JP2004501279A - パルス高イオン化マグネトロンスパッタリング - Google Patents

パルス高イオン化マグネトロンスパッタリング Download PDF

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Abstract

【課題】マグネトロン放電がその間で起こる電極上に化合物層を形成することなく、強度の高イオン化金属プラズマフローを生成する方法および装置を提供する。
【解決手段】反応性堆積のためにパルス高イオン化磁気スパッタリングを使用する場合に、カソード(7)の表面に面する開口と、処理容器(11)に面する反対側の開口とを有する管(3)としてアノード電極を設計することにより、電極の領域における反応性ガスの圧力は大幅に低減され、マグネトロン放電がその間で起こる電極の表面上での化合物層の形成が回避される。工作物(13)は、真空システムに接続(31)され反応ガスが供給(29)される処理容器内に配置される。スパッタリング非反応性ガスはカソードの領域に供給(23)される。アノード管の内側では、アノードの周りに巻かれた少なくとも1つのコイル(27)によって発生される定常磁界によってイオンが導かれる。このため、発生される磁界は、アノード管の軸にほぼ平行である。アノード管は、適当なサイズの開口を有する隔壁(41)またはアノードと処理容器との接合部に配置された適当に調整された磁界のような制約装置によって、処理容器から分離することができる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルス高イオン化マグネトロンスパッタリング法により工作物を被覆する方法および装置に関し、特に、金属をスパッタリングする方法・装置および反応性スパッタリングの方法・装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スパッタリングを用いた被覆プロセスでは、蒸気が生成され、その原子が被覆対象のサブストレート(基板)に当たるように構成されている。蒸気は、一部イオン化されたガスまたはガス混合物から得られるイオンでターゲットを衝撃することによって生成される。ガスまたはガス混合物は、不活性ガス(通常はアルゴン)、または、不活性ガスと反応性ガスの混合物(通常、アルゴンと窒素、または、アルゴンと酸素)からなる。ガスのイオン化は、放電により、ガスをイオン化する電子を生成することによって行われる。磁気を利用したスパッタリングすなわちマグネトロンスパッタリングでは、放電で発生する電子をトラップ・収集して電子雲を形成するように、磁界が生成される。この電子雲は、磁界を適当に設計すれば、ターゲットの表面に位置して高い電子密度を有し、ターゲット表面に近い領域においてスパッタリングガスのイオン化を引き起こすことになる。ターゲットは、電子雲が形成される領域に比べて負の電位を有し、それによって、陽イオンをターゲットに向けて高速度で移動するように引きつける。ターゲットにおけるこれらのイオンの衝突は、ターゲット材料から原子を追い出す。追い出された原子は、ターゲット表面外部の領域に移動し、さらに、放電が行われターゲットが配置されている空間全体に移動する。追い出された原子の一部は、ターゲットの表面付近に位置する電子雲およびプラズマを通過してイオン化される。原子とイオンは、最終的に、前記空間の壁に堆積され、したがってサブストレートの表面上にも堆積されることになる。スパッタリング容器内では、大気圧よりやや低い圧力、例えば、ミリトルのオーダー(例えば、1×10−3〜5×10−3Torrの範囲)が通常維持される。
【0003】
現在、マグネトロンスパッタリング堆積法の主要な開発ラインの1つは、イオン化スパッタ堆積の方法および装置、特に、イオン化反応性マグネトロンスパッタリング堆積法に向けられている。
【0004】
スパッタリングおよび蒸気イオン化の効率的方法は、国際特許出願公開WO98/40532に開示されている。この従来の方法によれば、電子がマグネトロン磁界によってトラップされている領域の付近および内部における、十分にイオン化されたプラズマの形成が可能である。またこの方法によれば、金属蒸気のイオン化率が約80%であるような、高度にイオン化されたスパッタ金属のプラズマの形成が可能である(V. Kouznetsov et al., Surf. Coat. Techn., Vol.122, 1999, pp.290−293、参照)。しかし、この方法は、反応性マグネトロンスパッタ堆積には使用できない。
【0005】
金属のマグネトロンスパッタリング堆積法の場合、引用した国際特許出願に開示されている方法によって生成されるイオン化金属フラックスは、半導体チップ上の、高アスペクト比を有する、すなわち、幅に対する深さの比が高い、サブミクロン寸法のトレンチおよびヴィアを効率的に充填するために使用可能であることが実証されている(V. Kouznetsov et al.の前掲論文参照、また、S. M. Rossnagel, J. Hopwood, J. Vac. Sci. Techn., B 12, 1994, p.449、および、S. M. Rossnagel, J. Hopwood, Appl. Phys. Lett., Vol.63, 1993, p.3285、も参照)。このような狭小な構造物への例えばAl、Cuの金属堆積は、例えば、電子ボードおよびチップにおけるヴィアを用いた高密度相互接続を生成するために使用される。また、金属の高イオン化フラックスは、強磁性材料の効率的なスパッタリング(例えば、M. Yamashita, J. Vac. Sci. Techn., Ay, 1989, p.152、参照)、および、高エネルギーイオンにより薄膜の性質を修正するために、使用可能である
【0006】
すでに言及したように、引用した国際特許出願によるスパッタリングおよび蒸着の従来の方法は、反応性金属スパッタリングに適していないことによる欠点を有する。具体的には、この方法は、金属酸化物の高イオン化反応性マグネトロンスパッタリング堆積、特にアルミナAlの被覆の堆積を行うことができない。この欠点は、マグネトロン放電がその間で行われる電極の表面における化合物層の形成によるものである。この化合物層は、スパッタリングに用いられるいくつかの物質については、電気的に絶縁性であるか、またはその他の好ましくない電気的性質を有することがあり、その結果、所望されるマグネトロン放電の代わりにアーク放電が生じてしまう。ターゲットの表面上におけるAlのような化合物層の形成のもう1つの欠点は、堆積速度が低下することであり、これはいくつかの物理効果によって引き起こされる。例えば、アルミナの場合のスパッタリング収率は、アルミニウムの場合のスパッタリング収率より低く、酸化物に対する二次放出係数は、金属の場合より高い。後者の効果によりプラズマのインピーダンスは降下する。この降下は、余分の二次電子の注入と、ターゲット表面を衝撃するイオンのエネルギーが小さくなってスパッタリングフラックスが減少し正味の堆積速度がさらに小さくなるという事実とによるものである。
【0007】
現在、切削工具用のアルミナの被覆は、化学蒸着法(CVD)によって行われている(例えば、H. G. Prengel, W. Heinrich, G. Roder, K. H. Wendt, Surf. Coat. Techn., 68/69, 1994, p.217、参照)。CVDで用いられるアルミナの代表的なサブストレート温度は約1000℃である。サブストレートの温度がこのように非常に高いことは、使用するサブストレートを超硬合金(cemented carbide)のような焼結材料に制限し、また、硬化高速度鋼への堆積は必然的にその軟化を伴ってしまう。
【0008】
サブストレートにおけるエネルギーを増大させるために反応性Alイオンのフラックスを使用する場合には、アルミナの形成温度を非常に低下させ得ることが実証されている(Zywitski et al., Surf. Coat. Techn., Vol.82, 1996, pp.169−175、参照)。このことは、工作物上のアルミナの形成温度をさらに低下させることに成功するためには、工作物の表面付近で金属蒸気イオン化率を増大させることが必要であることを意味する。Zywitski et al.は、アルミナを堆積する際に、例えば周波数13.56MHzで動作するRFマグネトロンに比べて低い、40kHzの低周波数で動作するバイポーラパルス発生器に接続されたマグネトロンスパッタリングカソードを使用した。この方法は、引用した国際特許出願の方法に比べて、Al原子のイオン化率が非常に低いが、それでもなお、工作物に必要な温度が大幅に低下している。こうして、引用した国際特許出願に記載された、金属蒸気イオン化率の高い方法は、金属上に硬い表面層あるいは被覆を生成するための堆積、特にアルミナの堆積において、非常に良好な結果を与える可能性があることが予想される。ただし、化合物層あるいは被覆、特にマグネトロンのカソード上の非導電性の層あるいは被覆の形成に伴う問題点が除去され、あるいは少なくとも相当に縮小されることが可能でなければならない。
【0009】
反応性マグネトロンスパッタリングの方法は、T. M. Pang, M. Schreder, B. Heinz, C. Williams, G. N. Chaput, ”A modified technique for the production of the Alby direct current reactive magnetron sputtering”, J. Vac. Sci. Techn., Vol.A7(3), May/June 1989, pp.1254−1259、に開示されている。この方法では、ターゲットと、スパッタリングガスの入口とを収容する遮蔽容器が使用される。遮蔽容器は、スパッタリングガスと反応性ガスの分離を行い、その内側表面は、ターゲット表面付近における過剰な酸素のためのゲッタリング表面を提供する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、マグネトロン放電がその間で起こる電極上に化合物層を形成することなく、強度の高イオン化金属プラズマフローを生成する方法および装置を提供することである。
【0011】
すなわち本発明が解決しようとする課題は、いかにして、マグネトロン反応性スパッタリングによって工作物を効率的に被覆するかということである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
一般に、パルス高イオン化磁気スパッタリング堆積の方法および装置においては、マグネトロン放電には超低パルス周波数が使用され、その周波数は好ましくは数十ないし数百Hzのオーダーである。本発明の方法および装置は、マグネトロン放電がその間で起こる電極の領域における反応性ガスの圧力を大幅に低減させることによって、それらの電極の表面での化合物層の形成を回避する。この大幅な圧力低減は、放電容器の側壁をなすアノード電極を、管として設計することによって達成される。この管は、好ましくは円筒形であるが、円錐形やテーパー形のような他の適当な形状を有することも可能であり、また、カソードの表面に面した開口と、処理容器に面した反対側の開口とを有する。工作物は処理容器内に置かれ、処理容器は真空システムに接続され、処理容器には反応性ガスが供給される。スパッタリング非反応性ガスが、カソード電極の領域に供給される。アノード間の内側では、イオンが、アノードの周囲に巻かれた少なくとも1つのコイルによって発生される定常あるいは一定の磁界によって導かれる。すなわち、発生される磁界は、管内で少なくとも管の軸上にある放電容器あるいはアノード間の軸にほぼ平行である。アノード管は、隔壁のような制約装置によって処理容器から分離することができる。この制約装置は、適当なサイズの孔(ホール)や、アノードと処理容器との接合部に配置された適当に調整された磁界を有する。
【0013】
本発明のその他の目的および効果は、以下の記載で説明されることになるとともに、その一部は記載から明らかであるか、あるいは、本発明の実施によって理解される。本発明の目的および効果は、特許請求の範囲に具体的に記載された方法、プロセス、手段および組合せによって、認識され、得られる。
【0014】
本発明の新規な特徴的構成は特許請求の範囲に記載したとおりであるが、本発明の構成および内容について、また、本発明の上記およびその他の特徴については、添付図面を参照して、以下に記載される非限定的な実施例の詳細な説明を考慮することにより、よりよく理解される。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、特別に設計されたイオン源を有する磁気スパッタリング装置の断面図である。この図は、装置の軸を通る面内にとられている。放電容器1は、円筒形ハウジングの内側に形成されている。ハウジングは、適当な金属、例えば、ステンレススチール板、あるいはアルミニウム、銅またはチタンからなる側壁3を有する。ハウジングの側壁は、導電性であり、マグネトロンスパッタリング用の放電を生成する際に用いられるアノードを形成している。放電容器1および側壁3は、装置の軸をなす共通の対称軸5を有するとともに、装置のほとんどの部品もまた、この軸に関して対称的に配置される。平坦な板であるターゲット7が、放電容器の一方の端に位置してその端壁をなし、導電性反磁性材料からなるサポート9に固定される。ターゲット7は、図示の実施例では、対象物すなわち工作物(work piece) に付着されるべき材料、または、対象物に付着されるべき材料の成分となる材料からなる円形板である。放電容器の反対側の端には、処理容器11への開口が設けられる。処理容器11内には、被覆されるサブストレートすなわち工作物13が配置される。工作物13は、電気的に絶縁性のサポート15に取り付けられる。
【0016】
ターゲット7の後側から短い距離で、放電容器1とは反対向きの面に、磁石アセンブリ17が装着される。磁極は、N極がターゲット7の周囲に、S極がターゲットの中心に配置されるか、またはその逆である。したがって磁石アセンブリ17の磁力線は、ターゲット板7の周囲からその中心へと通るか、または反対にターゲット板の中心から周囲へと通る。明らかに、磁界は、磁石アセンブリ17の両極で最も強い。すなわち、ターゲット7の周囲と中心との間の領域では、磁界の強さはより小さくなる。このカソード磁石アセンブリは、一定の、あるいは、ゆっくりと変化する磁界を生成する。このアセンブリは、例えば、固定可能な、または、軸5の周りでゆっくりと回転移動を行うように設定可能な、永久磁石からなる。
【0017】
電源19は、その正端子がアノードすなわち導電性側壁3に接続され、その負端子がサポート9を通じてターゲット7に接続される。こうしてターゲットは、アノードに比べて負の電位を有し、カソードとなる。電源19は、高電圧パルスを発生して放電を引き起こし、放電容器1内、特に、カソード7の表面付近にあるガスをイオン化する電子を生成する。パルス電源19は、引用した国際特許出願WO98/40532に示唆されているように、非常に低い周波数で印加される非常に高いパワーのパルスを用いて動作させることができる。
【0018】
サブストレート13は、DC電源20によってバイアスされた0〜100Vの範囲のような比較的小さい一定の負電位を有することが可能であり、一方、サブストレートの背後すなわち下と横とにある金属壁21、22はグランドに接続されることが可能である。これにより、アノード3もまた接地されることになる。磁石アセンブリ17からの磁界のために、電子およびイオンは、ターゲット7に接するある領域内にプラズマとしてある程度トラップされることになる。この領域は環状であり、磁界の低強度部分に位置する。
【0019】
アルゴンのような、イオン化されるべき適当な処理ガスすなわちスパッタリングガスのためのガス入口23が、アノード壁3の孔を通り、放電容器1のターゲット端に、ターゲットの表面にかなり近接して配置される。アノード壁3の端は、カソード側で、カソードから1〜3mm程度の短い距離にある。アノード管3および付属金属部分は、電気的に絶縁性の材料のリング25によって、カソードサポート9に電気的に絶縁されて取り付けられる。
【0020】
アノード管3は一般に、例えば円筒形のような筒形であるが、他の形状も使用可能である。これは、好ましい場合には、細長く、例えば、その直径の約2倍の長さを有するが、一般には、直径の0.5〜3倍の長さを有することが可能である。ここで直径は一般に、アノード管の特性断面寸法としてとられている。アノード管3の直径は、電子およびイオンがマグネトロン磁界によってトラップされる領域の直径とほぼ等しく、例えばカソード直径が175mmの場合には約150mmである。そのとき、好ましい場合には、アノードの長さすなわち高さは約300mmとなる。
【0021】
アノード管3の内側には、ほぼ長さ方向の一定磁界が、ソレノイドアセンブリ27によって生成される。ソレノイドアセンブリ27は、DC電源28に接続され、アノード管の周りに巻線を有し、このアノード磁界は、一般にアノード管の軸方向、すなわち、軸5に平行に、プラズマの粒子を導く。図示の実施例では、アノードソレノイドアセンブリ27は3個の同一セグメントからなり、これらは、同じDC電流で、または、異なるDC電流強度で電源供給されることが可能であり、アノード管の内側に所望の形状および強さを有する磁界を提供する。
【0022】
工作物側の端では、処理容器11はアノード管3より大きい直径を有し、アノード径(例えば約175mm)より大きい直径のサブストレート13を収容可能にしている。処理容器11には、Oのような反応性ガスの入口29が設けられる。これらの入口は、工作物13の外周のかなり近くに配置される。ここにはまた、装置の動作中に処理容器および放電容器内を低圧に維持するための真空システム(ポンプ)32に取り付けられた出口31も設けられる。
【0023】
アノード壁3は、水入口35および水出口37に接続された壁内のチャネル33に水を流すことによって、冷却することができる。また、放電容器および処理容器の他の壁または壁の一部も、必要があれば、水で冷却することができる。
【0024】
第1に、中性種、すなわち中性粒子および原子の分離について説明する。マグネトロン磁界Bの軸成分B‖、すなわち、磁石アセンブリ17によって発生された磁界のカソード7およびアノード管3の軸に平行な成分と、アノード磁石アセンブリ27によって発生された磁界Bの軸成分B‖とが逆向きである場合を考える。この条件は、以下で示すように、装置の動作にとって本質的である。この場合、プラズマは、アノード軸5の領域に集中する。中性蒸気は、アノード管3の全容積中に広がる。拡散効果と、出口31における処理容器11からの排気の効果との両方によって、プラズマおよび中性蒸気は、カソード7から処理容器11への向きに流れる。この中性流の強さは、図2のグラフに例示されるように、カソード7から離れる向きに減少する。その理由は、中性原子および中性蒸気の粒子は、処理容器に向かう途中でアノード管3の内壁に堆積するからである。図3の曲線が、カソードから短い距離にピークを有するのを参照されたい。
【0025】
プラズマの強さは、軸に沿って、カソード7からの距離とともに減少しない。その理由は、プラズマ損失は、アノード磁石アセンブリ27によって発生される磁界により妨げられるからである。
【0026】
後で定義する等価積分プラズマ電流(EIPC:equivalent integral plasma current)の実質的損失なしに中性種のフローをさらに減少させるために、アノード3の出口開口、すなわち、カソード7から遠い側に位置する開口は、制約装置をその開口に配置することによって、このフローを制約するようにすることができる。すなわち、図1に示されているように、放電容器1が処理容器11へと開口している場所に配置可能な環状の導電性遮蔽板41を設置することによって、物理的開口が設けられる。遮蔽板41には、アノード側壁3の内径より小さい直径を有する中心開口が設けられる。例えば、代表的な構成では、中心開口の直径は70〜80mmの範囲にある。このような開口はまた、処理容器から放電容器内への反応性すなわち処理ガスのフローも制約する。
【0027】
放電容器1と処理容器11の間のフローを制御するもう1つの方法は、追加ソレノイド43(図1参照)を使用することからなる。これは、DC電源44に接続され、遮蔽板41と同様にアノード側壁3と処理容器との接合部に配置される。追加ソレノイド43もまた、アノード管3の周りに巻かれ、軸方向の単位長さあたりの巻数は、アノードソレノイドアセンブリ27の巻数より多い。追加ソレノイド43は、アノードソレノイドアセンブリ27によって発生されるのとおおむね同じ軸方向の一定磁界を生成し、全磁界を変形して、放電容器11の下端領域から出て来る荷電粒子に対する集束効果を引き起こす。これらの制約/集束のための2つの装置41、43は、別々に使用されることも可能であるが、図示されているように一緒に同じ装置内で使用されるのが有効である。ソレノイド43によって生成される追加の強い磁界が、アノード管3の出口開口の領域におけるプラズマ流を軸に向かって圧縮することにより、隔壁41の開口をより小さくしてもプラズマフローの実質的損失なしに中性フローの損失を大きくし、放電容器内への処理(反応性)ガスのフローをより効率的に止めることができる。
【0028】
このように、一般に上記の装置では、プラズマ源がマグネトロンスパッタリングカソードおよびアノード容器からなるプラズマ源の出口開口は、カソードから相当距離の位置にあるように配置され、アノードの内側の長さ方向すなわち軸方向の一定磁界が所定の向きで生成され、これらの詳細によって、金属プラズマからスパッタ金属原子を分離する構造が得られる。さらに、プラズマ源が出口の制約/集束装置を含むようにすることによって、前記出口におけるフローが制約されるため、荷電粒子からの中性粒子の分離が改善される。分離の割合すなわち効率は、基本的に、アノード3の長さと、前記出力開口の直径とによって規定される。こうして、プラズマ源はここではマグネトロンスパッタリングカソード7およびアノード管3からなるように構成され、使用されるところでは、アノード管3の出口における制約装置41、43を有する。
【0029】
第2に、放電容器1の容積中における反応性ガスの化学吸着について説明する。反応性スパッタリング堆積の場合、効率的なスパッタリングプロセスを実現するため、マグネトロンスパッタリングカソード7に接する領域における反応性ガスの濃度を大幅に低減する必要がある。上記のような装置はこのことも可能にする。以下のようなプロセスが、カソード7、アノード管3の内壁、およびアノード管の出口開口によって画定される容積中で起こる。処理容器11からこの容積に入る反応性ガスは、アノード3の内側表面上と、遮蔽板41が使用される場合にはその内壁上とでの化学吸着反応によって、この容積から効率的に除去される。これは、図3のグラフの単調増加曲線によって図示されている。このグラフは、カソードからの距離の関数として示した、反応性ガスの圧力のおよそのプロットである。前記の容積の表面は、カソード7の金属で被覆されることになる。すなわち、例えば、アルミニウムカソードの場合にはアルミニウムで、チタンカソードの場合にはチタンで被覆されることになる。アルミニウムは、酸素に対する効率的な化学吸着すなわちゲッタリング物質であり、チタンは、酸素および窒素の両方に対する効率的な化学吸着すなわちゲッタリング物質である。この化学吸着効果の結果として、図3のプロットから明らかなように、カソードの領域における反応性ガスの圧力が非常に低くなる。電源19により供給されるマグネトロン放電のパワーが、十分な量の金属すなわちゲッタリング物質を前記壁の上に堆積するのに十分なレベルに設定される場合、前記の容積に入る事実上すべての反応性ガスは、カソード表面に接する領域およびアノード内面の隣接領域に入る前に、堆積された物質によって吸着されることになる。すると、これらの領域では事実上ゲッタリングが起こらないため、これらの領域における表面は、装置の動作中、導電性を維持する。こうして、マグネトロン放電は、常に汚染されていないカソードと、カソードに隣接した常に汚染されていないアノード表面との間で、装置始動時とほぼ同じように継続することができる。例えば、反応性ガスとして酸素を用いる場合、化学吸着では、非導電性の酸化物が形成される。このような酸化物は、カソードに隣接する領域では形成され得るが、その程度はわずかである。その理由は、そこでは金属堆積速度が非常に速いために化学吸着すなわちゲッタリング効果が非常に強いので、残存している反応性ガスはすべて吸着されるからである。
【0030】
上述したスパッタリング装置を動作させる際に実行される逐次的ステップは、次のようにすることができる。
・ソレノイドアセンブリ27のDC電源のスイッチ(図示せず)をオンにして、一定のアノード磁界の発生を開始する。
・プラズマビームから工作物13を分離するシャッタ(図示せず)を閉じる。
・入口23を通じて放電容器1にスパッタリングガスを供給する。
・スイッチをオンにし、電源19を設定することによって、第1パワーレベルでのマグネトロン放電を開始し、放電容器1の壁でゲッタリング物質として作用する初期量の金属を堆積する。
・マグネトロン放電のパワーを、所望の堆積速度によって、および、所望の化合物を堆積するのに必要な反応性ガスの濃度によって規定される、より高い第2のレベルまで増大させる。
・入口29を通じて処理容器11に反応性ガスを供給する。
・所望の堆積速度によって、および、堆積されるべき所望の化合物によって規定される値まで、反応性ガスの圧力を増大させる。
・プラズマビームから工作物13を分離するシャッタを開く。
【0031】
工作物13上に堆積される層を所望の厚さにするのに十分な時間だけ上述した装置を動作させた後、以下の逐次的ステップが実行される。
・プラズマビームから工作物13を分離するシャッタを閉じる。
・入口29を通じての反応性ガスの供給を停止する。
・電源19のスイッチをオフにすることによってマグネトロン放電を停止する。
・アノードソレノイドアセンブリ27の電源供給のスイッチをオフにする。
・放電容器1へのスパッタリングガスの供給を停止する。
【0032】
反応性ガスとして酸素を用いる実際の実施例において、内径175mm、長さ300mmのアノード管3に接続された直径150mmの平坦円形カソード7について、マグネトロン放電の安定動作を維持するためには、マグネトロン放電の平均パワーが4kWで遮蔽板41の開口の直径が70mmの場合に、2・10−3〜3・10−3Torrの酸素圧力が必要であることがわかった。マグネトロン放電が、引用した国際特許出願WO98/40532に提案されている方法に従って生成される場合、装置は、約0.3Aのプラズマ流を提供することが可能であり、このプラズマ流は、工作物上にアルミニウムまたはチタンを堆積するために使用される。
【0033】
上記のようなマグネトロンスパッタリング装置では、等価積分プラズマ電流(EIPC)を、アノード管3の端でアノード管の軸に垂直な断面を横切るプラズマビーム中のイオンによって輸送される1秒あたりの電荷として定義することができる。EIPCは、平面状の大きい、負にバイアスされたコレクタによって収集されるイオン飽和電流として測定することができる。コレクタの直径は、コレクタの表面におけるプラズマビームの直径より大きいものとする。コレクタは、アノード3の外側に配置され、コレクタを通る平面は、プラズマビームの軸に垂直である。
【0034】
次に、上述したスパッタリング装置の動作についてさらに詳細に説明する。
【0035】
基本的に図1に示したような実験的構成において、ソレノイドアセンブリ27によって生成される定常アノード磁界の大きさおよび向きを変えると、次のことがわかった。
【0036】
1.EIPCの値は、アノードコイル27によって発生される定常磁界Bの軸成分B‖の向きと、マグネトロンカソード7の中心におけるマグネトロン磁界Bの軸成分B‖の向きとに強く依存する。
・B‖とB‖が逆向きの場合、EIPCはB‖の増大とともに増大する。EIPCの最大値は、カソードターゲット7の表面でB‖がB‖に等しい場合に対応する。この場合のEIPCの値は、B‖=0に対するEIPCの値の10倍である。
・B‖とB‖の向きが一致する場合、EIPCはB‖の増大とともに減少する。B‖とB‖がカソード表面で等しい場合に対するEIPCの値は、B‖=0に対するEIPCの値の10分の1である。
【0037】
2.量EIPCの空間的変動は、アノードコイル27によって発生される定常磁界Bの軸成分B‖と、マグネトロンカソードの中心におけるマグネトロン磁界の軸成分B‖の向きとに強く依存する。
・B‖とB‖が逆向きの場合、プラズマ電流の電流密度は、アノード管3の軸において最大値を有する。遮蔽隔壁41の平面において、この平面上のEIPCの95%は、隔壁の孔の領域内のプラズマ電流によって構成される。ただし、孔の直径は80mmである。
・B‖とB‖の向きが一致する場合、EIPCはアノード管3の内壁の領域で最大値を有する。この場合、隔壁の孔全体でのEIPCは事実上ゼロに等しい。
【0038】
3.最小放電圧力は、アノードコイル27によって発生される定常磁界Bの軸成分B‖と、マグネトロンカソードの中心におけるマグネトロン磁界の軸成分B‖の向きとに強く依存する。B‖とB‖が逆向きでB‖=B‖の場合、最小放電圧力は4・10−4Torrである。B‖とB‖の向きが一致してB‖=B‖の場合、最小放電圧力は5・10−3Torrである。
【0039】
一部プラズマイオン化の場合:
4.アノード管3の軸5における中性フラックスの強さは、図2のグラフによって示されるように、カソード7を通る平面からの距離に依存する。
【0040】
5.アノード管3の内壁上に堆積されるスパッタ原子の堆積速度は、図3のグラフによって示されるように、カソード7を通る平面からの距離に依存する。隔壁41の内側に堆積される層の均質性は、隔壁とカソード7の間の距離が特性寸法すなわちカソード(ターゲット)の寸法を超える場合にはほぼ一定である。平坦な円形カソードの場合、特性寸法は明らかにその直径である。
【0041】
上記のような発見に基づく第1の好ましい方法では、以下のステップが実行される。
【0042】
1.マグネトロン回路すなわち電源19を動作させ、引用した国際特許出願WO98/40532に開示されている方法に従ってマグネトロン放電を行う。すなわち、パルス状の超高パワーのマグネトロン放電を行う。パルスパワーの平均レベルは可変である。
【0043】
2.スパッタ金属蒸気のイオン化率が高くなるように、マグネトロン放電の平均パワーレベルを選択する。
【0044】
3.カソード7においてソレノイドアセンブリ27によって生成される定常アノード磁界によって、また、アノード管3の出口側すなわち遠い側の開口に配置された隔壁41によって、スパッタ金属の中性蒸気の残りをプラズマから分離する。定常アノード磁界は、アノード管3の軸5に沿う向きをほぼ向いており、カソード7の中心に磁石アセンブリ17によって生成されるマグネトロンの磁界とは逆向きである。
【0045】
4.ソレノイド27の巻線を流れる電流を制御することによって、隔壁41の開口を通るプラズマの強いフローを生成するように、アノード磁界の強さおよび向きを選択する。
【0046】
5.入口23を通じてカソード7の領域にスパッタリングガスを供給する。
【0047】
6.放電容器1内のスパッタリングガスの圧力を、4・10−4〜10−2Torrの範囲内に、好ましくは約7・10−4Torrに、設定する。
【0048】
第2の好ましい方法では、以下のステップが実行される。
【0049】
1.マグネトロン回路すなわちパルス電源19を動作させ、引用した国際特許出願に開示されている方法に従ってマグネトロン放電を行う。すなわち、パルス状の超高パワーのマグネトロン放電を行う。パルスパワーの平均レベルは可変である。
【0050】
2.スパッタ金属蒸気の一部イオン化が起こるように、マグネトロン放電の平均パワーレベルを選択する。すなわち、この方法における平均パワーレベルは、第1の方法より低い。
【0051】
3.アノード管3の軸5に沿う向きをほぼ向いており、カソード7の中心におけるマグネトロンの磁界とは逆向きの、定常アノード磁界によって、また、アノード管3の出口開口に配置された隔壁41によって、スパッタ金属の中性蒸気をプラズマから分離する。
【0052】
4.アノード管3の壁の内側表面上に、壁に沿って堆積層がある勾配を有するようにスパッタ金属の蒸気を堆積するとともに、隔壁41の内側表面、すなわち、ターゲット7に面するその表面上に、スパッタ金属の蒸気を堆積する。堆積層は、処理容器11から放電容器1に入る反応性ガスのゲッタとして使用される。
【0053】
5.隔壁41の開口を通るプラズマの強いフローを生成するように、アノード磁界の強さおよび向きを選択する。
【0054】
6.入口23を通じてカソード7の領域にスパッタリングガスを供給し、入口29を通じて処理容器11に反応性ガスを供給する。
【0055】
7.放電容器1内のスパッタリングガスと、処理容器11内の反応性ガスの圧力を、4・10−4〜10−2Torrの範囲内に、好ましくは約5・10−4Torrに、設定する。
【0056】
8.必要であれば、マグネトロン放電の平均パワーレベルを調整して、放電容器に入るすべての反応性ガスをゲッタリングするように放電容器1の壁にスパッタ金属を堆積し、マグネトロン放電のカソード7の表面上の痕跡量の化合物層をスパッタリングする。
【0057】
第2の方法のステップ1〜8を実行したところ、カソード7上、および、カソードの近くに配置されたアノード管3の上側内壁上に形成される化合物層の痕跡は検知できず、アーク放電を引き起こさず、さらに、カソードスパッタリング速度の検知可能な低下を引き起こさないことがわかった。
【0058】
上記の第2の方法は、T. M. Pang et al.による前掲論文に開示された方法に比べて顕著な利点を有する。従来の方法では、遮蔽容器(これは、ガス分離を行うとともに、ターゲット表面付近の過剰な酸素のためのゲッタリング表面を提供する)の長さは、遮蔽容器の壁の上の金属蒸気の損失によって制限される(論文のFig.2参照)。理解されるように、カソードから30cmの距離における蒸気フラックスの強さは、初期強さの20分の1である。ここに記載した第2の方法では、長さ30cmのアノード管3のプラズマフラックスは、アノード磁界がない場合に得られるフラックスの10倍である。この第2の方法による堆積プロセスは、スパッタ金属の高度にイオン化されたプラズマを提供するので、重要である。
【0059】
当業者には明らかなように、上記の装置の詳細は、本発明の技術思想を離れることなく変更可能である。したがって例えば、マグネトロンスパッタリングカソードは、平面矩形、円筒形または円錐形のような任意の適当な設計とすることが可能であり、また、スパッタリングガンであることも可能である。カソードは、これらの実施例では、前面に垂直な軸を有し、この軸は一般にある対称軸である。アノード管の軸は、好ましくは、この軸と一致すべきである。
【0060】
以上、本発明の具体的実施例について説明したが、さらに多くの効果、改良および変更が当業者において容易になされることが認識される。したがって、本発明は、より広い解釈において、ここに記載した具体的詳細、代表的装置および例示には限定されない。よって、特許請求の範囲およびその均等物によって規定される本発明の一般的概念の技術思想および技術的範囲を離れることなく、さまざまな変更が可能である。それゆえ、特許請求の範囲は、本発明の真の技術思想および技術的範囲内に入るそのようなすべての改良および変更を包含しようとするものであることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
反応性スパッタリング装置の断面図である。
【図2】
アノード管の軸における中性フラックスの強さを、カソードすなわちターゲットを通る面からの距離の関数として示す図である。
【図3】
アノード管の内壁上に堆積されるスパッタ原子の堆積速度を、カソードすなわちターゲットを通る面からの距離の関数として示すとともに、反応性ガスの圧力を同じ量の関数として示す図である。
【符号の説明】
1 放電容器
3 側壁(アノード壁)
5 対称軸
7 ターゲット(カソード)
9 カソードサポート
11 処理容器
13 サブストレート(工作物)
15 サポート
17 磁石アセンブリ
19 パルス電源
20 DC(バイアス)電源
21,22 金属壁
23 ガス入口
25 リング
27 ソレノイドアセンブリ
28 DC電源
29 入口
31 出口
32 真空システム(ポンプ)
33 チャネル
35 水入口
37 水出口
41 遮蔽板(隔壁)
43 追加ソレノイド
44 DC電源

Claims (16)

  1. プラズマ源を有する反応性マグネトロンスパッタリング装置において、
    前記プラズマ源は、
    金属ターゲットからなり、金属材料がスパッタリングにより放出されるカソードと、
    アノードと、電子を生成する前記カソードとの間で放電を起こすために、前記アノードと前記カソードとの間に電圧パルスを印加するパルス電源と、
    前記ターゲットの表面で電子を磁界中にトラップするマグネトロン構成における第1磁界を提供する第1磁石アセンブリと、
    前記ターゲットを収容し、前記アノードとして接続された側壁を有する放電容器と、
    イオン化されるスパッタリングガスのための、前記放電容器内への入口と、
    プラズマ出口と、
    を有し、
    前記反応性マグネトロンスパッタリング装置は、さらに、プラズマを受け容れるために前記プラズマ出口においてプラズマ源に接続された処理容器を有し、
    前記処理容器は、材料で被覆される工作物を収容するように構成され、反応性すなわち処理ガスのための前記処理容器内への入口と、真空ポンプに接続された前記処理容器の出口と、を有し、
    前記プラズマ源は、さらに、一定の第2磁界を発生する第2磁石アセンブリを有し、前記第2磁界は、前記放電容器内では、前記カソードおよび前記ターゲットの一方または両方の軸にほぼ平行であり、あるいは、その磁力線は前記ターゲットの表面においてほとんどすべて、前記放電容器に面するターゲットの表面から出るかまたは該表面に入り、前記第2磁界は、プラズマフロー、特に、前記プラズマ出口から出て前記処理容器内へと流れる比較的明確に画定されたプラズマフローを生成するように前記カソードから離れる向きに荷電粒子を導くことを特徴とする反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  2. 前記放電容器の側壁は、前記カソードの軸にほぼ一致する軸を有するほぼ筒形の導電性内側表面を有することを特徴とする請求項1記載の反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  3. 前記放電容器は、その直径の0.5ないし3倍の高さすなわち長さを有することを特徴とする請求項1記載の反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  4. 前記放電容器は、細長形状であり、特に、その直径のほぼ2倍の高さすなわち長さを有することを特徴とする請求項1記載の反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  5. 前記第2磁石アセンブリは、前記放電容器の周りに巻かれDC電源に接続された巻線を有する少なくとも1つのソレノイドを有することを特徴とする請求項1記載の反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  6. 前記第1および第2の磁石アセンブリは、前記ターゲットの表面の中心で逆向きの磁界を発生することを特徴とする請求項1記載の反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  7. 前記放電容器は、ターゲット側に位置する第1端と、反対側のプラズマ出口側に位置する第2端とを有するとともに前記処理容器内に開口し、
    前記処理容器内への中性粒子のフローおよび前記放電容器内への反応性すなわち処理ガスのフローの一方または両方を制約するために、前記第2端および前記プラズマ出口の一方または両方に制約装置が配置されることを特徴とする請求項1記載の反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  8. 前記制約装置は、前記放電容器の軸上に開口を有する開口部すなわち遮蔽板を有し、該開口は前記放電容器の前記第2端における断面積より小さく、該開口は、前記反応性マグネトロンスパッタリング装置が工作物をスパッタリングするために作動するときに前記放電容器と前記処理容器との間のフローを制約することができることを特徴とする請求項7記載の反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  9. 前記放電容器は、ターゲット側に位置する第1端と、反対側のプラズマ出口側に位置する第2端とを有するとともに前記処理容器内に開口し、
    前記第2端および前記プラズマ出口の一方または両方に、前記放電容器から出る荷電粒子のフローを集束させる集束装置が配置されることを特徴とする請求項1記載の反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  10. 前記集束装置は、相対的に強い一定の第3磁界を第2端に発生する第3磁石アセンブリを有し、前記第3磁界は、前記放電容器から出る荷電粒子のフローが前記第2端で有する断面積を小さくするように、前記第2端において前記放電容器の軸にほぼ平行であることを特徴とする請求項9記載の反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  11. 前記第3磁石アセンブリは、前記放電容器の周りに巻かれたソレノイドを有し、該ソレノイドは、相対的に巻数が多く、前記放電容器の軸の方向において相対的に短いことを特徴とする請求項10記載の反応性マグネトロンスパッタリング装置。
  12. アノードと、電子を生成するカソードとの間で放電を起こすために、前記アノードと前記カソードとの間に電圧パルスを印加するステップと、
    金属材料がスパッタリングにより放出される金属ターゲットを用意し、それを前記カソードに接続するステップと、
    前記ターゲットの表面でマグネトロン構成における第1磁界を提供し、第1磁界中に電子をトラップするステップと、
    電子によってイオン化されるように、前記ターゲットの付近にスパッタリングガスを供給するステップと、
    その表面で堆積が行われる工作物を提供するステップと、
    前記工作物の付近に反応性すなわち処理ガスを供給するステップと、
    前記工作物および前記ターゲットにおいて比較的低い圧力を維持するために、前記工作物に接する場所からガスを排気するステップと
    を有する反応性マグネトロンスパッタリング堆積方法において、
    プラズマフロー、特に、前記工作物に向かって流れる比較的明確に画定されたプラズマフローを生成するように前記カソードから離れる向きに荷電粒子を導くために、前記ターゲットの表面に接する領域において前記ターゲットの軸にほぼ平行な方向を有し、あるいは、磁力線がほとんどすべて前記ターゲットの表面から出るかまたは該表面に入る、一定の第2磁界を提供する追加ステップをさらに有することを特徴とする反応性マグネトロンスパッタリング堆積方法。
  13. 前記第2磁界は、前記ターゲットの軸に沿って相当の広がりを有し、特に、前記ターゲットの直径の少なくとも半分に対応する広がり、好ましくは前記ターゲットの直径の1倍ないし2倍に対応する広がりを有することを特徴とする請求項12記載の方法。
  14. 前記ターゲットに接する空間と前記工作物に接する空間の間の粒子およびガスの一方または両方のフローを物理的に制約し、特に、前記ターゲットに向かう反応性すなわち処理ガスのフローを制約することと、前記ターゲットから離れる向きの中性粒子のフローを制約することとの一方または両方を行う追加ステップをさらに有することを特徴とする請求項12記載の方法。
  15. 前記ターゲットに接する空間と前記工作物に接する空間の間の場所で、前記ターゲットから離れる向きに移動する荷電粒子のフローを集束させる追加ステップをさらに有することを特徴とする請求項12記載の方法。
  16. 前記荷電粒子のフローを集束させる追加ステップにおいて、前記ターゲットの軸に沿って相対的に小さい広がりを有するが相対的に高い強さを有する一定の第3磁界が提供されることを特徴とする請求項15記載の方法。
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