、そのような化合物を共重合させている間に起こる問題であり、そのような化合物は一般にフリーラジカル重合過程中にゲル化を起こす。その上、アリル基が架橋反応に関して示す反応性は比較的低いことから、苛酷な実験条件が必要であり、特に高い温度または長期の照射が必要である。従って、アリル修飾アクリル系重合体を架橋PSAとして用いるのはあまり適切でない。
【0007】
二重結合に官能化を受けさせる別の可能性も存在し、これは、それが重合体に類似した反応(polymer−analogous reactions)を起こすことによる。一般的に述べると、重合体に類似した反応は溶液の状態または溶融物の状態で実施可能である。EP 0 608 981 B1にも同様に二重結合に関するゲル化問題が示されている。重合体に類似したさらなる多様な反応を用いてそれの補助を行っている。従って、カルボン酸、ヒドロキシル、エポキシドおよびアミン基を有するポリアクリレートと二重結合を含む化合物を重合体に類似した反応で反応させることができ、これに関しては米国特許第4,665,106A号を参照のこと。しかしながら、この必要な成分が示す熱安定性は低いことから、このような反応をホットメルトに適用するのは不可能である。その上、ゲル化を回避するにはポリアクリレートに調節剤(regulator)を多量に添加する必要があることから、操作条件が不利である。
【0008】
従って、アクリル系ホットメルトに関して、米国特許第5,536,759 A号には、ヒドロキシルもしくはカルボン酸基を含むポリアクリレートと1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)ベンゼン(m−TMI)を溶液の状態で反応させた後にホットメルト加工を行うことが記述されている。それとは対照的に、個々の方法のプロス(pros)およびコンス(cons)が記述されている[Chemie Ingenieur Technik(70)、1998、560−566頁];即ち「重合体に類似した反応を溶融状態で起こさせると2つの過程(他の様式では互いに個別に進行する)を起こさせることが可能になる。まず最初に反応が起こるが、その反応媒体は溶融状態であることから、この反応中に押出し加工による成形を開始させることができる。このようにして、追加的反応槽も処理も全く必要でない。それにも拘らず、溶媒を存在させないと反応過程がいろいろな面で複雑になり、例えば、反応混合物が不均一になり、そして反応体が別の反応体の中に拡散する速度が比較的遅くなる」ことが記述されている。
【0009】
従って、EP 0 608 981 B1に記述されている方法は、重合体に類似した反応を溶液の状態で行うと言った基本的な欠点を有する。従って、重合体に類似した反応を溶融状態で起こさせることを可能にするアクリル系PSA方法が得られたならば、これは望ましいことである。
【0010】
中心になる問題は、反応体の拡散速度が遅い点にある。このような問題は単に反応温度を上昇させることで解決可能であり、それによって、個々の成分が互いに対して示す反応性が向上する。しかしながら、アクリル系PSAの場合には、それに関して固有の制限が存在する。
【0011】
従って、重合体に類似した反応を溶融状態で行う場合に使用する材料は一般に熱可塑性プラスチックであり、これに加工および官能化を高温で受けさせる。例えば、熱可塑性プラスチックであるポリスチレン−無水マレイン酸の反応は180−200℃の温度で起こる[Chemie Ingenieur Technik(70)、1998、560−566頁およびChemie Ingenieur Technik(71)、1999、1418−1421頁]。追加的に、ポリエステルと無水マレイン酸は溶融状態で反応する[Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry、37巻、1693−1702(1999)]。しかしながら、両方の方法ともアクリル系PSAに二重結合による官能化を受けさせようとする場合には適切でない。Journal of Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry、37巻、1603−1702(1999)にラジカルグラフト化(radical grafting)による官能化が開示されているが、ビニル化合物は即座に重合する可能性があることで次の支持体上で起こさせる架橋にはもはや利用されなくなるであろうことを考慮すると、それを二重結合による官能化で用いるのは不可能である。従来技術[Chemie Ingenieur Technik(70)、1998、560−566頁]で用いられた重合体のガラス転移温度はPSAにはあまりにも高すぎ、それを類似した様式でアクリル系PSAに適用すると、それが示す反応温度が過度に高くなり[高い温度を用いると、例えば熱で分解する開始剤が重合過程後に残存してそれが反応を起こし、或は個々の共重合体、例えばアクリル酸t−ブチル共重合体などは160℃を超えると分解を起こすことが原因で重合体が既にひどい変色を起こす]、かつまた、共重合した無水マレイン酸の分率が非常に高くなることでガラス転移温度が非常に高くなってしまうであろう。
【0012】
ポリアクリレートと1−(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−3−(1−メチルエテニル)ベンゼン(m−TMI)を溶液の状態で反応させることに関して米国特許第5,536,759 A号に記述されている方法もまたこの上に記述した方法と同様に適用不能である、と言うのは、イソシアネートは高い毒性を示すことに加えて被覆後の架橋反応性があまりにも低いであろうからである。
【0013】
これまでに記述した方法全部に一般的な重大な欠点は、被覆後の架橋反応性が低い点にある。ビニル化合物は架橋で生じさせるラジカルに対して低い反応性を示し、その結果として、架橋が完全には起こらずかつあまり効果的でない。競合反応が起こることで望まれる架橋が生じず、例えば大気の酸素または添加した粘着付与剤樹脂(tackifier resins)によって起こるラジカルの飽和の方が優先する。従って、このように架橋の調節性が劣ることが大きな問題になる可能性があり、例えば二重結合の全部が架橋中の反応で消費されないことからPSAの老化挙動に問題が生じ、このようなPSAは長期間貯蔵している間に後架橋(post−crosslinking)を起こす可能性がありかつまた紫外光または酸素および/またはオゾンの影響下で反応を起こして接着強度の顕著な損失を起こすであろう。
【0014】
従って、反応性二重結合による官能化を受けていて化学放射線で高い反応性を伴って架橋し得る新規な種類のアクリル系PSAテープを得る目的で、非常に迅速に反応し得るが重合体に類似した反応でゲル化を起こさない化合物が求められておりかつゲルを生じることなく加工および支持体への被覆を行うことを可能にする工程操作が求められている。
【0015】
本発明の目的は、アクリル系が基になっていて室温で粘弾性挙動を示しかつ従来技術の欠点を示さない感圧接着剤を製造する方法を提供することにある。この目的は、PSAがホットメルト加工中にゲル化を起こさないようにすること、特に二重結合を組み込む結果としてPSAが熱安定性を失うことが起こらないようにすることにある、即ち反応性二重結合を与えたアクリル系PSAは後で溶融状態でゲルを起こすことなく支持体に被覆可能であるべきであり、かつ前記PSAは高い架橋効率で架橋し得るべきである。
【0016】
本主請求項に挙げる如き方法を用いて本目的を達成するが、これは驚くべきことでありかつ本分野の技術者にとって予想外であった。さらなる請求項は本方法の有利な進展、本方法を用いて生じさせた感圧接着剤、そして前記接着剤の使用に関する。
【0017】
従って、本発明は、架橋したアクリル系感圧接着剤の製造方法を提供し、この方法は、
・ 最初に下記の単量体:
(a)下記の構造:
【0018】
【化2】
【0019】
[ここで、
R1=HまたはCH3、そして
R2=炭素原子数が2−20のアルキル鎖]
で表されるアクリルおよびメタアクリル酸系単量体を単量体混合物中45−99.5重量%の分率、
(b)オレフィン系二重結合を含む1種以上の無水カルボン酸を単量体混合物中0.5−25重量%の分率、より好適には単量体混合物中1−5重量%の分率、
(c)官能基Aを有するさらなるオレフィン系不飽和単量体を単量体混合物中0−30重量%の分率、
で用いたフリーラジカル(共)重合でポリアクリレートを生じさせ、
・ このようにして生じさせた重合体に濃縮を受けさせることで溶媒含有量が≦2重量%のポリアクリレート組成物を生じさせ、
・ 前記ポリアクリレート組成物に、少なくとも2種類の官能基BとC[基Bは無水カルボン酸と一緒に重合体に類似した反応に加わり得る基であり、そして基Cは架橋性基(crosslinkable groups)である]を有するさらなる単量体を添加し、
・ 前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間で反応を起こさせることで、官能基Bを含む前記単量体を前記重合体に側鎖として結合させ、
・ 前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間の反応が起こった後、この感圧接着剤を溶融状態で支持体に塗布し、そして
・ 高エネルギーの放射線を用いて前記重合体の架橋を前記支持体上で実施する、
ことを包含する。
【0020】
本方法を用いると、後で穏やかな条件下で起こさせる効率良い架橋で利用される官能基を重合体に導入することができ、架橋を起こさせる前記官能基は重合過程中に消費されることも官能性を失うこともない。
【0021】
前記官能基BとCを含む化合物の導入を重合後早くも行うことから、架橋性官能基Cはこれが重合体鎖の中に取り込まれた後でも反応性を維持する。そのようにすると、高い架橋反応効率を示す官能基を重合体の中に導入することができる(フリーラジカル重合の場合、そのような官能基は官能性を失ってしまうが)。
【0022】
フリーラジカル重合過程中に生じるPSAの平均分子量(重量平均Mw)をこれがポリアクリレート組成物に通常の範囲内、即ち100000から2000000の範囲になるように選択し、具体的には、それをホットメルトPSAとして更に用いる場合には、分子量(重量平均Mw)が100000から800000、より好適には100000から400000g/モルのPSAが好適である。前記重合は有機溶媒の存在下か、水の存在下か、或は有機溶媒と水の混合物中で実施可能である。この目的は、溶媒の使用量を最小限にすることにある。重合時間は変換率および温度に応じて6から48時間の範囲である。選択可能な反応温度が高ければ高いほど、即ち反応混合物の熱安定性が高ければ高いほど、短い反応時間を選択することができる。
【0023】
本発明の目的で、濃縮段階直後に官能基BとCを有する単量体の添加そして前記官能基Bと無水カルボン酸の反応を行うように工程の操作を行うのが特に有利である。
【0024】
本発明の1つの進展では、この操作を押出し加工機で行う、即ちこの目的で二軸押出し加工機(例えばWerner & Pfleiderer、ZSK 40)またはコニーダー(co−kneader)(例えばBuss)を用いるのが非常に適切であることを確認した(反応性押出し加工)。前記押出し加工機を用いて、フリーラジカル重合で生じさせたアクリル系PSAに濃縮を受けさせることで溶媒を除去する。本発明の方法では、有利に、この濃縮操作を受けた後の重合体組成物の溶媒含有量が0.5重量%未満になるようにする。濃縮後、官能基BとCを有する成分を押出し加工機またはコニーダーに好適には計量して加える。ここで、重合体鎖に組み込まれた無水カルボン酸基と官能基Bの間で反応が起こる。本発明の方法の好適な1つの態様では、前記添加を2番目の押出し加工機を用いて行うことも可能である。この場合には、バレルの長さ、処理量(回転速度)、混練り温度および任意触媒の添加量を用いて最適な反応条件を設定することができる。その上、操作中にゲル化が起こらないようにするには、せん断が相対的に低いスクリュー形態の押出し加工機を選択すべきである。
【0025】
本発明の目的で、架橋性基Cを含みかつまた無水カルボン酸と反応し得るヒドロキシル官能も有する化合物のいずれも有利に使用可能である。ヒドロキシル基で置換されている化合物ばかりでなく、架橋性基Cを含みかつ無水カルボン酸と直接または触媒作用下で反応(特に架橋反応)し得る他の官能基も含む化合物を本発明の方法で好適に用いることも可能である。そのような官能基は本分野の技術者に良く知られており、ここでは例として下記を挙げることができるが、下記のリストで不必要に制限することを望むものでない:アルコキシ基、メルカプト基、チオエーテル基、ヒドロキシル基、未置換アミノ基、置換アミノ基、オキサゾリンおよび/または未置換もしくは置換アミド基ばかりでなく、この上に概略を示した意味で無水カルボン酸と反応し得る他のあらゆる官能基。
【0026】
前記重合体の良好で効率良い架橋を確保する目的で卓越した効果で用いる架橋性基Bの例はビニル基、更により好適にはアクリレートもしくはメタアクリレート基であり、これらはまた置換誘導体の形態でも使用可能である。従って、本発明の概念の意味で有利な官能基BとCを含む単量体は、ヒドロキシル含有アクリレート、例えば非常に好適にはアクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA、アクリル酸の2−ヒドロキシエチルエステル)、アクリル酸ヒドロキシプロピル(アクリル酸の3−ヒドロキシプロピルエステル)など、ヒドロキシル含有メタアクリレート、例えばメタアクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA、メタアクリル酸の2−ヒドロキシエチルエステル)、メタアクリル酸ヒドロキシプロピル(メタアクリル酸の3−ヒドロキシプロピルエステル)など、および/またはビニル化合物、例えば1−デセノールなど、オキサゾリン、例えばリシネン−アルキルオキサゾリンまたはソヤ(soya)アルキルオキサゾリンなど、アクリルアミド、例えばブトキシメチルアクリルアミドなど、または置換アミノ化合物、例えばメタアクリル酸t−ブチルアミノエチルなどである。
【0027】
基BとCを官能基として有する化合物の添加モル分率は、好適には、重合でポリアクリレート鎖に組み込んでおいた無水カルボン酸のモル量に相当するが、またその量よりも少ない量または多い量を選択することも可能である。基BとCを官能基として有する化合物の添加量を、非常に好適には、添加する前記単量体の官能基Bの数nBと共重合した無水カルボン酸単位の数nCSAのモル比nB/nCSAが0.8から1.2の範囲、非常に好適には0.8から1の範囲の大きさの範囲、即ちnB/nCSA≦1になるように選択する。
【0028】
本発明の方法の1つの好適な変法では、基BとCを官能基として有する化合物の添加量を重合体を基準にして0.1から25重量%、好適には1から19重量%の範囲にする。共重合させた無水カルボン酸の量およびBとCを官能基として有する化合物の量を用いて、溶融状態で起こさせる重合体に類似した反応の反応速度を調節することができる。
【0029】
本方法の非常に好適な1つの手順では、反応性を向上させる目的で触媒を添加する。この触媒の分率を無水カルボン酸を基準にして0.01から5モル%、好適には0.1から0.5モル%の範囲にする。
【0030】
この反応を酸または塩基による触媒作用下で進行させる。全てのルイス酸化合物を酸として用いることができる。この反応を好適にはp−トルエンスルホン酸、イタコン酸、ジブチル錫オキサイドまたは酢酸ナトリウムを用いて進行させる。あらゆるルイス塩基を塩基として用いることができる。この反応を好適には4−ビニルアニリン触媒作用下で進行させる。
【0031】
用いるポリアクリレートの流動粘度(flow viscosity)に従い、この反応を高温で進行させる。選択する温度は好適には60℃から180℃の範囲であり、1つの特に好適な範囲は110から160℃の範囲である。
【0032】
本発明の方法では、分子量を変えることで溶融状態における加工特性を向上させるのも同様に有利であり得る。従って、例えば分子量を下げることで、流動粘度を低下させることができ、このようにして反応傾向を高くすることができる。さらなる点は押出し加工機内のせん断下の加工特性である、と言うのは、粘度が相対的に低くかつ分子質量が比較的低いPSAは押出し加工機による加工がより容易であり、従って、導入されるせん断が大きく低下するからである。
【0033】
コンパウンド化(compounding)、即ちさらなる添加剤の添加は、一般に、先行する段階と同じ装置、さらなる押出し加工機またはコンパウンダーを用いて同様に実施可能であり、また、重合体組成物の追加的共混合(commixing)を行うことも可能である。接着テープの製造では、この上に記述した重合体を場合により架橋剤とブレンドしてもよく、この意味で適切な架橋剤物質は二官能もしくは多官能アクリレート、二官能もしくは多官能イソシアネートまたは二官能もしくは多官能エポキシドである。しかしながら、ここでは、また、ポリアクリレートを架橋させ得ることが本分野の技術者に良く知られている如何なるさらなる二官能もしくは多官能化合物も使用可能である。架橋を紫外線で起こさせる場合には光開始剤を用いる。不必要な制限を課すことを望むものでないが、挙げることができる光開始剤の例には、開裂を起こす(ラジカルを発生する)光開始剤、特にα−開裂剤および水素引き抜き剤が含まれる。光で開裂を起こす開始剤の群として挙げることができる例には、芳香族カルボニル化合物、特にベンゾイン誘導体、ベンジルケタール類およびアセトフェノン誘導体が含まれる。水素引き抜き剤には、例えば芳香族ケトン、例えばベンゾフェノン、ベンジルおよびチオキサントンなどが含まれる。
【0034】
感圧接着剤を調製する時、そのような弾性重合体を更に場合により少なくとも1種の樹脂とブレンドしてもよい。添加可能な粘着付与樹脂には、例外なく、文献に記述されている現存の粘着付与剤樹脂の全部が含まれる。挙げることができる代表例には、ピネン樹脂、インデン樹脂およびロジン、それらの不均化誘導体、水添誘導体、重合誘導体、エステル化誘導体および塩、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂およびテルペン−フェノール樹脂、およびまたC5、C9および他の炭化水素樹脂が含まれる。結果として生じる接着剤の特性を所望に応じて調整する目的で、前記およびさらなる樹脂の如何なる所望組み合わせも使用可能である。一般に、相当するポリアクリレートと相溶する(に可溶な)あらゆる樹脂が使用可能である。Donatas Satas著「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」(van Nostrand、1989)に示されている最新技術の記述が明らかに参考になる。本アクリル系ホットメルトに更に1種以上の添加剤、例えば老化抑制剤、光安定剤、オゾン保護剤、脂肪酸、樹脂、可塑剤、核形成剤、発泡剤および促進剤などをブレンドしてもよい。老化抑制剤として、一次および二次両方の老化抑制剤そしてまた光安定剤(これらの互いの組み合わせを包含)を用いることができる。この時点では単に下記を適切であるとして挙げる:Ciba GeigyのIrganox(商標)グレードおよびClariantのHostanox(商標)。老化に対抗する卓越したさらなる作用剤としてフェノチアジン(炭素ラジカル捕捉剤)およびまたヒドロキノンのメチルエーテルを酸素の存在下で用いること、およびまた酸素自身を用いることも可能である。更に、本ホットメルトPSAに1種以上の充填材、例えば繊維、カーボンブラック、酸化亜鉛、二酸化チタン、固体状微細球、固体状または中空ガラス球、シリカ、ケイ酸塩およびチョークなどを充填することも可能であり、さらなる可能性はブロックされていない(blocking−free)イソシアネートの添加である。
【0035】
このような様式でブレンドしたアクリル系PSAを、好適には、溶融状態で更に加工する(ホットメルトとして)。これを接着テープ用接着剤として用いる場合、これを支持体に被覆した後、凝集力が向上するように架橋させる。
【0036】
この官能化を受けさせたアクリル系PSAの被覆をゲルを含まない形態の溶融物の状態で実施するのが有利である。この目的で、スロット幅(slot width)が100から500μm、より好適には150から300μmの溶融物用ダイス(melt dies)または押出し加工用ダイスを用いるのが好適である。
【0037】
これに関連して、支持体材料として、本分野の技術者に良く知られている通常の材料、例えばフィルム(ポリエステル、PET、PE、PP、BOPP、PVC)、不織布、発泡体、織物および織りフィルム、およびまた適宜剥離紙(例えばグラシン、HDPE、LDPE)を用いてもよい。このリストは排他的であることを意図するものでない。
【0038】
この接着剤を紫外光またはイオン化放射線で架橋させる。ホットメルト過程または反応性押出し加工中に反応しなかった残りのビニル化合物が架橋中に生じたラジカルと反応し、遅くともこの時点で前記重合体と結合し、その結果として、それらは以降もはやPSAテープから出て行くことができなくなる。紫外線または電子ビームによる架橋は、側鎖に二重結合が含まれていることから、非常に効率良く進行する。
【0039】
官能化を受けていないポリアクリレートに比較して、最適な架橋を得るに要する線量が低く、それによって、要するエネルギー量が少なく、そして電子ビームによる架橋の場合、支持体材料が被る損傷の度合が少なくなり得る。その上、凝集力が向上する効果も得られた。
【0040】
本発明の方法を用いて生じさせたポリアクリレートの場合、アリル二重結合による修飾を受けているポリアクリレートとは対照的に、熱安定性の大きな低下は生じない。この熱安定性はホットメルト被覆工程による加工に充分なほど高いままである。従って、このような様式で生じさせた全アクリレート系(all−acrylate systems)は、140℃で少なくとも48時間に渡ってゲルを生じず、樹脂をブレンドした系では120℃で少なくとも48時間に渡ってゲルを生じない。
【0041】
本発明の方法は、反応性押出し加工方法をポリアクリレートが基になったPSAの調製に適用する道を開くものである。このような結果は驚くべき結果であり、本分野の技術者が予測し得るものでなく、それとは対照的に、本分野の技術者は、反応性押出し加工に典型的な非常に苛酷な操作条件(高い温度、長い滞留時間)によって高いレベルのゲル化が押出し加工機内で起こると予測していた。
【0042】
従って、本発明の方法で生じさせるポリアクリレートでは、これの中に無水カルボン酸基とカルボン酸基とヒドロキシル基が組み込まれておりかつ更に(メタ)アクリレート基が側鎖として存在する。反応性押出し加工条件下では二次的反応が例えばエステル交換反応、特に重合体鎖が互いに起こすエステル交換反応の形態で起こると予測されていた。この種類の二次的反応が起こると結果としてポリアクリレート組成物が起こすゲル化の度合が高くなってしまうであろう。予想外に、そのような反応は事実上観察されず、その代わりに、本発明に従い、カルボン酸基(好適には無水マレイン酸基)と添加した単量体の官能基B(好適にはヒドロキシル基)の間の反応が優先的に起こる。それによって、驚くべきことに、押出し加工機内で重合体に類似した反応が起こり、その結果として反応速度が速くなることから押出し加工機内の滞留時間を短くすることが可能になる。
【0043】
このようなシステムを用いて、ゲルを含まないポリアクリレート組成物を生じさせることができ、これはゲル化過程に関して高い安定性を示す(「ゲルを含まない(gel−free)」は、標準的な被覆装置を用いて組成物を被覆することができると言った要求に従うことを示す)。本ポリアクリレート組成物はゲルを含まないことから溶融状態で被覆可能な接着剤として使用可能であり、従って、例えばPSAテープ用のPSAとして使用可能である。この被覆性は、標準的な被覆用ダイス(スロット幅が100から500μm、より好適には150から300μmの溶融物用ダイスまたは押出し加工用ダイス)を用いて例えばポリエステル製支持体に50μmの厚みで被覆を行った時に被覆パターン(coating pattern)が均一(均質)で不均一さを伴わないことで区別される。反応性押出し加工方法で通常もたらされるポリアクリレート組成物はそのような要求に合致せず、PSAとして使用不能である。本PSAを支持体に被覆する時、これを非常に好適にはインライン方法(inline process)で行うが、代替法としてまたオフライン操作を行うことも可能である。本PSAを支持体に被覆した後、これに所望の架橋反応を受けさせてもよい。
【0044】
本発明の方法では、最初に、ホットメルトシステム(hotmelt systems)を用いて、ポリアクリレートの側鎖に(メタ)アクリレート基を組み込む。これは、その組み込んだアクリレート基を通して架橋を直接起こさせることができることから、非常に穏やかな架橋方法の利点を与えるものである。電子ビームを用いて架橋を実施する場合の架橋反応速度は非常に速くかつアクリレート基の変換率も高い。従って、本発明の方法を用いて調製して架橋させたポリアクリレート系PSAが後架橋を起こす可能性は非常に僅かである(もし起こすとしても)。追加的に通常添加される架橋剤物質は、一般に、架橋反応中に完全には反応せず、その結果として、そのようなPSAは老化を起こしかつそのようなPSAの製品は時間が経過すると使用不能になってしまう。
【0045】
(実施例)
用いる市販化学品−商標名
【0046】
【表1】
【0047】
試験方法
調製したPSAの技術的接着特性を評価する目的で下記の試験方法を用いた。
せん断強度(試験A)
アセトンで3回そしてイソプロパノールで1回洗浄しておいた滑らかな鋼表面に幅が13mmの接着テープ片を付着させた。付着面積の寸法は20mmx13mm(長さx幅)であった。次に、2kgの重りを用いて前記接着テープを前記鋼製支持体の上に4回押し付けた。この接着テープに1kgの重りを室温で固定して、この重りの落下に要する時間を測定した。測定せん断安定時間を分で報告し、これは3回行った測定の平均に相当する。
ゲル分率の測定(試験B)
注意深く乾燥させておいた無溶媒接着剤サンプルをポリエチレン不織布(Tyvekウエブ)のパウチの中に入れてこれを溶着させる。トルエンを用いた抽出を受けさせる前と後のサンプル重量の差からゲル指数、即ちトルエンに溶解しなかった重合体の重量分率パーセントを決定する。
赤外分光測定
BrukerのFT−IR IFS 45分光測定器を測定で用いた。最初に、個々の無水カルボン酸をいろいろな濃度で用いて較正用プロットを編集した。CO帯の落下パーセントを測定することで、相当する無水カルボン酸部分の変換率を決定した。
分析を受けさせたサンプル
用いた無水カルボン酸は商業的に入手可能である。2−HEA(アクリル酸2−ヒドロキシエチル)および2−HEMA(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)に前以て蒸留による精製を受けさせておいて、これを窒素雰囲気下で貯蔵した。
【0048】
実施例1
フリーラジカル重合に通常の反応槽にアクリル酸2−エチルヘキシルを500g、アクリル酸メチルを350g、アクリル酸ブチルを70g、無水トリメリット酸4−メタアクリロイルオキシエチルを80gおよびアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を540g仕込んだ。この混合物の中に窒素ガスを45分間通した後に脱気することを2回行った後、前記反応槽を撹拌しながら58℃に加熱して、これにアゾイソブチロニトリル(AIBN)を0.2g加えた。次に、外部の加熱用浴を70℃に加熱して、反応を絶えず前記外部温度で実施した。1時間の反応時間後、AIBNを更に0.2g加えた。3時間後および6時間後のそれぞれでアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を250gづつ用いて希釈を行った。24時間後に反応を停止させて、この混合物を室温に冷却した。
【0049】
接着試験では、100gの前記接着剤(固体を基準)を0.4gのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(Irgacure 819;Ciba Geigy)とブレンドした後、この接着剤を、下塗りをしておいたPETフィルム(厚みが23μm)に50g/m2の被覆率(固体を基準)で塗布した。次に、Eltoschの紫外線照射装置(254nm、120W/cm)を用いて試験片に照射を20m/分受けさせた(ランプの下に4回通した)。次に、結果として得た試験片に試験方法AおよびBに従う接着試験を受けさせた。
【0050】
実施例2
フリーラジカル重合に通常の反応槽にアクリル酸を10g、アクリル酸2−エチルヘキシルを375g、アクリル酸メチルを200g、アクリル酸ブチルを375g、無水イタコン酸を40gおよびアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を290g仕込んだ。この混合物の中に窒素ガスを45分間通した後に脱気することを2回行った後、前記反応槽を撹拌しながら58℃に加熱して、これにアゾイソブチロニトリル(AIBN)を0.2g加えた。次に、外部の加熱用浴を75℃に加熱して、反応を絶えず前記外部温度で実施した。1時間の反応時間後、AIBNを更に0.2g加えた。3時間後および6時間後のそれぞれでアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を250gづつ用いて希釈を行った。24時間後に反応を停止させて、この混合物を室温に冷却した。
【0051】
接着試験では、前記接着剤を、下塗りをしておいたPETフィルム(厚みが23μm)に50g/m2の被覆率(固体を基準)で塗布した。次に、この試験片に線量が20kGyの電子ビームによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた(CrosslinkingのEBC装置)。次に、結果として得た試験片に試験方法AおよびBに従う接着試験を受けさせた。
【0052】
実施例3
フリーラジカル重合に通常の反応槽にアクリル酸を20g、アクリル酸2−エチルヘキシルを810g、アクリル酸メチルを50g、無水トリメリット酸4−メタアクリロイルオキシエチルを120gおよびアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を540g仕込んだ。この混合物の中に窒素ガスを45分間通した後に脱気することを2回行った後、前記反応槽を撹拌しながら58℃に加熱して、これにアゾイソブチロニトリル(AIBN)を0.2g加えた。次に、外部の加熱用浴を70℃に加熱して、反応を絶えず前記外部温度で実施した。1時間の反応時間後、AIBNを更に0.2g加えた。3時間後および6時間後のそれぞれでアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を250gづつ用いて希釈を行った。24時間後に反応を停止させて、この混合物を室温に冷却した。
【0053】
接着試験では、前記接着剤を、下塗りをしておいたPETフィルム(厚みが23μm)に50g/m2の被覆率(固体を基準)で塗布した。次に、この試験片に線量が15kGyの電子ビームによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた(CrosslinkingのEBC装置)。次に、結果として得た試験片に試験方法AおよびBに従う接着試験を受けさせた。
【0054】
実施例4
フリーラジカル重合に通常の反応槽にアクリル酸を20g、アクリル酸2−エチルヘキシルを430g、アクリル酸メチルを100g、アクリル酸ブチルを430g、無水マレイン酸を20gおよびアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を212g仕込んだ。この混合物の中に窒素ガスを45分間通した後に脱気することを2回行った後、前記反応槽を撹拌しながら58℃に加熱して、これにアゾイソブチロニトリル(AIBN)を0.2g加えた。次に、外部の加熱用浴を75℃に加熱して、反応を絶えず前記外部温度で実施した。1時間の反応時間後、AIBNを更に0.2g加えた。3時間後および6時間後のそれぞれでアセトン/特殊な沸点のスピリット(1:1)を300gづつ用いて希釈を行った。24時間後に反応を停止させて、この混合物を室温に冷却した。
【0055】
接着試験では、前記接着剤を、下塗りをしておいたPETフィルム(厚みが23μm)に50g/m2の被覆率(固体を基準)で塗布した。次に、この試験片に線量が25kGyの電子ビームによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた(CrosslinkingのEBC装置)。次に、結果として得た試験片に試験方法AおよびBに従う接着試験を受けさせた。
【0056】
実施例5
フリーラジカル重合に通常の反応槽にアクリル酸2−エチルヘキシルを1500g、アクリル酸メチルを200g、アクリル酸を100g、無水マレイン酸を10g、N−t−ブチルアクリルアミドを100gおよびアセトンを330g仕込んだ。この混合物の中に窒素ガスを45分間通した後に脱気することを2回行った後、前記反応槽を撹拌しながら66℃に加熱して、これにVazo 67(商標)(DuPont)を1g加えた。8時間後に再びVazo 67(商標)(DuPont)を1gおよびアセトンを500g加えた。24時間後および28時間後のそれぞれでPerkadox 16(Akzo Nobel)を2.5gづつ加えた。32時間後、アセトンを600g用いて希釈を実施した。48時間後に反応を停止させて、この混合物を室温に冷却した。
【0057】
接着試験では、前記接着剤を、下塗りをしておいたPETフィルム(厚みが23μm)に50g/m2の被覆率(固体を基準)で塗布した。次に、この試験片に線量が10kGyの電子ビームによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた(CrosslinkingのEBC装置)。次に、結果として得た試験片に試験方法AおよびBに従う接着試験を受けさせた。
【0058】
実施例6
実施例5の比較として、アクリル系PSAを30重量%(重合体を基準)の炭化水素樹脂TK 90(商標)(Ruttgers)とブレンドした後、被覆で用いた。この手順は実施例5と同じであった。この組成物に線量が30kGyのEBによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた。
記録用押出し加工機を用いたホットメルト操作の実施
HaakeのRheomix 610p記録用押出し加工機を用いて、アクリル系ホットメルトのせん断および熱暴露を実施した。用いた駆動装置はRheocord RC 300p装置であった。PolyLabシステムのソフトウエアを用いて前記装置を制御した。前記押出し加工機に各場合ともアクリル系PSA/単量体混合物を52g仕込んだ(〜80%の充填レベル)。実験を110または130℃の混練り温度、30rpmの回転速度および1時間の混練り時間で実施した。次に、この試験片を約130℃のスロットダイスに通してホットメルトとして被覆した。
【0059】
実施例1#
実施例1と同様にして冷却した後のアクリル系PSAから溶媒を除去した後、このアクリル系ホットメルトを100g用いて、これを1.8gの2−HEA(アクリル酸2−ヒドロキシエチル)および約0.1gの4−ビニルアニリンと混合した。この混合物を52g用い、これに前記記録用押出し加工機を用いた処理をこの上に挙げた手順に従って110℃で受けさせた。反応が終了した後に被覆を実施した後、実施例1の手順に従った。この反応の変換率を赤外分光測定で測定した。
【0060】
実施例2#
実施例2と同様にして冷却した後のアクリル系PSAから溶媒を除去した後、このアクリル系ホットメルトを100g用いて、これを4.6gの2−HEMA(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)および約0.1gの4−ビニルアニリンと混合した。この混合物を52g用い、これに前記記録用押出し加工機を用いた処理をこの上に挙げた手順に従って130℃で受けさせた。反応が終了した後に被覆を実施した後、実施例2の手順に従った。この反応の変換率を赤外分光測定で測定した。
【0061】
実施例3#
実施例3と同様にして冷却した後のアクリル系PSAから溶媒を除去した後、このアクリル系ホットメルトを100g用いて、これを6.1gの2−HEMA(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)および約0.1gの4−ビニルアニリンと混合した。この混合物を52g用い、これに前記記録用押出し加工機を用いた処理をこの上に挙げた手順に従って130℃で受けさせた。反応が終了した後に被覆を実施した後、実施例3の手順に従った。この反応の変換率を赤外分光測定で測定した。
【0062】
実施例4#
実施例4と同様にして冷却した後のアクリル系PSAから溶媒を除去した後、このアクリル系ホットメルトを100g用いて、これを2.6gの2−HEMA(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)および約0.1gの4−ビニルアニリンと混合した。この混合物を52g用い、これに前記記録用押出し加工機を用いた処理をこの上に挙げた手順に従って130℃で受けさせた。反応が終了した後に被覆を実施した後、実施例4の手順に従った。この反応の変換率を赤外分光測定で測定した。
【0063】
実施例5#
実施例5と同様にして冷却した後のアクリル系PSAから溶媒を除去した後、このアクリル系ホットメルトを100g用いて、これを5.8gの2−HEMA(メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル)と混合した。この混合物を52g用い、これに前記記録用押出し加工機を70rpmで用いた処理をこの上に挙げた手順に従って150℃で1分間受けさせた。反応が終了した後に被覆を実施した後、実施例5の手順に従った。この反応の変換率を赤外分光測定で測定した。
【0064】
実施例6#
実施例5#の比較として、前記官能化を受けさせたアクリル系ホットメルトを30重量%(重合体を基準)の炭化水素樹脂TK 90(商標)(Ruttgers)とブレンドした後、ホットメルトとして溶融状態で被覆した。この手順は実施例5#と同じであった。この組成物に線量が30kGyのEBによる照射を230kVの加速電圧で受けさせた。
結果
アクリル系感圧接着剤の調製では、まず最初に、下記のアクリレートを表1に挙げる共重合用単量体と一緒に下記の濃度で重合させた。重合をアセトンと特殊な沸点のスピリットの混合物中でAIBNを用いて通常通り実施した。個々の反応管理に関してはこの上に示したセクションに記述した。
【0065】
【表2】
【0066】
AS:アクリル酸、2−EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル、MA:アクリル酸メチル、n−BA:アクリル酸n−ブチル、MSA:無水マレイン酸、ISA:無水イタコン酸、BSI:無水トリメリット酸4−メタアクリロイルオキシエチル。
【0067】
実施例1−5を反応性押出し加工で用いることに加えて、それらにまた接着試験も受けさせて、参考として用いた。この目的で、これらの重合体を溶液の状態で下塗りをしておいた厚みが23μmのポリエステルフィルムに通常通り塗布した。この純粋な(pure)接着剤に乾燥を120℃で10分間受けさせた後の塗布質量(applied mass)は50g/m2であった。電子ビームまたは紫外光による照射で試験片を硬化させた後、これらが示すゲル指数を測定し、その後、せん断試験を室温で受けさせることで凝集力を測定した。その結果を表2に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
実施例1を紫外光(254nm)で硬化させた。ウエブ速度を20m/分にした時に58%のゲル指数を得た。この接着剤が示した凝集力は低く、これは、これに含まれる非極性部分の分率が比較的高いことによる。それとは対照的に、実施例2−6を電子ビームで硬化させた。測定ゲル指数は2から42%の範囲であった。せん断荷重(shearing weight)を10Nにした時のせん断強度も同様に全てのケースで高いせん断強度を有するアクリル系PSAに求められる目標である10000分よりも明らかに低かった。実施例6自身は特に電子ビームによる架橋が劣っていたが、これは、樹脂が存在していると電子ビームによる架橋の効率が一般に低いことによる。
【0070】
このような結果を参考として用いて、実施例1−5に濃縮を受けさせ、即ちこれから溶媒を除去し、このようにしてホットメルト操作に適した調製を受けさせた。次に、このアクリル系ホットメルトを場合により0.1重量%の4−ビニルアニリンおよびいろいろな量のヒドロキシル化アクリレートと反応させた。この反応を記録用押出し加工機(せん断度および反応温度を変えることができる)内で起こさせた。これを用いてまたトルクの変動を記録することも可能である。明瞭さの目的で、工程パラメーターとビニル化合物の使用量を表3に挙げる。
【0071】
【表4】
【0072】
2−HEA=アクリル酸2−ヒドロキシエチル、2−HEMA=メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル
実施例1#で反応させた2−HEAは0.5モル当量のみであった。それとは対照的に、実施例2#−4#では各場合とも等モル量の2−HEMAと混合した。選択した触媒は4−ビニルアニリンであった、と言うのは、二重結合が架橋中にポリアクリレートの中に組み込まれることで塩基の残存画分が揮発性画分としてPSAの中に残存することはないからである。PSAの低いせん断を模擬する目的で混合の回転速度を30rpmにし、このように比較的低くした。実施例5#の場合には、より高いせん断を導入した。実施例1#では反応温度を110℃に設定した、と言うのは、この重合体は最も低い粘度を示したからである。実施例2#−4#では反応および押出し加工温度を130℃にし、実施例5#ではそれを150℃にした。全ての試験片の反応時間を1時間にしたが、実施例5#では1分間にした。その後、これらの実施例を最初にホットメルトとしてダイスに通して、下塗りをしておいたポリエステル製支持体(厚みが23μm)の上に塗布した後、これらに、実施例に応じて、紫外線または電子ビームを用いた硬化を表2に類似した様式で受けさせた後、接着試験を受けさせた。純粋なアクリル系PSAの塗布被覆率を再び50g/m2にした。加うるに、反応変換率をFT−IRで測定した。これらの試験の結果を表4に要約する。
【0073】
【表5】
【0074】
実施例1#の場合には、無水物の変換率(COのIR帯の低下パーセントで表す)は比較的低かったが、これは、用いた2−HEAが0.5モル当量のみであることによる。それにも拘らず、紫外線による架橋の効果はかなりの効果であった。ゲル指数は同じ架橋条件下で58%から70%にまで高くなった。加うるに、この組成物は架橋後に有意により高い凝集力を示すようになり、これは、この組成物に2−HEAを用いた反応性押出し加工を受けさせたことによる。同じ傾向が実施例2#−5#でも記録された。ある場合にはゲル指数がかなり高くなり、これらの実施例のせん断強度は一般に10000分を超えていた。この場合に赤外分光測定で検出した変換率は約80%であった。このサンプルを樹脂とブレンドした場合でもこれに反応性押出し加工を受けさせておくと必要な電子ビーム線量の有意な低下を達成することができることが分かる。
【0075】
これらの実施例を用いて、反応性押出し加工の原理を容易に架橋し得るアクリル系ホットメルトの調製で利用できることを実証することができる。その上、凝集力が向上する効果も確認した。
【0076】
特にアクリル系およびメタアクリル系の二重結合を架橋性官能基として導入しておくと、架橋速度が顕著に速くなり、その結果として、ずっと良好でより効果的な架橋を達成することが可能になる。本方法を用いてアクリル系PSAを製造すると、これの分子量を通常製造の(官能化を受けていない)アクリル系PSAのそれより20−40%低くした場合でも、これは高い分子量を有するように通常に調製されたPSAが示す接着特性と全く同じほど良好な接着特性を達成すると同時に、分子量が低いことから非常に低い粘度を示し、従って、ホットメルト操作における加工品質がかなり向上した。
Claims (14)
- 架橋したアクリル系感圧接着剤の製造方法であって、
・ 最初に下記の単量体混合物:
(a)下記の構造:
R1=HまたはCH3、そして
R2=炭素原子数が2−20のアルキル鎖]
で表されるアクリルおよびメタアクリル酸系単量体を単量体混合物中45−99.5重量%の分率、
(b)オレフィン系二重結合を含む1種以上の無水カルボン酸を単量体混合物中0.5−25重量%の分率、
(c)官能基Aを有するさらなるオレフィン系不飽和単量体を単量体混合物中0−30重量%の分率、
からフリーラジカル(共)重合でポリアクリレートを生じさせ、
・ このようにして生じさせた重合体を濃縮することで溶媒含有量が≦2重量%のポリアクリレート組成物を生じさせ、
・ 前記ポリアクリレート組成物に、無水カルボン酸と一緒に重合体に類似した反応に加わり得る官能基Bと架橋性基である基Cの少なくとも2種類の官能基BとCを有するさらなる単量体を添加し、
・ 前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間で反応を起こさせることで、官能基Bを含む前記単量体を前記重合体に側鎖として結合させ、
・ 前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間の反応が起こった後、高エネルギーの放射線を用いて前記重合体の架橋を実施する、
ことを含んで成る方法。 - 前記感圧接着剤を前記官能基Bと前記無水カルボン酸の間の反応と前記架橋の間に溶融状態で支持体に塗布することを特徴とする前請求項の1項記載の方法。
- 前記濃縮段階の直後に前記官能基BとCを有する単量体の添加そして前記官能基Bと前記無水カルボン酸の反応を特に押出し加工機内で行うことを特徴とする前請求項1または2記載の方法。
- 濃縮後の溶媒含有量が≦0.5重量%になるようにすることを特徴とする前請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- 前記単量体の前記官能基Bがヒドロキシル基、アルコキシ基、メルカプト基、チオエーテル基、未置換アミノ基、置換アミノ基、オキサリンおよび/または未置換もしくは置換アミド基であることを特徴とする前請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
- 前記単量体の前記官能基Cがビニル基、アクリレート基および/またはメタアクリレート基であることを特徴とする前請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
- 用いる官能基BとCを含む単量体にアクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEA、アクリル酸の2−ヒドロキシエチルエステル)、アクリル酸ヒドロキシプロピル(アクリル酸の3−ヒドロキシプロピルエステル)、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA、メタアクリル酸の2−ヒドロキシエチルエステル)および/またはメタアクリル酸ヒドロキシプロピル(メタアクリル酸の3−ヒドロキシプロピルエステル)を含めることを特徴とする前請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
- 添加する前記単量体の官能基Bの数nBと共重合した無水カルボン酸単位の数nCSAのモル比、即ちnB/nCSAのモル比を0.8から1.2の範囲、非常に好適には0.8から1の範囲にすることを特徴とする前請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
- 前記ポリアクリレート組成物に触媒、特にルイス酸、特にp−トルエンスルホン酸、またはルイス塩基、特に4−ビニルアニリンを添加することを特徴とする前請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
- 前記重合体に類似した反応の反応温度をこれが60℃から180℃、特に10から160℃の範囲になるように選択することを特徴とする前請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
- 前記単量体混合物または前記アクリル系感圧接着剤に樹脂または他の添加剤、例えば老化抑制剤、光安定剤、オゾン保護剤、脂肪酸、可塑剤、核形成剤、発泡剤、促進剤および/または充填材を添加することを特徴とする前請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
- 架橋させるべき前記ポリアクリレート組成物に架橋剤、特に二官能および/または多官能アクリレートおよび/またはメタアクリレートまたは光開始剤を添加することを特徴とする前請求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
- 電子ビームまたは紫外線を前記架橋用の高エネルギー放射線として用いることを特徴とする前請求項1〜12のいずれか1項記載の方法。
- 前請求項1〜13の少なくとも1項記載の方法で作られたアクリル系感圧接着剤を接着テープで用いる使用であって、前記アクリル系感圧接着剤を支持体の片面または両面に塗布する使用。
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